(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6420152
(24)【登録日】2018年10月19日
(45)【発行日】2018年11月7日
(54)【発明の名称】多方向からの3Dボリュームの同時超音波ビューイング
(51)【国際特許分類】
A61B 8/14 20060101AFI20181029BHJP
G06T 19/00 20110101ALI20181029BHJP
【FI】
A61B8/14
G06T19/00 F
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-556187(P2014-556187)
(86)(22)【出願日】2013年2月11日
(65)【公表番号】特表2015-511837(P2015-511837A)
(43)【公表日】2015年4月23日
(86)【国際出願番号】IB2013051118
(87)【国際公開番号】WO2013121341
(87)【国際公開日】20130822
【審査請求日】2016年2月8日
(31)【優先権主張番号】61/597,931
(32)【優先日】2012年2月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(72)【発明者】
【氏名】プラテル ダフィト
(72)【発明者】
【氏名】ワトキンス ステフェン ピー
(72)【発明者】
【氏名】アダムス ダフィト フランク
【審査官】
宮川 哲伸
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−011827(JP,A)
【文献】
特開2004−215701(JP,A)
【文献】
特開2010−104784(JP,A)
【文献】
特表2009−517177(JP,A)
【文献】
特表2004−514527(JP,A)
【文献】
特開2008−054746(JP,A)
【文献】
特開2005−165627(JP,A)
【文献】
特開2002−125937(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0267364(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 − 8/15
G06T 1/00 − 19/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波画像診断システムであって、
身体のボリューム領域をスキャンするように作動する超音波プローブであって、前記領域の三次元からエコー信号を生じる超音波プローブと、
前記ボリューム領域からの前記エコー信号に応じて、前記領域の三次元画像データセットを生じる信号プロセッサと、
第一及び第二のビュー方向を選択する第1のユーザコントロールであって、前記第二のビュー方向は前記第一のビュー方向と異なる、第1のユーザコントロールと、
前記三次元画像データセットを受信するように結合され、前記領域が二つの異なるビュー方向から同時に見られているかのように、前記第一及び第二のビュー方向に対応する前記領域の第一の三次元ビュー及び第二の三次元ビューを生じるように構成されるボリュームレンダラと、
前記ボリュームレンダラに応じて、前記第一及び第二の三次元ビューを同時に表示するディスプレイであって、前記第一及び第二の三次元ビューは、前記第一の三次元ビューの配向を動かすことにより、前記第二の三次元ビューの配向の動きがもたらされるように、前記ディスプレイ上で操作可能であるように構成される、ディスプレイと、
前記ボリュームレンダラに結合される第2のユーザコントロールであって、前記第一及び第二の三次元ビューの一方を上、他方を下に傾け、前記第一及び第二の三次元ビューを左若しくは右に回転させ、又は前記第一及び第二の三次元ビューを時計回り若しくは反時計回りに回転させるように動作可能である、第2のユーザコントロールと
を有し、
前記ボリュームレンダラは、前記第一の三次元ビューを生成するように構成される第一のボリュームレンダラと、前記第二の三次元ビューを生成するように構成される第二のボリュームレンダラとを有し、前記第二のボリュームレンダラは前記第一のボリュームレンダラと同時に作動される、
超音波画像診断システム。
【請求項2】
前記二つの異なるビュー方向が互いに対して180°を向いた方向から見られる前記領域のビューをさらに有する、請求項1に記載の超音波画像診断システム。
【請求項3】
前記二つの異なるビュー方向が互いに対して90°を向いた方向から見られる前記領域のビューをさらに有する、請求項1に記載の超音波画像診断システム。
【請求項4】
前記二つの異なるビュー方向が互いに対して0°乃至180°の角度を向いた方向から見られる前記領域のビューをさらに有する、請求項1に記載の超音波画像診断システム。
【請求項5】
前記ボリューム領域内の三次元関心領域を選択するようにユーザによって操作可能な第2のユーザコントロールをさらに有する、
請求項1に記載の超音波画像診断システム。
【請求項6】
前記ボリューム領域において操作されるときに前記ディスプレイ上に見られる侵襲的オブジェクトをさらに有し、
前記関心領域が関心のある解剖学的構造をさらに含み、
前記システムは、前記関心のある解剖学的構造に関して第1の方向に操作されるときに前記第一の三次元ビューにおいてビューアから離れて動く前記侵襲的オブジェクトを視覚化するように構成され、
前記システムは、前記関心のある解剖学的構造に関して前記第1の方向に操作されるときに前記第二の三次元ビューにおいて前記ビューアに近づいて動く前記侵襲的オブジェクトを同時に視覚化するように更に構成される、
請求項5に記載の超音波画像診断システム。
【請求項7】
前記ボリューム領域において操作されるときに前記ディスプレイ上に見られる侵襲的オブジェクトをさらに有し、
前記関心領域が関心のある解剖学的構造をさらに含み、
前記システムは、前記関心のある解剖学的構造に関して第1の方向に操作されるときに前記第一の三次元ビューにおいてビューアに近づいて若しくは離れて動く前記侵襲的オブジェクトを視覚化するように構成され、
前記システムは、前記関心のある解剖学的構造に関して前記第1の方向に操作されるときに前記第二の三次元ビューにおいて前記ビューアに対して横方向に動く前記侵襲的オブジェクトを同時に視覚化するように更に構成される、
請求項5に記載の超音波画像診断システム。
【請求項8】
前記二つの異なるビュー方向から見られる前記ボリューム領域の配向を変化させるように作動する、前記ボリュームレンダラに結合される第3のユーザコントロールをさらに有する、請求項1に記載の超音波画像診断システム。
【請求項9】
前記第3のユーザコントロールが前記第1のビュー方向から見られる前記ボリューム領域の配向を変化させるように作動し、
前記第二のビュー方向から見られる前記ボリューム領域の配向が前記第1のビュー方向に加えられる変化に対応して変更され、
ユーザは前記ボリューム領域の二つの異なるビュー方向からあらわれ得るように前記ボリューム領域の配向における変化を見る、
請求項8に記載の超音波画像診断システム。
【請求項10】
前記システムは、前記第3のユーザコントロールの操作によって生じる前記ボリューム領域の二つの三次元ビューの配向における変化がリアルタイムに視覚化されるように構成される、請求項9に記載の超音波画像診断システム。
【請求項11】
前記第3のユーザコントロールがさらに前記二つの三次元ビューを上若しくは下に傾け、前記二つの三次元ビューを左若しくは右に回転させ、又は前記二つの三次元ビューを時計回り若しくは反時計回りに回転させるように作動する、請求項8に記載の超音波画像診断システム。
【請求項12】
超音波画像診断システムであって、
身体のボリューム領域をスキャンするように作動する超音波プローブであって、前記領域の三次元からエコー信号を生じる超音波プローブと、
前記ボリューム領域からの前記エコー信号に応じて、前記領域の三次元画像データセットを生じる信号プロセッサと、
前記三次元画像データセットを受信して、前記領域が二つの異なるビュー方向から同時に見られているかのように前記領域の二つの三次元ビュー、すなわち第一の三次元ビュー及び第二の三次元ビューを生じるように結合されるボリュームレンダラと、
前記二つの異なるビュー方向を選択する第1のユーザコントロールと、
前記ボリュームレンダラに応じて、前記二つの三次元ビューを同時に表示し、前記第一及び第二の三次元ビューは、前記第一の三次元ビューの配向を動かすことにより、前記第二の三次元ビューの配向の動きがもたらされるように、ディスプレイ上で操作可能である、ディスプレイと
を有し、
前記二つの異なるビュー方向から見られる前記ボリューム領域の配向を変化させるように作動する、前記ボリュームレンダラに結合される第2のユーザコントロールをさらに有し、
前記第2のユーザコントロールがさらに前記二つの三次元ビューを上若しくは下に傾け、前記二つの三次元ビューを左若しくは右に回転させ、又は前記二つの三次元ビューを時計回り若しくは反時計回りに回転させるように作動し、
前記システムは、
前記第2のユーザコントロールが前記三次元ビューの一方を上方に傾けるように操作されるとき、他方の三次元ビューが対応して下方に傾き、
前記第2のユーザコントロールが前記三次元ビューの一方を左へ回転させるように操作されるとき、他方の三次元ビューが対応して左に回転し、
前記第2のユーザコントロールが前記二つの三次元ビューの一方の右側を下方へ傾けるようにビューを回転させるように操作されるとき、他方の三次元ビューが対応して左側が下方に傾斜する、
ように構成される、超音波画像診断システム。
【請求項13】
前記二つの三次元ビューがキネティックパララックスレンダリングをさらに有する、請求項1に記載の超音波画像診断システム。
【請求項14】
前記三次元画像データセットがBモード若しくはドップラ画像データをさらに有する、請求項1に記載の超音波画像診断システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は超音波医療診断システム、特に多方向からの同時ビューにおいて3Dボリュームを表示する超音波イメージングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波画像診断システムはリアルタイムに身体の面を画像化するために昔から使用されている。一次元(1D)アレイトランスデューサ若しくは機械的掃引単素子トランスデューサを持つプローブが、解剖学的構造のライブ表示のためのリアルタイム画像シーケンスを生じるように身体の面を繰り返しスキャンするように操作され得る。近年、二次元(2D)アレイトランスデューサと機械的掃引1Dアレイが身体のボリューム領域をスキャンするために開発されている。こうしたプローブは、これもリアルタイムに、スキャンしているボリュームの三次元(3D)画像を生じるために使用され得る。超音波スキャンされたボリュームの3D表示のために一般に使用される表示技術はキネティックパララックス(動的視差)と呼ばれ、ボリュームの3Dデータセットが一連の異なるビュー方向からレンダリングされる。オペレータがビュー方向を変えようと超音波システム上のコントロールを動かすと、ボリュームレンダリングプロセッサが新たに選択されたビュー方向においてボリュームをレンダリングし、異なる方向の進行が表示画面上を動いている3Dボリュームの外観を与える。個々の面はビューのために三次元データセットから選択されることができ、技術は多断面再構成(MPR)として知られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
時に異なる方向からボリューム関心領域(ROI)を見ることが望ましい。従来のビューアではこれは1方向からROIを見て、そして第2の方向から見られるように3D ROIを回旋若しくは回転させることによってなされなければならない。二つのビューの比較は、第1のビューにおいて見られたものを覚えて、そして第2の方向にビューを動かし第1のビューの記憶に基づいて比較をすることによってなされなければならない。わずかな解剖学的差異の比較のためには、記憶や、若しくは診断しようとしてビューを前後に動かすことに頼らないことが望ましい。臨床医が診断しながら同時に両ビューを見るように、同時に両ビューを見ることができることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の原理によれば、臨床医が同時に複数の外部ビュー視点からボリュームを見ることを可能にする超音波診断システムが記載される。臨床医が1ビューを操作するとき、両ビューが同様に変更された場合にビューが変化すると臨床医が期待し得る通りに両ビューが一致して変更されるように、操作が第2のビューに適用される。いずれか若しくは両方のビューはMPRビューイングによっても調べられ得る。本発明のシステムは体内の針若しくはカテーテルなどの侵襲的器具をガイドするために特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】本発明の原理に従って構成される超音波画像診断システムをブロック図式で図示する。
【
図2】立方体ROI及び二つの異なるビュー配向を示す。
【
図3a】ビューのうち一つの操作による
図2の立方体ROIの二つのビュー配向の同時変化を図示する。
【
図3b】ビューのうち一つの操作による
図2の立方体ROIの二つのビュー配向の同時変化を図示する。
【
図3c】ビューのうち一つの操作による
図2の立方体ROIの二つのビュー配向の同時変化を図示する。
【
図3d】ビューのうち一つの操作による
図2の立方体ROIの二つのビュー配向の同時変化を図示する。
【
図4】直交ビュー配向からの
図2の立方体ROIの二つの同時ビューを図示する。
【
図5a】心臓弁を含むボリュームROIの異なる方向からの同時ビューを図示する。
【
図5b】心臓弁を含むボリュームROIの異なる方向からの同時ビューを図示する。
【
図5c】心臓弁を含むボリュームROIの異なる方向からの同時ビューを図示する。
【
図6a】直交ビュー方向からのカテーテル手術の同時ビューを図示する。
【
図6b】直交ビュー方向からのカテーテル手術の同時ビューを図示する。
【
図6c】直交ビュー方向からのカテーテル手術の同時ビューを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図1をまず参照すると、本発明の原理に従って構成される超音波画像診断システムがブロック図式で示される。三次元イメージングが可能な超音波プローブ10は、ボリューム領域上を電子的に操作されフォーカスされるビームを送信し各送信ビームに応じて単一若しくは多重受信ビームを受信する二次元アレイトランスデューサ12を含む。"パッチ"若しくは"サブアレイ"とよばれる隣接トランスデューサ素子のグループはプローブ12内のマイクロビームフォーマ(μBF)によって一体化して操作され、これは受信エコー信号の部分的ビームフォーミングを実行し、それによってプローブとメインシステムの間のケーブル内の導体の数を減らす。適切な二次元アレイは米国特許6,419,633(Robinsonら)及び米国特許6,368,281(Solomonら)に記載される。マイクロビームフォーマは米国特許5,997,479(Savordら)及び6,013,032(Savord)に記載される。アレイの送信ビーム特性はビームトランスミッタ16によって制御され、これはアレイのアポダイズドアパーチャ素子に身体のボリューム領域を通る所望の方向に所望の深さのフォーカスビームを放出させる。送信パルスは送信/受信スイッチ14を用いてビームトランスミッタ16からアレイの素子へ結合される。送信ビームに応じてアレイ素子とマイクロビームフォーマによって受信されるエコー信号はシステムビームフォーマ18に結合され、ここでマイクロビームフォーマからの部分的にビーム形成されたエコー信号が処理されて送信ビームに応じた完全にビーム形成された単一若しくは多重受信ビームを形成する。この目的のための適切なビームフォーマは上述のSavordの'032特許に記載される。
【0007】
ビームフォーマ18によって形成される受信ビームはフィルタリング及び直交復調などの機能を実行する信号プロセッサ26に結合される。処理された受信ビームのエコー信号はドップラプロセッサ30及び/又はBモードプロセッサ24に結合される。ドップラプロセッサ30はエコー情報をドップラパワー若しくは速度情報信号へ処理する。Bモードイメージングの場合受信ビームエコーは包絡線検波され、信号はBモードプロセッサ24によって適切なダイナミックレンジに対数圧縮される。スキャンされたボリューム領域からのエコー及びドップラ信号は一つ以上の3D画像データセットを形成するように処理され、これは3D画像データセットバッファ32に保存される。3D画像データは複数の方法で表示のために処理され得る。一つの方法はボリュームの多重2D平面を生じることである、これは米国特許6,443,896(Detmer)に記載される。ボリューム領域のこうした平面画像は当技術分野で既知の通り多断面再構成によって生成される。本発明によれば、三次元画像データはボリュームレンダラ34及び36によって透視若しくはキネティックパララックス3D表示を形成するようにレンダリングもされ得る。結果として得られる画像は、米国特許5,720,291(Schwartz)に記載の通りBモード、ドップラ若しくは両方であり得るが、ディスプレイプロセッサ38に結合され、そこから画像ディスプレイ40上に表示される。ビームフォーマコントローラ22のユーザコントロール、ROIの選択、ROIが見られる方向の選択、及び超音波システムの他の機能はユーザインターフェース若しくはコントロールパネル20を通じて提供される。
【0008】
図2‐4を参照して3D ROIの同時ビューの操作が明確に理解され得る。これらの図面においてボリューム領域50内に位置する立方体ROI52が説明の明確さのために使用される。
図2に見られる通り、立方体ROI52は前面F、上面T、側面S
1及びS
2、後面(B)と底面(Z)を持ち、後者の三つは
図2には見えていない。3D ROI52は前面から後面へのびる二つの通路を持ち、一方は円形通路54として描かれ、他方は六角形通路56として描かれる。それぞれ前方F及び後方Bから3D ROIを見る二つのビュー方向V
1及びV
2も
図2に図示される。
【0009】
図3a‐4は本発明の原理にかかるボリュームレンダラ1とボリュームレンダラ2の同時操作によって形成される3D ROIの同時3Dビューを示す。これらの図面に図示される通り二つの3Dビューがディスプレイ40上で同時に臨床医に表示される。ボリュームレンダラ1は前面Fの方を向いて見られる通り3D ROIをレンダリングし、ボリュームレンダラ2は後面Bの方を向いて見られる通り3D ROIをレンダリングする。従ってレンダリングに使用されるビュー方向は互いに180°対向する。上面Tと側面S
1が見られるように、
図3aの前面ビュー62においてビュー方向は3D ROIの前面よりわずかに右上である。後面ビュー64の場合側面S
1と上面Tがこのビューにおいても見られるようにビュー方向は後面Bよりわずかに左上である。
図3aに図示の通り厳密に180°のビューからのわずかな変更が使用されることができ、又は
図4に図示の通り両ビューは厳密に180°対向し得る。
図3aが図示する通り、3D ROIを通ってのびる通路54,56は臨床医がそれらを見ることを期待する通り前面Fの右側と後面Bの左側に見られる。
【0010】
図3bにおいて臨床医はディスプレイの左側の3D ROI62を矢印67によって示される通り左へわずかに回転させるよう、コントロールパネル20上のトラックボール若しくはディスプレイスクリーン上のソフトキーコントロールなどのユーザインターフェースの制御を操作している。臨床医はまた、上面Tがもっと見られるように矢印66によって示される通り3D ROIをわずかに下方へ傾けるようユーザコントロールを操作している。臨床医がこのように左側の3D ROI62を操作すると、臨床医が右のビューを同様に動かすように操作したかのように、右側の3D ROIビュー64が対応して動く。3D ROIの後方からの右のビュー64は矢印69によって示される通り左へ同じ量だけ回転し、左の3D ROIビューの傾斜と同じ量(矢印68)だけ上方へ傾斜し、底面Zがもっと見えるようにする。従って、3D ROIの一方のビューを操作することによって、3D ROIの他方のビューに対応する調節がなされる。臨床医は制御を調節しながら一方の3D ROIを動かし、臨床医が二つの異なるビューから同じROIとその動きを見ているかのように、3D ROIの前方と後方の両方のビューにおいて結果として生じる変化を見るという感覚を持つ。
【0011】
図3cは底面Zが見えるように臨床医がROIを右に(矢印72及び74によって示される通り)回転させ、ROIの前方ビューを上方へ傾けた(矢印70によって示される通り)後の前方と後方の3D ROIビュー62及び64を図示する。図面が図示する通り、後方ビュー64は対応する方法で動く。前方から見える通りROIの上方傾斜70は矢印71によって示される通り後方から下方傾斜として見られ、上面Tを後方からもっと見えるようにする。臨床医がビューの一方の配向を調節すると、左及び右のビューは両方とも一致して動く。
【0012】
図3dは3D ROI62の右側を下方へ傾けるように左のビューを回転させた結果を図示する。これが起こると、3D ROIの後部ビュー64は矢印78によって示される通り左側が下方に傾斜する。これは臨床医が左のビューを回転させるときに右のビューが振る舞うと期待し得る方法である:S
1面側は両ビューにおいて下方へ傾斜する。同じ結果が右のビュー64を左側で下方に傾けることによって得られ、これはビュー62の右側を右下へ傾けることと対応する結果を生じる。従って、ビューの一方においてROIを動かすことが他方のビューの同じ動きを生じ、これはことなるビュー配向から見られる。
【0013】
図4は3D ROIの二つのビューを示し、左のビュー80が前面Fから3D ROIを見ており、右のビュー82が側面S
1から3D ROIを見ている。前の実施例と同様に、3D ROIのビューの一方を操作することは他方のビューにおける、ただし異なる視点から見られる3D ROIの同じ動きを生じる。従って3D ROIの二つのビューは
図3a‐3dに図示される通り互いに180°の角度、若しくは
図4に図示の通り互いに90°の角度、若しくはビュー間の任意の他の中間角度、例えば0°乃至180°であり得る。
【0014】
図5a‐5cは本発明の超音波システムの臨床応用を図示する。この実施例において、カテーテル100は僧帽弁若しくは三尖弁94を通り心室112へ入る通路に備えて心臓の心房110へ通されている。心臓弁94は心臓の両側で心筋壁90及び92に付着しているように見られる。心室内の弁尖からのびているのは腱索104であり、心室内の乳頭筋へ弁栓を付着させる索状の腱である。本発明の超音波システムは
図5aに図示の通り心臓を画像化しこうしたボリューム領域3D ROI96内で輪郭を示すことによってカテーテル手術をガイドするために使用される。
図5aが図示するとおり、この3D ROIは弁の両側で心腔に広がり、カテーテル100がそれを通して挿入される弁を含む。3D ROIがこのように輪郭描写されると、3D ROIは
図5b及び5cに図示の通り心房110内の面と心室内の面の両方から同時に見られる。
図5bに図示の通り心房110からのビューV
1において、臨床医はカテーテル100'が弁尖間のスリット102に近づくとそれを見ることができる。弁の反対側で
図5cのV2ビューは弁尖のスリット102を見て、それを通ってカテーテルが間もなくあらわれ、腱索104が弁尖から戻ってのびる。3Dで両側から弁94を見ることによって、臨床医はカテーテル100を心臓弁94の中心の方へガイドすることができ、カテーテルが弁94の心室側にあらわれる際に心臓弁を通るその挿入を見ることができる。
【0015】
図6a‐6cは本発明の超音波システムで実行される臨床診断法の別の実施例を図示する。この実施例において3D ROIは二つの直交ビュー方向V
1及びV
2で見られる。この実施例においてカテーテル120は心臓の心筋90の壁上のスポット124上で臨床診断法を実行するようにガイドされている。カテーテル120、処置されるスポット124、診断法が実行される心腔の遠端126を含む
図6aにおいて3D ROIは輪郭122によって図示される通り輪郭描写される。この3D ROI122は
図6aに図示されるV
1、及び
図6aの描画の平面の中を見る第2の方向に、二つの直交ビュー方向で見られる。
図6bは方向V
1から見る3D ROI122を図示する。このビューにおいてカテーテル120は心筋の壁90と平行に軸方向に見られ、カテーテルが位置づけられる心腔の遠端126に近づいている。直交するV
2ビューが
図6cに図示される。このビューにおいてカテーテル120は診断法が実行される接近点124に見られ、心臓壁90にほぼ平行な配向である。二つの直交ビューは臨床医に、カテーテルが心臓壁に沿ってどのように進んでいるか、その心臓壁からの間隔、及び診断法が実行される点124に達するためにカテーテルがどの位さらにのばされる必要があるかについての感覚を与える。