(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記燃料ガス流通管は、前記枠体外における前記板状体に貫通して設けられた第2の貫通孔を挿通しており、該第2の貫通孔において前記燃料ガス流通管が前記板状体と接合されている
ことを特徴とする請求項6に記載のセルスタック装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1〜14を用いて、セルスタック装置、モジュール及びモジュール収容装置について説明する。なお、セルとは燃料電池セル、電解セルの双方を含むことを意味する。また、セルスタック装置とは燃料電池セルスタック装置、電解セルスタック装置の双方を含むことを意味する。また、モジュールとは燃料電池モジュール、電解モジュールの双方を含むことを意味する。また、モジュール収容装置とは燃料電池装置、電解装置の双方を含むことを意味する。
【0010】
図1は、燃料電池セルを用いてなる本実施形態の燃料電池モジュールの一例を示す外観斜視図であり、
図2(a)は
図1に示す燃料電池セルスタック装置の側面側の断面図であり、
図2(b)は正面側の断面図であってセルスタックと第1のマニホールドとの接合部の拡大断面図である。なお、以降の図において同一の部材については同一の番号を付するものとする。また、
図2(a)は一部ハッチングを省略している。
【0011】
図1に示す燃料電池モジュール1においては、収納容器2の内部に、内部を燃料ガスが一端から他端に流通するガス流路(図示せず)を有する燃料電池セル3を立設させた状態で一列に配列し、隣接する燃料電池セル3間が導電部材(
図1においては図示せず)を介して電気的に直列に接続されているとともに、燃料電池セル3の下端をガラスシール材等の絶縁性接着材(図示せず)で第1のマニホールド4に固定してなるセルスタック5を1つ備える燃料電池セルスタック装置12を収納してなる。
【0012】
また、セルスタック5の上方には、燃料電池セル3に供給する燃料ガスを生成するための改質器6が配置されている。なお、セルスタック5の端部には、セルスタック5(燃料電池セル3)の発電により生じた電気を集電して外部に引き出すための、導電部20を有する端部導電部材19が配置されている。
【0013】
なお、燃料電池セルスタック装置12を、改質器6を含むものとすることもできる。
【0014】
また、後述するが、第1のマニホールド4は、枠体4aと板状体4bで形成される空間に、燃料電池セル3に供給する燃料ガスを貯留している。
【0015】
また、
図1においては、燃料電池セル3として、内部を燃料ガスが長手方向に流通する燃料ガス流路を複数有する中空平板型で、燃料ガス流路を有する支持体の表面に、内側電極層、固体電解質層及び外側電極層を順に積層してなる固体酸化物形の燃料電池セル3を例示している。燃料電池セル3の構成については後述する。
【0016】
また、本実施形態の燃料電池装置においては、燃料電池セル3は、例えば平板型や円筒型とすることもでき、あわせて収納容器2の形状も適宜変更することができる。
【0017】
また、
図1に示す改質器6においては、原燃料供給管10を介して供給される天然ガスや灯油等の原燃料を改質して燃料ガスを生成する。なお、改質器6は、効率のよい改質反応である水蒸気改質を行うことができる構造とすることが好ましく、水を気化させるための気化部7と、原燃料を燃料ガスに改質するための改質触媒(図示せず)が配置された改質部8とを備えている。そして、改質器6で生成された燃料ガスは、燃料ガス流通管9を介して第1のマニホールド4に供給され、第1のマニホールド4より燃料電池セル3の内部に設けられた燃料ガス流路に供給される。
【0018】
また
図1においては、収納容器2の一部(前後面)を取り外し、内部に収納される燃料電池セルスタック装置12を後方に取り出した状態を示している。ここで、
図1に示した燃料電池モジュール1においては、燃料電池セルスタック装置12を、収納容器2内にスライドして収納することが可能である。
【0019】
また、上述の構成の燃料電池モジュール1においては、燃料電池セル3における燃料ガス流路より排出される発電に使用されなかった燃料ガスと酸素含有ガスとを燃料電池セル3の上端と改質器6との間で燃焼させることにより、燃料電池セル3の温度を上昇・維持させることができる。あわせて、燃料電池セル3(セルスタック5)の上方に配置された改質器6を温めることができ、改質器6で効率よく改質反応を行なうことができる。なお、通常発電時においては、上記燃焼や燃料電池セル3の発電に伴い、燃料電池モジュール1内の温度は500〜1000℃程度となる。
【0020】
図3は、本実施形態の燃料電池セルスタック装置の一部を抜粋して示す断面図である。
【0021】
図2、
図3に示すように、燃料電池セル3の一端(
図3における下側の端部)は枠体4aで囲まれており、枠体4aの内側に充填されたシール材13で燃料電池セル3の一端の外周が固定されている。つまり、セルスタック5は、枠体4aの内側に複数の燃料電池セル3を一列に並べ、各燃料電池セル3を、導電部材18aを介して接続して収容し、シール材13で枠体4aに接着されている。なお、この枠体4aの内側が固定部となる。また、シール材13は、耐熱性かつ絶縁性を有している材料を用いることが好ましく、例えばガラス等を用いることができる。
【0022】
セルスタック5の燃料電池セル3の配列方向における最も外側に位置する燃料電池セル3には、当該燃料電池セル3の外側に配置された導電部材18bを介して端部導電部材19が接続されている。
【0023】
ここで、端部導電部材19は、平板形状を有していてもよい。これによって、端部導電部材19は、広い面積で、導電部材18bから電流を取り出すことができるとともに、燃料電池セル3の変形を抑えることができる。
【0024】
また、端部導電部材19は、その一端(下端)が導電部材18bの下端以下に位置しており、その他端(上端)が導電部材18bの上端以上に位置していてもよい。これによって、端部導電部材19は、導電部材18bと広い接触面積で接続されることとなる。従って、端部導電部材19は、広い面積で、導電部材18bから電流を取り出すことができる。
【0025】
端部導電部材19は、セルスタック5の外側に突出する導電部20を有している。この導電部20は、第1のマニホールド4と離間している。なお、図には示していないが、端部導電部材19の外側に、セルスタック5の周囲に配置された断熱材との接触や外部からの衝撃に対して、端部導電部材19及びセルスタック5を保護する目的で、保護カバーを設けてもよい。
【0026】
この構成の組立てにおいては、セルスタック5の一端をシール材13で枠体4aに接着し、その後で別途、枠体4aを板状体4bに接合することが可能である。
【0027】
以下、セルスタック装置12を構成する燃料電池セル3について説明する。
【0028】
燃料電池セル3は、
図3に示すように、一対の対向する平坦面をもつ柱状の導電性支持基板21(以下、支持基板21と略す場合がある)の一方の平坦面上に内側電極層22、固体電解質層23及び外側電極層24を順次積層してなる柱状(中空平板状等)からなる。この導電性支持基板21には、内部をガス流れるガス流路27が設けられており、
図3においては6つのガス流路が設けられた例を示している。
図3に示す例においては、内側電極層22を燃料側電極層とし、外側電極層24を空気側電極層として説明する。なお、内側電極層22を空気側電極層とし、外側電極層23を燃料側電極層として、ガス流路27に酸素含有ガスを流す構成の燃料電池セル3としてもよい。また、支持基板は燃料側電極層を兼ねるものとし、その表面に固体電解質層及び空気側電極層を順次積層してセルを構成することもできる。
【0029】
また、燃料電池セル3の他方の平坦面上にはインターコネクタ25が設けられており、インターコネクタ25の外面(上面)にはP型半導体層26が設けられている。P型半導体層26を介して、導電部材18aをインターコネクタ25に接続させることにより、両者の接触がオーム接触となり、電位降下を少なくし集電性能の低下を有効に回避することが可能となる。
【0030】
燃料側電極層22は、一般的に公知のものを使用することができ、多孔質の導電性セラミックス、例えば希土類元素酸化物が固溶しているZrO
2(安定化ジルコニアと称し、部分安定化も含むものとする)とNi及び/又はNiOとから形成することができる。
【0031】
固体電解質層23は、燃料側電極層22、空気側電極層24間の電子の橋渡しをする電解質としての機能を有していると同時に、燃料ガスと酸素含有ガスとのリークを防止するためにガス遮断性を有することが必要とされ、3〜15モル%の希土類元素酸化物が固溶したZrO
2から形成される。なお、上記特性を有する限りにおいては、他の材料等を用いて形成してもよい。
【0032】
空気側電極層24は、一般的に用いられるものであれば特に制限はなく、例えば、いわゆるABO
3型のペロブスカイト型酸化物からなる導電性セラミックスから形成することができる。空気側電極層24はガス透過性を有していることが必要であり、開気孔率が20〜50%の範囲にあることが好ましい。
【0033】
支持基板21としては、燃料ガスを燃料側電極層22まで透過するためにガス透過性であること、さらには、インターコネクタ25を介して集電するために導電性であることが要求される。したがって、支持基板21としては、導電性セラミックスやサーメット等を用いることができる。セル3を作製するにあたり、燃料側電極層22又は固体電解質層23との同時焼成により支持基板21を作製する場合においては、鉄族金属成分と特定希土類酸化物とから支持基板21を形成してもよい。また、
図3に示した燃料電池セル3において、柱状(中空平板状)の支持基板21は、立設方向に細長く延びる板状片であり、平坦な両面と半円形状の両側面を有する。また、支持基板21は、ガス透過性を備えるために開気孔率が30%以上、特に35〜50%の範囲にあるのが好適であり、そしてまたその導電率は300S/cm以上、特に440S/cm以上であるのが好ましい。また、支持基板21の形状は柱状であればよく、円筒状であってもよい。
【0034】
P型半導体層26としては、遷移金属ペロブスカイト型酸化物からなる層を例示することができる。具体的には、インターコネクタ25を構成する材料よりも電子伝導性が大きいもの、例えば、BサイトにMn、Fe、Coなどが存在するLaMnO
3系酸化物、LaFeO
3系酸化物、LaCoO
3系酸化物などの少なくとも一種からなるP型半導体セラミックスを使用することができる。このようなP型半導体層26の厚みは、一般に、30〜100μmの範囲にあることが好ましい。
【0035】
インターコネクタ25は、ランタンクロマイト系のペロブスカイト型酸化物(LaCrO
3系酸化物)、もしくは、ランタンストロンチウムチタン系のペロブスカイト型酸化物(LaSrTiO
3系酸化物)が好適に使用される。これらの材料は、導電性を有し、かつ燃料ガス(水素含有ガス)及び酸素含有ガス(空気等)と接触しても還元も酸化もされない。また、インターコネクタ25は支持基板21に形成されたガス流路27を流通する燃料ガス、及び支持基板21の外側を流通する酸素含有ガスのリークを防止するために緻密質でなければならず、93%以上、特に95%以上の相対密度を有していることが好ましい。
【0036】
そして、燃料電池セル3を電気的に接続するために介装される導電部材18a、セルスタックの最も外側に位置する導電部材18b及び端部導電部材19は、弾性を有する金属又は合金からなる部材あるいは金属繊維又は合金繊維から成るフェルトに所要の表面処理を加えた部材から構成することができる。
【0037】
ところで、燃料電池セルスタック装置における各燃料電池セルには、燃料ガスが供給され、電解装置における各電解セルには、水蒸気が供給される。これらの燃料電池セル又は電解セルは、燃料ガスや水蒸気を燃料電池セル又は電解セルに供給するためのマニホールドに、シール材を介して固定されている。しかしながら、マニホールドにセルスタックをシール材で接合する工程においては高い温度環境下となるため、マニホールドは熱膨張する。そして、この接合工程後に冷却されることによって、一度熱膨張したマニホールドが熱収縮する。その際に、例えばマニホールドにおける枠体が接合された部材が箱型形状のガスケースである場合には、このガスケースの剛性が比較的高いため、ガスケースの熱収縮によって枠体に発生する収縮の応力が大きくなりやすかった。それに伴って、セルスタックのうち特に燃料電池セルの配列方向の両端部における燃料電池セルとシール材との接合部には高い応力が加わるため、シール材にクラックが生じる場合があり、ガスが漏れる可能性があった。従って、このシール材のクラックを抑制することができ、長期信頼性が向上したセルスタック装置、それを備えるモジュールおよびモジュール収容装置が求められていた。
【0038】
それゆえ、本実施形態のセルスタック装置12においては、
図2に示すように、第1のマニホールド4は、内側においてシール材13によって燃料電池セル3の一端を固定している枠体4aと、枠体4aの一端部に接合されており枠体4aより剛性が低い板状体4bと、を有している構成としている。この構成によれば、
図4に示すように剛性が低い板状体4bが変形することによって、第1のマニホールド4の熱収縮による応力を板状体4bで緩和することができる。よって、燃料電池セル3のシール材13との接合部にかかる応力を低減することができるので、燃料電池セル3を接合するシール材13にクラックが生じることを抑制でき、ガスが漏れることを抑制することができる。
【0039】
なおここでいう「剛性」とは、曲げ剛性を意味する。曲げ剛性は下記の関係式で求めることができる。
【0040】
剛性(曲げ剛性)=E×I/L
E:ヤング率
I:断面二次モーメント
L:各部材のセルの配列方向の長さ
図2に示す例においては、枠体4aの上端が、枠体4aの内側に向かって湾曲している。この湾曲した端部における内部空間側が燃料電池セル3との接合部となる。
【0041】
なお、この例に限らず、枠体4aの上端は湾曲していなくてもよい。例えば、枠体4aは筒形状であってもよい。このように枠体4aが筒形状である場合には、枠体4aの上端部における内部領域がセルスタック5との接合部となる。
【0042】
また、
図1に示す例のように、燃料ガス流通管9のガス出口側の端部が枠体4aの側面に接合されている。これにより燃料ガス流通管9から燃料ガスが第1のマニホールド4の内部空間に供給される。なお、燃料ガス流通管9のガス出口側の端部は、板状体4bの底面である第2面n2に接合されていてもよい。なお、以降の説明において、板状体4bの枠体4aが接合されている側の面を第1面n1とし、当該第1面と反対側の面を第2面n2とする。
【0043】
図1、
図2に示す例においては、板状体4bは平面視で略長方形状である。また、枠体4a及びセルスタック5を支持するという観点から、平面視において、板状体4bの外縁は枠体4a及びセルスタック5よりも外側に位置している。また、
図1、
図2に示す例において、板状体4bは平坦な面を有しているが、後述するように、板状体4bとは溝やセルスタック5側に曲がった周縁部を有するものも含むものとする。
【0044】
また、
図2に示す例においては、枠体4aの一端部である下端部は、接合材15によって板状体4bの第1面n1に接合されている。この接合材15は、耐熱性を有している材料を用いることが好ましく、例えばガラス等を用いることができる。
【0045】
図2に示す例においては、接合材15は枠体4aの下端部において、枠体4aの外側表面及び内側表面に沿って環状に設けられている。また、接合材15は枠体4aの下端部と、板状体4bの第1面n1との間に挟まっていてもよい。
【0046】
また、
図2に示す例においては、枠体4a及び板状体4bが接合材15で接合されているが、枠体4a及び板状体4bは、例えば溶接等の接合材を用いない方法で接合されていてもよい。
【0047】
第1のマニホールド4を構成する枠体4a及び板状体4bの材料は、耐熱性及び耐腐食性を有する金属材料を用いることが好ましく、例えばフェライト系のステンレス等を用いることができる。
【0048】
図4は本実施形態のセルスタック装置の他の一例を示す側面側の断面図である。
図4に示す例においては、板状体4bはセルスタック5側に湾曲している。この構成によれば、板状体4bはさらに変形しやすくなるので、第1のマニホールド4の熱収縮による応力をより緩和することができる。よって、よりシール材13との接合部にかかる応力を低減し、ガスが漏れることを抑制することができる。
【0049】
図5(a)は、本実施形態の燃料電池セルスタック装置のさらに他の一例を示す、正面側の断面図であってセルスタックと第1のマニホールドとの接合部の拡大断面図であり、
図5(b)は
図5(a)で示した板状体の平面図である。なお、
図5(b)における斜線部は、第1の溝16aを示している。
【0050】
図5に示す例においては、板状体4bの第1面n1に環状の第1の溝16aが設けられており、枠体4aの一端部が、第1の溝16aの内部に接合材15により接合されている。この構成により、枠体4aの一端部における内側表面及び外側表面には、枠体4aの一端部に沿って接合材15の溜まり部が環状に設けられることとなる。従って、枠体4aを板状体4bに強固に接合することができる。よって、ガスが漏れることを抑制することができる。
【0051】
また、板状体4bの第1面n1に環状の第1の溝16aが設けられている構成は、言いかえれば、板状体4bの中央領域がセルスタック5側に突出している。よって、板状体4bの第2面n2側には第1の溝16aで囲まれた空間が設けられている。この構成によって、
図1に示すように、燃料電池セルスタック装置12を収納容器2内部に載置した際に、収納容器2内部の底面と板状体4bの第2面n2との間に空間が形成されることとなる。従って、第1のマニホールド4内部の温度が板状体4bを経由して収納容器2に放熱されることを抑制することができる。これにより、燃料電池セル3の発電時に必要な熱を失うことを防ぐことができるので、発電効率を向上させることができる。
【0052】
図6(a)は、本実施形態の燃料電池セルスタック装置のさらに他の一例を示す、正面側の断面図であって、セルスタックと第1のマニホールドとの接合部の拡大断面図であり、
図6(b)は
図6(a)で示した板状体の平面図である。なお、
図6(b)における斜線部は、第1の溝16a及び第2の溝16bを示している。
【0053】
図6に示す例においては、平面視で、板状体4bは第1の溝16aよりも内側にセル3の配列方向に延びる第2の溝16bを備えている。言い換えれば、板状体4bは、第1面n1における第1の溝16aに囲まれた領域に、セル3の配列方向に延びる第2の溝16bを備えている。この構成により、燃料ガス流通管9からマニホールド4内に流出した燃料ガスを、セルスタック5の端部のセル3まで効率よく流すことができる。これにより、発電効率を向上させることができる。
【0054】
第2の溝16bの深さは適宜設定可能であり、第1の溝16aと同程度の深さとしてもよい。また、第2の溝16bが複数設けられていてもよい。なお、一つの第2の溝16bの長さは、セル3の配列方向におけるセルスタック全長の4分の1以上であってもよい。
【0055】
なお、板状体4aの第1の溝16a又は第2の溝16bの深さを制御することにより、板状体4aの剛性を調整することができる。
【0056】
図7は、本実施形態の燃料電池セルスタック装置のさらに他の一例を示す、正面側の断面図であってセルスタックと第1のマニホールドとの接合部の拡大断面図である。
【0057】
図7に示す例においては、板状体4bは、周縁部17がセルスタック5側に曲がっており、枠体4aの一端部が接合材により板状体4bに接合されているとともに、接合材が枠体4a内であって、板状体4b側に設けられている。この構成により、第1のマニホールド4の内部空間においては、板状体4bの第1面n1が接合材15で覆われた構成となるため、第1のマニホールド4内部の温度が接合材15で断熱されることにより板状体4bを経由して外部に放熱されることを防ぐことができる。これにより、燃料電池セル3の発電時に必要な熱を失うことを防ぐことができるので、発電効率を向上させることができる。
【0058】
図8(a)は本実施形態のさらに他の一例を示す燃料電池セルスタック装置の外観斜視図であり、(b)は(a)で示したスタック装置の一部を省略した平面図である。
図9は、
図8に示す燃料電池セルスタック装置の一部を拡大した断面図である。
【0059】
図8及び
図9で示す燃料電池セルスタック装置121は、第1のマニホールド4の上方に配置された改質器6と、改質器6から第1のマニホールド4に燃料ガスを流通するための燃料ガス流通管9を備えている。燃料ガス流通管9の一端は、平面視で枠体内であって、板状体4aを貫通して設けられた第1の貫通孔29aと第2面n2側より接続されている。そして、第1のマニホールド4は、燃料ガス流通管9の一端と離間してかつ該一端を覆う整流板28を有している。この構成により、板状体4aに接続された燃料ガス流通管9から第1のマニホールド4内に流出した燃料ガスを、燃料ガス流通管9から比較的離れて配置されたセル3まで効率よく流すことができる。それにより、発電効率を向上させることができる。
【0060】
なお、燃料ガス流通管9の一端は、第1の貫通孔29aと接続されていればよく、たとえば第1の貫通孔29aの第1面n1側、第2面n2側、また貫通孔29a内のいずれに接続されていてもよい。
【0061】
また、整流板28は、第1のマニホールド4における板状体4aに設けられていてもよく、枠体4bに設けられていてもよい。また、流配分率向上のため、整流板28は、第1の貫通孔から流出する燃料ガスの流出方向に対し垂直に設けられていてもよい。また、整流板28は開口部を有している。開口部は、セルスタック5のうち整流板28から離れた端部のセル3に向かって燃料ガスが流出するように設けられていてもよい。
【0062】
また、
図8及び
図9で示す燃料電池セルスタック装置121における燃料ガス流通管9は、枠体4b外における板状体4aに貫通して設けられた第2の貫通孔29bを挿通しており、該第2の貫通孔29bにおいて燃料ガス流通管9が板状体4aと接合されている。この構成により、燃料ガス流通管9と板状体4aとの接合点を増やすことができるため、板状体4aが変形した場合であっても、板状体4aの第1の貫通孔29aに接続されている燃料ガス流通管9の一端に印加される応力を分散することができる。すなわち、燃料電池セルスタック装置121の長期信頼性を向上することができる。なお、燃料ガス流通管9は、第2の貫通孔29bにおいて、第1面n1側や第2面n2側にて接合することができる。
【0063】
なお、「第2の貫通孔29b」とは、板状体4aの平面視において、板状体4aの縁部に設けられ、一部が開口している場合も含むものとする。
【0064】
図10は、燃料電池セルを用いてなる本実施形態の燃料電池セルスタック装置の他の例を備える燃料電池モジュールを示す外観斜視図である。
図11は、
図10に示す燃料電池セルスタック装置の正面側の断面図であってセルスタックと第1のマニホールドとの接合部の拡大断面図である。なお、
図10においては、端部導電部材及び導電部を省略している。
【0065】
図10、11に示す例においては、2つのセルスタック5が、シール材13で第1のマニホールド4に接合されている。
【0066】
図10に示す例のように、セルスタック5が2つある場合には、燃料ガス流通管9は、出口側の端部が2つの管に分岐している。この枝分かれした2つの端部が、それぞれのセルスタック5が接合された枠体4aに接合されている。この構成によって、燃料ガス流通管9は、燃料ガスをそれぞれの枠体4aに供給することができる。なお、燃料ガス流通管9は2つの管に分岐していれば、どの部位で分岐してもよい。
【0067】
また、収納容器2の内部には、第1のマニホールド4に並置されたセルスタック5の間に配置され、酸素含有ガスが燃料電池セル3の側方を下端部から上端部に向けて流れるように、酸素含有ガス導入部材11が配置されている。
【0068】
なお、
図11に示すように、セルスタック5を2つ備える場合には、1つの板状体4bに2つの枠体4aが接合されている。
【0069】
また、
図11に開示した構成では板状体4bは、
図2に示す板状体4bに相当するが、
図5、
図6又は
図7で開示した板状体4bのように第1の溝16a、第2の溝16b又はセルスタック5側に曲がった周縁部17を有していてもよい。
【0070】
また、
図8又は
図9で開示した燃料電池セルスタック装置121のように、第1のマニホールド4に第1の貫通孔29a、第2の貫通孔29b又は整流板28を有していてもよい。なお、燃料ガス供給管9が分岐している場合は、分岐した2つの管に対応するように2つの第2の貫通孔29bを有していてもよい。
【0071】
図12は、本実施形態の電解セルスタック装置の一例を示す外観斜視図である。
図13(a)は、
図12に示す電解セルスタック装置の側面側の断面図であり、
図13(b)は
図13(a)で示す破線部分を抜粋して示す断面図である。なお、
図13(a)は一部ハッチングを省略している。
【0072】
図12は、内部をガスが一端から他端に流通するガス流路(図示せず)を有する電解セル30を立設させた状態で一列に配列し、隣接する電解セル30間がセル間導電部材(
図12においては図示せず)を介して電気的に直列に接続されたセルスタック5を備える電解セルスタック装置51を示す。
【0073】
図12、
図13に示すように、電解セル30の他端(上端)がシール材13にて第2のマニホールド14に固定されており、この第2のマニホールド14は、電解セル30より排出されるガスを回収する。
【0074】
また、
図12、
図13に示す例においては、第2のマニホールド14も、第1のマニホールド4と同様に、内側においてシール材13によって電解セル30の他端を固定している枠体14aと、この枠体14aの一端部に接合されており、枠体14aより剛性が低い板状体14bと、を有していてもよい。この構成によれば、第2のマニホールド14側においても、シール材13のクラックを抑制することができる。
【0075】
第2のマニホールド14を構成する枠体14a及び板状体14bは、前述した第1のマニホールド4を構成する枠体4a及び板状体4bを構成する構造や材料と同一であってよい。
【0076】
なお、第1のマニホールド4には水蒸気を供給する水蒸気供給管31が接続されており、第2のマニホールド14には水素含有ガスを回収する水素回収管32が接続されている。
【0077】
上述した電解セルスタック装置51において、ガス流路に水蒸気を含むガスを流して、電圧を与えることにより水素含有ガスを生成することができ、第1のマニホールド4が高温の水蒸気を供給するための供給部となり、第2のマニホールド14が生成された水素を回収するための回収部となる。
【0078】
ちなみに、上述の第1のマニホールド4と第2のマニホールド14とは逆の構成、すなわち、第1のマニホールド4を生成された水素を回収するための回収部とし、第2のマニホールド14を高温の水蒸気を供給するための供給部としてもよい。
【0079】
なお、
図13(b)に示す電解セル30は、上述した
図1〜11で示した燃料電池セル3と同じ構成とすることができる。
【0080】
また、
図12、
図13に開示した構成では板状体14bは、
図2で示した板状体4bに相当するが、
図4、
図5、
図6又は
図7で開示した板状体4bのように、セルスタック5側に湾曲していたり、溝16やセルスタック5側に曲がった周縁部17を有していたりしてもよい。
【0081】
図4に示すように板状体14bがセルスタック5側に湾曲している構成によれば、前述した通り、さらに変形しやすくなりシール材15のクラックを抑制することができる。
【0082】
また、
図5、
図7に示すように板状体14bが第1の溝16aや周縁部17を有している構成によれば、枠体14aを板状体14bに強固に接合することができる。
【0083】
また、
図6に示すように板状体14bが第2の溝16bを有している構成によれば、板状体14bの電解セル配列方向の端部に水蒸気回収管32が配置されている場合に、電解セル30から流出した水素をより効率的に回収することができる。
【0084】
また、
図12、
図13に示す例は、電解セルスタック装置を用いて説明したが、
図12、
図13に示す例を、燃料電池セルスタック装置として用いてもよい。この場合には、例えば、第1マニホールド4に燃料ガスを供給し、第2マニホールド14が排ガスを回収するオフガスリサイクルタイプの燃料電池セルスタック装置とすることができる。また、この場合には、導電部20から電流を取り出すようにすればよい。
【0085】
図14は、外装ケース内に
図1で示した燃料電池モジュール1と、燃料電池モジュール1を動作させるための補機(図示せず)とを収納してなる本実施形態の燃料電池装置の一例を示す分解斜視図である。なお、
図14においては一部構成を省略して示している。
【0086】
図14に示す燃料電池装置40は、支柱41と外装板42から構成される外装ケース内を仕切板43により上下に区画し、その上方側を上述した燃料電池モジュール1を収納するモジュール収納室44とし、下方側を燃料電池モジュール1を動作させるための補機を収納する補機収納室45として構成されている。なお、補機収納室45に収納する補機を省略して示している。
【0087】
また、仕切板43には、補機収納室45の空気をモジュール収納室44側に流すための空気流通口46が設けられており、モジュール収納室44を構成する外装板42の一部に、モジュール収納室44内の空気を排気するための排気口47が設けられている。
【0088】
このような燃料電池装置40においては、上述したように、長期信頼性の向上した燃料電池モジュール1をモジュール収納室44に収納し、燃料電池モジュール1を動作させるための補機を補機収納室45に収納して構成されることにより、長期信頼性の向上した燃料電池装置40とすることができる。
【0089】
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、改良等が可能である。
【0090】
上述の例ではいわゆる縦縞型と呼ばれるセル3を用いて説明したが、一般に横縞型と呼ばれる複数の発電素子部又は電解素子部を支持体上に設けてなる横縞型のセルを用いることもできる。