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【文献】
PETERS, S.J. et al.,Oncol Rep,2011年,Vol.26, No.1,p.247-54
【文献】
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(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
カゼイン組成物の摂取後の胃内容排出速度を上昇させるか、タンパク質組成物の消化性を上昇させるか、または血液へのアミノ酸送達速度を上昇させるための、カゼイン組成物であって、前記カゼイン組成物は、低カルシウム乳タンパク質濃縮物もしくは単離物(MPCまたはMPI)を含むか、カゼインが低カルシウム乳タンパク質濃縮物もしくは単離物(MPCまたはMPI)の形態であり、前記カゼインは、カルシウムが約10〜約100%少なく、加水分解度が約1%未満であり、非修飾のリン酸化パターンを有する、カゼイン組成物。
カゼイン組成物の摂取後の胃内容排出速度を上昇させるか、タンパク質組成物の消化性を上昇させるか、または血液へのアミノ酸送達速度を上昇させるための、配合剤の製造におけるカゼイン組成物の使用であって、前記カゼイン組成物は、低カルシウム乳タンパク質濃縮物もしくは単離物(MPCまたはMPI)を含むか、カゼインが低カルシウム乳タンパク質濃縮物もしくは単離物(MPCまたはMPI)の形態であり、前記カゼインは、カルシウムが約10〜約100%少なく、加水分解度が約1%未満であり、非修飾のリン酸化パターンを有する、使用。
前記カゼインが、血清中遊離ロイシン濃度を、少なくとも約205〜約400μmol/Lに上昇させることができる、請求項1、3、及び5のいずれか1項に記載の組成物。
前記カゼインが、約5〜約50分間、血清中遊離ロイシン濃度を、少なくとも約205μmol/Lに上昇させることができる、請求項1、3、5、及び6のいずれか1項に記載の組成物。
前記カゼインが、血清中遊離ロイシン濃度を、少なくとも約100%またはそれを超えて上昇させることができる、請求項1、3、5〜7のいずれか1項に記載の組成物。
前記カゼインが、投与後少なくとも約5〜約50分間、血清中遊離ロイシン濃度を少なくとも約100%上昇させることができる、請求項1、3、5〜8のいずれか1項に記載の組成物。
前記カゼインが、血清中遊離ロイシン濃度を、少なくとも約105〜約400μmol/L上昇させることができる、請求項1、3、5〜9のいずれか1項に記載の組成物。
前記カゼインが、血清中遊離ロイシン濃度を、少なくとも約5〜約50分間、少なくとも約105μmol/L上昇させることができる、請求項1、3、5〜10のいずれか1項に記載の組成物。
前記カゼインが、pH約1〜約5でも可溶であるか、胃腸管内でも可溶性であるか、胃腸液中でも可溶であるか、pH約1〜約5で凝塊を形成しないか、または胃腸管内で凝塊を形成しない、請求項1、3、5〜11のいずれか1項に記載の組成物。
カゼイン組成物が、低カルシウムカゼイン組成物;低カルシウムスキムミルク、低カルシウムスキムミルク粉末;低カルシウム全乳;低カルシウム全乳粉;カゼイン塩、カゼインナトリウム、カゼインカリウム、カゼイン亜鉛、カゼインマグネシウム;カゼインミセルを溶解するように修飾された乳タンパク質濃縮物もしくは単離物;非ミセルカゼイン;カルシウムもしくはリン酸塩もしくはカルシウムとリン酸塩の両方の少なくとも一部がナトリウム、カリウム、亜鉛、マグネシウムなど、もしくはそれらの任意の2つ以上の組み合わせで置換されているMPCもしくはMPIなどのカゼイン原料;酸可溶性カゼイン;非ミセルカゼイン塩;キレート化カゼインミセル;電荷修飾カゼイン;グリコシル化カゼイン;酸性pH、好ましくはpH5、pH4もしくはpH3未満のpHで凝塊を形成する能力を低下させるように修飾されたカゼイン;胃腸管内で加水分解される能力を促進するように修飾されたカゼイン;ホエーに対するカゼインの比率を変化させたカゼイン原料;乳酸カゼイン;鉱酸カゼイン;1つ以上のカゼイン画分;α−カゼイン画分;β−カゼイン画分;κ−カゼイン画分;またはそれらの任意の2つ以上の任意の組み合わせの形態を含むか、またはカゼインが、それらの形態である、請求項1、3、5〜14のいずれか1項に記載の組成物。
前記組成物または配合剤が、少なくとも約0.01〜約99重量%のタンパク質を含み、前記タンパク質が、少なくとも約0.01〜約99重量%のカゼインである、請求項1、3、5〜18のいずれか1項に記載の組成物。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、一態様において、本発明は、対象において血清中遊離ロイシン濃度を、好ましくはホエータンパク質と実質的に同レベルに上昇させるためのカゼイン組成物であって、該カゼインは、カルシウムが約10〜約100%少なく、加水分解度が約1%未満であり、非修飾のリン酸化パターンを有し、好ましくは、投与の約15〜約60分以内に、対象において血清中遊離ロイシン濃度を、ホエータンパク質と実質的に同レベルに上昇させることが可能である、カゼイン組成物に関する。
【0008】
加水分解度は、限定するものではないが、HPLC、SDS PAGEおよび試薬に基づく方法、例えばo−フタルジアルデヒド(OPA)法などの方法を利用して決定され得る。OPA法において、OPA、エタンジオールもしくはジチオトレイトール、またはそれらの誘導体などのチオール試薬は、カゼインと反応して、加水分解されたタンパク質中の特異的アミノ酸にチオール試薬を結合させる。チオール結合アミノ酸は、450nmで蛍光を強く発し、蛍光のレベルは、加水分解度の定量的指標として用いられる。
【0009】
別の態様において、本発明は、必要とする対象に有効量のカゼイン組成物を投与して、対象において血清中遊離ロイシン濃度を、好ましくはホエータンパク質と実質的に同レベルに上昇させることを含む、対象において血清中遊離ロイシン濃度を上昇させるための方法であって、該カゼインは、カルシウムが約10〜約100%少なく、加水分解度が約1%未満であり、非修飾のリン酸化パターンを有し、好ましくは、投与の約15〜約60分以内に、対象において血清中遊離ロイシン濃度を、ホエータンパク質と実質的に同レベルに上昇させることが可能である、方法に関する。
【0010】
別の態様において、本発明は、対象において血清中遊離ロイシン濃度を、好ましくはホエータンパク質と実質的に同レベルに上昇させるための配合剤の製造におけるカゼイン組成物の使用であって、該カゼインは、カルシウムが約10〜約100%少なく、加水分解度が約1%未満であり、非修飾のリン酸化パターンを有し、好ましくは、投与の約15〜約60分以内に、対象において血清中遊離ロイシン濃度をホエータンパク質と実質的に同レベルに上昇させることが可能である、使用に関する。
【0011】
別の態様において、本発明は、カゼイン組成物の摂取後の胃内容排出速度を上昇させるか、タンパク質組成物の消化性を上昇させるか、または血液へのアミノ酸送達速度を上昇させるための、カゼイン組成物であって、該カゼインは、カルシウムが約10〜約100%少なく、加水分解度が約1%未満であり、非修飾のリン酸化パターンを有し、好ましくは該組成物の摂取後の胃内容排出速度を上昇させること、タンパク質組成物の消化性を上昇させること、または好ましくは投与の約15〜約60分以内に、対象において血液へのアミノ酸送達速度をホエータンパク質と実質的に同レベルに上昇させることが可能である、カゼイン組成物に関する。
【0012】
別の態様において、本発明は、必要とする対象に有効量のカゼイン組成物を投与することを含む、タンパク質組成物の摂取後の胃内容排出速度を上昇させるか、タンパク質組成物の消化性を上昇させるか、または血液へのアミノ酸送達速度を上昇させるための方法であって、該カゼインは、カルシウムが約10〜約100%少なく、加水分解度が約1%未満であり、非修飾のリン酸化パターンを有し、好ましくは該組成物の摂取後の胃内容排出速度を上昇させること、タンパク質組成物の消化性を上昇させること、または好ましくは投与の約15〜約60分以内に、対象において血液へのアミノ酸送達速度をホエータンパク質と実質的に同レベルに上昇させることが可能である、方法に関する。
【0013】
別の態様において、本発明は、カゼイン組成物の摂取後の胃内容排出速度を上昇させるか、タンパク質組成物の消化性を上昇させるか、または血液へのアミノ酸送達速度を上昇させるための、配合剤の製造におけるカゼイン組成物の使用であって、該カゼインは、カルシウムが約10〜約100%少なく、加水分解度が約1%未満であり、非修飾のリン酸化パターンを有し、好ましくは該組成物の摂取後の胃内容排出速度を上昇させること、タンパク質組成物の消化性を上昇させること、または好ましくは投与の約15〜約60分以内に、対象において血液へのアミノ酸送達速度をホエータンパク質と実質的に同レベルに上昇させることが可能である、使用に関する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
以下の実施形態のいずれも、単独で、または以下の実施形態の任意の2つ以上の任意の組み合わせにおいて、上記の態様のいずれかに関係し得る。
【0015】
一実施形態において、カゼインは、非加水分解形態であり、かつ非修飾のリン酸化パターンを有するか、または非加水分解のp−κカゼインであり、かつ非修飾のリン酸化パターンを有する。
【0016】
一実施形態において、カゼインは、約15〜約60、約30〜約60、または約45〜約60分以内をはじめとし、投与の約15、30、45または60分以内に、対象において血清中遊離ロイシン濃度を、好ましくはホエータンパク質と実質的に同レベルに上昇させる。この実施形態および関連の実施形態において、ホエータンパク質は、ホエータンパク質濃縮物(WPC)、好ましくは約80または約85重量%のタンパク質を含むホエータンパク質濃縮物であってもよい。
【0017】
一実施形態において、カゼインは、血清中遊離ロイシン濃度を、少なくとも約205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395もしくは400μmol/L、またはそれを超えて上昇させることが可能であり、有用な範囲は、これらの値のいずれかの間(例えば、約205〜約255、約210〜約255、約215〜約255、約220〜約255、約225〜約255、約230〜約255、約235〜約255、約240〜約255、約205〜約400、約210〜約400、約215〜約400、約220〜約400、約225〜約400、約230〜約400、約235〜約400、約240〜約400、約245〜約400、約250〜約400、約255〜約400、約260〜約400、約265〜約400、約270〜約400、約275〜約400、約280〜約400、約285〜約400、約290〜約400、約295〜約400、約300〜約400、約305〜約400、約310〜約400、約315〜約400、約320〜約400、約325〜約400、約330〜約400、約335〜約400、約340〜約400、約345〜約400および約350〜約400μmol/L)から選択されてもよい。
【0018】
別の実施形態において、カゼインは、投与後少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45もしくは50分間、またはそれを超えて、上記のように血清中遊離ロイシン濃度を少なくとも205μ/Lに上昇させることが可能であり、有用な範囲は、これらの値のいずれかの間(例えば、約5〜約50、約10〜約50、約15〜約50、約20〜約50、約25〜約50、および約30〜約50分間)から選択されてもよい。
【0019】
一実施形態において、カゼインは、血清中遊離ロイシン濃度を、少なくとも約100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250もしくは255%、またはそれを超えて上昇させることが可能であり、有用な範囲は、これらの値のいずれかの間(例えば、約100〜約255、約105〜約255、約110〜約255、約115〜約255、約120〜約255、約125〜約255、約130〜約255、約135〜約255、約140〜約255、約145〜約255、約150〜約255、約155〜約255、約160〜約255、約165〜約255、約170〜約255、約175〜約255、約180〜約255、約185〜約255、約190〜約255、約195〜約255、約200〜約255、約205〜約255、約210〜約255、約215〜約255、約220〜約255、約225〜約255、約230〜約255、約235〜約255および約240〜約255%)から選択されてもよい。
【0020】
別の実施形態において、カゼインは、投与後少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45もしくは50分間、またはそれを超えて、上記のように血清中遊離ロイシン濃度を、少なくとも約100〜少なくとも205%、またはそれを超えて上昇させることが可能であり、有用な範囲は、これらの値のいずれかの間(例えば、約5〜約50、約10〜約50、約15〜約50、約20〜約50、約25〜約50、および約30〜約50分間)から選択されてもよい。
【0021】
一実施形態において、カゼインは、血清中遊離ロイシン濃度を、少なくとも約105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245もしくは250μmol/L、またはそれを超えて上昇させることが可能であり、有用な範囲は、これらの値のいずれかの間(例えば、約100〜約250、約105〜約250、約110〜約250、約115〜約250、約120〜約250、約125〜約250、約130〜約250、約135〜約250、約140〜約250、約145〜約250、約150〜約250、約155〜約250、約160〜約250、約165〜約250、約170〜約250、約175〜約250、約180〜約250、約185〜約250、約190〜約250、約195〜約250、約200〜約250、約205〜約250、約210〜約250、約215〜約250、約220〜約250、約225〜約250、約230〜約250、約235〜約250および約240〜約250μmol/L)から選択されてもよい。
【0022】
別の実施形態において、カゼインは、投与後少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45もしくは50分間、またはそれを超えて、上記のように血清中遊離ロイシン濃度を、少なくとも約105μmol/L、またはそれを超えて上昇させることが可能であり、有用な範囲は、これらの値のいずれかの間(例えば、約5〜約50、約10〜約50、約15〜約50、約20〜約50、約25〜約50、および約30〜約50分間)から選択されてもよい。
【0023】
様々な実施形態において、カゼインは、pH約1〜約5でも可溶であるか、胃腸管内でも可溶性であるか、胃腸液中でも可溶であるか、pH約1〜約5で凝塊を形成しないか、または胃腸管内で凝塊を形成しない。
【0024】
一実施形態において、カゼインは、非ミセルカゼインである。
【0025】
一実施形態において、カゼインは、結合カルシウムを実質的に含まない。
【0026】
一実施形態において、カゼインは、粒径約40、50、60、70、50、90、100、110、120、130、140、150、160または165nmのカゼイン粒子を含み、有用な範囲は、これらの値のいずれかの間(例えば、約50〜約165、約50〜約100または約50〜約70nm)から選択されてもよい。
【0027】
様々な実施形態において、カゼイン組成物は、低カルシウムカゼイン組成物;低カルシウムスキムミルク、低カルシウムスキムミルク粉末;低カルシウム全乳;低カルシウム全乳粉;カゼイン塩、カゼインナトリウム、カゼインカリウム、カゼイン亜鉛、カゼインマグネシウム;低カルシウム乳タンパク質濃縮物もしくは単離物(MPCまたはMPI);カゼインミセルを溶解するように修飾された乳タンパク質濃縮物もしくは単離物;非ミセルカゼイン;カルシウムもしくはリン酸塩もしくはカルシウムとリン酸塩の両方の少なくとも一部がナトリウム、カリウム、亜鉛、マグネシウムなど、もしくそれらの任意の2つ以上の組み合わせで置換されているMPCもしくはMPIなどのカゼイン原料;酸可溶性カゼイン;非ミセルカゼイン塩;キレート化カゼインミセル;電荷修飾カゼイン;グリコシル化カゼイン;酸性pH、好ましくはpH5、pH4もしくはpH3未満のpHで凝塊を形成する能力を低下させるように修飾されたカゼイン;胃腸管内で加水分解される能力を促進するように修飾されたカゼイン;ホエーに対するカゼインの比率を変化させたカゼイン原料;乳酸カゼイン;鉱酸カゼイン;1つ以上のカゼイン画分;α−カゼイン画分;β−カゼイン画分;κ−カゼイン画分;またはそれらの任意の2つ以上の任意の組み合わせの形態を含むか、またはカゼインが、それらの形態である。
【0028】
一実施形態において、低カルシウム乳タンパク質濃縮物、低カルシウム乳タンパク質単離物または低カルシウムカゼイン塩などの低カルシウムカゼイン組成物は、カルシウムが、少なくとも約10、20、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、99または100%少なく、有用な範囲は、これらの値のいずれかの間(例えば、約30〜約100、約40〜約100、約50〜約100、約60〜約100、または約70〜約100%)から選択されてもよい。
【0029】
一実施形態において、低カルシウム乳タンパク質濃縮物、低カルシウム乳タンパク質単離物または低カルシウムカゼイン塩などの低カルシウムカゼイン組成物は、カゼイン100グラムあたり約0、0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.25、1.5、1.75、2、2.25、2.5、2.75または3グラムまたはそれ未満のカルシウムを含有し、有用な範囲は、これらの値のいずれかの間(例えば、約0〜約3、約0〜約2.5、約0〜約2、約0〜約1.5、約0〜約1、約0〜約0.8または約0〜約0.5gカルシウム/100gカゼイン)から選択されてもよい。
【0030】
一実施形態において、カゼインは、pH約1〜約5で安定である。
【0031】
一実施形態において、血清中ロイシン濃度を、好ましくはホエータンパク質と実質的に同レベルに上昇させることにより、以下のいずれか1つ以上、または以下のいずれかの2つ以上の任意の組み合わせが実現される。
a)筋肉タンパク質合成の維持もしくは増加、
b)筋肉量の維持もしくは増加、
c)筋肉量減少の予防もしくは抑制、
d)成長の維持もしくは増加、
e)筋肉異化の予防もしくは減少、
f)悪液質の予防もしくは処置、
g)サルコペニアの予防もしくは処置、
h)グリコーゲン再合成速度の上昇、
i)血糖レベルのモジュレーション、
j)血糖濃度の上昇に対するインスリン応答の増加、
k)満腹の増加、
l)飽満の減少、
m)食物摂取の減少、
n)カロリー摂取の減少、
o)グルコース代謝の改善、
p)術後回復速度の上昇、
q)外傷後回復速度の上昇、
r)運動後回復速度の上昇、または
s)スポーツパフォーマンスの向上
【0032】
様々な実施形態において、該組成物または配合剤は、少なくとも約0.01、0.1、0.5、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95または99重量%のタンパク質を含み、有用な範囲は、これらの値のいずれかの間(例えば、約0.01〜約10、約0.01〜約20、約0.01〜約30、約0.01〜約40、約0.01〜約50、約0.01〜約60、約0.01〜約70、約0.01〜約80、または約0.01〜約99%)から選択されてもよい。
【0033】
一実施形態において、該タンパク質は、動物供給源もしくは植物供給源、またはそれらの組み合わせである。一実施形態において、該タンパク質は、カゼインおよび追加のタンパク質供給源、例えば動物性タンパク質もしくは植物性タンパク質、またはそれらの組み合わせを含む。動物性タンパク質の適切な供給源としては、肉およびホエータンパク質が挙げられる。植物性タンパク質の適切な供給源としては、穀類、豆類、マメ科植物(例えば、エンドウ豆、インゲン豆、レンズ豆および大豆のタンパク質)、果実、ナッツ、および種子タンパク質、またはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせが挙げられる。
【0034】
様々な実施形態において、該組成物または配合剤は、少なくとも約0.01、0.1、0.5、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、79、81、85、90、95または99重量%のカゼインを含み、有用な範囲は、これらの値のいずれかの間(例えば、約0.01〜約10、約0.01〜約20、約0.01〜約30、約0.01〜約40、約0.01〜約50、約0.01〜約60、約0.01〜約70、約0.01〜約80、または約0.01〜約99%)から選択されてもよい。
【0035】
上記のタンパク質を含有する組成物または配合剤の様々な実施形態において、該タンパク質は、少なくとも約0.01、0.1、0.5、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、79、81、85、90、95または99重量%のカゼインであり、有用な範囲は、これらの値のいずれかの間(例えば、約0.01〜約10、約0.01〜約20、約0.01〜約30、約0.01〜約40、約0.01〜約50、約0.01〜約60、約0.01〜約70、約0.01〜約80、または約0.01〜約99%カゼイン)から選択されてもよい。
【0036】
上記のタンパク質を含有する組成物または配合剤の様々な実施形態において、該タンパク質は、少なくとも約0.01、0.1、0.5、5、10、15、20、25または30重量%のホエータンパク質であり、有用な範囲は、これらの値のいずれかの間(例えば、約0.01〜約10、約0.01〜約20、約0.01〜約30%ホエータンパク質)から選択されてもよい。
【0037】
上記のタンパク質を含有する組成物または配合剤の様々な実施形態において、該タンパク質は、少なくとも約0.01、0.1、0.5、5、10、15、20、25または30重量%の植物性タンパク質であり、有用な範囲は、これらの値のいずれかの間(例えば、約0.01〜約10、約0.01〜約20、約0.01〜約30%植物性タンパク質)から選択されてもよい。植物性タンパク質の適切な供給源としては、穀類、豆類、マメ科植物(例えば、エンドウ豆、インゲン豆、レンズ豆および大豆のタンパク質)、果実、ナッツ、および種子タンパク質、またはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせが挙げられる。
【0038】
一実施形態において、該組成物は、アミノ酸、アミノ酸前駆体もしくはアミノ酸代謝産物、またはそれらの任意の2つ以上の任意の組み合わせ、好ましくは遊離アミノ酸、アミノ酸前駆体またはアミノ酸代謝産物、例えばアラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、必須アミノ酸、非必須アミノ酸、分枝鎖アミノ酸、N−アセチル−L−チロシンなどのアミノ酸前駆体、αケトグルタル酸などのアミノ酸代謝産物、および非標準的アミノ酸、ならびにそれらの任意の2つ以上の任意の組み合わせを含む群から選択される供給源を追加で含んでいてもよい。一実施形態において、該組成物または配合剤は、少なくとも約0.01、0.1、0.5、1、5、10もしくは15重量%、またはそれを超える遊離アミノ酸、前駆体またはアミノ酸代謝産物を含み、有用な範囲は、これらの値のいずれかの間(例えば、約0.01〜約1、約0.01〜約5、約0.01〜約10、または約0.01〜約15%)から選択されてもよい。
【0039】
一実施形態において、該組成物または配合剤は、少なくとも約0.01、0.1、0.5、5、10、15、20、25、30、35、40、45または50重量%の脂質を含み、有用な範囲は、これらの値のいずれかの間(例えば、約0.01〜約10、約0.01〜約20、約0.01〜約30、約0.01〜約40、または約0.01〜約50%)から選択されてもよい。
【0040】
一実施形態において、脂質は、動物または植物供給源に由来する。
【0041】
一実施形態において、該組成物または配合剤は、少なくとも約0.01、0.1、0.5、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60または70重量%の炭水化物を含み、有用な範囲は、これらの値のいずれかの間(例えば、約0.01〜約10、約0.01〜約20、約0.01〜約30、約0.01〜約40、約0.01〜約50、約0.01〜約60、または約0.01〜約70%)から選択されてもよい。
【0042】
一実施形態において、炭水化物は、単糖類、二糖類、オリゴ糖、または多糖類、およびそれらの任意の2つ以上の任意の組み合わせから選択される。
【0043】
一実施形態において、該組成物または配合剤は、少なくとも約0.01、0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10重量%の無機質またはビタミンを含み、有用な範囲は、これらの値のいずれかの間(例えば、約0.01〜約2、約0.01〜約4、約0.01〜約6、約0.01〜約8、または約0.01〜約10%)から選択されてもよい。
【0044】
一実施形態において、該組成物または配合剤は、約0.01〜約95%のタンパク質、約0.01〜約50%の脂質、約0.01〜約70%の炭水化物、ならびに約0.01〜約10%の無機質およびビタミンを含む。一実施形態において、該組成物または配合剤は、約0.01〜約50%のタンパク質、約0.01〜約30%の脂質、約0.01〜約50%の炭水化物、ならびに約0.01〜約5%の無機質およびビタミンを含む。一実施形態において、該組成物または配合剤は、約0.5〜約15%のタンパク質、約0.1〜約10%の脂質、約0.1〜約30%の炭水化物、ならびに約0.1〜約1%の無機質およびビタミンを含む。様々な実施形態において、該タンパク質は、上記のように約0.01〜約99%のカゼインを含んでいてもよい。
【0045】
一実施形態において、該組成物または配合剤は、100mlあたり約1kcal(4.184kJ)〜100mlあたり約300kcal(1255kJ)のエネルギー量を有する。
【0046】
様々な実施形態において、該組成物または配合剤のpHは、約1〜約14、約1〜約5、約6〜約8、約9〜14、約1〜約9または約5〜約9である。
【0047】
一実施形態において、該組成物または配合剤は、果汁、濃縮果汁、天然もしくは人工香料、天然もしくは人工甘味料、天然もしくは人工着色剤、繊維、プロバイオティクス、プレバイオティクス、ハーブ、カフェイン、ガラナ、グルコサミン、遊離アミノ酸(先に記載)、有機酸、アミノ酸前駆体、アミノ酸代謝産物、タウリン、α−ケトグルタル酸、N−アセチル−L−チロシン、クレアチン、クレアチンエステル、クレアチンエチルエステル、クレアチン塩、クレアチン塩酸、β−アラニン、β−ヒドロキシβ−メチル酪酸およびβ−ヒドロキシβ−メチルブテラート(beta−hydroxy beta− methylbuterate)、ならびにそれらの任意の2つ以上の任意の組み合わせのうちの任意の1つ以上を更に含む。
【0048】
一実施形態において、該組成物または配合剤は、少なくとも約0.1〜約10%のタンパク質、約0.01〜約5%の脂質、約0.1〜約15%の炭水化物、ならびに約0.1〜約2%の無機質およびビタミンを含み、100mlあたり約1kcal(4.184kJ)のエネルギー量を有する消費向け飲料(consumer beverage)である。一実施形態において、該タンパク質は、上記のように約0.01〜約99%のカゼインを含んでいてもよい。
【0049】
一実施形態において、該組成物または配合剤は、天然もしくは人工香料、天然もしくは人工甘味料、天然もしくは人工着色剤、またはグルコサミン、あるいはそれらの任意の2つ以上の任意の組み合わせのうちの任意の1つ以上を追加的に含むリカバリー用の飲料である。一実施形態において、リカバリー用飲料は、約0.1〜約10%のタンパク質、約0.01〜約4%の脂質、約0.1〜約20%の炭水化物、ならびに約0.1〜約2%の無機質およびビタミンを含み、100mlあたり少なくとも約1kcal(4.184kJ)のエネルギー量を有する。一実施形態において、該タンパク質は、上記のように約0.01〜約99%のカゼインを含んでいてもよい。
【0050】
一実施形態において、該組成物または配合剤は、天然もしくは人工香料、天然もしくは人工甘味料、または天然もしくは人工着色剤、あるいはそれらの任意の2つ以上の任意の組み合わせのうちの任意の1つ以上を追加的に含むメディカルフードである。一実施形態において、メディカルフードは、約1〜約20%のタンパク質、約1〜約20%の脂質、約1〜約40%の炭水化物、ならびに約0.1〜約5%の無機質およびビタミンを含み、100mlあたり少なくとも約50kcal(209kJ)のエネルギー量を有する。様々な実施形態において、メディカルフードは、酸性または中性である。一実施形態において、該タンパク質は、上記のように約0.01〜約99%のカゼインを含んでいてもよい。
【0051】
様々な実施形態において、該組成物または配合剤は、食品の調製に用いられる原料である。一実施形態において、該組成物または配合剤は、食品との分離投与、同時投与または連続投与のために配合される。様々な実施形態において、食品は、菓子、バー、乳用品、ミルク、乳製品、粉乳、還元乳、発酵乳、ヨーグルト、ヨーグルト飲料、固形ヨーグルト、飲料、食品添加物、飲料添加物、食事用補助剤、栄養製品、低カロリー製品またはメディカルフードである。
【0052】
別の実施形態において、該組成物は、食品、飲料、食品添加物、飲料添加物、食事用補助剤、栄養製品、低カロリー製品、メディカルフード、経腸投与製品、非経口投与製品、代用肉、機能性食品、薬剤、もしくは医薬品であるか、またはそれらとして配合される。
【0053】
一実施形態において、ホエータンパク質は、ホエータンパク質濃縮物またはホエータンパク質単離物である。別の実施形態において、ホエータンパク質は、約50、60、70、80または90重量%のタンパク質を含むホエータンパク質濃縮物またはホエータンパク質単離物であり、有用な範囲は、これらの値のいずれかの間(例えば、約50〜約90%)から選択されてもよい。
【0054】
本明細書に開示された数値範囲の箇所は、その範囲内の全ての合理的数値(例えば、1、1.1、2、3、3.9、4、5、6、6.5、7、8、9および10)およびその範囲内の合理的数値の任意の範囲(例えば、2〜8、1.5〜5.5および3.2〜4.7)も組み込むものとし、それゆえ本明細書に明白に開示された全ての範囲の全ての部分範囲は、本明細書により明白に開示される。これらは、具体的に意図されたものの例に過ぎず、列挙された最小値と最大値の間の数値の全ての可能な組み合わせが、類似の手法で本願に明白に述べられていると見なされる。
【0055】
特許明細書、他の外部文書または他の情報源を参照した本願において、これは一般に、本発明の特色を記載するための状況を提供することを目的とする。他に具体的に記載されない限り、そのような外部文書の参照は、そのような文書またはそのような情報源が、任意の権限において、先行技術であること、または当該技術分野の共通する一般的知識の一部を形成することの承認と解釈すべきでない。
【0056】
本発明は、部品、要素または特色の2つ以上のあらゆる組み合わせにおいて本願の明細書に個別または集合的に参照されるか、または示される前記部品、要素および特色に存在するとも、広義で言うことができ、本発明に関係する技術分野において公知の均等物を有する具体的な整数が本明細書に挙げられている場合、そのような均等物は、個別に示されたかのように本明細書に組み入れられるものとする。
【発明を実施するための形態】
【0058】
本発明者らは、意外にも、カゼイン原料がホエーと同様に挙動するように修飾され得、それにより、ロイシンをホエーと同等のレベルで血流に効果的に送達し得ることを決定した。こうして本発明は、カゼイン組成物の摂取後の胃内容排出速度を上昇させるため、タンパク質組成物の消化性を上昇させるため、血液へのアミノ酸送達速度を上昇させるため、または血清中ロイシン濃度を上昇させるための、カゼイン組成物の使用に関し、特に本発明は、対象において血清中遊離ロイシン濃度を、ホエータンパク質と実質的に同レベルに上昇させるためのカゼイン組成物の使用に関する。
【0059】
1.定義
語句「低カルシウム」は、本明細書において、カゼインに結合したカルシウムの濃度が減少されていて、対応する非減少組成物中のカゼイン結合カルシウム濃度よりも低い、乳タンパク質濃縮物(MPC)などのカゼイン組成物を指すために用いられる。そのような組成物は、2価陽イオンが減少している場合があり、そのため対応する非減少組成物よりも低い、カゼイン結合二価陽イオン濃度、例えばマグネシウム濃度を有する。同様にカゼインタンパク質中のカルシウムの箇所は、結合カルシウム、即ちカゼインタンパク質により結合されたカルシウムを指す。
【0060】
本明細書で用いられる用語「含んでいる」は、「少なくとも一部が〜からなる」を意味する。その用語を含む本明細書内の説明を解釈する場合、各説明または特許請求の範囲内のその用語が記載された特色の全てが存在する必要はなく、他の特色が存在してもよい。「含む」および「含まれる」などの関連の用語は、同様の手法で解釈される。
【0061】
用語「低カロリー製品」は、特定の身体的もしくは生理学的状態ならびに/または特別な疾患および障害のために存在し、そのために提供された特定の食事要件を満たすように特別に加工または配合された製品を意味する。
【0062】
「有効量」は、治療効果を付与するのに必要となる量である。動物の投与量と人の投与量の相互関係(体表面のm
2あたりのミリグラム量に基づく)は、Freireich,et al.,1966(Freireich EJ,Gehan EA,Rall DP,Schmidt LH,Skipper HE(1966)Quantitative comparison of toxicity to anticancer agents in mouse,rat,hamster,dog,monkey and man.Cancer Chemother Rep 50:219−244参照)に記載される。体表面積は、対象の身長および体重からほぼ決定することができる。例えば、Scientific Tables,Geigy Pharmaceuticals,Ardley,New York,1970,537を参照されたい。有効用量は、当業者に認識される通り、投与経路、担体の使用などによっても変動する。
【0063】
語句「血清中ロイシン濃度を上昇させること」ならびにその文法的均等物および派生語は、好ましくは食後時間に筋肉タンパク質合成を最大に刺激するように生理学的濃度を適合させるために、血清中ロイシン濃度を維持および上昇させることを指す。血中ロイシンレベルを決定する目的では、「血液」、「血清」および「血漿」の箇所は、互換可能である。
【0064】
用語「乳タンパク質濃縮物」(またはMPC)は、乾物量の55%を超える量、好ましくは75%を超える量が乳タンパク質であり、ホエータンパク質に対するカゼインの比率がミルクのおおよその比率になる、乳タンパク質製品である。そのような濃縮物は、当該技術分野で公知である。
【0065】
語句「筋肉量を維持または増加させること」ならびにその文法的均等物および派生語は、筋肉タンパク質合成を増加させ、および/または筋肉タンパク質分解を減少させて、筋肉量を増大または維持することを指す。
【0066】
語句「筋肉量減少を予防または抑制すること」ならびにその文法的均等物および派生語は、筋肉タンパク質分解を予防または減少させて、筋肉量を維持すること、または筋肉減少速度を低下させることを指す。
【0067】
「対象」は、動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくは哺乳類の愛玩動物またはヒトである。好ましいコンパニオンアニマルとしては、ネコ、イヌおよびウマが挙げられる。一実施形態において、対象は、ヒトである。好ましくは、ヒトは、成人、小児、または乳児である。
【0068】
語句「結合カルシウムを実質的に含まない」は、カゼイン組成物が約0.3、0.275、0.25、0.225、0.2、0.175、0.15、0.125、0.1、0.075、0.05、0.025または0.01重量%未満のカゼインポリペプチド結合カルシウムを含有することを意味し、有用な範囲は、これらの値のいずれかの間(例えば、約0.01〜約0.2、約0.01〜約0.175、約0.01〜約0.15、約0.01〜約0.125、約0.01〜約0.1、または約0.01〜約0.075%)から選択されてもよい。カゼイン中のカルシウム結合の度合い、およびそれによる低カルシウムカゼイン組成物の低カルシウムの程度は、カゼイン画分を得るための限外濾過または超遠心分離と、それに続く原子吸光光度法などの公知方法により決定してもよい(例えば、参照により本明細書に組み入れられるPhilippe,M.et al,The effects of different cations on the physicochemical characteristics of casein micelles,Food Chemistry 90(2005)673−683を参照)。
【0069】
用語「処置する」ならびにその派生語は、最も広範囲の可能な状況で解釈されなければならない。その用語は、対象が全体的な回復まで処置されることを意味すると捉えるべきではない。したがって「処置する」は、広範囲には特定の状態の症状発生または重症度の改善および/または予防を含む。
【0070】
語句「非修飾のリン酸化パターン」は、カゼインが脱リン酸化を受けないことを意味するものとする。一実施形態において、非修飾のリン酸化パターンは、天然由来のリン酸化パターンである。カゼインポリペプチドのリン酸化パターンは、当該技術分野で報告されている(例えば、参照により本明細書に組み入れられるFox PF,McSweeney PLH(eds),Advanced Dairy Chemistry,Volume 1−Proteins,3rd Ed,Kluwer Academic/Plenum Publishers,NY,2003を参照)。天然由来のウシαs1カゼインは、1モルあたり8または9のリン酸残基を有し(αs1−CN 8Pまたは9P)、ウシαs2カゼインは、1モルあたり10、11、12または13のリン酸残基を有し(αs1−CN 10、11、12または13P)、ウシβ−カゼインは、1モルあたり4または5のリン酸残基を有し(β−CN 4Pまたは5P)、ウシκ−カゼインは、1モルあたり1、2または3のリン酸残基を有する(κ−CN 1、12または3P)。
【0071】
2.カゼイン
ウシカゼインは、4つの遺伝子 − αs1(変異体A、B、C、D、E)、αs2(変異体A、C、D)、β(変異体A1、A2、A3、B、C、D、E、F)およびκ(変異体A、B、C、E、F、F1)の産物である。各カゼインのポリペプチドは、独特の構成および構造を有する。様々な実施形態において、本明細書において有用なカゼインは、ウシ、 ラクダ、ヤギ、シカ、ウマ、ヒツジもしくはブタのカゼイン、またはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせであってもよい。カゼインタンパク質および有用なカゼイン組成物の製品は、全体として参照により本明細書に組み入れられる、Fox&McSweeney,2003(Fox PF,McSweeney PLH(eds),Advanced Dairy Chemistry,Volume 1−Proteins,3rd Ed,Kluwer Academic/Plenum Publishers,NY,2003)、およびDairy Processing Handbook,2003(Dairy Processing Handbook,Second Edition,Tetra Pak Processing Systems AB,Sweden,2003)に詳細に記載されている。
【0072】
本明細書に記載された組成物のいずれかで使用されるカゼインとしては、非ミセルカゼイン、非ミセルカゼイン塩(カゼインナトリウムおよびカゼインカリウムを含む)、乳酸カゼイン、鉱酸カゼイン、α−カゼイン、β−カゼイン、κ−カゼイン、カゼイン画分、α−カゼイン画分、β−カゼイン画分、κ−カゼイン画分、超高圧(UHP)加工により処理されたカゼイン、半透明カゼイン、またはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせの形態のカゼインが挙げられる。
【0073】
本明細書において有用なカゼインは、上記のように非修飾のリン酸化パターンを有する。ウシαs1−カゼインB、C、DおよびEに関係して、例えば翻訳後リン酸化は、セリン残基41、46、48、64、66、67、68、および115を生成し、αs1−カゼインDではトレオニン残基53を生成する。ウシカゼイン全てのリン酸化パターンが、Fox&McSweeney,2003に報告されている。
【0074】
低カルシウムカゼイン組成物は、全体として参照により本明細書に組み入れられる、公開された国際公開2001/041578号および公開された国際公開2004/057971号に記載された方法により調製されてもよい。例えば低カルシウムカゼイン組成物を調製する一方法は、(a)水性溶液/懸濁液中に乳タンパク質として少なくとも70%乾物量を有するMPCまたはMPIを用意すること;(b)(1)ナトリウムおよび/またはカリウム形態のイオン交換体での陽イオン交換;(2)pH7未満への酸性化と、それに続く透析および/もしくは限外濾過および/もしくは透析濾過、または(3)キレート化剤の添加および/もしくはカルシウムイオンの部分をキレート化剤と結合させること、のうちの少なくとも1つから選択される方法により内部のカルシウムイオンの20〜100%を除去すること;(c)場合により、少なくとも30%の低カルシウムを維持しながらステップ(b)の生成物を別の乳溶液と混合すること;(d)場合によりその溶液を、ホエータンパク質の変性およびカゼインとの相互作用を可能にするのに十分な温度で十分な時間加熱すること(例えば、100℃を超える温度で4〜15分間加熱);ならびに(e)場合により、乾燥させて乾燥生成物を調製すること、を含む。一実施形態において、低カルシウムカゼイン組成物は、少なくとも約10、20、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、99または100%のカルシウムが低減され、有用な範囲は、これらの値のいずれかの間(例えば、約30〜約100%)から選択されてもよい。低カルシウムカゼイン組成物の低カルシウムの程度は、カゼイン画分を得るための限外濾過または超遠心分離と、その後の原子吸光光度法をはじめとし、公知方法により決定されてもよい(例えば、参照により本明細書に組み入れられる、Philippe,M.et al,The effects of different cations on the physicochemical characteristics of casein micelles,Food Chemistry 90(2005)673−683を参照)。
【0075】
カルシウム除去が酸性化と、次の透析および/または限外濾過および/または透析濾過によって行われるそれらの実施形態において、pHは、pH4.6〜6またはpH4.8〜5.5の範囲内になるように調整される。選択された膜は一般に、10,000ダルトン以下の公称分画分子量を有する。有用な限外濾過膜の例は、10,000ダルトンの公称分画分子量を有するKoch S4 HFK 131タイプの膜である。pHの調整は、食品または飲料のpHを調整するのに適した任意の酸、例えば希HCl、希H
2SO
4、希酢酸、および希クエン酸により実施されてもよい。
【0076】
カルシウム除去が、キレート化剤の添加の方法による場合、使用に好ましいキレート化剤としては、クエン酸、EDTA、食用リン酸/ポリリン酸、食用酸味料、酒石酸、クエン酸塩および酒石酸塩が挙げられる。一実施形態において、キレート化剤は、食用酸味料である。一実施形態において、キレート化剤は、透析および/または限外濾過および透析濾過と併せて利用される。
【0077】
一実施形態において、陽イオン交換体は、スルホン酸基などの強酸基を担持する樹脂に基づく。一実施形態において、強酸の陽イオン交換樹脂は、Rohm&Haasにより製造されるIMAC HP 111 Eである。この樹脂は、スチレンジビニルベンゼン共重合体マトリックスを有する。その官能基は、Na
+形態で得ることができるか、さもなければK
+形態に変換することができる、スルホン酸基である。
【0078】
一実施形態において、低カルシウムカゼイン組成物は、低温可溶性である。用語「低温溶解性」または「低温可溶性」は、20℃の5%w/v溶液に再構成すると700gで10分の遠心分離により5%の沈降物を与える生成物の性質を指す。
【0079】
酸のカゼインは、スキムミルクをカゼインの等電点であるpH4.6に酸性化して、スキムミルクからカゼインの沈殿を得ることにより形成される。鉱酸カゼインは、鉱酸によりスキムミルクを4.3〜4.6のpHに酸性化することにより形成される。乳酸カゼインは、乳酸菌を用いた乳の酸化により生成される。乳は、およそ23〜27℃の温度に冷却され、乳のpHは、徐々に低下される。乳は、所望のpHで50〜55℃に加熱され、カゼインが回収される。Fox&McSweeney,2003およびDairy Processing Handbook,2003を参照されたい。
【0080】
カゼイン塩は、カゼインと、一価または二価金属イオンの両方を含む組成物である。ナトリウム、カリウムおよびマグネシウムイオンを含む水酸化物溶液を用いて、カゼインナトリウム、カゼインカリウムまたはカゼインマグネシウムを生成する。Fox&McSweeney,2003およびDairy Processing Handbook,2003を参照されたい。
【0081】
UHP加工された半透明カゼインは、全体として参照により本明細書に組み入れられる、国際公開2004/091309号に記載された通り、カゼイン含有組成物を高圧処理に供することにより生成される。一実施形態において、カゼイン組成物は、該組成物を少なくとも約100MPaの圧力処理に供して、610nmでの光学密度(OD)の測定により決定して所望の透明性を有する組成物を得ることにより、透明性および/または安定性を高める方法に供された。ゼロODの読み取り値を有する溶液は、入射光の100%を通過させるが、1.0のODを有する試料は、入射光の10%を通過させるなどである。1.0のODを有する溶液は、一般に「不透明」であると見なされる。
【0082】
半透明カゼインは、全体として参照により本明細書に組み入れられる国際公開2001/041579号に記載および例証された方法を用いて、スキムミルク、乳タンパク質濃縮物または乳タンパク質単離物の陽イオン交換により生成することもできる。例えば1つの適切な方法は、(a)5.7〜6.5の範囲内のpHを有する不透明乳の出発原料を用意すること;(b)出発原料(交換体から分離された後)の透過率%が少なくとも5%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも40%に上昇するまで、出発原料の少なくとも一部を陽イオン交換体と接触させること;(c)場合により、透過率%を少なくとも5%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも40%に保持しながら、半透明乳試料を別の乳試料と混合すること、を含む、5.6〜7.0の範囲のpHを有する半透明乳飲料を調製する方法を含む。乳の半透明性は、パルス式近赤外線(NIR)光源(λ=850)の透過率を利用したTurbiscan MA 2000 Macroscopic Analyser(Formulaction,フランス、トゥールーズ所在)で測定されてもよい。試料は、特別な試料セルに入れられ、NIRが試料を通過して、透過率検出器が試料を通過した光を受ける。透過率検出器は、透過した光束(%)を試料高(65mm)の関数として獲得する。半透明性の定義のために、試料セルの20mm〜50mm高から得られる透過率の平均値が得られる。光路長は、1cmである。
【0083】
3.組成物
本明細書において有用な組成物は、食品、飲料、食品添加物、飲料添加物、食事用補助剤、栄養製品、低カロリー製品、メディカルフード、経腸投与製品、非経口投与製品、代用肉、機能性食品、薬剤、または医薬品として配合されてもよい。適切な配合剤は、本明細書の技術および教示に関連した当該技術分野の熟達した作業者により調製されてもよい。
【0084】
一実施形態において、該組成物は、酸性である。別の実施形態において、該組成物は、中性である。様々な実施形態において、該組成物は、経口投与用に配合される。
【0085】
様々な実施形態において、該組成物は、タンパク質を含み得る任意の食物消費者用製品である。適切な食物消費者用製品の例としては、液体、菓子製品、例えばゼリー、アイスクリーム、還元果実製品、スナックバー、フードバー、ミューズリーバー、スプレッド、ソース、ディップ、乳用品、例えばヨーグルトおよびチーズ、マヨネーズ/サラダドレッシング、飲料、例えば乳用および非乳用飲料(乳飲料およびヨーグルト飲料など)、スポーツ補助剤、例えば乳用および非乳用スポーツ補助剤、食品添加物、ならびに食事用補助剤が挙げられる。
【0086】
一実施形態において、食品は、菓子、バー、乳用品、ミルク、乳製品、粉乳、還元乳、発酵乳、ヨーグルト、ヨーグルト飲料、固形ヨーグルト、飲料、食品添加物、飲料添加物、食事用補助剤、栄養製品、低カロリー製品またはメディカルフードから選択される。
【0087】
一実施形態において、該組成物は、カシェ剤、粉末、分注可能な粉末、顆粒、懸濁液、エリキシル、液体の形態、または例えば水、乳もしくは果汁などの食品もしくは飲料に添加され得る任意の他の形態である。
【0088】
一実施形態において、該組成物は、飲料として配合される。一実施形態において、飲料は、酸性である。別の実施形態において、飲料は、中性である。一実施形態において、該組成物のpHは、約1〜約4.6である。好ましくは、該組成物のpHは、約2〜約3.7である。別の実施形態において、該組成物のpHは、約1〜約14、約1〜約5、約6〜約8、約9〜約14、約1〜約9または約5〜約9である。
【0089】
該組成物が酸性pHの液体である実施形態において、カゼインは、水に溶解および水和され、激しく撹拌しながら酸を急速に添加してpHを3.0に低下されてもよい。pHは、カゼインの等電点を通過し、カゼインは再可溶化する。
【0090】
一実施形態において、該組成物は、脂質供給源、炭水化物供給源、場合により追加のタンパク質供給源、ならびに場合によりビタミンおよび無機質の供給源を更に含む、メディカルフードの形態である。
【0091】
用いられる液体は、乳用脂質および魚油などの植物性脂質または動物性脂質であってもよい。植物油は多くの場合、配合が容易であり飽和脂肪酸量が少ないため模範的である。模範的植物油としては、キャノーラ(ナタネ)油、コーン油、ヒマワリ油、オリーブ油または大豆油が挙げられる。
【0092】
用いられる炭水化物は、典型的には、炭水化物の75〜100%として消化性炭水化物を含む。炭水化物は、単糖類、二糖類、オリゴ糖および多糖類、ならびにそれらの混合物を含んでいてもよい。グルコースのオリゴ糖が、典型的には用いられる。これらのうちの多数が、マルトデキストリン(3〜20DE)として、またはより長鎖の炭水化物ではコーンシロップ(>20DE)として市販される。非消化性炭水化物、例えばフルクトオリゴ糖、イヌリンおよびガラクトオリゴ糖が、含まれてもよい。これらは、典型的には該組成物の0.2〜5%の量で存在する。
【0093】
例示的な実施形態において、液体栄養組成物は、朝食または他の時間用の栄養的に完全な組成物または高エネルギー液もしくは粉末である。
【0094】
例示的な実施形態において、液体栄養組成物は、ビタミンおよび無機質を含む栄養素である。ビタミンおよび無機質の推奨される1日必要量は、様々な人口部分群用に指定することができる。例えば、Dietary Reference Intakes:RDA and AI for vitamins and elements,United States National Academy of Sciences,Institute of Medicine,Food and Nutrition Board(2010)の表が推奨する乳児0〜6ヶ月、6〜12ヶ月、小児1〜3歳、4〜8歳、成人男性(6種の年齢分類)、女性(6種の年齢分類)、妊婦(3種の年齢分類)および授乳期(3種の年齢分類)の摂取量を参照されたい。栄養と送達要件の容易さが同時に適えられるように、液体栄養組成物中の必須栄養素の濃度は、特定の部分群または医学的条件または適用例に向けた模範的供給サイズに合わせることができる。
【0095】
一実施形態において、該組成物は、意図する投与経路および標準の薬務に関連して選択される適切な薬学的に許容可能な担体(賦形剤、希釈剤、助剤およびそれらの組み合わせなど)を含む医薬組成物の形態である。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,16th edition, Osol,A.Ed.,Mack Publishing Co.,1980を参照されたい。
【0096】
したがって、本発明は、ヒトおよび他の哺乳動物の疾患、障害、および/もしくは状態、または本明細書に開示された他の障害の治療に有用な、本明細書に開示されるようなカゼインを含む用量、投与剤型、配合剤、組成物も対象とする。本発明の1種以上の組成物を含むこれらの投与剤型または配合剤の使用により、これらの状態の効果的処置が可能になる。本発明の投与剤型、配合剤または組成物は、長期間を含む正常な治療範囲内で、生物学的利用度を最適化するように、または血漿、血液、もしくは組織濃度を回復もしくは維持するように配合されてもよい。
【0097】
本発明の投与剤型、配合剤または組成物は、例えば本発明の1種以上の組成物に連続暴露するように、周期的投与用に配合されてもよい。
【0098】
経口投与に適した投与剤型の例としては、限定するものではないが、カゼインの治療有効量を提供することが可能な、錠剤、カプセル、ロゼンジなどの形態、またはシロップ、水性溶液、エマルジョンなどの任意の液体形態が挙げられる。
【0099】
本発明の投与剤型の更なる例は、限定するものではないが、遅延放出性(DR)形態;持続作用性(PA)形態;制御放出性(CR)形態:長期放出性(ER)形態;持続放出性(TR)形態;および長期作用性(LA)形態などの放出調節(MR)投与剤型が挙げられる。ほとんどの部分で、これらの用語は、経口投与される投与剤型を記載するために用いられているが、これらの用語は、本明細書に記載された投与剤型、配合剤または組成物のいずれにも適用可能である。これらの配合剤は、薬物投与後しばらくの間の薬物全体の放出遅延、および/または投与後に間欠的な少量ずつの薬物放出、および/または送達システムにより管理される制御的速度での緩やかな薬物放出、および/または変動のない一定速度での薬物放出、および/または通常の配合よりも有意に長い期間の薬物放出を実行する。
【0100】
本明細書において有用な組成物は、単独で、または1種以上の追加的薬剤との併用で用いられてもよい。追加的薬剤は、食品、飲料、食品添加物、飲料添加物、食事用補助剤、栄養製品、低カロリー製品、メディカルフード、経腸投与製品、非経口投与製品、代用肉、機能性食品、薬剤、または医薬品であってもよい。追加的薬剤は、カゼインが分解されるか、またはロイシンが血流に送達される効能を上昇させてもよい。
【0101】
追加的薬剤との併用で用いられる場合、本明細書において有用な組成物と他の薬剤の投与は、同時または連続していてもよい。同時投与は、全ての成分を含む単一投与剤型の投与、または別個の投与剤型の実質的に同時の投与を包含する。連続投与は、好ましくは本明細書において有用な組成物と他の治療剤が提供される期間に重複が存在するように、異なるスケジュールに従う投与を包含する。
【0102】
また、本発明による組成物が、特定の例で対象に有利となり得る追加の有効成分と共に配合され得ることが企図される。例えば薬剤、例えば状態または疾患の過程または重要性の同一または異なる様相を標的とする治療薬が、用いられてもよい。適切な薬剤は、先に記載されている。
【0103】
一実施形態において、追加の有効成分は、脂質、炭水化物、他のタンパク質、無機質もしくはビタミン、または着香剤を挙げることができる。
【0104】
一実施形態において、該組成物は、上記のように遊離アミノ酸などのアミノ酸の供給源を追加で含んでいてもよい。
【0105】
一実施形態において、該組成物は、限定するものではないが、塩化物、ナトリウム、カルシウム、鉄、クロム、銅、ヨウ素、亜鉛、マグネシウム、マンガン、モリブデン、リン、カリウムおよびセレンなどの無機質を補充されていてもよい。前述の無機質のいずれかの適切な形態としては、可溶性無機塩、難溶性無機塩、不溶性無機塩、キレート化無機質、無機質錯体、カルボニル無機質などの非反応性無機質および還元無機質、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0106】
該組成物は、場合によりビタミンを含んでいてもよい。ビタミンは、脂溶性または水溶性ビタミンであってもよい。適切なビタミンとしては、限定するものではないが、ビタミンC、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンB12、ビタミンK、リボフラビン、ナイアシン、ビタミンD,ビタミンB6、葉酸、ピリドキシン、チアミン、パントテン酸、およびビオチンが挙げられる。ビタミンの形態は、ビタミンの塩、ビタミンの誘導体、ビタミンの同一または類似の活性を有する化合物、およびビタミンの代謝産物を挙げることができる。
【0107】
追加の薬剤が本明細書において有用な組成物と別個に、同時に、または連続して投与される本発明による方法で、追加の薬剤が用いられ得ることが、理解されなければならない。組成物中の各成分の割合は、必要とする対象において、ロイシンの送達または筋肉量の増加に向けて組成物の効能を最適化するように適合される。
【0108】
認識されるであろうが、投与される組成物の用量、投与期間、および一般的投与レジメンは、対象の兆候の重症度、処置される障害のタイプ、選択される投与様式、年齢、性別、および/または対象の一般的健康状態などの変数に応じて異なっていてもよい。しかし一般的例として、本発明者は、本明細書に記載されたカゼイン組成物の、体重1kgあたり約1mg〜約2500mgの投与を企図する。
【0109】
投与が、認識される通り単回日用量または多数の異なる分割用量の投与を含み得ることが、認識されなければならない。当業者が過度の実験を行わずに技術および本開示を考慮しながら、所定の条件での効果的投与レジメン(日用量および投与のタイミングなど)を決定し得ることは、理解されなければならない。
【0110】
本発明により有用となる組成物は、当該技術分野で公知の方法を用いて調製されてもよい。
【0111】
酸カゼインの飲料を調製する方法は、カゼイン含有粉末を水で溶解して、溶液を生成し、それに糖、着香剤および着色剤を添加することを含む。混合物は、30℃未満に冷却され、クエン酸と乳酸とのブレンド溶液を用いて4.1にpH調整される。水が所望の容量まで添加され、該組成物が均質化および殺菌される。
【0112】
中性組成物は、カゼイン含有粉末を水で溶解して溶液を生成し、それに糖、着香剤および着色剤を添加することにより調製される。混合物は、30℃未満に冷却され、溶液は所望のpHに調整される。該組成物は均質化され、140℃で熱処理される。
【0113】
4.治療転帰および治療転帰を評価する方法
対象による本発明の組成物の消費は、好ましくは、以下のいずれか1つ以上、または以下のいずれかの2つ以上の任意の組み合わせを、ホエータンパク質と実質的に同レベルにさせ得る。
a)筋肉タンパク質合成の維持もしくは増加、
b)筋肉量の維持もしくは増加、
c)筋肉量減少の予防もしくは抑制、
d)成長の維持もしくは増加、
e)筋肉異化の予防もしくは減少、
f)悪液質の予防もしくは処置、
g)サルコペニアの予防もしくは処置、
h)グリコーゲン再合成速度の上昇、
i)血糖レベルのモジュレーション、
j)血糖濃度の上昇に対するインスリン応答の増加、
k)満腹の増加、
l)飽満の減少、
m)食物摂取の減少、
n)カロリー摂取の減少、
o)グルコース代謝の改善、
p)術後回復速度の上昇、
q)外傷後回復速度の上昇、
r)運動後回復速度の上昇、または
s)スポーツパフォーマンスの向上
【0114】
上記の効果を実現する方法は、本明細書に記載された方法に従って、本明細書に記載されるように、必要とする対象に有効量のカゼイン組成物を投与するステップを含む。幾つかの実施形態において、対象による本発明の組成物の消費が、少なくとも上記の効果のいずれかを維持させ得ることが、理解されなければならない。例えば筋肉量を維持すること、または血清ロイシン濃度を維持すること。
【0115】
本発明により有用となる組成物の効能は、インビトロおよびインビボの両方で評価することができ、そのための方法は、当該技術分野で公知である。簡潔に述べると、一実施形態において、候補組成物を例えばロイシンレベルまたは筋肉量を正常化または回復させる法力について試験することができる。インビボ試験では、該組成物を動物(例えば、マウス)に供給または投与し、その後、ロイシン送達を回復させることへの影響を評価することができる。結果に基づいて、適切な投与量範囲および投与経路を、決定することができる。
【0116】
更に、対象による本発明の組成物の消費は、該組成物の摂取後の胃内容排出速度を上昇させること、タンパク質組成物の消化性を上昇させること、または血液へのアミノ酸送達速度を上昇させること、のいずれか1つ以上を実現し得る。胃内容排出、消化性およびアミノ酸送達を評価する方法は、当該技術分野で公知である。
【0117】
4.1 ロイシン送達の上昇
食後の血清中ロイシン濃度の評価は、筋肉タンパク質代謝を刺激する高タンパク質食の能力を評価するための重要な因子である。食後の血清中ロイシン濃度の評価は、ベースライン時の血液試料を採取およびアッセイし、食後期間(食後3時間まで)に試料を引き続き採取することにより実現される。
【0118】
血清中ロイシン濃度は、下記の実施例の方法により、または以下のように評価され得る。血液試料を、ヘパリン付きバキュテーナーで採取する。全血100μLを低温過塩素酸に添加して10分間冷蔵し、タンパク質を沈殿させる。4000gで2分間遠心分離した後、KHCO
3 250μLを添加して、溶液を中和する。上清は、更なる分析まで−80℃で貯蔵する。アミノ酸の分析は、適切な標準を用いて、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)セットにより実現される。
【0119】
4.2 筋肉タンパク質合成の増加および減少
筋肉タンパク質合成は、筋肉内のタンパク質バランスを変動させることにより評価される。タンパク質バランス変動の評価のために様々な方法を使用することができる。典型的には、方法は、設定された期間(即ち、食後2〜3時間)以内の筋肉タンパク質合成速度を測定することを必要とする。簡潔に述べると、参加者は、標準プロトコルを利用してベースライン時の筋肉生検を外側広筋から採取され、筋肉試料に乾燥した目に見える脂肪を染みつけて、結合組織を除去し、試料を液体窒素で凍結させて、更なる分析まで−80℃で貯蔵する。
【0120】
激しい身体活動を3日間控えた後、血液試料採取のために、対象の肘前静脈にカテーテルを挿入する。ベースライン時の血液試料に続いて、L−[環状
13C
6]フェニルアラニンのプライムド・コンスタント・インヒュージョンの投与のために、第二のカテーテルを対象の副次的な腕(collateral arm)に挿入する。インヒュージョン開始の3時間後に、対象は副次的肢(ベースライン測定)の筋肉生検を受けて、空腹時タンパク質合成速度を測定する。血液試料が採取され、対象はタンパク質飲料(同位体平衡の妨害を最小限に抑えるために6%L−[環状
13C
6]フェニルアラニンを多く含む)を消費して、食後の筋肉タンパク質合成を刺激する。タンパク質製品投与の3時間後に、最後の筋肉生検を採取して、食後期間に生じたタンパク質合成反応を評価する。
【0121】
試料の分析は、細胞内タンパク質を湿性筋肉片から単離することにより行われる。試料を10分間遠心分離され、筋原線維およびコラーゲンタンパク質を分離する。筋形質タンパク質の摘出は、過塩素酸での沈殿により実現される。筋原線維タンパク質は、NaOHを添加して10分毎に混合することにより可溶化される。4000gでの遠心分離により、筋原線維タンパク質を含む上清を得て、それを過塩素酸を用いて沈殿させ、洗浄して凍結乾燥する。アミノ酸は、HClを用いて遊離させ、試料を110℃で24時間加熱する。遊離アミノ酸を、陽イオン交換クロマトグラフィーを利用して精製し、ガスクロマトグラフィー燃焼同位体比質量分析による分析のためにN−アセチル−n−プロピルエステル誘導体に変換する。
【0122】
合成速度は、以下の式を用いて計算される。
FSR(%h−1)=Ep/Em×1/t×100
(式中、Epは、2つの生検試料の間の結合タンパク質濃縮度の変動であり、Emは、2つの試料の細胞内フェニルアラニンの平均濃縮度であり、tは、生検間の時間である)
【0123】
4.3 筋肉量減少の抑制
筋肉量の変動は、デュアルエネルギーX線吸光光度法など適切なマルチコンパートメント身体組成解析技術、またはヒドロデンシトメトリーもしくは全身密度から得られたマルチコンパートメントモデルでの身体組成の反復測定を利用することにより評価される。
【0124】
4.4 満腹および飽満
満腹および飽満を評価する方法は、当該技術分野で公知である。適切な方法は、例えば全体として参照により本明細書に組み入れられる、表題「Satiety Product」の公開された国際公開2010/107325号(PCT/NZ2010/000042号)に報告されている。
【0125】
4.5 胃内容排出および消化性
胃内容排出速度および消化性を評価する方法は、当該技術分野で公知である。例えば全体として参照により本明細書に組み入れられる、L.A.Szarka and M.Camilleri,“Methods fwor measurement of gastric motility”,Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol 296:G461−G475,2009、およびA.J.Darragh and S.M.Hodgkinson,”Quantifying the Digestibility of Dietary Protein”,J Nutr.2000 Jul;130(7):1850S−6Sを参照されたい。
【0126】
本発明の様々な態様を、ここに以下の実施例を参照することにより非限定的方法で例示する。
【0127】
実施例
実施例で用いられる原料それぞれの説明を、以下に示す。
【0128】
標準の乳タンパク質濃縮物(乾重量で約85重量%のタンパク質、約3.279gカルシウム/100gカゼインタンパク質、Fonterra Co−operative Group Limited、ニュージーランド所在)。これは、スキムミルクから限外濾過および透析濾過により製造される(Fox PF,McSweeney PLH(eds),Advanced Dairy Chemistry,Volume 1−Proteins,3rd Ed,Kluwer Academic/Plenum Publishers,NY,2003)。
【0129】
低カルシウム乳タンパク質濃縮物(乾重量で約85%のタンパク質、約80%の低カルシウム、つまり約0.411gカルシウム/100gカゼインタンパク質;Fonterra Co−operative Group Limited,ニュージーランド所在)は、全体として参照により本明細書に組み入れられる、公開された国際公開2001/041578号に記載された方法により製造された。
【0130】
ホエータンパク質濃縮物(乾重量で約80%のタンパク質、約0.5gカルシウム/100gホエータンパク質;Fonterra Co−operative Group Limited,ニュージーランド所在)。これは、チーズホエーの限外濾過および透析濾過により製造される(Fox PF,McSweeney PLH(eds),Advanced Dairy Chemistry,Volume 1−Proteins,3rd Ed,Kluwer Academic/Plenum Publishers,NY,2003)。
【0131】
カゼインカルシウム(CaCas、乾重量で約90%のタンパク質、約1.5gカルシウム/100gカゼインタンパク質;Fonterra Co−operative Group Limited,ニュージーランド所在)は、カゼインを水に可溶化して、水酸化カルシウムを用いてpHを6.7に調整することにより製造された(Fox PF,McSweeney PLH(eds),Advanced Dairy Chemistry,Volume 1−Proteins, 3rd Ed,Kluwer Academic/Plenum Publishers,NY,2003)。
【0132】
カゼインナトリウム(NaCas、乾重量で約90%のタンパク質、約0.033gカルシウム/100gカゼインタンパク質;Fonterra Co−operative Group Limited,ニュージーランド所在)は、カゼインを水に可溶化して、水酸化ナトリウムを用いてpHを6.7に調整することにより製造された(Fox and McSweeney,2003)。
【0133】
実施例1:ロイシンを血流に送達するための様々なタンパク質原料の比較
タンパク質原料のそれぞれを、以下に記載された通り調製した。
【0134】
18〜49歳の対象15名を、試験に参加させるために選択した。試験の除外基準には、タンパク質補助剤の定期的使用、30kg/m
2よりも大きなBMI、I型もしくはII型糖尿病または心臓疾患の病歴、胃腸管の慢性疾患(例えば、炎症性腸疾患)、過去の胃腸の手術、妊娠、任意の食物タンパク質(乳用品または大豆など)へのアレルギー、研究者の意見として、対象の試験完了の成功を妨害し得る重篤な併存疾患、および過去3ヶ月以内の任意の臨床試験への参加があった。
【0135】
静脈ラインを各対象に設置し、ベースライン時の血液試料を得た。対象は、10時間絶食した後、添加されるタンパク質原料の量を調整することにより溶液250mlあたりロイシン2.5gのロイシン含量に保たれた、4種のタンパク質原料のうちの1種を含む溶液250mlを消費した。原料の消費は、5分間に制限した。
【0136】
消費に続いて、追加の血液試料を15、30、45、60、90、120および180分の時点で得た。
【0137】
血漿を分離して、分析まで−80℃で貯蔵した。血漿試料は、100kDフィルターでタンパク質除去して、タンパク質除去された試料のアリコットを、小さな試験管に移して、真空乾燥させた。乾燥試料をフェニルイソチオシアナート(PITC)で誘導体化して、再度真空乾燥し、溶解緩衝液で再構成した。
【0138】
ロイシン濃度は、254nmでの検出による逆相液体クロマトグラフィーを利用して測定した。
【0139】
結果を
図1〜4に示しており、それには最大血漿中ロイシン濃度が低カルシウム乳タンパク質濃縮物(A)の消費後に達成されたことが示されている。ロイシンのレベルは、標準ホエータンパク質濃縮物(B)の消費後に達成されたレベルに匹敵した。消費後30分の時点では、標準乳タンパク質濃縮物(C)およびCaCas(D)の血漿中濃度がピークに達したが、血漿中ロイシン濃度は、低カルシウム乳タンパク質濃縮物およびホエータンパク質濃縮物に関しては依然として上昇していた。最大血漿中ロイシン濃度は、低カルシウム乳タンパク質濃縮物およびホエータンパク質濃縮物の摂取後45分に達した。この濃度は、CaCas消費後に達した血漿中ロイシン濃度とは有意差があった(p<0.001)。また、血漿中ロイシン濃度は、他のタンパク質原料に比較して、消費後より長期間にわたりより高レベルを保持した。あらためて、血漿中ロイシン濃度は、CaCasに比較して、低カルシウム乳タンパク質濃縮物およびホエータンパク質濃縮物に関して有意に大きかった。
【0140】
低カルシウムMPC(A)およびWPC(B)の摂取後の最大ロイシン濃度は、標準MPC(C)(p<0.012)またはカゼインカルシウム(D)(p<0.0001)の摂取後に達した血漿中ロイシン濃度と有意差があった。曲線下面積の計算により評価された、最初の180分以内のアミノ酸利用度は、カゼインカルシウムよりも低カルシウムMPCおよびWPCの消費後に有意に上昇した(p<0.0051)。曲線下面積の計算により評価された、最初の60分以内のアミノ酸利用度は、標準MPC(p=0.0123)またはカゼインカルシウム(p<0.0001)よりも低カルシウムMPCの消費後に有意に上昇し、WPCとカゼインカルシウムとの間に有意差があった(p<0.0001)。
【0141】
実施例2:ロイシンの血流送達および筋肉量増加のためのカゼイン組成物の効能
この実施例は、ロイシンを対象に送達するためのカゼイン組成物の効能を評価するための無作為臨床試験を記載している。対象の筋肉量を増加させるための組成物の効能も、記載される。
【0142】
試験の参加者は、実施例1に詳述された組み入れおよび除外基準に従って選択される。参加者は全て、無作為に群分けされ、単一用量の処置組成物を供給される。
【0143】
処置組成物は、α−カゼイン、β−カゼインまたはκ−カゼイン画分、低カルシウムカゼイン組成物、カゼインナトリウム、酸性飲料中のカゼイン、ホエーを含む中性pHのカゼイン、または陽性対照としての正常カルシウムレベルの乳タンパク質濃縮物を含み得る。
【0144】
試験の第一の成果は、様々なタンパク質組成物の消費後の血漿中ロイシン濃度を評価することである。第二の成果には、血漿中イソロイシンおよびバリン濃度、胃内容排出速度(超音波診断による)およびタンパク質組成物の消費後の胃腸への急性作用の評価が挙げられる。血清中アミノ酸濃度は、参照により本明細書に組み入れられる、Bloomfield,F.H.ら(Effects of Intrauterine Growth Restriction and Intraamniotic Insulin−like Growth Factor−I Treatment on Blood and Amniotic Fluid Concentrations and on Fetal Gut Uptake of Amino Acids in Late−Gestation Ovine Fetuses,J.Ped.Gast.Nutr.(2002)35:287−297)の方法により決定される。
【0145】
データは、試験組成物を供給された対象における血漿中ロイシン濃度の上昇および胃内容排出の改善を示す。達成された血漿ロイシン濃度は、陽性対照に匹敵し、陰性対処組成物よりも良好である。
【0146】
実施例3:ロイシンを血流に送達するためのカゼイン組成物の効能
タンパク質原料のそれぞれは、カゼインカルシウムではなくカゼインナトリウムを用いたこと以外では、上記のように調製された。
【0147】
18〜49歳の対象20名を、試験に参加させるために選択した。試験の除外基準には、タンパク質補助剤の定期的使用、30kg/m
2よりも大きなBMI、I型もしくはII型糖尿病または心臓疾患の病歴、胃腸管の慢性疾患(例えば、炎症性腸疾患)、過去の胃腸の手術、妊娠、任意の食物タンパク質(乳用品または大豆など)へのアレルギー、研究者の意見として、対象の試験完了の成功を妨害し得る重篤な併存疾患、および過去3ヶ月以内の任意の臨床試験への参加があった。
【0148】
静脈ラインを各対象に設置し、ベースライン時の血液試料を得た。対象は、10時間絶食した後、添加されるタンパク質原料の量を調整することにより溶液250mlあたりロイシン2.5gのロイシン含量に保たれた、4種のタンパク質原料のうちの1種を含む溶液250mlを消費した。原料の消費は、5分間に制限した。
【0149】
消費に続いて、追加の血液試料を0、45および90分の時点で得た。
【0150】
血漿を分離して、分析まで−80℃で貯蔵した。血漿試料は、100kDフィルターでタンパク質除去して、タンパク質除去された試料のアリコットを、小さな試験管に移して、真空乾燥させた。乾燥試料をフェニルイソチオシアナート(PITC)で誘導体化して、再度真空乾燥し、溶解緩衝液で再構成した。
【0151】
アミノ酸濃度は、254nmでの検出による逆相液体クロマトグラフィーを利用して測定した。
【0152】
結果を
図5〜7に示しており、それには血漿中ピークロイシン濃度が低カルシウム乳タンパク質濃縮物(B)およびカゼインナトリウム(D)の消費後に達成されたことが示されている。ロイシンのレベルは、標準ホエータンパク質濃縮物(A)の消費後に達成されたレベルに匹敵した。最大濃度は、標準MPC(C)の消費後に達成された血漿中ロイシン濃度と有意差があった(p<0.001)(
図7)。曲線下面積の計算により評価された、最初の90分以内のアミノ酸利用度は、標準乳タンパク質濃縮物よりも低カルシウム乳タンパク質濃縮物、ホエータンパク質濃縮物およびカゼインナトリウムの消費後に有意に上昇した(p<0.05)(
図6)。
【0153】
実施例4:擬似胃モデルにおける凝固
擬似胃液(SGF)を調製して(US Pharmacopeia Convention,1995)、37℃に加温した。粘度は、ステンレス鋼ベーンのせん断速度=75s
-1を用いたAnton Paar装置などのレオメーターを利用して、20℃で測定した。タンパク質溶液は、その粉末を50℃で1時間撹拌して、完全に水和された溶液を与えることにより調製された。等容量の37℃タンパク質溶液およびSGFを混合して、6M HClまたは1M HClのいずれかを添加することにより、溶液のpHを1.2に低下させた。酸を添加しながら、混合物を、渦を巻くように撹拌した。混合物をレオメーターカップに添加して、撹拌を開始した。粘度を5分間測定した後、ペプシンを添加した(1:40のE:S比)。その後、粘度を更に50分間モニタリングした。50分後に、試料カップの内容物を廃棄した。
図8に示すように、粘度に関してカゼインナトリウム(A)、低カルシウムMPC(B)または標準MPC(C)の間に微かな差が観察された。これらの差は、ペプシン添加後30分以内に消失した。
【0154】
上記の説明が例示に過ぎないこと、および本発明が上記の説明に限定されないことは、当業者に理解されよう。