(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
油圧により作動する変速機に油圧を供給するオイルポンプと、前記オイルポンプにより発生された油圧を蓄圧するアキュムレータとを備える変速機の油圧制御装置に用いられる電磁弁であって、
前記アキュムレータに接続され、前記アキュムレータと前記変速機との間の油路の開閉を行う油路開閉用弁体を含む電磁弁本体と、
前記電磁弁本体の内部に設けられ、前記油路開閉用弁体の開閉動作に伴う摺動部分の油漏れをシールするシール部材と、
前記電磁弁本体の内部に設けられ、前記電磁弁本体における前記アキュムレータ側の油圧が所定の圧力以上に上昇した場合に、前記アキュムレータの内圧を逃がすように調圧する調圧機構と、を備え、
前記調圧機構は、前記油路開閉用弁体の内部に設けられている、電磁弁。
前記電磁弁本体は、前記電磁弁本体の内部に設けられ、前記オイルポンプによる蓄圧時に前記アキュムレータから前記オイルポンプへの油の逆流を防止する逆流防止機構をさらに含む、請求項1または2に記載の電磁弁。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
[第1実施形態]
まず、
図1〜
図6を参照して、第1実施形態による油圧制御装置50の構成を説明する。なお、油圧制御装置50は、請求の範囲の「変速機の油圧制御装置」の一例である。
【0016】
(油圧制御装置の概略構成)
車両(自動車)には、自動変速機100が搭載されている。自動変速機100は、
図1に示すように、エンジン101の駆動力を伝達するトルクコンバータ10と、エンジン101の駆動力により油圧制御の作動圧を発生させる機械式のオイルポンプ20と、プラネタリーギヤユニットを使用して複数のギヤ段を形成可能な変速機構部30と、変速機構部30に対する油圧制御を行うバルブボディ40とを備えている。そして、油圧制御装置50は、
図2に示すように、自動変速機100に供給される作動油(ATフルード)の油圧を制御する役割を担う。なお、変速機構部30は、請求の範囲の「変速機」の一例である。
【0017】
また、自動変速機100は、アイドリングストップ(エンジン停止)機能付きの自動車に搭載される。したがって、油圧制御装置50は、機械式のオイルポンプ20に加えて、アキュムレータ60と電磁弁70とを備えている。アキュムレータ60は、機械式のオイルポンプ20により発生された油圧を蓄圧するとともに、必要に応じて蓄圧された作動油を僅かな電力の消費で吐出する機能を有する。また、電磁弁70は、アキュムレータ60からの油路を開く機能を有する。また、アキュムレータ60および電磁弁70は、自動変速機100の下部などバルブボディ40近傍に配置されている。
【0018】
油圧制御装置50を用いることにより、機械式のオイルポンプ20が駆動されないアイドリングストップ状態からの復帰時(エンジン再始動)に、電磁弁70の開動作とともにアキュムレータ60の油圧がバルブボディ40を介して変速機構部30に供給される。これにより、自動変速機100では、エンジン再始動とともに機械式のオイルポンプ20が駆動されて所定の油圧が得られるまでの時間遅れに影響されずに、復帰時(走行開始前)に迅速に変速機構部30に所定のギヤ段が形成されるように構成されている。
【0019】
また、
図2に示すように、油圧制御装置50では、機械式のオイルポンプ20とバルブボディ40とが油路1を介して接続されている。油路1には、機械式のオイルポンプ20への作動油の逆流を防止する逆止弁5が設けられている。逆止弁5の流れ方向の下流側には、油路1から分岐して電磁弁70の出口ポート7bに接続される油路2が設けられている。また、電磁弁70の入口ポート7aとアキュムレータ60とが油路3を介して接続されている。また、油路2および3は電磁弁70をバイパスする油路4によっても接続されており、油路4には逆止弁6が設けられている。なお、逆止弁6は、アキュムレータ60の油圧が油路4を介して油路1に逆流するのを防止する役割を有する。なお、アキュムレータ60から油路3、電磁弁70、油路2および1を経由するバルブボディ40までの一連の油路7は、請求の範囲の「アキュムレータと変速機との間の油路」および「第2油路」の一例である。
【0020】
ここで、油圧制御装置50の役割について説明する。エンジン運転中は、
図6に示すように、オイルポンプ20が駆動されてバルブボディ40に油圧が供給される。また、機械式のオイルポンプ20により発生した油圧は、油路4を介してアキュムレータ60にも供給される。この際、電磁弁70は閉状態が維持されており、アキュムレータ60に蓄圧された作動油の油圧は、油路3を介して入口ポート7aに加えられる。そして、
図3に示すように、アイドリングストップが発生した場合、オイルポンプ20は駆動が停止される。
【0021】
その後、乗員によりブレーキペダル(図示せず)の踏み込みが緩和されてエンジン101(
図1参照)が再始動される際、
図5に示すように、電磁弁70に通電されて電磁弁70は開状態に切り替わる。これにより、アキュムレータ60の油圧(内圧)が、電磁弁70を経由してバルブボディ40へと迅速に供給される。そしてエンジン始動後は、
図6に示すように、機械式のオイルポンプ20の油圧が立ち上がった時点で電磁弁70への通電が停止されて電磁弁70は閉状態に切り替わる。これにより、油圧供給源がアキュムレータ60からオイルポンプ20へと切り替わり、以降、オイルポンプ20によるバルブボディ40への油圧供給とアキュムレータ60への蓄圧とが再開される。
【0022】
このように、油圧制御装置50は、アイドリングストップからの復帰時の僅かな時間の間にアキュムレータ60の蓄圧分(油圧)を利用してバルブボディ40に油圧を加えるアシスト機能(
図5参照)を担う。また、この場合、アキュムレータ60は油圧の吐出応答性が高いので、変速機構部30において車両発進用のギヤ段が迅速に形成される。
【0023】
ここで、第1実施形態では、
図3に示すように、電磁弁70が閉状態の場合において、入口ポート7a側(一次側)に加わるアキュムレータ60側の油圧が所定値P1以上に上昇した場合に、所定値P1から現在の油圧へのアキュムレータ60の内圧の増加分を出口ポート7b(二次側)に逃がすための調圧機構80が電磁弁70内部に設けられている。以下、電磁弁70の構成および調圧機構80の役割について詳細に説明する。なお、所定値P1は、請求の範囲の「所定の圧力」の一例である。
【0024】
(電磁弁の構成)
電磁弁70は、電磁コイル71aがボビンに巻回されたソレノイド部71と、固定鉄心73が固定されるとともに油路開閉用弁体(可動鉄心)74が移動可能に収容された本体部72とを備えている。また、本体部72は、油路開閉用弁体74を移動可能に収容する弁体収容部75と、固定鉄心73と油路開閉用弁体74との間の空間Vに配置され、油路開閉用弁体74を矢印A方向に常時付勢する圧縮コイルばねからなるスプリング76と、油路開閉用弁体74に装着された樹脂製のOリング77とを含んでいる。なお、本体部72およびOリング77は、それぞれ、請求の範囲の「電磁弁本体」および「シール部材」の一例である。
【0025】
油路開閉用弁体74の外周面74bには円周状の溝部74cが形成されており、溝部74cにOリング77が装着されている。油路開閉用弁体74の外径は弁体収容部75の内径よりも若干量小さく形成されており、外周面74bと弁体収容部75の内周面75bとの間には隙間Sが存在する。これにより、油路開閉用弁体74は、Oリング77の表面が所定の摩擦力を有して内周面75bに接触した状態で摺動可能に保持されている。また、Oリング77によって、隙間Sと空間Vとが、互いに離隔されている。
【0026】
また、弁体収容部75は、作動油が流通する入口ポート7aおよび出口ポート7bと、油路開閉用弁体74により開閉される弁座部(オリフィス)7cとを有している。また、電磁弁70は、弁体収容部75が油路7の一部を構成する配管部材8(概略形状を二点鎖線で示す)に装着されている。すなわち、弁体収容部75の外周面にはOリング9aおよび9bが装着されており、Oリング9bによって入口ポート7aと出口ポート7bとが互いに仕切られている。なお、入口ポート7aに続く内部油路7dの部分は、油路開閉用弁体74の外周面74bに沿って周状に広がり、かつ、上方(矢印B方向)に延びている。これにより、配管部材8を介して入口ポート7aから流入した作動油は、油路開閉用弁体74の外周面74bに沿って隙間Sにも万遍なく回り込む。
【0027】
また、入口ポート7aから流入した作動油(油圧)は、隙間Sを介してOリング77の表面にも加わる。この際、作動油が満たされた隙間Sとスプリング76が収容された空間VとがOリング77により仕切られているので、本体部72は、作動油を空間Vに極力漏れ出なくするように構成されている。したがって、Oリング77には、外周面74bと内周面75bとの隙間Sを確実にシールするための接触力(シール性)が求められる。
【0028】
電磁弁70の動作としては、電磁コイル71aが消磁された非励磁状態では、
図3に示すように、スプリング76の付勢力により油路開閉用弁体74が矢印A方向に付勢される。これにより、油路開閉用弁体74のテーパ形状を有する弁部74aが弁座部7cに着座して内部油路7dが閉じられる。そして、電磁コイル71aが励磁された場合、
図5に示すように、スプリング76の付勢力に抗して電磁力により油路開閉用弁体74が矢印B方向に吸引される。これにより、着座していた弁部74aが矢印B方向に移動して油路7が開かれて、入口ポート7a(一次側)と出口ポート7b(二次側)とが連通される。
【0029】
(電磁弁における調圧機構の構成)
ここで、第1実施形態では、電磁弁70の本体部72には、調圧機構80が内蔵されている。具体的には、
図4に示すように、調圧機構80は、油路開閉用弁体74の内部を延びる調圧通路81と、調圧通路81を開閉する金属製の球状の調圧用弁体(ボール弁)82と、調圧通路81を閉じる方向に調圧用弁体82を付勢する金属製の圧縮コイルばねからなるスプリング83と、調圧用弁体82の反対側からスプリング83を保持する保持部材84とによって構成される。なお、調圧通路81およびスプリング83は、それぞれ、請求の範囲の「油圧逃がし通路」および「付勢部材」の一例である。
【0030】
調圧通路81は、油路開閉用弁体74の外周面74bに開口する開口部81aと、油路開閉用弁体74における弁部74aの先端面74dに開口する開口部81bとを有している。開口部81aは、Oリング77の装着位置よりも弁部74a側の外周面74bに位置する。また、開口部81bは、
図4に示す電磁弁70(内部油路7d)が閉じられた状態で出口ポート7b(二次側)に連通する位置(先端面74d)に形成されている。
【0031】
また、調圧通路81は、開口部81aの開口面積よりも大きい断面積を有して矢印D方向に延びる第1通路81cと、第1通路81cの概ね中間部分から矢印A方向に直線的に延びる第2通路81dとからなる。また、ボール弁からなる調圧用弁体82の直径は、第1通路81cの内径よりも数十μm程度小さい。そして、第1通路81cに調圧用弁体82とスプリング83とがこの順に挿入された状態で、矢印D方向側から保持部材84が嵌め込まれている。なお、スプリング83は、調圧用弁体82が第1通路81c内の縮径部に着座した状態で調圧用弁体82に対する付勢力が所定値P1になるように調整されている。これにより、開口部81aに油圧が加わらないかまたは所定値P1未満の状態では、スプリング83により付勢された調圧用弁体82によって調圧通路81は閉じられている。
【0032】
そして、調圧機構80は、本体部72内(入口ポート7aから弁座部7cまでの内部油路7dの部分)の油圧が所定値P1以上に上昇した場合に、スプリング83の付勢力(矢印C方向)に抗して調圧用弁体82が着座位置から開放方向(矢印D方向)に移動されるように構成されている。この際、調圧用弁体82と第1通路81cの内周面との間に数十μm程度の隙間が生じる。また、この動作により、電磁弁70(内部油路7d)が閉じられた状態でも、本体部72における入口ポート7a(一次側)と出口ポート7b(二次側)とが調圧通路81を介して連通される。これにより、入口ポート7aに加わる作動油が調圧通路81を介して出口ポート7bに僅かずつ流通される。この結果、アキュムレータ60から本体部72に加わる過剰な油圧(圧力)が逃がされるように構成されている。
【0033】
なお、油圧の逃がしに伴ってアキュムレータ60の油圧が下がり所定値P1未満になった時点で、
図3に示すように、調圧用弁体82により調圧通路81は完全に閉じられる。したがって、電磁弁70では、調圧機構80による油圧の調圧機能によって、常に所定値P1を超えない大きさの油圧が入口ポート7a(一次側)に加わるように構成されている。
【0034】
したがって、外周面74bと内周面75bとの隙間Sに満たされる作動油が溝部74cに達してOリング77を押圧したとしても、押圧力が所定値P1を超えないので、Oリング77の断面の過剰な変形(押し潰れ)が防止される。すなわち、断面の過剰な変形が防止されたOリング77が弁体収容部75の内周面75bに対して適切な範囲の摩擦力を有して摺動可能に保持される。したがって、Oリング77の押し潰れに起因して摩擦力が増加して油路開閉用弁体74が正常に駆動されない場合と異なり、電磁弁70では、電磁コイル71aの励磁とともに油路開閉用弁体74が円滑に駆動されるように構成されている。
【0035】
なお、調圧機構80では、スプリング83が最も縮められた状態でも調圧用弁体82が第1通路81cに対する第2通路81dへの接続位置(第2通路81dの入口)に到達しないように構成されている。これは、スプリング83の寸法やばね定数と第2通路81dの形成位置との相互関係により達成される。これにより、油圧の調圧時に調圧用弁体82が矢印D方向に移動して第2通路81dへの入口を閉じるのが回避されている。第1実施形態における電磁弁70を備えた油圧制御装置50は、上記のように構成されている。
【0036】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0037】
第1実施形態では、上記のように、本体部72における一次側(入口ポート7aから弁座部7cまでの内部油路7dの部分)の油圧が所定値P1以上に上昇した場合にOリング77に加わるアキュムレータ60からの油圧(内圧)を逃がす調圧機構80を本体部72に設けるように電磁弁70を構成する。これにより、アキュムレータ60に所定値P1以上の油圧(内圧)が蓄圧された場合に調圧機構80が作動して油路開閉用弁体74に装着されたOリング77にアキュムレータ60からの過剰な油圧が加わるのを防止することができる。これにより、油圧によるOリング77の過剰な押し潰れが防止されるので、弁体収容部75の内周面75bにおけるOリング77の摺動抵抗を適正な範囲に維持することができる。その結果、Oリング77のシール性を維持しつつ、電磁弁70(本体部72)の油路開閉用弁体74を正常に駆動させることができる。また、電磁弁70が円滑に作動するので、油圧の吐出応答性が高いアキュムレータ60の特性を損なうことなくアイドリングストップからの復帰時にバルブボディ40に対する油圧アシストを行うことができる。
【0038】
また、第1実施形態では、調圧機構80を電磁弁70の本体部72内に設けることによって、このような調圧機構80を自動変速機100側のバルブボディ40などに設ける必要がないので、自動変速機100(バルブボディ40)が大型化するのを抑制することができる。また、このような調圧機構80をアキュムレータ60に設ける必要もないので、既存のアキュムレータ60を搭載して油圧制御装置50を容易に構成することができる。
【0039】
また、第1実施形態では、調圧機構80をアキュムレータ60とバルブボディ40との間の油路7(内部油路7d)の開閉を行う油路開閉用弁体74の内部に設けるように電磁弁70を構成する。これにより、既存の油路開閉用弁体74を有効に利用してその内部に調圧機構80を設けることができるので、弁体収容部75側にこのような調圧機構を設ける場合と異なり、大型化させずに調圧機構80を有する電磁弁70を得ることができる。
【0040】
また、第1実施形態では、油路開閉用弁体74の内部に設けられ、油路開閉用弁体74の一次側(入口ポート7a)と二次側(出口ポート7b)とを接続する調圧通路81と、調圧通路81の第1通路81c内に移動可能に配置され、調圧通路81を開閉する調圧用弁体82とを有するように調圧機構80を構成する。そして、本体部72内の油圧が所定値P1以上に上昇した場合に、調圧用弁体82が開放方向(矢印D方向)に移動されることにより、調圧通路81を介して油路開閉用弁体74の一次側(入口ポート7a)から二次側(出口ポート7b)へ油圧(圧力)を逃がすように調圧機構80を構成する。これにより、調圧通路81内の調圧用弁体82の開閉動作により、調圧用弁体82と第1通路81cの内周面との隙間を介して本体部72内の油圧を二次側に容易に逃がすことができる。
【0041】
また、第1実施形態では、調圧通路81の第1通路81c内に調圧用弁体82を閉じる方向(矢印C方向)に付勢するスプリング83をさらに設ける。そして、油圧が所定値P1以上に上昇した場合に、スプリング83の付勢力に抗して調圧用弁体82が開放方向(矢印D方向)に移動されることにより、調圧通路81を介して油路開閉用弁体74の一次側から二次側へ油圧(圧力)を逃がすように調圧機構80を構成する。これにより、調圧用弁体82が第1通路81c内の縮径された部分に着座した状態での調圧用弁体82に対する押圧力が所定値P1になるようにスプリング83を予め設計しておくだけで、調圧機能となる調圧用弁体82の動作を容易に行わせることができる。
【0042】
また、第1実施形態では、アキュムレータ60用の制御弁としての電磁弁70に調圧機構80を設ける。これにより、アイドリングストップ状態からの復帰時に、Oリング77の過剰な押し潰れに起因して電磁弁70が動作不良を起こすことを有効に防止することができる。したがって、アイドリングストップ時に電力を消費せずに油圧供給源の役割を果たすアキュムレータ60を用いて、自動変速機100を正常に作動させることができる。
【0043】
[第2実施形態]
次に、
図2および
図7〜
図9を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、調圧機構80に加えて上記第1実施形態で示した逆止弁6(
図2参照)の機能を電磁弁270内に内蔵した例について説明する。なお、図中において、上記第1実施形態と同様の構成の部分には、同一の符号を付している。
【0044】
(電磁弁の構成)
第2実施形態による油圧制御装置250は、
図7に示すように、電磁弁270を備えている。電磁弁270では、調圧機構80に加えて逆流防止機構90が油路開閉用弁体(可動鉄心)274の内部に設けられている。なお、油圧制御装置250は、請求の範囲の「変速機の油圧制御装置」の一例である。
【0045】
(逆流防止機構の構成)
詳細には、
図8に示すように、逆流防止機構90は、油路開閉用弁体274内部の調圧通路81における第2通路81dから分岐した部分に設けられている。すなわち、逆流防止機構90は、第2通路81dから分岐して外周面74bに開口する開口部91aを有する油路91と、油路91を開閉する金属製のボール弁92とにより構成されている。
【0046】
油路91では、第2通路81dへの接続部91b近傍で縮径されており、ボール弁92が矢印D方向に移動して縮径部に着座した際に油路91が閉じられる。また、油路91は、開口部91a側で拡径されており、開口部91aを部分的に塞ぐように制止部93が形成されている。これにより、ボール弁92が矢印C方向に移動して制止部93に当接した際に、ボール弁92と油路91の拡径部の内周面との間に数十μm程度の隙間が生じる。
【0047】
これにより、アキュムレータ60に油圧が既に蓄圧され、かつ、電磁弁270(内部油路7d)が閉じた状態では、アキュムレータ60からの油圧が入口ポート7aに加えられたとしても、ボール弁92が油路91内の縮径部に着座して油路91を閉じるので、作動油は、出口ポート7b(二次側)を介して油路1へは逆流しない。なお、調圧機構80による油圧調整時(圧力逃がし動作時)や、油路開閉用弁体274が吸引された内部油路7dが開かれる際にも、ボール弁92が矢印D方向に移動して油路91は閉じられている。
【0048】
一方、
図9に示すように、オイルポンプ20が駆動されて作動油がアキュムレータ60に蓄圧される状態では、電磁弁270(内部油路7d)が閉じていても、オイルポンプ20からの油圧が第2通路81dおよび油路91を介してボール弁92を矢印C方向に押す。そして、ボール弁92が移動して制止部93に当接した際に、ボール弁92と油路91の拡径部の内周面との間に生じる隙間を介して、作動油が入口ポート7aに流通(供給)される。調圧機構80および逆流防止機構90を備えた電磁弁270は、このように構成されている。なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0049】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、上記のように、オイルポンプ20による蓄圧時にアキュムレータ60からオイルポンプ20への油の逆流を防止する逆流防止機構90を電磁弁270に設ける。これにより、電磁弁270以外の油圧経路中に逆止弁6(
図2参照)などを別途設ける場合と異なり、逆流防止機能を兼ね備えた電磁弁270を得ることができるので、油圧制御装置250全体の構成を簡素化することができる。
【0050】
また、第2実施形態では、調圧機構80に加えて逆流防止機構90を油路開閉用弁体274の内部に設ける。これにより、既存の油路開閉用弁体274を有効に利用してその内部に調圧機構80および逆流防止機構90を設けることができるので、大型化させることなく逆流防止機能をも兼ね備えた電磁弁270を容易に得ることができる。なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0051】
[第3実施形態]
次に、
図2および
図10を参照して、第3実施形態について説明する。この第3実施形態では、調圧機構80に均圧用油路79をさらに設けて電磁弁370を構成した例について説明する。なお、図中において、上記第1実施形態と同様の構成の部分には、同一の符号を付している。
【0052】
(電磁弁の構成)
第3実施形態による油圧制御装置350は、
図10に示すように、電磁弁370を備えている。電磁弁370には、油路開閉用弁体(可動鉄心)374の内部に調圧機構80が組み込まれている。そして、電磁弁370では、調圧機構80に加えて均圧用油路79がさらに設けられている。なお、油圧制御装置350は、請求の範囲の「変速機の油圧制御装置」の一例である。
【0053】
具体的には、油路開閉用弁体374は、調圧機構80を構成する第1通路81cとスプリング83が固定される座面374eとを連通するように内部を延びる均圧用油路79を有している。すなわち、第2通路81dと均圧用油路79とによって、固定鉄心73と油路開閉用弁体374とが互いに対向する空間Vと、出口ポート7b(二次側)とが連通されている。これにより、電磁弁370が閉じた状態では、出口ポート7bの作動油が第2通路81dおよび均圧用油路79を介してスプリング83が嵌め込まれた空間Vにも満たされる。したがって、油路開閉用弁体374は、先端面74d側と座面374e側との両方から同じ油圧が作用するので圧力的に中立な状態になっている。
【0054】
電磁コイル71aが励磁されて油路開閉用弁体374が矢印B方向に吸引された際、空間Vの作動油が均圧用油路79を介して出口ポート7b側に押し出される。また、これと引き換えに、空間Vはその体積が容易に縮小される。これにより、電磁弁370では、上記第1実施形態で示した電磁弁70(
図2参照)と比較して、付勢力がより小さいスプリング83を使用し、かつ、小型化された電磁コイル71aによる小さい吸引力でも油路開閉用弁体374を俊敏に矢印B方向に駆動(移動)させることが可能に構成されている。
【0055】
この際も、Oリング77には、外周面74bと内周面75bとの隙間Sを確実にシールする接触力が求められる。しかしながら、Oリング77の過剰な接触力は小型化された電磁コイル71aを使用した場合の油路開閉用弁体374の円滑な作動を阻害しやすくなる。
【0056】
そこで、第3実施形態では、このような電磁弁370に対しても調圧機構80が適用される。これにより、Oリング77の断面を過剰に押し潰す所定値P1以上の油圧が入口ポート7aに加わったとしても、調圧機構80が作動してこの油圧が逃がされることにより、Oリング77には、所定値P1未満の圧力しか加わらない。したがって、隙間Sと空間Vとを仕切るOリング77のシール性を損なうことなく、本体部72内の圧力が調圧されて、より小さい吸引力でも油路開閉用弁体374が円滑に作動するように構成されている。
【0057】
なお、電磁弁370が閉じた状態で調圧機構80が作動した場合、作動油は、第1通路81cから第2通路81dへと流れる。すなわち、空間Vには均圧用油路79を介して作動油が予め満たされているので、圧力逃がし時の作動油は、この方向へは流れない。また、スプリング83が最も縮められた状態でも調圧用弁体82が第1通路81cに対する均圧用油路79への接続位置(均圧用油路79の入口)に到達しないように構成されている。なお、第3実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0058】
(第3実施形態の効果)
第3実施形態では、上記のように、均圧用油路79が設けられた電磁弁370に対して調圧機構80を設けることによって、隙間Sと空間Vとを仕切るOリング77のシール性を損なうことなく、本体部72内の入口ポート7aの油圧(圧力)を調圧して、小型化された電磁コイル71aによる小さい吸引力でも油路開閉用弁体374を円滑に作動させることができる。この点で、調圧機構80を電磁弁370に適用することの意義は大きい。
【0059】
また、第3実施形態では、均圧用油路79を調圧機構80における第1通路81cに接続して油路開閉用弁体374を構成する。これにより、調圧機構80の第2通路81dを有効に利用して、電磁弁370の出口ポート7bと空間Vとを連通する均圧用の連通路を電磁弁370内に設けることができる。ここで、均圧用油路79は、小型化された電磁コイル71aによる小さい吸引力で油路開閉用弁体374を作動させるために設けられている。したがって、調圧機構80の部分的な構成(第2通路81d)が電磁弁370の小型化にも寄与するので、調圧機構80を均圧用油路79付きの電磁弁370に設ける利点は大きい。なお、第3実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0060】
[第4実施形態]
次に、
図11〜
図13を参照して、第4実施形態について説明する。この第4実施形態では、上記第1〜第3実施形態と異なる構造を有する油路開閉用弁体474に調圧機構80を内蔵した例について説明する。なお、図中において、上記第1実施形態と同様の構成の部分には、同一の符号を付している。
【0061】
(電磁弁の構成)
第4実施形態による油圧制御装置450は、
図11に示すように、電磁弁470を備える。また、電磁弁470の本体部472(
図13参照)は、油路開閉用弁体474を移動可能に収容する弁体収容部475と、油路開閉用弁体474を矢印B方向に常時付勢するスプリング476とを含む。電磁弁470では、ソレノイド部71が励磁された場合に、可動鉄心473とともに油路開閉用弁体474が矢印A方向に移動されることにより、油路7(内部油路7d)が開かれるように構成されている。なお、油圧制御装置450および本体部472は、それぞれ、請求の範囲の「変速機の油圧制御装置」および「電磁弁本体」の一例である。
【0062】
油路開閉用弁体474は、内部油路7dの部分の開閉を担う弁部474aと、弁部474aから矢印A方向に延びるとともに外周面が油路開閉用弁体474の軸中心に向かってくびれた部分を含む受圧部405と、油路開閉用弁体474の矢印A方向側の先端部474dの内側にスプリング476を保持する凹状の保持部477とを有する。なお、矢印A方向および矢印B方向は、それぞれ、請求の範囲の「一方方向」および「他方方向」の一例である。
【0063】
弁体収容部475は、油路開閉用弁体474の受圧部405および先端部474dを往復移動可能に保持する弁体保持部475aを有する。具体的には、先端部474dの外周部474eには、周状の摺動部材478が取り付けられており、油路開閉用弁体474は、摺動部材478を介して先端部474dが弁体保持部475aの内周面に対して矢印A(B)方向に摺動するように構成されている。また、弁体収容部475は、内部油路7dに加えて、弁座部407cを境として矢印A方向側にも内部油路7eが形成されるように構成されている。また、内部油路7eは、弁体収容部475の受圧部405に対向する位置に形成されたポート7fを介して、オイルポンプ20の油圧が加わる側の油路2に連通されている。そして、電磁弁470(本体部472(
図13参照))は、Oリング9a〜9cを介在させて配管部材8(二点鎖線)に装着されている。
【0064】
ここで、第4実施形態では、
図12に示すように、油路開閉用弁体474は、油路7を開く矢印A方向(下方向)に移動する際にオイルポンプ20(
図13参照)側の油路2の油圧(ライン圧)を受ける第1受圧面401と、油路開閉用弁体474が油路7を閉じる矢印B方向(上方向)に移動する際にオイルポンプ20側の油路2の油圧(ライン圧)を受ける第2受圧面402とを有する。なお、第2受圧面402は、テーパ形状を有する弁部474aの矢印A方向側の下面により構成されている。すなわち、第2受圧面402は、油路開閉用弁体474の内径側から外径側に向かって斜め上方に傾斜する周状の傾斜面402aと、その周状の傾斜面402aの内径側の周状の平坦面402bとからなる下面により構成されている。また、第1受圧面401は、第2受圧面402に対して矢印A方向側に対向する上面により構成されている。すなわち、第1受圧面401は、油路開閉用弁体474の内径側から外径側に向かって斜め下方に傾斜する周状の傾斜面401aからなる上面により構成されている。また、第1受圧面401の受圧面積Saと、第2受圧面402の受圧面積Sbとは、互いに等しくなる(Sa=Sbである)ように受圧部405が構成されている。
【0065】
したがって、電磁弁470では、油路開閉用弁体474の受圧部405には、油路開閉用弁体474を矢印A方向に移動させる力Fa(ライン圧のうち、第1受圧面401(傾斜面401a)を下方向に押す分力)と、油路開閉用弁体474を矢印B方向に移動させる力Fb(ライン圧のうち、第2受圧面402(傾斜面402aおよび平坦面402b)を上方向に押す分力)とが、常に互いに等しく加わる(Fa=Fbである)ように構成されている。すなわち、受圧部405では、力Faと力Fbとが、向きが互いに反対で同じ大きさになるように、その外周面のくびれ形状が形成されている。
【0066】
これにより、
図13に示すように、油路2の油圧が受圧部405の第1受圧面401および第2受圧面402に、Fa=Fbの状態(
図12参照)となって作用しているので、油路2に油圧(ライン圧)が発生している間中、油路開閉用弁体474は矢印A方向および矢印B方向のいずれにも移動可能な中立状態になる。したがって、電磁弁470への通電とともに油路開閉用弁体474は油路2の油圧の影響を受けることなく矢印A方向に即座に移動される。これにより、アキュムレータ60の油圧が、電磁弁470(内部油路7dおよび7e)を経由してバルブボディ40へと迅速に供給されるように構成されている。また、アキュムレータ60の油圧の供給とともに油路2の油圧(ライン圧)が上昇した場合であっても、ライン圧が第1受圧面401および第2受圧面402に等しく作用する(Fa=Fbである)ので、油路2の油圧上昇に起因して油路開閉用弁体474が内部油路7dを閉じる方向(矢印B方向)に移動されることも回避される。
【0067】
また、
図11に示すように、調圧機構80の第2通路81dは、受圧部405の内部を矢印A方向に延びて保持部477に開口している。これにより、電磁弁470においても、弁部474aにより内部油路7dが閉じられた状態(非励磁状態)で、本体部472内(入口ポート7aから弁座部407cまでの内部油路7dの部分)に加わるアキュムレータ60側の所定値P1以上に上昇した場合に、調圧用弁体82の開放とともに、第2通路81dを介して入口ポート7aと出口ポート7bとが連通される。なお、第4実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0068】
(第4実施形態の効果)
第4実施形態では、上記のように、矢印A方向に移動する際に油路2のライン圧を受ける第1受圧面401と、矢印B方向に移動する際に油路2のライン圧を受ける第2受圧面402とを含む受圧部405を油路開閉用弁体474に設ける。そして、第1受圧面401の受圧面積Saと第2受圧面402の受圧面積Sbとを互いに等しく構成する。これにより、油路2にライン圧が発生している間中、油路開閉用弁体474を矢印A方向および矢印B方向のいずれにも移動可能な中立状態に容易に維持することができる。したがって、電磁弁470への通電とともに、油路開閉用弁体474を油路2の油圧の影響を受けることなく矢印A方向に確実に移動させることができる。さらには、アキュムレータ60の油圧の供給とともに油路2の油圧(ライン圧)が上昇した場合であっても、ライン圧が第1受圧面401および第2受圧面402に等しく作用する(Fa=Fbである)ので、油路2の油圧上昇に起因して油路開閉用弁体474が内部油路7dを閉じる方向に移動されるのを回避することができる。なお、第4実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0069】
[第5実施形態]
次に、
図11および
図14を参照して、第5実施形態について説明する。この第5実施形態では、調圧機構580を電磁弁570とは別個に設けた例について説明する。なお、図中において、上記第1実施形態と同様の構成の部分には、同一の符号を付している。
【0070】
第5実施形態による油圧制御装置550は、
図14に示すように、電磁弁570を備える。また、電磁弁570は、本体部572内に保持される油路開閉用弁体574に、調圧機構80(
図11参照)が設けられていない。その一方で、油圧制御装置550では、油路3から分岐した油路501上に、調圧機構580が設けられている。なお、調圧機構580は、本体部581を備えており、本体部581の内部構成は、調圧機構80(
図11参照)と同様である。なお、油圧制御装置550および本体部572は、それぞれ、請求の範囲の「変速機の油圧制御装置」および「電磁弁本体」の一例である。また、電磁弁570内の内部油路7dを含めた油路3の部分および油路501は、請求の範囲の「第1油路」の一例である。
【0071】
これにより、油圧制御装置550では、電磁弁570におけるアキュムレータ60側の油圧が所定値P1以上に上昇した場合に、外部接続された調圧機構580が作動して、入口ポート7aに加わる作動油が調圧通路81を介してオイル溜め部(図示せず)に向けて僅かずつ流通される。したがって、蓄圧時にアキュムレータ60から電磁弁570に加わる過剰な油圧(アキュムレータ60の内圧)が逃がされる。なお、調圧機構580以外の油路開閉用弁体574(受圧部405)を含む電磁弁570の構成は、上記第4実施形態の電磁弁470と同様である。
【0072】
(第5実施形態の効果)
第5実施形態では、上記のように、電磁弁570とは別個にアキュムレータ60と電磁弁570との間の油路501上に調圧機構580を設ける。これによっても、Oリング77のシール性を維持しつつ、電磁弁570の油路開閉用弁体74を正常に駆動させることができ、電磁弁570の円滑な作動とともに、アイドリングストップからの復帰時に、バルブボディ40に対する油圧アシストを行うことができる。
【0073】
[変形例]
今回開示された実施形態は、全ての点で例示であり制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記実施形態の説明ではなく請求の範囲によって示され、さらに請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更(変形例)が含まれる。
【0074】
たとえば、上記第1〜第5実施形態では、プラネタリーギヤユニット(変速ギヤ)からなる変速機構部30を備えた自動変速機100の油圧制御装置50(250、350、450、550)に本発明を適用したが、本発明はこれに限られない。すなわち、変速ギヤを使用せず無段階に変速可能な無段階変速機(CVT)に油圧を供給する油圧制御装置に対して本発明を適用してもよい。変速機は、縦置きエンジン用または横置きエンジン用のいずれでもよい。
【0075】
また、上記第1〜第4実施形態では、調圧機構80を電磁弁70(270、370、470)における油路開閉用弁体74(274、374、474)内に設けたが、本発明はこれに限られない。たとえば、電磁弁70の弁体収容部75に「油圧逃がし通路」および「調圧用弁体」を設けておき、油路開閉用弁体74が閉じた状態で油圧が所定値P1以上の場合に入口ポート7aと出口ポート7bとを連通して油圧を逃がしてもよい。
【0076】
また、上記第1〜第5実施形態では、保持部材84を第1通路81cに単に嵌め込んでスプリング83を保持したが、本発明はこれに限られない。たとえば、保持部材84の外周面および第1通路81cの内周面にねじ溝をそれぞれ形成しておき、保持部材84のねじ込み量(締め込み量)に応じて内部のスプリング83の付勢力が調整可能であってもよい。これにより、装着されるOリング77の材質などに応じて圧力逃がし用の所定値P1を変更する必要がある場合にも、スプリング83を交換することなく、逃がし圧設定値の変更に容易に対応することが可能なアキュムレータ用の電磁弁を提供することができる。
【0077】
また、上記第2実施形態では、調圧通路81の開口部81aと油路91の開口部91aとを油路開閉用弁体274の外周面74bの同じ側に開口したが、本発明はこれに限られない。開口部81aに対して開口部91aが外周面74bの反対側に開口していてもよい。
【0078】
また、上記第1〜第5実施形態では、球状の調圧用弁体82を用いて調圧機構80(580)を構成したが、本発明はこれに限られない。たとえば、円錐形状のニードル、または、傘型形状のポペットを用いてもよいし、一対の半球形状部が両端部に設けられて縦断面が長円形状(トラック形状)を有するような「調圧用弁体」を用いてもよい。
【0079】
また、上記第3実施形態では、均圧用油路79付きの油路開閉用弁体374に調圧機構80のみを設けたが、本発明はこれに限られない。すなわち、上記第2実施形態で示した逆流防止機構90を油路開閉用弁体374に更に追加して電磁弁370を構成してもよい。
【0080】
また、上記第1〜第5実施形態では、全閉時に通電されないノーマルクローズ型の電磁弁に対して本発明を適用したが、本発明はこれに限られない。すなわち、全開時に通電されないノーマルオープン型の電磁弁に対して本発明を適用することも可能である。これにより、励磁時(通電時)に油路が閉じた状態から消磁されてスプリング力により弁体(可動鉄心)が油路を開く方向に駆動される際にも、シール部材の摺動抵抗が過剰とならず弁体を正常に駆動させることができる。