(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6420168
(24)【登録日】2018年10月19日
(45)【発行日】2018年11月7日
(54)【発明の名称】車載用ディスクプレーヤ
(51)【国際特許分類】
G11B 17/043 20060101AFI20181029BHJP
【FI】
G11B17/043
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-25547(P2015-25547)
(22)【出願日】2015年2月12日
(65)【公開番号】特開2016-149171(P2016-149171A)
(43)【公開日】2016年8月18日
【審査請求日】2017年9月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大橋 誠
【審査官】
斎藤 眞
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−239218(JP,A)
【文献】
特開2003−296994(JP,A)
【文献】
特開2005−267823(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 17/04−17/057
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面にディスク挿入口を有する筐体と、前記ディスク挿入口から挿入されたディスクを該ディスク挿入口とプレイ位置との間で自動搬送するディスク搬送機構と、挿入されたディスクを前記プレイ位置でチャッキングして回転駆動するドライブ機構と、これらディスク搬送機構およびドライブ機構を搭載して前記筐体の内部に弾性的に支持されたドライブユニットと、このドライブユニットの両側に前後進可能に配設された一対のスライド部材と、これらスライド部材により動作されて前記ドライブユニットを前記筐体に対してロックまたはアンロック状態に切り換えるロック部材と備え、ディスクのイジェクト時は前記ロック部材を前記筐体の前方側に係止させて前記ドライブユニットをロック状態となし、ディスクのプレイ時は前記ロック部材と前記筐体の係止を解除して前記ドライブユニットをアンロック状態となすようにした車載用ディスクプレーヤにおいて、
前記筐体の内部奥側に底面から上方へ隆起する支持突起を設けると共に、前記スライド部材の下面に前記支持突起と係脱可能な拘束部を設け、ディスクのイジェクト時は前記拘束部を前記支持突起の上面に当接させると共に、前記ドライブ機構の一部を前記筐体の天板部に圧接させ、ディスクのプレイ時は前記拘束部を前記支持突起から離反させるようにしたことを特徴とする車載用ディスクプレーヤ。
【請求項2】
請求項1の記載において、前記支持突起が前記筐体の内底面から傾斜部を介して平坦な載置面に連続するスロープ形状に形成されていると共に、前記ドライブ機構が前記ドライブユニットに上下方向へ移動可能に支持されてディスクのチャッキング方向へ弾性付勢されたクランプアームを備えており、ディスクのプレイ状態からイジェクト状態へ移行する際に、前記拘束部が前記支持突起の載置面に当接した後に、前記クランプアームが前記筐体の天板部に圧接されるようにしたことを特徴とする車載用ディスクプレーヤ。
【請求項3】
請求項1または2の記載において、前記ドライブユニットが複数の弾性部材によって筐体の内部に支持されており、ディスクのイジェクト時に前記弾性部材の弾性力が前記拘束部と前記支持突起との当接箇所に作用するように設定されていることを特徴とする車載用ディスクプレーヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CDやDVD等のディスクに情報を記録および/または再生する車載用ディスクプレーヤに係り、特に、ドライブユニットを筐体に対してロック状態とアンロック状態とに切り換え可能なロック切換を備えた車載用ディスクプレーヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
CDやDVD等のディスクを装填して使用される車載用ディスクプレーヤにあっては、光ピックアップやターンテーブル等を搭載したドライブユニットが筐体の内部に固定的に支持されていると、プレイ中(情報の再生時や記録時)に外部からの振動が光ピックアップやディスクに直接作用して音飛び等の障害を発生させやすくなるため、通常、ドライブユニットをダンパー等の弾性部材を介して筐体に弾性的に支持し、プレイ中の光ピックアップとディスクに外部からの振動や衝撃が直接作用しないように設計されている。すなわち、この種の車載用ディスクプレーヤには、ドライブユニットを筐体に対してロックまたはアンロック状態に切り換えるロック切換機構が備えられており、ディスクのプレイ動作時にはドライブユニットを筐体に弾性的に支持するアンロック状態にしておき、ディスクの搬送時(挿入/排出)やイジェクト時にはドライブユニットを拘束することで筐体に対してロック状態にするようにしている。
【0003】
従来より、このようなロック切換機構として、ドライブユニットの左右両側に一対のスライド部材を前後進可能に配設すると共に、スライド部材によって駆動される一対のロック部材をドライブユニットの左右前方側に回転可能に軸支し、これらロック部材を筐体の天板部や底面に対して係脱させることにより、ドライブユニットを筐体に対してロック状態とアンロック状態に切り換えるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に開示されたロック切換機構では、ディスクのプレイ時にロック部材と筐体の係止を解除することにより、ドライブユニットは前方側と後方側が複数の弾性部材によって支持されたアンロック状態(フローティング状態)となる。一方、ディスクの搬送途中やイジェクト時はロック部材を筐体に係止することにより、ドライブユニットは後方側を弾性部材で支持して前方側のみがロックされたロック状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−331997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した従来のロック切換機構では、ドライブユニットの前方側のみをロックするハーフロック構造を採用しているため、ドライブユニットの前方側と後方側をロックするフルロック構造に比べると部品点数を削減することができる。しかしながら、装置全体の薄型化の要望等に応じて筐体の内底面とドライブユニット間に十分なスペースを確保できなくなると、ハーフロック状態で弾性支持されたドライブユニットの後部下面が小さなクリアランスを介して筐体の内底面と対向することになるため、車両の走行中にラットルノイズと呼ばれる異音が発生してしまう虞があった。
【0007】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、ハーフロック構造を採用した上でラットルノイズの発生を防止することができる車載用ディスクプレーヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明の車載用ディスクプレーヤは、前面にディスク挿入口を有する筐体と、前記ディスク挿入口から挿入されたディスクを該ディスク挿入口とプレイ位置との間で自動搬送するディスク搬送機構と、挿入されたディスクを前記プレイ位置でチャッキングして回転駆動するドライブ機構と、これらディスク搬送機構およびドライブ機構を搭載して前記筐体の内部に弾性的に支持されたドライブユニットと、このドライブユニットの両側に前後進可能に配設された一対のスライド部材と、これらスライド部材により動作されて前記ドライブユニットを前記筐体に対してロックまたはアンロック状態に切り換えるロック部材と備え、ディスクのイジェクト時は前記ロック部材を前記筐体の前方側に係止させて前記ドライブユニットをロック状態となし、ディスクのプレイ時は前記ロック部材と前記筐体の係止を解除して前記ドライブユニットをアンロック状態となすようにした車載用ディスクプレーヤにおいて、前記筐体の内部奥側に底面から上方へ隆起する支持突起を設けると共に、前記スライド部材の下面に前記支持突起と係脱可能な拘束部を設け、ディスクのイジェクト時は前記拘束部を前記支持突起の上面に当接させると共に、前記ドライブ機構の一部を前記筐体の天板部に圧接させ、ディスクのプレイ時は前記拘束部を前記支持突起から離反させるように構成した。
【0009】
このように構成された車載用ディスクプレーヤでは、ディスクの搬送途中やイジェクト時において、ロック部材を筐体に係止させることでドライブユニットの前方側がロックされるだけでなく、スライド部材の拘束部を筐体の支持突起に当接させると共に、ドライブユニットに搭載されたドライブ機構の一部を筐体の天板部に圧接させることにより、ドライブユニットの後方側が上下方向に拘束されるため、ハーフロック構造を採用して部品点数の削減化を図った上で、ドライブユニットの下面と筐体の内底面との衝突に起因するラットルノイズの発生を防止することができる。
【0010】
上記の構成において、支持突起が筐体の内底面から傾斜部を介して平坦な載置面に連続するスロープ形状に形成されていると共に、ドライブ機構が前記ドライブユニットに上下方向へ移動可能に支持されてディスクのチャッキング方向へ弾性付勢されたクランプアームを備えており、ディスクのプレイ状態からイジェクト状態へ移行する際に、拘束部が支持突起の載置面に当接した後に、クランプアームが筐体の天板部に圧接されるようにすると、下方向と上方向の拘束されるタイミングがずれて動作負荷の急上昇を抑制することができる。
【0011】
また、上記の構成において、ドライブユニットが複数の弾性部材によって筐体の内部に支持されており、ディスクのイジェクト時に弾性部材の弾性力が拘束部と支持突起との当接箇所に作用するように設定されていると、ラットルノイズの発生をより確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の車載用ディスクプレーヤによれば、ハーフロック構造を採用して部品点数の削減化を図った上で、ドライブユニットの下面と筐体の内底面との衝突に起因するラットルノイズの発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態例に係る車載用ディスクプレーヤの外観斜視図である。
【
図2】該車載用ディスクプレーヤの内部構造を示す斜視図である。
【
図3】該車載用ディスクプレーヤのイジェクト状態を示す断面図である。
【
図4】該車載用ディスクプレーヤのプレイ状態を示す断面図である。
【
図5】該車載用ディスクプレーヤのディスク搬送状態を示す断面図である。
【
図6】イジェクト状態における拘束部と支持突起の位置関係を示す説明図である。
【
図7】プレイ状態における拘束部と支持突起の位置関係を示す説明図である。
【
図8】ディスク搬送状態における拘束部と支持突起の位置関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
発明の実施の形態について図面を参照して説明すると、
図1〜
図5に示すように、本実施形態例に係る車載用ディスクプレーヤは、本体装置の外殻を形成する箱状の筐体1と、この筐体1の内部に収納されたドライブユニット2を備えており、ドライブユニット2はダンパー3とスプリング4とを組み合わせた複数組の弾性部材によって筐体1に水平な姿勢で弾性支持されている。以下、各図中に示されたX1−X2を左右方向、Y1−Y2を前後方向、Z1−Z2を上下方向として説明する。
【0015】
筐体1は上面を開放した金属板を立方体形状に折曲加工したものからなり、その前面に起立する前面板には横長形状のディスク挿入口1aが形成されている。
図2では図示省略されているが、筐体1の上面には金属製のトップシャーシ5が固定されており、このトップシャーシ5の前方側の下面に合成樹脂製のガイドトップ6が一体化されている。このガイドトップ6はディスク挿入口1aの上部後方に位置しており、これらトップシャーシ5とガイドトップ6の下方にディスク搬送空間が画成されている。また、筐体1の内底面の左右奥側には上方に隆起する支持突起7が形成されており、これら支持突起7は筐体1の内底面から傾斜面7bを介して平坦な載置面7aに連続するスロープ形状(台形状)に形成されている。
【0016】
ドライブユニット2は駆動ベース8を有しており、この駆動ベース8の前端部にはローラブラケット9が回動可能に軸支されている。ローラブラケット9には一対のロック爪9a,9bが形成されており、一方のロック爪9aはトップシャーシ5と係脱可能であり、他方のロック爪9bは筐体1の内底面と係脱可能になっている。また、ローラブラケット9にはゴム製のローラ10が回転可能に支持されており、このローラ10は図示せぬモータの駆動力によって正逆両方向へ回転駆動されるようになっている。ローラブラケット9はスプリング11の弾性力によってローラ10をガイドトップ6の下面に近接させる方向へ付勢されており、ローラブラケット9に設けられたピン9cは駆動ベース8に回動可能に軸支された伝達部材12と係合している。そして、この伝達部材12が後述するスライド部材の前後進移動に伴って回転駆動されると、ローラブラケット9がスプリング11の弾性力に抗して回動し、それに伴ってローラ10がガイドトップ6の下面から離反する方向へ移動するようになっている。なお、ローラブラケット9はドライブユニット2を筐体1に対してロックまたはアンロック状態に切り換えるロック部材を兼用しており、これらローラブラケット9とローラ10およびガイドトップ6等によってディスク搬送機構が構成されている。
【0017】
駆動ベース8の後端部にはクランプアーム13が上下方向へ回動可能に軸支されており、このクランプアーム13の中央部手前側にはクランパ14が回転可能に支持されている。また、駆動ベース8にはスピンドルモータ(図示せず)や光ピックアップ15等が搭載されており、スピンドルモータの回転軸にはクランパ14の下面に対向するターンテーブル16が固着されている。なお、クランプアーム13は図示せぬスプリングの弾性力によってクランパ14をターンテーブル16に近接させる方向(ディスクのチャッキング方向)へ付勢されており、これらクランプアーム13と光ピックアップ15およびターンテーブル16等によってドライブ機構が構成されている。
【0018】
また、駆動ベース8の左右両側部には合成樹脂製のスライド部材17が配設されており、これら両スライド部材17は駆動ベース8の前後方向(Y1−Y2方向)に移動可能に支持されている。両スライド部材17は駆動ベース8に配置されたリンク機構(図示せず)を介して連結されており、図示せぬモータを駆動源として一方のスライド部材17が前後進すると、その動きに同期して他方のスライド部材17も前後進するようになっている。スライド部材17の前端部は伝達部材12と接離可能に対向しており、スライド部材17の中央付近にはクランプアーム13の前端部下面と接離可能な押上カム部17aが形成されている。また、スライド部材17の後端部には下方へ突出する拘束部17bが形成されており、詳細については後述するが、この拘束部17bはスライド部材17の前後進移動に伴って筐体1の支持突起7と接離可能となっている。
【0019】
次に、上述のごとく構成された車載用ディスクプレーヤの動作について
図6〜
図8を参照しながら説明する。
【0020】
図3に示すように、ディスクDが本体装置に挿入されていないイジェクト時(待機状態)において、両スライド部材17は駆動ベース8の奥側の後退位置にあり、これらスライド部材17の前端部が伝達部材12から離反しているため、ローラブラケット9はスプリング11の弾性力を受けて一方向に回動付勢されている。これによりローラブラケット9の一方のロック爪9aがトップシャーシ5の孔部に係合すると共に、他方のロック爪9bが筐体1の内底面の凹部に係合するため、ディスク搬送機構やドライブ機構等のメカニズム全体を搭載したドライブユニット2は筐体1に対して前方側が固定的に支持されたハーフロック状態となっている。
【0021】
このとき、
図6に示すように、スライド部材17の拘束部17bが支持突起7の載置面7aに搭載されていると共に、クランプアーム13の先端部がスライド部材17の押上カム部17aによってトップシャーシ5に押し付けられているため、ドライブユニット2の後方側も上下方向に拘束された状態となっている。したがって、イジェクト状態で外部から振動が加わったとしても、ドライブユニット2が筐体1の内底面に衝突してラットルノイズを発生することはなく、筐体1の内底面とドライブユニット2間のスペースを極力狭めて薄型化を図ることができる。
【0022】
また、かかるイジェクト状態においてクランプアーム13の先端部はトップシャーシ5に圧接されているため、クランプアーム13は上方へ回動してクランパ14がターンテーブル16から離反し、両者の間にディスクDを挿入可能な空間が確保されている。さらに、ローラブラケット9を駆動する伝達部材12がスライド部材17から離反しているため、ローラブラケット9はローラ10を支持した後端側が上昇した前傾姿勢となっており、ローラ10の外周面はスプリング11の弾性力を受けてガイドトップ6の下面に圧接されている。
【0023】
この状態でディスクDが筐体1のディスク挿入口1aから装置本体内に挿入されると、該ディスクDはローラブラケット9の上方のディスク搬送空間を通ってローラ10まで達し、この間にディスクDの挿入によって図示せぬディスク検知手段が動作されるため、該ディスク検知手段からの信号に基づいて図示せぬモータが一方向へ回転し始める。その結果、このモータの駆動力によってローラ10が一方向へ回転し始め、ローラ10とガイドトップ6との間に挟持されたディスクDが該ローラ10の回転力によって筐体1の奥側(矢印Y2方向)へ自動搬送される。このようにしてディスクDがプレイ位置の上方まで搬送されると、ディスクDの縁部によって図示せぬ動力切換機構が動作され、この動力切換機構によって前記モータの駆動力がローラ10から両スライド部材17へ切り換えられるため、両スライド部材17がモータを駆動源として駆動ベース8の後退位置から前進位置まで移動する。
【0024】
このようにしてスライド部材17が前進方向の末端位置まで移動する間に、伝達部材12がスライド部材17の前端部で押圧されて回動するため、ローラブラケット9がスプリング11の弾性力に抗して同図の反時計回りに回動し、一方のロック爪9aとトップシャーシ5の係合および他方のロック爪9bと筐体1の内底面の係合がそれぞれ解除される。また、かかるローラブラケット9の回動に伴ってローラ10がディスクDの下面から離れ、このタイミングでスライド部材17の押上カム部17aがクランプアーム13の先端部から離れるため、クランパ14を支持するクランプアーム13が図示せぬスプリングの弾性力により下方へ回動し、ディスクDの中心部がクランパ14とターンテーブル間にクランプされて
図4と
図7に示すようにプレイ状態となる。
【0025】
このプレイ状態では、スライド部材17の移動に伴って拘束部17bが支持突起7の載置面7aから離反するため、ドライブユニット2の前方側のロック解除だけでなく後方側の拘束も解除され、ドライブユニット2はダンパー3やスプリング4等からなる複数組の弾性部材によって筐体1に弾性的に支持されたアンロック状態(フローティング状態)となる。
【0026】
ここで、アンロック状態でダンパー3等の弾性部材によって弾性的に支持されているときのドライブユニット2の高さ位置をP1、前述したロック状態でスライド部材17の拘束部17bが支持突起7に当接しているときのドライブユニット2の高さ位置をP2とすると、P1<P2の関係になるように設定されている。したがって、スライド部材17の前進方向への移動に伴って拘束部17bが支持突起7の載置面7aを摺動しながら支持突起7から離反すると、それまで高さ位置P2にあったドライブユニット2が弾性部材の弾性力によって僅かに下降して高さ位置P1となる。なお、本実施形態例に係る車載用ディスクプレーヤでは、ドライブユニット2が高さ位置P2にあるときに、ダンパー3および/またはスプリング4がその自由長(無負荷状態の長さ)よりも僅かに引き伸ばされ、その反発力により拘束部17bと支持突起7の載置面7aとが圧接されるようになっている。
【0027】
そして、このプレイ状態において、図示せぬスピンドルモータを駆動してターンテーブル16とディスクDおよびクランパ14を一体的に回転駆動すると共に、光ピックアップ15をディスクDの径方向へ移動することにより、ディスクDに対する情報の再生動作等が行われる。
【0028】
また、再生等が完了したディスクDを排出(イジェクト)するときには、図示せぬイジェクト釦を投入して前記モータを他方向へ回転させることにより、上記と逆の動作が行われる。この場合、スライド部材17が前進位置から後退位置まで移動する間に、下降位置にあるクランプアーム13が上方へ回動してクランパ14とターンテーブル16とによるディスクDのチャッキング動作が解除された後、ローラブラケット9がスプリング11の弾性力によって上方へ回動することにより、
図5に示すようにディスクDがガイドトップ6とローラ10間に挟持される。また、ローラブラケット9の両ロック爪9a,9bがトップシャーシ5と筐体1の内底面に係合し、スライド部材17の拘束部17bが支持突起7の載置面7aに当接することにより、ドライブユニット2は前方側と後方側が拘束されたロック状態となり、しかる後、ローラ10の他方向への回転力によってディスクDがプレイ位置からディスク挿入口1aに向けて排出方向(矢印X1方向)へ自動搬送される。
【0029】
このようにプレイ状態からイジェクト状態に移行する際に、スライド部材17の拘束部17bは支持突起7の傾斜面7bを摺動しながら載置面7aに乗り上げるが、
図5と
図8に示すように、拘束部17bが傾斜面7bに当接した時点では、まだクランプアーム13がトップシャーシ5に圧接されないようになっている。そして、スライド部材17のさらなる移動に伴って拘束部17bが支持突起7の載置面7aに乗り上げた後、クランプアーム13が押上カム部17aによってトップシャーシ5に圧接されるようになっており、この時点でドライブユニット2の後方側が上下方向に拘束された状態となる。このように、拘束部17bを支持突起7の載置面7aに当接させる下方向の拘束と、クランプアーム13をトップシャーシ5に圧接させる上方向の拘束とがタイミングをずらして行われるため、ドライブユニット2の後方側を上下方向に拘束するときに懸念される動作負荷の急上昇を抑制することができる。
【0030】
また、スライド部材17の拘束部17bが支持突起7の傾斜面7bを乗り越えて載置面7aに達すると、それまで弾性部材(ダンパー3とスプリング4)の弾性力によって高さ位置P1に保持されていたドライブユニット2が高さ位置P2へと上昇し、それに伴って弾性部材が引き伸ばされて蓄力されるため、その反発力を拘束部17bと支持突起7の載置面7aとの当接箇所に作用させることができる。したがって、弾性部材(ダンパー3等)の弾性力によって拘束部17bと支持突起7の載置面7aとの密着性が高まり、ラットルノイズの発生をより確実に防止することができる。
【0031】
以上説明したように、本実施形態例に係る車載用ディスクプレーヤでは、ディスクの搬送途中やイジェクト時において、ロック部材であるローラブラケット9を筐体1に係止させることでドライブユニット2の前方側がロックされるだけでなく、スライド部材17の拘束部17bを筐体1の内底面に設けた支持突起7に当接させると共に、ドライブユニット2に搭載されたクランプアーム13をトップシャーシ5に圧接させることにより、ドライブユニット2の後方側が上下方向に拘束されるため、ハーフロック構造を採用して部品点数の削減化を図った上で、ドライブユニット2の下面と筐体1の内底面との衝突に起因するラットルノイズの発生を防止することができる。
【0032】
また、本実施形態例に係る車載用ディスクプレーヤでは、支持突起7が筐体1の内底面から傾斜面7bを介して平坦な載置面7aに連続するスロープ形状に形成されていると共に、ドライブ機構がドライブユニット2の上部奥側に回動可能に支持されてディスクDのチャッキング方向へ弾性付勢されたクランプアーム13を備えており、ディスクDのプレイ状態からイジェクト状態へ移行する際に、スライド部材17の拘束部17bが支持突起7の載置面7aに当接した後に、クランプアーム13の先端部がトップシャーシ5に圧接されるようにしたので、下方向と上方向の拘束されるタイミングがずれて動作負荷の急上昇を抑制することができる。なお、クランプアーム13は、駆動ベース8に回動可能に軸支されたものに限られず、駆動ベース8に対して上下方向へ平行移動可能に支持されていても良い。
【0033】
また、本実施形態例に係る車載用ディスクプレーヤでは、ドライブユニット2が複数の弾性部材(ダンパー3やスプリング4)によって筐体1の内部に弾性的に支持されており、ディスクDの搬送途中やイジェクト時に、これら弾性部材の弾性力が拘束部17bと支持突起7との当接箇所に作用するように設定されているため、ラットルノイズの発生をより確実に防止することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 筐体
1a ディスク挿入口
2 ドライブユニット
3 ダンパー(弾性部材)
4 スプリング(弾性部材)
5 トップシャーシ
6 ガイドトップ
7 支持突起
7a 上面
7b 傾斜面
8 駆動ベース
9 ローラブラケット(ロック部材)
9a,9b ロック爪
10 ローラ
11 スプリング
12 伝達部材
13 クランプアーム
14 クランパ
15 光ピックアップ
16 ターンテーブル
17 スライド部材
17a 押上カム部
17b 拘束部
D ディスク