特許第6420457号(P6420457)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 京セラ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6420457-電力変換装置、分電盤及び運転切替方法 図000002
  • 特許6420457-電力変換装置、分電盤及び運転切替方法 図000003
  • 特許6420457-電力変換装置、分電盤及び運転切替方法 図000004
  • 特許6420457-電力変換装置、分電盤及び運転切替方法 図000005
  • 特許6420457-電力変換装置、分電盤及び運転切替方法 図000006
  • 特許6420457-電力変換装置、分電盤及び運転切替方法 図000007
  • 特許6420457-電力変換装置、分電盤及び運転切替方法 図000008
  • 特許6420457-電力変換装置、分電盤及び運転切替方法 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6420457
(24)【登録日】2018年10月19日
(45)【発行日】2018年11月7日
(54)【発明の名称】電力変換装置、分電盤及び運転切替方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/38 20060101AFI20181029BHJP
【FI】
   H02J3/38 180
   H02J3/38 130
【請求項の数】12
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-502489(P2017-502489)
(86)(22)【出願日】2016年2月25日
(86)【国際出願番号】JP2016055704
(87)【国際公開番号】WO2016136912
(87)【国際公開日】20160901
【審査請求日】2017年8月15日
(31)【優先権主張番号】特願2015-35090(P2015-35090)
(32)【優先日】2015年2月25日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】キュリーズ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】角田 裕次
【審査官】 宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−072931(JP,A)
【文献】 特開2013−074631(JP,A)
【文献】 特開2002−152976(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/103011(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J3/00−7/12、
7/34−7/36、
13/00
H02M7/42−7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力指令メッセージを外部サーバとの通信により受信する通信部と、
前記外部サーバとの通信状態が所定の閾値以下であると判断された場合に、電力系統と連系された連系運転状態から電力系統と解列された自立運転状態に運転状態を変更する制御部とを備えることを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
分散電源から入力されるDC電力の電圧を変換する第1直流コンバータと、
蓄電池から入力されるDC電力の電圧を変換する第2直流コンバータと、
前記第1直流コンバータから入力されるDC電力及び前記第2直流コンバータから入力されるDC電力をAC電力に変換するインバータとを備え、
前記自立運転状態において前記インバータから出力される電力は、前記連系運転状態において前記インバータに接続されていた負荷に対して連続的に供給されることを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記連系運転状態から前記自立運転状態への変更期間においても、前記インバータから出力される電力は、前記負荷に対して連続的に供給されることを特徴とする請求項に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記インバータから出力可能な電力によって前記負荷の消費電力を賄える場合に、前記連系運転状態から前記自立運転状態への変更を行うことを特徴とする請求項2又は請求項3記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記外部サーバと前記電力変換装置との間の通信が復帰した場合に、前記自立運転状態から前記連系運転状態に前記電力変換装置の動作状態を変更することを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれかに記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記外部サーバと前記電力変換装置との間の通信が復帰した場合に、前記自立運転状態から前記連系運転状態に前記電力変換装置の動作状態を自動的に変更しないことを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれかに記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記インバータと電力系統とを接続する第1電力線上に設けられる第1リレースイッチと、
前記インバータと負荷とを接続する第2電力線上に設けられる第2リレースイッチと、
前記第1電力線と前記第2電力線とを接続する第3電力線上に設けられる第3リレースイッチとを備え、
前記制御部は、
前記電力変換装置の動作状態を前記連系運転状態から前記自立運転状態に変更する場合に、前記第3リレースイッチが閉状態のまま、前記第1リレースイッチを閉状態から開状態に切替えるとともに、前記第2リレースイッチを開状態から閉状態に切替えた後に、前記第3リレースイッチを閉状態から開状態に切り替えることを特徴とする請求項乃至請求項6のいずれかに記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記自立運転状態から前記連系運転状態に前記電力変換装置の動作状態を変更する場合に、前記第3リレースイッチを開状態から閉状態に切り替えた後に、前記第2リレースイッチを閉状態から開状態に切替えるとともに、前記第1リレースイッチを開状態から閉状態に切替えることを特徴とする請求項に記載の電力変換装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記第1直流コンバータ、前記第2直流コンバータ及び前記インバータの動作を停止せずに、前記連系運転状態から前記自立運転状態への変更を行うことを特徴とする請求項乃至請求項8のいずれかに記載の電力変換装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記分散電源の出力の抑制が正しく実行されたか否かを検証するための検証記録を出力し、
前記制御部は、前記連系運転状態から前記自立運転状態への変更を行った場合に、前記検証記録としてゼロを出力することを特徴とする請求項乃至請求項9のいずれかに記載の電力変換装置。
【請求項11】
分散電源と電力系統との接続を連系又は解列する切部を備え、
前記切替部は、電力指令メッセージを送信するサーバと前記分散電源を制御する電力変換装置との通信状態が所定の閾値以下であると判断された場合に、電力系統と連系された連系運転状態から電力系統と解列された自立運転状態に運転状態を切り替えることを特徴とする分電盤。
【請求項12】
電力指令メッセージを外部サーバとの通信により電力変換装置が受信するステップと、
前記外部サーバと前記電力変換装置との間の通信状態が所定の閾値以下であると判断された場合に、電力系統と連系された連系運転状態から電力系統と解列された自立運転状態に運転状態を変更するステップとを備えることを特徴とする運転切替方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DC電力をAC電力に変換する電力変換装置、分電盤及び運転切替方法に関する。
【背景技術】
【0002】
DC(Direct Current)電力を出力する分散電源に接続された電力変換装置(パワーコンディショナ)が知られている。電力変換装置は、分散電源から入力されるDC電力の電圧を変換する直流コンバータ(DC/DCコンバータ)と、直流コンバータから入力されるDC電力をAC(Alternating Current)電力に変換するインバータとを備える(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−171359号公報
【発明の概要】
【0004】
1つの特徴は、電力変換装置であって、電力指令メッセージを外部との通信により受信する通信部と、前記サーバとの通信状態が所定の閾値以下であると判断された場合に、電力系統と連系された連系運転状態から電力系統と解列された自立運転状態に運転状態を変更する制御部とを備えることを要旨とする。
【0005】
1つの特徴は、分電盤であって、分散電源と電力系統との接続を連系又は解列する切換部を備え、前記切替部は、電力指令メッセージを送信するサーバと前記分散電源を制御する電力変換装置との通信状態が所定の閾値以下であると判断された場合に、電力系統と連系された連系運転状態から電力系統と解列された自立運転状態に運転状態を切り替えることを要旨とする。
【0006】
1つの特徴は、運転切替方法であって、電力指令メッセージを外部との通信により電力変換装置が受信するステップと、前記サーバと前記電力変換装置との間の通信状態が所定の閾値以下であると判断された場合に、電力系統と連系された連系運転状態から電力系統と解列された自立運転状態に運転状態を変更するステップとを備えることを要旨とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係る電力管理システム1を示す図である。
図2図2は、実施形態に係るPCS130を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る制御方法を示すフロー図である。
図4図4は、実施形態に係る制御方法を示すフロー図である。
図5図5は、他の実施形態に係る電力管理システム1を示す図である。
図6図6は、他の実施形態に係る制御方法を示すフロー図である。
図7図7は、他の実施形態に係る制御方法を示すフロー図である。
図8図8は、他の実施形態に係るPCS130を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下において、実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。
【0009】
ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることがある。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0010】
[実施形態の概要]
電力変換装置は、分散電源の出力の抑制を指示するメッセージ(以下、出力抑制メッセージ)を外部サーバから受信する必要があるため、外部サーバと電力変換装置との間の通信が切断されると、分散電源の出力を停止することが想定される。詳細には、電力変換装置は、外部サーバと電力変換装置との間の通信異常が一定期間(例えば、5分)に亘って継続する場合に、分散電源の出力を停止する。
【0011】
上述した従来技術では、外部サーバと電力変換装置との間の通信が切断されると、分散電源の出力を停止しなければならない。しかしながら、分散電源の出力を停止してしまうと、分散電源の出力が有効に利用されないことが想定される。
【0012】
また、上述した従来技術では、分散電源から入力されるDC電力だけではなく、蓄電池から入力されるDC電力をAC電力に変換する電力変換装置も知られている。しかしながら、このような電力変換装置において、インバータの動作を停止してしまうと、蓄電池の充電及び放電もできなくなってしまうことも想定される。
【0013】
実施形態に係る電力変換装置は、電力指令メッセージを外部との通信により受信する通信部と、前記サーバとの通信状態が所定の閾値以下であると判断された場合に、電力系統と連系された連系運転状態から電力系統と解列された自立運転状態に運転状態を変更する制御部とを備える。
【0014】
実施形態では、制御部は、サーバとの通信状態が所定の閾値以下であると判断された場合に、電力系統と連系された連系運転状態から電力系統と解列された自立運転状態に運転状態を変更する。従って、分散電源の出力の停止が回避され、分散電源の出力が有効に利用することができる。
【0015】
また、実施形態に係る電力変換装置は、分散電源から入力されるDC電力の電圧を変換する第1直流コンバータと、蓄電池から入力されるDC電力の電圧を変換する第2直流コンバータと、前記第1直流コンバータから入力されるDC電力及び前記第2直流コンバータから入力されるDC電力をAC電力に変換するインバータと、電力系統と連系された連系運転状態から電力系統と解列された自立運転状態に前記電力変換装置の動作状態を変更する制御部を備え、前記自立運転状態において前記インバータから出力される電力は、前記連系運転状態において前記インバータに接続されていた負荷に対して連続的に供給されてもよい。
【0016】
このような構成によれば、自立運転状態においてインバータから出力される電力は、連系運転状態においてインバータに接続されていた負荷に対して供給されることを前提としている。このような前提下において、制御部は、連系運転状態から自立運転状態への変更を行う。自立運転状態においては、インバータの動作を停止しなくてもよい。すなわち、分散電源の出力を停止しなければならない事象が生じても、蓄電池の充電及び放電を継続することができる。さらには、分散電源の出力も継続することができる。
【0017】
[実施形態]
以下において、実施形態に係る電力管理システムについて説明する。図1は、実施形態に係る電力管理システム1を示す図である。
【0018】
図1に示すように、電力管理システム1は、需要家施設100と、外部サーバ400と、記録装置500とを有する。需要家施設100は、EMS200を有しており、EMS200は、ネットワーク300を介して、外部サーバ400及び記録装置500と通信を行う。
【0019】
需要家施設100は、太陽電池110と、蓄電池120と、PCS130と、分電盤140と、負荷150とを有する。さらに、需要家施設100は、EMS200及びリモートコントローラ210とを有する。
【0020】
太陽電池110は、受光に応じて発電を行う装置である。太陽電池110は、発電されたDC電力を出力する。太陽電池110の発電量は、太陽電池110に照射される日射量に応じて変化する。太陽電池110は、後述する出力抑制メッセージに従って動作すべき分散電源の一例である。
【0021】
蓄電池120は、電力を蓄積する装置である。蓄電池120は、蓄積されたDC電力を出力する。実施形態では、蓄電池120は、後述する出力抑制メッセージに従って動作する必要がなくてもよい。
【0022】
PCS130は、DC電力をAC電力に変換する電力変換装置(PCS;Power Conditioning System)の一例である。実施形態では、PCS130は、電力系統10に接続された主幹電力線10L(ここでは、主幹電力線10LA及び主幹電力線10LB)に接続されるとともに、太陽電池110及び蓄電池120の双方に接続される。主幹電力線10LAは、電力系統10とPCS130とを接続する電力線であり、主幹電力線10LBは、PCS130と分電盤140とを接続する電力線である。
【0023】
ここで、PCS130は、太陽電池110から入力されるDC電力をAC電力に変換するとともに、蓄電池120から入力されるDC電力をAC電力に変換する。さらに、PCS130は、電力系統10から供給されるAC電力をDC電力に変換する。
【0024】
分電盤140は、主幹電力線10L(ここでは、主幹電力線10LB)に接続される。分電盤140は、主幹電力線10LBを複数の電力線に分岐するとともに、複数の電力線に接続された機器(ここでは、負荷150及びEMS200)に電力を分配する。なお、分電盤140は、通過する電力量の電力情報(総電力量、分岐ごとの電力量など)をEMS200と通信するようになっていてもよい。
【0025】
負荷150は、電力線を介して供給される電力を消費する装置である。例えば、負荷150は、冷蔵庫、照明、エアコン、テレビなどの装置を含む。負荷150は、単数の装置であってもよく、複数の装置を含んでもよい。
【0026】
EMS200は、電力系統10から需要家施設100に供給される電力を示す電力情報を管理する装置(EMS;Energy Management System)である。EMS200は、太陽電池110の発電量、蓄電池120の充電量及び蓄電池120の放電量を管理してもよい。
【0027】
実施形態では、EMS200は、リモートコントローラ210及びネットワーク300に接続される。例えば、EMS200は、後述する出力抑制メッセージを外部サーバ400から受信し、出力抑制メッセージをリモートコントローラ210に通知する。或いは、EMS200は、後述する計画表(カレンダー)を外部サーバ400から受信し、計画表(カレンダー)に基づいて、出力抑制メッセージをリモートコントローラ210に通知する。
【0028】
リモートコントローラ210は、PCS130に併設されており、PCS130を操作するための各種メッセージをPCS130に通知する。例えば、リモートコントローラ210は、EMS200から受信する出力抑制メッセージをPCS130に通知する。
【0029】
ネットワーク300は、EMS200、外部サーバ400及び記録装置500を接続する通信網である。ネットワーク300は、インターネットであってもよい。ネットワーク300は、移動体通信網を含んでもよい。
【0030】
外部サーバ400は、分散電源(ここでは、太陽電池110)の出力の抑制を指示するメッセージである出力抑制メッセージを通知する。ここで、外部サーバ400は、電力系統10の全体として、分散電源の出力を抑制すべき日時を含む計画表(カレンダー)を管理していてもよい。外部サーバ400は、このような計画表(カレンダー)に基づいて、出力抑制メッセージを通知する。或いは、外部サーバ400は、このような計画表(カレンダー)をEMS200に通知してもよい。すなわち、外部サーバ400は、分散電源の出力抑制を指示するサーバである。
【0031】
ここで、出力抑制メッセージ及び計画表(カレンダー)は、分散電源(ここでは、太陽電池110)の出力の抑制度合い(例えば、出力抑制電力閾値)を示す情報を含む。抑制度合いは、分散電源(ここでは、太陽電池110)の出力の絶対値(例えば、○○kW)で表されてもよい。或いは、抑制度合いは、分散電源(ここでは、太陽電池110)の出力の相対値(例えば、○○kWの減少)で表されてもよい。或いは、抑制度合いは、分散電源(ここでは、太陽電池110)の出力の抑制割合(例えば、○○%)で表されてもよい。抑制割合とは、需要家施設100に分散電源を設置する際に、分散電源を制御するPCSの出力能力として認定を受けた出力(以下、設備認定出力)に対する割合であってもよい。分散電源の出力能力とPCSの出力能力とが異なる場合には、設備認定出力は、これらの出力能力のうち、小さい方の出力能力である。複数のPCSが設置されるケースにおいては、設備認定出力は、複数のPCSの出力能力の合計である。
【0032】
記録装置500は、各種情報を記録する装置である。具体的には、記録装置500は、出力抑制メッセージに従って分散電源の出力の抑制が正しく実行されたか否かを検証するための検証記録を記録する。検証記録は、出力抑制メッセージの受信後において分散電源から出力される電力の量である。分散電源から出力される電力の量は、集計期間(例えば、30分)毎に集計されてもよい。このようなケースにおいて、集計期間毎に集計された検証記録において、分散電源の出力の抑制が正しく実行されていればよい。
【0033】
(電力変換装置)
以下において、実施形態に係る電力変換装置について説明する。図2は、実施形態に係るPCS130を示す図である。
【0034】
図2に示すように、PCS130は、主幹電力線10LAに接続された電力線11L及び主幹電力線10LBに接続された電力線12Lに接続される。さらに、電力線11Lと電力線12Lとを接続する電力線13Lが設けられる。電力線13Lは、スイッチ11SWよりも主幹電力線10LA側において電力線11Lに接続されており、スイッチ12SWよりも主幹電力線10LB側において電力線12Lに接続される。
【0035】
電力線11Lは、電力系統10とインバータ133とを接続する電力線である。電力線11Lは、主幹電力線10LAの一部を構成する電力線であってもよく、主幹電力線10LAから分岐する電力線であってもよい。電力線12Lは、インバータ133と分電盤140(負荷150)とを接続する電力線である。電力線12Lは、主幹電力線10LBの一部を構成する電力線であってもよく、主幹電力線10LBから分岐する電力線であってもよい。
【0036】
PCS130は、電力線11L上に設けられるスイッチ11SW(第1リレースイッチ)と、電力線12L上に設けられるスイッチ12SW(第2リレースイッチ)と、電力線13L上に設けられるスイッチ13SW(第3リレースイッチ)とを有する。
【0037】
スイッチ11SWは、電力系統10にPCS130が連系された連系運転状態において閉状態に制御される。一方で、スイッチ11SWは、電力系統10からPCS130が解列された自立運転状態において開状態に制御される。
【0038】
スイッチ12SWは、電力系統10にPCS130が連系された連系運転状態において開状態に制御される。一方で、スイッチ11SWは、電力系統10からPCS130が解列された自立運転状態において閉状態に制御される。
【0039】
スイッチ13SWは、電力系統10に分電盤140(負荷150)が連系された連系運転状態において閉状態に制御される。同様に、スイッチ13SWは、電力系統10にPCS130が連系された連系運転状態において閉状態に制御される。一方で、スイッチ13SWは、電力系統10から分電盤140(負荷150)が解列された自立運転状態において開状態に制御される。同様に、スイッチ13SWは、電力系統10からPCS130が解列された自立運転状態において開状態に制御される。
【0040】
一般的には、需要家施設100が電力系統10に連系された連系運転状態においては、PCS130及び分電盤140(負荷150)の双方が電力系統10に接続される。従って、このような連系運転状態において、スイッチ11SW及びスイッチ13SWは閉状態に制御され、スイッチ12SWは開状態に制御される。一方で、一般的には、需要家施設100が電力系統10から解列された自立運転状態においては、PCS130及び分電盤140(負荷150)の双方が電力系統10に接続されない。従って、このような自立運転状態において、スイッチ11SW及びスイッチ13SWは開状態に制御され、スイッチ12SWは閉状態に制御される。
【0041】
図2に示すように、PCS130は、DC/DCコンバータ131と、DC/DCコンバータ132と、インバータ133と、制御部134と、通信部135とを有する。
【0042】
DC/DCコンバータ131は、太陽電池110から入力されるDC電力の電圧を変換する第1直流コンバータである。DC/DCコンバータ131は、DC電力の電圧を昇圧変換してもよく、DC電力の電圧を降圧変換してもよい。
【0043】
DC/DCコンバータ132は、蓄電池120から入力されるDC電力の電圧を変換する第2直流コンバータである。さらには、DC/DCコンバータ132は、インバータ133から入力されるDC電力の電圧を変換する。DC/DCコンバータ132は、DC電力の電圧を昇圧変換してもよく、DC電力の電圧を降圧変換してもよい。
【0044】
ここで、蓄電池120からDC/DCコンバータ132にDC電力を出力する動作は、蓄電池120の放電であってもよい。DC/DCコンバータ132から蓄電池120にDC電力を出力する動作は、蓄電池120の充電であってもよい。
【0045】
インバータ133は、DC/DCコンバータ131から入力されるDC電力及びDC/DCコンバータ132から入力されるDC電力をAC電力に変換する。さらに、インバータ133は、電力系統10から供給されるAC電力をDC電力に変換する。
【0046】
制御部134は、PCS130を制御する。第1に、制御部134は、太陽電池110の発電量を制御する。詳細には、制御部134は、MPPT(Maximum Power Point Tracking)法によって太陽電池110の発電量を制御する。これによって、太陽電池110の動作点(動作点電圧値及び電力値によって定まる点、又は、動作点電圧値と電流値とによって定まる点)が最適化される。第2に、制御部134は、蓄電池120の充電量及び放電量を制御する。
【0047】
ここで、制御部134は、出力抑制メッセージ又は計画表(カレンダー)に従って太陽電池110の出力を抑制する。上述したように、抑制度合いは、太陽電池110の出力の絶対値(例えば、○○kW)で表されてもよい。或いは、抑制度合いは、太陽電池110の出力の相対値(例えば、○○kWの減少)で表されてもよい。或いは、抑制度合いは、太陽電池110の出力の抑制割合(例えば、○○%)で表されてもよい。
【0048】
実施形態において、制御部134は、外部サーバ400とPCS130との間の通信が切断された場合に、連系運転状態から自立運転状態にPCS130の動作状態を変更する。自立運転状態においてインバータ133から出力される電力は、連系運転状態においてインバータ133に接続されていた負荷150に対して連続的に供給されてもよい。さらには、連系運転状態から自立運転状態への変更期間においても、インバータ133から出力される電力は、負荷150に対して連続的に供給されてもよい。
【0049】
具体的に、連系運転状態から自立運転状態への変更期間においても、インバータ133から出力される電力は、負荷150に対して連続的に供給されるとは、例えば、変更時に負荷150に対して電力が連続的に供給されていればよい。すなわち、変更時において、連系運転状態のときに接続されていた負荷150に途切れることなく電力が供給されていればよい。なお、変更時に電力が供給されないことにより負荷150の運転が途切れなければよく、例えば瞬間的に電圧が低下したことによって電力が低下してもよい。例えば、負荷150が蛍光灯であったときに変更時に電圧が一時的に低下して、照度が一時的に低下してもよい。
【0050】
詳細には、制御部134は、PCS130の動作状態を連系運転状態から自立運転状態に変更する場合に、スイッチ13SWが閉状態のまま、スイッチ11SWを閉状態から開状態に切替えるとともに、スイッチ12SWを開状態から閉状態に切替えた後に、スイッチ13SWを閉状態から開状態に切り替える。
【0051】
このように、スイッチ13SWが閉状態のまま、連系運転状態から自立運転状態への変更が行われるため、このような変更期間においても、インバータ133から出力される電力が瞬断せずに負荷150に対して供給される。
【0052】
ここで、制御部134は、DC/DCコンバータ131、DC/DCコンバータ132及びインバータ133の動作を停止せずに、連系運転状態から自立運転状態への変更を行ってもよい。さらに、制御部134は、インバータ133から出力可能な電力によって負荷150の消費電力を賄える場合に、連系運転状態から自立運転状態への変更を行ってもよい。インバータ133から出力可能な電力は、太陽電池110の発電電力及び蓄電池120の充電量の合計である。
【0053】
実施形態において、制御部134は、制御部134は、外部サーバ400とPCS130との間の通信が復帰した場合に、自立運転状態から連系運転状態にPCS130の動作状態を自動的に変更してもよい。
【0054】
詳細には、制御部134は、PCS130の動作状態を自立運転状態から連系運転状態に変更する場合に、スイッチ13SWを開状態から閉状態に切り替えた後に、スイッチ12SWを閉状態から開状態に切替えるとともに、スイッチ11SWを開状態から閉状態に切替える。
【0055】
このように、スイッチ13SWが開状態から閉状態に切り替えられた上で、自立運転状態から連系運転状態への変更が行われるため、このような変更期間においても、インバータ133から出力される電力が瞬断せずに負荷150に対して供給される。
【0056】
一方で、制御部134は、外部サーバ400とPCS130との間の通信が復帰した場合に、自立運転状態から連系運転状態にPCS130の動作状態を自動的に変更しなくてもよい。すなわち、制御部134は、通信が復帰した場合でも、自立運転し続けることになる。この場合、自立運転状態から連系運転状態にPCS130の動作状態を変更するときは、ユーザーが手動で操作する。ユーザーは、通信が復帰した場合に、自立運転状態から連系運転状態に自動的に変更するか、自動的に変更しないかを予め設定しておいてもよいし、自立運転の状況(例えば、蓄電池の蓄電容量、太陽電池の発電量、負荷の消費電力など)に応じてどちらが良いかを判断してもよい。
【0057】
外部サーバ400とPCS130との間の通信の切断要因としては、外部サーバ400とEMS200との間の通信の切断及びEMS200とリモートコントローラ210との間の通信の切断が考えられる。或いは、外部サーバ400とPCS130との間の通信の切断要因は、リモートコントローラ210と通信部135との間の通信の切断であってもよい。
【0058】
例えば、制御部134は、外部サーバ400とEMS200との間の通信の切断がEMS200によって検出された場合に、通信の切断を示すメッセージをEMS200から受信することによって通信の切断を検出する。或いは、制御部134は、EMS200とリモートコントローラ210との間の通信の切断がリモートコントローラ210によって検出された場合に、通信の切断を示すメッセージをリモートコントローラ210から受信することによって通信の切断を検出してもよい。このようなケースにおいて、通信の切断を示すメッセージは、太陽電池110の動作停止を指示するメッセージ(以下、動作停止指示)と読み替えてよい。
【0059】
通信の切断は、瞬時的な通信の切断を含まなくてもよい。具体的には、制御部134は、通信が切断された状態が一定期間(例えば、5分)に亘った継続する場合に、通信の切断を検出してもよい。なお、通信の切断とは、外部サーバ400とPCS130との間の通信状態が所定閾値以下となる一態様である。通信状態は、例えば、RSSI(Recived Signal Strength Indication)、SNR(Signal to Noise Ratio)又はSIR(Signal to Interference Radio)等の所定閾値の大小によって判断される。より具体的には、外部サーバ400とEMS200との間の通信において、例えば、通信のRSSIの値が所定閾値以下となったときに、「通信状態が所定の閾値以下であると判断する」ものである。
【0060】
制御部134は、出力抑制メッセージ又は計画表(カレンダー)に従って太陽電池110の出力の抑制が正しく実行されたか否かを検証するための検証記録を出力する。上述したように、検証記録は、出力抑制メッセージの受信後において太陽電池110から出力される電力の量である。制御部134は、連系運転状態から自立運転状態への変更を行った場合に、検証記録としてゼロを出力する。
【0061】
通信部135は、リモートコントローラ210と通信を行う。例えば、通信部135は、外部サーバ400から通知される出力抑制メッセージを受信する。通信部135は、制御部134から出力される検証記録を記録装置500に送信する。
【0062】
さらに、通信部135は、EMS200又はリモートコントローラ210によって通信の切断が検出される場合には、通信の切断を示すメッセージをEMS200又はリモートコントローラ210から受信する。このようなケースにおいて、通信の切断を示すメッセージは、太陽電池110の動作停止を指示するメッセージ(動作停止指示)と読み替えてよい。実施形態では、通信部135は、EMS200又はリモートコントローラ210から動作停止指示を受信する。
【0063】
以下において、実施形態に係る制御方法について説明する。図3及び図4は、実施形態に係る制御方法を示すフロー図である。
【0064】
第1に、太陽電池110の出力を停止するケースについて図3を参照しながら説明する。
【0065】
図3に示すように、ステップS10において、外部サーバ400とPCS130との間の通信が切断される。ここでは、外部サーバ400とPCS130との間の通信の切断は、外部サーバ400とEMS200との間の通信の切断、或いは、EMS200とリモートコントローラ210との間の通信の切断である。
【0066】
ステップS11において、PCS130は、太陽電池110の動作停止を指示するメッセージ(動作停止指示)をリモートコントローラ210から受信したか否かを判定する。判定結果がYESである場合には、PCS130は、ステップS12の処理に移る。判定結果がNOである場合には、PCS130は、そのまま待機する。
【0067】
ステップS12において、PCS130は、連系運転状態から自立運転状態への変更を行う。詳細には、PCS130は、スイッチ13SWが閉状態のまま、スイッチ11SWを閉状態から開状態に切替えるとともに、スイッチ12SWを開状態から閉状態に切替えた後に、スイッチ13SWを閉状態から開状態に切り替える。
【0068】
第2に、太陽電池110の出力を再開するケースについて図4を参照しながら説明する。
【0069】
図4に示すように、ステップS15において、外部サーバ400とPCS130との間の通信が復帰する。
【0070】
ステップS16において、PCS130は、太陽電池110の動作停止の解除を指示するメッセージ(動作停止解除指示)をリモートコントローラ210から受信したか否かを判定する。判定結果がYESである場合には、PCS130は、ステップS16の処理に移る。判定結果がNOである場合には、PCS130は、そのまま待機する。
【0071】
ステップS17において、PCS130は、自立運転状態から連系運転状態への変更を行う。詳細には、PCS130は、スイッチ13SWを開状態から閉状態に切り替えた後に、スイッチ12SWを閉状態から開状態に切替えるとともに、スイッチ11SWを開状態から閉状態に切替える。
【0072】
(作用及び効果)
実施形態では、自立運転状態においてインバータから出力される電力が連系運転状態においてインバータ133に接続されていた負荷150に対して供給されることを前提としている。このような前提下において、PCS130は、太陽電池110の動作停止を指示するメッセージ(動作停止指示)を受信した場合に、連系運転状態から自立運転状態への変更を行う。自立運転状態においては、外部サーバ400とPCS130との間の通信が切断された状態であっても、インバータ133の動作を停止しなくてもよい。すなわち、太陽電池110の出力を停止しなければならない事象が生じても、蓄電池120の充電及び放電を継続することができる。さらには、太陽電池110の発電も継続することができる。
【0073】
[他の実施形態]
以下において、他の実施形態について説明する。以下においては、上述した実施形態に対する差異について説明する。
【0074】
他の実施形態において、需要家施設100は、図5に示すように、EMS200及びリモートコントローラ210を有していない。PCS130(通信部135)は、ネットワーク300に直接的に接続されており、外部サーバ400及び記録装置500と通信を行う。
【0075】
従って、PCS130(制御部134)は、外部サーバ400とEMS200との間の通信の切断を検出する。例えば、PCS130(制御部134)は、外部サーバ400から周期的に送信されるビーコン信号の受信に成功したか否かによって通信の切断を検出してもよい。或いは、PCS130(制御部134)は、ネットワーク300の監視によって通信の切断を検出してもよい。
【0076】
(制御方法)
以下において、他の実施形態に係る制御方法について説明する。図6及び図7は、他の実施形態に係る制御方法を示すフロー図である。
【0077】
第1に、太陽電池110の出力を停止するケースについて図6を参照しながら説明する。
【0078】
図6に示すように、ステップS20において、外部サーバ400とPCS130との間の通信が切断される。
【0079】
ステップS21において、PCS130は、通信切断を検出したか否かを判定する。判定結果がYESである場合には、PCS130は、ステップS22の処理に移る。判定結果がNOである場合には、PCS130は、そのまま待機する。
【0080】
ステップS22において、PCS130は、連系運転状態から自立運転状態への変更を行う。詳細には、PCS130は、スイッチ13SWが閉状態のまま、スイッチ11SWを閉状態から開状態に切替えるとともに、スイッチ12SWを開状態から閉状態に切替えた後に、スイッチ13SWを閉状態から開状態に切り替える。
【0081】
第2に、太陽電池110の出力を再開するケースについて図7を参照しながら説明する。
【0082】
図7に示すように、ステップS25において、外部サーバ400とPCS130との間の通信が復帰する。
【0083】
ステップS26において、PCS130は、通信復帰を検出したか否かを判定する。判定結果がYESである場合には、PCS130は、ステップS26の処理に移る。判定結果がNOである場合には、PCS130は、そのまま待機する。
【0084】
ステップS27において、PCS130は、自立運転状態から連系運転状態への変更を行う。詳細には、PCS130は、スイッチ13SWを開状態から閉状態に切り替えた後に、スイッチ12SWを閉状態から開状態に切替えるとともに、スイッチ11SWを開状態から閉状態に切替える。
【0085】
(作用及び効果)
他の実施形態では、自立運転状態においてインバータから出力される電力が連系運転状態においてインバータ133に接続されていた負荷150に対して供給されることを前提としている。このような前提下において、PCS130は、外部サーバ400とPCS130との間の通信の切断を検出した場合に、連系運転状態から自立運転状態への変更を行う。自立運転状態においては、外部サーバ400とPCS130との間の通信が切断された状態であっても、インバータ133の動作を停止しなくてもよい。すなわち、太陽電池110の出力を停止しなければならない事象が生じても、蓄電池120の充電及び放電を継続することができる。さらには、太陽電池110の発電も継続することができる。
【0086】
[他の実施形態]
以下において、他の実施形態について説明する。以下においては、上述した実施形態に対する差異について説明する。
【0087】
他の実施形態においては、PCS130は、図8に示すように、記録部136を有する。記録部136は、記録装置500と同様に、出力抑制メッセージに従って分散電源の出力の抑制が正しく実行されたか否かを検証するための検証記録を記録する。このようなケースにおいて、記録部136は、制御部134から出力される検証記録を記録してもよい。
【0088】
他の実施形態においては、検証記録を記録する記録部136がPCS130に設けられているため、電力管理システム1は、記録装置500を有していなくてもよい。
【0089】
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0090】
実施形態では、出力抑制メッセージに従って動作すべき分散電源として太陽電池110を例示した。しかしながら、分散電源はこれに限定されるものではない。分散電源は、風力又は地熱などの自然エネルギーを利用して電力を発電する装置であってもよい。或いは、分散電源は、燃料ガスを利用して電力を生成する燃料電池であってもよい。
【0091】
実施形態では、制御部134がPCS130を制御する。このようなケースにおいて、制御部134は、EMS200又はリモートコントローラ210の指示に従ってPCS130を制御してもよい。すなわち、外部サーバと電力変換装置との間の通信が切断された場合に、電力系統と連系された連系運転状態から電力系統と解列された自立運転状態に電力変換装置の動作状態を変更する制御部(制御部134と同様の機能を有する機能ブロック)は、EMS200又はリモートコントローラ210に設けられていてもよい。
【0092】
他の実施形態では、検証記録を記録する記録部136がPCS130に設けられている。しかしながら、実施形態はこれに限定さえるものではない。検証記録を記録する記録部136は、EMS200又はリモートコントローラ210に設けられていてもよい。
【0093】
実施形態では、11SW、12SW及び13SWがPCS130に設けられるが、実施形態はこれに限定されるものではない。連系運転状態と自立運転状態とを切り替える切替部は、分電盤140に設けられていてもよい。
【0094】
なお、日本国特許出願第2015−35090号(2015年2月25日出願)の全内容が、参照により、本願に組み込まれている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8