(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6419949
(24)【登録日】2018年10月19日
(45)【発行日】2018年11月7日
(54)【発明の名称】リフト位置および無重力位置を形成する動力機構付家具部材
(51)【国際特許分類】
A47C 1/032 20060101AFI20181029BHJP
A47C 1/0355 20130101ALI20181029BHJP
A47C 9/00 20060101ALI20181029BHJP
A61G 5/14 20060101ALI20181029BHJP
【FI】
A47C1/032
A47C1/0355
A47C9/00 Z
A61G5/14 701
【請求項の数】19
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-512328(P2017-512328)
(86)(22)【出願日】2015年8月27日
(65)【公表番号】特表2017-530751(P2017-530751A)
(43)【公表日】2017年10月19日
(86)【国際出願番号】US2015047119
(87)【国際公開番号】WO2016036569
(87)【国際公開日】20160310
【審査請求日】2017年7月20日
(31)【優先権主張番号】14/475,063
(32)【優先日】2014年9月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591136377
【氏名又は名称】レイジーボーイ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】LA−Z−BOY CHAIR COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘジェダス アレキサンダー エム
(72)【発明者】
【氏名】ハーウッド エリック ビー
【審査官】
山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2014/0070585(US,A1)
【文献】
特開平07−184736(JP,A)
【文献】
特開2001−178779(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2001/0006300(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0049411(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 5/14
A47C 1/032
A47C 1/0355
A47C 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着座者の起立を補助するリフト位置及び着座者を後方にチルトさせる無重力操作位置の双方を形成する家具部材動力機構であって、
第1トルクチューブと、
前記第1トルクチューブに固定され第1接続アームに回動可能に接続される第1接続リンク及び前記第1トルクチューブに固定され第2接続アームに回動可能に接続される第2接続リンクと、
前記第1及び第2接続アームが回転可能に接続されるスライド部材を有するギアハウジングと、
前記ギアハウジングに接続され、動作することで前記ギアハウジングに摺動可能に連結される前記スライド部材を摺動変位させる位置決めモータであって、前記スライド部材の摺動動作により前記第1及び第2接続アームが変位して前記第1トルクチューブを変位及び回転させるよう作用するものと、
前記スライド部材に回動可能に接続される第1及び第2接続プレートと、
前記家具部材のベース部材の第1及び第2アームレスト部のそれぞれに対向する端部において固定される第2トルクチューブとを備え、前記第1及び第2接続プレートは前記スライド部材が変位することで前記ベース部材が回動するよう前記第2トルクチューブにも接続されることを特徴とする家具部材動力機構。
【請求項2】
請求項1に記載のリフト位置及び無重力操作位置の双方を形成する家具部材動力機構において、前記スライド部材は前記ギアハウジング上の後方位置に位置するとき、前記ベース部材を、前記ベース部材の第1アームレスト面が床面に対して30度から40度の範囲の角度で延びるようにするリフト操作位置に配置することを特徴とする家具部材動力機構。
【請求項3】
請求項2に記載のリフト位置及び無重力操作位置の双方を形成する家具部材動力機構において、さらに前記第1トルクチューブに回動可能に連結される背もたれ部材を備え、前記スライド部材は、前記ギアハウジング上のフル前方位置に位置したとき、前記ベース部材の第2アームレスト面が床面に対して略平行に延び、前記背もたれ部材が背もたれフルリクライン位置に完全に回動する無重力操作位置に前記ベース部材を配置することを特徴とする家具部材動力機構。
【請求項4】
請求項1に記載のリフト位置及び無重力操作位置の双方を形成する家具部材動力機構であって、さらに
駆動モータと、
レッグレストアセンブリに接続され、前記駆動モータを動作させることにより後退位置とフル伸展位置との間で変位する第1及び第2パンタグラフリンクセットとを備え、
前記ギアハウジング上のフル後方位置に位置するとき、前記スライド部材は、前記ベース部材をリフト操作位置に配置することを特徴とする家具部材動力機構。
【請求項5】
請求項4に記載のリフト位置及び無重力操作位置の双方を形成する家具部材動力機構であって、前記駆動モータは前記ベース部材を前記リフト操作位置に回動する間は動作不能とされ、前記レッグレストアセンブリと前記第1及び第2パンタグラフリンクセットとが前記リフト操作位置において前記後退位置に保持されることを特徴とする家具部材動力機構。
【請求項6】
請求項4に記載のリフト位置及び無重力操作位置の双方を形成する家具部材動力機構であって、さらに
駆動ロッドと、
前記駆動ロッドに平行に延び、前記駆動ロッドをシート支持フレームの対向側面に接続する支持ロッド収容部材に対して前方または後方に摺動変位する支持ロッドとを備え、
前記駆動ロッドを前記駆動ロッドの中央長手方向軸を中心に回転させ、前記支持ロッドを前方に変位させることにより、前記第1及び第2パンタグラフリンクセットが完全に伸展することを特徴とする家具部材動力機構。
【請求項7】
請求項1に記載のリフト位置及び無重力操作位置の双方を形成する家具部材動力機構であって、前記第2トルクチューブは前記第1トルクチューブに対して略平行に延び、前記第1トルクチューブは前記第1トルクチューブの長手方向軸に対して回転可能であり、前記第2トルクチューブは固定されていることを特徴とする家具部材動力機構。
【請求項8】
請求項1に記載のリフト位置及び無重力操作位置の双方を形成する家具部材動力機構であって、前記位置決めモータの動作により前記スライド部材を摺動変位させることで、選択的に前記スライド部材を前方変位させて前記ベース部材を後方に回動させるか、または前記スライド部材を前記ギアハウジングに対して後方に変位させて前記ベース部材を前方向きにリフト位置まで回動させることを特徴とする家具部材動力機構。
【請求項9】
請求項1に記載のリフト位置及び無重力操作位置の双方を形成する家具部材動力機構であって、さらに背もたれ部材に回動可能に接続され、前記背もたれ部材を回動させるよう作用する背もたれ部材リンクセットを備え、前記第1トルクチューブは前記背もたれ部材リンクセットに接続され、前記第1トルクチューブが変位することで前記背もたれ部材が回動することを特徴とする家具部材動力機構。
【請求項10】
請求項1に記載のリフト位置及び無重力操作位置の双方を形成する家具部材動力機構であって、
駆動モータと、
レッグレストアセンブリに接続される第1及び第2パンタグラフリンクセットとを備え、
前記第1トルクチューブが変位することで前記家具部材のベース部材が回動し、前記第1トルクチューブが回転することで前記ベース部材に連結された背もたれ部材が回動し、
前記第1及び第2パンタグラフリンクセット及び前記レッグレストアセンブリは、前記駆動モータを動作させることのみにより後退位置とフル伸展位置との間で変位することを特徴とする家具部材動力機構。
【請求項11】
請求項10に記載のリフト位置及び無重力操作位置の双方を形成する家具部材動力機構
であって、さらに
前記ベース部材に接続され前記ベース部材を床面に支持し、第1及び第2フレームチューブを有する管状支持フレームと、
前記第1及び第2フレームチューブのそれぞれに独立に固定されるベース側壁とを有し、前記ベース側壁はそれぞれ第1または第2アームレスト部の一方の内アームレスト壁と前記第1または第2アームレスト部の外アームレスト壁との間に形成される空間に配置されることを特徴とする家具部材動力機構。
【請求項12】
請求項11に記載のリフト位置及び無重力操作位置の双方を形成する家具部材動力機構であって、さらに前記ベース側壁のそれぞれに接続され、前記アームレスト部を前記ベース部材に回動可能に支持し、ベース部材回動軸を形成する取付ピンを備えることを特徴とする家具部材動力機構。
【請求項13】
請求項10に記載のリフト位置及び無重力操作位置の双方を形成する家具部材動力機構において、前記スライド部材は前記ギアハウジング上の後方位置に位置するとき、前記ベース部材を、ベース部材回動軸に対して前方に回動させ、前記ベース部材の第1アームレスト面が床面に対して30度から40度の範囲の角度で延び、前記背もたれ部材が背もたれフル直立位置に完全に前方に回動するリフト操作位置を形成することを特徴とする家具部材動力機構。
【請求項14】
請求項13に記載のリフト位置及び無重力操作位置の双方を形成する家具部材動力機構において、前記背もたれ部材は前記第1トルクチューブに回動可能に連結され、前記スライド部材は、前記ギアハウジング上のフル前方位置に位置したとき、前記ベース部材を前記ベース部材回動軸に対して後方に回動させ、前記ベース部材の第2アームレスト面が前記床面に対して略平行に延び、前記背もたれ部材が背もたれフルリクライン位置に完全に後方に回動する無重力操作位置を形成することを特徴とする家具部材動力機構。
【請求項15】
請求項14に記載のリフト位置及び無重力操作位置の双方を形成する家具部材動力機構であって、前記位置決めモータは、前記レッグレストアセンブリの伸展または後退中は動作しないことを特徴とする家具部材動力機構。
【請求項16】
請求項14に記載のリフト位置及び無重力操作位置の双方を形成する家具部材動力機構であって、前記位置決めモータを動作させて前記ベース部材を前記リフト操作位置に回動する間は、前記駆動モータは動作不能とされ、前記レッグレストアセンブリは前記後退位置に保持されることを特徴とする家具部材動力機構。
【請求項17】
請求項1に記載のリフト位置及び無重力操作位置の双方を形成する家具部材動力機構であって、
駆動モータと、
レッグレストアセンブリに接続される第1及び第2パンタグラフリンクセットとを備え、前記第1及び第2パンタグラフリンクセット及び前記レッグレストアセンブリは、前記駆動モータを動作させることのみにより後退位置とフル伸展位置との間で変位することを
特徴とする家具部材動力機構。
【請求項18】
請求項17に記載のリフト位置及び無重力操作位置の双方を形成する家具部材動力機構であって、前記スライド部材が前方に移動するとき、前記ギアハウジングの延伸角度は、前記ギアハウジングの後方端が下方に回動するよう変化することを特徴とする家具部材動力機構。
【請求項19】
請求項17に記載のリフト位置及び無重力操作位置の双方を形成する家具部材動力機構であって、前記スライド部材が後方に移動するとき、前記ギアハウジングの延伸角度は、前記ギアハウジングの後方端が上方に回動するよう変化することを特徴とする家具部材動力機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2014年9月2日に出願されたアメリカ特許出願番号14/475,063の優先権を主張する。上記出願の開示事項の全体が本明細書に援用される。
【0002】
本願開示は、リフト位置および無重力位置を形成する動力機構を有する家具部材に関する。
【背景技術】
【0003】
本セクションは、本願開示事項に関連する背景情報を提供するが、これは必ずしも先行技術にはあたらない。
【0004】
リクライニングチェア、ソファ、ラブシート及びオットマンシートなどの家具部材は、一般的に人体を支持して、直立又は着座操作位置から前方に変位してリフト位置に変位させ、当該家具部材の着座者を起立位置に近いより高い位置に上昇させる構造フレームを備える。このリフト機構は動力付であり、当該家具部材の通常の直立位置から有効に起立できない着座者を補助する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このようなリフト移動を可能とする公知の機構では、全ての背もたれ部材の位置において壁の隙間を維持しつつ、無重力位置への人体の後方チルト運動を可能としない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本セクションは、開示事項の概略を示すものであり、その範囲全体又はその全ての特徴を包括的に開示するものではない。
【0007】
いくつかの側面によれば、リフト位置及び無重力操作位置の双方を形成する家具部材動力機構は第1トルクチューブを備える。第1及び第2接続リンクが第1トルクチューブに固定される。第1接続リンクは第1接続アームに回動可能に接続され、第2接続リンクは第2接続アームに回動可能に接続される。ギアハウジングには第1及び第2接続アームが回動可能に接続される。ギアハウジングに接続される位置決めモータが動作することで、ギアハウジングに連結されるスライド部材が変位する。スライド部材が動くことで第1及び第2接続アームが変位し、第1トルクチューブが変位し回転する。第1及び第2接続プレートがスライド部材に回転可能に接続される。第2トルクチューブの対向する端部は、家具部材のベース部の第1及び第2アームレスト部のそれぞれに固定される。第1及び第2接続プレートは第2トルクチューブにも接続され、スライド部材が変位することでベース部材が回動する。
【0008】
他の側面によれば、リフト位置及び無重力操作位置の双方を形成する家具部材動力機構は第1トルクチューブを備える。第1及び第2接続リンクが第1トルクチューブに固定される。第1接続リンクは第1接続アームに回動可能に接続され、第2接続リンクは第2接続アームに回動可能に接続される。ギアハウジングには第1及び第2接続アームが回動可能に接続される。位置決めモータがギアハウジングに接続される。位置決めモータを動作させることで、ギアハウジングに連結されるスライド部材が摺動変位する。スライド部材の摺動動作により、第1及び第2接続アームが変位し、第1トルクチューブが変位し回転する。第1トルクチューブが変位することで、家具部材のベース部が回動し、第1トルクチューブが回転して、ベース部に連結された背もたれ部材が回動する。駆動モータがレッグレストアセンブリに接続される第1及び第2パンタグラフリンクセットに連結される。第1及び第2パンタグラフリンクセットとレッグレストアセンブリとは、前記駆動モータの動作のみにより後退位置とフル伸展位置との間で変位する。
【0009】
さらに別の側面によればリフト位置及び無重力操作位置の双方を形成する家具部材動力機構は、ギアハウジングとギアハウジングに回動可能に接続される第1及び第2接続アームを備える。位置決めモータがギアハウジングに接続される。位置決めモータを動作させることで、ギアハウジングに摺動可能に連結されるスライド部材が変位する。スライド部材の摺動動作により、第1トルクチューブが変位し回転する。第1及び第2接続プレートがスライド部材に回動可能に接続される。第2トルクチューブの対向する端部は、家具部材のベース部の第1及び第2アームレスト部のそれぞれに固定される。第1及び第2接続プレートは第2トルクチューブにも接続され、スライド部材が変位することでベース部材の回動軸に対してベース部材が回動する。駆動モータがレッグレストアセンブリに接続される第1及び第2パンタグラフリンクセットに連結される。第1及び第2パンタグラフリンクセットとレッグレストアセンブリとは、前記駆動モータの動作のみにより後退位置とフル伸展位置との間で変位する。
【0010】
さらなる利用分野は、本願明細書に示される記載から明らかになるであろう。この概要における説明および特定の実施例は、説明のみを目的とするものであり、本開示の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
ここに示される図面は、選択された実施形態の説明のみを目的とするものであり、可能な全ての実施を示すものではなく、本願開示事項の範囲を限定することを意図するものでもない。
【
図1】本願開示の動力機構を有する家具部材の前方右斜視図。
【
図2】レッグレスト伸展位置にある
図1の家具部材の前方右斜視図。
【
図4】無重力リクライン位置にある
図1の家具部材の前方右斜視図。
【
図5】さらにレッグレスト伸展位置を示す
図4の家具部材の右側面図。
【
図6】さらに背もたれ部材フルリクライン位置を示す
図5の家具部材の前方右斜視図。
【
図7】さらにフルリフト位置への回動後の
図1の家具部材の右側面図。
【
図9】わかりやすくするためさらに部材を取り除き、レッグレスト伸展位置のレッグレストアセンブリを示す
図8の機構の前方右斜視図。
【
図11】レッグレスト伸展位置のレッグレストアセンブリを示す
図10の前方右斜視図。
【
図12】わかりやすくするため、さらに部品を取り除く形で変形された
図8の機構の前方右斜視図。
【
図13】わかりやすくするため、部品を取り除く形で変形された
図7のリフト位置にある家具部材の前方右斜視図。
【
図14】わかりやすくするため、部品を取り除く形で変形された
図6の背もたれ部材がフルリクライン位置にある家具部材の前方右斜視図。
【0012】
いくつかの図面を通じて、対応する参照番号は、対応する部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
添付の図面を参照して、例示的実施形態をより詳細に説明する。
【0014】
図1を参照すると、家具部材10はリクライニングチェアとして表されるが、この家具部材10は、リクライニングチェア、ソファ、ラブシート、オットマンシートないし類似の家具部材の構造の形を採っても良い。リクライニングチェアの実施形態での家具部材10は、支持フレーム14によって床などの表面上に支持されたベース部材12を備える。背もたれ部材16がベース部材12に回動可能に接続され、完全直立位置で示される。このベース部材12は、家具部材10の着座者の右又は左に配置された第1アームレスト部18と第2アームレスト部20とを含む左右側部品を備える。
【0015】
着座者の重量は、背もたれ部材16に対して、背もたれ部材を回動することでシート支持フレーム22をも変位するよう回動可能かつ変位可能に接続されるシート支持フレーム22上に支持される。レッグレストアセンブリ24がシート支持フレーム22に対して前方かつ下に配置される。このレッグレストアセンブリ24は、当業種で公知のレッグレストアセンブリと同様である。第1及び第2アームレスト部18、20の間に機構26が配置され、この機構26はベース部材12、背もたれ部材16及びレッグレストアセンブリ24を動力により変位させる。
【0016】
図2を参照すると、レッグレストアセンブリ24がフル伸展位置で示され、レッグレスト当接パネル32の第1パネル開口30を貫通して延出する第1パンタグラフリンクセット28を備える。レッグレスト当接パネル32は第1及び第2アームレスト部18、20に固定され、
図1に示されるレッグレストアセンブリフル後退位置においてレッグレストアセンブリと直接当接可能である。第2パンタグラフリンクセット34がレッグレスト当接パネル32の第2パネル開口36を貫通して延び、第1パンタグラフリンクセット28とともに機構26に接続され、機構26を操作することで変位する。
【0017】
図3及び
図1を参照すると、直立位置の家具部材10が示され、背もたれ部材16はフル前方ないし直立位置にある。加えて、第1及び第2調整可能脚部38、40が家具部材10の両側の支持フレーム14の下側に接続される。第1及び第2調整可能脚部38、40は直接床面42に当接し、床面42に対して家具部材10を水平にする。第1及び第2アームレスト部18、20(本図では第1アームレスト部18のみ図示)は、それぞれ、家具部材の直立位置で、床面42に対して略平行に配置される第1アームレスト面44を有する。第1アームレスト面44と交差する第2アームレスト面46は、家具部材直立位置において、角度αで延びる。いくつかの側面において、角度αは家具部材直立位置において、略20〜30度の角度をなす。この角度αの目的は、
図5に関する説明により明らかになるであろう。
【0018】
図4及び
図3を参照すると、ベース部材回動軸48を中心として、ベース部材回動方向「A」に後方に回動した後の家具部材10が示される。背もたれ部材16は、この時点ではそのフル前方ないし直立位置に保たれる。家具部材10は、フル後方回動位置にあり、第2アームレスト面46が床面42と略平行に延びる。レッグレストアセンブリ24はフル後退位置にあるが、家具部材10がフル後方回動位置にある時、レッグレストアセンブリ24はフル伸展位置に伸展されても良く、これが
図5を参照して説明される。
【0019】
図5及び
図4を参照すると、家具部材10がベース部材回動方向「A」に完全に回動した状態では、上述のように、第2アームレスト面46は床面42に対して略平行に延びる。その後にレッグレストアセンブリ24が(図示される)フル伸展位置に延びると、家具部材10の着座者の脚は、レッグレストアセンブリ24によって完全に支持される。
【0020】
図6及び
図5を参照すると、家具部材10がフル後方回動位置にあり、レッグレストアセンブリ24がフル伸展位置に延びた状態では、機構26を選択的に操作することで、背もたれ部材16がベース部材12に対して、家具部材10の着座者にとって後方である背もたれ部材回動方向「B」に回動する。背もたれ部材16は第1背もたれ部材リンクセット50と第2背もたれ部材リンクセット(本図では図示略)とによりシート支持フレーム22に連結される。第1背もたれ部材リンクセット50により、背もたれ部材16が後方に回動するにつれてシート支持フレーム22は前方に変位する。家具部材10の無重力位置は、背もたれ部材回動方向「B」の回動により背もたれ部材16が図示されるフルリクライニング位置に位置し、ベース部材12がベース部材回動方向「A」の回動によりフル後方回動位置に位置し、レッグレストアセンブリ24がフル伸展位置にあるときに実現される。この無重力位置では、着座者の心臓の高さが、フル伸展位置でのレッグレストアセンブリ24の高さと略水平または下方にある。
【0021】
図7及び
図1〜
図6を参照すると、レッグレストアセンブリ24がフル後退位置にあるとき、家具部材10は機構26の操作により、ベース部材12をベース部材回動軸48に対して前方回動円弧方向「C」に回動変位させることが可能である。前方回動円弧方向「C」の回動中、ベース部材12は、第1アームレスト面44が第1アームレスト面44と床面42との間のチェアリフト角度となる角度βとなるまで回動する。いくつかの側面において、角度βは、略30〜40度である。家具部材10のリフト位置では、着座者が家具部材10から起立して家具部材10から離れるように移動することが容易となる。家具部材10の他の動作状況及び位置と同様、機構26によりベース部材12は動力により変位して図示されるリフト位置に到達可能である。
【0022】
図8及び
図1を参照して、機構26ならびにベース部材12の多数の部品を以下に説明する。ベース部材12は、第2フレームチューブ54に略平行に延びる第1フレームチューブ52を含む金属チューブを用いて構成可能である。第1及び第2フレームチューブ52、54は、それぞれ第1及び第2アームレスト部18、20に対して平行に延びる。リアクロスチューブ56が第1及び第2フレームチューブ52、54の間に固定して接続され、およそ支持フレーム14の後方部に配置される。同様に(但し反対側に)、フロントクロスチューブ58が第1及び第2フレームチューブ52、54の間に固定して接続され、支持フレーム14の前方端部に配置される。第1及び第2調整可能脚部38、40は第1フレームチューブ52の下面または床に面する表面の対向する端部に調節可能に接続される。同様に、第1及び第2調整可能脚部38’、40’が第2フレームチューブ54の下面または床に面する表面の対向する端部に調節可能に接続される。
【0023】
例えば合板材製のベース側壁60が、第2フレームチューブ54に固定される。反対向きのベース側壁(わかりやすくするため本図では図示略)も第1フレームチューブ52に設けられる。ベース後壁62が、これらのベース側壁の間に固定して接続され、レッグレスト当接パネル32とともに機構26を囲む空間の対向する閉鎖部を形成する。図示されるベース側壁60などのベース側壁は、それぞれ第2アームレスト部20の内アームレスト壁64と第2アームレスト部20の外アームレスト壁66との間に形成される空間内に配置される。いくつかの側面によれば、内及び外アームレスト壁64、66も、合板材などの木材によって形成される。内及び外アームレスト壁64、66の間の空間にベース側壁60を配置することで、ベース部材12が
図7を参照して図示され説明されるフルリフト位置に回動した場合でも、ベース側面の少なくとも一部が機構26の防壁として機能する。
【0024】
第2背もたれ部材リンクセット68が背もたれ部材16の右手側に接続され、第1背もたれ部材リンクセット50の鏡像となる。第1及び第2背もたれ部材リンクセット50、68は、それぞれリアクロスチューブ56とフロントクロスチューブ58とに略平行に延びる第1トルクチューブ70に回動可能に接続される。第1トルクチューブ70は第1トルクチューブ70の長手方向軸に対して軸回転可能であり、第1トルクチューブ70を軸回転させることで、第1及び第2背もたれ部材リンクセット50、68が変位し、これにより背もたれ部材16が回動する。上述のように、第1及び第2背もたれ部材リンクセット50、68はそれぞれシート支持フレーム22にも接続され、これにより背もたれ部材16を回動させることで、家具部材10の着座者に対して略前方または後方にシート支持フレーム22が変位することになる。
【0025】
レッグレストアセンブリ24を動作させるため、直流駆動モータ72が支持フレーム14の前方端に設けられる。駆動モータ72を動作させることで駆動ロッド74の長手方向軸に対して駆動ロッド74が軸回転する。駆動ロッド74は、第1トルクチューブ70と略平行に延びる。第1及び第2支持アーム76a、76bが駆動ロッド74に回動可能に接続され、さらにベース部材12の前方端に配置され第1トルクチューブ70と略平行に延びる支持アーム76に接続される。第1及び第2パンタグラフリンクセット28、34は双方とも回転可能に駆動ロッド74と支持ロッド78のそれぞれに接続され、レッグレストアセンブリ24がフル収納位置またはフル伸展位置のいずれにある場合でも支持する機能を果たす。
【0026】
ベース部材12を動力により動かし、背もたれ部材を回動位置にし、ベース部材12をリフト位置にするため、ギアハウジング82に接続された位置決めモータ80がレッグレスト駆動モータ72の近傍に配置される。ギアハウジング82内部のウォームギアなどのギアアセンブリ(図示略)が位置決めモータ80を動作させることで回転する。スライド部材84がギアハウジング82に対して摺動可能に配置され、ギアハウジング82内部のギアアセンブリに接続される。ギアハウジング82内部のギアアセンブリをギアハウジング82の長手方向軸に対して回転させることで、スライド部材84がギアハウジング82に対して前方または後方に変位する。第1及び第2接続プレート86a、86bがスライド部材84に回動可能に接続され、第2トルクチューブ88に対して固定される。また、第2トルクチューブ88は、第1トルクチューブ70に対して略平行に延びる。第2トルクチューブ88の対向する端部は、第1及び第2アームレスト部18、20のそれぞれに固定される。スライド部材84をギアハウジング82に対して長手方向に変位させることで、
図4〜
図7を参照して説明したようにベース部材12がベース部材回動軸48に対して回動し、かつ以下に説明するように背もたれ部材16が回動する。
【0027】
第1及び第2接続プレート86a、86bに加え、スライド部材84は、スライド部材84の対向する側面に位置し回動可能に接続される第1接続アーム90と第2接続アーム92のそれぞれにも接続される。この第1及び第2接続アーム90、92は、それぞれ双方とも第1トルクチューブ70に接続される第1又は第2接続リンク94a、94bの一方に対し独立に回転可能に接続される。これにより、スライド部材84の直線変位は、第1トルクチューブ70に伝わり、第1トルクチューブ70を変位させて背もたれ部材16を回動させるための動力を提供する。
【0028】
図9及び
図8を参照すると、上述のように、第1及び第2パンタグラフリンクセット28、34の延出動作は駆動モータ72を動作させることによって達成される。第1及び第2パンタグラフリンクセット28、34が変位する間、支持ロッド78はシート支持フレーム22の対向する側面に接続される支持ロッド収容部材96に対して前方に摺動して変位する。駆動ロッド74をその中央長手方向軸を中心に回転し、支持ロッド78を前方に変位させることで、第1及び第2パンタグラフリンクセット28、34のリンク部材が完全に伸展する。位置決めモータ80はレッグレストアセンブリ24の伸展または後退時に動作せず、したがって、スライド部材84の変位はレッグレストアセンブリ24の伸展または後退には必要とされない。駆動ロッド74を軸回転することで、支持ロッド78に接続された第1及び第2モーションリンク98a、98bのそれぞれが前方に回動し、第1及び第2モーションリンク98a、98bが回動することで支持ロッド78が前方に変位する。
【0029】
図10と
図1及び
図8〜
図9とを参照すると、図示される背もたれフル後方回動位置とするためには、レッグレスト駆動モータ72は動作せず、位置決めモータ80が電動動作する。位置決めモータ80を動作させることで、スライド部材84が前方に摺動変位する。第1及び第2接続プレート86a、86bがスライド部材84と第2トルクチューブ88との双方に接続されることから、スライド部材84を前方に摺動動作させることで第2トルクチューブ88が直接前方に変位し、第1及び第2接続アーム90、92のそれぞれに接続されることで第1トルクチューブ70も前方に牽引される。スライド部材84が前方に移動するにつれ、ギアハウジング82の後方端が
図8に示される設計位置に対して下方に回動するよう、ギアハウジング82の延伸角度が変化する。ギアハウジング82の下方向への変位により、ベース部材12の後端が下方向に回動する。この動作中に第1トルクチューブ70を前方に変位させることで、背もたれ部材16がベース部材12とともに変位する。家具部材10が(図示される)シート部材フル後方回動位置に達した時、第1及び第2アームレスト部18、20(本図では第2アームレスト部20のみ図示)の前方下隅99は、
図1に示されるシート直立位置での対応する位置に対して、双方とも前方かつ上方に変位する。
【0030】
図11及び
図2および
図8〜
図10を参照すると、上述のように、家具部材10が家具部材フル後方回動位置に位置するとき、第1及び第2パンタグラフリンクセット28、34を含むレッグレストアセンブリ24は、駆動モータ72を動作させることでそのフル伸展位置に伸展可能である。この駆動モータ72の動作は、位置決めモータ80の一切の動作と独立であり、したがってレッグレストアセンブリ24の完全独立動作が可能となる。
【0031】
図12及び
図8を参照すると、位置決めモータ80を前方ないし後方動作方向に動作させることで、スライド部材84はギアハウジング82に対して前方ないし後方のいずれかに摺動可能である。第1及び第2接続アーム90、92のそれぞれの変位を許容するため、これらの部材はスライド部材接続シャフト100を用いてスライド部材84に回動可能に接続される。スライド部材84の軸方向摺動動作は、したがってスライド部材接続シャフト100と第1及び第2接続アーム90、92のそれぞれとが回動可能に接続されることによって実現され、これによりスライド部材84が軸方向に変位する際に、ギアハウジング82が上方及び下方に回動可能となる。
【0032】
図13及び
図12を参照すると、ベース部材12を図示されるフルリフト位置に変位するため、位置決めモータ80を動作させることで、ギアドライブアセンブリ102内のギアアセンブリ(図示略)が回転し、これによりギアハウジング82上のスライド部材84が軸方向に後方および上方変位方向「D」に変位する。位置決めモータ80とギアドライブアセンブリ102とは、ともにギアドライブアセンブリ102から延び、クレビスピン108を用いてU字ブラケット106に回転可能に接続されるクレビス104によってフロントクロスチューブ58に回動可能に接続される。このU字ブラケット106は、クレビスピン108がモータ回転軸110となるようにフロントクロスチューブ58に固定される。スライド部材84の後方への変位、及びこれに伴う第1及び第2接続アーム90、92の後方への変位により、シート支持フレーム22とベース部材12とが、ベース部材回動軸48に対して前方又はリフト回転方向「C」に回動する。
【0033】
駆動モータ72は、シャフトハウジング114に接続される内部ギアアセンブリ(図示略)を有する駆動モータギアドライブアセンブリ112に接続される。駆動モータ72と駆動モータギアドライブアセンブリ112内のギアアセンブリを動作させることで、シャフトハウジング114に対して軸方向変位シャフト116が軸方向に延伸及び後退する。軸方向変位シャフト116を延伸及び後退させることで、
図8を参照して示されるように駆動ロッド74が回転する。ベース部材12を回動させるため、取付ピン118がベース部材回動軸48となるように、取付ピン118がシート支持フレーム22のそれぞれの面に接続される。
【0034】
図14及び
図6を参照すると、ベース部材12が図示される家具部材の最大回動位置に達すると、位置決めモータ80をさらに動作させることでスライド部材84がギアハウジング82に対して前方方向「E」にさらに摺動して延出する。スライド部材84が変位すると、第1トルクチューブ70がさらに前方に変位するとともに、シート支持フレーム22も前方に変位する。第1トルクチューブ70が前方に変位するにつれ、上述のように第1トルクチューブ70が第1及び第2背もたれ部材リンクセット50、68のそれぞれにリンク接続されることにより、背もたれ部材16が背もたれ部材回動方向「B」に、フルリクライン位置まで回動する。
【0035】
例示的実施形態を、本願開示を十全なものとし、当業者にその範囲を十分に伝えるよう示している。本願開示の実施形態の十全な理解を提供するため、具体的な構成要素、素子及び方法の例など、数多くの具体的詳細を記載している。当業者にとって、具体的な詳細を用いる必要はなく、例示的実施形態は多くの異なる形態で実装可能であり、また本願開示を限定するものと解釈すべきでないことは明らかであろう。いくつかの例示的実施形態において、公知の方法、公知の素子構造及び公知の技術は、詳細に記載されない。
【0036】
本明細書中で用いられる用語は、具体的な例示的実施形態を記述することのみを目的とするものであり、限定的であることを意図しない。本明細書で使用される際、単数形は、明示されていない限り複数形も含むことを意図する。用語「備える」、「備えて」、「含んで」および「有して」は包括的であり、述べられた特徴、整数、工程、操作、要素、および/または部品の存在を特定する。しかし、1以上の特徴、整数、工程、操作、要素、部品および/または群の存在または追加を排除するものではない。本明細書で記載される方法工程、プロセスおよび操作は、実行順序として詳細に特定されない限り、必ずしも記載または図示された特定の順序で実行を要するものと解釈されるべきではない。追加工程または代替工程が用いられてもよいことも理解されるであろう。
【0037】
要素または層が、他の要素または層「上に」ある、「に係合」、「に接続」または「に連結」すると記される場合、この要素または層は直接に他の要素または層上にあるか、係合、接続、または連結してもよい。または、介在要素または層があってもよい。一方、要素が、他の要素または層の「直接上に」ある、「に直接係合」、「に直接接続」または「に直接連結」すると記される場合、介在要素または層は存在しなくてよい。要素同士の関係を説明するのに使用される他の文言(例えば、「の間に」と「直接の間に」、「隣接して」と「直接隣接して」など)は、同様に解釈されるべきである。本明細書で用いられる際、用語「および/または」は1以上の関連づけられたリスト項目の全ての組み合わせを含む。
【0038】
第一、第二、第三等の用語が各種要素、部品、領域、層および/または切断面を説明するために本明細書で使用されるが、これらの要素、部品、領域、層および/または切断面はこれらの用語により限定されるものではない。これらの用語は、ある要素、部品、領域、層および/または切断面を他の領域、層または切断面から区別するためにのみ使用されてもよい。本明細書で使用される際の「第一」「第二」のような用語および他の数に関する用語は、文脈で明示されない限り、配列または順序を意味しない。したがって、下記で論じられる第一要素、部品、領域、層および/または切断面は、実施例の教示から逸脱することなく第二要素、部品、領域、層および/または切断面と称されることも可能である。
【0039】
「インナー」、「アウター」、「真下に」、「下に」、「下側の」「上に」、「上部に」等のような空間的に相対的な用語が、図示する際、ある要素または特徴と他の要素または特徴との関係の記載を容易にするために、本明細書で使われてもよい。空間的に相対的な用語は、図示される向きに加えて、使用時または操作時における装置の異なる向きを包含するとしてもよい。例えば、図の装置がひっくり返ると、他の要素または特徴の「下に」または「真下に」と記載される要素は、他の要素または特徴の「上に」置かれるだろう。このように、例示の用語「下に」は上と下両方への向きを包含することが可能である。装置は他方向に向かされてもよい(90度回転または他の向きに)。本明細書で使用される空間関連記述子は適宜解釈される。
【0040】
実施形態に関する上記記載は、図解および説明の目的で提供される。網羅的または開示事項を限定することを意図しない。特定の実施形態の個別の要素または特徴は、一般にその特定の実施形態に限定されないが、適用可能な場合には、詳細に図示または説明されないとしても選択された実施形態で交換可能であり、使用可能である。同じものが多くの点で変更されてもよい。そのような変更は本開示事項からの逸脱とはみなされない。そのような修正は全て本開示事項の範囲内に含まれることが意図される。