特許第6419989号(P6419989)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6419989アクティブスタンドバイモードを有する電力変換器システム及びそれを制御する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6419989
(24)【登録日】2018年10月19日
(45)【発行日】2018年11月7日
(54)【発明の名称】アクティブスタンドバイモードを有する電力変換器システム及びそれを制御する方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20181029BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20181029BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20181029BHJP
【FI】
   H02M7/48 L
   H02M7/48 R
   H02J3/32
   H02J3/38 110
   H02J3/38 120
   H02J3/38 130
   H02J3/38 160
   H02J3/38 170
   H02J3/38 180
【請求項の数】5
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2017-546896(P2017-546896)
(86)(22)【出願日】2016年6月29日
(65)【公表番号】特表2018-519774(P2018-519774A)
(43)【公表日】2018年7月19日
(86)【国際出願番号】US2016040004
(87)【国際公開番号】WO2017004146
(87)【国際公開日】20170105
【審査請求日】2018年3月8日
(31)【優先権主張番号】62/188,282
(32)【優先日】2015年7月2日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517306721
【氏名又は名称】ダイナパワー カンパニー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【弁理士】
【氏名又は名称】江上 達夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(72)【発明者】
【氏名】ソマニ,アパーバ
(72)【発明者】
【氏名】パロンビニ,ジョン,シー.
【審査官】 高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】 特表2015−509355(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0368042(US,A1)
【文献】 特表2014−527791(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0300196(US,A1)
【文献】 特開2015−015789(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/076906(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/42 − 7/98
H02J 3/00 − 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクティブモード及びアクティブスタンドバイモードを少なくとも含む複数の動作モードを有する電力システムであって、
電力供給を所望の出力に適合させるように構成された電力変換器と、
前記電力変換器を前記アクティブモード及び前記アクティブスタンドバイモードで制御する制御器と、
少なくとも一の電源と前記電力変換器との間に連結された電源側スイッチと、
前記少なくとも一の電源とグリッドとの間に連結されたグリッド側スイッチと、
を備え、
前記電力変換器は、前記電力変換器がゲーティング状態となるように当該電力システムが前記アクティブモードである際に、ゲート信号を受信する複数の半導体スイッチを有し、
前記制御器は、当該電力システムが前記グリッドと同期される間に、前記電力変換器が非ゲーティング状態である前記アクティブスタンドバイモードに進入すべきかどうかを判断するように構成され、且つ、電力指令が不感帯内にある場合で当該電力システムが前記アクティブスタンドバイモードに進入すべきであると判断されると、当該電力システムが前記アクティブスタンドバイモードとなるように前記電力変換器を非ゲーティング状態に制御するように構成されており、
前記電源側スイッチと前記グリッド側スイッチは、前記アクティブモード及び前記アクティブスタンドバイモードの両モードにおいて閉じられ、
前記電力変換器は、前記少なくとも一の電源と前記グリッドとの間に連結された電力インバータであり、
前記制御器は、前記電力インバータを初期化するように更に構成されており、
前記電力変換器を初期化するように構成された前記制御器は、前記少なくとも一の電源からDCバスを充電するように構成され、且つ、前記電源側スイッチを閉じるように構成され、且つ、前記電力変換器を前記グリッドと同期させるように構成され、且つ、前記電力変換器を前記ゲーティング状態にさせるように構成され、且つ、前記電力変換器と前記グリッドとの間に連結された前記グリッド側スイッチを閉じることにより、当該電力システムをグリッド・タイモードとするように構成され、且つ、アクティブスタンドバイモードを初期化してOFFとするように構成されている
ことを特徴とする電力システム。
【請求項2】
アクティブモード及びアクティブスタンドバイモードを少なくとも含む複数の動作モードを有する電力システムであって、
電力供給を所望の出力に適合させるように構成された電力変換器と、
該電力変換器を前記アクティブモード及び前記アクティブスタンドバイモードで制御する制御器と、
を備え、
前記電力変換器は、前記電力変換器がゲーティング状態となるように当該電力システムが前記アクティブモードである際に、ゲート信号を受信する複数の半導体スイッチを有し、
前記制御器は、当該電力システムがグリッドと同期される間に、前記電力変換器が非ゲーティング状態である前記アクティブスタンドバイモードに進入すべきかどうかを判断するように構成され、且つ、電力指令が不感帯内にある場合で当該電力システムが前記アクティブスタンドバイモードに進入すべきであると判断されると、当該電力システムが前記アクティブスタンドバイモードとなるように前記電力変換器を非ゲーティング状態に制御するように構成されており、
当該電力システムが前記アクティブスタンドバイモードに進入すべきかどうかを判断するように構成された前記制御器は、前記電力指令が正であるか又は負であるかを判断することにより、当該電力システムが充電状態又は放電状態であるかどうかを判断するように構成され、且つ、当該電力システムが前記充電状態であると判断された場合には前記電力指令を第1所定閾値と比較し、前記電力指令が前記第1所定閾値よりも高いと判断された場合には当該電力システムはアイドル状態であり前記アクティブスタンドバイモードに進入すべきであると判断するように構成され、且つ、当該電力システムが前記放電状態であると判断された場合には前記電力指令を第2所定閾値と比較し、前記電力指令が前記第2所定閾値よりも低いと判断された場合には当該電力システムは前記アイドル状態であり前記アクティブスタンドバイモードに進入すべきであると判断するように構成されている
ことを特徴とする電力システム。
【請求項3】
前記第1所定閾値は第1上限閾値と第1下限閾値とを含み、第2所定閾値は第2上限閾値と第2下限閾値とを含み、
当該電力システムが前記充電状態であると判断される際には、前記アクティブスタンドバイモードに進入するかどうかを判断するために前記電力指令は前記第1下限閾値と比較され、前記アクティブモードに進入するかどうかを判断するために前記電力指令は前記第1上限閾値と比較され、
当該電力システムが前記放電状態であると判断される際には、前記アクティブスタンドバイモードに進入するかどうかを判断するために前記電力指令は前記第2下限閾値と比較され、前記アクティブモードに進入するかどうかを判断するために前記電力指令は前記第2上限閾値と比較される
ことを特徴とする請求項2に記載の電力システム。
【請求項4】
電力変換器がグリッドと同期されておりゲーティング状態であるアクティブモードと、前記電力変換器が前記グリッドと同期されているがゲーティング状態ではないアクティブスタンドバイモードとを少なくとも含む複数の動作モードを有する電力システムを制御する方法であって、
電力指令を所定閾値と比較し、比較結果に基づき前記電力システムが前記アクティブスタンドバイモードに進入すべきかを判断する工程と、
前記電力システムが前記アクティブスタンドバイモードに進入すべきであると判断された場合に、非ゲーティング状態となるように前記電力変換器を制御する工程と、
を備え、
前記電力指令を前記所定閾値と比較し、前記比較結果に基づき前記電力システムが前記アクティブスタンドバイモードに進入すべきかを判断する工程は、
前記電力指令が正であるか又は負であるかを判断することにより、前記電力システムが充電状態又は放電状態であるかどうかを判断する工程と、
前記電力システムが前記充電状態であると判断された場合には前記電力指令を第1所定閾値と比較し、前記電力指令が前記第1所定閾値よりも高いと判断された場合には前記電力システムはアイドル状態であり前記アクティブスタンドバイモードに進入すべきであると判断する工程と、
前記電力システムが前記放電状態であると判断された場合には前記電力指令を第2所定閾値と比較し、前記電力指令が前記第2所定閾値よりも低いと判断された場合には前記電力システムは前記アイドル状態であり前記アクティブスタンドバイモードに進入すべきであると判断する工程と、
を含む
ことを特徴とする方法。
【請求項5】
アクティブモード及びアクティブスタンドバイモードを少なくとも含む複数の動作モードで動作する電力インバータシステムであって、
電源とグリッドとの間で電力変換するための電力インバータと、
前記電力インバータを前記アクティブモード及び前記アクティブスタンドバイモードで制御する制御器と、
を備え、
前記電力インバータは、前記アクティブモードでの動作時に、前記電力インバータがゲーティング状態となるようにゲート信号を受信する複数の半導体スイッチを有し、
前記制御器は、前記電力インバータを前記グリッドと同期させるように構成され、且つ、前記複数の半導体スイッチが前記ゲート信号を受信するように、前記アクティブモードで非ゲーティング状態とするために前記電力インバータを制御するように構成され、且つ、前記電力インバータが非ゲーティング状態である場合に、前記電力インバータが前記アクティブスタンドバイモードに進入すべきかどうかを判断するように構成され、且つ、前記アクティブスタンドバイモードである場合に、前記非ゲーティング状態とするために前記電力インバータを制御するように構成されており、
前記電力インバータが前記アクティブスタンドバイモードに進入すべきかどうかを判断するように構成された前記制御器は、電力指令が正であるか又は負であるかを判断するように構成され、且つ、前記電力指令が負であると判断された場合には前記電力指令を第1所定閾値と比較し、前記電力指令が前記第1所定閾値よりも高いと判断された場合には前記電力インバータは前記アクティブスタンドバイモードに進入すべきであると判断するように構成され、且つ、前記電力指令が正であると判断された場合には前記電力指令を第2所定閾値と比較し、前記電力指令が前記第2所定閾値よりも低いと判断された場合には前記電力インバータは前記アクティブスタンドバイモードに進入すべきであると判断するように構成されている
ことを特徴とする電力インバータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、米国特許法第119条(e)の下で、参照することにより本明細書に組み込まれる2015年7月2日に出願された米国特許仮出願番号第62/188,282号の出願日の利益を主張する。
【0002】
本発明は、一般的には、電源及びグリッド間の電力変換用電力変換器に関しており、より詳細には、アクティブスタンドバイモードを含む複数の動作モードを有する電力変換器と、それを制御する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
電力システムは、グリッド(例えば、局所的負荷及び/又はユーティリティグリッドを有するマイクログリッド)に電力を供給するために、複数の分散型電源(例えば、分散型発電機、バッテリーバンク)、及び/又は風力タービン又はソーラーパネル等の再生可能資源を含んでよい。電力システムは、電源とグリッドとの間の電力を変換する電力インバータ等の電力変換器を含んでよい。このような電力変換は、AC/DC、DC/DC、AC/AC及びDC/ACを含んでよい。
【0004】
マイクログリッドシステムは、様々な連系分散型エネルギー資源(例えば、発電機や電力貯蔵装置)や負荷を含んでよい。マイクログリッドシステムは、遮断器等のスイッチ及び/又は接触器を介して、主要ユーティリティグリッドに連結されてよい。マイクログリッドシステムが主要ユーティリティグリッドに接続される場合には、主要ユーティリティグリッドは、マイクログリッドシステムの局所的負荷に電力を供給してよい。主要ユーティリティグリッド自体が局所的負荷に電力を供給してもよく、又は主要ユーティリティグリッドがマイクログリッドの電源と併用されて局所的負荷に電力を供給してもよい。
【0005】
ハードウェア及びソフトウェアシステムを備える制御器は、マイクログリッドシステムを制御管理するために採用されてよい。更に、制御器は、スイッチのON/OFF状態を制御可能であって、それに応じてマイクログリッドシステムは、主要グリッドに対して接続又は切断されてよい。マイクログリッドシステムの系統接続動作は、通常、「グリッド・タイ」モードと称され、系統切断動作は、通常、「単独運転」又は「独立」モードと称される。グリッド・タイモードのマイクログリッドシステムは、主要グリッドから遮断可能であり、停電等の異常な動作条件が主要ユーティリティグリッドで発生した場合に単独運転モードに移行可能とすべきである。
【0006】
マイクログリッドがバッテリーバンクを含む際には、電池電力貯蔵システムを用いてマイクログリッドに対する給電又は受電が行われてよい。電池電力貯蔵システムは、スマートグリッドシステムにおいて電力貯蔵装置として用いることができる。太陽電池/ソーラーパネルや風力タービン等の再生可能エネルギー源は、予測不能で不都合な天気パターンに左右される断続的なエネルギー源である。発電源は、負荷のニーズをほとんど満たさず、従って電力貯蔵装置の提供が望まれる。電力貯蔵及び電力供給の両方が可能である電力貯蔵装置を用いると、マイクログリッドシステムは、局所的負荷に、信頼性が高く且つ安定した電力を供給することが可能となる。
【0007】
電力貯蔵装置は、再生可能源(及び潜在的にはグリッド)からの過剰エネルギーを貯蔵することもできる。例えば、再生可能エネルギー発電は、マイクログリッドの負荷需要を超える可能性がある。電力貯蔵能力が無い場合には、余剰電力は失われてしまう。電力貯蔵装置がマイクログリッドで採用される場合には、余剰電力はバッテリー内に貯蔵されることでキャプチャできる。電力貯蔵装置は、この電力を局所的負荷や必要な場合には主要ユーティリティグリッドさえにも供給できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の電池電力貯蔵システム等の電力システムでは、電源又は貯蔵装置が電力供給を常時行うわけではない。例えば、自動電圧応答等のグリッド安定性サービスを提供するバッテリーバンクの場合には、バッテリーは放電も充電も行わなくてもよい。上記の電池電力貯蔵システム等の電力システムは、「OFF」状態と「ON」状態を有する。「OFF」状態中は、スイッチは開かれており、インバータはグリッドと同期されていない。従って、バッテリーバンクが充電も放電も行っていない場合に「OFF」状態を用いて節電できる。しかしながら、スイッチは、接触器等の機械的又は電気機械的スイッチである。よって、システムが動作する必要がある場合(例えば、バッテリーに対して給電又は受電が必要な場合)には、設定時間は、これら機械的スイッチの閉時間によって制限され、最大で数百ミリ秒又は数ユーティリティ電圧サイクルであろう。この規模の遅延は、電力システムのユーザには望ましくない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態は、インバータシステムの応答時間及び省エネルギーを向上させるアクティブスタンドバイモードを含む複数の動作モードを有する電力変換器、システム及び制御方法を含む。
【0010】
一の態様では、アクティブモード及びアクティブスタンドバイモードを少なくとも含む複数の動作モードを有する電力システムは、電力変換器と制御器を含む。前記電力変換器は、電力供給を所望の出力に適合させるように構成されており、前記電力変換器は、該電力変換器がゲーティング状態となるように前記電力システムが前記アクティブモードである際に、ゲート信号を受信する複数の半導体スイッチを備える。前記制御器は、該電力変換器を前記アクティブモード及び前記アクティブスタンドバイモードで制御し、前記制御器は、前記電力変換器がグリッドと同期される間に、前記電力システムが、前記電力変換器が非ゲーティング状態である前記アクティブスタンドバイモードに進入すべきかどうかを判断するように構成され、前記電力システムが前記アクティブスタンドバイモードに進入すべきであると判断されると、前記電力システムが前記アクティブスタンドバイモードとなるように前記電力変換器を非ゲーティング状態に制御するように構成される。
【0011】
前記電力変換器は、前記電源と電力インバータとの間に連結されてよく、前記制御器は、前記電力インバータがグリッドと同期される間に、前記電力システムが前記アクティブスタンドバイモードに進入すべきかどうかを判断してよい。
【0012】
前記電力変換器は、前記電源とグリッドとの間に連結された電力インバータであってよく、前記制御器は、前記電力インバータが前記グリッドと同期される間に、前記電力システムが前記アクティブスタンドバイモードに進入すべきかどうかを判断してよい。
【0013】
前記電力システムは、前記少なくとも一の電源と前記電力変換器との間に連結された電源側スイッチと、前記少なくとも一の電源とグリッドとの間に連結されたグリッド側スイッチと、を更に備えてよく、前記電源側スイッチと前記グリッド側スイッチは、前記アクティブモード及び前記アクティブスタンドバイモードの両モードにおいて閉じられてよい。
【0014】
前記電力システムは、前記電源と前記グリッドとの間に連結された電力インバータを有してもよく、前記制御器は、前記電力インバータを初期化するように構成されてよい。前記電力変換器を初期化する際には、前記制御器は、前記少なくとも一の電源からDCバスを充電するように構成され、且つ前記電源側スイッチを閉じるように構成され、且つ前記電力変換器を前記グリッドと同期させるように構成され、且つ前記電力変換器を前記ゲーティング状態にさせるように構成され、且つ前記電力変換器と前記グリッドとの間に連結された前記グリッド側スイッチを閉じることにより、前記電力システムをグリッド・タイモードとするように構成され、且つアクティブスタンドバイモードを初期化してOFFモードとするように構成されてよい。
【0015】
前記少なくとも一の電源は、エネルギー貯蔵装置を含んでよく、前記電力システムは、放電状態と、充電状態と、アイドル状態とで動作してよい。放電及び充電状態内では、前記制御器は、前記電力変換器を制御して前記エネルギー貯蔵装置を放電及び充電させる。そして前記制御器は、前記電力システムがアイドル状態の際に、前記電力システムが前記アクティブモードに進入すべきかどうかを判断してよい。
【0016】
前記制御器は、電力指令を所定閾値と比較し、且つ該比較に基づいて判断を行うことにより、前記電力システムが前記アクティブスタンドバイモードに進入すべきかどうかを判断してよい。
【0017】
前記所定閾値は上限閾値と下限閾値とを含んでよい。この場合、前記制御器は、アクティブスタンドバイモードに進入するかどうかを判断する際に前記電力指令を前記下限閾値と比較し、アクティブモードに進入するかどうかを判断する際に前記電力指令を前記上限閾値と比較してよい。
【0018】
前記制御器は、前記電力指令を前記所定閾値と比較し続けることにより、前記電力システムが前記アクティブスタンドバイモードから退出して前記アクティブモードに進入すべきかどうかを判断してよく、前記電力指令が前記所定閾値を超過する場合に前記電力変換器を前記ゲーティング状態に制御してよい。
【0019】
前記制御器は、前記電力システムが充電状態又は放電状態であるかどうか(例えば、電力指令が正であるか又は負であるか)を判断することにより、前記電力システムが前記アクティブスタンドバイモードに進入すべきかどうかを判断するように構成されてよい。前記電力システムが前記充電状態であると判断される際には、前記制御器は、前記電力指令を第1所定閾値と比較し、前記電力指令が前記第1所定閾値よりも高いと判断される際には前記電力システムはアイドル状態であり前記アクティブスタンドバイモードに進入すべきであると判断してよい。前記電力システムが前記放電状態であると判断される際には、前記制御器は、前記電力指令を第2所定閾値と比較し、前記電力指令が前記第2所定閾値よりも低いと判断される際には前記電力システムは前記アイドル状態であり前記アクティブスタンドバイモードに進入すべきであると判断してよい。
【0020】
前記第1所定閾値は第1上限閾値と第1下限閾値とを含んでよく、第2所定閾値は第2上限閾値と第2下限閾値とを含んでよい。前記電力システムが前記充電状態であると判断される際には、前記アクティブスタンドバイモードに進入するかどうかを判断するために前記電力指令は前記第1下限閾値と比較され、前記アクティブモードに進入するかどうかを判断するために前記電力指令は前記第1上限閾値と比較される。前記電力システムが前記放電状態であると判断される際には、前記アクティブスタンドバイモードに進入するかどうかを判断するために前記電力指令は前記第2下限閾値と比較され、前記アクティブモードに進入するかどうかを判断するために前記電力指令は前記第2上限閾値と比較される。
【0021】
前記電力システムは、前記電力変換器と前記グリッドとの間に連結され、有効(real)電力及び無効電力を測定する一又は複数のセンサとを備えてもよく、前記電力指令は、前記一又は複数のセンサによって測定された前記有効電力及び無効電力に基づいて決定される。
【0022】
前記電力システムは、一のマスタ制御器からスタンドバイモードに進入するためのユーザ指令を受信し、且つ前記ユーザ指令が受信されると前記電力システムが前記アクティブスタンドバイモードに進入すべきであると判断するように更に構成された制御器を備えてもよい。
【0023】
前記制御器は、前記ゲート信号と、前記電力システムが前記アクティブスタンドバイモードに進入すべきかどうかに関する判断結果とに対して、AND動作を実行するように構成されてよい。
【0024】
前記電力変換器は、少なくとも一の電源とユーティリティグリッドとの間に連結されてよく、前記電力変換器は、一又は複数の局所的負荷を有するマイクログリッドに電気的に連結されてよい。前記制御器は、グリッド事象が前記ユーティリティグリッドでいつ発生するかを判断するように更に構成され、前記グリッド事象が発生したと判断されると単独運転スイッチを開いて前記電力変換器を前記ユーティリティグリッドから切断するように更に構成され、前記電力システムが前記アクティブスタンドバイモードであり、前記グリッド事象が発生したと判断される場合には、前記電力変換器がゲーティングを行って前記一又は複数の局所的負荷に電力供給を行うように前記アクティブモードに進入するように更に構成されてよい。
【0025】
前記制御器は、前記システムが前記アクティブスタンドバイモードに進入すべきかどうかを判断するように構成され、グリッド周波数を所定閾値と比較するように構成され、前記比較に応じて、前記電力システムが前記アクティブスタンドバイモードに進入すべきかどうかを判断するように構成されてよい。
【0026】
他の態様では、電力変換器がグリッドと同期されておりゲーティング状態であるアクティブモードと、前記電力インバータが前記グリッドと同期されておりゲーティング状態ではないアクティブスタンドバイモードとを少なくとも含む複数の動作モードを有する電力システムを制御する方法は、電力指令を所定閾値と比較し、且つ該比較に基づき前記電力システムが前記アクティブスタンドバイモードに進入すべきかを判断することと、前記電力システムが前記アクティブスタンドバイモードに進入すべきであると判断される際に、前記電力変換器を制御して非ゲーティング状態とすることと、を含む。
【0027】
前記電力指令を前記所定閾値と比較する前に、前記方法は、前記電力変換器を初期化することを更に備えてよく、前記初期化することは、前記電力変換器を前記グリッドと同期させることと、前記電力変換器を前記ゲーティング状態に進入させることと、前記電力システムがグリッド・タイモードとなるように前記電力変換器と前記グリッドとの間に連結されたスイッチを閉じることと、アクティブスタンドバイモードを初期化してOFFとすることと、を備える。
【0028】
前記方法は、前記電力システムが前記アクティブスタンドバイモードに進入すべきであると判断した後に、前記電力システムが前記アクティブスタンドバイモードから退出して前記アクティブモードに進入すべきかを判断するために、前記電力指令を前記所定閾値と比較し続けることを更に備えてよい。
【0029】
前記電力指令を所定閾値と比較し、且つ該比較に基づき前記電力システムが前記アクティブスタンドバイモードに進入すべきかを判断することは、前記電力指令が正であるか又は負であるかを判断することにより、前記電力システムが充電状態又は放電状態であるかどうかを判断することと、前記電力システムが前記充電状態であると判断される際には前記電力指令を第1所定閾値と比較し、前記電力指令が前記第1所定閾値よりも高いと判断される際には前記電力システムはアイドル状態であり前記アクティブスタンドバイモードに進入すべきであると判断することと、前記電力システムが前記放電状態であると判断される際には前記電力指令を第2所定閾値と比較し、前記電力指令が前記第2所定閾値よりも低いと判断される際には前記電力システムは前記アイドル状態であり前記アクティブスタンドバイモードに進入すべきであると判断することと、を備えてよい。
【0030】
前記方法は、一の個別マスタ制御器から前記電力指令を受信することを更に備えてよい。
【0031】
前記方法は、グリッド事象がいつ発生するかを判断することと、前記グリッド事象が発生したと判断されると単独運転スイッチを開いて前記電力インバータを前記グリッドから切断することと、前記電力システムが前記アクティブスタンドバイモードであり、前記グリッド事象が発生したと判断される場合には、前記電力変換器がゲーティングを行って局所的負荷に電力供給を行うように前記アクティブモードに進入することと、を更に備えてよい。
【0032】
他の態様では、アクティブモード及びアクティブスタンドバイモードを少なくとも含む複数の動作モードで動作する電力インバータシステムは、電力インバータと制御器とを備える。前記電力インバータは、電源とグリッドとの間で電力を変換する。前記電力インバータは、該電力インバータがゲーティング状態となるように前記アクティブモードで動作する際には、ゲート信号を受信する複数の半導体スイッチを備えてよい。前記制御器は、該電力インバータを前記アクティブモード及び前記アクティブスタンドバイモードで制御する。前記制御器は、前記電力インバータを前記グリッドと同期させるように構成され、前記複数の半導体スイッチが前記ゲート信号を受信するような前記アクティブモードで前記電力インバータを非ゲーティング状態に制御するように構成され、前記電力インバータが、前記電力インバータが非ゲーティング状態である前記アクティブスタンドバイモードに進入すべきかどうかを判断するように構成され、前記アクティブスタンドモードの際に、前記インバータを非ゲーティング状態に制御するように構成されてよい。
【0033】
前記複数の半導体スイッチは、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ、炭化珪素装置、及びMOSFETのうちの少なくとも一つを備えてよい。
【0034】
前記制御器は、電力指令を所定閾値と比較し、且つ該比較に応じて前記インバータが前記アクティブスタンドバイモードに進入すべきかどうかを判断することにより、前記電力インバータが前記アクティブスタンドバイモードに進入すべきかどうかを判断するように構成されてよい。
【0035】
前記電力インバータが前記アクティブスタンドバイモードの間に、前記制御器は、前記電力指令を前記所定閾値と比較し、前記電力インバータが前記アクティブスタンドバイモードから退出して前記アクティブモードに進入すべきかどうかを判断してよい。
【0036】
前記電力インバータが前記アクティブスタンドバイモードに進入すべきかどうかを判断するように構成された前記制御器は、電力指令が正であるか又は負であるかを判断するように構成され、且つ前記電力指令が負であると判断される際には前記電力指令を第1所定閾値と比較し、前記電力指令が前記第1所定閾値よりも高いと判断される際には前記電力インバータは前記アクティブスタンドバイモードに進入すべきであると判断するように構成され、且つ前記電力指令が正であると判断される際には前記電力指令を第2所定閾値と比較し、前記電力指令が前記第2所定閾値よりも低いと判断される際には前記電力インバータは前記アクティブスタンドバイモードに進入すべきであると判断するように構成された前記制御器を含んでよい。
【0037】
前記制御器は、一のマスタ制御器からスタンドバイモードに進入するためのユーザ指令を受信し、且つ前記ユーザ指令が受信されると前記電力インバータが前記アクティブスタンドバイモードに進入すべきであると判断するように更に構成されてよい。
【0038】
前記電力インバータシステムでは、前記制御器は、前記ゲート信号と、前記電力インバータが前記アクティブスタンドバイモードに進入すべきかどうかに関する判断結果とに対して、AND動作を実行するように構成されてよい。
【0039】
前記制御器は、グリッド事象がいつ発生するかを判断するように更に構成され、前記電力インバータが前記アクティブスタンドバイモードであり、前記グリッド事象が発生したと判断される場合には、前記電力インバータがゲーティングを行って局所的負荷に電力供給を行うように前記アクティブモードに進入するように更に構成されてよい。
【0040】
前記制御器は、グリッド周波数を所定閾値と比較するように構成され、且つ前記比較に応じて、前記電力システムが前記アクティブスタンドバイモードに進入すべきかどうかを判断するように構成されてよい。
【0041】
本発明の他の利得は、添付の図面に関連して考慮する際に次の詳細な説明を参照してより理解されるため、容易に明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1図1Aは、本発明の実施形態に係る電力システムを示す電気接続図であり、図1Bは、図1Aに示すフィルタのインダクタと電力変換器の回路を示す電気接続図である。
図2】電力変換器がグリッドと同期される間に電力システムが複数の動作モードを実施する本発明の実施例に係る電力システムを制御する方法を示す図であり、図2Aは電力変換器がグリッドと同期される間に電力変換器200を初期化する方法を示す図であり、図2Bは複数の動作モードを実施する方法を示す図である。
図3】電力システムが電力貯蔵装置に接続されており複数の動作モードを実施する本発明の実施例に係る電力システムを制御する方法を示す図である。
図4】電力システムがグリッド・タイモードと単独運転モードとで動作する本発明の実施例に係る電力システムを制御する方法を示す図である。
図5図5Aは、本発明の実施例に係る電力システムを示す電気接続図であり、図5Bは、図1Aに示す電力変換器の回路を示す電気接続図である。
図6】電力指令を不感帯と比較し、ゲーティング状態に進入/退出する制御スキームを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
ここで、添付の図面に例が示された詳細な実施形態を参照する。以下の詳細な説明では、本発明を熟知するために特定の詳細が多数述べられる。しかしながら、本発明がこれら特定の詳細無しに実施されることは当業者には明らかである。
【0044】
以下の本発明の説明では、専門用語は参照のみに用いられており、限定するものではない。例えば、「第1」、「第2」等の文言が各種要素を説明するために本明細書で用いられるが、これらの要素はそれらの文言に限定されるべきではない。これらの文言は、一の要素を他の要素から区別するためのみに用いられる。本発明の説明や添付の請求項の範囲で用いられるように、単数形「一の(a)」、「一の(an)」、「前記(the)」は、文中で特に明らかに示されない限り、複数形を含むものである。また、本明細書で用いられる文言「及び/又は(and/or)」は、関連する列挙された文言のうちの一又は複数の文言の考えられる全ての組み合わせを言及且つ包含する。文言「備える(comprises)」及び/又は「備え(comprising)」は、本明細書で用いられる際には、記載された特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を特定するが、一又は複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらの群の存在又は追加を排除するものではないことも、更に理解されよう。
【0045】
図1Aは、本発明の実施形態に係る電力システム100を示す電気接続図である。図1Bは、図1Aに示すフィルタ174のインダクタと電力変換器200の回路を示す電気接続図である。
【0046】
図1Aを参照すると、本発明の実施形態に係る電力システム100は、電力変換器200と、入力部110と、スイッチ120及び130と、センサ140及び150と、制御器300とを含んでよい。入力部110は、電力システム100に電力を供給する電源(例えば発電機又は電力貯蔵装置)と連結される。入力部110は、電源側スイッチ120と電気的に連結される。電力変換器200は、入力部110に連結された電源と、グリッド接続部160で電力システム100に連結されたグリッドとの間で電力を変換する。グリッド側では、電力変換器200はグリッド側スイッチ130と連結され、グリッド側スイッチ130はグリッド接続部でグリッドと連結される。電力変換器200による電力変換は、AC/DC、DC/DC、AC/AC及びDC/ACを含んでよい。
【0047】
一の実施形態では、電力変換器200は、DC及びAC間で電力を変換する双方向電力インバータであってよい。インバータ200は、DC及びAC間で電力を変換してよく、異なるスキームで制御されてよい。例えば、グリッド・タイスキームでは、電力インバータは構築グリッド(例えば、ユーティリティグリッド)と接続しており、電流源モードで動作している。グリッド形成スキームでは、インバータはグリッドを設定又は生成しており、電圧源モードで動作している。
【0048】
他の実施形態では、電力変換器は、電源110と、電力インバータ200等の他の電力変換器200との間に連結された電力変換器202であってよい。このような例は図5A及び図5Bで示される。この例では、電力インバータ200は入力部110とグリッド接続部160との間で連結され、電力変換器202は電力インバータ200と入力部110との間で連結される。図5A及び図5Bに示す例では、電力変換器202は、電圧源を電力インバータ200に提供するDC/DC電力変換器であってよい。DC/DC電力変換器202を介した電力(エネルギー)の流れは変調されてインバータ200に対して適切な電圧源が維持される。他の実施形態では、電力変換器202は、入力部110でAC源(例えば、風力タービン)に連結されたAC−DC変換器202であってよい。そしてAC−DC変換器202は、DC−DCインバータ200に連結されてよい。本実施形態では、AC−DC変換器202を介した電力(エネルギー)の流れは変調されてインバータ200に対して適切な電圧源が維持され、インバータ200は、電力をグリッド接続部160に適切なACに変換する。
【0049】
電力システム100は、ヒューズ170、手動切断スイッチ172、プリチャージ回路122、LCフィルタ174、及びグリッド回路ブレーカ176等の付加的要素を含んでもよい。ヒューズ170は、故障の場合に入力部110を電力変換器200から切断するものである。手動切断スイッチ172は、電力システム100の機器を保守点検するために手動で開くことができる。プリチャージ回路122はDCバスを事前充電するために用いられてよい。LC又は共振フィルタ174は、電力変換器200のAC出力をフィルタリングするように構成されてよい。電力変換器200のAC出力は、通常、他の周波数の高調波及び/又はノイズを含んでよい。出力LCフィルタ200は、これらの高調波及び/又はノイズをフィルタリング除去するように構成されてよい。回路ブレーカ176は、電力システム100の機器を保守点検できるように手動で開くことができる。或いは回路ブレーカ176は、過電流時に、グリッド接続部160に接続されたグリッドから切断するために開いてよい。
【0050】
グリッド接続部160は、マイクログリッド及び/又は主要(ユーティリティ)グリッドとの接続部であってよい。マイクログリッドは、一又は複数の分散型エネルギー資源(分散型発電機及び電力貯蔵装置)と、局所領域内の局所的負荷とを含んでよい。電力システム100がグリッド接続部160を介してマイクログリッドに接続される際には、入力部110に接続された電源は、マイクログリッドの複数の分散型エネルギー資源のうちの一の分散型エネルギー資源(即ち、一の発電機又は一の電力貯蔵装置)である。負荷は、一のユーザ(例えば、ユーティリティ顧客)、一群のサイト、又は連携動作する分散型サイトであってよい。分散型発電機は、往復エンジン発電機、マイクロタービン、燃料電池、太陽電池/ソーラーパネル、風力タービン等を含んでよい。マイクログリッドの分散型エネルギー資源は、マスタ(又はユーザ)制御器400によって調和されてよい。マスタ制御器400は、電力システム100の制御器300から物理的に離れていてよく、若しくは同じ筐体に収められてよく、或いは制御器300と一体に又は制御器300の一部として含まれてよい。マイクログリッドの局所的負荷は、マイクログリッドの分散型エネルギー資源及び/又はマイクログリッドが接続されたユーティリティグリッドによって電力供給されてよい。
【0051】
一の実施形態では、入力部110に接続された電源は、グリッドに対する蓄電及び給電を行うバッテリー(複数のバッテリーを含むバッテリーバンクであってよい)等の電力貯蔵装置であってよい。この場合、入力部110はDC入力部であり、電力変換器200は、DC側のDC電力をグリッド側でAC電力に変換し且つ逆も同様である、3相双方向電力インバータであってよい。
【0052】
電力システム100がマイクログリッドに接続される際には、入力部110に接続されたバッテリーは、マイクログリッドの一又は複数の他の分散型エネルギー源から局所的負荷に電力を供給するには不必要な過剰エネルギーを貯蔵してよい。バッテリーは主要ユーティリティグリッドからのエネルギーを貯蔵してもよい。入力部110に接続されたバッテリーに貯蔵されたエネルギーは、主要ユーティリティグリッドの停電の場合に局所的負荷に供給されてよい。バッテリーに貯蔵されたエネルギーは、マイクログリッドが太陽電池/ソーラーパネルや風力タービン等の予測不能なエネルギー資源を更に多く含む際に、信頼性がより高く且つより安定した電力を供給するために用いられてもよい。
【0053】
電源側スイッチ120は、DC接触器等の電気機械的スイッチであってよく、グリッド側スイッチ130は、AC摂食器等の電気機械的スイッチであってよい。電力システム100が「OFF」状態の場合には、電気機械的スイッチ120を開いて、電力変換器200を入力部110に接続された電源と、グリッド接続部160に接続されたグリッドとから切断する。一方、電力システム100が「ON」状態の場合には、電気機械的スイッチ120を閉じる。
【0054】
DC側スイッチ120は、例えば、入力部110に接続されたバッテリーのバッテリー容器内、又は電力変換器200内に含まれてよい。或いは、スイッチ120は、バッテリー及び電力変換器200の両方の外側にあるサイトの一部として設置されてよい。加えて、グリッド側スイッチ130は、電力変換器200内に含まれてよく、又は電力変換器200の外側にあるサイトの一部であってよい。
【0055】
電力変換器200及び制御器300は、電源とグリッドとの間で電力を変換する電力変換システムとして連動する。一の実施形態では、制御器300は、電力システム100の制御、監視、及び測定を担当し、電力システム100が、マスタ(又はユーザ)制御器によって調和されるマイクログリッドに接続される場合には、マスタ(又はユーザ)制御器400と通信してよい。スイッチ120及び130は、制御器300によって制御されてよい。スイッチ120及び130は、リレーロジックを介して制御器300によって電気的に動作されてよい。制御器300は、スイッチ120とグリッド接続部160との間の複数のセンサ150を用いて、グリッドの電圧振幅、周波数及び位相を監視する。また制御器300は、フィルタ174と電力変換器200との間の複数のセンサ150を用いて、電力変換器200のAC出力電流振幅、周波数及び位相を監視する。制御器は、複数のセンサ140を介してDC入力電圧を監視してもよい。複数のセンサ140及び150に関して、「V」及び「I」は夫々電圧測定値及び電流測定値を表し、「P」及び「PF」は夫々計算による電力及び計算による力率を表し、「Hz」は周波数測定値を表す。複数のセンサ150は電圧変換器を含んでよく、複数のセンサ140は絶縁電圧モニタを含んでよい。
【0056】
制御器300は、電力変換器200のキャビネット内に位置してよく、又は電力変換器200の外側にある制御器であってよい。制御器300は、互いに通信しあう複数の制御器を含んでもよい。制御器300が電力変換器200内に収容される際には、制御器300は、電磁波ノイズの制御器300の動作への干渉を軽減するために、電力変換器200のパワーエレクトロニクスから保護される環境に配置されてよい。電力変換器200のパワーエレクトロニクスは、強制空気及び/又は液体によって積極的に冷却されよく、光ファイバゲート信号又は電気ゲート(ゲーティング)信号を用いて制御器300によって制御されてよい。
【0057】
図1B及び図5Bは、電力編変換器200のパワーエレクトロニクスの実施形態を示す。図1B及び図5Bは、LCフィルタ174のインダクタも示す。図1Bの実施形態では、電力変換器200は双方向電力インバータである。図5Bの実施形態では、電力変換器202はDC/DC変換器であり、電力変換器200は電力インバータである。図1B及び図5Bを参照すると、電力変換器200、202、及び204は、複数の半導体スイッチ210を含んでよい。半導体スイッチ210のゲート212は、電力変換器200、202、及び204がゲーティングしている(即ち、ゲーティング状態である)際には、ゲート(ゲーティング)信号を受信する。ゲート信号は、半導体スイッチ210を切り替える複数のスイッチングパルスにより構成される。制御器300は、電力変換器200の出力をグリッドの正弦波と同期させるようにスイッチングパターンを制御する。電力変換器200の出力をグリッドの正弦波と同期させる際には、制御器は、インバータの位相、振幅及び/又は周波数をグリッドのそれと一致させるように半導体スイッチを制御してよい。半導体スイッチ210は、例えば、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)であってよい。半導体スイッチ210の付加的な例は、炭化珪素等のワイドバンドギャップ半導体装置や、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)を含む。
【0058】
電力システム100は、必ずしも常時グリッドに対する給電又は受電を行っているわけではない。これは「アイドル」状態と称される(即ち、有効電力設定値=0kW)。節電するために、電力システム100は、スイッチ120及び130を開いて電力システム100を電源及びグリッドから切断する「OFF」状態に置かれてよい。「OFF」状態では、電力変換器200はグリッドと同期されない。しかしながら、アイドル状態から満充電又は放電状態に移行する際の電力システム100の応答時間は、ユーザにとって非常に重要である。これらスイッチの機械的な閉時間は、最大数百ミリ秒であってよい。これらの閉時間は、電力システム100の応答時間に関する制限として役立つ。更に、DC電源に接続されたインバータは、機械的スイッチを閉じる前にDCバスを事前充電する必要がある。この事前充電動作は、2秒ほど応答時間を更に制限できる。
【0059】
スイッチ120及び130の閉時間によって課される制限に対する一つの解決法は、電源及びグリッドに接続された電力システム100から離れることであり、よってスイッチ120及び130は閉じられたままとなる。そして電力変換器200は、制御器300によって設定値0kWに制御される。これは、電力変換器200が電力を出力しない(即ち、0kW及び0kVAR)ように制御されることを意味する。この場合、電力システム100は、アイドル状態の場合でさえも要求に対して迅速に応答できる。入力部110がバッテリーに接続され、且つグリッド接続部160が、風力タービンがエネルギー資源であるマイクログリッドに接続される例をとると、電力システム100は、バッテリーを充電(例えば、突風)又はバッテリーを放電(例えば、風力資源の低下)する指令に対して迅速に応答できる。
【0060】
この解決法は、スイッチ120及び130の閉時間に関連する問題を解決するけれども、電力変換器200が電力を出力しないように制御される際でさえも、電力変換器200はゲーティングしている。ゲーティングの際、ゲート212はゲート(ゲーティング)信号を未だ受信中であり、よって半導体スイッチ212は未だ切替中である。従って、電力は処理されていないけれども、電力システム100は未だ損失を受けており、これらの損失はバッテリーからのエネルギーによって供給される。加えて、電力変換器200の冷却システムは、半導体スイッチ212からの損失を除去するために実行される必要があってよい。
【0061】
図2A及び図2Bは、電力変換器200がグリッドと同期される間に電力システム100が複数の動作モードを実施する本発明の実施形態に係る電力システム100を制御する方法を示す図である。図2Aは電力変換器200がグリッドと同期される間に電力変換器200を初期化する方法を示す図である。図2Bは複数の動作モードを実施する方法を示す図である。図2A及び図2Bは、DC電源とACグリッドとの間に連結された双方向電力インバータにおいて複数の動作モードを実施する方法を示す。しかしながら、入力部とグリッド接続部はDC入力部とACグリッド接続部に限定されないことが理解されよう。例えば、入力部110は、DC又はAC入力部であってよく、出力部はDC又はACグリッド接続部であってよい。加えて、グリッド接続部の代わりに、電力変換器は、図4Aに示す例のように、他の電力変換器200に接続された電力変換器202であってよい。
【0062】
図2Aを参照すると、グリッドと同期する前に、制御器300は、電力変換器200が実行する準備が整っているかどうかを判断する分析を実行してよい(ステップ500)。この分析は、電力システム100内に故障がないことを調査して確認することを含んでよく、任意の安全パラメータを調査する。開始指令の受信時(ステップ510)に、制御器は、電力変換器200をグリッドと同期させる(ステップ520)。開始指令は、ユーザにより入力された又は制御器300により自律的に生成された、マスタ制御器400から受信した指令であってよい。制御器をグリッドと同期させる際には、制御器300は、電力変換器200の出力をグリッドの正弦波と同期させるように電力変換器200の半導体スイッチ210のスイッチングパターンを制御する。電力変換器200が入力部110でDC電源に連結される際には、制御器は、DCバスを事前充電するように電力システムを制御してよい(ステップ530)。DCバスを事前充電する際には、電力システム100は、入力部110に電力変換器200を接続するスイッチ120を閉じる前に、DC電源からDC電圧を徐々に増加させる。そして制御器は、DCポートでバッテリーに電圧を加えるように、DCスイッチ120を閉じてよい。グリッド接続部160に電力変換器200を接続するACスイッチ130を閉じる際には(ステップ550)、電力変換器200は、該電力変換器200がゲーティングしており、AC電圧を出力できるアクティブモードに進入する準備を整える。
【0063】
図2Bを参照すると、制御器300は、電力変換器200がアクティブモードであるべき(電力変換器200がゲーティングしている)か、又はアクティブスタンドバイモードであるべき(電力変換器200がゲーティングしていない)かを先ず判断してよい(ステップ560)。ステップ560は、電力システム100がアクティブモードであるべきか、又はアクティブスタンドバイモードであるべきかに関して、制御器300によって行われる初期判断であってよい。代替実施形態では、制御器300は、電力システム100をアクティブモードで初期化してよく、その場合、ステップ560は、アクティブモードのままにするか、又はアクティブスタンドバイモードに進入するかに関する判断となろう。
【0064】
電力変換器200がアクティブモードであるべきか、又はアクティブスタンドバイモードであるべきかを判断する際には、制御器300は、電力指令を所定不感帯(又は閾値)と比較して、電力指令が不感帯内か又は不感帯外かを判断する。不感帯は様々な方法に従って設定されてよい。その様々な方法は、例えば、規制機関によって課せられる要求に基づきユーザによって設定されること、又はシステム衝撃研究の結果として設定されることを含んでおり、これは局所的グリッド/電力システムの工業分析である。
【0065】
電力指令は、電力インバータ200が電力を供給/吸収するための指令であってよく、電力指令は、アクティブモードに進入するか、又はアクティブスタンドバイモードに進入するかを判断するために不感帯と比較される値である。電力指令は、マスタ制御器400から制御器300によって受信された指令であってよく、又は例えばセンサからの測定値に基づき制御器300によって自律的に生成された指令であってよい。更に、電力指令は、マスタ制御器400から受信した値又は測定値に基づき制御器300によって算出された値であってよい。電力指令は、好ましくは、グリッドに対して供給又は吸収するように電力変換器200が命令された有効電力量「P」である。しかしながら、電力指令は有効電力に制限されないことが理解されよう。電力指令は、有効電力指令P、又は無効電力指令Q、又は皮相電力指令であってもよい。
【0066】
制御器300がマスタ制御器400から指令を受信中の際には、制御器300に対する指令は、独立的にも、またインバータの皮相電力定格を超えないように直交追加される際にも、インバータの定格内で有効電力(P)及び無効電力(Q)指令であることが好ましい。有効電力指令P及び無効電力指令Qは、マイクログリッドの各種エネルギー資源を調和させているマスタ制御器400から制御器300によって受信された指令であってよい。この場合、有効電力指令P及び無効電力指令Qは、局所的負荷のニーズ(必要量)やマイクログリッドのエネルギー資源の出力電力等の各種ファクタに基づき算出されてよい。或いは、有効電力指令P及び無効電力指令Qは、例えば、センサ150からの測定値に基づき有効及び無効電力のニーズを算出することにより、制御器300によって自律的に生成されてよい。
【0067】
電力指令が不感帯内である場合には、制御器300は、ゲーティングしないように電力変換器200を制御し、これにより電力システム100がアクティブスタンドバイモードに進入する(ステップ560−NO)。電力システム100がアクティブスタンドバイモードの間は、制御器300は、電力指令が不感帯から外れたかどうかを判断するために、電力指令を不感帯と比較し続ける。電力指令が不感帯外である場合には、制御器300は、ゲーティングするように電力変換器200を制御してよく、これにより電力システム100がアクティブモードに進入する(ステップ570)。電力システム100が一旦アクティブモードに進入すると、制御器300は、電力指令が不感帯内に収まったかどうかを判断するために、電力指令を監視し続ける(ステップ580)。アクティブモード中に電力指令が不感帯に収まる場合には、電力システム100は、制御器300がゲーティングしないように電力システム100を制御するアクティブスタンドバイモードに進入する。電力システム100は、アクティブモード及びアクティブスタンドバイモード間の高速切替を防止するためにヒステリシスを用いてもよい。
【0068】
図6は電力指令を不感帯と比較し、ゲーティング状態に進入/退出する制御スキームを示す図である。半導体スイッチ212は、パルス幅変調器(PWM)から出力されたパルス幅変調信号によって制御されてよい。図6に示すように、電力指令と不感帯とを比較する比較器620の結果は、ANDゲートの複数の入力部のうちの一の入力部に入力される。ANDゲートの他の入力部は、パルス幅変調器600の複数の出力のうちの一の出力を受信する。電力指令が不感帯から外れる場合には、比較器620の出力は高論理値(又は1)であり、ANDゲート610の出力はPWM600の出力に一致する。電力指令が不感帯内である場合には、比較器620の出力は低論理(又は0)値であるため、複数のIGBT210は、PWM600により出力されたゲーティング信号を受信しない。図6の制御スキームは、制御器300のファームウェア内で生じた比較であってよく、又は制御器300によって実施される制御論理の一部であってよい。
【0069】
図2Bを再び参照すると、本方法は、停止指令を受信するステップを含んでもよい(ステップ590)。これは、マスタ制御器400からの指令、又はユーザにより入力された指令であってよい。停止指令が受信された場合には(ステップ190)、電力変換器200は動作を停止する。
【0070】
制御器300は、電力変換器200をグリッドと同期させ、且つ電力システム100をアクティブモードとアクティブスタンドバイモードとの間で移行させるように、電力システム100を制御する。制御器300は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)であってよく、又はデジタル信号処理(DSP)ベース制御器であってよい。しかしながら、制御器300がこれら二種類の制御器に限定されないことは理解されよう。
【0071】
次の制御論理は、電力システム100が入力部110でDC電源に連結される際に、制御器が電力システム100の初期化を実行している実施形態を示す。
【0072】
while(grid_ok = 1 and state = ready)
if (command = start)
state = starting
endif
endwhile

while(grid_ok = 1 and state = starting)
close dc_precharge;
wait(precharge_time);

if(Vdc>Vdc,min)
close dc_main;
endif

start grid_sync;
start gating;
close ac_contactor;
state = runPQ;
active_stdby = OFF;
endwhile
上記の制御論理では、while(grid_ok = 1 and state = ready)は、グリッド電圧及び周波数が限界値内であるかと、電力変換器がレディ状態であるかとを確認する。while(grid_ok = 1 and state = starting)は、電力システム100の起動シーケンスである。close dc_prechargeは、リレーを閉じて電源からDCバスを徐々に充電する。if(Vdc>Vdc,min)は、DCバスが充電されたことを確認する。close dc_mainは、DCスイッチ120を閉じる。start grid_syncは、電力変換器の制御システムをグリッドと同期させる。start gatingは、半導体装置のスイッチングを開始して、グリッド電圧をエミュレートさせる。close ac_contactorは、グリッド側スイッチ130を閉じる。state = runPQは、制御システム100がグリッド・タイモードで実行していることを示す。active_stdby = OFFは、アクティブスタンドバイモードをOFFに初期化する。
【0073】
以下の制御論理は、制御器が、電力指令を閾値と比較しており、且つ電力変換器200をアクティブモード及びアクティブスタンドバイモードで動作させている例示的実施形態を示す。例示的な制御論理では、有効及び無効電力指令の両電力指令が、アクティブスタンドバイターンオフ閾値と比較される。しかしながら、代替実施形態では、有効及び無効電力指令のうちの一の電力指令が閾値と比較されてよく、又は有効及び無効電力指令を用いて算出された皮相電力指令が不感帯と比較されてよいことは理解されよう。加えて、以下の制御論理では、電力指令が比較されるアクティブスタンドバイターンオフ閾値は、上限値及び下限値を含む。アクティブスタンドバイモードに進入するかどうかを判断する際に、電力指令は下限閾値と比較され、またアクティブモードに進入するかどうかを判断する際に、電力指令は上限閾値と比較される。異なる上限閾値及び下限閾値を有すると、アクティブモード及びアクティブスタンドバイモード間の高速切替が防止される。
【0074】
while(state=runPQ and grid_ok=1)
if(sqrt(Pcmd_usr^2+Qcmd_usr^2) <= InverterRating)
controlP(Pcmd_usr);
controlQ(Qcmd_usr);
else
controlQ(sqrt(InverterRating^2-Pcmd_user^2)) //this example P has priority over Q
endif

if (Pcmd_usr >= SupkW or Qcmd_usr >= SupkVAR)
active_stdby = OFF;
elseif (Pcmd_usr <= SlokW and Qcmd_usr <= SlokVAR)
active_stdby = ON;
endif

if (active_stdby = ON)
stop gating;
endif

if(active_stdby = OFF)
start gating;
endif

endwhile
上記の制御論理では、while(state=runPQ and grid_ok=1)は、グリッド・タイモードで実行している電力システム100を言及する。sqrt(Pcmd_usr^2+Qcmd_usr^2)は、有効電力指令と無効電力指令とを用いた皮相電力指令の算出である(この例示的実施形態では、有効及び無効電力指令は、マスタ制御器400から制御器300によって受信されてよいユーザ電力指令である)。if(Pcmd_usr >= SupkW or Qcmd_usr >= SupkVAR)は、有効電力指令が有効アクティブスタンドバイターンオフ閾値の上限値よりも高いかどうか(電力指令が閾値よりも高い場合、電力指令は不感帯から外れている)、又は無効電力指令が無効アクティブスタンドバイターンオフ閾値の上限値よりも高いかどうかを確認する。‘if(Pcmd_usr <= SlokW and Qcmd_usr <= SlokVAR )は、有効電力指令Pが有効アクティブスタンドバイターンオフ閾値の下限値よりも低いかどうか、且つ無効電力指令Qが有効アクティブスタンドバイターンオフ閾値の下限値よりも低いかどうか(電力指令が閾値よりも低い場合、電力指令は不感帯内である)を確認する。if (active_stdby = ON)は、半導体スイッチゲーティングをOFFする。if(active_stdby = OFF)は、半導体スイッチゲーティングをONする。controlP(Pcmd_usr)及びcontrolQ(Qcmd_usr)は、電力変換器200の有効及び無効電力を電力指令に制御するルーチンである。
【0075】
上記の例示的実施形態では、電力指令が制御器300によって不感帯又は閾値と比較される。他の実施形態では、個別マスタ制御器400からスタンドバイ指令を受信できる。制御器300は、マスタ制御器400からスタンドバイ指令を受信し、且つ電力変換器200をアクティブスタンドバイモードに制御する。本実施形態は、有利には、様々な分散型エネルギー資源をマスタ制御器400が調和しているマイクログリッドで用いられてよい。このような場合、マスタ制御器が直接電力システム100に対してアクティブスタンドバイモードに進入するように指示することが望ましい。制御器300がマスタ制御器400から直接スタンドバイ指令を受信する例示的な制御論理は、以下を含む。
【0076】
while(state=runPQ and grid_ok=1)
start gating;

if (command = stdby)
state = standby
endif

controlP(Pcmd_usr);
controlQ(Qcmd_usr);
endwhile

while(state=standby and grid_ok=1)
stop gating;
Pcmd_usr = 0;
Qcmd_usr = 0;

if (command = runPQ)
state = runPQ;
endif
endwhile
上記の制御論理では、start gatingは、命令されたアクティブスタンドバイモードからアクティブモードに戻る際のゲーティングの再開始を可能にする開始ゲーティングシーケンスである。if (command = stdby)は、ユーザがスタンドバイ指令を命令する場合にアクティブスタンドバイモードに切り替わる。if (command = runPQ)は、電力変換器200がゲーティングを開始するようにユーザによって命令される場合にアクティブモードに切り替わる。
【0077】
図3は、電力システム100がバッテリー等の電力貯蔵装置に接続されており、電力変換器がグリッドと同期される間に複数の動作モードを実施する本発明の実施例に係る電力システム100を制御する方法を示す図である。本実施形態における制御システムに対する初期化方法は、図2Aに示したそれと同じであってよく、簡単のために省略される。
【0078】
図3は、電力システム100が入力部110でバッテリー等の電力貯蔵装置に連結される実施形態を言及する。電力システム100が電力貯蔵装置に連結される際には、電力システム100は、充電及び放電能力を備える。図3に示す実施形態では、異なる別の閾値が充電モードと放電モードに対して付与される。別の閾値は、不感帯の上限値及び下限値である。
【0079】
制御器は、電力変換器200がアクティブモードであるべき(電力変換器200がゲーティングしている)か、又はアクティブスタンドバイモードであるべき(ステップ300、310、312)かを先ず判断してよい。ステップ300、310、312は、電力システム100がアクティブモードであるべきか、又はアクティブスタンドバイモードであるべきかに関して、制御器300によって行われる初期判断であってよい。代替実施形態では、制御器200は、電力システム100をアクティブモードで初期化してよく、その場合、ステップ300、310、312は、アクティブモードのままにするか、又はアクティブスタンドバイモードに進入するかに関する判断となろう。
【0080】
電力変換器200がアクティブモードであるべきか、又はアクティブスタンドバイモードであるべきかを判断する際には、制御器は、電力指令が正であるか又は負であるかを判断する(ステップ300)。正の電力指令は放電モードを示し、負の電力指令は充電モードを示す。電力指令が負(充電モード)である際には、電力指令は第1閾値と比較される(ステップ310)。電力指令が第1閾値よりも高い場合には、制御器300は、電力システム100が電力変換器200がゲーティングしていないアクティブスタンドバイモードに進入すべきであると判断し(ステップ310−NO)、制御器300は、電力指令が第1閾値よりも低くなるかどうかを判断するために、電力指令を監視し続ける。電力指令が第1閾値よりも低い場合には、制御器300は、電力システム100がアクティブモードであるべきであり、且つゲーティングが維持/開始されるべきであると判断する(ステップ320)。
【0081】
電力システム100が一旦アクティブモードに進入すると、制御器300は、電力指令が閾値よりも高く、電力システム100がアクティブスタンドバイモードに進入すべきかどうかを判断するために、電力指令を監視し続ける(ステップ330−NO)。本方法は、停止指令を受信するステップを含んでもよい(ステップ340)。これは、マスタ制御器400からの指令、又はユーザにより入力された指令であってよい。停止指令が受信された場合には、電力変換器200は動作を停止する。
【0082】
電力指令が正(放電モード)である際には、電力指令は第2閾値と比較される(ステップ312)。電力指令が第2閾値よりも低い場合には、制御器300は、電力システム100が電力変換器200がゲーティングしていないアクティブスタンドバイモードに進入すべきであると判断し(ステップ312−NO)、制御器300は、電力指令が第2閾値よりも高くなるかどうかを判断するために、電力指令を監視し続ける。電力指令が第2閾値よりも高い場合には、制御器300は、電力システム100がアクティブモードであるべきであり、且つゲーティングが維持/開始されるべきであると判断する(ステップ322)。
【0083】
電力システム100が一旦アクティブモードに進入すると、制御器300は、電力指令が閾値よりも低く、電力システム100がアクティブスタンドバイモードに進入すべきかどうかを判断するために、電力指令を監視し続ける(ステップ332−NO)。本方法は、停止指令を受信するステップを含んでもよい(ステップ342)。これは、マスタ制御器400からの指令、又はユーザにより入力された指令であってよい。停止指令が受信された場合には、電力変換器200は動作を停止する。
【0084】
次の制御論理は、制御器が、電力指令が充電指令であるか、又は放電指令であるかを判断しており、該判断に基づき、電力指令を第1(充電)閾値と第2(放電)閾値のうちの一方と比較している例示的実施形態を示す。上記の例示的実施形態と同様に、電力システム100は、アクティブモードで初期化されてよい。以下の例示的実施形態では、第1及び第2閾値の各々は、アクティブモード及びアクティブスタンドバイモード間の高速切替を防止するために上限値及び下限値を含む。以下の例示的実施形態では、電力指令は有効電力(P)指令である。
【0085】
while(state=runPQ and grid_ok=1)
if (Pcmd_usr <= 0)
if (Pcmd_usr < Pchg_up)
active_stdby = OFF;
elseif (Pcmd_usr > Pchg_lo)
active_stdby = ON;
endif
else
if (Pcmd_usr > Pdis_up)
active_stdby = OFF;
elseif (Pcmd_usr < Pdis_lo)
active_stdby = ON;
endif
endif

if (active_stdby = ON)
stop gating;
endif

if(active_stdby = OFF)
start gating;
endif

controlP(Pcmd_usr);
controlQ(Qcmd_usr);

endwhile
上記の制御論理では、while(state=runPQ and grid_ok=1)は、グリッド・タイモードで実行している電力システム100を言及する。if(Pcmd_usr <= 0)は、電力指令が負であるかどうかを確認する。この場合、電力システム100は充電モードである。if (Pcmd_usr < Pchg_up)は、充電モード時に、電力/充電指令が第1(充電)閾値の上限値よりも低いか(これは、充電変換が負電力であるので、更なる充電が命令(指示)されるという意味)を確認する。elseif (Pcmd_usr > Pchg_lo)は、充電モード時に、充電指令が第1閾値の下限値よりも高いか(これは、電力/充電指令が低く、不感帯内であるという意味)を確認する。elseは、電力指令が正である場合を言及する。この場合、システムは放電モードである。if (Pcmd_usr > Pdis_up)は、放電モード時に、電力/充電指令が第2閾値の上限値よりも高いかを確認する。elseif (Pcmd_usr < Pdis_lo)は、放電モード時に、電力/充電指令が第2閾値の下限値よりも低いかを確認する。
【0086】
上記の制御論理では、制御器は、有効及び/又は無効電力指令を閾値と比較する。これらの指令は、マスタ制御器400によって受信されてよく、又は制御器300自体によって自律的に生成されてよい。次の制御論理は、有効電力指令が、制御器300によって(例えば、Hz−Watt関数を用いて)グリッド周波数の関数として設定される例示的実施形態を示す。無効電力指令は、Volt−VARタイプの関数に基づいて制御器300によって設定されてよい。以下の例示的な制御論理では、グリッド周波数は、アクティブモードに進入するか、又はアクティブスタンドバイモードに進入するかを判断するために、周波数閾値と比較される。周波数閾値は、上限値及び下限値を含み、これらは不感帯の上限値及び下限値を形成する。
【0087】
while(state=runPQ and grid_ok=1)
grid_connect

if (GridFrequency <= minGridF or GridFrequency >=maxGridF)
controlP(FComp(GridFrequency));
active_stdby = OFF;
elseif (GridFrequency > minGridF AND GridFrequency< maxGridF)
active_stdby = ON;
endif

if (active_stdby = ON)
stop gating;
endif

if(active_stdby = OFF)
start gating;
endif

endWhile
上記の制御論理に対して、if (GridFrequency <= minGridF or GridFrequency >=maxGridF)は、グリッド周波数が閾値/不感帯の下限値及び上限値から外れる状況を言及する。この場合、アクティブスタンドバイモードはOFFである。controlP(FComp(GridFrequency))は、グリッド周波数の関数として電力指令を設定する制御関数である。Fcompは、グリッド周波数(例えばHz−Watt関数)に基づき電力指令を戻す関数である。Fcompは、そのような電力指令を戻す任意の公知の関数であってよく、閉ループ又は開ループ関数であってよい。例えば、Fcompは、グリッドレベルがある周波数よりも上又は下である場合に、インバータが所定電力(例えば、100%又は−100%電力)で応答する関数であってよい。Fcompは、電力システム、又は電力システムのユーザによって有効とされるオプションであってよい。例えば、電力変換器200は、Fcompが有効ではない限り、通常グリッド・タイモードで動作してよい。elseif (GridFrequency > minGridF AND GridFrequency< maxGridF)は、グリッド周波数が不感帯内に収まる状況を言及する。この場合、インバータは0kWを出力するように設定され、アクティブスタンドバイがONにされる。FCompの不感帯範囲の設定例は、minGridF = 59.7 Hz及びmaxGridF = 60.5 Hzである。
【0088】
上記の例示的な制御論理では、不感帯/閾値は、周波数不感帯/閾値である。言い換えると、グリッド周波数は、アクティブスタンドバイモードに進入するかどうかを判断するために、不感帯/閾値の上限値及び下限値と比較される。他の実施形態では、この動作は、電力指令が電力不感帯と比較される上記の制御論理のうちのいずれかと同時に有効とされる。例えば、controlP(FComp(GridFrequency))を用いて設定された自律的に生成された電力指令は、グリッド周波数が周波数閾値/不感帯と比較されると同時に、電力閾値/不感帯と比較されてよい。
【0089】
上記の制御論理では、制御器300は、電力変換器200がグリッドと同期される間に、電力変換器200をアクティブ又はアクティブスタンドバイモードに制御する。マイクログリッド用途では、電力システム100は、グリッド接続部160でマイクログリッド及びユーティリティグリッドに接続されてよい。ユーティリティグリッドは、停電等のグリッド事象を受けてよい。そこでは、電力システム100はグリッドから切断し、独立(又は単独運転)モードに移行する必要があり、その間、電力システム100の電源は、マイクログリッドの局所的負荷に電力を供給する必要がある。
【0090】
図4を参照すると、制御器は、グリッド事象が発生したと先ず判断してよい(ステップ400)。制御器は、センサ150よる測定を用いてグリッド事象を検知することにより、グリッド事象が発生したと判断してよい。グリッド事象は、例えば停電であってよい。グリッド事象は、センサ150によって測定されてよいグリッド電圧又は周波数が、所定境界値から外れるかどうかに基づいてもよい。代替実施形態では、グリッド事象は、マイクログリッドの動作を調和しているマスタ制御器400によって検知されてよい。そしてマスタ制御器400は、グリッド事象が発生したことを示す制御信号を制御器300に送信してよい。制御信号の受信時には、制御器300は、グリッド事象が生じたと判断する。
【0091】
一旦制御器300が、グリッド事象が生じたと判断すると、制御器300は、単独運転スイッチを開いて電力システム100をグリッドから切断するように、制御信号を単独運転スイッチに送信する(ステップ410)。単独運転スイッチは、グリッド側スイッチ130とは別のスイッチである。グリッド側スイッチ130は、マイクログリッドとユーティリティグリッドとの両方に対する接続を含むグリッド接続部160から、電力変換器200を切断する。或いは、単独運転スイッチは、電力システム100をユーティリティグリッドからは切断するが、マイクログリッドからは切断しない。代替実施形態では、マスタ制御器400は、制御信号を制御器300によりはむしろ単独運転スイッチに送信してよい。
【0092】
電力システム100が一旦ユーティリティグリッドからは切断されると、マイクログリッドの局所的負荷に電力を供給をするためには電力システム100が必要である。よって、電力システム100がアクティブスタンドバイモードの場合には、制御器300は、局所的負荷に電力を供給できるように、電力変換器を制御してゲーティングを開始する(ステップ430)。制御器300がグリッドが利用可能であると一旦判断すると(ステップ430)、電力システム100は、グリッドに再接続できる(ステップ440)。電力変換器がグリッドに一旦再接続及び同期されると、制御器300は、例えば図2B又は図3に戻ることにより(ステップa)、電力システム100がアクティブモードであるべきか、又はアクティブスタンドバイモードであるべきかを、再度判断し始めてよい。
【0093】
制御器300が、単独運転モードで動作可能な電力システム100においてアクティブモード及びアクティブスタンドバイモードで電力変換器200を動作させる例示的な制御論理は、以下を含む。
【0094】
while(state=runPQ and grid_ok=1)
grid_connect
controlP(Pcmd_usr);
controlQ(Qcmd_usr);

if (Pcmd_usr >= SupkW or Qcmd_usr >= SupkVAR)
active_stdby = OFF;
elseif (Pcmd_usr <= SlokW and Qcmd_usr <= SlokVAR)
active_stdby = ON;
endif

if (active_stdby = ON)
stop gating;
endif

if(active_stdby = OFF)
start gating;
endif

endWhile
この例示的な制御論理は、grid_connectを電力制御器器の制御システムに追加する。grid_connectに対して、制御器300は、電力システム100をユーティリティグリッドに接続させる単独運転スイッチを閉じる。グリッド事象中に電力システム100を切断するために、制御論理は、以下を含んでよい。
【0095】
if (grid_ok=0 and auto_xfr=1)
state = runUF;
endif
endwhile

while(state=runUF)
grid_disconnect;
start gating;
controlU(Ucmd_usr);
controlF(fcmd_usr);

if (grid_ok = 1 and reconnect_time=0
state = runPQ;
endif
endwhile
上記の制御論理に対して、if (grid_ok=0 and auto_xfr=1)は、グリッド事象(停電等)があるかどうか、且つ自動移行がON(システムが、ユーザの介在無しに自動的にグリッド・タイモードからマイクログリッドモードに移行するという意味)かどうかに関する判断である。grid_disconnectは、単独運転スイッチを開いて電力システム100を主要ユーティリティグリッドから切断する。start gatingは、ONではない場合にゲーティングを再び始める(言いかえれば、システムがアクティブスタンドバイモードである場合には、アクティブスタンドバイモードを退出してアクティブモードに進入する)。controlU(Ucmd_usr)は、電力変換器の出力電圧を電圧指令に制御するルーチンである。controlF(fcmd_usr)は、出力周波数を周波数指令に制御するルーチンである。if (grid_ok = 1 and reconnect_time=0)に対しては、グリッドが利用可能になり再接続カウントダウンが過ぎた場合には、電力システムはグリッド・タイモードに戻る。
【0096】
電圧指令及び周波数指令は、電力変換器200の出力電圧及び周波数に対する指令である。上記の制御論理では、これらの指令は、マスタ制御器400から制御器300によって受信したユーザ指令である。電圧指令及び周波数指令は、制御器300によって自律的に生成されてもよい。電圧指令及び周波数指令は、マイクログリッドに電力供給するためのものである。ユーザは、電圧源モード中に電圧変換器200の出力電圧及び/又は周波数の変更を望む可能性がある。ユーザは、負荷での電圧が所望電圧よりも低いようなローカル伝送の電圧降下がある場合にそのような変化を望む可能性がある。
【0097】
開示された実施形態は、電力変換器200が、グリッドと同期される際に複数のモードで動作可能である電力システム及び方法を提供する。複数のモードは、アクティブスタンドバイモードを含み、その間、電力システムのスイッチ120及び130は閉じられ、電力変換器200はグリッドと同期されるが、電力変換器200の半導体スイッチはゲーティングしていない。電力システム100の制御器300は、不感帯/閾値を用いて電力指令を不感帯/閾値と比較することにより、アクティブスタンドバイモードとアクティブモードとの間の移行を効率的に制御する。本開示の実施形態と同様、開示された電力システム100は、有利には、アイドル状態から満充電又は放電状態に移行する際に、応答時間が早い。本開示の実施形態と同様、開示された電力システム100は、電力の非出力中に電力変換器200をグリッドと同期させることに特有な損失を被ることのない高速な応答時間を提供する。開示された実施形態は、エネルギーを節約する応答時間が早い電力システムを提供する。
【0098】
バッテリーは、図2から図4及び上記の制御論理と関連して説明された上記の実施形態における入力部に接続された例示的な電源として与えられるが、本発明は、電源としてバッテリーを使用することに限定されないことは理解されよう。例えば、本発明の実施形態は、風力タービンや太陽電池/ソーラーパネル等の、電力の需要又は生成が必ずしも常ではない任意の電源に適している。
【0099】
本開示の範囲から逸脱することなく、開示された電力システムに対して各種の修正や変更が可能であることは当業者には明らかであろう。本開示の他の実施形態は、明細書を考慮して本開示を実施することによって当業者には明らかであろう。明細書及び実施例は例示としてのみ考慮され、また本開示の真の範囲は、以下の請求項の範囲とその同等物により示されることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6