特許第6420404号(P6420404)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ファナック株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6420404-物体認識装置 図000002
  • 特許6420404-物体認識装置 図000003
  • 特許6420404-物体認識装置 図000004
  • 特許6420404-物体認識装置 図000005
  • 特許6420404-物体認識装置 図000006
  • 特許6420404-物体認識装置 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6420404
(24)【登録日】2018年10月19日
(45)【発行日】2018年11月7日
(54)【発明の名称】物体認識装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 21/00 20060101AFI20181029BHJP
   G01B 21/20 20060101ALI20181029BHJP
   G01B 21/22 20060101ALI20181029BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20181029BHJP
   G01B 11/24 20060101ALI20181029BHJP
   G01B 11/26 20060101ALI20181029BHJP
   B25J 19/04 20060101ALI20181029BHJP
【FI】
   G01B21/00 E
   G01B21/20 101
   G01B21/22
   G01B11/00 A
   G01B11/24 A
   G01B11/26 Z
   B25J19/04
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-86870(P2017-86870)
(22)【出願日】2017年4月26日
【審査請求日】2018年6月18日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163050
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 眞由美
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】滝澤 象太
(72)【発明者】
【氏名】吉田 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】藁科 文和
【審査官】 梶田 真也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−101045(JP,A)
【文献】 特開2012−168788(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/095576(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2018/0075618(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00 − 11/30
G01B 21/00 − 21/32
B25J 1/00 − 21/02
G06T 1/00 − 1/40
G06T 3/00 − 9/40
G06T 11/60 − 13/80
G06T 17/05
G06T 19/00 − 19/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1時刻において物体の2次元情報を取得する2次元センサと、
第2時刻において前記物体の3次元情報を取得する3次元センサと、
前記第1時刻における前記2次元センサの第1位置と前記2次元情報とを対応づけて記憶するとともに、前記第2時刻における前記3次元センサの第2位置と前記3次元情報とを対応づけて記憶する記憶部と、
該記憶部に記憶された前記第1位置と前記第2位置とに基づいて、前記第1位置における前記2次元センサの姿勢と前記第2位置における前記3次元センサの姿勢との間の姿勢変化量を算出し、算出された前記姿勢変化量に基づいて前記第2位置で取得された前記3次元情報を前記第1位置で取得された3次元情報に変換し、変換された前記3次元情報と前記2次元情報とに基づいて前記物体の状態を算出する演算部とを備える物体認識装置。
【請求項2】
前記物体が固定され、
前記2次元センサおよび前記3次元センサがロボットに取り付けられ、
前記第1位置および前記第2位置が、前記第1時刻および前記第2時刻における前記ロボットの位置情報に基づいて算出される請求項1に記載の物体認識装置。
【請求項3】
前記2次元センサおよび前記3次元センサが固定され、
前記物体が搬送機構により搬送され、
前記第1位置および前記第2位置が、前記第1時刻および前記第2時刻における前記搬送機構の搬送量情報に基づいて算出される請求項1に記載の物体認識装置。
【請求項4】
前記2次元センサによる前記2次元情報の取得と、前記3次元センサによる前記3次元情報の取得とを交互に行い、
前記演算部が、隣接する時刻に取得された前記2次元情報と前記3次元情報とに基づいて前記物体の状態を算出する請求項1から請求項3のいずれかに記載の物体認識装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体認識装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、物体に対してパターンを投影して撮影することにより物体の3次元情報を取得し、パターンを投影せずに撮影することで物体の2次元情報を取得し、取得された2次元情報と3次元情報とを組み合わせて物体の位置および姿勢を求める技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−101045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、2次元情報と3次元情報とを同時に取得することができないため、2次元センサおよび3次元センサと物体とが、いずれか一方が他方に対して相対的に移動している場合には2次元情報と3次元情報とが異なる位置において取得されるため、物体の位置および姿勢を精度よく算出することができないという不都合がある。
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、センサに対して物体、または物体に対してセンサが相対的に移動していても物体の位置および姿勢を精度よく算出することができる物体認識装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明は以下の手段を提供する。
本発明の一態様は、第1時刻において物体の2次元情報を取得する2次元センサと、第2時刻において前記物体の3次元情報を取得する3次元センサと、前記第1時刻における前記物体または前記2次元センサの第1位置と前記2次元情報とを対応づけて記憶するとともに、前記第2時刻における前記物体または前記3次元センサの第2位置と前記3次元情報とを対応づけて記憶する記憶部と、該記憶部に記憶された前記第1位置と前記第2位置とに基づいて、前記第1位置における前記2次元センサの姿勢と前記第2位置における前記3次元センサの姿勢との間の姿勢変化量を算出し、算出された前記姿勢変化量に基づいて前記第2位置で取得された前記3次元情報を前記第1位置で取得された3次元情報に変換し、変換された前記3次元情報と前記2次元情報とに基づいて前記物体の状態を算出する演算部とを備える物体認識装置を提供する。
【0006】
本態様によれば、第1時刻において2次元センサにより取得された物体の2次元情報が、第1時刻における2次元センサの第1位置と対応づけて記憶部に記憶され、第2時刻において3次元センサにより取得された物体の3次元情報が、第2時刻における3次元センサの第2位置と対応づけて記憶部に記憶される。
演算部は、第1位置における2次元センサの姿勢と第2位置における3次元センサの姿勢との間の姿勢変化量を算出し、算出された姿勢変化量に基づいて第2位置で取得された3次元情報を第1位置で取得された3次元情報に変換し、変換された3次元情報と2次元情報とに基づいて物体の状態を算出する。
【0007】
物体と2次元センサおよび3次元センサとを、いずれか一方を他方に対して相対的に移動させながら、2次元情報と3次元情報とを異なる時刻に順次取得する場合には、取得された2次元情報と3次元情報とは物体の異なる方向から取得されることとなる。本態様によれば、2次元センサと3次元センサとの姿勢変化量を算出して、第2位置で取得された3次元情報を第1位置で取得された3次元情報に変換するので、2次元情報と3次元情報とを同一方向から物体をみた場合の情報に概略等しくすることができ、これらに基づいて、物体の形状、位置および姿勢の少なくとも1つの状態を精度よく算出することができる。
【0008】
上記態様においては、前記物体が固定され、前記2次元センサおよび前記3次元センサがロボットに取り付けられ、前記第1位置および前記第2位置が、前記第1時刻および前記第2時刻における前記ロボットの位置情報に基づいて算出されてもよい。
このようにすることで、ロボットの動作に伴って2次元センサおよび3次元センサが移動するので、第1時刻および第2時刻におけるロボットの位置情報が取得できれば、第1位置および第2位置を精度よく算出し、物体の状態を精度よく算出することができる。
【0009】
また、上記態様においては、前記2次元センサおよび前記3次元センサが固定され、前記物体が搬送機構により搬送され、前記第1位置および前記第2位置が、前記第1時刻および前記第2時刻における前記搬送機構の搬送量情報に基づいて算出されてもよい。
このようにすることで、固定された2次元センサおよび3次元センサに対して、搬送機構により物体が搬送させられることにより、第1位置と第2位置とが変化するが、搬送機構の搬送量情報が取得できれば、第1位置および第2位置を精度よく算出し、物体の状態を精度よく算出することができる。
【0010】
また、上記態様においては、前記2次元センサによる前記2次元情報の取得と、前記3次元センサによる前記3次元情報の取得とを交互に行い、前記演算部が、隣接する時刻に取得された前記2次元情報と前記3次元情報とに基づいて前記物体の状態を算出してもよい。
このようにすることで、各第1位置において取得された各2次元情報に対応づける3次元情報として、より近い第2位置において取得された3次元情報を利用することができる。これにより、2次元情報を取得する間隔を短縮することができ、物体と2次元センサおよび3次元センサとの相対移動経路に沿う物体の状態をより詳細に認識することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、センサに対して物体、または物体に対してセンサが相対的に移動していても物体の位置および姿勢を精度よく算出することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る物体認識装置を示すブロック図である。
図2図1の物体認識装置のセンサをロボットに取り付けて物体を認識する場合を示す斜視図である。
図3図1の物体認識装置による物体の認識を説明する図である。
図4図1の物体認識装置の第1の変形例による物体の認識を説明する図である。
図5図4に続く物体の認識を説明する図である。
図6図1の物体認識装置のセンサを固定し、ロボットに物体を取り付けて認識する場合を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態に係る物体認識装置1について、図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る物体認識装置1は、図1に示されるように、ロボット100の手首先端に取り付けられ、ロボット100の外部に固定された物体Xの2次元情報および3次元情報を取得するセンサ(2次元センサ、3次元センサ)2と、該センサ2により各時刻において取得された物体Xの2次元情報および3次元情報を各時刻におけるロボット100のロボット位置情報(以下、単に位置情報という)と対応づけて記憶するメモリ(記憶部)3と、該メモリ3に記憶された2次元情報、3次元情報およびロボット100の位置情報に基づいて、物体Xの形状、位置および姿勢の少なくとも1つを認識するプロセッサ(演算部)4とを備えている。図中、符号110は、ロボット100を制御し、位置情報をメモリ3に送信する制御部である。
【0014】
センサ2は、2次元情報または3次元情報のいずれかを択一的に取得可能な方式のものであり、ロボット100を動作させて移動しながら取得する場合には、物体Xを同一方向から取得することができず、異なる方向から2次元情報および3次元情報を取得するようになっている。センサ2は、2次元情報として2次元画像、3次元情報として距離情報を取得するようになっている。
【0015】
プロセッサ4は、メモリ3に記憶された2次元情報および3次元情報をそれぞれ取得したときのロボット100の位置情報に基づいて、2次元情報を取得したときのセンサ2の位置(第1位置)と3次元情報を取得したときのセンサ2の位置(第2位置)とをそれぞれ算出し、算出された2つの位置に基づいて2つの位置でのセンサ2の姿勢変化量を算出するようになっている。姿勢変化量は、例えば、シフト量より3方向の回転量を含む4×4の行列として算出される。
【0016】
プロセッサ4は、算出された姿勢変化量をメモリ3に記憶されている3次元情報に乗算することにより、第2位置において取得された3次元情報を第1位置で算出された3次元情報に変換するようになっている。そして、プロセッサ4は、変換された3次元情報と2次元情報とに基づいて物体Xの形状、位置および姿勢の少なくとも1つからなる物体Xの状態を算出するようになっている。
【0017】
このように構成された本実施形態に係る物体認識装置1によれば、図2に示されるように、制御部110によってロボット100を制御し、ロボット100によりセンサ2を移動させながら、2次元情報とは異なる時刻に取得された3次元情報をセンサ2の姿勢変化量に基づいて、2次元情報の取得された第1位置において取得された3次元情報に変換するので、平面的な情報である2次元情報と、立体的な情報である3次元情報とを精度よく対応づけて、物体Xの状態を精度よく認識することができるという利点がある。
【0018】
例えば、図3に示されるように、第1時刻に物体Xを含む領域の2次元情報を斜め上方から取得し、その後、ロボット100によりセンサ2を移動させて第2時刻に物体Xを含む領域の3次元情報を鉛直上方から取得した場合に、両検出位置においてセンサ2の検出方向に延びる直線(視線)がシフトおよび回転してしまう。
【0019】
図中、黒塗りのプロットはセンサ2により取得された3次元情報、白抜きのプロットは取得された3次元情報をそのまま2次元情報に重ねた場合をそれぞれ示している。
本実施形態に係る物体認識装置1によれば、姿勢変化量を用いて、白抜きのプロットを黒塗りのプロットの位置まで戻し、2次元情報の各位置に対応する3次元情報として変換することができる。
【0020】
すなわち、物体Xの2次元情報と3次元情報とが異なる方向から取得されても、物体Xの形状、位置および姿勢を精度よく認識でき、ロボット100を高速で動作させながら物体Xの状態を認識することができるという利点がある。
この場合において、2次元情報と3次元情報とを組み合わせて物体Xを認識するので、情報量の膨大な3次元情報のみから認識する場合と比較して、使用する3次元情報を最小限に抑えてメモリ容量やプロセッサによる演算量を大幅に削減することができ、ロボット100の高速動作中においてもリアルタイムに物体Xの状態を認識することができるという利点がある。
【0021】
なお、本実施形態においては、2次元情報を第1時刻に取得し、3次元情報はその後の第2時刻に取得することとしたが、取得の順序は逆でもよい。
また、本実施形態においては、2次元情報および3次元情報をそれぞれ異なる1箇所において取得した場合を例示して説明したが、これに代えて、ロボット100の動作に伴うセンサ2の移動経路に沿って複数の位置において物体Xを認識する場合に適用してもよい。
【0022】
この場合には、図4および図5に示されるように、2次元情報と3次元情報とを時系列に交互に取得し、隣接する2次元情報と3次元情報とを用いて、3次元情報を2次元情報に対応づけることにしてもよい。
例えば、図4に示されるように、第1時刻において取得された2次元情報と第2時刻において取得された3次元情報とに基づいて、第2時刻に取得された2次元情報を第1時刻に取得したのと同等の3次元情報に変換して対応づける。次いで、図5に示されるように、第2時刻において取得された3次元情報と第3時刻において取得された2次元情報とに基づいて、第2時刻に取得された3次元情報を第3時刻に取得したのと同等の3次元情報に変換して対応づける。これにより、2つの2次元情報の間に取得された3次元情報を量2次元情報に対応づけて物体をより詳細に認識することができる。
【0023】
また、本実施形態においては、3次元情報を2次元情報に対応づけるように変換することとしたが、これに代えて、2次元情報を3次元情報に対応づけるように変換してもよい。これにより、2次元情報の取得位置および3次元情報の取得位置の両方において2次元情報と3次元情報とを対応づけることができ、ロボット100によるセンサ2の移動経路に沿って、より詳細に物体Xを認識することができるという利点がある。
【0024】
また、本実施形態においては、ロボット100にセンサ2を取り付けて物体Xに対してセンサ2を移動させる場合について説明したが、これに代えて、図6に示されるように、センサ2をロボット100の外部に固定し、物体Xをロボット100に装着してセンサ2に対して物体Xを移動させる場合に適用してもよい。
また、ロボット100によってセンサ2を移動する場合について説明したが、これに代えて、センサ2を固定し、ベルトコンベア等の搬送機構によって物体Xを移動させる場合に適用してもよい。この場合には、搬送機構に備えられたエンコーダ等の位置センサにより検出された物体Xの位置情報(搬送量情報)に基づいて姿勢変化量を算出すればよい。
【0025】
また、本実施形態においては、センサ2として、2次元情報および3次元情報を択一的に切り替えて取得可能なものを例示したが、これに代えて、2次元情報を検出する2次元センサと、3次元情報を検出する3次元センサとを別々に備え、両者を所定の相対位置関係に固定して使用することにしてもよい。
【符号の説明】
【0026】
1 物体認識装置
2 センサ(2次元センサ、3次元センサ)
3 メモリ(記憶部)
4 プロセッサ(演算部)
100 ロボット
X 物体
【要約】
【課題】センサに対して物体、または物体に対してセンサが相対的に移動していても物体の状態を精度よく算出する。
【解決手段】第1時刻において物体の2次元情報を取得する2次元センサ2と、第2時刻において物体Xの3次元情報を取得する3次元センサ2と、第1時刻における2次元センサ2の第1位置と2次元情報、および、第2時刻における3次元センサ2の第2位置と3次元情報をそれぞれ対応づけて記憶する記憶部3と、記憶された第1位置と第2位置とに基づき、第1位置における2次元センサ2の姿勢と第2位置における3次元センサ2の姿勢との間の姿勢変化量を算出し、算出された姿勢変化量に基づき第2位置で取得された3次元情報を第1位置で取得された3次元情報に変換し、変換された3次元情報と2次元情報とに基づき物体Xの状態を算出する演算部4とを備える物体認識装置1を提供する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6