(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記少なくとも2つの物体の流れを支持するための支持プラットホームを備え、前記支持プラットホームは、前記物体を、前記少なくとも2つの印刷経路を通る主搬送方向に沿って移動させるための前記コンベヤシステム上に搭載することができ、前記印刷経路に沿って移動中の前記物体をそれらの並進軸周囲で回転させるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
前記物体が2つの平行なロウに配置されており、かつ、異なるロウに属する隣接し合った物体の各対が共通の駆動機構に機械的に連結されている、請求項1、2または3に記載のシステム。
前記印刷素子は、材料組成物を吐出するためのノズル、マーカ、刻印ツール、レーザマーカ、ペイントマーカのうちの1つ以上を備える、請求項1〜5のいずれか1項に記載のシステム。
前記主搬送方向に沿った前記少なくとも2つの物体の流れの並進移動を実行するべく、前記コンベヤシステムを操作するように、また、前記少なくとも2つの物体の流れの物体に同時印刷するべく、少なくともいくつかの前記印刷ヘッドユニットを操作するべく構成され、そのように動作可能である制御部を備える、請求項1〜6のいずれか1項に記載のシステム。
支持プラットホームを備え、前記支持プラットホームは、前記少なくとも2つの物体の流れを、前記少なくとも2つの印刷経路を通る主搬送方向に沿って並進移動にて移動させるための前記コンベヤシステム上に搭載することができ、前記印刷経路に沿って移動中の前記物体をそれらの並進軸周囲で回転させるように構成されており、かつ、
制御部を備え、前記制御部は、前記物体の前記回転を実行するべく、前記支持プラットホームを操作するように構成され、そのように動作可能である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のシステム。
前記制御部は、前記主搬送方向に沿って段階様式で前記並進移動を実行するべく、コンベヤシステムを操作するように、さらに、並進移動が生じず、前記物体の前記回転が生じる時間間隔中に印刷を実行するべく、少なくともいくつかの前記印刷ヘッドユニットを操作するように構成されている、請求項8に記載のシステム。
前記制御部は、印刷を実行するべく、少なくともいくつかの前記印刷ヘッドユニットを操作しつつ、前記少なくとも2つの物体の流れの前記並進移動および前記物体の前記回転を同時に実行するべく、前記コンベヤシステムおよび前記支持プラットホームを操作するように構成されており、これにより、前記少なくとも2つの物体の流れ内の前記物体表面に、画像データが、らせん状経路に沿って、実質的に連続して印刷される、請求項8または9に記載のシステム。
前記制御部は、少なくとも1つの印刷ヘッドユニットと、前記少なくとも1つの印刷ヘッドユニットと整列した前記物体表面との間の距離を変更して、その位置を調整するように構成され、そのように動作可能である、請求項7〜11のいずれか1項に記載のシステム。
前記印刷ヘッドユニットは、前記印刷軸に対して実質的に半径方向である軸に沿って、または前記印刷軸に対して実質的に垂直な1本以上の軸に沿って移動するように搭載されている、請求項7〜12のいずれか1項に記載のシステム。
前記制御部は、前記コンベヤシステムによって運ばれている隣接し合う支持プラットホーム間の隙間を最小化するように構成されている、請求項7〜13のいずれか1項に記載のシステム。
少なくとも1つの前記印刷ヘッドユニットの連続した印刷素子は、各組成物を前記物体表面の或る領域に吐出するように構成されており、これにより、前記各組成物が前記物体表面上で少なくとも部分的に組み合わされて所望の組成物を形成する、請求項1〜17のいずれか1項に記載のシステム。
前記1つ以上のパターンの付加中に、前記少なくとも2つの物体の流れを、前記少なくとも2つの印刷経路に沿って前進させることを備える、請求項20または21に記載の方法。
前記物体の角位置および直線位置を示す信号を受信すること、ならびに、前記印刷経路を通って前進している前記物体の角位置および直線位置に従って、前記印刷ヘッドユニットの動作を同期させるための信号を生成することのうちの少なくとも1つを備える、請求項20〜24のいずれか1項に記載の方法。
2つ以上の印刷ヘッドユニットによって前記物体のうちの少なくとも1つの表面領域上に画像データを同時印刷すること、および、1つの印刷ヘッドユニットによって2つの異なる物体の表面領域に同時に印刷を施すことのうちの少なくとも1つを備える、請求項20〜25のいずれか1項に記載の方法。
【発明の概要】
【0007】
当該分野では、複数の物体への同時印刷を可能にすることにより、印刷技術を最大限利用(高効率)できるようにしながら、印刷工程を促進するための印刷技術が必要である。さらに、こうした印刷技術は、非常に高いシステム精度(ミクロン)で、比較的高い印刷解像度を保つ必要があるため、現実の製造ラインでのインクジェット印刷技術の使用は非常に困難である。そのため、このような技術では、製造ランを実行する上で、印刷エンジンを最大限利用して高い効率水準を維持することが必要である。
【0008】
上で述べた特許文献(特許文献1、特許文献2)では、印刷は、分散型印刷ステーションにおいて実行され、また、物体が印刷ステーション間を搬送されている間は中断される。この中断は、印刷工程を大幅に遅速化させる。本発明の発明者は、製造ラインから印刷システム内へ送られる複数の物体の湾曲(および/または平坦)面への高速かつ効率的な印刷工程の実施を可能にする、新規の印刷技術を開発した。
【0009】
本発明は、複数の印刷ヘッドユニットを設けた印刷ヘッドアセンブリを提供することによる印刷工程の促進を目的とし、この印刷ヘッドユニットは、並進軸に沿った、対応する複数の異なる(例えば、離間した)場所に配置される。特に、いくつかの実施形態では、印刷システム内に閉ループレーンを使用して、製造ラインから送られた少なくとも1つの物体流を管理し、この物体流を、レーン上で、印刷工程の1つ以上のステージにわたって移動させる。閉ループレーンの或る区間に沿って印刷ゾーンが画定されており、この印刷ゾーンには印刷アセンブリが動作可能に設置され、印刷ヘッドアセンブリの少なくとも1つの印刷ヘッドユニットアレイにより、印刷ゾーンをトラバースしている物体の外面に印刷が施される。
【0010】
少なくとも1つの印刷ヘッドユニットアレイは、印刷軸に沿った少なくとも1つの印刷経路を画定するように構成されることが好ましく、物体流は、この印刷経路に沿って前進しながら、アセンブリの印刷ヘッドユニットによりその外面が印刷される。印刷ヘッドアセンブリは、数個の印刷ヘッドユニットアレイを備えてよく、各印刷ヘッドユニットアレイは、印刷軸に沿って少なくとも1つの印刷経路を画定するように構成されており、この印刷経路は、物体の印刷を行うべく追加の物体流を通すために使用され得る。例えば、また限定することなく、各印刷ヘッド
ユニットアレイは、印刷ヘッドユニットの1つ以上の整列したカラムを備えてよく、各カラム内の印刷ヘッドユニットは事前定義された傾斜を有し、この傾斜は、印刷ヘッドユニットの各カラムの特定の配向を画定することで、その印刷素子(例えば、材料組成物を吐出するための印刷用ノズル、マーカ、刻印ツール、レーザマーカ、ペイントマーカ)を、アレイがカバーする特定の印刷経路に向ける。
【0011】
レーンは、物体流をレーンに沿って搬送して、物体を、本システムの多様な機能を実行するように適合されたレーンの1つ以上のゾーンを通過させるように構成されたコンベヤシステムを備えてよい。コンベヤシステム内に1つ以上の支持プラットホーム(ここではキャリッジとも言及する)を使用して、物体流をレーン上で並進させることができる。いくつかの実施形態では、各支持プラットホームは、製造ラインから送られた少なくとも1つの物体流を搭載し、物体を、レーン上で、加工および処理のための1つ以上のゾーンを通って滑動させるように構成されている。支持プラットホームは、そこに搭載され、印刷ヘッドアセンブリによって画定された1つ以上の印刷経路に関して整列した物体流を保持するように、および、レーンの特定のゾーン(例えば印刷ゾーン)を通過する時は常に、プラットホームで運ばれた物体を制御可能に回転させるように構成されてよい。
【0012】
レーンは搭載および荷下ろしゾーンを設けてよく、これらのゾーンは、1つ以上のこうした物体流を受容し、印刷完了後に(典型的には、レーン1周の移動が必要である)物体をレーンから取り除くように構成されている。レーンの或る区間(典型的には、搭載ゾーンの上流)に下準備ゾーンを画定することもでき、ここでは、搭載された物体の表面範囲が、物体の表面範囲を印刷工程に向けて準備するように設計された事前処理工程に課される。レーンは、硬化ゾーン(典型的には、印刷ゾーンの上流)をさらに備えてよく、ここでは、印刷ゾーンを出る物体が、その外表面に塗布された材料組成物を硬化させるための硬化工程(例えば、紫外線(UV))に課される。
【0013】
いくつかの実施形態では、並進軸上の印刷ヘッドユニットの突出部が並進軸の異なる部分に位置する。この設定では、コンベヤシステムは、物体と印刷ヘッドユニットとの間の相対移動を実行する。この相対移動は、(i)物体表面の所望の領域を所望の印刷ヘッドユニット付近まで運ぶための、並進軸周囲での回転動作と、(ii)物体を1つの印刷ヘッドユニットから連続した印刷ヘッドユニットへ運ぶために必要な、並進軸に沿った並進移動と、の両方を提供する。これにより、2つ以上の印刷ヘッドユニットが、同一の物体に同時に印刷できるようになる。本出願の技術において、物体は、印刷ヘッドユニット群の間で移動されながら、印刷され得る。こうすることで、印刷工程が加速化し、高い印刷処理量を達成できる。さらに、印刷システムの構成は、連続した物体を印刷ヘッドユニットアレイに晒すことで、一度に2つ以上の物体に同時印刷を行う。印刷ヘッドユニットアレイは、様々な直径を持った、長さの長い物体への印刷にも適している点にさらに留意する。
【0014】
印刷は、連続的(連続印刷)または分散ステップ的(ステップ印刷)に実行され得る。印刷が連続的な場合は、物体と印刷ヘッドユニットとの間の相対移動には、同時的な並進軸に沿った並進と並進軸周囲の回転とが含まれる。こうすることで、物体表面への画像データ印刷が、実質的にらせん状経路に沿って行われる。印刷が分散ステップにて行われる場合には、物体の所望領域が、物体と印刷ヘッドとの間の相対並進によって、1つ以上の群の付近へ運ばれる。物体表面への円周印刷を可能にするために、並進が停止し、相対回転が実行される。
【0015】
いくつかの実施形態では、印刷ヘッドアセンブリは複数の印刷ヘッド群を設けている。各群は、並進軸周囲の曲線経路に沿った異なる場所に配置され、並進軸の各領域を包囲している少なくとも2つの印刷ヘッドユニットを設ける。
【0016】
したがって、本出願のいくつかの実施形態の態様は、ボリュメトリックオブジェクトの湾曲した外面に印刷するように構成された印刷システムに関する。本システムは、コンベヤシステムおよび印刷ヘッドアセンブリを備える。コンベヤシステムは、物体と印刷ヘッドアセンブリとの間の並進軸に沿った相対並進を実行し、また、並進軸周囲で物体と印刷ヘッドアセンブリとの間の相対回転を実行するように構成されている。印刷ヘッドアセンブリは、並進軸上における異なる印刷ヘッドユニットの突出部が並進軸の異なる場所に位置するように配置された複数の印刷ヘッドユニットを備え、各印刷ヘッドユニットは、物体表面上に材料組成物を吐出するための少なくとも1つのノズルおよび/または吐出孔(ここでは、印刷素子とも言及している)を設けている。
【0017】
或る応用形では、印刷ヘッドアセンブリは追加の印刷ヘッドユニットをさらに備えており、これにより、前記印刷ヘッドユニットが複数の群に配され、少なくとも1群は、並進軸の周囲の曲線経路に沿って配置された少なくとも2つの印刷ヘッドユニットを備え、各群は並進軸の各領域を包囲している。
【0018】
別の応用形では、印刷システムは、所定のパターンに従って、上記の並進および回転を実行するべくコンベヤシステムを操作するように、また、少なくともいくつかの印刷ヘッドユニットを操作するように構成された制御部を備える。
【0019】
制御部は、各々が各群に属する少なくとも2つの印刷ヘッドユニットにより、物体表面への画像データの同時印刷を実行するべく、コンベヤシステムおよび少なくともいくつかの印刷ヘッドユニットを操作するように構成されてよい。
【0020】
オプションにて、制御部は、1つの印刷ヘッドユニットの異なる印刷素子による物体表面への画像データの同時印刷を実行するべく、コンベヤシステムおよび少なくともいくつかの印刷ヘッドユニットを操作するように構成される。
【0021】
制御部は、1つの群に属する少なくとも2つの印刷ヘッドユニットにより、物体表面への画像データの同時印刷を実行するべく、コンベヤシステムおよび少なくともいくつかの印刷ヘッドユニットを操作するように構成されてよい。
【0022】
或る応用形では、コンベヤシステムは、物体を並進軸に沿って移動させるように構成されている。別の応用形では、コンベヤシステムは、印刷ヘッドアセンブリを並進軸に沿って移動させるように構成されている。さらに別の応用形では、コンベヤシステムは、物体を並進軸周囲で回転させるように構成されている。さらなる応用形では、コンベヤシステムは、印刷ヘッドアセンブリを並進軸周囲で回転させるように構成されている。
【0023】
いくつかの実施形態では、制御部は、並進を段階様式で実行するべく、また、少なくとも、並進が生じない時間間隔中に回転を実行するべく、コンベヤシステムを操作するように、さらに、並進が生じず回転が生じる時間間隔中に印刷を実行するべく、少なくともいくつかの印刷ヘッドユニットを操作するように構成されている。
【0024】
いくつかの実施形態では、制御部は、印刷を実行するべく少なくともいくつかの印刷ヘッドユニットを操作しつつ、並進および回転を同時に実行するべくコンベヤシステムを操作するように構成されており、これにより、画像データの連続した印刷を、少なくとも1つの実質的にらせん状の経路に沿って、物体表面に実行することができるようになる。
【0025】
或る応用形では、少なくとも1つの印刷ヘッドユニットが物体表面に印刷しつつ、該少なくとも1つの印刷ヘッドユニットと物体表面との間に所望の距離を維持するために、上記コンベヤシステムは、物体と印刷ヘッドアセンブリとの間における相対移動を、並進軸に対して実質的に垂直な1本以上の半径方向軸に沿って実行するようにさらに構成されている。
【0026】
別の応用形では、コンベヤシステムは、少なくとも1つの印刷ヘッドユニットを、並進軸に向かうまたは離れるべく変位させるように構成されている。
【0027】
さらに別の応用形では、コンベヤシステムは、画像データを印刷するべく印刷ヘッドアセンブリを操作する前に、上記少なくとも1つの印刷ヘッドユニットを並進軸に関して変位させるように構成され、そのように動作可能である。
【0028】
さらなる応用形では、コンベヤシステムは、画像データ印刷中に、少なくとも1つの印刷ヘッドユニットを並進軸に関して変位させるように構成され、そのように動作可能である。
【0029】
またさらなる応用形では、コンベヤシステムは、上記少なくとも1つの印刷ヘッドユニットの位置を、印刷を施されようとしている物体表面の形状と適合させるように調整するべく、変位を操作するように構成され、そのように動作可能である。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態では、制御部は、少なくとも1つの印刷ヘッドユニットの上記変位を、上記少なくとも1つの印刷ヘッドユニットの作動していない休止中のポジション(inoperative passive position)と作動している動作中のポジション(operative active position)との間で操作するように構成されている。
【0031】
或る応用形では、同一群の印刷ヘッドユニットは、同色の材料組成物を吐出するように構成されている。別の応用形では、各群の印刷ヘッドユニットは、各色の材料組成物を吐出するように構成されている。
【0032】
さらに別の応用形では、印刷システムは、印刷ヘッドユニットが物体外面に吐出した材料組成物を硬化させるように構成された少なくとも1つの硬化部を備え、この硬化部は、並進軸に沿った最後の印刷ヘッドユニットの下流に配置されている。
【0033】
さらなる応用形では、印刷システムは、少なくとも1つの印刷ヘッドユニットが吐出する組成物を受容できるように物体表面の少なくとも1つの場所を下準備するように構成された少なくとも1つの下準備部を備え、この下準備部は、並進軸に沿った最後の印刷ヘッドユニットの上流に配置されている。またさらなる応用形では、印刷システムは、同一群に属する印刷ヘッドユニットの間に配置された少なくとも第2の硬化部を備える。オプションにて、印刷システムは、同一群に属する印刷ヘッドユニットの間に配置された少なくとも第2の下準備部を備える。
【0034】
或る応用形では、少なくとも1群の印刷ヘッドユニットの並進軸に沿った突出部は、並進軸の1つの領域上に位置する。別の応用形では、少なくとも1群の印刷ヘッドユニットはジグザグ配置されているため、少なくとも1群の少なくとも2つの印刷ヘッドユニットの並進軸に沿った突出部は、並進軸の異なる領域に位置する。さらに別の応用形では、異なる印刷ヘッドユニットは、物体表面の或る領域に各々の材料組成物を吐出し、これにより、物体表面上の各々の組成物の組み合わせが所望の組成物を形成するように構成されている。
【0035】
さらなる応用形では、少なくとも1つの印刷ヘッドユニットの連続した印刷素子(例えば、ノズルおよび/または吐出孔)は、物体表面の或る領域に各々の組成物を吐出し、これにより、物体表面上の各々の組成物の組み合わせが所望の組成物を形成するように構成されている。
【0036】
オプションで、各々の組成物の組み合わせは、各々の組成物間の混合と、各々の組成物間の化学反応とのうち少なくとも1つを備える。
【0037】
さらに別の態様では、製造ライン上で前進している物体の外面に印刷するための印刷システムが提供される。本システムは、1つ以上の印刷ヘッドアセンブリを備えてよく、この印刷ヘッドアセンブリは、印刷軸に沿って少なくとも1つの印刷経路を画定するように構成された印刷ヘッドユニットのアレイを備え、印刷ヘッドユニットは、少なくとも1つの印刷経路に沿って離間関係にて配置されており、印刷ヘッドユニットの各々は、印刷ヘッドアセンブリに関して移動しながら、少なくとも1つの印刷素子(例えば、材料組成物を吐出するためのノズル、マーカ、刻印ツール、レーザマーカ、ペイントマーカのうち少なくとも1つを備える)と順次整列した物体の各部分に印刷するための少なくとも1つの印刷素子を設けている。コンベヤシステムは、少なくとも1つの物体流を、少なくとも1つの印刷経路を通る主搬送方向に沿って順次移動させるために使用され、コンベヤシステムは、閉ループレーンを備え、少なくとも1つの印刷経路は、閉ループレーンの実質的に直線の区間である。
【0038】
本システムは、少なくとも1つの物体流をそれぞれ支持するための支持プラットホームを備えてよい。支持プラットホームは、物体を、少なくとも1つの印刷経路を通る主搬送方向に沿って移動させるためのコンベヤシステム上に搭載することができ、印刷経路に沿って移動中の物体を印刷軸周囲で回転させるように構成されている。
【0039】
可能な実施形態では、印刷ヘッドアセンブリは、少なくとも1つの追加の印刷ヘッドユニットのアレイを備え、これにより、少なくとも1つの追加の印刷ヘッド
ユニットのアレイの印刷部が、印刷軸に沿った少なくとも1つの追加の印刷経路に沿って配置され、また、少なくとも2つのアレイの各々における少なくとも2つの印刷部は、印刷軸を横切る軸に沿って離間している。したがって、支持プラットホームは、少なくとも1つの追加の物体流を支持するように、また、これをコンベヤシステム上で、少なくとも1つの追加の印刷経路を通って主搬送方向に沿って移動させるように構成されてよい。例えば、また限定することなく、少なくとも2つのアレイの印刷ヘッドユニットは共通の平面上に配置されてよく、これにより、各印刷ヘッドユニットアレイが各々の印刷経路を画定でき、コンベヤシステムおよび支持プラットホームは、少なくとも2つの物体流を、少なくとも2つの印刷ヘッドユニットアレイの各々がカバーする少なくとも2つの印刷経路に沿って同時に移動させるように構成されている。
【0040】
いくつかの実施形態では、制御部は、主搬送方向に沿った並進移動を実施するべく、コンベヤシステムを操作するように、また、回転動作を実行するべく支持プラットホームを操作するように、さらに、少なくとも1つの物体流のうちの物体に同時に印刷するべく、少なくともいくつかの印刷ヘッドユニットを操作するように使用されている。制御部は、回転動作を実行するべく支持プラットホームを操作するように構成されてよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、制御部は、主搬送方向に沿って段階様式で並進移動を実行するべく、コンベヤシステムを操作するように、また、少なくとも並進移動が生じない時間間隔中に回転を実行するべく、支持プラットホームを操作するように、さらに、並進が生じず、回転が生じる時間間隔中に印刷を実行するべく、少なくともいくつかの印刷ヘッドユニットを操作するように構成されている。
【0042】
オプションにて、制御部は、印刷を実行するべく、少なくともいくつかの印刷ヘッドユニットを操作しつつ、並進および回転を同時に実行するべく、コンベヤシステムおよび支持プラットホームを操作するように構成されてよく、これにより、物体流内の物体表面に、画像データが、らせん状経路に沿って実質的に連続して印刷される。
【0043】
或る応用形では、制御部は、異なる印刷ヘッドユニットアレイに属する少なくとも2つの印刷ヘッドユニットにより、画像データを物体表面に同時印刷するべく、コンベヤシステムおよび少なくともいくつかの印刷ヘッドユニットを操作するように構成されている。
【0044】
いくつかの実施形態では、制御部は、少なくとも1つの印刷ヘッドユニットと、少なくとも1つの印刷ヘッドユニットと整列した物体表面との間の距離を変更して、少なくとも1つの印刷ヘッドユニットの位置を物体表面の形状と適合するよう調整するべく構成され、そのように動作可能である。
【0045】
可能な実施形態では、印刷ヘッドユニットは、半径方向軸、または印刷軸に対して実質的に垂直な1本以上の軸に沿って移動するように搭載されてよい。
【0046】
オプションにて、制御部は、1つ以上の印刷ヘッドユニットを、その作動していない休止中のポジションと作動している動作中のポジションとの間、およびその異なる作動状態の間で選択的にシフトするように構成されている。
【0047】
いくつかの可能な実施形態では、制御部は、支持プラットホームにより印刷経路に沿って運ばれている物体の角位置および直線位置に従って、印刷素子の動作を同期させる仮想信号を生成するように構成されている。より詳細には、仮想信号を使用して、キャリッジの場所、および印刷ゾーン内をキャリッジによって運ばれている物体の角位置を同期させ、また、仮想信号に従って、キャリッジの位置および物体の角配向を調整した後に、物体表面に所定のパターンを適用するべく、印刷ヘッドを操作する。
【0048】
さらに別の態様では、製造ラインから送られた物体の外面に印刷する方法が提供され、該方法は、少なくとも1つの物体流を、印刷軸に沿って配置された少なくとも1つの印刷ヘッドユニットアレイを備える印刷経路に通すことと、印刷経路を通る物体流の場所と、物体流における各物体の角配向とを示すデータを受信することと、受信したデータに基づいて、少なくとも1つのアレイの印刷ヘッドユニットと対向した物体の表面領域、および各印刷ヘッドユニットによって表面領域に付加する1つ以上の印刷パターンとを決定することと、各印刷ヘッドユニットにより1つ以上のパターンを表面領域に付加するために、印刷ヘッドユニットアレイを操作することとを備える。
【0049】
この方法は、1つ以上のパターンの付加中に、印刷経路を通る物体を回転させることを備えてよい。オプションにて、1つ以上のパターンの付加中に、物体流が、少なくとも1つの印刷経路に沿って前進される。いくつかの実施形態では、物体流を印刷経路に通す前に、物体流の表面領域に事前処理工程が適用される。物体流を印刷経路に通す前に、物体流の表面領域に硬化工程も適用されてよい。
【0050】
この方法は、印刷経路を通って前進している物体の角位置および直線位置に従って、印刷ヘッドユニットの動作を同期させるための仮想信号を生成することをさらに備えてよい。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以降では、
図1〜
図20を参照して本発明の様々な実施形態を説明するが、これらの図面は、あらゆる観点にて、いかなる形においても制限ではなく例証としてのみ考慮されるべきである。図面中の要素は必ずしも寸法どおりではなく、代わりに、本発明の原理を明確に例示することに重点を置いている。本発明は、ここで述べている本質的な特徴から逸脱しない範囲で、その他の特定の形態および実施形態にて提供されてもよい。
【0054】
図1は、閉ループレーン10(例えば楕円軌道)を採用したいくつかの可能な実施形態による印刷システム17を示す略図であり、閉ループレーン10は、印刷対象の物体(図示せず)を該レーン10内に設けられた印刷ゾーン12zへ送るべく、これに沿って並進させるためのものであり、印刷ゾーン12zは1つ以上の印刷ヘッドアセンブリ100(例えば、各色の印刷ヘッドを具備する)を備えている。この非限定的な実施例では、印刷システム17は、製造ラインから複数の印刷対象物体を自動搭載するように構成された搭載ゾーン306lを備える。搭載ゾーン306lは、独立型の制御部および1つ以上のセンサを採用した搭載部、モータ、機械要素、空気圧素子を備え、また、搭載工程を時間調整、監視、管理するために、測定されたセンサデータを印刷システム17の制御部300に通信するように構成されている。いくつかの実施形態において、搭載部は、物体流を、同一の正確なインデックス(例えば、物体が先行のマークまたはキャップの向きを有する場合などに、物体の表面上に印刷開始点をマーキングするために使用される)でシステムレーンに搭載するように構成されている。
【0055】
いくつかの実施形態では、搭載された物体は複数のキャリッジC
1、C
2、C
3、...、C
n−1、C
n(「支持プラットホーム」または「キャリッジC
i」とも呼ばれる)に取り付けられ、これらのキャリッジは、レーン10にかけて連続移動するように、また、キャリッジC
iの動作状態に関するデータ(例えば、速度、位置、エラーなど)を制御部300と通信するように構成されている。以降で詳細に説明するように、キャリッジC
iは、キャリッジC
iをレーン10に沿って、同時または断続的に、あるいは個別に制御された方法で、移動させ、さらに、キャリッジC
iに取り付けられた物体を、事前処理部204にて処理され(本明細書では「下準備ステーション」とも呼ぶ)、および/または、印刷ゾーン12z内での印刷前、最中、またはその後に、処置/コーティング/下準備されながら、同時または断続的に、あるいは個別に制御された方法で、移動および回転(例えば、
図1には示していない回転可能な心棒の使用による)させるように構成されている。
【0056】
搭載ゾーン306lに受容された物体のサイズ(幾何学寸法および形状)を決定し、サイズデータを制御部300へ通信するサイズ検出部13を、レーン10内で使用してもよい。サイズ検出部13から受信したサイズデータは制御部300により処理、分析され、また制御部300によって、印刷ヘッドアセンブリ100の印刷ヘッドユニットの位置を調整し、あらゆる可能な衝突シナリオに警告を発するために使用される。
【0057】
レーン10に沿って移動される物体の表面に事前処理工程を施すための事前処理部204を、レーン10内に設けてもよい(コンテナへのインクの付着性を向上させ、導入する印刷/コーティングの表面を均一化するために実施される、例えばプラズマ、コロナ、および/または火炎処理)。したがって、制御部300は、事前処理部204の動作を、サイズ検出部13から受信したサイズデータに従って調整するように構成されてよい。
図1に例証するように、印刷ヘッドアセンブリ100は、複数のキャリッジC
iを収容でき(この例では、3つのキャリッジC
1、C
2、C
3を示す)、また、各々のキャリッジに取り付けた物体の表面に同時印刷を行うように構成されてよい。
【0058】
印刷ゾーン12zから出た物体は、レーン10の、硬化部202を備えた部分に沿って移動され得る。硬化部202は、制御部300によって操作されてよく、また、表面に付加された1つ以上の組成物層を硬化させて印刷工程を完成するように構成されてよい(例えば、紫外線/UVインク硬化工程や、その他のあらゆる固定または乾燥工程、例えば赤外線、電子ビーム、化学反応などを採用)。印刷ゾーン12zおよび/または硬化部202から出る物体に付加された色、パターン(例えば、印刷レジストレーション、診断、ノズル欠損、画像完成度)を表すデータ(例えば画像データ)を収集するために、ビジョン検査部16をさらに使用できる。印刷工程の完了後、またオプションで硬化および/検査工程の完了後に、物体をレーン10上で前進させ、印刷システム17から物体を自動除去するための荷下ろしゾーン306uへ送ってよい。荷下ろしゾーン306uは荷下ろし部を設けてよく、荷下ろし部は、独立型制御部および1つ以上のセンサユニット、モータ、機械要素および空気圧要素を採用し、また、荷下ろし工程を監視および管理するために、センサデータを印刷システム17の制御部300と通信するように構成されている。
【0059】
図2A、
図2Bは、並進軸に沿った連続位置に配置された複数の印刷ヘッドユニットを設けた、本開示の印刷ヘッドアセンブリ100の異なる例を示す略図である。
【0060】
図2Aの例では、印刷ヘッドユニット102a、104a、106a、108aは、並進軸上の異なる印刷ヘッドユニットの突出部が、並進軸110の異なる部分(印刷軸に沿う)上に配置され、また並進軸100周囲のそれぞれの(角)位置に位置決めされるように配置されている。
図2Bの例では、印刷ヘッドユニット102a、104a、106a、108aは、並進軸上の異なる印刷ヘッドユニットの突出部が並進軸110の異なる部分上に配置され、また、並進軸110周囲の同一の(角)位置に位置決めされて、並進軸110と実質的に平行な印刷ヘッドユニットラインを形成している。
【0061】
この非限定的な実施例では、並進軸110は物体101の軸とほぼ一致し、物体101と印刷ヘッドアセンブリ100との間の各々の並進はこの並進軸110に沿って生じ得る。さらに、並進軸100周囲では、物体101と印刷ヘッドアセンブリ100との間の相対回転が生じ得る。並進動作および回転動作については、以降で詳細に説明する。
【0062】
次に、いくつかの可能な実施形態による、1つの印刷ヘッドユニット上の印刷素子130(例えば、ノズルまたは吐出孔)の可能な構成を概略的に示す
図3A、
図3Bを参照する。
【0063】
図3A、
図3Bに例示されるように、印刷ヘッドユニットは、物体101の表面に材料組成物を吐出できるように構成された、1以上のノズルまたは吐出孔(一般に符号130で示す)を設けてよい。材料組成物は、流体(例えば、インクジェット印刷、プラスチック噴射または/および印刷の場合)、および/または固体(例えば、レーザ印刷の場合、粉体)であってよい。「印刷」とは、本明細書では、物体表面へのあらゆるタイプの材料吐出、および/または、物体表面へのドット、ライン、パターンの刻印またはマーキングを含むことを意味する。従って、例えば、「印刷」には、物体の表面に材料を吐出する、物体の表面にマークを刻印および/または付加することにより、例えば物体の色、形状、または質感を変更することが含まれる。例えば、非限定的に、印刷ヘッドユニットは、印刷ゾーン12zを横断する物体の外面に可視および/または不可視の(つまり、電子の電荷など機能的なもの)マーキングを付加するように構成された1つ以上のマーカ(例えば刻印工具、レーザマーカ、ペイントマーカなど)を備えてよい。
【0064】
図3Aは、異なる構成を持った、印刷ヘッドユニット104a、106aの印刷素子130を例証する。印刷ヘッドユニット104a、106aを、並進軸と平行な側面から示す。印刷ヘッドユニット104aは、複数の印刷素子130(例えば4つ)を、並進軸に沿った連続位置にあるロウに沿って設けている。この非限定的な実施例において、印刷ヘッドユニット106aは、プラスチック組成物の噴射について、当該技術分野において一般的に使用されているとおり、1つの印刷素子130を設けている。
【0065】
図3Bは、印刷ヘッドユニット102aに設けられた可能な印刷素子の構成を例示する。
図3Bは、印刷ヘッドユニット102a(並進軸110に対して垂直)の正面図を示す。この非限定的な実施例では、印刷ヘッドユニット102aは、並進軸110に対して垂直なライン状に設定された印刷素子130のカラム(列)を設けている。オプションでは、全ての印刷素子130が物体表面に対して垂直なわけではない。
図3Bの実施例では、印刷素子は物体表面に対して垂直であり、例えば、物体表面に対して垂直な吐出路に沿って材料組成物を吐出するように構成されている。その一方で、中央印刷素子の両側に位置する外側印刷素子は、物体表面に対して斜位に位置する。
【0066】
オプションにて、本発明で使用する印刷ヘッドユニットは、物体と対面した印刷ヘッドアセンブリの面を画定している2次元アレイを形成する印刷素子の複数のロウまたはカラム(列)を設けてよい。印刷ヘッドアセンブリは、矩形、平行四辺形など(これらに限定はされない)のあらゆる形状に構成できる。次に、
図4A、
図4Bを参照するが、これらは、本開示の印刷システム200の異なる図を概略的に示す。
図4Aは斜視図を、
図4Bは正面図を示している。印刷システム200は、物体101の湾曲した外面に画像/パターンを印刷するように構成されており、複数の印刷ヘッドユニットを有する印刷ヘッドアセンブリ100と、物体101および/または印刷ヘッドユニットを移動させるように構成されたコンベヤシステム(
図5A、
図15の302)とを設けている。オプションにて、システム200は、コンベヤシステム302と、印刷ヘッドユニットの動作とを制御するように構成された制御部(
図1、
図21Aの300)を設ける。物体の湾曲面は円形、長円形、楕円形などであってよい。
【0067】
いくつかの実施形態では、各印刷ヘッドユニットは、例えば、上述したように物体101の外面に材料組成物(インク、粉体、硬化流体、定着流体、前処理流体、コーティング流体、および/または第3液を作成するための1つ以上の流体の組成物、および/または噴射中に流体であるあらゆる固体/気体材料、など)を噴射/付加するように構成された1つ以上の印刷素子を設けている。印刷ヘッドアセンブリ100は、
図2A、
図2Bの説明で述べた印刷ヘッドアセンブリとして、または、次に説明する印刷ヘッドユニットが群編成された印刷ヘッドアセンブリ100として設計できる。
【0068】
図4A、
図4Bに示す実施例において、各群の印刷ヘッドユニットは、並進軸周囲の湾曲路に沿って配置され、また、各群は並進軸110の各領域を包囲している。そのため、印刷ヘッドユニット102a、102b、102cは第1群102に属する。印刷ヘッド104a、104b、104c(
図13に見られる)は第2群104に属する。印刷ヘッドユニット106a、106b、106cは第3群106に属する。印刷ヘッドユニット108a、108b、108cは第4群108に属する。群102、104、106は、並進軸に沿ったそれぞれの場所に配置されている。
【0069】
コンベヤシステム302は、物体101の所望部分が所望の印刷ヘッドユニットの付近へ所望時に運ばれるように、物体101および/または印刷ヘッドアセンブリ100を移動させるように構成されている。こうして、物体の外面に印刷が実行され得る。コンベヤは、物体101と印刷ヘッドアセンブリとの間で、(i)並進軸110に沿った、またはこれと平行な並進移動、(ii)並進軸110周囲での回転、という少なくとも2種類の相対動作を可能とするように構成されている。こうすることで、物体101の外面上の任意の点をあらゆる印刷ヘッドユニットの付近へ運ぶことができるようになる。オプションにて、並進軸に実質的に垂直な1以上の半径方向軸(または平面軸)に沿って、第3のタイプの相対動作が存在する。この第3動作は、少なくとも1つの印刷ヘッドユニットと物体表面との間に所望の距離を維持するために必要となる場合がある。
【0070】
いくつかの実施形態では、制御部(300)は、1つ以上の信号を、キャリッジの動作エンコーダからアセンブリ100内の印刷ヘッドユニットおよびコンベヤシステム302へ送信または転送するように構成された電子部である。あるいは、動作エンコーダからの信号は印刷ヘッドアセンブリへ直接転送され、ここで、制御部300から受信した信号に基づき、各印刷ヘッドユニットによって印刷命令に変換される。したがって、キャリッジのエンコーダの1つから印刷ヘッドアセンブリ100へ送信された位置制御信号は、特定の時間に1つ以上の印刷素子(例えばノズル/吐出孔)からそれぞれの材料組成物を吐出させるよう、個々の印刷ヘッドユニットに命令するために制御部(300)により使用される。制御部300はさらに、物体101および/または印刷ヘッドアセンブリ100を所望のパターンに従って移動(つまり、並進および/または回転)させるようコンベヤシステム302に命令するためのコンベヤシステム302への制御信号を生成した。そのため、制御部300は、物体上に所望の印刷パターンを作成し、物体の外面に所望の画像を印刷するために、印刷ヘッドユニットの動作を、物体101と印刷ヘッドアセンブリ100との間の相対動作に同期させる。
【0071】
印刷ヘッドユニット群は、物体101と印刷ヘッドアセンブリ100との間の相対動作の最中に、物体101が異なる印刷ヘッドユニットまたは印刷ヘッドユニット群の付近へ順次運ばれるように、並進軸110に沿って設置されている。さらに、この動作の少なくとも特定の段階中に、物体101の異なる部分は、少なくとも2つの連続した群に属する印刷ヘッドユニット付近、または並進軸110に沿った連続位置に位置する印刷ヘッドユニット付近にあってよい。これにより、物体の外面は、異なる群に属する印刷ヘッドユニット、または並進軸に沿った連続位置に位置する印刷ヘッドユニットによって同時に印刷され得る。オプションにて、1つの印刷部の異なる印刷素子が、2つの異なる物体に同時に印刷することもできる。上述したように、この特徴により、システム200は、印刷ヘッドの実用性を最適化しつつ、1つ以上の物体に印刷できるようになるため、高い物体処理量を可能にする高効率なシステムが達成される。
図4Aに例示したように、特定の期間中、物体101は第1群(印刷ヘッドユニット102a、102b、102cを設ける)付近、および第2群(印刷ヘッドユニット104a、104b、104c)付近にある。
【0072】
1つ以上の物体への印刷処理量の拡大に加え、システム200の構造は、複数の物体101への同時印刷も可能にする。これを行うために、物体101は1つずつ連続してシステム内に供給され、コンベヤシステム302は、各物体101が、印刷ヘッドユニットの別の物体への印刷を行っていない特定部分によって印刷され得るように、物体101および/または印刷ヘッドユニットのアセンブリ100を移動(つまり、並進および/または回転)させる。例えば
図4Aでは、物体101は第1群および第2群の付近にある(しかし、実際には、物体が印刷ヘッドよりも、また、並進軸に沿った印刷ヘッドの間の距離よりも十分に長い場合には、物体は3つ以上の群によって印刷され得る)。他に物体がない場合には、第3群の印刷ヘッドユニット(106a、106b、106c)および第4群の印刷ヘッドユニット(108a、108b、108c)がアイドル状態になる。しかし、第2の物体がシステム200内に導入され、第1群および/または第2群の印刷ヘッドの付近へ移動されると、第1の物体は第2群および/または第3群の付近へ移動される。こうすることで、後者(第2および第3)群の印刷ヘッドユニットの少なくともいくつかが第1の物体に画像を印刷できるようになり、前者(第1および第2)の群の印刷ヘッドユニットが第2の物体に画像を印刷できるようになる。
【0073】
印刷システムは、全ての印刷ヘッドユニットの下に、印刷ヘッドユニットによって印刷中の物体が存在する場合に、最大限利用されると考えられる。このため、印刷ゾーン内の物体間の隙間は効率を低下させると考えられるので、物体間の隙間を最小化することが必要となる。
【0074】
図4Bに見られるように、各群の印刷ヘッドユニットは、物体の外面からの所望の距離を維持できるよう、並進軸110の周囲に配備されている。印刷ヘッドユニットは、互いに離間あるいは近接した配置にて配備されてよい。同一群に属する連続した印刷ヘッドユニット間の距離は、互いに等しくても、または互いに異なっていてもよい。さらに、1群内の印刷ヘッドユニットを、異なる印刷ヘッドユニットと物体の外面との間の距離が互いに等しくなるように、または、各印刷ヘッドユニットが物体の外面からそれぞれの距離を有するように、物体の外面の周囲に配備することもできる。印刷ヘッドユニットと物体の外面との間の距離は、使用する印刷ヘッドユニットのタイプと組成物とに依存し、また、印刷ヘッドユニットがその組成物を所望の様式で届けられるように選択される。印刷ヘッドユニットによって噴射される組成物は、化学材料、材料の化学化合物、および/または材料および/または化合物の混合物であってよい。
【0075】
本発明のいくつかの実施形態では、異なる印刷ヘッドユニットによる、または印刷ヘッドユニットの異なる印刷素子130による物体表面への印刷を、未印刷の新たな経路を形成する目的で実行できる。オプションにて、いくつかの印刷を、既存の印刷された経路に沿って、またはその付近にて実行してもよい。2つの別の経路の付近、またはその間に印刷された経路を使用して、事前定義された解像度を達成できる。既存の経路に沿って印刷された経路を使用し、これにさらにドットを追加してより高密度のらせん状経路を形成することにより、既存経路の解像度を完成できる。さらに、既存経路に沿った経路の印刷は、2つの異なる印刷素子の間に冗長を実現するため、つまり、1つの印刷素子が動作しない場合に、第2の印刷素子が所望データの一部(例えば50%)を印刷するために用いることができる。オプションにて、印刷素子の1つが動作を停止した場合に、第2の印刷素子に元々第1の印刷素子によって印刷されるはずだったデータを印刷させるようにシステムを制御することが可能である。これは、例えば、物体101および/または印刷ヘッド
ユニットアレイの動作(並進および/または回転)を制御する(例えば遅くする)ことで、または、より多くのインクを噴射するように第2印刷素子を制御することで為されてよい。オプションにて、同一群に属する印刷ヘッドユニットを、物体表面に1色のインクを噴射するように構成したり、異なる群に属する印刷ヘッドユニットを、物体表面にそれぞれ異なる色を噴射するように構成する。あるいは、同一群に属する異なる印刷ヘッドユニットを、異なる色のインクを噴射するように構成する。
【0076】
上で述べた図面では、各群は3つの印刷ヘッドユニットを設けて示されているが、各群は例えば1、2、4などの任意の数の印刷ヘッドユニットを有してよいことに留意すべきである。さらに、上で述べた図面は4つの群の存在を示しているが、本発明のシステムに任意数の群を設けることが可能である。さらに、上で述べた図面における印刷ヘッドユニットは、物体101の長さよりも短く示されている。いくつかの場合にあるように、印刷ヘッドユニットは物体と同じ長さ、あるいは物体よりも長くてよく、その場合には上記の限りではない。
【0077】
システム200は、2つの異なる印刷シーケンス、つまり連続印刷、ステップ式印刷、またはこれらの任意の組み合わせに従って物体101に印刷するために使用できる。連続印刷では、物体101と印刷ヘッド装置100との間の相対移動が、並進軸110に沿った、またはこれと平行な並進移動と、並進軸110の周囲での回転動作とを同時に含む場合には、印刷は、物体101と印刷ヘッド装置100との間の相対動作の最中に実施される。このタイプの印刷では、画像データは、実質的にらせん状の経路に沿って物体表面に印刷される。
【0078】
ステップ式印刷では、物体と印刷ヘッドとの間の相対並進が、物体面の所望の領域を、並進軸に沿った連続位置に配置された1つ以上の印刷ヘッド群または印刷ヘッドユニットの付近へと運ぶ。並進は、相対回転の実行中に停止される。この回転中に、印刷ヘッドユニットが物体表面への円周印刷を実行する。印刷の実行後に、相対並進が再開されて、物体表面の1つ以上のさらなる所望の領域が、1つ以上の印刷ヘッド群の付近へ運ばれる。回転は並進の最中にも維持されてよく、あるいは並進の少なくとも一部の最中は中断されてよい。
【0079】
ステップは、物体101の所望領域を1つの印刷ヘッドユニットの1つの印刷素子130からこれに続く次の印刷素子130へ移動させるための並進を生じる小さいステップであっても、物体の所望領域を並進軸110に沿って第1印刷ヘッドユニットからこれに続く次の印刷ヘッドユニット(例えば、別の群に属するもの)へ移動させるための並進を生じる大きいステップであってもよい。いくつかの実施形態では、ステップは、物体101の所望領域を第1印刷ヘッドユニットから、1つ以上の中間印刷ヘッドユニットを飛ばして第2印刷ヘッドユニットへ並進させるのに十分に大きなステップであってよい。
【0080】
ステップ式印刷では、物体101の所望領域が所望の距離だけ並進されたことを確認するトリガによって、円周印刷が起動され得る。このトリガは、位置決めエンコーダ信号および/またはインデックス信号であってよく、これらの信号は並進中に有効で、並進していない時には無効である。所望の印刷ヘッドユニットおよびその印刷素子130の並進の速度と位置(並進軸に沿った位置)がわかると、物体101の所望領域が所望の印刷ヘッドユニットおよびその印刷素子130に晒される時間点を算出することができる。そのため、位置決めエンコーダおよび/またはインデックス信号によってトリガが起動されると、例えばエンコーダ位置信号に従って、印刷を実行せよとの命令が所望の印刷ヘッドユニット、および/または印刷素子130へ送られる。あるいは、トリガは、物体101の片側に設置された光検出器と、これに対応した、物体101の第2の側に設置された発光装置とによって起動されてよい。物体101が光検出器を覆い隠し、発光装置からの光が光検出器に到達しない場合、物体表面の所望領域が所望の距離だけ並進されたと考えられる。
【0081】
オプションでは、物体表面の特定領域の円周の座標(例えば、物体の既知の回転速度と既知の半径から算出する)を監視し、領域が、所望の印刷ヘッドユニット、または印刷素子130の円周の座標と一致する所望の円周の座標に達すると、第2トリガが起動される。応用形では、並進の停止後に、物体表面の所望領域を所望の印刷ヘッドユニット、または印刷素子130に露出させるために、相対回転を実行し、この実行後にのみ、印刷(材料組成物の吐出)が行われる。別の応用形では、第2トリガは使用されず、また、並進が停止すると、物体表面の所望領域が異なる印刷ヘッドユニット、または印刷素子130に露出される。所望領域の円周の座標が既知であるので、制御部は異なる印刷ヘッドユニット、または印刷素子130に、所望の領域上に所望の印刷を行うよう命令することができる。この最後の応用形は、物体への印刷における遅延を減少させるために役立つ。可能な印刷パターンは、連続印刷と時間を変えて実行されるステップ式印刷との両方を含んでよい。
【0082】
図面では、並進軸110は直線として示されている点に留意する。しかし、必ずしもそうでなくてもよい。実際、並進軸は曲線であっても、直線区間と曲線区間を併せ持っていてもよい。
【0083】
次に、
図5A、
図5Bを参照すると、いくつかの実施形態の印刷システムに設けられたコンベヤシステム302を例示している。
図5Aに示す非限定的な実施例では、コンベヤシステム302は物体101を移動させるように構成され、一方、
図5Bに示すコンベヤシステム302は印刷ヘッドアセンブリ100を移動させるように構成されている。
【0084】
図5Aに示す非限定的な実施例では、システム200のコンベヤシステム302は、物体101の端部に連結した物体ホルダ150を設けている。或る応用形では、物体ホルダは、物体101を並進軸110に沿って移動させ、さらに並進軸110周囲で物体を回転させる。並進と回転は、所望の印刷方式に応じて、同時でまたは別々に行うことができる。オプションでは、コンベヤシステム302は、物体101を並進軸110に沿って移動させるように構成された(両方向矢印154で示す)コンベヤベルト152を設けている一方で、物体ホルダの機能は物体101の回転に限定される(矢印156に示す)。
【0085】
コンベヤベルト152は、電気モータ、リニアモータシステム、経路を形成するべく組み合わせた複数のリニアモータシステム、磁気リニアシステム、または空圧流システムなどの、モーションシステムによって移動されるベルトであってよい。複数の物体を扱う場合には、各物体を、1つ以上の物体ホルダによって別個に扱うことができる。並進軸110に沿った異なる場所において、各物体101が、異なる方式(例えば異なる速度)で、並進軸110に沿って並進するように制御されるケースもある。
【0086】
図5Bに示す非限定的な例では、システム200のコンベヤシステム302はキャリッジ158を設けている。この実施例のキャリッジ158は、印刷ヘッドアセンブリ100を、並進軸110と平行な方向に沿って移動させ(両方向矢印160で示す)、並進軸周囲で印刷ヘッドユニットと共に回転する(矢印162で示す)。
【0087】
図には示していないが、物体と印刷ヘッド装置との間に相対並進および回転動作が生じるためのその他のシナリオも可能である点を追記すべきである。第1の可能なシナリオでは、コンベヤシステム302は、印刷ヘッドアセンブリ100を並進軸110に沿って移動させるように設計され、また、物体を並進軸110周囲で回転させる物体ホルダを設けている。第2の可能なシナリオでは、コンベヤシステム302は、物体101を並進軸110に沿って移動させるように、また、印刷ヘッド装置を並進軸110周囲で回転させるように設計されている。
【0088】
いくつかの実施形態では、物体101と印刷ヘッド装置100の両方を移動させることができる。
【0089】
上述した全ての相対移動方式(固定された印刷ヘッドユニットと移動する物体、移動する印刷ヘッドユニットと固定された物体、物体の並進と印刷ヘッド装置の回転、物体の回転と印刷ヘッド装置の並進、印刷ヘッドユニットの移動と物体の移動)は、本発明の範囲に包括され、相互に同等である。本発明の説明を単純化するために、本明細書の残り部分では、印刷ヘッドユニットが固定され、物体101が移動(並進および回転)されるケースについて説明する。しかし、物体101の移動への言及は、物体101と印刷ヘッドユニット装置100との間の相対移動への言及として理解されるべきである。
【0090】
上述した両方の場合において、個々の印刷ヘッドユニットおよび/または個々の群は、互いに対して並進軸110に沿って移動できてよい。これは、印刷前および/または印刷後における手動および/または自動のキャリブレーションに使用できる。オプションにて、個々の印刷ヘッドユニットおよび/または群は並進軸110の周囲で、または並進軸110に対して垂直方向に移動可能である。これも、印刷前および/または印刷後の、手動および/または自動キャリブレーションに使用することができる。
【0091】
次に、
図6A、
図6Bを参照すると、これは個々の印刷ヘッドユニットが制御可能に可動ないくつかの可能な実施形態を示す略図である。
【0092】
図6Aでは、印刷ヘッドユニット102a〜102dは1つの群に属し、物体101の円周に沿って配備されている。
図6Bでは、印刷ヘッドユニット102b、102dが、矢印180、182でそれぞれ示すように、並進軸から(または物体101から)離れて移動される。本発明のいくつかの実施形態では、少なくとも数個の印刷ヘッドユニットを物体101に向かって、また物体101から離して、個々に移動させることができる。オプションにて、各印刷ヘッドユニットのこうした移動は、並進軸と平行な各軸に沿って実施される。オプションにて、個々の印刷ヘッドユニットの向きも調整できる。
【0093】
印刷ヘッドユニットを移動できることによって、印刷ヘッドユニットと物体101との間に所望の距離を維持することができる。また、印刷ヘッドユニットを移動することで、選択された印刷ヘッドユニットをその動作中のポジションと休止中のポジションとの間で移動できるようになる。これにより、印刷ヘッドアセンブリを異なる直径および長さの表面に印刷するべく異なる方式で構成できるようになるため、印刷ヘッドアセンブリに柔軟性が加わる(例えば、直径の小さい物体の場合では、1つの群内の動的な印刷ヘッドユニットの数を減少させて、動的な印刷ヘッドを物体の外面からの所望の距離に配置することができる)。或る応用形では、印刷ヘッドユニットは印刷前にのみ移動することができ、つまり、物体の移動開始後には、印刷ヘッドユニットは並進軸に対するその位置を維持する。この特徴は、システム200が、印刷ヘッドユニットと複数の直径および長さを持つ物体との間に所望の距離を保てるようになるため有利である。別の応用形では、印刷ヘッドユニットを印刷中に移動することができる。この特徴は、物体の断面サイズおよび/または形状が物体の長さに沿って異なる場合、または、物体が円形でない場合(
図7A〜
図7Cに例示される)に有利であり得る。
【0094】
次に
図7A〜
図7Cを参照すると、物体101の回転前および回転中に、印刷ヘッドユニットを物体101の形状に合わせるべく制御可能に移動できる例示的な実施形態を示す。
【0095】
図7Aでは、楕円形の断面を有する物体101がシステム100へと運ばれる。印刷ヘッドユニット102a〜102dは1つの群に属しており、最初に円形物体の形状に合わせて配備される。
図7Bでは、物体の外面と各印刷ヘッドユニットとの間に所望の距離を維持するために、印刷ヘッドユニット102b、102cが並進軸(物体101の楕円形の断面の中心に位置し、ページ外へと延びている)に向かって移動される。物体101は回転される。この回転中に、印刷ヘッドユニット102a〜102dが並進軸に関して移動され、またオプションで向きが変更される。或る時点で、物体102は90°回転される(
図6c参照)。印刷ヘッドユニット102a、102dは並進軸に向かって移動された一方で、印刷ヘッドユニット102b、102cは並進軸から離れて移動された。こうすることで、印刷ヘッドユニットと物体表面との間に所望の距離が維持される。さらに、物体の印刷ヘッドユニットに露出させる領域に関して所望の向きを維持するために、全ての印刷ヘッドユニットの向きを変更した。
【0096】
前出の図面では、同一群の印刷ヘッドユニットは、並進軸110に沿った同一の座標に配置された状態で示されていることに留意すべきである。しかし、必ずしもそうでなくてもよい。次に
図8A、
図8Bを参照すると、1つの群に属する印刷ヘッドユニットの2つのオプション配置を例示している。
図8Aでは、同一群に属する印刷ヘッドユニットが並進軸110に沿った同じ場所に位置決めされているいくつかの可能な実施形態を、略図によって例示している。
図8Bは、同一群に属する印刷ヘッドユニットがジグザグに、つまり並進軸110に沿った異なる場所に位置決めされた、いくつかの可能な実施形態を例示する略図である。
【0097】
図8Aでは、同一群に属する全ての印刷ヘッドユニットが、並進軸110に沿った同じ場所Xに位置決めされている。言い換えれば、並進軸110上の同一群に属する異なる印刷ヘッドユニットの突出部は、並進軸の同じ領域上に入るということである。
図8Bでは、同じ群の各印刷ヘッドユニットが、並進軸110に沿ったそれぞれの場所に位置決めされている。印刷ヘッドユニット102aが、並進軸110上の座標Aに中心決めされている。印刷ヘッドユニット102bは座標Bに中心決めされている。印刷ヘッドユニット102cは座標Cに中心決めされている。印刷ヘッドユニット102dは座標Dに中心決めされている。言い換えれば、少なくとも1つの群の少なくとも2つの印刷ヘッドユニットの並進軸に沿った突出部が、並進軸110の異なる領域に入るということになる。
【0098】
次に、
図9Aを参照すると、少なくとも1つの硬化/乾燥ステーションが、印刷部アセンブリ100の最後尾、つまり最終の印刷ヘッドユニット群の下流に配置された、いくつかの実施形態を例示している。
【0099】
図9Aでは、物体101は右から左へ、方向201へ移動される。この並進中に、物体表面の領域が、群102、104、106、108の印刷ヘッドユニットに対して、(または、印刷ヘッドアセンブリ100が
図2A、
図2Bに従って配備された場合には、印刷ヘッドユニット102a、104a、106a、108aに対して)順次露出され、印刷される。この印刷は、上述した連続印刷またはステップ式印刷であってよい。本発明のいくつかの実施形態では、硬化/乾燥ステーション202は、最終群108(または最終の印刷ヘッドユニット108a)の下流に配置されている。物体101は、印刷ヘッドユニットからインクを受容した後に、硬化/乾燥ステーションへ移動され、ここでインクが物体表面上に固定される。硬化/乾燥は、次のような任意の既知の技術に従って実行される:硬化/乾燥速度を早めるためにガスまたは外部液の任意の組み合わせを用いず、または用いて、印刷面を紫外線(UV)光に露出する;印刷済みの表面を電気ビーム(EB)に露光する;IR(赤外線)放射への露光により表面を加熱する;換気乾燥する。これらの技術は、印刷実行後の硬化/乾燥のために使用できる。
【0100】
印刷前の物体表面に下準備/事前処理する技術もまた使用できる:印刷した物体表面を炎、および/またはプラズマ、および/またはコロナ、および/または表面洗浄装置、および/または帯電防止装置、表面加熱または乾燥装置に晒す;表面に下準備またはコーティング材料を塗布する;後続の硬化処理を増強するために、印刷済みまたは印刷前の表面を窒素や不活性物質などのガスに晒す。この目的で、オプションにて、第1印刷ヘッド群102(または第1印刷ヘッドユニット102a)の上流に下準備ステーション204が配置されている。下準備ステーション204では、物体101の表面に、間近に迫った印刷を強化するための処理を施す。下準備は、上で述べた下準備/事前処理に使用する方式のうち任意のものに従って実行できる。
【0101】
硬化/乾燥ステーションは、並進軸110の周囲に配備された1つの硬化/乾燥部、または硬化/乾燥部の群を設けてよい点が注目されるべきである。同様に、下準備ステーションは、並進軸110の周囲に配備された1つの下準備部または下準備部の群を設けてよい。
【0102】
次に、
図9Bを参照すると、2つの連続した印刷ヘッドユニット群の間に、少なくとも1つの硬化/乾燥ステーション、および/または下準備/事前処理ステーションが配置された、いくつかの実施形態を例示している略図を示す。
【0103】
いくつかの実施形態では、1つ以上の印刷ヘッドユニット群の後(下流)に(または、並進軸に沿った連続位置に配置されているいくつかの印刷ヘッドユニットの後に)、硬化または下準備ステーションを設けることが望ましくあり得る。例えば、また限定することなく、連続する群または印刷ヘッドユニットが、混合されて望ましくない結果をもたらす可能性のある物体組成物に適合する場合には、これら2つの連続した群または印刷ヘッドユニットの間に硬化ステーションが必要となる。別の例では、特定の印刷ヘッドユニット、または特定の群の印刷ヘッドユニットは、物体の表面上に付加する前に特定の種類の下準備を要する組成物を噴射するように構成されている。このケースでは、下準備ステーションを、特定の印刷ヘッドユニットまたは特定の群よりも手前に配置する必要がある。
【0104】
図9Bの非限定的な例では、硬化/乾燥、および/または下準備/事前処理ステーション206が、群102と104(または印刷ヘッドユニット102aと104a)の間に配置され、硬化/乾燥、および/または下準備/事前処理ステーション208が、群104と106(または印刷ヘッドユニット104aと106a)の間に配置され、硬化/乾燥および/または下準備/事前処理ステーション210が群106と108(または、印刷ヘッドユニット106a、108a)の間に配置されている。
【0105】
次に、
図9Cを参照すると、複数の硬化/乾燥/下準備/事前処理ステーションが並進軸に沿って1つずつ次々と位置決めされたいくつかの実施形態を例示した略図を示す。この非限定的な実施例では、硬化/乾燥/下準備/事前処理ステーション212、214、216、218、219は物体101の下に位置している一方で、印刷ヘッド群(または個々の印刷ヘッドユニット)は物体101の上に位置している。こうすることで、印刷および硬化/乾燥/下準備/事前処理を同時に実行できる。オプションにて、ステーション212、214、216、218、219は、複数の印刷素子を設けた1つの長いステーションの一部であってよい。これは、各サイクルにおいて、印刷された各層に硬化/乾燥/下準備/事前処理を行えるため、有利である。
【0106】
次に、
図9Dを参照すると、少なくとも1つの硬化/乾燥、および/または下準備/事前処理部が印刷ヘッドユニット群の一部であるいくつかの実施形態を例示した略図を示す。この非限定的な実施例では、群170は印刷ヘッドユニット170a、170cと、硬化/乾燥部および/または下準備/事前処理部170b、170dを設けている。これにより、硬化/乾燥、および/または下準備/事前処理を、個々の印刷ヘッドユニットによる印刷の前、最中、後に実行できるようになる。
【0107】
図9A〜
図9Dに示すいくつかの実施形態では、印刷ヘッドユニット35に自己固定型のインクを有利に使用できる。このような自己固定型のインクは、典型的には、印刷ヘッドの印刷素子から射出されて物体表面に到達すると瞬時に固定するように構成されている。したがって、こういった自己固定型インクを採用した可能な実施形態は、印刷工程の最後に1つの硬化ゾーンを利用してよい。さらに、印刷工程の最後に1つの硬化ゾーンを採用するこのような可能な実施形態により、長さが短く、精密度の高い印刷ヘッドアセンブリの設計が可能となる。
【0108】
次に、
図10A〜
図10Cを参照すると、物体表面の同じ場所に第1および第2組成物がそれぞれ第1および第2群の印刷ヘッドユニットによって、(または、第1および第2印刷ヘッドユニットによって)射出され、これにより、第1および第2組成物の組み合わせで形成された第3の組成物により該場所を印刷する、いくつかの可能な実施形態を例示した略図を示す。
【0109】
図10Aでは、物体101は、物体表面の特定領域が第1群102の印刷ヘッドユニットに露出されるよう(または、印刷ヘッドアセンブリが
図2Aまたは
図2Bの実施例に従って構成されている場合には、第1印刷ヘッドユニット102aに露出されるよう)、並進軸に沿った方向220へ移動される。印刷ヘッドユニットは、制御部(300)からの命令に従って、第1組成物222を物体表面の該当領域に射出する。
図10Bでは、物体101は、物体表面の該当領域が第2群104の印刷ヘッドユニット(または第2印刷ヘッドユニット104a)に晒されるよう、コンベヤシステム(302)により方向220へ移動される。この時点で、制御部は、第2群の印刷ヘッドに、第1組成物を受容した領域に対して第2組成物224を噴射するよう命令する。
図9Cでは、第1および第2組成物が組み合わさって、第3組成物226を生じている。第1および第2組成物の組み合わせは、混合または化学反応であってよい。混合は、所望の第3色のインクを生成するための、異なる2色のインクの混合であってよい。
【0110】
この設定は、所望の印刷システムで第3組成物226を印刷できない場合に有利である。例えば、また限定することなく、第3組成物が固体である場合は、インクジェット印刷で第3組成物を吐出することはできない。第1および第2の液体組成物が液体の状態で印刷ヘッドユニットにより対象領域に送達される場合には、第1および第2の液体組成物は、印刷工程中に、
図10A〜
図10Cの技術に従って組み合わされる。対象領域上で液体化合物間の組み合わせが生じることにより、固体組成物が形成される。
【0111】
固体組成物は極端な例である。実際には、特定の閾値を超える流体粘性を持った所望の液体組成物であっても、特定の印刷ヘッドユニットで送達させることは不可能である(例えば、多くのインクジェット印刷ヘッドユニットで噴射できるのは、粘性10〜15センチポアズの液体である)。しかし、所望の組成物の構成組成物の粘性が印刷ヘッドユニットの動作閾値よりも低い場合には、構成組成物を連続した印刷ヘッドユニットにより対象領域上に送達させ、対象領域上で混合させることで、より高粘度の所望の組成物を形成することができる。
【0112】
図10A〜
図10Cで説明した組成物の組み合わせは、
図11A〜
図11Cに示すように、少なくとも2つの印刷素子226、228を有する1つの印刷ヘッドユニット102aによって達成できる。この非限定的な実施例では、第1印刷素子226が、物体101の表面の特定領域上に第1組成物222を吐出し、第2印刷素子228が、物体101の表面の該特定領域上に第2組成物224を吐出する。
【0113】
次に、
図12A〜
図12Cを参照すると、第1および第2組成物を、同一群の第1および第2印刷部のそれぞれによって物体表面の同じ場所に噴射して、当該場所を第1および第2組成物の組み合わせにより形成された第3組成物で印刷する、いくつかの可能な実施形態を例示した略図である。
【0114】
図12Aでは、物体が並進軸周囲で方向230へ回転中に、第1印刷ヘッドユニット102aが、制御部(300)からの命令に従って、第1組成物222を物体表面の特定領域上に噴射する。
図12Bでは、物体101は方向230に回転し、第1組成物222を受容した領域が、第1印刷ヘッドユニット102aと同じ群に属する第2印刷ヘッドユニット102bの付近へと運ばれる。この時点で、制御部が、既に第1組成物222を受容している領域に第2組成物224を噴射するよう、第2印刷ヘッドユニット102bに命令する。
図12cでは、第1および第2組成物が組み合わされて(例えば、化学反応または混合による)、第3組成物226を生じている。上で述べたように、この設定は、印刷システムによって第3組成物226を印刷できない場合に有利である。
【0116】
次に、
図13A、
図13Bを参照すると、これは異なる群に属する印刷部が並進軸周囲の同じ位置に配置され、バー/カラム状に編成された、可能な実施形態を例示する略図である。
図13Aに印刷ヘッドアセンブリの斜視図を示す。
図13Bに、印刷ヘッドアセンブリの側面図を示す。
【0117】
上で説明したように、印刷ヘッドユニット102a、102b、102cは第1群に属し、印刷ヘッドユニット104a、104b、104cは第2群に属し、印刷ヘッドユニット106a、106b、106cは第3群にそれぞれ属する。
図13A、
図13Bの実施例では、印刷ヘッドユニット102a、104a、106aが並進軸周囲で第1角座標に配置されている。同様に、印刷ヘッドユニット102b、104b、106bは、並進軸周囲で第2角座標に配置されている。さらに、印刷ヘッドユニット102c、104c、106cは、並進軸周囲で第3角座標に配置されている。印刷ヘッドユニット102a、104a、106aは、並進軸と実質的に平行なカラムを形成している(印刷ヘッドユニット102b、104b、106b、印刷ヘッドユニット102c、104cc、106cも同様)。
【0118】
各カラムにおいて、印刷ヘッドは互いに連結してバーを形成している。印刷中における印刷ヘッドユニットの場所は、印刷の成功を達成するために重要である。高解像印刷では、印刷ヘッドユニット同士を並進軸に沿って高精度で整列させる。したがって、印刷ヘッドユニットを互いに対して整列させることは、印刷工程の重要な部分である。印刷ヘッドをバー/カラム状に整列させることの利点は、印刷前に各印刷ヘッドの位置を個々に調整することよりむしろ、バー/カラムの位置が並進軸に沿って調整されることにある。各バー/カラムの位置を調整することにより、バー/カラムを構成している複数の印刷ヘッドユニットの位置が調整される。そのため、一旦、第1バー/カラムの位置を選択すれば、単純に他の全てのバー/カラムも第1バー/カラムと共に整列される。これにより、印刷前に印刷ヘッドの場所の正確かつ迅速な調整を行える。
【0119】
図13A、
図13Bのこれに続く任意のバーの印刷ヘッドユニットは互いに連結しているように示されるが、必ずしもそうでなくてよい。事実、バー/カラムは、間に空間を空けて配置された後続する少なくとも2つの印刷ヘッドを設けてよい。
【0120】
次に、
図14を参照すると、制御部300が、1種類以上の入力データに従って、コンベヤと印刷ヘッドアセンブリを制御するシステム200の実施形態を例示したブロック図を示す。
【0121】
この非限定的な例におけるシステム200は、制御部300、コンベヤシステム302、印刷ヘッドアセンブリ100を設け、これら全てについては上で説明している。上で述べているように、印刷ヘッドアセンブリ100は、下準備部またはステーション(204)、および/または硬化部またはステーション(202)を1つ以上設けていても、いなくてもよい。オプションにて、システム200は、物体をコンベヤシステム302に搭載し、印刷(ならびにオプションで、硬化/乾燥、および/または下準備/事前処理)が完了するとコンベヤシステム302から物体を下ろすように構成された搭載/荷下ろし部306を設けている。制御部300は、物体(101)上に印刷された画像を生成するために、コンベヤシステム302、印刷ヘッドアセンブリ100、搭載/荷下ろし機器306(装備する場合のみ)を操作して、これら要素の所望の操作順序(印刷パターン)を作り出す。
【0122】
オプションでは、この操作順序が、外部ソースから制御部300へ入力データ308として送信される。外部ソースは、物体に印刷する画像の特性(例えば色、サイズなど)に基づいて、適切な操作順序を計算するコンピュータであってよい。応用形では、制御部300は、画像を処理し、所望の操作順序を決定するように構成されたプロセッサ302aを設けている。この場合、入力データ308は印刷する画像を表すデータであり、操作順序を決定するためにプロセッサ302aによって使用される。
【0123】
或る応用形では、システム200は距離センサ310および整列センサ312を設ける。距離センサ310は、少なくとも1つの印刷ヘッドと物体の表面との間の距離を感知するように構成されている。整列センサ312は、印刷ヘッドユニット(または、それがある場合には、このようなユニットのバー/カラム)が、並進軸に沿って、および/または並進軸の周囲で互いに正確に整列しているかどうかを決定するように構成されている。
【0124】
制御部300は、印刷ヘッドユニットが適切な位置にあるかどうか、また、印刷ヘッドユニットを移動させるかどうかを決定するために、距離センサ310および整列センサ312からデータを受信する。或る応用形では、制御部300が印刷ヘッドユニットに対し、印刷開始前に指定された位置へ移動するように(距離センサ310からのデータに従い、並進軸に対し垂直方向へ、および/または、整列センサ312からのデータに従い、並進軸に沿って、および/または並進軸の周囲へ)命令する。別の応用形では、制御部300が印刷ヘッドユニットに対し、印刷中に指定された位置へ移動するように命令する(例えば、上述したように、物体の断面形状が物体全長に沿って異なる場合、または物体の断面が円形でない場合)。
【0125】
距離センサ310および整列センサ312は、対象物に向けて放射物(例えば電磁的、光学的、音響的)を放射し、対象物によって反射/散乱された放射物を受容することで動作できる。受容した放射物の特性(例えば、放射後の時間、位相、強度など)を分析し、センサと対象物との間の距離を決定する。
【0126】
第1応用形によれば、距離センサ素子が印刷ヘッドユニットの少なくとも1つに搭載されており、物体へ放射物を放射し、物体から放射物を受容するように構成されている。第2応用形によれば、距離センサは、印刷ヘッドユニットおよび物体表面の位置を決定し、これらの間の距離を計算する外部素子である。
【0127】
同様に、或る応用形では、整列センサ312の素子が印刷ヘッドユニットに搭載されており、別の印刷ヘッドユニットへ放射物を放射し、この印刷ヘッドユニットから放射物を受容するように構成されている。別の応用形では、整列センサ312は、2つの印刷ヘッドユニット(またはこのようなユニットのバー/カラム)の位置を決定し、これらの間の距離を計算するように構成された外部素子を設けている。
【0128】
本発明のいくつかの実施形態では、距離センサおよび整列センサを設けず、印刷の前にキャリブレーション工程が必要である。キャリブレーション工程では、印刷前にアセンブリ100の印刷ヘッドユニットがそれぞれの位置へ移動され、試し印刷を実行する。試し印刷で印刷した画像が、ユーザまたはコンピュータ(例えば外部コンピュータまたは制御部自体)のいずれかによって分析され、これに従って印刷ヘッドユニットの位置を手動でまたは自動的に調整する。このキャリブレーション処理が終了すると、1つ以上の物体の印刷を実施できる。
【0129】
図15〜
図21は、いくつかの可能な実施形態による印刷システム17を示している。概して、
図15〜
図21に示す印刷システム17は、隣接する物体101の間に最小の隙間(例えば約2〜100mm)を維持しつつ、印刷対象である物体101(ここでは「物体流」とも言及している)の連続供給を維持および処理するように構成されている。
【0130】
図15を参照すると、この非限定的な実施例において、印刷システム17は、概して、閉ループレーン10と、レーン10の印刷ゾーン12z内の、昇降システム27に搭載された印刷ヘッドアセンブリ100とを備える。簡素化するために、印刷システムのその他の部分(例えば、下準備部、硬化部など)は示していない。レーン10は概して円形レーンであり、この非限定的な実施例では実質的に楕円形状である。レーン10は、1つ以上のトラック10rを備える楕円形リング形状のプラットホーム10pによって実施でき、トラック10rの各々には複数の滑動台22が搭載され、トラック10r上を滑動するように構成されている。異なるトラック10rに搭載された少なくとも2つの滑動台22が、取り外し可能なプラットホーム37を受容するために、レーン10に対して放射状に整列されており、印刷対象の複数の物体101を保持し、これらを印刷ゾーン12zへ前進させるように構成されたキャリッジC
iを実現している。この非限定的な実施例では、レーン10は2つのトラック10rを備え、トラック22上に滑動可能に取り付けられた滑動台22は対で配置されており、各対の滑動台の各々は異なるトラック22に滑動可能に取り付けられており、これにより、複数の滑動可能なキャリッジC
1、C
2、C
3、...が、取り外し可能なプラットホーム37を上記滑動台22の対の各1つに取り付けることで構成されるようになる。
【0131】
楕円形レーン10は、直線レールと曲線レールとを連結させて使用し、楕円軌道上で所望の連続したなめらかな動作を達成することにより達成できる。したがって、滑動台22は、レーン10の曲線区間をスムーズに通過できるように構成され得る。レーン10の曲線部分では達成が難しい高精度を可能にする印刷ゾーンを作り出すために、レーン10の印刷ゾーン12zは、楕円形レーン10の実質的に直線部分に位置することが好ましい。いくつかの実施形態では、曲線形状のトラックは、トラックの非直線部分/曲線部分に必要な回転を可能にする、内蔵型軸受けシステムの公差を持ったランナを設けている。典型的に、これらの公差は、直線印刷ゾーン12zの許容可能な総誤差を超える。印刷直線ゾーン12zでは、許される許容可能誤差は、高画像品質/高解像用の1000dpiより大きな解像度についての高分解能要求により、数ミクロンの範囲である。このような高分解能では、滑動台が印刷ゾーン12zを、要求される±5ミクロンの許容可能なドット配置の位置誤差に合格しない、X、Y、Z軸における累積印刷バジェットエラー(accumulated printing budget error)にて通過するためには、ドットライン間に25ミクロンを要する、つまり、約±5ミクロンのドット精度が要求される。
【0132】
印刷ヘッドアセンブリ100は、マトリクス基板30に取り外し可能に取り付けられ、そこでレーン10のトラック10rに対して整列される印刷ヘッドユニット35のアレイを設ける。マトリクス基板30は、印刷ゾーン12zに接近するキャリッジC
1、C
2、C
3...、に保持された物体101の寸法に従って、印刷ヘッドユニット35の印刷素子の高さを調整するように構成された昇降システム27に取り付けられている。
【0133】
次に、
図16A、
図16Bを参照すると、印刷ヘッドアセンブリ100の印刷ヘッドユニット35のアレイは、印刷ヘッドユニット35の複数のサブアレイR
1、R
2、R
3、...を備えてよく、上記サブアレイR
1、R
2、R
3、...の各々は、印刷ゾーン12z内にそれぞれの印刷経路T
1、T
2、T
3...を画定するように構成されている。
図16A、
図16Bに示すように、印刷経路T
1、T
2、T
3...は、例えばレーン10のトラック10rと実質的に整列するというように、印刷軸38に沿って画定されている。こうすることで、印刷経路T
j(j=1、2、3、...)に沿って移動される物体101が、各サブアレイR
jの印刷ヘッドの印刷素子130の下を通過する。
【0134】
搭載ゾーン(306l)においてレーン10上に搭載された、複数の物体101を載せた各キャリッジC
iは、印刷システム17の各種ステージ(例えば、下準備204、印刷12z、硬化202、検査16)を通過して前進された後、荷下ろしゾーン306uにてレーン10から除去され、これにより、レーンに投入され、印刷された後にレーンから出るという、様々なキャリッジC
iの移動を妨害することのない、連続した物体101の流れが形成される。こうすることで、閉ループレーン10が、物体101を搭載したキャリッジC
1、C
2、C
3...を印刷ゾーン12z内へ連続的に供給し、各キャリッジC
i(i=1、2、3...)の位置および速度の独立した制御により、印刷ゾーン12z内で隣接し合うキャリッジC
i間の隙間を最小(例えば約1cm)に維持する。
【0135】
この非限定的な実施例では、印刷ヘッドアセンブリ100は印刷ヘッドユニット35の10個のサブアレイR
j(j=1、2、3...10)を備え、各サブアレイR
jは、印刷ヘッドユニット35の2つのカラムR
jaおよびR
jb(j=1、2、3...10)を備える。各サブアレイR
jのカラムR
jaおよびR
jb内の印刷ヘッドユニット35は、1つのカラムR
jaの印刷ヘッドユニットの印刷素子130が、サブアレイカラムR
jbの他のカラムの印刷ヘッドユニットの印刷素子130に隣接して位置するよう、マトリクス基板30に対して傾斜していてよい。例えば、限定することなく、サブアレイR
jの2つの隣接した印刷ヘッドユニットR
jaとR
jbの間の角度αは、使用する印刷ヘッドユニットの個数に応じて、概して約0〜180°であってよい。昇降システム27は、物体101の幾何学寸法(例えば直径)に従って、印刷ヘッドユニット35の昇降を調整するように構成されている。例えば、いくつかの可能な実施形態では、印刷ヘッドアセンブリ100は、直径約50mmの円筒形の物体の場合には、印刷ヘッド35が、物体表面の、印刷ヘッド35の印刷素子130の下にあたる地点にて、接線に対し実質的に垂直となるように構成される。直径約25mmの円筒形の物体の場合では、印刷ヘッド間の角度は約73度に保たれ、接線は維持されず、これにより、印刷ヘッド35の印刷素子130とその下に位置する物体表面との間の隙間が小さくなる。この隙間の形成は、印刷素子130からの各インク排出の時間を、物体の角度および/または直線速度と、印刷素子130と物体101の表面との間に形成された隙間のサイズとに従って注意深くスケジュールすることで補正できる。
【0136】
印刷ヘッドの角度分布は、面積当たりのノズル数を密集させることで、印刷ゾーン12z(非常に正確)を縮小し、その結果、総トラック長さが大幅に短縮することで、印刷経路が短縮(例えば約50%)されるため、有利である。
【0137】
図17は、いくつかの可能な実施形態によるキャリッジC
iの構造を示す。この非限定的な例では、キャリッジC
iは、キャリッジC
iの長さに沿って離間して取り付けられた回転可能な心棒33の構成を備える。より詳細には、回転可能な心棒33は、回転可能な心棒33の2つの整列したロウr1、r2を形成するように配置されており、異なるロウに属する隣接し合った心棒33aと33bの各対は、取り外し可能なプラットホーム37の長さに沿って直立して取り付けられた支持部材37sに回転可能に搭載されている共通の滑車33pに機械的に連結している。心棒33の隣接し、異なるロウr1、r2に属する心棒33a、33bの各対は、ベルト33qにより回転される1本の回転シャフトに機械的に連結している。
【0138】
いくつかの実施形態では、同一のベルト33qを使用して、回転可能な心棒配置の全ての滑車33pを同時に回転させるので、キャリッジC
iが印刷システム17の下準備、印刷、および/または硬化ステージのいずれかに入る時は常に、全ての心棒33を、同じ速度で、または同じ位置において、さらに同じ方向へ、同時に制御可能に回転させることができる。心棒の異なるロウr1、r2に属する隣接した心棒33a、33bの対の間の隙間は、最小の所望値、例えば約30mmに設定することが可能である。レーン10上に隣接して位置しているキャリッジ間の小さい隙間(例えば、約1cm)を適切に維持することにより、また、異なるロウr1、r2に属する心棒33aと33bの対の間に隙間を設定することにより(例えば、約30mmで、効率が85%よりも高くなることがある)、かなりの効率性が得られ得る。
【0139】
いくつかの実施形態では、各キャリッジC
iの複数の心棒33を扱うため、また、高い印刷処理量を得るために、1つの駆動部(図示せず)を採用し、全ての心棒を0.5%未満の速度精度公差で回転させている。したがって、各キャリッジC
iは単体の回転ドライバおよびモータ(図示せず)を装備してよく、モータシャフトが同じベルト33qを使用して全ての心棒33を駆動する。いくつかの実施形態では、心棒33の回転速度を、滑車33pの1つの回転を監視するように構成された1つの回転エンコーダ(図示せず)を使用して監視する。この非限定的な例では、心棒33の各ロウ(r1またはr2)は、10個の滑車33pを設け、各滑車は、異なるロウr1、r2に各々属する2つの隣接した心棒33a、33bを回転させるので、ベルト33qが10個の滑車を同時に回転させ、これに対応し、キャリッジC
iの20本全ての心棒33が同一の速度および方向で同時に回転される。
【0140】
図18は、いくつかの可能な実施形態による、キャリッジC
iのレーン10への連結を示す。この非限定的な実施例では、各滑動台22は4つの水平車輪22wを備え、この2対の車輪22wが滑動台22の両側に取り付けられ、また、各対の車輪22wは、トラック10rの側部に沿って形成された側部溝22c内に押入されている。レーン10は、これに沿って取り付けられ、キャリッジC
iに設置されたリニアモータ用の磁石トラック(2次モータ素子)を形成している、複数の磁気素体10mをさらに設けてよい。各々の取り外し可能なプラットホーム37の底面に取り付けられ、キャリッジの電源(例えば、電池、誘導性充電、および/または可撓ケーブル)から電力を受容するリニアモータコイル部29(フォーサ/1次モータ素子)を、レーン上でキャリッジを動かすために使用する。キャリッジC
iの底面に取り付けたエンコーダ部23rは、リアルタイムのキャリッジ位置決め信号をキャリッジの制御部に提供するために使用される。そのため、各キャリッジC
iは、少なくとも1つのリニアモータコイルと、少なくとも1つのエンコーダを設け、制御部300がキャリッジC
iの位置決めを訂正できるようにしている。こうすることで、レーン10の直線領域と曲線領域にわたりキャリッジ移動の高精度な位置決めを達成しつつ、キャリッジC
iのリニアモータの起動が実行され得る。
【0141】
例えば、また限定することなく、リニアモータに使用する磁気トラック10mは、レーン10の直線部分にかけて直線に、また、レーン10の曲線部分にかけては小さい角隙間を設けて編成できる。いくつかの実施形態では、この小さい角隙間は、モータドライバ内に設けられた、正確なキャリッジの動きをもたらすための、特別なファームウェアアルゴリズムによってサポートされる。レーンはエンコーダ溝23をさらに設けてよく、この溝23の側部は、可読のエンコードされたスケール23tを備えている。エンコーダスケール23tは好ましくは楕円形レーン10全体の周囲に配置され、各キャリッジC
iの底面に取り付けられたエンコーダユニット23rがエンコーダ溝23内に導入されていることで、レーン10に沿ったキャリッジの移動をリアルタイム監視できる。
【0142】
高精度エンコードにより、位置ループを約1ミクロンの精度で閉鎖することが可能である。例えば、また限定することなく、約5ミクロンのキャリッジ位置精度、印刷ゾーン12zでの50ミリ秒よりも短い位置決め完了時間、および0.5%未満の速度精度を得るために、改善された精度を使用してもよい。
【0143】
図19は、印刷ヘッドアセンブリ100による、3つの異なるキャリッジC
1、C
2、C
3によって搬送された複数の物体101の表面への同時印刷を概略的に示す。高い印刷解像度を可能にするには、印刷ゾーン12z内でのキャリッジC
iの移動が非常に高精度にて実施されなければならない。この目的のために、いくつかの実施形態では、高精度(約25ミクロン/m)の線棒44が印刷ゾーン12zに沿って設置されており、各キャリッジC
iは、印刷ゾーン12zに入ると線棒44と係合する、少なくとも2つの開いたベアリングランナ28を装備している。いくつかの実施形態では、ベアリングランナ28内への線棒44の受容を容易化するために、線棒44は、線棒44をベアリングランナ44の開口部28b(
図18に示す)内に滑らかに導入させるように構成された先細り端部区間44tを装備している。各キャリッジ制御を組み合わせることで(各キャリッジ上のドライバおよびエンコーダ)、キャリッジC
iが線棒44上へのベアリング28のゆっくりで滑らかな滑動を可能にするために、先細り進入区間44tの正確な位置を認識できるようになり、これによりベアリング28および棒44への直接の損傷が防止される。キャリッジと線棒44の係合は、キャリッジの制御部内および/またはモータドライバ上の特別なファームウェアによってサポートされる。
【0144】
図20は、キャリッジC
iに設けられた心棒配置を示す近景図である。いくつかの実施形態では、心棒33は、直径および長さの異なる物体101に堅固に取り付けるために、システムによって心棒の直径を調整できるように構成されている(すなわち、1つの心棒タイプを使用し、また、当該分野の産業で一般に用いられる心棒の交換を行う必要がない)。この目的のために、各心棒33は複数の細長い面41aで構成されてよく、各心棒33のこの細長い面41aは、心棒33の回転軸に対する細長い面41aの半径方向への動作に影響するように構成されたレバー機構41vに連結している。レバー機構41vは、心棒33の中心シャフト41rの長さの制御可能な調整を容易化するように構成された引張バネ41sを採用してよく、この引張バネ41により、中心シャフト41rの長さの伸張または短縮によって、心棒33の細長い面41aのそれぞれ内方(すなわち、心棒直径の増大)または外方(すなわち、心棒直径の減少)への半径方向の移動が生じる。例えば、また限定することなく、25mmの心棒の外径を、内径50mmの物体101内に嵌合するように調整する。このタイプの調整は、異なるバッチ内の物体101を(例えば製造ラインから)印刷システムに導入し、心棒をラインにかけて変更するために必要な設定時間が製造効率に影響を及ぼす際に、必要となる。したがって、全ての心棒の寸法/サイズは、異なるサイズ/寸法の物体内に嵌合するべく制御部によってデジタル制御されるため、本発明において調整可能な心棒設定を用いることで、製造効率を大幅に改善することができる。
【0145】
いくつかの実施形態では、心棒33の長さも、物体101の幾何学寸法に従って制御可能に調整できる。例えば、また限定することなく、各心棒33は、これに印加されたプリロード圧力によって膨張するように、また、心棒33の長さに達すると、すなわち、中心シャフト41rの伸張が物体101の内部空間の長さに達すると、膨張を停止するように構成されてよい。心棒伸張機構は、搭載/荷下ろしの目的で、プリロード圧力よりも高い圧力を印加することにより収縮させることができる。したがって、各キャリッジは、圧力で作動された1つのユニットを使用して、20本の心棒33を制御可能に膨張/収縮させることが可能である。しかし、典型的に、デジタル印刷では、印刷を施す物体101の表面との完全な接触を必要としないため、心棒の長さ調整は必須ではない。したがって、ほとんどの場合には、物体101の一部の長さにかけて心棒33による機械的サポートを提供するだけで十分である。
【0146】
図21A〜
図21Cは、印刷システム17に使用できる可能な制御スキームを示す。制御部300のタスクのうちの1つは、印刷ヘッドアセンブリ100の下の各々の心棒からの印刷ヘッドデータ噴射信号(
図21Bに例証)を同期させること、または、全ての印刷ヘッドユニットおよびキャリッジの移動および/または回転のための仮想信号を調整するべく、各キャリッジC
i上の制御部/ドライバによるキャリッジを厳密な制御によって整列させるために、キャリッジの速度を調整すること(
図21Cに例証)である。この目的のために、制御部300は、複数のキャリッジC
iが印刷ゾーン内を前進し、その心棒33がそれらの印刷ヘッド
ユニットアレイの下で回転している間に、これと同時に、印刷ゾーン12z内での各キャリッジC
iの位置に従って印刷ヘッドに供給されたインク噴射データを同期させるように構成されている。
図21Aは、印刷システム17において使用できる一般的な制御スキームを示し、この制御スキームでは、制御部300は、ノズル下に物体101が位置している印刷ヘッド35の各1つずつを操作するために、キャリッジ位置データおよび心棒角位置(向き、すなわち、回転エンコーダを使用する)データを受信し、印刷ヘッドアセンブリ100に供給されたインク噴射データ56dを生成するべく、キャリッジC
iの各々と通信するように構成されている。
【0147】
図21Aは、制御部300とキャリッジC
iの間で通信するための可能なアプローチを示す。1つの可能なアプローチは、例えば、可撓ケーブル(図示せず)を使用して、レーン10上の連続した各キャリッジC
iの対どうしを電気的(および空圧的)に接続することで、レーン10上を移動中の複数のキャリッジC
i間にシリアル接続を確立する。このアプローチでは、キャリッジ/心棒、電源、位置データ、その他の移動および制御データが、キャリッジC
iのシリアル接続に沿ってシリアル転送される。こうしたシリアル通信接続上でのデータ通信は、例えば、あらゆる適切なシリアル通信プロトコル(例えば、Ethercat、Etheretなど)を使用して実行できる。可能な実施形態では、キャリッジC
iと制御部300との間の電機接続は、電気スリップリングを用いて、および/または無線(例えば、データ通信用のBluetooth、赤外線、無線周波など、および/または、誘導性充電などの無線電源スキーム)により、確立できる。
【0148】
代替アプローチは、制御部300と電源部(図示せず)とレーン10上のキャリッジC
iとの間に、スター接続とも呼ばれる直接接続(矢印付き破線で示す)を確立するというものであってよい。こうしたキャリッジC
iとの直接接続は、電気スリップリングを使用して、および/または、無線(例えば、データ通信用のBluetooth、赤外線、無線周波など、および/または、誘導性充電などの無線電源スキーム)により、確立できる。
【0149】
制御部300内に、各キャリッジC
iの印刷信号(インデックス信号、エンコーダ信号、その他の信号)を、印刷ゾーン12zをトラバースしているキャリッジC
iの上に位置した各印刷ヘッドユニット35へ切り替える切替装置56sを使用してよい。切替装置56sは、全てのキャリッジC
iからの全ての印刷信号を受信し、受信した印刷信号の1つずつを、関連する印刷ヘッド35に対するキャリッジC
iの位置に基づいて切り替えるように構成されてよい。
【0150】
図21Aは、さらに、制御部300が1つのキャリッジC
i上(この非限定的な実施例では、第1キャリッジC
1上)に配置される可能な実装を示す。各キャリッジC
iは、レーン10上でのキャリッジの速度、心棒33の回転、制御部300とのデータ通信を制御し、また、レーン10に沿って異なるステーション(例えば、下準備、硬化、検査、搭載など)にある最中に、必要に応じ、キャリッジのその他のタスクおよび機能を実行するように構成された制御部(図示せず)をさらに設けてよい。
図21Aは、さらに、キャリッジの速度を制御するために各キャリッジC
iにおいて使用できる例示的な制御スキームを示す。この制御スキームでは、ドライバ部51を使用して、電気モータ52を、制御部300から受信した速度制御データに従って作動させ、また、モータおよび/またはこれに関連する回転素子に接続しているエンコーダ53を使用して、キャリッジC
iの現在の速度/位置を示すデータを取得し、このデータを再びドライバ部へ供給し、これにより閉ループの局所制御を確立する。
【0151】
制御部300は、典型的にキャリッジの移動速度および心棒の回転速度の監視と管理、さらにオプションでキャリッジの完全な停止を要する、キャリッジC
iの独立した制御を、楕円形レーン10上での印刷処理の異なるステージ(例えば、プラズマ処理、UV、検査、印刷、搭載/荷下ろし)において実現するように構成されてよい。例えば、また限定することなく、制御部300は、1つのキャリッジの心棒33上への複数の物体101の搭載/荷下ろしを実行し、これと同時に、別のキャリッジを、キャリッジによって運ばれる複数の物体101の表面上に所望のパターンを印刷しながら、印刷ゾーン12z中を高速で前進させ、またこれと同時に、UV硬化処理にて、さらに別のキャリッジの心棒を前進させ、ゆっくりと回転させるように構成されてよい。制御部300は、さらに、例えば約1200dpiの高い印刷解像能の場合で約5ミクロンの前進精度を維持するために、印刷ゾーン12zをトラバースしているキャリッジC
iの高精度のキャリッジ移動および心棒回転を保証するように構成されている。
【0152】
いくつかの可能な実施形態では、各ワゴンに、独立型リアルタイム移動システムとして動作するように構成された、2つのドライバ部51と、2つのモータ52(すなわち、リニア式キャリッジ移動モータと心棒回転モータ)と、1つ以上の高解像位置エンコーダ53(すなわち、リニアエンコーダと回転エンコーダ)とを装備している。それぞれのドライバは、直線移動または回転軸移動を実行するように構成されており、ここで、キャリッジの直線前進と、キャリッジ毎の(または他のモデルでは心棒毎の)心棒の回転とは、高精度をリアルタイムに達成するように最適化された一般的な制御スキームに従う。したがって、各キャリッジは、物体の直線移動および回転動作の両方を実行することができる。
【0153】
図21B、
図21Cは、印刷ヘッドアセンブリ100のキャリッジC
iと印刷ヘッドユニット35との間の同期を達成するために使用できる、可能な制御スキームを概略的に示すブロック図である。
図21Bは、各キャリッジC
iからの位置(キャリッジの直線位置、および/または、心棒の角位置)データが制御部300により受信および処理される、多重信号同期アプローチを示す。制御部300は、位置データを処理し、どのキャリッジC
iが各印刷ヘッドユニット35の下に位置しているかを的確に決定し、これに従って、印刷ヘッドユニット35を作動させる制御信号を生成する。制御信号は、電気スリップリング機構55(または、その他任意の適切な回転式ケーブルガイド)を介して印刷ヘッドアセンブリ100へ伝送される。この構成では、各キャリッジC
iが、レーン10上でのその速度および位置に関連して独立的に制御される。
【0154】
図21Bは、全てのキャリッジC
iの心棒の回転、速度、位置を、印刷ヘッドアセンブリ100の印刷ヘッドユニット35と同期させる、1つの仮想同期信号を採用した別のアプローチを示す。この実施形態では、制御部300はキャリッジC
iに仮想パルスを提供し、キャリッジC
iがこれを受信し、次にこれに従って整列されるように構成されている。仮想パルスによって整列されると、要求される回転と必須回転との間の同期が達成される。このような同期の下で、制御部は、仮想信号を使用して、印刷ヘッドユニットに吐出および印刷を開始させてよい。
【0155】
可能な実施形態では、楕円形レーン10の中間に電気スリップリング機構55が設置されており、キャリッジC
iが、電気スリップリング機構55と電気接続している可撓ケーブル(キャリッジ間に配線されている)によって、印刷ヘッドアセンブリに電気的につながれている。電気スリップリング機構55は、信号を、キャリッジC
iから、印刷ゾーン12をトラバースしている各キャリッジC
iにより保持された物体上に印刷するべく印刷ヘッド35を動作させるための制御信号を生成する制御部300の切替ユニット56sへ転送するように構成されてよい。別の可能なシナリオでは、印刷ゾーン12z内のキャリッジC
iは、1つの仮想パルスと同期されて、同期されたファイアパルスが印刷ヘッドユニット35に作成され、これにより、1つの印刷ヘッドで異なるキャリッジC
iによって運ばれている複数の異なる管に同時に印刷することが可能になる。
【0156】
この設計を用いることで、印刷システムは、物体101の長さが印刷ヘッドの長さよりも長い場合に、印刷ヘッドの利用において高い効率を維持し、1つの印刷ヘッドが2つの異なる物体101に同時に印刷する場合に、高い印刷効率を維持することができる。印刷ヘッド35は、3次元印刷のトンネル形状を形成するように編成できる。
【0157】
ここで説明した技術に基づく印刷システムの実現は、例えば、また限定することなく、毎時、物体5,000〜50,000個の範囲の高処理量に到達するように設計できる。いくつかの実施形態では、印刷ゾーンをトラバースしている複数の物体に、印刷ヘッドアセンブリによって同時印刷する機能により、印刷ヘッドの80%(効率)以上の使用が可能になり得る。
【0158】
上で説明した印刷システムの機能は、コンピュータベースの制御システムで実行される命令を介して制御できる。上で述べた実施形態との併用に適した制御システムは、例えば、通信バスに接続した1つ以上のプロセッサ302a、1つ以上の揮発性メモリ56m(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM))、または不揮発性メモリ(例えばフラッシュメモリ)を設けてよい。2次メモリ(例えば、ハードディスクドライブ、可読記憶ドライブ、および/または、EPROM、PROM、フラッシュメモリのようなリムーバブルメモリチップ)を使用して、コンピュータシステムにロードされるデータ、コンピュータプログラム、その他の命令を記憶することができる。
【0159】
例えば、コンピュータプログラム(コンピュータ制御論理など)を2次メモリからメインメモリ内へロードし、制御システムの1つ以上のプロセッサによって実行することができる。あるいは、または追加的に、コンピュータプログラムを通信インターフェース経由で受信してもよい。このようなコンピュータプログラムは、実行されると、コンピュータシステムに、ここで説明した本発明の特定の特徴を実行させることができる。特に、コンピュータプログラムは、実行すると、本発明の特徴のパフォーマンスを制御プロセッサに実行させる、および/または誘発する。したがって、このようなコンピュータプログラムは、コンピュータシステムの制御部を実現できる。
【0160】
上で説明し、関連する図面に示したように、本発明は、印刷ゾーンを連続して流動する複数の物体に同時印刷する印刷システム、および関連する方法を提供するものである。本発明の特定の実施形態を説明したが、本発明は、特に先述の示唆を考慮して、当業者により変更されてよいため、これに限定されるものではないと理解されよう。当業者は、上述した技術のうち1つ以上を、全て本発明の範囲を超えることなく採用することで、本発明を非常に多様な方法で実施できることを理解するであろう。