特許第6420100号(P6420100)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6420100-差し込み力減少電気コネクタ 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6420100
(24)【登録日】2018年10月19日
(45)【発行日】2018年11月7日
(54)【発明の名称】差し込み力減少電気コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/11 20060101AFI20181029BHJP
【FI】
   H01R13/11 B
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-179026(P2014-179026)
(22)【出願日】2014年9月3日
(65)【公開番号】特開2015-50193(P2015-50193A)
(43)【公開日】2015年3月16日
【審査請求日】2017年8月3日
(31)【優先権主張番号】1358463
(32)【優先日】2013年9月4日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】514193166
【氏名又は名称】ハイパータック ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153084
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 康史
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100157211
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 一夫
(72)【発明者】
【氏名】パトリス レト
【審査官】 高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−500536(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0273332(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0110204(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/11
H01R 13/18
H01R 13/187
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気コネクタ(3−7)とプラグ(5)とを備える電気コネクタのセット(1)であって、
プラグ(5)を受容するためのベース(3)であって、プラグ(5)が差し込み位置において長手方向軸(L)に沿ってベース(3)に差し込み可能にされており、差し込み位置ではベース(3)とプラグ(5)が格子状空間(17)を共同で画成するようにされているベース(3)と、
接点部材(7)であって、プラグ(5)が押し込み位置にある時に半径方向に拡張するようにされ、ベース(3)とプラグ(5)の間の電気接触を確保し、接点部材(7)がそれ自身の上で長手方向軸線(L)周りに周回(21,23)を形成するように折り曲げられた金属ワイヤを含む、ようにされている、接点部材(7)と、を有し、
前記周回(21,23)の数が5以下、有利には、2以下であ
前記金属ワイヤが複数の曲げ(25,27,29,31,33)を有し、各曲げ(25,27,29,31,33)のそれぞれは、前記ベース(3)の内面(15)と電気接触する第1接触部分(25A,27A,29A,31A,33A)を含み、前記内面(15)は、長手軸方向に沿って略円柱状をなして、前記格子状空間(17)の外径(DE)を画定し、前記第1接触部分(25A,27A,29A,31A,33A)の数が有利には5であり、
前記プラグ(5)が長手軸(L)に沿う略円柱状の外周面(19)を含み、該外周面(19)が、前記差し込み位置において、前記格子状空間(17)の内径(DI)を画定し、該内径(DI)の前記外径(DE)に対する比率が、0.6以下、有利には0.5以下であり、
前記金属ワイヤが、前記差し込み位置において、前記プラグ(5)の外周面(19)と接触する第2接触部分(35B,37B,39B,41B,43B)を含む複数の略直線部分(35,37,39,41,43)を有し、前記第2接触部分(35B,37B,39B,41B,43B)の数が有利には5であり、
前記第2接触部分(35B,37B,39B,41B,43B)のそれぞれが前記プラグ(5)の前記外周面(19)と接触する、
ことを特徴とする電気コネクタ。
【請求項2】
前記第1接点部分(25A,27A,29A,31A,33A)の任意の連続した2つが、長手方向軸線(L)に直角な横方向の面(T)への投影において、外径(DE)の60%以上の長さ(D)だけ離間している、
ことを特徴とする請求項に記載の電気コネクタ(3−7)
【請求項3】
長手方向軸線(L)に直角な横方向の面(T)上で曲げ(25,27,29,31,33)が外径(DE)の30%以下の半径(R1)を有している、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電気コネクタ(3−7)
【請求項4】
前記金属ワイヤが、少なくとも90重量%の銅とベリリウムの合金を含む、ことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の電気コネクタ(3−7)
【請求項5】
前記金属ワイヤが、少なくとも90重量%の金または金−ニッケル合金の層でおおわれている、ことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の電気コネクタ(3−7)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気コネクタであって、プラグを受容するためのベースであって、プラグが長手方向軸線に沿ってベースに差し込み可能にされており、差し込み位置ではベースとプラグが格子状空間を共同で画成するようにされているベースと、接点部材であって、プラグが差し込み位置にある時に半径方向に拡張するようにされ、ベースとプラグの間の電気接触を確保する接点部材と、を有する電気コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
ベースとプラグの間の良好な電気接触を得るために、長手方向軸線の周りに配置された導電性ワイヤの織物を、ベースのハウジング内でプラグ等の上に使用することが、特許文献1から既知である。
あるいは、多数の六角形を長手方向軸線の周りに巻きつけたバネであって、バネがベースのハウジングを満たしているバネを含む接点部材を使用することが特許文献2から既知である。
しかし、このような接点部材は、良好な電気接触を提供するものの、時として、プラグのベースへの差し込み、あるいは、引抜きを、機械的に難しくしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】仏国特許出願A2816453号
【特許文献2】独国特許第3829486号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、製造容易で適用が容易な、コネクタのセットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達成するため、本発明によれば、電気コネクタであって、
プラグを受容するためのベースであって、プラグが押し込み位置の長手方向軸線に沿ってベースに押し込み可能にされており、押し込み位置ではベースとプラグが格子状空間を共同で画成するようにされているベースと、
接点部材であって、プラグが押し込み位置にある時に半径方向に拡張するようにされ、ベースとプラグの間の電気接触を確保するものであって、接点部材がそれ自身の上で長手方向軸線周りに周回を形成するように折り曲げられた金属ワイヤを含む、ようにされている、接点部材と、を有し、
前記周回の数が5以下、有利には、2以下である、
ことを特徴とする電気コネクタが提供される。
【0006】
実施形態によれば、以下の特徴の1以上を、個別に、あるいは、技術的に可能な組み合わせにより、含んでいる。
−前記金属ワイヤが、複数の曲げを有し、各曲げが、それぞれ、前記ベースの内面と電気接触する前記接点部材の第1接点部分を含み、前記内面は長手方向軸線に沿って略円形をなして、格子空間の外周直径を画定し、前記第1部分の数が有利には5である。
−前記第1接点部分の任意の連続した2つが、長手方向軸線に直角な横方向の面への投影において、外周直径の60%以上の長さだけ離間している。
−長手方向軸線に直角な横方向の面上で曲げが外周直径の30%以下の半径を有している。
−前記金属ワイヤが、複数の差し込み位置において、前記プラグの外周面と接触する、接点部材の第2部分をそれぞれ含むようにされた略直線部分を有し、第2部分の数が、有利には5である。
−前記金属ワイヤが、少なくとも90重量%の銅とベリリウムの合金を含む。
−前記金属ワイヤが、少なくとも90重量%の金または金−ニッケル合金から選択された材料の層でおおわれている。
【0007】
本発明は、上記の電気コネクタと、差し込み位置においてベース内に差し込み可能なプラグとを有する電気コネクタのセットにも関する。
特定の実施形態において、電気コネクタのセットは、以下の通りである、すなわち、プラグが長手方向軸線に沿う略円筒状の外面を備え、外面は差し込み位置において、格子状空間の内径を画成し、内径の外径に対する比率は0.6以下、好ましくは0.5以下とされている。
【0008】
本発明は一例として以下に述べられる説明を読み、添付の図面を参照することによってより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明のコネクタの長手方向軸線を通る面に沿って見た断面図である。
図2】長手軸方向から見た図である。
図3図1、2に示されている接点部材を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1を参照すると、本発明による電気コネクタのセット1が記載されている。電気コネクタのセット1は、第1の電気回路(図示せず)に接続されるようにされた雌側のベース3と、長手方向軸線Lに沿ってベース3に挿入可能にされている雄側のプラグ5とを具備し、プラグ5は第2の電気回路(図示せず)に接続されるようにされている。電気コネクタのセット1はさらに接点部材7を有する。
【0011】
ベース3は、例えば、概ねソケット形状を有している。ベース3は銅合金を、例えば、真鍮を含んでいる。ベース3は有利には長手方向軸線L周りに軸対称に形成されている。
ベース3はプラグ5を受容するハウジング9を画成する。
ベース3は、有利には、フレーム(図示せず)に取り付けを可能にするための突起11を含む。あるいは図示しないが、ベース3はクリップでフレームに取り付けることができる。
【0012】
ベース3は、接点部材7を受容するための凹部13を含む。ベース3は、凹部13の底部に軸方向に配設された内側接触面15を含む。
ハウジング9は、長手軸方向に、例えば、0.1〜0.5mmの値を有する長さL1にわたって延びている。
「差し込み(PLUGGING)」という文言は、電気的接触を得るためのプラグ5のベース3への挿入を意味している。
【0013】
凹部13は、長さL1の一部分、例えば約1/3、として、示される長手軸方向の長さL2を有する。凹部13は、有利には、長手方向軸線L周りに略円筒状を成す。図1において、プラグ5は、非差し込み状態で、ベース3から離間して示されている。プラグ5は略円筒状を成している。プラグ5が挿入状態(図示せず)においてベース3に挿入された時、ベース3と共に格子状空間17を形成する。プラグ5は外側接触面19を有する。
【0014】
格子状空間17は長手方向軸線L周りにリング状を成している。格子状空間17はベース3の内側接触面15とプラグ5の外側接触面19の間を延伸している。格子状空間17は、例えば、半径方向断面P(図1参照)に沿う長方形の部分を有する。
ベース3の内側接触面15は格子状空間17の外径DEを画成しており、有利には0.9〜2mmの間、例えば1.0〜1.3mmの値を有する。
プラグ5の外側接触面19は格子状空間17の内径DIを画成しており、有利には0.3〜0.7mmの間、例えば0.4〜0.5mmの値を有する。
DI/DE比は、有利には0.6以下、例えば0.5の値を有する。
【0015】
図2,3に明らかなように、接点部材7は周回21,23を長手軸Lの周りに形成するように折り返されている金属ワイヤから成る。
ここで、「周回」という文言は、長手方向軸線Lの周りをほぼ一周するワイヤの部分を意味している。
接点部材7は、有利には5以下の数の多数の周回を含み、好ましくは2以下とされる。図示の例においては、接点部材7は2つの周回21、23を有する。
【0016】
接点部材7を構成する金属ワイヤは、例えば、円筒状である。
ある実施形態においては、金属ワイヤは少なくとも90重量%の銅とベリリウムから成る合金を含む。有利には、金属ワイヤは、少なくとも90重量%の金または金−ニッケル合金から選択される材料の層でおおわれている。
金属ワイヤは、有利には0.05〜0.2mmの、好ましくは0.9〜0.12mmの、ワイヤ径DF(図3参照)を有する。
【0017】
金属ワイヤは、複数の連続した曲げ25,27,29,31,33(図2参照)を有する。金属ワイヤは、さらに、複数の略直線の部分35,37,39,41,43を有する。図示の実施形態においては、金属ワイヤは、部分35、曲げ25、部分37、曲げ27、部分39、曲げ29、部分41、曲げ31、部分43、曲げ33を連続して有している。
折り曲げていない状態(図示せず)においては、金属ワイヤは、有利には3〜10mm、好ましくは4〜6mmの、長さ(図示せず)を有している。
【0018】
曲げ25,27,29,31,33の数は、好ましくは5である。
曲げ25,27,29,31,33から選択された任意の2つの曲げは、長手軸L周りに約135度の角度αで、角度的に離間している。換言すれば、曲げ25,27,29,31,33は、例えば、長手方向軸線Lに関して、おおよそ0度、135度、270度、405度、540度の角度の所に配置されている。各曲げ25,27,29,31,33は約45度の角度βを成している。
【0019】
各曲げ25,27,29,31,33は、差し込み位置において、ベース3の内側表面15と第1接触部分25A,27A,29A,31A,33Aを形成する接触表面を有する。第1接触部分25A,27A,29A,31A,33Aは、略点状である。
第1接触部分25A,27A,29A,31A,33Aは、長手方向軸線Lに直角な面Tにおいて、外径DEの30%以下の半径R1を有する。
第1接触部分25A,27A,29A,31A,33Aから選択された任意の2つの連続する第1接触部分は、面Tへの投影において、外径DEの60%以上の距離Dだけ離間している。
【0020】
部分35,37,39,41,43の数は、例えば、5である、
部分35,37,39,41,43は、それぞれ、差し込み位置において、接点部材7とプラグ5の外面19の間に第2接触部分35B,37B,39B,41B,43Bを形成する接触面を含む。
第2接触部分35B,37B,39B,41B,43Bの数は有利には5であり、例えば、略点状である。
【0021】
以下、コネクタセット1の作用を説明する。
第1電気回路(図示せず)と第2電気回路(図示せず)を電気的に接触せしめるために、プラグ5が長手方向軸Lに沿ってベース3内に挿入される。
差し込み位置において、接触部材7はベース3とプラグ5の間の、したがって第1電気回路と第2電気回路の間の電気接触を、実現する。
【0022】
第1接触部分25A,27A,29A,31A,33Aのそれぞれは、ベース3の内面15と電気的に接触する。第2接触部分35B,37B,39B,41B,43Bのそれぞれは、プラグ5の外面19と接触する。
上述の特徴によって、第2接触部分35B,37B,39B,41B,43Bの数は、減少されている。プラグ5をベース3に挿入するための力は、前述した従来技術のセットの場合よりも減少している。コネクタのセット1はさらには製造が容易である。
【0023】
また、第2接触部分35B,37B,39B,41B,43Bは、長手方向軸線Lにそって互いに整列していないことにより、接点部材7によるプラグ5上の摩耗は、第2接触部分が長手方向軸線にそって互いに整列している従来技術よりも少ない。これは、良好な電気的接触を長期にわたって保証する可能性を与える。
最後に、接触部材7の周回の数が少なくされている、例えば、2周回とされている、ので接触部材7の軸方向の長さは、減少している。これは、凹部13の長さL2、および、ハウジング9の長さL1の減少を可能にしている。
【符号の説明】
【0024】
3 ベース
5 プラグ
7 接触部材
9 ハウジング
11 突起
13 凹部
15 内側接触面
17 格子状空間
19 外側接触面
21,23 周回
25,27,29,31,33 曲げ
25A,27A,29A,31A,33A 第1接触部分
35B,37B,39B,41B,43B 第2接触部分
D 任意の2つの連続する第1接触部分の離間距離
DE 格子状空間の外径
DF ワイヤ径
DI 格子状空間の内径
L 長手方向軸線
図1
図2
図3