特許第6419783号(P6419783)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6419783
(24)【登録日】2018年10月19日
(45)【発行日】2018年11月7日
(54)【発明の名称】殺菌・殺カビ性アミド
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/14 20060101AFI20181029BHJP
   A01N 43/60 20060101ALI20181029BHJP
   A01N 43/56 20060101ALI20181029BHJP
   A01N 43/80 20060101ALI20181029BHJP
   A01N 43/78 20060101ALI20181029BHJP
   A01N 43/653 20060101ALI20181029BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20181029BHJP
   C07D 411/14 20060101ALI20181029BHJP
   C07D 403/04 20060101ALI20181029BHJP
   C07D 401/04 20060101ALI20181029BHJP
   C07D 413/14 20060101ALI20181029BHJP
   C07D 405/14 20060101ALI20181029BHJP
   C07D 409/14 20060101ALI20181029BHJP
   C07D 403/14 20060101ALI20181029BHJP
   C07D 417/14 20060101ALI20181029BHJP
【FI】
   C07D401/14CSP
   A01N43/60
   A01N43/56 D
   A01N43/80 101
   A01N43/56 C
   A01N43/78 A
   A01N43/78 B
   A01N43/653 A
   A01P3/00
   C07D411/14
   C07D403/04
   C07D401/04
   C07D413/14
   C07D405/14
   C07D409/14
   C07D403/14
   C07D417/14
【請求項の数】3
【全頁数】137
(21)【出願番号】特願2016-508973(P2016-508973)
(86)(22)【出願日】2014年4月11日
(65)【公表番号】特表2016-522175(P2016-522175A)
(43)【公表日】2016年7月28日
(86)【国際出願番号】US2014033752
(87)【国際公開番号】WO2014172190
(87)【国際公開日】20141023
【審査請求日】2017年3月8日
(31)【優先権主張番号】61/811,907
(32)【優先日】2013年4月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391022452
【氏名又は名称】エフ エム シー コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】FMC CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・フランシス・ベレズナク
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・エドマンド・タギー
(72)【発明者】
【氏名】モウミタ・カール
(72)【発明者】
【氏名】ラヴィシカラ・ピー・レディ
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・ジェームズ・キャンベル
【審査官】 村守 宏文
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−529062(JP,A)
【文献】 特表2006−505603(JP,A)
【文献】 特表2015−526408(JP,A)
【文献】 特表2009−520680(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/065947(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A01N
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1
【化1】
(式中、
Aは、
【化2】
からなる群から選択されるであり、
ZはOまたはSであり;
は、H、シクロプロピルまたはC〜Cアルコキシであり;
Lは−C(R12a)R12b−C(R13a)R13b−であり、式中、R12aおよびR12bに結合している炭素原子は式1中のカルボキサミド窒素原子にも結合しており;または、ハロゲンおよびC〜Cアルキルから独立して選択される4個以下の置換基で任意選択により置換される1,2−フェニレンであり;
Gは、
【化3】
からなる群から選択されるであり、
各Rは、独立して、ハロゲン、ニトロ、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜CハロアルコキシまたはC〜Cシクロアルキルであり;
はCHまたはNであり;
はCHまたはNであり;
はCHまたはNであり;
ただし、BおよびBが共にNである場合、BはCHであり;
は、ハロゲン、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルであり;
は、ハロゲン、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルであり;
は、H、ハロゲン、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルであり;
はC〜Cアルキルであり;
は、ハロゲン、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルであり;
は、H、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルであり;
9aは、H、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜CハロアルキルまたはC〜Cアルキルチオであり;
9bは、H、ハロゲン、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルであり;
10は、ハロゲン、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルであり;
11は、ハロゲン、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルであり;
20は、ハロゲン、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルであり;
21は、H、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルであり;
22は、H、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜CハロアルキルまたはC〜Cアルキルチオであり;
23は、H、ハロゲン、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルであり;
24は、H、ハロゲン、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルであり;
25は、H、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルであり;
mは0、1または2であり;
nは、0、1、2または3であり;
12aおよびR12bは、各々独立して、H、C〜CアルキルもしくはC〜Cハロアルキルであり;または
12aおよびR12bは、一緒になってC〜Cアルカンジイルとされ;
13aは、H、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、C〜CアルキルチオもしくはC〜Cアルコキシアミノであり;
13bは、H、ハロゲン、C〜CアルキルもしくはC〜Cハロアルキルであり;または
13aおよびR13bは、一緒になってC〜Cアルカンジイルとされ;
Qは、1個以下のO原子、1個以下のS原子および4個以下のN原子から独立して選択される4個以下のヘテロ原子ならびに炭素原子から選択される環員を含有する5員不飽和複素環であり、2個以下の炭素原子環員はC(=O)から独立して選択され、前記複素環は、任意選択により、環と前記式1の残部を結合する環員から遠位の環員において1つの置換基で置換され、前記任意選択の置換基は、炭素原子環員上のR14cおよび窒素原子環員上のR14nから選択され、前記複素環はさらに、任意選択により、炭素原子環員上のR15cおよび窒素原子環員上のR15nから選択される置換基で置換され;
各R14cは、独立して、ハロゲン、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、C〜CアルコキシカルボニルもしくはC〜Cアルキルカルボニルであり;または、R16から独立して選択される5個以下の置換基で任意選択により置換されるフェニル環であり;または、炭素原子環員上のR17cおよび窒素原子環員上のR17nから独立して選択される4個以下の置換基で任意選択により置換される芳香族複素環であり;または
隣接する炭素原子に結合する2個のR14cは、炭素原子環員と一緒になって、5員または6員炭素環または芳香族環を形成し、前記環は、ハロゲンまたはC〜Cアルキルで任意選択により置換され;
各R14nは、独立して、C〜Cアルキル、C〜CハロアルキルもしくはC〜Cアルコキシであり;または、R18から独立して選択される5個以下の置換基で任意選択により置換されるフェニル環であり;または、炭素原子環員上のR19cおよび窒素原子環員上のR19nから独立して選択される4個以下の置換基で任意選択により置換される芳香族複素環であり;
各R15cは、独立して、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜CハロアルキルまたはC〜Cアルコキシであり;
各R15nは、独立して、C〜Cアルキル、C〜CハロアルキルまたはC〜Cアルコキシであり;
各R16、R17c、R18およびR19cは、独立してハロゲン、シアノ、C〜C
アルキル、C〜Cハロアルキル、C〜CアルコキシまたはC〜Cハロアルコキシであり;ならびに
各R17nおよびR19nは、独立して、C〜Cアルキル、C〜CハロアルキルまたはC〜Cアルコキシである)
から選択される化合物、そのN−オキシドおよび塩。
【請求項2】
(a)請求項1に記載の化合物と;(b)少なくとも1種の他の殺菌・殺カビ剤とを含む殺菌・殺カビ組成物。
【請求項3】
真菌性植物病原体により引き起こされる植物病害を防除する方法であって、前記植物もしくはその一部または前記植物種子に、殺菌・殺カビ的に有効な量の請求項1に記載の化合物を適用するステップを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一定のアミド、そのN−オキシド、塩および組成物、ならびに、殺菌・殺カビ剤としてのその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
真菌性植物病原体によって引き起こされる植物病害の防除は、高い作物効率を達成するためにきわめて重要である。観葉植物、野菜、農作物、穀類および果実作物に対する植物病害による損害は生産性を著しく低下させ、これにより、消費者に対するコストが増加してしまう可能性がある。これらの目的のために多くの製品が市販されているが、より効果的であり、より安価であり、毒性が低く、環境に対して安全であり、または、異なる作用部位を有する新規化合物に対する要求が継続して存在している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、式1の化合物(すべての立体異性体を含む)、そのN−オキシドおよび塩、これらを含有する農業組成物、ならびに、殺菌・殺カビ剤としてのその使用に関する。
【化1】
式中、
Aは、
【化2】

からなる群から選択されるラジカルであり、
ZはOまたはSであり;
は、H、シクロプロピルまたはC〜Cアルコキシであり;
Lは−C(R12a)R12b−C(R13a)R13b−であり、式中、R12aおよびR12bに結合している炭素原子は式1中のカルボキサミド窒素原子にも結合しており;または、ハロゲンおよびC〜Cアルキルから独立して選択される4個以下の置換基で任意選択により置換される1,2−フェニレンであり;
【0004】
Gは、
【化3】
からなる群から選択されるラジカルであり、
各Rは、独立して、ハロゲン、ニトロ、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜CハロアルコキシまたはC〜Cシクロアルキルであり;
はCHまたはNであり;
はCHまたはNであり;
はCHまたはNであり;
ただし、BおよびBが共にNである場合、BはCHであり;
は、ハロゲン、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルであり;
は、ハロゲン、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルであり;
は、H、ハロゲン、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルであり;
はC〜Cアルキルであり;
は、ハロゲン、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルであり;
は、H、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルであり;
9aは、H、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜CハロアルキルまたはC〜Cアルキルチオであり;
9bは、H、ハロゲン、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルであり;
10は、ハロゲン、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルであり;
11は、ハロゲン、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルであり;
20は、ハロゲン、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルであり;
21は、H、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルであり;
22は、H、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜CハロアルキルまたはC〜Cアルキルチオであり;
23は、H、ハロゲン、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルであり;
24は、H、ハロゲン、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルであり;
25は、H、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルであり;
mは0、1または2であり;
nは、0、1、2または3であり;
【0005】
12aおよびR12bは、各々独立して、H、C〜CアルキルもしくはC〜Cハロアルキルであり;または
12aおよびR12bは、一緒になってC〜Cアルカンジイルとされ;
13aは、H、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、C〜CアルキルチオもしくはC〜Cアルコキシアミノであり;
13bは、H、ハロゲン、C〜CアルキルもしくはC〜Cハロアルキルであり;または
13aおよびR13bは、一緒になってC〜Cアルカンジイルとされ;
Qは、1個以下のO原子、1個以下のS原子および4個以下のN原子から独立して選択される4個以下のヘテロ原子ならびに炭素原子から選択される環員を含有する5員不飽和または部分飽和複素環であり、2個以下の炭素原子環員はC(=O)から独立して選択され、複素環は、任意選択により、芳香族複素環と式1の残部とを結合する環員から遠位の環員において1つの置換基で置換され、前記任意選択の置換基は、炭素原子環員上のR14cおよび窒素原子環員上のR14nから選択され、複素環はさらに、任意選択により、炭素原子環員上のR15cおよび窒素原子環員上のR15nから選択される置換基で置換され;
各R14cは、独立して、ハロゲン、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、C〜CアルコキシカルボニルもしくはC〜Cアルキルカルボニルであり;または、R16から独立して選択される5個以下の置換基で任意選択により置換されるフェニル環であり;または、炭素原子環員上のR17cおよび窒素原子環員上のR17nから独立して選択される4個以下の置換基で任意選択により置換される芳香族複素環であり;または
隣接する炭素原子に結合する2個のR14cは、炭素原子環員と一緒になって、5員または6員炭素環または部分芳香族環を形成し、環は、ハロゲンまたはC〜Cアルキルで任意選択により置換され;
各R14nは、独立して、C〜Cアルキル、C〜CハロアルキルもしくはC〜Cアルコキシであり;または、R18から独立して選択される5個以下の置換基で任意選択により置換されるフェニル環であり;または、炭素原子環員上のR19cおよび窒素原子環員上のR19nから独立して選択される4個以下の置換基で任意選択により置換される芳香族複素環であり;
各R15cは、独立して、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜CハロアルキルまたはC〜Cアルコキシであり;
各R15nは、独立して、C〜Cアルキル、C〜CハロアルキルまたはC〜Cアルコキシであり;
各R16、R17c、R18およびR19cは、独立してハロゲン、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜CアルコキシまたはC〜Cハロアルコキシであり;ならびに
各R17nおよびR19nは、独立して、C〜Cアルキル、C〜CハロアルキルまたはC〜Cアルコキシである。
【0006】
より具体的には、本発明は、式1の化合物(すべての立体異性体を含む)、そのN−オキシドまたは塩に関する。
【0007】
本発明はまた、(a)本発明の化合物(すなわち、殺菌・殺カビ的に有効な量で)と;(b)界面活性剤、固体希釈剤および液体希釈剤からなる群から選択される少なくとも1種の追加のコンポーネントとを含む殺菌・殺カビ組成物に関する。
【0008】
本発明はまた、(a)本発明の化合物と;(b)少なくとも1種の他の殺菌・殺カビ剤(例えば、異なる作用部位を有する少なくとも1種の他の殺菌・殺カビ剤)とを含む殺菌・殺カビ組成物に関する。
【0009】
本発明は、植物もしくはその一部または植物種子に、殺菌・殺カビ的に有効な量の本発明の化合物を(例えば、本明細書に記載の組成物として)適用するステップを含む、真菌性植物病原体により引き起こされる植物病害を防除する方法にさらに関する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書において用いられるところ、「を含む(comprises)」、「を含んでいる(comprising)」、「を含む(includes)」、「を含んでいる(including)」、「を有する」、「を有している」、「を含有する」、「を含有している」、「により特徴付けられる」という用語、または、そのいずれかの他の変化形は、明示的に示されている任意の限定を条件として、非排他的な包含をカバーすることが意図されている。例えば、要素の一覧を含む組成物、混合物、プロセス、方法、物品または装置は、必ずしもこれらの要素にのみ限定されることはなく、明示的に列挙されていないか、または、このような組成物、混合物、プロセス、方法、物品もしくは装置に固有とされる他の要素が包含されていてもよい。
【0011】
「からなる(consisting of)」という移行句は、特定されていない任意の要素、ステップまたは成分を除外する。特許請求の範囲中にある場合、このような句は、特許請求の範囲を、通常関連する不純物類を除き、言及されたもの以外の材料の包含を限定するであろう。「からなる(consisting of)」という句が、プリアンブルの直後ではなく特許請求の範囲の本文の一文節中にある場合、これは、その文節中に規定されている要素のみを限定し;他の要素は、特許請求の範囲からは、全体としては除外されない。
【0012】
「基本的にからなる(consisting essentially of)」という移行句は、文字通り開示されているものに追加して、材料、ステップ、機構、コンポーネントまたは要素を含む組成物、方法または装置を定義するために用いられているが、ただし、これらの追加の材料、ステップ、機構、コンポーネントまたは要素は、特許請求された発明の基本的および新規特徴に実質的に影響をおよぼさない。「基本的にからなる(consisting essentially of)」という用語は、「を含んでいる(comprising)」と、「からなる(consisting of)」との間の中間点を構成する。
【0013】
出願人らが、「を含んでいる(comprising)」などのオープンエンド形式の用語で発明またはその一部分を定義している場合、その記載は(別段の定めがある場合を除き)、「基本的にからなる(consisting essentially of)」または「からなる(consisting of)」という用語を用いてこのような発明を記載しているとも解釈されるべきであると、直ちに理解されるべきである。
【0014】
さらに、反する記載が明白にされていない限り、「あるいは、または、もしくは」は包含的論理和を指し、そして排他的論理和を指さない。例えば、条件AまたはBは、以下のいずれか1つによって満たされる:Aが真であり(または存在する)、そしてBが偽である(または存在しない);Aが偽であり(または存在しない)、そしてBが真である(または存在する);ならびに、AおよびBの両方が真である(または存在する)。
【0015】
また、本発明の要素または成分に先行する不定冠詞「a」および「an」は、要素または成分の事例(すなわち、存在)の数に関して比制限的であることが意図される。従って、「a」または「an」は、1つまたは少なくとも1つ、を含むと読解されるべきであり、要素または成分の単数形の語形は、その数が明らかに単数を意味しない限りにおいては複数をも包含する。
【0016】
本開示および特許請求の範囲において言及されるとおり、「植物」とは、幼植物(例えば、実生に成長する発芽種子)および成熟した生殖成長期(例えば、花および種子をもたらす植物)を含むすべてのライフステージにおける、植物界の構成員、特に種子植物(種子植物目(Spermatopsida))を含む。植物の一部分は、典型的には成長培地(例えば、土壌)の表面下で成長する、根、塊茎、鱗茎および球茎などの屈地性の構成員、ならびに、成長培地上で成長する、群葉(茎および葉を含む)、花、果実および種子などの構成員をも含む。本明細書において言及されるとおり、単独または複合語で用いられる「実生」という用語は、種子の胚芽から成長する幼植物を意味する。
【0017】
この開示において言及されているとおり、「真菌性病原体」および「真菌性植物病原体」という用語は、観賞植物、芝生、野菜、圃場、穀類および果実作物に影響を与える、経済的に重要である広範囲の植物病害の病因である、子嚢菌門、担子菌門および接合菌門、ならびに、真菌様卵菌門における病原体を含む。この開示の文脈において、「病害からの植物の保護」または「植物病害の防除」は、予防的作用(感染の真菌性サイクル、コロニー形成、病徴発現および胞子形成の妨害)および/または治療的作用(植物宿主組織のコロニー形成の阻害)を含む。
【0018】
この開示において言及されているとおり、作用機構(MOA)という用語は、Fungicide Resistance Action Committee(FRAC)によって広く定義されており、殺菌・殺カビ剤グループを、植物病原体の生合成経路における生化学的作用機構に従って区別するために用いられる。これらのFRACにより定義されているMOAは、(A)核酸合成、(B)有糸分裂および細胞分裂、(C)呼吸、(D)アミノ酸およびタンパク質合成、(E)シグナル伝達、(F)脂質合成および膜統合性、(G)膜におけるステロール生合成、(H)膜における細胞壁生合成、(I)細胞壁におけるメラニン合成、(P)宿主植物の抵抗性誘導、多部位接触活性、ならびに、不明な作用形態である。各MOAクラスは、個別の有効な標的作用部位に基づいて、または、正確な標的部位が不明である場合には、グループにおける交差耐性プロファイル、もしくは、他のグループとの関連に基づいて1つ以上のグループを構成する。FRACにより定義されたMOAにおけるこれらのグループ化の各々は、標的部位が既知であるか不明であるかに関わらず、FRACコードによって指定されている。標的部位およびFRACコードに対する追加の情報は、例えば、FRACによって管理されている公開データベースから入手可能である。
【0019】
この開示において言及されているとおり、「交差耐性」という用語は、病原体が、1種の殺菌・殺カビ剤に対する耐性を得、これに加えて、他の殺菌・殺カビ剤に対する耐性を獲得する現象を指す。これらの追加の殺菌・殺カビ剤は、常にではないが、典型的には、同一の化学的クラスにあり、同一の作用標的部位を有し、または、同一のメカニズムにより解毒可能である。
【0020】
上記の言及において、「アルキル」という用語は、単独または「アルキルチオ」もしくは「ハロアルキル」などの複合語で用いられて、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピルまたは異なるブチル、ペンチルもしくはヘキシル異性体などの直鎖または分岐アルキルを含む。「アルケニル」としては、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、ならびに、異なるブテニル、ペンテニルおよびヘキセニル異性体などの直鎖もしくは分岐アルケンが挙げられる。「アルケニル」としてはまた、1,2−プロパジエニルおよび2,4−ヘキサジエニルなどのポリエンが挙げられる。「アルキニル」としては、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、ならびに、異なるブチニル、ペンチニルおよびヘキシニル異性体などの直鎖または分岐アルキンが挙げられる。「アルキニル」としてはまた、2,5−ヘキサジイニルなどの複数の三重結合を含む部分が挙げられる。「アルキレン」としても知られる「アルカンジイル」は直鎖または分岐アルカン二価基を表す。「アルキレン」すなわち「アルカンジイル」の例としては、CH、CHCH、CH(CH)、CHCHCH、CHCH(CH)および異なるブチレン異性体が挙げられる。R12aおよびR12bが一緒とされる文脈において、アルカンジイルは、同一の炭素原子を介して分子の残部に結合している。同様に、R13aおよびR13bが一緒とされる文脈において、アルカンジイルは、同一の炭素原子を介して分子の残部に結合している。「アルケニレン」は、オレフィン結合を1つ含有する直鎖または分岐アルケンジイルを表す。「アルケニレン」の例としては、CH=CH、CHCH=CH、CH=C(CH)および異なるブテニレン異性体が挙げられる。「アルキニレン」は、1つの三重結合を含む直鎖または分岐アルキンジイルを表す。「アルキニレン」の例としては、−C≡C−、−CHC≡C−、−C≡CCH−、および異なるブチニレン異性体が挙げられる。
【0021】
「アルコキシ」としては、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロピルオキシ、イソプロピルオキシおよび異なるブトキシ、ペントキシおよびヘキシルオキシ異性体が挙げられる。「アルコキシアルキル」は、アルキルにおけるアルコキシ置換を表す。「アルコキシアルキル」の例としては、CHOCH、CHOCHCH、CHCHOCH、CHCHCHCHOCHおよびCHCHOCHCHが挙げられる。「アルコキシアルコキシ」は、アルコキシにおけるアルコキシ置換を表す。「アルケニルオキシ」としては、直鎖または分岐アルケニルオキシ部分が挙げられる。「アルケニルオキシ」の例としては、HC=CHCHO、(CHC=CHCHO、(CH)CH=CHCHO、(CH)CH=C(CH)CHOおよびCH=CHCHCHOが挙げられる。「アルキニルオキシ」としては、直鎖または分岐アルキニルオキシ部分が挙げられる。「アルキニルオキシ」の例としては、HC≡CCHO、CHC≡CCHOおよびCHC≡CCHCHOが挙げられる。「アルキルチオ」としては、メチルチオ、エチルチオおよび異なるプロピルチオ、ブチルチオ、ペンチルチオおよびヘキシルチオ異性体などの分岐または直鎖アルキルチオ部分が挙げられる。「アルキルスルフィニル」としては、アルキルスルフィニル基の両方のエナンチオマーが挙げられる。「アルキルスルフィニル」の例としては、CHS(O)−、CHCHS(O)−、CHCHCHS(O)−、(CHCHS(O)−および異なるブチルスルフィニル、ペンチルスルフィニルおよびヘキシルスルフィニル異性体が挙げられる。「アルキルスルホニル」の例としては、CHS(O)−、CHCHS(O)−、CHCHCHS(O)−、(CHCHS(O)−、および、異なるブチルスルホニル、ペンチルスルホニルおよびヘキシルスルホニル異性体が挙げられる。「アルキルチオアルキル」は、アルキルにおけるアルキルチオ置換を表す。「アルキルチオアルキル」の例としては、CHSCH、CHSCHCH、CHCHSCH、CHCHCHCHSCHおよびCHCHSCHCHが挙げられる。「アルキルチオアルコキシ」は、アルコキシにおけるアルキルチオ置換を表す。「アルキルジチオ」は、分岐または直鎖アルキルジチオ部分を表す。「アルキルジチオ」の例としては、CHSS−、CHCHSS−、CHCHCHSS−、(CHCHSS−および異なるブチルジチオおよびペンチルジチオ異性体が挙げられる。「アルキルアミノ」「ジアルキルアミノ」、「アルケニルチオ」、「アルケニルスルフィニル」、「アルケニルスルホニル」、「アルキニルチオ」、「アルキニルスルフィニル」、「アルキニルスルホニル」等は、上記の例と同様に定義される。
【0022】
「シクロアルキル」としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルが挙げられる。「アルキルシクロアルキル」という用語は、シクロアルキル部分におけるアルキル置換を表し、例えば、エチルシクロプロピル、i−プロピルシクロブチル、3−メチルシクロペンチルおよび4−メチルシクロヘキシルを含む。「シクロアルキルアルキル」という用語は、アルキル部分におけるシクロアルキル置換を表す。「シクロアルキルアルキル」の例としては、シクロプロピルメチル、シクロペンチルエチル、および、直鎖または分岐アルキル基に結合した他のシクロアルキル部分が挙げられる。「シクロアルコキシ」という用語は、シクロペンチルオキシおよびシクロヘキシルオキシなどの酸素原子を介して結合されたシクロアルキルを表す。「シクロアルキルアルコキシ」は、アルキル鎖に結合した酸素原子を介して結合されたシクロアルキルアルキルを表す。「シクロアルキルアルコキシ」の例としては、シクロプロピルメトキシ、シクロペンチルエトキシ、および、直鎖または分岐アルコキシ基に結合した他のシクロアルキル部分が挙げられる。
【0023】
「ハロゲン」という用語は、単独で、または、「ハロアルキル」などの複合語で、または、「ハロゲンで置換されたアルキル」などの記載において用いられる場合、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を含む。さらに、「ハロアルキル」などの複合語で用いられる場合、または、「ハロゲンで置換されたアルキル」などの記載において用いられる場合、前記アルキルは、同一であっても異なっていてもよいハロゲン原子で部分的にまたは完全に置換されていてもよい。「ハロアルキル」または「ハロゲンで置換されたアルキル」の例としては、FC−、ClCH−、CFCH−およびCFCCl−が挙げられる。「ハロシクロアルキル」、「ハロアルコキシ」、「ハロアルキルチオ」、「ハロアルケニル」、「ハロアルキニル」等といった用語は、用語「ハロアルキル」と同義的に定義される。「ハロアルコキシ」の例としては、CFO−、CClCHO−、HCFCHCHO−およびCFCHO−が挙げられる。「ハロアルキルチオ」の例としては、CClS−、CFS−、CClCHS−およびClCHCHCHS−が挙げられる。「ハロアルキルスルフィニル」の例としては、CFS(O)−、CClS(O)−、CFCHS(O)−およびCFCFS(O)−が挙げられる。「ハロアルキルスルホニル」の例としては、CFS(O)−、CClS(O)−、CFCHS(O)−およびCFCFS(O)−が挙げられる。「ハロアルケニル」の例としては、(Cl)C=CHCH−およびCFCHCH=CHCH−が挙げられる。「ハロアルキニル」の例としては、HC≡CCHCl−、CFC≡C−、CClC≡C−およびFCHC≡CCH−が挙げられる。「ハロアルコキシアルコキシ」の例としては、CFOCHO−、ClCHCHOCHCHO−、ClCCHOCHO−、ならびに、分岐アルキル誘導体が挙げられる。
【0024】
「アルキルカルボニル」は、C(=O)部分に結合した直鎖または分岐アルキル部分を表す。「アルキルカルボニル」の例としては、CHC(=O)−、CHCHCHC(=O)−および(CHCHC(=O)−が挙げられる。「アルコキシカルボニル」の例としては、CHOC(=O)−、CHCHOC(=O)−、CHCHCHOC(=O)−、(CHCHOC(=O)−および異なるブトキシ−またはペンタオキシカルボニル異性体が挙げられる。
【0025】
置換基中の炭素原子の総数は、接頭辞「C〜C」によって示され、ここで、iおよびjは1〜5の数字である。例えば、C〜Cアルコキシは、CHO−、CHCHO−、CHCHCHO−および(CHCHO−を表し;C〜Cアルキルスルホニルはメチルスルホニル〜ブチルスルホニルを表し;CアルコキシアルキルはCHOCH−を表し;Cアルコキシアルキルは、例えば、CHCH(OCH)−、CHOCHCH−またはCHCHOCH−を表し;ならびに、Cアルコキシアルキルは、合計で4個の炭素原子を含有するアルコキシ基で置換されたアルキル基の種々の異性体を表し、例は、CHCHCHOCH−およびCHCHOCHCH−を含む。
【0026】
前記置換基の数が1を超えることが可能であることを示す下付文字を有する置換基で化合物が置換される場合、前記置換基は(1を超える場合)、例えば、(Rといった定義されている置換基の群から独立して選択され、nは、0、1、2または3である。例えばRといった、基が水素であることが可能である置換基を含有する場合、この置換基が水素とされる場合、これは前記基が無置換であることと同等であると認識される。例えば(R(式中、nは0であり得る)といった可変である基が任意選択により1つの位置に結合していると示されている場合、この可変である基の定義において言及されていなくても、この位置には水素が存在していてもよい。ある基の1つ以上の位置が「置換されていない」または「無置換である」と記載されている場合、自由原子価をすべて埋めるために水素原子が結合している。
【0027】
別段の定めがある場合を除き、式1のコンポーネントとしての「環」または「環系」(例えば、Q基)は、炭素環式または複素環式である。「炭素環(carbocyclic ring)」、「炭素環(carbocycle)」または「炭素環系」という用語は、環主鎖を形成する原子が炭素のみから選択された環または環系を表す。「複素環(heterocyclic ring)」、「複素環(heterocycle)」または「複素環系」という用語は、環主鎖を形成する少なくとも1個の原子が炭素ではなく、例えば、窒素、酸素または硫黄である環または環系を表す。典型的には、複素環は、4個以下の窒素、2個以下の酸素、および、2個以下の硫黄を含有する。別段の定めがある場合を除き、炭素環または複素環は、飽和環または不飽和環であることが可能である。「飽和」とは、互いに単結合によって結合された原子から構成された主鎖を有する環を指し;別段の規定がある場合を除き、残りの炭素原子価は水素原子によって占有されている。別段の定めがある場合を除き、「不飽和環」は、部分飽和または完全不飽和であり得る。「完全不飽和環」という表記は、環における原子間の結合が原子価結合理論に従って単結合または二重結合であり、さらに、環における原子間の結合が連続する二重結合を伴うことなく(すなわち、C=C=C、C=C=Nを含まない)可能な限り多数の二重結合を含む原子の環を意味する。「部分飽和環」という用語は、二重結合を介して隣接する環員に結合する少なくとも1個の環員を含む環を表し、これは、概念的には、潜在的に、存在する二重結合の数(すなわち、部分飽和形態)を超える多数の非集積二重結合を隣接する環員間に含んでいる(すなわち、完全不飽和カウンターパート形態)。
【0028】
別段の定めがある場合を除き、複素環および環系は、いずれかの利用可能な炭素または窒素を介して、前記炭素または窒素上の水素原子を置換することにより結合可能である。
【0029】
「芳香族」環原子の各々が基本的に同一の面内にあり、環面に垂直なp−軌道を有しており、ヒュッケルの法則に従うよう(4n+2)π個の電子(nは正の整数である)が環に付随していることを表している。「芳香族環系」という用語は、環系の少なくとも1つの環が芳香族である炭素環式もしくは複素環系を表している。完全不飽和炭素環がヒュッケルの法則を満たす場合、前記環もまた「芳香族環」と呼ばれるまたは「芳香族炭素環」。
【0030】
「芳香族炭素環系」という用語は、環系の少なくとも1つの環が芳香族である炭素環系を表している。完全不飽和複素環がヒュッケルの法則を満たす場合、前記環もまた「芳香族複素環(heteroaromatic ring)」または「芳香族複素環(aromatic heterocyclic ring)」と呼ばれる。「芳香族複素環系」という用語は、環系の少なくとも1つの環が芳香族である複素環系を表す。「非芳香族環系」という用語は、完全飽和、ならびに、部分飽和または完全不飽和であり得る炭素環式または複素環系を表すが、ただし、環系中の環はいずれも芳香族ではない。「非芳香族炭素環系」という用語は、環系中の環がいずれも芳香族ではない炭素環を表す。「非芳香族複素環系」という用語は、環系中の環がいずれも芳香族ではない複素環系を表す。
【0031】
複素環に関連して「置換されていてもよい」という用語は、無置換であるか、または、無置換の類似体が有する生物学的活性を消失させない少なくとも1つの非水素置換基を有する基を指す。本明細書において用いられるところ、別段の定めがある場合を除き、以下の定義が適用される。「置換されていてもよい」という用語は、句「置換または無置換である」または用語「(無)置換である」と同義的に用いられる。別段の定めがある場合を除き、置換されていてもよい基は、その基の置換可能な位置の各々に置換基を有し得、置換の各々は相互に独立している。前記置換基の数が1を超えることが可能であることを示す下付文字を有する置換基で化合物が置換される場合、前記置換基は(1を超える場合)、例えば、(Rといった定義されている置換基の群から独立して選択され、nは、0、1、2または3である。例えばRといった、基が水素であることが可能である置換基を含有する場合、この置換基が水素とされる場合、これは前記基が無置換であることと同等であると認識される。例えば(R(式中、nは0であり得る)といった可変である基が任意選択により1つの位置に結合していると示されている場合、この可変である基の定義において言及されていなくても、この位置には水素が存在していてもよい。ある基の1つ以上の位置が「置換されていない」または「無置換である」と記載されている場合、自由原子価をすべて埋めるために水素原子が結合している。
【0032】
本開示および特許請求の範囲によって言及されているところ、「不飽和または部分飽和複素環」は、少なくとも2個の環員原子が二重結合によって一緒に結合している複素環である。別段の定めがある場合を除き、「不飽和または部分複素環」(例えば、置換基Q)は、部分飽和または完全不飽和であり得る。「完全不飽和複素環」という表記は、環における炭素および/または窒素原子間の結合が原子価結合理論に従って単結合または二重結合であり、さらに、環における炭素および/または窒素原子間の結合が連続する二重結合を伴うことなく(すなわち、C=C=C、N=C=C等を含まない)可能な限り多数の二重結合を含む原子の複素環を意味する。「部分飽和複素環」という用語は、二重結合を介して隣接する環員に結合する少なくとも1個の環員を含む複素環を表し、これは、概念的には、潜在的に、存在する二重結合の数(すなわち、部分飽和形態)を超える多数の非集積二重結合を隣接する環員間に含んでいる(すなわち、完全不飽和カウンターパート形態)。完全不飽和複素環がヒュッケルの法則を満たす場合、前記環もまた「芳香族複素環」または「芳香族複素環」と呼ばれる。
【0033】
発明の概要に示されているとおり、Gは、G−1、G−2、G−3、G−4およびG−5からなる群から選択されるラジカルである。発明の概要に示されているとおり、左に突出するG環の結合は、Lを介して式1の残部に結合されている。G環の右下側に突出する結合は、Q環の結合点を表す。Q環は、G環上の固定された位置に存在し、G環のLへの結合点を基準として「浮動状態」ではないことに注目されたい。しかしながら、発明の概要においてG環上に記載されている(R可変項は、G環について「浮動状態」であり得、従って、対応するG環におけるいずれかの利用可能な炭素原子に結合していてもよいことに注目されたい。
【0034】
発明の概要において、Qの「不飽和または部分飽和」複素環は、1個以下のO原子、1個以下のS原子および4個以下のN原子から独立して選択される4個以下のヘテロ原子ならびに炭素原子から選択される環員(式中、2個以下の炭素原子はC(=O)から独立して選択される)を伴う5員であると特定されている。複素環は、芳香族複素環と式1の残部とを結合する環員に対して遠位にある1個の環員においてR14cまたはR14nから選択される1個の置換基で任意選択により置換される。明細表1に記載されているとおり、Qの5員複素環において、環と式1の残部とを結合する環員に対して遠位にある環員は、結合している環員に対する2つの環結合を介して結合されている。Qの複素環はさらに、炭素原子環員上のR15cおよび窒素原子環員上のR15nから選択される置換基で任意選択により置換される。
【0035】
【化4】
【0036】
Qを形成する一定の複素環は、置換に供されることが可能である2個の遠位の環員を有していてもよい。この状況においては、遠位の環員の一方のみがR14cまたはR14nで置換され得;他方の遠位の環員は、R15cまたはR15nで置換され得る。Qを形成する複素環の遠位の環員のいずれもが置換に供されることが可能ではない場合、複素環におけるいずれかの追加の置換基がR15cまたはR15n選択される。遠位の環員が2個の置換基を有することが可能である場合、一方の置換基はR14cまたはR14nから選択され得、他方の置換基は、R15cまたはR15nから選択され得る。換言すると、Q環は、1個のR14cまたはR14n置換基に限定され、この置換基は遠位の環員に結合していなければならず;そうでなければ、Q環は、いずれかの利用可能な環員において、R15cまたはR15nでさらに置換されることが可能である。
【0037】
基(例えば環)における結合点が浮いて図示されている場合(例えば、明細表4において5員不飽和または部分飽和複素環Q−1〜Q−21により例示されているとおり)、この基は、水素原子の置換により、その基いずれかの利用可能な炭素または窒素を介して式1の残部に結合可能である。基(例えば環)における置換基の結合点が浮いて図示されている場合(例えば、明細表4において、5員不飽和複素環Q−1〜Q−21におけるR14およびR15について例示されているとおり)、この置換基は、水素原子を置換することによりいずれかの利用可能な炭素または窒素原子に結合可能である。
【0038】
芳香族および非芳香族複素環および環系の調製を実現する広く多様な合成方法が技術分野において公知である;広範な概説については、全8巻のComprehensive Heterocyclic Chemistry,A.R.Katritzky and C.W.Rees editors−in−chief,Pergamon Press,Oxford,1984、および、全12巻のComprehensive Heterocyclic Chemistry II,A.R.Katritzky,C.W.Rees and E.F.V.Scriven editors−in−chief,Pergamon Press,Oxford,1996を参照のこと。
【0039】
発明の概要および本開示における他の箇所において特定されているとおり、式1中の連接基Lは−C(R12a)R12b−C(R13a)R13b−であることが可能であり、式中、R12aおよびR12bに結合している炭素原子は、式1中のカルボキサミド窒素原子にも結合している。この文脈において、カルボキサミドは、ZがOである場合には通常のカルボキサミドであり、または、ZがSである場合にはチオカルボキサミドである。
【0040】
また、発明の概要および本開示における他の箇所において特定されているとおり、式1中の連接基Lは、ハロゲンおよびC〜Cアルキルから独立して選択される4個以下の置換基で任意選択により置換される1,2−フェニレンであることが可能である。明細表2に示されているとおり、「1,2−フェニレン」は、オルト位(従って「1,2−」)で分子(例えば式1)の残部に結合しており、ならびに、環上の4つの残りの位置においてハロゲンおよびC〜Cアルキルで任意選択により置換されているベンゼン環を指すと理解される。
【0041】
【化5】
式中、各R51は、独立して、ハロゲンまたはC〜Cアルキルであり得、および、pは、0、1、2、3または4である。
【0042】
任意選択により置換される1,2−フェニレンである連接基Lはさらに、表1〜1221および索引表Aに関連して示されている分子構造によって例示される。
【0043】
本発明の化合物は、1種以上の立体異性体として存在することが可能である。種々の立体異性体は、エナンチオマー、ジアステレオマー、アストロプ異性体および幾何異性体を含む。ある1種の立体異性体が、他の立体異性体と相対的に富化された場合、または、他の立体異性体から分離された場合に、より効果的であり得、および/または、有益な効果を発揮し得ることを当業者は認めるであろう。また、前記立体異性体をどのように分離し、富化し、および/または、選択的に調製するかは当業者に公知である。本発明の化合物は、立体異性体の混合物、個別の立体異性体、または、光学的に活性な形態として存在し得る。例えば、R12bおよびR13bが共にHであると共にR12aおよびR13aがH以外である場合、式1は、R12bおよびR13bが結合している炭素原子にキラル中心を有し、これにより、アンチおよびシンとして示される2種のラセミジアステレオマーが可能とされる。各ラセミジアステレオマーは一対のエナンチオマーから構成され、すなわちアンチジアステレオマーはエナンチオマー1’および1”から構成され、シンジアステレオマーはエナンチオマー2’および2”から構成され、これは、アスタリスク(*)で示されたキラル中心を伴って明細表2において以下に示されているとおりである。
【0044】
【化6】
【0045】
明細書において描かれている分子の描写は立体化学の描写に係る標準的な慣例に従っている。立体構造を示すために、図面の紙面から上方に見ている者に向かっている結合は黒塗りのくさびによって示されており、ここでは、くさびの幅広い側が見ている者に向かって図面の紙面の上方にある原子に結合している。図面の紙面の下方に向かって見ている者から離れていく結合は破線のくさびによって示されており、ここでは、くさびの狭い側が見ている者からさらに離れている原子に結合している。一定幅の線は、黒塗りまたは破線のくさびで示されている結合に対して、反対の方向またはどちらでもない方向の結合を示し;一定幅の線はまた、特定の立体構造を示すことが意図されていない分子または分子の一部における結合を示す。
【0046】
本発明は、例えば、式1’および1”のエナンチオマーが等量であるラセミ混合物を含む。加えて、本発明は、ラセミ混合物と比して式1のエナンチオマーで富化されている化合物を含む。また、例えば、式1’または式1”といった式1の化合物の実質的に純粋なエナンチオマーが含まれる。
【0047】
鏡像異性体的に富化されている場合、1種のエナンチオマーは他のエナンチオマーよりも多量に存在しており、富化の程度は、(2x−1)・100%と定義される鏡像異性体過剰率(「ee」)の表記により定義されることが可能であり、式中、xは混合物中の主たるエナンチオマーのモル分率である(例えば、20%のeeは、エナンチオマーの60:40の比に相当する)。
【0048】
好ましくは、本発明の組成物は、より活性な異性体に関して、少なくとも50%鏡像異性体過剰率;より好ましくは少なくとも75%の鏡像異性体過剰率を有し;さらにより好ましくは少なくとも90%の鏡像異性体過剰率を有し;および、最も好ましくは少なくとも94%の鏡像異性体過剰率を有する。特に注目すべきは、より活性な異性体の鏡像異性体的に純粋な実施形態である。
【0049】
式1の化合物は追加のキラル中心を有していることが可能である。例えば、Rなどの置換基および他の分子成分は、それら自身がキラル中心を含有するものであってもよい。本発明は、これらの追加のキラル中心に関して、ラセミ混合物、ならびに、富加された実質的に純粋な立体構造を含む。
【0050】
本発明の化合物は、式1におけるアミド結合(例えば、C(O)−N)に係る回転の制限により1種以上の配座異性体として存在することが可能である。本発明は、配座異性体の混合物を含む。加えて、本発明は、一方の配座異性体が他方と比して富加された化合物を含む。
【0051】
本発明は、すべての立体異性体、配座異性体およびすべての割合におけるこれらの混合物、ならびに、重水素化化合物などの同位体形態を含む。
【0052】
当業者は、窒素は酸化物への酸化のために利用可能な孤立電子対を必要とするため、すべての窒素含有複素環がN−オキシドを形成可能ではないことを認めるであろう;当業者は、N−オキシドを形成可能である窒素含有複素環を認識するであろう。当業者はまた、第三級アミンはN−オキシドを形成可能であることを認識するであろう。複素環のN−オキシドおよび第三級アミンの調製に係る合成方法は当業者によりきわめて周知であり、過酢酸およびm−クロロ安息香酸(MCPBA)などのペルオキシ酸、過酸化水素、t−ブチルヒドロ過酸化物などのアルキルヒドロ過酸化物、過ホウ酸ナトリウム、ならびに、ジメチルジオキシランなどのジオキシランによる複素環および第三級アミンの酸化が含まれる。N−オキシドの調製に係るこれらの方法は、文献中において広範に記載および概説されており、例えば:T.L.Gilchrist in Comprehensive Organic Synthesis,vol.7,pp 748−750,S.V.Ley,Ed.,Pergamon Press;M.Tisler and B.Stanovnik in Comprehensive Heterocyclic Chemistry,vol.3,pp 18−20,A.J.Boulton and A.McKillop,Eds.,Pergamon Press;M.R.Grimmett and B.R.T.Keene in Advances in Heterocyclic Chemistry,vol.43,pp 149−161,A.R.Katritzky,Ed.,Academic Press;M.Tisler and B.Stanovnik in Advances in Heterocyclic Chemistry,vol.9,pp 285−291,A.R.Katritzky and A.J.Boulton,Eds.,Academic Press;および、G.W.H.Cheeseman and E.S.G.Werstiuk in Advances in Heterocyclic Chemistry,vol.22,pp 390−392,A.R.Katritzky and A.J.Boulton,Eds.,Academic Press.を参照のこと。
【0053】
当業者は、環境において、および、生理的条件下では、化学化合物の塩は対応する非塩形態と平衡状態にあるため、塩は、非塩形態の生物学的実用性を共有することを認識している。それ故、式1の化合物の広く多様な塩が、真菌性植物病原体により引き起こされる植物病害の防除に有用である(すなわち、農学的に好適である)。式1の化合物の塩としては、臭化水素酸、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、酢酸、酪酸、フマル酸、乳酸、マレイン酸、マロン酸、シュウ酸、プロピオン酸、サリチル酸、酒石酸、4−トルエンスルホン酸または吉草酸などの無機酸または有機酸との酸付加塩が挙げられる。式1の化合物がカルボン酸またはフェノールなどの酸性部分を含有する場合、塩としてはまた、ピリジン、トリエチルアミンもしくはアンモニアなどの有機もしくは無機塩基と形成されるもの、または、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウムもしくはバリウムのアミド、水素化物、水酸化物もしくは炭酸塩が挙げられる。従って、本発明は、式1から選択される化合物、そのN−オキシドおよび農学的に好適な塩を含む。
【0054】
式1、その立体異性体、互変異性体、N−オキシドおよび塩から選択される化合物は、典型的には、2つ以上の形態で存在し、式1は、それ故、式1が表す化合物のすべての結晶形態および非結晶形態を含む。非結晶形態は、ワックスおよびガムなどの固形分である実施形態、ならびに、溶液および溶融物などの液体である実施形態を含む。結晶形態は、基本的に単結晶タイプを表す実施形態、および、異形体の混合物を表す実施形態(すなわち、異なる結晶性タイプ)を含む。「異形体」という用語は、異なる結晶形態で結晶化可能である化学化合物の特定の結晶形態を指し、これらの形態は、結晶格子中に分子の異なる配置および/または配座を有する。異形体は同一の化学的組成を有していることが可能であるが、これらはまた、格子中に弱くまたは強固に結合していることが可能である共結晶化水または他の分子の存在または不在により組成が異なっていることが可能である。異形体は、結晶形状、密度、硬度、色、化学的安定性、融点、吸湿性、懸垂性、溶解速度および生物学的利用可能性と同様にこのような化学的、物理的および生物学的特性が異なっていることが可能である。当業者は、式1によって表される化合物の異形体は、式1によって表される同一の化合物の他の異形体または異形体の混合物と比して、有益な効果(例えば、有用な配合物の調製に対する適合性、向上した生物学的性能)を示す可能性があることを認めるであろう。式1によって表される化合物の特定の異形体の調製および単離は、例えば、選択された溶剤および温度を用いる結晶化を含む当業者に公知の方法により達成されることが可能である。多形に関する包括的な考察については、R.Hilfiker,Ed.,Polymorphism in the Pharmaceutical Industry,Wiley−VCH,Weinheim,2006を参照のこと。
【0055】
発明の概要に記載の本発明の実施形態は以下を含む(以下の実施形態において用いられる式1がそのN−オキシドおよび塩を含む場合)。
【0056】
実施形態1.式1の化合物であって、式中、Aは、A−1、A−2、A−4およびA−8からなる群から選択される。
【0057】
実施形態2.式1または実施形態1の化合物であって、式中、Aは、A−1、A−2およびA−8からなる群から選択される。
【0058】
実施形態2a.式1または実施形態1の化合物であって、式中、Aは、A−1、A−2およびA−4からなる群から選択される。
【0059】
実施形態3.式1または実施形態1〜2aのいずれか1つの化合物であって、式中、Aは、A−1およびA−2からなる群から選択される。
【0060】
実施形態3a.式1または実施形態1〜3のいずれか1つの化合物であって、式中、AはA−1である。
【0061】
実施形態4.式1または実施形態1〜3のいずれか1つの化合物であって、式中、AはA−2である。
【0062】
実施形態5.式1の化合物であって、式中、AはA−3である。
【0063】
実施形態6.式1または実施形態1もしくは2aの化合物であって、式中、AはA−4である。
【0064】
実施形態7.式1の化合物であって、式中、AはA−5である。
【0065】
実施形態8.式1の化合物であって、式中、AはA−6である。
【0066】
実施形態8a.式1または実施形態1〜2のいずれか1つの化合物であって、式中、AはA−8である。
【0067】
実施形態8b.式1の化合物であって、式中、AはA−7である。
【0068】
実施形態8c.式1の化合物であって、式中、AはA−9である。
【0069】
実施形態8d.式1の化合物であって、式中、AはA−10である。
【0070】
実施形態8e.式1の化合物であって、式中、AはA−11である。
【0071】
実施形態9.式1または実施形態1〜8eのいずれか1つの化合物であって、式中、ZはOである。
【0072】
実施形態10.式1または実施形態1〜9のいずれか1つの化合物であって、式中、Gは、G−1、G−2、G−3およびG−4からなる群から選択される。
【0073】
実施形態11.式1または実施形態1〜9のいずれか1つの化合物であって、式中、Gは、G−2、G−4およびG−5からなる群から選択される。
【0074】
実施形態12.式1または実施形態1〜10のいずれか1つの化合物であって、式中、Gは、G−1およびG−4からなる群から選択される。
【0075】
実施形態13.式1または実施形態1〜10のいずれか1つの化合物であって、式中、Gは、G−1、G−2およびG−3からなる群から選択される。
【0076】
実施形態14.実施形態1〜10または12〜13のいずれか1つの化合物であって、式中、GはG−1である。
【0077】
実施形態15.式1または実施形態1〜3aもしくは9〜14のいずれか1つの化合物であって、式中、BはCHである。
【0078】
実施形態16.式1または実施形態1〜3aもしくは9〜14のいずれか1つの化合物であって、式中、BはNである。
【0079】
実施形態17.式1または実施形態1〜3aもしくは9〜16のいずれか1つの化合物であって、式中、BはCHである。
【0080】
実施形態18.式1または実施形態1〜3aもしくは9〜16のいずれか1つの化合物であって、式中、BはNである。
【0081】
実施形態18a.式1または実施形態1〜3aもしくは9〜18のいずれか1つの化合物であって、式中、BはNであるが、ただし、BおよびBの少なくとも一方はCHである。
【0082】
実施形態18b.式1または実施形態1〜3aもしくは9〜18のいずれか1つの化合物であって、式中、BはCHである。
【0083】
実施形態19.式1または実施形態1〜3aもしくは9〜18bのいずれか1つの化合物であって、式中、Rは、ハロゲン、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルである。
【0084】
実施形態20.実施形態19の化合物であって、式中、Rは、ハロゲン、CHまたはCハロアルキルである。
【0085】
実施形態20a.実施形態20の化合物であって、式中、Rは、ハロゲンである。
【0086】
実施形態21.実施形態20の化合物であって、式中、Rは、F、Cl、Br、CH、CHFまたはCFである。
【0087】
実施形態21a.実施形態20の化合物であって、式中、Rは、F、Cl、またはBrである。
【0088】
実施形態22.実施形態21の化合物であって、式中、RはCFである。
【0089】
実施形態23.式1または実施形態1〜3、4もしくは9〜14のいずれか1つの化合物であって、式中、Rは、ハロゲン、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルである。
【0090】
実施形態24.実施形態23の化合物であって、式中、Rは、ハロゲン、CHまたはCハロアルキルである。
【0091】
実施形態25.実施形態24の化合物であって、式中、Rは、F、Cl、Br、CH、CHFまたはCFである。
【0092】
実施形態26.実施形態25の化合物であって、式中、Rは、CHFである。
【0093】
実施形態27.式1または実施形態1〜3、4、9〜14もしくは23〜26のいずれか1つの化合物であって、式中、Rは、H、ハロゲン、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルである。
【0094】
実施形態28.実施形態27の化合物であって、式中、Rは、H、ハロゲン、CHまたはCハロアルキルである。
【0095】
実施形態29.実施形態28の化合物であって、式中、Rは、H、F、Cl、Br、CH、CHFまたはCFである。
【0096】
実施形態30.実施形態29の化合物であって、式中、RはHである。
【0097】
実施形態31.式1または実施形態1〜3、4、9〜14もしくは23〜30のいずれか1つの化合物であって、式中、RはCHである。
【0098】
実施形態32.式1または実施形態5もしくは9〜14のいずれか1つの化合物であって、式中、Rは、ハロゲン、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルである。
【0099】
実施形態33.実施形態32の化合物であって、式中、Rは、ハロゲン、CHまたはCハロアルキルである。
【0100】
実施形態34.実施形態33の化合物であって、式中、Rは、F、Cl、Br、CH、CHFまたはCFである。
【0101】
実施形態35.式1または実施形態5、9〜14もしくは32〜34のいずれか1つの化合物であって、式中、Rは、HまたはCHである。
【0102】
実施形態36.式1または実施形態1、6もしくは9〜14のいずれか1つの化合物であって、式中、R9aは、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜CハロアルキルまたはC〜Cアルキルチオである。
【0103】
実施形態36a.実施形態36の化合物であって、式中、R9aは、ハロゲン、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルである。
【0104】
実施形態37.実施形態36aの化合物であって、式中、R9aは、ハロゲン、CHまたはCハロアルキルである。
【0105】
実施形態38.実施形態37の化合物であって、式中、R9aは、F、Cl、Br、CHFまたはCFである。
【0106】
実施形態38a.式1または実施形態1、2a、6、9〜14もしくは36〜38のいずれか1つの化合物であって、式中、R9bは、H、ハロゲン、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルである。
【0107】
実施形態38b.実施形態38aの化合物であって、式中、R9bは、H、ハロゲン、C〜Cアルキルである。
【0108】
実施形態38c.実施形態38bの化合物であって、式中、R9bは、Hまたはメチルである。
【0109】
実施形態38d.実施形態38bの化合物であって、式中、R9bはHである。
【0110】
実施形態39.式1または実施形態7もしくは9〜14のいずれか1つの化合物であって、式中、R10は、ハロゲン、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルである。
【0111】
実施形態40.実施形態39の化合物であって、式中、R10は、ハロゲン、CHまたはCハロアルキルである。
【0112】
実施形態41.実施形態40の化合物であって、式中、R10は、F、Cl、Br、CH、CHFまたはCFである。
【0113】
実施形態42.式1または実施形態8もしくは9〜14のいずれか1つの化合物であって、式中、R11は、ハロゲン、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルである。
【0114】
実施形態43.実施形態42の化合物であって、式中、R11は、ハロゲン、CHまたはCハロアルキルである。
【0115】
実施形態44.実施形態43の化合物であって、式中、R11は、F、Cl、Br、CH、CHFまたはCFである。
【0116】
実施形態44a.式1または実施形態1、2、8aもしくは9〜14のいずれか1つの化合物であって、式中、R20は、Cl、CHまたはCFである。
【0117】
実施形態44b.実施形態44aの化合物であって、式中、R20は、CHまたはCFである。
【0118】
実施形態44c.式1または実施形態1、2、8a、9〜14、44aもしくは44bのいずれか1つの化合物であって、式中、R21は、HまたはCHである。
【0119】
実施形態44d.実施形態44cの化合物であって、式中、R21はHである。
【0120】
実施形態44e.式1または実施形態8bもしくは9〜14のいずれか1つの化合物であって、式中、R22は、F、Cl、CHまたはCFである。
【0121】
実施形態44f.実施形態44eの化合物であって、式中、R22は、F、ClまたはCFである。
【0122】
実施形態44g.式1または実施形態8cもしくは9〜14のいずれか1つの化合物であって、式中、R23は、H、ハロゲン、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルである。
【0123】
実施形態44h.実施形態44gの化合物であって、式中、R23は、ハロゲンである。
【0124】
実施形態44i.実施形態44hの化合物であって、式中、R23は、Brである。
【0125】
実施形態44j.実施形態44gの化合物であって、式中、R23は、C〜Cアルキルである。
【0126】
実施形態44k.実施形態44gの化合物であって、式中、R23は、メチルである。
【0127】
実施形態44l.式1または実施形態8dもしくは9〜14のいずれか1つの化合物であって、式中、R24は、HまたはC〜Cアルキルである。
【0128】
実施形態44m.実施形態44lの化合物であって、式中、R24はHである。
【0129】
実施形態44n.実施形態44lの化合物であって、式中、R24は、メチルである。
【0130】
実施形態44o.式1または実施形態8eもしくは9〜14のいずれか1つの化合物であって、式中、R25は、C〜Cアルキルまたはシクロプロピルである。
【0131】
実施形態44p.実施形態44oの化合物であって、式中、R25は、メチルである。
【0132】
実施形態45.式1または実施形態1〜44pのいずれか1つの化合物であって、式中、Rは、Hまたはシクロプロピルである。
【0133】
実施形態46.実施形態45の化合物であって、式中、RはHである。
【0134】
実施形態47.式1または実施形態1〜46のいずれか1つの化合物であって、式中、Lは、−C(R12a)R12b−C(R13a)R13b−であり;または、F、Cl、BrおよびCHから独立して選択される2個以下の置換基で任意選択により置換された1,2−フェニレンである。
【0135】
実施形態48.実施形態1〜47のいずれか1つの化合物であって、式中、Lは−C(R12a)R12b−C(R13a)R13b−である。
【0136】
実施形態49.式1または実施形態1〜48のいずれか1つの化合物であって、式中、R12aは、HまたはCHである。
【0137】
実施形態50.実施形態49の化合物であって、式中、R12aはHである。
【0138】
実施形態51.式1または実施形態1〜50のいずれか1つの化合物であって、式中、R12bは、HまたはCHである。
【0139】
実施形態52.実施形態51の化合物であって、式中、R12bはHである。
【0140】
実施形態53.式1または実施形態1〜48のいずれか1つの化合物であって、式中、R12aおよびR12bが一緒にされる場合、これらは、一緒になって、CまたはCアルカンジイルとされる。
【0141】
実施形態54.実施形態53の化合物であって、式中、R12aおよびR12bは、一緒になって、Cアルカンジイル(すなわち、R12aおよびR12bは、これらが結合している炭素と一緒になって、シクロプロピル環を形成する)とされる。
【0142】
実施形態55.式1または実施形態1〜54のいずれか1つの化合物であって、式中、R13aは、H、CHまたはOCHである。
【0143】
実施形態56.実施形態55の化合物であって、式中、R13aは、HまたはCHである。
【0144】
実施形態57.実施形態56の化合物であって、式中、R13aはHである。
【0145】
実施形態58.式1または実施形態1〜57のいずれか1つの化合物であって、式中、R13bは、HまたはCHである。
【0146】
実施形態59.実施形態58の化合物であって、式中、R13bはHである。
【0147】
実施形態60.式1または実施形態1〜54のいずれか1つの化合物であって、式中、R13aおよびR13bが一緒とされる場合、これらは、一緒になって、CまたはC
アルカンジイルとされる。
【0148】
実施形態61.実施形態60の化合物であって、式中、R13aおよびR13bは、一緒になって、Cアルカンジイル(すなわち、R13aおよびR13bは、これらが結合している炭素と一緒になって、シクロプロピル環を形成する)とされる。
【0149】
実施形態62.式1または実施形態1〜47のいずれか1つの化合物であって、式中、Lが1,2−フェニレンを含む場合、前記1,2−フェニレンは、F、Cl、BrおよびCHから独立して選択される2個以下の置換基で任意選択により置換される。
【0150】
実施形態63.実施形態62の化合物であって、式中、Lが1,2−フェニレンを含む場合、前記1,2−フェニレンは、FおよびCHから独立して選択される2個以下の置換基で任意選択により置換される。
【0151】
実施形態64.実施形態63の化合物であって、式中、Lが1,2−フェニレンを含む場合、前記1,2−フェニレンは、無置換である(式1の残部への結合を除く)。
【0152】
実施形態65.式1または実施形態1〜47もしくは62〜64のいずれか1つの化合物であって、式中、Lは1,2−フェニレンを含む。
【0153】
実施形態66.式1または実施形態1〜65のいずれか1つの化合物であって、式中、各Rは、独立して、ハロゲンまたはC〜Cアルキルである。
【0154】
実施形態67.実施形態66の化合物であって、式中、各Rは、独立して、F、Cl、BrまたはCHである。
【0155】
実施形態68.実施形態67の化合物であって、式中、各Rは、独立して、FまたはClである。
【0156】
実施形態69.実施形態68の化合物であって、式中、各Rは、独立して、Fである。
【0157】
実施形態70.実施形態68の化合物であって、式中、各Rは、独立して、Clである。
【0158】
実施形態71.式1または実施形態1〜70のいずれか1つの化合物であって、式中、nは、0、1または2である。
【0159】
実施形態72.実施形態71の化合物であって、式中、nは0または1である。
【0160】
実施形態73.式1または実施形態1〜61のいずれか1つの化合物であって、式中、Lが−C(R12a)R12b−C(R13a)R13b−であると共に、GがG−1およびG−4から選択される場合、nは1であると共にG環はLに対する結合を基準としてオルト位においてRで置換される。
【0161】
実施形態74.実施形態73の化合物であって、式中、Rは、Clである。
【0162】
実施形態75.式1または実施形態1〜47もしくは62〜71のいずれか1つの化合物であって、式中、Lが1,2−フェニレンであり、GがG−1およびG−4から選択される場合、nは1であると共にG環はQに対する結合を基準としてオルト位である1つのRで置換されている。
【0163】
実施形態76.実施形態75の化合物であって、式中、Lが1,2−フェニレンである場合、Gは、Qに対する結合を基準としてオルト位においてFで置換されている。
【0164】
実施形態77.式1または実施形態1〜76のいずれか1つの化合物であって、式中、複素環Qは少なくとも1つの窒素原子環員を含有する。
【0165】
実施形態78.実施形態77の化合物であって、式中、複素環Qは2つの窒素原子環員を含有する。
【0166】
実施形態79.式1または実施形態1〜78のいずれか1つの化合物であって、式中、複素環Qは完全不飽和である(すなわち芳香族複素環式である)。
【0167】
実施形態80.式1または実施形態1〜79のいずれか1つの化合物であって、式中、複素環Qは、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、ピラゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,5−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,2,5−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、テトラゾール、4,5−ジヒドロイソキサゾールおよび4,5−ジヒドロピラゾールから選択される。
【0168】
実施形態81.実施形態80の化合物であって、式中、複素環Qは、ピラゾールから選択される。
【0169】
実施形態82.実施形態80の化合物であって、式中、Qは、明細表4に示されているQ−1〜Q−21から選択される。
【化7】
(式中、
14は、Q環と式1の残部とを結合する環員を基準として遠位の環員に結合されており、炭素原子環員上のR14cおよび窒素原子環員上のR14nから独立して選択され;
各R15は、炭素原子環員上のR15cおよび窒素原子環員上のR15nから独立して選択され;
各xは、独立して、0または1であり;
各yは、独立して、0、1または2であり;ならびに
各zは、独立して、0、1、2または3である。)
【0170】
実施形態83.実施形態82の化合物であって、式中、Qは、Q−1〜Q−19から選択される。
【0171】
実施形態84.実施形態82の化合物であって、式中、Qは、
【化8】
から選択される。
【0172】
実施形態85.実施形態84の化合物であって、式中、Qは、Q−9AおよびQ−9Bから選択される。
【0173】
実施形態86.実施形態85の化合物であって、式中、QはQ−9Aである。
【0174】
実施形態87.実施形態82〜86のいずれか1つの化合物であって、式中、yは0または1である。
【0175】
実施形態88.式1または実施形態1〜87のいずれか1つの化合物であって、式中、各R14cは、独立して、ハロゲン、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜CアルコキシまたはC〜Cハロアルコキシである。
【0176】
実施形態89.実施形態88の化合物であって、式中、各R14cは、独立して、ハロゲン、CHまたはCハロアルキルである。
【0177】
実施形態90.実施形態89の化合物であって、式中、各R14cは、独立して、F、Cl、Br、CH、CHFまたはCFである。
【0178】
実施形態91.実施形態90の化合物であって、式中、各R14cは、独立して、CFである。
【0179】
実施形態92.式1または実施形態1〜91のいずれか1つの化合物であって、式中、各R14nは、独立して、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルである。
【0180】
実施形態93.実施形態92の化合物であって、式中、各R14nはC〜Cアルキルである。
【0181】
実施形態94.実施形態93の化合物であって、式中、各R14nはCHである。
【0182】
実施形態95.式1または実施形態1〜94のいずれか1つの化合物であって、式中、各R15cは、独立して、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜CハロアルキルまたはC〜Cアルコキシである。
【0183】
実施形態96.実施形態95の化合物であって、式中、各R15cは、独立して、ハロゲン、CHまたはCハロアルキルである。
【0184】
実施形態97.実施形態96の化合物であって、式中、各R15cは、独立して、F、Cl、Br、CH、CHFまたはCFである。
【0185】
実施形態98.式1または実施形態1〜97のいずれか1つの化合物であって、式中、各R15nは、独立して、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルである。
【0186】
実施形態99.実施形態98の化合物であって、式中、各R15nはC〜Cアルキルである。
【0187】
実施形態100.実施形態99の化合物であって、式中、各R15nはCHである。
【0188】
実施形態101.式1または実施形態1〜100のいずれか1つの化合物であって、式中、各R16、R17c、R18およびR19cは、独立して、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜CハロアルキルまたはC〜Cアルコキシである。
【0189】
実施形態102.実施形態101の化合物であって、式中、各R16、R17c、R18およびR19cは、独立して、ハロゲン、CHまたはCハロアルキルである。
【0190】
実施形態103.実施形態102の化合物であって、式中、各R16、R17c、R18およびR19cは、独立して、F、Cl、Br、CH、CHFまたはCFである。
【0191】
実施形態104.式1または実施形態1〜103のいずれか1つの化合物であって、式中、各R17nおよびR19nは、独立して、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルである。
【0192】
実施形態105.実施形態104の化合物であって、式中、各R17nおよびR19nは、独立して、C〜Cアルキルである。
【0193】
実施形態106.実施形態105の化合物であって、式中、各R17nおよびR19nはCHである。
【0194】
上記の実施形態1〜106を含む本発明の実施形態、ならびに、本明細書に記載のいずれかの他の実施形態はいずれかの様式で組み合わされることが可能であり、実施形態における可変要素の記載は、式1の化合物だけではなく、式1の化合物の調製に有用な出発化合物および中間体化合物にも関する。加えて、上記の実施形態1−106を含む本発明の実施形態、ならびに、本明細書に記載のいずれかの他の実施形態、ならびに、いずれかのこれらの組み合わせは、本発明の組成物および方法に関する。
【0195】
実施形態1〜106の組み合わせが以下に例示されている。
実施形態A.式1の化合物であって、式中、
ZはOであり;
Lは、−C(R12a)R12b−C(R13a)R13b−であり;または、F、Cl、BrおよびCHから独立して選択される2個以下の置換基で任意選択により置換された1,2−フェニレンであり;
Gは、G−1、G−2、G−3およびG−4からなる群から選択され;
各Rは、独立して、ハロゲンまたはC〜Cアルキルであり;
nは0、1または2であり;
は、ハロゲン、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルであり;
は、ハロゲン、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルであり;
は、H、ハロゲン、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルであり;
はCHであり;
は、ハロゲン、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルであり;
はHまたはCHであり;
9aは、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜CハロアルキルまたはC〜Cアルキルチオであり;
9bは、H、ハロゲンまたはC〜Cアルキルであり;
10は、ハロゲン、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルであり;
11は、ハロゲン、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルであり;
22は、F、Cl、CHまたはCFであり;
12aはHまたはCHであり;
12bはHもしくはCHであり;または
12aおよびR12bは、CまたはCアルカンジイルとされ;
13aは、H、CHまたはOCHであり;
13bはHもしくはCHであり;または
13aおよびR13bは、一緒になってCまたはCアルカンジイルとされ;
QはQ−1〜Q−21であり(実施形態82に記載のとおり);
各R16、R17c、R18およびR19cは、独立して、F、Cl、Br、CH、CHFまたはCFであり;ならびに
各R17nおよびR19nはCHである。
【0196】
実施形態B.実施形態Aの化合物であって、式中、
Aは、A−1、A−2、A−4およびA−8からなる群から選択され;
Lは、−C(R12a)R12b−C(R13a)R13b−であり;
Gは、G−1およびG−4からなる群から選択され;
はCHであり;
各Rは、独立して、H、F、Cl、BrまたはCHであり;
nは0または1であり;
は、F、Cl、Br、CH、CHFまたはCFであり;
は、F、Cl、Br、CH、CHFまたはCFであり;
は、H、ハロゲン、CHまたはCハロアルキルであり;
はCHであり;
9aは、ハロゲン、F、Cl、Br、CHFまたはCFであり;
9bは、H、ハロゲンまたはC〜Cアルキルであり;
20は、Cl、CHまたはCFであり;
21はHまたはCHであり;
14cは、独立して、F、Cl、Br、CH、CHFまたはCFであり;
Qは、Q−9A、Q−9BおよびQ−9Cから選択され(実施形態84に記載のとおり);
各R14nはCHであり;
各R15cは、独立して、F、Cl、Br、CH、CHFまたはCFであり;ならびに
各R15nはCHである。
【0197】
実施形態C.実施形態Bの化合物であって、式中、
Aは、A−1、A−2およびA−8からなる群から選択され;
はNであり;
はCHであり;
はHであり;
Gは、Qに対する結合を基準としてオルト位の少なくとも1つのRで置換されるG−1であり;
各Rは、独立して、FまたはClであり;
Qは、Q−9AおよびQ−9Bから選択され;
はCFであり;
はCHFであり;
は、H、F、Cl、Br、CH、CHFまたはCFであり;
20は、CHまたはCFであり;
21はHであり;
12aはHであり;
12bはHであり;
13aはHまたはCHであり;ならびに
13bはHである。
【0198】
実施形態D.実施形態Aの化合物であって、式中、
Aは、A−1、A−2およびA−4からなる群から選択され;
Lは、F、Cl、BrおよびCHから独立して選択される2個以下の置換基で任意選択により置換された1,2−フェニレンであり;
Gは、G−1、G−2およびG−3から選択され;
各Rは、独立して、F、Cl、BrまたはCHであり;
nは0または1であり;
は、F、Cl、Br、CH、CHFまたはCFであり;
は、F、Cl、Br、CH、CHFまたはCFであり;
は、H、ハロゲン、CHまたはCハロアルキルであり;
はCHであり;
9aは、ハロゲン、F、Cl、Br、CHFまたはCFであり;
9bはHまたはメチルであり;
Qは、Q−9A、Q−9BおよびQ−9Cから選択され(実施形態84に記載のとおり);
14cは、独立して、F、Cl、Br、CH、CHFまたはCFであり;
各R14nはCHであり;
各R15cは、独立して、F、Cl、Br、CH、CHFまたはCFであり;ならびに
各R15nはCHである。
【0199】
実施形態E.実施形態Dの化合物であって、式中、
Aは、A−1およびA−2からなる群から選択され;
Lは、FおよびCHから独立して選択される2個以下の置換基で任意選択により置換される1,2−フェニレンであり;
はCHであり;
はCHであり;
GはG−1であり;
各Rは、独立して、FまたはClであり;
はCFであり;
はCHFであり;
は、H、F、Cl、Br、CH、CHFまたはCFであり;ならびに
Qは、Q−9AおよびQ−9Bから選択される。
【0200】
実施形態F.実施形態Eの化合物であって、式中、
AはA−1であり;
Lは1,2−フェニレンであり;
はNであり;
Gは、Qとの結合に結合した式1における結合に対するオルト位で少なくとも1個のRで置換され;
各Rは、独立して、FまたはClであり;および
QはQ−9Aである。
【0201】
特定の実施形態は、以下からなる群から選択される式1の化合物を含む。
3−(ジフルオロメチル)−N−[2−[5−フルオロ−6−[3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−3−ピリジニル]フェニル]−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(化合物68);
3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−N−[2−[2−[3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−5−ピリミジニル]フェニル]−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(化合物58);
3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−N−[2−[6−[3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−3−ピリダジニル]フェニル]−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(化合物54);
3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−N−[2−[5−[3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−2−ピラジニル]フェニル]−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(化合物2);
3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−N−[1−メチル−2−[6−[3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−3−ピリジニル]エチル]−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(化合物83);および
N−[1−メチル−2−[6−[3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−l−イル]−3−ピリジニル]エチル]−3−(トリフルオロメチル)−2−ピリジンカルボキサミド(化合物84)。
【0202】
特定の実施形態はまた、以下からなる群から選択される式1の化合物を含む。
3−(ジフルオロメチル)−N−[2−[6−[3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−3−ピリジニル]フェニル]−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(化合物51);
N−[2−[5−クロロ−6−[3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−3−ピリジニル]フェニル]−3−(トリフルオロメチル)−2−ピリジンカルボキサミド(化合物34);
N−[2−[5−フルオロ−6−[3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−3−ピリジニル]フェニル]−3−(トリフルオロメチル)−2−ピリジンカルボキサミド(化合物50);
N−[2−[5−クロロ−6−[3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−3−ピリジニル]フェニル]−3−ヨード−2−チオフェンカルボキサミド(化合物169);
N−[2−[5−フルオロ−6−[3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−3−ピリジニル]フェニル]−3−ヨード−2−チオフェンカルボキサミド(化合物159);
5−ブロモ−N−[2−[5−クロロ−6−[3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−3−ピリジニル]フェニル]−4−チアゾールカルボキサミド(化合物171);
N−[2−[5−クロロ−6−[3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−3−ピリジニル]フェニル]−5−ヨード−4−チアゾールカルボキサミド(化合物103);
3−ブロモ−N−[2−[5−クロロ−6−[3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−3−ピリジニル]フェニル]−2−チオフェンカルボキサミド(化合物175);
N−[2−[5−クロロ−6−[3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−3−ピリジニル]フェニル]−3−ヨード−2−ピリジンカルボキサミド(化合物124);
3−ブロモ−N−[2−[5−クロロ−6−[3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−3−ピリジニル]フェニル]−2−ピリジンカルボキサミド(化合物125);
N−[2−[5−クロロ−6−[4−クロロ−1H−ピラゾール−1−イル]−3−ピリジニル]フェニル]−3−(トリフルオロメチル)−2−ピリジンカルボキサミド(化合物61);
2−(トリフルオロメチル)−N−[2−[5−[3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−2−ピラジニル]フェニル]ベンズアミド(化合物1);
3−(トリフルオロメチル)−N−[2−[2−[3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−5−ピリミジニル]フェニル]−2−ピリジンカルボキサミド(化合物56);
N−[2−[5−クロロ−6−(1H−ピラゾール−1−イル)−3−ピリジニル]フェニル]−3−(トリフルオロメチル)−2−ピリジンカルボキサミド(化合物186)および
N−[2−[5−ブロモ−6−[3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−3−ピリジニル]フェニル]−3−(トリフルオロメチル)−2−ピリジンカルボキサミド(化合物187)。
【0203】
本発明はまた、式1の化合物(すべての立体異性体、そのN−オキシドおよび塩を含む)と、少なくとも1種の他の殺菌・殺カビ剤とを含む殺菌・殺カビ組成物を提供する。このような組成物の実施形態として注目すべきは、上記の化合物実施形態のいずれかに対応する化合物を含む組成物である。
【0204】
本発明はまた、式1の化合物(すべての立体異性体、そのN−オキシドおよび塩を含む)(すなわち、殺菌・殺カビ的に有効な量で)と、界面活性剤、固体希釈剤および液体希釈剤からなる群から選択される少なくとも1種の追加のコンポーネントとを含む殺菌・殺カビ組成物を提供する。このような組成物の実施形態として注目すべきは、上記の化合物実施形態のいずれかに対応する化合物を含む組成物である。
【0205】
本発明はまた、植物もしくはその一部または植物種子に、殺菌・殺カビ的に有効な量の式1の化合物(すべての立体異性体、そのN−オキシドおよび塩を含む)を適用するステップを含む真菌性植物病原体により引き起こされる植物病害を防除する方法を提供する。このような方法の実施形態として注目すべきは、上記の化合物実施形態のいずれかに対応する化合物を殺菌・殺カビ的に有効な量で適用するステップを含む方法である。特に注目すべきは、化合物が本発明の組成物として適用される実施形態である。
【0206】
スキーム1〜21に記載の以下の方法および変形の1つ以上を用いて、式1の化合物を調製することが可能である。以下の式1〜27の化合物におけるA、Z、R、GおよびQの定義は、別段の定めがある場合を除き、発明の概要において上記に定義されているとおりである。式1A、1B、1C、1D、1E、1F、7A、7B、9A、9B、9C、9D、9E、9F、13A、14A、15A、16A、16B、17A、24Aおよび24Bの化合物はそれぞれ、式1、7、9、13、14、15、16、17および24の化合物の種々のサブセットであり、式1A、1B、1C、1D、1E、1F、7A、7B、9A、9B、9C、9D、9E、9F、13A、14A、15A、16A、16B、17A、24Aおよび24Bに係るすべての置換基は、式1について上記に定義されているとおりである。
【0207】
式1Bの化合物(すなわち、ZがSである式1の化合物のサブセット)は、スキーム1において例示されているとおり調製されることが可能である。式1Aの前駆体(すなわち、ZがOである式1の化合物)の五硫化リンまたはローソン試薬[2,4−ビス−(4−メトキシフェニル)−1,3−ジチア−2,4−ジホスフェタン2,4−ジスルフィド]による、ジオキサンまたはトルエンなどの不活性溶剤中における0℃〜溶剤の還流温度の範囲の温度で0.1〜72時間の処理により、式1Bのチオンが得られる。この種の変換は、文献において周知であり、典型例が、米国特許第3,755,582号明細書において例示されている。
【0208】
【化9】
【0209】
式1Cの化合物(すなわち、ZがOであり;および、QがN−結合複素環Qである式1の化合物のサブセット)および式1Dの化合物(すなわち、ZがOであり;および、QがC−結合複素環Qである式1の化合物のサブセット)は、以下のスキーム2において概要が述べられているとおり、式2の化合物の中間体から調製可能である。
【0210】
【化10】
【0211】
式1Cの化合物の調製は、不活性溶剤中における、0.1〜1.0当量の好適なリガンド、0.1〜1.0当量の銅(I)塩および5〜10当量のカーボネート塩基の存在下での式2の中間体と1〜3当量の式3の複素環(式中、Hは複素環の窒素原子に結合している)とのブッフバルトーハートウィッグカップリングを介して達成可能である。このような形質転換は、文献において詳述されている(例えば、Tetrahedron Letters 2010,52(38),5052、および、J.Med.Chem.2010,53(10),4248を参照のこと)。この反応に係る典型的なリガンドは、フェナントロリン1,2−ジアミノシクロヘキサンまたは1,2−ジアルキルアミノシクロヘキサンであり、一方で、CuIおよびCuBrが銅(I)塩として利用され得る。ナトリウムまたは炭酸カリウムなどのカーボネート塩基もまた塩基として用いられることが可能である。この反応に係る好適な溶剤は、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンまたはトルエンであり、反応は、周囲温度〜溶剤の還流温度の範囲の温度で、1〜48時間の時間で実施される。式3のアミンは市販されているか、または、当業者によって十分に確立されたプロトコルを用いて容易に調製可能である。スキーム2における式1Dの化合物は、Angew.Chem.Int.Ed.2006,45,3484およびTetrahedron Letters 2002,58(14),2885に開示されている通例実施される方法と同様に記載のとおり、触媒量のパラジウム(0)とリガンド、または、パラジウム(II)塩とリガンドの存在下における式2の中間体と1当量以上の式4の化合物などのホウ素中間体とのスズキ−ミユラカップリングを介して調製可能である。この反応は、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランおよびアセトニトリルから選択される溶剤中において実施されることが可能である。塩基はまた、5〜20当量の範囲の量で存在する。この変換に好適な塩基としては、ナトリウム、カリウムまたは炭酸セシウムが挙げられ、一方で、Pd(OAc)またはPdClなどのパラジウム(II)塩が通例、トリフェニルホスフィンまたは1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンなどのリガンドと併せて利用される。この反応は、周囲温度〜溶剤の還流温度の範囲の温度で実施される。式4のホウ素中間体は、市販されているか、または、例えば、国際公開第2007/034278号パンフレット、米国特許第8,080,566号明細書、Org.Lett.2011,13(6),1366、および、Org.Lett.2012,14(2),600に開示されている公知の方法を介して対応するハライドもしくはトリフレートから容易に調製されることが可能である。
【0212】
あるいは、式1Cおよび1Dの化合物は、以下のスキーム3に示されているとおり、式5の化合物のホウ素中間体から調製可能である。式5の化合物の中間体の式1Cの化合物へのチャン−ラム転換は、Tetrahedron Letters 1998,38,2941、または、Chemistry Letters 2010,39(7),764に記載のとおり達成することが可能である。式5の中間体は、不活性溶剤中において、1〜2当量の式3の複素環式アミン(すなわち、Qが、結合に利用可能な遊離NHを有する複素環である)および塩基と、1〜5当量のCu(II)塩の存在下に、周囲温度〜溶剤の還流温度の範囲の温度で、24〜72時間かけて、反応される。好適な溶剤としては、ジクロロメタン、クロロホルム、ジエチルエーテルおよびテトラヒドロフランが挙げられる。好適な塩基としては、ピリジン、キノリンおよびトリエチルアミンが挙げられ、これらは、1〜5当量の量で用いられることが可能である。用いられ得るCu(II)塩の例としては、Cu(OAc)、CuBrおよびCuIが挙げられ、これらは、1〜5当量の範囲の量で用いられることが可能である。式3のアミンは市販されているか、または、上記のとおり容易に調製される。式1Dの化合物は、式5のホウ素中間体を式6の複素環中間体(式中、Xは複素環の炭素原子に結合している)と反応させることにより入手することが可能である。このスズキ−ミユラカップリングを実施するための方法は、式1Dの化合物を得るための式2の化合物の中間体と式4のホウ素中間体とのカップリングについてスキーム2において上記されているものと同様である。式6の中間体は市販されているか、または、公知の方法論により当業者によって容易に調製されることが可能である。
【0213】
【化11】
【0214】
式5のホウ素中間体は、スキーム2における式2の中間体から、スキーム2における対応するハライドまたはトリフレートからの式4のホウ素中間体の調製について上記されているものと同一の方法を用い、国際公開第2007/034278号パンフレット、米国特許第8,080,566号明細書、Org.Lett.2011,13(6),1366、および、Org.Lett.2012,14(2),600に記載のとおり調製可能である。上記のスキーム2中の式2の化合物は、スキーム4に示されているとおり、式7のアミンと式8の酸中間体とをカップリングすることにより調製可能である。このようなカップリングは有機合成においては一般的であり、広く多様な条件下で実施可能である(March,Advanced Organic Chemistry,3rd ed.,John Wiley & Sons,New York,1985,p.1152を参照のこと)。
【0215】
【化12】
【0216】
式7Aの中間体(すなわち、Rがシクロプロピルである式7の化合物のサブセット)は、J.Med.Chem.2008,51(11),3238および米国特許出願公開第2009/0176844号明細書において考察されているものと同様の方法により、以下のスキーム5に示されているとおり、式9の第一級アミンから合成可能である。式9の化合物は、酢酸/メタノール溶液中の1〜4当量の1−エトキシ−1−(トリメチルシリルオキシ)プロパン(10)で、1〜24時間、周囲温度〜溶剤の還流温度の範囲の温度で処理される。分子ふるいが存在していることも可能である。次いで、シアノ水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤を反応混合物に添加することが可能であり、続いて、1〜24時間、0℃〜溶剤の還流温度の範囲の温度でさらに反応が行われる。スキーム5中の式9の化合物は技術分野において公知であり、例えば、国際公開第2011/047156号パンフレット、国際公開第2006/117358号パンフレット、Angewandte Chemie,Int.Ed.2012,51(24),5920、および、Tetrahedron Letters 1993,34(13),2127に見出される確立された方法を用いて合成可能である。
【0217】
【化13】
【0218】
スキーム6に示されている式7Bの中間体(すなわち、RがC〜Cアルコキシであると共に、Lが−C(H)R12b−C(R13a)R13b−である式7の化合物の他のサブセット)は、米国特許出願公開第2011/0230537号明細書、国際公開第2011/147690号パンフレットおよび国際公開第2010/063700号パンフレットに記載のとおり、式11のカルボニル中間体からオキシム化、および、その後のシアノ水素化ホウ素ナトリウムによる還元を介して入手可能である。式11の中間体は市販されているか、または、国際公開第2009/076747号パンフレット、国際公開第2010/135650号パンフレット、国際公開第2011/032277号パンフレット、国際公開第2012/043791号パンフレットおよび国際公開第2011/152485号パンフレットに記載のものと同様の方法により調製可能である。
【0219】
【化14】
【0220】
式1Eの化合物(すなわち、ZがOであり;および、RがHである式1の化合物のサブセット)は、以下のスキーム7に示されているとおり、式9Aのアミンと式8の化合物とを反応させることにより調製可能である。この反応は、上記のスキーム4における式2の化合物の調製において記載の方法を用いて達成可能である。
【0221】
【化15】
【0222】
式13Aのアミン前駆体は、以下のスキーム8に例示されている反応列を介して既述の式9のアミンから合成可能である。式9のアミンの化合物は、適切な保護基「PG」(すなわち、式中、PGはBOC−、PhCHOC(O)−等である)で保護されて、式13Aの化合物などのN−保護中間体をもたらすことが可能である。式13Aの中間体の式13の中間体への変換は、スキーム2に示されている式2の化合物の式1Cおよび式1Dの化合物への転換に示されているものと同様の方法を用いて達成可能である。次いで、式13の中間体を保護して、式9Aの中間体を得ることが可能である。Greene,T.W.;Wuts,P.G.M.Protective Groups in Organic Synthesis,2nd ed.;Wiley:New York,1991に概要が述べられているとおり、多くの種類の保護基がこの反応列に利用可能であり、作業を行う化学者は、どの保護基が反応列に適切であるかを認識しているであろう。
【0223】
【化16】
【0224】
式9Bのアミン中間体(すなわち、Lが−C(R12a)H−C(H)R13b−であり、および、R13bがH、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルである式9の化合物のサブセット)は、以下のスキーム9に示されているとおり、式14のニトロ中間体の還元を介して入手可能である。
【0225】
【化17】
【0226】
この反応は、Fe(0)、Zn(0)またはSnClを、水性酸性媒体中にて、周囲温度〜溶剤の還流温度の範囲の温度で用いて実施可能である。メタノール、エタノール、プロパノールおよびi−プロパノールなどのアルコール系共溶剤もこの反応において利用し得る。水性塩酸、臭化水素酸、酢酸または水性NHClなどのプロトン供給源がこの反応において用いられ得る。反応は0.25時間〜24時間の間実施されて式9Bの化合物が得られ、これは、酸塩として、さらに精製を行うことなく粗中間体として用いられることが可能である。あるいは、塩は、作業を行う化学者に知られている手法を用いて対応するアミンに中和され得る。対象となる還元に係る典型的な例は、J.Labelled Compounds & Radiopharmaceuticals 2011,54(5),239、および、国際公開第2011/138657号パンフレットに記載されている。
【0227】
式14の中間体は、スキーム10に示されているとおり、式15のニトロオレフィン中間体のナトリウムボロハイドライド還元によって調製可能である。この種の還元に係る典型的な手法は、例えば、Med.Chem.Lett.2012,3(1),5、および、国際公開第2011/124704号パンフレットにおいて見出されることが可能である。
【0228】
【化18】
【0229】
式15のニトロオレフィン中間体は、スキーム11に記載のとおり、式16の中間体を式17のニトロ化合物と反応させることにより合成可能である。この反応は、国際公開第2007/141009号パンフレットにおいて同様に開示されているとおり、酢酸中において、酢酸アンモニウムの存在下で簡便に実施される。
【0230】
【化19】
【0231】
式16の中間体は、式2の化合物の中間体からの式1Cおよび式1Dの化合物の調製に係るスキーム2において既に概要が述べられている方法に従って、スキーム12における式16Aの前駆体から容易に調製可能である。式16Aの化合物の前駆体は市販の供給者から容易に入手可能であるか、または、国際公開第2012/044567号パンフレット、国際公開第2012/110860号パンフレット、国際公開第2012/103297号パンフレットおよび国際公開第2011/156698号パンフレットに開示されているものなどの公知の方法によって調製可能である。
【0232】
【化20】
【0233】
あるいは、式9Cのアミン(すなわち、QがN−結合複素環、Qであり;および、R13aがHである式9のサブセット)は、以下のスキーム13に示されているとおり、式16Bのカルボニル中間体から合成可能である。式16Aの中間体は、NaH、KCO、NaCOおよびt−BuOなどの好適な塩基の存在下に、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシドまたはN,N−ジメチルホルムアミドなどの非プロトン性溶剤中において、周囲温度〜溶剤の還流温度の範囲の温度で式3の化合物と反応に供されて、16Bの化合物が得られる。適切な塩基は1.0〜3当量の範囲の量で利用可能であり、反応時間は0.5〜24時間の範囲である。次いで、式16Bの中間体は、式16の化合物からの式9Bの化合物の同様の調製に係るスキーム11、10および9に既述の同一の反応列を用いて、式9Cのアミンに転換され得る。
【0234】
【化21】
【0235】
式9Dのアミン中間体(すなわち、Lが−C(R12a)H−C(R13a)R13b−であり;R13aが、C〜Cアルコキシ、C〜CアルキルチオまたはC〜Cアルコキシアミノであり;および、R13bがH、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルである式9のサブセット)は、以下のスキーム14に示されているとおり、式14Aの中間体から、式14のニトロ前駆体から式9Bのアミンへの還元に係るスキーム9において上記されている同一の手法を用いて調製されることが可能である。
【0236】
【化22】
【0237】
スキーム15に示されているとおり、式14Aの中間体は、既述の式15Aのニトロオレフィン(すなわち、R13aがC〜Cアルコキシ、C〜CアルキルチオまたはC〜Cアルコキシアミノである式15の化合物)から、国際公開第2008/148570号パンフレットに開示されているものなどの技術分野において公知である方法を用いて入手可能である。
【0238】
【化23】
【0239】
以下の式9Aのアミン(すなわち、Lが−C(H)H−C(R13a)R13b−であり;ならびに、R13aおよびR13bが、H、C〜Cアルキルであり、または、R13aおよびR13bが、一緒になってC〜Cアルカンジイルとされた式9の化合物)は、式17の中間体から、スキーム16に示されているとおり、欧州特許出願公開第1500651号明細書に記載されているものと同様の反応列により入手可能である。式17Aの中間体は、式2の化合物からの式1Cおよび式1Dの化合物の調製に係るスキーム2において概要が述べられている手法に従って、式17の前駆体から調製可能である。式17の前駆体は市販されているか、または、種々の公知の方法と同様の方法で合成可能である(例えば、国際公開第2008/144222号パンフレット、国際公開第2011/159760号パンフレットおよび欧州特許出願公開第1500651号明細書を参照のこと)。
【0240】
【化24】
【0241】
式9Eのアミン(すなわち、Lが−CHCHF−である式9の化合物)は、以下のスキーム17に示されているとおり、式18のケトン中間体から調製可能である。式9Eの化合物の調製に関して、式18のケトンから式19のアルコールへの還元は、J.Agricultural and Food Chemistry,2006,54(1),125に概要が述べられているとおり、NaBHなどの還元剤を用いて達成可能である。三フッ化ジエチルアミノ硫黄(すなわち、DAST)などのフッ素化試薬によるその後の反応で、国際公開第2006/015159号パンフレットに記載のものと同様の方法により式20の中間体を得ることが可能である。次いで、式9Eのアミンへの転換は、式9のアミンから式9Aのアミンへの転換に係るスキーム8における既述の反応列に従って達成可能である。
【0242】
【化25】
【0243】
式9Fのアミン(すなわち、Lが−CHCF−である式9の化合物)は、以下のスキーム18に示されているとおり、式18のケトン中間体から調製可能である。式18のケトンは先ず、式9のアミンを保護して式9Aの保護アミンを得るスキーム8において既述のとおり、適切な保護基で保護されて、式21の保護アミノケトンが得られる。国際公開第2011/079102号パンフレットに記載のとおり、式21の保護アミノケトンをDASTなどのフッ素化試薬で処理することにより、式22の二フッ化中間体を得ることが可能である。次いで、式13のアミンの式9Aのアミンへの転換に係るスキーム8における既述の反応列に式22の化合物を供することにより、所望の式9Fのアミン中間体を入手し得る。スキーム17および18中の式18のアミノケトンは、米国特許第5,106,986号明細書およびJournal of Agricultural and Food Chemistry 2006,54(1)に記載のものと同様の方法により合成可能である。
【0244】
【化26】
【0245】
スキーム19に示されているとおり、式1Fの化合物(すなわち、ZがOであり;ならびに、Lが、ハロゲンおよびC〜Cアルキルから独立して選択される4個以下の置換基で任意選択により置換された1,2−フェニレンである式1の化合物)は、スキーム2に記載のスズキ条件下における、式23のボロネートと式24の中間体とのカップリングにより調製可能である。あるいは、式25のトリアルキル錫化合物は、スティル条件下で式24の中間体とカップリングされて式1Fの化合物をもたらすことが可能である。スティルカップリングは、典型的には、Pd(0)またはPd(II)塩、リガンド、および、ヨウ化銅(I)などのCu(I)塩の存在下で実施される。この反応は、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンまたはトルエンなどの溶剤中において、周囲温度〜溶剤の還流温度の範囲の温度で行われる。スティルカップリングにおいて利用される条件および試薬については、Chemical Reviews 2007,107(1),133を参照のこと。式23および式25の中間体は、市販されている出発材料、または、スキーム4および7において概要が述べられている方法を用いて調製されることが可能である。
【0246】
【化27】
【0247】
式24の中間体は、市販されているか、または、当業者に公知である多様な方法により、スキーム20に示されているとおり式26の中間体から調製されることが可能である。例えば、式24の化合物中のQがQによって表される窒素結合複素環であり、および、式26の化合物中のJがハロゲンまたはトリフルオロメタンスルホン酸である場合、式24の化合物は、スキーム2に記載のブッフバルトーハートウィッグ条件を用いて調製可能であり、または、米国特許第20120202834号明細書、J.Med.Chem.2012 55(21),9089、国際公開第2011016559号パンフレットまたは国際公開第2010139731号パンフレットに例示されているとおり、好適な塩基および溶剤の存在下で、複素環アミンQ−H(すなわち、式3の化合物)との反応により調製可能である。あるいは、Jがボロン酸またはボロン酸エステルである式26の中間体は、スキーム3に記載のチャン−ラム条件を用いて式3の複素環とカップリングされて、QがQである式24の化合物をもたらすことが可能である。QがQによって表される炭素結合複素環である式24の化合物は、JがBr、Cl、Iもしくはトリフルオロメタンスルホネートである式26の前駆体を、スキーム2のスズキ条件を用いてボロネート−置換複素環Q−B(OR)(すなわち、スキーム2中の式4の化合物)とカップリングすることにより、または、スキーム19のスティル条件を用いてトリアルキルスズ置換複素環Q−Sn(R)とカップリングすることにより入手可能である。あるいは、Jがボロネートまたはトリアルキルスズ基である式26の化合物はまた、それぞれスキーム2または19に示されている方法を用いてハロゲン置換複素環Q−Xとカップリングされて、QがQである式24の化合物が得られ得る。熟練した化学者は、式26の化合物が関与する反応において基XおよびJを注意深く選択する必要があり、また、基XおよびJの反応性が類似している場合には異生体生成物が生じる可能性があることを認識しているであろう。位置異性体混合物が生成される場合においては、所望の生成物は、技術分野において公知である一般的な分離技術を用いて単離することが可能である。
【0248】
【化28】
【0249】
式26の化合物中のJが、アルケン、アルキン、オキシム、ニトリルまたはケトンなどの官能基である場合、この官能基は、Katritsky,Advances in Heterocyclic Chemistry,Elsevier,Vol.1-104に記載の方法を用いて種々の複素環に転換することが可能である。
【0250】
スキーム21に示されているとおり、式1Fの化合物はまた、出発試薬中の官能基が入れ替わったスキーム19に記載のものと類似の中間体をカップリングすることにより調製可能である。それ故、スキーム19に記載の方法を用いた、式27の中間体と式24Aのボロン酸エステルおよび式24Bのトリアルキルスズ中間体とのカップリングにより、式1Fの化合物が得られる。
【0251】
【化29】
【0252】
式1の化合物の調製について記載されている幾つかの試薬および反応条件は、中間体に存在する一定の官能基には適合しない場合があることが認識される。これらの事例においては、保護/脱保護手順または官能基相互変換を合成に組み込むことにより、所望の生成物の入手が促進されることとなる。保護基の使用および選択は化学合成における当業者には明らかであろう(例えば、Greene,T.W.;Wuts,P.G.M.Protective Groups in Organic Synthesis,2nd ed.;Wiley:New York,1991を参照のこと)。当業者は、いくつかの場合において、個々のスキームのいずれかにおいて示されている通り所与の試薬を導入した後、式1の化合物の合成を完了させるために、詳細には説明されていない追加の日常的な合成ステップを実施する必要性があり得ることを認識するであろう。当業者はまた、式1の化合物を調製するために、提示されている特定のシーケンスによって示唆されるものを除く、上記スキームに例示されているステップの組み合わせを実施する必要性があり得ることを認識するであろう。
【0253】
当業者はまた、本明細書に記載の式1の化合物および中間体は、種々の求電子性、求核性、ラジカル、有機金属、酸化および還元反応に供されて、置換基が付加されるか、または、既存の置換基が変性されることが可能であることを認識するであろう。
【0254】
さらなる詳細を伴わずに、上記の記載を利用する当業者は本発明を最大限に利用することが可能であると考えられている。以下の実施例は、従って、単なる例示であって、本開示を如何様にも全く限定しないと解釈されるべきである。以下の実施例におけるステップは、合成形質転換全体における各ステップについての手法を例示しており、各ステップについての出発材料は、必ずしも、手法が他の実施例またはステップにおいて記載されている特定の調製実験によって調製されていなくてもよい。パーセンテージは、クロマトグラフ溶媒混合物、または、他に記載のある場合を除き、重量基準である。クロマトグラフ溶媒混合物に対する部およびパーセンテージは、他に示されていない限りにおいて体積基準である。H NMRスペクトルは、別段の定めがある場合を除き、500MHzでCDCl中のテトラメチルシランの低磁場側にppmで報告されており;「s」は一重項を意味し、「d」は二重項を意味し、「t」は三重項を意味し、「q」はは四重項を意味し、「m」は多重項を意味し、「dd」は二重項の二重項を意味し、「dt」は三重項の二重項を意味し、「br s」は幅広の一重項を意味する。
【0255】
実施例1
N−[1−メチル−2−[6−[3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−l−イル]−3−ピリジニル]エチル]−3−(トリフルオロメチル)−2−ピリジンカルボキサミド(化合物84)の調製
ステップA:6−[3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−3−ピリジンカルボキシアルデヒドの調製
6−フルオロ−3−ピリジンカルボキシアルデヒド(1.5g、12mmol)、3−(トリフルオロメチル)ピラゾール(1.6g、12mmol)および炭酸カリウム(1.8g、13mmol)の20mLのN,N−ジメチルホルムアミド中の混合物をおよそ16時間で100℃に加熱した。反応混合物を周囲温度に冷却し、100mLの氷水中に注ぎ入れた。20分間の後、沈殿物をろ過により回収し、ジクロロメタン中に溶解し、MgSOで乾燥させ、減圧下で濃縮して1.2gの表題の化合物を得た。
H NMR δ 10.13(s,1H),8.91(d,1H),8.71(d,1H),8.34(m,1H),8.22(d,1H),6.77(d,1H)。
【0256】
ステップB:5−(2−ニトロ−1−プロペン−1−イル)−2−[3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]ピリジンの調製
6−[3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−3−ピリジンカルボキシアルデヒド(すなわち、上記のステップAにおいて得た化合物)(1.5g、6.2mmol)および酢酸アンモニウム(0.096g、1.2mmol)の混合物を、15mLのニトロエタン中においておよそ16時間還流で加熱した。反応混合物を濃縮し、トルエン中に溶解し、再度濃縮し、次いで、中圧液体クロマトグラフィ(溶離液としてヘキサン中の0〜50%酢酸エチル)により精製して、0.34gの表題の化合物を得た。
H NMR δ 8.65(m,1H),8.52(d,1H),8.15(d,1H),8.07(s,1H),7.93(m,1H),6.75(d,1H),2.51(d,3H)。
【0257】
ステップC:α−メチル−6−[3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−3−ピリジンエタンアミンの調製
10mLのテトラヒドロフラン中の5−(2−ニトロ−1−プロペン−1−イル)−2−[3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]ピリジン(すなわち、上記のステップBにおいて得た化合物)(0.31g、1mmol)を、水素化アルミニウムリチウムの10mLのテトラヒドロフラン中の溶液に0℃で滴下した。添加が完了した後に、反応をおよそ16時間環流した。反応混合物を周囲温度に冷却し、次いで、0.13mLの水、0.13mLの15%NaOH、次いで、0.38mLの水で順次に処理した。30分間攪拌した後、反応混合物をCelite(登録商標)珪藻土ろ過助剤を通してろ過し、減圧下で濃縮して、0.22gの表題の化合物を得、これを、さらに精製または特徴づけをすることなく次のステップにおいて用いた。
【0258】
ステップD:N−[1−メチル−2−[6−[3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−l−イル]−3−ピリジニル]エチル]−3−(トリフルオロメチル)−2−ピリジンカルボキサミドの調製
3−トリフルオロメチルピリジン−2−カルボン酸(0.086g、0.4mmol)を10mLの塩化チオニル中において1時間還流で加熱した。混合物を減圧下で濃縮し、粗残渣を10mLのジクロロメタン中に溶解し、α−メチル−6−[3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−3−ピリジンエタンアミン(すなわち、上記のステップCにおいて得た化合物)(0.11g、0.4mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.16g、1.2mmol)の5mLのジクロロメタン中の溶液に0℃で添加した。この反応を周囲温度に温め、およそ16時間撹拌した。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、1N水性塩酸で洗浄し、MgSOで乾燥させ、減圧下で濃縮し、次いで、中圧液体クロマトグラフィ(溶離液としてヘキサン中の0〜100%酢酸エチル)により精製して、本発明の化合物である0.04gの表題の化合物を得た。
H NMR δ 8.71(m,1H),8.57(m,1H),8.29(d,1H),8.17(m,1H),7.96(d,1H),7.77(m,1H),7.57(m,2H),6.69(d,1H),4.46(m,1H),2.99(m,2H),1.29(d,3H)。
【0259】
実施例2
3−(ジフルオロメチル)−N−[2−[5−フルオロ−6−[3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−3−ピリジニル]フェニル]−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(化合物68)の調製
ステップA:5−ブロモ−3−フルオロ2−[3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]ピリジンの調製
3−(トリフルオロメチル)ピラゾール(0.65g、4.8mmol)、5−ブロモ−2,3−ジフルオロピリジン(0.93g、4.8mmol)および炭酸カリウム(0.73g、5.3mmol)を10mLのアセトニトリル中においておよそ16時間撹拌した。次いで、反応混合物を減圧下で濃縮し、中圧液体クロマトグラフィ(溶離液としてヘキサン中の0〜100%酢酸エチル)により精製して、0.64gの表題の化合物を得た。
H NMR δ 8.42(d,1H),8.33(m,1H),7.86(m,1H),6.77(d,1H)。
【0260】
ステップB:3−(ジフルオロメチル)−N−[2−[5−フルオロ−6−[3−(トリ
フルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−3−ピリジニル]フェニル]−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミドの調製
3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−塩化カルボニル(市販の3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸から国際公開第2008/053043号パンフレットに記載の手法に従って調製した;0.30g、1.5mmol)、2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−ベンゼンアミン(0.31g、1.4mmol)および炭酸セシウム(1.0g、3.1mmol)を、5mLの1,2−ジメトキシエタン中において組み合わせ、周囲温度でおよそ16時間撹拌した。この混合物に、5−ブロモ−3−フルオロ2−[3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]ピリジン(すなわち、上記の実施例2、ステップAで得た化合物)(0.48g、1.6mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(0.049g、0.071mmol)、飽和炭酸ナトリウム水溶液(3mL)、および、さらに3mLの1,2−ジメトキシエタンを添加した。混合物を100℃に3時間加熱し、周囲温度に冷却し、酢酸エチルで希釈し、塩水で3回洗浄し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣を中圧液体クロマトグラフィ(溶離液としてヘキサン中の0〜100%酢酸エチル)により精製して粗残渣を得、これを続いて、逆相中圧液体クロマトグラフィ(溶離液として、水中に1:1のアセトニトリル対メタノールを0〜100%)により精製して、本発明の化合物である0.10gの表題の化合物を得た。
H NMR δ 8.38(s,2H),8.06(d,1H),7.96(s,1H),7.84(bs,1H),7.73(m,1H),7.51(m,1H),7.33(m,2H),6.78(d,1H),6.64(t,1H),3.91(s,3H)。
【0261】
実施例3
3−(トリフルオロメチル)−N−[2−[5−[3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−2−ピラジニル]フェニル]−2−ピリジンカルボキサミド(化合物3)の調製
ステップA:2−ブロモ−5−(2−ニトロフェニル)ピラジンの調製
2,5−ジブロモピラジン(10g、42mmol)、2−ニトロフェニルボロン酸(8.2g、49mmol)および炭酸ナトリウム(15.2g、143mmol)の300mLの1,2−ジメトキシエタンおよび80mLの水中の混合物を窒素ガスでパージした。ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(4.0g、5.7mmol)を添加し、この反応を80℃に16時間加熱した。次いで、反応混合物を周囲温度に冷却し、酢酸エチルで希釈し、水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で蒸発させ、次いで、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液として、石油エーテル中の15%酢酸エチル)を用いて精製して4.5gの表題の化合物を得た。
H NMR(400MHz,dmso−d)δ 8.92(dd,2H),8.10(d,1H),7.89(d,2H),7.80(dd,1H)。
【0262】
ステップB:2−(2−ニトロフェニル)−5−[3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]ピラジンの調製
2−ブロモ−5−(2−ニトロフェニル)ピラジン(すなわち、上記の実施例3、ステップAにおいて得た化合物)(4.0g、14mmol)、3−(トリフルオロメチル)ピラゾール(2.2g、16mmol)および炭酸カリウム(5.9g、43mmol)の20mLのN,N−ジメチルホルムアミド中の混合物を80℃で2時間加熱した。反応混合物を周囲温度に冷却し、氷水で希釈し、沈殿物を形成させた。固体をろ過により単離し、さらに精製することなく用いた。
H NMR(400MHz,dmso−d)δ 9.26(d,1H),9.02(d,1H),8.93(dd,1H),8.13(dd,1H),7.92(m,2H),7.81(m,1H),7.20(d,1H)。
【0263】
ステップC:2−[5−[3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−2−ピラジニル]ベンゼンアミンの調製
2−(2−ニトロフェニル)−5−[3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]ピラジン(3.9g、12mmol)(すなわち、上記の実施例3、ステップBにおいて得られた化合物)の20mLのエタノール中の混合物に、パラジウム炭素(0.40g、0.4mmol)を添加した。混合物を水素風船を用いて周囲温度で2時間撹拌し、次いで、Celite(登録商標)珪藻土ろ過助剤を通してろ過し、減圧下で濃縮した。粗残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液として石油エーテル中の10%酢酸エチル)を用いて精製して2.1gの表題の化合物を得た。
H NMR(400MHz,dmso−d)δ 9.22(d,1H),9.05(d,1H),8.86(d,1H),7.74(dd,1H),7.18(m,2H),6.83(d,1H),6.68(m,1H),6.53(s,2H)。
【0264】
ステップD:3−(トリフルオロメチル)−N−[2−[5−[3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−2−ピラジニル]フェニル]−2−ピリジンカルボキサミド)の調製
3−トリフルオロメチル−2−ピリジンカルボン酸(0.33g、1.6mmol)、(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチル(3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−3−イルオキシ)メタンイミニウムヘキサフルオロリン酸(すなわち、HATU、0.059g、1.6mmol)、およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.33g、2.6mmol)の混合物を10mLのジクロロメタン中で撹拌した。15分間の後、2−[5−[3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−2−ピラジニル]ベンゼンアミン(すなわち、上記の実施例3、ステップCにおいて得た化合物)(0.4g、1.3mmol)を添加し、反応を周囲温度でおよそ16時間撹拌した。次いで、反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。組み合わせた有機抽出物を水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で蒸発させ、次いで、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液として石油エーテル中の20%酢酸エチル)を用いて精製して、本発明の化合物である0.36gの表題の化合物を得た。
H NMR(400MHz,dmso−d)δ 12.20(s,1H),9.31(s,1H),9.05(m,2H),8.91(bs,1H),8.36(m,2H),7.97(d,1H),7.85(m,1H),7.61(t,1H),7.41(t,1H),7.18(d,1H)。
【0265】
実施例4
3−(トリフルオロメチル)−N−[2−[6−[3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−3−ピリダジニル]フェニル]−2−ピリジンカルボキサミド(化合物59)の調製
ステップA:3−ブロモ−6−(2−ニトロフェニル)ピリダジンの調製
3,6−ジブロモピリダジン(5g、21mmol)、2−ニトロフェニルボロン酸(4.1g、25mmol)および炭酸ナトリウム(7.6g、72mmol)の150mLの1,2−ジメトキシエタンおよび40mLの水中の混合物を窒素ガスで15分間パージした。ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(2.0g、2.9mmol)を添加し、反応を80℃で16時間加熱した。反応混合物を周囲温度に冷却し、酢酸エチルで希釈し、水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で蒸発させ、次いで、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液として石油エーテル中の15%酢酸エチル)を用いて精製して2.5gの表題の化合物を得た。
H NMR(400MHz,dmso−d)δ 8.23(d,1H),8.15(d,1H),8.07(d,1H),7.91(m,1H),7.82(m,2H)
【0266】
ステップB:3−(2−ニトロフェニル)−6−[3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]ピリダジンの調製
実施例3、ステップBにおける記載と同様に調製した。
【0267】
ステップC:2−[6−[3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−l−イル]−3−ピリダジニル]ベンゼンアミンの調製
実施例3、ステップCにおける記載と同様に調製した。
【0268】
ステップD:3−(トリフルオロメチル)−N−[2−[6−[3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−3−ピリダジニル]フェニル]−2−ピリジンカルボキサミドの調製
本発明の化合物を、実施例3、ステップDにおける記載と同様に調製した。
H NMR(400MHz,dmso−d)δ 12.17(s,1H),9.14(d,1H),8.98(d,1H),8.39(m,3H),8.27(d,1H),7.90(dd,1H),7.84(dd,1H),7.64(m,1H),7.44(m,1H),7.22(d,1H)。
【0269】
技術分野において公知である方法を伴う本明細書に記載の手法により、表1〜1223の以下の化合物を調製可能である。以下の略語が以下の表において用いられている:iはイソを意味し、cはシクロを意味し、Meはメチルを意味し、Etはエチルを意味し、Prはプロピルを意味し、c−Prはシクロプロピルを意味し、i−Prはイソプロピルを意味し、Buはブチルを意味し、c−Buはシクロブチルを意味し、c−pentはシクロペンチルを意味し、c−hexはシクロヘキシルを意味し、Phはフェニルを意味し、OMeはメトキシを意味し、OEtはエトキシを意味し、−C(=O)OMeはメトキシカルボニルを意味し、−CNはシアノを意味し、−NOはニトロを意味する。以下の明細表Aは、式1の化合物に係る発明の概要からの様々なAの特定の実施形態を示し、ここで、右側に突出する結合は、式1の化合物の残部(すなわち、A−C(=Z)N(R)−)に結合している。
【0270】
【化30】
【0271】
【化31】
【0272】
【化32】
【0273】
以下の構造(すなわち、ZがOであり;RがHであり;Lが1,2−フェニレンであり;および、GがG−1である式1の化合物)を用いて以下の表が構成されている。nの値は、各表の項目に列挙されているR値の割り当てられた適切な数であると理解される
【0274】
表1
【化33】
表1に関して、Aに係る値はA−1aであり;nは0であり;および、各Qは、明細表Bに列挙されているQに係る値から選択される。
【0275】
【表1】
【0276】
【表2】
【0277】
【表3】
【0278】
表2は、表1と同じく構築されているが、ただし、行表題において、句「AはA−1aであり;nは0である」は、表2について行表題と示された欄の下方に示されているとおり、句「AはA−1aであり;(Rは5−Fである」で置き換えられる。Rが5−Fである表2について、これは、nが1であり、および、RはG環の5位に位置されたFであることを意味すると理解される。従って、表2中の最初の項目は、ZがOであり;RがHであり;Lが1,2−フェニレンであり;GがG−1であり;AがA−1aであり;Rが5−Fであり;nが1であり;および、Qが3−CF−ピラゾール−1−イルである式1の化合物である。表2中の第2の項目は、ZがOであり;RがHであり;Lが1,2−フェニレンであり;GがG−1であり;AがA−1aであり;Rが5−Fであり;nが1であり;および、Qが4−CF−1H−ピラゾール−1−イルである式1の化合物である。表2中の残りの項目は同じく構築されている。
【0279】
表3〜272が同様に構築されている。
【0280】
【表4】
【0281】
【表5】
【0282】
【表6】
【0283】
【表7】
【0284】
【表8】
【0285】
表273
表273は表1と同じく構築されているが、ただし、表1中の化学構造は以下の構造と置き換えられており:
【化34】
式中、AはA−1aであり;nは0であり;および、各Qは、明細表Bに列挙されている個別の値から選択される。従って、表273中の最初の項目は、ZがOであり;RがHであり;Lが1,2−フェニレンであり;GがG−3であり;nが0であり;および、Qが3−CF−ピラゾール−1−イルである式1の化合物である。表273中の第2の項目は、ZがOであり;RがHであり;Lが1,2−フェニレンであり;GがG−3であり;AがA−1aであり;nが0であり;および、Qが4−CF−1H−ピラゾール−1−イルである式1の化合物である。表273中の残りの項目は同じく構築されている。
【0286】
表274は、表2と同じく構築されている。表275〜544は、以下のチャートに列挙されている対応する表と同様に構築されている。
【0287】
【表9】
【0288】
【表10】
【0289】
【表11】
【0290】
表545
表545は、表1と同じく構築されているが、ただし、化学構造は以下の構造と置き換えられており:
【化35】
式中、AはA−1aであり;nは0であり;および、各Qは、明細表Bに列挙されている個別の値から選択される。従って、表545中の最初の項目は、ZがOであり;RがHであり;Lが1,2−フェニレンであり;GがG−2であり;AがA−1aであり;nが0であり;および、Qが3−CF−ピラゾール−1−イルである式1の化合物である。
表545中の第2の項目は、ZがOであり;RがHであり;Lが1,2−フェニレンであり;GがG−2であり;AがA−1aであり;nが0であり;および、Qが4−CF−1H−ピラゾール−1−イルである式1の化合物である。表545中の残りの項目は同じく構築されている。
【0291】
表546は、表545と同じく構築されているが、ただし、表題行の句「AはA−1aであり;nは0である」は、句「AはA−1aであり;(Rは6−Fである」(すなわち、nは1である)で置き換えられている。表547〜710が同様に構築されている。
【0292】
【表12】
【0293】
【表13】
【0294】
【表14】
【0295】
表710
表710は、表1と同じく構築されているが、ただし、化学構造は以下の構造と置き換えられており:
【化36】
式中、AはA−1aであり;nは0であり;および、Qは、表1について明細表Bに定義されているとおりである。従って、表710中の最初の項目は、ZがOであり;RがHであり;Lが1,2−フェニレンであり;GがG−5であり;AがA−1aであり;nが0であり;および、Qが3−CF−ピラゾール−1−イルである式1の化合物である。表710中の第2の項目は、ZがOであり;RがHであり;Lが1,2−フェニレンであり;GがG−5であり;AがA−1aであり;nが0であり;および、Qが4−CF
−1H−ピラゾール−1−イルである式1の化合物である。表710中の残りの項目は同じく構築されている。表711〜965が同様に構築されている。
【0296】
【表15】
【0297】
【表16】
【0298】
【表17】
【0299】
【表18】
【0300】
表966
表966は表1と同様に構築されているが、ただし、化学構造は以下の構造と置き換えられており:
【化37】
式中、AはA−1aであり;nは0であり;および、各Qは、明細表Bにおいて列挙されている値から選択される。従って、表968中の最初の項目は、ZがOであり;RがHであり;Lが1,2−フェニレンであり;GがG−4であり;AがA−1aであり;nが0であり;および、Qが3−CF−ピラゾール−1−イルである式1の化合物である。表966中の第2の項目は、ZがOであり;RがHであり;Lが1,2−フェニレンであり;GがG−4であり;AがA−1aであり;nが0であり;および、Qが4−CF−1H−ピラゾール−1−イルである式1の化合物である。表966中の残りの項目は同じく構築されている。
【0301】
表967〜1221が同様に構築されている。
【0302】
【表19】
【0303】
【表20】
【0304】
【表21】
【0305】
【表22】
【0306】
配合物/実用性
本発明の式1の化合物(そのN−オキシドおよび塩を含む)は、一般に、組成物において、キャリアとされる界面活性剤、固体希釈剤および液体希釈剤からなる群から選択される少なくとも1種の追加のコンポーネントと共に、殺菌・殺カビ性活性処方成分(すなわち配合物)として用いられるであろう。配合物または組成物処方成分は、活性処方成分の物理特性、適用形態、ならびに、土壌タイプ、水分および温度などの環境要因と適合するよう選択される。
【0307】
有用な配合物は液体組成物および固体組成物の両方を含む。液体組成物としては、溶液(乳化性濃縮物を含む)、懸濁液、エマルジョン(マイクロエマルジョン、および/またはサスポエマルジョンを含む)等が挙げられ、これらは、任意選択により、ゲルに増粘可能である。水性液体組成物の一般的なタイプは、可溶性濃縮物、懸濁濃縮物、カプセル懸濁液、濃縮エマルジョン、マイクロエマルジョン、およびサスポエマルジョンである。非水性液体組成物の一般的なタイプは、乳化性濃縮物、マイクロ乳化性濃縮物、分散性濃縮物および油分散体である。
【0308】
固体組成物の一般的なタイプは、粉剤、粉末、顆粒、ペレット、プリル、香錠、錠剤、充填フィルム(種子粉衣を含む)等であり、これらは、水分散性(「湿潤性」)または水溶性であることが可能である。フィルム形成性溶液または流動性懸濁液から形成されたフィルムおよびコーティングが種子処理に特に有用である。活性処方成分は、(マイクロ)カプセル化されていることが可能であり、さらに、懸濁液または固体配合物に形成されることが可能である;あるいは、活性処方成分の全配合物をカプセル化(または「オーバーコート」)することが可能である。カプセル化により、活性処方成分の放出を制御または遅延させることが可能である。乳化性顆粒は、乳化性濃縮物配合物の利点と乾燥顆粒状配合物の利点の両方を兼ね備えている。高濃度組成物は、さらなる配合物への中間体として主に用いられる。
【0309】
噴霧可能な配合物は、典型的には、吹付けの前に好適な媒体中で希釈される。このような液体および固体配合物は、通常は水であるがまれに、芳香族またはパラフィン系炭化水素または植物油のような他の好適な媒体である、噴霧媒体中で容易に希釈されるよう配合される。噴霧量は、およそ約1〜数千リットル/ヘクタールの範囲であることが可能であるが、より典型的には、約10〜数百リットル/ヘクタールの範囲である。噴霧可能な配合物は、空中もしくは地上散布による葉の処理のために、または、植物の成長培地への適用のために好適な他の媒体または水と、タンク中で混合されることが可能である。液体および乾燥配合物は、注入灌漑システムに直接的に計量可能であり、または、植え付けの最中に畝間に計量可能である。液体および固体配合物は、植え付けの前に、全身摂取を介して成長する根および他の地下植物部位および/または群葉を保護するために、作物および他の望ましい植生の種子に種子処理として適用されることが可能である。
【0310】
配合物は、典型的には、合計で100重量パーセントとなる以下のおおよその範囲内で有効量の活性処方成分、希釈剤および界面活性剤を含有するであろう。
【0311】
【表23】
【0312】
固体希釈剤としては、例えば、ベントナイト、モンモリロナイト、アタパルジャイトおよびカオリンなどのクレイ、石膏、セルロース、二酸化チタン、酸化亜鉛、デンプン、デキストリン、糖質(例えば、ラクトース、スクロース)、シリカ、タルク、雲母、珪藻土、尿素、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウムおよび重炭酸ナトリウム、ならびに、硫酸ナトリウムが挙げられる。典型的な固体希釈剤は、Watkins et al.,Handbook of Insecticide Dust Diluents and Carriers,2nd Ed.,Dorland Books,Caldwell,New Jerseyに記載されている。
【0313】
液体希釈剤としては、例えば、水、N,N−ジメチルアルカンアミド(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)、リモネン、ジメチルスルホキシド、N−アルキルピロリドン(例えば、N−メチルピロリジノン)、アルキルリン酸塩(例えば、リン酸トリエチル)、エチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、炭酸プロピレン、ブチレンカーボネート、パラフィン(例えば、白色鉱油、正パラフィン、イソパラフィン)、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、グリセリン、グリセロールトリアセテート、ソルビトール、芳香族炭化水素、脱芳香族化脂肪族、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、イソホロンおよび4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンなどのケトン、酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル、酢酸ヘプチル、酢酸オクチル、酢酸ノニル、酢酸トリデシルおよび酢酸イソボルニルなどの酢酸塩、アルキル化乳酸塩エステル、二塩基性エステル、アルキルおよびアリール安息香酸塩およびγ−ブチロラクトンなどの他のエステル、ならびに、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブチルアルコール、n−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、n−オクタノール、デカノール、イソデシルアルコール、イソオクタデカノール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、オレイルアルコール、シクロヘキサノール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ジアセトンアルコール、およびベンジルアルコールなどの直鎖、分岐、飽和または不飽和であることが可能であるアルコールが挙げられる。液体希釈剤としてはまた、植物種子および果実油(例えば、オリーヴ、ヒマ、亜麻仁、ゴマ、コーン(トウモロコシ)、ピーナッツ、ヒマワリ、ブドウ種子、ベニバナ、綿実、ダイズ、ナタネ、ココナツおよびパーム核の油)、動物性脂肪(例えば、牛脂、豚脂、ラード、タラ肝、魚油)、ならびに、これらの混合物などの飽和および不飽和脂肪酸のグリセロールエステル(典型的にはC〜C22)が挙げられる。液体希釈剤としてはまた、アルキル化脂肪酸(例えば、メチル化、エチル化、ブチル化)が挙げられ、ここで、脂肪酸は、植物および動物由来のグリセロールエステルの加水分解によって入手され得、蒸留により精製されることが可能である。典型的な液体希釈剤は、Marsden,Solvents Guide,2nd Ed.,Interscience,New York,1950に記載されている。
【0314】
本発明の固体および液体組成物は、度々、1種または複数種の界面活性剤を含む。液体に添加される場合、界面活性剤(「表面活性薬剤」としても知られている)は、一般に、液体の表面張力を変性(最も頻繁には低減)させる。界面活性剤分子中の親水性基および親油性基の性質に応じて、界面活性剤は、湿潤剤、分散剤、乳化剤または消泡剤として有用であることが可能である。
【0315】
界面活性剤は、ノニオン性、アニオン性またはカチオン性に分類されることが可能である。本組成物に有用なノニオン性界面活性剤としては、これらに限定されないが:天然および合成アルコール(分岐または直鎖であり得る)系であり、ならびに、アルコールおよびエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドまたはこれらの混合物から調製されるアルコールアルコキシレートなどのアルコールアルコキシレート;アミンエトキシレート、アルカノールアミドおよびエトキシル化アルカノールアミド;エトキシル化ダイズ油、ヒマシ油およびナタネ油などのアルコキシル化トリグリセリド;オクチルフェノールエトキシレート、ノニルフェノールエトキシレート、ジノニルフェノールエトキシレートおよびドデシルフェノールエトキシレートなどのアルキルフェノールアルコキシレート(フェノールおよびエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドまたはこれらの混合物から調製されたもの);エチレンオキシドまたはプロピレンオキシドから調製されたブロックポリマー、および、末端ブロックがプロピレンオキシドから調製された逆ブロックポリマー;エトキシル化脂肪酸;エトキシル化脂肪エステルおよび油;エトキシル化メチルエステル;エトキシル化トリスチリルフェノール(エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドまたはこれらの混合物から調製されたものを含む);ポリエトキシル化ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエトキシル化ソルビトール脂肪酸エステルおよびポリエトキシル化グリセロール脂肪酸エステルなどの脂肪酸エステル、グリセロールエステル、ラノリン系誘導体、ポリエトキシレートエステル;ソルビタンエステルなどの他のソルビタン誘導体;ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、アルキドPEG(ポリエチレングリコール)樹脂、グラフトまたはくし形ポリマーおよび星形ポリマーなどの高分子界面活性剤;ポリエチレングリコール(PEG);ポリエチレングリコール脂肪酸エステル;シリコーン系界面活性剤;ならびに、スクロースエステル、アルキルポリグリコシドおよびアルキル多糖類などの糖質−誘導体が挙げられる。
【0316】
有用なアニオン性界面活性剤としては、これらに限定されないが:アルキルアリールスルホン酸およびこれらの塩;カルボキシル化アルコールまたはアルキルフェノールエトキシレート;ジフェニルスルホネート誘導体;リグノスルホネートなどのリグニンおよびリグニン誘導体;マレイン酸またはコハク酸またはこれらの無水物;オレフィンスルホン酸塩;アルコールアルコキシレートのリン酸エステル、アルキルフェノールアルコキシレートのリン酸エステルおよびスチリルフェノールエトキシレートのリン酸エステルなどのリン酸エステル;タンパク質系界面活性剤;サルコシン誘導体;硫酸スチリルフェノールエーテル;油および脂肪酸の硫酸塩およびスルホン酸塩;エトキシル化アルキルフェノールの硫酸塩およびスルホン酸塩;アルコールの硫酸塩;エトキシル化アルコールの硫酸塩;N,N−アルキルタウレートなどのアミンおよびアミドのスルホン酸塩;ベンゼン、クメン、トルエン、キシレン、ならびに、ドデシルおよびトリデシルベンゼンのスルホン酸塩;縮合ナフタレンのスルホン酸塩;ナフタレンおよびアルキルナフタレンのスルホン酸塩;精留された石油のスルホン酸塩;スクシナメート;ならびに、ジアルキルスルホコハク酸塩などのスルホコハク酸塩およびそれらの誘導体が挙げられる。
【0317】
有用なカチオン性界面活性剤としては、これらに限定されないが:アミドおよびエトキシル化アミド;N−アルキルプロパンジアミン、トリプロピレントリアミンおよびジプロピレンテトラアミン、ならびに、エトキシル化アミン、エトキシル化ジアミンおよびプロポキシル化アミンなどのアミン(アミンおよびエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドまたはこれらの混合物から調製されたもの);アミン酢酸塩およびジアミン塩などのアミン塩;第4級塩、エトキシル化第4級塩およびジ第4級塩などの第4級アンモニウム塩;ならびに、アルキルジメチルアミンオキシドおよびビス−(2−ヒドロキシエチル)−アルキルアミンオキシドなどのアミンオキシドが挙げられる。
【0318】
ノニオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤との混合物、または、ノニオン性界面活性剤とカチオン性界面活性剤との混合物もまた本組成物について有用である。ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤およびカチオン性界面活性剤、ならびに、これらの推奨される使用が、McCutcheon’s Emulsifiers and Detergents,McCutcheon’s Division,The Manufacturing Confectioner Publishing Co.発行の年刊国際および北米版;Sisely and Wood,Encyclopedia of Surface Active Agents,Chemical Publ.Co.,Inc.,New York,1964;および、A.S.Davidson and B.Milwidsky,Synthetic Detergents,Seventh Edition,John Wiley and Sons,New York,1987を含む多様な発行済みの文献中に開示されている。
【0319】
本発明の組成物はまた、配合助剤、および、当業者に配合助剤として公知である添加剤を含有していてもよい(これらのいく種かは、固体希釈剤、液体希釈剤または界面活性剤としても機能するとみなされ得る)。このような配合助剤および添加剤は:pH(緩衝剤)、処理中の発泡(ポリオルガノシロキサンなどの消泡剤)、有効成分の析出(懸濁剤)、粘度(チクソトロープ性増粘剤)、容器中の微生物の増殖(抗菌剤)、生成物の凍結(不凍液)、色(染料/顔料分散体)、洗濯堅牢性(塗膜形成剤または展着剤)、蒸発(蒸発抑制剤)および他の配合属性を制御し得る。塗膜形成剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルピロリドン−ビニルアセテートコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマーおよびワックスが挙げられる。配合助剤および添加剤の例としては、McCutcheon’s Volume 2:Functional Materials,McCutcheon’s Division,The Manufacturing Confectioner Publishing Co.発行の年刊国際および北米版;ならびに、国際公開第03/024222号パンフレットに列挙されているものが挙げられる。
【0320】
式1の化合物およびいずれかの他の有効成分は、典型的には、有効成分を溶剤中に溶解させることにより、または、液体もしくは乾燥希釈剤中に粉砕することにより、本組成物中に組み込まれる。乳化性濃縮物を含む溶液は、単に処方成分を混合することにより調製することが可能である。乳化性濃縮物として用いることが意図されている液体組成物の溶剤が不水和性である場合、乳化剤は、典型的には、水での希釈時に有効成分含有溶剤が乳化するよう添加される。2,000μm以下の粒径を有する有効成分スラリーは、媒体ミルを用いて湿潤粉砕されて、3μm未満の平均直径を有する粒子とされることが可能である。水性スラリーは、最終懸濁濃縮物(例えば、米国特許第3,060,084号明細書を参照のこと)とされるか、または、噴霧乾燥によりさらに処理されて水−分散性顆粒が形成されることが可能である。乾燥配合物は、通常は、2〜10μmの範囲内の平均粒径をもたらす乾式粉砕プロセスを必要とする。粉剤および粉末は、ブレンド工程および通常は粉砕工程により調製されることが可能である(ハンマーミルまたは流体−エネルギーミルなどで)。顆粒およびペレットは、予め形成した粒状キャリアに有効成分材を吹付けることにより、または、凝塊技術により調製されることが可能である。Browning,「Agglomeration」,Chemical Engineering,December 4,1967,pp147−48、Perry’s Chemical Engineer’s Handbook,4th Ed.,McGraw−Hill,New York,1963,pages 8−57およびそれ以降、ならびに、国際公開第91/13546号パンフレットを参照のこと。ペレットは、米国特許第4,172,714号明細書に記載のとおり調製することが可能である。水分散性および水溶性顆粒は、米国特許第4,144,050号明細書、米国特許第3,920,442号明細書および独国特許第3,246,493号明細書に教示されているとおり調製することが可能である。錠剤は、米国特許第5,180,587号明細書、米国特許第5,232,701号明細書および米国特許第5,208,030号明細書に教示されているとおり調製することが可能である。フィルムは、英国特許2,095,558号明細書および米国特許第3,299,566号明細書に教示されているとおり調製することが可能である。
【0321】
本発明の一実施形態は、本発明の殺菌・殺カビ組成物(界面活性剤、固体希釈剤および液体希釈剤と配合された式1の化合物、または、式1の化合物と少なくとも1種の他の殺菌・殺カビ剤との配合混合物)を水で希釈するステップ、任意選択により、補助剤を添加して希釈組成物を形成するステップ、ならびに、真菌性病原体またはその環境に有効量の前記希釈組成物を接触させるステップを含む、真菌性病原体の防除方法に関する。
【0322】
本殺菌・殺カビ組成物が十分な濃度となるよう水で希釈されて形成される噴霧組成物は真菌性病原体の防除に十分な効力を提供することが可能であるが、別個に配合された補助剤生成物を噴霧タンク混合物に添加することも可能である。これらの追加の補助剤は通例、「噴霧補助剤」または「タンク混合補助剤」として公知であり、有害生物防除剤の性能を向上させるか、または、噴霧混合物の物理特性を改変するために噴霧タンクにおいて混合されるいずれかの物質を含む。補助剤は、アニオン性またはノニオン性界面活性剤、乳化剤、石油系作物油、作物由来の種子油、酸性化剤、緩衝剤、増粘剤または消泡剤であることが可能である。補助剤は、効力(例えば、生物学的活性、付着性、浸透性、被覆均一性および保護の耐久性)を高めるため、または、配合禁忌、発泡、流動性、蒸発、揮発および分解に関連する噴霧適用に係る問題を最低限とするかもしくは排除するために用いられる。最適な性能を得るために、補助剤は、活性処方成分、配合物および標的(例えば、作物、昆虫有害生物)の特性に関連して選択される。
【0323】
噴霧混合物に添加される補助剤の量は、一般に、約2.5%〜0.1体積%の範囲である。噴霧混合物に添加される補助剤の施用量は、典型的には、1ヘクタール当たり約1〜5Lである。噴霧補助剤の代表例としては:液体炭化水素中の47%メチル化ナタネ油であるAdigor(登録商標)(Syngenta)、ポリアルキレンオキシド変性ヘプタメチルトリシロキサンであるSilwet(登録商標)(Helena Chemical Company)、および、83%パラフィン系鉱油中の17%界面活性剤ブレンドであるAssist(登録商標)(BASF)が挙げられる。
【0324】
種子処理する方法の1つは、種子を播種する前に、種子に本発明の化合物を(すなわち、配合された組成物として)吹付けまたは散粉することによるものである。種子処理用に配合された組成物は、一般に、塗膜形成剤または接着剤を含む。従って、典型的には、本発明の種子粉衣組成物は、生物学的に有効な量の式1の化合物、および、塗膜形成剤または接着剤を含む。種子は、流動性の懸濁液濃縮物を直接的に種子の回転床に吹付け、次いで、これらの種子を乾燥させることによりコート可能である。あるいは、湿った粉末、溶液、サスポエマルジョン、乳化性濃縮物および水中のエマルジョンなどの他の配合物タイプを種子に噴霧することが可能である。このプロセスは、フィルムコーティングを種子に適用するために特に有用である。種々のコーティング機器およびプロセスが当業者に利用可能である。好適なプロセスとしては、P.Kosters et al.,Seed Treatment:Progress and Prospects,1994 BCPC Mongraph No.57、および、この中に列挙された文献に列挙されたものが挙げられる。
【0325】
配合の技術分野に関するさらなる情報については、T.S.Woods,“The Formulator’s Toolbox−Product Forms for Modern Agriculture” in Pesticide Chemistry and Bioscience,The Food−Environment Challenge,T.Brooks and T.R.Roberts,Eds.,Proceedings of the 9th International Congress on Pesticide Chemistry,The Royal Society of Chemistry,Cambridge,1999,pp.120−133を参照のこと。また、米国特許第3,235,361号明細書、第6欄、第16行〜第7欄、第19行および実施例10〜41;米国特許第3,309,192号明細書、第5欄、第43行〜第7欄、第62行および実施例8、12、15、39、41、52、53、58、132、138〜140、162〜164、166、167および169〜182;米国特許第2,891,855号明細書、第3欄、第66行〜第5欄、第17行および実施例1〜4;Klingman,Weed Control as a Science,John Wiley and Sons,Inc.,New York,1961,pp 81−96;Hance et al.,Weed Control Handbook,8th Ed.,Blackwell Scientific Publications,Oxford,1989;ならびに、Developments in formulation technology,PJB Publications,Richmond,UK,2000を参照のこと。
【0326】
以下の実施例において、すべての割合は重量基準であり、すべての配合物は従来の方法調製されている。化合物番号は索引表A、BおよびC中の化合物を指す。さらなる詳細を伴わずに、前記の記載を用いることにより、当業者は、本発明を最大限利用可能であると考えられている。以下の実施例は、従って、単なる例示としてみなされるべきであり、本開示を如何様にも限定するものではない。別途記載されていない限り、割合は重量基準である。
【0327】
実施例A
高濃度濃縮物
化合物68 98.5%
シリカエアロゲル 0.5%
合成アモルファス微細シリカ 1.0%
【0328】
実施例B
水和剤
化合物2 65.0%
ドデシルフェノールポリエチレングリコールエーテル 2.0%
リグニンスルホン酸ナトリウム 4.0%
アルミノケイ酸ナトリウム 6.0%
モンモリロナイト(焼成) 23.0%
【0329】
実施例C
顆粒
化合物54 10.0%
アタパルジャイト顆粒(低揮発性物質、0.71/0.30mm;
U.S.S. No.25〜50ふるい) 90.0%
【0330】
実施例D
押出しペレット
化合物58 25.0%
無水硫酸ナトリウム 10.0%
粗リグノスルホン酸カルシウム 5.0%
アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム 1.0%
カルシウム/マグネシウムベントナイト 59.0%
【0331】
実施例E
乳化性濃縮物
化合物83 10.0%
ポリオキシエチレンソルビトールヘキサオレート 20.0%
〜C10脂肪酸メチルエステル 70.0%
【0332】
実施例F
マイクロエマルジョン
化合物34 5.0%
ポリビニルピロリドン−酢酸ビニルコポリマー 30.0%
アルキルポリグリコシド 30.0%
グリセリルモノオレエート 15.0%
水 20.0%
【0333】
実施例G
種子処理
化合物50 20.00%
ポリビニルピロリドン−酢酸ビニルコポリマー 5.00%
モンタン酸ワックス 5.00%
リグノスルホン酸カルシウム 1.00%
ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンブロックコポリマー 1.00%
ステアリルアルコール(POE 20) 2.00%
ポリオルガノシラン 0.20%
着色剤赤色染料 0.05%
水 65.75%
【0334】
実施例H
肥料スティック
化合物84 2.50%
ピロリドン−スチレンコポリマー 4.80%
トリスチリルフェニル16−エトキシレート 2.30%
タルク 0.80%
コーンデンプン 5.00%
緩効性肥料 36.00%
カオリン 38.00%
水 10.60%
【0335】
実施例I
懸濁液濃縮物
化合物68 35%
ブチルポリオキシエチレン/ポリプロピレンブロックコポリマー 4.0%
ステアリン酸/ポリエチレングリコールコポリマー 1.0%
スチレンアクリルポリマー 1.0%
キサンタンガム 0.1%
プロピレングリコール 5.0%
シリコーン系脱泡剤 0.1%
1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン 0.1%
水 53.7%
【0336】
実施例J
水中エマルジョン
化合物2 10.0%
ブチルポリオキシエチレン/ポリプロピレンブロックコポリマー 4.0%
ステアリン酸/ポリエチレングリコールコポリマー 1.0%
スチレンアクリルポリマー 1.0%
キサンタンガム 0.1%
プロピレングリコール 5.0%
シリコーン系脱泡剤 0.1%
1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン 0.1%
芳香族石油系炭化水素 20.0
水 58.7%
【0337】
実施例K
油分散体
化合物34 25%
ポリオキシエチレンソルビトールヘキサオレエート 15%
有機変性ベントナイトクレイ 2.5%
脂肪酸メチルエステル 57.5%
【0338】
実施例L
サスポエマルジョン
化合物50 10.0%
イミダクロプリド 5.0%
ブチルポリオキシエチレン/ポリプロピレンブロックコポリマー 4.0%
ステアリン酸/ポリエチレングリコールコポリマー 1.0%
スチレンアクリルポリマー 1.0%
キサンタンガム 0.1%
プロピレングリコール 5.0%
シリコーン系脱泡剤 0.1%
1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン 0.1%
芳香族石油系炭化水素 20.0%
水 53.7%
【0339】
水溶性および水分散性配合物は、典型的には、適用前に水で希釈されて水性組成物が形成される。植物もしくはその一部に直接適用される水性組成物(例えば、噴霧タンク組成物)は、典型的には、本発明の化合物を少なくとも約1ppm以上(例えば、1ppm〜100ppm)で含有する。
【0340】
種子は通常、種子1キログラム当たり約0.001g(より典型的には、約0.1g)〜約10g(すなわち、処理前の種子の約0.0001〜1重量%)の量で処理される。種子処理用に配合された流動性懸濁液は、典型的には、約0.5〜約70%の活性処方成分、約0.5〜約30%のフィルム形成性接着剤、約0.5〜約20%の分散剤、0〜約5%の増粘剤、0〜約5%の顔料および/または染料、0〜約2%の消泡剤、0〜約1%の防腐剤、ならびに、0〜約75%の揮発性液体希釈剤を含む。
【0341】
本発明の化合物は植物病害防除剤として有用である。従って、本発明は、保護されるべき植物もしくはその一部または保護されるべき植物種子に、有効量の本発明の化合物または前記化合物を含有する殺菌・殺カビ組成物を適用するステップを含む、真菌性植物病原体により引き起こされる植物病害を防除する方法をさらに含む。本発明の化合物および/または組成物は、子嚢菌門、担子菌門、接合菌門、および、真菌様卵菌門における広範囲の真菌性植物病原体によって引き起こされる病害の防除をもたらす。これらは、広範囲の植物病害、特に、観賞植物、芝生、野菜、圃場、穀類および果実作物の葉病原体の防除において効果的である。これらの病原体としては、これらに限定されないが、表Iに列挙されているものが挙げられる。子嚢菌および担子菌に関しては、公知である場合、有性時代/有性世代/完全世代の名称、ならびに、無性時代/無性世代/不完全世代の名称(括弧中)の両方が列挙されている。病原体に係る同義名は、等号によって示されている。例えば、有性時代/有性世代/完全世代の名称ファエオスファエリアノドルム(Phaeosphaeria nodorum)の後に、対応する無性時代/無性世代/不完全世代の名称であるスタゴノスポラノドルム(Stagnospora nodorum)および同義の旧名であるセプトリアノドルム(Septoria nodorum)が続いている。
【0342】
【表24】
【0343】
【表25】
【0344】
本発明の化合物は、クレブス回路(TCA回路)における重要な酵素、すなわちコハク酸脱水素酵素(SDH)を撹乱することによって複合体II(コハク酸脱水素酵素)真菌性呼吸を阻害することにより、真菌性植物病原体からの保護を提供すると考えられている。SDHは、核にコードされている4種のポリペプチド(SDHA、SDHB、SDHCおよびSDHDとして同定される)により組成される。呼吸が阻害されることで真菌によるATPの形成が妨げられ、それ故、成長および繁殖が阻害される。分子レベルでは、カルボキサミドは、SDH酵素におけるサブユニットSDHB、SDHCおよびSDHDにより形成されるユビキノン結合部位(Q部位)に結合することにより、ユビキノン還元を阻害する。Fungicide Resistance Action Committee(FRAC)によって、この殺菌・殺カビ性作用機構を有する化学化合物が、コハク酸脱水素酵素抑制剤に係る略記として「SDHI」として同定されており、FRACコード7に分類されている。
【0345】
現在では、ユビキノン結合部位を形成するサブユニットSDHB、SDHCおよびSDHDにおける多様な突然変異が、SDHIに対する耐性を引き起こすことが知られている。FRACは、ウェブサイト上に「List of fungal species with resistance reports towards SDHI fungicides and mutations in the succinate dehydrogenates gene (updated March 2012)」(http://frac.info/frac/work/List%20of%20SDHI%20resistant%20species.pdf(2012年6月28日時点で入手可能))を公表しており、これは、SDHIに対して耐性を示す、人為的な突然変異誘発を介して実験室においてもたらされる突然変異と、圃場において見出される天然突然変異との両方を含む。Scalliet et al.,“Mutagenesis and Functional Studies with Succinate Dehydrogenase Inhibitors in the Wheat Pathogen Mycosphaerella graminicola”,PLoS ONE,2012,7(4),1−20(Adobe Acrobatファイル形式で、journal.pone.0035429.pdfとして発行され、2012年6月28日にhttp://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0035429を介して入手可能である)には、マイコスファエレラグラミニコラ(Mycosphaerella graminicola)の追加的な突然変異が記載されている。これらの刊行物には、既知の耐性突然変異を有する真菌性病原体としては、アルテルナリアアルテルナタ(Alternaria alternata)(SDHB:H277Y、H277R;SDHC:H134R;SDHD:D123E、H133R)、アスペルギルスオリゼー(Aspergillus oryzae)(SDHB:H249Y、H249L、H249N;SDHC:T90I;SDHD:D124E)、ボトリチスシネアレア(Botrytis cinearea)(SDHB:P225L、P225T、P225F、H272Y、H272R、H272L、N230I;SDHD:H132R)、ボトリチスエリプチカ(Botrytis elliptica)(SDHB:H272Y、H272R)、コリネスポラカッシイコラ(Corynespora cassiicola)(SDHB:H287Y、H287R;SDHC:S73P、SDHD:S89P)、ジディメラブリオニアエ(Didymella bryoniae)(SDHB:H277R、H277Y)、マイコスファエレラグラミニコラ(Mycosphaerella graminicola)(SDHB:S218F、P220T、P220L、S221P、N225H、N225I、R265P、H267L、H267N、H267R、H267Q、H267Y、I269V、N271K;SDHC:T79I、S83G、A84V、A84I、L85P、N86K、R87C、V88D、H145R、H152R;SDHD:D129E、D129G、D129S、D129T、H139E)、ポドスファエラキサンティイ(Podosphaera xanthii)(SDHB:H[???]Y)、スクレロティニアスクレロティオルム(Sclerotinia sclerotiorum)(SDHD:H132R)、ウスチラゴマイディス(Ustilago maydis)(SDHB:H257L)、ステムフィリウムボトリオセ(Stemphylium botryose)(SDHB:P225L、H272Y、H272R)およびウスチラゴマイディス(Ustilago maydis)(SDHB:H257L)が挙げられることが開示されており、ここで、左側の英字は一般的な野生種酵素サブユニットにおけるアミノ酸を示し、数字はサブユニットにおけるアミノ酸の位置を特定し、右側の英字は、突然変異サブユニットにおけるアミノ酸を示す(アミノ酸は、標準的な一文字の英字コードによって示されている;例えば、2012年6月28日にアクセスしたhttp://www.bio.davidson.edu/Biology/aatable.htmlを参照のこと)。セプトリアトリティシ(Septoria tritici)などの他の真菌性病原体の代謝にもコハク酸脱水素酵素が関与するため、これらについてもSDHI−耐性突然変異が可能である。
【0346】
特に、本発明の化合物は、他のSDHIに対して高度に耐性である突然変異真菌性病原体に対する十分な活性を保持しており、従って、本化合物は、突然変異病原体、ならびに、野生種病原体に対して植物を保護する農業経済学的な有用性が保持される。SDHI−耐性真菌性病原体により引き起こされる植物病害に係る他のSDHI殺菌・殺カビ剤と比した本化合物の向上した効力は、野生種真菌性病原体の代わりにSDHI−耐性病原体を用いる、例えば本明細書に開示のテストA〜Eと同様のテストといった単純な植物病害防除テストにより判定可能である。
【0347】
これらの殺菌・殺カビ活性に追加して、組成物または組み合わせもまた、エルウィニアアミロボラ(Erwinia amylovora)、キサントモナスカムペストリス(Xanthomonas campestris)、シュードモナスシリンガエ(Pseudomonas syringae)および他の関連種などのバクテリアに対して活性を有する。有害な微生物を防除することにより、本発明の化合物は、作物植物もしくはその栄養繁殖体(例えば、種子、球茎、鱗茎、塊茎、挿木)に接触する、または、作物植物もしくはその栄養繁殖体の農学的環境における有益な微生物対有害な微生物の比を改善(すなわち、増大)させるために有用である。
【0348】
本発明の化合物は、すべての植物、植物部位および種子の処理に有用である。植物および種子の変種および栽培品種は、従来の繁殖および育種法により、または、遺伝子操作法により得ることが可能である。遺伝子操作された植物または種子(遺伝子組換え植物または種子)は、異種遺伝子(導入遺伝子)が安定して植物または種子のゲノムに組み込まれたものである。植物ゲノムにおける特定の位置により定義される導入遺伝子は、形質転換または遺伝子組換えイベントと呼ばれる。
【0349】
本発明に従って処理可能である遺伝子操作された植物栽培品種は、1種以上の生物ストレス(線虫、昆虫、ダニ、真菌等などの有害生物)もしくは非生物ストレス(渇水、低温、土壌塩分等)に対して耐性であるもの、または、他の望ましい特徴を有するものを含む。植物は、遺伝子操作されて、例えば、除草剤耐性、昆虫耐性、変性油プロファイルまたは渇水耐性といった形質を示すことが可能である。単一の遺伝子形質転換イベントまたは形質転換イベントの組み合わせを含む有用な遺伝子操作された植物が表IIに列挙されている。表2に列挙されている遺伝子修飾に係る追加の情報は、例えば、米国農務省によって管理されている公開データベースから入手可能である。
【0350】
表2においては、形質について、以下の略語T1〜T37が用いられている。「−」は、項目が適用可能ではないことを意味する。
【0351】
【表26】
【0352】
【表27】
【0353】
【表28】
【0354】
【表29】
【0355】
【表30】
【0356】
【表31】
【0357】
【表32】
【0358】
【表33】
【0359】
【表34】
【0360】
本発明の化合物による遺伝子操作された植物および種子の処理により、超相加的または相乗的な効果がもたらされ得る。例えば、施用量の低減、活性スペクトルの拡大、ストレス/非生物ストレスに対する耐性の増加、または、保管安定性の増加が、遺伝子操作された植物および種子に本発明の化合物を適用した場合における単純な相加的効果から予期されるものを超える可能性がある。
【0361】
本発明の化合物はまた、種子を植物病害から保護するための種子処理において有用である。本開示および特許請求の範囲の文脈において、種子の処理とは、種子を、典型的には本発明の組成物として配合された本発明の化合物と生物学的に有効な量で接触させることを意味する。この種子処理により種子が土壌伝播性病害病原体から保護され、一般に、発芽種子から発生する実生の土壌と接触している根および他の植物部位をも保護することが可能である。種子処理はまた、発生する植物における本発明の化合物または第2の活性処方成分の転流による群葉の保護をももたらし得る。種子処理は、遺伝的に形質転換されて特殊な形質を発現する植物が発芽するものを含むすべてのタイプの種子に適用可能である。代表例としては、バチルスチューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)トキシンなどの無脊椎有害生物に有害なタンパク質を発現するもの、または、グリホサートに対する耐性をもたらすグリホサートアセチルトランスフェラーゼなどの除草抵抗性を発現するものが挙げられる。本発明の化合物による種子処理はまた、種子から生育する植物の活力を高めることが可能である。
【0362】
本発明の化合物およびその組成物は、共に単独で、および、他の殺菌・殺カビ剤、殺線虫剤おび殺虫剤との組み合わせで、特にこれらに限定されないが、トウモロコシまたはコーン、ダイズ、綿、穀類(例えば、コムギ、カラスムギ、オオムギ、ライ麦およびイネ)、ジャガイモ、野菜およびアブラナを含む作物に対する種子処理において特に有用である。
【0363】
さらに、本発明の化合物は、真菌およびバクテリアにより引き起こされる果実および野菜の収穫後病害の処置において有用である。これらの感染は、収穫中、および、その前後に生じる可能性がある。例えば、感染は、収穫の前に生じ、次いで、成熟中のある時点まで休眠し続ける可能性があり(例えば、宿主が感染が進行可能であるように組織変化し始める);また、感染は、機械的に、または、昆虫被害により生じた表面の傷から発生する可能性がある。この点において、本発明の化合物は、収穫後消費されるまでの間いつでも発生し得る収穫後病害に起因する損失(すなわち、量および品質面からもたらされる損失)を低減させることが可能である。本発明の化合物による収穫後病害の処置により、収穫後に、傷みやすい可食性の植物部位(例えば、果実、種子、群葉、茎、鱗茎、塊茎)を冷蔵保管し、または、冷蔵せずに保管することが可能な期間であって、可食状態が維持されると共に、真菌もしくは他の微生物による明らかなもしくは有害な品質の低下、または、真菌もしくは他の微生物による汚染が伴わない期間を延長することが可能である。収穫前もしくは収穫後における、本発明の化合物による可食性の植物部位の処理はまた、例えばアフラトキシンなどのマイコトキシンといった、真菌または他の微生物による有害な代謝産物の形成を低減させることが可能である。
【0364】
植物病害防除は、有効量の本発明の化合物を、感染前もしくは感染後に、根、茎、群葉、果実、種子、塊茎もしくは鱗茎などの保護されるべき植物の一部分、または、保護されるべき植物が成長している培地(土壌または砂)に適用することにより通常達成される。種子および種子から発育する実生を保護するために化合物を種子に適用することも可能である。化合物はまた、植物を処理するために潅漑水を介して適用することが可能である。収穫前に産物に感染する収穫後病原体の防除は、典型的には、本発明の化合物の圃場適用により達成され、感染が収穫後に生じる場合においては、化合物は、収穫された作物に、浸漬、噴霧、燻蒸、処理されたラップおよび箱のライナーとして適用されることが可能である。
【0365】
これらの化合物の適用量(すなわち殺菌・殺カビ的に有効な量)は、防除されるべき植物病害、保護されるべき植物種、周囲水分量および温度などの要因によって影響される可能性があり、実際の使用条件下で判定されるべきである。当業者は、植物病害の防除に係る所望のレベルに必要とされる殺菌・殺カビ的に有効な量を単純な実験と通して容易に判定することが可能である。群葉は通常、約1g/ha未満〜約5,000g/haの量の活性処方成分で処理された場合に保護可能である。種子および実生は通常、種子が、種子1キログラム当たり、約0.001g(より典型的には、約0.1g)〜約10gの量で処理された場合に保護可能である。本発明の化合物はまた、殺菌・殺カビ剤、殺虫剤、抗線虫薬、殺菌剤、殺ダニ剤、除草剤、除草剤毒性緩和剤、昆虫脱皮阻害剤および発根刺激剤などの成長調節剤、不妊化剤、信号化学物質、忌避剤、誘引剤、フェロモン、摂食刺激物質、植物栄養分、他の生物学的に有効な化合物または昆虫病原性バクテリア、ウイルスまたは真菌を含む他の生物学的に有効な化合物もしくは薬剤の1種または複数種と混合されて多成分有害生物防除剤を形成して、さらに広範囲の農学的保護をもたらすことが可能である。それ故、本発明はまた、式1の化合物(殺菌・殺カビ的に有効な量)と、少なくとも1種の追加の生物学的に有効な化合物または薬剤(生物学的に有効な量)とを含む組成物に関し、界面活性剤、固体希釈剤または液体希釈剤の少なくとも1種をさらに含んでいることが可能である。他の生物学的に有効な化合物もしくは薬剤は、界面活性剤、固体または液体希釈剤の少なくとも1種を含む組成物中で配合されることが可能である。本発明の混合物に関して、1種もしくは複数種の他の生物学的に有効な化合物もしくは薬剤は、式1の化合物と一緒に配合されて予混合物が形成可能であり、または、1種もしくは複数種の他の生物学的に有効な化合物もしくは薬剤は式1の化合物から個別に配合され、配合物を、適用前に(例えば、噴霧タンク中で)一緒に組み合わせること、または、あるいは、逐次的に適用することが可能である。
【0366】
発明の概要において記載のとおり、本発明の一態様は、式1の化合物、そのN−オキシドまたは塩(すなわち、コンポーネント)と、少なくとも1種の他の殺菌・殺カビ剤(すなわち、コンポーネントb)とを含む殺菌・殺カビ組成物である(すなわち、混合物またはその組み合わせ)。注目すべきは、他の殺菌・殺カビ性活性処方成分が式1の化合物とは異なる作用部位を有するような組み合わせである。一定の事例において、同様の防除範囲を有するが作用部位が異なる少なくとも1種の他の殺菌・殺カビ性活性処方成分との組み合わせが耐性管理に関して特に有利であろう。それ故、本発明の組成物はさらに、同様の防除範囲を有するが作用部位が異なる少なくとも1種の追加の殺菌・殺カビ性活性処方成分を殺菌・殺カビ的に有効な量で含んでいることが可能である。
【0367】
コンポーネント(a)の式1の化合物に追加して、コンポーネント(b)として、FRACにより定義されている作用機構(MOA)クラス(A)核酸合成、(B)有糸分裂および細胞分裂、(C)呼吸、(D)アミノ酸およびタンパク質合成、(E)シグナル伝達、(F)脂質合成および膜統合性、(G)膜におけるステロール生合成、(H)膜における細胞壁生合成、(I)細胞壁におけるメラニン合成、(P)宿主植物の抵抗性誘導、多部位接触活性、ならびに、不明な作用形態からなる群から選択される少なくとも1種の殺菌・殺カビ性化合物を含む組成物に注目すべきである。
【0368】
FRACにより承認または提言されている標的作用部位は、上記のMOAクラスに属するそのFRAC標的部位コードに加えて、(A1)RNAポリメラーゼI、(A2)アデノシンデアミナーゼ、(A3)DNA/RNA合成(提言されている)、(A4)DNAトポイソメラーゼ、(B1〜B3)有糸分裂におけるβ−チューブリンアセンブリ、(B4)細胞分裂(提言されている)、(B5)スペクトリン様タンパク質の非局在化、(C1)複合体I NADHオキシド−レダクターゼ、(C2)複合体II:コハク酸脱水素酵素、(C3)Qo部位における複合体III:チトクロムbc1(ユビキノールオキシダーゼ)、(C4)Qi部位における複合体III:チトクロムbc1(ユビキノンレダクターゼ)、(C5)酸化性リン酸化の脱共役剤、(C6)酸化性リン酸化の抑制剤、ATPシンターゼ、(C7)ATP産生(提言されている)、(C8)Qx(未知)部位における複合体III:チトクロムbc1(ユビキノンレダクターゼ)、(D1)メチオニン生合成(提言されている)、(D2〜D5)タンパク質合成、(E1)シグナル伝達(未知のメカニズム)、(E2〜E3浸透圧シグナル伝達におけるMAP/ヒスチジンキナーゼ、(F2)リン脂質生合成、メチルトランスフェラーゼ、(F3)脂質過酸化(提言されている)、(F4)細胞膜浸透性、脂肪酸(提言されている)、(F6)病原体細胞膜の微生物性撹乱物質、(F7)細胞膜撹乱(提言されている)、(G1)ステロール生合成におけるC14−デメチラーゼ、(G2)ステロール生合成におけるΔ14−レダクターゼおよびΔ8→Δ7−イソメラーゼ、(G3)3−ケトレダクターゼ、C4−脱メチル化、(G4)ステロール生合成におけるスクアレンエポキシダーゼ、(H3)トレハラーゼおよびイノシトール生合成、(H4)キチンシンターゼ、(H5)セルロースシンターゼ、(I1)メラニン生合成におけるレダクターゼ、ならびに、(I2)メラニン生合成におけるデヒドラターゼである。
【0369】
特に注目すべきは、コンポーネント(a)の式1の化合物に追加して、コンポーネント(b)として、クラス(b1)メチルベンズイミダゾールカルバメート(MBC)殺菌・殺カビ剤;(b2)ジカルボキシイミド殺菌・殺カビ剤;(b3)脱メチル化抑制剤(DMI)殺菌・殺カビ剤;(b4)フェニルアミド殺菌・殺カビ剤;(b5)アミン/モルホリン殺菌・殺カビ剤;(b6)リン脂質生合成抑制剤殺菌・殺カビ剤;(b7)コハク酸脱水素酵素抑制剤殺菌・殺カビ剤;(b8)ヒドロキシ(2−アミノ−)ピリミジン殺菌・殺カビ剤;(b9)アニリノピリミジン殺菌・殺カビ剤;(b10)N−フェニルカルバメート殺菌・殺カビ剤;(b11)キノン外部抑制剤(QoI)殺菌・殺カビ剤;(b12)フェニルピロール殺菌・殺カビ剤;(b13)アザナフタレン殺菌・殺カビ剤;(b14)脂質過酸化抑制剤殺菌・殺カビ剤;(b15)メラニン生合成抑制剤−レダクターゼ(MBI−R)殺菌・殺カビ剤;(b16)メラニン生合成抑制剤−デヒドラターゼ(MBI−D)殺菌・殺カビ剤;(b17)ステロール生合成抑制剤(SBI):クラスIII殺菌・殺カビ剤;(b18)スクアレン−エポキシダーゼ抑制剤殺菌・殺カビ剤;(b19)ポリオキシン殺菌・殺カビ剤;(b20)フェニル尿素殺菌・殺カビ剤;(b21)キノン内部抑制剤(QiI)殺菌・殺カビ剤;(b22)ベンズアミドおよびチアゾールカルボキサミド殺菌・殺カビ剤;(b23)エノピラヌロン酸抗生物質殺菌・殺カビ剤;(b24)ヘキソピラノシル抗生物質殺菌・殺カビ剤;(b25)グルコピラノシル抗生物質:タンパク質合成殺菌・殺カビ剤;(b26)グルコピラノシル抗生物質:トレハラーゼおよびイノシトール生合成殺菌・殺カビ剤;(b27)シアノアセタミドオキシム殺菌・殺カビ剤;(b28)カルバメート殺菌・殺カビ剤;(b29)酸化性リン酸化脱共役殺菌・殺カビ剤;(b30)有機錫殺菌・殺カビ剤;(b31)カルボン酸殺菌・殺カビ剤;(b32)芳香族複素環式殺菌・殺カビ剤;(b33)ホスホネート殺菌・殺カビ剤;(b34)フタルアミド酸殺菌・殺カビ剤;(b35)ベンゾトリアジン殺菌・殺カビ剤;(b36)ベンゼン−スルホンアミド殺菌・殺カビ剤;(b37)ピリダジノン殺菌・殺カビ剤;(b38)チオフェン−カルボキサミド殺菌・殺カビ剤;(b39)複合体I NADHオキシドレダクターゼ抑制剤殺菌・殺カビ剤;(b40)カルボン酸アミド(CAA)殺菌・殺カビ剤;(b41)テトラサイクリン抗生物質殺菌・殺カビ剤;(b42)チオカルバメート殺菌・殺カビ剤;(b43)ベンズアミド殺菌・殺カビ剤;(b44)微生物性殺菌・殺カビ剤;(b45)QI殺菌・殺カビ剤;(b46)植物抽出物殺菌・殺カビ剤;(b47)宿主植物防御誘起殺菌・殺カビ剤;(b48)多部位接触作用殺菌・殺カビ剤;(b49)クラス(b1)〜(b48)の殺菌・殺カビ剤以外の殺菌・殺カビ剤;および、クラス(b1)〜(b48)の化合物の塩を含む組成物である。
【0370】
殺菌・殺カビ性化合物のこれらのクラスのさらなる説明を以下に記載する。
【0371】
(b1)「メチルベンズイミダゾールカルバメート(MBC)殺菌・殺カビ剤」(FRACコード1)は、微小管会合の最中にβ−チューブリンに結合することにより有糸分裂を阻害する。微小管会合の阻害は、細胞分裂、細胞内輸送および細胞構造を撹乱することが可能である。メチルベンズイミダゾールカルバメート殺菌・殺カビ剤としては、ベンズイミダゾールおよびチオファネート殺菌・殺カビ剤が挙げられる。ベンズイミダゾールとしては、ベノミル、カルベンダジム、フベリダゾールおよびチアベンダゾールが挙げられる。チオファネートとしては、チオファネートおよびチオファネート−メチルが挙げられる。
【0372】
(b2)「ジカルボキシイミド殺菌・殺カビ剤」(FRACコード2)は、浸透圧シグナル伝達におけるMAP/ヒスチジンキナーゼを阻害する。例としては、クロゾリネート、イプロジオン、プロシミドンおよびビンクロゾリンが挙げられる。
【0373】
「脱メチル化抑制剤(DMI)殺菌・殺カビ剤」(FRACコード3)(ステロール生合成抑制剤(SBI):クラスI)ステロール産生に関与するC14−デメチラーゼを阻害する。エルゴステロールなどのステロールが膜構造および機能に必要とされており、これらは、機能性細胞壁の発達のために必須とされている。従って、これらの殺菌・殺カビ剤への露出は、感受性の真菌の異常な成長および最終的に死滅をもたらす。DMI殺菌・殺カビ剤は数々の化学分類に分類されている:アゾール(トリアゾールおよびイミダゾールを含む)、ピリミジン、ピペラジン、ピリジンおよびトリアゾリンチオン。トリアゾールとしては、アザコナゾール、ビテルタノール、ブロムコナゾール、シプロコナゾール、ジフェノコナゾール、ジニコナゾール(ジニコナゾール−Mを含む)、エポキシコナゾール、エタコナゾール、フェンブコナゾール、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルトリアホール、ヘキサコナゾール、イミベンコナゾール、イプコナゾール、メトコナゾール、ミクロブタニル、ペンコナゾール、プロピコナゾール、キンコナゾール、シメコナゾール、テブコナゾール、テトラコナゾール、トリアジメホン、トリアジメノール、トリチコナゾール、ウニコナゾール、ウニコナゾール−P、α−(1−クロロシクロプロピル)−α−[2−(2,2−ジクロロシクロプロピル)エチル]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−エタノール、rel−1−[[(2R,3S)−3−(2−クロロフェニル)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−2−オキシラニル]メチル]−1H−1,2,4−トリアゾール、rel−2−[[(2R,3S)−3−(2−クロロフェニル)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−2−オキシラニル]−メチル]−1,2−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−チオン、および、rel−1−[[(2R,3S)−3−(2−クロロフェニル)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−2−オキシラニル]メチル]−5−(2−プロペン−1−イルチオ)−1H−1,2,4−トリアゾールが挙げられる。イミダゾールとしては、エコナゾール、イマザリル、オキスポコナゾール、プロクロラズ、ペフラゾエートおよびトリフルミゾールが挙げられる。ピリミジンとしては、フェナリモル、ヌアリモルおよびトリアリモルが挙げられる。ピペラジンとしては、トリホリンが挙げられる。ピリジンとしては、ブチオベート、ピリフェノックス、ピリゾキサゾール(3−[(3R)−5−(4−クロロフェニル)−2,3−ジメチル−3−イソキサゾリジニル]ピリジン、3R,5R−および3R,5S−異性体)の混合物、ならびに、(αS)−[3−(4−クロロ−2−フルオロフェニル)−5−(2,4−ジフルオロフェニル)−4−イソオキサゾリル]−3−ピリジンメタノールが挙げられる。トリアゾリンチオンとしては、プロチオコナゾールおよび2−[2−(1−クロロシクロプロピル)−4−(2,2−ジクロロシクロプロピル)−2−ヒドロキシブチル]−1,2−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−チオンが挙げられる。生化学的研究によって、K.H.Kuck et al.in Modern Selective Fungicides−Properties,Applications and Mechanisms of Action,H.Lyr(Ed.),Gustav Fischer Verlag:New York,1995,205−258に記載されているとおり、上記の殺菌・殺カビ剤のすべてがDMI殺菌・殺カビ剤であることが示されている。
【0374】
(b4)「フェニルアミド殺菌・殺カビ剤」(FRACコード4)は、卵菌真菌におけるRNAポリメラーゼの特異的抑制剤である。これらの殺菌・殺カビ剤に露出された感受性の真菌は、rRNAへのウリジンの組み込み能の低下を示す。感受性の真菌における成長および発生は、このクラスの殺菌・殺カビ剤に対する露出により妨げられる。フェニルアミド殺菌・殺カビ剤としては、アシルアラニン、オキサゾリジノンおよびブチロラクトン殺菌・殺カビ剤が挙げられる。アシルアラニンとしては、ベナラキシル、ベナラキシル−M(キララクシルとしても公知である)、フララキシル、メタラキシルおよびメタラキシル−M(メフェノキサムとしても公知である)が挙げられる。オキサゾリジノンとしてはオキサジキシルが挙げられる。ブチロラクトンとしてはオフレースが挙げられる。
【0375】
(b5)「アミン/モルホリン殺菌・殺カビ剤」(FRACコード5)(SBI:クラスII)は、ステロール生合成経路、Δ→ΔイソメラーゼおよびΔ14レダクターゼにおける2つの標的部位を阻害する。エルゴステロールなどのステロールが膜構造および機能に必要とされており、これらは、機能性細胞壁の発達のために必須とされている。従って、これらの殺菌・殺カビ剤への露出は、感受性の真菌の異常な成長および最終的に死滅をもたらす。アミン/モルホリン殺菌・殺カビ剤(非DMIステロール生合成抑制剤としても知られる)としては、モルホリン、ピペリジンおよびスピロケタール−アミン殺菌・殺カビ剤が挙げられる。モルホリンとしては、アルジモルフ、ドデモルフ、フェンプロピモルフ、トリデモルフおよびトリモルファミドが挙げられる。ピペリジンとしてはフェンプロピジンおよびピペラリンが挙げられる。スピロケタール−アミンとしてはスピロキサミンが挙げられる。
【0376】
(b6)「リン脂質生合成抑制剤殺菌・殺カビ剤」(FRACコード6)は、リン脂質生合成に作用することにより真菌の成長を阻害する。リン脂質生合成殺菌・殺カビ剤としては、ホスホロチオレートおよびジチオラン殺菌・殺カビ剤が挙げられる。ホスホロチオレートとしては、エディフェンホス、イプロベンホスおよびピラゾホスが挙げられる。ジチオランとしてはイソプロチオランが挙げられる。
【0377】
(b7)「コハク酸脱水素酵素抑制剤(SDHI)殺菌・殺カビ剤」(FRACコード7)は、クレブス回路(TCA回路)における重要な酵素、すなわちコハク酸脱水素酵素を撹乱することにより複合体II真菌性呼吸を阻害する。呼吸が阻害されることで真菌によるATPの形成が妨げられ、それ故、成長および繁殖が阻害される。SDHI殺菌・殺カビ剤としては、フェニルベンズアミド、フランカルボキサミド、オキサチインカルボキサミド、チアゾールカルボキサミド、ピラゾール−4−カルボキサミド、ピリジンカルボキサミド、フェニルオキソエチルチオフェンアミドおよびピリジニルエチルベンズアミドが挙げられる。ベンズアミドとしては、ベノダニル、フルトラニルおよびメプロニルが挙げられる。フランカルボキサミドとしては、フェンフラムが挙げられる。オキサチインカルボキサミドとしては、カルボキシンおよびオキシカルボキシンが挙げられる。チアゾールカルボキサミドとしては、チフルザミドが挙げられる。ピラゾール−4−カルボキサミドとしては、ベンゾビンジフルピル(N−[9−(ジクロロメチレン)−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−メタノナフタレン−5−イル]−3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド)、ビキサフェン、フルキサピロキサド(3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−N−(3’,4’,5’−トリフルオロ[1,1’−ビフェニル]−2−イル)−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド)、フラメトピル、イソピラザム(3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−N−[1,2,3,4−テトラヒドロ−9−(1−メチルエチル)−1,4−メタノナフタレン−5−イル]−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド)、ペンフルフェン(N−[2−(1,3−ジメチル−ブチル)フェニル]−5−フルオロ−1,3−ジメチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド)、ペンチオピラド、セダキサン(N−[2−[1,1’−ビシクロプロピル]−2−イルフェニル]−3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド)、N−[2−(1S,2R)−[1,1’−ビシクロプロピル]−2−イルフェニル]−3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、3−(ジフルオロメチル)−N−(2,3−ジヒドロ−1,1,3−トリメチル−1H−インデン−4−イル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、N−[2−(2,4−ジクロロフェニル)−2−メトキシ−1−メチルエチル]−3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミドおよびN−シクロプロピル−3−(ジフルオロメチル)−5−フルオロ−1−メチル−N−[[2−(1−メチルエチル)−フェニル]メチル]−1H−ピラゾール−4−カルボキサミドが挙げられる。ピリジンカルボキサミドとしては、ボスカリドが挙げられる。フェニルオキソエチルチオフェンアミドとしては、イソフェタミド(N−[1,1−ジメチル−2−[2−メチル−4−(1−メチルエトキシ)フェニル]−2−オキソエチル]−3−メチル−2−チオフェンカルボキサミド)が挙げられる。ピリジニルエチルベンズアミドとしては、フルオピラムが挙げられる。
【0378】
(b8)「ヒドロキシ(2−アミノ−)ピリミジン殺菌・殺カビ剤」(FRACコード8)はアデノシンデアミナーゼに干渉することにより核酸合成を阻害する。例としては、ブピリメート、ジメチリモールおよびエチリモールが挙げられる。
【0379】
(b9)「アニリノピリミジン殺菌・殺カビ剤」(FRACコード9)は、アミノ酸メチオニン生合成を阻害すると共に、感染の最中に植物細胞を溶解する加水分解酵素の分泌を撹乱すると提言されている。例としては、シプロジニル、メパニピリムおよびピリメタニルが挙げられる。
【0380】
(b10)「N−フェニルカルバメート殺菌・殺カビ剤」(FRACコード10)は、β−チューブリンに結合し、微小管会合を撹乱することにより有糸分裂を阻害する。微小管会合の阻害は、細胞分裂、細胞内輸送および細胞構造を撹乱することが可能である。例としては、ジエトフェンカルブが挙げられる。
【0381】
(b11)「キノン外部抑制剤(QoI)殺菌・殺カビ剤」(FRACコード11)は、ユビキノールオキシダーゼに作用することにより真菌における複合体IIIミトコンドリア呼吸を阻害する。ユビキノールの酸化は、真菌の内部ミトコンドリア膜内に位置されているチトクロムbc複合体の「キノン外部」(Q)部位でブロックされる。ミトコンドリア呼吸が阻害されることにより、正常な真菌増殖および発生が妨げられる。キノン外部抑制剤殺菌・殺カビ剤としては、メトキシアクリレート、メトキシカルバメート、オキシミノアセテート、オキシミノアセタミドおよびジヒドロジオキサジン殺菌・殺カビ剤(総括して、ストロビルリン殺菌・殺カビ剤としても公知である)、およびオキサゾリジンジオン、イミダゾリノンおよびベンジルカルバメート殺菌・殺カビ剤が挙げられる。メトキシアクリレートとしては、アゾキシストロビン、クモキシストロビン(メチル(αE)−2−[[(3−ブチル−4−メチル−2−オキソ−2H−1−ベンゾピラン−7−イル)オキシ]メチル]−α−(メトキシメチレン)ベンゼンアセテート)、エノキサストロビン(メチル(αE)−2−[[[(E)−[(2E)−3−(4−クロロフェニル)−1−メチル−2−プロペン−1−イリデン]アミノ]オキシ]メチル]−α−(メトキシメチレン)ベンゼンアセテート)(エネストロブリンとしても公知である)、フルフェノキシストロビン(メチル(αE)−2−[[2−クロロ−4−(トリフルオロメチル)フェノキシ]メチル]−α−(メトキシメチレン)ベンゼンアセテート)、ピコキシストロビン、およびピラオキシストロビン(メチル(αE)−2−[[[3−(4−クロロフェニル)−1−メチル−1H−ピラゾール−5−イル]オキシ]メチル]−α−(メトキシメチレン)ベンゼンアセテート)が挙げられる。メトキシカルバメートとしては、ピラクロストロビン,ピラメトストロビン(メチルN−[2−[[(1,4−ジメチル−3−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル)オキシ]メチル]フェニル]−N−メトキシカルバメート)およびトリクロピリカルブ(メチルN−メトキシ−N−[2−[[(3,5,6−トリクロロ−2−ピリジニル)オキシ]メチル]フェニル]カルバメート)が挙げられる。オキシミノ酢酸としては、クレソキシム−メチル、およびトリフロキシストロビンが挙げられる。オキシミノアセタミドとしては、ジモキシストロビン、フェナミンストロビン((αE)−2−[[[(E)−[(2E)−3−(2,6−ジクロロフェニル)−1−メチル−2−プロペン−1−イリデン]アミノ]オキシ]メチル]−α−(メトキシイミノ)−N−メチルベンゼンアセタミド)、メトミノストロビン、オリザストロビンおよびα−[メトキシイミノ]−N−メチル−2−[[[1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ]−イミノ]−メチル]−ベンゼンアセタミドが挙げられる。ジヒドロジオキサジンとしては、フルオキサストロビンが挙げられる。オキサゾリジンジオンとしては、ファモキサドンが挙げられる。イミダゾリノンとしては、フェンアミドンが挙げられる。ベンジルカルバメートとしては、ピリベンカルブが挙げられる。クラス(b11)はまた、マンデストロビン(2−[(2,5−ジメチルフェノキシ)メチル]−α−メトキシ−N−ベンゼンアセトアミド)が挙げられる。
【0382】
(b12)「フェニルピロール殺菌・殺カビ剤」(FRACコード12)は、真菌における浸透圧シグナル伝達系に関連するMAP/ヒスチジンキナーゼを阻害する。フェンピクロニルおよびフルジオキソニルがこの殺菌・殺カビ剤クラスの例である。
【0383】
(b13)「アザナフタレン殺菌・殺カビ剤」(FRACコード13)は、未知のメカニズムによりシグナル伝達を阻害すると提言されている。これらは、ウドンコ病を引き起こす真菌における発芽および/または付着器形成に干渉するとみられている。アザナフタレン殺菌・殺カビ剤としては、アリールオキシキノリンおよびキナゾリノンが挙げられる。アリールオキシキノリンとしては、キノキシフェンが挙げられる。キナゾリノンとしては、プロキナジドが挙げられる。
【0384】
(b14)「脂質過酸化抑制剤殺菌・殺カビ剤」(FRACコード14)は、真菌における膜合成に作用する脂質過酸化を阻害すると提言されている。エトリジアゾールなどのこのクラスの構成要素もまた、呼吸およびメラニン生合成などの他の生物学的プロセスに作用し得る。脂質過酸化殺菌・殺カビ剤としては、芳香族炭化水素および1,2,4−チアジアゾール殺菌・殺カビ剤が挙げられる。芳香族炭化水素殺菌・殺カビ剤としては、ビフェニル、クロロネブ、ジクロラン、キントゼン、テクナゼンおよびトルコホス−メチルが挙げられる。1,2,4−チアジアゾールとしては、エトリジアゾールが挙げられる。
【0385】
(b15)「メラニン生合成抑制剤−レダクターゼ(MBI−R)殺菌・殺カビ剤」(FRACコード16.1)は、メラニン生合成におけるナフタレン還元ステップを阻害する。メラニンは、ある種の真菌によって宿主植物感染のために必要とされる。メラニン生合成抑制剤−レダクターゼ殺菌・殺カビ剤としては、イソベンゾフラノン、ピロロキノリノンおよびトリアゾロベンゾチアゾール殺菌・殺カビ剤が挙げられる。イソベンゾフラノンとしては、フサライドが挙げられる。ピロロキノリノンとしては、ピロキロンが挙げられる。トリアゾロベンゾチアゾールとしては、トリシクラゾールが挙げられる。
【0386】
(b16)「メラニン生合成抑制剤−デヒドラターゼ(MBI−D)殺菌・殺カビ剤」(FRACコード16.2)は、メラニン生合成におけるシタロンデヒドラターゼを阻害する。メラニンは、ある種の真菌によって宿主植物感染のために必要とされる。メラニン生合成抑制剤−デヒドラターゼ殺菌・殺カビ剤としては、シクロプロパンカルボキサミド、カルボキサミドおよびプロピオンアミド殺菌・殺カビ剤が挙げられる。シクロプロパンカルボキサミドとしては、カルプロパミドが挙げられる。カルボキサミドとしては、ジクロシメットが挙げられる。プロピオンアミドとしては、フェノキサニルが挙げられる。
【0387】
(b17)「ステロール生合成抑制剤(SBI):クラスIII殺菌・殺カビ剤」(FRACコード17)は、ステロール産生におけるC4−脱メチル化中に3−ケトレダクターゼを阻害する。SBI:クラスIII抑制剤としては、ヒドロキシアニリド殺菌・殺カビ剤およびアミノピラゾリノン殺菌・殺カビ剤が挙げられる。ヒドロキシアニリドとしては、フェンヘキサミドが挙げられる。アミノピラゾリノンとしては、フェンピラザミン(S−2−プロペン−1−イル5−アミノ−2,3−ジヒドロ−2−(1−メチルエチル)−4−(2−メチルフェニル)−3−オキソ−1H−ピラゾール−1−カルボチオエート)が挙げられる。
【0388】
(b18)「スクアレン−エポキシダーゼ抑制剤殺菌・殺カビ剤」(FRACコード18)(SBI:クラスIV)は、ステロール生合成経路におけるスクアレン−エポキシダーゼを阻害する。エルゴステロールなどのステロールは、膜構造および膜機能のために必要であり、機能性細胞壁の発達のために必須とされる。従ってこれらの殺菌・殺カビ剤への露出は、感受性の真菌の異常な成長および最終的には死滅をもたらす。スクアレン−エポキシダーゼ抑制剤殺菌・殺カビ剤としては、チオカルバメートおよびアリルアミン殺菌・殺カビ剤が挙げられる。チオカルバメートとしては、ピリブチカルブが挙げられる。アリルアミンとしては、ナフチフィンおよびテルビナフィンが挙げられる。
【0389】
(b19)「ポリオキシン殺菌・殺カビ剤」(FRACコード19)はキチンシンターゼを阻害する。例としては、ポリオキシンが挙げられる。
【0390】
(b20)「フェニル尿素殺菌・殺カビ剤」(FRACコード20)は、細胞分裂に作用すると提言されている。例としては、ペンシクロンが挙げられる。
【0391】
(b21)「キノン内部抑制剤(QiI)殺菌・殺カビ剤」(FRACコード21)は、ユビキノンレダクターゼに作用することにより真菌における複合体IIIミトコンドリア呼吸を阻害する。ユビキノンの還元は、真菌の内部ミトコンドリア膜内に位置されているチトクロムbc複合体の「キノン内部」(Q)部位でブロックされる。ミトコンドリア呼吸が阻害されることにより、正常な真菌増殖および発生が妨げられる。キノン内部抑制剤殺菌・殺カビ剤としては、シアノイミダゾールおよびスルファモイルトリアゾール殺菌・殺カビ剤が挙げられる。シアノイミダゾールとしては、シアゾファミドが挙げられる。スルファモイルトリアゾールとしては、アミスルブロムが挙げられる。
【0392】
(b22)「ベンズアミド殺菌・殺カビ剤」(FRACコード22)は、β−チューブリンに結合し、微小管会合を撹乱することにより有糸分裂を阻害する。微小管会合の阻害は、細胞分裂、細胞内輸送および細胞構造を撹乱することが可能である。ベンズアミドとしては、ゾキサミドが挙げられる。チアゾールカルボキサミドとしては、エタボキサムが挙げられる。
【0393】
(b23)「エノピラヌロン酸抗生物質殺菌・殺カビ剤」(FRACコード23)は、タンパク質生合成に作用することにより真菌の成長を阻害する。例としては、ブラストサイジン−Sが挙げられる。
【0394】
(b24)「ヘキソピラノシル抗生物質殺菌・殺カビ剤」(FRACコード24)は、タンパク質生合成に作用することにより真菌の成長を阻害する。例としては、カスガマイシンが挙げられる。
【0395】
(b25)「グルコピラノシル抗生物質:タンパク質合成殺菌・殺カビ剤」(FRACコード25)は、タンパク質生合成に作用することにより真菌の成長を阻害する。例としては、ストレプトマイシンが挙げられる。
【0396】
(b26)「グルコピラノシル抗生物質:トレハラーゼおよびイノシトール生合成殺菌・殺カビ剤」(FRACコード26)は、トレハラーゼおよびイノシトール生合成を阻害する。例としては、バリダマイシンが挙げられる。
【0397】
(b27)「シアノアセタミドオキシム殺菌・殺カビ剤(FRACコード27)としては、シモキサニルが挙げられる。
【0398】
(b28)「カルバメート殺菌・殺カビ剤」(FRACコード28)は、真菌増殖の多部位抑制剤であるとみなされる。これらは、細胞膜における脂肪酸の合成に干渉し、次いで、細胞膜浸透性を撹乱すると提言されている。プロパマカルブ、ヨードカルブおよびプロチオカルブがこの殺菌・殺カビ剤クラスの例である。
【0399】
(b29)「酸化性リン酸化脱共役殺菌・殺カビ剤」(FRACコード29)は、脱共役酸化性リン酸化により真菌の呼吸を阻害する。呼吸が阻害されることにより、正常な真菌の成長および発生が妨げられる。このクラスは、フルアジナムなどの2,6−ジニトロアニリン、ならびに、ジノカップ、メプチルジノカップおよびビナパクリルなどのクロトン酸ジニトロフェニルを含む。
【0400】
(b30)「有機錫殺菌・殺カビ剤」(FRACコード30)は、酸化性リン酸化経路におけるアデノシン三リン酸(ATP)シンターゼを阻害する。例としては、酢酸トリフェニルスズ、塩化トリフェニルスズおよびトリフェニルスズヒドロキシドが挙げられる。
【0401】
(b31)「カルボン酸殺菌・殺カビ剤」(FRACコード31)は、デオキシリボ核酸(DNA)トポイソメラーゼタイプII(ギラーゼ)に作用することにより真菌の成長を阻害する。例としては、オキソリン酸が挙げられる。
【0402】
(b32)「芳香族複素環式殺菌・殺カビ剤」(Fungicide Resistance Action Committee(FRAC)コード32)は、DNA/リボ核酸(RNA)合成に作用すると提言されている。芳香族複素環式殺菌・殺カビ剤としては、イソキサゾールおよびイソチアゾロンが挙げられる。イソキサゾールとしてはヒメキサゾールが挙げられ、および、イソチアゾロンとしては、オクチリノンが挙げられる。
【0403】
(b33)「ホスホネート殺菌・殺カビ剤」(FRACコード33)としては、ホセチル−アルミニウムを含む亜リン酸およびその種々の塩が挙げられる。
【0404】
(b34)「フタルアミド酸殺菌・殺カビ剤」(FRACコード34)としては、テクロフタラムが挙げられる。
【0405】
(b35)「ベンゾトリアジン殺菌・殺カビ剤」(FRACコード35)としては、トリアゾキシドが挙げられる。
【0406】
(b36)「ベンゼン−スルホンアミド殺菌・殺カビ剤」(FRACコード36)としては、フルスルファミドが挙げられる。
【0407】
(b37)「ピリダジノン殺菌・殺カビ剤」(FRACコード37)としては、ジクロメジンが挙げられる。
【0408】
(b38)「チオフェン−カルボキサミド殺菌・殺カビ剤」(FRACコード38)は、ATP産生に作用すると提言されている。例としては、シルチオファムが挙げられる。
【0409】
(b39)「複合体I NADHオキシドレダクターゼ抑制剤殺菌・殺カビ剤」(FRACコード39)はミトコンドリアにおける電子伝達を阻害し、ジフルメトリムなどのピリミジンアミン、および、トルフェンピラドなどのピラゾール−5−カルボキサミドを含む。
【0410】
(b40)「カルボン酸アミド(CAA)殺菌・殺カビ剤」(FRACコード40)は、セルロースシンターゼを阻害して、標的真菌の成長を妨げ、死に至らしめる。カルボン酸アミド殺菌・殺カビ剤は、桂皮酸アミド、バリンアミドおよび他のカルバメート、およびマンデル酸アミド殺菌・殺カビ剤を含む。桂皮酸アミドとしては、ジメトモルフ、フルモルフおよびピリモルフ(3−(2−クロロ−4−ピリジニル)−3−[4−(1,1−ジメチルエチル)フェニル]−1−(4−モルホリニル)−2−プロペン−1−オン)が挙げられる。バリンアミドおよび他のカルバメートとしては、ベンチアバリカルブ、ベンチアバリカルブ−イソプロピル、イプロバリカルブ、トルプロカルブ(2,2,2−トリフルオロエチルN−[(1S)−2−メチル−1−[[(4−メチルベンゾイル)アミノ]メチル]プロピル]カルバメート)およびバリフェナレート(メチルN−[(1−メチルエトキシ)カルボニル]−L−バリル−3−(4−クロロフェニル)−β−アラニネート)(バリフェナルとしても公知である)が挙げられる。マンデル酸アミドとしては、マンジプロパミド、N−[2−[4−[[3−(4−クロロフェニル)−2−プロピン−1−イル]オキシ]−3−メトキシフェニル]エチル]−3−メチル−2−[(メチルスルホニル)−アミノ]−ブタンアミドおよびN−[2−[4−[[3−(4−クロロフェニル)−2−プロピン−1−イル]オキシ]−3−メトキシフェニル]−エチル]−3−メチル−2−[(エチルスルホニル)アミノ]ブタンアミドが挙げられる。
【0411】
(b41)「テトラサイクリン抗生物質殺菌・殺カビ剤」(FRACコード41)は、タンパク質合成に作用することにより真菌の成長を阻害する。例としては、オキシテトラサイクリンが挙げられる。
【0412】
(b42)「チオカルバメート殺菌・殺カビ剤」(FRACコード42)としては、メタスルホカルブが挙げられる。
【0413】
(b43)「ベンズアミド殺菌・殺カビ剤」(FRACコード43)は、スペクトリン様タンパク質を非局在化することにより真菌の成長を阻害する。例としては、フルオピコリドなどのピリジニルメチルベンズアミド殺菌・殺カビ剤(現在では、FRACコード7、ピリジニルエチルベンズアミド)が挙げられる。
【0414】
(b44)「微生物性殺菌・殺カビ剤」(FRACコード44)真菌性病原体細胞膜を破壊する。微生物性殺菌・殺カビ剤としては、バチルスアミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)菌株QST713、FZB24、MB1600、D747などのバチルス(Bacillus)種、および、これらが産生する殺菌・殺カビ性リポペプチドが挙げられる。
【0415】
(b45)「QI殺菌・殺カビ剤」(FRACコード45)は、チトクロムbc複合体の未知の(Q)部位でユビキノンレダクターゼに作用することにより、真菌における複合体IIIミトコンドリア呼吸を阻害する。ミトコンドリア呼吸を阻害することにより、正常な真菌の成長および発達が妨げられる。QI殺菌・殺カビ剤としては、アメトクトラジン(5−エチル−6−オクチル[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン)などのトリアゾロピリミジルアミンが挙げられる。
【0416】
(b46)「植物抽出物殺菌・殺カビ剤」は、細胞膜を撹乱することにより作用すると提言されている。植物抽出物殺菌・殺カビ剤としては、メラレウカアルテルニフォリア(Melaleuca alternifolia)(チャノキ)由来の抽出物などのテルペン炭化水素およびテルペンアルコールが挙げられる。
【0417】
(b47)「宿主植物防御誘起殺菌・殺カビ剤」(FRACコードP)は、宿主植物防御メカニズムを誘起させる。宿主植物防御誘起殺菌・殺カビ剤としては、ベンゾチアジアゾール、ベンズイソチアゾールおよびチアジアゾール−カルボキサミド殺菌・殺カビ剤が挙げられる。ベンゾチアジアゾールとしては、アシベンゾラル−S−メチルが挙げられる。ベンゾイソチアゾールとしては、プロベナゾールが挙げられる。チアジアゾール−カルボキサミドとしては、チアジニルおよびイソチアニルが挙げられる。
【0418】
(b48)「多部位接触殺菌・殺カビ剤」は、複数の作用部位を介して真菌増殖を阻害し、また、接触/予防活性を有する。このクラスの殺菌・殺カビ剤は以下を含む。(b48.1)「銅殺菌・殺カビ剤」(FRACコードM1)、(b48.2)「硫黄殺菌・殺カビ剤」(FRACコードM2)、(b48.3)「ジチオカルバメート殺菌・殺カビ剤」(FRACコードM3)、(b48.4)「フタルイミド殺菌・殺カビ剤」(FRACコードM4)、(b48.5)「クロロニトリル殺菌・殺カビ剤」(FRACコードM5)、(b48.6)「スルファミド殺菌・殺カビ剤」(FRACコードM6)、(b48.7)多部位接触「グアニジン殺菌・殺カビ剤」(FRACコードM7)、(b48.8)「トリアジン殺菌・殺カビ剤」(FRACコードM8)、(b48.9)「キノン殺菌・殺カビ剤」(FRACコードM9)、(b48.10)「キノキサリン殺菌・殺カビ剤」(FRACコードM10)および(b48.11)「マレイミド殺菌・殺カビ剤」(FRACコードM11)。「銅殺菌・殺カビ剤」は、典型的には銅(II)酸化状態で銅を含有する無機化合物であり;例としては、ボルドー液(三塩基性硫酸銅)などの組成物を含む、オキシ塩化銅、硫酸銅および水酸化銅が挙げられる。「硫黄殺菌・殺カビ剤」は、硫黄原子の環または鎖を含有する無機化学物質であり;例としては、元素硫黄が挙げられる。「ジチオカルバメート殺菌・殺カビ剤」は、ジチオカルバメート分子部分を含有し;例としては、マンコゼブ、メチラム、プロピネブ、フェルバム、マンネブ、チラム、ジネブおよびジラムが挙げられる。「フタルイミド殺菌・殺カビ剤」は、フタルイミド分子部分を含有し;例としては、ホルペット、キャプタンおよびカプタホールが挙げられる。「クロロニトリル殺菌・殺カビ剤」はクロロおよびシアノで置換された芳香族環を含有し;例としては、クロロタロニルが挙げられる。「スルファミド殺菌・殺カビ剤」としては、ジクロフルアニドおよびトリフルアニドが挙げられる。多部位接触「アニジン殺菌・殺カビ剤」としては、グアザチン、イミノクタジンアルベシレートおよびイミノクタジン三アセテートが挙げられる。「トリアジン殺菌・殺カビ剤」としては、アニラジンが挙げられる。「キノン殺菌・殺カビ剤」としては、ジチアノンが挙げられる。「キノキサリン殺菌・殺カビ剤」としては、キノメチオネート(キノメチオネートとしても公知である)が挙げられる。「マレイミド殺菌・殺カビ剤」としては、フルオロイミドが挙げられる。
【0419】
(b49)「クラス(b1)〜(b48)の殺菌・殺カビ剤以外の殺菌・殺カビ剤」は、作用機構が未知であり得る一定の殺菌・殺カビ剤を含む。これらとしては:(b49.1)「フェニル−アセトアミド殺菌・殺カビ剤」(FRACコードU6)、(b49.2)「アリール−フェニル−ケトン殺菌・殺カビ剤」(FRACコードU8)、(b49.3)「グアニジン殺菌・殺カビ剤」(FRACコードU12)、(b49.4)「チアゾリジン殺菌・殺カビ剤」(FRACコードU13)、(b49.5)「ピリミジノン−ヒドラゾン殺菌・殺カビ剤」(FRACコードU14)、および、(b49.6)国際公開第2013/009971号パンフレットに記載のオキシステロール結合タンパク質に結合する化合物が挙げられる。フェニルアセトアミドとしては、シフルフェナミドおよびN−[[(シクロプロピルメトキシ)−アミノ]−[6−(ジフルオロメトキシ)−2,3−ジフルオロフェニル]−メチレン]−ベンゼンアセタミドが挙げられる。アリール−フェニルケトンとしては、メトラフェノンなどのベンゾフェノン、および、ピリオフェノンなどのベンゾイルピリジン((5−クロロ−2−メトキシ−4−メチル−3−ピリジニル)(2,3,4−トリメトキシ−6−メチルフェニル)メタノン)が挙げられる。グアニジンとしては、ドジンが挙げられる。チアゾリジンとしては、フルチアニル((2Z)−2−[[2−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]チオ]−2−[3−(2−メトキシフェニル)−2−チアゾリジニリデン]アセトニトリル)が挙げられる。ピリミジノン−ヒドラゾンとしては、フェリムゾンが挙げられる。(b49.6)クラスとしては、オキサチアピプロリン(1−[4−[4−[5−(2,6−ジフルオロフェニル)−4,5−ジヒドロ−3−イソオキサゾリル]−2−チアゾリル]−1−ピペリジニル]−2−[5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]エタノン)、および、1−[4−[4−[5R−(2,6−ジフルオロフェニル)−4,5−ジヒドロ−3−イソオキサゾリル]−2−チアゾリル]−1−ピペリジニル]−2−[5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−エタノンであるそのR−エナンチオマー(登録番号1003319−79−6)が挙げられる。
【0420】
(b49)クラスとしてはまた、ベトキサジン、フロメトキン(2−エチル−3,7−ジメチル−6−[4−(トリフルオロメトキシ)フェノキシ]−4−キノリニルメチルカーボネート)、フルオロイミド、ネオアソジン(メタアルソン酸第二鉄(ferric methanearsonate))、ピカルブトラゾックス(1,1−ジメチルエチルN−[6−[[[[((Z)−1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)フェニルメチレン]アミノ]オキシ]メチル]−2−ピリジニル]−−カルバメート)、ピロールニトリン、キノメチオネート、テブフロキン(6−(1,1−ジメチルエチル)−8−フルオロ−2,3−ジメチル−4−キノリニルアセテート)、トルニファニド(N−(4−クロロ−2−ニトロフェニル)−N−エチル−4−メチルベンゼンスルホンアミド)、2−ブトキシ−6−ヨード−3−プロピル−4H−1−ベンゾピラン−4−オン、3−ブチン−1−イルN−[6−[[[[(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)−フェニルメチレン]−アミノ]オキシ]−メチル]−2−ピリジニル]−カルバメート、(N−(4−クロロ−2−ニトロフェニル)−N−エチル−4−メチルベンゼンスルホンアミド)、N’−[4−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)−フェノキシ]−2,5−ジメチルフェニル]−N−エチル−N−メチルメタンイミダミド、N−[[(シクロプロピルメトキシ)−アミノ]−[6−(ジフルオロメトキシ)−2,3−ジフルオロフェニル]−メチレン]−ベンゼンアセタミド、2,6−ジメチル−1H,5H−[1,4]ジチイノ[2,3−c:5,6−c’]−ジピロール−1,3,5,7(2H,6H)−テトロン、5−フルオロ−2−[(4−メチルフェニル)メトキシ]−4−ピリミジンアミン、5−フルオロ−2−[(4−フルオロフェニル)メトキシ]−4−ピリミジンアミンおよび4−フルオロフェニルN−[1−[[[1−(4−シアノフェニル)−エチル]−スルホニル]メチル]−プロピル]カルバメート、ペンチルN−[6−[[[[(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)−フェニル−メチレン]アミノ]オキシ]メチル]−2−ピリジニル]−カルバメート、ペンチルN−[4−[[[[(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)−フェニル−メチレン]−アミノ]オキシ]メチル]−2−チアゾリル]カルバメートおよびペンチルN−[6−[[[[(Z)−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)−フェニル−メチレン]アミノ]オキシ]メチル]−2−ピリジニル]−カルバメートが挙げられる。(b49)クラスとしてはさらに、上記の特定のクラスのものに加えて、有糸分裂−および細胞分裂−阻害殺菌・殺カビ剤(例えば、(b1)、(b10)および(b22))が挙げられる。
【0421】
その作用機構が未知であり得るか、または、分類され得ていない追加の「クラス(b1)〜(b48の殺菌・殺カビ剤以外の殺菌・殺カビ剤)」としては、以下に示されているコンポーネント(b49.7)〜(b49.12)から選択される殺菌・殺カビ性化合物が挙げられる。
【0422】
コンポーネント(b49.7)は、式b49.7の化合物
【化38】
に関連し、式中、Rb1は
【化39】
または
【化40】
である。
【0423】
式b49.7の化合物の例としては、(b49.7a)(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−メチル2−[1−[2−[3,5−ビス(ジフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]アセチル]−4−ピペリジニル]−4−チアゾール−カルボキシレート(登録番号1299409−40−7)および(b49.7b)(1R)−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレニル2−[1−[2−[3,5−ビス(ジフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]アセチル]−4−ピペリジニル]−4−チアゾールカルボキシレート(登録番号1299409−42−9)が挙げられる。式49.7の化合物を調製するための方法が、国際公開第2009/132785号パンフレットおよび国際公開第2011/051243号パンフレットに記載されている。
【0424】
コンポーネント(b49.8)は式b49.8の化合物
【化41】
に関連し、式中、Rb2はCH、CFまたはCHFであり;Rb3はCH、CFまたはCHFであり;Rb4はハロゲンまたはシアノであり;および、nは、0、1、2または3である。
【0425】
式b49.8の化合物の例としては、(b49.8a)1−[4−[4−[5−[(2,6−ジフルオロフェノキシ)メチル]−4,5−ジヒドロ−3−イソオキサゾリル]−2−チアゾリル]−1−ピペルジニル]−2−[5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]エタノンが挙げられる。式49.8の化合物を調製するための方法が、国際特許出願第PCT/US11/64324号パンフレットに記載されている。
【0426】
コンポーネント(b49.9)は、式b49.9の化合物
【化42】
に関連し、式中、Rb5は−CHOC(O)CH(CH、−C(O)CH、−CHOC(O)CH、−C(O)OCHCH(CHまたは
【化43】
である。
【0427】
式b49.9の化合物の例としては、(b49.9a)[[4−メトキシ−2−[[[(3S,7R,8R,9S)−9−メチル−8−(2−メチル−1−オキソプロポキシ)−2,6−ジオキソ−7−(フェニルメチル)−1,5−ジオキソナン−3−イル]−アミノ]−カルボニル]−3−ピリジニル]オキシ]メチル2−メチルプロパノエート(登録番号517875−34−2)、(b49.9b)(3S,6S,7R,8R)−3−[[[3−(アセチルオキシ)−4−メトキシ−2−ピリジニル]−カルボニル]−アミノ]−6−メチル−4,9−ジオキソ−8−(フェニルメチル)−1,5−ジオキソナン−7−イル2−メチル−プロパノエート(登録番号234112−93−7)、(b49.9c)(3S,6S,7R,8R)−3−[[[3−[(アセチルオキシ)メトキシ]−4−メトキシ−2−ピリジニル]カルボニル]アミノ]−6−メチル−4,9−ジオキソ−8−(フェニルメチル)−1,5−ジオキソナン−7−イル2−メチル−プロパノエート(登録番号517875−31−9)、(b49.9d)(3S,6S,7R,8R)−3−[[[4−メトキシ−3−[[(2−メチル−プロポキシ)−カルボニル]オキシ]−2−ピリジニル]−カルボニル]アミノ]−6−メチル−4,9−ジオキソ−8−(フェニルメチル)−1,5−ジオキソナン−7−イル2−メチルプロパノエート(登録番号328256−72−0)、および(b49.9e)N−[[3−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルメトキシ)−4−メトキシ−2−ピリジニル]カルボニル]−O−[2,5−ジデオキシ−3−O−(2−メチル−1−オキソプロピル)−2−(フェニルメチル)−L−アラビノノイル]−L−セリン、(1→4’)−ラクトン(登録番号1285706−70−8)が挙げられる。式49.9の化合物を調製するための方法が、国際公開第99/40081号パンフレット、国際公開第2001/014339号パンフレット、国際公開第2003/035617号パンフレットおよび国際公開第2011044213号パンフレットに記載されている。
【0428】
コンポーネント(b49.10)は式b49.10の化合物
【化44】
に関連し、式中、Rb6はHまたはFであり、および、Rb7は、−CFCHFCFまたは−CFCFHである。式b49.10の化合物の例は、(b49.10a)3−(ジフルオロメチル)−N−[4−フルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサ−フルオロ−プロポキシ)−フェニル]−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(登録番号1172611−40−3)および(b49.10b)3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−N−[2−(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)フェニル]−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(登録番号923953−98−4)である。式49.10の化合物は、国際公開第2007/017450号パンフレットに記載の方法によって調製されることが可能である。
【0429】
コンポーネントb49.11は式b49.11の化合物
【化45】
に関連し、式中、
b8は、ハロゲン、C〜CアルコキシまたはC〜Cアルキニルであり;
b9は、H、ハロゲンまたはC〜Cアルキルであり;
b10は、C〜C12アルキル、C〜C12ハロアルキル、C〜C12アルコキシ、C〜C12アルコキシアルキル、C〜C12アルケニル、C〜C12アルキニル、C〜C12アルコキシアルケニル、C〜C12アルコキシアルキニル、C〜C12アルキルチオまたはC〜C12アルキルチオアルキルであり;
b11はメチルまたは−Yb13−Rb12であり;
b12はC〜Cアルキルであり;および
b13はCH、OまたはSである。
【0430】
式49.11の化合物の例としては、(b49.11a)2−[(3−ブロモ−6−キノリニル)オキシ]−N−(1,1−ジメチル−2−ブチン−1−イル)−2−(メチルチオ)アセトアミド、(b49.11b)2−[(3−エチニル−6−キノリニル)オキシ]−N−[1−(ヒドロキシ−メチル)−1−メチル−2−プロピン−1−イル]−2−(メチルチオ)−アセタミド、(b49.11c)N−(1,1−ジメチル−2−ブチン−1−イル)−2−[(3−エチニル−6−キノリニル)オキシ]−2−(メチルチオ)−アセタミド、(b49.11d)2−[(3−ブロモ−8−メチル−6−キノリニル)オキシ]−N−(1,1−ジメチル−2−プロピン−1−イル)−2−(メチルチオ)アセトアミドおよび(b49.11e)2−[(3−ブロモ−6−キノリニル)オキシ]−N−(1,1−ジメチルエチル)−ブタンアミドが挙げられる。式49.11の化合物、殺菌・殺カビ剤としてのその使用、および、調製方法は一般に公知である;例えば、国際公開第2004/047538号パンフレット、国際公開第2004/108663号パンフレット、国際公開第2006/058699号パンフレット、国際公開第2006/058700号パンフレット、国際公開第2008/110355号パンフレット、国際公開第2009/030469号パンフレット、国際公開第2009/049716号パンフレットおよび国際公開第2009/087098号パンフレットを参照のこと。
【0431】
コンポーネント49.12はN’−[4−[[3−[(4−クロロフェニル)メチル]−1,2,4−チア−ジアゾール−5−イル]オキシ]−2,5−ジメチルフェニル]−N−エチル−N−メチルメタンイミダミドに関連し、これは、ステロールの生合成に関与するC24−メチルトランスフェラーゼを阻害すると考えられている。
【0432】
従って、注目すべきは、式1の化合物と、上記のクラス(1)〜(49)からなる群から選択される少なくとも1種の殺菌・殺カビ性化合物とを含む混合物(すなわち、組成物)である。また、注目すべきは、前記混合物(殺菌・殺カビ的に有効な量で)を含むと共に、界面活性剤、固体希釈剤および液体希釈剤からなる群から選択される少なくとも1種の追加のコンポーネントをさらに含む組成物である。特に注目すべきは、式1の化合物と、クラス(1)〜(49)と関連して上記に列挙されている特定の化合物の群から選択される少なくとも1種の殺菌・殺カビ性化合物とを含む混合物(すなわち、組成物)である。また、特に注目すべきは、前記混合物(殺菌・殺カビ的に有効な量で)を含むと共に、界面活性剤、固体希釈剤および液体希釈剤からなる群から選択される少なくとも1種の追加の界面活性剤をさらに含む組成物である。
【0433】
コンポーネント(b)殺菌・殺カビ剤の例としては、アシベンゾラル−S−メチル、アルジモルフ、アメトクトラジン、アミスルブロム、アニラジン、アザコナゾール、アゾキシストロビン、ベナラキシル(ベナラキシル−Mを含む)、ベノダニル、ベノミル、ベンチアバリカルブ(ベンチアバリカルブ−イソプロピルを含む)、ベンゾビンジフルピル、ベトキサジン、ビナパクリル、ビフェニル、ビテルタノール、ビキサフェン、ブラストサイジン−S、ボスカリド、ブロムコナゾール、ブピリメート、ブチオベート、カプタホール、キャプタン、カルベンダジム、カルボキシン、カルプロパミド、クロロネブ、クロロタロニル、クロゾリネート、クロトリマゾール、水酸化銅、オキシ塩化銅、硫酸銅、クモキシストロビン、シアゾファミド、シフルフェナミド、シモキサニル、シプロコナゾール、シプロジニル、ジクロフルアニド、ジクロシメット、ジクロメジン、ジクロラン、ジエトフェンカルブ、ジフェノコナゾール、ジフルメトリム、ジメチリモール、ジメトモルフ、ジモキシストロビン、ジニコナゾール(ジニコナゾール−Mを含む)、ジノカップ、ジチアノン、ジチオラン、ドデモルフ、ドジン、エコナゾール、エディフェンホス、エノキサストロビン(エネストロブリンとしても公知である)、エポキシコナゾール、エタコナゾール、エタボキサム、エチリモール、エトリジアゾール、ファモキサドン、フェンアミドン、フェナリモル、フェナミンストロビン、フェンブコナゾール、フェンフラム、フェンヘキサミド、フェノキサニル、フェンピクロニル、フェンプロピジン、フェンプロピモルフ、フェンピラザミン、酢酸トリフェニルスズ、塩化トリフェニルスズ、トリフェニルスズヒドロキシド、フェルバム、フェリムゾン、フロメトキン、フルアジナム、フルジオキソニル、フルフェノキシストロビン、フルモルフ、フルオピコリド、フルオピラム、フルオロイミド、フルオキサストロビン、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルスルファミド、フルチアニル、フルトラニル、フルトリアホール、フルキサピロキサド、ホルペット、フサライド、フベリダゾール、フララキシル、フラメトピル、グアザチン、ヘキサコナゾール、ヒメキサゾール、イマザリル、イミベンコナゾール、イミノクタジンアルベシレート、イミノクタジン三アセテート、ヨードカルブ、イプコナゾール、イプロベンホス、イプロジオン、イプロバリカルブ、イソコナゾール、イソフェタミド、イソプロチオラン、イソピラザム、イソチアニル、カスガマイシン、クレソキシム−メチル、マンコゼブ、マンデプロパミド、マンデストロビン、マンネブ、メパニピリム、メプロニル、メプチルジノカップ、メタラキシル(メタラキシル−M/メフェノキサムを含む)、メトコナゾール、メタスルホカルブ、メチラム、メトミノストロビン、メトラフェノン、ミコナゾール、ミクロブタニル、ナフチフィン、ネオアソジン、ヌアリモル、オクチリノン、オフレース、オリザストロビン、オキサジキシル、オキサチアピプロリン、オキソリン酸、オキスポコナゾール、オキシカルボキシン、オキシテトラサイクリン、ペフラゾエート、ペンコナゾール、ペンシクロン、ペンフルフェン、ペンチオピラド、亜リン酸(例えば、ホセチル−アルミニウムといったその塩を含む)、ピカルブトラゾックス、ピコキシストロビン、ピペラリン、ポリオキシン、プロベナゾール、プロクロラズ、プロシミドン、プロパマカルブ、プロピコナゾール、プロピネブ、プロキナジド、プロチオカルブ、プロチオコナゾール、ピラクロストロビン、ピラメトストロビン、ピラオキシストロビン、ピラゾホス、ピリベンカルブ、ピリブチカルブ、ピリフェノックス、ピリメタニル、ピリオフェノン、ピリゾキサゾール、ピロキロン、ピロールニトリン、キンコナゾール、キノメチオネート、キノキシフェン、キントゼン、セダキサン、シルチオファム、シメコナゾール、スピロキサミン、ストレプトマイシン、硫黄、テブコナゾール、テブフロキン、テクロフタラム、テクナゼン、テルビナフィン、テトラコナゾール、チアベンダゾール、チフルザミド、チオファネート、チオファネート−メチル、チラム、チアジニル、トルコホス−メチル、トルニファニド、トルプロカルブ、トリフルアニド、トリアジメホン、トリアジメノール、トリアリモル、トリチコナゾール、トリアゾキシド、三塩基性硫酸銅、トリシクラゾール、トリクロピリカルブ、トリデモルフ、トリフロキシストロビン、トリフルミゾール、トリホリン、トリモルファミド、ウニコナゾール、ウニコナゾール−P、バリダマイシン、バリフェナレート(バリフェナルとしても公知である)、ビンクロゾリン、ジネブ、ジラム、ゾキサミド、(3S,6S,7R,8R)−3−[[[3−[(アセチルオキシ)メトキシ]−4−メトキシ−2−ピリジニル]カルボニル]アミノ]−6−メチル−4,9−ジオキソ−8−(フェニルメチル)−1,5−ジオキソナン−7−イル2−メチル−プロパノエート、(3S,6S,7R,8R)−3−[[[3−(アセチルオキシ)−4−メトキシ−2−ピリジニル]−カルボニル]−アミノ]−6−メチル−4,9−ジオキソ−8−(フェニルメチル)−1,5−ジオキソナン−7−イル2−メチル−プロパノエート、N−[[3−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルメトキシ)−4−メトキシ−2−ピリジニル]カルボニル]−O−[2,5−ジデオキシ−3−O−(2−メチル−1−オキソプロピル)−2−(フェニルメチル)−L−アラビノノイル]−L−セリン、(1→4’)−ラクトン、N−[2−(1S,2R)−[1,1’−ビシクロプロピル]−2−イルフェニル]−3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、2−[(3−ブロモ−6−キノリニル)オキシ]−N−(1,1−ジメチル−2−ブチン−1−イル)−2−(メチルチオ)アセトアミド、2−[(3−ブロモ−6−キノリニル)オキシ]−N−(1,1−ジメチルエチル)−ブタンアミド、2−[(3−ブロモ−8−メチル−6−キノリニル)オキシ]−N−(1,1−ジメチル−2−プロピン−1−イル)−2−(メチルチオ)アセトアミド、2−ブトキシ−6−ヨード−3−プロピル−4H−1−ベンゾピラン−4−オン、3−ブチン−1−イルN−[6−[[[[(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)−フェニルメチレン]−アミノ]オキシ]−メチル]−2−ピリジニル]カルバメート、α−(1−クロロシクロプロピル)−α−[2−(2,2−ジクロロシクロプロピル)エチル]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−エタノール、2−[2−(1−クロロシクロプロピル)−4−(2,2−ジクロロシクロプロピル)−2−ヒドロキシブチル]−1,2−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−チオン、(αS)−[3−(4−クロロ−2−フルオロフェニル)−5−(2,4−ジフルオロフェニル)−4−イソオキサゾリル]−3−ピリジンメタノール、rel−1−[[(2R,3S)−3−(2−クロロフェニル)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−2−オキシラニル]−メチル]−1H−1,2,4−トリアゾール、rel−2−[[(2R,3S)−3−(2−クロロフェニル)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−2−オキシラニル]メチル]−1,2−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−チオン、rel−1−[[(2R,3S)−3−(2−クロロフェニル)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−2−オキシラニル]メチル]−5−(2−プロペン−1−イルチオ)−1H−1,2,4−トリアゾール、3−[5−(4−クロロフェニル)−2,3−ジメチル−3−イソキサゾリジニル]ピリジン、(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−メチル2−[1−[2−[3,5−ビス(ジフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]アセチル]−4−ピペリジニル]−4−チアゾール−カルボキシレート、N’−[4−[[3−[(4−クロロフェニル)メチル]−1,2,4−チア−ジアゾール−5−イル]オキシ]−2,5−ジメチルフェニル]−N−エチル−N−メチル−メタンイミドアミド、N−[2−[4−[[3−(4−クロロフェニル)−2−プロピン−1−イル]オキシ]−3−メトキシフェニル]−エチル]−3−メチル−2−[(メチルスルホニル)−アミノ]−ブタンアミド、N−[2−[4−[[3−(4−クロロフェニル)−2−プロピン−1−イル]オキシ]−3−メトキシフェニル]−エチル]−3−メチル−2−[(エチルスルホニル)−アミノ]−ブタンアミド、N’−[4−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)−フェノキシ]−2,5−ジメチルフェニル]−N−エチル−N−メチルメタンイミダミド、N−シクロプロピル−3−(ジフルオロメチル)−5−フルオロ−1−メチル−N−[[2−(1−メチルエチル)−フェニル]メチル]−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、N−[[(シクロプロピルメトキシ)−アミノ]−−[6−(ジフルオロメトキシ)−2,3−ジフルオロフェニル]−メチレン]−ベンゼンアセタミド、N−[2−(2,4−ジクロロフェニル)−2−メトキシ−1−メチルエチル]−3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、N−(3’,4’−ジフルオロ[1,1’−ビフェニル]−2−イル)−3−(トリフルオロメチル)−2−ピラジンカルボキサミド、3−(ジフルオロメチル)−N−(2,3−ジヒドロ−1,1,3−トリメチル−1H−インデン−4−イル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、3−(ジフルオロメチル)−N−[4−フルオロ−2−(1,1,2,3,3,3−ヘキサ−フルオロ−プロポキシ)−フェニル]−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、5,8−ジフルオロ−N−[2−[3−メトキシ−4−[[4−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]オキシ]−フェニル]−エチル]−4−キナゾリンアミン、3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−N−[2−(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)フェニル]−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、1−[4−[4−[5R−[(2,6−ジフルオロフェノキシ)メチル]−4,5−ジヒドロ−3−イソオキサゾリル]−2−チアゾリル]−1−ピペルジニル]−2−[5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]エタノン、N−(1,1−ジメチル−2−ブチン−1−イル)−2−[(3−エチニル−6−キノリニル)オキシ]−2−(メチルチオ)−アセタミド、2,6−ジメチル−1H,5H−[1,4]ジチイノ[2,3−c:5,6−c’]ジピロール−1,3,5,7(2H,6H)−テトロン、2−[(3−エチニル−6−キノリニル)オキシ]−N−[1−(ヒドロキシ−メチル)−1−メチル−2−プロピン−1−イル]−2−(メチルチオ)−アセタミド、4−フルオロフェニルN−[1−[[[1−(4−シアノフェニル)−エチル]−スルホニル]メチル]−プロピル]カルバメート、5−フルオロ−2−[(4−フルオロフェニル)−−メトキシ]−4−ピリミジンアミン、5−フルオロ−2−[(4−メチルフェニル)−メトキシ]−4−ピリミジンアミン、(3S,6S,7R,8R)−3−[[[4−メトキシ−3−[[(2−メチル−プロポキシ)−カルボニル]オキシ]−2−ピリジニル]−カルボニル]アミノ]−6−メチル−4,9−ジオキソ−8−(フェニルメチル)−1,5−ジオキソナン−7−イル2−メチルプロパノエート、α−(メトキシ−イミノ)−N−メチル−2−[[[1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ]−イミノ]−メチル]−ベンゼンアセタミド、[[4−メトキシ−2−[[[(3S,7R,8R,9S)−9−メチル−8−(2−メチル−1−オキソプロポキシ)−2,6−ジオキソ−7−(フェニルメチル)−1,5−ジオキソナン−3−イル]−アミノ]−カルボニル]−3−ピリジニル]オキシ]メチル2−メチルプロパノエート、ペンチルN−[6−[[[[(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)−フェニル−メチレン]アミノ]オキシ]メチル]−2
−ピリジニル]−カルバメート、ペンチルN−[4−[[[[(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)−フェニル−メチレン]−アミノ]オキシ]メチル]−2−チアゾリル]カルバメート、およびペンチルN−[6−[[[[(Z)−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)−フェニル−メチレン]アミノ]オキシ]メチル]−2−ピリジニル]−カルバメートおよび(1R)−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレニル2−[1−[2−[3,5−ビス(ジフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]アセチル]−4−ピペリジニル]−4−チアゾールカルボキシレートが挙げられる。従って、注目すべきは、コンポーネント(a)として式1の化合物(または、そのN−オキシドもしくは塩)と、コンポーネント(b)として、上記のリストから選択される少なくとも1種の殺菌・殺カビ剤とを含む殺菌・殺カビ組成物である。
【0434】
特に注目すべきは、式1の化合物(または、そのN−オキシドもしくは塩)(すなわち、組成物中のコンポーネント(a))と、アゾキシストロビン、ベンゾビンジフルピル、ビキサフェン、キャプタン、カルプロパミド、クロロタロニル、水酸化銅、オキシ塩化銅、硫酸銅、シモキサニル、シプロコナゾール、シプロジニル、ジエトフェンカルブ、ジフェノコナゾール、ジメトモルフ、エポキシコナゾール、エタボキサム、フェナリモル、フェンヘキサミド、フルアジナム、フルジオキソニル、フルオピラム、フルシラゾール、フルチアニル、フルトリアホール、フルキサピロキサド、ホルペット、イプロジオン、イソフェタミド、イソピラザム、クレソキシム−メチル、マンコゼブ、マンデストロビン、メプチルジノカップ、メタラキシル(メタラキシル−M/メフェノキサムを含む)、メトコナゾール、メトラフェノン、ミクロブタニル、オキサチアピプロリン、ペンフルフェン、ペンチオピラド、亜リン酸(例えば、ホセチル−アルミニウムといったその塩を含む)、ピコキシストロビン、プロピコナゾール、プロキナジド、プロチオコナゾール、ピラクロストロビン、ピリメタニル、セダキサンスピロキサミン、硫黄、テブコナゾール、チオファネート−メチル、トリフロキシストロビン、ゾキサミド、α−(1−クロロシクロプロピル)−α−[2−(2,2−ジクロロシクロプロピル)エチル]−1H−1,2,4−トリアゾール−1−エタノール、2−[2−(1クロロシクロプロピル)−4−(2,2−ジクロロシクロプロピル)−2−ヒドロキシブチル]−1,2−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−チオン、N−[2−(2,4−ジクロロフェニル)−2−メトキシ−1−メチルエチル]−3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、3−(ジフルオロメチル)−N−(2,3−ジヒドロ−1,1,3−トリメチル−1H−インデン−4−イル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、1−[4−[4−[5R−(2,6−ジフルオロフェニル)−4,5−ジヒドロ−3−イソオキサゾリル]−2−チアゾリル]−1−ピペリジニル]−2−[5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−エタノン、1,1−ジメチルエチルN−[6−[[[[(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)フェニルメチレン]アミノ]オキシ]メチル]−2−ピリジニル]−カルバメート、2,6−ジメチル−1H,5H−[1,4]ジチイノ[2,3−c:5,6−c’]ジピロール−1,3,5,7(2H,6H)−テトロン、5−フルオロ−2−[(4−フルオロフェニル)−−メトキシ]−4−ピリミジンアミン、5−フルオロ−2−[(4−メチルフェニル)−メトキシ]−4−ピリミジンアミン、(αS)−[3−(4−クロロ−2−フルオロフェニル)−5−(2,4−ジフルオロフェニル)−4−イソオキサゾリル]−3−ピリジンメタノール、rel−1−[[(2R,3S)−3−(2−クロロフェニル)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−2−オキシラニル]−メチル]−1H−1,2,4−トリアゾール、rel−2−[[(2R,3S)−3−(2−クロロフェニル)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−2−オキシラニル]メチル]−1,2−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−チオン、およびrel−1−[[(2R,3S)−3−(2−クロロフェニル)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−2−オキシラニル]メチル]−5−(2−プロペン−1−イルチオ)−1H−1,2,4−トリアゾール(すなわち、組成物中のコンポーネント(b)として)との組み合わせである。
【0435】
本発明の化合物を配合可能な他の生物学的に有効な化合物または薬剤の例は以下のとおりである:アバメクチン、アセフェート、アセタミプリド、アクリナトリン、アフィドピロペン([(3S,4R,4aR,6S,6aS,12R,12aS,12bS)−3−[(シクロプロピルカルボニル)オキシ]−1,3,4,4a,5,6,6a,12,12a,12b−デカヒドロ−6,12−ジヒドロキシ−4,6a,12b−トリメチル−11−オキソ−9−(3−ピリジニル)−2H,11H−ナフト[2,1−b]ピラノ[3,4−e]ピラン−4−イル]メチルシクロプロパンカルボキシレート)、アミドフルメト(S−1955)、アベルメクチン、アザジラクチン、アジンホス−メチル、ビフェントリン、ビフェナゼート、ブプロフェジン、カルボフラン、カルタップ、クロラントラニリプロール、クロルフェナピル、クロルフルアズロン、クロルピリホス、クロルピリホス−メチル、クロマフェノジド、クロチアニジン、シアントラニリプロール(3−ブロモ−1−(3−クロロ−2−ピリジニル)−N−[4−シアノ−2−メチル−6−[(メチルアミノ)カルボニル]フェニル]−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド)、シクラニリプロール(3−ブロモ−N−[2−ブロモ−4−クロロ−6−[[(1−シクロプロピルエチル)アミノ]カルボニル]フェニル]−1−(3−クロロ−2−ピリジニル)−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド)、シクロキサプリド((5S,8R)−1−[(6−クロロ−3−ピリジニル)メチル]−2,3,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−9−ニトロ−5,8−エポキシ−1H−イミダゾ[1,2−a]アゼピン)、シフルメトフェン、シフルトリン、β−シフルトリン、シハロトリン、ラムダ−シハロトリン、シペルメトリン、シロマジン、デルタメトリン、ジアフェンチウロン、ダイアジノン、ディルドリン、ジフルベンズロン、ジメフルトリン、ジメトエート、ジノテフラン、ジオフェノラン、エマメクチン、エンドスルファン、エスフェンバレレート、エチプロール、フェノチオカルブ、フェノキシカルブ、フェンプロパトリン、フェンバレレート、フィプロニル、フロニカミド、フルベンジアミド、フルシトリネート、フルフェノキシストロビン(メチル(αE)−2−[[2−クロロ−4−(トリフルオロメチル)フェノキシ]メチル]−α−(メトキシメチレン)ベンゼンアセテート)、フルフェンスルフォン(5−クロロ−2−[(3,4,4−トリフルオロ−3−ブテン−1−イル)スルホニル]チアゾール)、フルピプロール(1−[2,6−ジクロロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−[(2−メチル−2−プロペン−1−イル)アミノ]−4−[(トリフルオロメチル)スルフィニル]−1H−ピラゾール−3−カルボニトリル)、フルピラジフロン(4−[[(6−クロロ−3−ピリジニル)メチル](2,2−ジフルオロエチル)アミノ]−2(5H)−フラノン)、τ−フルバリネート、フルフェネリム(UR−50701)、フルフェノクスロン、ホノホス、ハロフェノジド、ヘプタフルトリン([2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)フェニル]メチル2,2−ジメチル−3−[(1Z)−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン−1−イル]シクロプロパンカルボキシレート)、ヘキサフルムロン、ヒドラメチルノン、イミダクロプリド、インドキサカルブ、イソフェンホス、ルフェヌロン、マラチオン、メペルフルトリン([2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)フェニル]メチル(1R,3S)−3−(2,2−ジクロロエテニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート)、メタフルミゾン、メタアルデヒド、メタミドホス、メチダチオン、メソミル、メトプレン、メトキシクロル、メトキシフェノジド、メトフルトリン、ミルベマイシンオキシム、モンフルオロトリン([2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)フェニル]メチル3−(2−シアノ−1−プロペン−1−イル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート)、モノクロトホス、ニコチン、ニテンピラム、ニチアジン、ノバルロン、ノビフルムロン(XDE−007)、オキサミル、ピフルブミド(1,3,5−トリメチル−N−(2−メチル−1−オキソプロピル)−N−[3−(2−メチルプロピル)−4−[2,2,2−トリフルオロ−1−メトキシ−1−(トリフルオロメチル)エチル]フェニル]−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド)、パラチオン、パラチオン−メチル、ペルメトリン、ホレート、ホサロン、ホスメット、ホスファミドン、ピリミカーブ、プロフェノホス、プロフルトリン、ピメトロジン、ピラフルプロール、ピレトリン、ピリダリル、ピリフルキナゾン、ピリミノストロビン(メチル(αE)−2−[[[2−[(2,4−ジクロロフェニル)アミノ]−6−(トリフルオロメチル)−4−ピリミジニル]オキシ]メチル]−α−(メトキシメチレン)ベンゼンアセテート)、ピリプロール、ピリプロキシフェン、ロテノン、リアノジン、スピネトラム、スピノサド、スピロジクロフェン、スピロメシフェン(BSN2060)、スピロテトラマト、スルホキサフロル、スルプロホス、テブフェノジド、テフルベンズロン、テフルトリン、テルブホス、テトラクロルビンホス、テトラメチルフルトリン、チアクロプリド、チアメトキサム、チオジカルブ、チオスルタップ−ナトリウム、トルフェンピラド、トラロメトリン、トリアザメート、トリクロルホンおよびトリフルムロンなどの無脊椎有害生物防除化合物または薬剤;ならびに、バチルスチューリンゲンシスアイザワイ(Bacillus thuringiensis subsp.aizawai)、バチルスチューリンゲンシスクルスターキ(Bacillus thuringiensis subsp.kurstaki)、およびバチルスチューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)の被包性デルタエンドトキシン(例えば、Cellcap、MPV、MPVII)などの昆虫病原性バクテリアを含む生物剤;グリーンムスカリン菌などの昆虫病原性菌;ならびに、バキュロウイルス、HzNPV、AfNPVなどの核多核体ウイルス(NPV)を含む昆虫病原性ウイルス;ならびに、CpGVなどのグラニュローシスウイルス(GV)。
【0436】
本発明の化合物およびその組成物は、遺伝的に形質転換されて、無脊椎有害生物に有害なタンパク質(バチルスチューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)デルタエンドトキシンなど)を発現する植物に適用されることが可能である。外因的に適用される本発明の殺菌・殺カビ性化合物の効果は、発現されるトキシンタンパク質と相乗的であり得る。
【0437】
農学的保護剤(すなわち、殺虫剤、殺菌・殺カビ剤、抗線虫薬、殺ダニ剤、除草剤および生物剤)に関する一般的な文献としては、The Pesticide Manual,13th Edition,C.D.S.Tomlin,Ed.,British Crop Protection Council,Farnham,Surrey,U.K.,2003およびThe BioPesticide Manual,2nd Edition,L.G.Copping,Ed.,British Crop Protection Council,Farnham,Surrey,U.K.,2001が挙げられる。
【0438】
これらの種々の混合相手の1種または複数種が用いられる実施形態について、これらの種々の混合相手(合計)対式1の化合物の重量比は、典型的には、約1:3000〜約3000:1である。注目すべきは、約1:300〜約300:1の重量比(例えば、約1:30〜約30:1の比)である。当業者は、所望の範囲の生物学的活性に必要とされる活性処方成分の生物学的に有効な量を単純な実験を通して容易に判定することが可能である。これらの追加のコンポーネントを包含することで、式1の化合物単独で防除される範囲を超えて、防除される病害の範囲を拡大し得ることが明らかであろう。
【0439】
一定の事例において、本発明の化合物と他の生物学的に有効な(特に殺菌・殺カビ性)化合物もしくは薬剤(すなわち、活性処方成分)との組み合わせは、相加的を超える(すなわち相乗的な)効果をもたらすことが可能である。効果的な有害生物の防除を確保しつつ、環境中に放出される活性処方成分の量を低減させることが常に望ましい。殺菌・殺カビ性活性処方成分の相乗作用が農業経済学的に十分なレベルの真菌防除をもたらす施用量で生じる場合、このような組み合わせは、作物生産コストの削減および環境負荷の低減に有利であることが可能である。
【0440】
また、一定の事例において、本発明の化合物と他の生物学的に有効な化合物もしくは薬剤との組み合わせは、農学的環境に有益な生体に対して拮抗作用(すなわち、毒性緩和)効果をもたらすことが可能である。例えば、本発明の化合物は、作物植物に対して除草剤の毒性を緩和し、または、殺虫剤から有益な昆虫種(例えば、捕食昆虫、蜂などの受粉媒介者)を保護し得る。
【0441】
種子処理において有用な混合物を提供するための式1の化合物との配合について注目すべき殺菌・殺カビ剤としては、これらに限定されないが、アミスルブロム、アゾキシストロビン、ボスカリド、カルベンダジム、カルボキシン、シモキサニル、シプロコナゾール、ジフェノコナゾール、ジメトモルフ、フルアジナム、フルジオキソニル、フルフェノキシストロビン、フルキンコナゾール、フルオピコリド、フルオキサストロビン、フルトリアホール、フルキサピロキサド、イプコナゾール、イプロジオン、メタラキシル、メフェノキサム、メトコナゾール、ミクロブタニル、パクロブトラゾール、ペンフルフェン、ピコキシストロビン、プロチオコナゾール、ピラクロストロビン、セダキサン、シルチオファム、テブコナゾール、チアベンダゾール、チオファネート−メチル、チラム、トリフロキシストロビンおよびトリチコナゾールが挙げられる。
【0442】
種子処理において有用な混合物を提供するために式1の化合物と配合可能である無脊椎有害生物防除化合物または薬剤としては、これらに限定されないが、アバメクチン、アセタミプリド、アクリナトリン、アフィドピロペン、アミトラズ、アベルメクチン、アザジラクチン、ベンサルタップ、ビフェントリン、ブプロフェジン、カズサホス、カルバリル、カルボフラン、カルタップ、クロラントラニリプロール、クロルフェナピル、クロルピリホス、クロチアニジン、シアントラニリプロール、シクラニリプロール、シフルトリン、β−シフルトリン、シハロトリン、γ−シハロトリン、ラムダ−シハロトリン、シペルメトリン、α−シペルメトリン、ζ−シペルメトリン、シロマジン、デルタメトリン、ディルドリン、ジノテフラン、ジオフェノラン、エマメクチン、エンドスルファン、エスフェンバレレート、エチプロール、エトフェンプロックス、エトキサゾール、フェノチオカルブ、フェノキシカルブ、フェンバレレート、フィプロニル、フロニカミド、フルベンジアミド、フルエンスルホン、フルフェノクスロン、フルフィプロール、フルピラジフロン、フルバリネート、ホルメタネート、ホスチアゼート、ヘプタフルトリン、ヘキサフルムロン、ヒドラメチルノン、イミダクロプリド、インドキサカルブ、ルフェヌロン、メペルフルトリン、メタフルミゾン、メチオカルブ、メソミル、メトプレン、メトキシフェノジド、モンフルオロトリン、ニテンピラム、ニチアジン、ノバルロン、オキサミル、ピフルブミド、ピメトロジン、ピレトリン、ピリダベン、ピリミノストロビン、ピリダリル、ピリプロキシフェン、リアノジン、スピネトラム、スピノサド、スピロジクロフェン、スピロメシフェン、スピロテトラマト、スルホキサフロル、テブフェノジド、テトラメトリン、テトラメチルフルトリン、チアクロプリド、チアメトキサム、チオジカルブ、チオスルタップ−ナトリウム、トラロメトリン、トリアザメート、トリフルムロン、バチルスチューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)デルタエンドトキシン、バチルスチューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)の菌株およびヌクレオポリヒドロシス(Nucleo polyhydrosis)ウイルスの菌株が挙げられる。
【0443】
種子処理に有用な式1の化合物を含む組成物は、植物病原性真菌もしくはバクテリアおよび/または線虫などの土壌伝播性動物による悪影響に対する保護をもたらすことが可能であるバクテリアおよび真菌をさらに含むことが可能である。殺線虫特性を示すバクテリアとしては、これらに限定されないが、バチルスフィルムス(Bacillus firmus)、セレウス菌(Bacillus cereus)、バチルスサブチリス(Bacillius subtiliis)およびパスツリアペネトランス(Pasteuria penetrans)が挙げられ得る。好適なバチルスフィルムス(Bacillus firmus)菌株は、BioNem(商標)として市販されている菌株CNCM I−1582(GB−126)である。好適なセレウス菌(Bacillus cereus)菌株は、菌株NCMM I−1592である。両方のバチルス(Bacillus)菌株が米国特許第6,406,690号明細書に開示されている。殺線虫活性を示す他の好適なバクテリアは、B.アミロリケファシエンス(B.amyloliquefaciens)IN937aおよび枯草菌(B.subtilis)菌株GB03である。殺菌・殺カビ特性を示すバクテリアとしては、これらに限定されないが、B.プミルス(B.pumilus)菌株GB34が挙げられ得る。殺線虫特性を示す真菌性種としては、これらに限定されないが、ミロテシウムベルカリア(Myrothecium verrucaria)、パエシロマイセスリラシヌス(Paecilomyces lilacinus)およびプルプレオチリウムリラシヌム(Purpureocillium lilacinum)が挙げられ得る。
【0444】
種子処理はまた、エルウィニアアミロボラ(Erwinia amylovora)などの一定のバクテリア性植物病原体から単離される、ハルピンと呼ばれるエリシタータンパク質などの天然の殺線虫性剤を1種または複数種含んでいることが可能である。一例は、N−Hibit(商標)Gold CSTとして入手可能であるHarpin−N−Tek種子処理技術である。
【0445】
種子処理はまた、マイクロ共生窒素固定バクテリアであるダイズ根粒菌(Bradyrhizobium japonicum)などのマメ科植物−根粒形成菌種の1種または複数種を含んでいることが可能である。これらの接種株は、任意選択により、マメ科植物の根における根粒形成の開始時に根粒菌によって生成される根粒形成(Nod)要因である1種または複数種のリポキトオリゴ糖(LCO)を含んでいることが可能である。例えば、Optimize(登録商標)という銘柄の種子処理技術では、接種株と組み合わせてLCO Promoter Technology(商標)が取り入れられる。
【0446】
種子処理はまた、菌根菌による根コロニー形成レベルを高めることが可能である1種または複数種のイソフラボンを含んでいることが可能である。菌根菌は、水、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩および金属などの栄養分の根吸収を高めることにより植物の成長を向上させる。イソフラボンの例としては、これらに限定されないが、ゲニステイン、ビオカニンA、ホルモノネチン、ダイゼイン、グリシテイン、ヘスペレチン、ナリンゲニンおよびプラテンセインが挙げられる。ホルモノネチンは、PHC Colonize(登録商標)AGなどの菌根接種株製品における有効成分として入手可能である。
【0447】
種子処理はまた、病原体との接触後に植物における全身獲得抵抗性を誘起させる1種または複数種の植物活性化剤を含んでいることが可能である。このような保護メカニズムを誘起させる植物活性化剤の一例は、アシベンゾラル−S−メチルである。
【0448】
以下のテストは、特定の病原体に対する本発明の化合物の防除効力を実証する。化合物によりもたらされる病原体防除保護は、しかしながら、これらの種には限定されない。化合物の説明については索引表A〜Cを参照のこと。以下の索引表においては以下の略語が用いられている:Meはメチルであり、Etはエチルであり、Phはフェニルであり、および、OMeはメトキシである。「Ex.」という略記は「実施例」を指し、これには、どの実施例において化合物が調製されているかを示す数字が続いている。以下の索引表において、Gの各値は、発明の概要に記載されているG環を指す。(R置換基が存在する場合、これは、G環の値の直後に示されている。(R置換基が不在である場合、これはnが0であることを意味し、R置換基の代わりに水素原子が利用可能なG環炭素原子のすべてに結合している。以下の索引表において、Aの各値は、明細表Aに記載されているA環を指す。質量スペクトルは、大気圧化学イオン化(AP)または電気スプレー電離(ESI)を用いる質量分光計(MS)が組み合わされた液体クロマトグラフィを用いることにより観察された、H(分子量1)の分子への付加により形成され、同位体存在度が最も高い親イオン(M+1)、または、分子からのH(分子量1)の損失により形成される(M−1)の分子量として報告され、ここで、「amu」は原子質量単位を表す。
【0449】
【表35】
【0450】
【表36】
【0451】
【表37】
【0452】
【表38】
【0453】
【表39】
【0454】
【表40】
【0455】
【表41】
【0456】
【表42】
【0457】
本発明の生物学的実施例
テストA〜E用のテスト懸濁液を調製するための一般的なプロトコル:先ず、テスト化合物を最終体積の3%と等しい量でアセトン中に溶解し、次いで、250ppmの界面活性剤Trem(登録商標)014(多価アルコールエステル)を含有するアセトンおよび精製水(体積基準で50/50混合物)中に所望の濃度(ppm)で懸濁させた。次いで、得られたテスト懸濁液をテストA〜Eにおいて用いた。化合物を、40ppmまたは10ppm(*)テスト懸濁液として、それぞれ、160g ai/haまたは40g ai/haの量に等しいテスト植物の流出点まで、噴霧した。
【0458】
テストA
テスト懸濁液をトマト実生に流出点まで噴霧した。次の日、この実生に、ボトリチスシネレア(Botrytis cinerea)(多くの作物における灰色かび病の病因)の胞子懸濁液を播種し、飽和雰囲気中に20℃で48時間インキュベートし、27℃のグロースチャンバに2日間移し、その後、視認による病害評価を行った。
【0459】
テストB
テスト懸濁液をコムギ実生に流出点まで噴霧した。次の日、この実生に、スタゴノスポラノドルム(Stagonospora nodorum)(セプトリアノドルム(Septoria nodorumとしても公知である);コムギふ枯病の病因)の胞子懸濁液を播種し、飽和雰囲気中に20℃で48時間インキュベートし、次いで、20℃のグロースチャンバに6日間移し、その後、視認による病害評価を行った。
【0460】
テストC
テスト懸濁液をコムギ実生に流出点まで噴霧した。次の日、この実生に、セプトリアトリティシ(Septoria tritici)(コムギ葉枯病の病因)の胞子懸濁液を播種し、飽和雰囲気中に24℃で48時間インキュベートし、次いで、20℃のグロースチャンバに21日間移し、その後、視認による病害評価を行った。
【0461】
テストD
テスト懸濁液をコムギ実生に流出点まで噴霧した。次の日、この実生に、プッシニアレコンディタ(Puccinia recondita f.sp.tritici);(コムギ葉さび病の病因)の胞子懸濁液を播種し、飽和雰囲気中に20℃で24時間インキュベートし、次いで、20℃のグロースチャンバに6日間移し、その後、視認による病害評価を行った。
【0462】
テストE
テスト懸濁液をコムギ実生に流出点まで噴霧した。次の日、この実生に、エリシフェグラミニス(Erysiphe graminis f.sp.tritici)(コムギウドンコ病の病因)の芽胞粉剤を播種し、20℃のグロースチャンバで8日間インキュベートし、その後、視認による病害評価を行った。
【0463】
テストA〜Eの結果が表Aに記載されている。この表において、100の格付けは100%の病害防除を示し、0の格付けは病害が防除されなかった(対照と比して)ことを示す。ダッシュ(−)はテスト結果が存在しないことを示す。
【0464】
【表43】
【0465】
【表44】
【0466】
【表45】
【0467】
【表46】
【0468】
【表47】
【表48】
【0469】
以上、本発明を要約すると下記のとおりである。
1.式1
【化46】
(式中、
Aは、
【化47】
からなる群から選択されるラジカルであり、
ZはOまたはSであり;
は、H、シクロプロピルまたはC〜Cアルコキシであり;
Lは−C(R12a)R12b−C(R13a)R13b−であり、式中、R12aおよびR12bに結合している炭素原子は式1中のカルボキサミド窒素原子にも結合しており;または、ハロゲンおよびC〜Cアルキルから独立して選択される4個以下の置換基で任意選択により置換される1,2−フェニレンであり;
Gは、
【化48】
からなる群から選択されるラジカルであり、
各Rは、独立して、ハロゲン、ニトロ、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜CハロアルコキシまたはC〜Cシクロアルキルであり;
はCHまたはNであり;
はCHまたはNであり;
はCHまたはNであり;
ただし、BおよびBが共にNである場合、BはCHであり;
は、ハロゲン、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルであり;
は、ハロゲン、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルであり;
は、H、ハロゲン、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルであり;
はC〜Cアルキルであり;
は、ハロゲン、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルであり;
は、H、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルであり;
9aは、H、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜CハロアルキルまたはC〜Cアルキルチオであり;
9bは、H、ハロゲン、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルであり;
10は、ハロゲン、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルであり;
11は、ハロゲン、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルであり;
20は、ハロゲン、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルであり;
21は、H、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルであり;
22は、H、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜CハロアルキルまたはC〜Cアルキルチオであり;
23は、H、ハロゲン、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルであり;
24は、H、ハロゲン、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルであり;
25は、H、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルであり;
mは0、1または2であり;
nは、0、1、2または3であり;
12aおよびR12bは、各々独立して、H、C〜CアルキルもしくはC〜Cハロアルキルであり;または
12aおよびR12bは、一緒になってC〜Cアルカンジイルとされ;
13aは、H、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、C〜CアルキルチオもしくはC〜Cアルコキシアミノであり;
13bは、H、ハロゲン、C〜CアルキルもしくはC〜Cハロアルキルであり;または
13aおよびR13bは、一緒になってC〜Cアルカンジイルとされ;
Qは、1個以下のO原子、1個以下のS原子および4個以下のN原子から独立して選択される4個以下のヘテロ原子ならびに炭素原子から選択される環員を含有する5員不飽和または部分飽和複素環であり、2個以下の炭素原子環員はC(=O)から独立して選択され、前記複素環は、任意選択により、芳香族複素環で前記式1の残部を結合する環員から遠位の環員において1つの置換基で置換され、前記任意選択の置換基は、炭素原子環員上のR14cおよび窒素原子環員上のR14nから選択され、前記複素環はさらに、任意選択により、炭素原子環員上のR15cおよび窒素原子環員上のR15nから選択される置換基で置換され;
各R14cは、独立して、ハロゲン、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、C〜CアルコキシカルボニルもしくはC〜Cアルキルカルボニルであり;または、R16から独立して選択される5個以下の置換基で任意選択により置換されるフェニル環であり;または、炭素原子環員上のR17cおよび窒素原子環員上のR17nから独立して選択される4個以下の置換基で任意選択により置換される芳香族複素環であり;または
隣接する炭素原子に結合する2個のR14cは、炭素原子環員と一緒になって、5員または6員炭素環または部分芳香族環を形成し、前記環は、ハロゲンまたはC〜Cアルキルで任意選択により置換され;
各R14nは、独立して、C〜Cアルキル、C〜CハロアルキルもしくはC〜Cアルコキシであり;または、R18から独立して選択される5個以下の置換基で任意選択により置換されるフェニル環であり;または、炭素原子環員上のR19cおよび窒素原子環員上のR19nから独立して選択される4個以下の置換基で任意選択により置換される芳香族複素環であり;
各R15cは、独立して、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜CハロアルキルまたはC〜Cアルコキシであり;
各R15nは、独立して、C〜Cアルキル、C〜CハロアルキルまたはC〜Cアルコキシであり;
各R16、R17c、R18およびR19cは、独立してハロゲン、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜CアルコキシまたはC〜Cハロアルコキシであり;ならびに
各R17nおよびR19nは、独立して、C〜Cアルキル、C〜CハロアルキルまたはC〜Cアルコキシである)
から選択される化合物、そのN−オキシドおよび塩。
2.ZがOであり;
Lが、−C(R12a)R12b−C(R13a)R13b−であり;または、F、Cl、BrおよびCHから独立して選択される2個以下の置換基で任意選択により置換された1,2−フェニレンであり;
Gが、G−1、G−2、G−3およびG−4からなる群から選択され;
各Rが、独立して、ハロゲンまたはC〜Cアルキルであり;
nが0、1または2であり;
が、ハロゲン、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルであり;
が、ハロゲン、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルであり;
が、H、ハロゲン、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルであり;
がCHであり;
が、ハロゲン、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルであり;
がHまたはCHであり;
9aが、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜CハロアルキルまたはC〜Cアルキルチオであり;
9bが、H、ハロゲン、C〜Cアルキルであり;
10が、ハロゲン、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルであり;
11が、ハロゲン、C〜CアルキルまたはC〜Cハロアルキルであり;
22が、F、Cl、CHまたはCFであり;
12aがHまたはCHであり;
12bがHもしくはCHであり;または
12aおよびR12bが、CまたはCアルカンジイルとされ;
13aが、H、CHもしくはOCHであり;
13bがHもしくはCHであり;または
13aおよびR13bが、一緒になってCまたはCアルカンジイルとされ;
Qが、
【化49】
(式中、
14は、Q環と式1の残部とを結合する環員を基準として遠位の環員に結合されており、炭素原子環員上のR14cおよび窒素原子環員上のR14nから独立して選択され;
各R15は、炭素原子環員上のR15cおよび窒素原子環員上のR15nから独立して選択され;
各xは、独立して、0または1であり;
各yは、独立して、0、1または2であり;ならびに
各zは、独立して、0、1、2または3である。)
から選択され、
各R16、R17c、R18およびR19cが、独立して、F、Cl、Br、CH、CHFまたはCFであり;ならびに
各R17nおよびR19nがCHである、
上記1に記載の化合物。
3.Aが、A−1、A−2、A−4およびA−8からなる群から選択され;
Lが、−C(R12a)R12b−C(R13a)R13b−であり;
Gが、G−1およびG−4からなる群から選択され;
がCHであり;
各Rが、独立して、F、Cl、BrまたはCHであり;
nが0または1であり;
が、F、Cl、Br、CH、CHFまたはCFであり;
が、F、Cl、Br、CH、CHFまたはCFであり;
が、H、ハロゲン、CHまたはCハロアルキルであり;
がCHであり;
9aが、F、Cl、Br、CHFまたはCFであり;
9bが、H、ハロゲンまたはC〜Cアルキルであり;
20が、Cl、CHまたはCFであり;
21がHまたはCHであり;
14cが、独立して、F、Cl、Br、CH、CHFまたはCFであり;
Qが、
【化50】
から選択され、
各R14nがCHであり;
各R15cが、独立して、F、Cl、Br、CH、CHFまたはCFであり;ならびに
各R15nがCHである、
上記2に記載の化合物。
4.Aが、A−1、A−2およびA−8からなる群から選択され;
がNであり;
がCHであり;
がHであり;
Gが、Qに対する結合を基準としてオルト位で少なくとも1つのRで置換されるG−1であり;
各Rが、独立して、FまたはClであり;
Qが、Q−9AおよびQ−9Bから選択され;
がCFであり;
がCHFであり;
が、H、F、Cl、Br、CH、CHFまたはCFであり;
20が、CHまたはCFであり;
21がHであり;
12aがHであり;
12bがHであり;
13aがHまたはCHであり;ならびに
13bがHである、
上記3に記載の化合物。
5.Aが、A−1、A−2およびA−4からなる群から選択され;
Lが、F、Cl、BrおよびCHから独立して選択される2個以下の置換基で任意選択により置換された1,2−フェニレンであり;
Gが、G−1、G−2およびG−3から選択され;
各Rが、独立して、F、Cl、BrまたはCHであり;
nが0または1であり;
が、F、Cl、Br、CH、CHFまたはCFであり;
が、F、Cl、Br、CH、CHFまたはCFであり;
が、H、ハロゲン、CHまたはCハロアルキルであり;
がCHであり;
9aが、F、Cl、Br、CHFまたはCFであり;
9bがHまたはメチルであり;
Qが、
【化51】
から選択され
14cが、独立して、F、Cl、Br、CH、CHFまたはCFであり;
各R14nがCHであり;
各R15cが、独立して、F、Cl、Br、CH、CHFまたはCFであり;ならびに
各R15nがCHである、
上記2に記載の化合物。
6.Aが、A−1およびA−2からなる群から選択され;
Lが、FおよびCHから独立して選択される2個以下の置換基で任意選択により置換される1,2−フェニレンであり;
がCHであり;
がCHであり;
GがG−1であり;
各Rが、独立して、FまたはClであり;
がCFであり;
がCHFであり;
が、H、F、Cl、Br、CH、CHFまたはCFであり;ならびに
Qが、Q−9AおよびQ−9Bから選択される、
上記5に記載の化合物。
7.AがA−1であり;
Lが1,2−フェニレンであり;
がNであり;
Gが、Qとの結合に結合した式1における結合に対するオルト位で少なくとも1個のRで置換され;
各Rが、独立して、FまたはClであり;および
QがQ−9Aである、
上記6に記載の化合物。
8.3−(ジフルオロメチル)−N−[2−[5−フルオロ−6−[3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−3−ピリジニル]フェニル]−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−N−[2−[2−[3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−5−ピリミジニル]フェニル]−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−N−[2−[6−[3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−3−ピリダジニル]フェニル]−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−N−[2−[5−[3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−2−ピラジニル]フェニル]−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−N−[1−メチル−2−[6−[3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−3−ピリジニル]エチル]−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;および
N−[1−メチル−2−[6−[3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−3−ピリジニル]エチル]−3−(トリフルオロメチル)−2−ピリジンカルボキサミド
からなる群から選択される、上記1に記載の化合物。
9.3−(ジフルオロメチル)−N−[2−[6−[3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−3−ピリジニル]フェニル]−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
N−[2−[5−クロロ−6−[3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−3−ピリジニル]フェニル]−3−(トリフルオロメチル)−2−ピリジンカルボキサミド;
N−[2−[5−フルオロ−6−[3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−3−ピリジニル]フェニル]−3−(トリフルオロメチル)−2−ピリジンカルボキサミド;
N−[2−[5−クロロ−6−[3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−3−ピリジニル]フェニル]−3−ヨード−2−チオフェンカルボキサミド;
N−[2−[5−フルオロ−6−[3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−3−ピリジニル]フェニル]−3−ヨード−2−チオフェンカルボキサミド;
5−ブロモ−N−[2−[5−クロロ−6−[3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−3−ピリジニル]フェニル]−4−チアゾールカルボキサミド;
N−[2−[5−クロロ−6−[3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−3−ピリジニル]フェニル]−5−ヨード−4−チアゾールカルボキサミド;
3−ブロモ−N−[2−[5−クロロ−6−[3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−3−ピリジニル]フェニル]−2−チオフェンカルボキサミド;
N−[2−[5−クロロ−6−[3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−3−ピリジニル]フェニル]−3−ヨード−2−ピリジンカルボキサミド;
3−ブロモ−N−[2−[5−クロロ−6−[3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−3−ピリジニル]フェニル]−2−ピリジンカルボキサミド;
N−[2−[5−クロロ−6−[4−クロロ−1H−ピラゾール−1−イル]−3−ピリジニル]フェニル]−3−(トリフルオロメチル)−2−ピリジンカルボキサミド;
2−(トリフルオロメチル)−N−[2−[5−[3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−2−ピラジニル]フェニル]ベンズアミド;
3−(トリフルオロメチル)−N−[2−[2−[3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−5−ピリミジニル]フェニル]−2−ピリジンカルボキサミド;
N−[2−[5−クロロ−6−(1H−ピラゾール−1−イル)−3−ピリジニル]フェニル]−3−(トリフルオロメチル)−2−ピリジンカルボキサミド;および
N−[2−[5−ブロモ−6−[3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]−3−ピリジニル]フェニル]−3−(トリフルオロメチル)−2−ピリジンカルボキサミド
からなる群から選択される、上記1に記載の化合物。
10.(a)上記1に記載の化合物と;(b)少なくとも1種の他の殺菌・殺カビ剤とを含む殺菌・殺カビ組成物。
11.(a)上記1に記載の化合物と;(b)界面活性剤、固体希釈剤および液体希釈剤
からなる群から選択される少なくとも1種の追加のコンポーネントとを含む殺菌・殺カビ組成物。
12.真菌性植物病原体により引き起こされる植物病害を防除する方法であって、前記植物もしくはその一部または前記植物種子に、殺菌・殺カビ的に有効な量の上記1に記載の化合物を適用するステップを含む方法。
13.前記真菌性植物病原体が、コハク酸脱水素酵素抑制剤に耐性である、上記12に記載の方法。
14.コハク酸脱水素酵素抑制剤に耐性である前記真菌性植物病原体が、アルテルナリアアルテルナタ(Alternaria alternata)、アスペルギルスオリゼー(Aspergillus oryzae)、ボトリチスシネエレア(Botrytis
cinearea)、ボトリチスエリプチカ(Botrytis elliptica)、コリネスポラカッシイコラ(Corynespora cassiicola)、ジディメラブリオニエ(Didymella bryoniae)、マイコスファエレラグラミニコラ(Mycosphaerella graminicola)、ポドスファエラザンチイ(Podosphaera xanthii)、スクレロティニアスクレロティオルム(Sclerotinia sclerotiorum)、ウスチラゴマイディス(Ustilago maydis)、ステムフィリウムボトリオセ(Stemphylium botryose)およびウスチラゴマイディス(Ustilago maydis)からなる群から選択される、上記13に記載の方法。