(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6420010
(24)【登録日】2018年10月19日
(45)【発行日】2018年11月7日
(54)【発明の名称】多条の金属板の張力調整装置及びこれよる金属板張力調整方法、及び多条の金属板の巻取り方法
(51)【国際特許分類】
B21C 47/02 20060101AFI20181029BHJP
B21C 47/26 20060101ALI20181029BHJP
【FI】
B21C47/02 E
B21C47/26 F
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-76733(P2018-76733)
(22)【出願日】2018年4月12日
【審査請求日】2018年4月12日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000149619
【氏名又は名称】大野ロール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001922
【氏名又は名称】特許業務法人 日峯国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】箭内 勝彦
【審査官】
坂口 岳志
(56)【参考文献】
【文献】
特開平04−182024(JP,A)
【文献】
実公昭50−016033(JP,Y1)
【文献】
特公昭48−019067(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21C 45/00−49/00
B65H 27/00
B21B 1/00−11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下一対のロールを備えた圧延機で製造され、スリッターで帯状の多条の金属板に加工され、張力が調整されて巻取り機に多条のコイル状に巻き取られるときの当該多条の金属板の張力調整装置において、
スリッターと巻取り機との間に設置され、多条の金属板に張力を付与する張力調整ローラ及び該張力調整ローラに対する多条の金属板の抱き付き量を設定可能なデフレクタ調整手段を備え、
前記張力調整ローラが、その外周面にライニング装着された、前記張力調整ローラよりも硬度が低い弾性材料から弾性材料からなるライニングを備え、前記張力調整ローラよりも硬度が低い弾性材料からなる弾性材料ライニングは、その外周面に、幅と深さを持つ環状溝と環状溝間に形成された突起からなる形態を備え、当該形態の間隔が多条の金属板の各金属板幅よりもピッチ間隔を小さくして、当該環状溝と突起からなる形態が各金属板幅内に複数配設されて設けられ、
前記張力調整ローラは、前記デフレクタ調整手段による、抱き付き量が調整されたことで、多条の全金属板の張力を調整し、多条の金属板に複数の溝が前記張力付与ローラよりも硬度が低い弾性材料からなる弾性材料ライニングに設けられた形態が、多条の各条の金属板の張力を調整することで、多条の金属板張力を均一化する形態に調整すること
を特徴とする多条の金属板の張力調整装置。
【請求項2】
請求項1記載された多条の金属板の張力調整装置において、前記張力付与ローラよりも硬度が低い弾性材料からなる弾性材料ライニングが、ゴムライニング、樹脂ライニングであることを特徴とする多条の金属板の張力調整装置。
【請求項3】
請求項1記載された多条の金属板の張力調整装置において、
前記張力調整ローラの長手方向に溝が設けられ、前記環状溝と当該溝とが十字状の溝構造を形成することを特徴とする多条の金属板の張力調整装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載された多条の金属板の張力調整装置において、前記デフレクタ調整手段が、デフレクタロールであり、駆動装置によって張力調整ローラに対する相対位置が変えられて抱き付き量が調整されることを特徴とする多条の金属板の張力調整装置。
【請求項5】
上下一対のロールを備えた圧延機で製造され、スリッターで帯状の多条の金属板に加工され、張力が調整されて巻取り機に多条のコイル状に巻き取られるときの当該多条の金属板の張力調整装置であって、
スリッターと巻取り機との間に設置され、多条の金属板に張力を付与する張力調整ローラ及びこの張力調整ローラに前段、後段もしくは双方の段に当該張力調整ローラに対する多条の金属板の抱き付き量を設定可能なデフレクタ調整手段を備えた多条の金属板の張力調整装置による多条の金属板の張力調整方法において、
張力調整ローラに、その外周面に装着された、張力調整ローラよりも硬度が低い弾性材料からなるライニングを形成し、張力調整ローラよりも硬度が低い弾性材料からなる弾性材料ライニングを、その外周面に、幅と深さを持つ環状溝と環状溝間に形成された突起からなる形態を備え、当該形態の環状溝間隔が多条の金属板の各金属板幅よりもピッチ間隔を小さくして、当該環状溝と突起からなる形態を各金属板幅内に複数配設し、
前記デフレクタ調整手段による、抱き付き量が調整されたことで、多条の全金属板の張力を調整し、多条の金属板に複数個の溝が張力調整ローラよりも硬度が低い弾性材料からなる弾性材料ライニングに設けられた形態にしたことで、多条の各金属板の張力を調整して、多条の金属板の張力を同時に均一化調整すること
を特徴とする多条の金属板の張力調整装置による多条の金属板の張力調整方法。
【請求項6】
請求項5に記載された多条の金属板の張力調整装置による多条の金属板の張力調整方法において、
当該形態の間隔が多条の金属板の各金属板幅よりもピッチ間隔を小さくして、環状溝を各金属板幅内に4ないし5個配設し、各条の各金属板の張力を調整することを特徴とする条の金属板の張力調整装置による多条の金属板の張力調整方法。
【請求項7】
請求項5又は6に記載された多条の金属板の張力調整方法によって多条の金属板の張力が均一化調整された多条の金属板を巻取り機で巻き取ることを特徴とする多条の金属板の巻取り方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多条の金属板の張力調整装置及びこれよる金属板張力調整方法、及び多条の金属板の巻取り方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上下一対のプレスロールからなるロールプレス機あるいは圧延機製造された、帯状の金属板が多条の金属板に加工され、張力を付与されて巻取り機に多条のコイル状に巻き取られる。多条の帯状の金属板を巻き取る巻取り機の前段に配置されて、巻取り時に巻き取り張力を付与する張力付与ロールが用いられる。
【0003】
特許文献1には、ロールの外周部に設けた弾性材料に、かみそり等の極薄い刃物によって所定深さの切込みを周方向に多数形成することが記載される。
【0004】
特許文献2には、ロールの外周部に設けた弾性材料に、周方向に沿った環状溝を形成し、この溝に変形抑制材を固定することが記載される。
【0005】
特許文献3には、硬さの異なる合成樹脂、ファイバー、ゴム含浸織布などの弾性ランニング材を、軟質材と硬質材を交互にロール長手方向に配設した搬送ロールが記載される。
【0006】
特許文献4には、ロールプレス機と巻取り機との間にダンサーロールを備えて、このダンサーロールに対して抱き付き角度を調整設定することが記載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3208752号公報
【特許文献2】特開平9−141330号公報
【特許文献3】特公平6−79734号公報
【特許文献4】特許第5801464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
多条の帯状であって多条の金属板を一つの巻取り機で巻き取る時に、多条の金属板の各金属板は、板厚が必ずしも一定ではないので巻き取られたコイルの巻径に差が生じることがある。
【0009】
このような差が生じるとコイルの巻き締め力が強くなったり弱くなったりしてコイルに滑りが生じる恐れがある。
【0010】
このために、上述した特許文献1、2、3に記載されるように、張力付与ロールの外周に弾性材料を嵌装し、弾性材料に切り込みを設けて張力調整することがなされ、特許文献4に記載されるように、ダンサーロールを設けて張力調整することが提案された。
【0011】
稼働率を向上し、生産性を上げるために、巻取りスピードを上げることが求められ、コイル巻取り時における巻き締め力を均一、すなわち多条の金属板の各金属板の張力がより迅速により厳密に調整されることが求められるようになった。
【0012】
特許文献1、2あるいは3に記載のロール構造技術による張力調整にあっては、多条の金属板の各金属板の張力を均一化してより迅速により厳密に調整することができない。特許文献2記載の技術は、ロール変形抑制に関するものであり、多条の金属板の各金属板の張力がより迅速により厳密に調整することができない。特許文献4に記載のダンサーロールは、ダンサーロール下流側のガイドロール本数を低減し、しわの低減するために使用され、スリットされた多条の金属板について全金属板の張力を調整するものではない。
本発明は、かかる点に鑑み多条の金属板の張力を均一化してより迅速により厳密に調整することを可能とし、コイル巻取り時における巻き締め力を均一化する形態で、すなわち多条の金属板の各金属板の張力がより迅速により厳密に均一形態に調整され得、多条の金属板巻取りの稼働率を向上させ、生産性を上げることの要請に応え、巻取りスピードを上げることを可能とすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上下一対のロールを備えた圧延機製造された、帯状の多条の金属板に加工され、張力が調整されて巻取り機に多条のコイル状に巻き取られるときの当該多条の金属板の張力調整装置において、
圧延機と巻取り機との間に設置され、多条の金属板に張力を調整する張力調整ローラ及び該張力調整ローラに対する多条の金属板の抱き付き量を設定可能なデフレクト調整手段を備え、
前記張力付与ローラが、その外周面に嵌装された、前記張力調整ローラよりも硬度が低い弾性材料からなる弾性材料ライニングを備え、前記張力付与ローラよりも硬度が低い弾性材料からなる弾性材料ライニングは、その外周面に溝が、多条の金属板の各金属板幅よりもピッチ間隔を小さくされて、多条の金属板に複数個配設される形態で設けられ、
前記張力調整与ローラは、前記デフレクト調整手段による、抱き付き量が調整されたことで、多条の全金属板の張力を調整し、多条の金属板に複数の溝が前記張力調整ローラよりも硬度が低い弾性材料からなる弾性材料ライニングに設けられた形態が、多条の金属板の張力を調整することで、多条の金属板の張力を均一化する形態に調整すること
を特徴とする多条の金属板の張力調整装置を提供する。
【0014】
本発明は、上述された多条の金属板の張力調整装置において、前記張力付与ローラよりも硬度が低い弾性材料からなる弾性材料ライニングが、ゴムライニング、樹脂ライニングであることを特徴とする多条の金属板の張力調整装置を提供する。
【0015】
本発明は、上下一対のロールを備えた圧延機製造された、帯状の多条の金属板に加工され、張力が調整されて巻取り機に多条のコイル状に巻き取られるときの当該多条の金属板の張力調整装置において、
圧延機と巻取り機との間に設置され、多条の金属板に張力を調整する張力調整ローラ及び該張力調整ローラに前段、後段もしくは双方の段に当該張力調整ローラに対する多条の金属板の抱き付き量を設定可能なデフレクタ調整手段を備え、
前記張力調整ローラが、その外周面に不織布ライニングを備え、前記不織布ライニングが、多条の金属板に接触する形態で設けられ、
前記張力調整ローラは、前記デフレクタ調整手段による、抱き付き量が調整されたことで、多条の全金属板の張力を調整し、多条の金属板に装着された不織布ライニングに設けられた形態が、多条の金属板の張力を調整することで、多条の金属板張力を均一化する形態に調整すること
を特徴とする多条の金属板の張力調整装置を提供する。
【0016】
本発明は、上述された多条の金属板の張力調整装置において、前記デフレクタ調整手段が、デフレクタロールであり、駆動装置によって張力調整ローラに対する相対位置が変えられて抱き付き量が調整されることを特徴とする多条の金属板の張力調整装置を提供する。
【0017】
本発明は、上下一対のロールを備えた圧延機製造された、帯状の多条の金属板に加工され、張力が調整されて巻取り機に多条のコイル状に巻き取られるときの当該多条の金属板の張力調整装置であって、
圧延機と巻取り機との間に設置され、多条の金属板の張力を調整する張力調整ローラ及び該張力調整ローラに前段、後段もしくは双方の段に当該張力調整ローラに対する多条の金属板の抱き付き量を設定可能なデフレクタ調整手段を備えた多条の金属板の張力調整装置による多条の金属板の張力調整方法において、
前記張力調整ローラに、その外周面に嵌装された、前記張力調整ローラよりも硬度が低い弾性材料からなるライニングを形成し、前記張力調整ローラよりも硬度が低い弾性材料からなる弾性材料ライニングを、その外周面に溝が、多条の金属板幅よりもピッチ間隔を小さくして多条の金属板の各金属板に複数配設される形態で設け、
前記デフレクト調整手段による、抱き付き量が調整されたことで、多条の全金属板の張力を調整し、多条の金属板に複数個の溝が前記前記張力調整ローラよりも硬度が低い弾性材料からなる弾性材料ライニングに設けられた形態にしたことで、多条の金属板の張力を調整して、多条の金属板張力を同時に均一化調整すること
を特徴とする多条の金属板の張力付与装置による多条の金属板の張力調整方法を提供する。
【0018】
本発明は、上下一対のロールを備えた圧延機製造された、帯状の多条の金属板に加工され、張力が調整されて巻取り機に多条のコイル状に巻き取られるときの当該多条の金属板の張力調整装置であって、
圧延機と巻取り機との間に設置され、多条の金属板に張力を付与する張調整与ローラ及び該張力調整ローラに対する多条の金属板の抱き付き量を設定可能なデフレクタ調整手段を備えた多条の金属板の張力調整装置による多条の金属板の張力調整方法において、
前記張力調整ローラが、その外周面に不織布ライニングを備え、前記不織布ライニングが、多条の各金属板に接触する形態で設けられ、
前記張力調整ローラは、前記デフレクタ調整手段による、抱き付き量が調整されたことで、多条の全金属板の張力を調整し、多条の金属板に装着された不織布ライニングに設けられた形態が、多条の金属板の張力を調整することで、多条の金属板張力を均一化調整すること
を特徴とする多条の金属板の張力調整装置による多条の金属板の張力調整方法を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、デフレクタ調整手段による、抱き付き量が調整されたことで、多条の全金属板の張力を調整し、多条の金属板が弾性材によって個別に張力が調整されるようにした形態にし、両者の調整を組み合わせることで多条の金属板張力を同時に均一化された形態に調整することができる。
【0020】
これによって、多条の金属板の張力を均一化する均一化調整をしてより迅速により厳密に調整することが可能とされ、コイル巻取り時における巻き締め力を均一化することが可能とされ、すなわち多条の金属板の各金属板の張力がより迅速により厳密に均一形態に調整され得、多条の金属板巻取りの稼働率を向上させ、生産性を上げることの要請に応え、巻取りスピードを上げることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施例である多条の金属板の張力調整装置を示す図
【
図2】多条の金属板の張力調整装置によって張力が調整される多条の金属板を示す図
【
図4】多条の金属板の張力調整装置の他の変形例を示す図
【
図5】多条の金属板の張力調整装置の張力調整ロールの詳細を示す図
【
図6】ゴムライニングの外周部に形成された溝の詳細を示す図
【
図7】ゴムライニングの外周部に、溝及び長手方向の溝が設けられた図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施例について図面に基づいて説明する。
【0023】
図1は、本発明の実施例である多条の金属板の張力調整装置100を示す図である。本発明で、金属板は金属クラット板を含む概念で使用される。
図2は、多条の金属板の張力調整装置100によって張力が付与される多条の金属板2(スリットが入れられた多条の金属板)を示す図である。各条の金属板2Aの板幅は、例えば、25mmである。
【0024】
これらの図において、張力調整装置100は、張力調整ローラ10を備え、上下一対の作業ロールあるいは上下一対のプレスロールからなるロールプレス機(図示せず)で製造された帯状の金属板1が多条の金属板2に加工され、張力が均一化調整されて巻取り機3に多条のコイル状に巻き取られる。以下、ロールプレス機は、圧延機の概念に含まれることで説明する。帯状の金属板1がスリッター4によって多条の金属板2に形成される。形成された多条の金属板2は、張力が調整されて巻取り機3に多条のコイル状に巻き取られる。多条の金属板2は、多い場合には金属板2Aが16〜20条にもなる場合がある。
【0025】
図3は、多条の金属板の張力調整装置100の詳細を示す図である。
図3(a)は、
図1における多条の金属板の張力調整装置100の詳細を示す図である。
図3(b)は、
図3(a)の変形された例を示す図である。
【0026】
図3(a)において、張力調整ローラ10に前段、後段もしくは双方の段にデフレクタロール11、12を備え、デフレクタロール11、12は、張力調整ローラ10に対する多条の金属板2の抱き付き量を設定可能にする。デフレクタロール11、12は、駆動装置13、14に駆動ロッド15、16を介して連結される。
【0027】
デフレクタロール11、12は、駆動装置13、14によって、図に示さるように所定の角度内で転動され、張力調整ローラ10に対する相対位置を変え、張力調整ローラ10に対する多条の金属板2の接触開始角度あるいは接触終了角度を変え、多条の金属板2の抱き付き量の設定を変える。多条の金属板2の抱き付き量が調整可能である。本実施例で、多条の金属板2の抱き付き量と記載された場合、多条の全金属板2の抱き付き量を指す。
【0028】
多条の金属板2は、巻き取り機3の直前に配置されたガイドロール5のよって巻き取り機3に案内される。
【0029】
図3(b)は、
図3(a)に示す多条の金属板の張力調整装置100の変形例を示し、デフレクタロール11A、12Aは、張力調整ローラ10に駆動ロッド15A、16Aを介して駆動装置13A、14Aに装着される。駆動装置13A、14Aは、矢印で示されるように水平方向に移動可能とされ、これに伴って、デフレクタロール11A、12Aが水平方向に移動される。このように移動されることで、デフレクタロール11A、12Aは、駆動装置13A、14Aによって、図に示さるように所定の角度内で転動され、張力調整ローラ10に対する相対位置を変え、張力調整ローラ10に対する多条の金属板2の接触開始角度あるいは接触終了角度を変え、多条の金属板2の抱き付き量の設定が変えられる。多条の全金属板2の抱き付き量が調整可能とされ、多条の各金属板2Aの抱き付き量が調整可能とされる。
【0030】
図4は、多条の金属板の張力調整装置100の他の変形例を示す図である。
【0031】
張力調整装置100は、上下一対の張調整ロール10A、10Bによって形成され、上下一対の張力調整ロール10A、10Bは、鉛直方向をずらして、図に示す場合には、鉛直線A、Bで示されるように、下の張力調整ロール10Bが下流側にずらされ、配置され、上端が張力調整ロール10Aの下端よりも上側配置とされ、双方の張力調整ロール10A、10Bで多条の金属板2を挟持することで、多条の金属板2に調整された張力を生成させる。
【0032】
図5は、多条の金属板の張力調整装置100の張力調整ロール10(以下、10A、10Bを含む。)の詳細を示す図である。
【0033】
張力調整ロール10は、円筒状をなし、側面21に駆動源(図示せず)に連結可能な回転軸22が装着されて、回転可能であり、その外周面に、ゴムライニング23が嵌挿によって装着される。ゴムライニング23は、弾性機能を持つ。
【0034】
図6は、ゴムライニング23の外周部に形成された溝30の詳細を示す図である。
【0035】
図6(a)に示されるように、溝30は、周方向に溝幅一定の環状溝とされ、ロールの長手方向に等間隔を持って形成され、溝間は突起32が形成される。溝30は、例えば溝幅が1mm、溝深さが2mmとされ、溝端間隔が5mmとされる。
上述したように各条の金属板2Aの幅は、25mmであるので、
図6(b)に示されるように、各条の金属板2Aには、4ないし5個程度の溝数が設定される。少なくとも複数配設される形態となる。
【0036】
ゴムライニング23の外周部には、ロールの長手方向に溝が設けられ得る。
【0037】
図7は、ゴムライニング23の外周部の形状を示す図である。
【0038】
図7において、ゴムライニング23の外周部に、溝30及び長手方向の溝31が設けられる。溝30と溝31とは、ゴムライニング23の外周部上で、十字状をなす。溝30と溝31とで形成される突起32は、島状で格子状の形態となる。溝30が上述した機能を有するのに対して、溝31は、金属板の板幅方向に設けられて金属板上に付着した不純物をふき取り、削り落とすなどのすり落し機能を持つ。
【0039】
上述した構成にあっては、ゴムライニング23が使用されたが、張力調整ローラよりも硬度が低い弾性材料からなる弾性材料ライニングが使用可能である。張力調整ローラよりも硬度が低い弾性材料からなる弾性材料ライニングとしては、ゴムライニングのほか、樹脂ライニングまたは不織布ライニングが使用可能である。ゴムライニング材あるいは樹脂ライニング材としては、天然ゴム、合成ゴム、ゴム状の弾性を有する合成樹脂、硬質の熱可塑性、熱硬化性合成樹脂、例えば、NBRゴム材料、ウレタン樹脂材料を用い得る。
【0040】
ゴムライニングあるいは樹脂ライニングの場合には、ゴムライニングあるいは樹脂ライニングの外周部には、ロールの円周方向に設けた溝30に加えて、ロールの長手方向(多条の各金属板の板幅方向)に溝31が設けられる。
【0041】
不織布ライニングの場合には、不織布自体が柔軟性を有し、優れた耐エッジ性を有して、多条の各金属板に追随して高い摩擦係数を有し、高い粘り性を有し、また表面状態が多条の金属板に転写されないという特徴を有した形態となっているので、溝形成加工をする必要がなく使用することが出来る。不織布ライニングは、弾性機能を有し、多条の各金属板に追随して個別に張力調整機能を発揮するので、溝持ち構造のゴムライニングの場合と同じに、多条の各金属板に対応して独立して個々に弾性作用域を有することになって、溝持ち構造のゴムライニングに十分に代替する。
【0042】
不織布は、よく知られており、天然繊維又は合成繊維で形成され、細かい桝目状、あるいはハニカム状に編まれて形成され、外方からは繊維間に無数の空隙を有するが狭小な空隙のため外部からは見えない。天然繊維としては、綿、麻、羊毛、絹等がある。合成繊維としては、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリオレフイン系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリ塩化ビニリデン系繊維、ポリウレタン系繊維等がある。
【0043】
また、上述した構成にあっては、デフレクタロール11、12を設けて張力調整ローラに対する多条の金属板の抱き付き量を設定したが、他の手段によって張力調整ローラに対する多条の金属板の抱き付き量を設定するようにしてもよい。例えば、上述した例では、張力調整ロール10が、固定されて設けられたが、張力調整ロール自体が一定の角度において転動できるようにしてもよい。
【0044】
本実施例によれば、デフレクタ調整手段による、抱き付き量が調整されたことで、多条の全金属板の張力を一体に調整し、多条の金属板が弾性材によって個別に張力を調整されるようにした形態にし、両者の全体一体調整及び個別調整を組み合わせることで多条の全金属板の張力を同時に均一化された形態に調整することができる。
【0045】
以上の構成によれば、ロールプレス機と巻取り機との間に設置され、多条の金属板に張力を付与する張力調整ローラ及びこの張力調整ローラに前段、後段もしくは双方の段に当該張力調整ローラに対する多条の金属板の抱き付き量を設定可能なデフレクタ調整手段を備え、
張力調整ローラが、その外周面に嵌装、すなわち装着された、張力調整ローラよりも硬度が低い弾性材料からなる弾性材料ライニングを備え、張力調整ローラよりも硬度が低い弾性材料からなる弾性材料ライニングは、その外周面に溝が、多条の金属板の各金属板幅よりもピッチ間隔を小さくされて、各金属板に複数配設される形態で設けられた。
【0046】
この構成によって、張力調整ローラは、デフレクタ調整手段による、抱き付き量が調整されたことで、多条の全金属板の張力を調整し、多条の各金属板に複数の溝が張力調整ローラよりも硬度が低い弾性材料からなる弾性材料ライニングに設けられた形態が、多条の各金属板の張力を調整することで、多条の全金属板の張力を同時に均一化する形態に調整する。
【0047】
また、上述の構成によって、張力調整ローラは、デフレクタロールによる、抱き付き量が調整されたことで、多条の全金属板の張力を調整し、多条の各金属板に複数の溝が張力調整ローラよりも硬度が低い弾性材料であるゴムあるいは樹脂からなるライニングに設けられた形態が、各条の金属板の張力を調整することで、多条の全金属板の張力を同時に均一化する形態に調整する。
【0048】
また、上述の構成によって、張力調整ローラが、その外周面に不織布ライニングを備え、不織布ライニングが、多条の各金属板に接触する形態で設けられ、
張力調整ローラは、デフレクタ調整手段による、抱き付き量が調整されたことで、多条の全金属板の張力を調整し、多条の各金属板に装着された不織布ライニングに設けられた形態が、多条の各金属板の張力を調整することで、多条の全金属板の張力を均一化する形態に調整する(多条の全金属板の張力均一化調整)。
【0049】
もって、多条の金属板の張力を均一化してより迅速により厳密に調整することに十分対処コイル巻取り時における巻き締め力を均一化することが可能とされ、すなわち多条の金属板の各金属板の張力がより迅速により厳密に均一形態に調整され得、多条の金属板巻取りの稼働率を向上させ、生産性を上げることの要請に応え、巻取りスピードを上げることが可能となる。
【符号の説明】
【0050】
100…多条の金属板の張力調整装置、1…帯状の金属板、2…スリットが入れられた多条の金属板、2A…多条の各金属板、3…巻取り機、4…スリッター、10…張力調整ローラ、11、12、11A、12A…デフレクタロール(デフレクタ手段)、23…ゴムライニング(弾性材料ライニング)、30…ロール周方向の溝、31…ロール長手方向の溝、32…突起。
【要約】
【課題】コイル巻取り時における巻き締め力を均一形態で、すなわち多条の金属板の各金属板の張力がより迅速により厳密に均一形態に調整され得、多条の金属板巻取りの稼働率を向上させ、生産性を上げることの要請に応え、巻取りスピードを上げることを可能とする。
【解決手段】デフレクタロールによる、抱き付き量が調整されたことで、多条の全金属板の張力を調整し、各金属板に複数の溝が前記張力調整ローラよりも硬度が低い弾性材料からなる弾性材料ライニングに設けられた形態にしたことで、多条の金属板の張力を調整して、全体一体調整及び個別調整を組み合わせ、多条の金属板張力を同時に均一形態に調整する。
【選択図】
図1