(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6419098
(24)【登録日】2018年10月19日
(45)【発行日】2018年11月7日
(54)【発明の名称】握り飯用包装材、握り飯用包装材原反および包装握り飯
(51)【国際特許分類】
B65D 65/10 20060101AFI20181029BHJP
A23L 7/10 20160101ALI20181029BHJP
B65D 65/28 20060101ALI20181029BHJP
B65D 85/50 20060101ALI20181029BHJP
【FI】
B65D65/10 A
A23L7/10 F
B65D65/28
B65D85/50 140
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-7394(P2016-7394)
(22)【出願日】2016年1月18日
(65)【公開番号】特開2017-128343(P2017-128343A)
(43)【公開日】2017年7月27日
【審査請求日】2016年6月28日
【審判番号】不服2017-3384(P2017-3384/J1)
【審判請求日】2017年3月7日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】509009038
【氏名又は名称】アイワ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119367
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 理
(72)【発明者】
【氏名】中村 雄一郎
【合議体】
【審判長】
千壽 哲郎
【審判官】
井上 茂夫
【審判官】
佐々木 正章
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−27323(JP,A)
【文献】
特開2004−323029(JP,A)
【文献】
特開2009−255944(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3171977(JP,U)
【文献】
特開2010−126246(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D65/10
A23L 7/10
B65D65/28
B65D85/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の方向に亀裂が進行する方向性プラスチックフィルムを素材とする包装シートと、亀裂進行方向に沿って包装シートに形成され包装される握り飯の厚さに相当する長さのハーフカット部を有し、開封においてまずハーフカット部が切り開かれ、ハーフカット部が全て切り開かれると亀裂は亀裂進行方向に沿って進行するようになした握り飯用包装材。
【請求項2】
特定の方向に亀裂が進行する方向性プラスチックフィルムを素材とする略長方形状の外面シートと、外面シートに対向する内面シートと、外面シートと内面シートとの間に入れられた海苔シートと、亀裂進行方向に沿って外面シートに形成され包装される握り飯の厚さに相当する長さのハーフカット部を有し、開封においてまずハーフカット部が切り開かれ、ハーフカット部が全て切り開かれると亀裂は亀裂進行方向に沿って進行するようになした握り飯用包装材。
【請求項3】
特定の方向に亀裂が進行する方向性プラスチックフィルムを素材とし亀裂進行方向に垂直な方向に沿って続く一定の幅の連続シートと、亀裂進行方向に沿って包装シートに形成され包装される握り飯の厚さに相当する長さのハーフカット部を有し、ハーフカット部が所定の周期で設けられていて、開封においてまずハーフカット部が切り開かれ、ハーフカット部が全て切り開かれると亀裂は亀裂進行方向に沿って進行するようになした握り飯用包装材原反。
【請求項4】
包装材によって包装された包装握り飯であり、
握り飯は相互に平行な第1面と第2面、および、第1面と第2面の間に形成される底面を有し、
包装材は、特定の方向に亀裂が進行する方向性プラスチックフィルムを素材とする略長方形状の包装シートと、亀裂進行方向に沿って外面シートに形成され包装される握り飯の厚さに相当する長さのハーフカット部を有し、握り飯の底面にハーフカット部が位置していて、開封においてまずハーフカット部が切り開かれ、ハーフカット部が全て切り開かれると亀裂は第1面および第2面の中央の下端に進行し、さらに亀裂は亀裂進行方向に沿って第1面および第2面を上向きに進行するようになしたする包装握り飯。
【請求項5】
握り飯は相互に平行な略三角形の第1面と第2面、および、第1面と第2面の間に形成される底面を有し、
包装材は、特定の方向に亀裂が進行する方向性プラスチックフィルムを素材とする略長方形状の外面シートと、外面シートに対向する内面シートと、外面シートと内面シートとの間に入れられた海苔シートと、亀裂進行方向に沿って外面シートに形成され握り飯の厚さに相当する長さのハーフカット部を有し、
包装材は、握り飯の外形に沿って略三角形状に折り畳まれて握り飯を包んでいて、握り飯の頂点部において形成される包装材の耳部に封止部が形成されている請求項4に記載の包装握り飯。
【請求項6】
包装材は、略長方形の袋状である請求項4に記載の包装握り飯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、包装握り飯および握り飯用の包装材に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1などには、外装材フィルムと内装材フィルムの間に海苔を封入した包装体の外装材フィルムに開封用条体を設け、この包装体でおにぎりを包むことが記載されている。ここで、開封用条体とはカットテープのことである。この包装おにぎりの頂点にカットテープの端部があり、この端部をつかんでカットテープを引くことにより外装材フィルムが切断される。その後、包装体の左右端部を引くことに取って、包装体がおにぎりから抜き取られる。
【0003】
また、特許文献2〜4などには、ハーフカットにより握り飯用の包装材の開封を容易にすることが記載されている。特許文献2には、外シートは、所定の部位にて分断されるべくハーフカットが長手方向に沿って形成され、さらに、ハーフカットの部位が中間部から端部に向けて分断されるべく分断を開始する分断開始部が長手方向の中間部に設けられることが記載されている。特許文献3には、包装部材が帯状の外部フィルムと内部フィルム、それに、外部フィルムと内部フィルムの間に挟まれた海苔を有し、外部フィルムの中心線に沿ってミシン目またはハーフカットによる切断補助線が形成されており、おにぎり本体の底辺中央から頂点部を結ぶ線に切断補助線が実質的に重なるように合わせて海苔入り包装部材がおにぎり本体2を包んでおり、頂点部において包装部材の封止部が形成されることが記載されている。特許文献4には、重ね合わされた2枚の長方形のプラスチックシートと、2枚のプラスチックシートの間に挟まれた海苔と、2枚のプラスチックシートの側辺部に設けられた接続帯と、2枚のプラスチックシートの中心線付近に設けられた切断補助線を有し、切断補助線は曲線部を有する食品包装体が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−162768号公開特許公報
【特許文献2】特開2009−255944号公開特許公報
【特許文献3】実用新案登録第3171977号公報
【特許文献4】特開2014−23501号公開特許公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1などに記載された包装おにぎりは、カットテープによって包装体を切断でき、おにぎり本体に触れることなく包装体を取り除いて、海苔に巻かれた状態のおにぎりを取り出すことができる。しかも、包装されている時は、海苔はおにぎり本体に接していないので、乾燥した状態を保つことができる。
【0006】
しかし、三角形のおにぎりを特許文献1などの包装体で包装すると、三角形の各角部においてフィルムが突出した耳部が形成される。そして、折り畳みだけではその耳部を完全に密閉することができない。包装おにぎりを店頭に置いている間に、この耳部の開口から虫などの異物が内部に入ることがある。特に、夏の夜間においては、コンビニエンスストアの中に虫が入りやすく、その虫がおにぎりに入ること多くなり、クレームが寄せられている。
【0007】
そこで、3隅の耳部を封じることが考えられる。底辺の2隅については、耳部を折り返して粘着テープやシールで止めることができる。しかし、頂点にはカットテープの先端部があり、ここにシールなどを貼ると、カットテープの先端部をつまみ出すことができなくなる。
【0008】
また、特許文献1などの包装おにぎりを開封するためには、カットテープで包装体を縦に切断した後、さらに、左右に引っ張って包装体を抜き取らなければならない。
【0009】
特許文献2の発明では、外シートにハーフカットが長手方向に沿って形成され、分断開始部が長手方向の中間部に設けられているので、下側から開封することができる。また、特許文献3や特許文献4でもミシン目やハーフカットを設けているので、それに沿って開封することができる。しかし、いずれも、包装体の中央線に沿って上から下までハーフカットを設ける必要がある。
【0010】
長いハーフカットを一定の深さで形成しなければならない。浅すぎれば開封しにくくなり、深すぎれば貫通してしまうので、外気が内部に進入してしまう。薄いフィルムに対して、このような条件を維持して加工することは容易でない。さらに、フィルムの厚さにもある程度の変動があり、長い距離においては厚さの差も大きくならざるを得ず、切り込み加工の精度を上げるだけでは厳密な条件を維持することはできない。
【0011】
この発明は、簡単に精度よく製造できて、しかもカットテープを使用することなく簡単に開封できる握り飯用包装材、握り飯用包装材原反および包装握り飯を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の課題を解決するため、この発明の握り飯用包装材は、特定の方向に亀裂が進行する方向性プラスチックフィルムを素材とする包装シートと、亀裂進行方向に沿って包装シートに形成され包装される握り飯の厚さに相当する長さのハーフカット部を有する。そして、特定の方向に亀裂が進行する方向性プラスチックフィルムを素材とする略長方形状の外面シートと、外面シートに対向する内面シートと、外面シートと内面シートとの間に入れられた海苔シートと、亀裂進行方向に沿って外面シートに形成され包装される握り飯の厚さに相当する長さのハーフカット部を備えることもできる。
【0013】
この発明の握り飯用包装材原反は、特定の方向に亀裂が進行する方向性プラスチックフィルムを素材とし亀裂進行方向に垂直な方向に沿って続く一定の幅の連続シートと、亀裂進行方向に沿って包装シートに形成され包装される握り飯の厚さに相当する長さのハーフカット部を有し、ハーフカット部が所定の周期で設けられている。
【0014】
さらに、この発明の包装握り飯は、包装材によって包装された握り飯であり、握り飯は相互に平行な第1面と第2面、および、第1面と第2面の間に形成される底面を有し、包装材は、特定の方向に亀裂が進行する方向性プラスチックフィルムを素材とする略長方形状の包装シートと、亀裂進行方向に沿って包装シートに形成され包装される握り飯の厚さに相当する長さのハーフカット部を有し、握り飯の底面にハーフカット部が位置する。握り飯は相互に平行な略三角形の第1面と第2面を有するもので、包装材は、特定の方向に亀裂が進行する方向性プラスチックフィルムを素材とする略長方形状の外面シートと、外面シートに対向する内面シートと、外面シートと内面シートとの間に入れられた海苔シートと、を有するものとし、包装材を握り飯の外形に沿って略三角形状に折り畳みながら握り飯を包んで、握り飯の頂点部において形成される包装材の耳部に封止部を形成してもよい。あるいは、包装材は、略長方形の袋状であってもよい。
【発明の効果】
【0015】
この発明において、ハーフカット部は握り飯の厚さに相当する長さで設けられているので、容易にハーフカットの深さが均一な包装材を作ることができる。したがって、確実に密閉でき、しかも容易に開封できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】握り飯用包装材原反の1周期分を示す平面図である。
【
図3】握り飯用包装材原反の1周期分に握り飯本体をのせた状態を示す斜視図である。
【
図8】握り飯用包装材に握り飯本体をのせた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
この発明を実施するための形態について図面に基づいて説明する。まず、第1の実施形態について説明する。
図1は握り飯用包装材原反を示す斜視図である。この握り飯用包装材原反10は食品包装用のプラスチックフィルムを素材とする。そして、このプラスチックフィルムは方向性を有する。すなわち、プラスチックフィルムが破れるとき、亀裂が特定の方向に進行する性質を有する。この方向を本発明では、亀裂進行方向とする。このような方向性プラスチックフィルムは食品包装材用の素材として使われている。連続シート11は、亀裂進行方向に垂直な方向に沿って長く続いている。
【0018】
連続シート11には、亀裂進行方向に沿ってハーフカット部3が設けられている。そして、ハーフカット部3の長さは、包装される握り飯の厚さに相当するように設定されている。したがって、握り飯の厚さを大きく超えて続くようなハーフカットは、この発明におけるハーフカット部には含まれない。そして、本例ではこのハーフカット部3は所定の周期Rで繰り返し設けられている。なお、ハーフカット部3は下面に設けられているものとする。この握り飯用包装材原反10は、ボビンに巻かれたロールとして提供することができる。
【0019】
図1において周期Rで繰り返し表わされる波線は切断位置となる切り出し線12である。握り飯を包装するときに、この切り出し線12に沿って順次切断する。こうして長さRで切り出されたものが、本実施形態における1枚の握り飯用包装材となる。
図2は握り飯用包装材原反の1周期分を示す平面図である。
【0020】
長さ方向において中間の位置にハーフカット部3は設けられている。幅方向においても、中央付近に置いてもよいが、本例では中心線からずれた位置に置いている。この位置は、包装時に握り飯の底面が置かれる位置に対応し、ピロー包装体を形成するときの背張りの位置に関連する。
【0021】
次に、この握り飯用包装材原反10を用いた握り飯の包装方法について説明する。
図3は握り飯用包装材原反1の1周期分に握り飯xをのせた状態を示す斜視図であり、包装方法について示している。
【0022】
握り飯用包装材原反1の先端にある1周期分のハーフカット部3の上に握り飯xをのせる。ここで、ハーフカットはシートの下面に設けられている。握り飯xは連続シートの長さ方向に沿った向きで載せられ、ハーフカット部3は握り飯xの底面の厚さ方向に沿っている。
【0023】
そして、最初の切り出し線に沿って切断するとともに、握り飯用包装材原反1の側辺であった辺Aと辺Bを相互に合わせるように曲げて筒を形成し、この筒の中に握り飯xを包む。辺Aと辺Bを合掌合わせにして熱圧着等により接続して背張り部を形成する。さらに、辺Cと辺Dによりそれぞれ形成される筒の端部も熱圧着等により封止する。こうして、ピロー包装体が形成され、その中に握り飯xが収納され、包装握り飯ができる。
【0024】
本例では、既に米飯に海苔が巻かれた握り飯、あるいは調味料で味付けされたような海苔なし握り飯などに使用するのが適している。
【0025】
図4は包装握り飯の第1の例を示す斜視図であり、上述の包装材および包装方法で作られる包装握り飯の例を示している。握り飯xは相互に平行な第1面x1と第2面x2、および、第1面x1と第2面x2の間に形成される底面x3を有する。本例では、第1面x1と第2面x2は略長方形であり、側辺部には若干の丸みがある。全体として長方形の板状の握り飯である。この第1面x1と第2面x2には既に海苔が巻かれている。海苔の中に米飯があり、その米飯の中には肉や野菜などの具材が入っている。底面x3およびそれに平行な天面x4には海苔は巻かれておらず、この面には米飯とともに具材も表れている。
【0026】
包装材は略長方形の袋状となっており、長方形の第1面x1または第2面x2に沿って背張り21が水平に形成されている。包装材は方向性プラスチックフィルムを素材としており、その亀裂進行方向は底面x3においては厚さ方向に沿っており、第1面x1および第2面x2においては高さ方向に沿っている。そして、ハーフカット部3は底面x3の厚さ方向に沿っているので、亀裂進行方向に沿っていることになる。また、ハーフカット部3は底面x3の長さ方向においてほぼ中央に位置する。
【0027】
この包装握り飯の開封方法について説明する。包装材の両側部を持って、左右に広げるように引っ張ることにより開封する。特に、下側の隅部付近を摘まんで引っ張ると開きやすい。この引っ張り力が加わると、まず、底面x3にあるハーフカット部3が切り開かれる。本発明ではハーフカット部3は短いので適切な深さに正確に形成することができ、開封時以外に何らかの理由で加わるような弱い力では開かず、開封しようとしてある程度以上の力を加えると簡単に切り開かれる。こうして、底面x3の中央部が左右に分離される。
【0028】
ハーフカット部3が全て切り開かれると、亀裂は第1面x1および第2面x2の中央の下端に進行する。さらに、引っ張り続けると亀裂は第1面x1および第2面x2を上向きに進行する。第1面x1および第2面x2において亀裂進行方向は高さ方向に沿っているので、亀裂はほぼ真上に向いて進行する。こうして、包装材の底面側は大きく開口され、握り飯xが露出し、食べることができる。
【0029】
ついで、この発明の第2の実施形態について説明する。
図5は握り飯用包装材の例を示す平面図、
図6は同底面図、
図7は同A−A断面図である。この握り飯用包装材1は、略長方形状の外面シート2と、外面シート2に対向する内面シート4と、外面シート2と内面シート4との間に入れられた海苔シート5を有する。これは、海苔の巻かれていない握り飯を包装し、開封して包装材を取り除いた後に海苔が巻かれた状態の握り飯ができるようにしたものであり、このような種類の握り飯用包装材は既に普及している。外面シート2は1枚のシートでできている。一方、内面シート4は2枚のシート4a,4bからできていて、この2枚のシート4a,4bは所定の幅で重なり合っているが、この重なり部は接着されていない。また、外面シート2の四辺に沿って外面シート2と内面シート4の縁部が接続されている。
【0030】
そして、外面シート2は特定の方向に亀裂が進行する方向性プラスチックフィルムを素材としている。亀裂進行方向は外面シート2の長手方向に沿っている。そそして、外面シート2の中心付近には、亀裂進行方向に沿ってハーフカット部3が設けられている。ハーフカット部3の長さは包装される握り飯の厚さに相当する。また、このハーフカットは外面シート2の外側の面に形成される。
【0031】
なお、外面シート2および内面シート4は完全な長方形でなくてもよく、例えば、4隅の角部が切り取られ、包装において折り重なりが小さくなるようにしてもよい。
【0032】
次に、この例の握り飯用包装材を使用した握り飯の包装方法について説明する。
図8は握り飯用包装材に握り飯本体をのせた状態を示す斜視図である。握り飯用包装材1は内面シート4が上になるように置かれている。そして、この握り飯用包装材1の中央部に海苔が握り飯本体xをのせる。
【0033】
本例で包装される握り飯は三角おにぎりである。握り飯は相互に平行な略三角形の第1面x1と第2面x2、および、第1面x1と第2面x2の間に形成される底面x3を有する。握り飯本体xには海苔が巻かれていない。
【0034】
ハーフカット部3に沿った向きに握り飯本体xの厚さ方向を合わせ、ハーフカット部3のある位置に握り飯本体xの底面x3を載せる。ついで、握り飯本体xの形状に沿って、握り飯用包装材1を折り畳みながら握り飯本体xを包む。折り重なり部の上に粘着テープやシールを張り付ける。こうして、三角おにぎりがほぼ包装される。三角形の3つの角部には、包装材の折り重なり部が突き出たような耳部が形成される。
【0035】
そして、下側の2つの耳部31を熱溶着などにより封止する。さらに、頂点部の耳部32も熱溶着などにより封止する。
【0036】
三角形の下部の2つの耳部31では、封止部を形成することに特に問題はない。一方、頂点部の耳部32においては、従来の包装三角おにぎりでは、カットテープの先端部があることより、封止部を設けることができなかった。シールや粘着テープなどを頂点部に貼り付けるとカットテープの先端部をつかむことができなくなり、包装部材の開封ができなくなるからである。しかし、この発明の握り飯用包装材および包装握り飯ではカットテープは使用されておらず、頂点部の耳部32に封止部33を作ることに妨げとなるようなものはない。
【0037】
こうして、頂点部の耳部32には封止部33が設けられているので、頂点部から虫などの異物が進入することが防止され、衛生的である。
【0038】
図9は包装握り飯の第2の例を示す斜視図である。上述の通り、
図5〜7に示す握り飯用包装材および
図8で示す包装方法で作られる包装握り飯の例を示している。
【0039】
包装材1は方向性プラスチックフィルムを素材としており、その亀裂進行方向は底面x3においては厚さ方向に沿っており、第1面x1および第2面x2においては高さ方向に沿っている。そして、ハーフカット部3は底面x3の厚さ方向に沿っているので、亀裂進行方向に沿っている
【0040】
次に、この包装握り飯30の開封について説明する。開封は、包装材を左右に引っ張るだけで行うことができる。例えば、下辺の両角部の耳部32など包装部材のつかみやすいところを持って、左右に引っ張る。この引っ張り力が加わると、まず、底面x3にあるハーフカット部3が切り開かれる。こうして、底面x3の中央部が左右に分離される。
【0041】
ハーフカット部3が全て切り開かれると、亀裂は第1面x1および第2面x2の底辺中央に進行する。さらに、引っ張り続けると亀裂は第1面x1および第2面x2を上向きに進行する。第1面x1および第2面x2において亀裂進行方向は高さ方向に沿っているので、亀裂は頂点部に向かってほぼ真上に進行する。
【0042】
また、内面シート4も左右に分かれる。そのまま引っ張り続けると、内面シート4は外面シートとともに取り外され、海苔4に包まれた状態の三角おにぎりが現れる。
【0043】
従来の包装三角おにぎりでは、カットテープを引いて外部フィルムを切断する作業と、包装部材を左右に引いて取り除く作業の2段階が必要であった。しかし、この発明の包装三角おにぎりでは、包装材を左右に引く、という一つの作業だけで開封することができる。
【符号の説明】
【0044】
1.握り飯用包装材
2.包装シート(外面シート)
3.ハーフカット部
4.内面シート
5.海苔シート
10.握り飯用包装材原反
11.連続シート
20.包装握り飯
21.背張り部
30.包装握り飯
31.下側の耳部
32.下頂点の耳部
33.封止部
x.握り飯