特許第6420312号(P6420312)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 高砂香料工業株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6420312
(24)【登録日】2018年10月19日
(45)【発行日】2018年11月7日
(54)【発明の名称】マイクロカプセル
(51)【国際特許分類】
   C11B 9/00 20060101AFI20181029BHJP
   B01J 13/18 20060101ALI20181029BHJP
   C11D 3/37 20060101ALI20181029BHJP
   C11D 3/50 20060101ALI20181029BHJP
   C11D 17/08 20060101ALI20181029BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20181029BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20181029BHJP
   A61Q 13/00 20060101ALI20181029BHJP
【FI】
   C11B9/00 ZZNM
   B01J13/18
   C11D3/37
   C11D3/50
   C11D17/08
   A61K8/25
   A61K8/81
   A61Q13/00 102
【請求項の数】11
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2016-503878(P2016-503878)
(86)(22)【出願日】2014年7月28日
(65)【公表番号】特表2016-534159(P2016-534159A)
(43)【公表日】2016年11月4日
(86)【国際出願番号】JP2014070408
(87)【国際公開番号】WO2015016367
(87)【国際公開日】20150205
【審査請求日】2017年3月31日
(31)【優先権主張番号】13306096.2
(32)【優先日】2013年7月29日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】000169466
【氏名又は名称】高砂香料工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リバウト,ティファイン
(72)【発明者】
【氏名】ウォー,ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】フレイサー,スチュアート
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー,オリビエ
【審査官】 吉岡 沙織
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−000959(JP,A)
【文献】 特開2013−127025(JP,A)
【文献】 特表2011−515203(JP,A)
【文献】 特表2012−529981(JP,A)
【文献】 特開2003−284939(JP,A)
【文献】 特開2012−011384(JP,A)
【文献】 特表2011−509167(JP,A)
【文献】 特表2014−512254(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/037482(WO,A2)
【文献】 特表2002−516913(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 13/02−13/22
C11B
C11D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のマイクロカプセルを含み、各マイクロカプセルが、ポリマーシェル内に封入された香料組成物を含む水性分散液であって、
前記香料組成物がフレグランスを含み、
前記ポリマーシェルが、5nm〜1μmの平均一次粒径を有する固体コロイド粒子を含み、
前記固体コロイド粒子の含有量はマイクロカプセルの総質量の0.005〜10質量%であり、
前記ポリマーシェルが、更にi)モノマー混合物中に化合物(I)〜(II)の総質量の30質量%〜80質量%の、モノエチレン性不飽和モノマー及び/又はジメチルジアリルアンモニウムクロリドである化合物(I)と、
ii)モノマー混合物中に化合物(I)〜(II)の総質量の20質量%〜70質量%の、ポリエチレン性不飽和モノマーである化合物(II)とを含むモノマー混合物を重合形態で含み、
前記化合物(II)が、(メタ)アクリル酸と、直鎖若しくは分岐鎖のC−C24多価アルコール及び/又はC−C24ポリエチレングリコールとのエステル化により得られるジ−又はポリエステルから選択されるポリエチレン性不飽和モノマーであり、
フレグランスが水性分散液の総質量の20質量%〜45質量%に相当する、水性分散液。
【請求項2】
化合物(I)として、20℃において20g/100mLを超える水溶性を有するモノマー(I)を含み、化合物(II)として、20℃において20g/100mLを超える水溶性を有するモノマー(II)を含み、前記モノマー混合物が、前記モノマー混合物の総質量の15質量%超60質量%未満のモノマー(I)及び(II)を含む、請求項1に記載の水性分散液。
【請求項3】
記化合物(II)が、
A1.1モノマーあたり2個以上の(メタ)アクリレートエステル基を含み、かつ
B1.(メタ)アクリレートエステル基の数で一度割ると、85を超え、135未満の値を与える分子量を有する、請求項1に記載の水性分散液。
【請求項4】
前記フレグランスが、水性分散液の総質量の30質量%〜45質量%に相当する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水性分散液。
【請求項5】
前記化合物(I)が、フリーラジカル重合により重合可能な、(メタ)アクリレートモノマーから選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の水性分散液。
【請求項6】
前記化合物(I)が、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、イソプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の水性分散液。
【請求項7】
前記化合物(I)が、
ia)配合の総質量の50質量%〜100質量%の、pH7及び20℃で2g/100mL以上の水への溶解度を有する中性のモノメタクリレートモノマー(Ia)、
ib)配合の総質量の0質量%〜50質量%の、他の中性のモノエチレン性不飽和モノマー(Ib)、及び
ic)配合の総質量の0質量%〜15質量%の、イオン化した、若しくはイオン化し得るモノエチレン性不飽和モノマー(Ic)の配合である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の水性分散液。
【請求項8】
前記中性のモノメタクリレートモノマー(Ia)が、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項7に記載の水性分散液。
【請求項9】
前記化合物(II)が、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、及び1,3−プロピレングリコールジメタクリレートの1種以上を含む、請求項8に記載の水性分散液。
【請求項10】
摂取不可能な消費者製品、家庭用洗剤又は洗濯用製品、パーソナルケア製品又は化粧品である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の水性分散液を含む製品。
【請求項11】
a)油相及び水相を含む水中油型エマルションを提供する工程であって、該エマルションが、
5nm〜1μmの平均一次粒径を有するコロイド粒子、
重合開始剤、
フレグランスを含む香料組成物、
乳化剤、及び
請求項1〜9のいずれか1項に記載のモノマー混合物、を混合することにより得られるエマルションである工程、
b)工程a)で得られた水中油型エマルション内で重合を誘発する工程;
c)重合を伝搬させてマイクロカプセルを得る工程を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の水性分散液の製造方法であって、
前記固体コロイド粒子の含有量はマイクロカプセルの総質量の0.005〜10質量%であり、
前記フレグランスが、水中油型エマルションの総質量の20質量%〜70質量%に相当する、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマーシェル内に封入された香料組成物を含むマイクロカプセルを含む水性分散液、該分散液の製造方法、並びに該分散液を含む摂取不可能な消費者製品(例えば、家庭用洗剤、洗濯用製品、パーソナルケア製品及び化粧品)に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロカプセル化は、フレグランス等の疎水性物質を保護し(例えば貯蔵における)、送達を制御するための一般の解決法を示す。フリーラジカル重合によるフレグランスのマイクロカプセル化は、通常、水性の連続相がフレグランスを含む内部の疎水性相を分散させた、エマルションの予備的形成を必然的に伴う。エマルション内で重合を誘発することにより、マイクロカプセルがポリマーシェル内に封入されたフレグランスを含む、マイクロカプセルの水性分散液が通常は得られる。その後、分散液は、家庭用洗剤、洗濯用製品、パーソナルケア製品及び化粧品のような摂取不可能な消費者製品等の最終製品に組み入れられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
手頃な加工費で多量のフレグランスを効率的に封入することを標的とする場合、既存のマイクロカプセル化技術は、必ずしも満足のいくものではない。事実上、通常の費用が手頃な技術により、多量のフレグランスを添加しようとの試みは失敗するか、最終的には不満足な品質の水性分散液をもたらす可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、摂取不可能な消費者製品、洗濯用製品、パーソナルケア製品、及び化粧品に含有させるのに適した水性分散液を提供する。また、本発明は、エマルション液滴が最終的にポリマーシェル内に封入されるようにエマルションを重合させることによって、経済的かつ効率的に得ることのできる水性分散液を提供する。
【0005】
本明細書は、フレグランスを含有するポリマーマイクロカプセルの水性分散液を開示する。本明細書に開示される分散液は、処理の容易さを適切に維持しながら、多量のフレグランスを含んでいる。また、分散液中に含まれるマイクロカプセルは、例えば、貯蔵時、特に液体媒体中での貯蔵時における、フレグランスの漏出の低減等の有利な安定性特性を示し得るので、フレグランスの最適な送達が実現する。このマイクロカプセルは、pH非依存的なシェル特性をも示し得る。これは、例えば、多くの家庭用液体製品、洗濯用パーソナルケア製品及び化粧品、例えば柔軟仕上げ剤及び制汗剤(酸性のpH)又は液体洗濯洗剤及び硬表面洗浄剤(アルカリ性のpH)において見ることができるように、マイクロカプセルが酸性(例えばpH2から)及びアルカリ性(例えばpH12以下)条件において良好なシェル安定性を示し得ることを意味する。本明細書はまた、フレグランス含有マイクロカプセルの水性分散液の容易かつ効率的な製造方法を開示する。本明細書はまた、本明細書で定義されているマイクロカプセルの水性分散液を含む、摂取不可能な消費者製品、洗濯用製品、パーソナルケア製品又は化粧品を開示する。具体的には、本明細書は以下の点を開示する:
【0006】
1.複数のマイクロカプセルを含み、各マイクロカプセルが、ポリマーシェル内に封入された香料組成物を含む水性分散液であって、
前記香料組成物がフレグランスを含み、
前記ポリマーシェルが、5nm(ナノメートル)〜1μm(マイクロメートル)の平均一次粒径を有する固体コロイド粒子を含み、
前記ポリマーシェルが、更にi)モノマー混合物中に化合物(I)〜(II)の総質量の30質量%〜80質量%の、モノエチレン性不飽和モノマー及び/又はジメチルジアリルアンモニウムクロリド(DMDAAC)である化合物(I)と、
ii)モノマー混合物中に化合物(I)〜(II)の総質量の20質量%〜70質量%の、ポリエチレン性不飽和モノマーである化合物(II)とを含むモノマー混合物を重合形態で含み、
フレグランスが水性分散液の総質量の20質量%〜45質量%に相当する、水性分散液。
【0007】
2.複数のマイクロカプセルを含み、各マイクロカプセルが、ポリマーシェル内に封入された香料組成物を含む水性分散液であって、
前記香料組成物がフレグランスを含み、
前記ポリマーシェルが、5nm(ナノメートル)〜1μm(マイクロメートル)の平均一次粒径を有する固体コロイド粒子を含み、
前記ポリマーシェルが、更にi)モノマー混合物中に化合物(I)〜(II)の総質量の30質量%〜80質量%の、モノエチレン性不飽和モノマー及び/又はジメチルジアリルアンモニウムクロリド(DMDAAC)である化合物(I)と、
ii)モノマー混合物中に化合物(I)〜(II)の総質量の20質量%〜70質量%の、ポリエチレン性不飽和モノマーである化合物(II)とを含むモノマー混合物を重合形態で含み、
化合物(I)として、20℃において20g/100mLを超える水溶性を有するモノマー(I)を含み、化合物(II)として、20℃において20g/100mLを超える水溶性を有するモノマー(II)を含み、前記モノマー混合物が、前記モノマー混合物の総質量の15質量%超60質量%未満のモノマー(I)及び(II)を含み、
フレグランスが水性分散液の総質量の20質量%〜45質量%に相当する、水性分散液。
【0008】
3.複数のマイクロカプセルを含み、各マイクロカプセルが、ポリマーシェル内に封入された香料組成物を含む水性分散液であって、
前記香料組成物がフレグランスを含み、
前記ポリマーシェルが、5nm〜1μmの平均一次粒径を有する固体コロイド粒子を含み、
前記ポリマーシェルが、更にi)モノマー混合物中に化合物(I)〜(II)の総質量の30質量%〜80質量%の、モノエチレン性不飽和モノマー及び/又はジメチルジアリルアンモニウムクロリド(DMDAAC)である化合物(I)と、
ii)モノマー混合物中に化合物(I)〜(II)の総質量の20質量%〜70質量%の、(メタ)アクリル酸のC−C24アルキルジ−又はポリエステル、(メタ)アクリル酸のC−C24アルキルジ−又はポリアミド、及びそれらの混合物からなる群から選択されるポリエチレン性不飽和モノマーである化合物(II)とを含むモノマー混合物を重合形態で含み、前記化合物(II)が、
A1.1モノマーあたり2個以上の(メタ)アクリレートエステル基、又は2個以上の(メタ)アクリレートアミド基を含み、かつ
B1.(メタ)アクリレートエステル基又はアミド基の数で一度割ると、85を超え、135未満の値を与える分子量を有し、
フレグランスが水性分散液の総質量の20質量%〜45質量%に相当する、水性分散液。
【0009】
4.前記フレグランスが、水性分散液の総質量の30質量%〜45質量%に相当する、前記1〜3のいずれか1に記載の水性分散液。
【0010】
5.前記化合物(I)が、フリーラジカル重合により重合可能な、(メタ)アクリレートモノマーから選択される、前記1〜4のいずれか1に記載の水性分散液。
【0011】
6.前記化合物が(I)、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、イソプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、及びそれらの混合物からなる群から選択される、前記1〜5のいずれか1に記載の水性分散液。
【0012】
7.前記化合物(I)が、
ia)配合の総質量の50質量%〜100質量%の、pH7及び20℃で2g/100mL以上の水への溶解度を有する中性のモノメタクリレートモノマー(Ia)、
ib)配合の総質量の0質量%〜50質量%の、他の中性のモノエチレン性不飽和モノマー(Ib)、及び
ic)配合の総質量の0質量%〜15質量%の、イオン化した、若しくはイオン化し得るモノエチレン性不飽和モノマー(Ic)の配合である、前記1〜5のいずれか1に記載の水性分散液。
【0013】
8.前記中性のモノメタクリレートモノマー(Ia)が、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート、及びそれらの混合物からなる群から選択される、前記7に記載の水性分散液。
【0014】
9.前記化合物(II)が、(メタ)アクリル酸と、直鎖若しくは分岐鎖のC−C24多価アルコール、及び/又はC−C24ポリエチレングリコールとのエステル化により得られるジ−又はポリエステルである、前記1〜8のいずれか1に記載の水性分散液。
【0015】
10.前記化合物(II)が、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、及び1,3−プロピレングリコールジメタクリレートの1種以上を含む、前記9に記載の水性分散液。
【0016】
11.摂取不可能な消費者製品、家庭用洗剤若しくは洗濯用製品、パーソナルケア製品又は化粧品である、前記1〜10のいずれか1に記載の水性分散液を含む製品。
【0017】
12.a)油相及び水相を含む水中油型エマルションを提供する工程であって、該エマルションが、
5nm〜1μmの平均一次粒径を有する固体コロイド粒子、
重合開始剤、
フレグランスを含む香料組成物、
乳化剤、及び
前記1〜10のいずれか1に記載のモノマー混合物、を混合することにより得られるエマルションである工程、
b)工程a)で得られた水中油型エマルション内で重合を誘発する工程;
c)重合を伝搬させてマイクロカプセルを得る工程を含む、前記1〜10のいずれか1に記載の水性分散液の製造方法であって、
前記フレグランスが、水中油型エマルションの総質量の20質量%〜70質量%、例えば20〜45質量%に相当する、前記方法。
【0018】
13.水中油型エマルションをマイクロカプセル化するための、5nm〜1μmの平均一次粒径を有する固体コロイド粒子の使用であって、前記水中油型エマルションが、水中油型エマルションの総質量の20質量%〜70質量%の量でフレグランスを含む、使用。
【発明の効果】
【0019】
前記水性分散液は、摂取不可能な消費者製品、洗濯用製品、パーソナルケア製品及び化粧品を含油させるのに適している。前記水性分散液は、エマルション液滴が最終的にポリマーシェル内に封入されるように、エマルションを重合させることによって、経済的かつ効率的な方法で得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
特に明記しない限り、全ての割合は質量%である。
【0021】
特に明記しない限り、「1つ」(“an”又は“a”)は、1以上を意味する。
【0022】
特に明記しない限り、全ての化学用語は、A D McNaught and A Wilkinson Blackwell Scientific Publications Oxford 1997、及びIUPAC Nomenclature of Organic Chemistryにより編集され、Blackwell Scientific Publications Oxford 1993 ISBN 0632034882により発行された、IUPAC Compendium of Chemical Terminology第二版により定義された意味を有する。
【0023】
特に明記しない限り、「混合物」、「1つの混合物」又は「モノマー混合物」は、化合物(I)〜(II)を含む混合物を意味する。
【0024】
特に明記しない限り、「モノマー」は、フリーラジカル重合により重合され得るモノマーを意味する。
【0025】
特に明記しない限り、「(メタ)アクリレート(又は「(メタ)アクリル」)は、メタクリレート(又はメタクリル)及び/又はアクリレート(又はアクリル)を意味する。例えば、それは、メタクリレート(又はメタクリル)を意味する。例えば、それはアクリレート(又はアクリル)を意味する。例えば、それは、メタクリレート(又はメタクリル)及びアクリレート(又はアクリル)を意味する。
【0026】
特に明記しない限り、メタクリレート及びアクリレートエステル基は、それぞれ85及び71質量単位の分子量を有し、下記構造を有する基である。
【0027】
【化1】
【0028】
前記式中、Aは、メタクリレートエステル基についてはCHであり、又はアクリレートエステル基についてはHである。
【0029】
特に明記しない限り、メタクリレート又はアクリレートアミド基は、それぞれ84及び70質量単位の分子量を有し、下記構造を有する基である。
【0030】
【化2】
【0031】
前記式中、Bはメタクリレートアミド基についてはCHであり、又はアクリレートアミド基についてはHである。
【0032】
特に明記しない限り、室温は20℃である。
【0033】
特定の物質、特に香料分子は、異なる異性体として(又は異なる異性体の混合物として)存在し得る。以下においては、特定の物質はそのCAS登録番号を用いて特定してもよい。これらの場合には、1つの異性体のCAS登録番号が報告される。しかし、特に明記しない限り、参考文献は存在する全ての異性体を包含すると理解される。
【0034】
本明細書は、複数のマイクロカプセルを含む水性分散液であって、各マイクロカプセルが、ポリマーシェル内に封入された香料組成物を含む、例えば、それらからなる水性分散液を開示する。「スラリー」又は「スラリー分散液」という用語は、以下、分散液を言及するために使用することもできる。
【0035】
分散液は、水性液体媒体(すなわち、分散媒体)、及び該媒体中に分散している複数の固体のマイクロカプセルを含み、例えば、基本的にはそれらからなる。製造工程において使用される微量の他の成分(例えば、重合開始剤及びその残り、未反応のモノマー)が存在していてもよい。
【0036】
分散液においては、フレグランスは、通常は分散液の質量の20質量%〜45質量%、例えば25質量%超、例えば30質量%超、又は33質量%超、及び40質量%未満、例えば35質量%未満に相当する。
【0037】
水性液体媒体は、水、例えば脱イオン水を含んでいてもよい。
【0038】
分散液は、後述するようなフリーラジカル重合工程により直接得ることのできる生成物であってもよい。
【0039】
分散液は、例えば本明細書において以下に議論される液体製品を製造するために都合よく使用することができる。したがって、スラリーは、液体製品に添加される濃縮液体として機能する。
【0040】
スラリーは、本発明のマイクロカプセルの貯蔵媒体としても都合良く使用することができる。最終製品に水が存在してはならない(又は水の量が制限されている)場合、スラリーを予備的に噴霧乾燥し、その後、噴霧乾燥した製品を意図する最終製品に加えることができる。
【0041】
香料含有マイクロカプセルの製造方法は、例えば、Benita及びSimonにより編集された、MICROENCAPSULATION(Marcel Dekker,Inc.1996):Methods and Industrial Applications、及びC.ThiesによるKirk Othmer Encyclopedia of Chemical Technology Microencapsulationに開示されている。フリーラジカル重合により得られるマイクロカプセルは、例えばカプセル化された香料の分野の研究者に周知であり、例えば、被験者に経口投与又は直腸投与するために薬学の分野で使用される、従来のシームレスソフトカプセル又はツーピースハードカプセル等の他の種類のカプセルとは構造的に(及び寸法的に)異なっている。
【0042】
本明細書に開示されるマイクロカプセルは、ヒト又は動物被験者に経口投与又は直腸投与することを意図していない。
【0043】
本明細書に開示されるマイクロカプセルは、約100nm〜800nm、例えば約200nm〜700nm、例えば約300nm〜600nmのシェル厚みを有している。
【0044】
本明細書に開示されるマイクロカプセルは、シェルに対する香料組成物の質量比が、50:1〜1:1、例えば30:1〜1:1、又は20:1〜1:1、例えば10:1〜1:1である。
【0045】
本明細書に開示されるマイクロカプセルは、実質的に球形であってもよい。
【0046】
本明細書に開示されるマイクロカプセルは、7.5ミクロン(7.5μm)以上、例えば10μm以上、例えば15μm以上、又は20μm以上、例えば25μm以上の平均粒径(体積中央粒径D(v;0.5))を有していてもよい。本明細書に開示されるマイクロカプセルは、60ミクロン(60μm)以下、例えば50μm以下、例えば45μm以下、例えば40μm以下の平均粒径を有していてもよい。本明細書に開示されるマイクロカプセルは、7.5ミクロン(7.5μm)〜60ミクロン(60μm)、7.5μm〜50μm、10μm〜50μm、7.5μm〜45μm、10μm〜45μm、15μm〜45μm、15μm〜40μm、20μm〜45μm、25μm〜45μm、25μm〜40μm、又は25μm〜35μmの平均粒径を有していてもよい。
【0047】
フリーラジカル重合により得られるマイクロカプセルは、通常は非常に小さい平均粒径を有する(例えば、約7ミクロン未満)。このサイズが効率的な重合に良好に対処し、その結果良好な特性を有するカプセルに導くという技術的信念によるものである可能性がある。同時に、平均粒径は最終的なカプセルの漏出に著しく影響しないとも考えられている。本出願人により得られた実験結果によれば、漏出の観点から利点をもたらし得る大きなサイズ、及び大きい平均粒径を標的とする場合には、重合による大きな問題に直面しないことが示された。黒い表面に沈着した場合に肉眼では見えない寸法を有するマイクロカプセルが望まれる場合、例えば、70ミクロン未満の平均粒径を標的とすることが推奨される。
【0048】
マイクロカプセルの平均粒径を測定するために、本明細書において使用される好ましい技術は、ISO 13320「粒径解析−レーザ回折法」に記載されている一般的ガイドラインに従い、例えば、Horiba(登録商標)若しくはMalvern(登録商標)レーザー散乱粒径分布分析装置、又は低角レーザー光散乱(LALLS)の原理で機能する同等の装置を使用する光散乱である。
【0049】
マイクロカプセルポリマーシェルは、例えば動的光散乱により測定し、5nm〜1μmの平均一次粒径を有する固体コロイド粒子(粒子状コロイドとしても知られている)を含む。マイクロカプセル製造のためのフリーラジカル重合は、一般に水中油型エマルションの初期形成を含む。粒子状のコロイドは、限定コアレッセンスにより安定化されたピッカリング水中油型エマルションを得ることを可能にする。ピッカリングエマルションの形成法は公知である。これは、例えば、Whitesides及びRoss,J.Interface Colloid Sci.196,48−59(1995)で議論されている。
【0050】
本明細書に開示されるマイクロカプセルにおいて固体コロイド粒子を形成するのに適切に使用することのできる材料の例は、シリカ、石英、ガラス、アルミニウム(AIO(OH))、アルミノケイ酸塩(例えば、クレイ)、ケイ素、銅、スズ(SnO)、タルク、無機酸化物又は水酸化物(例えば、Fe、TiO、Cr)、鋼、鉄、アスベスト、ニッケル、亜鉛、鉛、大理石、チョーク(CaCO)、石膏(CaSO)、バライト(例えば、BaSO)、グラファイト及びカーボンブラックである。好ましい材料は、シリカ、アルミノケイ酸塩、及び無機酸化物又は水酸化物である。シリカは非常に好ましい材料である。
【0051】
本発明に適切な固体コロイド粒子は、表面を改質していても、又はしていなくてもよい。表面改質は、水相及び油相の界面を分割する能力を材料に与えるか、材料とマイクロカプセルポリマーシェルとの間の適合性を向上させることができる。表面改質の例としては、粒子の疎水性を増大し、又は低減するための化学処理が挙げられる。また、適切な界面活性特性を付与するために粒子表面に表面改質剤を吸着させることができる。また、粒子は、材料及びマイクロカプセルポリマーシェル間の適合性を向上させるカップリング剤により修飾することができる。粒子表面を改質するための技術は、例えば、「Nanoparticle Technology handbook」第1版、2007年、Application 41(第593頁〜596頁)、「Surface modification of inorganic nanoparticles by organic functional groups」で議論されている。改質された(並びに改質されていない)固体コロイド粒子は市販されている。
【0052】
適切なコロイド状シリカの例は、乾燥ヒュームドシリカ(例えばEvonik(登録商標)から提供されるAerosil(登録商標))、又は水性コロイド状シリカ分散液(Du Pont(登録商標)から提供されるLudox(登録商標)で市販されているもの等)であってもよい。乾燥シリカ粒子は、ヒュームドシリカ粒子又は縮合シリカ粒子であってもよい。ヒュームドシリカは、10μm〜100μmの範囲の液滴サイズのエマルションを安定させるのに特に適応される。より大きい液滴については、コロイド状シリカはより適している。ヒュームドシリカの適切なグレードは、Aerosil(登録商標)200(比表面積が200m/gの親水性ヒュームドシリカ)、BET比表面積が190±20m/gで、平均一次粒径が約12nmのAerosil(登録商標)R816であり、いずれもEvonik(登録商標)から入手可能である。
【0053】
固体コロイド粒子の量は、複数のマイクロカプセルの総質量の0.005質量%〜10質量%、例えば0.01質量%〜5質量%、例えば0.02質量%〜3質量%、例えば0.05質量%〜2質量%、又は0.1質量%〜1質量%、例えば0.25質量%であってもよい。
【0054】
本明細書に定義される固体コロイド粒子の使用により、得られる分散液の品質(例えば、取り扱い性、分散液の良好な加工性を可能にする)を適切に維持しながら、フレグランスの望ましい高積載の申し分のない効率的なマイクロカプセル化が可能になることがわかった。これにより、克服しがたい製造のハードルに直面せず、非理想的な分散品質を許容せずに、通常よりも多くのフレグランスを封入することが可能になる。これらの結果は、全体の処理中に、特に重合中に、高せん断のような複雑で高価な製造技術に依存することなく達成可能である。
【0055】
いかなる理論にも拘束されることを意図しないが、請求項に記載の使用の利点は、主に、本発明の水性分散液中で測定した粘度値が、固体コロイド粒子を含まない以外、同一の条件で得られる同一の水性分散液において、同一の測定条件で測定した対応の値に対して一般的に改善されることに注目することによって、実験的に確認することができる。粘度に関する改善は、通常、スパン比に関して対応する改善にも反映される。したがって、スパン比及び/又は粘度は、水性分散液の品質を評価するのに有益な手段であり得る。実際に、それらはまた、分散液中のマイクロカプセルの大きさの均一性及びマイクロカプセルの量の指標を提供しながら、重合の際に水相中に形成される(不要な)一般的に非常に小さいラテックス粒子の量を反映する。
【0056】
同一の条件は、好ましくは同一の質的及び量的条件、例えば、同一のフレグランス積載量、及びフレグランスの化学的性質、同一のモノマー混合物、同一の製造条件、及び同一の製造成分である。
【0057】
化合物(I)は、好ましくはモノエチレン性不飽和モノマーである。
【0058】
フリーラジカル重合により重合可能な適切なモノエチレン性不飽和モノマーの例は、アルファ−オレフィン;ブタジエン等のジエン;スチレン、アルファ−メチルスチレン、ナトリウム−4−スチレンスルホネート;エチルビニルエーテル、クロロエチルビニルエーテル、ビニルトリメチルシラン等のビニルエーテル;メチルビニルケトン等のビニルケトン;ビニルナフタレン;4−ビニル安息香酸;アリル及びビニルクロロ酢酸;ハロゲン化ビニル及びハロゲン化ビニリデン、例えば、臭化ビニル、塩化ビニリデン;酢酸ビニル;2−ビニルピリジン及び4−ビニルピリジン;N−ビニルピロリドン;アクリル酸及び誘導体、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸;イタコン酸及びイタコン酸ジブチル等のイタコン酸エステル;アクリル酸のエステル、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸オクチル、アクリル酸オクタデシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸シアノエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、2−[[(ブチルアミノ)カルボニル]オキシ]エチルアクリレート、アクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、3−スルホプロピルアクリレートカリウム塩、ポリ(プロピレングリコール)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート;メタクリル酸のエステル、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、モノ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート、ジ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、トリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート、2−(ジエチルアミノ)エチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−(tert−ブチルアミノ)エチルメタクリレート、2−エチル(2−オキソイミダゾリジン−1−イル)メタクリレート、メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル;アクリルアミド及びメタクリルアミド、例えばメチルアクリルアミド、4−アクリロイルモルホリン、N−メチロールアクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、N−ブトキシメタクリルアミド、N−(3−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、3−トリメチルアンモニウムプロピルメタクリルアミドクロリド;クロトン酸アルキル、及び関連エステル、例えばクロトン酸メチル;環状オレフィン及び多環状オレフィン化合物、例えばシクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、及び炭素原子20個以下の環状誘導体;多環式誘導体、例えば、ノルボルネン、及び炭素原子20個以下の類似の誘導体;環状ビニルエーテル、例えば2,3−ジヒドロフラン、3,4−ジヒドロピラン、及び類似の誘導体;アリルアルコール誘導体、例えば炭酸ビニルエチレン;並びに二置換オレフィン、例えばマレイン酸及びフマル酸化合物、例えば無水マレイン酸、ジエチルフマル酸である。
【0059】
具体的には、化合物(I)の適切な例は:
a)C−Cモノエチレン性不飽和モノ−又はポリカルボン酸、
b)C−Cモノエチレン性不飽和モノ−又はポリカルボン酸のアミド;
c)一置換又は多置換されていてもよい、C−Cモノエチレン性不飽和モノ−又はポリカルボン酸のC−C24の直鎖状又は分岐鎖アルキルエステル、及び
d)一置換又は多置換されていてもよい、C−Cモノエチレン性不飽和モノ−又はポリカルボン酸のC−Cシクロアルキルエステルであり、ここで、任意の置換基は、−OH、−OR、−C(O)R、−NH、−NHR、−NR、−NR、−C−C芳香族環又芳香族複素環、及びC−C10のシクロ又は複素環アルキルである(RはC−Cアルキルである)。カルボン酸は、好ましくはメタクリル酸等のモノカルボン酸である。
【0060】
例えば、化合物(I)は、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、2−(ジエチルアミノ)エチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−(tert−ブチルアミノ)エチルメタクリレート、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、3−トリメチルアンモニウムプロピルメタクリルアミドクロリド、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリルアミド、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸テトラヒドロフリル、グリシジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート、2−エチル(2−オキソイミダゾリン−1−イル)メタクリレート、アクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド及びそれらの混合物から選択される。
【0061】
化合物(I)は、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−または3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、及びそれらの混合物、例えばメタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、及びそれらの混合物から選択することができる。
【0062】
化合物(I)は、メタクリル酸と、メタクリル酸メチル及び/又はエチルとの組み合わせであってもよい。この組み合わせは、混合物中、化合物(I)〜(II)の総質量の30質量%〜60質量%、例えば35質量%〜60質量%の量で使用することができる。この組み合わせにおいて、メタクリル酸は、混合物中、化合物(I)〜(II)の総質量の35質量%〜50質量%、例えば45質量%〜47質量%、メタクリル酸メチル又はエチルは、0質量%〜15質量%、例えば0質量%〜8質量%存在し得る。
【0063】
有利には、化合物(I)は、モノメタクリレート不飽和モノマーであり、これは、1個のメタクリレートエステル基を含むことを意味する。実際に、酸性又はアルカリ性pH、及び高温度の貯蔵に長時間さらすと、メタクリレートはアクリレートよりも加水分解を受けにくいことが示された。したがって、化合物(I)は、アクリル酸のC−C24アルキル若しくはC−Cシクロアルキルエステル、又はアミド等のアクリル酸誘導体を含まないことが有利である可能性がある。
【0064】
一実施態様では、モノマー混合物は、
化合物(I)及び(II)の総質量の、例えば30質量%〜60質量%、例えば35質量%〜60質量%の化合物(I)を含み、化合物(I)は、
ia)配合の総質量の50質量%〜100質量%、例えば60質量%〜100質量%、例えば70質量%〜100質量%の、20℃で2g/100mL以上の水への溶解度を有する中性のモノメタクリレートモノマー(Ia)、
ib)配合の総質量の0質量%〜50質量%、例えば0質量%〜40質量%、例えば0質量%〜30質量%の、他の中性のモノエチレン性不飽和モノマー(Ib)、及び
ic)配合の総質量の0質量%〜15質量%、例えば0質量%〜5質量%の、イオン化した、若しくはイオン化し得るモノエチレン性不飽和モノマー(Ic)の配合である。
【0065】
モノマー(Ia)〜(Ic)の上記配合を採用することにより、家庭用液体製品、洗濯用パーソナルケア製品及び化粧品、例えば柔軟仕上げ剤及び制汗剤(酸性pH)、又は液体洗濯洗剤及び硬表面洗浄剤(アルカリ性pH)において通常に接触するpH範囲においてpH非依存的であるシェル特性を示すマイクロカプセルを得ることができる。例えば、このpH範囲は2〜12、例えば、4より大きく、例えば4〜12を含む。したがって、前記混合物を用いて得ることのできるマイクロカプセルを含む製品(後述する)は、室温で液体であり、例えば4を超える、例えば4を超え、12未満のpHを有することが特に有利である。
【0066】
本明細書において、また特に明記しない限り、「中性」は、モノメタクリレートモノマーがイオン化しないか、又は2及び12のpHで20℃で脱イオン水中で測定したときにイオン化した量が20モル%未満であることを意味する。例えば、第4級アミン、例えば第4級アルキルアンモニウム塩等の持続的にイオン化される官能基を含まない場合、モノメタクリレートモノマーは中性である。例えば、中性モノメタクリレートモノマーは、そのプロトン化された種が約12.5を超える、例えば約12.7を超える、例えば約13を超える、例えば約13〜30のpKを有する官能基を含んでいてもよい。例えば、カルボン酸基、第1級又は第2級アミン基等の官能基を含まない場合、モノメタクリレートモノマーは中性である。また、中性のモノメタクリレートモノマーは、第1級アルコール、第1級又は第2級アミド又はエーテル基等の官能基を含んでいてもよい。
【0067】
モノマー(Ia)は、pH7及び20℃の水中で、2g/100mL以上、例えば3g/100mLを超える、例えば4g/100mLを超える、又は5g/100mLを超える溶解度を有する。モノマー(Ia)は親水性である。水溶性は、1995年7月27日に承認されたOECD法105−水溶性(化学物質の試験のためのOECDガイドライン)に従って、都合よく測定される。
【0068】
モノマー(Ia)は、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、メタクリルアミド、グリシジルメタクリレート、メタクリロニトリル、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート、例えばPEG単位の平均数が3〜20、例えば5〜10のPEG300 メタクリレートメチルエーテル、又は例えばポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート(例えば、トリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート;テトラエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート;ペンタエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート;デカエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート;ペンタデカエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート)、及びそれらの混合物から選択することができる。例えば、モノマー(Ia)は、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、トリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート;PEG300メタクリレートメチルエーテル、及びそれらの混合物から選択することができる。例えば、モノマー(Ia)は、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート及びそれらの混合物から選択することができる。
【0069】
好ましくは、モノマー(Ia)は少なくとも2−ヒドロキシエチルメタクリレートを含む。例えば、2−ヒドロキシエチルメタクリレートは、混合物中のモノマー(Ia)の、少なくとも10質量%、少なくとも20質量%、少なくとも30質量%、少なくとも40質量%、少なくとも50質量%、少なくとも60質量%、少なくとも70質量%、少なくとも80質量%、又は少なくとも90質量%に相当し得る。モノマー(Ia)は、2−ヒドロキシエチルメタクリレートから構成されていてもよい。
【0070】
モノマー(Ib)は、モノマー(Ia)以外の、すなわち、モノマー(Ia)とは異なる中性のモノエチレン性不飽和モノマーである。中性は前述のように定義される。
【0071】
モノマー(Ib)の適切な例は:置換されていてもよい、C−Cのモノエチレン性不飽和モノ−又はポリカルボン酸のC−C24の直鎖又は分岐鎖アルキルエステル、及び置換されていてもよい、C−Cのモノエチレン性不飽和モノ−又はポリカルボン酸のC−Cのシクロアルキルエステルであってもよい。
【0072】
任意の置換基は、−OH、−OR、−C(O)R(ここで、RはC−Cアルキルである)であるが、好ましくは、モノ−又はポリカルボン酸はメタクリル酸である。
【0073】
モノマー(Ib)は、好都合なことに、2g/100mL未満のpH7及び20℃における水への溶解度を有していてもよい。モノマー(Ib)は疎水性のものである。水溶性は、1995年7月27日に承認されたOECD法105−水溶性(化学物質の試験のためのOECDガイドライン)に従って、都合よく測定される。
【0074】
モノマー(Ib)は、メタクリル酸メチル、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、モノ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート、ジ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート、及びそれらの混合物から選択することができる。例えば、モノマー(Ib)は、メタクリル酸メチル及び/又はエチルメタクリレートから選択することができる。
【0075】
好ましくは、モノマー(Ib)は少なくともメタクリル酸メチルを含む。好ましくは、モノマー(Ib)は少なくともエチルメタクリレートを含む。例えば、メタクリル酸メチル及び/又はエチルメタクリレートは、混合物中に存在する全てのモノマー(Ib)の総質量の、少なくとも10質量%、例えば少なくとも20質量%、例えば少なくとも30質量%、例えば少なくとも40質量%、少なくとも50質量%、少なくとも60質量%、少なくとも70質量%、例えば少なくとも80質量%、例えば少なくとも90質量%の量で存在していてもよい。モノマー(Ib)は、メタクリル酸メチル及び/又はエチルメタクリレートから構成されていてもよい。
【0076】
モノマー(Ic)は、イオン化した、又はイオン化し得るモノエチレン性不飽和モノマーである。
【0077】
本明細書において、また特に明記しない限り、「イオン化した、又はイオン化し得る」は、モノマー(Ic)が持続的にイオン化しているか、又は2又は12のpHで20℃で脱イオン水中で測定したときに20モル%より多くの量がイオン化していることを意味する。第4級アミン、例えば第4級アルキルアンモニウム塩等の持続的にイオン化している官能基を含む場合、モノマー(Ic)はイオン化した、又はイオン化し得る。例えば、モノマー(Ic)は、そのプロトン化された種が約12.5未満、例えば約11未満、例えば約10未満、例えば0〜10のpKを有する官能基を含んでいてもよい。例えば、イオン化した、又はイオン化し得るモノマー(Ic)は、カルボン酸基、スルホン酸基及び第1級若しくは第2級アミン基等の官能基を1つ以上含んでいてもよい。
【0078】
モノマー(Ic)の例は、(メタ)アクリル酸、3−(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド(DMDAAC)、マレイン酸、イタコン酸、2−(ジエチルアミノ)エチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−(tert−ブチルアミノ)エチルメタクリレート、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、アクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、2−エチル(2−オキソイミダゾリジン−1−イル)メタクリレート、及びそれらの混合物である。好ましい例は、メタクリル酸及び/又は3−(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリドである。
【0079】
化合物(II)は、カプセルシェルの製造における、その架橋作用のため、架橋剤と呼ぶこともできる。
【0080】
化合物(II)はポリエチレン性不飽和モノマーである。
【0081】
フリーラジカル重合により重合させ得るポリエチレン性不飽和モノマーの例は:ポリオールのポリアクリル酸エステル、例えばエチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート;ポリオールのポリメタクリル酸エステル、例えばエチレングリコールジメタクリレート、1,3−プロピレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エトキシル化ペンタエリスリトールテトラメタクリレート(MW約585);アクリロイルオキシエチルメタクリレート、及び3−(アクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート;ジアリルアミン等のポリアリルアミン;ポリアリルエーテル、例えば、ジアリルエーテル、アジピン酸ジアリル、フタル酸ジアリル、ジアリルイソフタレートトリメチロールプロパンジアリルエーテル;ポリアクリルアミド化合物、例えば、N,N’−メチレンビスアクリルアミド;及びジビニルベンゼン及びジビニルスルホン等のジビニル化合物である。
【0082】
具体的には、ポリエチレン性不飽和モノマーの例は、ポリビニルモノマー、例えばジビニルベンゼン及びトリビニルベンゼン、及び/又はジ−若しくはポリ(メタ)アクリレートモノマーであってもよい。後者のモノマーは、2種以上の(メタ)アクリレートエステル又はアミド基を含んでいてもよい。
【0083】
(メタ)アクリル酸のC−C24アルキルジ−又はポリアミドの例は、メラミン及び(メタ)アクリル酸の反応により得られる、N,N−メチレンビス(2−メチル(メタ)アクリルアミド)、N,N−エチレンビス(2−メチル(メタ)アクリルアミド)及びアミドである。
【0084】
好ましくは、化合物(II)は、メタクリル酸のC−C24アルキルジ−又はポリエステル、メタクリル酸のC−C24アルキルジ−又はポリアミド、及びそれらの混合物、例えば、メタクリル酸のC−C24アルキルジ−又はポリエステル、メタクリル酸のC−C24アルキルジ−又はポリアミド、及びそれらの混合物、例えば、メタクリル酸のC−C24アルキルジ−又はポリエステルからなる群から選択される。
【0085】
適切なジ−又はポリエステルは、メタクリル酸と、直鎖若しくは分岐鎖のC−C24多価アルコール、例えばC−C12のアルコール、又はC−C24、例えばC−C12のポリエチレングリコールとのエステル化により得られるものである。適切な多価アルコールは、約6000以下の数平均分子量を有するものであってもよい。適切なポリエチレングリコールは、約7500以下の数平均分子量を有するものであってもよい。多価アルコールは、有利にはジオールである。ポリエチレングリコールは、有利には、ジ−、トリ−、又はテトラ−エチレングリコールである。
【0086】
化合物(II)の例は、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート(分子量MW約226);1,3−ブチレングリコールジメタクリレート(MW約226);ペンタエリスリトールトリメタクリレート(MW約340);グリセロールトリメタクリレート(MW約296);1,2−プロピレングリコールジメタクリレート(MW約212)、1,3−プロピレングリコールジメタクリレート(MW約212)、エチレングリコールジメタクリレート(MW約198)、ジエチレングリコールジメタクリレート(MW約242);グリセロールジメタクリレート(MW約228);1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート(MW約226)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(MW約338);エトキシル化ペンタエリスリトールテトラメタクリレート(MW約585)、及びそれらの混合物である。好ましい例は、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、1,3−プロピレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、及びそれらの混合物、例えば、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−プロピレングリコールジメタクリレート、及びそれらの混合物である。
【0087】
化合物(II)は、少なくとも1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、1,3−プロピレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、又はジメチレングリコールジメタクリレート、例えば、少なくとも1,4−ブチレングリコールジメタクリレート及び/又はエチレングリコールジメタクリレート及び/又は1,3−プロピレングリコールジメタクリレートを含んでいてもよい。例えば、化合物(II)は、少なくとも1,4−ブチレングリコールジメタクリレートを含むか、それから構成される。例えば、化合物(II)は、少なくともエチレングリコールジメタクリレートを含むか、それから構成される。例えば、化合物(II)は、少なくとも1,3−プロピレングリコールジメタクリレートを含むか、それから構成される。例えば、化合物(II)は、混合物中の化合物(II)の総質量の少なくとも10質量%、例えば少なくとも20質量%、例えば少なくとも30質量%、例えば少なくとも40質量%、又は少なくとも50質量%、又は少なくとも60質量%、又は少なくとも70質量%、例えば少なくとも80質量%、又は少なくとも90質量%の量で前記架橋剤を含んでいてもよい。
【0088】
一態様では、化合物(II)は(メタ)アクリル酸のC−C24アルキルジ−又はポリエステルであり、
A1.1モノマーあたり2個以上、例えば2〜6個、又は2〜4個、例えば2、3又は4個の(メタ)アクリレートエステル基又はアミド基を含んでいてもよく、
B1.(メタ)アクリレートエステル基又はアミド基の数で一度割ると、約85を超え、例えば約90を超え、約135未満、例えば約121未満の値を与えるMW(分子量、質量単位として表す)を有する。
【0089】
一実施態様では、化合物(II)は、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−プロピレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、及びジエチレングリコールジメタクリレートの任意の1以上が除外されることを条件とし、前記条件A1及びB1を満たしている。
【0090】
化合物(II)は、化合物(I)〜化合物(II)の総質量の30〜60質量%、又は35〜60質量%、又は40〜55質量%存在し得る。
【0091】
一実施態様では、水性分散液は、化合物(I)として、20℃において20g/100mLを超える水溶性を有するモノマー(I)を含み、化合物(II)として、20℃において20g/100mLを超える水溶性を有するモノマー(II)を含み、前記モノマー混合物が、モノマー(I)及び(II)のモノマー混合物の総質量の15質量%超60質量%未満を含む。所定のモノマーの水溶性は、そのモノマーが中性であるpHで測定される(水溶性によるイオン化の影響が拡大するのを防止するため)。例えば、中性は、所定のモノマーが、20℃の脱イオン水中で測定されたときに20モル%未満の量でイオン化されていないか、イオン化されているpHを意味する。
【0092】
モノマー混合物は、化合物(I)〜(II)の総質量の30〜60質量%、例えば35〜60質量%の化合物(I)と、20〜70質量%、例えば35〜60質量%の化合物(II)とを含み、例えばそれらからなる。
【0093】
例えば、シェルは、i)混合物中に化合物(I)〜(II)の総質量の30質量%〜60質量%の、メタクリル酸とメタクリル酸メチル若しくはエチルの組み合わせである化合物(I)と、
ii)混合物中に化合物(I)〜(II)の総質量の20質量%〜70質量%、好ましくは30質量%〜60質量%の、メタクリル酸のC−C24アルキルジ−若しくはポリエステル、メタクリル酸のC−C24アルキルジ−若しくはポリアミド、及びそれらの混合物、例えば、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−プロピレングリコールジメタクリレート及びそれらの混合物から選択されるモノマー等から選択される化合物(II)を含むモノマー混合物を重合形態で含む。
【0094】
例えば、シェルは、
i)混合物中に化合物(I)〜(II)の総質量の30質量%〜70質量%、例えば30質量%〜60質量%の化合物(I)と、
ii)混合物中に化合物(I)〜(II)の総質量の20質量%〜70質量%、例えば30質量%〜60質量%の化合物(II)とを含み、好ましくはそれらからなるモノマー混合物を重合形態で含有し、
前記化合物(I)は、ia)配合の総質量の70〜100質量%の2−ヒドロキシエチルメタクリレートと、
ib)配合の総質量の0質量%〜30質量%のメタクリル酸のC−C24の直鎖状又は分岐鎖のアルキルエステル、例えばメタクリル酸メチル及び/又はエチルと、
ic)配合の総質量の0質量%〜5質量%のメタクリル酸及び/又は3−(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリドの組み合わせとを含む配合であり、
前記化合物(II)は、メタクリル酸のC−C24アルキルジ−又はポリエステル、メタクリル酸のC−C24アルキルジ−又はポリアミド、並びにそれらの混合物から選択され、例えば1,4−ブタンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−プロピレングリコールジメタクリレート、及びそれらの混合物から選択される。
【0095】
モノマー混合物は、本明細書で定義するように、化合物(I)〜(II)から構成されていてもよく、これは、化合物(I)〜(II)の合計量が混合物の質量の100%になることを意味する。
【0096】
モノマー混合物は、本明細書で定義した化合物(I)及び(II)以外のモノエチレン性不飽和モノマーを実質的に含まない。
【0097】
モノマー混合物は、本明細書で定義した化合物(II)以外のポリエチレン性不飽和モノマーを実質的に含まない。
【0098】
モノマー混合物は、中性若しくはイオン化形態のいずれかで、カルボン酸(−COOH)基、及び/又は第1級若しくは第2級アミン基を含むアクリル酸等のモノマー;アクリル酸のC−C24アルキルモノエステル;アクリル酸のC−C24アルキルポリ(例えば、ジ−、トリ−、テトラ−又はペンタ)エステル(架橋剤);カルボン酸無水物基(例えば、3〜20個の炭素原子を有するモノエチレン性不飽和モノカルボン酸の対称又は非対称分子間無水物)を含むモノマー;アルキレンビス(メタ)アクリルアミド基を含むモノマー(例えば、N,N’−非置換C1−18アルキレンビス(メタ)アクリルアミド、又は直鎖若しくは環状のΝ,Ν’−置換C1−18アルキレンビス(メタ)アクリルアミドであって、置換基が、C1−8アルキル、C1−8ヒドロキシアルキル、又は2〜500個のアルキレン単位のポリオキシ(C1−4)アルキレン、又はそれが結合している窒素原子と一緒に5〜8員環を形成するアルキル置換基から選択される)の1以上を実質的に含まない。
【0099】
モノマー混合物は、好ましくは、アクリル酸のC−C24アルキルモノエステル、及び/又はアクリル酸のC−C24アルキルポリエステルを実質的に含まない。例えば、好ましくは、モノマー混合物は、アクリル酸、アクリル酸のC−C24アルキルモノエステル、アクリル酸のC2−C24アルキルポリエステル及び(メタ)アクリル酸のC−C24アルキルポリアミドを実質的に含まない。例えば、モノマー混合物は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸、アクリル酸のC1−24アルキルモノエステル、アクリル酸のC−C24アルキルポリエステル、及び(メタ)アクリル酸のC−C24アルキルポリアミドを実質的に含まない。
【0100】
本明細書において、また特に明記しない限り、実質的に含まないとは、混合物の総質量の5質量%未満、例えば1質量%未満、例えば0質量%を意味する。
【0101】
香料組成物は、通常、必ずしも心地よい香りを提供しないが、フレグランス、すなわち、嗅覚的に活性な(すなわち芳香性の)物質を含み、例えば、それらからなる。
【0102】
本明細書に開示される香料組成物は、香料的に許容される溶媒及び/又は有利な薬剤を含んでいてもよい。例えば、分散液の質量に対し、フレグランスの質量を規定することを条件とし、フレグランスは、香料組成物の総質量の少なくとも40質量%、例えば少なくとも60質量%、例えば少なくとも80質量%、例えば少なくとも90質量%に相当し得、残りは、以下に定義するような香料的に許容される溶媒、及び/又は有利な薬剤を表す。
【0103】
フレグランスは、単一の、通常は有機分子、又は異なる分子の混合物から構成されてもよい。以下、これらの分子を「香料分子」とも呼ぶ。
【0104】
香料の分野において通常に使用され、本明細書の目的に適切なフレグランスは、Allured Publishing Corp.により発行された、S.Arctander,Perfume Flavors and Chemicals 1969,Vols.I及びII,Montclair,N.J及びAllured’s Flavor and Fragrance Materials 2007 ISBN 978−1−93263326−9に更に詳細に開示されている。フレグランスという用語には、香料として使用されることが知られている、天然並びに合成化学物質の両者が含まれる。香料分子は、有利には、バランスのとれた揮発度/疎水性を示し、マイクロカプセルがフレグランスを放出する時に嗅覚が顕著になるだけでなく、カプセル化の際に乳化されるべくフレグランスを十分に水不溶性にする。
【0105】
香料組成物は、少なくとも2種、例えば少なくとも4種、又は少なくとも8種の異なるフレグランスを含んでいてもよい。多量のフレグランスの複合混合物を効率的に封入することは、これらの混合物の化学的多様性のために特に困難である。実際に、種々の香料分子内の構造的差異は、効率的な封入を実施し、適切な品質が付与された水性分散液を得るに際して大きな困難をもたらす可能性がある。
【0106】
例えば、フレグランスは、その組合せが−20℃〜120℃の温度で固液相変化を示さない、少なくとも2種の異なる香料分子を含んでいてもよい。
【0107】
フレグランスは、それぞれが100を超える、好ましくは125を超え、325未満、好ましくは300未満、さらに好ましくは275未満の分子量を有する、1種以上の異なる香料分子を含んでいてもよい。フレグランスは、760mmHgで測定したときに、それぞれが約80℃〜400℃、例えば約100℃〜350℃の沸点を有する、1種以上の異なる香料分子を含んでいてもよい。香料分子は、20℃で1.5g/100mL未満の水への溶解度を有することが好ましい。例えば、本発明のフレグランスは、前記に定義した香料分子のフレグランスの質量の少なくとも80質量%を含むことが可能である。例えば、フレグランス中に存在する全ての香料分子の総質量の少なくとも90質量%は、0.0005g/100mL、例えば0.002g/100mL〜1g/100mLの20℃における水溶性を有する1種以上の香料分子に相当し得る。
【0108】
香料分子の例は、(a)3−カレン;アルファ−ピネン;ベータ−ピネン;アルファ−テルピネン;ガンマ−テルピネン;p−シメン;カンフェン;カリオフィレン,セドレン;ファルネセン;リモネン;ロンギホレン;ミルセン;オシメン;バレンセン;(E,Z)−1,3,5−ウンデカトリエン等の炭化水素;
(b)ヘキサノール;オクタノール;3−オクタノール;2,6−ジメチルヘプタン−2−オール;2,6−ジメチルヘプタン−4−オール;2−メチルヘプタノール;2−メチルオクタノール;(E)−3−ヘキセノール;(E)及び(Z)−3−ヘキセノール;1−オクテン−3−オール;(E,Z)−2,6−ノナジエノール;3,7−ジメチル−7−メトキシオクタン−2−オール;9−デセノール;10−ウンデセノール;4−メチル−3−デセン−5−オール;ボルネオール;シトロネロール;ゲラニオール;エチルリナロール;ネロール;リナロール;ラバンジュロール;テトラヒドロリナロール;テトラヒドロゲラニオール;ジヒドロミルセノール;テトラヒドロミルセノール;2,6−ジメチル−3,5−オクタジエン−2−オール;3,7−ジメチル−4,6−オクタジエン−3−オール;メントール;イソプレゴール;アルファ−テルピネオール;テルピネオール−4;メンタン−8−オール;メンタン−1−オール;メンタン−7−オール;イソボルネオール;ノポール;ベチベロール;グアイオール;ベンジルアルコール;1−フェニルエチルアルコール;2−フェニルエチルアルコール;3−フェニルプロパノール;2−フェニルプロパノール;2−フェノキシエタノール;2,2−ジメチル−3−フェニルプロパノール;2,2−ジメチル−3−(3−メチルフェニル)プロパノール;1,1−ジメチル−2−フェニルエチルアルコール;1,1−ジメチル−3−フェニルプロパノール;1−エチル−1−メチル−3−フェニルプロパノール;2−メチル−5−フェニルペンタノール;3−メチル−5−フェニルペンタノール;3−フェニル−2−プロペン−1−オール;4−メトキシベンジルアルコール;1−(4−イソプロピルフェニル)エタノール;アルファ−3,3−トリメチルシクロヘキシルメタノール;2−メチル−4−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンタ−1−イル)ブタノール;2−メチル−4−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンタ−1−イル)−2−ブテン−1−オール;2−エチル−4−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンタ−1−イル)−2−ブテン−1−オール;3−メチル−5−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンタ−1−イル)−ペンタン−2−オール;3−メチル−5−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンタ−1−イル)−4−ペンテン−2−オール;3,3−ジメチル−5−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンタ−1−イル)−4−ペンテン−2−オール;1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)ペンタン−3−オール;1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)ヘキサン−3−オール;4−tert−ブチルシクロヘキサノール;2−tertブチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール;3−イソカンフィルシクロヘキサノール;2,6,9−トリメチル−Z2,Z5,E9−シクロドデカトリエン−1−オール;2−イソブチル−4−メチルテトラヒドロ−2H−ピラン−4−オール;(1S,2R,5S,7R,8R)−2,6,6,8テトラメチルトリシクロ[5.3.1.01,5]ウンデカン−8−オール等の脂肪族、脂環式及びアルキル芳香族アルコール類;及び対応するそれらのギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、イソ酪酸塩、酪酸塩、イソ吉草酸塩、吉草酸塩、ヘキサン酸塩、クロトン酸塩、グリコール酸塩、3−メチル−2−ブテン酸エステル;
(c)エストラゴール;アネトール;オイゲノール;オイゲニルメチルエーテル;イソオイゲノール;イソオイゲノールメチルエーテル;チモール;カルバクロール;ジフェニルエーテル;ベータ−ナフチルメチルエーテル;ベータ−ナフチルエチルエーテル;ベータ−ナフチルイソブチルエーテル;1,4−ジメトキシベンゼン;酢酸オイゲニル;2−メトキシ−4−メチルフェノール;2−エトキシ−5−(1−プロペニル)フェノール;2−メトキシ−4−プロピルフェノール;p−クレシルフェニルアセテート等のフェノール類、フェニルエーテル類及びフェニルエステル類;
(d)ヘキサナール;ヘプタナール;オクタナール;ノナナール;デカナール;ウンデカナール;ドデカナール;トリデカナール;2−メチルオクタナール;2−メチルノナナール;(E)−2−ヘキセナール;(Z)−4−ヘプテナール;2,6−ジメチル−5−ヘプテナール;10−ウンデセナール;(E)−4−デセナール;2−ドデセナール;2,6,10−トリメチル−5,9−ウンデカジエナール;ヘプタナールジエチルアセタール;1,1−ジメトキシ−2,2,5−トリメチル−4−ヘキセン;シトロネリルオキシアセトアルデヒド;アルファ−シネンサール;ベータ−シネンサール;2,4−ジメチル−3−シクロヘキセンカルバルデヒド;2−メチル−4−(2,2,6−トリメチル−シクロヘキセン−1−イル)−2−ブテナール;4−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3−シクロヘキセンカルバルデヒド;4−(4−メチル−3−ペンテン−1−イル)−3−シクロヘキセンカルバルデヒド;ゲラニアール;ネラール;シトロネラル;7−ヒドロキシ−3,7−ジメチルオクタナール;7−メトキシ−3,7−ジメチルオクタナール;2,6,10−トリメチル−9−ウンデセナール;ベンズアルデヒド;フェニルアセトアルデヒド;3−フェニルプロパナール;ヒドロアトロパアルデヒド;4−メチルベンズアルデヒド;4−メチルフェニルアセトアルデヒド;3−(4−エチルフェニル)−2,2−ジメチルプロパナール;2−メチル−3−(4−イソプロピルフェニル)プロパナール;2−メチル−3−(4−tert−ブチルフェニル)プロパナール;3−(4−tert−ブチルフェニル)プロパナール;シンナムアルデヒド;アルファ−ブチルシンナムアルデヒド;アルファ−アミルシンナムアルデヒド;アルファ−ヘキシルシンナムアルデヒド;3−メチル−5−フェニルペンタナール;4−メトキシベンズアルデヒド;バニリン;エチルバニリン;イソ酪酸バニリン;3,4−メチレンジオキシベンズアルデヒド;3,4−ジメトキシベンズアルデヒド;2−メチル−3−(4−メトキシフェニル)プロパナール;2−メチル−3−(4−メチレンジオキシフェニル)プロパナール;及びそれらのジメチル、ジエチル及びプロピレングリコールアセタール等の脂肪族、脂環式、アルキル芳香族及び芳香族アルデヒド類;
(e)2−ヘプタノン;2−オクタノン;3−オクタノン;2−ノナノン;5−メチル−3−ヘプタノン;2,4,4,7−テトラメチル−6−オクテン−3−オン;メントン;イソメントン;カルボン;カンフル;フェンコン;アルファ−イオノン;ベータ−イオノン;アルファ−n−メンチルイオノン;ベータ−n−メンチルイオノン;アルファ−イソメンチルイオノン;ベータ−イソメンチルイオノン;アルファ−イロン;アルファ−ダマスコン;ベータ−ダマスコン;ベータ−ダマセノン;デルタ−ダマスコン;ガンマ−ダマスコン;1−(2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−イル)−2−ブテン−1−オン;1,3,4,6,7,8a−ヘキサヒドロ−1,1,5,5−テトラメチル−2H−2,4a−メタノナフタレン−8(5H)−オン;1−(3,3−ジメチルシクロヘキシル)−4−ペンテン−1−オン;1−(5,5−ジメチル−1−シクロヘキセン−1−イル)−4−ペンテン−1−オン;2,3,8,8−テトラメチル−1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−2−ナフタレニルメチルケトン;メチル−2,6,10−トリメチル−2,5,9−シクロドデカトリエニルケトン;tert−ブチル(2,4−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−イル)ケトン;アセトフェノン;4−メチルアセトフェノン;4−メトキシアセトフェノン;4−tert−ブチル−2,6−ジメチルアセトフェノン;4−フェニル−2−ブタノン;4−(4−ヒドロキシフェニル)−2−ブタノン;1−(2−ナフタレニル)エタノン;ベンゾフェノン;1,1,2,3,3,6−ヘキサメチル−5−インダニルメチルケトン;6−tert−ブチル−1,1−ジメチル−4−インダンルメチルケトン;1−[2,3−ジヒドロ−1,1,2,6−テトラメチル−3−(1−メチルエチル)−1H−5−インデニル]エタノン;5’,6’,7’,8’−テトラヒドロ−3’,5’,5’,6’,8’,8’−ヘキサメチル−2−アセトナフトン;4−tert−ブチルシクロヘキサノン;2,2,5−トリメチル−5−ペンチルシクロペンタノン;2−ヘプチルシクロペンタノン;2−ペンチルシクロペンタノン;2−ヒドロキシ−3−メチル−2−シクロペンテン−1−オン;3−メチル−シス−2−ペンテン−1−イル−2−シクロペンテン−1−オン;3−メチル−2−ペンチル−2−シクロペンテン−1−オン;3−メチル−4−シクロペンタデセノン;3−メチル−5−シクロペンタデセノン;3−メチルシクロペンタデカノン;4−(1−エトキシビニル)−3,3,5,5−テトラメチルシクロヘキサノン;4−tert−ペンチルシクロヘキサノン;5−シクロヘキサデセン−1−オン;6,7−ジヒドロ−1,1,2,3,3−ペンタメチル−4(5H)−インダノン;9−シクロヘプタデセン−1−オン;シクロペンタデカノン;シクロヘキサデカノン等の脂肪族、脂環式、及びアルキル芳香族ケトン類;
(f)シネオール;セドリルメチルエーテル;シクロドデシルメチルエーテル;(エトキシメトキシ)シクロドデカン;アルファ−セドレンエポキシド;3a,6,6,9a−テトラメチル−ドデカヒドロナフト[2,1−b]フラン;3a−エチル−6,6,9a−トリメチルドデカヒドロ−ナフト[2,1−b]フラン;1,5,9−トリメチル−13−オキサビシクロ[10.1.0]トリデカ−4,8−ジエン;ローズオキシド;2−フェニルエチルメチルエーテル;2−フェニルエチルイソアミルエーテル;2−フェニルエチル1−エトキシエチルエーテル;フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール;フェニルアセトアルデヒドジエチルアセタール;ヒドロアトロパアルデヒドジメチルアセタール;フェニルアセトアルデヒドグリセロールアセタール;2,4,6−トリメチル−4−フェニル−1,3−ジオキサン;4,4a,5,9b−テトラヒドロインデノ[1,2−d]−m−ジオキシン;4,4a,5,9b−テトラヒドロ−2,4−ジメチルインデノ[1,2−d]−m−ジオキシン等の環状、脂環式及びアルキル芳香族エーテル類;
(g)2−ノネンニトリル;2−トリデセネンニトリル;2,12−トリデセネン−ニトリル;3,7−ジメチル−2,6−オクタジエンニトリル;3,7−ジメチル−6−オクテンニトリル等の脂肪族ニトリル類;
(h)(E)−及び(Z)−3−ヘキセニルギ酸塩;アセト酢酸エチル;酢酸イソアミル;酢酸ヘキシル;3,5,5−トリメチルヘキシルアセテート;3−メチル−2−ブテニルアセテート;(E)−2−ヘキセニルアセテート;(E)−及び(Z)−3−ヘキセニルアセテート;オクチルアセテート;3−オクチルアセテート;1−オクテン−3−イルアセテート;酪酸エチル;酪酸ブチル;酪酸イソアミル;酪酸ヘキシル;(E)−及び(Z)−3−ヘキセニルイソブチレート;クロトン酸ヘキシル;イソ吉草酸エチル;エチル2−メチルペンタノエート;ヘキサン酸エチル;ヘキサン酸アリル;ヘプタン酸エチル;ヘプタン酸アリル;オクタン酸エチル;エチル(E,Z)−2,4−デカジエノエート;メチル2−オクチノエート;メチル2−ノニノエート;アリル−2−イソアミルオキシアセテート;メチル−3,7−ジメチル−2,6−オクタジエノエート;アリル3−シクロヘキシルプロピオネート;アリルシクロヘキシルオキシアセテート;メチルジヒドロジャスモネート;メチルジャスモネート;メチル2−ヘキシル−3−オキソシクロペンタンカルボキシレート;エチル2−エチル−6,6−ジメチル−2−シクロヘキセンカルボキシレート;エチル2,3,6,6−テトラメチル−2−シクロヘキセンカルボキシレート;エチル2−メチル−1,3−ジオキソラン−2−アセテート;酢酸ベンジル;プロピオン酸ベンジル;イソ酪酸ベンジル;イソ吉草酸ベンジル;2−フェニルエチルアセテート;2−フェニルエチルプロピオネート;2−フェニルエチルイソブチレート;2−フェニルエチルイソバレレート;1−フェニルエチルアセテート;アルファ−トリクロロメチルベンジルアセテート;アルファ,アルファ−ジメチルフェニルエチルアセテート;アルファ,アルファ−ジメチルフェニルエチルブチレート;酢酸シンナミル;2−フェノキシエチルイソブチレート;4−メトキシベンジルアセテート;安息香酸メチル;安息香酸エチル;安息香酸ヘキシル;安息香酸ベンジル;メチルフェニルアセテート;エチルフェニルアセテート;ゲラニルフェニルアセテート;フェニルエチルフェニルアセテート;桂皮酸メチル;桂皮酸エチル;桂皮酸ベンジル;桂皮酸フェニルエチル;桂皮酸シンナミル;アリルフェノキシアセテート;サリチル酸メチル;サリチル酸イソアミル;サリチル酸ヘキシル;サリチル酸シクロヘキシル;シス−3−ヘキセニルサリチレート;サリチル酸ベンジル;サリチル酸フェニルエチル;メチル2,4−ジヒドロキシ−3,6−ジメチルベンゾエート;エチル3−フェニルグリシデート;エチル3−メチル−3−フェニルグリシデート等の脂肪族、脂環式、アルキル芳香族及び芳香族カルボン酸のエステル;
(i)1,4−オクタノリド;3−メチル−1,4−オクタノリド;1,4−ノナノリド;1,4−デカノリド;8−デセン−1,4−オリド;1,4−ウンデカノリド;1,4−ドデカノリド;1,5−デカノリド;1,5−ドデカノリド;1,15−ペンタデカノリド;シス及びトランス−11−ペンタデセン−1,15−オリド;シス−及びトランス−12−ペンタデセン−1,15−オリド;1,16−ヘキサデカノリド;9−ヘキサデセン−1,16−オリド;10−オキサ−1,16−ヘキサデカノリド;11−オキサ−1,16−ヘキサデカノリド;12−オキサ−1,16−ヘキサデカノリド;エチレン1,12−ドデカンジオエート;エチレン1,13−トリデカンジオエート;クマリン;2,3−ジヒドロクマリン;オクタヒドロクマリン等のラクトン;及び
(j)アントラニル酸メチル;メチルN−メチルアントラニレート;アントラニル酸メチルと7−ヒドロキシ−3,7−ジメチルオクタナールとのシッフ塩基;2−メチル−3−(4−tert−ブチルフェニル)プロパナール又は2,4−ジメチル−3−シクロヘキセン−カルバルデヒド;6−イソプロピルキノリン;6−イソブチルキノリン;6−sec−ブチルキノリン;インドール;2−メトキシ−3−イソプロピルピラジン;2−イソブチル−3−メトキシピラジン等の窒素含有芳香族化合物の1以上である。
【0109】
本明細書に開示される香料組成物に組み入れるためのフレグランスは、香料組成物が、リモネン(CAS登録番号:5989−27−5)、カルボン(CAS登録番号:99−49−0、2244−16−8)、サフラン酸エチル(CAS登録番号:35044−57−6)、ミルセン(CAS登録番号:123−35−3)、ミルセノール(CAS登録番号:543−39−5)、酢酸ミルセニル(CAS登録番号:1118−39−4)、オイゲノール(CAS登録番号:97−53−0)、酢酸オイゲニル(CAS登録番号:93−28−7)、チャビコール(CAS登録番号:501−92−8)、エストラゴール(CAS登録番号:140−67−0)、アネトール(CAS登録番号:104−46−1)及びそれらの混合物からなる群から選択される香料分子を、25質量%未満、例えば15質量%未満、例えば5質量%未満含むように都合よく選択される。
【0110】
香料組成物は、香料的に許容される溶媒を含んでいてもよい。溶媒は、フレグランス産業において、嗅覚的に強力な成分を希釈し、固体成分を溶解し、液体として取り扱うことによって固体成分の取り扱いを容易にするために、また単に単位質量あたりの全体のフレグランスの費用を低減するための希釈剤として慣習的に使用される。典型的には、適切な溶媒は水と混和しない溶媒、例えば水溶性が10g/L未満の溶媒である。香料的に許容される溶媒の例は、水不溶性炭水化物溶媒(例えば、ExxonMobilから得られるIsopar(登録商標)ファミリー)、安息香酸ベンジル、ミリスチン酸イソプロピル、アジピン酸ジアルキル、クエン酸エステル(例えば、クエン酸アセチルトリエチル及びクエン酸アセチルトリブチル)及びフタル酸ジエチルである。存在する場合、水混和性溶媒(例えば、10g/100mLより大きい水溶性の溶媒)、例えば、プロピレングリコールジプロピレングリコール、及びブチレングリコールは、可能な限り低い濃度で添加すべきである。
【0111】
香料組成物は有益剤を含んでいてもよい。有益剤は、通常は、合成又は天然の起源を有する乳剤であり、家庭用製品、パーソナルケア製品又は化粧品等の、マイクロカプセルを含む製品の使用の際に利益を供給するために保存中に存在し続けることができる物質である。有益剤の例は:
リシノール酸亜鉛等の、においを吸着することにより、悪臭及びその知覚を抑制又は低減する薬剤、
オクタアセテートスクロース又はスクロースヘキサブチレートジアセテートのような、マイクロカプセルの物理化学的特性を改善する薬剤、
ヒドロキシ脂肪酸、又はArizona Chemicalsから入手できるさまざまな範囲のSylvaclear(商標)等のゲル化剤、
シクロヘキサンカルボキシアミドN−エチル−5−メチル−2−(1−メチルエチル);N,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタマイド;乳酸メンチル;(−)−メントキシプロパン−1,2−ジオール等の加温効果又は冷却効果を付与する薬剤、
エチルブチルアセチルアミノプロピオン酸;Ν,Ν−ジエチルトルアミド;1−ピペリジンカルボン酸;2−(2−ヒドロキシエチル)−1−メチルプロピルエステル;p−メンタン−3,8−ジオール等の防虫剤、
CAS登録番号3380−34−5を有するトリクロサン(商標)化合物、又はメチル、エチル、プロピル及びブチルパラヒドロキシ安息香酸エステル等の抗菌剤、
メトキシ桂皮酸オクチル、ブテルメトキシジベンゾイルメタン及びビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン等のUV吸収剤である。
【0112】
本明細書は、前記に定義される水性分散液を含む製品を開示する。この製品は、摂食不可能な消費者製品、家庭用洗剤若しくは洗濯用製品、パーソナルケア製品又は化粧品であってもよい。
【0113】
特に明記しない限り、非可食は、ヒト又は動物によって摂取されないことを意味する。これには、通常の使用において偶然に飲み込まれることのある食品以外の製品が含まれる。特に、非可食製品の定義には、例えば、摂取することを意図していないが、偶然に消化管に入ることのある、練り歯磨き、マウスウォッシュ、リップクリーム等の、歯科及び口腔ケアのための製品が含まれる。
【0114】
本発明のマイクロカプセルを使用することのできる、液状の家庭用製品、洗濯用製品、パーソナルケア製品、及び化粧品の処方及び成分は当業者に周知であり、以下の実施を参照されたい:
・AOCS Pressにより発行された、L Ho Tan Taiによる、Formulating Detergents and Personal Care Products A guide to Product Development,ISBN 1−893997−10−3、
・Surfactant Science Series Liquid Detergents ISBN 0−8247−9391−9の第67巻(Marcel Dekker Inc)、
・CHS PressによるHarry’s Cosmeticology、第8版、2000 ISBN 0820603724。
【0115】
パーソナルケア製品及び化粧品としては、皮膚、毛髪及び爪に適用することができ、そのままにしておくか洗い流すかいずれかである製品が挙げられる。パーソナルケア製品及び化粧品組成物としては、皮膚(顔、手、足等)用の粉末、クリーム、エマルション、ローション、ゲル及びオイル、毛髪染料基剤(液状及びペースト状)及び液体含浸ティッシュペーパー;顔及び目に化粧品を塗布し、除去するための製品;毛髪染料及び漂白剤、ウェーブ剤、くせ取り剤、毛髪をセットし、整える製品を含む、ヘアケア製品;クリーム、泡状ムース及び脱毛剤を含むシェービング用製品;日光浴製品、及び日光なしで日焼けするための製品;デオドラント及び制汗剤が挙げられる。
【0116】
有利には、パーソナルケア製品又は化粧品は、シェービング補助剤、シャンプー、ヘアコンディショナー製品、つけたままにしておくスキンケア製品、皮膚洗浄剤若しくは洗浄用製品(洗い流す皮膚洗浄剤又は洗浄用製品等)、湿潤させたティッシュペーパー及びボディスプレー、デオドラント又は制汗剤からなる群から選択される。
【0117】
シェービング補助剤としては、具体的には泡状、ゲル状、クリーム及び棒状のものが挙げられる(例えば、米国特許第7,069,658号、米国特許第6,944,952号、米国特許第6,594,904号、米国特許第6,182,365号、米国特許第6,185,822号、米国特許第6,298,558号及び米国特許第5,113,585号を参照することができる)。
【0118】
シャンプー及びヘアコンディショナーとしては、具体的には、リンスインシャンプー及び特に乾燥した髪又は脂っぽい髪用に処方されたシャンプー、ふけ防止剤等の添加剤を含むシャンプーが挙げられる。洗い流すヘアコンディショナー、又はつけたままにしておくヘアコンディショナーには、ヘアトニック、毛髪染料剤、毛髪をセットし整髪する製品も含まれる。例えば、米国特許第6,162,423号、米国特許第5,968,286号、米国特許第5,935,561号、米国特許第5,932,203号、米国特許第5,837,661号、米国特許第5,776,443号、米国特許第5,756,436号、米国特許第5,661,118号及び米国特許第5,618,523号を参照することができる。
【0119】
つけたままにしておくスキンケア製品には、皮膚洗浄用製品、湿潤させたティッシュペーパー、ボディスプレー、デオドラント及び制汗剤が含まれる。
【0120】
皮膚洗浄用製品としては、具体的には、美容用及び衛生用棒状石けん、シャワー用ゲル、液状せっけん、ボディウォッシュ、角質除去用ゲル及びペーストが挙げられる(例えば、米国特許第3,697,644号、米国特許第4,065,398号、米国特許第4,387,040号を参照することができる)。
【0121】
湿潤させたティッシュペーパー(拭き取り繊維)としては、具体的には、皮膚洗浄用繊維、赤ちゃん用おしり拭き、化粧品除去用繊維及び化粧水繊維が挙げられる(例えば、米国特許第4,775,582号、国際公開第02/07701号、国際公開第2007/069214号及び国際公開第95/16474号を参照することができる)。
【0122】
ボディスプレー、デオドラント及び制汗剤としては、具体的には、スティック、液状のロールオン式アダプター、及び加圧式スプレーが挙げられる。
【0123】
家庭用洗剤又は洗濯用製品の例は、床、硬い工作物表面、タイル張りの表面、手又は機械で洗浄する陶器、鏡及びガラスの洗浄剤等の硬表面洗浄剤、
ファブリーズ(登録商標、P&G)により例示される、臭気処理剤のような、液状洗浄剤及び芳香剤製品等の布地の室内装飾品を処理するもの、
軽質洗剤、重質洗剤、濃縮液体洗剤、非水又は低水(low aqueous)洗濯用液体洗剤、毛織物又は黒い衣服用に特化した洗浄剤を含む、粉末洗濯洗剤、洗浄用錠剤及び棒状洗浄剤、洗濯用液体洗剤、
回転式乾燥機シート、アイロンウォーター、洗浄剤添加剤等の柔軟剤、洗浄前及び洗浄後用処理剤である。
【0124】
洗濯用製品は、柔軟剤、仕上げ剤及び洗濯洗剤からなる群から選択される。
【0125】
家庭用洗浄剤は、クリーム状洗浄剤、等方性液状洗浄剤、スプレー状洗浄剤及び予め湿潤させた表面洗浄用繊維の形態であってもよい(例えば、国際公開第91/08283号、欧州特許第743280号、国際公開第96/34938号、国際公開第01/23510号、及び国際公開第99/28428号を参照することができる)。
【0126】
柔軟剤及び仕上げ剤としては、具体的には、従来の希釈された(例えば、製品中、柔軟剤の2質量%〜8質量%)液状活性濃縮柔軟剤及び濃縮された(例えば、製品中、柔軟剤の10質量%〜40質量%)液状活性濃縮柔軟剤、並びに、色落ちを防止し、又は衣類の形状及び外観を保護するための成分を含んでいてもよい仕上げ剤が挙げられる(例えば、米国特許第6,335,315号、米国特許第5,674,832号、米国特許第5,759,990号、米国特許第5,877,145号、米国特許第5,574,179号を参照することができる)。
【0127】
洗濯洗剤、特に液状洗濯洗剤としては、具体的には軽質液体洗剤及び重質液体洗剤が挙げられ、これらは、多相液体又は等方性液体を構築し、水性液体又は非水性液体を含んでいてもよい。前記液体洗剤は、ボトル、又は1回分の用量が入った袋に入っていてもよく、漂白剤又は酵素を含んでいてもよい(例えば、米国特許第5,929,022号、米国特許第5,916,862号、米国特許第5,731,278号、米国特許第5,470,507号、米国特許第5,466,802号、米国特許第5,460,752号及び米国特許第5,458,810号を参照することができる)。
【0128】
本発明の製品は、製品がエマルションである場合には乳化剤として、又は製品がある種の洗浄機能を有している場合には洗浄活性物質として、水及び/又は界面活性物質を含んでいてもよい。特定の実施態様では、製品中の界面活性物質の濃度は0.1〜60質量%の範囲内であり、通常、界面活性物質の濃度は50質量%以下であり、ほとんどの製品では、界面活性物質は30質量%以下である。一方、界面活性物質の濃度は、通常は少なくとも0.1質量%であり、好ましくは1.0質量%を超え、更に好ましくは3.0質量%を超える。特定の製品の製剤は水感受性(例えば、制汗剤、デオドラント、水溶性ポリビニルアルコールフィルム中に包装された非水性液体)であり、上記応用のためには、マイクロカプセルを製品製剤中に組み込む前に、水分を除去するためにマイクロカプセルを噴霧乾燥することが好ましい。洗浄機能を有する製品については、おそらく界面活性物質の濃度は高く、通常は10質量%を超え、好ましくは15質量%を超えるであろう。全ての割合は製品の質量に対する質量として表される。
【0129】
乳化剤を含む、リーブオン製品の例は、ハンドローション、ボディローション、化粧落としローション、スキンクリーム、日焼け防止製品、サンレスタニング製品及び家庭用芳香スプレーである。液体を含浸して製造した物品、例えば、化粧品を塗布若しくは除去するため、又は日焼け止め化合物若しくはサンレスタニング剤を塗布するためのローションを含浸したパッド又は繊維、あるいは個人用洗浄剤、例えば湿潤したトイレットペーパー又は赤ちゃん用おしり拭きも含まれる。
【0130】
洗浄剤を含む個人用洗浄用製品の例は、シャンプー、ボディソープ、液状石けんである。洗い流さないか、使用後に更なる洗浄作用がある場合に、洗浄のために使用されるとしても、一部の洗浄用製品は、つけたままの製品とみなすことができる。赤ちゃん用おしり拭きは、一例であり皮膚に塗布される液体は洗浄のために使用されるが洗い流して除去されない。
【0131】
本明細書に開示された、ノンリンス型化粧品、洗面用化粧品、及びパーソナルケア用組成物は、製品のさまざまな成分を乳化するのに有用な種々の乳化剤を含んでもよい。適切な乳化剤としては、Allured Publishing Corporationにより発行されたMcCutcheon’s,Detergents and Emulsifiers,North American Edition(1986)等の出版物、及び下記特許文献、すなわち米国特許第5,011,681号、米国特許第4,421,769号及び米国特許第3,755,560号に開示された、多種多様の非イオン性、カチオン性、アニオン性、両性イオン性表面活性物質が挙げられる。
【0132】
実験的証拠によれば、短鎖炭化水素アルコールを含む、セットローション、オードトワレ、ボディスプレーエアゾール、ヘアフォーム等の特定の製品の組成物は、本明細書に開示されるマイクロカプセルによりもたらされる利点を無効にする可能性があることがわかった。したがって、製品は、かなりの量(例えば、製品質量の2.5質量%超、又は5質量%超、例えば、10質量%超、20質量%超、50質量%超、又は70質量%超)のC−Cアルコール等の短鎖脂肪族炭化水素アルコール(例えば、エタノール又はイソプロパノール)をも含まないことが好ましい。いかなる理論にも拘束されることを望まないが、短鎖炭化水素アルコールは、マイクロカプセルの統合性に影響し、その結果、香料内容物の漏出を促進すると考えられる。
【0133】
液状の家庭用製品、洗濯用、パーソナルケア用及び化粧品用の製品中のマイクロカプセルの量は、所望のマイクロカプセル濃度、マイクロカプセル中のフレグランスの割合、所望の嗅覚効果を得るのに必要なフレグランス物質の量等のいくつかの特徴によって変化し得る。明示された製品から全ての液状成分を除去した後(すなわち、乾燥質量として測定)、複数のマイクロカプセルは、製品の質量の0.01〜10質量%、好ましくは0.05〜2.5質量%、より好ましくは0.1〜1.25質量%で存在し得る。複数のマイクロカプセルは、従来のあらゆる手段により、製品製造工程の適切な段階で、通常は高せん断混合段階の後に、分散液の形態で組み込むことができる。室温で液体である場合、マイクロカプセルを加える製品は、低(例えば10rpm)スピンドル速度で測定したときに20Mpasを超える、例えば100Mpasを超える、又は1,000Mpasを超える、又は10,000Mpasを超える粘度を有していることが好ましい。好都合には、製品は、せん断減粘レオロジーを有する。必要であれば、粘度は、従来の粘度変性剤を加えることで調整することができる。適切な薬剤、並びに製品の粘度を測定するための装置及び条件は、2000年にWilliam Andrew Publishingにより、ISBN 978−0−8155−1441−1で公開された、M R Rosen及びD BraunによるRheology Modifiers Handbook Practical Uses and Applicationsに開示されている。
【0134】
マイクロカプセルは、公知の様々な従来法、例えば、コアセルベーション、界面重合、フリーラジカル重合又は重縮合を用いて製造することができる。これらの技術は周知であり、例えば、米国特許第3516941号、米国特許第4520142号、米国特許第4528226号、米国特許第4681806号、米国特許第4145184号、英国特許出願公開第2073132号A;国際公開第99/17871号;並びにBenita及びSimon編集、MICROENCAPSULATION Methods and Industrial Applications(Marcel Dekker,Inc.1996)を参照されたい。
【0135】
有利には、本明細書に開示された水性分散液はフリーラジカル重合(例えば、懸濁フリーラジカル重合)により製造される。したがって、本明細書は、
a)油相及び水相を有する水中油型エマルションであって、
前述の、5nm〜1μmの平均一次粒径を有するコロイド粒子、
重合開始剤、
フレグランスを含む香料組成物、
乳化剤、及び
前記モノマー混合物、を混合することにより得られる水中油型エマルションを提供する工程、
b)工程a)で得られたエマルション内で重合を誘発する工程;
c)重合を伝搬させてマイクロカプセルを得る工程を含む、前記複数のマイクロカプセルを含む水性分散液の製造のためのフリーラジカル重合プロセスであって、フレグランスが前記エマルションの質量の20質量%〜70質量%に相当する、前記プロセスを開示する。
【0136】
好ましくは、フレグランスはエマルションの質量の20質量%〜45質量%に相当する。更に多い量、例えば70質量%までの量は、後述するように、工程の過程におけるモノマーの任意の添加のような任意のプロセス成分の添加によりもたらされる希釈の可能性を補償するために使用することができる。同様に、特定の成分(例えばPVA等のコロイド)の全体量は、工程の際の異なる段階において分割して添加することができる。例えば、成分が水溶性の成分であるなら、反応環境に導入される余分な水は希釈の影響を決定し得る。
【0137】
分散液の総質量により計算される、フレグランスの20質量%〜45質量%という量は、それによってマイクロカプセルが得られる、重合を伝搬させる工程c)の任意の時点で都合よく測定することができる。例えば、工程c)の最後、又は重合の終わりに向かって測定することができる。実際に、分散液中のフレグランスの濃度が、請求項に記載の範囲よりも高い/低いと思われるように、工程c)の最後に、最終分散液にいくぶんかの水を加えるか、最終分散液からいくぶんかの水を除去することが好ましい。
【0138】
一実施態様では、工程は、分散液に対して実施される任意の重合後濃縮工程を含まない。実際に、本明細書に開示された分散液は、最終製品に直接組み入れられるのに適しているフレグランスを装填している。
【0139】
工程a)〜c)は、それらが示される順序で実施することができる。
【0140】
一態様では、本明細書は、マイクロカプセルを含み、前記フリーラジカル重合プロセスにより得ることができる水性分散液を開示する。
【0141】
重合は、従来のラジカル重合、リビングラジカル重合であってもよい。このようなラジカル重合プロセスは当業者に公知であり、Moad,Graeme;Solomon,David H.;The Chemistry of Radical Polymerization,第2版;Elsevier,2006に更に詳細に開示されている。リビングラジカル重合の議論は、Braunecker,Wade A.;Matyjaszewski,Krzysztof;”Controlled/Living Radical Polymerization:Features,Developments,and Perspectives”;Progress in Polymer Science 2007、Volume 32、第1版、93−146ページに見出すことができる。
【0142】
混合物のモノマーは前記に定義されている。前記に定義されたようなモノマー混合物を得るように、それらを秤量し、混合する。次いで、この混合物を、水中油型エマルションの製造に使用する。
【0143】
水中油型エマルション(工程a))は、油溶性成分を均質な溶液に混合及び溶解し、別に水溶性成分を均質な溶液に混合及び溶解することにより調製することができる。固体コロイド粒子は、通常、水溶液に混合する。エマルションは、例えば、的確な粒径の安定エマルションを生成するのに十分な時間、高せん断ミキサーを用いて2つの溶液を混合することにより得ることができる。同時に、エマルションを窒素又は他の不活性ガスでパージしてもよい。空気をいったん排除すると、温度が上昇することにより重合が熱により誘導される(工程b))。適確な温度及び温度の上昇割合は、使用される開始剤又は複数の開始剤の組み合わせにより決定される。通常は、重合温度は40℃〜90℃である。重合速度は、実験における特定のモノマー及び開始剤についての温度及び重合開始剤の使用量の適切な選択により、公知の方法により調節することができる。いったん重合温度に到達すると、更なる時間、例えば2〜6時間、重合が継続し、モノマーの反応が完了する(工程c))。
【0144】
追加の開始剤がその後重合中に添加され、残留モノマーの濃度を低減する。添加量を調節するために、反応の過程においてモノマーを加えてもよい。例えば、pHを緩衝化するために塩を加えてもよい。
【0145】
エマルションは重合開始剤を含む。ラジカルは、ペルオキシ化合物及びアゾ化合物等の化合物の熱分解により、又はUV照射若しくはレドックス反応を用いる光分解により生成し得る。適切な開始剤は、エマルションの油相及び/又は水相に溶解することができる。例えば、開始剤は、熱重合開始剤、及び/又は光重合開始剤、及び/又はラジカルを生成する還元剤/酸化剤の組み合わせを含むレドックス開始剤であってもよい。
【0146】
熱重合開始剤は、混合物中に化合物(I)及び(II)の総質量の0.1質量%〜5質量%の量で存在し得る。
【0147】
熱重合開始剤の例は、過酸化ジラウロイル、過酸化ベンゾイル、α,α’−アゾイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、1,1’−アゾ−ビス−1−シクロヘキサンニトリル、ジ−tert−ブチルペルオキシド(CAS登録番号:75−91−2)、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリン酸)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]及びそれらの混合物である。
【0148】
光重合開始剤は、混合物中に化合物(I)及び(II)の総質量の0.5質量%〜5質量%の量で存在し得る。
【0149】
光重合開始剤の例は、アルファヒドロキシケトン、アルファアミノケトン、アルファ及びベータナフチルカルボニル化合物、ベンゾインメチルエーテル等のベンゾインエーテル、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンズアルデヒド、キサントン、9,10−アントラキノン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(Irgacure(商標)184)及びそれらの混合物である。
【0150】
レドックス開始剤は、ラジカルを生成する還元剤/酸化剤の組み合わせを含む。この組合せにおいて、
酸化剤は、混合物中に化合物(I)及び(II)の総質量の0.01質量%〜3.0質量%、例えば0.02質量%〜1.0質量%、又は0.05質量%〜0.5質量%の量で存在し、
還元剤は、混合物中に化合物(I)及び(II)の総質量の0.01質量%〜3.0質量%、例えば0.01質量%〜0.5質量%、又は0.025質量%〜0.25質量%の量で存在する。
【0151】
レドックスの組み合わせのための酸化剤の例は、モノ過硫酸ナトリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、及び過硫酸アンモニウム等のペルオキソ二硫酸塩、クメンヒドロペルオキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシド、ジ−tert−アミルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシベンゾエート、t−アミルヒドロペルオキシド、過酸化水素、並びにそれらの混合物である。
【0152】
レドックスの組み合わせのための還元剤の例は、亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、ホルムアルデヒド・スルホキシル酸ナトリウム、アスコルビン酸、亜ジチオン酸ナトリウム、及びそれらの混合物である。
【0153】
エマルションは乳化剤を含む。乳化剤は保護コロイドを含み、更に界面活性剤を含んでいてもよい。保護コロイド及び界面活性剤は、重合が起こる際の機械的撹拌によって形成される水中油型エマルションを安定化するために、乳化重合及び懸濁重合において慣習的に用いられる。
【0154】
適切な保護コロイドは、500〜1,000,000g/モル、例えば1,000〜500,000g/モルの平均分子量を有する。
【0155】
保護コロイドの例は、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びメチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリビニルピロリドン;N−ビニルピロリドンのコポリマー;ポリ酢酸ビニルの完全から部分的な加水分解により得られるポリビニルアルコール;ポリアクリル酸及び/又はポリメタクリル酸;アクリル酸及びメタクリル酸のコポリマー;スルホン酸基含有水溶性ポリマー(例えば、2−アクリルアミド−2−アルキルスルホン酸及びスチレンスルホン酸)等のイオン性コロイド;及びそれらの混合物である。
【0156】
有利には、保護コロイドは水溶性の保護コロイドである。好ましくは、これは、コロイドが20℃で、水中で少なくとも5g/Lの溶解度を有することを意味する。
【0157】
有利には、保護コロイドは、ポリ酢酸ビニルの完全から部分的な加水分解により得られたPVA等の少なくともポリビニルアルコール(PVA)を含む。
【0158】
保護コロイドは、水中油型エマルションの水相の質量の0.1質量%〜10質量%の量で存在し得る。
【0159】
工程b)は、重合開始剤の分解を必然的に伴う。重合は、開始剤の選択に依存し、エマルションの油相(懸濁重合)又は水相(乳化重合)のいずれかで開始する。開始剤及び条件の適切な選択により、2つの相で別々に重合を開始させることも可能である。工程b)は、水中油型エマルションを熱に供し、及び/又は水中油型エマルションをUV光に供し、及び/又は水中油型エマルション内でレドックス反応を誘発することを含む。
【0160】
本発明のマイクロカプセルは、その表面に(例えば、表面グラフトで)沈着補助剤、すなわち、マイクロカプセルの意図する基材への沈着を最適化することを目的とする補助剤を含んでいてもよい(基剤の例は、毛髪、皮膚、及び木綿等の織物である)。マイクロカプセルにおける沈着補助剤の例及び使用は、欧州特許第21558474号、欧州特許第1572767号、欧州特許第2188364号及び欧州特許第1019478号に開示されている。
【0161】
沈着補助剤は、マイクロカプセルの乾燥質量の0.1質量%〜10質量%の量で存在し得る。
【0162】
沈着補助剤は重合体沈着補助剤であってもよい。例は、合成若しくは天然のポリマー又はそれらの組み合わせである(例えば、天然ポリマーの部分的化学修飾による)。
【0163】
沈着補助剤は、意図する基材への結合を可能にするペプチド、タンパク質又はそれらの化学的誘導体を含む。例えば、セルラーゼは綿に結合するが、プロテアーゼは、羊毛、絹又は毛髪に結合する。
【0164】
沈着補助剤は、多糖類又はその化学的誘導体であってもよい。多糖類は、好ましくは[ベータ]−1,4−結合骨格を有する。多糖類の例は、セルロース、セルロース誘導体、ポリマンナン、ポリグルカン、ポリグルコマンナン、ポリキシログルカン及びポリガラクトマンナン等のセルロースと結合する他の[ベータ]−1,4−結合多糖類、又はそれらの混合物である。例えば、多糖類は、ポリキシログルカン及びポリガラクトマンナンからなる群から選択される。非常に好ましい多糖類は、ローカストビーンガム、タマリンドガム、キシログルカン、非イオン性グア−ガム、カチオンでんぷん及びそれらの混合物である。例えば、沈着補助剤は、ローカストビーンガム又はその化学的誘導体である。
【0165】
一実施態様では、本明細書に開示される方法は、工程c)の後に実施される工程d)を含み、複数のマイクロカプセルにおけるマイクロカプセルへの沈着補助剤の結合を含む。沈着補助剤は、マイクロカプセルシェルに吸着するか、又はマイクロカプセルシェルに物理的及び/又は化学的に結合してもよい。既に形成されたマイクロカプセルへの沈着補助剤の吸着(すなわち、物理的結合)は、沈着補助剤とマイクロカプセルとの間の水素結合、ファン・デル・ワールス力又は静電気引力による。したがって、沈着補助剤はマイクロカプセルの外部にあり、シェル内部及び/又はマイクロカプセルコア内部には有意な程度で存在していない。
【0166】
また、沈着補助剤は、工程a)で供給されるエマルションの一部であってもよい。この場合、沈着補助剤はマイクロカプセルシェルの不可欠な部分である。この状態は「絡まり合い」として知られている。本明細書で用いられる場合、絡まり合いは、沈着補助剤がマイクロカプセルの内側で部分的に埋め込まれていることを意味する。これは、例えば重合が誘発される前に、沈着補助剤をエマルションに加えることにより得られる。重合伝播させることにより、沈着補助剤の一部が封入され、マイクロカプセルシェルを形成する伸張したポリマーに結合されたままである一方で、残りは自由にエマルションの水相に伸張している。この様式では、沈着補助剤は、マイクロカプセル表面に部分的に露出しているだけである。
【実施例】
【0167】
本発明の更なる実施態様及び利点は、以下に示す実施例を考慮し、当業者に明らかになるであろう。
【0168】
一般的な製造手順について2つの方法が開示される。そのうちの1つは、ヒドロキシル基を有するモノマー又はフレグランス中で可溶化されないモノマーを含まない、モノマー混合物を伴う。他の方法2は、ヒドロキシル基を有するモノマー及び/又はフレグランス中で可溶化されないモノマーを含む、モノマー混合物を伴う。「フレグランス中で可溶化」は、考慮される量のモノマーがフレグランス中で完全に溶解し、単相の均一かつ透明な相を形成することを意味する。
【0169】
一般的製造手順(2つのうちの1つの方法)
87〜89%まで加水分解された、Mw=85000〜124000g/モルのポリ(ビニルアルコール)を水に溶解することにより、10%ポリ(ビニルアルコール)水溶液を前もって調製した。油相は、最初にフレグランス及びモノマーを混合し、単相の均一かつ透明な相を得ることにより調製した。次いで、重合開始剤を加え、重合開始剤が完全に溶解するまで混合物を撹拌した。Aerosil R816シリカ、及び6.5〜8.5のpHを有する水を5分間撹拌することにより、シリカの水分散液を別個に調製した。水分散液は100mg/Lの炭酸水素ナトリウムを含有していた(約6.5〜8.5のpHを有する)。油相及びシリカの水分散液を、高せん断ミキサー(直径40/54mmのDispermixヘッドを備えたYstral X 10/20 E3−1050 W)を用いて、7000rpmで2分間、一緒に撹拌した。得られたエマルションの平均粒径及びスパン数を、後述するカプセル粒径測定法により測定した。エマルションを、コンデンサ、温度計、窒素注入口及びアンカースターラーを備えたバッチ式反応器に入れた。既知量の10%ポリ(ビニルアルコール)水溶液を、水相中のポリ(ビニルアルコール)の総質量濃度が2%となるように加え、混合物を10分間撹拌した。全工程の間、混合物を250rpmで撹拌し、酸素を排除するために混合物に窒素を吹き込んだ。温度を最初30分間、温度T1に固定した後、1時間で温度T2まで上昇させた。混合物をこの温度T2に3時間維持した。最後に、得られたマイクロカプセル分散液を1時間で室温まで冷却した。得られたマイクロカプセル分散液の平均粒径及びスパン数を、後述するカプセル粒径測定法により測定した。
【0170】
一般的製造手順(他の方法2)
87〜89%まで加水分解された、Mw=85000〜124000g/モルのポリ(ビニルアルコール)を水に溶解することにより、10%ポリ(ビニルアルコール)水溶液を前もって調製した。油相は、フレグランスと、ヒドロキシル基を有するモノマー以外のフレグランスに可溶性であるモノマーとを混合することにより調製した。単相の均一かつ透明な相を得た。次いで、重合開始剤を加え、重合開始剤が完全に溶解するまで混合物を撹拌した。この混合物を、重合開始剤が完全に溶解するまで撹拌した。水分散液は100mg/Lの炭酸水素ナトリウムを含有していた(約6.5〜8.5のpHを有する)。水に、ヒドロキシル基を有するモノマー及び/又はフレグランスに溶解しない中性モノマー、3−(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC、CAS登録番号51410−72−1)の1%水溶液、及びAerosil(登録商標)200シリカを順に導入した。MAPTACの1%水溶液の質量は、シリカの質量の0.5%〜100%に相当する。分散液を30分間撹拌した。水分散液のpHの範囲は6.5〜8.5pHであった。油相及びシリカの水分散液を、高せん断ミキサー(直径40/54mmのDispermixヘッドを備えたYstral X 10/20 E3−1050 W)を用いて、7000rpmで2分間、一緒に撹拌した。得られたエマルションの平均粒径及びスパン数を、後述するカプセル粒径測定法により測定した。エマルションを、コンデンサ、温度計、窒素注入口及びアンカースターラーを備えたバッチ式反応器に入れた。既知量の10%ポリ(ビニルアルコール)水溶液を、水相中のポリ(ビニルアルコール)の総質量濃度が2.6%となるように加え、混合物を10分間撹拌した。存在する場合、イオン化したモノマー(フレグランスに溶解しない)をこの段階で加えてもよい。全工程の間、混合物を250rpmで撹拌し、酸素を排除するために混合物に窒素を吹き込んだ。温度を最初30分間、温度T1に固定した後、1時間で温度T2まで上昇させた。混合物をこの温度T2に3時間維持した。最後に、得られたマイクロカプセル分散液を1時間で室温まで冷却した。得られたマイクロカプセル分散液の平均粒径及びスパン数を、後述するカプセル粒径測定法により測定した。
【0171】
カプセルの粒径の測定
体積中央径及びスパンを、レーザー回折/散乱粒径分布分析計(株式会社堀場製作所により製造された、商品名:LA−950V2)を用いて測定した。分散剤は18MΩ水であった。数滴のエマルション又はカプセル分散液を、許容されるレベルのレーザー光遮蔽が達成されるまでフローセルユニットに注いだ後、すぐに3回の測定を実施した。粒径測定の計算のために、屈折率を、1.33(水分散剤について)及び1.47(フレグレンス及びポリ(メタクリレート)カプセルについて)に設定した。体積中央カプセル径は、体積をベースとして50%の頻度のサイズ(メジアン径)として測定した。
【0172】
スパン値は、マイクロカプセルの大きさの統計的分散の指標である。スパン値は以下の式:
【0173】
【数1】
【0174】
前記式中、D(v;0.9)は、マイクロカプセルの90体積%の粒径であり、D(v;0.1)は、マイクロカプセルの10体積%の粒径であり、D(v;0.5)は、既に定義した体積中央マイクロカプセル径である)に従って計算した。
【0175】
スパン比値は、水性分散液のスパン値と、初期(水中油型)エマルションのスパン値との間の比である。スパン比値は、以下の式:
【0176】
【数2】
【0177】
前記式中、ここで、スパンカプセルは、マイクロカプセル水性分散液の前記スパンであり、スパンエマルションは、初期エマルションの前記スパンである。
【0178】
粒径は10μmより大きい可能性があるので、フラウンホーファー近似(不透明な粒子、幾何光学規則)による結果の分析も関連しており、有効な寸法の決定を導いている。この場合、屈折率は必要でない。
【0179】
フレグランスno.1の組成(質量%)
酢酸イソボルニル(CAS登録番号125−12−2):25
カンファーガム粉末合成品(CAS登録番号464−49−3):15
リリアール(CAS登録番号80−54−6):15
ユーカリプトール(CAS登録番号470−82−6):8
エチル−2−メチルペンタノエート(CAS登録番号39255−32−8):6
セドロール(CAS登録番号77−53−2):6
ヘプタン酸アリル(Allyl heptoate)(CAS登録番号142−19−8):5
酢酸スチラリル(CAS登録番号93−92−5):5
2−メチルウンデカナール(CAS登録番号110−41−8):5
Verdox(CAS登録番号88−41−5):5
クマリン(CAS登録番号91−64−5):3
デルタダマスコン(CAS登録番号57378−68−4):2
【0180】
実施例1:本発明のカプセルの合成
マイクロカプセル試料1及び2を調製するため一般的製造手順に従った。87〜89%まで加水分解された、Mw=85000〜124000g/モルのポリ(ビニルアルコール)を水に溶解することにより、10%ポリ(ビニルアルコール)水溶液を前もって調製した。油相は、1.23gの過酸化ベンゾイル(75%水溶液);21.8gのメタクリル酸;8.7gのメタクリル酸メチル;24.0gの1,4−ブタンジオールジメタクリレート;150gのフレグランスno.1を混合することにより調製した。単相の、均一かつ透明な相が得られた。次いで、重合開始剤を加え、重合開始剤が完全に溶解するまで混合物を撹拌した。1.20gのAerosil(登録商標)R816シリカ、及び6.5〜8.5のpHを有する水を5分間撹拌することにより、シリカの水分散液を別個に調製した。水分散液のpHの範囲は6.5〜8.5のpHの範囲であった。油相及びシリカの水分散液を、高せん断ミキサー(直径40/54mmのDispermixヘッドを備えたYstral X 10/20 E3−1050 W)を用いて、7000rpmで2分間、一緒に撹拌した。得られたエマルションの平均粒径及びスパン数を、後述するカプセル粒径測定法により測定した。360gのエマルションを、コンデンサ、温度計、窒素注入口及びアンカースターラーを備えた500mLのバッチ式反応器に入れた。既知量の10%ポリ(ビニルアルコール)水溶液を、水相中のポリ(ビニルアルコール)の総質量濃度が2%となるように加え、混合物を10分間撹拌した。全工程の間、混合物を250rpmで撹拌し、酸素を排除するために混合物に窒素を吹き込んだ。最初は、温度を20℃にて30分間固定した後、1時間で80℃まで上昇させる。混合物を、この80℃の温度に3時間維持する。最後に、得られたマイクロカプセル分散液を1時間で室温まで冷却した。得られたマイクロカプセル分散液の平均粒径及びスパン数を、後述するカプセル粒径測定法により測定した。
【0181】
【表1】
【0182】
実施例2:比較例(試料3及び4)
87〜89%まで加水分解された、Mw=85000〜124000g/モルのポリ(ビニルアルコール)を水に溶解することにより、10%ポリ(ビニルアルコール)水溶液を前もって調製した。既知量の10%ポリ(ビニルアルコール)水溶液と6.5〜8.5のpH範囲を有する水とを混合することにより水相を調製した。油相は、1.23gの過酸化ベンゾイル(75%水溶液);21.8gのメタクリル酸;8.7gのメタクリル酸メチル;24.0gの1,4−ブタンジオールジメタクリレート;150gのフレグランスno.1を混合することにより調製した。単相の、均一かつ透明な相が得られた。次いで、重合開始剤を加え、重合開始剤が完全に溶解するまで混合物を撹拌した。水相及び油相を、コンデンサ、温度計、窒素注入口及び解膠ブレード(直径4cm)を備えた500mLのバッチ式反応器に入れた。全工程の間、混合物を900rpmで撹拌し、酸素を排除するために混合物に窒素を吹き込んだ。最初は、温度を20℃にて30分間固定した後、1時間で80℃まで上昇させた。混合物を、この80℃の温度に3時間維持する。最後に、得られたマイクロカプセル分散液を1時間で室温まで冷却した。得られたマイクロカプセル分散液の平均粒径及びスパン数を、後述するカプセル粒径測定法により測定した。
【0183】
【表2】
【0184】
実施例3−粘度の測定
カプセル分散液の粘度測定は、Brookfield RVT粘度計を使用し20℃で実施した。カプセル分散液の粘度に依存し、測定は、適合した回転するスピンドル及び速度を用いて実施した。
【0185】
【表3】
【0186】
この結果により、本発明の試料の粘度が、当量のフレグランスを搭載した比較例の粘度より非常に低いことが示される。
【0187】
試料4は、もはや流体(又は流動性)ではなく、その結果取り扱いが容易ではない。
【0188】
本出願は、2013年7月29日に出願された、欧州特許出願第13306096.2号を基礎としたものであり、その内容の全ては引用により本明細書に組み込まれる。更に、本明細書中に引用された全ての文献の主題も、引用により本明細書に組み込まれる。
【産業上の利用可能性】
【0189】
前記水性分散液は、摂食不可能な消費者製品、洗濯用製品、パーソナルケア製品及び化粧品に含有させるのに適している。この水性分散液は、エマルション液滴が最終的にポリマーシェル内に封入されるようにエマルションを重合することによって、経済的かつ効率的な方法で得ることができる。