(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6420336
(24)【登録日】2018年10月19日
(45)【発行日】2018年11月7日
(54)【発明の名称】飲料調製用カプセル
(51)【国際特許分類】
A47J 31/06 20060101AFI20181029BHJP
A47J 31/46 20060101ALI20181029BHJP
A47J 31/36 20060101ALI20181029BHJP
【FI】
A47J31/06 320
A47J31/46
A47J31/36 320
【請求項の数】11
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-524833(P2016-524833)
(86)(22)【出願日】2014年7月10日
(65)【公表番号】特表2016-527946(P2016-527946A)
(43)【公表日】2016年9月15日
(86)【国際出願番号】EP2014064866
(87)【国際公開番号】WO2015004259
(87)【国際公開日】20150115
【審査請求日】2017年4月10日
(31)【優先権主張番号】13175955.7
(32)【優先日】2013年7月10日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】599132904
【氏名又は名称】ネステク ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100168734
【弁理士】
【氏名又は名称】石塚 淳一
(72)【発明者】
【氏名】タロン, クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】オデ, サミュエル
(72)【発明者】
【氏名】デニサルト ジャン‐リュク
(72)【発明者】
【氏名】ロニョン, ヴァンサン
【審査官】
豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2013/012971(WO,A2)
【文献】
特開昭63−176952(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/00 − 31/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品又は飲料調製用の容器(11)であって、少なくとも1つの加工前原材料を収容するようになっている少なくとも1つの隔室を画定する壁(12)であり、流体混合用原材料の少なくとも1つの供給源(3、28)を有する食品又は飲料調製マシン(1)の協働流体連通部(31)に流体的に結合するための少なくとも1つの流体連通部(20)を含む、壁(12)を含み、前記混合用原材料を前記加工前原材料と混合することによって前記隔室内において食品又は飲料製品が調製され、前記容器(11)が、少なくとも1つの食品又は飲料送出壁(16、17)を更に含む、食品又は飲料調製用の容器(11)において、
前記容器(11)が、前記容器の密閉されているが変形可能な容積部でできている内蔵ポンプ手段(10、13、14、21、22、23、29)を含み、前記容積部が、交互に膨張及び収縮することができ、したがって、前記内蔵ポンプ手段は、前記容器(11)が前記マシン(1)と流体的に連通された場合に前記混合用原材料を前記供給源(3、28)から吸引により引き出すのに適しており、かつ食品又は飲料製品が調製され前記送出壁(16、17)を通じて放出されるように、前記少なくとも1つの隔室内における流体流通を生じさせるのに適していることを特徴とする、容器(11)。
【請求項2】
前記ポンプ手段が前記容器の密閉容積部(21)であり、前記容器の密閉容積部(21)が、
(i)圧送サイクルにおいて前記容器の容積部が交互に増加し減少するように、前記マシン(1)の外部推力アクチュエータ(24)によって、断裂又は破断なしに交互に外側及び内側へ弾性的に伸縮又は変形することが可能な、前記容器の上部注入壁(13)の少なくとも1つの伸縮可能又は変形可能部分(10)と、
(ii)前記マシン(1)と前記密閉容積部(21)との間の流体流通、より正確には、水の前記供給源(3、28)から前記容器の密閉容積部(21)の内部への流体連通をもたらす進入開口部と、
(iii)前記密閉容積部(21)の内部から外部への流体連通を可能にする出口開口部と、
を含む、請求項1に記載の容器(11)。
【請求項3】
前記進入開口部が入口逆止弁(22)から成る、及び/又は、前記出口開口部が出口逆止弁(23)から成る、請求項2に記載の容器(11)。
【請求項4】
前記逆止弁(22、23)が、ダックビルバルブ、ボールバルブ、アンブレラバルブ、蠕動バルブ又はこれらの組み合わせの一覧から選択される、請求項3に記載の容器(11)。
【請求項5】
前記伸縮可能又は変形可能な壁部分(10)が、前記マシン(1)の前記アクチュエータ(24)の対応する機械的連結手段(26)に機械的に連結するのに適した機械的連結手段(25)を含む、請求項2又は3に記載の容器(11)。
【請求項6】
前記容器(11)の前記機械的連結手段が、前記アクチュエータ(24)の協働連結溝(26)内に摺動することができる、そうでなければ捕捉することができる剛性捕捉用丸形突起(25)を含む、請求項5に記載の容器(11)。
【請求項7】
前記流体連通部(20)が、前記機械的連結手段(25)に隣接している又は一体化している、請求項5又は6に記載の容器(11)。
【請求項8】
剛性又は半剛性カプセルである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の容器(11)。
【請求項9】
軟質ポッド又は袋である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の容器(11)。
【請求項10】
食品又は飲料調製システムであって、
(i)請求項1〜9のいずれか一項に記載の容器(11)と、
(ii)混合用流体リザーバ(3)と、流体パイプシステム(28)と、任意選択的な流体加熱及び/又は冷却デバイスと、前記容器(11)の前記流体連通部(20)を前記パイプシステム(28)に連結するための手段(31)と、を有し、機械的なアクチュエータ(24)と、前記アクチュエータ(24)を前記容器(11)の弾性的に伸縮可能又は変形可能な壁部分(10)に機械的に連結するための機械的連結手段(26)と、を更に含む食品又は飲料調製マシン(1)と、を含む、システム。
【請求項11】
前記容器(11)が、請求項5又は請求項5を直接若しくは間接的に引用する請求項6〜9のいずれか一項に記載の容器であり、
前記容器(11)の前記流体連通部(20)が前記容器(11)の前記機械的連結手段(25)に隣接している、又は一体化している、請求項10に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品又は飲料調製用容器に関する。容器は水の供給源などの非加圧原材料源に連結するように設計されており、非加圧原材料は食品又は飲料の調製のために圧力下で容器内容物と混合される。
【背景技術】
【0002】
食品又は飲料調製の分野では、カプセル内に収容された加工前原材料を、食品又は飲料調製マシン内に収容され加圧された供給源から供給される混合用原材料と混合するためのシングルサーブ式カプセルを用いることは周知である。
【0003】
一般に、食品又は飲料調製マシンは食品科学及び消費財分野において周知である。このようなマシンにより、特定種類の食品又は飲料、例えば、コーヒー系飲料、例えばエスプレッソ若しくは淹出様コーヒーカップ、又はチョコレート、茶、スープ等のような他の種類の飲料を消費者が自宅で調製することが可能になる。
【0004】
今日、ほとんどの自宅飲料調製用飲料調製マシンは、飲料調製用のポーション化原材料を収容することができるマシンからなるシステムを含む。このようなポーションは軟質ポッド又はパッド又は袋とすることができるが、剛性ポッド又はカプセルなどの半剛性又は剛性ポーションを用いるシステムがますます多くなっている。
【0005】
マシンは、カプセルを収容するためのレセプタクル又はキャビティと、圧力下でカプセル内に流体、好ましくは水を注入するための流体注入システムと、を含む。本発明による、コーヒー飲料の調製のため圧力下でカプセル内に注入される水は、高温、すなわち70℃超の温度であることが好ましい。しかしながら、いくつかの特定の例では、周囲温度とされる可能性も、更には冷却される可能性もある。カプセル内容物抽出及び/又は溶解時の容器/カプセルチャンバ内部の(大気圧に対する)圧力は、カプセルが開くまでに、通常、溶解製品では約1〜約8bar、焙煎して挽いたコーヒーの抽出では約2〜約12barにまで増加する。このような調製プロセスは、淹出では流体(例えば湯)により原材料を長時間浸出するが、この飲料調製プロセスは消費者に数秒以内で飲料、例えばコーヒーを調製させることが可能であるという点で、特に茶及びコーヒーの飲料調製のいわゆる「淹出」プロセスとは大きく異なる。
【0006】
密閉カプセルの内容物を圧力下で抽出及び/又は溶解する原理は周知であり、一般に、マシンのレセプタクル又はキャビティ内にカプセルを挿入することと、物質の抽出又は物質の溶解のいずれかのためにカプセル内部に加圧環境を形成するため、一般に、マシンに取り付けられた流体注入針などの穿刺注入要素でカプセルの面を突き刺した後、一定量の加圧水をカプセル内に注入することと、その後、カプセルから抽出物質又は溶解物質を放出することと、を含む。この原理の適用を可能にするカプセルについては、例えば、本出願人の欧州特許第1472156 B1号及び同第1784344 B1号にすでに記載されている。
【0007】
この原理の適用を可能にするマシンについては、例えば、スイス特許第605 293号及び欧州特許第242 556号にすでに記載されている。これら文書によれば、マシンは、カプセル用のレセプタクル又はキャビティと、先端側領域に1つ又は複数の液体注入口を含む中空針の形態にて作製された穿孔及び注入要素と、を含む。針は、一方ではカプセルの頂部を開き、他方ではカプセルへの水注入チャネルを形成するという二重の機能を有する。
【0008】
マシンは、カプセル内に収容された原材料を圧力下で溶解及び/又は浸出及び/又は抽出するために用いられる流体を貯蔵するための流体タンク(ほとんどの場合この流体は水である)を更に含む。マシンは、マシン内で使用される水を使用温度(一般的には80〜90℃以下の温度)まで温めることができるボイラ又は熱交換器などの加熱要素を含む。最終的に、マシンは、任意選択的に加熱要素を通じて、水をタンクからカプセルへと流通させるためのポンプ要素を含む。例えば、マシン内で水を流通させる方法は、例えば、本出願人の欧州特許第2162653 B1号に記載されている種類の蠕動バルブなどのバルブ手段の選択を通じて選択される。
【0009】
調製される飲料がコーヒーの場合、コーヒーを調製するための興味深い手法の1つは焙煎して挽いたコーヒー粉末を含むカプセルを消費者に提供することである。焙煎して挽いたコーヒー粉末はカプセル内に注入される湯で抽出される。
【0010】
多くの場合、マシンはカプセルを保持するためのカプセルホルダを含み、このカプセルホルダはマシンの対応するキャビティ又はレセプタクルに挿入され、取り出されるものである。カプセルホルダにカプセルが装填され、機能的な手法でマシン内に挿入されると、カプセルにマシンの水注入手段が流体連通され、上述のように、食品調製のためカプセル内に水を注入することができる。カプセルホルダについては、例えば、本出願人の欧州特許第1967100 B1号に記載されている。
【0011】
そのような食品調製、特に、飲料調製の用途のためのカプセルが開発されており、これについては本出願人の欧州特許第1784344 B1号又は欧州特許出願公開第2062831号に記載及び請求されている。
【0012】
つまり、このようなカプセルは、一般に、
中空本体と、液体及び空気不浸透性であり、本体に取り付けられ、例えば、マシンの注入針によって穴が開けられるように構成された注入壁と、
抽出される焙煎して挽いたコーヒーの層又は可溶性原材料若しくは可溶性原材料の混合物を収容するチャンバと、
カプセルの底端部に配置され、カプセルを密封してチャンバ内圧を維持するアルミニウム膜と、を含む。
【0013】
アルミニウム膜は穿刺手段で穿刺されるように設計されている。穿刺手段は、カプセルに組み込まれているか、カプセルの外部、例えば、マシンのカプセルホルダ内に配置されているかのいずれかである。
【0014】
穿刺手段はチャンバ内の内圧が特定の所定の値に達するとアルミニウム膜に分配穴を穿刺するように構成されている。
【0015】
また、任意選択的に、カプセルは、カプセル内に注入される流体ジェットの速度を低下させ、流体を物質の層全体に低下させた速度で分配するために流体ジェットを遮断するように構成された手段を更に含み得る。
【0016】
多くの食品及び飲料調製システムでは、いくつかの種類の容器(カプセルなど)を同じマシンで使用することができる。一部のカプセルは、内部を混合用原材料(例えば湯)が流れる静止した加工前原材料(例えば焙煎して挽いたコーヒー)の浸出用に使用することができる。一部の他のカプセルは、また、湯などの混合用原材料との混合によって溶解する可溶のミルク又はチョコレート粉末などの可溶加工前原材料を収容してもよい。
【0017】
周知の食品及び飲料システムでは、食品又は飲料調製マシンには、マシンリザーバから混合用流体(通常、水)から引き出し、この混合用流体を、マシンの流体パイプシステムを通じて水が注入されるカプセルへと移動させるポンプが備えられている。
【0018】
欧州特許出願公開第2236437 A1号は、飲料製造デバイスで使用するためのカプセルを開示する欧州特許公開公報であり、このカプセルは、カプセルの入口面からカプセル内に液体が供給されると栄養液又は食品液を生成する原材料を収容する。このカプセルには複数の濾過オリフィスを有するフィルタが提供されている。カプセルは、フィルタの下流側に配置された、濾過後の液体を濾過オリフィスから回収するための流れ回収部材を含む。回収部材は、少なくとも1つの液体ジェット中の高速の液体の流れを、原材料を収容する隔室内に焦束させるための少なくとも1つの絞りオリフィスを含む。この発明は、マシン内に配置されたポンプによって原材料内に水に注入することができるマシンとともに使用される場合、栄養液(例えば、乳児用調製粉乳)又は食品を粉末原材料から生成するのに特に有利である。
【0019】
国際公開第2012/104760号は、空洞であり、最終食品製品を得るための初期製品を収容するのに適したキャビティを画定する基部壁及び側壁が設けられた変形可能及び/又は圧縮可能なケースと、ケースの第1の縁端に固定され、キャビティに面する支持要素と、を含むカプセルを開示するPCT出願である。このカプセルはノズルを更に含む。ノズルは、支持要素に固定されており、初期製品と相互作用して最終製品を作製する流体をキャビティ内に送達し、ケースが圧縮され押しつぶされるときに、基部壁を開いて、最終製品を出すことができるように配置されている。カプセルはマシンでの使用を意図しており、マシンは、マシン内に配置された流体ポンプによって水などの流体をカプセル内に注入することができる。
【0020】
米国特許出願公開第2010 203198号は、カプセル内に水を導入し、食品液体を生成するために、遠心分離時の回転軸線に相当するカプセルの中心軸線に対し、カプセルの周辺に遠心力を作用させる遠心力を用いて物質内に水を通すことにより、カプセル内に収容された食品物質から食品液体を調製するための単回使用カプセルを開示する米国出願である。カプセル内に注入される水はカプセルが連結される飲料マシンによって導入され、マシンは水ポンプを含む。
【0021】
国際公開第2011 117768 A号の飲料を作製するためのカプセルは、粉末又は液体物質を収容するハウジングチャンバを形成するカップ形状の本体を含む。カプセルは飲料を作るためにカプセル内に水を注入するためのポンプを有する飲料マシンに連結されることになっている。
【0022】
明確にするため、「ポンプ」は、本発明の意味内では、「水、空気又は他の流体をシステム内へと入れる、システム内を通過させる、又はシステムから出すために、任意の種々の技術、通常、吸引又は圧縮によって機械的エネルギーを流体エネルギーに変換するデバイス」と定義される。一般に、周知の食品又は飲料調製システムでは、マシン内に収容されたポンプは電気モータによって作動され、電気モータにより得られた機械的エネルギーを、上述のように、マシンリザーバからカプセルへと水を流通させる流体エネルギーに変換する。食品又は飲料調製マシンで使用されるポンプは、一般に、ソレノイド技術を用いたピストンポンプである。
【0023】
マシンのポンプ内を水が通過するということはポンプの内部要素の湯垢生成につながる。使用者がマシンの湯垢除去を適切に行わない場合は、ポンプは作動を停止するおそれがあり、使用者はテクニカルアシスタントを呼ぶか、マシンを交換する必要がある。更に、マシンのパイプシステム全体に振動が発生するため、現在周知の食品又は飲料調製システムで使用されているポンプは騒音が大きい。また、ポンプのほとんどは高額でもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
したがって、本発明の目的は欠点を排除する食品又は飲料システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上述の目的は、少なくとも1つの加工前原材料を含むように構成した少なくとも1つの隔室を画定する壁を含む食品又は飲料調製用容器によって達成され、壁は少なくとも1つの流体混合用原材料の供給源を有する食品又は飲料調製マシンの協働流体連通部に流体的に結合するための少なくとも1つの流体連通部を含み、混合用原材料を加工前原材料と混合することによって隔室内において食品又は飲料製品が調製され、容器は少なくとも1つの食品又は飲料送出壁を更に含む。
【0026】
本発明によれば、容器は、容器がマシンに流体連通している場合には混合用原材料を供給源から圧送するのに好適であり、かつ食品又は飲料製品が調製され、送出壁を通じて放出されるように少なくとも1つの隔室内に流体流通を生じさせるのに適した内蔵ポンプ手段を含むことを特徴とする。
【0027】
本発明の非常に適した実施形態では、ポンプ手段は、好ましくは容器内部の、しかしながら容器内部に限定されない容器の密閉容積部であり、
(i)マシンの外部推力アクチュエータによって、断裂又は破断なしに、交互に外側及び内側へ弾性的に伸縮又は変形することが可能な容器上部注入壁と、
(ii)マシン(1)と密閉容積部との間の流体連通を、より正確には、水の供給源から容器密閉容積部の内部への流体連通を提供する流入開口部と、
(iii)密閉容積部の内部から外部への流体連通を可能にする出口開口部と、を含む。
【0028】
容器に組み込まれたポンプ手段は、したがって、有利なことにマシン流体の供給源から流体が引き出され、引き出された流体量が容器内部近傍を流通するように、作動すると交互に膨張及び収縮することができる容器の、密閉されているが変形可能な容積部でできている。
【0029】
重要なことに、容器ポンプ手段(すなわち変形可能な密閉容積部)の容積部及び変形能特性は、圧送サイクルの各段階(膨張、その後の収縮)時における容器の相対的な容積変化が、停止中の容器初期容積の5%〜200%、好ましくは10%〜90%、より好ましくは15%〜60%を含むような程度である。
【0030】
本発明の非常に適した実施形態では、流入開口部は入口逆止弁を含む及び/又は出口開口部は出口逆止弁を含む。このようにして、容器は、ポンプチャンバ並びにその流入開口部及び出口開口部を含むのみならず、流体の流れが流体源から容器内に収容された原材料へと誘導されることを確実にするための手段を含む。しかしながら、理解され得るように、逆止弁はカプセルが流体連通される機械の一部とすることができる。
【0031】
好ましくは、逆止弁は、ダックビルバルブ、ボールバルブ、アンブレラバルブ、蠕動バルブ又はこれらの組み合わせの一覧から選択される。任意の他の種類のバルブは、一方向逆流防止弁である限りは、あるいは、一方向弁として使用することができる場合は本発明のために用いることができる。
【0032】
有利には、伸縮可能又は変形可能な壁は、マシンのポンプアクチュエータの対応する機械的連結手段に機械的に連結するのに適した機械的連結手段を含む。一実施形態においては、容器の機械的連結手段は剛性の捕捉用丸形突起であり、マシンアクチュエータの対応する機械的連結手段は、突起が摺動することができる、ないしは別の方法で捕捉することができる連結溝である。
【0033】
重要なことに、本発明による容器に組み込まれたポンプは手動で作動させることができるが、当然、マシン内にあるアクチュエータに容器を連結することによって自動的に作動させることが好ましい。
【0034】
換言すると、食品及び飲料容器、例えばコーヒーカプセルが食品及び飲料マシンに機能的に挿入されると、2種類の連結が実施される。第1の連結は、流体がマシンの流体の供給源、例えば水リザーバから容器隔室に向かって及び容器隔室内を流通することができるように容器をマシンの流体パイプシステムに連結する流体連通であり、流体は混合用原材料として容器隔室内に収容された食品又は飲料加工前原材料、例えばコーヒー粉末と混合される。
【0035】
容器とマシンとの間において実施される第2の種類の連結は、容器をマシンのポンプアクチュエータに機械的に連結する機械的連結である。機械的連結は、上述のように、流体をマシンの流体システムから引き出し、容器隔室内に案内することができるように、容器に内蔵されたポンプ手段を作動するよう機能する。
【0036】
また、流体連通部は機械的連結手段に隣接するか、組み込まれることが好ましい。本発明による容器における連結の例示的な構成については、以下、実施形態の記載により詳細に記載する。
【0037】
本発明の非常に適した実施形態では、容器は剛性又は半剛性の食品又は飲料カプセルである。通常、容器は、コーヒー、茶、チョコレート、乳製品若しくはこれらの組み合わせなどの飲料、又は同じく、乳児用調製粉乳製品若しくは高齢者用栄養製品などであるがこれらに限定されないスープ若しくは栄養製品を調製するための単回使用カプセルである。容器は、他の種類の可食食品、例えば、アイスクリーム、デザートゼリー、ゲル状ブイヨン、クルトンスープ又はポタージュなどの非液状食品を調製するためにも使用され得る。浸出様調製の実施のため、そのような剛性又は半剛性カプセル内の製品調製圧力は大気圧にほぼ等しいものとされ得る。加工前原材料の抽出又は溶解の実施のため、容器隔室内部の製品調製圧力もまた大気圧を超えるものとされ得る。この場合、kPa調製圧力は、通常、1.1〜20bar、好ましくは2〜15bar(相対圧力)の範囲内とされ得る。厳密な調製圧力は調製される製品の種類による。例えば、製品が焙煎して挽いたコーヒー加工前原材料から作られたエスプレッソコーヒーである場合、圧力は5〜19bar、より好ましくは8〜15barの範囲内であることが好ましい。
【0038】
あるいは、本発明による容器は、例えば、茶葉のハーブを大気圧にほぼ等しい容器隔室内部の圧力で浸出するために用いることができる軟質ポッド又は袋とされ得る。この容器は、例えば、加工前原材料としての液体濃縮物からシロップ飲料を調製するためにも使用することができる。
【0039】
本発明は、また、
(i)上述の容器と、
(ii)混合用流体リザーバと、流体パイプシステムと、任意選択的に流体加熱及び/又は冷却デバイスと、容器の流体連通部をマシンパイプシステムの出口に連結するための手段(好ましくは可動連結ロッド)と、を有し、機械的なアクチュエータと、アクチュエータを容器の弾性的に伸縮可能又は変形可能な壁に機械的に連結するための機械的連結手段と、を更に含む食品又は飲料調製マシンと、を含む食品又は飲料調製システムに関する。
【0040】
流体連通部は機械的連結手段に隣接するか、組み込まれることが好ましい。
【0041】
本発明の更なる特徴及び利点については、以下、図面を参照して説明する本発明の適した実施形態の説明に記載されるとともに、同適した実施形態から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】食品又は飲料容器及びマシンの斜視図である。
【
図2】本発明による容器の第1の実施形態の斜視切断図である。
【
図3】本発明による容器の第2の実施形態の斜視切断図である。
【
図4】食品又は飲料マシンの流体の供給源及びアクチュエータへの容器の連結を示す概略斜視図である。
【
図6】食品又は飲料マシンのアクチュエータに連結された本発明による容器を示す斜視切断図である。
【
図7】容器とマシンとの間に設けられた流体連通を示す、
図6に類似する斜視切断図である。
【
図8】食品又は飲料マシンのポンプアクチュエータが容器のポンプ壁を外側に膨張させて容器の内部容積を増加させたときの本発明による容器の斜視切断図である。
【
図9】食品又は飲料マシンのポンプアクチュエータが容器のポンプ壁を内側に押して容器の内部容積を低減させたときの本発明による容器の斜視切断図である。
【
図10A】本発明の第1の実施形態による容器の、それぞれその膨張ポンプ状態、圧縮ポンプ状態の斜視切断図である。
【
図10B】本発明の第1の実施形態による容器の、それぞれその膨張ポンプ状態、圧縮ポンプ状態の斜視切断図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下の説明では、混合用原材料の供給源は水の供給源とみなされる。このような制限は本発明の範囲を制限するものとして捉えるべきではない。本明細書中に記載されかつ請求される容器は他の混合用原材料の供給源とともに使用することができる。
【0044】
また、本明細書の残りの部分において及び簡略化のため、本発明の容器は飲料容器、より正確には、シングルサーブ式飲料カプセルであるとみなされる。同じくこれも本発明の範囲を厳密に制限するものとして捉えるべきではない。本発明の容器はカプセル以外の別の種類のものとすることができ、例えば、軟質パッド、ポッド、袋、剛性の若しくは半剛性のカートリッジ又はこれらの組み合わせとすることができる。
【0045】
本発明の容器は、プラスチック、コーティング紙、コーティング厚紙、金属若しくは合金、ガラス、合成若しくは天然ゴム若しくはエラストマー、又はこれらの組み合わせ等の任意の種類の不透過性原材料で作製することができる。原材料は、好ましくは少なくとも湿気及び酸素に対するバリア特性を有するコスト効果的かつ環境に優しい原材料から選択されることが好ましい。
【0046】
本発明の容器内に収容される加工前原材料は食品又は飲料製品調製用の任意の種類のものとすることができる。以下、飲料容器についてより詳細に記載する。しかしながら、本発明の原理は、例えば、アイスクリーム、ポタージュ、スムージー、調理生地、クルトンなどの固体要素を含むスープなどであるがこれらに限定されない飲料若しくは半固体若しくは固体食品、又は更には菓子類などの完全に固体の食品であっても、食用調製品の調製用の任意の容器に適用可能である。
【0047】
以下、本発明による容器の2つの実施形態について図面を参照しながら詳細に記載する。これら2つの実施形態では、容器は飲料調製マシンで使用するための飲料カプセルとみなされる。カプセルは、加工前原材料、典型的には、焙煎して挽いたコーヒー粉末を含む。マシン及びカプセルは
図1に示されるような飲料調製システムを形成する。
【0048】
図1に示すように、マシン1は、マシン本体2と、混合用原材料、例えば水を収容するように構成されたリザーバ3と、を含む。リザーバは補充のためマシン本体2から取り外し可能である。マシン本体2はオン/オフ押しボタン4を含む。マシン1は抽出ヘッド5を更に含む。ヘッド5は、2つのボタン6の形態(1つがホット飲料の選択用、もう1つがコールド飲料用)をとる湯又は冷水用の水温度選択部と、取り外し可能なカプセルホルダ7と、を含む。マシン1は、抽出ヘッドの下にカップ9を保持するためのカップトレイ8を更に含む。マシンは、例えば、分注される飲料の量を選択するための選択ハンドルと、飲料調製設定に関するデータが示されるスクリーンと、を含むコントロールパネル10を更に含む。カプセルホルダ7はカプセル11を受け入れるように適合される。
【0049】
マシン1は、リザーバ3内に保持された水を抽出ヘッド5に送る流体パイプシステムを含み、水は抽出ヘッド5にてカプセル11内に注入される。任意選択的に、混合用流体は、リザーバ3と抽出ヘッド5との間に配置されたマシンの加熱又は冷却要素を通じて送ることができる。水は、マシン1により非加圧の供給源としてカプセルに送られる。
【0050】
一般に、本発明の文脈において、混合用原材料(例えば水)の「非加圧」の供給源とは、この供給源が混合用原材料の流れをカプセルに押しやるための圧力を発生させることができる要素を含まないことを意味する。マシンの流体システム内の混合用原材料の相対圧力は大気圧にほぼ等しい。しかしながら、混合用原材料はカプセル内の相対圧力であることが好ましく、この相対圧力には、1〜20bar、より好ましくは2〜15barを含む。
【0051】
飲料カプセル11の第1の実施形態が
図2に示される。カプセル11は、ポリプロピレン又はポリエチレンなどの剛性又は半剛性熱可塑性プラスチック製のカプセル壁12でできたカプセル本体を含む。カプセル本体壁12はほぼ円筒又は切頭円錐形状を有する。この原材料は、また、例えば、セルロース系繊維を含む原材料又は澱粉などの生分解性原材料で作製することができる。製造法は熱成形とすることも射出成形とすることもできる。例えば、製造法には、湿気及び酸素バリア特性を有するフィルムラベルの使用によりカプセルに特定のバリア特性を付与するためのインモールドラベリングを含むこともできる。カプセルを作製するためのそのようなインモールドラベリング法については本出願人の欧州特許出願公開第2559636 A1号に全般的に記載されている。
【0052】
容器壁の湿気及び酸素バリア特性は、単層若しくは多層を有するバリア熱可塑性プラスチックフィルム、又はアルミニウム、又は紙、又はこれらの組み合わせなどの任意の種類の適切な原材料によって実現することができる。
【0053】
カプセル本体壁12は上部開口部及び下部開口部を含む。カプセル本体の上部開口部は上部注入壁13によって閉じられている。カプセル11は、注入壁13とカプセル内部隔室との間に配置された剛性分配部壁14を更に含む。
図2に示されるように、上部注入壁13はカプセル本体壁12の上部周縁部15に溶接されている。
【0054】
図2に示されるカプセル11は、分配開口部17を有する底壁16を更に含む。カプセル11は、好ましくはアルミニウム製の穿刺可能な膜18を更に含み、穿刺可能な膜18は側部カプセル壁12と底壁16との間に密閉されている。穿刺可能な膜18と底壁16との間には穿刺用プレート19がある。穿刺用プレート19は、隔室内で生成された製品を消費者のカップ9に向かって出すために、カプセル隔室内の流体圧力が増加すると穿刺可能な膜を突き刺す又は引き裂くことによって開けるように機能する。
【0055】
図2、3及び5に示すように、カプセル上部注入壁13は、カプセル11を食品又は飲料調製マシン1の協働流体連通部21に流体的に結合するための流体連通部20を更に含む。
【0056】
本発明によれば、カプセル11は、カプセル11がマシンに流体連通している場合にはマシン1から水を圧送するのに好適であり、かつ食品又は飲料製品が調製され、カプセル送出壁(すなわち、底壁16及びその分配開口部17)を通じて放出されるように隔室内に流体流通を生じさせるのに適した内蔵ポンプ手段も更に含む。
【0057】
ポンプ手段はカプセル内部の密閉容積21であり、
(i)マシンの外部推力アクチュエータによって、断裂又は破断なしに、交互に外側及び内側へ弾性的に伸縮することが可能なカプセル上部注入壁13の部分10と、
(ii)マシン1と密閉容積部との間に、より正確には、水の供給源からカプセル密閉容積部の内部への流体連通を提供する入口逆止弁22と、
(iii)密閉容積部21の内部から外部への流体連通を可能にする出口逆止弁23とを含む。
【0058】
図2に示されるように、逆止弁はダックビル一方向弁である。
【0059】
図2に示される本発明の第1の実施形態では、密閉容積部21は、上部注入壁13に取り付けられた入口逆止弁21と、剛性分配部壁14に取り付けられ、密閉容積部21を加工前原材料(例えばコーヒー粉末)を密封するカプセル隔室の残部から分離する出口逆止弁23との間に形成されている。
【0060】
図3に示される本発明の第2の実施形態では、出口逆止弁23はカプセルの底部に配置され、カプセルの分配開口部17を閉じている。したがって、剛性分配部壁14は少なくとも1つの貫通穴29を含むことからカプセル内部隔室から分離されない。このように、カプセル内部隔室全体がカプセルのポンプチャンバを形成する密閉容積部21の機能を果たす。カプセル内に収容された加工前原材料はカプセルの剛性分配部壁14と底壁16との間にあるカプセル隔室の部分に配置されることが好ましい。しかしながら、同原材料をカプセル隔室の容積部全体に収容することも可能であり、あるいは代替的に、2つの異なる原材料を剛性分配部壁14によって互いに分離することもできる。
【0061】
穴29の数及びその直径は原材料の種類及び対応する製品調製の種類に応じて適切に選択される。
図3に示されるように1つの穴のみの場合では、穴を通る流体の流れは強力な混合効果を持つ単一のジェットを形成する。この構成は、カプセルに収容された原材料が、カプセル内に注入された水とともに、粉末の水との溶解を向上させるような強力な渦流運動を必要とする可溶性粉末である場合に選択されることが好ましい。あるいは、カプセル隔室に収容された原材料が焙煎して挽いたコーヒーである場合、カプセルの壁14と底壁16との間に収容されたコーヒー層の適切な濡れを確保するために、剛性壁14はその表面全体に均一に分配された複数の穴19を含む。
【0062】
すべての場合において、穴29の直径は加工前原材料の最小粒子よりも大幅に小さいが、剛性分配部壁14を通過する水の適切な流れを確保するのには十分であることが好ましい。直径は、典型的には、10μm〜3mm、好ましくは100μm〜1mmを含み得る。
【0063】
上部注入用伸縮可能壁13は、シリコン系エラストマーなどの天然若しくは合成エラストマー、ゴムのような弾性的に変形可能な特性を有する任意の適切な材料、又は代替的に、単に、微細な剛性カプセル壁を射出、押出若しくは熱成形によって作製するのに適したプラスチック材料、及びカプセルの変形可能部分用のプラスチックフィルムでできている。
【0064】
図2に示すように、伸縮可能な注入壁13は、
図4、5及び6の矢印により示されるように、アクチュエータ24に対するカプセルの水平摺動運動によってマシンのポンプアクチュエータ24に機械的に連結させるのに適した機械的連結手段を含む。より正確には、機械的連結手段は、ポンプアクチュエータ24の協働連結溝26内に摺動させることができる剛性捕捉用丸形突起25を含む。
【0065】
重要なことに、本発明によるカプセルに組み込まれたポンプは手動で作動させることができるが、当然、マシン内にあるアクチュエータ24にカプセルを連結することによって自動的に作動させることが好ましい。アクチュエータは、アクチュエータ24に対し垂直往復運動を付与する不図示の電気モータによって動作する。
【0066】
換言すると、食品及び飲料容器、例えばコーヒーカプセルが食品及び飲料マシンに機能的に挿入されると、2種類の連結が実施される。第1の連結は、流体がマシンの流体の供給源、例えば水リザーバから容器隔室に向かって及び容器隔室内を流通することができるように容器をマシンの流体パイプシステムに連結する流体連通であり、流体は混合用原材料として容器隔室内に収容された食品又は飲料加工前原材料、例えばコーヒー粉末と混合される。
【0067】
容器とマシンとの間において実施される第2の種類の連結は、容器をマシンのポンプアクチュエータに機械的に連結する機械的連結である。機械的連結は、上述のように、流体をマシンの流体システムから引き出し、容器隔室内に案内することができるように、容器に内蔵されたポンプ手段を作動させるよう機能する。
【0068】
流体連通部は機械的連結手段と一体化されている。
図2、
図3及び
図8に示されるように、カプセルの上部伸縮可能注入壁13の中心に配置された機械的な捕捉用突起25は、マシンのパイプシステム28を、カプセルの内部、特に、カプセル11のポンプチャンバを形成する密閉容積部21に流体連通することができる中心チャネル27を含む。
図2及び
図3に示されるように、入口逆止弁22は中心チャネル27内に配置されている。
【0069】
カプセル流体連通部20は、穿刺可能なバリア膜30を含み、バリア膜30はカプセル11がマシン内で実際に使用されるまでの保管中にカプセル11を密閉する機能を果たす。例えば、
図3、5又は7に示されるように、バリア膜30は流体連通部20の頂面を密閉している。カプセル壁12、上部注入壁13、上部バリア膜30及び穿刺可能な底部膜18のバリア特性によって、保管中、カプセルの内部と外部との間には湿気及び酸素に対する完全なバリアが得られる。
【0070】
図4、5及び6に示されるように、カプセル11がマシン1に挿入され、マシンのアクチュエータに機械的に連結されると、
図7の矢印で示されるように、マシン流体パイプシステム28の残部と直接流体連通状態にあるマシンの流体連通ロッド31を動かすことによって、カプセルとマシンとの間に流体連通が実施される。
図8に示されるように、流体連通ロッド31の下方への動きが進むにつれて、ロッド31の下先端部がカプセルのシール頂部膜30を穿刺し、これによりカプセル11と、マシン1の流体パイプシステム28との間に流体連通が形成される。
【0071】
カプセルとマシンとの間の流体連通が形成されると、カプセルポンプの作動が開始され得る。
図8の二重矢印により示されるように、アクチュエータ24と流体連通ロッド31はともに上へと動く。カプセルはマシンのポンプアクチュエータ24及び流体連通ロッド31に機械的かつ流体的に連結しているため、これによりカプセル10の伸縮可能部分を伸縮することによるカプセル容積の膨張が誘発される。アクチュエータ24及びロッド31は両方とも電気モータなどの作動手段又はマシン内に収容された別の類似の作動手段(不図示)によって動作する。
【0072】
カプセル上部壁13の伸縮可能部分10の上へと伸展する動きにより、カプセルの密閉内部容積21は増加し、これにより、密閉容積部21内にへこみが形成され、結果として、マシンの流体パイプシステムによる吸引効果が形成される。結果的に、入口弁22が開き、
図8の単一矢印で示されるように、マシンの流体パイプシステム28からの水が、カプセルの密閉容積部21に入る。
【0073】
特定量の水が剛性分配部壁14の穴29を流れ、カプセル隔室の主要内部容積部内に収容された加工前原材料(不図示)との混合が開始され、最終製品が作製される。
【0074】
その後、アクチュエータ24及びロッド31によって構成されたアセンブリは
図9の二重矢印により示されるように下へと動き、これにより、上部注入壁13の伸縮可能部分10が下方に変形し、入口弁22を閉じる。これにより、結果として、カプセルの密閉容積部21が減少し、カプセル内部に圧力が形成される。
【0075】
アクチュエータ24及びロッド31によって構成されるアセンブリは
図8及び
図9を参照して上述したように上下に交互に動き続けるため、より一層多くの水がカプセル内部容積部及び隔室に入り、加工前原材料と混合される。内部水圧Pは増加する。
【0076】
流体圧力Pが特定の所定値に達すると、アルミニウム膜18は下へと曲がり、穿刺用プレート19の穿刺面に穿刺され、これにより、
図9の点線矢印で示されるように、カプセル隔室に収容された製品が分配開口部17及び出口弁23を通過して外側に流れ、カップ9に入ることが可能になる。所定の適切な量の水がカプセル内に注入されると、ロッド31及びアクチュエータ24の、ポンプを作動する往復運動が停止する。使用済みのカプセルはマシンから取り出し、廃棄することができる。
【0077】
上述の本発明の第1の実施形態に従いカプセルが設計された類似の機能が
図10A及び
図10Bに示される。
【0078】
この場合、
図10Aに示すようにカプセルが膨張すると入口逆止弁22と出口逆止弁23との間に含まれる密閉容積部21内の水は押し出され、その後、この押し出された水量は、
図10Bに示すように、出口逆止弁23を通じてカプセルの主要隔室内に排出され、この主要隔室内で加工前原材料と混合される。密閉ポンプ容積部21からカプセルの主要内部隔室に入る水が増加するにつれ、底部膜18が穿刺用プレート19上まで穿刺され、
図10Bの点線矢印により示されるように、カプセル隔室内に収容された製品が外側に流れることが可能となるまで、流体圧力Pは増加する。
【0079】
本明細書中に記載される適した実施形態に多様な変更及び修正を施すことができることは当業者には明白であると理解すべきである。このような変更及び修正は本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、かつその付随する利点を減じることなく施すことができる。したがって、このような変更及び修正は添付の請求項によって包含されるものとする。