特許第6420281号(P6420281)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6420281タンパク質解析用固相担体及びその製造方法
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  • 特許6420281-タンパク質解析用固相担体及びその製造方法 図000008
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6420281
(24)【登録日】2018年10月19日
(45)【発行日】2018年11月7日
(54)【発明の名称】タンパク質解析用固相担体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/543 20060101AFI20181029BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20181029BHJP
   C07K 1/22 20060101ALI20181029BHJP
   C07K 17/00 20060101ALI20181029BHJP
   C07K 17/14 20060101ALI20181029BHJP
【FI】
   G01N33/543 525E
   G01N33/53 U
   G01N33/53 N
   C07K1/22
   C07K17/00
   C07K17/14
【請求項の数】12
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2016-132569(P2016-132569)
(22)【出願日】2016年7月4日
(65)【公開番号】特開2018-4476(P2018-4476A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2018年4月5日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077562
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 登志雄
(74)【代理人】
【識別番号】100096736
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100117156
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100111028
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 博人
(72)【発明者】
【氏名】大場 剛史
(72)【発明者】
【氏名】野地 紗也加
【審査官】 赤坂 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−520618(JP,A)
【文献】 特開平05−297000(JP,A)
【文献】 特開2009−240235(JP,A)
【文献】 特表2010−540620(JP,A)
【文献】 特表2012−506993(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0003560(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48−33/98
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンパク質解析用の固相担体であって、基板表面に第一の抗体が固定化され、解析対象物質に親和性を有する第二の抗体がプロテインA若しくはG又はその改変体を介して第一の抗体に連結されている固相担体であって、第一の抗体が、基板表面に導入された当該抗体に親和性を有する分子を介して固定化されている、固相担体。
【請求項2】
第一の抗体に親和性を有する分子が、ビオチン、ジゴキシゲニン又はその誘導体である請求項1記載の固相担体。
【請求項3】
第一の抗体に親和性を有する分子が、アルブミン、カゼイン、グロブリン、ゼラチン、スキムミルク、フィブロネクチン及びリゾチームから選ばれるタンパク質である請求項1記載の固相担体。
【請求項4】
第一の抗体に親和性を有する分子が、アビジン、ストレプトアビジン若しくはニュートラアビジン又はこれらとビオチン若しくはその誘導体との複合体である請求項1記載の固相担体。
【請求項5】
基板表面が、ポリエチレングリコール鎖を含む親水性ポリマーが導入された表面である請求項1〜4のいずれか1項記載の固相担体。
【請求項6】
基板表面が、自己組織化単分子膜が形成された表面である請求項1〜4のいずれか1項記載の固相担体。
【請求項7】
プロテインA若しくはGの改変体が、プロテインA又はプロテインGの免疫グロブリン結合活性ドメインを有する総ドメイン数2以上の改変体、又はプロテインA及びプロテインGの免疫グロブリン結合活性ドメインが融合した総ドメイン数2以上の改変体である請求項1〜6のいずれか1項記載の固相担体。
【請求項8】
プロテインA若しくはGの改変体の総ドメイン数が2〜12である請求項7記載の固相担体。
【請求項9】
タンパク質解析用の固相担体の製造方法であって、基板表面に第一の抗体を、基板表面に導入された当該抗体に親和性を有する分子を介して結合させ、次いでプロテインA若しくはG又はその改変体を作用させて第一の抗体と結合させ、次いで解析対象物質に親和性を有する第二の抗体を作用させて、当該プロテインA若しくはG又はその改変体と結合させる、方法。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか1項記載の固相担体を製造するためのキットであって、少なくとも基板、第一の抗体、第一の抗体に親和性を有する分子、プロテインA若しくはG又はその改変体、及び第二の抗体を含むキット。
【請求項11】
免疫グロブリン捕捉又は定量用の固相担体であって、基板表面に第一の抗体が基板表面に導入された当該抗体に親和性を有する分子を介して固定化され、当該抗体にプロテインA若しくはG又はその改変体が結合している固相担体。
【請求項12】
請求項11記載の固相担体を用いる免疫グロブリンの捕捉又は定量方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンパク質解析用の固相担体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バイオテクノロジー、医療或いは臨床検査の分野では、抗原抗体反応や酵素反応等の分子間の特異的相互作用を利用して、生体分子やその誘導体を検出、定量する場合が多い。
【0003】
例えば、生理活性物質等のタンパク質の分析方法として酵素免疫測定法(ELISA)等の免疫測定法があるが、当該免疫測定法では、測定領域に固定した抗体に対するタンパク質相互作用の有無が、酵素標識や蛍光標識した2次抗体を用い、間接的に酵素反応や蛍光検出することにより測定される。また、近年、固定化抗体と相互作用するタンパク質を、表面プラズモン共鳴(SPR)を利用した屈折率変化の測定や水晶振動子マイクロバランス(QCM)を利用した共振周波数が変動する(下がる)性質を利用した測定により、直接的に分子間相互作用を検出する技術も汎用されている。斯様に、抗体を用いた分析では、測定領域に当該抗体を固定することが重要となる。
【0004】
抗体のようなタンパク質の固定化は、一般的に、物理的固定化(吸着)法と化学的固定化法に大別されるが、化学的結合法による抗体の固定化では、抗体を固定化させる際に多数の工程を要し、使用する反応試薬も多くなるという問題があり、さらに、抗体分子を分子中の特定部位で固定化することができず、固定化された抗体の配向がランダムになってしまうため固定された抗体がすべて機能できないという問題がある。
【0005】
また、近年、より高感度な免疫測定が求められ、検出できる信号の強度を高めるべく、抗体の固定化量の確保と共に、抗体の配向性の制御とノイズを低減するための非特異吸着の抑制が重要であると考えられている。抗体の配向制御については、プロテインAとIgGの特異的結合を利用し、プロテインAを基材へ固定しこれを介して抗体を固定化することにより抗体の配向性を制御できること(非特許文献1−2)や、PS−タグと呼ばれるポリスチレン親和性ペプチドと抗体フラグメントを融合させた融合タンパク質を用いる方法などが報告されている(非特許文献3)。
また、ビオチン化した固相担体にストレプトアビジンを介してビオチン化プロテインGを固定化させる方法(特許文献1)、ポリエチレングリコール(PEG)等の材料を用いて非特異吸着の抑制とタンパク質固定化量を改善する方法(非特許文献4)等が報告されている。
しかしながら、PS−タグ等の技術では、融合タンパク質の合成が必要であり、また、基板表面ごとに親和性ペプチドを準備する必要があるなど、簡便とはいえず、また、ポリエチレングリコール等で修飾した基板表面は、非特異的吸着が抑制される反面、検出用抗体等が導入しにくくなり、検出用抗体の固定化量が低下してしまうため、検出感度を上げにくいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2014/132692号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Analytica Chimica Acta, 2012,728, 64-68
【非特許文献2】Anal. Chem., 2011, 83, 1969-1976
【非特許文献3】Anal. Bioanal. Chem., 2009, 395, 759-765
【非特許文献4】Anal.Chem., 2005, 77, 1075-1080
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、解析対象物質と結合する検出用の抗体をその分子中のFc部位で位置特異的に固定化でき、測定領域に配向を制御して該抗体を固定化できる固相担体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、検出用抗体の配向制御が可能なタンパク質解析用の固相界面の構築について検討した結果、基板表面に固定化された第一の抗体と、解析対象物質に親和性を有する第二の抗体(検出用抗体)を、プロテインA、G又はその改変体により位置特異的に連結させることにより、基板表面上に第二の抗体が、配向が制御された状態で固定化された固相担体を簡便に効率よく製造できることを見出した。
【0010】
すなわち、本発明は、以下の1)〜4)に係るものである。
1)タンパク質解析用の固相担体であって、基板表面に第一の抗体が固定化され、解析対象物質に親和性を有する第二の抗体がプロテインA若しくはG又はその改変体を介して第一の抗体に連結されている固相担体。
2)タンパク質解析用の固相担体の製造方法であって、基板表面に第一の抗体を結合させ、次いでプロテインA若しくはG又はその改変体を作用させて第一の抗体と結合させ、次いで解析対象物質に親和性を有する第二の抗体を作用させて、当該プロテインA若しくはG又はその改変体と結合させる、方法。
3)免疫グロブリン捕捉用の固相担体であって、基板表面に第一の抗体が固定化され、当該抗体にプロテインA若しくはG又はその改変体が結合している固相担体。
4)上記3)の固相担体を用いる免疫グロブリンの捕捉又は定量方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、検出用抗体が、その分子中のFc部位で位置特異的に配向制御されて測定領域に充分量固定された固相担体を提供できる。また、本発明によれば、融合タンパク質等を合成する必要がなく、ポリエチレングリコール等で修飾した非特異的吸着抑制能の高い基板表面にも、検出用抗体を十分量、固定化することが可能となる。
本発明の固相担体は、タンパク質の解析及び免疫グロブリンの捕捉、定量又は精製に関わる技術分野、例えば、クロマトグラフィー用担体、タンパク質センサー、イムノアフィニティ担体、抗体アレイ、アフィニティ分析、アフィニティ分離等に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の固相担体の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のタンパク質解析用の固相担体は、第一の抗体が基板表面に固定化され、解析対象物質に親和性を有する第二の抗体がプロテインA若しくはG又はその改変体を介して第一の抗体に連結されている。
図1にその模式図を示す。
尚、本発明において、タンパク質解析には、タンパク質の分離・精製、検出、測定の概念が包含される。以下、本発明の固相担体について説明する。
<担体基板>
本発明の固相担体において、その基板(支持体)は、表面に第一の抗体が物理的結合により結合可能なものであればその形状及び素材は特に限定されない。
ここで、基板の形状としては、粒子状、モノリスタイプ、膜状、繊維状、ホロファイバー状、板状やシート状、磁気ビーズ等、第一の抗体を固定化し得る不溶性のものならば、いずれも含まれる。
【0014】
このような形状の基板を形成する素材としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメタクリエート、ポリビニルアルコールに代表されるプラスチックスやハイドロゲル、アガロース、デキストラン、セルロース、キトサン、ラテックス等に代表される天然素材、シリカ、ガラス、セラミック等に代表される無機素材、さらには、金、アルミナ、銀等に代表される金属素材等、幅広く利用可能である。
また、斯かる基板には、公知の表面処理技術を用いて、その表面に対してアミノ基、カルボキシ基、ビニル基等の官能基を適宜導入することができる。
【0015】
また、基板の表面には、第一の抗体の固定化のしやすさ等の理由から、或いは第二の抗体の配向制御、反応性の点から、第一の抗体と基板との距離を適切に確保することが可能な分子(リンカー)が結合されていてもよい。リンカーとなり得る分子は、通常、固相担体表面の荷電特性等に従って選択されるが、好適には、自己組織化単分子膜(SAM)を形成するようなアルカンチオール等のチオール誘導体や、ポリエチレングリコール鎖(PEG鎖)を含む親水性ポリマー、MPCポリマー(2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンの重合体)等が挙げられる。
このうち、金、銀、アルミニウム、銅、白金等の金属の基板上に自己組織化単分子膜(SAM)を形成したもの又はPEGを結合したものは、本発明の固相担体の基板として好ましい。
【0016】
ここで、自己組織化単分子膜とは、アルカンチオール等の反応性有機分子を適当な基板材料に接触、放置した際に、当該有機分子と基板材料が化学反応して有機分子が基板表面に化学吸着すると共に、有機分子間の相互作用によって吸着分子が密に集合することにより基板表面上に形成される分子の配向性の揃った有機単分子膜を意味し、表面プラズモン共鳴(SPR)、表面プラズモン共鳴励起増強蛍光分光(SPFS)、水晶振動子マイクロバランス(QCM)等の分野で広く利用されているものである。
【0017】
本発明において、基板上で使用可能な自己組織化単分子膜を形成する有機分子としては、例えば、次式:X−R(1)〔式中、Xは、SH−(CH−、又はSH−(CH−(O−CH−CH−(OCH−を示し、Rは水素原子、カルボキシ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基、アミノ基、アミノメチル基、アルデヒド基、アミド基(−CONH基)、ホスホン酸基、スルホ基、トリメチルアミノ基等の四級アンモニウム基、ビニル基、アセチレン基、アジド基又はスルホベタイン基を示し、nは2〜18の整数、mは1〜18の整数、lは0又は1を示す。〕
で表す化合物が挙げられる。
【0018】
また上述した有機分子としては、各有機分子が同一分子間又は異分子間で酸化的に結合したジスルフィドのものも使用可能である。また、各有機分子のチオール基をアセチル化した誘導体も使用可能である。
【0019】
上記式(1)において、XはSH−(CH−(O−CH−CH−(OCH−であるのが好ましく、nは2〜16が好ましく、6〜16がより好ましい。また、mは1〜12が好ましく、3〜6がより好ましい。Rとしては、水素、カルボキシ基、アミノメチル基、ヒドロキシメチル基が好ましい。
【0020】
自己組織化単分子膜を形成する有機分子の具体例としては、例えば、1−カルボキシウンデカンチオール、10−カルボキシ−1−デカンチオール、11−ヒドロキシ−1−ウンデカンチオール、カルボキシ-EG−ウンデカンチオール(別名:20−(11−メルカプトウンデカニルオキシ)−3,6,9,12,15,18−ヘキサオキサエイコサン酸)等が挙げられる。
【0021】
本発明においては、上記自己組織化単分子膜を形成する有機分子は、1種を単独で用いることができるが、2種類以上を混合して用いることもできる。この場合、カルボキシアルカンチオールとヒドロキシアルカンチオール、あるいはカルボキシポリエチレンオキシアルカンチオールとヒドロキシポリエチレンオキシアルカンチオールを組み合わせるのが好ましく、例えば、10−カルボキシ−1−デカンチオールと11−ヒドロキシ−1−ウンデカンチオールの混合物や、カルボキシ基又はヒドロキシ基とアルキル基の間にPEG鎖〔−(O−CH−CH−(OCH−(ここで、m=1〜18、n=0又は1)〕を含むカルボキシ又はヒドロキシアルカンチオール類の混合物が好ましい。具体的には、例えば、カルボキシ-EG−ウンデカンチオールとヒドロキシ-EG−ウンデカンチオール(別名:29−メルカプト−3,6,9,12,15,18−ヘキサオキサノナコサン−1−オール)の混合物が挙げられ、その混合比は任意である。
【0022】
またPEG鎖を含む親水性ポリマーとしては、PEG鎖〔−(CH−CH−O)−(nは重合度を示す整数)〕の数平均分子量又は重量平均分子量が好ましくは200以上、より好ましくは500以上であり、且つ好ましくは30,000以下、より好ましくは10,000以下である。また、好ましくは200〜30,000、より好ましくは500〜10,000である。
また、親水性ポリマー中のPEG鎖は、直鎖状であるのが好ましいが、分岐鎖を形成していても良い。また、鎖長の異なるPEGポリマーを複数種類、リンカー分子として基板表面上へ導入することもできる。
【0023】
当該PEG鎖を含む親水性ポリマーは、当該分子を基板に化学的に導入するための官能基をPEG鎖の一端に少なくとも1つ有することができる。このような官能基としては、例えば、アミノ基、カルボキシル器、チオール基、エポキシ基、アルデヒド基、マレイミド基、アジド基、シアノ基、活性エステル基(スクシンイミジルオキシカルボニル基、1H−ベンゾトリアゾール−1−イルオキシカルボニル基、ペンタフルオロフェニルオキシカルボニル基、パラニトロフェニルオキシカルボニル基等)、(1H−イミダゾール−1−イル)カルボニル基、ハロゲン化カルボニル基(塩化カルボニル基、フッ化カルボニル基、臭化カルボニル基、ヨウ化カルボニル基)等が挙げられる。
また、PEG鎖には、上記の一端とは別の箇所(例えばもう一方の末端)に、メトキシ基等のアルコキシ基の他、後述する第一の抗体に親和性を有する分子又はその分子を結合させるための官能基(例えば、カルボキシル基、アミノ基、マレイミド基、エポキシ基等)を有することができる。
また、金基板上へPEG鎖を含む親水性ポリマーを導入する場合は、PEG鎖の一方の末端にチオール基を有し、もう一方の末端にメトキシ基等のアルコキシ基、カルボキシル基、アミノ基等を有する親水性ポリマー(PEGチオール試薬)を用いることが好ましく、これを金基板へ接触させることにより当該ポリマーを導入することができる。またそのようなチオール基を末端に有するPEG鎖を含む親水性ポリマーを複数種類導入することもできる。
【0024】
また、本発明の基板表面(前述した官能基やリンカーが導入された表面を含む)は、第一の抗体の物理的結合による固定化を容易にするために、第一の抗体に親和性を有する分子が導入されているのが好ましい。
ここで、第一の抗体に親和性を有する分子としては、抗体結合性分子が挙げられる。抗体結合性分子とは抗体の抗原を含む分子であり、具体的には、以下に示す分子が挙げられる。
・ビオチン又はジゴキシゲニン又はそれらの誘導体;
・アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジン(NeutrAvidin)、又はこれらとビオチン又はその誘導体との複合体;
・GFP(Green Fluorescent Protein)、RFP(Red Fluorescent Protein)、ヒスチジンタグ(6×Hisタグ)、DDDDK-tag、HA-tag(Human Influenza Hemagglutinin(HA)由来ペプチド)、Myc-tag(c-Mycタンパク質由来のペプチド)、V5-tag(Simian Virus 5由来ペプチド)、S-tag(Pancreatic RNase A由来ペプチド)、E-tag、T7-tag(バクテリオファージT7のキャプシドタンパク質由来ペプチド)、VSV-G-tag等のペプチド;
・Glutathione-S-transferase(GST)、Luciferase,Renilla Luciferase、β-galactosidase、Maltose Binding Protein(MBP)、Thioredoxin(Trx)、Chitin Binding Domain(CBD)、Calmodulin Binding Protein;
・アルブミン、カゼイン、グロブリン、ゼラチン、スキムミルク、フィブロネクチン、リゾチーム等の非特異吸着防止層を形成するタンパク質;
・各種鎖長のPEG誘導体
【0025】
尚、ビオチン誘導体としては、ビオチンエチレンジアミンモノアミド、N−(5−アミノペンチル)ビオチンアミド等が挙げられる。
【0026】
斯かる第一の抗体に親和性を有する分子を、基板表面に化学的に導入する方法としては、基板や基板表面上のリンカーに存在する、或いは適宜導入された任意の官能基(例えば、カルボキシ基、アミノ基、チオール基、マレイミド基、エポキシ基等)やスペーサー分子に化学結合させる方法が挙げられる。例えば、基板上或いはリンカー上のカルボキシ基を、水溶性カルボジイミド(WSC)とN−ヒドロキシスルホスクシンイミドナトリウム(NHS)等を用いて適宜活性化した後、第一の抗体に親和性を有する分子を溶解又は分散させた液体を付着する方法が挙げられる。尚、この場合において、第一の抗体に親和性を有する分子の濃度は、第一の抗体に親和性を有する分子の導入効率の点から、好ましくは0.0001〜10mM、より好ましくは0.001〜1mM程度である。
【0027】
スペーサー分子としては、例えばPEG誘導体が挙げられ、その鎖長は、−(CH−CH−O−)−において、nの数が1〜24であるのが好ましく、2〜24であるのがより好ましく、4〜24であるのがより好ましい。
PEG誘導体としては、例えば、HN−(CH−CH−O)−CH−CH−COOHやHN−(CH−CH−O)−CH−CH−NHやHOOC−(CH−CH−O)−CH−CH−COOHやHOOC−CH−CH−COO−(CH−CH−O)−CO−CH−CH−COOH、あるいはそれらの誘導体が挙げられる。
スペーサー分子としてPEG誘導体を用いる場合は、基板やリンカー上の表面置換基(カルボキシル基、アミノ基、水酸基、マレイミド基、又はチオール基等)へエステル結合、アミド結合、エーテル結合又はチオエーテル結合等を介して上記のPEG誘導体を作用させて導入することができる。
【0028】
また、予めリンカーとなり得る分子に第一の抗体に親和性を有する分子を導入しておき、それを基板に結合させることもできる。例えば、一方の末端にチオール基を有し、もう一方の末端にビオチンがエステル結合やアミド結合で結合されているチオール誘導体やPEGチオール試薬を金基板にチオール基側で固定化する方法、あるいは、スペーサー分子にビオチンを導入したモノビオチン化PEG誘導体(例えば、Biotin−NH−CH−CH―NH−OC−(CH−CH−O−)−CHCH−NHの塩〔n=2〜23〕)等)を予め導入しておいたリンカー分子を前記チオール誘導体等として用い、基板に導入することもできる。
【0029】
また、非特異吸着防止層を形成するタンパク質(所謂ブロッキング剤)として知られているアルブミン、カゼイン、グロブリン、ゼラチン、スキムミルク等のタンパク質を、第一の抗体に親和性を有する分子として用いる場合は、斯かるタンパク質と緩衝剤を含有する溶液で基板表面を処理することにより、これらを基板表面に導入することができる。
【0030】
<第一の抗体>
本発明において、基板の表面には第一の抗体が固定化される。
ここで、用いられる抗体は、基板表面の分子と結合し且つプロテインA若しくはG又はその改変体と結合する定常領域(Fcドメイン)を有するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、その抗体が認識する抗原によって免疫された動物の血清から調製される抗血清、抗血清から精製された免疫グロブリン画分、その抗原によって免疫された動物の脾臓細胞を用いる細胞融合によって得られるモノクローナル抗体又はポリクローナル抗体を用いることができる。さらに、その重鎖(H鎖)間のジスルフィド結合の切断により生成するハーフ抗体でもよい。
第一の抗体の基板表面への固定化は、第一の抗体と基板表面上の分子との親和性結合、ファンデル・ワールス力、クーロン力、又は水素結合等の共有結合以外の物理的結合によってなされる。例えば基板表面上の自己組織化単分子膜との物理的相互作用による結合、基板表面上のPEGとの親和性結合、或いは基板表面又は基板表面上のリンカー(自己組織化単分子膜やPEG等)上に導入された親和性分子との結合が挙げられる。
【0031】
例えば、第一の抗体がPEGと親和性結合を形成する場合は、第一の抗体としては抗PEG抗体が用いられ、ビオチンやジゴキシゲニンのような低分子化合物又はアルブミンやストレプトアビジン等のタンパク質と親和性結合を形成する場合は、第一の抗体としては当該分子に対する抗体、例えば抗ビオチン抗体、抗ジゴキシゲニン抗体、抗アルブミン抗体、抗ストレプトアビジン抗体等が用いられる。
抗PEG抗体を使用する場合、抗PEG抗体はPEG鎖の末端のメトキシ基などの置換基と親和性結合を形成するもの、あるいは、PEG鎖と親和性結合を形成するもののいずれも用いることができる。
各抗体は、市販の抗体を購入して使用してもよいし、モノクローナル抗体であれば、対応する免疫源を用いて免疫後、細胞融合によりハイブリドーマを作製し、当該細胞から分泌される抗体を精製して使用してもよい。例えば、ビオチン化抗原は公知のキャリア蛋白質にビオチン又はその誘導体を作用させて作製することができ、例えば、biotinylated denatured Ovalbuminを抗原として抗ビオチン抗体を作成することができ、また、抗PEG抗体は、Keyhole Limpet Haemocyanin (KLH)などにPEG誘導体を共役させた抗原を使用することにより作製することができる。
第一の抗体を基板表面上の分子に静置又は送液により作用させる際の抗体の濃度は特に限定されないが、好ましくは1〜1000μg/mlである。
【0032】
また、自己組織化単分子膜上へ第一の抗体を物理的に結合させる場合には、例えば自己組織化単分子膜に抗体を含む溶液を添加し、0〜50℃で、数分〜数時間静置又は送液することにより達成できる。
【0033】
<プロテインA若しくはG又はその改変体>
本発明において、プロテインA若しくはG又はその改変体は、第一の抗体と第二の抗体の両方に結合している。
プロテインA(Protein A)は、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)が産生する細胞壁成分のタンパク質であり、免疫グロブリンG、免疫グロブリンA、および免疫グロブリンMの定常領域(Fcドメイン)を認識し、非共有結合でこれらと結合する活性(抗体結合活性)を有する。プロテインAは、複数のドメインからなるマルチドメイン型膜タンパク質で、免疫グロブリンGのFc領域を有するタンパク質に対する結合活性(抗体結合活性)を示すのは、このうちの一部の細胞膜外ドメインである。例えばNCTC8325株由来のプロテインAの場合、抗体結合活性を示すのはE、D、A、B、Cの5つのドメインである。これらは、60アミノ酸弱の大きさであり、そのアミノ酸配列の間には高い相同性が見られる。また、プロテインAを切断して各々のドメイン単独を単離しても、抗体結合活性は保たれることが知られている。一方、Zドメインは、Bドメインに対して、1位のAlaと29位のGlyをそれぞれValとAlaに置換する変異を導入した改変タンパク質で(Tashiro M, Montelione GT. (1995) Structures of bacterial immunoglobulin-bindingdomains and their complexes with immunoglobulins. Curr Opin Struct Biol. 5, 471-481.)、Bドメインに比べてアルカリ耐性及び結合能が改善されている。
【0034】
また、プロテインG(Protein G)も免疫グロブリンGのFc領域に対する特異的結合活性を有するレンサ球菌により産生されるタンパク質である。プロテインGも、複数のドメインからなるマルチドメイン型膜タンパク質で、免疫グロブリンのFc領域に対する結合活性(抗体結合活性)を示すのは、このうちの一部の細胞膜外ドメインである。例えばG148株由来のプロテインGの場合、抗体結合活性を示すのは、B1、B2、B3の3つのドメインである(C1、C2、C3ドメインとも表記される場合もある)。また、GX7805株のプロテインGでは3つの、GX7809株のプロテインGでは2つの抗体結合ドメインが存在する。これらは、いずれも60アミノ酸弱の大きさであり、そのアミノ酸配列の間には高い相同性が見られる。また、プロテインGを切断して各々のドメイン単独を単離しても、抗体結合活性は保たれることが知られている(Gallagher T, Alexander P, Bryan P, GillilandGL. (1994) Two crystalstructures of the B1 immunoglobulin-binding domain of streptococcal protein Gand comparison with NMR. Biochemistry19, 4721-4729.)。
【0035】
また、プロテインAやGの抗体結合活性を高めるべく、タンパク質工学的に改変を加えた組み換えプロテインA又は組み換えプロテインG(「改変体」と称する)が創出されており、本発明においては斯かる改変体を使用することが好ましい。
改変体としては、前述したプロテインAのZドメインの他、プロテインA又はプロテインGの免疫グロブリン結合活性ドメインを有する総ドメイン数2以上の改変体、プロテインA及びプロテインGの免疫グロブリン結合活性ドメインが融合した総ドメイン数2以上、好ましくは2〜20、より好ましくは2〜12の改変体が挙げられる。斯かる改変体は、より具体的には、免疫グロブリン結合活性ドメイン以外の部分を除去した遺伝子組み換え体の総ドメイン数が2又は3のプロテインG(Thermo社製、BioVision社製)、ドメイン数が5のプロテインA(Thermo社製、BioVision社製)、あるいは、プロテインAとプロテインGの免疫グロブリン結合活性ドメインを融合した総ドメイン数が6又は8のプロテインA/G(Thermo社製、BioVision社製)等が挙げられる。
プロテインA若しくはG又はその改変体を基板表面上の第一の抗体に作用させる際の濃度は特に限定されないが、1〜1000μg/mLが好ましい。
【0036】
<第二の抗体>
第二の抗体は、解析目的の化合物と結合する抗体であり、プロテインA若しくはG又はその改変体を介して第一の抗体と結合することにより固定化される。
第二の抗体は、測定目的の化合物と特異的に反応するものであれば特に限定されず、例えば、その抗体が認識する化合物によって免疫された動物の血清から調製する抗血清、抗血清から精製された免疫グロブリン画分、その化合物によって免疫された動物の脾臓細胞を用いる細胞融合によって得られるモノクローナル抗体又はポリクローナル抗体を用いることができる。また、キメラ抗体等の場合のように、修飾を加えられたものでもよい。さらに、その重鎖(H鎖)間のジスルフィド結合の切断により生成するハーフ抗体でもよい。
【0037】
また、第二の抗体は、その動物種によらず使用でき、例えば、サル、マウス、ラット、ウサギ、ニワトリ、ヤギ、ヒツジ、モルモット等に由来する抗体、具体的には、マウスIgG、ラットIgG、ウサギIgG、ヤギIgG、ヒツジIgG等が使用でき、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体の何れでもよい。
抗体のサブクラスとしては、プロテインA若しくはG又はその改変体に結合可能なものであればいずれも使用可能である。
第二の抗体を基板表面上のプロテインA若しくはG又はその改変体に作用させる際の濃度は特に限定されないが、1〜1000μg/mLが好ましい。
【0038】
<固相担体の製造>
本発明の固相担体の製造は、まず、基板上に第一の抗体に対して親和性のある分子又は第一の抗体に対して親和性のあるリンカー分子又は第一の抗体に対して親和性のある化合物が結合しているリンカー分子が固定化される。基板表面自身が第一の抗体に対して親和性を有する場合にはそのような固定化は必要ない。その後、基板表面に第一の抗体が固定化され、当該第一の抗体にプロテインA若しくはG又はその改変体を介して第二の抗体が結合するように固定化されれば、その結合順序はいずれでもよく、基板表面へ、第一の抗体、プロテインA若しくはG又はその改変体及び第二の抗体の順で固定化してもよく、あるいは、基板表面へ固定化した第一の抗体へ、プロテインA若しくはG又はその改変体と第二の抗体の複合体を結合させてもよく、あるいは、第一の抗体、プロテインA若しくはG又はその改変体、及び第二の抗体の複合体を予め調製しておき、基板表面へ固定化してもよい。
好適には、1)基板表面に第一の抗体を結合させ、次いで、2)プロテインA若しくはG又はその改変体を作用させて第一の抗体と結合させ、次いで、3)第二の抗体を作用させて、当該プロテインA若しくはG又はその改変体と結合させる、方法である。
【0039】
ここで、基板表面と第一の抗体の間の結合、第一の抗体とプロテインA若しくはG又はその改変体の間の結合、及びプロテインA若しくはG又はその改変体と第二の抗体の間の結合は、いずれも共有結合以外の分子間相互作用に基づく物理的結合である。したがって、第一の抗体、プロテインA若しくはG又はその改変体、及び第二の抗体の各分子の固定化は、例えば、各分子をランニングバッファー(例えばDPBS(Dulbecco`s Phosphate Buffered Saline))に溶解した溶液を基板上へ着滴又は当該溶液を、Biacore T200を使用する場合には、1フローセル(長さ2.9mm,幅0.5mm,高さ0.04mm)あたり、1〜30μL/minの流速で、5〜60分間基板上へ送液することにより行うことができ、あるいは、測定基板を各分子の上記溶液に浸漬することによっても行うことができる。
斯くして、本発明によれば、第二の抗体を、プロテインA若しくはG又はその改変体を利用することにより、共有結合以外の分子間相互作用に基づく物理的相互作用を利用して、その分子構造中のFc領域で、非共有結合で位置特異的に基板表面へ固定化することから、抗体分子の配向が制御されるという点で、抗体の配向がランダムとなる化学的結合法を一部に採用する方法に比べて有用である。
【0040】
上記固定化操作の後に、抗体が固定化されなかった固相部位をブロッキング剤、例えば、BSA(ウシ血清アルブミン)、ブロックエース、スキムミルク、カゼイン等を使ってブロッキングしてもよい。さらに、ブロッキング剤と共に、又はブロッキング剤を除去した後に、ポリエチレングリコールや多糖類等の合成あるいは天然高分子、界面活性剤、市販のImmunoassay Stabilizer(ABI社)等の、固定化を安定化させる安定化剤を添加することができる。また、タンパク質相互作用解析装置等を使用する場合、使用する各溶液の流路等への付着による各タンパク質のロスを低減する目的で、上記固定化操作中に使用する各溶液に界面活性剤を添加することができる。
【0041】
尚、上記固定化操作の過程で製造される、基板表面に第一の抗体が固定化され、当該第一の抗体にプロテインA若しくはG又はその改変体が結合した固相担体は、プロテインA若しくはG又はその改変体と結合可能なFc部位を有する抗体分子、具体的には免疫グロブリン、好適にはIgGの精製若しくは補足又は定量用の固相担体として使用することができる。
【0042】
上述したタンパク質解析用の固相担体を製造するためには、少なくとも基板、第一の抗体、プロテインA若しくはG又はその改変体、及び第二の抗体を含むキットを用いても良い。該キットを用いれば、検出用抗体が、その分子中のFc部位で位置特異的に配向制御されて測定領域に充分量固定化することが可能となる。
【0043】
上述した実施形態に関し、本発明においては更に以下の態様が開示される。
<1>タンパク質解析用の固相担体であって、基板表面に第一の抗体が固定化され、解析対象物質に親和性を有する第二の抗体がプロテインA若しくはG又はその改変体を介して第一の抗体に連結されている固相担体。
<2>第一の抗体が、基板表面に導入された当該抗体に親和性を有する分子を介して固定化されている、<1>の固相担体。
<3>第一の抗体に親和性を有する分子が、ビオチン、ジゴキシゲニン又はその誘導体である<2>の固相担体。
<4>第一の抗体に親和性を有する分子が、アルブミン、カゼイン、グロブリン、ゼラチン、スキムミルク、フィブロネクチン及びリゾチームから選ばれるタンパク質である<2>の固相担体。
<5>第一の抗体に親和性を有する分子が、アビジン、ストレプトアビジン若しくはニュートラアビジン又はこれらとビオチン若しくはその誘導体との複合体である<2>の固相担体。
<6>基板表面が、ポリエチレングリコール鎖を含む親水性ポリマーが導入された表面である<1>〜<5>のいずれかの固相担体。
<7>基板表面が、自己組織化単分子膜が形成された表面である<1>〜<5>のいずれかの固相担体。
<8>プロテインA若しくはGの改変体が、プロテインA又はプロテインGの免疫グロブリン結合活性ドメインを有する総ドメイン数2以上の改変体、又はプロテインA及びプロテインGの免疫グロブリン結合活性ドメインが融合した総ドメイン数2以上の改変体である<1>〜<7>のいずれかの固相担体。
<9>プロテインA若しくはGの改変体の総ドメイン数が2〜12である<8>の固相担体。
<10>タンパク質解析用の固相担体の製造方法であって、基板表面に第一の抗体を結合させ、次いでプロテインA若しくはG又はその改変体を作用させて第一の抗体と結合させ、次いで解析対象物質に親和性を有する第二の抗体を作用させて、当該プロテインA若しくはG又はその改変体と結合させる、方法。
<11><1>〜<9>のいずれかの固相担体を製造するためのキットであって、少なくとも基板、第一の抗体、プロテインA若しくはG又はその改変体、及び第二の抗体を含むキット。
<12>免疫グロブリン捕捉又は定量用の固相担体であって、基板表面に第一の抗体が固定化され、当該抗体にプロテインA若しくはG又はその改変体が結合している固相担体。
<13>免疫グロブリンがIgGである<12>の固相担体。
<14><12>又は<13>の固相担体を用いる免疫グロブリンの捕捉又は定量方法。
【実施例】
【0044】
実施例1
(1)SAMの作成
カルボキシ−EG6−ウンデカンチオール(20-(11-メルカプトウンデカニルオキシ)−3,6,9,12,15,18−ヘキサオキサエイコサノイックアシッド、同仁化学研究所、C445)の100μMのエタノール溶液(10mL )にBiacore T-200で使用するセンサーチップ(GE Healthcare, SIA Kit Au, BR-1004-05)を25℃で一晩振蕩浸漬を行い、チップの金表面上に自己組織化単分子膜(SAM)を作成した。振蕩浸漬後のセンサーチップはエタノール及びMilli−Q水で洗浄後、窒素で乾燥させた。
【0045】
(2)ビオチン誘導体の固定化
塩酸1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(株式会社ペプチド研究所社、4mg/100μL,)とN−ヒドロキシスルホスクシンイミドナトリウム(s-NHS、和光純薬工業株式会社、2mg/mL)のMES buffer(2-Morpholinoethanesulfonic acid, monohydrate、80mM、pH5.60)溶液をそれぞれ1:1の割合で混合した溶液を、SAMを作成したセンサーチップ上に300μL着滴し10分間静置した。その後、Milli−Q水で洗浄後、再度、上記の着滴操作を繰り返し行うことにより、SAM表面のカルボキシル基を活性エステル基へと変換した。次に、N-(5-アミノペンチル)ビオチンアミド(トリフルオロ酢酸塩)を等モルのトリエチルアミンで中和した1μMのDMF溶液(10mL)にチップを浸漬し、25℃で2時間振盪させた。その後、チップをMilli−Q水で洗浄後、チップ表面上へ1M−エタノールアミン溶液300μLを10分間着滴し、未反応の活性エステルの加水分解処理を行い、この着滴操作は2回繰り返して行った。その後、Dulbecco's phosphate-buffered saline (ライフテクノロジー社、DPBS、14190−144、pH7.0-7.3)でチップを洗浄後、窒素で乾燥後、SPR測定に供した。SPR測定はBiacore T200を用い、25℃で行った。
【0046】
(3)抗ビオチン抗体の固定化
ビオチン化されたセンサーチップ表面への抗ビオチン抗体の固定化は、抗ビオチン抗体(アブカム社、ab53494、Rabbit polyclonal)をランニングバッファーであるDPBSに溶解した100μg/mL溶液をセンサーチップ上に10μL/minの流速で、15分間送液後、再びランニングバッファーを15分間送液することにより行った。抗ビオチン抗体固定化量は3376.4RUであった。
【0047】
(4)Protein A/Gの固定化
抗ビオチン抗体が固定化されたセンサーチップ表面へのProtein A/G(Pierce 21186、Recombinant Protein A/G from E.coli、6ドメイン)の固定化は、Protein A/GをランニングバッファーであるDPBSに溶解した100μg/mL溶液をセンサーチップ上に10μL/minの流速で15分間送液後、再びランニングバッファーを15分間送液することにより行った。Protein A/G固定化量は558.4RUであった。
【0048】
(5)抗アディポネクチン抗体の固定化
抗ビオチン抗体及びProtein A/Gが固定化されたセンサーチップ表面への抗アディポネクチン抗体(R&D SYSTEM、Human Adiponectin/Acrp30 Antibody、Monoclonal Mouse IgG2B,MAB10651)の固定化は、抗アディポネクチン抗体をランニングバッファーであるDPBSに溶解した100μg/mL溶液をセンサーチップ上に10μL/minの流速で、20分間送液後、再びランニングバッファーを40分間することにより行った。抗アディポネクチン抗体固定化量は1104.9RUであった。結果を表1に示す。
【0049】
(6)BSAブロッキング
抗アディポネクチン抗体が固定化されたセンサーチップ表面のBovine Serum Albumin(SIGMA社、BSA,A3059-10G)によるブロッキングはBSAをランニングバッファーであるDPBSに溶解したPBS溶液(1mg/mL)をセンサーチップ上に10μL/minの流速で、20分間送液後、再びランニングバッファーを40分間送液することにより行った。BSA吸着量674.7RUであった。
【0050】
(7)抗原(アディポネクチン)結合量
(1)〜(6)の操作により作成したセンサーチップ表面上への抗原結合量のSPR測定もBiacore T200を用い、25℃で行った。ランニングバッファーとしてはBSA濃度が1mg/mLの0.05%(V/W)Tween20含有DPBS溶液を使用した。アディポネクチン(Enzo Life Sciences社 ALX-522-063-C050、Human、Recombinant, HEK293 cells)もランニングバッファーに溶解して使用し、1.0μg/mL溶液をセンサーチップ上に10μL/minの流速で20分間送液後、再びランニングバッファーを20分間送液し抗原結合量を測定した。抗原結合量は、リファレンスデータにより補正して求めた。リファレンスデータとしては、抗アディポネクチン抗体を固定化する工程で、抗アディポネクチン抗体の代わりに抗ビオチン抗体を固定化した検出界面を作成し、その界面における抗原結合量を測定値から差し引いて補正を行った。補正後の抗原結合量は336.2RUであった。結果を表1に示す。
【0051】
実施例2
(1)SAMの作成
実施例の(1)の方法に従いSAMを作製した。
【0052】
(2)ビオチン誘導体の固定化
実施例1の(2)の方法に従い、ビオチン誘導体N-(5-アミノペンチル)ビオチンアミド(トリフルオロ酢酸塩)の固定化を行った。ただし、ビオチン誘導体溶液濃度は10μMで行った。
【0053】
(3)抗ビオチン抗体の固定化
実施例1の(3)の方法に従い、抗ビオチン抗体の固定化を行った。抗ビオチン抗体固定化量は6318.9RUであった。
【0054】
(4)Protein A/Gの固定化
実施例1の(4)の方法に従い、Protein A/Gの固定化を行った。Protein A/G固定化量は718.3RUであった。
【0055】
(5)抗アディポネクチン抗体の固定化
実施例1の(5)の方法に従い、抗アディポネクチン抗体の固定化を行った。抗アディポネクチン抗体固定化量は934.8RUであった。結果を表1に示す。
【0056】
(6)BSAブロッキング
実施例1の(6)の方法に従い、BSAブロッキングを行った。BSA吸着量は360.8RUであった。
【0057】
(7)抗原(アディポネクチン)結合量
実施例1の(7)の方法に従い、抗原結合量を測定した。補正後の抗原結合量は285.8RUであった。結果を表1に示す。
【0058】
実施例3
(1)混合SAMの作成
10−カルボキシ−1−デカンチオール(同仁化学研究所、C385)の500μMのエタノール溶液と11−ヒドロキシ−1−ウンデカンチオール(同仁化学研究所、H337)の500μMのエタノール溶液を1:9の割合で混合した混合溶液(10mL )にBiacore T-200で使用するセンサーチップ(GE Healthcare, SIA Kit Au, BR-1004-05)を25℃で10分間、振蕩浸漬を行い、センサーチップの金表面上に自己組織化単分子膜(SAM)を作成した。振蕩浸漬後のセンサーチップ表面はエタノール及びMilli−Q水で洗浄後、窒素で乾燥させた。
【0059】
(2)ビオチン誘導体の固定化
実施例1の(2)の方法に従い、ビオチン誘導体N-(5-アミノペンチル)ビオチンアミド(トリフルオロ酢酸塩)の固定化を行った。ただし、ビオチン誘導体溶液濃度は1mMで行った。
【0060】
(3)抗ビオチン抗体の固定化
実施例1の(3)の方法に従い、抗ビオチン抗体の固定化を行った。抗ビオチン抗体固定化量は5095.7RUであった。
【0061】
(4)Protein A/Gの固定化
実施例1の(4)の方法に従いProtein A/Gの固定化を行った。Protein A/G固定化量は889.9RUであった。
【0062】
(5)抗アディポネクチン抗体の固定化
実施例1の(5)の方法に従い抗アディポネクチン抗体の固定化を行った。抗アディポネクチン抗体固定化量は1609.7RUであった。結果を表1に示す。
【0063】
(6)BSAブロッキング
実施例1の(6)の方法に従いBSAブロッキングを行った。BSA吸着量は946.4RUであった。
【0064】
(7)抗原(アディポネクチン)結合量
実施例1の(7)の方法に従い、抗原結合量を測定した。補正後の抗原結合量は275.7RUであった。結果を表1に示す。
【0065】
実施例4
(1)混合SAMの作成
実施例3の(1)の方法に従い、混合SAMを作成した。
ただし、チオール試薬10−カルボキシ−1−デカンチオールと11−ヒドロキシ−1−ウンデカンチオールの溶液を、1:99の割合で混合した混合溶液を使用した。。
【0066】
(2)ビオチン誘導体の固定化
実施例3の(2)の方法に従い、ビオチン誘導体の固定化を行った。
【0067】
(3)抗ビオチン抗体の固定化
実施例1の(3)の方法に従い抗ビオチン抗体の固定化を行った。抗ビオチン抗体固定化量は4892.8RUであった。
【0068】
(4)Protein A/Gの固定化
実施例1の(4)の方法に従いProtein A/Gの固定化を行った。Protein A/G固定化量は884.2RUであった。
【0069】
(5)抗アディポネクチン抗体の固定化
実施例1の(5)の方法に従い、抗アディポネクチン抗体の固定化を行った。抗アディポネクチン抗体固定化量は1623.1RUであった。結果を表1に示す。
【0070】
(6)BSAブロッキング
実施例1の(6)の方法に従い、BSAブロッキングを行った。BSA吸着量は907.6RUであった。
【0071】
(7)抗原(アディポネクチン)結合量
実施例1の(7)の方法に従い、抗原結合量の測定を行った。補正後の抗原結合量は320.8RUであった。結果を表1に示す。
【0072】
実施例5
(1)混合SAMの作成
実施例3の(1)の方法に従い、混合SAMの作成を行った。
ただし、10−カルボキシ−1−デカンチオールと11−ヒドロキシ−1−ウンデカンチオールの溶液を、1:1999の割合で混合した混合溶液を使用した。
【0073】
(2)ビオチン誘導体の固定化
実施例3の(2)の方法に従い、ビオチン誘導体の固定化を行った。
【0074】
(3)抗ビオチン抗体の固定化
実施例1の(3)の方法に従い、抗ビオチン抗体の固定化を行った。抗ビオチン抗体固定化量は4791.6RUであった。
【0075】
(4)Protein A/Gの固定化
実施例1の(4)の方法に従い、Protein A/Gの固定化を行った。Protein A/G固定化量は889.5RUであった。
【0076】
(5)抗アディポネクチン抗体の固定化
実施例1の(5)の方法に従い、抗アディポネクチン抗体の固定化を行った。抗アディポネクチン抗体固定化量は1556.1RUであった。結果を表1に示す。
【0077】
(6)BSAブロッキング
実施例1の(6)に従い、BSAブロッキングを行った。BSA吸着量は1184.1RUであった。
【0078】
(7)抗原(アディポネクチン)結合量
実施例1の(7)の方法に従い、抗原結合量の測定を行った。補正後の抗原結合量は258.5RUであった。結果を表1に示す。
【0079】
比較例1
(1)SAMの作成
実施例1の(1)の方法に従い、SAMの作成を行った。ただしチオール試薬のエタノール溶液容量は5mLで行った。
【0080】
(2)抗アディポネクチン抗体の固定化
抗アディポネクチン抗体の固定化以降の工程は、Biacore T200を用い、流速10μL/min、25℃で行った。SAMを作製したセンサーチップをBiacore T200にセットし、塩酸1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(4mg/100μL)とN−ヒドロキシスルホスクシンイミドナトリウム(2mg/mL)のMES buffer 溶液をそれぞれ1:1の割合で混合した溶液を7分間送液後、ランニングバッファーであるPBSに溶解した50μg/mLの抗アディポネクチン抗体溶液を20分間送液した。さらに、このチップに1Mのエタノールアミン水溶液を7分間送液することで未反応の活性エステルの加水分解処理を行い、その後、再びランニングバッファーを5分間送液した。抗アディポネクチン抗体固定化量は429.1RUであった。結果を表1に示す。
【0081】
(3)BSAブロッキング
抗アディポネクチン抗体が固定化されたセンサーチップ表面のBSAによるブロッキングはBSAをランニングバッファーであるDPBSに溶解したPBS溶液(1mg/mL)をセンサーチップ上に10μL/minの流速で、15分間送液後、再び、ランニングバッファーを5分間送液することにより行った。BSA吸着量は112.9RUであった。
【0082】
(4)抗原(アディポネクチン)結合量
(1)〜(3)の操作により作成したセンサーチップ表面上への抗原結合量のSPR測定をBiacore T200を用い、25℃で行った。ランニングバッファーとしてはBSA濃度が1mg/mLの0.05%(V/W)Tween20含有DPBS溶液を使用した。アディポネクチンもその溶液に溶解して使用し、1.0μg/mL溶液をセンサーチップ上に10μL/minの流速で15分間送液後、再びランニングバッファーを10分間送液することにより行った。抗原結合量は、リファレンスデータにより補正して求めた。リファレンスデータとしては、抗アディポネクチン抗体を固定化する工程で、抗アディポネクチン抗体の代わりに抗インターロイキン6(IL6)抗体(R&D SYSTEM、Human IL-6 Antibody、Monoclonal Mouse IgG2B,MAB2061)を固定化した検出界面を作成し、その界面における抗原結合量を測定値から差し引いて補正を行った。補正後の抗原結合量は100.7RUであった。結果を表1に示す。
【0083】
【表1】
【0084】
実施例6
(1)SAMの作成
実施例1の(1)の方法に従いSAMの作成を行った。
【0085】
(2)ビオチン誘導体の固定化
実施例1の(2)の方法に従い、ビオチン誘導体N-(5-アミノペンチル)ビオチンアミド(トリフルオロ酢酸塩)の固定化を行った。ただし、ビオチン誘導体溶液濃度は100μMで行った。
【0086】
(3)抗ビオチン抗体の固定化
ビオチン化されたセンサーチップ表面への抗ビオチン抗体の固定化は、25℃で抗ビオチンモノクローナル抗体(アブカム社、ab36406、Mouse monoclonal)をランニングバッファーであるDPBSに溶解した5.0μg/mL溶液をセンサーチップ上に10μL/minの流速で、30分間送液後、再びランニングバッファーを20分間することにより行った。抗ビオチン抗体固定化量は4493.2RUであった。
【0087】
(4)Protein Gの固定化
抗ビオチン抗体が固定化されたセンサーチップ表面へのProtein G(BioVision,6501、Recombinant Protein G,3ドメイン)の固定化は、25℃でProtein GをランニングバッファーであるDPBSに溶解した40μg/mL溶液をセンサーチップ上に10μL/minの流速で30分間送液後、再びランニングバッファーを30分間送液することにより行った。Protein G固定化量は841.4RUであった。
【0088】
(5)抗CRP抗体の固定化
抗ビオチン抗体及びProtein Gが固定化されたセンサーチップ表面への抗CRP抗体(R&D SYSTEM、Human C−Reactive protein Antibody、Monoclonal Mouse IgG2B,MAB17071-500)の固定化は、25℃で抗CRP抗体をランニングバッファーであるDPBSに溶解した100μg/mL溶液をセンサーチップ上に10μL/minの流速で、30分間送液後、再びランニングバッファーを30分間送液することにより行った。抗CRP抗体固定化量は2013.1RUであった。結果を表2に示す。
【0089】
(6)BSAブロッキング
抗CRP抗体が固定化されたセンサーチップ表面のBSAによるブロッキングはBSAをランニングバッファーであるDPBSに溶解したPBS溶液(1mg/mL)をセンサーチップ上に10μL/minの流速で、20分間送液後、再び、ランニングバッファーを10分間送液することにより行った。BSA吸着量は-194.3RUであった。
【0090】
(7)抗原(CRP)結合量
(1)〜(6)の操作により作成したセンサーチップ表面上への抗原結合量のSPR測定をBiacore T200を用い、25℃で行った。ランニングバッファーとしてはBSA濃度が1mg/mLの0.05%(V/W)Tween20含有DPBS溶液を使用した。C−Reactive protein(CRP、R&D SYSTEM社1707-CR-200、Mouse myeloma cell line)をランニングバッファーに溶解して使用し、1.0μg/mL溶液をセンサーチップ上に10μL/minの流速で30分間送液後、再びランニングバッファーを30分間送液することにより抗原結合量を測定した。上記(5)において抗CRP抗体の代わりに抗インターロイキン6抗体を固定化したリファレンス界面では、CRP溶液を送液しても抗原抗体反応が観測されなかったことから、本工程において、抗原の検出界面への顕著な物理吸着は起こっていないと考えられ、CRP結合量は512.6RUであった。結果を表2に示す。
【0091】
実施例7
(1)SAMの作成
実施例1の(1)の方法に従いSAMの作成を行った。
【0092】
(2)ビオチン誘導体の固定化
実施例6の(2)の方法に従い、ビオチン誘導体N-(5-アミノペンチル)ビオチンアミド(トリフルオロ酢酸塩)の固定化を行った。
【0093】
(3)抗ビオチン抗体の固定化
実施例6の(3)の方法に従い、抗ビオチン抗体を固定化した。抗ビオチン抗体固定化量は4631.5RUであった。
【0094】
(4)Protein A/Gの固定化
抗ビオチン抗体が固定化されたセンサーチップ表面へのProtein A/G(Pierce 21186、Recombinant Protein A/G from E.coli,6ドメイン)の固定化は、25℃でProtein A/GをランニングバッファーであるDPBSに溶解した25μg/mL溶液をセンサーチップ上に10μL/minの流速で30分間送液後、再びランニングバッファーを30分間送液することにより行った。Protein A/G固定化量は622.4RUであった。
【0095】
(5)抗CRP抗体の固定化
実施例6の(5)の方法に従い行った。抗CRP抗体の固定化量は2303.4RUであった。結果を表2に示す。
【0096】
(6)BSAブロッキング
実施例6の(6)の方法に従い行った。BSA吸着量は-19.4RUであった。
【0097】
(7)抗原(CRP)結合量
実施例6の(7)の方法に従い行った。CRP結合量は422.4 RUであった。結果を表2に示す。
【0098】
実施例8
(1)SAMの作成
実施例1の(1)の方法に従いSAMの作成を行った。
【0099】
(2)ビオチン誘導体の固定化
実施例6の(2)の方法に従い、ビオチン誘導体N-(5-アミノペンチル)ビオチンアミド(トリフルオロ酢酸塩)の固定化を行った。
【0100】
(3)抗ビオチン抗体の固定化
実施例6の(3)の方法に従い、抗ビオチン抗体を固定化した。抗ビオチン抗体固定化量は4702.1RUであった。
【0101】
(4)Protein A/Gの固定化
抗ビオチン抗体が固定化されたセンサーチップ表面へのProtein A/G(BioVision社6502、Recombinant Protein A/G from E.coli、8ドメイン)の固定化は、25℃でProtein A/GをランニングバッファーであるDPBSに溶解した30μg/mL溶液をセンサーチップ上に10μL/minの流速で30分間送液後、再びランニングバッファーを30分間送液することにより行った。Protein A/G固定化量は868.2RUであった。
【0102】
(5)抗CRP抗体の固定化
実施例6の(5)の方法に従い行った。抗CRP抗体固定化量は3455.9RUであった。結果を表2に示す。
【0103】
(6)BSAブロッキング
実施例6の(6)の方法に従い行った。BSA吸着量は-106.2RUであった。
【0104】
(7)抗原(CRP)結合量
実施例6の(7)の方法に従い行った。CRP結合量は744.6RUであった。結果を表2に示す。
【0105】
比較例2
(1)SAMの作成
比較例1の(1)の方法に従い行った。
【0106】
(2)抗CRP抗体の固定化
抗CRP抗体の固定化以降の工程は、Biacore T200を用い、流速10μL/min、25℃で行った。SAMを作製したセンサーチップをBiacore T200にセットし、EDC(4mg/100μL)とs-NHS(2mg/mL)のMES buffer 溶液をそれぞれ1:1の割合で混合した溶液を7分間送液後、ランニングバッファーであるPBSに溶解した50μg/mLの抗CRP抗体溶液を20分間送液した。さらに、このチップに1Mのエタノールアミン水溶液を7分間送液することで未反応の活性エステルの加水分解処理を行い、その後、再びランニングバッファーを5分間送液した。抗CRP抗体固定化量は1564.4RUであった。結果を表2に示す。
【0107】
(3)BSAブロッキング
抗CRP抗体が固定化されたセンサーチップ表面のBSAによるブロッキングはBSAをランニングバッファーであるPBSに溶解したPBS溶液(1mg/mL)をセンサーチップ上に10μL/minの流速で、15分間送液後、再び、ランニングバッファーを5分間送液することにより行った。BSA吸着量は73.6RUであった。
【0108】
(4)抗原結合量
(1)〜(3)の操作により作成したセンサーチップ表面上への抗原結合量のSPR測定をBiacore T200を用い、25℃で行った。ランニングバッファーとしてはBSA濃度が1mg/mLの0.05%(V/W)Tween20含有DPBS溶液を使用した。C−Reactive protein(CRP、R&D SYSTEM社1707-CR-200、Mouse myeloma cell line)もその溶液に溶解して使用し、1.0μg/mL溶液をセンサーチップ上に10μL/minの流速で15分間送液後、再びランニングバッファーを10分間送液することにより行った。抗原抗体反応量は、リファレンスデータにより補正して求めた。リファレンスデータとしては、抗CRP抗体を固定化する工程で、抗CRP抗体の代わりに抗インターロイキン6(IL6)抗体を固定化した検出界面を作成し、その界面における抗原抗体反応量を測定値から差し引いて補正を行った。補正後のCRP結合量は284.2RUであった。結果を表2に示す。
【0109】
【表2】
【0110】
実施例9
(1)mPEG化界面の作成
mPEG(メトキシポリエチレングリコール)化界面の作成はBiacore T-200を使用して37℃で行った。ランニングバッファーとしてDulbecco's phosphate-buffered saline (ライフテクノロジー社、DPBS、14190−144、pH7.0-7.3、250g)に塩化ナトリウム14.61gを添加した溶液を用いた。ランニングバッファーに溶解したmPEGチオール5k(Creative PEG works社製,mPEG-SH, MW 5000,PLS-604, 1mg/mL)のランニングバッファー溶解溶液をセンサーチップ上へ15μL/minの流速で20 分間送液後、ランニングバッファーを10分間、0.05N−NaOH溶液を1分間、ランニングバッファーを3分間、0.05N−NaOH溶液を1分間、その後、ランニングバッファーを15μL/minの流速で11分間送液した。この一連の操作を2回繰り返して行いmPEGチオール5kをセンサーチップ表面へ固定化した。mPEGチオール5kの固定化量は合計2940.1RUであった。次にmPEGチオール2k(Creative PEG works社製,mPEG-SH, MW 2000,PLS-605)を同条件で同一チップ上にさらに固定化した。mPEGチオール2kの固定化量は合計65.6RUであった。
【0111】
(2)抗mPEG抗体の固定化
mPEG化されたセンサーチップ表面への抗mPEG抗体の固定化は、25℃で抗mPEGモノクローナル抗体(アブカム社ab51257、Mouse monoclonal、Anti-Polyethylene glycol antibody [PEG-B-47])をランニングバッファーであるDPBSに溶解した10.0μg/mL溶液をセンサーチップ上に10μL/minの流速で、30分間送液後、再びランニングバッファーを20分間送液することにより行った。抗mPEG抗体固定化量は3906.9RUであった。
【0112】
(3)Protein A/Gの固定化
抗mPEG抗体が固定化されたセンサーチップ表面へのProtein A/G(Pierce 21186、Recombinant Protein A/G from E.coli、6ドメイン)の固定化は、25℃でProtein A/GをランニングバッファーであるDPBSに溶解した101μg/mL溶液をセンサーチップ上に10μL/minの流速で30分間送液後、再びランニングバッファーを30分間送液することにより行った。Protein A/G固定化量は636.8RUであった。
【0113】
(4)抗CRP抗体の固定化
抗mPEG抗体及びProtein A/Gが固定化されたセンサーチップ表面への抗CRP抗体(R&D SYSTEM、Human C−Reactive protein Antibody、Monoclonal Mouse IgG2B)の固定化は、25℃で抗CRP抗体をランニングバッファーであるDPBSに溶解した100μg/mL溶液をセンサーチップ上に10μL/minの流速で、30分間送液後、再び、ランニングバッファーを30分間送液することにより行った。抗CRP抗体固定化量は2841.9RUであった。結果を表3に示す。
【0114】
(5)BSAブロッキング
実施例6の(6)の方法に従い行った。BSA吸着量は-38.5RUであった。
【0115】
(6)抗原(CRP)結合量
実施例6の(7)の方法に従い行った。CRP結合量は407.9RUであった。結果を表3に示す。
【0116】
実施例10
(1)mPEG化界面の作成
mPEG化界面の作成はBiacore T-200を使用して37℃で行った。ランニングバッファーとしてDulbecco's phosphate-buffered saline (ライフテクノロジー社、DPBS、14190−144、pH7.0-7.3、250g)に塩化ナトリウム14.61gを添加した溶液を用いた。ランニングバッファーに溶解したmPEGチオール2k(Creative PEG works社製,mPEG-SH, MW 2000,PLS-605,1mg/mL )のランニングバッファー溶解溶液をセンサーチップ上へ15μL/minの流速で20分間送液後、ランニングバッファーを20分間、0.05N−NaOH溶液を1分間、ランニングバッファーを3分間、0.05N−NaOH溶液を1分間、その後、ランニングバッファーを15μL/minの流速で11分間送液した。この一連の操作を5回繰り返して行いmPEGチオール2kをセンサーチップ表面へ固定化した。mPEGチオール2kの固定化量は合計1959.7RUであった。次にポリ(エチレングリコール)メチルエーテルチオール800(mPEGチオール800,Sigma社製,729108, average Mn 800,1mg/mL)を同条件の操作を5回繰り返して行い同一チップ上にさらに固定化した。mPEGチオール800の固定化量は合計90.6RUであった。
【0117】
(2)抗mPEG抗体の固定化
mPEG化されたセンサーチップ表面への抗mPEG抗体の固定化は、25℃で抗mPEG抗体(アブカム社ab51257、Mouse monoclonal、Anti-Polyethylene glycol antibody [PEG-B-47])をランニングバッファーであるDPBSに溶解した5.0μg/mL溶液をセンサーチップ上に10μL/minの流速で、30分間送液後、再びランニングバッファーを30分間送液することにより行った。抗mPEG抗体固定化量は3126.6RUであった。
【0118】
(3)Protein A/Gの固定化
抗mPEG抗体が固定化されたセンサーチップ表面へのProtein A/G(Pierce 21186、Recombinant Protein A/G from E.coli、6ドメイン)の固定化は、25℃でProtein A/GをランニングバッファーであるDPBSに溶解した1000μg/mL溶液をセンサーチップ上に10μL/minの流速で30分間送液後、再びランニングバッファーを50分間送液することにより行った。Protein A/G固定化量は684.6RUであった。
【0119】
(4)抗CRP抗体の固定化
実施例9の(4)の方法に従い行った。抗CRP抗体固定化量は3448.0RUであった。結果を表3に示す。
(5)BSAブロッキング
抗CRP抗体が固定化されたセンサーチップ表面のBSAによるブロッキングはBSAをランニングバッファーであるDPBSに溶解したPBS溶液(1mg/mL)をセンサーチップ上に10μL/minの流速で、20分間送液後、再びランニングバッファーを30分間送液することにより行った。BSA吸着量は-119.3RUであった。
【0120】
(6)抗原(CRP)結合量
実施例6の(7)の方法に従い行った。CRP結合量は662.8RUであった。結果を表3に示す。
【0121】
実施例11
(1)mPEG化界面の作成
実施例9の(1)の方法に従い行った。mPEGチオール5kの固定化量は合計3055.1RU、mPEGチオール2kの固定化量は合計63.4RUであった。
【0122】
(2)抗mPEG抗体の固定化
実施例9の(2)の方法に従い行った。抗mPEG抗体固定化量は3828.4RUであった。
【0123】
(3)Protein A/Gの固定化
抗mPEG抗体が固定化されたセンサーチップ表面へのProtein A/G(BioVision社6502、Recombinant Protein A/G from E.coli、8ドメイン)の固定化は、25℃でProtein A/GをランニングバッファーであるDPBSに溶解した119μg/mL溶液をセンサーチップ上に10μL/minの流速で30分間送液後、再びランニングバッファーを30分間送液することにより行った。Protein A/G固定化量は819.8RUであった。
【0124】
(4)抗CRP抗体の固定化
実施例9の(4)に従い行った。抗CRP抗体固定化量は3207.8RUであった。結果を表3に示す。
【0125】
(5)BSAブロッキング
実施例6の(6)の方法に従い行った。BSA吸着量は-119.8RUであった。
【0126】
(6)抗原(CRP)結合量
実施例6の(7)の方法に従い行った。CRP結合量は536.1RUであった。結果を表3に示す。
【0127】
【表3】
【0128】
実施例12
(1)ビオチンPEG化界面の作成
ビオチンPEG化界面の作成はBiacore T-200を使用して37℃で行った。ランニングバッファーとして塩化ナトリウム濃度が1MのPBS溶液(pH7.4,0.05M )を用いた。ランニングバッファーに溶解したビオチン化PEGチオール5k(NANOCS社製,Biotin PEG Thiol, PG2-BNTH-5k, 1mg/mL)のランニングバッファー溶解溶液をセンサーチップ上へ15μL/minの流速で20分間送液後、ランニングバッファーを10分間、0.05N−NaOH溶液を1分間、ランニングバッファーを3分間、0.05N−NaOH溶液を1分間、その後、ランニングバッファーを15μL/minの流速で11分間送液した。この一連の操作を2回繰り返して行いビオチン化PEGチオール5kをセンサーチップ表面へ固定化した。ビオチン化PEGチオール5kの固定化量は合計1781.2RUであった。次にmPEGチオール2k(Creative PEG works社製,mPEG-SH, MW 2000,PLS-605, 1mg/mL)を同条件で同一チップ上にさらに固定化した。mPEGチオール2kの固定化量は合計545.5RUであった。
【0129】
(2)抗ビオチン抗体の固定化
実施例6の(3)の方法に従い行った。ただし抗ビオチン抗体溶液は濃度が10.0μg/mLの溶液を使用して行った。抗ビオチン抗体固定化量は3604.5RUであった。
【0130】
(3)Protein A/Gの固定化
抗ビオチン抗体が固定化されたセンサーチップ表面へのProtein A/G(Pierce 21186、Recombinant Protein A/G from E.coli、6ドメイン)の固定化は、25℃でProtein A/GをランニングバッファーであるDPBSに溶解した100μg/mL溶液をセンサーチップ上に10μL/minの流速で30分間送液後、再びランニングバッファーを30分間送液することにより行った。Protein A/G固定化量は603.2RUであった。
【0131】
(4)抗CRP抗体の固定化
実施例6の(5)の方法に従い行った。抗CRP抗体固定化量は2329.5RUであった。結果を表4に示す。
【0132】
(5)BSAブロッキング
実施例6の(6)の方法に従い行った。BSA吸着量は-62.5RUであった。
【0133】
(6)抗原(CRP)結合量
実施例6の(7)に従い行った。CRP結合量は507.9RUであった。結果を表4に示す。
【0134】
実施例13
(1)ビオチンPEG化界面の作成
ビオチンPEG化界面の作成はBiacore T-200を使用して37℃で行った。ランニングバッファーとして塩化ナトリウム濃度が1MのPBS溶液(pH7.4,0.05M )を用いた。ランニングバッファーに溶解したビオチン化PEGチオール2k(NANOCS社製,Biotin PEG Thiol, PG2-BNTH-2k, 1mg/mL)のランニングバッファー溶解溶液をセンサーチップ上へ15μL/minの流速で20分間送液後、ランニングバッファーを10分間、0.05N−NaOH溶液を1分間、ランニングバッファーを3分間、0.05N−NaOH溶液を1分間、その後、ランニングバッファーを15μL/minの流速で11分間送液した。この一連の操作を2回繰り返して行いビオチン化PEGチオール2kをセンサーチップ表面へ固定化した。ビオチン化PEGチオール2kの固定化量は合計2121.6RUであった。次にポリ(エチレングリコール)メチルエーテルチオール800(mPEGチオール800,Sigma社製,729108, average Mn 800,1mg/mL)を同条件で同一チップ上にさらに固定化した。mPEGチオール800の固定化量は合計533.1RUであった。
【0135】
(2)抗ビオチン抗体の固定化
実施例6の(3)の方法に従い行った。ただし抗ビオチン抗体溶液は濃度が10.0μg/mLの溶液を使用して行った。抗ビオチン抗体固定化量は4623.3RUであった。
【0136】
(3)Protein A/Gの固定化
実施例12の(3)の方法に従い行った。Protein A/G固定化量は827.5RUであった。
【0137】
(4)抗CRP抗体の固定化
実施例6の(5)の方法に従い行った。抗CRP抗体固定化量は2889.3RUであった。結果を表4に示す。
【0138】
(5)BSAブロッキング
実施例6の(6)の方法に従い行った。BSAの吸着量は-48.9RUであった。
【0139】
(6)抗原(CRP)結合量
実施例6の(7)に従い行った。CRP結合量は559.6RUであった。結果を表4に示す。
【0140】
【表4】
【0141】
実施例14
(1)SAMの作成
実施例1の(1)の方法に従い行った。
【0142】
(2)ビオチン誘導体の固定化
実施例6の(2)の方法に従い行った。
【0143】
(3)ストレプトアビジンの固定化
ビオチン化されたセンサーチップ表面へのストレプトアビジンの固定化は、25℃でストレプトアビジン(Thermo SCIENTIFIC社、21122, 20mM Potassium Phosphate, pH6.5)の10mg/mL溶液をランニングバッファーである0.05%(V/W)Tween20含有DPBSで希釈した50μg/mL溶液をセンサーチップ上に10μL/minの流速で、30分間送液後、再びランニングバッファーを10分間送液することにより行った。ストレプトアビジン固定化量は1367.6RUであった。
【0144】
(4)抗ストレプトアビジン抗体の固定化
ストレプトアビジンが固定化されたセンサーチップ表面への抗ストレプトアビジン抗体(R&D SYSTEM,Streptavidin Antibody,Recombinant Monoclonal Rabbit IgG Clone #1220C,MAB9020 )の固定化は、25℃で抗ストレプトアビジン抗体をランニングバッファーである0.05%(V/W)Tween20含有DPBSに溶解した50μg/mL溶液をセンサーチップ上に10μL/minの流速で、30分間送液後、再びランニングバッファーを20分間送液することにより行った。抗ストレプトアビジン抗体固定化量は2981.9RUであった。
【0145】
(5)Protein A/Gの固定化
抗ストレプトアビジン抗体が固定化されたセンサーチップ表面へのProtein A/G(Pierce 21186、Recombinant Protein A/G from E.coli,6ドメイン)の固定化は、25℃でProtein A/Gをランニングバッファーである0.05%(V/W)Tween20含有DPBSに溶解した100μg/mL溶液をセンサーチップ上に10μL/minの流速で30分間送液後、再びランニングバッファーを30分間送液することにより行った。Protein A/G固定化量は715.7RUであった。
【0146】
(6)抗CRP抗体の固定化
抗ストレプトアビジン抗体及びProtein A/Gが固定化されたセンサーチップ表面への抗CRP抗体(R&D SYSTEM、Human C−Reactive protein Antibody、Monoclonal Mouse IgG2B)の固定化は、25℃で抗CRP抗体をランニングバッファーである0.05%(V/W)Tween20含有DPBSに溶解した100μg/mL溶液をセンサーチップ上に10μL/minの流速で、30分間送液後、再びランニングバッファーを30分間送液することにより行った。抗CRP抗体固定化量は3402.8RUであった。結果を表5に示す。
【0147】
(7)抗原(CRP)結合量
(1)〜(6)の操作により作成したセンサーチップ表面上への抗原結合量のSPR測定は、Biacore T200を用い、25℃で行った。C−Reactive protein(CRP、R&D SYSTEM社1707-CR-200、Mouse myeloma cell line)をランニングバッファーである0.05%(V/W)Tween20含有DPBSに溶解して使用し、1.0μg/mL溶液をセンサーチップ上に10μL/minの流速で30分間送液後、再びランニングバッファーを30分間送液し抗原結合量を測定した。上記(5)において抗CRP抗体の代わりに抗インターロイキン6抗体を固定化したリファレンス界面では、CRP溶液を送液しても抗原抗体反応が観測されなかったことから、本工程において、抗原の検出界面への顕著な物理吸着は起こっていないと考えられ、CRP結合量は629.7RUであった。結果を表5に示す。
【0148】
【表5】
【0149】
実施例15
(1)BSA(Bovine Serum Albumin)の吸着
測定用センサーチップ上へのBSA吸着量の測定は、Biacore T-200を用いて行い、測定用のセンサーチップ(GE Healthcare, SIA Kit Au, BR-1004-05)上へ、BSA(SIGMA社、A3059)をDPBS(Dulbecco's phosphate-buffered saline 、ライフテクノロジーズ社、14190−144、pH7.0-7.3)に溶解した0.25%(W/V)溶液を10μL/minの流速で、20分間送液後、再度ランニングバッファーを10分間送液することにより行った。BSA吸着量は2117.6RUであった。
【0150】
(2)抗BSA抗体の固定化
BSAを吸着させたセンサーチップ表面上への抗BSA抗体の固定化は、25℃で抗BSA抗体(Bioss Inc社、bs-0292R、ポリクローナル抗体)の1mg/mL溶液をランニングバッファーである0.05%(V/W)Tween20含有DPBSで希釈した50μg/mL溶液をセンサーチップ上に10μL/minの流速で、30分間送液後、再度ランニングバッファーを20分間送液することにより行った。抗BSA抗体固定化量は2828.9RUであった。
【0151】
(3)Protein A/Gの固定化
実施例14の(5)の方法に従い行った。Protein A/G固定化量は602.3RUであった。
【0152】
(4)抗CRP抗体の固定化
実施例14の(6)の方法に従い行った。抗CRP抗体固定化量は2802.4RUであった。結果を表6に示す。
【0153】
(5)抗原(CRP)結合量
実施例14の(7)の方法に従い行った。 CRP結合量は518.7RUであった。結果を表6に示す。
【0154】
実施例16
(1)SAMの作成
10−カルボキシ−1−デカンチオール(同仁化学研究所、C385)の100μMのエタノール溶液(10mL )にBiacore T-200で使用するセンサーチップ(GE Healthcare, SIA Kit Au, BR-1004-05)を25℃で一晩振蕩浸漬を行い、基板の金表面上に自己組織化単分子膜(SAM)を作成した。作成後の基板はエタノール及びMilli−Q水で洗浄後、窒素で乾燥させた。
【0155】
(2)BSA(Bovine Serum Albumin)の吸着
実施例15の(1)の方法に従い行った。ただし、BSA溶液は濃度が0.005%(W/V)の溶液を使用した。BSA吸着量は1338.7RUであった。
【0156】
(3)抗BSA抗体の固定化
実施例15の(2)の方法に従い行った。ただし抗BSA溶液は濃度が25μg/mLの溶液を使用して行った。抗BSA抗体固定化量は2557.9RUであった。
【0157】
(4)Protein A/Gの固定化
実施例14の(5)の方法に従い行った。Protein A/Gの固定化量は496.9RUであった。
【0158】
(5)抗CRP抗体の固定化
実施例14の(6)の方法に従い行った。抗CRP抗体固定化量は2815.8RUであった。結果を表6に示す。
【0159】
(6)抗原(CRP)結合量
実施例14の(7)の方法に従い行った。CRP結合量は513.6RUであった。結果を表6に示す。
【0160】
実施例17
(1)SAMの作成
実施例16の(1)の方法に従い行った。
【0161】
(2)BSA(Bovine Serum Albumin)の吸着
実施例15の(1)の方法に従い行った。BSA吸着量は2144.0RUであった。
【0162】
(3)抗BSA抗体の固定化
実施例16の(3)の方法に従い行った。抗BSA抗体固定化量は2518.0RUであった。
【0163】
(4)Protein A/Gの固定化
実施例14の(5)の方法に従い行った。Protein A/G固定化量は506.6RUであった。
【0164】
(5)抗CRP抗体の固定化
実施例14の(6)の方法に従い行った。
抗CRP抗体固定化量は2685.0RUであった。結果を表6に示す。
【0165】
(6)抗原結合量
実施例14の(7)の方法に従い行った。CRP結合量は480.6RUであった。結果を表6に示す。
【0166】
【表6】
図1