特許第6420383号(P6420383)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6420383マスクブランク用ガラス基板、多層反射膜付き基板、マスクブランク及びマスク
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6420383
(24)【登録日】2018年10月19日
(45)【発行日】2018年11月7日
(54)【発明の名称】マスクブランク用ガラス基板、多層反射膜付き基板、マスクブランク及びマスク
(51)【国際特許分類】
   G03F 1/24 20120101AFI20181029BHJP
   G03F 1/72 20120101ALI20181029BHJP
   G03F 1/84 20120101ALI20181029BHJP
【FI】
   G03F1/24
   G03F1/72
   G03F1/84
【請求項の数】10
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2017-20561(P2017-20561)
(22)【出願日】2017年2月7日
(62)【分割の表示】特願2012-218562(P2012-218562)の分割
【原出願日】2012年9月28日
(65)【公開番号】特開2018-72801(P2018-72801A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2017年2月7日
(31)【優先権主張番号】特願2011-212207(P2011-212207)
(32)【優先日】2011年9月28日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2012-170911(P2012-170911)
(32)【優先日】2012年8月1日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113343
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 武史
(72)【発明者】
【氏名】折原 敏彦
(72)【発明者】
【氏名】河原 明宏
(72)【発明者】
【氏名】笑喜 勉
【審査官】 植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−165629(JP,A)
【文献】 特開2002−072448(JP,A)
【文献】 特開2007−073949(JP,A)
【文献】 特開2009−294682(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20
G03F 1/00〜1/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスクブランク用ガラス基板であって、
転写パターンが形成される側の前記マスクブランク用ガラス基板の主表面上に形成された下地層を備え、
前記下地層は、Si又はSiONからなる材料、または、Al、Ta、Zr、Cr又はこれらのうちの少なくとも一つの元素を含有する材料からなり、
前記下地層の表面は、二乗平均平方根粗さ(RMS)が0.15nm以下であり、最大表面粗さ(Rmax)と二乗平均平方根粗さ(RMS)との関係において、Rmax/RMSが2〜10であることを特徴とするマスクブランク用ガラス基板。
【請求項2】
前記下地層は、アモルファス構造を有する材料からなることを特徴とする請求項1に記載のマスクブランク用ガラス基板。
【請求項3】
前記下地層は、塩素系ガスによるエッチング除去が可能な材料であることを特徴とする請求項1に記載のマスクブランク用ガラス基板。
【請求項4】
前記下地層は、異なる材質の積層構造であることを特徴とする請求項に記載のマスクブランク用ガラス基板。
【請求項5】
前記下地層は、欠陥情報における欠陥位置の基準となる基準マークを有することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一に記載のマスクブランク用ガラス基板。
【請求項6】
前記下地層の膜厚は、20〜300nmであることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一に記載のマスクブランク用ガラス基板。
【請求項7】
前記ガラス基板は、SiO2-TiO2系ガラス、多成分系ガラスセラミックスの何れかであることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一に記載のマスクブランク用ガラス基板。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか一に記載のマスクブランク用ガラス基板における前記下地層の表面又は前記下地層上にEUV光を反射する多層反射膜が形成されていることを特徴とする多層反射膜付き基板。
【請求項9】
請求項1乃至7の何れか一に記載のマスクブランク用ガラス基板における前記下地層上、又は請求項8に記載の多層反射膜付き基板における前記多層反射膜上に、転写パターンとなる薄膜が形成されていることを特徴とするマスクブランク。
【請求項10】
請求項9に記載のマスクブランクにおける前記薄膜がパターニングされていることを特徴とするマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置等の製造に用いられるマスクブランク用ガラス基板、多層反射膜付き基板、マスクブランク及びマスク、並びにそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体装置の製造工程では、フォトリソグラフィー法を用いて微細パターンの形成が行われている。また、この微細パターンの形成には通常何枚ものフォトマスクと呼ばれている転写用マスクが使用される。この転写用マスクは、一般に透光性のガラス基板上に、金属薄膜等からなる微細パターンを設けたものであり、この転写用マスクの製造においてもフォトリソグラフィー法が用いられている。
【0003】
フォトリソグラフィー法による転写用マスクの製造には、ガラス基板等の透光性基板上に転写パターン(マスクパターン)を形成するための薄膜(例えば遮光膜など)を有するマスクブランクが用いられる。このマスクブランクを用いた転写用マスクの製造は、マスクブランク上に形成されたレジスト膜に対し、所望のパターン描画を施す描画工程と、描画後、前記レジスト膜を現像して所望のレジストパターンを形成する現像工程と、このレジストパターンをマスクとして前記薄膜をエッチングするエッチング工程と、残存するレジストパターンを剥離除去する工程とを有して行われている。上記現像工程では、マスクブランク上に形成されたレジスト膜に対し所望のパターン描画を施した後に現像液を供給して、現像液に可溶なレジスト膜の部位を溶解し、レジストパターンを形成する。また、上記エッチング工程では、このレジストパターンをマスクとして、ドライエッチング又はウェットエッチングによって、レジストパターンの形成されていない薄膜が露出した部位を除去し、これにより所望のマスクパターンを透光性基板上に形成する。こうして、転写用マスクが出来上がる。
【0004】
また、転写用マスクの種類としては、従来の透光性基板上にクロム系材料からなる遮光膜パターンを有するバイナリ型マスクのほかに、位相シフト型マスクが知られている。この位相シフト型マスクは、透光性基板上に位相シフト膜を有する構造のもので、この位相シフト膜は、所定の位相差を有するものであり、例えばモリブデンシリサイド化合物を含む材料等が用いられる。また、モリブデン等の金属のシリサイド化合物を含む材料を遮光膜として用いるバイナリ型マスクも用いられるようになってきている。
【0005】
また、近年、半導体産業において、半導体デバイスの高集積化に伴い、従来の紫外光を用いたフォトリソグラフィ法の転写限界を上回る微細パターンが必要とされてきている。このような微細パターン形成を可能とするため、極紫外(Extreme Ultra Violet:以下、EUVと呼称する)光を用いた露光技術であるEUVリソグラフィが有望視されている。ここで、EUV光とは、軟X線領域又は真空紫外線領域の波長帯の光を指し、具体的には波長が0.2〜100nm程度の光のことである。このEUVリソグラフィにおいて用いられるマスクとして反射型マスクが提案されている。このような反射型マスクは、基板上に露光光を反射する多層反射膜が形成され、該多層反射膜上に露光光を吸収する吸収体膜がパターン状に形成されたものである。
【0006】
以上のように、リソグラフィ工程での微細化に対する要求が高まることにより、そのリソグラフィ工程での課題が顕著になりつつある。その1つが、リソグラフィ工程で用いられるマスクブランク用基板の欠陥情報に関する問題である。
従来は、ブランクス検査等において、基板の欠陥の存在位置を、基板センターを原点(0,0)とし、その位置からの距離で特定していた。このため、位置精度が低く、パターン描画時に、欠陥を避けてパターン形成用薄膜にパターニングする場合でもμmオーダーでの回避は困難であった。このため、パターンを転写する方向を変えたり、転写する位置をmmオーダーでラフにずらして欠陥を回避していた。
【0007】
このような状況下、欠陥位置の検査精度を上げることを目的に、例えばマスクブランク用基板に基準マークを形成し、これを基準位置として欠陥の位置を特定する提案がいくつかなされている。
特許文献1には、球相当直径で30nm程度の微小な欠陥の位置を正確に特定できるように、EUVリソグラフィ用反射型マスクブランク用基板の成膜面に、大きさが球相当直径で30〜100nmの少なくとも3つのマークを形成することが開示されている。また、特許文献2には、透明基板の表面に、凹部で構成されている基準マークを設けることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開2008/129914号公報
【特許文献2】特開2003−248299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献1または特許文献2に開示されている方法によりマスクブランクの欠陥位置の検査精度を上げることは可能である。しかし、このような従来方法では、マスクブランク用の基板(一般にはガラス基板)を掘り込んで直接基準マークを形成しているため、たとえば、基板上にパターン形成用の薄膜を成膜後、表面欠陥が発見されたマスクブランク、あるいは、マスクブランクを用いて作製された転写用マスクにおいて修正が困難なパターン欠陥が発見された該転写用マスクを不良品としてそのまま廃棄せずに、基板上から薄膜を剥離除去して基板を再生することが困難である。近年の半導体デバイス等の電子部品の低価格化競争は厳しくなる一方であり、転写用マスクの製造コストの抑制も重要な課題となっている。このような背景から、基板の再生(再利用)も重要な課題となっている。また、近年では半導体装置等におけるパターンの高微細化に伴い、高精度、高品質の転写マスクが要求されており、このような転写マスクを製造するためのマスクブランクにおいても高付加価値を備えた高価な基材が多く用いられるようになってきており、転写用マスクの製造コストの抑制を図るうえで、マスクブランクの基板再生は、従来にも増して重要な課題となってきている。
【0010】
また、上記EUV反射型マスク用の基板としては、露光時の熱によるパターンの歪みを防止するため、例えばSiO−TiO系ガラスなどの低熱膨張係数を有する素材が用いられる。このようなガラス素材は、精密研磨により、表面粗さとして例えばRMSで0.1nm以下の高平滑性を実現することが困難である。そのため、このようなガラス素材からなるEUV反射型マスク用基板表面に直接基準マークを形成しても、高感度の欠陥検査装置においては、表面粗さによるバックグランドノイズが大きくなり、擬似欠陥検出が増加するという問題が発生する。
【0011】
そこで本発明は、このような従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、第一に、高感度の欠陥検査装置において、擬似欠陥検出を抑制でき、基準マークを基準とする欠陥位置等の検出精度を高め、しかも、ガラス基板の再生(再利用)が可能なマスクブランク用ガラス基板、多層反射膜付き基板、及びそれらの製造方法を提供することであり、第二に、これらマスクブランク用ガラス基板等を使用するマスクブランク、マスク、及びそれらの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、転写パターンが形成される側のマスクブランク用ガラス基板の主表面上に、基板の表面粗さの低減、若しくは基板表面の欠陥を低減する下地層を形成し、この下地層に欠陥情報における欠陥位置の基準となる基準マークを形成することにより、ガラス基板のガラス組成に関わらず、擬似欠陥検出を抑制でき、欠陥位置等の検出精度を高められることを見出した。また、このような下地層に基準マークを形成することで、あとからガラス基板の再生が可能になることも見出した。
【0013】
本発明者は、以上の解明事実に基づき、さらに鋭意研究を続けた結果、本発明を完成したものである。
すなわち、上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を有する。
(構成1)
転写パターンが形成される側のマスクブランク用ガラス基板の主表面上に、前記基板の表面粗さの低減、若しくは前記基板表面の欠陥を低減する下地層が形成されており、前記下地層表面は精密研磨された表面であり、前記下地層に、欠陥情報における欠陥位置の基準となる基準マークが形成されていることを特徴とするマスクブランク用ガラス基板。
【0014】
構成1のように、転写パターンが形成される側のマスクブランク用ガラス基板の主表面上に、基板の表面粗さの低減、若しくは基板表面の欠陥を低減する下地層が形成されており、この下地層表面は精密研磨された表面であるため、下地層表面は高い平滑性を有している。すなわち、下地層表面は、基板主表面のもつ主表面粗さよりも小さい下地層表面粗さを有している。この表面平滑性の高い下地層に、欠陥情報における欠陥位置の基準となる基準マークが形成されているため、高感度の欠陥検査装置において、表面粗さによるバックグランドノイズが低減し、擬似欠陥検出を抑制でき、その結果、基準マークを基準とする欠陥位置等の検出精度が向上する。また、この下地層に基準マークが形成されているため、基板上にパターン形成用の薄膜を成膜後、表面欠陥が発見されたマスクブランク、あるいは、マスクブランクを用いて作製された転写用マスクにおいて修正が困難なパターン欠陥が発見された該転写用マスクを不良品としてそのまま廃棄せずに、基板上から薄膜及び下地層を剥離除去してガラス基板を再生(再利用)することが可能である。
【0015】
(構成2)
前記下地層は、Si又はSiを含有するケイ素化合物からなることを特徴とする構成1に記載のマスクブランク用ガラス基板。
構成2にあるように、下地層の材質がSi又はSiを含有するケイ素化合物であることにより、KrFエキシマレーザー(波長248nm)、ArFエキシマレーザー(波長193nm)に対する透光性を有するので、これらの光源を露光光とするマスクブランク用ガラス基板として好適である。また、Si又はSiを含有するケイ素化合物からなる薄膜は、コロイダルシリカ等の研磨砥粒を含む研磨液で、その薄膜表面を精密研磨すると、比較的容易に極めて高い平滑性が得られる点でも好適である。
【0016】
(構成3)
前記下地層は、塩素系ガスによるエッチング除去が可能な材料であることを特徴とする構成1に記載のマスクブランク用ガラス基板。
(構成4)
前記下地層は、Al、Ta、Zr、Ti、Cr又はこれらのうちの少なくとも一つの元素を含有する材料からなることを特徴とする構成3に記載のマスクブランク用ガラス基板。
【0017】
構成3にあるように、下地層が、ガラス基板に対してダメージの少ない塩素系ガスによるエッチング除去が可能な材料で構成される場合、ガラス基板にダメージを与えることなく、基板から下地層を剥離除去することができるので、基板の再生に好適である。
このような塩素系ガスによるエッチング除去が可能な材料としては、例えば構成4にあるようなAl、Ta、Zr、Ti、Cr又はこれらのうちの少なくとも一つの元素を含有する材料が好ましく挙げられる。
【0018】
(構成5)
前記ガラス基板は、SiO2-TiO2系ガラス、多成分系ガラスセラミックスの何れかであることを特徴とする構成1乃至4の何れか一に記載のマスクブランク用ガラス基板。
構成5のように、前記ガラス基板は、SiO2-TiO2系ガラス、多成分系ガラスセラミックスの何れかである場合、このガラス基板の主表面上に、基板の表面粗さの低減、若しくは基板表面の欠陥を低減する下地層が形成されていることにより、基板表面の高い平滑性が得られる。
【0019】
(構成6)
構成1乃至5の何れか一に記載のマスクブランク用ガラス基板における前記下地層の表面又は下地層上にEUV光を反射する多層反射膜が形成されていることを特徴とする多層反射膜付き基板。
上記構成のマスクブランク用ガラス基板における前記下地層の表面又は下地層上にEUV光を反射する多層反射膜が形成されていることにより、基準マークが形成されており、表面平滑性の高い、しかもガラス基板の再生が可能な多層反射膜付き基板が得られる。
即ち、基板の表面粗さの低減、もしくは基板表面の欠陥を低減し、表面平滑性の高い下地層上に多層反射膜が形成されているので、上記多層反射膜表面も高い平滑性が得られる。したがって、多層反射膜表面の欠陥検査の際、擬似欠陥検出を抑制でき、基準マークを基準とする欠陥位置等の検出精度を高めることができる多層反射膜付き基板が得られる。
【0020】
(構成7)
構成1乃至5の何れか一に記載のマスクブランク用ガラス基板における前記下地層上、又は構成6に記載の多層反射膜付き基板における前記多層反射膜上に、転写パターンとなる薄膜が形成されていることを特徴とするマスクブランク。
上記構成のマスクブランク用ガラス基板における前記下地層上、又は多層反射膜付き基板における前記多層反射膜上に、転写パターンとなる薄膜が形成されていることにより、欠陥位置の基準となる基準マークが形成されており、表面平滑性の高い、しかもガラス基板の再生が可能なマスクブランクが得られる。
即ち、基板の表面粗さの低減、もしくは基板表面の欠陥を低減し、表面平滑性の高い下地層上(上記構成6の多層反射膜付き基板においては多層反射膜上)に転写パターンとなる薄膜が形成されているので、上記転写パターンとなる薄膜表面も高い平滑性が得られる。したがって、マスクブランクの欠陥検査の際、擬似欠陥検出を抑制でき、基準マークを基準とする欠陥位置等の検出精度を高めることができるマスクブランクが得られる。
【0021】
(構成8)
構成7に記載のマスクブランクにおける前記薄膜がパターニングされていることを特徴とするマスク。
構成8のマスクは、修正が困難なパターン欠陥が発見された場合、基板上から薄膜及び下地層を、上記構成6の多層反射膜付き基板の場合には、多層反射膜を含めて上記薄膜及び下地層を剥離除去してガラス基板を再生(再利用)することが可能である。
【0022】
(構成9)
マスクブランク用ガラス基板の主表面を所定の平坦度となるように表面加工を行う表面加工工程と、
前記基板の主表面上に、前記基板の表面粗さの低減、若しくは前記基板表面の欠陥を低減する下地層を形成する下地層形成工程と、
前記下地層表面を所定の表面粗さとなるように精密研磨を行う精密研磨工程と、
前記下地層に、欠陥情報における欠陥位置の基準となる基準マークを形成する基準マーク形成工程と、
を有することを特徴とするマスクブランク用ガラス基板の製造方法。
【0023】
構成9のマスクブランク用ガラス基板の製造方法によれば、転写パターンが形成される側のマスクブランク用ガラス基板の主表面上に、基板の表面粗さの低減、若しくは基板表面の欠陥を低減し、表面平滑性の高い下地層を形成することができ、この下地層に欠陥情報における欠陥位置の基準となる基準マークが形成されるため、高感度の欠陥検査装置において、表面粗さによるバックグランドノイズが低減し、擬似欠陥検出を抑制でき、その結果、基準マークを基準とする欠陥位置等の検出精度を向上させることができる。また、この下地層に基準マークが形成されるため、得られたガラス基板上にパターン形成用の薄膜を成膜後、表面欠陥が発見されたマスクブランク、あるいは、マスクブランクを用いて作製された転写用マスクにおいて修正が困難なパターン欠陥が発見された該転写用マスクを不良品としてそのまま廃棄せずに、基板上から薄膜及び下地層を剥離除去してガラス基板を再生(再利用)することが可能である。
【0024】
(構成10)
前記基準マーク形成工程は、前記精密研磨工程の後に行うことを特徴とする構成9に記載のマスクブランク用ガラス基板の製造方法。
構成10にあるように、基準マークの形状制御、欠陥発生抑制の観点から、前記基準マーク形成工程は、前記精密研磨工程の後に行うことが好ましい。即ち、基準マーク形成工程は精密研磨工程の後に行うので、基準マークの断面形状が悪化することない。したがって、基準マークを検出する際の検出光によるコントラストが低下することがない。また、精密研磨工程後は通常、精密研磨工程に使用した研磨砥粒を除去する目的で洗浄工程が行われるが、該洗浄工程は、基準マーク形成工程の前に行われるので、基準マークが形成される下地層表面は平滑であり、研磨砥粒の残渣による新たな欠陥が発生するのを抑制することができる。
【0025】
(構成11)
前記精密研磨工程と前記基準マーク形成工程との間に、前記下地層の欠陥検査を行う欠陥検査工程を有することを特徴とする構成10に記載のマスクブランク用ガラス基板の製造方法。
【0026】
(構成12)
前記欠陥検査の測定データは、欠陥サイズ、欠陥個数を含み、該欠陥検査の結果、合格と判定された基板については、前記基準マーク形成工程を行い、不合格と判定された基板については、前記欠陥の修復、前記下地層表面の再研磨、前記下地層剥離による基板再利用の何れかを行うことを特徴とする構成11に記載のマスクブランク用ガラス基板の製造方法。
【0027】
構成11にあるように、前記精密研磨工程と前記基準マーク形成工程との間に、前記下地層の欠陥検査を行う欠陥検査工程を有することにより、基準マーク形成に先立って、欠陥検査の結果、不合格と判定された基板については、例えば構成12のように、前記欠陥の修復、前記下地層表面の再研磨、前記下地層剥離による基板再利用の何れかを行うことができる。
【0028】
(構成13)
構成9乃至12の何れか一に記載のマスクブランク用ガラス基板の製造方法により得られるマスクブランク用ガラス基板における前記下地層の表面、又は前記下地層上にEUV光を反射する多層反射膜を形成する多層反射膜形成工程を有することを特徴とする多層反射膜付き基板の製造方法。
得られた上記構成のマスクブランク用ガラス基板における前記下地層の表面、又は前記下地層上にEUV光を反射する多層反射膜を形成することにより、基準マークが形成されており、基板表面平滑性の高い、しかもガラス基板の再生が可能な多層反射膜付き基板が得られる。
即ち、基板の表面粗さの低減、もしくは基板表面の欠陥を低減し、表面平滑性の高い下地層上に多層反射膜が形成されているので、上記多層反射膜表面の高い平滑性が得られる。したがって、多層反射膜表面の欠陥検査の際、疑似欠陥を抑制でき、基準マークを基準とする欠陥位置等の検出精度を高めることができる多層反射膜付き基板が得られる。
【0029】
(構成14)
構成9乃至12の何れか一に記載のマスクブランク用ガラス基板の製造方法により得られるマスクブランク用ガラス基板における前記下地層上、又は構成13に記載の多層反射膜付き基板の製造方法により得られる多層反射膜付き基板における前記多層反射膜上に、転写パターンとなる薄膜を形成する転写パターン用薄膜形成工程を有することを特徴とするマスクブランクの製造方法。
得られた上記構成のマスクブランク用ガラス基板における前記下地層上、又は多層反射膜付き基板における前記多層反射膜上に、転写パターンとなる薄膜を形成することにより、欠陥位置の基準となる基準マークが形成されており、表面平滑性の高い、しかもガラス基板の再生が可能なマスクブランクが得られる。
即ち、基板の表面粗さの低減、もしくは基板表面の欠陥を低減し、表面平滑性の高い下地層上(上記構成13の多層反射膜付き基板においては多層反射膜上)に転写パターンとなる薄膜が形成されているので、上記転写パターンとなる薄膜表面も高い平滑性が得られる。したがって、マスクブランクの欠陥検査の際、擬似欠陥検出を抑制でき、基準マークを基準とする欠陥位置等の検出精度を高めることができるマスクブランクが得られる。
【0030】
(構成15)
構成14に記載のマスクブランクの製造方法により得られるマスクブランクにおける前記薄膜をパターニングすることを特徴とするマスクの製造方法。
構成15により得られるマスクは、修正が困難なパターン欠陥が発見された場合、基板上から薄膜及び下地層を剥離除去してガラス基板を再生(再利用)することが可能である。
(構成16)
構成15において、前記マスクブランクの前記下地層に形成された前記基準マークを基準として、前記多層反射膜付き基板又は前記マスクブランクの欠陥検査を行った検査結果に基づいてマスクを製造することを特徴とするマスクの製造方法。
構成16により得られるマスクは、多層反射膜表面の欠陥検査や、マスクブランクの欠陥検査の検査結果(欠陥位置情報を含む欠陥検査データ)に基づいて、基準マークを基準として、予め設計しておいた描画データ(マスクパターンデータ)と照合し、マスクブランクの欠陥による転写への影響が低減するように描画データを補正し、マスクを製造することで、欠陥のないマスクを製造することができる。さらに、この得られたマスクを露光装置にセットし、レジスト膜を形成した半導体基板上へのパターン転写を行う場合、マスク起因の転写パターンの欠陥もなく、良好なパターン転写を行うことができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、高感度の欠陥検査装置において、擬似欠陥検出を抑制でき、基準マークを基準とする欠陥位置等の検出精度を向上することができ、しかも、ガラス基板の再生(再利用)が可能なマスクブランク用ガラス基板、又は該ガラス基板上に多層反射膜を形成した多層反射膜付き基板、及びそれらの製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、これらマスクブランク用ガラス基板、又は多層反射膜付き基板を使用し、高感度の欠陥検査装置において、擬似欠陥検出を抑制でき、基準マークを基準とする欠陥位置等の検出精度の高い、しかもガラス基板の再生が可能なマスクブランク、マスク、及びそれらの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】基準マークの配置例を示すマスクブランク用ガラス基板の平面図である。
図2】基準マークの形状例を示す図である。
図3】本発明に係るマスクブランク用ガラス基板の一実施形態の断面図である。
図4】本発明に係る多層反射膜付き基板の断面図である。
図5】本発明に係る反射型マスクブランクの断面図である。
図6】本発明に係るバイナリマスクブランクの断面図である。
図7】本発明に係る反射型マスクの断面図である。
図8】本発明に係るバイナリマスクの断面図である。
図9】本発明のマスクブランク用ガラス基板の製造方法を説明するためのフローチャート図である。
図10】本発明のマスクブランク用ガラス基板の製造方法における表面加工工程を説明するためのフローチャート図である。
図11】DCマグネトロンスパッタリング装置の概略構成を示す図である。
図12】スパッタリングターゲットと基板の位置関係を説明するための模式図である。
図13】イオンビームスパッタリング法による成膜装置の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態を詳述する。
[マスクブランク用ガラス基板]
まず、本発明に係るマスクブランク用ガラス基板について説明する。
上記のとおり、本発明に係るマスクブランク用ガラス基板は、転写パターンが形成される側のマスクブランク用ガラス基板の主表面上に、前記基板の表面粗さの低減、若しくは前記基板表面の欠陥を低減する下地層が形成されており、前記下地層表面は精密研磨された表面であり、前記下地層に、欠陥情報における欠陥位置の基準となる基準マークが形成されていることを特徴とするものである。
【0034】
図3は、本発明に係るマスクブランク用ガラス基板の一実施形態の断面図である。
図3に示すマスクブランク用ガラス基板20は、ガラス基板11の転写パターンが形成される側の主表面上に、下地層21が形成されている。この下地層21に、凹形状の基準マーク22が形成されている。
【0035】
上記マスクブランク用ガラス基板20における上記下地層21上に、転写パターンとなる薄膜が形成されることにより、露光用マスクブランクが得られる。具体的には、基板の主表面上に遮光膜を備える構造のバイナリマスクブランク、基板の主表面上に位相シフト膜、あるいは位相シフト膜及び遮光膜を備える構造の位相シフト型マスクブランクなどが挙げられ、露光光源としては、例えばKrFエキシマレーザー露光用、あるいはArFエキシマレーザー露光用のマスクブランクである。
【0036】
また、上記マスクブランク用ガラス基板20における上記下地層21の表面に、EUV光を反射する多層反射膜が形成されることにより、多層反射膜付き基板が得られる。さらに、この多層反射膜の上に、転写パターンとなる薄膜として、EUV光を反射する吸収体層が形成されることにより、EUV露光用反射型マスクブランクが得られる。
【0037】
上記ガラス基板11は、バイナリマスクブランクまたは位相シフト型マスクブランクに使用する場合、使用する露光波長に対して透明性を有するものであれば特に制限されず、合成石英基板、その他各種のガラス基板(例えば、ソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス等)が用いられるが、この中でも合成石英基板は、ArFエキシマレーザー又はそれよりも短波長の領域で透明性が高いので、特に好ましく用いられる。
また、EUV露光用の場合、上記ガラス基板11としては、露光時の熱によるパターンの歪みを防止するため、0±1.0×10−7/℃の範囲内、より好ましくは0±0.3×10−7/℃の範囲内の低熱膨張係数を有するものが好ましく用いられ、この範囲の低熱膨張係数を有する素材としては、例えば、SiO−TiO系ガラス、多成分系ガラスセラミックス等を用いることが出来る。
【0038】
上記ガラス基板11の転写パターンが形成される側の主表面は、少なくともパターン転写精度、位置精度を得る観点から高平坦度となるように表面加工されている。表面加工工程については後述する。例えば、KrFエキシマレーザー露光用、あるいはArFエキシマレーザー露光用の場合、ガラス基板11の転写パターンが形成される側の主表面142mm×142mmの領域において、平坦度が0.3μm以下であることが好ましく、特に好ましくは0.1μm以下である。
【0039】
また、EUV露光用の場合、ガラス基板11の転写パターンが形成される側の主表面142mm×142mmの領域において、平坦度が0.1μm以下であることが好ましく、特に好ましくは0.05μm以下である。また、転写パターンが形成される側と反対側の主表面は、露光装置にセットする時に静電チャックされる面であって、142mm×142mmの領域において、平坦度が1μm以下、好ましくは0.5μm以下である。
【0040】
また、マスクブランク用ガラス基板として要求される表面平滑度は、本発明においては最終的には下地層21表面の表面粗さで調整することになるが、下地層表面への影響を考慮すると、上記ガラス基板11の転写パターンが形成される側の主表面の表面粗さは、二乗平均平方根粗さ(RMS)で0.3nm以下であることが好ましい。
【0041】
上記下地層21は、ガラス基板11の表面粗さの低減、若しくはガラス基板11表面の欠陥を低減する目的で形成されている。このような下地層21の材料としては、バイナリマスクブランクまたは位相シフト型マスクブランクに使用する場合、露光光に対して透光性を有する材料が用いられる。例えばKrFエキシマレーザー露光用、あるいはArFエキシマレーザー露光用の場合、Si又はSiを含有するケイ素化合物(例えばSiO2、SiONなど)が好ましく用いられる。
【0042】
また、EUV露光用の場合は、露光光に対して透光性を有する必要はなく、下地層表面を精密研磨した時に高い平滑性が得られ、欠陥品質が良好となる材料が好ましく選択される。高い平滑性の観点から、下地層21は、高い膜密度及び/又はアモルファス構造を有する材料が好ましい。例えば、Si又はSiを含有するケイ素化合物(例えばSiO2、SiONなど)は、精密研磨した時に高い平滑性が得られ、欠陥品質が良好なため、好ましく用いられる。特にSiが好ましい。特に、イオンビームスパッタリングにより成膜したSiが好ましい。
また、基板の再生(再利用)の観点からは、下地層21の材料として、ガラス基板に対してダメージの少ない、つまりエッチング選択性のあるエッチャント、具体的には塩素系ガスによるエッチング除去が可能な材料を選定することが好ましい。このような塩素系ガスによるエッチング除去が可能な材料としては、例えばAl、Ta、Zr、Ti、Cr又はこれらのうちの少なくとも一つの元素を含有する材料(これらの1つの元素に酸素、窒素、炭素を含む化合物など)が好ましく挙げられる。また、高い平滑性の観点から、さらに好ましくは、下地層21は、高い膜密度及び/又はアモルファス構造を有する材料が好ましい。上記挙げたAl、Ta、Zr、Ti、Cr又はこれらのうちの少なくとも一つの元素を含有する材料として、さらにホウ素(B)を含んでも構わない。その中でも、特に上記金属元素と窒素を含有する化合物は、高い平滑性が得られるので好適である。特に、Ta、Cr、又はそれらの窒化物(TaN、TaBN、CrN、CrBN)が好ましい。
【0043】
下地層21の表面は、マスクブランク用基板として要求される平滑度となるように精密研磨された表面とすることが重要である。高感度の欠陥検査装置において、表面粗さによるバックグランドノイズが低減し、擬似欠陥検出を抑制でき、その結果、基準マークを基準とする欠陥位置等の検出精度が向上するからである。下地層21の表面は、二乗平均平方根粗さ(RMS)で0.15nm以下、特に好ましくは0.1nm以下、さらに好ましくは0.08nm以下となるように上記下地層材料の選定、及び、精密研磨されることが望ましい。また、下地層21の表面は、下地層21上に形成する多層反射膜の表面への影響を考慮すると、最大表面粗さ(Rmax)との関係において、Rmax/RMSが2〜10であることが良く、特に好ましくは、2〜8となるように上記下地層材料の選定、及び、精密研磨されることが望ましい。
【0044】
本発明において、上記下地層は、必ずしも単一層である必要はなく、異なる材質の積層構造としてもよい。
【0045】
下地層21の膜厚は、主に基準マーク形成、基準マーク識別、生産性等の観点から適宜設定される。基準マークとして、断面が凹形状又は凸形状のものを形成する場合、下地層の膜厚は上記の観点から、20nm〜300nmの範囲とすることが好ましい。また、EUV露光用マスクブランクにおいては、上記下地層上に多層反射膜及び吸収体層が少なくとも形成され、KrFエキシマレーザーやArFエキシマレーザー露光用マスクブランクにおいては、上記下地層上に、遮光層や位相シフト層などが形成されるので、そのようなマスクブランクにおいて凹形状又は凸形状の基準マークを識別できるようにする観点を考慮すると、下地層の膜厚は、特に75nm〜300nmの範囲が好ましく、更に好ましくは100nm〜300nmの範囲である。
【0046】
次に、欠陥情報における欠陥位置の基準となる基準マークについて詳しく説明する。
本発明においては、基準マークが上記下地層に形成されていることが特徴である。即ち、基準マークが上記下地層に形成され、マスクブランク用基板に達していないことが特徴である。ここで、マスクブランク用基板に達していないとは、基準マークの形成痕がマスクブランク用基板の主表面に「実質的に形成されていない」ことを言う。「実質的に形成されていない」とは、基準マークの形成痕を除去するために、マスクブランク用基板の主表面を所定量除去する加工処理を必要としない程度に、基準マークの形成痕がマスクブランク用基板の主表面に形成されている場合を含む。例えば、基準マークが凹形状の場合、基準マークの深さの最大値は、上記下地層の膜厚となる。また、基準マークが下地層に形成されていることにより、上記のとおり、ガラス基板の再生が可能になるという利点がある。
上記基準マークは、マスクブランク用基板、マスクブランクの欠陥情報における欠陥位置の基準となるものであり、このような基準マークの形状や大きさは、電子線描画の際の電子線や欠陥検査装置の検査光に対して認識し得るものであれば特に制約はなく、適宜設定される。図3においては、一例として、基準マークの断面形状を凹形状とし、基準マークの高さ方向に所望の深さを設けることで認識し得る基準マーク22が形成されている。
【0047】
基準マークの高さ方向(換言すると下地層の膜厚方向)に所望の深さ、又は高さの段差を設けることで、基準マークを認識する場合、基準マークの断面形状としては、図3のような凹形状に限らず、凸形状、又は凹形状と凸形状の混合などが挙げられる。また、基準マークを光学的にコントラストを設けて認識する場合、必ずしも上記のような凹形状、凸形状のものである必要はなく、例えば断面形状がほぼ平坦であっても構わない。
【0048】
図1は、基準マークの配置例を示すマスクブランク用ガラス基板の平面図である。また、図2は、基準マークの形状例を示す図である。
図1では、基準マークとして、相対的に大きさの大きなラフアライメントマーク12aと小さなファインマーク12bの2種類のマークを形成している。なお、図1では、ガラス基板11の表面にこれら基準マークを示しているが、これら基準マークがガラス基板に直接形成されていることを示すものではない。あくまでもガラス基板主表面上での基準マークの配置例を示すものであり、本発明では、基準マークは上記下地層に形成されている。
【0049】
上記ファインマーク12bは、マスクブランク用基板、マスクブランクの欠陥情報における欠陥位置の基準となる基準マークの役割を有するものであり、上記ラフアライメントマーク12aは、それ自体は基準マークの役割は有していないが、上記ファインマーク12bの位置を検出し易くするための役割を有している。上記ファインマーク12bは大きさが小さく、目視で位置の目安を付けることは困難である。また、検査光や電子線で最初からファインマーク12bを検出しようとすると、検出に時間が掛かり、レジスト膜が形成されている場合、不要なレジスト感光を発生させてしまう恐れがあるので好ましくない。上記ファインマーク12bとの位置関係が予め決められている上記ラフアライメントマーク12aを設けることで、ファインマーク12bの検出が迅速かつ容易に行える。
【0050】
図1においては、上記ラフアライメントマーク12aを矩形状のガラス基板11の主表面上のコーナー近傍の4箇所に、上記ファインマーク12bを各ラフアライメントマーク12aの近傍に2箇所ずつ配置した例を示している。上記ラフアライメントマーク12aとファインマーク12bはいずれも基板主表面上の破線Aで示すパターン形成領域の境界線上、あるいはパターン形成領域より外周縁側に形成することが好適である。但し、基板外周縁にあまり近いと、基板主表面の平坦度があまり良好でない領域であったり、他の種類の認識マークと交差する可能性があるので好ましくない。
【0051】
図1に示す例では、上記ラフアライメントマーク12aおよびファインマーク12bはいずれも十字形状である。これらマークの大きさや幅、凹形状とする場合の深さ等は、電子線描画の際の電子線や欠陥検査装置の検査光に対して認識し得るものであれば任意に設定できる。具体例を挙げると、上記ラフアライメントマーク12aの場合、x方向の大きさx1、y方向の大きさy1(図2を参照)はいずれも0.55mm、十字形状の線幅は5μm、深さは100nm、上記ファインマーク12bの場合、x方向の大きさx2、y方向の大きさy2(図2を参照)はいずれも0.1mm、十字形状の線幅は5μm、深さは100nmとすることができる。また、上記ラフアライメントマーク12aの中心点とファインマーク12bの中心点間のx方向の距離x3、y方向の距離y3(図2を参照)はいずれも1.5mmとすることができる。
なお、図1及び図2に示すような基準マークの形状や配置例はあくまでも具体的な一例であって、本発明はこのような実施態様に限定されるものではない。基準マークとしてラフアライメントマーク12aは必須ではなく、ファインマーク12bのみでも構わない。
【0052】
以上説明した本発明のマスクブランク用ガラス基板は、転写パターンが形成される側のマスクブランク用ガラス基板の主表面上に、基板の表面粗さの低減、若しくは基板表面の欠陥を低減する下地層が形成されており、この下地層表面は精密研磨された表面であるため、下地層表面は高い平滑性を有している。また、この表面平滑性の高い下地層に、欠陥情報における欠陥位置の基準となる基準マークが形成されているため、高感度の欠陥検査装置において、表面粗さによるバックグランドノイズが低減し、擬似欠陥検出を抑制でき、その結果、基準マークを基準とする欠陥位置等の検出精度が向上する。また、この下地層に基準マークが形成されているため、基板上にパターン形成用の薄膜を成膜後、表面欠陥が発見されたマスクブランク、あるいは、マスクブランクを用いて作製された転写用マスクにおいて修正が困難なパターン欠陥が発見された該転写用マスクを不良品としてそのまま廃棄せずに、基板上から薄膜及び下地層を剥離除去してガラス基板を再生(再利用)することが可能である。
【0053】
[マスクブランク用ガラス基板の製造方法]
次に、以上説明したマスクブランク用ガラス基板の製造方法について説明する。
本発明は、マスクブランク用ガラス基板の製造方法についても提供するものである。
すなわち、本発明のマスクブランク用ガラス基板の製造方法は、
マスクブランク用ガラス基板の主表面を所定の平坦度となるように表面加工を行う表面加工工程と、
前記基板の主表面上に、前記基板の表面粗さの低減、若しくは前記基板表面の欠陥を低減する下地層を形成する下地層形成工程と、
前記下地層表面を所定の表面粗さとなるように精密研磨を行う精密研磨工程と、
前記下地層に、欠陥情報における欠陥位置の基準となる基準マークを形成する基準マーク形成工程と、
を有することを特徴とするものである。
【0054】
図9は、本発明のマスクブランク用ガラス基板の製造方法を説明するためのフローチャート図であり、図10は、本発明のマスクブランク用ガラス基板の製造方法における表面加工工程を説明するためのフローチャート図である。これらの図を参照して説明する。
【0055】
<表面加工工程>
表面加工工程は、ガラス基板を準備する準備工程(P−1)と、ガラス基板表面の凹凸形状を測定する凹凸形状測定工程(P−2)と、局所加工によってガラス基板表面の平坦度を制御する平坦度制御工程(P−3)と、ガラス基板表面を洗浄する洗浄工程(P−4)と、ガラス基板表面を仕上げ研磨する仕上げ研磨工程(P−5)とを有する(図10を参照)。
【0056】
[準備工程]
準備工程は、ガラス基板の片面又は両面が精密研磨され、表面粗さを二乗平均平方根粗さ(RMS)で約0.4nm以下にしたガラス基板を準備する工程である。通常、この準備工程は、ガラス基板の両面を粗研磨する粗研磨工程と、粗研磨されたガラス基板の片面又は両面を精密研磨する精密研磨工程とを有し、段階的な研磨が行われる。この際、粗研磨工程では、例えば比較的砥粒径の大きな酸化セリウムを分散させた研磨剤が使用され、精密研磨工程では、例えば比較的砥粒径の小さなコロイダルシリカを分散させた研磨剤が使用される。
【0057】
[凹凸形状測定工程]
凹凸形状測定工程は、準備工程で準備されたガラス基板表面の凹凸形状(平坦度)を測定する工程である。ガラス基板表面の凹凸形状の測定には、通常、光学干渉計が使用される。光学干渉計には、たとえばフリンジ観察干渉計や位相シフト干渉計などがある。上記光学干渉計によって測定された凹凸形状の測定結果は、コンピュータなどの記録媒体に保存される。
次に、コンピューターなどの演算処理手段によって、凹凸形状の測定結果と予め設定された所定の基準値(所望の平坦度)とが比較され、その差分がガラス基板表面の所定領域(例えば縦5mm×横5mmの領域)ごとに算出される。すなわち、ガラス基板表面の凸部分の高さに応じて加工取り代が設定される。この差分(加工取り代)が、局所的な表面加工における各所定領域の必要除去量とされる。
【0058】
[平坦度制御工程]
平坦度制御工程は、上記演算処理によって設定された加工取り代に応じた加工条件で、所定領域毎に凸部分を局所加工し、ガラス基板表面の平坦度を所定の基準値以下に制御する工程である。
局所的な表面加工法としては、鉄を含む磁性流体中に研磨砥粒を含有させた磁性研磨スラリーを用いて、ガラス基板表面に局所的に接触させるMRF(Magneto Rheological Finishing)加工法を用いることができる。MRF加工法以外にも、GCIB(ガスクラクターイオンビーム)やプラズマエッチングによる局所加工法を用いてもよい。
【0059】
[洗浄工程]
ガラス基板の洗浄方法は特に制約されないが、上記平坦度制御工程においてMRF加工法を用いた場合には、磁性流体に含有された鉄成分が微量ではあるが、ガラス基板表面に付着している場合があるので、例えば塩酸などを用いた酸洗浄を行い、基板表面に付着した鉄成分を溶解除去することが望ましい。
洗浄方法としては、洗浄槽にガラス基板を浸漬させるディップ法や、洗浄液をノズルで基板表面に供給する方法など、任意である。さらに必要に応じて、超音波を印加したり、スクラブ洗浄により洗浄力を高めるようにしてもよい。
【0060】
[仕上げ研磨工程]
仕上げ研磨は、上述の平坦度制御工程において、ガラス基板表面に面荒れや加工変質層が生じた場合、これらの除去を目的として行うものであり、ガラス基板表面に除去が必要な面荒れや加工変質層が生じていない場合には、仕上げ研磨は特に行わなくてもよい。
この仕上げ研磨の方法としては、平坦度制御工程で得られた平坦度を維持しつつ、表面粗さが改善される研磨方法が好ましい。例えば、研磨パッドなどの研磨用工具面をガラス基板主表面と接触させて研磨液により精密研磨する方法や、ガラス基板主表面と研磨用工具面が直接接触することなく、両者の間に介在する加工液の作用で研磨を行う非接触研磨方法(例えば、フロートポリッシング法、EEM(Elastic Emission Machining)法)などが挙げられる。
【0061】
<下地層形成工程>
下地層の形成方法に特に制限はなく、例えば、DCスパッタリング、RFスパッタリング、イオンビームスパッタリング、CVD法などが挙げられる。下地層の材料は前述したとおりである。
とくに、本発明においては、上述の表面加工工程で得られた高い平坦性を維持しつつ、基板面内で均一な下地層が形成されるように成膜することが望ましい。例えば、図11に示すような成膜装置を用いてスパッタリング法で下地層を成膜する場合、図12に示すような基板とターゲットの位置関係とすることが好ましい。
【0062】
図11に示す成膜装置は、一般的なDCマグネトロンスパッタリング装置の構成を示すもので、成膜チャンバ(真空槽)1を有しており、この成膜チャンバ1の内部にマグネトロンカソード2及び基板ホルダ3が配置されている。マグネトロンカソード2にはバッキングプレート4に接着されたスパッタリングターゲット5が装着されている。基板ホルダ3にはガラス基板6が装着されている。成膜チャンバ1は排気口7を介して真空ポンプにより排気されている。成膜チャンバ1内の雰囲気が所定の真空度まで達した後、ガス導入口8から成膜ガスが導入され、DC電源9を用いてマグネトロンカソード2に負電圧を加え、スパッタリングを行う。成膜チャンバ1内部の圧力は圧力計10によって測定される。
【0063】
そして、図12に示すように、上記基板6とスパッタリングターゲット5の対向する面が所定の角度を有するように配置されている。基板6の被成膜面を上方に向けて水平面上で回転させ、基板6の中心軸と、ターゲット5の中心を通り基板6の中心軸と平行な直線がずれた位置で、基板6の被成膜面に対して所定の角度傾斜して対向配置されたターゲット5をスパッタリングすることによって薄膜(下地層)を成膜する。上記ターゲットの傾斜角は例えば10〜30度程度とすることが好ましい。また、基板6の中心軸と、ターゲット5の中心を通り基板6の中心軸と平行な直線との間の距離(オフセット距離)は例えば200mm〜350mm程度とすることが好ましい。さらに、ターゲット5と基板6間の垂直距離は200mm〜380mm程度とすることが好ましい。
また、イオンビームスパッタリング法で下地層を成膜する場合、図13に示すように、基板主表面の法線に対する入射角度の関係とすることが好ましい。
図13に、イオンビームスパッタリング法による成膜装置80の概念図を示す。図13に、イオンビームスパッタリングにおける、基板6の主表面の法線85に対するスパッタ粒子84の入射角度αを示す。スパッタ粒子84の入射角度αは、5度〜80度とすることが好ましい。基板6の被成膜面をスパッタリングターゲット82に向け、イオンビーム発生装置81から発せられたイオンビーム83がスパッタリングターゲット82に入射することにより発生するスパッタ粒子84の入射角度αが上述の範囲になるように基板6を配置し、基板6を回転させながら、イオンビームスパッタリングすることによって下地層を成膜する。
【0064】
スパッタリング法やイオンビームスパッタリング法で下地層を成膜する場合、図12図13に示すような基板とターゲットの位置関係、スパッタ粒子の入射角度αとすることにより、上述の表面加工工程で得られた高い平坦性を維持しつつ、基板面内で膜厚ばらつきを低減でき、均一な下地層が形成されるように成膜することが可能である。
【0065】
<下地層精密研磨工程>
この下地層精密研磨の方法としては、上記表面加工工程で得られた平坦度を維持しつつ、表面粗さが改善される研磨方法であればよい。例えば、研磨パッドなどの研磨用工具面をガラス基板主表面と接触させて研磨液により精密研磨する方法や、ガラス基板主表面と研磨用工具面が直接接触することなく、両者の間に介在する加工液の作用で研磨を行う非接触研磨方法(例えば、フロートポリッシング法、EEM(Elastic Emission Machining)法)などが挙げられる。
この下地層精密研磨工程は、ガラス基板主表面のもつ主表面粗さよりも小さい下地層表面粗さを有するように精密研磨する。具体的には、下地層表面が、二乗平均平方根粗さ(RMS)で0.15nm以下、特に好ましくは、0.1nm以下、さらに好ましくは、0.08nm以下となるように精密研磨する。
高い平滑性を得るためには、研磨剤の平均粒径が100nm以下、好ましくは50nm以下のコロイダルシリカスラリーを用いて精密研磨することが好ましい。
【0066】
<基準マーク形成工程>
上記下地層に形成する基準マークの形状や大きさ等の詳細については前述したとおりである。
基準マークの形成方法としては、特に限定されない。例えば前述の図3に示すような基準マークの断面形状が凹形状の場合、フォトリソ法、レーザー光やイオンビームによる凹部形成、ダイヤモンド針を走査しての加工痕、微小圧子によるインデンション、インプリント法による型押しなどで形成することができる。また、基準マークの断面形状が凸形状の場合、FIB(集束イオンビーム)やスパッタリング法などによる部分成膜などで形成することができる。
なお、上記基準マーク形成工程は、基準マークの形状制御の観点から、上記下地層精密研磨工程の後に行うことが好ましい。
【0067】
<下地層欠陥検査工程>
本発明においては、上記下地層精密研磨工程と上記基準マーク形成工程との間に、下地層の欠陥検査を行う欠陥検査工程を有することが好ましい。
下地層の欠陥検査は、一般的な欠陥検査装置を用いて行うことができる。欠陥検査を行う場合、欠陥検査の測定データは、欠陥サイズ、欠陥個数を含むことが好ましい。この欠陥検査の結果、合格と判定された基板については、上記基準マーク形成工程を行う。また、不合格と判定された基板については、修復可能な欠陥については欠陥の修復、下地層表面の再研磨、下地層を剥離して基板再利用(下地層を再度形成)の何れかを選択して行うことが好ましい。
【0068】
以上のとおり、本発明のマスクブランク用ガラス基板の製造方法によれば、転写パターンが形成される側のマスクブランク用ガラス基板の主表面上に、基板の表面粗さの低減、若しくは基板表面の欠陥を低減し、表面平滑性の高い下地層を形成することができ、この下地層に欠陥情報における欠陥位置の基準となる基準マークが形成されるため、高感度の欠陥検査装置において、表面粗さによるバックグランドノイズが低減し、擬似欠陥検出を抑制でき、その結果、基準マークを基準とする欠陥位置等の検出精度を向上させることができる。また、この下地層に基準マークが形成されるため、得られたガラス基板上にパターン形成用の薄膜を成膜後、表面欠陥が発見されたマスクブランク、あるいは、マスクブランクを用いて作製された転写用マスクにおいて修正が困難なパターン欠陥が発見された該転写用マスクを不良品としてそのまま廃棄せずに、基板上から薄膜及び下地層を剥離除去してガラス基板を再生(再利用)することが可能である。
【0069】
[多層反射膜付き基板]
本発明は、図4に示すように、上記構成のマスクブランク用ガラス基板20における下地層21の表面にEUV光を反射する多層反射膜31が形成されている多層反射膜付き基板30についても提供する。
上記構成のマスクブランク用ガラス基板における前記下地層の表面にEUV光を反射する多層反射膜が形成されていることにより、基準マークが形成されており、表面平滑性の高い、しかもガラス基板の再生が可能な多層反射膜付き基板が得られる。
【0070】
上記多層反射膜は、低屈折率層と高屈折率層を交互に積層させた多層膜であり、一般的には、重元素又はその化合物の薄膜と、軽元素又はその化合物の薄膜とが交互に40〜60周期程度積層された多層膜が用いられる。
例えば、波長13〜14nmのEUV光に対する多層反射膜としては、Mo膜とSi膜を交互に40周期程度積層したMo/Si周期積層膜が好ましく用いられる。その他に、EUV光の領域で使用される多層反射膜として、Ru/Si周期多層膜、Mo/Be周期多層膜、Mo化合物/Si化合物周期多層膜、Si/Nb周期多層膜、Si/Mo/Ru周期多層膜、Si/Mo/Ru/Mo周期多層膜、Si/Ru/Mo/Ru周期多層膜などがある。露光波長により、材質を適宜選択すればよい。
【0071】
[マスクブランク]
本発明は、上記構成のマスクブランク用ガラス基板における前記下地層上、又は多層反射膜付き基板における前記多層反射膜上に、転写パターンとなる薄膜が形成されているマスクブランクについても提供する。
上記構成のマスクブランク用ガラス基板における前記下地層上、又は多層反射膜付き基板における前記多層反射膜上に、転写パターンとなる薄膜が形成されていることにより、欠陥位置の基準となる基準マークが形成されており、表面平滑性の高い、しかもガラス基板の再生が可能なマスクブランクが得られる。
【0072】
上記多層反射膜付き基板は、反射型マスクを製造するための反射型マスクブランク、すなわち、基板上に露光光を反射する多層反射膜と、露光光を吸収するパターン形成用の吸収体膜とを順に備える反射型マスクブランク用の基板として用いることができる。
図5は、図4の多層反射膜付き基板30における多層反射膜31上に、保護層(キャッピング層)32及びEUV光を吸収するパターン形成用の吸収体膜41が形成されている反射型マスクブランク40を示す。なお、ガラス基板11の多層反射膜等が形成されている側とは反対側に裏面導電膜42が設けられている。
【0073】
上記吸収体膜41は、露光光である例えばEUV光を吸収する機能を有するもので、例えばタンタル(Ta)単体又はTaを主成分とする材料が好ましく用いられる。Taを主成分とする材料としては、TaとBを含む材料、TaとNを含む材料、TaとBを含み、更にOとNの少なくとも何れかを含む材料、TaとSiを含む材料、TaとSiとNを含む材料、TaとGeを含む材料、TaとGeとNを含む材料、等が用いられる。
【0074】
また、通常、上記吸収体膜41のパターニング或いはパターン修正の際に多層反射膜を保護する目的で、多層反射膜と吸収体膜との間に上記保護膜32やバッファ膜を設ける。保護膜の材料としては、ケイ素のほか、ルテニウムや、ルテニウムにニオブ、ジルコニウム、ロジウムのうち1以上の元素を含有するルテニウム化合物が用いられ、バッファ膜の材料としては、主に前記のクロム系材料が用いられる。
【0075】
図6は、図3のマスクブランク用ガラス基板20における下地層21上に、遮光膜51が形成されているバイナリマスクブランク50を示す。
また、図示していないが、図3のマスクブランク用ガラス基板20における下地層21上に、位相シフト膜、あるいは位相シフト膜及び遮光膜を備えることにより、位相シフト型マスクブランクが得られる。
この遮光膜は、単層でも複数層(例えば遮光層と反射防止層との積層構造)としてもよい。また、遮光膜を遮光層と反射防止層との積層構造とする場合、この遮光層を複数層からなる構造としてもよい。また、上記位相シフト膜についても、単層でも複数層としてもよい。
【0076】
このようなマスクブランクとしては、例えば、クロム(Cr)を含有する材料により形成されている遮光膜を備えるバイナリマスクブランク、遷移金属とケイ素(Si)を含有する材料により形成されている遮光膜を備えるバイナリマスクブランク、タンタル(Ta)を含有する材料により形成されている遮光膜を備えるバイナリ型マスクブランク、ケイ素(Si)を含有する材料、あるいは遷移金属とケイ素(Si)を含有する材料により形成されている位相シフト膜を備える位相シフト型マスクブランクなどが挙げられる。
【0077】
上記クロム(Cr)を含有する材料としては、クロム単体、クロム系材料(CrO,CrN,CrC,CrON,CrCN,CrOC,CrOCN等)が挙げられる。
上記タンタル(Ta)を含有する材料としては、タンタル単体のほかに、タンタルと他の金属元素(例えば、Hf、Zr等)との化合物、タンタルにさらに窒素、酸素、炭素及びホウ素のうち少なくとも1つの元素を含む材料、具体的には、TaN、TaO,TaC,TaB,TaON,TaCN,TaBN,TaCO,TaBO,TaBC,TaCON,TaBON,TaBCN,TaBCONを含む材料などが挙げられる。
【0078】
上記ケイ素(Si)を含有する材料としては、ケイ素に、さらに窒素、酸素及び炭素のうち少なくとも1つの元素を含む材料、具体的には、ケイ素の窒化物、酸化物、炭化物、酸窒化物、炭酸化物、あるいは炭酸窒化物を含む材料が好適である。
【0079】
また、上記遷移金属とケイ素(Si)を含有する材料としては、遷移金属とケイ素を含有する材料のほかに、遷移金属及びケイ素に、さらに窒素、酸素及び炭素のうち少なくとも1つの元素を含む材料が挙げられる。具体的には、遷移金属シリサイド、または遷移金属シリサイドの窒化物、酸化物、炭化物、酸窒化物、炭酸化物、あるいは炭酸窒化物を含む材料が好適である。遷移金属には、モリブデン、タンタル、タングステン、チタン、クロム、ハフニウム、ニッケル、バナジウム、ジルコニウム、ルテニウム、ロジウム、ニオブ等が適用可能である。この中でも特にモリブデンが好適である。
【0080】
[マスク]
本発明は、上記構成のマスクブランクにおける前記薄膜がパターニングされているマスクについても提供する。
かかる構成のマスクは、修正が困難なパターン欠陥が発見された場合、基板上から薄膜及び下地層などを剥離除去してガラス基板を再生(再利用)することが可能である。
【0081】
図7は、図5の反射型マスクブランク40における吸収体膜41がパターニングされた吸収体膜パターン41aを備える反射型マスク60を示す。
また、図8は、図6のバイナリマスクブランク50における遮光膜51がパターニングされた遮光膜パターン51aを備えるバイナリマスク70を示す。
マスクブランクにおける転写パターンとなる薄膜をパターニングする方法は、フォトリソグラフィー法が最も好適である。
【0082】
なお、図示していないが、上述のマスクブランク用ガラス基板の下地層上に、位相シフト膜、あるいは位相シフト膜及び遮光膜を備える構造の位相シフト型マスクブランクにおいても、転写パターンとなる薄膜をパターニングすることにより、位相シフト型マスクが得られる。
なお、本発明において欠陥情報を取得する欠陥検査装置は特に限定されない。欠陥検査装置に使用する検査光源波長としては、532nm、488nm、266nm、193nm、13.5nmなどがある。
【実施例】
【0083】
以下、実施例により、本発明の実施の形態を更に具体的に説明する。
( 実施例1 )
<表面加工工程(SPR1)>
両面研磨装置を用い、酸化セリウム砥粒やコロイダルシリカ砥粒により段階的に研磨し、低濃度のケイフッ酸で基板表面を表面処理したSiO−TiO系のガラス基板(大きさが約152.4mm×約152.4mm、厚さが約6.35mm)を準備した。得られたガラス基板の表面粗さは、二乗平均平方根粗さ(RMS)で0.25nmであった(原子間力顕微鏡にて測定した。測定領域は1μm×1μm。)。
【0084】
このガラス基板の表裏両面の表面形状(表面形態、平坦度)を平坦度測定装置(トロッペル社製UltraFlat)で測定した( 測定領域148mm×148mm)。
その結果、ガラス基板表面及び裏面の平坦度は約290nmであった。
ガラス基板表面の表面形状(平坦度)の測定結果は、測定点ごとにある基準面に対する高さの情報としてコンピュータに保存するとともに、ガラス基板に必要な表面平坦度の基準値100nm以下 、裏面平坦度の基準値100nm以下と比較し、その差分( 必要除去量)をコンピュータで計算した。
【0085】
次に、ガラス基板面内を加工スポット形状領域ごとに、必要除去量に応じた局所表面加工の加工条件を設定した。
事前にダミー基板を用いて、実際の加工と同じようにダミー基板を、一定時間基板を移動させずにスポットで加工し、その形状を上記表裏面の表面形状を測定する装置と同じ測定機にて測定し、単位時間当たりにおけるスポットの加工体積を算出する。そして、スポットの情報とガラス基板の表面形状の情報より得られた必要除去量に従い、ガラス基板をラスタ走査する際の走査スピードを決定した。
【0086】
設定した加工条件に従い、磁気流体による基板仕上げ装置を用いてMRF(磁気流動的流体)加工法により、ガラス基板の表裏面平坦度が上記の基準値以下となるように局所的表面加工処理をして表面形状を調整した。
研磨スラリーは、酸化セリウムを使用した。
その後、ガラス基板を塩酸水溶液が入った洗浄槽に約10分間浸漬した後、純水によるリンス、イソプロピルアルコール(IPA)乾燥を行った。
得られたガラス基板表面の表面形状(表面形態、平坦度)と表面粗さを測定したところ、142mm×142mmの測定領域において、表裏面の平坦度は80nmで、100nm以下となっており良好であった。
【0087】
<下地層形成工程(SPR2)>
次に、BドープSiターゲットを使用し、スパッタリングガスとしてArガスとHeガスの混合ガスを使用し、DCマグネトロンスパッタリングにより、100nmのSi下地層を成膜(特許第4137667号記載のスパッタリング法)した後、Si膜に熱エネルギーを付与して応力低減処理を行った。なお、熱エネルギーの付与は、キセノンランプやハロゲンランプによる光エネルギーによる付与や、高温槽による高温処理によって行ってもよい。
【0088】
<下地層精密研磨工程(SPR3)>
その後、Si下地層表面について、表面形状を維持し、表面粗さを低減するため、片面研磨装置を用いた精密研磨を行った。
この精密研磨は、研磨スラリーとして、平均粒径80nmのコロイダルシリカの研磨剤を使用し、スラリーがpHで10以上となるように調整したものを使用した。また、Si下地層表面にかかる面荷重を50g/cm以下に設定し、研磨パッドとしてスェードパッドを使用した。
得られたSi下地層表面の表面形状(表面形態、平坦度)と表面粗さを測定したところ、142mm×142mmの測定領域において、80nmで、100nm以下となっており良好であった。また、表面粗さは、1μm×1μmの測定領域において、二乗平均平方根粗さRMSで0.08nmとなっており極めて良好であった。RMSで0.1nm以下と極めて高い平滑性を有しているので、高感度の欠陥検査装置におけるバックグランドノイズが低減し、擬似欠陥検出抑制の点でも効果がある。
また、最大表面粗さ(Rmax)は、1μm×1μmの測定領域において、0.60nmで、Rmax/RMSは7.5となっており、表面粗さのばらつきは小さく良好であった。
【0089】
<下地層欠陥検査工程(SPR4)>
次に、Si下地層表面をブランクス欠陥検査装置(レーザーテック社製MAGICS M1350)で欠陥検査したところ(検査領域142mm×142mm)、サイズ60nmの欠陥は0(ゼロ)個で良好であった。また、Si下地層表面をマスク/ブランク欠陥検査装置(KLA−Tencor社製Teron600)で欠陥検査したところ(検査領域132mm×132mm)欠陥検出個数は16,457個であった。後述する参考例の欠陥検出個数100,000個超と比較して、欠陥検出個数が大幅に抑制された結果となった。この程度の欠陥検出個数であれば、異物や傷などの致命欠陥の有無を検出することができる。
【0090】
<基準マーク形成工程(SPR5)>
次に、Si下地層の所定の箇所にフォトリソ法により所定の大きさ、幅を有する十字形状で断面形状が凹形状の基準マークを形成した。基準マークの形成は以下のようにして行った。
Si下地層上に電子線描画用レジストをスピンコーティング法で塗布、ベーキングして膜厚200nmのレジスト膜を形成した。基準マークを形成する箇所に電子線描画装置により描画し、その後、現像してレジストパターンを形成した。レジストパターンをマスクにしてフッ素系ガス(CFガス)のドライエッチングにより、Si下地層をエッチング除去し、熱硫酸によってレジスト膜を除去して、下地層に十字形状で断面形状が凹形状の基準マークを形成した。
【0091】
なお、本実施例では、基準マークとして、前述のラフアライメントマークとファインマークを図1に示すような位置関係となるように形成した。ラフアライメントマークは、十字形状で大きさは0.55mm、線幅は5μm、深さは100nmとした。また、ファインマークは、同じく十字形状で大きさは0.1mm、線幅は5μm、深さは100nmとした。
こうしてEUVマスクブランク用ガラス基板を得た。
基準マークの断面形状を原子間力顕微鏡(AFM)により観察したところ、断面がほぼ垂直に立っており良好であった。
【0092】
<多層反射膜成膜工程(SPR6)>
次に、Si下地層上に、イオンビームスパッタリング装置を用いて、Si膜(膜厚:4.2nm)とMo膜(膜厚:2.8nm)を一周期として、40周期積層して多層反射膜を形成し、多層反射膜付き基板を得た。
Si下地層に形成した凹形状の基準マークは、多層反射膜上にも形成され、電子線描画装置やブランクス検査装置で十分検出できることを確認した。
【0093】
<多層反射膜欠陥検査工程(SPR7)>
次に、多層反射膜表面をブランクス欠陥検査装置(レーザーテック社製MAGICS M1350)で欠陥検査を行った。多層反射膜表面の欠陥個数は5個と良好であった。この欠陥検査では、上述の基準マークを基準として、凸、凹の欠陥位置情報と、欠陥サイズ情報を取得した。多層反射膜付き基板と、これら欠陥位置情報、欠陥サイズ情報とを対応させた欠陥情報付き多層反射膜付き基板を得た。この多層反射膜付き基板の多層反射膜表面の反射率を、EUV反射率計により評価したところ、下地層表面粗さばらつきが抑えられたことにより、67%±0.2%と良好であった。
また、下地層に形成した基準マークにより、多層反射膜表面に反映され形成された基準マークは、上記マスク/ブランクス欠陥検査装置で、検査光に対するコントラストが0.51と高く、精度良く検出でき、しかも欠陥検出位置のばらつきも90nmとなり再現性良く検出できることを確認した。尚、上記コントラストは、基準マークの底部の欠陥検査光強度をImin、多層反射膜部の欠陥検査光強度をImaxとし、コントラスト=(Imax−Imin)/(Imax+Imin)で求めた。また、欠陥検出位置のばらつきは、5回欠陥検査を行い、検出した基準座標をもとにした欠陥位置のばらつきにより求めた。また、多層反射膜表面をマスク/ブランク欠陥検査装置(KLA−Tencor社製Teron600)で欠陥検査したところ(検査領域132mm×132mm)欠陥検出個数は17,723個であった。後述する参考例の欠陥検出個数100,000個超と比較して、欠陥検出個数が大幅に抑制された結果となった。この程度の欠陥検出個数であれば、異物や傷などの致命欠陥の有無を検出することができる。
【0094】
<EUV反射型マスクブランク製造工程(SPR8)>
次に、DCマグネトロンスパッタリング装置を用いて、多層反射膜上にRuNbからなるキャッピング層(膜厚:2.5nm)と、TaBN膜(膜厚:56nm)とTaBO膜(膜厚:14nm)の積層膜からなる吸収体層を形成し、また、裏面にCrN導電膜(膜厚:20nm)を形成してEUV反射型マスクブランクを得た。
得られたEUV反射型マスクブランクについて、ブランクス欠陥検査装置(レーザーテック社製MAGICS M1350)で欠陥検査を行った。EUV反射型マスクブランク表面の欠陥個数は7個と良好であった。上述と同様に上述の基準マークを基準として、凸、凹の欠陥位置情報と、欠陥サイズ情報を取得し、EUV反射型マスクブランクと、これら欠陥位置情報、欠陥サイズ情報とを対応させた欠陥情報付きEUV反射型マスクブランクを得た。なお、EUV反射型マスクブランク表面をマスク/ブランク欠陥検査装置(KLA−Tencor社製Teron600)で欠陥検査したところ(検査領域132mm×132mm)欠陥検出個数は18,102個であった。後述する参考例の欠陥検出個数100,000個超と比較して、欠陥検出個数が大幅に抑制された結果となった。この程度の欠陥検出個数であれば、異物や傷などの致命欠陥の有無を容易に検出することができる。
【0095】
<EUV反射型マスク製造工程(SPR9)>
次に、この欠陥情報付きのEUV反射型マスクブランクを用いて、EUV反射型マスクを作製した。
まず、EUV反射型マスクブランク上に電子線描画用レジストをスピンコーティング法により塗布、ベーキングしてレジスト膜を形成した。
次に、EUV反射型マスクブランクの欠陥情報に基づいて、予め設計しておいたマスクパターンデータと照合し、露光装置を用いたパターン転写に影響のないマスクパターンデータに修正するか、パターン転写に影響があると判断した場合には、修正パターンデータを追加したマスクパターンデータに修正するか、修正パターンデータでも対応ができない欠陥については、マスク作製後の欠陥修正の負荷が低減できるマスクパターンデータに修正し、この修正されたマスクパターンデータに基づいて、上述のレジスト膜に対して電子線によりマスクパターンを描画、現像を行い、レジストパターンを形成した。
【0096】
このレジストパターンをマスクとし、吸収体層をフッ素系ガス(CFガス)によりTaBO膜を、塩素系ガス(Clガス)によりTaBN膜をエッチング除去して、キャッピング層上に吸収体層パターンを形成した。
さらに、吸収体層パターン上に残ったレジストパターンを熱硫酸で除去し、EUV反射型マスクを得た。
【0097】
(実施例2)
上述の実施例1において、Si下地層の代わりに、膜の結晶構造がアモルファスからなるCrN下地層(Cr:90at%、N:10at%)を使用した。CrN下地層は、Crターゲットを使用し、スパッタリングガスとしてArガスとHeガスとNガスの混合ガスを使用し、DCマグネトロンスパッタリングにより、100nmのCrN下地層を成膜した。
実施例1と同様の方法によりCrN下地層表面を精密研磨したところ、142mm×142mmの測定領域において、平坦度は85nmで、100nm以下となっており良好であった。また、表面粗さは、1μm×1μmの測定領域において、二乗平均平方根粗さRMSで0.10nmとなっており良好であった。
RMSで0.1nm以下と極めて高い平滑性を有しているので、高感度の欠陥検査装置におけるバックグランドノイズが低減し、擬似欠陥検出抑制の点でも効果がある。
また、最大表面粗さ(Rmax)は、1μm×1μmの測定領域において、0.95nmで、Rmax/RMSは9.5となっており、表面粗さのばらつきは小さく良好であった。
【0098】
CrN下地層表面をブランクス欠陥検査装置(レーザーテック社製MAGICS M1350)で欠陥検査したところ(検査領域142mm×142mm)、サイズ60nmの欠陥は0個で良好であった。また、CrN下地層表面をマスク/ブランク欠陥検査装置(KLA−Tencor社製Teron600)で欠陥検査したところ(検査領域132mm×132mm)欠陥検出個数は24,744個であった。後述する参考例の欠陥検出個数100,000個超と比較して、欠陥検出個数が大幅に抑制された結果となった。この程度の欠陥検出個数であれば、異物や傷などの致命欠陥の有無を検出することができる。
CrN下地層への基準マークの形成は、レジストパターンをマスクにしたドライエッチングガスをCl+Oの混合ガスとした以外は、実施例1と同様にして基準マークを形成したEUVマスクブランク用ガラス基板を作製した。
基準マークの断面形状を原子間力顕微鏡(AFM)により観察したところ、断面がほぼ垂直に立っており良好であった。
【0099】
実施例1と同様にCrN下地層上に、多層反射膜を形成して多層反射膜付き基板を作製した後、さらに、RuNbキャッピング層、TaBN膜とTaBO膜の積層膜からなる吸収体層を形成してEUV反射型マスクブランクを得た。
なお、多層反射膜付き基板の状態で、多層反射膜表面の反射率を、EUV反射率計により評価したところ、実施例1と同様に下地層表面粗さばらつきが抑えられたことにより、67%±0.3%と良好であった。
なお、実施例1と同様に基準マークのコントラスト及び欠陥検出位置のばらつきを評価したところ、多層反射膜表面に反映され形成された基準マークは、上記マスク/ブランクス欠陥検査装置で、検査光に対するコントラストは0.52、欠陥検出位置のばらつきは93nmと良好であった。また、多層反射膜表面、EUV反射型マスクブランク表面を、ブランクス欠陥検査装置(レーザーテック社製MAGICS M1350)、マスク/ブランク欠陥検査装置(KLA−Tencor社製Teron600)で欠陥検査したところ(検査領域132mm×132mm)、欠陥個数、欠陥検出個数はそれぞれ、数個、35,000個程度であった。後述する参考例の欠陥検出個数100,000個超と比較して、欠陥検出個数が大幅に抑制された結果となった。この程度の欠陥検出個数であれば、異物や傷などの致命欠陥の有無を検出することができる。
さらに、EUV反射型マスクブランクを用いてEUV反射型マスクを作製した。実施例1と同様に、EUV反射型マスクブランク、EUV反射型マスクも良好に作製することができた。
【0100】
(実施例3)
次に、上述の実施例2において、下地層の欠陥検査において、欠陥が発見され、下地層を剥離してガラス基板を再利用する例を以下に説明する。
CrN下地層表面をブランクス欠陥検査装置(レーザーテック社製MAGICS M1350)で欠陥検査したところ(検査領域142mm×142mm)、サイズ60nmの欠陥が多数検出されたため、CrN下地層をCl+Oの混合ガスによるドライエッチングにより全面エッチングを行って除去した。
この場合、SiO−TiO系ガラスは、Cl+Oの混合ガスではエッチングされない。そのため、CrN下地層を剥離した後のガラス基板主表面の表面粗さを測定したところ、二乗平均平方根粗さRMSで0.4nmであった。平坦度は80nmと良好であった。
【0101】
CrN下地層を剥離後、ガラス基板表面をアルカリ水溶液で洗浄した後、再度、ガラス基板主表面にCrN下地層を形成し、その後、実施例2と同様にCrN下地層表面を精密研磨した。CrN下地層表面の平坦度、表面粗さを測定したところ、142mm×142mmの測定領域において、85nmで、100nm以下となっており良好であった。また、表面粗さは、1μm×1μmの測定領域において、二乗平均平方根粗さRMSで0.10nmとなっており良好であった。
また、最大表面粗さ(Rmax)は、1μm×1μmの測定領域において、0.96nmで、Rmax/RMSは9.6となっており、表面粗さのばらつきは小さく良好であった。
また、CrN下地層表面をブランクス欠陥検査装置(レーザーテック社製MAGICS M1350)で再度欠陥検査したところ(検査領域142mm×142mm)、サイズ60nmの欠陥は0個で良好であった。また、CrN下地層表面をマスク/ブランク欠陥検査装置(KLA−Tencor社製Teron600)で欠陥検査したところ(検査領域132mm×132mm)欠陥検出個数は27,902個であった。後述する参考例の欠陥検出個数100,000個超と比較して、欠陥検出個数が大幅に抑制された結果となった。この程度の欠陥検出個数であれば、異物や傷などの致命欠陥の有無を検出することができる。
その後、実施例2と同様にして、基準マークの形成、多層反射膜、キャッピング層、吸収体層、導電膜を形成してEUV反射型マスクブランクを得た。
なお、実施例2と同様に基準マークのコントラスト及び欠陥検出位置のばらつきを評価したところ、実施例2と同様の結果が得られた。また、多層反射膜表面、EUV反射型マスクブランク表面を、ブランクス欠陥検査装置(レーザーテック社製MAGICS M1350)、マスク/ブランク欠陥検査装置(KLA−Tencor社製Teron600)で欠陥検査したところ(検査領域132mm×132mm)、欠陥個数、欠陥検出個数はそれぞれ数個、37,000個程度であった。後述する参考例の欠陥検出個数100,000個超と比較して欠陥検出個数が大幅に抑制された結果となった。この程度の欠陥検出個数であれば、異物や傷などの致命欠陥の有無を検出することができる。
上述の実施例3において、下地層表面の欠陥検査において、不合格となった例を挙げて本発明を説明したが、これに限らず、下地層表面の基準マーク形成工程において、基準マークの仕様が満たさなかった場合のガラス基板の再利用でも適用できることは言うまでもない。
【0102】
(実施例4)
上述の実施例1において、Si下地層の代わりに、膜の結晶構造がアモルファスからなるCrN層(Cr:90at%、N:10at%)とSi層の積層下地層を使用した。CrN層とSi層の積層下地層は、まずCrターゲットを使用し、スパッタリングガスとしてArガスとHeガスとNガスの混合ガスを使用し、DCマグネトロンスパッタリングにより、5nmのCrN層を成膜した。続いて、BドープSiターゲットを使用し、スパッタリングガスとしてArガスとHeガスの混合ガスを使用し、DCマグネトロンスパッタリングにより、100nmのSi層を成膜した。
【0103】
なお、上記CrN層は、膜応力をなるべく小さくする必要があること、また上層に形成するSi層の表面粗さの増加を防ぐ必要があることから、結晶構造がアモルファスであって、膜厚はなるべく薄い方がよい。一方、上層のSi層に基準マークをフッ素系ドライエッチングで形成する場合のガラス基板に対するダメージを防ぐエッチングストッパーの機能を果たすためには、ある程度の膜厚が必要である。このような観点から、上記CrN層の膜厚は、2〜20nm、好ましくは3〜15nmとするのがよい。
実施例1と同様の方法によりCrN層とSi層の積層下地層表面を精密研磨したところ、142mm×142mmの測定領域において、平坦度は85nmで、100nm以下となっており良好であった。また、表面粗さは、1μm×1μmの測定領域において、二乗平均平方根粗さRMSで0.08nmとなっており良好であった。
RMSで0.08nm以下と極めて高い平滑性を有しているので、高感度の欠陥検査装置におけるバックグランドノイズが低減し、擬似欠陥検出抑制の点でも効果がある。
また、最大表面粗さ(Rmax)は、1μm×1μmの測定領域において、0.50nmで、Rmax/RMSは6.25となっており、表面粗さのばらつきは小さく良好であった。
【0104】
CrN層とSi層の積層下地層表面をブランクス欠陥検査装置(レーザーテック社製MAGICS M1350)で欠陥検査したところ(検査領域142mm×142mm)、サイズ60nmの欠陥は0個で良好であった。また、上記積層下地層表面をマスク/ブランク欠陥検査装置(KLA−Tencor社製Teron600)で欠陥検査したところ(検査領域132mm×132mm)欠陥検出個数は15,013個であった。後述する参考例の欠陥検出個数100,000個超と比較して、欠陥検出個数が大幅に抑制された結果となった。この程度の欠陥検出個数であれば、異物や傷などの致命欠陥の有無を検出することができる。
CrN層とSi層の積層下地層への基準マークの形成は、レジストパターンをマスクにしたフッ素系ガスによるドライエッチングにより、上層のSi層に基準マーク(深さ:100nm)を形成したこと以外は、実施例1と同様にして基準マークを形成したEUVマスクブランク用ガラス基板を作製した。
基準マークの断面形状を原子間力顕微鏡(AFM)により観察したところ、断面がほぼ垂直に立っており良好であった。
【0105】
実施例1と同様にCrN層とSi層の積層下地層上に、多層反射膜を形成して多層反射膜付き基板を作製した後、さらに、RuNbキャッピング層、TaBN膜とTaBO膜の積層膜からなる吸収体層を形成してEUV反射型マスクブランクを得た。
なお、多層反射膜付き基板の状態で、多層反射膜表面の反射率を、EUV反射率計により評価したところ、実施例1と同様に下地層表面粗さばらつきを抑えたことにより、67%±0.15%と良好であった。
なお、実施例1と同様に基準マークのコントラスト及び欠陥検出位置のばらつきを評価したところ、多層反射膜表面に反映され形成された基準マークは、上記マスク/ブランクス欠陥検査装置で、検査光に対するコントラストは0.50、欠陥検出位置のばらつきは90nmと良好であった。また、多層反射膜表面、EUV反射型マスクブランク表面を、ブランクス欠陥検査装置(レーザーテック社製MAGICS M1350)、マスク/ブランク欠陥検査装置(KLA−Tencor社製Teron600)で欠陥検査したところ(検査領域132mm×132mm)、欠陥個数、欠陥検出個数はそれぞれ、数個、16,000個程度であった。後述する参考例の欠陥検出個数100,000個超と比較して、欠陥検出個数が大幅に抑制された結果となった。この程度の欠陥検出個数であれば、異物や傷などの致命欠陥の有無を検出することができる。
さらに、EUV反射型マスクブランクを用いてEUV反射型マスクを作製した。実施例1と同様に、EUV反射型マスクブランク、EUV反射型マスクも良好に作製することができた。
【0106】
(実施例5)
両面研磨装置を用い、酸化セリウム砥粒やコロイダルシリカ砥粒により段階的に研磨し、低濃度のケイフッ酸で基板表面を表面処理した合成石英基板(大きさが約152.4mm×約152.4mm、厚さが約6.35mm)を準備した。得られたガラス基板の表面粗さは、二乗平均平方根粗さ(RMS)で0.2nmであった。また、ガラス基板表面及び裏面の平坦度は約290nmであった。
その後、実施例1と同様にして、表面加工工程を行った。
次に、得られたガラス基板上に、Siターゲットを使用し、スパッタリングガスとしてArガスとOガスとNガスの混合ガスを使用し、DCマグネトロンスパッタリングにより、100nmのSiON下地層を成膜した。SiON下地層の組成は、Si:40原子%、O:27原子%、N:33原子%であった。
【0107】
実施例1と同様の方法によりSiON下地層表面を精密研磨したところ、142mm×142mmの測定領域において、平坦度は85nmで、100nm以下となっており良好であった。また、表面粗さは、1μm×1μmの測定領域において、二乗平均平方根粗さRMSで0.10nmとなっており良好であった。
RMSで0.1nm以下と極めて高い平滑性を有しているので、高感度の欠陥検査装置におけるバックグランドノイズが低減し、擬似欠陥検出抑制の点でも効果がある。
また、最大表面粗さ(Rmax)は、1μm×1μmの測定領域において、1.00nmで、Rmax/RMSは10となっており、表面粗さのばらつきは小さく良好であった。
【0108】
SiON下地層表面をブランクス欠陥検査装置(レーザーテック社製MAGICSM1350)で欠陥検査したところ(検査領域142mm×142mm)、サイズ60nmの欠陥は0個で良好であった。また、SiON下地層表面をマスク/ブランク欠陥検査装置(KLA−Tencor社製Teron600)で欠陥検査したところ(検査領域132mm×132mm)欠陥検出個数は29,563個であった。後述する参考例の欠陥検出個数100,000個超と比較して、欠陥検出個数が大幅に抑制された結果となった。この程度の欠陥検出個数であれば、異物や傷などの致命欠陥の有無を検出することができる。
SiON下地層への基準マークの形成は、実施例1と同様にして行い、基準マークを形成したバイナリマスクブランク用ガラス基板を作製した。
基準マークの断面形状を原子間力顕微鏡(AFM)により観察したところ、断面がほぼ垂直に立っており良好であった。
【0109】
次に、上記SiON下地層上に、以下のようにしてTaN膜とTaO膜の積層からなる遮光膜を形成した。
ターゲットにタンタル(Ta)ターゲットを用い、キセノン(Xe)と窒素(N)の混合ガス雰囲気(ガス圧0.076Pa、ガス流量比 Xe:N=11sccm:15sccm)で、DC電源の電力を1.5kWとし、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、TaN膜を膜厚44.9nmで成膜し、引き続いて、Taターゲットを用い、アルゴン(Ar)と酸素(O)の混合ガス雰囲気(ガス圧0.3Pa、ガス流量比 Ar:O=58sccm:32.5sccm)で、DC電源の電力を0.7kWとし、TaO膜を膜厚13nmで成膜することにより、TaN膜とTaO膜の積層からなるArFエキシマレーザー(波長193nm)用遮光膜を形成して、バイナリマスクブランクを作製した。なお、ArFエキシマレーザーに対する遮光膜の光学濃度は3.0、表面反射率は19.5%であった。
【0110】
得られたバイナリマスクブランクについて、ブランクス欠陥検査装置(レーザーテック社製MAGICS M1350)で欠陥検査を行った。上述の下地層に形成した基準マークを基準として、凸、凹の欠陥位置情報と、欠陥サイズ情報を取得し、バイナリマスクブランクと、これら欠陥位置情報、欠陥サイズ情報とを対応させた欠陥情報付きバイナリマスクブランクを得た。なお、実施例1と同様に基準マークのコントラスト及び欠陥検出位置のばらつきを評価したところ、多層反射膜表面に反映され形成された基準マークは、上記マスク/ブランクス欠陥検査装置で、検査光に対するコントラストは0.55、欠陥検出位置のばらつきは92nmと良好であった。また、バイナリマスクブランク表面を、ブランクス欠陥検査装置(レーザーテック社製MAGICS M1350)、マスク/ブランク欠陥検査装置(KLA−Tencor社製Teron600)で欠陥検査したところ(検査領域132mm×132mm)、欠陥個数、欠陥検出個数はそれぞれ、数個、40,000個程度であった。後述する参考例の欠陥検出個数100,000個超と比較して、欠陥検出個数が大幅に抑制された結果となった。この程度の欠陥検出個数であれば、異物や傷などの致命欠陥の有無を検出することができる。
【0111】
次に、この欠陥情報付きのバイナリマスクブランクを用いて、バイナリマスクを作製した。
まず、バイナリマスクブランク上に電子線描画用レジストをスピンコーティング法により塗布、ベーキングしてレジスト膜を形成した。
次に、実施例1と同様、バイナリマスクブランクの欠陥情報に基づいて、予め設計しておいたマスクパターンデータと照合し、露光装置を用いたパターン転写に影響のないマスクパターンデータに修正するか、パターン転写に影響があると判断した場合には、修正パターンデータを追加したマスクパターンデータに修正するか、修正パターンデータでも対応ができない欠陥については、マスク作製後の欠陥修正の負荷が低減できるマスクパターンデータに修正し、この修正されたマスクパターンデータに基づいて、上述のレジスト膜に対して電子線によりマスクパターンを描画、現像を行い、レジストパターンを形成した。
【0112】
このレジストパターンをマスクとし、フッ素系ガス(CFガス)によりTaO膜を、塩素系ガス(Clガス)によりTaN膜をエッチング除去して、遮光膜パターンを形成した。
さらに、遮光膜パターン上に残ったレジストパターンを熱硫酸で除去し、バイナリマスクを得た。
【0113】
(実施例6)
上述の実施例1において、Si下地層の代わりに、TaBN下地層(Ta:80at%、B:10at%、N:10at%)を使用した。TaBN下地層は、TaBターゲットを使用し、スパッタリングガスとしてArガスとNガスの混合ガスを使用し、DCマグネトロンスパッタリングにより、150nmのTaBN下地層を成膜した。
実施例1と同様の方法によりTaBN下地層表面を精密研磨したところ、142mm×142mmの測定領域において、平坦度は85nmで、100nm以下となっており良好であった。また、表面粗さは、1μm×1μmの測定領域において、二乗平均平方根粗さRMSで0.085nmとなっており非常に良好であった。
【0114】
RMSで0.1nm以下と極めて高い平滑性を有しているので、高感度の欠陥検査装置におけるバックグランドノイズが低減し、擬似欠陥検出抑制の点でも効果がある。
また、最大表面粗さ(Rmax)は、1μm×1μmの測定領域において、0.8nmで、Rmax/RMSは9.4となっており、表面粗さのばらつきは小さく良好であった。
TaBN下地層表面をブランクス欠陥検査装置(レーザーテック社製MAGICS M1350)で欠陥検査したところ(検査領域142mm×142mm)、サイズ60nmの欠陥は0個で良好であった。また、TaBN下地層表面をマスク/ブランク欠陥検査装置(KLA−Tencor社製Teron600)で欠陥検査したところ(検査領域132mm×132mm)欠陥検出個数は19,337個であった。後述する参考例の欠陥検出個数100,000個超と比較して、欠陥検出個数が大幅に抑制された結果となった。この程度の欠陥検出個数であれば、異物や傷などの致命欠陥の有無を検出することができる。
【0115】
TaBN下地層への基準マークの形成は、FIB(集束イオンビーム)で行った以外は、実施例1と同様にして基準マークを形成したEUVマスクブランク用ガラス基板を作製した。
基準マークの断面形状を原子間力顕微鏡(AFM)により観察したところ、断面がほぼ垂直に立っており良好であった。
実施例1と同様にTaBN下地層上に、多層反射膜を形成して多層反射膜付き基板を作製した後、さらに、RuNbキャッピング層、TaBN膜とTaBO膜の積層膜からなる吸収体層を形成してEUV反射型マスクブランクを得た。
【0116】
なお、多層反射膜付き基板の状態で、多層反射膜表面の反射率を、EUV反射率計により評価したところ、実施例1と同様に下地層表面粗さばらつきが抑えられたことにより、67%±0.25%と良好であった。
なお、実施例1と同様に基準マークのコントラスト及び欠陥検出位置のばらつきを評価したところ、多層反射膜表面に反映され形成された基準マークは、上記マスク/ブランクス欠陥検査装置で、検査光に対するコントラストは0.51、欠陥検出位置のばらつきは92nmと良好であった。また、多層反射膜表面、EUV反射型マスクブランク表面を、ブランクス欠陥検査装置(レーザーテック社製MAGICS M1350)、マスク/ブランク欠陥検査装置(KLA−Tencor社製Teron600)で欠陥検査したところ(検査領域132mm×132mm)、欠陥個数、欠陥検出個数はそれぞれ、数個、25,000個程度であった。後述する参考例の欠陥検出個数100,000個超と比較して、欠陥検出個数が大幅に抑制された結果となった。この程度の欠陥検出個数であれば、異物や傷などの致命欠陥の有無を検出することができる。
さらに、EUV反射型マスクブランクを用いてEUV反射型マスクを作製した。実施例1と同様に、EUV反射型マスクブランク、EUV反射型マスクも良好に作製することができた。
【0117】
(実施例7)
上述の実施例1において、Si下地層の形成をイオンビームスパッタリングにより行い、膜厚100nmを成膜した。
実施例1と同様の方法によりSi下地層表面を精密研磨したところ、142mm×142mmの測定領域において、平坦度は85nmで、100nm以下となっており良好であった。また、表面粗さは、1μm×1μmの測定領域において、二乗平均平方根粗さRMSで0.08nmとなっており非常に良好であった。
RMSで0.08nmと極めて高い平滑性を有しているので、高感度の欠陥検査装置におけるバックグランドノイズが低減し、擬似欠陥検出抑制の点でも効果がある。
【0118】
また、最大表面粗さ(Rmax)は、1μm×1μmの測定領域において、0.55nmで、Rmax/RMSは6.88となっており、表面粗さのばらつきは小さく良好であった。実施例1と比べ、表面粗さ及び表面粗さのばらつきが小さく良好であったのは、イオンビームスパッタリングにより成膜したSi膜は、DCマグネトロンスパッタリングにより成膜したSi膜よりも、高い真空度で成膜するがゆえに、膜密度が高い緻密な膜が形成されたことによるものと考える。
Si下地層表面をブランクス欠陥検査装置(レーザーテック社製MAGICS M1350)で欠陥検査したところ(検査領域142mm×142mm)、サイズ60nmの欠陥は0個で良好であった。また、Si下地層表面をマスク/ブランク欠陥検査装置(KLA−Tencor社製Teron600)で欠陥検査したところ(検査領域132mm×132mm)欠陥検出個数は15,744個であった。後述する参考例の欠陥検出個数100,000個超と比較して、欠陥検出個数が大幅に抑制された結果となった。この程度の欠陥検出個数であれば、異物や傷などの致命欠陥の有無を検出することができる。
【0119】
Si下地層への基準マークの形成は、FIB(集束イオンビーム)で行った以外は、実施例1と同様にして基準マークを形成したEUVマスクブランク用ガラス基板を作製した。
基準マークの断面形状を原子間力顕微鏡(AFM)により観察したところ、断面がほぼ垂直に立っており良好であった。
実施例1と同様にSi下地層上に、多層反射膜を形成して多層反射膜付き基板を作製した後、さらに、RuNbキャッピング層、TaBN膜とTaBO膜の積層膜からなる吸収体層を形成してEUV反射型マスクブランクを得た。
【0120】
なお、多層反射膜付き基板の状態で、多層反射膜表面の反射率を、EUV反射率計により評価したところ、実施例1と同様に下地層表面粗さばらつきが抑えられたことにより、67%±0.2%と良好であった。
なお、実施例1と同様に基準マークのコントラスト及び欠陥検出位置のばらつきを評価したところ、多層反射膜表面に反映され形成された基準マークは、上記マスク/ブランクス欠陥検査装置で、検査光に対するコントラストは0.51、欠陥検出位置のばらつきは90nmと良好であった。また、多層反射膜表面、EUV反射型マスクブランク表面を、ブランクス欠陥検査装置(レーザーテック社製MAGICS M1350)、マスク/ブランク欠陥検査装置(KLA−Tencor社製Teron600)で欠陥検査したところ(検査領域132mm×132mm)、欠陥個数、欠陥検出個数はそれぞれ、数個、16,000個程度であった。後述する参考例の欠陥検出個数100,000個超と比較して、欠陥検出個数が大幅に抑制された結果で、この程度の欠陥検出個数であれば、異物や傷などの致命欠陥の有無を検出することができる。
さらに、EUV反射型マスクブランクを用いてEUV反射型マスクを作製した。実施例1と同様に、EUV反射型マスクブランク、EUV反射型マスクも良好に作製することができた。
【0121】
(参考例)
実施例1と同様に表面加工工程を行ったSiO−TiO系のガラス基板(大きさが約152.4mm×約152.4mm、厚さが約6.35mm)を準備した。得られたガラス基板の表面粗さは、1μm×1μmの測定領域において、二乗平均平方根粗さ(RMS)で0.15nm、最大表面粗さ(Rmax)で1.78nmであった。また、このガラス基板表面及び裏面の平坦度は約290nmであった。
【0122】
次に、上記ガラス基板の主表面に、CrOCN(Cr:O:C:N=33:36:20:11 原子%比)からなるマーク形成用薄膜をスパッタリング法により10nmの膜厚で成膜した。
上記マーク形成用薄膜上に電子線描画用レジストをスピンコーティング法で塗布、ベーキングして膜厚300nmのレジスト膜を形成した。基準マークを形成する箇所に電子線描画装置により描画し、その後、現像してレジストパターンを形成した。レジストパターンをマスクにして、塩素と酸素の混合ガスで上記マーク形成用薄膜をドライエッチングして、マーク形成用薄膜に基準マークのパターンを転写した。さらに、このマーク形成用薄膜のパターンをマスクとして、フッ素系ガス(CFガス)とHeガスの混合ガスでガラス基板をドライエッチングした。残っているマーク形成用薄膜を塩素と酸素の混合ガスでエッチング除去した。こうして、ガラス基板主表面に直接基準マークを形成した。
【0123】
得られたガラス基板の表面粗さを測定したところ、表面粗さは、1μm×1μmの測定領域において、二乗平均平方根粗さRMSで0.16nm、最大表面粗さRmaxで1.95nmであった。本参考例では、TiO−SiO系ガラス基板のため、表面粗さとしてRMSで0.1nm以下の高平滑性を実現することが困難であった。高感度の欠陥検査において、表面粗さによるバックグランドノイズとなり、擬似欠陥検出が増加する恐れがある。実際に、上述の実施例1と同様にCrOCNからなるマーク形成用薄膜表面をマスク/ブランク欠陥検査装置(KLA−Tencor社製Teron600)で欠陥検査したところ(検査領域132mm×132mm)、欠陥検出個数は100,000個を超え、異物や傷などの致命欠陥の有無を検査することができなかった。また、ガラス基板に直接基準マークを形成しているため、基準マーク形成後の基板再利用が困難である。
また、Rmax/RMSは、12.2となっており、上述の実施例と比較して大きな値となった。このガラス基板表面に、実施例1と同様にして多層反射膜を成膜した後、多層反射膜表面の反射率をEUV反射率計により評価したところ、66%±0.35%となり、上述の実施例と比べて悪い結果となった。
なお、実施例1と同様に基準マークのコントラスト及び欠陥検出位置のばらつきを評価したところ、多層反射膜表面に反映され形成された基準マークは、上記マスク/ブランクス欠陥検査装置で、検査光に対するコントラストは0.48、欠陥検出位置のばらつきは92nmと実施例1とほぼ同じ結果であったが、多層反射膜表面、EUV反射型マスクブランク表面をマスク/ブランク欠陥検査装置(KLA−Tencor社製Teron600)で欠陥検査したところ(検査領域132mm×132mm)、欠陥検出個数は100,000個を超え、異物や傷などの致命欠陥の有無を検査することができなかった。
【0124】
なお、上述の実施例では、いずれも基準マークをフォトリソ法により形成した例を挙げて説明したが、これに限定されない。前にも説明したとおり、基準マークの断面形状が凹形状の場合、レーザー光やイオンビームによる凹部形成、ダイヤモンド針を走査しての加工痕、微小圧子によるインデンション、インプリント法による型押しなどで形成することができる。また、基準マークの断面形状が凸形状の場合、FIBやスパッタリング法などによる部分成膜などで形成することができる。
【0125】
また、上記で説明した実施の形態以外にも、以下の構成A〜Dでも、高感度の欠陥検査装置において、擬似欠陥検出を抑制でき、基準マークを基準とする欠陥位置等の検出精度を向上させることができ、しかも、ガラス基板の再生(再利用)が可能なマスクブランク用基板、又は該基板上に多層反射膜を形成した多層反射膜付き基板、マスクブランク、及びマスクを得ることができる。
(構成A)主表面粗さをもつ主表面を有する基板と、
前記主表面上に形成され、前記主表面粗さよりも小さい下地層表面粗さを有する下地層と、
前記下地層上に形成され、欠陥情報における欠陥位置の基準となる基準マークを備えたマスクブランク用基板。
(構成B)構成Aにおいて、前記下地層上にEUV光を反射する多層反射膜を有することを特徴とする多層反射膜付き基板。
(構成C)構成Aに記載のマスクブランク用基板における前記下地層上、又は構成Bに記載の多層反射膜付き基板における前記多層反射膜上に、転写パターンとなる薄膜を有することを特徴とするマスクブランク。
(構成D)構成Aに記載のマスクブランク用基板における前記下地層上、又は構成Bに記載の多層反射膜付き基板における前記多層反射膜上に、転写パターンを有することを特徴とするマスク。
なお、上述の構成A〜Dのマスクブランク用基板、多層反射膜付き基板、マスクブランク、マスクについては、さらに、上記発明を実施するための形態に記載している詳細な構成を備えることができる。
【符号の説明】
【0126】
11 ガラス基板
12a ラフアライメントマーク
12b ファインマーク
20 マスクブランク用ガラス基板
21 下地層
22 基準マーク
30 多層反射膜付き基板
31 多層反射膜
32 保護層
40 反射型マスクブランク
41 吸収体層
50 バイナリマスクブランク
51 遮光層
60 反射型マスク
70 バイナリマスク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13