特許第6420137号(P6420137)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6420137基板の製造方法、マスクブランクの製造方法及びインプリントモールドの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6420137
(24)【登録日】2018年10月19日
(45)【発行日】2018年11月7日
(54)【発明の名称】基板の製造方法、マスクブランクの製造方法及びインプリントモールドの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20181029BHJP
   B29C 59/02 20060101ALI20181029BHJP
   G11B 5/84 20060101ALI20181029BHJP
【FI】
   H01L21/30 502D
   B29C59/02 B
   G11B5/84 Z
【請求項の数】16
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2014-262939(P2014-262939)
(22)【出願日】2014年12月25日
(65)【公開番号】特開2016-122782(P2016-122782A)
(43)【公開日】2016年7月7日
【審査請求日】2017年11月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113343
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 武史
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 孝
(72)【発明者】
【氏名】谷口 和丈
(72)【発明者】
【氏名】打田 崇
【審査官】 山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−72415(JP,A)
【文献】 特開2014−232745(JP,A)
【文献】 特開2012−32786(JP,A)
【文献】 特開2011−148227(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3182758(JP,U)
【文献】 特開2002−86327(JP,A)
【文献】 特開2011−245816(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0301608(US,A1)
【文献】 特開2006−267506(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
B29C 59/02
G11B 5/84
C03C 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの主表面を備える基板を準備する工程と、
基板の一方の主表面における凹部形成領域に凹部を形成する工程と、
基板の他方の主表面における台座構造形成領域上に、エッチング液に対して前記基板との間でエッチング選択性を有するエッチングマスク膜を形成する工程と、
前記基板を支持するための支持具の基板当接部を前記凹部の内側の面に当接させて前記エッチングマスク膜が形成された基板を支持した状態で、前記エッチング液中に前記基板を浸漬させて前記基板のウェットエッチングを行い、前記台座構造形成領域に台座構造を形成する工程と、
を有することを特徴とする基板の製造方法。
【請求項2】
前記支持具は、少なくとも1つの基板当接部を備えた基板支持部を有しており、前記基板当接部を前記凹部の内側の側壁面又は底面と当接させることで前記基板を支持することを特徴とする請求項1に記載の基板の製造方法。
【請求項3】
基板の前記台座構造形成領域上に前記エッチングマスク膜を形成する工程は、基板の前記他方の主表面上に前記エッチングマスク膜を形成する工程と、当該エッチングマスク膜上の台座構造形成領域にレジスト膜を形成する工程と、前記レジスト膜をマスクとするエッチングを前記エッチングマスク膜に対して行い、台座構造形成領域以外の前記エッチングマスク膜を除去する工程とを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の基板の製造方法。
【請求項4】
前記台座構造を形成する工程の後、前記エッチングマスク膜を除去する工程を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の基板の製造方法。
【請求項5】
前記基板はガラスからなり、前記エッチング液はフッ酸を含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の基板の製造方法。
【請求項6】
前記エッチングマスク膜は、クロムを含有する材料で形成されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の基板の製造方法。
【請求項7】
前記凹部形成領域は、前記台座構造形成領域を含む大きさの領域であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の基板の製造方法。
【請求項8】
前記基板の中心の位置と前記凹部の中心の位置が一致している、またはこれら2つの中心の位置のずれが100μm以下であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の基板の製造方法。
【請求項9】
前記基板の中心の位置と前記台座構造の中心の位置が一致している、またはこれら2つの中心の位置のずれが100μm以下であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の基板の製造方法。
【請求項10】
前記基板の一方の主表面における凹部形成領域に凹部を形成する工程は、少なくとも1枚の所定の形状の孔を穿設してなる平板状の第1の基材と、少なくとも1枚の平板状の第2の基材とを接合することにより、接合後の基板の凹部形成領域に前記孔からなる凹部を形成することを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の基板の製造方法。
【請求項11】
前記基板は、インプリントモールドを製造するために用いられる基板であり、前記凹部を形成した方の主表面は、モールドパターンの転写を行う転写装置のモールド保持部にチャックされる面であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の基板の製造方法。
【請求項12】
前記台座構造形成領域は、インプリントモールドの製造時にモールドパターンが形成される領域であることを特徴とする請求項11に記載の基板の製造方法。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれかに記載の基板の製造方法によって製造された基板の前記台座構造を形成した方の主表面に、パターン形成用薄膜を形成する工程を備えることを特徴とするマスクブランクの製造方法。
【請求項14】
前記パターン形成用薄膜は、クロムを含有する材料で形成されることを特徴とする請求項13に記載のマスクブランクの製造方法。
【請求項15】
前記パターン形成用薄膜は、クロム金属、クロム窒化物、クロム炭化物、クロム炭化窒化物およびクロム酸化炭化窒化物のうちのいずれかの材料で形成されることを特徴とする請求項14に記載のマスクブランクの製造方法。
【請求項16】
請求項13乃至15のいずれかに記載のマスクブランクの製造方法によって製造されたマスクブランクを用いるインプリントモールドの製造方法であって、
前記パターン形成用薄膜上に形成されたモールドパターンを有するレジスト膜をマスクとし、ドライエッチングによって前記パターン形成用薄膜にモールドパターンを形成する工程と、
前記モールドパターンが形成されたパターン形成用薄膜をマスクとし、ドライエッチングによって前記基板の台座構造が形成された領域にモールドパターンを形成する工程と
を有することを特徴とするインプリントモールドの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイスの微細回路パターン作製、微細パターンにより光学的機能を付加した光学部品作製、ハードディスクドライブ等に搭載される磁気記録媒体(磁気ディスク)における磁気記録層の微細パターン形成に適用するインプリントモールドの製造方法、この製造に好適に用いられる基板の製造方法、マスクブランクの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの微細回路パターン作製、微細パターンにより光学的機能を付加した光学部品作製、ハードディスクドライブ等に搭載される磁気記録媒体における磁気記録層の微細パターン形成において、同じ微細パターンを大量に転写するためのインプリント法が用いられるようになってきている。
【0003】
インプリント法は、微細なモールドパターンが形成されたインプリントモールド(スタンパ)を原版として用い、転写対象物上に塗布された光硬化性樹脂等の液体樹脂に対してインプリントモールドを直接押し付けて紫外線等によって硬化させることにより、硬化した液体樹脂にモールドパターンを転写する方法である。このため、インプリント法によれば、同じ微細パターンを大量に転写することが可能である。
【0004】
このようにインプリントモールドは同じ微細パターンを大量に転写するための原版となるため、モールド上に形成されたモールドパターンの寸法精度は、作製される微細パターンの寸法精度に直接影響する。また、インプリントモールドは転写対象物上に塗布された液体樹脂に直接押し付けてパターンを転写するため、モールドパターンの断面形状も作製される微細パターンの形状に大きく影響する。半導体デバイス等の集積度が向上するにつれ、要求されるパターンの寸法は小さくなり、また、等倍でのパターン転写となるため、インプリントモールドの精度もより高いものが要求されるようになってきている。
【0005】
インプリントモールドは、特許文献1に開示されているように、基板の主表面の中央部に設けられた台座構造(メサ構造とも呼ぶ。)に転写パターンが形成された構成を備えたものが用いられる場合が多い。この台座構造は、主表面におけるモールドパターンが設けられている転写領域以外の領域が転写対象物の基板(半導体基板等)や液体樹脂に接触しないようにするために設けられているものである。
【0006】
インプリントモールドの一態様として、たとえば特許文献2に開示されているものが知られている。このインプリントモールドは、モールドパターンが形成されている表側の主表面とは反対側にある裏側の主表面に凹部が設けられた構成となっている。さらに、凹部が設けられていることにより、主表面におけるモールドパターンが形成されている台座構造を含む領域の基板の厚さが、その周囲の領域よりも薄くなっている。転写対象物に塗布された光硬化性樹脂等の液体樹脂にこのインプリントモールドのモールドパターンを押し付ける際、凹部内の空気圧を高くした状態にすることで、周囲よりも基板の厚さが薄くなっている領域のモールドパターンが広がる方向に湾曲する。この状態で液体樹脂に対してモールドパターンを押し付けていくと、最初にモールドパターンの中央側が液体樹脂に接触し、そこを起点にモールドパターンと液体樹脂とが接触する領域が外周側に向かって同心円状に広がっていくため、モールドパターンと液体樹脂との間に空気が封入されることを抑制することができる。
【0007】
また、液体樹脂を硬化させた後、モールドを剥離する際においても、凹部内の空気圧を高くした状態にすることで、周囲よりも基板の厚さが薄くなっている領域のモールドパターンが広がる方向に湾曲させる。これにより、硬化した液体樹脂からモールドパターン(インプリントモールド)を剥離(離型)しやすくなる。
【0008】
このような裏側の主表面に凹部が設けられたインプリントモールドを製造する場合、特許文献3の図6等に開示されているように、先に、基板表側の主表面に微細なパターンであるモールドパターンを形成してから、台座構造を形成し、さらに裏面の凹部を形成する製法を用いることが従来一般的である。これに対し、特許文献3では、基板の両主表面に台座構造と凹部を予め形成したものを製造し、これを用いてインプリントモールドを製造する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−98689号公報
【特許文献2】特表2009−536591号公報
【特許文献3】特開2014−56893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
インプリントモールドを製造するために用いられる基板の主表面に形成する台座構造の高さは、モールドパターンの掘り込み深さよりも大幅に高く、例えば30μm程度である。また、この台座構造の加工精度は、モードパターンの加工精度ほどのレベルは求められていない。このため、台座構造を形成する工程では、ドライエッチングは適用されず、エッチングレートの速いフッ酸等を用いたウェットエッチングが適用されるのが一般的である。この台座構造を形成する工程は、例えば、以下の工程で行われる。
【0011】
すなわち、最初に、ガラス等の基板の主表面の台座構造を形成する領域にウェットエッチング液に対してエッチング選択性を有するエッチングマスク膜を設ける。次にエッチングマスク膜が設けられた基板をウェットエッチング液に浸漬させ、所定高さの台座構造が形成されるまで基板をウェットエッチングする。そして、台座構造が形成された基板をウェットエッチング液から引き上げ、エッチングマスク膜を剥離する。
さらに、台座構造が形成された表側の主表面とは反対側にある裏側の主表面に機械加工で凹部を形成する。
【0012】
ところで、このようにして製造されたインプリントモールドは、転写装置の固定治具に固定される際、4つの端面の全てを挟持される。また、裏面側の凹部が形成されている領域以外の主表面も転写装置の固定治具に固定される。このため、インプリントモールドの基板の端面に求められる平坦度は、フォトリソグラフィ法によるパターン転写で用いる転写用マスクの基板の端面に求められる平坦度よりも厳しい。また、対向する2つの端面の間での平行度についても、フォトリソグラフィ法によるパターン転写で用いる転写用マスクの基板の端面に求められる平行度よりも厳しい。
【0013】
基板に台座構造を形成するためのウェットエッチングは、時間がかかるため、エッチング液の循環がむらなく行われる必要がある。ウェットエッチング液中に基板を浸漬させるウェットエッチングの工程では、基板を支持具で支持した状態で行われる。その支持具の基板支持部と基板が接触している箇所あるいはその支持部と隣接している基板の表面の領域では、それ以外の表面に比べ、エッチングが進行しにくくなる。このため、支持具の基板支持部は、台座構造を形成するウェットエッチングに与える影響が小さい位置で基板を支持することが好ましい。
【0014】
しかし、ウェットエッチングの影響が比較的小さい支持箇所である基板の端面の一部や端面近傍の主表面で基板を支持するような支持具を用いて、台座構造を形成するウェットエッチングを行うと、基板の端面や端面近傍の主表面に段差が生じてしまうという問題があり、基板端面に要求されている平坦度および平行度の品質を確保することが困難である。基板の主表面の大きさを完成品に求められている大きさよりも大きくしておき、段差が生じた部分をカットして成形する方法を適用することは可能ではある。しかし、製造工程が増えるうえに、カット工程時、カット後の研磨工程時等に新たなキズ等の欠陥が発生する可能性が高まるという問題がある。さらには、カット後の基板端面の加工精度を出す必要があり、製造上の負担が増加する。
【0015】
そこで、本発明は、このような従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、第1に、転写装置の固定治具に固定し、転写対象物にモールドパターンを精度良く転写することができるインプリントモールドの製造に好適な基板の製造方法を提供することであり、第2に、この基板の製造方法により得られる基板を用いたマスクブランクの製造方法を提供することであり、第3に、このマスクブランクの製造方法により得られるマスクブランクを用いて製造され、転写装置の固定治具に固定し、転写対象物にモールドパターンを精度良く転写することができるインプリントモールドの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検証した結果、基板の表側の主表面に台座構造を形成する工程の前に、基板裏側の主表面に凹部を形成する工程を先に行って凹部を形成しておき、次いで基板表側の主表面に台座構造を形成するウェットエッチング工程時には、基板を支持するための支持具の基板当接部が先に裏側の主表面に形成しておいた上記凹部の内側の面に当接するようにして支持具で基板を支持し、その支持具に支持された基板をウェットエッチング液に浸漬させて、基板表側の主表面に台座構造を形成するウェットエッチングを行えばよいという結論に至った。
すなわち、上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を有する。
【0017】
(構成1)
2つの主表面を備える基板を準備する工程と、基板の一方の主表面における凹部形成領域に凹部を形成する工程と、基板の他方の主表面における台座構造形成領域上に、エッチング液に対して前記基板との間でエッチング選択性を有するエッチングマスク膜を形成する工程と、前記基板を支持するための支持具の基板当接部を前記凹部の内側の面に当接させて前記エッチングマスク膜が形成された基板を支持した状態で、前記エッチング液中に前記基板を浸漬させて前記基板のウェットエッチングを行い、前記台座構造形成領域に台座構造を形成する工程と、を有することを特徴とする基板の製造方法である。
【0018】
(構成2)
前記支持具は、少なくとも1つの基板当接部を備えた基板支持部を有しており、前記基板当接部を前記凹部の内側の側壁面又は底面と当接させることで前記基板を支持することを特徴とする構成1に記載の基板の製造方法である。
(構成3)
基板の前記台座構造形成領域上に前記エッチングマスク膜を形成する工程は、基板の前記他方の主表面上に前記エッチングマスク膜を形成する工程と、当該エッチングマスク膜上の台座構造形成領域にレジスト膜を形成する工程と、前記レジスト膜をマスクとするエッチングを前記エッチングマスク膜に対して行い、台座構造形成領域以外の前記エッチングマスク膜を除去する工程とを有することを特徴とする構成1又は2に記載の基板の製造方法である。
【0019】
(構成4)
前記台座構造を形成する工程の後、前記エッチングマスク膜を除去する工程を有することを特徴とする構成1乃至3のいずれかに記載の基板の製造方法である。
(構成5)
前記基板はガラスからなり、前記エッチング液はフッ酸を含有することを特徴とする構成1乃至4のいずれかに記載の基板の製造方法である。
【0020】
(構成6)
前記エッチングマスク膜は、クロムを含有する材料で形成されることを特徴とする構成1乃至5のいずれかに記載の基板の製造方法である。
(構成7)
前記凹部形成領域は、前記台座構造形成領域を含む大きさの領域であることを特徴とする構成1乃至6のいずれかに記載の基板の製造方法である。
【0021】
(構成8)
前記基板の中心の位置と前記凹部の中心の位置が一致している、またはこれら2つの中心の位置のずれが100μm以下であることを特徴とする構成1乃至7のいずれかに記載の基板の製造方法である。
(構成9)
前記基板の中心の位置と前記台座構造の中心の位置が一致している、またはこれら2つの中心の位置のずれが100μm以下であることを特徴とする構成1乃至8のいずれかに記載の基板の製造方法である。
【0022】
(構成10)
前記基板の一方の主表面における凹部形成領域に凹部を形成する工程は、少なくとも1枚の所定の形状の孔を穿設してなる平板状の第1の基材と、少なくとも1枚の平板状の第2の基材とを接合することにより、接合後の基板の凹部形成領域に前記孔からなる凹部を形成することを特徴とする構成1乃至9のいずれかに記載の基板の製造方法である。
【0023】
(構成11)
前記基板は、インプリントモールドを製造するために用いられる基板であり、前記凹部を形成した方の主表面は、モールドパターンの転写を行う転写装置のモールド保持部にチャックされる面であることを特徴とする構成1乃至10のいずれかに記載の基板の製造方法である。
(構成12)
前記台座構造形成領域は、インプリントモールドの製造時にモールドパターンが形成される領域であることを特徴とする構成11に記載の基板の製造方法である。
【0024】
(構成13)
構成1乃至12のいずれかに記載の基板の製造方法によって製造された基板の前記台座構造を形成した方の主表面に、パターン形成用薄膜を形成する工程を備えることを特徴とするマスクブランクの製造方法である。
【0025】
(構成14)
前記パターン形成用薄膜は、クロムを含有する材料で形成されることを特徴とする構成13に記載のマスクブランクの製造方法である。
(構成15)
前記パターン形成用薄膜は、クロム金属、クロム窒化物、クロム炭化物、クロム炭化窒化物およびクロム酸化炭化窒化物のうちのいずれかの材料で形成されることを特徴とする構成14に記載のマスクブランクの製造方法である。
【0026】
(構成16)
構成13乃至15のいずれかに記載のマスクブランクの製造方法によって製造されたマスクブランクを用いるインプリントモールドの製造方法であって、前記パターン形成用薄膜上に形成されたモールドパターンを有するレジスト膜をマスクとし、ドライエッチングによって前記パターン形成用薄膜にモールドパターンを形成する工程と、前記モールドパターンが形成されたパターン形成用薄膜をマスクとし、ドライエッチングによって前記基板の台座構造が形成された領域にモールドパターンを形成する工程とを有することを特徴とするインプリントモールドの製造方法である。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、転写装置の固定治具に固定し、転写対象物にモールドパターンを精度良く転写することができるインプリントモールドの製造に好適な基板の製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、この基板の製造方法により得られる基板を用いて、上記インプリントモールドの製造に好適なマスクブランクの製造方法を提供することができる。
さらに、本発明によれば、このマスクブランクの製造方法により得られるマスクブランクを用いて製造され、転写装置の固定治具に固定し、転写対象物にモールドパターンを精度良く転写することができるインプリントモールドの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明に係る基板の製造工程を説明するための断面概略図である。
図2】本発明における台座構造を形成するウェットエッチング工程の第1の一実施の形態を示す構成図である。
図3】本発明における台座構造を形成するウェットエッチング工程の第2の実施の形態を示す構成図である。
図4】本発明における台座構造を形成するウェットエッチング工程の第3の実施の形態を示す構成図である。
図5】本発明により得られる基板の平面図である。
図6】基板の一方の主表面に凹部を形成する工程の他の実施の形態を説明するための断面概略図である。
図7】(a)乃至(c)はそれぞれ本発明のマスクブランクの断面概略図である。
図8】本発明に係るインプリントモールドの製造工程を説明するための断面概略図である。
図9】本発明のインプリントモールドの使用状態を説明するための断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を実施するための形態について適宜図面を参照しながら詳述する。
(基板の製造方法)
まず、本発明に係るインプリントモールドの製造に好適な基板(インプリントモールド用基板)の製造方法について説明する。
本発明に係る基板の製造方法は、上記構成1にあるように、2つの主表面を備える基板を準備する工程と、基板の一方の主表面における凹部形成領域に凹部を形成する工程と、基板の他方の主表面における台座構造形成領域上に、エッチング液に対して前記基板との間でエッチング選択性を有するエッチングマスク膜を形成する工程と、前記基板を支持するための支持具の基板当接部を前記凹部の内側の面に当接させて前記エッチングマスク膜が形成された基板を支持した状態で、前記エッチング液中に前記基板を浸漬させて前記基板のウェットエッチングを行い、前記台座構造形成領域に台座構造を形成する工程と、を有することを特徴とするものである。
【0030】
図1は、このような本発明に係る基板の製造工程を説明するための断面概略図である。
図1に示されるように、本発明に係る基板の製造方法は、
・2つの主表面を備える基板を準備する工程(図1(a))、
・基板の一方の主表面における凹部形成領域に凹部を形成する工程(同図(b)
・基板の他方の主表面における台座構造形成領域上にエッチングマスク膜を形成する工程(同図(c)〜(e))、
・前記基板を支持するための支持具の基板当接部を上記凹部の内側の面に当接させて基板を支持した状態で、基板のウェットエッチングを行い、上記台座構造形成領域に台座構造を形成する工程(同図(f)、(g))、
とを有するものである。
以下、各工程について詳しく説明する。
【0031】
まず、図1(a)に示されるような2つの主表面1A,1Bを備える基板1を準備する。
本発明に適用する基板1は、そのパターン形成面(例えば一方の主表面1A)にモールドパターン(マスクパターン)である凹凸パターンが形成されることにより、インプリントモールドとして使用されるため、材質としては、インプリントモールドとして使用するのに要求される適度な強度や剛性を有する材料であれば特に制約はなく任意に用いることができる。例えば、石英ガラスやSiO−TiO系低膨張ガラス、ソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス、CaFガラス等のガラス素材、シリコンなどが挙げられる。これらのうちガラス素材は特に好適である。ガラス素材は、非常に精度の高い加工が可能で、しかも平坦度及び平滑度に優れるため、本発明により得られるインプリントモールドを使用してパターン転写を行う場合、転写パターンの歪み等が生じないで高精度のパターン転写を行える。基板1から製造されるインプリントモールドが紫外線硬化樹脂等の光硬化性樹脂に対して使用される場合においては、高い光透過性を有するガラス素材で基板1を形成することが好ましい。
【0032】
なお、本実施の形態においては、上記基板1は、平面視で全体が矩形状を成している。もちろん、基板1の外形はこのような矩形状に限定される必要はなく、インプリントモールドの用途、大きさなどに応じて適宜決定される。
また、上記基板1の大きさ(サイズ)や板厚についても特に制約される必要は無く、インプリントモールドの用途、大きさなどに応じて適宜決定される。
【0033】
次に、上記基板1の一方の主表面(本実施の形態においては1B側の主表面。以下、「裏側主表面」と呼ぶ。)における凹部形成領域8に凹部7を形成する(図1(b)参照)。この凹部7を形成する裏側主表面1Bは、モールドパターンの転写を行う転写装置のモールド保持部にチャックされる面である。
【0034】
この凹部7を形成する方法としては、機械加工などが挙げられるが、形成する凹部のサイズ、形状、深さや、基板1の材質などに応じて適宜選択すればよい。
【0035】
上記凹部形成領域8については例えば平面視で円形状を成している(図5参照)。もちろん、凹部形成領域8の形状(形成される凹部7の平面視形状と同じ)はこのような円形状に限定される必要はなく、矩形状や多角形状であってもよく、インプリントモールドの用途、大きさなどに応じて適宜決定される。
なお、形成される凹部7の平面視形状が円形状の場合は、真円形状であることが望ましい。転写装置にインプリントモールドを固定して転写するときの凹部7と転写装置の固定装置とで形成される空間内の内圧が表側主表面の変形に与える影響が同心円状の分布となり調整しやすいためである。
【0036】
次に、上記基板1の他方の主表面(本実施の形態においては1A側の主表面。以下、「表側主表面」と呼ぶ。)における台座構造形成領域上にエッチングマスク膜を形成する。
この基板1の表側主表面1Aにおける台座構造形成領域上にエッチングマスク膜を形成する工程は、具体的には、本実施の形態に示すように、基板1の表側主表面1A上にエッチングマスク膜2を形成する工程(図1(c)参照)と、当該エッチングマスク膜2上の所定の台座構造形成領域4上にレジストパターン3を形成する工程(図1(d)参照)と、当該レジストパターン3をマスクとするエッチングをエッチングマスク膜2に対して行い、台座構造形成領域4以外のエッチングマスク膜2を除去する工程(図1(e)参照)とを有することが好ましい。これらの工程を行うことによって、図1(e)に示されるように、基板1の表側主表面1Aにおける台座構造形成領域4上にエッチングマスク膜パターン2aが形成される。なお、この台座構造形成領域4は、本発明により得られる基板を用いたインプリントモールドの製造時にモールドパターンが形成される領域である。この台座構造形成領域4の形状(つまり形成される台座構造の平面視形状)は、本実施の形態では例えば全体が矩形状である(図5参照)。もちろん、台座構造形成領域4の形状は、このような矩形状に限定される必要はなく、インプリントモールドの用途、大きさなどに応じて適宜決定される。
【0037】
上記エッチングマスク膜2(エッチングマスク膜パターン2a)は、基板1の台座構造形成領域4に台座構造を形成するためのウェットエッチング加工する際のハードマスク層(エッチングマスク)としての機能を有する。したがって、上記エッチングマスク膜2としては、後の工程の台座構造を形成するためのウェットエッチングで用いるエッチング液に対して上記基板1との間でエッチング選択性を有する材質が選択される。本発明においては、上記エッチングマスク膜2は、例えばクロムを含有する材料で形成されることが好適である。上記基板1は好ましくはガラスからなり、この場合の基板1のウェットエッチングにはフッ酸を含有するエッチング液が好ましく用いられる。
【0038】
上記クロムを含有する材料は、フッ酸を含有するエッチング液に対して上記ガラスからなる基板1との間で良好なエッチング選択性を有するため、上記エッチングマスク膜2の材質として好適である。また、クロムを含有する材料でエッチングマスク膜2を形成すると、ガラスからなる基板1に台座構造を形成後にエッチングマスク膜2を除去するときにウェットエッチング、ドライエッチングのどちらを適用しても、ガラスからなる基板1との間で良好なエッチング選択性が得られるため、好ましい。
【0039】
上記クロム(Cr)を含有する材料としては、例えばCr単体、またはCrの窒化物、炭化物、炭化窒化物などのCr化合物があり、エッチングマスク膜2を単層構造とする場合はCrNが特に好ましい。また、エッチングマスク膜2を多層構造とする場合においては、基板1に接する側の層は窒化クロムで形成することが好ましい。CrNからなる膜は、基板1との密着性が高い傾向があるためである。このエッチングマスク膜2に適用するCrNからなる材料は、クロム含有量が50原子%以上であることが好ましい。
なお、エッチングマスク膜2の材質は、選択される基板1の材質、台座構造を形成するためのウェットエッチングで用いるエッチング液の組成によっても異なるので、上記クロムを含有する材料に限定されるわけではない。
【0040】
上記基板1の表側主表面1A上にエッチングマスク膜2を形成する方法は特に制約される必要はないが、たとえばスパッタリング成膜法が好ましく挙げられる。
上記エッチングマスク膜2の膜厚は、台座構造を形成するためのウェットエッチング条件(エッチング深さ乃至はエッチング時間等)にもよるが、通常50nm以上200nm以下の範囲であることが好適である。かかるエッチングマスク膜2の膜厚が50nm未満であると、上記エッチングマスク膜パターン2aをマスクとして基板1をウェットエッチング加工するときに、加工が終わる前にエッチングマスク膜パターン2aがエッチングされて消失してしまう恐れがある。一方、エッチングマスク膜2の膜厚が200nmよりも厚くなると、エッチングマスク膜2をエッチングしてエッチングマスク膜パターン2aを形成するときにエッチングマスクとして用いられるレジストパターン3の膜厚を大幅に厚くする必要があるため、好ましくない。
【0041】
また、上記エッチングマスク膜2上の台座構造形成領域4に前述のレジストパターン3を形成する方法としては、フォトリソグラフィ法が好適である。そして、当該レジストパターン3をマスクとして、台座構造形成領域4以外のエッチングマスク膜2を除去しエッチングマスク膜パターン2aを形成するためのエッチングは、エッチングマスク膜2の材質や、エッチングマスク膜2を除去する領域の大きさによっても異なるが、基本的にはドライエッチング、ウェットエッチングのいずれを適用しても構わない。
なお、上記エッチング後に残存する上記レジストパターン3は、この段階で除去してもよいし、あるいはそのまま残しておいてもよい。レジストパターン3を残しておいた方が、エッチングマスク膜2にピンホールや局所的に低密度の領域が存在していた場合でも、基板1をウェットエッチングするときに使用するエッチング液がそのピンホールを通過して基板1に接触し、基板1の表面をエッチングしてしまうことを抑制できるため、好ましい。
【0042】
上記レジストパターン3は、ポジ型およびネガ型のいずれのレジスト材料で形成してもよい。また、上記レジストパターン3は、電子線描画露光用およびレーザー描画露光用のいずれのレジスト材料で形成してもよい。上記レジストパターン3は、インプリントモールドに形成されるモールドパターンに比べて疎なパターンであるため、電子線描画露光用レジストに比べて解像性は劣るが描画速度に優れるレーザー描画露光用レジストでレジストパターン3を形成する方が好ましい。また、上記レジストパターン3は、光硬化型樹脂や熱硬化型樹脂で形成してもよい。
【0043】
次に、上記基板1の台座構造形成領域4に台座構造を形成する工程について説明する。
本発明においては、この工程では、基板1を支持するための支持具の基板当接部を先に形成しておいた基板1の裏側主表面1Bの上記凹部7の内側の面に当接させるようにして上記エッチングマスク膜パターン2aが形成された基板1を支持具で支持した状態で、上記エッチング液中に基板1を浸漬させて基板1のウェットエッチングを行い、上記台座構造形成領域4に台座構造を形成することを特徴としている。
【0044】
以下、図2を参照して上記工程の具体的な実施の形態を説明する。
図2は、本発明における台座構造を形成するウェットエッチング工程の第1の実施の形態を示す構成図である。
図2に示すように、本実施の形態では、上述の前工程において基板1の表側主表面1Aに上記エッチングマスク膜パターン2aが形成された基板1を支持具52によって支持した状態で、当該基板1を処理槽50内に収容されたエッチング液51中に浸漬させている。
【0045】
本実施の形態では、上記支持具52は、基板支持部55がシャフト54でベース53と連結された構造を有しており、ベース53は上記処理槽50の底面上に設置されている。上記基板支持部55は、その外周部に複数の基板当接部55aを備えている。この複数の基板当接部55aは、各々が基板1の裏側主表面1Bに形成されている上記凹部7の内側の面に当接するように構成されている。本実施の形態では主に凹部7の側壁面に当接させているが、さらに底面にも当接させるようにしてもよい。基板1を安定して支持できるようにするためには、上記基板支持部55は少なくとも2つ以上の上記基板当接部55aを備えていることが望ましい。
なお、この基板支持部55の形状(平面視)は特に制約される必要はないが、上記凹部7の内側の面に上記複数の基板当接部55aが当接して基板1を安定して支持できるようにするためには、例えば上記凹部形成領域8の形状と同様の形状であることが好適である。
【0046】
上記支持具52の材質は、例えば樹脂が挙げられるが、エッチング工程に使用されるエッチング液51に耐性を有する材質であれば特に制約はされない。特に、エッチング液51にフッ酸(フッ化水素酸)を含有する液体を適用する場合、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(FEP)、エチレン・テトラフルオロエチレンコポリマー、(ETFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロジオキソールコポリマー(TFE/PDD)等のフッ素樹脂によって支持具52を形成することが好ましい。
本実施の形態では、図2に示すとおり、上記支持具52の基板支持部55上に基板1をその表側主表面1A側を上方に向けた状態で支持されている。
【0047】
以上説明したように、上記基板1の裏側主表面1Bに形成されている凹部7の内側の面に上記支持具52の基板当接部55aを当接させて上記基板1を支持した状態で、エッチング液51中に基板1を浸漬させて基板1のウェットエッチングを行う。
この場合のエッチング液51としては、上記基板1がガラスからなる場合、フッ酸(HF)を含有するエッチング液が好ましい。エッチング液の液温は適宜設定される。また、エッチング処理中は、必要に応じて適宜エッチング液を攪拌するようにしてもよい。
また、エッチング時間は、形成しようとする台座構造の段差に応じて適宜決定される。
【0048】
このように、上記基板1の台座構造形成領域4に形成されているエッチングマスク膜パターン2aをマスクとして、基板1のウェットエッチングを行うことにより、上記台座構造形成領域4以外の領域では上記基板1の主表面1Aが所定深さまでエッチングされて、図1(f)に示されるように、基板1の表側主表面1Aには上記台座構造形成領域4に台座構造5が形成される。
【0049】
以上説明したように、本実施の形態(図2)では、基板1の表側主表面1Aに台座構造を形成する工程の前に、基板1の裏側主表面1Bに凹部7を形成する工程を先に行って凹部7を形成しておき、次いで基板1の表側の主表面1Aに台座構造5を形成するウェットエッチング工程時には、先に形成しておいた基板1の裏側主表面1Bの凹部7の内側の面に、基板1を支持するための支持具52の基板当接部55aが当接するようにして支持具52で基板1を支持し、その支持具52に支持された状態の基板1をウェットエッチング液51に浸漬させて、ウェットエッチングを行うので、前述の従来技術のように基板の端面の一部や端面近傍の主表面で基板を支持しながらウェットエッチングを行うことによる基板の端面や端面近傍の主表面に段差が生じてしまうという不具合は発生しない。したがって、本実施の形態によれば、インプリントモールド用の基板端面に要求されている平坦度の品質を確保することが容易である。
【0050】
なお、最終的に製造されるインプリントモールドは、本実施の形態のウェットエッチング工程時による影響で凹部の側壁面または底面に段差が形成されている場合がある。しかし、そのウェットエッチング工程によって形成される程度(例えば30μm程度)の段差である。また、一般に転写装置の固定治具はインプリントモールドの凹部の側壁面および底面には当接しない構成である。このため、固定治具にインプリントモールドを固定するときに凹部の側壁面または底面に形成された段差によって影響を受けることはない。このため、転写装置の固定治具にそのインプリントモールドを固定し、液体樹脂にモールドパターンを転写しても、その硬化した液体樹脂にパターンを精度よく転写することができる。
【0051】
また、図3は、上述の台座構造を形成するウェットエッチング工程の第2の実施の形態を示す構成図である。なお、前述の図2に示す実施の形態と同等の箇所には同一符号を付して重複説明は省略する。
図3に示す実施の形態においても、基板1の表側主表面1Aにエッチングマスク膜パターン2aが形成された基板1を支持具56によって支持した状態で、当該基板1を処理槽50内に収容されたエッチング液51中に浸漬させている。
【0052】
本実施の形態では、上記支持具56は、基板支持部57がシャフト58に取り付けられた構造を有しており、上記基板支持部57は、その外周部に複数の基板当接部57aを備えている。この複数の基板当接部57aは、各々が基板1の裏側主表面1Bに形成されている上記凹部7の内側の面に当接するように構成されている。本実施の形態では主に凹部7の側壁面に当接させているが、さらに底面にも当接させるようにしてもよい。
本実施の形態の場合、図3に示すとおり、主表面1A側を下方に向けてエッチング液51中に浸漬させた基板1を、上記支持具56の基板当接部57aが基板1の凹部7の内側の面に当接した状態で支持している。
【0053】
本実施の形態(図3)においても、基板1の表側主表面1Aに台座構造5を形成するウェットエッチング工程時に、基板1を支持するための支持具56の基板当接部57aが裏側主表面1Bの凹部7の内側の面に当接するようにして支持具56で基板1を支持し、その支持具56に支持された状態の基板1をウェットエッチング液51に浸漬させて、ウェットエッチングを行うので、従来技術のような基板の端面や端面近傍の主表面に段差が生じてしまうという不具合は発生しない。したがって、本実施の形態においても、インプリントモールド用の基板端面に要求されている平坦度の品質を確保することが容易である。
【0054】
なお、本実施の形態においても、ウェットエッチング工程時による影響で凹部の側壁面または底面に段差が形成されている場合があるが、そのウェットエッチング工程によって形成される程度(例えば30μm程度)の段差である。また、上記のとおり、固定治具にインプリントモールドを固定するときに凹部の側壁面または底面に形成された段差によって影響を受けることはない。このため、転写装置の固定治具にそのインプリントモールドを固定し、液体樹脂にモールドパターンを転写しても、その硬化した液体樹脂にパターンを精度よく転写することができる。
【0055】
また、図4は、上述の台座構造を形成するウェットエッチング工程の第3の実施の形態を示す構成図である。なお、前述の図2及び図3に示す実施の形態と同等の箇所には同一符号を付して重複説明は省略する。
図4に示す実施の形態においては、基板1の表側主表面1Aにエッチングマスク膜パターン2aが形成された基板1を支持具60によって支持した状態で、当該基板1を処理槽50内に収容されたエッチング液51中に浸漬させている。
【0056】
本実施の形態では、上記支持具60は、シャフト62に取り付けられた基板支持部61を有しており、当該基板支持部61は、その上方に基板当接部63を備えている。そして、この基板当接部63は、その先端が吸着構造(例えば、吸引チャック機構や上記のフッ素系樹脂からなる吸盤など)を有しており、基板1の凹部7の内側底面に当接し且つ吸着する。すなわち、上記基板当接部63が上記凹部7の内側の底面と当接し且つ底面に吸着することで基板1は支持具60によって支持される。また、上記凹部7の開口縁にはパッキン部材59が全周にわたって嵌め込まれており、上記基板当接部63が上記凹部7の内側底面に吸着した状態では、上記基板支持部61の外周縁部が上記パッキン部材59を押し込むように密着している。
【0057】
本実施の形態(図4)においては、前述の第1および第2の実施の形態と同様の効果が得られることに加えて、ウェットエッチング工程中に基板1の凹部7にエッチング液が接触しないので、凹部7の側壁面および底面に段差が形成されることを抑えられる。また、凹部7を形成するときの機械加工時に凹部7における側壁面または底面の基板内部に潜傷が存在していた場合、その潜傷からエッチング液が浸透して潜傷が顕在化することを抑えられる。
【0058】
以上説明した台座構造5を形成する工程の後、残存するエッチングマスク膜パターン2aを除去する工程を設けることができる(図1(g)参照)。エッチングマスク膜パターン2aを除去する方法は、特に制約されないが、基板1の材質にダメージを与えない方法が望ましい。例えば、基板1がガラスで、エッチングマスク膜パターン2aが上記のクロム系材料である場合は、硝酸第2セリウムアンモニウム水溶液と過塩素酸の混合液をエッチング液に用いるウェットエッチング、あるいは塩素系ガスと酸素ガスの混合ガスをエッチングガスに用いるドライエッチングが好適である。
【0059】
以上のようにして、基板1の表側主表面1Aに所定の台座構造5を形成する。
なお、前述の凹部7は、基板1の裏側主表面1Bの少なくとも外周部を除く領域に形成されるが、この凹部7を形成する凹部形成領域8は、反対側の表側主表面1Aに形成された台座構造5の形成領域よりも大きな領域に形成されることが好ましい。つまり、凹部形成領域8は、前記台座構造形成領域4を含む大きさの領域であることが好ましい(図5参照)。台座構造5が形成される領域よりも凹部7が形成される領域が小さいと、インプリントモールドにおいて外側のモールドパターンにほとんど変形しない部分が発生し、外側に変形するモールドパターンと挟まれるレジスト膜が潰されてしまう恐れがあるからである。特に、光硬化性樹脂等の液体樹脂に対してパターン転写を行うインプリントモールドを作製するための基板の場合においては、凹部7と裏側主表面1Bとの境界部分が、表側主表面1Aのモールドパターンが形成された台座構造形成領域に掛かってしまうと、光硬化性樹脂を硬化させるための光の入射が正常に行うことができず、樹脂の硬化不良が起こる可能性がある。
【0060】
また、上述のように、凹部7を形成する領域は、台座構造5を形成する領域を含む大きさの領域であることが好ましいが、凹部7が形成された基板1の剛性確保を考慮すると、基板1の大きさが約152mm角である場合においては、凹部7の直径(円形状の場合)または短辺方向の長さ(矩形状の場合)は、100mm以下であることが望ましく、90mm以下であると好適である。
【0061】
以上のようにして、基板1の表側主表面1Aには所定の台座構造5が形成され、裏側主表面1Bには凹部7が形成された基板(インプリントモールド用基板)10が出来上がる(図1(g)参照)。
【0062】
なお、上記インプリントモールド用基板10の上記凹部7は、その中心が上記基板10の中心と一致していることが最も望ましく、少なくともそのずれが100μm以下、より好ましくは50μm以下であることが好ましい。表側主表面の台座構造形成領域に形成されるモールドパターン(凹凸パターン)の中心を基板10の中心に一致させるようにすることが一般的であり、転写対象物のレジスト膜へのインプリントモールドの押し付け時や剥離時の変形がモールドパターンの中心から順次広がっていくようにするためである。
【0063】
また、上記インプリントモールド用基板10の上記台座構造5の中心が上記基板10の中心と一致していることが最も望ましく、少なくともそのずれが100μm以下、より好ましくは50μm以下であることが好ましい。上記のとおり、表側主表面の台座構造形成領域に形成されるモールドパターン(凹凸パターン)の中心を基板10の中心に一致させるようにするためである。
【0064】
本発明によって得られる上記インプリントモールド用基板10から作製されるインプリントモールドを使用して転写対象物にパターン転写するときの転写装置(スタンパ装置)が、インプリントモールドを対向する端面を挟持して固定する方式の場合には、インプリントモールド用基板端面の平坦度が20μm以下、より好ましくは10μm以下であることが望ましい。ここで、平坦度は、TIR(Total Indicated Reading)で示される表面の反り(変形量)を表す値で、例えば基板端面の(148mm×5.0mm)エリアにおいて、基板端面を基準として最小自乗法で定められる平面を焦平面とし、この焦平面より上にある基板端面の最も高い位置と、焦平面より下にある基板端面の最も低い位置との高低差の絶対値とする。
このように、インプリントモールド用基板の端面は高い平坦度が求められるが、本発明によれば、インプリントモールド用の基板端面に要求されている平坦度の品質を確保することが容易である。
【0065】
なお、上述の実施の形態では、単一(1枚)の基板1の裏側主表面1Bにおける凹部形成領域8に、機械加工等で凹部7を形成する場合を説明したが、本発明ではこれに限定されない。
図6は、基板の裏側の主表面に凹部を形成する工程の他の実施の形態を説明するための断面概略図である。
すなわち、前述の基板1の裏側主表面1Bにおける凹部形成領域8に凹部7を形成する工程(図1(b))は、図6に示すように、少なくとも1枚の所定の形状の孔(貫通孔)6を穿設してなる平板状の第1の基材1aと、少なくとも1枚の平板状の第2の基材1bとを接合することにより、接合後の基板1の裏側主表面1Bの凹部形成領域8に上記第2の基材1bの孔6と第1の基材1aの接合側の主表面とからなる凹部7を形成することによって行うことができる。
【0066】
基板1を構成する上記第1の基材1aおよび第2の基材1bの材質としては、前述の石英ガラスやSiO−TiO系低膨張ガラス、ソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス、CaFガラス等のガラス素材、シリコンなどが挙げられる。これらのうちガラス素材は特に好適である。従って、上記基板1を構成する第1の基材1aと第2の基材1bは、ガラスからなる基材を少なくとも含むことが好ましい。
【0067】
また、上記第1の基材1aと第2の基材1bは、同じ材質であってもよいし、あるいは異なる材質であってもよい。異なる材質を用いる場合は、熱膨張係数の異なる材料を組み合わせることが特に好適である。第1の基材1aと第2の基材1bとが熱膨張係数の異なる材料であることにより、基板1に凹部7を形成したことに加えて、インプリントモールドの離型時に加熱又は冷却することで第1の基材1aと第2の基材1bの間で相対的な引っ張り応力あるいは圧縮応力が作用してモールドの離型がよりいっそうしやすくなる。
【0068】
なお、図6に示される構成では、上記第1の基材1aと第2の基材1bはともに1枚の基材を用いているが、第1の基材と第2の基材の一方を、あるいは両方をそれぞれ2枚以上の基材を接合させた構成としてもよい。
【0069】
上記第1の基材1aに所定の形状の孔6を穿設するための加工手段としては、特に制約される必要はなく、公知の機械加工法、エッチング法などの微細加工方法を任意に用いることができる。具体的には、例えば、レーザー加工、切削加工、ウォータージェット加工等の微細加工方法の中から、基材の材質、加工する孔の形状や大きさ等を考慮して適宜選択して用いればよい。
【0070】
次に、上記所定の形状の孔6を穿設した第1の基材1aと平板状の第2の基材1bとを接合する手段としては、第1の基材と第2の基材との十分な接着力が得られる方法であれば、特に制約される必要はない。ここで十分な接着力とは、インプリントモールドの使用時に第1の基材と第2の基材との剥離等が起こらないような接着力のことである。
本発明においては、具体的には、例えば、溶接(溶着)法、接着法、陽極接合法、フッ酸接合法、光学溶着法(オプティカルコンタクト)などの方法を好ましく用いることができる。第1の基材1aと第2の基材1bのそれぞれの材質に応じて好適な接合方法を適宜選択して用いればよい。
【0071】
なお、上記第1の基材1aと第2の基材1bを接合する際、上述したようないずれの接合方法を用いるにしても、強い接合力を得るためには両者の接合面それぞれの平坦度が高いことが要求され、とりわけ上記光学溶着法では接合面の高平坦度且つ高平滑性が要求される。したがって、上記第1の基材1aと第2の基材1bを接合する工程に先立ち、上記第1の基材1aと第2の基材1bの両者の接合面をそれぞれ所定の平坦度(平坦度の定義は前述と同じ)、例えば5μm以下程度の平坦度となるように仕上げる工程を含むことが好ましい。上記第1の基材1aと第2の基材1bの両者の接合面をそれぞれ所定の平坦度となるように仕上げるための加工手段としては、特に制約される必要はなく、公知の機械加工法、エッチング法などの表面加工方法を任意に用いることができる。
【0072】
以上のような方法によれば、所定の形状の孔を穿設してなる基材を含む少なくとも2枚の基材を接合することにより、接合後の基板1の裏側主表面1Bに前記孔6からなる凹部7を形成することができ、つまり凹部7は、基板1を構成する少なくとも1枚の基材1aに予め所定の形状の孔6を穿設しておくことで形成できるので、そのような加工の工程負荷も小さくて済み、接合後の基板1に凹部7を精度良く形成できる。さらに、予め孔6を穿設した基材1aと平板状の基材1bの少なくとも2枚の基材を接合しているため、1枚の基板に凹部を形成することによるモールドの強度や剛性の低下の恐れが少なくなる。
以上のようにして得られた接合後の基板1に対して、上述した実施形態の方法と同様にして、表側主表面1Aの台座構造形成領域に台座構造5を形成することによって、本発明のインプリントモールド用基板10を得ることができる。
【0073】
(マスクブランクの製造方法)
次に、本発明に係るマスクブランクの製造方法について説明する。
本発明は、上述の本発明に係る基板の製造方法によって製造された基板の前記台座構造を形成した方の主表面に、パターン形成用薄膜を形成する工程を備えることを特徴とするマスクブランクの製造方法についても提供するものである。
【0074】
図7の(a)〜(c)は、それぞれ本発明により得られるマスクブランクの断面概略図である。
すなわち、図7(a)に示すマスクブランク(インプリントモールド用マスクブランク)20は、本発明のマスクブランク用基板10の前記台座構造5を形成した表側主表面、すなわちインプリントモールドのモールドパターンを形成する側の面(パターン形成面)に、パターン形成用の薄膜11を備えたものである。
なお、マスクブランク用基板10の表側主表面の全面ではなく、少なくとも台座構造5を形成した領域を含む一部の領域にパターン形成用薄膜11を備えた構造のもの(図7(b))や、台座構造形成領域にのみパターン形成用薄膜を備えた構造のもの(図7(c)参照)であってもよい。
【0075】
上記パターン形成用薄膜11は、基板10の台座構造5を形成した領域にモールドパターンを形成するための基板エッチング(掘り込み)加工する際のハードマスク膜としての機能を有する。したがって、上記パターン形成用薄膜11としては、後の工程のモールドパターンを形成するためのエッチング環境に対して上記基板10との間でエッチング選択性を有する材質が選択される。本発明においては、上記パターン形成用薄膜11は、例えばクロムを含有する材料で形成されることが好適である。上記基板10は好ましくはガラスからなり、この場合の基板10のドライエッチングには例えばフッ素系ガスが用いられる。上記クロムを含有する材料は、フッ素系ガスに対して上記ガラスからなる基板10との間でエッチング選択性を有する。
【0076】
上記クロム(Cr)を含有する材料としては、例えばクロム金属、クロム窒化物、クロム炭化物、クロム炭化窒化物およびクロム酸化炭化窒化物などが挙げられる。このパターン形成用薄膜11の場合においては、クロム酸化炭化窒化物が特に好ましい。
【0077】
このようなマスクブランク20におけるパターン形成用薄膜11としては、単層でも複数層でもよい。例えば、上記薄膜11が上記クロム系材料の単層膜よりなるマスクブランクが挙げられる。また、例えば上記薄膜11が少なくとも上層と下層の積層膜よりなり、上層は上記クロム系材料で形成され、下層がタンタル(Ta)を主成分とする材料で形成されたマスクブランクなども挙げられる。この場合のタンタルを主成分とする材料としては、例えばTaHf、TaZr、TaHfZrなどのTa化合物、あるいはこれらのTa化合物をベース材料として、例えばB、Ge、Nb、Si、C、N等の副材料を加えた材料などがある。また、タンタルを主成分とする材料は、レジストパターン形成の際の電子線描画時のチャージアップ防止や、走査型電子顕微鏡(SEM)による基板パターン(モールドパターン)検査が可能となるように、必要な導電性を確保する機能を持たせることができるので好適である。
勿論、このようなパターン形成用薄膜11の構成および材料の例示はあくまでも一例であり、本発明はこれらに制約される必要はまったくない。
【0078】
上記パターン形成用薄膜11の膜厚は特に制約されないが、例えば2nm以上10nm以下の範囲であることが好適である。かかる薄膜11の膜厚が2nm未満であると、モールドパターン作製時に薄膜11のパターンをマスクとして基板10をエッチング加工するときに、加工が終わる前に薄膜11のパターンがエッチングされて消失してしまう恐れがある。一方、薄膜11の膜厚が10nmよりも厚くなると、微細パターン形成の観点から好ましくない。また、基板10の材質にダメージを与えずに薄膜11を最後に除去することが困難になる場合がある。
【0079】
インプリントモールド用基板10上に上記パターン形成用薄膜11を形成する方法は特に制約される必要はないが、なかでもスパッタリング成膜法が好ましく挙げられる。スパッタリング成膜法によると、均一で膜厚の一定な膜を形成することが出来るので好適である。
また、本発明のマスクブランク20は、上記パターン形成用薄膜11の上に、レジスト膜を形成した形態であっても構わない。
【0080】
(インプリントモールドの製造方法)
次に、本発明に係るインプリントモールドの製造方法について説明する。
本発明は、上述のマスクブランク20を用いたインプリントモールドの製造方法についても提供するものである。
すなわち、本発明は、上述のマスクブランクを用いるインプリントモールドの製造方法であって、前記パターン形成用薄膜上に形成されたモールドパターンを有するレジスト膜をマスクとし、ドライエッチングによって前記パターン形成用薄膜にモールドパターンを形成する工程と、前記モールドパターンが形成されたパターン形成用薄膜をマスクとし、ドライエッチングによって前記基板の台座構造が形成された領域にモールドパターンを形成する工程とを有することを特徴としている。
【0081】
図8は、本発明に係るインプリントモールドの製造工程を説明するための断面概略図である。
以下、図8を参照してインプリントモールドの製造工程を説明する。
本発明のマスクブランク(インプリントモールド用マスクブランク)20の上面に、液体状の光硬化型樹脂(または熱硬化型樹脂)を塗布する(図8(a)参照)。次に、上記の液体状の樹脂に対し、微細パターンを備えるマスターモールドを直接押し付けた状態で光照射処理(または加熱処理)を行って樹脂を硬化させてからマスターモールドを剥離する。さらに、酸素プラズマ等を用いるアッシングによって樹脂の残膜部分を除去するデスカム処理を行うことで、パターン形成用薄膜11上にレジストパターン21aを形成する(図8(b)参照)。
【0082】
次に、上記レジストパターン21aを形成したマスクブランク20を、ドライエッチング装置に導入し、エッチングガス(例えば塩素系ガス、Cl等)を用いたドライエッチングを行うことにより、上記レジストパターン21aをマスクとしてパターン形成用薄膜11をエッチング加工して、図8(c)、(d)に示すように薄膜パターン11aを形成する。
ここで、ドライエッチング装置からマスクブランクを一旦取り出して、残存する上記レジストパターン21aを除去してもよい(図8(d)参照)。
なお、上記薄膜11の膜構成、材質によっては、上記エッチング加工を1段階ではなく、2段階以上で行うこともある。
【0083】
次いで、同じドライエッチング装置内で、基板10が例えばガラスの場合、フッ素系ガス(CHF、CF4等)を用いたドライエッチングを行うことにより、上記薄膜パターン11aをマスクとして基板10をエッチング加工して、図8(e)に示すように、基板10の台座構造5が形成された領域にモールドパターン(凹凸パターン)31を形成する。
【0084】
さらに残存する上記薄膜パターン11aを除去することにより、図8(f)に示すような構造のモールドパターン31が形成されたインプリントモールド30が得られる。インプリントモールド30は、その表側主表面の台座構造5が形成された領域にモールドパターン31が形成され、その裏側主表面には凹部7が形成された構造を有している。
【0085】
図9は、本発明により得られるインプリントモールドの使用状態を説明するための概略断面図である。
本発明により得られるインプリントモールド30は、被転写体(転写対象物)40における被転写体構成層(例えばシリコンウェハ)41上に塗布されたレジスト膜(例えば光硬化型樹脂や熱硬化型樹脂)42に直接押し付けてモールドパターン31を転写する。本発明により得られるインプリントモールドを用いることにより、転写対象物にモールドパターンを精度良く転写することができる。
【0086】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、転写装置の固定治具に固定し、転写対象物にモールドパターンを精度良く転写することができるインプリントモールドの製造に好適な基板を得ることができる。
また、本発明によれば、上記により得られる基板を用いて、上記インプリントモールドの製造に好適なマスクブランクを得ることができる。
さらに、本発明によれば、上記により得られるマスクブランクを用いて製造され、転写装置の固定治具に固定し、転写対象物にモールドパターンを精度良く転写することができるインプリントモールドを得ることができる。
【実施例】
【0087】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
(実施例1)
本実施例に使用するインプリントモールド用基板を以下のようにして作製した。
ガラス基板として合成石英基板(大きさ約152mm×152mm×厚み(6.35mm))を準備した。
次に、このガラス基板の裏側主表面に、機械加工で所定の大きさの凹部を作製した。凹部の大きさは後述の台座構造領域を含む大きさとなるように、直径が64mmの真円形状で、深さは5.2mmとした。
【0088】
次に、上記凹部を作製したガラス基板をクロム(Cr)ターゲットを備えるDCスパッタリング装置に、凹部を形成した主表面とは反対側の表側主表面がクロムターゲットと対向する位置関係となるように配置し、基板側からCrN層、CrC層、CrON層が積層する構造を有するエッチングマスク膜を105nmの厚みで成膜した。
【0089】
次に、上記エッチングマスク膜の上面にフォトレジスト(東京応化社製 THMR−iP3500)を460nmの厚さに塗布し、大きさが28mm×36mmの矩形(台座構造形成領域)の外側エリアに対して紫外光による露光と現像を行い、台座構造用のレジストパターンを形成した。
次に、上記台座構造用のレジストパターンを形成したガラス基板について、塩素ガス(Cl)と酸素ガス(O)の混合ガスをエッチングガスに用いたドライエッチングにより、台座構造用のレジストパターンで保護されている部分以外のエッチングマスク膜を除去して、台座構造用のエッチングマスク膜パターンを形成した。
【0090】
次に、上記エッチングマスク膜パターンを形成したガラス基板を前述の図2の実施形態の構成にしたがって所定のエッチング液中に浸漬させた。なお、前述の支持具52は樹脂(PTFE)製のものを用いた。エッチング液としては、フッ化水素酸とフッ化アンモニウムの混合液(HF濃度6wt%、NHF濃度20wt%)を用い、ガラス基板にウェットエッチングを行った。さらに硝酸第2セリウムアンモニウム水溶液と過塩素酸の混合液により残存する上記レジストパターンとエッチングマスク膜パターンを除去することで、深さが例えば30μm程度の台座構造を作製した。
【0091】
以上のようにして、本実施例のインプリントモールド用基板を作製した。
なお、上記台座構造の中心の位置と上記凹部の中心の位置は、いずれもガラス基板の中心の位置とのずれがいずれも100μm以下であった。また、上記基板の各端面の平坦度はいずれも20μm以下に仕上がっていた。
【0092】
次に、上記のインプリントモールド用基板を用いてマスクブランクを作製した。
上記インプリントモールド用基板をDCスパッタリング装置に導入し、クロム(Cr)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)、二酸化炭素(CO)および窒素(N)の混合ガスをスパッタリングガスとする反応性スパッタリングにより、上記インプリントモールド用基板の台座構造を形成した主表面上の全面にCrOCN膜からなるパターン形成用薄膜を5nmの厚みで成膜し、マスクブランクを作製した。
【0093】
次に、このマスクブランクを用いてインプリントモールドを作製した。まず、こうしてCrOCN膜からなるパターン形成用薄膜を成膜したマスクブランクの上面に、液体状の光硬化型樹脂を塗布した。次に、上記の液体状の光硬化型樹脂に対し、ハーフピッチ22nmのラインアンドスぺースを有するマスターモールドを直接押し付けた状態で光照射処理を行って樹脂を硬化させてからマスターモールドを剥離した。さらに、酸素プラズマ等を用いるアッシングによって樹脂の残膜部分を除去するデスカム処理を行うことにより、パターン形成用薄膜上にレジストパターンを形成した。
【0094】
次に、上記レジストパターンを形成したマスクブランクを、ドライエッチング装置に導入し、塩素ガス(Cl)と酸素ガス(O)の混合ガスを用いたドライエッチングを行うことにより、上記レジストパターンをマスクとして上記パターン形成用薄膜をエッチング加工して、薄膜パターンを形成した。この時のエッチング終点は、プラズマ発光検出方式の終点検出器を用いることで判別した。
ここで、上記マスクブランクを一旦ドライエッチング装置から取り出して、残存するレジストパターンを酸素プラズマアッシングによって除去した。
【0095】
続いて、同じドライエッチング装置内で、フッ素系ガス(CHF)を用いたドライエッチングを行うことにより、上記薄膜パターンをマスクとしてガラス基板をエッチング加工することにより、所定のモールドパターン(凹凸パターン)を形成した。この時、モールドパターンの深さが100nmになるようエッチング時間を調整した。
ここで、走査型電子顕微鏡(SEM)によるパターン検査を行ったところ、モールドパターンの幅、深さの寸法、精度において良好なパターンが形成されていることを確認した。
【0096】
さらに、残存する上記薄膜パターンを硝酸第2セリウムアンモニウム水溶液と過塩素酸の混合液によって除去することで、前述の図8(f)に示すような構造のインプリントモールドを得た。
【0097】
次に、得られたインプリントモールドを転写装置に固定し、前述の図9に示すように、被転写体(転写対象物)におけるシリコンウェハ上に塗布されたレジスト膜(光硬化型樹脂)に直接押し付けてパターンを転写する工程を繰り返し実施したが、本実施例により得られたインプリントモールドを用いることにより、転写対象物にモールドパターンを精度良く転写することができた。
【0098】
(実施例2)
所定形状、大きさ、板厚に加工した合成石英からなる第1の基材1a(大きさ152mm×152mm×厚さ5.00mm)と第2の基材1b(大きさ152mm×152mm×厚さ1.30mm)を用意した。
これら2枚の基材1a,1bとも、その両主表面を所定の平滑度及び平坦度となるように、研磨スラリーを用いて鏡面研磨加工を行った。とくに、各基材1a,1bの接合面となる面については、平坦度が5μm以下になるように研磨加工を行った。また、第2の基材1bの両主表面の表面粗さを、算術平均粗さRaで0.3nm以下となるように研磨加工を行った。
【0099】
研磨加工を終えた第1の基材1aは、基材の主表面を中心とした直径64mmの円形断面の孔を抜き孔加工(つまり孔を穿設)した。
次いで、これら第1の基材1aと第2の基材1bとを、5μm以下の平坦度に仕上げられている接合面同士が重なり合わされた状態で1700℃の高温炉内に入れて接合し、裏側主表面に上記孔からなる凹部を形成したガラス基板を得た。
【0100】
次に、実施例1と同様にして、第2の基材1bの凹部を形成した主表面とは反対側の表側主表面上に、基板側からCrN層、CrC層、CrON層が積層する構造を有するエッチングマスク膜を105nmの厚みで成膜した。続いて、実施例1と同様にして、台座構造形成領域の外側エリアのエッチングマスク膜をドライエッチングによって除去し、台座構造用のエッチングマスク膜パターンを形成した。さらに、実施例1と同様の手順を行い、表側主表面の台座構造形成領域に30μm程度の台座構造を備える実施例2のインプリントモールド用基板を製造した。
【0101】
出来上がった実施例2のインプリントモールド用基板は、上記台座構造の中心の位置と上記凹部の中心の位置は、いずれもガラス基板の中心の位置とのずれがいずれも100μm以下であった。また、上記基板の各端面の平坦度はいずれも20μm以下に仕上がっていた。
【0102】
次に、上記のインプリントモールド用基板を用いてマスクブランクを作製した。すなわち、実施例1と同様にして、上記インプリントモールド用基板の台座構造を形成した主表面上の全面にCrOCN膜からなるパターン形成用薄膜を5nmの厚みで成膜し、マスクブランクを作製した。
【0103】
次に、このマスクブランクを用いて、実施例1と同様にして実施例2のインプリントモールドを作製した。
ここで、走査型電子顕微鏡(SEM)によるパターン検査を行ったところ、モールドパターンの幅、深さの寸法、精度において良好なパターンが形成されていることを確認した。
さらに、残存する上記薄膜パターンを除去することで、インプリントモールドを得た。
【0104】
得られた上記インプリントモールドを転写装置に固定し、被転写体(転写対象物)におけるシリコンウェハ上に塗布されたレジスト膜(光硬化型樹脂)に直接押し付けてパターンを転写する工程を繰り返し実施したが、本実施例により得られたインプリントモールドを用いることにより、転写対象物にモールドパターンを精度良く転写することができた。
(比較例1)
【0105】
比較例1のインプリントモールド用基板の製造方法は、台座構造を形成する工程において、ガラス基板を端面の一部や端面近傍の主表面で支持するような構造の支持具を支持した状態でウェットエッチングをガラス基板に対して行う以外は、実施例1と同様の手順で行った。また、比較例1のマスクブランクの製造方法およびインプリントモールドの製造方法においても、比較例1のインプリントモールド用基板の製造方法で製造されたインプリントモールド用基板を適用する以外は、実施例1のマスクブランクの製造方法およびインプリントモールドの製造方法と同様の手順で行った。
【0106】
その結果、出来上がったインプリントモールド用基板は、台座構造を形成するときのウェットエッチング時に支持具に支持されていた位置とほぼ同じ位置の端面や端面近傍の主表面に30μm弱の段差が形成されていた。このため、比較例1のインプリントモールド用基板の端面の平坦度は20μm以上となり、求められている平坦度を満たすことができなかった。
【0107】
また、比較例1のインプリントモールドを転写装置に固定し、前述の図9に示すように、被転写体(転写対象物)における例えばシリコンウェハ上に塗布されたレジスト膜(例えば光硬化型樹脂)に直接押し付けてパターンを転写する工程をステップ・アンド・リピートで実施したところ、端面の平坦度が低いことに起因する転写精度の低下が発生してしまった。また、モールドパターンを有する側の主表面の端面近傍に段差が残ってしまっていることに起因し、転写対象物へのステップ・アンド・リピートによる転写時に、既に転写対象物上に形成されていた樹脂パターンにインプリントモールドの端面近傍の段差が接触してしまい、樹脂パターンが崩れる現象も発生してしまった。
【符号の説明】
【0108】
1 基板
2 エッチングマスク膜
3 レジストパターン
4 台座構造形成領域
5 台座構造
6 孔
7 凹部
8 凹部形成領域
10 基板(インプリントモールド用基板)
11 パターン形成用薄膜
20 マスクブランク(インプリント用マスクブランク)
21 レジスト膜
30 インプリントモールド
31 モールドパターン
40 被転写体
41 被転写体構成層
42 レジスト膜
50 処理槽
51 エッチング液
52 支持具
53 ベース
54 シャフト
55 基板支持部
56 支持具
57 基板支持部
58 シャフト
59 パッキン部材
60 支持具
61 基板支持部
55a、57a、63 基板当接部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9