(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6420194
(24)【登録日】2018年10月19日
(45)【発行日】2018年11月7日
(54)【発明の名称】塵芥収集車
(51)【国際特許分類】
B65F 3/00 20060101AFI20181029BHJP
B65F 3/20 20060101ALI20181029BHJP
B60P 3/00 20060101ALI20181029BHJP
【FI】
B65F3/00 C
B65F3/20 B
B60P3/00 Q
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-64389(P2015-64389)
(22)【出願日】2015年3月26日
(65)【公開番号】特開2016-183027(P2016-183027A)
(43)【公開日】2016年10月20日
【審査請求日】2017年10月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古本 政嗣
(72)【発明者】
【氏名】入江 精二
(72)【発明者】
【氏名】水谷 能久
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 一信
【審査官】
柿沼 善一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−170074(JP,A)
【文献】
特開2001−019106(JP,A)
【文献】
特開2010−047378(JP,A)
【文献】
特開2012−158404(JP,A)
【文献】
特開2000−136002(JP,A)
【文献】
特開2000−309406(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65F 3/00
B60P 3/00
B65F 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車台上に設けられた塵芥収容箱と、該塵芥収容箱の後方開口部に連設され、塵芥が投入される塵芥投入口が形成された塵芥投入箱と、該塵芥投入箱に設けられて上記塵芥収容箱に塵芥を積み込む塵芥積込装置と、該塵芥積込装置に含まれ、上記塵芥投入箱の側壁に一端側が連結されると共に当該側壁に沿って後方下傾状の摺動シリンダと、上記塵芥収容箱に基端側が回動可能に連結され、先端側が上記塵芥投入箱の側壁における上記摺動シリンダよりも前方に回動可能に連結されて上記塵芥投入箱を上記塵芥収容箱に対して傾動可能に支持する傾動シリンダと、スライド移動することで上記塵芥投入口を開閉する投入口カバーとを備えた塵芥収集車において、
一端が上記投入口カバーの車幅方向端部に回動可能に連結されたリンク部材と、
基端側が側面視で摺動シリンダと重なる位置に回動可能に支持され、先端が上記リンク部材の他端に回動可能に連結されたアーム部とを備え、
上記アーム部の基端は、上記側壁における上記摺動シリンダと上記塵芥投入口との間に設けられて先端部が該摺動シリンダよりも車幅方向外側まで延びるアーム取付ブラケットの該先端部に回動可能に連結されている
ことを特徴とする塵芥収集車。
【請求項2】
請求項1に記載の塵芥収集車において、
上記塵芥投入口よりも上方部分を覆う位置にルーフカバーと、該ルーフカバーを支持する枠状のカバー支持部とが設けられ、
上記リンク部材は、上記カバー支持部と上記側壁との間を移動可能に構成されている
ことを特徴とする塵芥収集車。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の塵芥収集車において、
上記アーム部は、
基端側のパイプ部材と、
基端側が上記パイプ部材の先端に固定され、先端側が上記リンク部材の他端に回動可能に連結され、上記カバー支持部と上記側壁との間を移動可能な板部材とを備えている
ことを特徴とする塵芥収集車。
【請求項4】
請求項3に記載の塵芥収集車において、
上記パイプ部材は、中間部が側面視で後方に向かって折り曲げられ、さらに先端側が上記側壁に向かって折り曲げられており、
上記パイプ部材に、一端が上記側壁に連結された付勢部材の他端が連結されている
ことを特徴とする塵芥収集車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車台上に設けられた塵芥収容箱と、この塵芥収容箱の後方開口部に連設された塵芥投入箱と、塵芥積込装置を駆動する摺動シリンダとを備えた塵芥収集車に関し、特にそのスライド式の投入口カバーの支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、塵芥投入箱の後面に設けられた塵芥投入口を昇降により開閉し、開放時に塵芥投入箱の後面上部に設けられたカバーの裏側にその一部又は全部が隠蔽収容されるように設けられた扉と、この扉の開閉軌道を案内するガイド機構と、一端側が塵芥投入箱の側面に回動自在に支持され、他端側が扉の側部に回動自在に連結された扉開閉アームとを備える塵芥投入箱が知られている(例えば、特許文献1)。この扉は、扉開閉アームの一端を中心とする円弧状の軌跡に沿って移動するため、塵芥投入箱の形状が制限されるという問題がある。
【0003】
そこで、特許文献2のような、基端部が塵芥投入箱の側壁に回動可能に支持された第1リンクアームと、一端部がゲートの上部に回動可能に支持されるとともに、他端部が第1リンクアームの先端部に回動可能に連結された第2リンクアームと、塵芥投入箱の側壁に設けられ、ゲートの開閉軌道をガイドするガイドレールと、ゲートの上部に回動可能に支持され、ガイドレールに当接して転動するローラとを備えたものが知られている。この塵芥収集車では、2つのリンクアームを連結することで、側壁に沿って後方下傾状に配設された塵芥積込装置の摺動シリンダを避けながら、ゲートを円弧状軌跡よりも直線軌跡に近い状態でスライド移動可能に支持している。
【0004】
さらに、特許文献3の塵芥収集車では、投入箱本体内の所定の位置に沿って設けられ、塵芥投入口の開閉動作の際に扉を案内するガイドレールと、一端が投入箱本体側に揺動自在に連結されるとともに、他端が扉側に揺動自在に連結され、一端と他端との距離が可変のリンク機構とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−285317号公報
【特許文献2】特開2013−170074号公報
【特許文献3】特開2012−158404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2のような塵芥収集車では、摺動シリンダを避けるように第1リンクアームの基端部が、後方開口部側の塵芥投入箱の側壁に支持されているので、アームが長くなり、その質量が重くなると共に、その回動軌跡が広範囲にわたるため、回動のための前後方向のスペースを確保しなければならない。特に、従来より、塵芥投入箱を塵芥収容箱に対して傾動させる傾動シリンダが、塵芥投入箱の側壁に沿って、かつ、摺動シリンダよりも前方の後方開口部近くに配設されているので、リンクアームを傾動シリンダとの干渉を防ぐように配設することが困難な場合があった。具体的には、特許文献2のような塵芥収集車では、リンクアームの基端部は、塵芥投入箱を後方から見た場合に傾動シリンダと摺動シリンダとの間の隙間に納まるように配設されていた。このため、なるべく投入口を広くする一方で車幅を法規上の一定値以内にしようとすると、塵芥投入箱の側壁から車幅方向(左右方向)外側のスペースを小さくする必要があり、傾動シリンダと摺動シリンダとの間にリンクアームを納める隙間を設けるのが困難になっていた。
【0007】
また、特許文献3の塵芥収集車では、平行四辺形のリンク構造を利用しているので、構造が複雑となる上に、アーム全体の長さが短く、回動軌跡の制御が難しい場合がある。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、塵芥投入箱の側壁から車幅方向外側の必要スペースを小さくしつつ、投入口カバーを滑らかにスライド移動可能に支持するようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、この発明では、投入口カバーに回動可能に連結されたリンク部材に回動可能に連結されるアーム部の基端位置を摺動シリンダの車幅方向外側又はそれよりも後方側に設けた。
【0010】
具体的には、第1の発明では、車台上に設けられた塵芥収容箱と、該塵芥収容箱の後方開口部に連設され、塵芥が投入される塵芥投入口が形成された塵芥投入箱と、該塵芥投入箱に設けられて上記塵芥収容箱に塵芥を積み込む塵芥積込装置と、該塵芥積込装置に含まれ、上記塵芥投入箱の側壁に一端側が連結されると共に当該側壁に沿って後方下傾状の摺動シリンダと、上記塵芥収容箱に基端側が回動可能に連結され、先端側が上記塵芥投入箱の側壁における上記摺動シリンダよりも前方に回動可能に連結されて上記塵芥投入箱を上記塵芥収容箱に対して傾動可能に支持する傾動シリンダと、スライド移動することで上記塵芥投入口を開閉する投入口カバーとを備えた塵芥収集車を前提とし、
上記塵芥収集車は、
一端が上記投入口カバーの車幅方向端部に回動可能に連結されたリンク部材と、
基端側が側面視で摺動シリンダと重なる位置に回動可能に支持され、先端が上記リンク部材の他端に回動可能に連結されたアーム部とを備え、
上記アーム部の基端は、上記側壁における上記摺動シリンダと上記塵芥投入口との間に設けられて先端部が該摺動シリンダよりも車幅方向外側まで延びるアーム取付ブラケットの該先端部に回動可能に連結されている。
【0011】
上記の構成によると、アーム部の基端が側面視で摺動シリンダと重なる位置に回動可能に支持されているので、アーム部の軌跡が摺動シリンダよりも前には及ばない。このため、特許文献2のように広範囲にアーム部の移動スペースを確保する必要がない。すなわち、塵芥投入箱を傾動させるための傾動シリンダが摺動シリンダよりも前方に配設されていても、傾動シリンダと摺動シリンダとの間にアーム部を納めるための隙間を設ける必要がない。これにより、塵芥投入箱の側壁から車幅方向外側の必要スペースを小さくし、塵芥投入口を大きく確保することが可能となる。また、特許文献3よりもアーム全体の長さを適度に長く確保できることから、回動軌跡の制御が容易で、投入口カバーを滑らかにスライド移動させることができる。
【0012】
また、アーム取付ブラケットの基端は、塵芥投入箱の側壁における摺動シリンダと塵芥投入口との間に設けられていることにより、傾動シリンダや摺動シリンダと干渉することなく、アーム取付ブラケットを強固に側壁に対して固定することができる。これにより、アーム部を安定して支持することができる。
【0013】
第2の発明では、第1の発明において、
上記塵芥投入口よりも上方部分を覆う位置にルーフカバーと、該ルーフカバーを支持する枠状のカバー支持部とが設けられ、
上記リンク部材は、上記カバー支持部と上記側壁との間を移動可能に構成されている。
【0014】
上記の構成によると、ルーフカバーを支持するカバー支持部が設けられる場合でも、リンク部材を側壁とカバー支持部との間の狭いスペースで移動させることにより、カバー支持部との接触を避けながら、投入口カバーを滑らかに移動させることができる。
【0015】
第3の発明では、第1又は第2の発明において、
上記アーム部は、
基端側のパイプ部材と、
基端側が上記パイプ部材の先端に固定され、先端側が上記リンク部材の他端に回動可能に連結され、上記カバー支持部と上記側壁との間を移動可能な板部材とを備えている。
【0016】
上記の構成によると、アーム部の基端側は、曲げ構造を成形しやすく剛性の高いパイプ部材で構成し、リンク部材側の狭いスペース内で移動する必要のある部分を板部材で構成することにより、アーム部の剛性を確保しながら、狭いスペースにおける回動も可能となる。
【0017】
第4の発明では、第3の発明において、
上記パイプ部材は、中間部が側面視で後方に向かって折り曲げられ、さらに先端側が上記側壁に向かって折り曲げられており、
上記パイプ部材に、一端が上記側壁に連結された付勢部材の他端が連結されている。
【0018】
上記の構成によると、パイプ部材を適切に折り曲げることにより、摺動シリンダを避けながら、付勢部材との距離も確保され、付勢部材による適切な回動アシストが得られる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明によれば、基端側が側面視で摺動シリンダと重なる位置アーム部を回動可能に支持し、その先端を投入口カバーの車幅方向端部に連結されたリンク部材の他端に連結したことにより、塵芥投入箱の側壁から車幅方向外側の必要スペースを小さくし、塵芥投入口を大きく確保することができる。またアーム全体の長さを適度に長く確保できることから、回動軌跡の制御が容易で、投入口カバーを滑らかにスライド移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図5】サイドカバー及び開閉式ルーフカバーを開いた状態の塵芥投入箱を示す斜視図である。
【
図9】投入口カバーを閉じた状態の塵芥投入箱の要部を示す斜視図である。
【
図10】投入口カバーを半分開いた状態の塵芥投入箱の要部を示す斜視図である。
【
図11】投入口カバーを開いた状態の塵芥投入箱の要部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1は本発明の実施形態の塵芥収集車1を示し、この塵芥収集車1は、車台2上に設けられた塵芥収容箱3を備えている。この塵芥収容箱3の後方開口部4には、
図2から
図5に示すように、塵芥が投入される塵芥投入口5が形成された塵芥投入箱6が連設されている。
図5にサイドカバー9を開いて示すように、塵芥投入箱6は、例えば傾動シリンダ7により、傾動可能となっている。傾動シリンダ7は、塵芥投入箱6の側壁6aに沿って、配設されている。具体的には、傾動シリンダ7は、塵芥収容箱3に基端側が回動可能に連結され、先端側が塵芥投入箱6の側壁6aに回動可能に連結され、その伸縮動作により、塵芥投入箱6を塵芥収容箱3に対して傾動可能となっている。これにより、後方開口部4を開いて塵芥収容箱3内の塵芥を排出可能となっている。詳しくは図示しないが、塵芥投入箱6内には、例えば摺動シリンダ8等を有し、塵芥収容箱3に塵芥を詰め込むプレス式の塵芥積込装置が内蔵されている。側壁6aの後方開口部4側(前側)には、塵芥積込装置のローラが移動するためのガイド部材14が車幅方向外側へ膨出している。摺動シリンダ8は、側壁6aに沿って後方下傾状に配設されている。この摺動シリンダ8と上記傾動シリンダ7との位置関係は、摺動シリンダ8よりも前方に向かって傾動シリンダ7が配設される位置関係となっている。摺動シリンダ8のピストンロッド8a側は、図示しない塵芥積込装置の摺動部に連結されており、チューブ側が塵芥投入箱6の側壁6aに連結されている。塵芥積込装置は、例えば、塵芥投入口5の周縁に設けられた操作盤10で操作可能となっている。
【0023】
塵芥投入口5は、板状の投入口カバー11で覆われており、この投入口カバー11を上下にスライドさせることで、塵芥投入口5が開閉可能となっている。投入口カバー11の上端には、車幅方向に延びる棒状の車幅方向端部11aが設けられており、下端側には、例えば一対の取っ手11bが設けられている。
【0024】
例えば、塵芥投入箱6の左右両側には、テールランプ12が設けられ、塵芥投入口5の下方には、作動停止装置13が設けられている。
【0025】
また、塵芥投入箱6における塵芥投入口5の上方が開閉式ルーフカバー20で開閉可能に覆われている。この開閉式ルーフカバー20は、例えば
図3に示すように、側面視で略三角形状であり、閉じた状態で後面20aがほぼ鉛直となっている。開閉式ルーフカバー20は、例えば、
図5に示すように、ヒンジ20cを介して塵芥投入箱6の後面側上部に連結されると共に、側壁6aに固定された略矩形枠状のカバー支持部27にガスダンパー20bで支持されている。この開閉式ルーフカバー20の後面20a全体が、例えば透明なアクリル板等よりなる保護カバー21で覆われている。なお見やすくするために、
図3以外では、保護カバー21は省略している。
【0026】
例えば、後面20aの左右に間隔を空けて設けて作業灯22が収容されており、作業時の塵芥投入口5及びその周辺を照らすことができるようになっている。後面20aの左右中央にバックアイカメラ23が収納されており、後方の画像を撮影できるようになっている。後面20aの背面から見て右側に作業表示看板24が収納されている。保護カバー21の背面から見て左側には、表面側にナンバープレート25が固定されている。そして、開閉式ルーフカバー20の上方の塵芥投入箱6の後面にLEDランプ26が固定されている。
【0027】
本発明の特徴として、
図6〜
図8に示すように、投入口カバー11の車幅方向に飛び出す棒状の車幅方向端部11aに板状のリンク部材40の先端が回動可能に連結されている。リンク部材40の他端には、アーム部41の先端がアーム連結ピン41aにより回動可能に連結されている。アーム部41の基端側は、側面視で摺動シリンダ8と重なる位置に回動可能に支持されている。
【0028】
アーム部41は、基端側のパイプ部材42と、基端側がパイプ部材42の先端に固定され、先端側がリンク部材40の基端側に回動可能に連結される板部材43とを備えている。パイプ部材42は、例えば、鋼製パイプで構成され、側面視で中間部で後方へ折り曲げられ、先端側はさらに側壁6aに向かって(車幅方向内側へ)折り曲げられている。パイプ部材42の上記中間部近傍には、付勢部材としての引っ張りコイルバネ45の先端が連結されるアーム側バネ取付部45aが溶接されている。引っ張りコイルバネ45の基端側は、側壁6aに設けた側壁側バネ取付部45bに連結されている。
図7に示すように、引っ張りコイルバネ45の先端側は、車幅方向に広がる方向へ傾斜しており、他の部材と接触しないように配置されている。例えば、パイプ部材42を後方側へ折り曲げることにより、引っ張りコイルバネ45の最大長さを保つことができる。板部材43は、例えば車幅方向に一対の鋼板よりなり、パイプ部材42と溶接等により固定されている。これら一対の鋼板の間をリンク部材40が回動可能となっている。
図8に示すように、板部材43は、リンク部材40と共にカバー支持部27と側壁6aとの間の隙間を移動可能な幅となっている。
【0029】
アーム部41の基端側は、側壁6aにおける摺動シリンダ8と塵芥投入口5との間に設けられたアーム取付ブラケット44に回動可能に連結されている。アーム取付ブラケット44は、例えば基端が側壁6aに固定された角錐台44aを備え、この角錐台44aの先端は、摺動シリンダ8よりも車幅方向外側まで延び、板状の先端部44bが一体に設けられている。板状の先端部44bは、
図6に示すように、側面視で摺動シリンダ8のピストンロッド8aと重なる位置まで前方に向かって下方へ延び、この先端部44bがパイプ部材42の基端側と回動可能に連結されている。
【0030】
次いで、投入口カバー11を開閉するときの動作について説明する。
【0031】
まず、
図6〜
図9に示すように、投入口カバー11の閉じ状態では、パイプ部材42がピストンロッド8aの車幅方向外側にあり、リンク部材40は、下端位置にあり、カバー支持部27と側壁6aとの間の隙間にある。
【0032】
次いで、投入口カバー11を、その取っ手11bを持って持ち上げるように、引っ張りコイルバネ45の付勢力に補助されながら徐々に開いていく。
図10に示すように、車幅方向端部11aに連結されたリンク部材40が板部材43を引っ張るのに合わせてアーム取付ブラケット44の先端部44bとの連結部を中心にアーム部41が回動する。板部材43とリンク部材40とは、カバー支持部27と側壁6aとの間の隙間を他の部材をとの接触を避けながら上昇していく。
【0033】
さらに投入口カバー11を持ち上げていくと、投入口カバー11の上縁部が塵芥投入箱6の上端よりに設けたストッパ28に当接して全開状態となる。
【0034】
この間、リンク部材40、アーム部41及び引っ張りコイルバネ45は、傾動シリンダ7、摺動シリンダ8その他の部品とは接触しない。また、傾動シリンダ7及び摺動シリンダ8を伸縮させても接触は発生しない。
【0035】
このように本実施形態では、アーム部41の基端側が側面視で摺動シリンダ8と重なる位置に摺動シリンダ8を避けるように回動可能に支持されているので、摺動シリンダ8の動きを阻害せず、またアーム部41の軌跡は、摺動シリンダ8よりも前には及ばない。このため、特許文献2のように広範囲にアーム部41の移動スペースを確保する必要がない。すなわち、塵芥投入箱6を傾動させるための傾動シリンダ7が摺動シリンダ8よりも前方に配設されていても、傾動シリンダ7と摺動シリンダ8との間にアーム部41を納めるための隙間を設ける必要がない。これにより、塵芥投入箱6の側壁6aから車幅方向外側の必要スペースを小さくし、塵芥投入口5を大きく確保することが可能となる。また、従来よりもアーム部41全体の長さを適度に長く確保できることから、回動軌跡の制御が容易で、投入口カバー11を滑らかにスライド移動させることができる。
【0036】
また、アーム取付ブラケット44の基端は、塵芥投入箱6の側壁6aにおける摺動シリンダ8と塵芥投入口5との間に設けられていることにより、傾動シリンダ7や摺動シリンダ8と干渉することなく、アーム取付ブラケット44を強固に側壁6aに対して固定することができる。これにより、アーム部41を安定して支持することができる。
【0037】
また、開閉式ルーフカバー20を支持するカバー支持部27が設けられる場合でも、リンク部材40及び板部材43を側壁6aとカバー支持部27との間の狭いスペースで移動させることにより、カバー支持部27との接触を避けながら、投入口カバー11を滑らかに移動させることができる。
【0038】
また、アーム部41の基端側は、曲げ構造を成形しやすく剛性の高いパイプ部材42で構成し、リンク部材40側の狭いスペース内で移動する必要がある部位を板部材43で構成することにより、アーム部41の剛性を確保しながら、狭いスペースにおける回動も可能となる。
【0039】
また、パイプ部材42を適切に折り曲げることにより、摺動シリンダ8を避けながら、引っ張りコイルバネ45との距離も確保され、引っ張りコイルバネ45による適切な回動アシストが得られる。
【0040】
さらに、アーム部41の軌跡は、側面視で傾動シリンダ7よりも後方にあるので、アーム部41が傾動シリンダ7に接触しない。このため、摺動シリンダ8だけでなく傾動シリンダ7がある場合でも、これらのシリンダ7,8に接触しないようにアーム部41が回動して投入口カバー11が滑らかにスライド移動する。
【0041】
したがって、本実施形態に係る塵芥収集車1によると、塵芥投入箱の側壁から車幅方向外側の必要スペースを小さくし、投入口を大きく確保することができる。またアーム全体の長さを適度に長く確保できることから、回動軌跡の制御が容易で、投入口カバーを滑らかにスライド移動させることができる。
【0042】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0043】
すなわち、上記実施形態では、アーム部41を2段階に折り曲げたパイプ部材42と一対の鋼板で構成される板部材43で構成したが、例えば、板部材43を1枚の板とし、リンク部材40を一対の鋼板で構成してその間を板部材43が回動するようにしてもよい。また、カバー支持部27がアーム部41の可動範囲にないような場合には、アーム部41は、パイプ部材42のみで構成してもよい。さらに、パイプ部材42は、2段に折り曲げているが、例えば引っ張りコイルバネ45の長さ確保の必要がないときなどには、側面視で後方へ折り曲げなくてもよい。
【0044】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【符号の説明】
【0045】
1 塵芥収集車
2 車台
3 塵芥収容箱
4 後方開口部
5 塵芥投入口
6 塵芥投入箱
6a 側壁
7 傾動シリンダ
8 摺動シリンダ
11 投入口カバー
11a 車幅方向端部
40 リンク部材
41 アーム部
42 パイプ部材
43 板部材
44 アーム取付ブラケット
45 引っ張りコイルバネ(付勢部材)