(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、HEV(Hybrid Electric Vehicle:ハイブリッド電気自動車)、PHEV(Plug−in Hybrid Electric Vehicle:プラグイン・ハイブリッド電気自動車)、BEV(Battery Electric Vehicle:電気自動車)等の車種の違いや、同車種内でも二輪駆動、四輪駆動等の仕様の違いによって、電力供給対象のコンポーネント(補機)の数が異なる。
【0010】
特許文献1及び2では、車両のコンポーネント数が増えた場合、新たにコネクタ群(カバー、シールドシェル、バスバ、取付点等)について設計し直す必要があり、設計工数の増大や在庫管理工数の増大、製造工数の増大等を招くおそれがある。また、コネクタ嵌合構造全体のサイズが大きいという問題もある。
【0011】
本発明は上述した問題を解決するためになされたものであり、車種や仕様の違いで、コンポーネント数が増えたとしても、新たにコネクタ形状(構造体全体、バスバー、ヒューズ等)を変更する必要をなくす、若しくは形状変更を少なくし、設計工数の削減、製造コストの削減を図ることができるコネクタ構造体及び電動車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
[1] 第1の本発明に係るコネクタ構造体は、電動車両に設置されるコネクタ構造体であって、
正極端子及び負極端子をそれぞれ有する複数のコネクタと、前記複数のコネクタ
の前記正極端子間
と、前記負極端子間とを
それぞれ電気的に接続するコネクタ間導電部材と、前記コネクタ間導電部材を収容する筐体と、を有し、
前記複数のコネクタは、電源側に接続される第1のコネクタと、前記電源の負荷となる機器側に接続される複数の第2のコネクタと、を備え、前記コネクタ間導電部材は、前記第1のコネクタの前記正極端子及び前記負極端子から、前記複数の第2のコネクタの前記正極端子及び前記負極端子へそれぞれ分岐する正極側分岐部及び負極側分岐部と、前記正極側分岐部及び前記負極側分岐部から、前記複数の第2のコネクタの前記正極端子及び前記負極端子へそれぞれ延出する複数の正極側導電部材及び複数の負極側導電部材と、を備え、それぞれの前記複数の第2のコネクタと、前記複数の正極側導電部材及び前記複数の負極側導電部材の内の少なくとも一方との間に、複数のヒューズが接続されており、前記筐体は、少なくとも前記正極側分岐部及び前記負極側分岐部と複数の正極側導電部材及び複数の負極側導電部材を収容する第1筐体と、少なくとも前記複数のヒューズを収容する第2筐体とを、有し、前記第1筐体と前記第2筐体とが互いに結合されている。
【0015】
[2] 第1の本発明において、
前記第2筐体に装着された第1接続端子及び第2接続端子を備え、前記第1接続端子は、前記正極側導電部材又は前記負極側導電部材に接続されており、前記第2接続端子は、前記第2のコネクタの前記正極端子又は前記負極端子に接続されており、前記ヒューズは前記第1接続端子と前記第2接続端子に差し込まれ、且つ、
前記第1接続端子と前記第2接続端子とに電気的に接続されていてもよい。
【0017】
[3] 第1の本発明において
、前記第1筐体と前記第2筐体とが分割可能であってもよい。
【0018】
コネクタを支持する第1筐体と、ヒューズを支持する第2筐体とを分割可能とすることで、製造時に、第1導電部材と第2導電部材との電気的接続が容易になる。
【0019】
[4] 第1の本発明において、前記複数のヒューズは、前記複数の第2のコネクタの前記正極端子及び前記負極端子の内の一方と、前記複数の正極側導電部材及び前記複数の負極側導電部材の内の一方との間に接続されており、前記複数のヒューズは、前記複数の正極側導電部材及び前記複数の負極側導電部材と交差する方向に配置されていてもよい。
[
5] 第1の本発明において、少なくとも1つの前記コネクタの電極導電部は、取り付け方向に延びる筒状であって、且つ、前記取り付け方向に延びる切欠きを有する筒状部と、前記筒状部における前記切欠きの部分から外方に延びる延出部と、を有し、前記延出部と前記コネクタ間導電部材とが電気的に接続されていてもよい。
【0020】
コネクタの電極導電部を筒状とし、且つ、取り付け方向に延びる切欠きを設けることで、筒状の電極導電部に相手側コネクタの電極導電部を取り付ける際に、筒状の電極導電部が径方向に拡張するように弾性変形することから、筒状の電極導電部に相手側コネクタの電極導電部を容易に取り付けることができる。これは、筒状の電極導電部を相手側コネクタの電極導電部に取り付ける場合も同様である。
【0021】
また、電極導電部の切欠きの部分から延出する延出部を設けることで、延出部とコネクタ間導電部材とを容易に接続することができる。
【0022】
この場合、上述したように、コネクタの電極導電部を筒状とし、且つ、取り付け方向に延びる切欠きを設けているため、延出部とコネクタ間導電部材とを接続した後、筒状の電極導電部に相手側コネクタの電極導電部を取り付ける際に、コネクタ間導電部材が接続された延出部を基点として、筒状の電極導電部が径方向に拡張するように弾性変形することから、筒状の電極導電部に相手側コネクタの電極導電部を容易に取り付けることができる。
【0023】
[
6] 第1の本発明において、前記筒状部の端部は、前記取り付け方向と直交する方向に広がり、且つ、相手側コネクタの電極導電部の端部が挿通される拡開部を有してもよい。
【0024】
相手側コネクタの電極導電部の端部を筒状部の拡開部に挿通することで、ボルト接続等を用いることなく、当該コネクタと相手側コネクタとの接続ができ、部品点数の削減、接続作業の簡単化を図ることができる。
【0025】
[
7] 第1の本発明において、[
6]に記載のコネクタ構造体を少なくとも2つ有し、一方の前記コネクタ構造体における前記筒状部の前記拡開部に、他方の前記コネクタ構造体における前記筒状部の前記拡開部とは反対側の端部が挿通され、電気的に接続されていてもよい。
【0026】
電動車両に搭載される補機の数の増加を想定して、コネクタの数を予め多く設ける方法も有効であるが、その他、一方のコネクタ構造体における筒状部の拡開部に、他方のコネクタ構造体における筒状部の拡開部とは反対側の端部を挿通し、電気的に接続することで、コネクタの数を容易に増加させることができる。
【0027】
[
8] 第1の本発明において、前記コネクタの電極導電部若しくは前記相手側コネクタの電極導電部の一方は、取り付け方向に延びる板状の第1バスバと、前記第1バスバに設けられた孔と、を有し、前記コネクタの電極導電部若しくは前記相手側コネクタの電極導電部の他方は、前記取り付け方向に延びる第2バスバと、前記第2バスバの板面から一方向に立ち上がる第1傾斜部と、前記第1傾斜部の頂部から前記第2バスバの前記板面に向かって延びる第2傾斜部と、を有し、前記第2バスバの前記板面と前記第2傾斜部とで、前記第1バスバを挟持してもよい。
【0028】
コネクタと相手側コネクタとを押し付け、さらに互いに離間する方向に移動させることで、強固に接続することができる。コネクタから相手側コネクタを外す場合は、上述と同様に、コネクタと相手側コネクタとを押し付け、さらに互いに離間する方向に移動させることで、容易に取り外すことができる。
【0029】
[
9] 第1の本発明において、前記コネクタ若しくは前記筐体の一方は、取り付け方向に延びる板状の第1バスバと、前記第1バスバに設けられた孔と、を有し、前記コネクタ若しくは前記筐体の他方は、前記取り付け方向に延びる第2バスバと、前記第2バスバの板面から一方向に立ち上がる第1傾斜部と、前記第1傾斜部の頂部から前記第2バスバの前記板面に向かって延びる第2傾斜部と、を有し、前記第2バスバの前記板面と前記第2傾斜部とで、前記第1バスバを挟持してもよい。
【0030】
筐体とコネクタとを押し付け、さらに互いに離間する方向に移動させることで、コネクタを筐体に強固に接続することができる。筐体からコネクタを外す場合は、上述と同様に、筐体とコネクタとを押し付け、さらに互いに離間する方向に移動させることで、容易に取り外すことができる。ボルト等の締結部材を使用することなく、コネクタと筐体とを接続固定することができ、部品点数の削減、接続作業の簡単化を図ることができる。
【0031】
[
10] 第1の本発明において、前記第1傾斜部と前記第2傾斜部は、前記第2バスバと一体に形成されていてもよい。第2バスバに対する打抜き加工によって、第2バスバに第1傾斜部と第2傾斜部を容易に形成することができ、コスト削減に寄与する。
【0032】
[
11] 第1の本発明において、前記複数のコネクタのうち
、使用されないコネクタを除く1以上のコネクタは、外周を保護するハウジングが装着され、前記複数のコネクタのうち、前記使用されないコネクタは、予め前記ハウジングの代わり
にカバーが装着されてもよい。これにより、前記使用されないコネクタはハウジングを必要とすることなく、部品点数の削減を図ることができる。
【0033】
[
12] 第2の本発明に係る電動車両は、第1の本発明に係るコネクタ構造体を具備する。これにより、電動車両に搭載される補機の数に応じて、コネクタ構造体に設置されるコネクタの数を容易に増減することができ、補機の数が多い車種にも容易に対応することができる。
【0034】
[
13] 第2の本発明において、前記コネクタ構造体は、電力変換装置又はバッテリの筐体に取り付けられていてもよい。電力変換装置又はバッテリに直接取り付けることで、部品点数の削減が可能となる。また、車種違いでもコネクタ形状の共用化が可能であり、高電圧筐体の取り付け点も共用可能となる。その結果、高電圧筐体設計の工数の削減が可能となる。
【0035】
[
14] 第2の本発明において、前記コネクタ構造体は、前記電力変換装置の車両前後方向後面に設けられていてもよい。コネクタ構造体は、複数の高電圧コネクタが接続される。コネクタ構造体を電力変換装置の後面に設けることで、前面衝突が起こった場合でも、コネクタ構造体の破断や、コネクタ嵌合が外れて高電圧部が露出することを補強材等の削減を図りつつ効果的に防ぐことができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明に係るコネクタ構造体及び電動車両によれば、車種や仕様の違いで、コンポーネント数が増えたとしても、新たにコネクタ形状(構造体全体、バスバー、ヒューズ等)を変更する必要がなく、設計工数の削減、製造コストの削減を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明に係るコネクタ構造体及び電動車両の実施の形態例を
図1〜
図11Cを参照しながら説明する。
【0039】
図1は、第1の実施の形態に係るコネクタ構造体(以下、第1コネクタ構造体10Aと記す)の構造を示す断面図(
図2におけるI−I線上の断面図)である。
図2は、第1コネクタ構造体10Aを背面から見て示す図であり、特に、後述するコネクタ筐体12を外して示す。
図3は、第1コネクタ構造体10Aの分解斜視図である。
【0040】
この第1コネクタ構造体10Aは、例えばハイブリッド車両、プラグインハイブリッド車両、電気自動車、燃料電池車両等の電動車両100に設置され、高圧系の補機(コンポーネント)への電力供給を行うコネクタ構造体である。補機としては、例えば水加熱ヒータ、A/C電動コンプレッサ、PHEV等に設けられる充電器や、急速充電器、非接触充電整流器等が挙げられる。
【0041】
第1コネクタ構造体10Aは、具体的には、外形が例えば樹脂製のコネクタ筐体12と、コネクタ筐体12に取り付けられた3つの被取付側コネクタ(第1被取付側コネクタ14A〜第3被取付側コネクタ14C)と、図示しない電力変換装置(PCU)又はバッテリからの高電圧電線が接続される高電圧接続部16とを有する。
【0042】
コネクタ筐体12は、例えば直方体状に形成され、例えば電動車両100の後方を向く前面には、第1被取付側コネクタ14A、第2被取付側コネクタ14B及び第3被取付側コネクタ14Cを取り付けるための第1挿入口18A、第2挿入口18B及び第3挿入口(図示せず)が形成されている。電動車両100の前方を向く後面には、高電圧接続部16を取り付けるための第4挿入口18Dが形成されている。
【0043】
なお、実施例の第1被取付側コネクタ14A〜第3被取付側コネクタ14Cは、電動車両100の後方を向くように設けられているが、コネクタ筐体12の上下面や側面(電動車両100の高さ方向の面や幅方向の面)に設けても良い。また、被取付側コネクタの数は、2個以上であれば良いが、3個以上設けることが望ましい。
【0044】
コネクタ筐体12は、コネクタの取付方向(電動車両100の前後方向:
図1及び
図2において、Aで示す方向)に2つに分離、すなわち、前面側の第1筐体12Aと後面側の第2筐体12Bに分離できるようになっている。つまり、第1筐体12A及び第2筐体12Bは取付方向に着脱自在となっている。この着脱機構としては、例えば第2筐体12Bの端面(第1筐体12Aと対向する端面)に設けられた複数の係合凹部20と、第1筐体12Aの端面(第2筐体12Bと対向する端面)に設けられ、上記係合凹部20に挿入される係合突起22とを有する。
【0045】
そして、第1筐体12Aと第2筐体12Bとを分離する場合は、第1筐体12Aの側面のうち、端面に近接する部分を内方に押圧することで、係合突起22を係合凹部20から離間することで、容易に第1筐体12Aを第2筐体12Bから分離、あるいは、第2筐体12Bを第1筐体12Aから分離することができる。反対に、第1筐体12Aの端面と第2筐体12Bの端面を対向させ、互いに接近する方向に押圧することで、第1筐体12Aの係合突起22が第2筐体12Bの係合凹部20に入り込み、容易に第1筐体12Aを第2筐体12Bに装着、あるいは、第2筐体12Bを第1筐体12Aに装着することができる。
【0046】
また、第1被取付側コネクタ14Aは、コネクタ筐体12の第1挿入口18Aに装着され、電動車両100の前後方向に向かって延びる2本の筒状の第1支持部材24Aと、各第1支持部材24A内に挿通された第1電極導電部材26A(第1正極導電部材26Ap及び第1負極導電部材26An)とを有する。
【0047】
第1電極導電部材26A(第1正極導電部材26Ap及び第1負極導電部材26An)は、
図4に示すように、取り付け方向に延びる筒状であって、且つ、取り付け方向に延びる切欠き28を有する筒状部30と、該筒状部30における切欠き28の部分から外方に延びる延出部32(正極側延出部32p及び負極側延出部32n)とを有する。正極側延出部32pは矩形状を有し、負極側延出部32nはL字状を有する。筒状部30の端部には、取り付け方向と直交する方向に広がり、且つ、取付側コネクタ34の電極導電部36(
図1において、二点鎖線で示す)の端部が挿通される拡開部38を有する。
【0048】
第2被取付側コネクタ14Bは、コネクタ筐体12の第2挿入口18Bに装着され、電動車両100の前後方向に向かって延びる例えば樹脂製の第2支持部材24Bと、第2支持部材24Bに装着された第2電極導電部材26B(第2正極導電部材26Bp)と、第2正極導電部材26Bpから奥行方向に延在する第2正極導電板54Bp(
図3参照)と、第2支持部材24Bの周囲に装着された例えば樹脂製のハウジング40とを有する。第2正極導電板54Bpの後端部は第2筐体12Bまで延在されている。
【0049】
第3被取付側コネクタ14Cも、上述した第2被取付側コネクタ14Bと同様の構成を有し、コネクタ筐体12の第3挿入口(図示せず)に装着された例えば樹脂製の第3支持部材24Cと、第3支持部材24Cの前後方向に装着されたコネクタ間導電部材である第3電極導電部材26C(第3正極導電部材26Cp)と、第3正極導電部材26Cpから奥行方向に延在する第3正極導電板54Cp(
図3参照)と、第3支持部材24Cの周囲に装着された例えば樹脂製のハウジング40とを有する。第3正極導電板54Cpの後端部も第2筐体12Bまで延在されている。
【0050】
上述した第1支持部材24A〜第3支持部材24Cは、取付側コネクタ34を奥行方向に挿入できるように、各先端部に開口41が形成されている。
【0051】
一方、第2筐体12Bは、その後部に第1ヒューズ42Aと第2ヒューズ42Bを収容するヒューズ収容部44(
図1参照)を有する。ヒューズ収容部44の後部には、後部カバー46が着脱自在に取り付けられている。従って、ヒューズ収容部44の後部カバー46を取り外すことで、容易に第1ヒューズ42Aと第2ヒューズ42Bをヒューズ収容部44に収容することができる。
【0052】
また、ヒューズ収容部44の前部(第1筐体12Aとの境界)には、第1筐体12Aに連通し、第1ヒューズ42Aの一対のリード端子48Aa及び48Ab並びに第2ヒューズ42Bの一対のリード端子48Ba及び48Bbがそれぞれ挿通可能な4つの貫通孔50(
図3参照)が形成されている。
【0053】
つまり、第1ヒューズ42A及び第2ヒューズ42Bをヒューズ収容部44に収容する場合、第1ヒューズ42Aの一対のリード端子48Aa及び48Ab並びに第2ヒューズ42Bの一対のリード端子48Ba及び48Bbを第1筐体12A側に向けると共に、第1ヒューズ42Aの一対のリード端子48Aa及び48Ab並びに第2ヒューズ42Bの一対のリード端子48Ba及び48Bbをそれぞれ対応する貫通孔50に挿通することで、第1ヒューズ42A及び第2ヒューズ42Bをヒューズ収容部44に収容することができる。
【0054】
上述した第1被取付側コネクタ14Aの第1正極導電部材26Apには、正極側延出部32pに一体に設けられた第1正極導電板52Apを有する。第1正極導電板52Apは、正極側延出部32pに設けられた正極側長尺部位54pを有する。この正極側長尺部位54pは、一方の端部が第1ヒューズ42Aと対向し、他方の端部が第2ヒューズ42Bと対向する。正極側長尺部位54pの一方の端部には、一体に設けられたL字状の第1正極側屈曲部位56paを有し、正極側長尺部位54pの他方の端部には、一体に設けられたL字状の第2正極側屈曲部位56pbを有する。第1正極側屈曲部位56paは正極側長尺部位54pの一方の端部から上方に立ち上がる第1正極側立ち上がり部位58paと、該第1正極側立ち上がり部位58paから後方に延在する第1正極側接続部位60paとを有する。同様に、第2正極側屈曲部位56pbは正極側長尺部位54pの他方の端部から上方に立ち上がる第2正極側立ち上がり部位58pbと、該第2正極側立ち上がり部位58pbから後方に延在する第2正極側接続部位60pbとを有する。
【0055】
第1被取付側コネクタ14Aの第1負極導電部材26Anには、L字状の負極側延出部32nに一体に設けられた第1負極導電板52Anを有する。第1負極導電板52Anは、上方に立ち上がるL字状導電部位62と、L字状導電部位62に一体に設けられた負極側長尺部位54nとを有する。負極側長尺部位54nの一方の端部には、一体に設けられたL字状の第1負極側屈曲部位56naを有し、負極側長尺部位54nの他方の端部には、一体に設けられたL字状の第2負極側屈曲部位56nbを有する。第1負極側屈曲部位56naは負極側長尺部位54nの一方の端部から上方に立ち上がる第1負極側立ち上がり部位58naと、該第1負極側立ち上がり部位58naから後方に延在する第1負極側接続部位60naとを有する。同様に、第2負極側屈曲部位56nbは負極側長尺部位54nの他方の端部から上方に立ち上がる第2負極側立ち上がり部位58nbと、該第2負極側立ち上がり部位58nbから後方に延在する第2負極側接続部位60nbとを有する。第1負極側接続部位60naの端部は第3被取付側コネクタ14Cの内部まで挿通され、第2負極側接続部位60nbの端部は第2被取付側コネクタ14Bの内部まで挿通されている。
【0056】
さらに、第2筐体12Bの第1筐体12A側の面には、各貫通孔50に対応してそれぞれ例えば金属製の接合端子64a〜64dが取り付けられている。例えば接合端子64aは、第1ヒューズ42Aのリード端子48Aaと第3被取付側コネクタ14Cの第3正極導電板54Cpとが両方向から挿入されることで、これらの端子を電気的に接続する。これは、他の接合端子64b〜64dについても同様である。
【0057】
そして、この第1コネクタ構造体10Aは、
図1に示すように、電動車両100に設置された電力変換装置(PCU)又はバッテリの筐体70に取り付けられ、電力変換装置(PCU)又はバッテリからの高電圧電線(図示せず)が高電圧接続部16に接続される。第1コネクタ構造体10Aを電力変換装置に取り付ける場合、電力変換装置の車両前後方向後面に設けることが好ましい。
【0058】
特に、本実施の形態では、複数の被取付側コネクタのうち、コンポーネントの取付側コネクタが接続されない被取付側コネクタ、つまり、使用されない被取付側コネクタの開口41を塞ぐためのカバー72(
図1及び
図2参照)が取り付けられる。
図1及び
図2の例では、第2被取付側コネクタ14Bの先端部に開口41を塞ぐためのカバー72を取り付けた例を示す。
図2において、カバー72を二点鎖線で示す。なお、カバー72は、実施例のように開口41を覆うものに限定されず、例えばグロメットを被取付側コネクタに差し込んで塞ぐような構造としても良い。
【0059】
また、
図5に示すように、使用されないコネクタ(例えば第2被取付側コネクタ14B)については、ハウジング40を予め設けず、第2挿入口18Bを直接カバー72で塞ぐ構成としてもよい。これにより、前記使用されないコネクタは、ハウジング40を必要とすることなく、部品点数の削減を図ることができる。
【0060】
次に、この第1コネクタ構造体10Aを組み立てる手順の一例を以下に説明する。以下の組み立て手順はあくまでも一例であり、その他の手順で組み立ててもよいことは勿論である。
【0061】
先ず、例えば第2被取付側コネクタ14Bに第2正極導電部材26Bpを取り付け、第3被取付側コネクタ14Cに第3正極導電部材26Cpを取り付ける。その後、第1筐体12Aの第2挿入口18Bに第2被取付側コネクタ14Bを装着し、第3挿入口(図示せず)に第3被取付側コネクタ14Cを装着する。
【0062】
次いで、第1被取付側コネクタ14Aの第1支持部材24A内に第1正極導電部材26Ap及び第1負極導電部材26Anを挿入する。その後、第1正極導電部材26Apの正極側延出部32pに第1正極導電板52Apの正極側長尺部位54pを溶接等で電気的に接続し、第1負極導電部材26Anの負極側延出部32nに第1負極導電板52Anの負極側長尺部位54nを溶接等で電気的に接続する。この作業は、コネクタ筐体12が第1筐体12Aと第2筐体12Bとで分離可能であるため、容易に行うことができる。
【0063】
次いで、第2筐体12Bの第1筐体12A側に4つの接合端子64a〜64dを装着する。その後、第2筐体12Bを第1筐体12Aに装着することで、接合端子64aに第3被取付側コネクタ14Cの第3正極導電板54Cpが挿入され、接合端子64bに第2被取付側コネクタ14Bの第2正極導電板54Bpが挿入され、接合端子64cに第1被取付側コネクタ14Aにおける第1正極導電板52Apの第1正極側接続部位60paが挿入され、接合端子64dに第1被取付側コネクタ14Aにおける第2正極側接続部位60pbが挿入される。
【0064】
次いで、第2筐体12Bの後部におけるヒューズ収容部44に第1ヒューズ42A及び第2ヒューズ42Bを装着する。このとき、第1ヒューズ42Aのリード端子48Aaが貫通孔50を通して接合端子64aに挿入されて第3被取付側コネクタ14Cの第3正極導電板54Cpと電気的に接続され、第1ヒューズ42Aのリード端子48Abが貫通孔50を通して接合端子64cに挿入されて第1被取付側コネクタ14Aにおける第1正極導電板52Apと電気的に接続される。
【0065】
同様に、第2ヒューズ42Bのリード端子48Baが貫通孔50を通して接合端子64bに挿入されて第2被取付側コネクタ14Bの第2正極導電板54Bpと電気的に接続され、第2ヒューズ42Bのリード端子48Bbが貫通孔50を通して接合端子64dに挿入されて第1被取付側コネクタ14Aにおける第1正極導電板52Apと電気的に接続される。
【0066】
そして、第2筐体12Bの後部に後部カバー46を取り付けることで、第1コネクタ構造体10Aが完成する。
【0067】
次に、第2の実施の形態に係るコネクタ構造体(以下、第2コネクタ構造体10Bと記す)について、
図6を参照しながら説明する。
【0068】
第2コネクタ構造体10Bは、
図6に示すように、2つの第1コネクタ構造体10Aを有する。具体的には、一方の第1コネクタ構造体10Aにおける筒状部30の拡開部38に、他方の第1コネクタ構造体10Aにおける筒状部30の拡開部38とは反対側の端部が挿通され、電気的に接続されている。
【0069】
この場合、1つの第1コネクタ構造体10Aでは、3つの被取付側コネクタを具備することができるが、この第2コネクタ構造体10Bでは、被取付側コネクタの数をさらに2つ増やすことができる。すなわち、5つの被取付側コネクタを具備することができる。
【0070】
従って、各第1コネクタ構造体10Aの上記拡開部38に別の第1コネクタ構造体10Aにおける筒状部30の拡開部38とは反対側の端部を順番につなげていくことで、被取付側コネクタの数を2つずつ増やすことができる。
【0071】
図6の例では、二次元的に第1コネクタ構造体10Aを増やした例を示したが、三次元的に第1コネクタ構造体10Aを増やしてもよい。
【0072】
ここで、実施例に係る電動車両100と比較例に係る電動車両200との比較、特に、配電分岐構造の比較について
図7及び
図8を参照しながら説明する。
【0073】
先ず、比較例に係る電動車両200の配電分岐構造は、
図7に示すように、例えば車室内又は床下80Aに設置された第1ユニットU1と第2ユニットU2との間に第1コネクタCN1及び第2コネクタCN2が接続される。第1ユニットU1には例えば2つの補機(第1補機CP1及び第2補機CP2)が設置され、第2ユニットU2には例えば高圧バッテリ装置82が設置される。ここで、第1補機CP1及び第2補機CP2はそれぞれPDU(パワードライブユニット)であり、高圧バッテリ装置82は、バッテリ(BATT)、メイン・ジャンクション・ブロック(MAIN J/B)及びサブ・ジャンクション・ブロック(SUB J/B)を具備する。
【0074】
また、例えば電動車両200のエンジンルーム80Bに設置された第3ユニットU3と上記第2ユニットU2との間には、12個のコネクタCN3〜CN14が接続される。第3ユニットU3には例えば5つの補機(第3補機CP3〜第7補機CP7)が設置される。
【0075】
ここで、第3補機CP3はDC急速充電/給電ボードであり、第4補機CP4はACチャージャであり、第5補機CP5はPCU(パワーコントロールユニット(電力変換装置))であり、第6補機CP6は水加熱ヒータであり、第7補機CP7は電動コンプレッサである。
【0076】
そして、高圧バッテリ装置82と第3補機CP3とが第3コネクタCN3と第8コネクタCN8を介して接続され、高圧バッテリ装置82と第4補機CP4とが第4コネクタCN4と第9コネクタCN9を介して接続され、高圧バッテリ装置82と第5補機CP5とが第5コネクタCN5と第10コネクタCN10を介して接続される。また、高圧バッテリ装置82と第6補機CP6とが第6コネクタCN6と第11コネクタCN11と第13コネクタCN13を介して接続され、高圧バッテリ装置82と第7補機CP7とが第7コネクタCN7と第12コネクタCN12と第14コネクタCN14を介して接続される。
【0077】
このように、比較例に係る電動車両200の配電分岐構造は、電動車両200の高圧バッテリ装置82からそれぞれ14個のコネクタCN1〜CN14を介して第1補機CP1〜第7補機CP7に分配しており、高電圧の配電が複雑である。しかも、第2ユニットU2内において、高圧バッテリ装置82からの電力供給を3つ以上のコネクタ(第2コネクタCN2、第3コネクタCN3、第4コネクタCN4等)に対して行う必要から、メイン・ジャンクション・ブロック(MAIN J/B)に加えてサブ・ジャンクション・ブロック(SUB J/B)が必要となり、高圧バッテリ装置82が大型化する。
【0078】
高圧バッテリ装置82から電力を配電する経路が多数であることから、急速充電/給電を行うための第3補機CP3(DC急速充電/給電ジャンクション・ブロック)が必要となり、配電分岐構造が複雑化、大型化する。
【0079】
また、将来的に、エンジンルーム80BにAC室内100V給電器(第8補機CP8)やAC非接触充電整流器(第9補機CP9)等がさらに増える可能性がある。この場合、増加する補機の2倍の個数のコネクタを接続する必要があり、それに応じて配線レイアウトもさらに複雑化し、スペース的にも限界が生じるおそれがある。
【0080】
また、ニーズに応じて、ACチャージャ(第4補機CP4)のほか、AC双方向チャージャ(第10補機CP10)を設置して、第4補機CP4及び第10補機CP10のいずれかを選択することも考えられる。しかし、もともと配線レイアウトが複雑であることから、同一車体であっても、仕様に応じて第4補機CP4及び第10補機CP10のいずれかを設置するしかなく、開発効率の低下も懸念される。
【0081】
これに対して、実施例に係る電動車両100の配電分岐構造は、
図8に示すように、高圧バッテリ装置82と第5補機CP5(PCU)とが第1コネクタ構造体10Aによる第1マルチコネクタMCN1と第2マルチコネクタMCN2を介して接続される。
【0082】
そして、第1マルチコネクタMCN1には、さらに、第4補機CP4(ACチャージャ)又は第10補機CP10(AC双方向チャージャ)が選択的に接続される。第2マルチコネクタMCN2には、さらに、第6補機CP6(水加熱ヒータ)及び第7補機CP7(電動コンプレッサ)が接続される。
【0083】
この場合、第1マルチコネクタMCN1における第1コネクタ構造体10Aの高電圧接続部16に高圧バッテリ装置82からの高電圧電線が接続され、例えば第1被取付側コネクタ14Aに第5補機CP5につながる高電圧電線が接続され、例えば第3被取付側コネクタ14Cに第4補機CP4の第3コネクタCN3が接続される。第2被取付側コネクタ14Bは使用されないため、カバー72が装着される。
【0084】
一方、第2マルチコネクタMCN2における第1コネクタ構造体10Aの高電圧接続部16に第1マルチコネクタMCN1からの高電圧電線が接続され、例えば第1被取付側コネクタ14Aに第5補機CP5の取付側コネクタが接続され、例えば第2被取付側コネクタ14Bに第6補機CP6の第4コネクタCN4が接続され、第3被取付側コネクタ14Cに第7補機CP7の第5コネクタCN5が接続される。
【0085】
このように、実施例に係る電動車両100の配電分岐構造においては、高圧バッテリ装置82につながる配線を1本化することができるため、配線のレイアウトの自由度を高めることができる。また、高圧バッテリ装置82にサブ・ジャンクション・ブロック(SUB J/B)を設置する必要がなく、高圧バッテリ装置82の小型化を図ることができる。しかも、DC急速充電/給電ジャンクション・ブロックを搭載する必要もなくなるため、配電分岐構造を簡略化、小型化することができる。
【0086】
また、将来的に、エンジンルーム80BにAC非接触充電整流器(第9補機CP9)を増設する場合であっても、使用されていない第1マルチコネクタMCN1の第2被取付側コネクタ14Bに接続することができ、新たなコネクタを設置する必要がない。もちろん、増設する補機が多ければ、第1マルチコネクタMCN1や第2マルチコネクタMCN2を第2コネクタ構造体10Bにて構成すればよく、補機の増設に応じてコネクタを増やす必要がない。
【0087】
すなわち、増設する補機が多くなっても、配線レイアウトの自由度の向上、配電分岐構造の簡略化、小型化という効果を発揮させることができる。従って、例えばACチャージャ(第4補機CP4)のほか、AC双方向チャージャ(第10補機CP10)を設置することが可能となり、仕様に応じて第4補機CP4及び第10補機CP10のいずれかを設置するということがなくなる。その結果、同一車体に対して同一装備を図ることができ、開発効率を高めることができる。
【0088】
なお、
図8では、第1マルチコネクタMCN1及び第2マルチコネクタMCN2を高圧バッテリ装置82と第5補機CP5(PCU)等の筐体に取り付けた構造を示しているが、筐体に取り付けられなくても良い。例えば、ケーブル間に第1マルチコネクタMCN1及び第2マルチコネクタMCN2を設けた配電分岐構造としても良い。
【0089】
ところで、
図9A及び
図9Bに模式的に示すように、取付側コネクタ110と被取付側コネクタ112との電気的接続においては、取付側コネクタ110の第1電極導電部114Aを構成する第1バスバ116Aと、被取付側コネクタ112の第2電極導電部114Bを構成する第2バスバ116Bとを例えばボルト118を使用した締結がある。この場合、部品点数が多くなり、また、ボルト締結のためのスペースを確保する必要もある。これは設計の自由度に限界があると共に、コストの低減化にも限界がある。
【0090】
そこで、第3の実施の形態に係るコネクタ構造体10C(以下、第3コネクタ構造体10Cと記す)は、
図10A〜
図10Cに模式的に示すように、取付側コネクタ110及び被取付側コネクタ112の電極導電部の構成が
図9A及び
図9Bの例と異なる。
【0091】
すなわち、取付側コネクタ110は、第1電極導電部114Aを構成し、取付方向に延びる第1バスバ116Aと、第1バスバ116Aに設けられた孔120とを有する。
【0092】
被取付側コネクタ112は、第2電極導電部114Bを構成し、取付方向に延びる第2バスバ116Bと、第2バスバ116Bの板面122から一方向に立ち上がる第1傾斜部124Aと、第1傾斜部124Aの頂部から第2バスバ116Bの板面122に向かって延びる第2傾斜部124Bとを有する。すなわち、第1傾斜部124Aと第2傾斜部124Bは、第2バスバ116Bと一体に形成されている。
【0093】
そして、被取付側コネクタ112に取付側コネクタ110を取り付けたとき、第2バスバ116Bの板面122と第2傾斜部124Bとで、第1バスバ116Aを挟持する。
【0094】
すなわち、
図10Aに示すように、例えば取付側コネクタ110を被取付側コネクタ112に押し付ける。このとき、第1バスバ116Aの孔120と第2バスバ116Bの第1傾斜部124A及び第2傾斜部124Bとが対向するように、例えば取付側コネクタ110を被取付側コネクタ112に押し付ける。
【0095】
その後、
図10Bに示すように、第1バスバ116Aの孔120に第2バスバ116Bの第1傾斜部124Aの頂部が挿通するように、取付側コネクタ110を例えば下方に移動する。
【0096】
その後、
図10Cに示すように、今度は、取付側コネクタ110を被取付側コネクタ112から離間する方向に移動することで、第1バスバ116Aの下面が第2バスバ116Bの板面122に沿うように移動し、第1バスバ116Aと第2バスバ116Bとが組み付けられる。このとき、第2バスバ116Bの第2傾斜部124Bが斜め下向きに曲がっているため、第2傾斜部124Bの先端部と第2バスバ116Bの板面122とで第1バスバ116Aを挟み込む形になり、第1バスバ116Aと第2バスバ116Bとの接触面積を増やして導通させることができる。
【0097】
なお、被取付側コネクタ112から取付側コネクタ110を外す場合は、上述と同様に、取付側コネクタ110を被取付側コネクタ112に押し付けて、第1バスバ116Aに対する第2傾斜部124Bと第2バスバ116Bの板面122との挟持を解除する。その後、取付側コネクタ110と被取付側コネクタ112とをさらに互いに離間する方向に移動させることで、取付側コネクタ110を被取付側コネクタ112から取り外すことができる。このとき、第2傾斜部124Bの傾斜面が第1バスバ116Aの取り外し方向の案内面として機能するため、取付側コネクタ110を被取付側コネクタ112から容易に取り外すことができる。
【0098】
なお、本実施例では、取付側コネクタ110の第1バスバ116Aに孔120、被取付側コネクタ112の第2バスバ116Bに第1傾斜部124A及び第2傾斜部124Bを設けたが、取付側コネクタ110の第1バスバ116Aに第1傾斜部124A及び第2傾斜部124Bを設け、被取付側コネクタ112の第2バスバ116Bに孔120を設けた構造でも良い。
【0099】
次に、第4の実施の形態に係るコネクタ構造体(以下、第4コネクタ構造体10Dと記す)について
図11A〜
図11Cを参照しながら説明する。
【0100】
この第4コネクタ構造体10Dは、筐体130に対して被取付側コネクタ132を着脱する場合に適用したものである。
【0101】
すなわち、被取付側コネクタ132は、第3電極導電部114Cを構成し、取付方向に延びる第3バスバ116Cと、第3バスバ116Cに設けられた孔134とを有する。
【0102】
筐体130は、第4電極導電部114Dを構成し、取付方向に延びる第4バスバ116Dと、第4バスバ116Dの板面136から一方向に立ち上がる第3傾斜部124Cと、第3傾斜部124Cの頂部から第4バスバ116Dの板面136に向かって延びる第4傾斜部124Dとを有する。すなわち、第3傾斜部124Cと第4傾斜部124Dは、第4バスバ116Dと一体に形成されている。
【0103】
そして、筐体130に被取付側コネクタ132を取り付けたとき、第4バスバ116Dの板面136と第4傾斜部124Dとで、第3バスバ116Cを挟持する。
【0104】
すなわち、上述した第3コネクタ構造体10Cの場合と同様に、被取付側コネクタ132を筐体130に押し付け、さらに互いに離間する方向に移動させることで、筐体130に被取付側コネクタ132を強固に接続することができる。筐体130から被取付側コネクタ132を外す場合は、上述と同様に、被取付側コネクタ132を筐体130に押し付け、さらに互いに離間する方向に移動させることで、容易に取り外すことができる。
【0105】
なお、本実施例では、被取付側コネクタ132の第3バスバ116Cに孔134を設け、筐体130の第4バスバ116Dに第3傾斜部124C及び第4傾斜部124Dを設けたが、被取付側コネクタ132の第3バスバ116Cに第3傾斜部124C及び第4傾斜部124Dを設け、筐体130の第4バスバ116Dに孔134を設けた構造でも良い。
【0106】
このように、本実施の形態においては、電動車両100に設置されるコネクタ構造体10A、10Bであって、複数のコネクタ(例えば第1被取付側コネクタ14A〜第3被取付側コネクタ14C)と、複数のコネクタ間を電気的に接続するコネクタ間導電部材(例えば第1正極導電板52Ap、第1負極導電板52An等)と、コネクタ間導電部材を収容するコネクタ筐体12と、を有し、複数のコネクタのうち、使用されないコネクタ(例えば第2被取付側コネクタ14B)にカバー72が装着されている。
【0107】
予めコネクタを多く設けておくことで、車種や仕様の違いで、コンポーネント数が増えたとしても、新たにコネクタ形状(構造体全体、バスバー、ヒューズ等)を変更する必要をなくす、若しくは形状変更を少なくし、設計工数の削減、製造コストの削減を図ることができる。
【0108】
コンポーネント数が少ない車種では、使用されないコネクタが存在することになるが、使用されないコネクタにカバー72を装着することで、防水・防塵効果を得ることができる。
【0109】
本実施の形態において、コネクタ間導電部材は、第1コネクタ(例えば第1被取付側コネクタ14A)の第1電極導電部(例えば第1負極導電部材26An)と電気的に接続されている第1導電部材(例えば第1負極導電板52An)と、第2コネクタ(例えば第2被取付側コネクタ14B)の第2電極導電部(例えば第2正極導電部材26Bp)と電気的に接続されている第2導電部材(例えば第2正極導電板54Bp)と、第1導電部材に設けられた第1接続端子(例えば接合端子64b)と、第2導電部材に設けられた第2接続端子(例えば接合端子64d)と、を有する。そして、第1接続端子と第2接続端子にヒューズ(例えば第2ヒューズ42B)が差し込まれ、且つ、電気的に接続されている。
【0110】
第1接続端子と第2接続端子との間に、ヒューズを差し込み方式で電極的に接続することで、ヒューズの取り付けが容易になる。また、ボルト等を用いた電気的接続よりもコンパクトとなり、コネクタ構造体全体の小型化を図ることができる。
【0111】
本実施の形態において、コネクタ筐体12は、少なくともコネクタを支持する第1筐体12Aと、少なくともヒューズを支持する第2筐体12Bとを、少なくとも有し、第1筐体12Aと第2筐体12Bとが分割可能である。
【0112】
コネクタを支持する第1筐体12Aと、ヒューズを支持する第2筐体12Bとを分割可能とすることで、製造時に、第1導電部材と第2導電部材との電気的接続が容易になる。
【0113】
本実施の形態において、少なくとも1つのコネクタの電極導電部(例えば第1電極導電部材26A)は、取り付け方向に延びる筒状であって、且つ、取り付け方向に延びる切欠き28を有し、さらに、切欠き28の部分から外方に延びる延出部32と、を有し、延出部32とコネクタ間導電部材とが電気的に接続されている。
【0114】
コネクタ(例えば第1被取付側コネクタ14A)の電極導電部(例えば第1電極導電部材26A)を筒状とし、且つ、取り付け方向に延びる切欠き28を設けることで、筒状の電極導電部に相手側コネクタ(例えば取付側コネクタ34)の電極導電部36を取り付ける際に、上記筒状の電極導電部が径方向に拡張するように弾性変形することから、筒状の電極導電部に相手側コネクタの電極導電部36を容易に取り付けることができる。これは、筒状の電極導電部を相手側コネクタの電極導電部36に取り付ける場合も同様である。
【0115】
また、電極導電部の切欠き28の部分から延出する延出部32を設けることで、延出部32とコネクタ間導電部材とを容易に接続することができる。
【0116】
この場合、上述したように、コネクタの電極導電部を筒状とし、且つ、取り付け方向に延びる切欠き28を設けているため、延出部32とコネクタ間導電部材とを接続した後、筒状の電極導電部に相手側コネクタの電極導電部36を取り付ける際に、コネクタ間導電部材が接続された延出部32を基点として、筒状の電極導電部が径方向に拡張するように弾性変形することから、筒状の電極導電部に相手側コネクタの電極導電部36を容易に取り付けることができる。
【0117】
本実施の形態において、筒状の端部は、取り付け方向と直交する方向に広がり、且つ、取付側コネクタ34の電極導電部36の端部が挿通される拡開部38を有する。
【0118】
取付側コネクタ34の電極導電部36の端部を筒状の拡開部38に挿通することで、ボルト接続等を用いることなく、第1被取付側コネクタと取付側コネクタとの接続ができ、部品点数の削減、接続作業の簡単化を図ることができる。
【0119】
本実施の形態において、一方のコネクタ構造体10Aにおける筒状の拡開部38に、他方のコネクタ構造体10Aにおける筒状の拡開部38とは反対側の端部が挿通され、電気的に接続されている。
【0120】
電動車両100に搭載される補機の数の増加を想定して、コネクタの数を予め多く設ける方法も有効であるが、その他、一方のコネクタ構造体10Aにおける筒状の拡開部38に、他方のコネクタ構造体10Aにおける筒状の拡開部38とは反対側の端部を挿通し、電気的に接続することで、コネクタの数を容易に増加させることができる。
【0121】
本実施の形態において、取付側コネクタ110の第1電極導電部114A若しくは被取付側コネクタ112の第2電極導電部114Bの一方は、取り付け方向に延びる板状の第1バスバ116Aと、第1バスバ116Aに設けられた孔120と、を有する。また、取付側コネクタ110の第1電極導電部114A若しくは被取付側コネクタ112の第2電極導電部114Bの他方は、取り付け方向に延びる第2バスバ116Bと、第2バスバ116Bの板面122から一方向に立ち上がる第1傾斜部124Aと、第1傾斜部124Aの頂部から第2バスバ116Bの板面122に向かって延びる第2傾斜部124Bと、を有し、第2バスバ116Bの板面122と第2傾斜部124Bとで、第1バスバ116Aを挟持する。
【0122】
取付側コネクタ110と被取付側コネクタ112とを押し付け、さらに互いに離間する方向に移動させることで、強固に接続することができる。被取付側コネクタ112から取付側コネクタ110を外す場合は、上述と同様に、取付側コネクタ110と被取付側コネクタ112とを押し付け、さらに互いに離間する方向に移動させることで、容易に取り外すことができる。
【0123】
本実施の形態において、被取付側コネクタ132若しくは筐体130の一方は、取り付け方向に延びる板状の第3バスバ116Cと、第3バスバ116Cに設けられた孔134と、を有する。また、被取付側コネクタ132若しくは筐体130の他方は、取り付け方向に延びる第4バスバ116Dと、第4バスバ116Dの板面136から一方向に立ち上がる第3傾斜部124Cと、第3傾斜部124Cの頂部から第4バスバ116Dの板面136に向かって延びる第4傾斜部124Dと、を有し、第4バスバ116Dの板面136と第4傾斜部124Dとで、第3バスバ116Cを挟持する。
【0124】
筐体130と被取付側コネクタ132とを押し付け、さらに互いに離間する方向に移動させることで、被取付側コネクタ132を筐体130に強固に接続することができる。筐体130から被取付側コネクタ132を外す場合は、上述と同様に、筐体130と被取付側コネクタ132とを押し付け、さらに互いに離間する方向に移動させることで、容易に取り外すことができる。
【0125】
ボルト等の締結部材を使用することなく、被取付側コネクタ132と筐体130とを接続固定することができ、部品点数の削減、接続作業の簡単化を図ることができる。
【0126】
本実施の形態において、第1傾斜部124Aと第2傾斜部124Bは、第2バスバ116Bと一体に形成され、第3傾斜部124Cと第4傾斜部124Dは、第4バスバ116Dと一体に形成されている。
【0127】
これにより、第2バスバ116B(第4バスバ116D)に対する打抜き加工によって、第2バスバ116B(第4バスバ116D)に第1傾斜部124A(第3傾斜部124C)と第2傾斜部124B(第4傾斜部124D)を容易に形成することができ、コスト削減に寄与する。
【0128】
本実施の形態において、複数のコネクタのうち、使用されないコネクタを除く1以上のコネクタは、外周を保護するハウジング40が装着され、複数のコネクタのうち、使用されないコネクタは、予めハウジング40の代わりにカバー72が装着されていてもよい。例えば、ハウジング40を予め設けず、ハウジング40の挿入口を直接カバー72で塞ぐ構成としてもよい。これにより、使用されないコネクタはハウジング40を必要とすることなく、部品点数の削減を図ることができる。
【0129】
さらに、本実施の形態に係る電動車両100は、上述した第1コネクタ構造体10A〜第4コネクタ構造体10Dのいずれか1つ以上を具備する。
【0130】
これにより、電動車両100に搭載される補機の数に応じて、コネクタ構造体に設置されるコネクタの数を容易に増減することができ、補機の数が多い車種にも容易に対応することができる。
【0131】
本実施の形態において、第1コネクタ構造体10A〜第4コネクタ構造体10Dは、電力変換装置又はバッテリの筐体に取り付けられている。これにより、電力変換装置又はバッテリに直接取り付けることで、部品点数の削減が可能となる。また、車種違いでもコネクタ形状の共用化が可能であり、高電圧筐体の取り付け点も共用可能である。その結果、高電圧筐体設計の工数の削減が可能となる。
【0132】
本実施の形態において、第1コネクタ構造体10A〜第4コネクタ構造体10Dは、電力変換装置の車両前後方向後面に設けられていてもよい。コネクタ構造体は、複数の高電圧コネクタが接続される。コネクタ構造体を電力変換装置の後面に設けることで、前面衝突が起こった場合でも、コネクタ構造体の破断や、コネクタ嵌合が外れて高電圧部が露出することを補強材等の削減を図りつつ効果的に防ぐことができる。
【0133】
なお、この発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、この発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。