特許第6419405号(P6419405)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6419405
(24)【登録日】2018年10月19日
(45)【発行日】2018年11月7日
(54)【発明の名称】サーマルヘッドおよびサーマルプリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/335 20060101AFI20181029BHJP
【FI】
   B41J2/335 101F
【請求項の数】14
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-541235(P2018-541235)
(86)(22)【出願日】2018年3月29日
(86)【国際出願番号】JP2018013297
【審査請求日】2018年8月6日
(31)【優先権主張番号】特願2017-65411(P2017-65411)
(32)【優先日】2017年3月29日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】元 洋一
【審査官】 佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−116065(JP,A)
【文献】 特開2010−173136(JP,A)
【文献】 特開平10−272797(JP,A)
【文献】 特開2013−202796(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/104479(WO,A1)
【文献】 特開2006−335002(JP,A)
【文献】 特開2000−255089(JP,A)
【文献】 特開平7−186428(JP,A)
【文献】 国際公開第99/046128(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/335
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に位置する発熱部と、
前記基板上に位置し、前記発熱部に繋がる電極と、
平面視して、前記電極の少なくとも一部を被覆する被覆層と、
前記被覆層上に位置する被覆部材と、を備え、
前記被覆層は、上面と、前記発熱部側に位置する側面とを有しており、
前記側面の算術表面粗さRaが、前記上面の算術表面粗さRaよりも大きいことを特徴とするサーマルヘッド。
【請求項2】
前記側面の最大高さRzが、前記上面の最大高さRzよりも大きい、請求項1に記載のサーマルヘッド。
【請求項3】
前記上面の平均長さRSmが、前記側面の平均長さRSmよりも小さい、請求項1または2に記載のサーマルヘッド。
【請求項4】
互いに離間した複数の第1凸部が、前記側面に設けられており、
互いに離間した複数の第2凸部が、前記上面に設けられており、
隣り合う前記第1凸部の間隔が、隣り合う前記第2凸部の間隔よりも小さい、請求項1または2に記載のサーマルヘッド。
【請求項5】
前記側面が、前記基板の厚み方向に対して傾斜しており、
前記側面に溝が設けられており、平面視して、前記溝が副走査方向に長い形状である、請求項4に記載のサーマルヘッド。
【請求項6】
前記基板の厚み方向および主走査方向に沿った断面において、
前記第1凸部の頂点分布の平均線が、前記側面の粗さ曲線の平均線よりも上方に位置している、請求項4または5に記載のサーマルヘッド。
【請求項7】
前記上面に、窪み部が設けられており、
前記窪み部内に、前記第2凸部を有している、請求項4から6のいずれか一項に記載のサーマルヘッド。
【請求項8】
記上面に、窪み部が設けられている、請求項1から3のいずれか一項に記載のサーマルヘッド。
【請求項9】
前記側面のスキューネスRskが、0より大きい、請求項1から8のいずれか一項に記載のサーマルヘッド。
【請求項10】
前記上面のスキューネスRskが、0より大きい、請求項9に記載のサーマルヘッド。
【請求項11】
前記側面のスキューネスRskが、前記上面のスキューネスRskよりも大きい、請求項10に記載のサーマルヘッド。
【請求項12】
前記側面のクルトシスRkuが、3より大きい、請求項1から11のいずれか一項に記載のサーマルヘッド。
【請求項13】
前記上面のクルトシスRkuが、3より小さい、請求項12に記載のサーマルヘッド。
【請求項14】
請求項1から13のうちいずれか一項に記載のサーマルヘッドと、
前記発熱部上を通過するように記録媒体を搬送する搬送機構と、
前記記録媒体を押圧するプラテンローラと、を備えることを特徴とするサーマルプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
サーマルヘッドおよびサーマルプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ファクシミリあるいはビデオプリンタ等の印画デバイスとして、種々のサーマルヘッドが提案されている。サーマルヘッドは、基板と、発熱部と、電極と、被覆層と、被覆部材と、を備えている。前記発熱部は、前記基板上に位置する。前記電極は、前記基板上に位置し、前記発熱部に繋がる。前記被覆層は、平面視して、前記電極の少なくとも一部を被覆する。そして、前記被覆部材は、前記被覆層上に位置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−220725号
【発明の概要】
【0004】
本開示のサーマルヘッドは、基板と、発熱部と、電極と、被覆層と、被覆部材と、を備える。前記発熱部は、前記基板上に位置する。前記電極は、前記基板上に位置し、前記発熱部に繋がる。前記被覆層は、平面視して、前記電極の少なくとも一部を被覆する。前記被覆部材は、前記被覆層上に位置する。また、前記被覆層は、上面と、前記発熱部側に位置する側面とを有する。また、前記側面の算術表面粗さRaが、前記上面の算術表面粗さRaよりも大きい。
【0005】
本開示のサーマルプリンタは、上記サーマルヘッドと、前記発熱部上を通過するように記録媒体を搬送する搬送機構と、前記録媒体を押圧するプラテンローラと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1の実施形態に係るサーマルヘッドの概略を示す分解斜視図である。
図2図2は、図1に示すサーマルヘッドの平面図である。
図3図3は、図2に示すIII−III線断面図である。
図4図4は、図1に示すサーマルヘッドの概略を示す平面図である。
図5図5は、図4に示すV−V線断面図である。
図6図6は、図4に示すVI−VI線の被覆層の上面の粗さ曲線を示す図である。
図7図7は、図4に示すVII−VII線の被覆層の側面の粗さ曲線を示す図である。
図8図8は、図1に示すサーマルヘッドの記録媒体の搬送状態の概略を示す図である。
図9図9は、第2の実施形態に係るサーマルヘッドを示し、被覆層の側面を拡大して示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
従来のサーマルヘッドは、電極の一部を被覆するとともに、上面および側面を有する被覆層が設けられていた。また、被覆部材が、被覆層上に位置するように設けられていた。被覆層上に被覆部材用樹脂を塗布するにあたり、被覆層の上面の算術表面粗さRaが小さいときには、被覆層の上面における被覆部材用樹脂の広がりを均一なものに近づけることができる。そして、この被覆部材用樹脂を硬化させれば、被覆部材の形状(広がり具合あるいは高さ)が安定するため、被覆部材と記録媒体との接触状態を均一化することができる。
【0008】
しかしながら、被覆層の側面の表面粗さが上面の算術表面粗さRaと同じく小さいときには、被覆層における側面と記録媒体との接触面積が増大し、記録媒体が被覆層の側面から剥離しにくかった。
【0009】
本開示のサーマルヘッドは、被覆部材と記録媒体との接触状態を均一化することができるとともに、記録媒体が被覆層の側面から剥離しやすく、記録媒体を円滑に搬送できる。以下、本開示のサーマルヘッドおよびそれを用いたサーマルプリンタについて、詳細に説明する。
【0010】
<第1の実施形態>
以下、サーマルヘッドX1について図1〜7を参照して説明する。図2では、保護層25、被覆部材29、被覆層27、フレキシブル配線基板5(以下、FPC(Flexible printed Circuits)5と称する)、およびコネクタ31を省略して一点鎖線で示している。また、図4では、わかりやすいように、被覆部材29の図示を省略している。図5では、駆動IC11の図示を省略している。
【0011】
サーマルヘッドX1は、放熱板1と、ヘッド基体3と、FPC5と、接着部材14と、コネクタ31とを備えている。なお、放熱板1、FPC5、接着部材14、およびコネクタ31は必ずしも備える必要はない。
【0012】
放熱板1は、ヘッド基体3の熱を放熱するために設けられている。ヘッド基体3は、外部から電圧が印加されることにより、記録媒体P(図5参照)に印画を行う機能を有する。接着部材14は、ヘッド基体3と放熱板1とを接着している。FPC5は、ヘッド基体3に電気的に接続されている。コネクタ31は、FPC5に電気的に接続されている。
【0013】
放熱板1は、直方体形状である。放熱板1は、例えば、銅、鉄またはアルミニウム等の金属材料で形成されており、ヘッド基体3で発生した熱のうち、印画に寄与しない熱を放熱する機能を有している。
【0014】
ヘッド基体3は、主走査方向に長く形成されており、平面視して、長方形状である。ヘッド基体3は、基板7上にサーマルヘッドX1を構成する各部材が設けられている。ヘッド基体3は、外部より供給された電気信号に従い、記録媒体Pに印画を行う。
【0015】
接着部材14は、放熱板1上に位置しており、ヘッド基体3と放熱板1とを接合している。接着部材14としては、例えば、両面テープ、あるいは樹脂性の接着剤を用いることができる。なお、両面テープおよび樹脂性の接着剤の両方を用いて、ヘッド基体3と放熱板1とを接合してもよい。
【0016】
FPC5は、ヘッド基体3に電気的に接続されており、ヘッド基体3に副走査方向に隣り合うように設けられている。FPC5にはコネクタ31が電気的に接続されている。それにより、FPC5を介して、ヘッド基体3は外部と電気的に接続される。
【0017】
コネクタ31は、複数のコネクタピン8と、ハウジング10とを有している。コネクタ31は、FPC5の下方に位置している。コネクタピン8は、FPC5の端部と電気的に接続されている。ハウジング10は、複数のコネクタピン8を収容している。
【0018】
図1〜3を用いて、ヘッド基体3およびFPC5を構成する各部材について説明する。
【0019】
ヘッド基体3は、基板7と、蓄熱層13と、電気抵抗層15と、共通電極17と、個別電極19と、接続電極21と、端子2と、導電部材23と、駆動IC(Integrated Circuit)11と、被覆部材29と、保護層25と、被覆層27とを有している。なお、これらの部材は、必ずしもすべて備えていなくてもよい。また、ヘッド基体3は、これら以外の部材を備えていてもよい。
【0020】
基板7は、放熱板1上に位置しており、平面視して、矩形状である。基板7は、第1面7fと、第2面7gとを有している。第1面7fは、第1長辺7aと、第2長辺7bと、第1短辺7cと、第2短辺7dとを有している。第2面7gは、第1面7fと反対側に位置している。第1面7f上にヘッド基体3を構成する各部材が設けられている。第2面7gは、放熱板1側に設けられており、接着部材14を介して放熱板1に接合されている。基板7は、例えば、アルミナセラミックス等の電気絶縁性材料あるいは単結晶シリコン等の半導体材料等によって形成されている。
【0021】
基板7の第1面7f上には蓄熱層13が設けられている。蓄熱層13は、下地部13aと、隆起部13bとを有している。下地部13aは、基板7の第1面7fの全面にわたって設けられている。隆起部13bは、下地部13aから基板7の上方へ向けて隆起している。言い換えれば、隆起部13bは、基板7の第1面7fから遠ざかる方向に突出している。
【0022】
隆起部13bは、基板7の第1長辺7aに隣り合うように位置し、主走査方向に沿って延びている。隆起部13bの断面が略半楕円形状である。それにより、後述する発熱部9上に形成された保護層25が、印画する記録媒体Pに良好に接触する。下地部13aの基板7からの高さは50〜160μmとすることができ、隆起部13bの下地部13aからの高さは30〜60μmとすることができる。
【0023】
蓄熱層13は、熱伝導性の低いガラスで形成されており、発熱部9で発生する熱の一部を一時的に蓄積する。そのため、発熱部9の温度を上昇させるのに要する時間を短くすることができ、サーマルヘッドX1の熱応答特性を高めることができる。
【0024】
蓄熱層13は、例えば、ガラス粉末に適当な有機溶剤を混合して得た所定のガラスペーストを従来周知のスクリーン印刷等によって基板7の第1面7fに塗布し、これを焼成することで形成される。なお、隆起部13bは、エッチングにより形成することができる。また、下地部13aを形成した後に、隆起部13bとなる部分を塗布して隆起部13bを形成してもよい。
【0025】
電気抵抗層15は、蓄熱層13の上面に設けられており、電気抵抗層15上には、共通電極17、個別電極19、および接続電極21が形成されている。共通電極17と個別電極19との間には、電気抵抗層15が露出した露出領域が形成されている。
【0026】
電気抵抗層15の露出領域は、図2に示すように、蓄熱層13の隆起部13b上に列状に位置しており、各露出領域がそれぞれ発熱部9を構成している。なお、電気抵抗層15は、各種電極と蓄熱層13との間に必ずしも設ける必要はない。例えば、共通電極17と個別電極19との間のみに設けてもよい。
【0027】
複数の発熱部9は、説明の便宜上、図2では簡略化して記載しているが、例えば、100dpi〜2400dpi(dot per inch)等の密度で位置している。電気抵抗層15は、例えば、TaN系、TaSiO系、TaSiNO系、TiSiO系、TiSiCO系またはNbSiO系等の電気抵抗の比較的高い材料によって形成されている。そのため、発熱部9に電圧が印加されたときに、ジュール発熱によって発熱部9が発熱する。
【0028】
共通電極17は、主配線部17aと、副配線部17bと、リード部17cとを備えている。共通電極17は、複数の発熱部9と、コネクタ31とを電気的に接続している。主配線部17aは、基板7の第1長辺7aに沿って延びている。副配線部17bは、基板7の第1短辺7cおよび第2短辺7dのそれぞれに沿って延びている。リード部17cは、主配線部17aから各発熱部9に向かって個別に延びている。
【0029】
複数の個別電極19は、発熱部9と駆動IC11との間を電気的に接続している。また、複数の発熱部9は、複数の群に分かれており、各群の発熱部9ごとに対応して設けられた駆動IC11が、個別電極19によって電気的に接続されている。
【0030】
複数の接続電極21は、駆動IC11とコネクタ31との間を電気的に接続している。各駆動IC11に接続された複数の接続電極21は、異なる機能を有する複数の配線で構成されている。
【0031】
これらの共通電極17、個別電極19、および接続電極21は、導電性を有する材料で形成されており、例えば、アルミニウム、金、銀および銅のうちのいずれか一種の金属またはこれらの合金によって形成されている。
【0032】
端子2は、共通電極17および接続電極21をFPC5に接続するために、第1面7fの第2長辺7b側に設けられている。端子2は、後述するFPC5の外部端子に対応して設けられている。
【0033】
図3に示すように、端子2上には、導電部材23が設けられている。導電部材23としては、例えば、はんだ、あるいはACP(Anisotropic Conductive Paste)等を例示することができる。なお、導電部材23と端子2との間にNi、Au、あるいはPdによるめっき層(不図示)を設けてもよい。
【0034】
上記のヘッド基体3を構成する各種電極は、各々を構成するAl、Au、Ag、あるいはNi等の金属の材料層を蓄熱層13上に、スパッタリング法等の薄膜成形技術によって順次積層した後、積層体を従来周知のフォトエッチング等を用いて所定のパターンに加工することにより形成することができる。なお、ヘッド基体3を構成する各種電極は、同じ工程によって同時に形成することができる。
【0035】
駆動IC11は、個別電極19と接続電極21とに接続されている。駆動IC11は、各発熱部9の通電状態を制御する機能を有している。駆動IC11としては、内部に複数のスイッチング素子を有するスイッチングICを用いることができる。
【0036】
保護層25は、発熱部9、共通電極17および個別電極19の一部を被覆しており、被覆した領域を、大気中に含まれている水分等の付着による腐食、あるいは印画する記録媒体Pとの接触による摩耗から保護するためのものである。
【0037】
保護層25は、例えば、TiN、TiCN、SiC、SiO2、SiON、SiN、TaNあるいはTaSiOにより形成することができる。保護層25の厚みは、例えば、2〜15μmとすることができる。保護層25は、例えば、スパッタリング法、スクリーン印刷法、あるいはイオンプレーティング法により形成することができる。
【0038】
基板7上には、共通電極17、個別電極19の一部および接続電極21の一部を被覆する被覆層27が設けられている。被覆層27は、被覆した領域を、大気との接触による酸化、あるいは大気中に含まれている水分等の付着による腐食から保護するためのものである。被覆層27は、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、あるいはシリコーン系樹脂等の樹脂材料により形成することができる。
【0039】
駆動IC11は、個別電極19および接続電極21に接続された状態で、エポキシ樹脂、あるいはシリコーン樹脂等の樹脂からなる被覆部材29によって封止されている。被覆部材29は、主走査方向に延びるように設けられており、複数の駆動IC11を一体的に封止している。
【0040】
図3に示すように、FPC5は、ベース基板5aと、配線導体5bと、カバー基板5cとを有している。ベース基板5aは、平面視して矩形状であり、FPC5の外形と同形状である。配線導体5bは、ベース基板5a上に設けられており、エッチングによりパターニングされている。配線導体5bは、端部に外部端子を有しており、外部端子は、ヘッド基体3の端子2に電気的に接続されている。カバー基板5cは、配線導体5bを覆うようにベース基板5a上に設けられており、外部端子は、カバー基板5cから露出している。
【0041】
コネクタ31のコネクタピン8は、FPC5を貫通するように設けられている。それにより、コネクタピン8と配線導体5bとが電気的に接続されている。なお、コネクタピン8は、半田などを介してFPC5と電気的に接続されていてもよい。
【0042】
次に、図4〜7を用いてサーマルヘッドX1の保護層25、被覆層27、および被覆部材29について詳細に説明する。図5は、記録媒体Pの搬送状態を示しており、記録媒体Pの搬送方向をSで示している。図6では、上面27aの粗さ曲線を実線で示しており、粗さ曲線の平均線A1を破線で示している。図7では、側面27bの粗さ曲線を実線で示しており、粗さ曲線の平均線A2を破線で示しており、第1凸部30aの頂点の平均線A3を一点鎖線で示している。
【0043】
保護層25は、発熱部9を覆うように設けられており、発熱部9および隆起部13bを被覆するように設けられている。そのため、保護層25の表面の断面形状は、上方に突出した円弧状となっている。保護層25の頂点25aは、発熱部9上に位置しており、記録媒体Pと接触可能に設けられている。すなわち、記録媒体Pは、頂点25aに接触しながら搬送される。
【0044】
被覆部材29は、頂点29aと、側面29bと、縁29cとを有している。被覆部材29の断面形状は、上方に突出した半楕円形状となっている。縁29cは、被覆部材29のうち最も隆起部13b側に位置している。被覆部材29は、被覆層27の開口27cを封止するように設けられており、縁29cが被覆層27の上面27a上に位置している。
【0045】
側面29bは、隆起部13b側に位置しており、頂点29aと縁29cとの間に設けられている。頂点29aおよび側面29bは、記録媒体Pと接触可能に設けられている。すなわち、記録媒体Pは、頂点29aおよび側面29bに接触しながら搬送される。
【0046】
被覆層27は、保護層25と被覆部材29との間に位置しており、上面27aと側面27bとを有している。上面27aには、開口27cが設けられている。開口27cは、駆動IC11を搭載するために、個別電極19(図2参照)および接続電極21(図2参照)の一部が露出するように設けられている。
【0047】
図4に示すように、開口27cは、主走査方向に長く形成されている。開口27cには、駆動IC11が搭載されない領域に、副走査方向に延伸した延伸部28が設けられている。言い換えると、開口27cは、平面視して、駆動IC11間に延びる延伸部28を有している。
【0048】
図5に示すように、側面27bは、基板7の厚み方向に対して傾斜している。被覆層27の下地部13aからの厚みは、隆起部13b側に位置する端部に向けて漸次低くなっている。上面27aおよび側面27bは、記録媒体Pと接触可能に設けられている。すなわち、記録媒体Pは、上面27aおよび側面27bと接触しながら搬送される。
【0049】
図6に示すように、上面27aには、互いに離間した複数の第2凸部30bが設けられている。また、隣り合う複数の第2凸部30bの間には第2凹部32bが設けられている。第2凸部30bおよび第2凹部32bは主走査方向に交互に設けられている。
【0050】
上面27aの算術平均粗さRaは、例えば、0.04μm〜0.09μmに設定される。なお、算術平均粗さRaは、JIS B 0601(2013)に規定された値である。
【0051】
上面27aの最大高さRzは、例えば、0.20μm〜5.0μmに設定される。最大高さRzは、粗さ曲線の最大山高さRpと粗さ曲線の最大谷深さRvとの和である。なお、最大高さRzは、JIS B 0601(2013)に規定された値である。
【0052】
図6に示す、隣り合う第2凸部30bの間隔P1は、例えば、2.5μm〜5.0μmに設定される。
【0053】
上面27aの平均長さRSmは、例えば、14.0μm〜22.0μmに設定される。平均長さRSmは、基準長さにおける輪郭曲線要素の長さの平均である。なお、平均長さRSmは、JIS B 0601(2013)に規定された値である。
【0054】
上面27aのスキューネスRskは、0より大きく、例えば、0.1〜1.0に設定される。スキューネスRskは、粗さ曲線における平均高さを中心線として、山部と谷部との比率を示す指標である。スキューネスRskが0より大きいと、山部が谷部より多いことを示す。なお、スキューネスRskは、JIS B 0601(2013)に規定された値である。
【0055】
上面27aのクルトシスRkuは、3より小さく、例えば、1.0〜2.8に設定される。クルトシスRkuは、表面状態の鋭さの尺度である尖度を示す指標である。なお、クルトシスRkuは、JIS B 0601(2013)に規定された値である。
【0056】
上面27aには窪み部34が設けられている。窪み部34は、上面27aの窪み部34が設けられていない領域(窪み部34の周囲の領域)に比べて窪んでいる。窪み部34は、上面27aの粗さ曲線の平均線A1よりも窪んでいる。窪み部34は、内部に第2凸部30bを有している。
【0057】
図7に示すように、側面27bには、互いに離間した複数の第1凸部30aが設けられている。また、隣り合う複数の第1凸部30aの間には第1凹部32aが設けられている。第1凸部30aおよび第1凹部32aは主走査方向に交互に設けられている。
【0058】
側面27bの算術平均粗さRaは、例えば0.1μm〜7.0μmに設定される。
【0059】
側面27bの最大高さRzは、例えば0.9μm〜110.0μmに設定される。
【0060】
図7に示す、隣り合う第1凸部30aの間隔P2は、例えば、5.9μm〜10.9μmに設定される。
【0061】
側面27bの平均長さRSmは、例えば、9.0μm〜20.0μmに設定される。側面27bのスキューネスRskは、0より大きく、例えば、3.0〜6.0に設定される。側面27bのクルトシスRkuは、3より大きく、例えば、10.0〜30.0に設定される。
【0062】
また、基板7の厚み方向および主走査方向に沿った断面において、第1凸部30aの頂点分布の平均線A3が、側面27bの粗さ曲線の平均線A2よりも上方に位置している。
【0063】
算術平均粗さRa、最大高さRz、平均長さRSm、スキューネスRsk、およびクルトシスRkuは、例えば、JIS B 0601(2013)に準拠して測定できる。なお、測定には、接触式の表面粗さ計、あるいは、非接触式の表面粗さ計を用いることができ、例えば、オリンパス製のLEXT OLS4000を用いることができる。測定条件として、例えば、測定長さを0.4mm、カットオフ値を0.08mm、スポット径を0.4μm、走査速度を1mm/秒とすればよい。
【0064】
また、第2凸部30bの間隔P1および第1凸部30aの間隔P2は、例えば、接触式あるいは非接触式の表面粗さ計を用いて、上面27aまたは側面27bの粗さ曲線を計測し、所定の長さ(例えば、50μm)における第1凸部30aまたは第2凸部30bの数を計測し、第1凸部30aまたは第2凸部30bの総数を所定長さで除することにより、求めることができる。なお、サーマルヘッドX1を基板7の厚み方向および主走査方向に沿った断面で切断し、切断面から算出することもできる。
【0065】
サーマルヘッドX1は、側面27bの算術表面粗さRaが、上面27aの算術表面粗さRaよりも大きい構成を有している。言い換えれば、上面27aの算術表面粗さRaが、側面27bの算術表面粗さRaよりも小さい構成を有している。それにより、被覆層27の上面27aに、被覆部材29用樹脂を塗布した際に、上面27aにおける被覆部材29用樹脂の広がりを均一なものに近づけることができる。
【0066】
そのため、被覆部材29用樹脂が、位置によって広がり方が異ならず、被覆部材29用樹脂の形状の安定性を向上できる。その結果、被覆部材29用樹脂を硬化させた被覆部材29は、被覆部材29と記録媒体Pとの接触状態が均一なものに近付き、記録媒体Pを円滑に搬送できる。
【0067】
また、側面27bの算術表面粗さRaが、上面27aの算術表面粗さRaよりも大きいことから、記録媒体Pと側面27bとの接触面積を小さくすることができ、記録媒体Pが側面27bから剥離しやすいため、記録媒体Pを円滑に搬送できる。
【0068】
また、本実施形態のサーマルヘッドX1では、側面27bの最大高さRzが、上面27aの最大高さRzよりも大きくてもよい。このような構成を有するときには、記録媒体Pの搬送に伴って、紙カスあるいはほこり(以下、紙カス等と称する。)が側面27b上に搬送された場合においても、第1凹部32bに紙カス等を収容することができ、紙カス等が、発熱部9上まで搬送されにくくなる。それにより、サーマルヘッドX1が破損しにくくなる。
【0069】
また、本実施形態のサーマルヘッドX1では、上面27aに、窪み部34が設けられていてもよい。このような構成を有するときには、記録媒体Pと上面27aとの間に隙間が生じることとなり、記録媒体Pと上面27aとの接触面積を小さくすることができる。その結果、記録媒体Pが上面27aに貼りつきにくくなり、記録媒体Pを円滑に搬送できる。
【0070】
さらに、上面27aに、窪み部34が設けられていることにより、記録媒体Pから生じた紙カス等が、記録媒体Pと一緒に上面27a上に搬送された場合においても、窪み部34が紙カス等を収容することができ、紙カス等が、発熱部9上まで搬送されにくくなる。
【0071】
また、窪み部34は、被覆部材29とは離間して位置していてもよい。このような構成を有するときには、被覆部材29用樹脂が窪み部34に浸入しにくくなり、被覆部材29の形状の安定性を確保することができる。
【0072】
さらに、本実施形態のサーマルヘッドX1では、窪み部34内に、第2凸部30bを有していてもよい。このような構成を有するときには、記録媒体Pが静電気により窪み部34の内部にまで変形して入り込んだ場合においても、記録媒体Pと窪み部34との間に隙間を生じさせることができ、記録媒体Pと上面27aとの接触面積を小さくすることができる。それにより、記録媒体Pを円滑に搬送できる。
【0073】
さらに、窪み部34に紙カス等が収容された場合に、紙カス等は、第2凸部30bにより引っ掛かることとなり、窪み部34から紙カス等が排出される可能性を低減することができる。
【0074】
また、本実施形態のサーマルヘッドX1では、隣り合う第1凸部30aの間隔P2が、隣り合う第2凸部30bの間隔P1よりも小さくてもよい。このような構成を有するときには、記録媒体Pと側面27bとの間の隙間を確保しつつ、第1凸部30aにより記録媒体Pを支持することができる。
【0075】
すなわち、側面27bは、プラテンローラ50(図8)の近傍に配置されており、側面27bにプラテンローラ50による押圧力が記録媒体Pを介して押圧されることとなるが、多数の第1凸部30aにより記録媒体Pを支えることができる。
【0076】
また、本実施形態のサーマルヘッドX1では、基板7の厚み方向および主走査方向に沿った断面において、第1凸部30aの頂点分布の平均線A3が、側面27bの粗さ曲線の平均線A2よりも上方に位置していてもよい。このような構成を有するときには、側面27bが、第1凸部30aにより記録媒体Pを安定して支持することができ、保護層25の頂点25aに向けて円滑に搬送することができる。
【0077】
また、側面27bは、基板7の厚み方向に対して傾斜し、隆起部13b側に向けて下地部13aからの高さが低くなっていてもよい。このような構成により、記録媒体Pは、気側面27bと面接触ではなく、副走査方向に沿った線接触となる。その結果、記録媒体Pと側面27bとの接触面積を小さくすることができる。
【0078】
また、本実施形態のサーマルヘッドX1では、上面27aの平均長さRSmが、側面27bの平均長さRSmよりも小さくてもよい。このような構成を有することにより、上面27aの第2凸部30bの間隔P1が、側面27bの第1凸部30aの間隔P2よりも小さくできる。その結果、面接触する上面27aと記録媒体Pとの接触面積を小さくすることができ、効率よく記録媒体Pを剥離することができる。
【0079】
また、本実施形態のサーマルヘッドX1では、側面27bのスキューネスRskが、0より大きくてもよい。このような構成を有することにより、側面27bは、谷部に対して山部が多い構成となる。その結果、記録媒体Pから紙カス等が生じても、谷部に入りにくくなり、紙カス等が詰まりにくくなる。
【0080】
また、本実施形態のサーマルヘッドX1では、上面27aのスキューネスRskが、0より大きくてもよい。このような構成を有することにより、上面27aは、谷部に対して山部が多い構成となる。その結果、記録媒体Pから紙カス等が生じても、谷部に入りにくくなり、紙カス等が詰まりにくくなる。また、面接触する記録媒体Pを、多くの山部(第2凸部30b)により支持することができる。
【0081】
また、本実施形態のサーマルヘッドX1では、側面27bのスキューネスRskが、上面27aのスキューネスRskよりも大きくてもよい。このような構成を有することにより、谷部に対して山部の比率において、側面27bは、上面27aよりも多い構成となる。すなわち、側面27bにおいて、多くの山部(第1凸部30a)が記録媒体Pを支持する構成となる。その結果、強い押圧力が生じる側面27b付近において、多くの第1凸部30aが記録媒体Pを支持するため、側面27bに破損が生じにくくなる。
【0082】
また、本実施形態のサーマルヘッドX1では、側面27bのクルトシスRkuが、3より大きくてもよい。このような構成を有することにより、側面27bの山部の尖度が高い構成となる。その結果、第1凸部30aと記録媒体Pとが点接触することとなる。その結果、記録媒体Pが側面27bに貼りつきにくくなる。それゆえ、記録媒体Pを側面27bから効率よく剥離できる。
【0083】
また、本実施形態のサーマルヘッドX1では、前記上面のクルトシスRkuが、3より小さくてもよい。このような構成を有することにより、上面27aの山部(第2凸部30b)の尖度が小さい構成となる。その結果、第2凸部30bとの接触にしても、記録媒体Pに搬送キズが生じにくくなる。すなわち、記録媒体Pは、上面27aに接触した状態で、発熱部9に向けて搬送されるが、上面27aの山部の尖度が小さいため、記録媒体Pに搬送キズが生じにくくなる。
【0084】
また、図4に示すように、被覆層27は、平面視して、駆動IC11間に延びる延伸部28を有していてもよい。このような構成により、被覆部材29の形状を安定化させることができる。すなわち、駆動IC11が設けられていない領域は、駆動IC11が設けられた領域に比べて被覆部材29の量が少なくなる場合があるが、被覆層27が延伸部28を有することにより、被覆部材29の量が少ない場合においても、被覆部材29の下地部13aからの高さを確保することができ、記録媒体Pと被覆部材29との接触状態を均一なものに近付けることができる。
【0085】
サーマルヘッドX1は、例えば、以下の方法により作製することができる。
【0086】
基板7に各種電極をパターニングし、図4に示すように、開口27cが形成されるように被覆層27用樹脂をスクリーン印刷し、硬化する。次に、駆動IC11を搭載し、被覆部材29用樹脂をディスペンサーにより塗布、硬化する。この際に、被覆部材29用の樹脂は、硬化後の縁が被覆層27の上面27aに位置するように塗布する。
【0087】
次に、被覆層27の隆起部13b側の端部を研摩し、側面27bを形成する。研磨は例えば、ラッピングフィルムを用いて研磨することができる。このようにして、側面27bの算術表面粗さRaが、上面27aの算術表面粗さRaよりも大きいサーマルヘッドX1を作製することができる。なお、側面27bはブラストエッチング等により形成してもよい。
【0088】
なお、本実施形態では、側面27bは、基板7の厚み法億および主走査方向に垂直な方向にサーマルヘッドX1を切断し、切断面において、上面27aに平行な仮想線よりも基板7の近くに位置し、上面27aから連続的に形成されている部分である。なお、側面27bは、必ずしも、上面27aに対して傾斜していなくてもよい。
【0089】
次に、サーマルヘッドX1を有するサーマルプリンタZ1について、図8を参照しつつ説明する。
【0090】
本実施形態のサーマルプリンタZ1は、上述のサーマルヘッドX1と、搬送機構40と、プラテンローラ50と、電源装置60と、制御装置70と、取付部材80と、給紙ユニット90とを備えている。サーマルヘッドX1は、サーマルプリンタZ1の筐体(不図示)に設けられた取付部材80の取付面80aに取り付けられている。なお、サーマルヘッドX1は、搬送方向Sに直交する方向である主走査方向に沿うようにして、取付部材80に取り付けられている。
【0091】
搬送機構40は、駆動部(不図示)と、搬送ローラ47とを有している。搬送機構40は、感熱紙、インクが転写される受像紙等の記録媒体Pを、サーマルヘッドX1の複数の発熱部9上に位置する保護層25上を通過するように図8の矢印S方向に搬送するためのものである。
【0092】
駆動部は、搬送ローラ47を駆動させる機能を有しており、例えば、モータを用いることができる。搬送ローラ47は、例えば、ステンレス等の金属からなる円柱状の軸体45aを、ブタジエンゴム等からなる弾性部材45bにより被覆して構成することができる。なお、記録媒体Pが、インクが転写される受像紙等の場合は、記録媒体PとサーマルヘッドX1の発熱部9との間に、記録媒体Pとともにインクフィルム(不図示)を搬送する。
【0093】
プラテンローラ50は、記録媒体PをサーマルヘッドX1の発熱部9上に位置する保護層25上に押圧する機能を有する。プラテンローラ50は、主走査方向に沿って延びるように配置され、記録媒体Pを発熱部9上に押圧した状態で回転可能となるように両端部が支持固定されている。プラテンローラ50は、例えば、ステンレス等の金属からなる円柱状の軸体50aを、ブタジエンゴム等からなる弾性部材50bにより被覆して構成することができる。
【0094】
電源装置60は、上記のようにサーマルヘッドX1の発熱部9を発熱させるための電流および駆動IC11を動作させるための電流を供給する機能を有している。制御装置70は、上記のようにサーマルヘッドX1の発熱部9を選択的に発熱させるために、駆動IC11の動作を制御する制御信号を駆動IC11に供給する機能を有している。
【0095】
給紙ユニット90は、複数の記録媒体Pを収容している。給紙ユニット90に収容された記録媒体Pは、一枚ずつ搬送ローラ47により搬送され、サーマルヘッドX1によって印画される。
【0096】
そして、サーマルプリンタZ1は、プラテンローラ50によって記録媒体PをサーマルヘッドX1の発熱部9上に押圧しつつ、発熱部9上を通過するように記録媒体Pを搬送機構40によって搬送する。そして、サーマルプリンタZ1は、電源装置60および制御装置70によって発熱部9を選択的に発熱させることにより、記録媒体Pに所定の印画を行う。
【0097】
<第2の実施形態>
図9を用いて、第2の実施形態に係るサーマルヘッドX2について説明する。なお、サーマルヘッドX1と同一の部材については同一の符号を付し、説明を省略する。サーマルヘッドX2では、被覆層227がサーマルヘッドX1の被覆層27と構成が異なっている。
【0098】
被覆層227は、平面視して、副走査方向において、上面227aが保護層25側に向けて伸びる延伸部228を有している。延伸部228は、平面視して、主走査方向において、互いに離間した状態で配置されている。
【0099】
また、側面227bは、複数の溝36が設けられている。溝36は、副走査方向に長い形状である。溝36は、副走査方向において、互いに離間した状態で配置されている。なお、図示していないが、溝36は、隣り合う第1凸部30a(図7参照)により形成されており、第1凹部32bにより構成されている。
【0100】
本実施形態のサーマルヘッドX2では、側面227bに溝36が設けられており、平面視して、溝36が副走査方向に長い形状であってもよい。このような構成を有するときには、記録媒体Pが側面227bに接触しながら搬送されている際に、記録媒体Pと側面227bとの間に隙間を形成することができるとともに、記録媒体Pの搬送を妨げにくくなる。その結果、記録媒体Pは、側面227bと接触しながらスムーズに搬送され、側面227bから円滑に剥離される。
【0101】
また、平面視して、副走査方向において、上面227aが保護層25側に向けて伸びる延伸部228を有していてもよい。このような構成を有するときには、延伸部228が設けられた領域では、記録媒体Pが延伸部228と接触しつつ、延伸部228が設けられていない領域では、記録媒体Pが上面227aから剥離した状態で搬送されることとなる。その結果、記録媒体Pが、延伸部228が設けられていない領域において、上面227aと隙間を空けた状態で搬送されることとなり、記録媒体Pと上面227aとの貼りつきを低減できる。
【0102】
以上、複数の実施形態を用いて説明したが、上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、第1の実施形態であるサーマルヘッドX1を用いたサーマルプリンタZ1を示したが、これに限定されるものではなく、サーマルヘッドX2をサーマルプリンタZ1に用いてもよい。また、複数の実施形態であるサーマルヘッドX1〜X2を組み合わせてもよい。
【0103】
蓄熱層13が、下地部13aと隆起部13bとを有する例を示したがこれに限定されるものではない。下地部13aを設けなくてもよく、隆起部13bを設けなくてもよい。
【0104】
また、電気抵抗層15を薄膜形成することにより、発熱部9の薄い薄膜ヘッドを例示して示したが、これに限定されるものではない。例えば、各種電極をパターニングした後に、電気抵抗層15を厚膜形成した厚膜ヘッドに適用してもよい。
【符号の説明】
【0105】
X1,X2 サーマルヘッド
Z1 サーマルプリンタ
1 放熱板
3 ヘッド基体
5 フレキシブルプリント配線板
7 基板
9 発熱部
19 個別電極(電極)
25 保護層
27 被覆層
27a 上面
27b 側面
27c 開口
28 延伸部
29 被覆部材
29a 頂点
29b 側面
29c 縁
30a 第1凸部
30b 第2凸部
32a 第1凹部
32b 第2凹部
34 窪み部
36 溝
P 記録媒体
【要約】
本開示のサーマルヘッドは、基板7と、発熱部9と、電極と、被覆層27と、被覆部材29と、を備える。発熱部9は、基板7上に位置する。電極は、基板7上に位置し、発熱部9に繋がる。被覆層27は、平面視して、電極の少なくとも一部を被覆する。被覆部材29は、被覆層27上に位置する。また、被覆層27は、上面27aと、発熱部9側に位置する側面27bとを有する。また、側面27bの算術表面粗さRaが、上面27aの算術表面粗さRaよりも大きい。
【選択図】 図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9