(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1熱交換部の前記板状のフィンの下部に位置する短辺の前記吹出し口側の端部よりも、前記第3熱交換部の前記板状のフィンの前記吹出し口側の短辺の前記吹出し口側の端部が、前記吹出し口側に対して突出している請求項4から11のいずれか1項に記載の天井設置形空気調和機。
前記第1熱交換部の前記板状のフィンの下部に位置する短辺の前記吹出し口側の端部と前記吹出し口との最短距離が、前記第3熱交換部の前記板状のフィンの下部に位置する短辺の前記吹出し口側の端部と前記吹出し口との最短距離よりも長い請求項4から12のいずれか1項に記載の天井設置形空気調和機。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、発明を実施するための実施形態について説明する。
【0023】
(第1の実施形態)
第1の実施形態の天井設置形空気調和機について、
図1から
図5を参照して説明する。
【0024】
図1は、本実施形態の天井設置形空気調和機1を示している。この天井設置形空気調和機1の室内ユニット2は、例えば建屋の天井裏に据え付けられている。なお、本実施形態において、天井裏とは建屋の梁と天井板との間に規定される天井空間のことを指している。
【0025】
室内ユニット2は、奥行き寸法D、幅寸法Wおよび厚さ寸法Hを有する四角い扁平な箱型である。また、室内ユニット2は、金属製の筐体20を有している。筐体20は、室内ユニット2の外郭である。筐体20は、天板21、第1の側板22a、第2の側板22b、第1の底板23a、第2の底板23b、前面枠24、背面枠25、および仕切板26を備えている。
【0026】
図2および
図3に示すように、本実施形態に係る天井設置形空気調和機1の仕切板26は、筐体20の内部を、送風機室3と熱交換器室4との二室に区画している。
【0027】
送風機室3は、背面枠25に形成される吸込口27を有している。送風機室3には送風装置5が収容されている。
図2および
図3に示すように、送風装置5は、ファンモータ51と、ファンケース52a、52bと、ファンケース52a、52bの内部に収容される多翼ファン53a、53bと、を備えている。それぞれのファンケース52a、52bには、両側面に吸引口54a、54bが設けられている。仕切板26には、送風口55a、55bが設けられている。
【0028】
ファンモータ51は、その両側面から同軸状に突出された二本の回転軸51a、51bを有している。各回転軸51a、51bには、多翼ファン53a、53bが取り付けられている。
【0029】
熱交換器室4は、前面枠24に形成される吹出し口28および機械室6を有している。機械室6は、機械室仕切板61により熱交換器室4と区画され、ドレンポンプや冷媒分配器を収容する。
【0030】
そして、送風機室3と熱交換器室4とは、送風装置5を介して繋がる。具体的には、送風機室3内の空気が、送風装置5を通して、熱交換器室4へ流れることが出来るように、連通している。
【0031】
また、
図3に示すように、熱交換器室4には、熱交換器7およびドレンパン8が配置されている。言い換えると、熱交換器7およびドレンパン8は、筐体20の熱交換器室4に収容されている。熱交換器7は、室内ユニット2の幅方向、言い換えると筐体20の幅方向に延びているとともに、機械室仕切板61と側板22aとの間に介在されている。
【0032】
図3に示すように、ドレンパン8は、熱交換器7の下方に配置されている。ドレンパン8は、例えば発泡スチロールのような断熱材である。ドレンパン8は、熱交換器7を下方から支えているとともに、熱交換器7から滴下するドレン水を受け止める。ドレンパン8の下面は、第1の底板23aによって覆われている。また、ドレンパン8は、断熱材9と協働して熱交換器7を取り囲んでいる。断熱材9は、熱交換器7の上方に配置され、天板21の内面、かつ熱交換器室4内に設けられている。
【0033】
本実施形態の熱交換器7は、第1の熱交換部7A、第2の熱交換部7B、および第3の熱交換部7Cを備えている。第1の熱交換部7A、第2の熱交換部7B、および第3の熱交換部7Cは、吹出し口28に向かって凸形状に配置されている。
【0034】
第1の熱交換部7Aは、熱交換器室4内で送風装置5の送風口55a、55bおよび仕切板26と略平行に向かい合うように起立している。なお、本実施形態では、第1の熱交換部7A、第2の熱交換部7B、および第3の熱交換部7Cのうち第1の熱交換部7Aが吹出し口28にもっとも近い
第2の熱交換部7Bは、熱交換器室4の上部に位置されるとともに、断面視において、送風装置5から遠ざかるように室内ユニット2の奥行き方向に延びている。また、第2の熱交換部7Bは、送風装置5から遠ざかるに従いやや下向きに傾いている。言い換えると、第2の熱交換部7Bは、吹出し口28に近づくに従いやや下向きに傾斜している。第2の熱交換部7Bの前端(つまり吹出し口28側)と、第1の熱交換部7Aの上端とが、連続している。
【0035】
第3の熱交換部7Cは、熱交換器室4の下部に位置されるとともに、断面視において、送風装置5から遠ざかるように室内ユニット2の奥行き方向に延びている。また、第3の熱交換部7Cは、送風装置5から遠ざかるに従いやや上向きに傾いている。言い換えると、また、第3の熱交換部7Cは、吹出し口28に近づくに従いやや上向きに傾斜している。第3の熱交換部7Cの前端(つまり吹出し口28側)と、第1の熱交換部7Aの下端とが、連続いている。
【0036】
言い換えると、熱交換器7は、送風口55a、55bおよび仕切板26と向かい合うように起立する第1の熱交換部7Aと、第1の熱交換部7Aの上端から送風装置5に向かって斜め上向きに延びる第2の熱交換部7Bと、第1の熱交換部7Aの下端から送風装置5に向かって斜め下向きに延びる第3の熱交換部7Cと、を備えている。
【0037】
したがって、本実施形態の第1から第3の熱交換部7A、7B、7Cは、室内ユニット2を側方から見ると、略コの字型、あるいは門形となるように組み合わされている。つまり、熱交換器7は、送風機室3から送られる風に対して、風下側に突出した凸形状となるよう配置され、風上側に窪んだ略凹形状となるように配置されている。
【0038】
また、第1から第3の熱交換部7A、7B、7Cは、室内ユニット2を側方から見ると、上底および一組の脚部からなる略台形形状に配置されているともいえる。略台形形状の上底となる部分(辺)には第1の熱交換部7Aが配置され、略台形形状の一組の脚部にあたる部分(辺)には第2の熱交換部7Bおよび第3の熱交換部7Cがそれぞれ配置されて、下底部分が開口した略台形形状を呈している。
【0039】
図4に示すように、本実施形態に係る天井設置形空気調和機1の熱交換器7は、例えば、板状のフィンと、伝熱管と、を組み合わせてなるフィンチューブ型熱交換器である。本実施形態では、第1から第3の熱交換部7A、7B、7Cは、それぞれ複数の細長いフィン71と、冷媒が流れる複数の伝熱管72と、を備えている。
【0040】
図5に示すように、本実施形態に係る天井設置形空気調和機1のフィン71は、例えばアルミニウム製の四角い板であり、一対の長辺71L、71Lおよび一対の短辺71S、71Sを有している。長辺71L、71Lは、互いに平行である。短辺71S、71Sは、互いに平行であるとともに、長辺71L、71Lに対し交差するよう斜め方向に延びている。言い換えると、フィン71は、二組の対辺がそれぞれ平行な、平行四辺形の形状である。
【0041】
また、フィン71には、複数の嵌合孔73が複数設けられている。嵌合孔73は、フィン71に例えばバーリング加工を施すことにより穿たれ、フィン71から立ち上がる円筒状のフランジ部を有している。嵌合孔73は、例えばフィン71の長辺71Lに沿う方向に沿って八列に並んでいるとともに、短辺71Sに沿う方向に沿って三列に並んでいる。
【0042】
図4に示すように、フィン71は、室内ユニット2の幅方向Wに互いに間隔をあけて一列に配列されている。言い換えると、フィン71は、筐体20の幅方向に互いに間隔をあけて配列されている。各フィン71から立ち上がるフランジ部の先端は、隣り合うフィン71の嵌合孔73に同軸状に合致するように突き当てられている。このため、隣り合うフィン71の間は、空気が流れる通風路74が設けられる。
【0043】
伝熱管72は、例えば熱伝導性に優れた銅管である。各伝熱管72は、室内ユニット2の幅方向に真っ直ぐに伸びた直管部と、略U字状に折り曲げられた曲管部と、を有している。伝熱菅72の直管部がフィン71の嵌合孔73を連続して貫通している。これにより、伝熱管72は、フィン71に熱的に接続されている。伝熱管72は、隣り合うフィン71の間を連続して貫通することで、フィン71と一体化されている。
【0044】
加えて、
図3に示すように、本実施形態では、第1の熱交換部7Aのフィン71の一方の短辺71Sと、第2の熱交換部7Bのフィン71の吹出し口28側の短辺71Sとが隙間なく接するように配置されている。
【0045】
また本実施形態では、第1の熱交換部7Aのフィン71の送風機室3側の長辺71Lと、第3の熱交換部7Cの吹出し口28側の短辺71Sとが隙間なく接するように配置されている。または、第1の熱交換部7Aのフィン71の他方の短辺71Sと、第3の熱交換部7Cの送風機室3側の長辺71Lとが隙間なく接するように配置されている。
【0046】
本実施形態において、ファンモータ51により多翼ファン53a、53bが回転されると、多翼ファン53a、53bは、送風機室3内の空気をファンケース52a、52bの吸引口54a、54bから吸い込むとともに、吸い込んだ空気をファンケース52a、52bの送風口55a、55bから吐き出す。
【0047】
このため、建屋室内の空気が天井板の吸込みグリルまたは図示しないダクトを介して、筐体20の吸込み口27から送風機室3に吸い込まれる。送風機室3に吸い込まれた空気は、ファン52a、52bを介し、送風口55a、55bから熱交換器7に向かって吹き出す。
【0048】
熱交換器7の第1の熱交換部7Aは、熱交換器室4内で送風口55a、55bと向かい合うように起立しているので、送風口55a、55bから熱交換器室4に吹き出す空気の多くが第1の熱交換部7Aのフィン71の間(通風路74)を通過する。
【0049】
熱交換器室4に吹き出す残りの空気は、第1の熱交換部7Aの上端から送風装置5に向けて斜め上向きに延びる第2の熱交換部7Bのフィン71の間(通風路74)と、第1の熱交換部7Aの下端から送風装置5に向けて斜め下向きに延びる第3の熱交換部7Cのフィン71の間(通風路74)と、を通過する。
【0050】
この結果、熱交換器7は、送風口55a、55bから吹き出す空気と伝熱管72を流れる冷媒との熱交換により、当該空気を冷気もしくは暖気の熱交換空気に変える。熱交換空気は、吹出し口28から吹出しダクトを通じて室内に送出される。
【0051】
本実施形態の熱交換器7は、第1から第3の熱交換部7A、7B、7Cを略台形形状に組み合わせ、三次元的な立体形状に屈曲させている。このため、従来のストレートな熱交換器を熱交換室内に傾けて配置する場合との比較において、熱交換器室4の奥行き方向に沿う熱交換器7の寸法を短縮することができる。
【0052】
加えて、従来のストレートな熱交換器を熱交換室内に傾けて配置する場合との比較において、本実施形態は、第1の熱交換部7Aが熱交換器室4内で起立しているため、送風口55a、55bの開口端から第1の熱交換部7Aの前端までの距離と送風口55a、55bの開口端から第2の熱交換部7Bの後端までの距離との差の分、熱交換器室4の奥行き方向に沿う熱交換器7の寸法を短縮することができる。この結果、熱交換器室4の奥行き寸法を小さく抑えることが可能となり、室内ユニット2の筐体20をコンパクトにできる。
【0053】
しかも、熱交換器7を屈曲させたことで、本実施形態は、熱交換器7の熱容量を十分に確保することができる。したがって、本実施形態は、コンパクトな熱交換器室4に能力の大きな熱交換器7を配置することができ、熱交換性能に優れた室内ユニット2を提供できる。
【0054】
また、本実施形態は、筐体20のコンパクト化に伴って、筐体20を軽量化することができる。このため、室内ユニット2を天井空間に据え付ける際の作業性が向上する。さらに、筐体20が小さくなるので、筐体20の製造コストを低減して安価な室内ユニット2を得ることができる。
【0055】
加えて、本実施形態は、第1の熱交換部7Aが熱交換器室4内で起立しているため、送風口54の開口端から第1の熱交換部7Aの前端までの距離と、送風口54の開口端から第2の熱交換部7Bの後端までの距離との差が、従来のストレートな熱交換器を熱交換室内に傾けて配置する場合と比較して小さくなる。よって、熱交換器7に略均等に空気を吹き付けることができ、良好な熱交換性能を得ることができる。
【0056】
本実施形態では、第2の熱交換部7Bが、第1の熱交換部7Aの上端から送風機室側に向けて上向きに傾斜され、第3の熱交換部7Cが、第1の熱交換部7Aの下端から送風機室側に向けて下向きに傾斜されている。このため第2の熱交換部7Bおよび第3の熱交換部7Cに空気が当たり易くなり、熱交換器7の上部および下部を通過する空気の風量を確保できる。よって、優れた熱交換性能を有する熱交換器7を得ることができる。
【0057】
さらに、本実施形態は、第1の熱交換部7Aと第2の熱交換部7Bとの境界(第1および第2の熱交換部の繋ぎ目)および第1の熱交換部7Aと第3の熱交換部7Cとの境界(第1および第3の熱交換部の繋ぎ目)から空気漏れの原因となる隙間が排除されている。
このため、第1から第3の熱交換部7A、7B、7Cの境界から熱交換されずに漏れる空気を少なくでき、熱交換器7の熱交換性能を高める上で有利となる。
【0058】
また、本実施形態は、合わせ目から熱交換されずに空気が漏れることを防ぐ部材を削減することができる。
【0059】
したがって、本実施形態によれば、コンパクトで、熱交換効率の良い、天井設置形空気調和機を提供することができる。
【0060】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の天井設置形空気調和機について、
図6を参照して説明する。本実施形態の各部について、
図1から
図5の各部と同一部分は同一符号で示す。
【0061】
図6は、第2の実施形態に係る天井設置形空気調和機の熱交換器を表した側面断面図であり、第1の熱交換部7Aの伝熱管72の本数が、第2および第3の熱交換部7B、7Cの伝熱管72の本数よりも多く配置されていることを表している。
【0062】
本実施形態において、第1の熱交換部7Aは、熱交換器室4内で送風装置5の送風口55a、55bおよび仕切板26と向かい合うように起立しているため、送風装置5から送り出された風が多く当る。
【0063】
第1熱交換器部7Aのフィン711に設けられる嵌合孔73は、フィン711の長辺方向に沿う8列とフィン711の短辺方向に沿う3列との計24個ある。一方で、第2熱交換器部7Bおよび第3熱交換器部7Cのフィン712に設けられる嵌合孔73は、フィン712の長辺方向に沿う10列とフィン712の短辺方向に沿う2列との計20個である。つまり、第1の熱交換部7Aの伝熱管の本数が第2、第3の熱交換器部7B、7Cよりも多くなり、送風装置5から送り出された風が多く当たる部分の熱交換容量を大きくすることができる。
【0064】
このため、本実施形態は、熱交換器7への風量のうち分配が多くなる第1の熱交換部7Aで他の熱交換部よりも多く熱交換を行い、バランスよく熱交換することができ、熱交換性能を向上させることができる。
【0065】
本実施形態によれば、熱交換効率の良い、天井設置形空気調和機を提供することができる。
【0066】
(第3の実施形態)
第3の実施形態の天井設置形空気調和機について、
図7および
図8を参照して説明する。本実施形態の各部について、
図1から
図6の各部と同一部分は同一符号で示す。
【0067】
図7は、第3の実施形態による天井設置形空気調和機の熱交換器のフィン71の形状を表した図であり、
図8は第3の実施形態による天井設置形空気調和機の熱交換器を表した側面断面図である。
【0068】
図7および
図8に示すように、本実施形態の天井設置形空気調和機1の第1の熱交換部7Aのフィン711と、第2および第3の熱交換部7B、7Cのフィン712とは、線対称形状である。
【0069】
本実施形態の天井設置形空気調和機1は、フィン711と、フィン712とが線対称形状であるため、熱交換器7におけるフィンを共通化することができる。したがって、本実施形態の天井設置形空気調和機1は、製造性を向上させ、コストダウンを図ることができる。
【0070】
本実施形態によれば、製造性を向上した、コンパクトで、熱交換効率の良い天井設置形空気調和機を提供することができる。
【0071】
(第4の実施形態)
第4の実施形態の天井設置形空気調和機について説明する。本実施形態の各部について、
図1から
図8の各部と同一部分は同一符号で示す。
【0072】
本実施形態の第1の熱交換部7Aの複数のフィン711と、第2および第3の熱交換部7B、7Cの複数のフィン712とを筐体20の幅方向Wに配置する間隔(以下、フィンピッチという)は、フィン712のフィンピッチよりもフィン711のフィンピッチの方が狭い。
【0073】
言い換えると、フィンピッチは通風路74であり、フィン711、712のフィンピッチが狭いほど、通風抵抗が大きくなり、風量が減る。
【0074】
本実施形態は、送風装置5から送り出された風が多く当るように配置され、熱交換器7への風量のうち分配が多い第1の熱交換部7Aのフィンピッチ(フィン711のフィンピッチ)を、第2および第3の熱交換部7B、7Cのフィンピッチ(フィン712のフィンピッチ)よりも狭くすることで、相対的に第1の熱交換部7Aよりも風の当たりにくい第2および第3の熱交換部7B、7Cに風を多くあてることができ、風量の調整をすることができる。
【0075】
したがって、本実施形態は、第1の熱交換部7A、第2の熱交換部7B、および第3の熱交換部7Cに分配される風量を調整することにより、熱交換性能を向上させることができる。
【0076】
本実施形態によれば、熱交換効率の良い天井設置形空気調和機を提供することができる。
【0077】
(第5の実施形態)
第5の実施形態の天井設置形空気調和機について、
図9を参照して説明する。本実施形態の各部について、
図1から
図8の各部と同一部分は同一符号で示す。
【0078】
図9に示すように、本実施形態において、第1の熱交換部7Aのフィン711には、スリット81が設けられている。一般的に、アルミフィンに切り込みや幅狭い隙間となるスリット81を設けることで、伝熱性能は高まり、空気抵抗も高まる。
【0079】
第1の熱交換部7Aのフィン711にスリット81を設け、第2、第3の熱交換部7B、7Cのフィン712にはスリット81を設けないことで、分配される風量が多い第1の熱交換部7Aのフィン711の伝熱性能を高めることができる。
【0080】
また同時に、第1の熱交換部7Aのフィン711における空気抵抗の高まりから、相対的に風が当たりにくい第2、第3の熱交換部7B、7Cに風を多くあてることができ、風量の調整をすることができる。
【0081】
本実施形態によれば、熱交換効率の良い天井設置形空気調和機を提供することができる。
【0082】
(第6の実施形態)
第6の実施形態の天井設置形空気調和機について、
図10を参照して説明する。本実施形態の各部について、
図1から
図9の各部と同一部分は同一符号で示す。
【0083】
図10は、第6の実施形態による天井設置形空気調和機の熱交換器を表した側面断面図である。
【0084】
図10に示すように、本実施形態の第1の熱交換部7Aの伝熱管731の管径は、第2および第3の熱交換部7B、7Cの伝熱管732の管径よりも大きい。径が大きいほど、流れる冷媒の量も増加するため、伝熱性能が高まる。
【0085】
本実施形態は、分配される風量が多い第1の熱交換部7Aの伝熱性能を高めることで、バランスよく熱交換することができ、熱交換性能を高めることができる。
【0086】
本実施形態によれば、熱交換効率の良い天井設置形空気調和機を提供することができる。
【0087】
(第7の実施形態)
第7の実施形態の天井設置形空気調和機について、
図11および
図12を参照して説明する。本実施形態の各部について、
図1から
図10の各部と同一部分は同一符号で示す。
【0088】
図11は、第7の実施形態による天井設置形空気調和機の熱交換器を表した側面断面図である。
【0089】
図11に示すように、本実施形態の熱交換器7は、一体成形品であり、第1から第3の熱交換部7A、7B、7Cが一体形成されている。別々の熱交換部を組み合わせて形成するのではなく、一つのピースとして、略台形形状を呈している。
【0090】
第1から第3の熱交換部7A、7B、7Cを別部品で組み合わせたものでなく、熱交換器7を一体形にすることで、各熱交換部を固定する部材が不要となるため、部品点数削減につながり、製造性を向上させることができる。
【0091】
また、
図12に示すように、本実施形態の熱交換器7の曲げ加工前のフィン71は直線状であり、2か所の曲げ加工を施すことで、第1から第3の熱交換部7A、7B、7Cが形成される構造としても良い。
【0092】
例えば製造工程として、まず、熱交換器7のフィン71が、第1から第3の熱交換部7A、7B、7Cを合わせた全長の長さを有する形状に形成される。次に、曲げ加工をするために、第1の熱交換部7Aと第2の熱交換部7Bとの境界(第1及び第2の熱交換部の繋ぎ目)および第1の熱交換部7Aと第3の熱交換部7Cとの境界(第1及び第3の熱交換部の繋ぎ目)にあたる部分を、曲げ代に合わせて切り取る。この場合、第1および第3の熱交換部7A、7Cに相当する部分は、台形形状となり、第2の熱交換器部7Bに相当する部分は、それぞれ平行四辺形となる。そして、この一連のフィン71に曲げ加工を施すと、熱交換器7は、略台形形状に形成される。
【0093】
このように形成することで、製造性を向上させることができる。具体的には、フィンの材料取り改善と直線状の熱交換器の拡管設備共用が可能となり、設備投資の抑制と、材料削減によるコストダウンが可能となる。
【0094】
本実施形態によれば、製造性を向上した、天井設置形空気調和機を提供することができる。
【0095】
(第8の実施形態)
第8の実施形態の天井設置形空気調和機について、
図13を参照して説明する。本実施形態の各部について、
図1から
図12の各部と同一部分は同一符号で示す。
【0096】
図13は、第8の実施形態による天井設置形空気調和機の熱交換器を表した側面断面図である。
【0097】
図13に示すように、本実施形態の熱交換器室4の上部に配置される第2の熱交換部7Bの傾斜角度θ1は、熱交換器室4の下部に配置される第3の熱交換部7Cの傾斜角度θ2よりも小さくなるように角度差を設けてある。
【0098】
第2の熱交換部7Bは、送風装置5から遠ざかるに従いやや下向きに傾いており、第3の熱交換部7Cは、送風装置5から遠ざかるに従いやや上向きに傾いている。θ1およびθ2の傾きに角度差を設けることで、比較的風が当たりにくい下側に位置する第3の熱交換部7Cの通風抵抗を小さくし、風量を確保することができる。
【0099】
本実施形態によれば、熱交換効率の良い、天井設置形空気調和機を提供することができる。
【0100】
(第9の実施形態)
第9の実施形態の天井設置形空気調和機について、
図14を参照して説明する。本実施形態の各部について、
図1から
図13の各部と同一部分は同一符号で示す。
【0101】
図14は、第9の実施形態による天井設置形空気調和機の熱交換器を表した側面断面図である。
【0102】
図14に示すように、本実施形態の熱交換器室4の中央部に位置する第1の熱交換部7Aは、第1の熱交換部7Aの上端部が、第1の熱交換部7Aの下端部よりも風上側に位置するように傾斜している。
【0103】
第2の熱交換部7Bは、熱交換器室4の上部に位置している。第2の熱交換部7Bは、第2の熱交換部7Bの前端部と、第1の熱交換部7Aの上端部とが連続するように配置されている。
【0104】
第3の熱交換部7Cは、熱交換器室4の下部に位置している。第3の熱交換部7Cは、第3の熱交換部7Cの前端部と、第1の熱交換部7Aの下端部とが連続するように配置されている。
【0105】
例えば、第1の熱交換部7Aおよび第2の熱交換部7Bは、第1の熱交換部7Aのフィン71の送風機室3側の長辺71Lと、第2の熱交換部7Bのフィン71の吹出し口28側の短辺71Sとが隙間なく接するように配置されている。
【0106】
また、第1の熱交換部7Aおよび第3の熱交換部7Cは、第1の熱交換部7Aのフィン71の下側の短辺71Sと、第3の熱交換部7Cのフィン71の吹出し口28側の短辺71Sとが隙間なく接するように配置されている。
【0107】
そして、本実施形態において、第1の熱交換部7Aのフィン71および第3の熱交換部7Cのフィン71の形状は、線対称である。第2の熱交換部7Bは、フィン71の長辺71Lの長さ寸法が他の熱交換部よりも短い。
【0108】
第1の熱交換部7Aと比較して風が通り抜けにくい第2の熱交換部7Bは、他の熱交換部よりも伝熱管の本数が少ない。例えば、第1の熱交換部7Aおよび第3の熱交換部7Cの伝熱管の段数(列)が10段(10列)であれば、第2の熱交換部7Bは8段(8列)である。
【0109】
本実施形態によれば、中央部に位置する第1の熱交換部7Aは、送風口55a、55bおよび仕切板26に対して風を受けやすいように傾斜する。第1の熱交換部7Aを傾斜させることで、熱交換器7に空気が当たり易くなり、熱交換器7を通過する空気の風量および風速を確保できる。また、風量および風速の確保により、風速分布が改善され、送風性能があがる。
【0110】
したがって、本実施形態は、風の流れをスムーズにし、効率よく各熱交換部に分流することができるため、より性能が良い天井設置形空気調和機を提供することができる。
【0111】
なお、各実施形態では、
図1に示すように、送風装置5および熱交換器7を収容した筐体20は、例えば四本の吊ボルトHBを介して建屋の梁から吊り下げられている。具体的には、筐体20の天板21に四つの吊金具29が固定されている。吊金具29は、天板21の四つの角部から筐体20の四方に向けて水平に張り出しており、各吊金具29に各吊ボルトHBの下端部が連結されている。
【0112】
また、各実施形態では、第1の熱交換部7Aを熱交換器室4で起立させたが、例えば、第1の熱交換部7Aを傾斜させて配置し、吹出し口28に突出した凸形状としてもよい。その場合、第1の熱交換部7A、第2の熱交換部7B、および第3の熱交換部7Cのうち第1の熱交換部7Aのフィン71の下側の短辺71Sと、第3の熱交換部7Cのフィン71の吹出し口28側の短辺71Sとが吹出し口28にもっとも近い。
【0113】
(第10の実施形態)
第10の実施形態の天井設置形空気調和機について、
図15から
図17を参照して説明する。本実施形態の各部について、
図1から
図14の各部と同一部分は同一符号で示す。
【0114】
図15は、第10の実施形態による天井設置形空気調和機の側面断面を示す概略図である。
【0115】
図15に示すように、本実施形態の熱交換器7およびドレンパン8は、筐体20の熱交換器室4に収容されている。
【0116】
熱交換器7は、筐体20の幅方向に延びている。ドレンパン8は、例えば発泡スチロールのような断熱材である。ドレンパン8は、熱交換器7から滴下するドレン水を受け止めるように熱交換器7を下方から支えているとともに、断熱材9と協働して熱交換器7を取り囲んでいる。さらに、ドレンパン8の下面は、第1の底板23aによって覆われている。
【0117】
本実施形態の熱交換器7は、第1の熱交換部7A、第2の熱交換部7Bおよび第3の熱交換部7Cを備えている。第1から第3の熱交換部7A、7B、7Cは、互いに独立した要素であって、予め決められた三次元的な立体形状に組み合わされている。
【0118】
第1から第3の熱交換部7A、7B、7Cは、それぞれ複数の細長い板状のフィン71と、冷媒が流れる複数の伝熱管72と、を備えている。フィン71は、筐体20の幅方向に互いに間隔をあけて配列されている。伝熱管72は、隣り合うフィン71の間を連続して貫通することで、フィン71と一体化されている。
【0119】
第2の熱交換部7Bは、熱交換器室4の上部に位置されている。第2の熱交換部7Bは、仕切板26から筐体20の吹出し口28に向けて筐体20の奥行き方向に延びている。また、第2の熱交換部7Bは、吹出し口28に近づくに従いやや下向きに傾斜している。
【0120】
第3の熱交換部7Cは、熱交換器室4の底部に位置され、第2の熱交換部7Bに対し筐体20の厚さ方向に離れている。第3の熱交換部7Cは、仕切板26から筐体20の吹出し口28に向けて筐体20の奥行き方向に延びている。また、第3の熱交換部7Cは、吹出し口28に近づくに従いやや上向きに傾斜している。このため、第2の熱交換ユニット7Bおよび第3の熱交換ユニット7Cは、それぞれ仕切板26よりも吹出し口28の側に位置された一端を有している。
【0121】
第1の熱交換部7Aは、第2の熱交換部7Bの一端と第3の熱交換部7Cの一端との間に介在されている。第1の熱交換部7Aは、仕切板26と向かい合うように起立されているとともに、第2の熱交換部7Bの一端の方向に進むに従い仕切板26に近づくように傾いている。言い換えると、第1の熱交換部7Aは、第2の熱交換部7Bに近い側の端部から第3の熱交換部7Cに近い側の端部の方へ向かって吹出し口28に近づいている。
【0122】
したがって、本実施形態では、第1から第3の熱交換部7A、7B、7Cは、筐体20を側方から見た時に、仕切板26に向けて拡開するような形状に組み合わされている。言い換えると、本実施形態では、第1の熱交換部7A、第2の熱交換部7B、および第3の熱交換部7Cのうち第3の熱交換部7Cのフィン71の吹出し口28側の短辺71Sが吹出し口28にもっとも近い。
【0123】
第3の熱交換部7Cは、吹出し口28側の長辺71Lと短辺71Sの角部である端部PCが、第1の熱交換部7Aの吹出し口28側の長辺71Lと短辺71Sの角部である端部PAよりも、より吹出し口28側に、突出するようにオフセットして配置されている。
【0124】
つまり、第3の熱交換部7Cの吹出し口28側の短辺71Sには、第1の熱交換部7Aの吹出し口28側の長辺71Lよりも所定の長さlだけ吹出し口28側に突出する突出部α(段差)が生じている。
【0125】
言い換えると、
図17に示すように、第1の熱交換部7Aと吹出し口28との最短距離をLA、第3の熱交換部7Cと吹出し口28との最短距離をLC、とすると、第1の熱交換部7Aおよび第3の熱交換部7Cは、距離LAが距離LCよりも長くなるように配置される。
【0126】
なお、吹出し口28側の長辺71Lと短辺71Sの角部である端部PAが吹出し口28に最も近い点であることから、第1の熱交換部7Aにおいて最短距離LAは、端部PAと吹出し口28との距離となる。同様に、吹出し口28側の長辺71Lと短辺71Sの角部である端部PCが最も吹出し口28に近い点であることから、第3の熱交換部7Cにおいて最短距離LCは、端部PCと吹出し口28との距離となる。
【0127】
本実施形態の熱交換器7は、冷房運転時、送風装置5から送られる風Xが熱交換器7のフィン71間(通風路74)を通過するときに、凝縮水Yが発生する。この凝縮水Yは、第1から第3の熱交換部7A、7B、7Cのそれぞれに発生する。特に第1の熱交換部7Aに発生した凝縮水Yは、フィン71を伝って、下部に位置する第3の熱交換部7Cの方へと流下する。
【0128】
第1の熱交換部7Aと第3の熱交換部7Cとの組み合わせ面βでは、各熱交換部のフィン71の端部同士が密集するため、凝縮水Yが滞留しやすくなる。ここに、送風装置5からの風Xがあたると、溜まっている凝縮水Yが通風方向に押し出され、吹出し口28から機外へ飛ばされてしまうことがある。
【0129】
そこで、本実施形態は、第1の熱交換部7A端部のPAよりも第3の熱交換部7Cの端部7Cを吹出し口28側に突出するようにオフセットして配置し、突出部αを設けている。これにより、第1の熱交換部7Aと第3の熱交換部7Cとの組み合わせ面に滞留する凝縮水Yは、風Xにより吹出し口28側へ送られる過程において、一度、突出部αに留まり、第3の熱交換器部7Cに流下する。このため、凝縮水Yは、風Xにより飛び散ることなくドレンパン8に案内される。
【0130】
ここで仮に、突出部αを設けず(オフセットさせず)に第1の熱交換部7Aの端部PAと第3の熱交換部7Cの端部PCを突き合わせた場合には、凝縮水Yは、熱交換器7において吹出し口28側に最も突出した先端部分である端部PAおよび端部PCから風Xにより飛び散り易くなる。それに対して、本実施形態は、段差部分である突出部αを設けることによって、熱交換器7における最も突出した先端部分が端部PAではなくなる。そして、第1の熱交換部7Aから流下した凝縮水Yは、第3の熱交換部7Cの先端部PCに直接流れず、第3の熱交換部7Cの先端部PCに到達する前に、一度、突出部αに表面張力によって留まるために、第3の熱交換部7Cへと流下しやすくなり、凝縮水Yは飛び散りにくくなる。
【0131】
本実施形態によれば、第1の熱交換部7Aと第3の熱交換部7Cとの組み合わせ面に滞った凝縮水Yを第3の熱交換部7Cに回収させることができ、風Xによる凝縮水Yの飛び散りを抑えることが出来る。
【0132】
また、第1の熱交換部7Aと第3の熱交換部7Cとの組み合わせ面は、製造時の誤差や経年変形等で隙間が発生することもある。第1の熱交換部7Aと第3の熱交換部7Cとの組み合わせ面に隙間が発生すると、表面張力によってこの隙間により多くの凝縮水Yが滞留することが考えられるが、本実施形態であれば、凝縮水Yの飛び散りを抑えることができる。
【0133】
以上説明した少なくとも一つの実施形態の天井設置形空気調和機によれば、コンパクトで、熱交換効率の良い、天井設置形空気調和機を提供することが可能となる。
【0134】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。