特許第6419951号(P6419951)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6419951
(24)【登録日】2018年10月19日
(45)【発行日】2018年11月7日
(54)【発明の名称】活性化プラットホーム
(51)【国際特許分類】
   A63B 23/00 20060101AFI20181029BHJP
   A63B 22/16 20060101ALI20181029BHJP
   A47C 3/029 20060101ALI20181029BHJP
【FI】
   A63B23/00 F
   A63B22/16
   A47C3/029
【請求項の数】6
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-514245(P2017-514245)
(86)(22)【出願日】2014年5月23日
(65)【公表番号】特表2017-519609(P2017-519609A)
(43)【公表日】2017年7月20日
(86)【国際出願番号】NO2014050083
(87)【国際公開番号】WO2015178776
(87)【国際公開日】20151126
【審査請求日】2017年5月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】512181330
【氏名又は名称】ハンス クリスチヤン メングシヨエル
(74)【代理人】
【識別番号】100127579
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】ハンス クリスチヤン メングシヨエル
【審査官】 吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭49−050214(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0175414(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0038122(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0306831(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0205924(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0164633(US,A1)
【文献】 米国特許第03312437(US,A)
【文献】 欧州特許出願公開第00761136(EP,A1)
【文献】 独国特許出願公開第04424932(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 23/00
A63B 22/16
A47C 3/029
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性化プラットホームであって、
前記活性化プラットホームが細長い支持プレート(5)と椅子を備え、
前記活性化プラットホームが立つための領域と着座するための領域が組み合わされたプラットホームを形成し、 前記支持プレートが立つための領域(6)と着座のための領域(7)とを含み、前記プラットホームが前記着座のための領域(7)に取り付けられる前記椅子をさらに含み、前記椅子が、支持装置(2)と前記支持装置(2)に取り付けられるシート(3)とを備え、
前記支持プレート(5)が、円筒軸を有する円筒状の湾曲した下面を有し、前記円筒軸に沿って延長され、前記椅子が、前記円筒軸の長手方向に対して垂直縦方向に取り付けられ、
前記支持プレートの前記下面が、使用者の臀部の高さに対応する半径になるように湾曲され、
前記臀部の高さが800〜1200mmであることを特徴とする、活性化プラットホーム。
【請求項2】
前記支持プレート(5)が、湾曲したプレートである、請求項1に記載の活性化プラットホーム。
【請求項3】
前記支持プレート(5)が、前記湾曲を得るように形作られる前記下面上に複数の湾曲部材を備える平坦プレートである、請求項1に記載の活性化プラットホーム。
【請求項4】
前記支持プレートの前記下面が、1000mmの半径になるように湾曲される、請求項1に記載の活性化プラットホーム。
【請求項5】
前記支持プレート(5)が、車輪付きドーリ上に取り付けられ、前記ドーリが、プレートまたはフレーム(8)と、複数のキャスタ(9)とを含み、前記支持プレート(5)が、前記フレームまたはプレート上に弾性的に取り付けられる、請求項1〜4の1つに記載の活性化プラットホーム。
【請求項6】
前記シート(3)が、サドル形状のシートである、請求項1〜5の1つに記載の活性化プラットホーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性化プラットホーム(activating platform)に関する。
【背景技術】
【0002】
背中の悩みを経験する人が増えてきている。その1つの理由としては、人々が、車または公共交通機関、オフィスで従来の椅子に座って日中の大半を過ごして生活し、夜には家でリクライニングチェア(recliner)に座ってテレビを見ながら生活しているからだと考えられる。この活発でないライフスタイルによって、脊柱を支える筋肉が刺激をあまり受けなくなりサイズが減少してしまう。日常的にトレーニングをしている人でも、しばしば、コア筋肉(core muscle)と呼ばれる筋肉は、あまり刺激されない。コア筋肉は、1日の身体活動中に体を支えるためのものである。したがって、コア筋肉は、体を動かすとき、自動的に背中を安定させる役割を果たす。しかし、1週間に何晩かのトレーニングでは、コア筋肉を維持するのに十分でない。現代のライフスタイルが原因で、しばしば、これらの筋肉は、もはや自動的に安定させる動作が本来のように機能しないほど弱くなっている。その結果、椎間円板(disc)が滑動し筋肉が引っ張られるので痛みが生じる。
【0003】
コア筋肉があまり刺激されないことによる他の影響は、バランスを保つ能力が弱くなることである。このことは、特に、ローラ椅子(roller chair)または他の補助的なものに頼るようになった高齢者において、しばしば、倒れて負傷することから見て取れる。バランスを失うことは、多くの高齢者にとって問題である。その一部が年齢による結果であるとしても、この影響は、主に、ライフスタイル、すなわち、運動不足や不適当な椅子で過ごす時間によって引き起こされているとますます信じられるようになってきた。
【0004】
本発明者は、一般的な椅子がこれらの問題の1つの原因であると突き止め、1970年代から、現代のライフスタイルに適したより良い椅子の開発を試みてきた。この作業の最初の結果は、いわゆる「Balans(登録商標)椅子」であった。この椅子の1つのバージョンは、ノルウェー国特許145973に記載されている。この椅子は、前方に傾いた平坦なシートと、前記シートの前に取り付けられた脚サポートとを含む。そうした椅子に座っている人は、背中をまっすぐのばし、体がその重心を通る軸に沿ってバランスを取る姿勢を得ることになる。この姿勢は、人が馬に乗っている状態と類似しており、または、脚を下で折り重ねて床に座る子供により実践されるのをよく見る姿勢と類似している。このバランスは、立っているとき、歩いているとき、または走っているときに自然に生じ、そして、座っているときも、この椅子によって、使用者はそうしたバランスを得ることができる。しかし、この椅子にはいくつかの欠点があり、特に、膝に大きな圧力が掛かり過ぎるという使用者の不満があった。したがって、本発明者は、ノルウェー国特許320859に開示される改良版を開発した。この椅子は、サドル・シートと、脚サポートとを含み、前記シートと前記脚サポートとの間の距離は調節することができる。前記サドル・シートの設計は、ノルウェー国特許328285において後に改良された。
【0005】
近年、高さを電気的に調節することができるテーブルを作業場所に設ける動きがある。したがって、作業者は、テーブルの上面を持ち上げ、立った姿勢で作業をすることができる。この立った姿勢に疲れたら、使用者は、前記テーブルを下げ、椅子に座って作業を継続することができる。しかし、立った姿勢によりすぐ疲れてしまう1つの原因は、背中が、上述したように、コア筋肉によって適切に支えられていないことにある。さらに、人は、平坦な床ではなく、不均整な地面を動くようにできているので、平坦で硬い床は足には過酷である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、使用者が脊柱を支える筋肉をトレーニングして維持するのを助け、さらに、使用者の重心における協調運動により使用者の体のバランスを取る能力をトレーニングするのを助けることができる、活性化プラットホームを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
これは添付の特許請求の範囲において請求されるような活性化プラットホームにおいて達成される。活性化プラットホームは、下に湾曲した支持プレートを含む。前記支持プレートは、立つための領域と着座のための領域に区分され、前記着座のための領域は、前記プレート上に取り付けられる椅子を含む。前記支持プレートの湾曲した形状は、プラットホームに立つまたは着座している使用者のバランスを刺激するように意図されており、すなわち、使用者は、バランスを保つために筋肉を活発に使用しなければならない。自然に、使用者は、中央の位置を中心に小さい角度内で揺動し、バランスを保つために臀部および下背部を曲げる(flex)ようになる。体のバランスを取り戻して維持するための修正をするような筋肉のこれらの前後運動は、コア筋肉のトレーニングになる。
【0008】
次に、添付の図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の斜視図である。
図2a】使用者が本発明の活性化プラットホームに立っている図である。
図2b】使用者が本発明の活性化プラットホームに立っている図である。
図3】人が椅子に着座している、本発明のバランス・プラットホームの側面図である。
図4】3つの異なる位置にある、バランス・プラットホームの正面図である。
図5】車輪付きのドーリ(dolly)上に取り付けている本発明のバランス・プラットホームの一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面は、若干湾曲した支持プレート5とガス・リフト・シリンダ(gas lift cylinder)を有する前記プレートに取り付けられた取り付け装置2とサドル・シート3を備える、本発明の活性化プラットホームの一実施形態を示す。前記支持プレートは、使用者が前記プラットホーム上の前記シートの前で起立し、立っていることができるほどの広さに設計される。したがって、前記プラットホームは、立つための領域または部分6と、着座するための領域7すなわち椅子があるプラットホームの部分に区分される、立つためと着座するための組み合わせプラットホームを形成する。前記プラットホームには、作業の一部または場合によってはその主要な部分を立って行い、それでもときどき着座したいという人のための活性化プラットホームとしての用途があり得る。前記プレートは、人が疲労を感じることなく丸1日の作業の間、その上にいることを可能にする湾曲の程度(curvature)を有するように設計される。これは、短時間だけの使用を目的とする専用のトレーニング・プラットホームとは別のものである。
【0011】
前記シートは、目的に適した任意の形状のものであってよいが、例えば本発明者に帰属するノルウェー国特許328285に開示されるシートである、サドル形の種類のものが好ましい。しかし、図1に示される本発明の実施形態は、長さはノルウェー国特許328285にあるシートほど長くないが、幅は同じまたは類似である、異なるサドル形状のシートを用いている。シートの形状が浅いので、前記支持プラットホーム上における使用者のための空間がより広くなる。
【0012】
図1では、前記シート3は、前記支持プレート5の揺動方向において90°の着座方向に取り付けられている。
【0013】
図2aは、使用者が、調節可能なコンピュータ・テーブルで作業をしながら、活性化プラットホームに立っているところを示している。使用者は、前記椅子の前に立っている。
【0014】
図2bでは、使用者は、前記プラットホーム上で前記椅子の前に立っている。前記シート3は、前方に傾けられており、ここでは脚サポートとしての役目を果たしている。
【0015】
図3および図4では、使用者は、馬の背に乗るような感じで前記椅子に着座している。前記椅子によって、使用者は、頭から足まで体の中心を通る線または軸に沿って体のバランスが取れる快適な着座姿勢を見つけることが可能になる。バランス線(balance line)は、図面では線13によって示されている。このバランスが取れた着座姿勢は、体がバランスを保つのにその筋肉を使用しなければならず、したがって前記筋肉の一定のトレーニングになるので、有益である。前記支持プレート5の目的は、このバランスを刺激することである。体は、バランスが失われ、臀部および腰部を曲げることによってバランスを取り戻さなければならない。体は、揺動し始め、それによって脊柱を支える背中および腹部の筋肉が鍛えられる。これは、図3に示されており、前記椅子に着座している使用者が図示されている。中央の位置では、使用者は、ともに直線である線13および背景の太い棒によって図示されるように、バランスが取れている。最も左の位置では、使用者は、左に向かって前記椅子を揺動させ、下背部を曲げることでバランスを取り戻そうとする。これは、やはりまだ垂直である、線13によって図示される。最も右の位置では、使用者は、右に向かって揺動し、それによって、バランスが取れていない状態が再び補完される。
【0016】
所望の刺激的な(provocative)効果を得るために、前記支持プレート5は、床の方に向かう円筒状のアーチ形接触面を形成しなければならない。湾曲の程度は、使用者の臀部の高さに対応する半径と等しくなければならない。臀部の高さは、もちろん、使用者の背丈によって決まるが、大人では、800〜1200mmと仮定することができる。したがって、半径は、約1000mmが好ましく、これは平均的な使用者に適合する。使用者は、立つと、レオナルドの有名な画像に似た姿勢に近づき、足は直角に前記プレートに接触し、ふくらはぎと膝関節は前記プレートに対して垂直になる。しかし、臀部の高さは、古典美術の理論をここでも参照すると、ミケランジェロによって見いだされたように、突き出された臀部の高さでなければならない。可能な揺動範囲も(水平方向に、臀部で測定して)約+−50mmに制限され、それによって体が揺動運動を操ることができる範囲から外れることが回避され得る。揺動範囲を制限するように、前記プレートの中央領域には湾曲部(curvature)が確保され、その領域の外には扁平部分がある。あるいは、前記プレートの両端の下面に、ストッパが取り付けられてもよい。
【0017】
前記プレートは、合板、プラスチックまたは金属で作製され得る。プラスチック材料は、繊維で強化されてよい。前記支持プレートの1つの機能は、使用者が地面/床に足を置けないようにすることである。足を地面に置いた状態では、体は、もはや所望の最適なやり方でバランスを取ろうとしなくなる。この理由のため、従来のオープン・ランナー(open runner)は避けられる。
【0018】
前記プレートは、湾曲したプレートとして、またはランナーを有する平坦プレートとして設計され得る。
【0019】
図5は、前記椅子が車輪付きのプラットホームまたはドーリ6上で支持され得る方法を示している。前記ドーリは、キャスタ9が付いたフレームまたはプレート8を含む。前記支持プレート5は、前記プレートの下に配置されるばねシステム(図示せず)によって前記ドーリに固定される。前記ばねシステムは、古風な「アメリカの」揺り椅子で使用されるシステム、またはより現代的なねじりばねシステムに類似していてよい。
【0020】
本発明のポイントは、使用者が、すべての姿勢において、たとえ着座していても、前記支持プレート上に足を置かなければならず、使用者が足を床に置くことができる従来の揺り椅子とは異なるということである。この椅子と、よくある揺り椅子との違いを理解することが重要である。揺り椅子では、体は、バランスが取れていないが、背もたれに寄りかかっている。椅子と体のシステムはバランスを取ることができているが、体は、バランスが取れていない状態で寄りかかっており、椅子によって動かされる。揺り椅子のランナーは、使用者が後ろに傾いた安定した姿勢を見つけることができるような形状になっている。したがって、体は、不活発にされ、筋肉は活動しない。理論上は、自分の重心でバランスが取られるか、バランスが取れていない姿勢のいずれかである、2つの座り方がある。本発明の椅子は、中央の位置を中心に小さな範囲内で動くように設計される。したがって、前記支持プレートは、対称的な形状になっている。
図1
図2a
図2b
図3
図4
図5