特許第6420520号(P6420520)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシーの特許一覧
特許6420520新規の高分子量及び高均一性のエステル化セルロースエーテル
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6420520
(24)【登録日】2018年10月19日
(45)【発行日】2018年11月7日
(54)【発明の名称】新規の高分子量及び高均一性のエステル化セルロースエーテル
(51)【国際特許分類】
   C08B 13/00 20060101AFI20181029BHJP
【FI】
   C08B13/00
【請求項の数】5
【外国語出願】
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2018-130418(P2018-130418)
(22)【出願日】2018年7月10日
(62)【分割の表示】特願2017-216149(P2017-216149)の分割
【原出願日】2015年1月27日
(65)【公開番号】特開2018-159088(P2018-159088A)
(43)【公開日】2018年10月11日
【審査請求日】2018年7月18日
(31)【優先権主張番号】61/942,371
(32)【優先日】2014年2月20日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【弁理士】
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100142387
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 都子
(72)【発明者】
【氏名】オリヴァー・ピーターマン
(72)【発明者】
【氏名】マティアス・スプレヘ
(72)【発明者】
【氏名】マインオルフ・ブラックハーゲン
【審査官】 齋藤 光介
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第13/154607(WO,A1)
【文献】 特表2013−532151(JP,A)
【文献】 特開2004−262999(JP,A)
【文献】 国際公開第13/148154(WO,A1)
【文献】 特表2008−501009(JP,A)
【文献】 特開昭62−81402(JP,A)
【文献】 特開2010−222428(JP,A)
【文献】 特開平9−255703(JP,A)
【文献】 特開昭62−195395(JP,A)
【文献】 特開2004−261132(JP,A)
【文献】 特開2007−262353(JP,A)
【文献】 特表2006−521292(JP,A)
【文献】 IUNGO G V; PORTE-AGEL F,MEASUREMENT PROCEDURES FOR CHARACTERIZATION OF WIND TURBINE WAKES WITH SCANNING DOPPLER WIND LIDARS,ADVANCES IN SCIENCE AND RESEARCH,2013年 1月 1日,VOL:10,PAGE(S):71 - 75,URL,http://dx.doi.org/10.5194/asr-10-71-2013
【文献】 薬剤学,2013年,73(4),214-222
【文献】 岩波理化学辞典,1973年,第3版第4刷,第1211−1212頁,平均分子量の項
【文献】 高分子辞典,1974年,第3刷,第361頁,z−平均分子量の項
【文献】 高分子基礎科学,1994年,初版4刷,第113頁
【文献】 Macromolecules,1985年,18,2023-2030
【文献】 Indian Journal of Science and Technology,2009年,Vol.2, No.10,pp.44-47,ISSN:0974-6846
【文献】 大津隆行,改訂 高分子合成の化学,1995年,第2版第18刷,p.8-11,21-25
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08B
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
80,000ダルトン〜220,000ダルトンの重量平均分子量Mwと、
1.8〜4.0の多分散性Mw/Mnと、
18.5以下のMz/Mnと、
20℃の0.43重量%の水性NaOH中のヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートの2.0重量%溶液として測定して、最大3.6mPa・sの粘度と、を有し、
ここで、前記重量平均分子量Mw、前記数平均分子量Mn、及び前記z−平均分子量Mzが、40容量部のアセトニトリル、ならびに50mMのNaH2PO4及び0.1MのNaNO3を含有する60容量部の水性緩衝液から生成される混合物を移動相として使用して、SEC−MALLSによって測定される場合である、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートを生成するためのプロセスであって、
(A)ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び第1の量のカルボン酸アルカリ金属を、反応希釈剤中に溶解または分散させるステップと、
(B)得られた混合物を、無水酢酸と無水コハク酸との組み合わせを、ステップ(A)で得られた前記混合物に添加する前、最中、または添加した後に、60℃〜110℃の温度に加熱し、エステル化反応を進行させるステップと、
(C)ステップ(B)での前記エステル化反応が完了する前に、第2の量のカルボン酸アルカリ金属を添加し、前記エステル化反応を更に進行させるステップと、を含む、前記プロセス。
【請求項2】
90,000〜185,000ダルトンの重量平均分子量Mw及び450,000〜1,500,000ダルトンのz−平均分子量Mzを有するヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートを生成するための、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
カルボン酸アルカリ金属が酢酸ナトリウムまたは酢酸カリウムである、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
カルボン酸アルカリ金属の総添加量の15〜35%をステップ(A)で添加する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
反応希釈剤が酢酸である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規のエステル化セルロースエーテル、かかるエステル化セルロースエーテル中の活性成分の固体分散体、ならびにかかるエステル化セルロースエーテルを含む、液体組成物、コーティング剤形、及びカプセルに関する。
【背景技術】
【0002】
セルロースエーテルのエステル、それらの使用、及びそれらを調製するためのプロセスは、概して当該技術分野において既知である。ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)などの、種々の既知のエステル化セルロースエーテルが、薬学的剤形用の腸溶性ポリマーとして有用である。腸溶性ポリマーは、胃の酸性環境における溶解に耐性があるものである。かかるポリマーでコーティングされる剤形は、酸性環境における不活化もしくは分解から薬物を保護するか、または薬物による胃の刺激を防止する。
【0003】
米国特許第4,365,060号は、優れた腸溶性作用を有すると言われている腸溶性カプセルを開示している。腸溶性カプセルは、酸性スクシニル基及び脂肪族一価アシル基でエステル化されるセルロースエーテルのエステルで成形される。エステル化に使用されるセルロースエステルは、十分な可塑性を獲得するために約5000〜200,000の範囲の分子量を有することが推奨される。
【0004】
Wuら(Wu S.H.W.,Wyatt D.M.and Adams M.W.1997;Chemistry and applications of cellulosic polymers for enteric coatings of solid dosage forms;in McGinity J.W.(ed.),Aqueous Coatings for Pharmaceutical Dosage Forms,Marcel Dekker,New York,pp.385−418)は、市販の異なるグレードのHPMCASの分子量を開示している。HPMCASグレードAS−Lは、93,000のM、46,000のM(共に、ポリエチレンオキシドで較正したゲル透過クロマトグラフィー法によって測定)、及び2.0のM/Mを有し、HPMCASグレードAS−Mは、80,000のM、44,000のM、及び1.8のM/Mを有し、HPMCASグレードAS−Hは、55,000のM、33,000のM、及び1.7のM/Mを有する。Shin−Etsu Chemical Co.,Ltd.(Tokyo,Japan)から現在市販されており、商標名「AQOAT」で知られる、HPMCASグレードAS−L、HPMCASグレードAS−M、及びHPMCASグレードAS−Hは、より高い平均分子量Mを有するが、多分散性も高い。高多分散性は、エステル化セルロースエーテルの分子量分布におけるいくらかの不均一性を示すものである。エステル化セルロースエーテルが薬学的剤形用の腸溶性ポリマーとして使用されるとき、分子量分布における不均一性は、個々の剤形の特性の増加した変動性及び減少した再現性に繋がる場合が多く、これは、剤形の効率性の予測可能性を減少させる。更に、高多分散性は、中央値にあるポリマー鎖よりもはるかに長く、かつ過度に長い膨潤及び/または溶解時間、ならびにエステル化セルロースエーテルの溶媒への溶解時の濃度の上昇による粘度の急上昇を引き起こす、ポリマー鎖の存在を示すものである。また更に、上述の市販のHPMCASグレードAS−L、HPMCASグレードAS−M、及びHPMCASグレードAS−Hも、アセトン溶液中で増加した濁度を有する。アセトン溶液中の増加した濁度は、例えば、エステル化セルロースエーテルが透明フィルムまたはコーティング中で使用される場合に、望ましくないことが多い。
【0005】
米国特許第4,226,981号は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースをエステル化触媒としてのアルカリカルボン酸塩及び反応媒体としての酢酸の存在下で、コハク酸無水物及び酢酸無水物でエステル化することによって、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)などのセルロースエーテルの混合エステルを調製するためのプロセスを開示している。実施例では、50gのヒドロキシプロピルメチルセルロースを、撹拌器を備え付けた反応容器に導入し、250gの酢酸、50gの酢酸ナトリウム、15〜60gのコハク酸無水物、及び25〜80gの酢酸無水物を添加し、反応混合物を3時間撹拌しながら85℃で加熱して、エステル化をもたらす。
【0006】
欧州特許出願第EP 0 219 426号は、セルロースエーテルの腸溶性酸性ジカルボン酸エステルを生成するためのプロセスを開示しており、これにおいては、(a)ヒドロキシプロポキシル基をエーテル形成基として有するセルロースエーテルであって、その2重量%の水溶液が20℃で少なくとも5センチポアズの粘度を有するセルロースエーテルを、(b)ジカルボン酸無水物、または脂肪族モノカルボン酸の無水物とのその混合物と、(c)酢酸アルカリ金属塩と酢酸との組み合わせの存在下で反応させる。
【0007】
多数の現在既知の薬物が、低い水溶性を有し、そのため剤形を調製するために、複雑な技術が要求される。1つの既知の方法は、かかる薬物を任意に水とブレンドされる有機溶媒中で薬学的に許容される水溶性ポリマーと一緒に溶解すること、及び溶液を噴霧乾燥することを含む。薬学的に許容される水溶性ポリマーは、薬物の結晶化度を低下させ、それにより薬物の溶解に必要な活性化エネルギーを最小限に抑え、かつ薬物分子の周囲に親水性条件を確立し、それにより薬物自体の可溶性を改善することにより、そのバイオアベイラビリティ、即ち、摂取後の個人によるインビボでの吸収を高めることを目的としている。
【0008】
国際特許出願第WO 2005/115330号は、置換レベルの特定の組み合わせを有するヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテート(HPMCA)ポリマー及びヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)ポリマーを開示している。HPMCASポリマーは、少なくとも0.02のサクシノイル基の置換度(DOS)、少なくとも0.65のアセチル基の置換度(DOSAc)、及び少なくとも0.85のDOSAcとDOSとの合計を有する。HPMCAポリマーは、少なくとも0.15のアセチル基の置換度(DOSAc)を有する。国際公開第WO2005/115330号は、増加した酢酸塩置換が、噴霧乾燥した溶液中の活性剤の可溶性の増加を可能にし、一方で、増加したコハク酸塩置換は、水溶液中のポリマーの可溶性を増加させることを開示している。
【0009】
国際特許出願第WO 2011/159626号は、活性成分、ならびに1.45以下のメトキシ基の置換度(DS)、及び1.25以上のアセチル基(DSAc)の置換度とサクシノイル基の置換度(DS)との組み合わせ(DSAc+DS)を有する、HPMCASを開示している。
【0010】
しかしながら、薬物の幅広い多様性を考慮すると、アセチル基及びサクシノイル基の高い置換度を有する限られた種類のエステル化セルロースエーテルでは全てのニーズを満たすことができないことは自明である。
【0011】
したがって、新規のエステル化セルロースエーテルを提供することが本発明の1つの目的である。商標名「AQOAT」で現在市販されている、Wuらによって説明され、上で更に考察したHPMCASグレードAS−L、HPMCASグレードAS−M、及びHPMCASグレードAS−Hよりも高い分子量を有するが、HPMCASグレードAS−L、HPMCASグレードAS−M、及びHPMCASグレードAS−Hよりも低い多分散性を有する、新規のエステル化セルロースエーテルを提供することが、本発明の好ましい目的である。同等のM及び同等の置換度で既知のヒドロキシアルキルメチルセルロースアセテートサクシネートよりも低いアセトン溶液中の濁度を有する、新規のエステル化セルロースエーテルを提供することが、本発明の別の好ましい目的である。更に、噴霧乾燥手順などのエステル化セルロースエーテルの処理及び薬学的剤形へのそれらの組み込みを促進するために、アセトン中での十分に低い粘度を有する新規のエステル化セルロースエーテルを提供することが、本発明の別の好ましい目的である。
【発明の概要】
【0012】
本発明の一態様は、エステル化セルロースエーテルであって、i)エステル基として、脂肪族一価アシル基、または脂肪族一価アシル基及び式
−C(O)−R−COOAの基の組み合わせであって、式中、Rが、二価脂肪族または芳香族炭化水素基であり、Aが、水素またはカチオンである、組み合わせと、
i)エステル基として、脂肪族一価アシル基、または脂肪族一価アシル基及び式
−C(O)−R−COOAの基の組み合わせであって、式中、Rが、二価脂肪族または芳香族炭化水素基であり、Aが、水素またはカチオンである、組み合わせと、
ii)80,000ダルトン〜220,000ダルトンの重量平均分子量Mと、
iii)1.3〜4.0の多分散性M/Mと、
iv)18.5以下のM/Mと、を有し、
これが、該重量平均分子量M、該数平均分子量M、及び該z−平均分子量Mが、40容量部のアセトニトリル、ならびに50mMのNaHPO及び0.1MのNaNOを含有する60容量部の水性緩衝液から生成される混合物を移動相として使用して、SEC−MALLSによって測定される場合である、該エステル化セルロースエーテルである。
【0013】
本発明の別の態様は、液体希釈剤及び少なくとも1つの上記のエステル化セルロースエーテルを含む組成物である。
【0014】
本発明の更に別の態様は、少なくとも1つの上記のエステル化セルロースエーテル中に少なくとも1つの活性成分を含む固体分散体である。
【0015】
本発明の更に別の態様は、a)少なくとも1つの上記のエステル化セルロースエーテル、b)1つ以上の活性成分、及びc)1つ以上の任意の添加剤をブレンドするステップと、ブレンドを押出に供するステップとを含む、固体分散体を生成するためのプロセスである。
【0016】
本発明の更に別の態様は、a)少なくとも1つの上記のエステル化セルロースエーテル、b)1つ以上の活性成分、c)a)及びb)とは異なる1つ以上の任意の添加剤、ならびにd)液体希釈剤をブレンドして、液体組成物を調製するステップと、該液体希釈剤を除去するステップとを含む、固体分散体を生成するためのプロセスである。
【0017】
本発明の更に別の態様は、上記のエステル化セルロースエーテルでコーティングされる剤形である。
【0018】
本発明の更に別の態様は、上記のエステル化セルロースエーテルを含むカプセルシェルである。
【0019】
本発明の更に別の態様は、(A)セルロースエーテル及び第1の量のカルボン酸アルカリ金属を、反応希釈剤中に溶解または分散させるステップと、(B)得られた混合物を、(i)脂肪族モノカルボン酸無水物、または(ii)脂肪族モノカルボン酸無水物とジカルボン酸無水物との組み合わせを、ステップ(A)で得られた混合物に添加する前、最中、または添加した後に、60℃〜110℃の温度に加熱し、エステル化反応を進行させるステップと、(C)ステップ(B)でのエステル化反応が完了する前に、第2の量のカルボン酸アルカリ金属を添加し、エステル化反応を更に進行させるステップと、を含む、エステル化セルロースエーテルを生成するためのプロセスである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
エステル化セルロースエーテルは、本発明の文脈において無水グルコース単位と表される、β−1,4グリコシド結合D−グルコピラノース反復単位を有する、セルロース主鎖を有する。エステル化セルロースエーテルは、好ましくは、エステル化アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、またはヒドロキシアルキルアルキルセルロースである。これは、本発明のエステル化セルロースエーテルにおいて、無水グルコース単位のヒドロキシル基の少なくとも一部が、アルコキシル基もしくはヒドロキシアルコキシル基、またはアルコキシル及びヒドロキシアルコキシル基の組み合わせによって置換されることを意味する。ヒドロキシアルコキシル基は、典型的にはヒドロキシメトキシル、ヒドロキシエトキシル、及び/またはヒドロキシプロポキシル基である。ヒドロキシエトキシル及び/またはヒドロキシプロポキシル基が好ましい。典型的には、1または2種類のヒドロキシアルコキシル基が、エステル化セルロースエーテル中に存在する。好ましくは、単一の種類のヒドロキシアルコキシル基、より好ましくはヒドロキシプロポキシルが存在する。アルコキシル基は、典型的にはメトキシル、エトキシル、及び/またはプロポキシル基である。メトキシル基が好ましい。上に定義のエステル化セルロースエーテルの実例となるものは、エステル化メチルセルロース、エチルセルロース、及びプロピルセルロースなどのエステル化アルキルセルロース;エステル化ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及びヒドロキシブチルセルロースなどのエステル化ヒドロキシアルキルセルロース;ならびにエステル化ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシメチルエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、及びヒドロキシブチルエチルセルロースなどのエステル化ヒドロキシアルキルアルキルセルロース;ならびにエステル化ヒドロキシエチルヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの、2つ以上のヒドロキシアルキル基を有するものである。最も好ましくは、エステル化セルロースエーテルは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのエステル化ヒドロキシアルキルメチルセルロースである。
【0021】
無水グルコース単位のヒドロキシル基のヒドロキシアルコキシル基による置換度は、ヒドロキシアルコキシル基のモル置換、MS(ヒドロキシアルコキシル)によって表現される。MS(ヒドロキシアルコキシル)は、エステル化セルロースエーテル中の無水グルコース単位当たりのヒドロキシアルコキシル基の平均モル数である。ヒドロキシアルキル化反応中、セルロース主鎖に結合したヒドロキシアルコキシル基のヒドロキシル基は、アルキル化剤、例えば、メチル化剤及び/またはヒドロキシアルキル化剤によって更にエーテル化され得ることを理解されたい。無水グルコース単位の同一の炭素原子位置に対する複数の後続のヒドロキシアルキル化エーテル化反応は、側鎖をもたらし、複数のヒドロキシアルコキシル基は、エーテル結合によって互いと共有結合し、各側鎖は、全体として、セルロース主鎖に対するヒドロキシアルコキシル置換基を形成する。
【0022】
故に、用語「ヒドロキシアルコキシル基」は、ヒドロキシアルコキシル置換基の構成単位としてのヒドロキシアルコキシル基をを指すものとして、MS(ヒドロキシアルコキシル)の文脈において解釈されるべきであり、いずれも上に概説されるように、単一のヒドロキシアルコキシル基または側鎖を含み、2つ以上のヒドロキシアルコキシ単位は、エーテル結合によって互いに共有結合している。この定義内で、ヒドロキシアルコキシル置換基の末端ヒドロキシル基が更にアルキル化、例えばメチル化されるかどうかは重要ではなく、アルキル化及び非アルキル化両方のヒドロキシアルコキシル置換基が、MS(ヒドロキシアルコキシル)の決定に対して含まれる。本発明のエステル化セルロースエーテルは、概して、0.05〜1.00、好ましくは0.08〜0.90、より好ましくは0.12〜0.70、最も好ましくは0.15〜0.60、及び具体的には0.20〜0.50の範囲のヒドロキシアルコキシル基のモル置換を有する。
【0023】
無水グルコース単位当たりの、メトキシル基などのアルコキシル基によって置換されるヒドロキシル基の平均数は、アルコキシル基の置換度、DS(アルコキシル)として表される。上記のDSの定義において、用語「アルコキシル基によって置換されるヒドロキシル基」は、セルロース主鎖の炭素原子に直接結合したアルキル化ヒドロキシル基だけではなく、セルロース主鎖に結合したヒドロキシアルコキシル置換基のアルキル化ヒドロキシル基も含むと、本発明内で解釈される。本発明に従ったエステル化セルロースエーテルは、好ましくは、1.0〜2.5、より好ましくは1.1〜2.4、最も好ましくは1.2〜2.2、及び具体的には1.6〜2.05の範囲のDS(アルコキシル)を有する。
【0024】
最も好ましくは、エステル化セルロースエーテルは、DS(アルコキシル)に関して上に示される範囲内のDS(メトキシル)、及びMS(ヒドロキシアルコキシル)に関して上に示される範囲内のMS(ヒドロキシプロポキシル)を有する、エステル化ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
【0025】
本発明のエステル化セルロースエーテルは、脂肪族一価アシル基、または脂肪族一価アシル基及び式
−C(O)−R−COOAの基の組み合わせを有し、式中、Rは、二価脂肪族または芳香族炭化水素基であり、Aは、水素またはカチオンである。カチオンは、好ましくは、NHなどのアンモニウムカチオン、またはナトリウムもしくはカリウムイオンなどのアルカリ金属イオン、より好ましくはナトリウムイオンである。最も好ましくは、Aは、水素である。
【0026】
脂肪族一価アシル基は、好ましくは、n−ブチリルまたはi−ブチリルなど、アセチル、プロピオニル、及びブチリルからなる群から選択される。
【0027】
式−C(O)−R−COOAの好ましい基は、
−C(O)−CH−CH−COOHもしくは−C(O)−CH−CH−COONaなどの−C(O)−CH−CH−COOA、
−C(O)−CH=CH−COOHもしくは−C(O)−CH=CH−COONaなどの−C(O)−CH=CH−COOA、または
−C(O)−C−COOHもしくは−C(O)−C−COONaなどの−C(O)−C−COOAである。
【0028】
式−C(O)−C−COOAの基において、カルボニル基及びカルボン酸基が、好ましくはオルト位で配列される。
【0029】
好ましいエステル化セルロースエーテルは、
i)HPMCXY及びHPMCXであって、HPMCがヒドロキシプロピルメチルセルロースであり、XがA(アセテート)であるか、またはXがB(ブチラート)であるか、またはXがPr(プロピオネート)であり、YがS(サクシネート)であるか、またはYがP(フタレート)であるか、またはYがM(マレアート)であり、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートフタレート(HPMCAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートマレアート(HPMCAM)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)、もしくはヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテート(HPMCA)である、HPMCXY及びHPMCX、または
ii)ヒドロキシプロピルセルロースアセテートサクシネート(HPCAS)、ヒドロキシブチルメチルセルロースプロピオネートサクシネート(HBMCPrS)、ヒドロキシエチルヒドロキシプロピルセルロースプロピオネートサクシネート(HEHPCPrS);及びメチルセルロースアセテートサクシネート(MCAS)である。
【0030】
ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)が、最も好ましいエステル化セルロースエーテルである。
【0031】
エステル化セルロースエーテルは、概して、0.05〜1.75、好ましくは0.10〜1.50、より好ましくは0.15〜1.25、及び最も好ましくは0.20〜1.00の、アセチル、プロピオニル、またはブチリル基などの脂肪族一価アシル基の置換度を有する。エステル化セルロースエーテルは、概して、0〜1.6、好ましくは0.05〜1.30、より好ましくは0.05〜1.00、及び最も好ましくは0.10〜0.70、または更には0.10〜0.60の、サクシノイルなどの式−C(O)−R−COOAの基の置換度を有する。
【0032】
i)脂肪族一価アシル基の置換度、及びii)式−C(O)−R−COOAの基の置換度の合計は、概して、0.05〜2.0、好ましくは0.10〜1.4、より好ましくは0.20〜1.15、最も好ましくは0.30〜1.55、及び具体的には0.40〜1.00である。
【0033】
アセテート及びサクシネートエステル基の含有量は、「Hypromellose Acetate Succinate,United States Pharmacopia and National Formulary,NF 29,pp.1548−1550」に従って決定される。報告された値は、揮発物に対して補正される(上記のHPMCAS研究論文中の「乾燥減量」の節に記載されるように決定される)。その方法は、プロピオニル、ブチリル、フタリル、及び他のエステル基の含有量を決定するために、類似した方法で使用されてもよい。
【0034】
エステル化セルロースエーテル中のエーテル基の含有量は、「Hypromellose」,United States Pharmacopeia and National Formulary,USP 35,pp 3467−3469に関して記載されるものと同じ様式で決定する。
【0035】
上記の分析によって得られるエーテル及びエステル基の含有量は、以下の式に従って個々の置換基のDS及びMS値に変換される。式は、他のセルロースエーテルエステルの置換基のDS及びMSを決定するために、類似した方法で使用されてもよい。
【数1】
【0036】
慣習により、重量パーセントは、全ての置換基を含む、セルロース反復単位の総重量に基づく平均重量百分率である。メトキシル基の含有量は、メトキシル基(即ち、−OCH)の質量に基づき報告される。ヒドロキシアルコキシル基の含有量は、ヒドロキシプロポキシル(即ち、−O−CHCH(CH)−OH)など、ヒドロキシアルコキシル基(即ち、−O−アルキレン−OH)の質量に基づき報告される。脂肪族一価アシル基の含有量は、−C(O)−Rの質量に基づき報告され、式中、Rは、アセチル(−C(O)−CH)など、一価脂肪族基である。式−C(O)−R−COOHの基の含有量は、サクシノイル基(即ち、−C(O)−CH−CH−COOH)の質量など、この基の質量に基づき報告される。
【0037】
本発明のエステル化セルロースエーテルは、80,000〜220,000ダルトン、好ましくは90,000〜200,000ダルトン、より好ましくは90,000〜185,000ダルトン、及び最も好ましくは100,000〜180,000ダルトンの重量平均分子量Mを有する。
【0038】
本発明のエステル化セルロースエーテルは、少なくとも1.3、典型的には少なくとも1.5、及びより典型的には少なくとも1.8または少なくとも2.0の多分散性M/Mを有する。更に、本発明のエステル化セルロースエーテルは、最大4.0、好ましくは最大3.5、より好ましくは最大3.0、更により好ましくは最大2.8、及び最も好ましくは最大2.6の多分散性を有する。多分散性M/Mは、重量平均分子量M及び数平均分子量Mの決定に基づき計算される。
【0039】
本発明のエステル化セルロースエーテルは、18.5以下、好ましくは17.0以下、より好ましくは15.5以下、及び最も好ましくは14.0以下または12.5以下または11.0以下のM/M比を有する。典型的には、Mz/Mn比は、3.0以上、より典型的には5.0以上、及び最も典型的には7.0以上である。
【0040】
本発明のエステル化セルロースエーテルは、概して、30,000〜100,000ダルトン、好ましくは40,000〜80,000ダルトンの数平均分子量M、または概して、450,000〜1,500,000ダルトンのz−平均分子量M、またはこれらの組み合わせを有する。
【0041】
、Mn、及びMは、40容量部のアセトニトリルと、50mMのNaHPO及び0.1MのNaNOを含有する60容量部の水性緩衝液とを混合することで生成された混合物を移動相として使用して、SEC−MALLSによって測定される。移動相は、8.0のpHに調節される。SEC−MALLSは、多角度レーザ光散乱検出器と連結したサイズ排除クロマトグラフィーを意味する。手順は、Journal of Pharmaceutical and Biomedical Analysis 56(2011)743−748に記載されている。M、Mn、及びMの測定は、実施例にてより詳細に説明する。
【0042】
本発明のエステル化セルロースエーテルは、20℃の0.43重量%の水性NaOH中のエステル化セルロースエーテルの2.0重量%溶液として測定して、好ましくは最大4.0mPas、より好ましくは最大3.6mPas、及び最も好ましくは最大3.2mPasの粘度を有する。概して、粘度は、20℃の0.43重量%の水性NaOH中のエステル化セルロースエーテルの2.0重量%溶液として測定して、少なくとも2.4mPas、典型的には少なくとも2.5mPasである。エステル化セルロースエーテルの2.0重量%溶液を、「Hypromellose Acetate Succinate,United States Pharmacopia and National Formulary,NF 29,pp.1548−1550」に記載の通りに調製した後、DIN 51562−1:1999−01(1999年1月)に従ってウベローデ粘度測定を行う。
【0043】
本発明のエステル化セルロースエーテルは、20℃の0.43重量%の水性NaOH中のエステル化セルロースエーテルの2.0重量%溶液として測定して、その粘度に基づいて予測され得るものよりも高い重量平均分子量Mを有する。理論に束縛されるものではないが、このより高い分子量は、疎水性/親水性鎖会合及び/または架橋反応によって創出されると信じられている。
【0044】
高い重量平均分子量M、十分に低いM/M、及び低いM/Mの組み合わせにより、本発明のエステル化セルロースエーテルが薬学的剤形用の腸溶性ポリマーとして非常に好適となる。エステル化セルロースエーテルの高い分子量は、胃液に対する増大した耐性を提供する。本発明のエステル化セルロースエーテルの十分に低いM/Mは、エステル化セルロースエーテルの極めて均一な分子量分布を示すものである。十分に高い均一性は、薬学的剤形用の腸溶性ポリマーが個々の剤形の特性の再現性を増加させ、これにより剤形の効率性の予測可能性を最大化するのに望ましい。
【0045】
更に、20℃の0.43重量%の水性NaOH中のエステル化セルロースエーテルの2.0重量%溶液として測定した、最大4.0mPasの低粘度のエステル化セルロースエーテルは、効率的に生成され得る。0.43重量%の水性NaOH中のエステル化セルロースエーテルの粘度は、エステル化セルロースエーテルを生成するための出発物質として有用であるセルロースエーテルの粘度に実質的に対応することが見出されている。出発物質として使用される低粘度セルロースエーテルは、本発明のエステル化セルロースエーテルを生成するために使用される反応混合物の良好な混和性を可能にし、均一な反応混合物をもたらす。
【0046】
本発明のエステル化セルロースエーテルは、同等の重量平均分子量M及び同等の置換度の既知のエステル化セルロースエーテルよりも、アセトン中の1.5重量パーセント溶液としてより低い濁度を呈することが見出されており、これは、長年にわたる必要性を満たす。理論に束縛されるものではないが、低M/Mは、驚くほど低い濁度に大きく寄与すると信じられている。濁度は、アセトン中の1.5重量パーセント溶液として測定して、典型的には10NTU以上、より典型的には12NTU以上、及び典型的には最大19NTU、より典型的には最大18NTUのみ、また最適化された生成条件下では更に最大16NTUのみである。アセトン中のNTU測定は、実施例の節においてより詳細に説明する。低濁度を呈するエステル化セルロースエーテルは、透明コーティング、他のフィルム、またはカプセルの優れたフィルム形成ポリマーまたは他の構成要素である。更に、本発明のエステル化セルロースエーテルは、同等の重量平均分子量Mの既知のエステル化セルロースエーテルよりもアセトン中でより低い粘度を呈することが多い。典型的には、本発明のエステル化セルロースエーテルは、20℃のアセトン中のエステル化セルロースエーテルの10重量%溶液として測定して、最大21mPa・sの粘度を有する。これは、コーティングされるタブレットなどの剤形へのエステル化セルロースエーテルの有機溶液の噴霧を促進する。
【0047】
本発明の別の態様は、(A)セルロースエーテル及び第1の量のカルボン酸アルカリ金属を、反応希釈剤中に溶解または分散させるステップと、(B)得られた混合物を、(i)脂肪族モノカルボン酸無水物、または(ii)脂肪族モノカルボン酸無水物とジカルボン酸無水物との組み合わせを、ステップ(A)で得られた混合物に添加する前、最中、または添加した後に、60℃〜110℃の温度に加熱し、エステル化反応を進行させるステップと、(C)ステップ(B)でのエステル化反応が完了する前に、第2の量のカルボン酸アルカリ金属を添加し、エステル化反応を更に進行させるステップと、を含む、エステル化セルロースエーテルを生成するためのプロセスである。少なくともこのプロセスの好ましい実施形態に従い、本発明の新規のエステル化セルロースエーテルが達成される。
【0048】
ステップ(A)では、セルロースエーテル及び第1の量のカルボン酸アルカリ金属、例えば、酢酸ナトリウムまたは酢酸カリウムを反応希釈剤中に溶解または分散させる。まずセルロースエーテル、またはまずカルボン酸アルカリ金属、または両方を同時に、反応希釈剤中に溶解または分散させてもよい。本発明のエステル化プロセスにおいて反応混合物に添加するカルボン酸アルカリ金属の総量の一部のみを、ステップ(A)においてセルロースエーテルに添加する。カルボン酸アルカリ金属の総添加量の好ましくは15〜35パーセントのみ、より好ましくは20〜30パーセントのみを、ステップ(A)において添加する。好ましくは、上に更に記載するようなエーテル基の種類及びエーテル基の置換度(複数可)を有するセルロースエーテルが使用される。セルロースエーテルは、概して、ASTM D2363−79(2006年再認証)に従って20℃の2重量%水溶液として測定して、1.2〜5mPa・s、好ましくは2.4〜5mPa・s、より好ましくは2.5〜4mPa・s、最も好ましくは2.5〜3.8mPa・sの粘度を有する。かかる粘度のセルロースエーテルは、より高い粘度のセルロースエーテルを部分的脱重合プロセスに供することによって得ることができる。部分的脱重合プロセスは、当該技術分野で周知であり、例えば、欧州特許第EP 1,141,029号、同第EP 210,917号、同第EP 1,423,433号、及び米国特許第4,316,982号に記載されている。あるいは、部分的脱重合は、セルロースエーテルの生成中に、例えば、酸素または酸化剤の存在によって、達成され得る。
【0049】
好ましい反応希釈剤は、酢酸、プロピオン酸、または酪酸などの脂肪族カルボン酸である。反応希釈剤は、ベンゼン、トルエン、1,4−ジオキサン、もしくはテトラヒドロフランなどの芳香族もしくは脂肪族溶媒;またはジクロロメタンもしくはジクロロメチルエーテルなどのハロゲン化C−C誘導体など、室温で液体でありセルロースエーテルと反応しない、少量の他の溶媒または希釈剤を含むことができるが、脂肪族カルボン酸の量は、反応希釈剤の総重量に基づき、好ましくは50パーセント超、より好ましくは少なくとも75パーセント、及び更により好ましくは少なくとも90パーセントである。最も好ましくは、反応希釈剤は、脂肪族カルボン酸からなる。モル比[脂肪族カルボン酸/セルロースエーテルの無水グルコース単位]は、概して、[4.9/1.0]〜[11.5/1.0]、好ましくは[5.5/1.0]〜[11.0/1.0]、より好ましくは[5.7/1.0]〜[10.0/1.0]である。
【0050】
ステップ(B)では、得られた混合物を、(i)脂肪族モノカルボン酸無水物、または(ii)脂肪族モノカルボン酸無水物とジカルボン酸無水物との組み合わせを、ステップ(A)で得られた、セルロースエーテルを含む反応混合物、反応希釈剤、及び上述の第1の量のカルボン酸アルカリ金属に添加する前、最中、または添加した後に、60℃〜110℃、好ましくは70〜100℃の温度に加熱する。好ましい脂肪族モノカルボン酸無水物は、酢酸無水物、酪酸無水物、及びプロピオン酸無水物からなる群から選択される。好ましいジカルボン酸無水物は、コハク酸無水物、マレイン酸無水物、及びフタル酸無水物からなる群から選択される。脂肪族モノカルボン酸無水物及びジカルボン酸無水物を組み合わせて使用する場合、これら2つの無水物は、同時に、または順に別々に、反応容器中に導入してもよい。通常、エステル化による無水グルコース単位の所望のモル置換度の化学量論量の1〜10倍である、最終生成物中で得られる所望のエステル化度に応じて決定される。脂肪族モノカルボン酸の無水物とセルロースエーテルの無水グルコース単位との間のモル比は、概して、0.9以上、及び好ましくは1以上である。脂肪族モノカルボン酸の無水物とセルロースエーテルの無水グルコース単位との間のモル比は、概して、8以下、好ましくは6以下、及びより好ましくは4以下である。ジカルボン酸の無水物を使用する場合、ジカルボン酸の無水物とセルロースエーテルの無水グルコース単位との間のモル比は、概して、0.1以上、及び好ましくは0.13以上である。ジカルボン酸の無水物とセルロースエーテルの無水グルコース単位との間のモル比は、1.5以下、及び好ましくは1以下である。本発明のプロセスで利用されるセルロースエーテルの無水グルコース単位のモル数は、DS(アルコキシル)及びMS(ヒドロキシアルコキシル)から置換無水グルコース単位の平均分子量を計算することによって、出発物質として使用されるセルロースエーテルの重量から決定され得る。ステップ(B)では、エステル化反応は、反応を部分的に完了するのに十分な期間、典型的には最大60分、より典型的には15〜45分にわたって、進行させる。
【0051】
ステップ(B)でのエステル化反応が完了する前に、ステップ(C)において、第2の量のカルボン酸アルカリ金属を反応混合物に添加し、エステル化反応を更に進行させる。カルボン酸アルカリ金属の総添加量の好ましくは65〜85パーセント、より好ましくは70〜80パーセントを、ステップ(C)において添加する。その後、反応混合物を、反応を完了するのに十分な追加の期間、つまり、典型的には2〜8時間、より典型的には2〜5時間にわたって、60℃〜110℃、好ましくは70〜100℃に保つ。
【0052】
ステップ(A)及び(C)において添加したカルボン酸アルカリ金属の総量は、好ましくは、モル比[カルボン酸アルカリ金属/セルロースエーテルの無水グルコース単位]が、[1.0/1.0]〜[3.5/1.0]、より好ましくは[1.1/1.0]〜[3.0/1.0]、及び最も好ましくは[1.9/1.0]〜[2.5/1.0]であるようなものである。
【0053】
エステル化反応の完了後、反応生成物は、米国特許第4,226,981号、国際特許出願第WO 2005/115330号、または欧州特許出願EP 0 219 426号に記載されるように、例えば、反応生成物混合物を大量の水と接触させることによって、既知の様式で反応混合物から沈殿され得る。本発明の好ましい実施形態では、反応生成物は、国際公開第WO2013/148154号として公開された国際特許出願第PCT/US13/030394号に記載されているように、反応混合物から沈殿されて、粉末形態のエステル化セルロースエーテルを生成し得る。
【0054】
本発明の別の態様は、液体希釈剤、及び上記のエステル化セルロースエーテルのうちの1つ以上を含む組成物である。本明細書で使用される場合、用語「液体希釈剤」は、25℃及び大気圧で液体である希釈剤を意味する。希釈剤は、水もしくは有機液体希釈剤、または水と有機液体希釈剤との混合物であってもよい。好ましくは、液体希釈剤の量は、噴霧乾燥などの所望の使用のために、組成物に十分な流動性及び処理可能性を提供するのに十分なものである。
【0055】
本明細書で使用される場合、用語「有機液体希釈剤」は、1つの有機溶媒、または2つ以上の有機溶媒の混合物を意味する。好ましい有機液体希釈剤は、酸素、窒素、または塩素などのハロゲンなど、1つ以上のヘテロ原子を有する、極性有機溶媒である。より好ましい有機液体希釈剤は、アルコール、例えば、グリセロールなどの多官能アルコール、または好ましくはメタノール、エタノール、イソプロパノール、もしくはn−プロパノールなどの単官能アルコール;テトラヒドロフランなどのエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、もしくはメチルイソブチルケトンなどのケトン;エチルアセテートなどのアセテート;塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素;またはアセトニトリルなどのニトリルである。より好ましくは、有機液体希釈剤は、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、またはn−プロパノールなど、1〜6、最も好ましくは1〜4個の炭素原子を有する。一実施形態では、本発明の組成物は、液体希釈剤として、有機希釈剤を、単独で、または少量の水と混合して含む。本実施形態では、本発明の組成物は、有機液体希釈剤及び水の総重量に基づき、好ましくは50超、より好ましくは少なくとも65、及び最も好ましくは少なくとも75重量パーセントの有機液体希釈剤、及び好ましくは50未満、より好ましくは最大で35、及び最も好ましくは最大で25重量パーセントの水を含む。本発明の本実施形態は、本発明が不十分な水溶性の活性成分を含む場合に特に有用である。
【0056】
別の実施形態では、本発明の組成物は、液体希釈剤として、水を単独で、または上記のような少量の有機液体希釈剤と混合して含む。本実施形態では、本発明の組成物は、有機液体希釈剤及び水の総重量に基づき、好ましくは少なくとも50、より好ましくは少なくとも65、及び最も好ましくは少なくとも75重量パーセントの水と、好ましくは最大で50、より好ましくは最大で35、及び最も好ましくは最大で25重量パーセントの有機液体希釈剤とを含む。本発明の本実施形態は、本発明のエステル化セルロースエーテルを含む水性組成物から、コーティングまたはカプセルを提供するのに特に有用である。水溶液を調製するとき、式−C(O)−R−COOAの基の少なくとも一部分がそれらの塩形態であることが好ましい。
【0057】
液体希釈剤、及び上記のエステル化セルロースエーテルのうちの1つ以上を含む、本発明の組成物は、活性成分に対する賦形剤系として有用であり、肥料、除草剤、または殺虫剤などの活性成分、またはビタミン、ハーブ、ならびにミネラルサプリメント及び薬などの生物活性成分に対する賦形剤系を調製するための中間体として特に有用である。したがって、本発明の組成物は、好ましくは、1つ以上の活性成分、最も好ましくは1つ以上の薬物を含む。用語「薬物」は従来のものであり、動物、特にヒトに投与されたとき、有益な予防的及び/または治療的特性を有する、化合物を示す。好ましくは、薬物は、「低可溶性薬物」であり、薬物が約0.5mg/mL以下の生理学的に適切なpH(例えば、pH1〜8)の水溶性を有することを意味する。本発明は、薬物の水溶性が減少するにつれて、より大きな有用性を見出す。したがって、本発明の組成物は、0.1mg/mL未満、または0.05mg/mL未満、または0.02mg/mL未満、または更には0.01mg/mL未満の水溶性を有する低可溶性薬物に対して好ましく、水溶性(mg/mL)は、USP疑似胃腸緩衝液を含む、任意の生理学的に適切な水溶液(例えば、1〜8のpH値を有するもの)において観察される最小値である。活性成分は、本発明から利益を得るために、低可溶性活性成分である必要はないが、低可溶性活性成分は、本発明で使用するための好ましいクラスを表す。所望の使用環境においてかなりの水溶性を呈する活性成分は、最大で1〜2mg/mLの、または更には20〜40mg/mLほど高い水溶性を有し得る。有用な低可溶性薬物は、国際特許出願第WO 2005/115330号、17〜22頁に列挙されている。
【0058】
本発明の組成物は、組成物の総重量に基づき、好ましくは1〜40重量パーセント、より好ましくは2.5〜30重量パーセント、最も好ましくは5〜25重量パーセント、及び具体的には7〜20パーセントの少なくとも1つの上記のエステル化セルロースエーテル、40〜99重量パーセント、より好ましくは54.9〜97.4重量パーセント、最も好ましくは65〜94.5重量パーセント、及び具体的には70〜92パーセントの更に上に記載の液体希釈剤、ならびに0〜40パーセント、好ましくは0.1〜40パーセント、最も好ましくは0.5〜25パーセント、及び具体的には1〜15パーセントの活性成分を含む。
【0059】
本発明の一態様では、少なくとも1つの上記のエステル化セルロースエーテル、1つ以上の活性成分、及び任意に1つ以上のアジュバントを含む組成物は、液体形態、例えば、懸濁液、スラリー、噴霧可能な組成物、またはシロップの形態で使用され得る。液体組成物は、例えば、経口、眼、局所、直腸、または鼻腔適用に有用である。液体希釈剤は、概して、上記のように、任意に水と混合した、エタノールまたはグリセロールなど、薬学的に許容可能であるべきである。
【0060】
本発明の別の態様では、本発明の液体組成物は、更に上に記載の薬物などの少なくとも1つの活性成分、少なくとも1つの上記のエステル化セルロースエーテル、及び任意に1つ以上のアジュバントを含む、固体分散体を生成するために使用される。固体分散体は、組成物から液体希釈剤を除去することによって生成される。
【0061】
液体組成物から液体希釈剤を除去する1つの方法は、液体組成物をフィルムもしくはカプセルに流し込むことによるか、または結果として活性成分を含み得る固体担体上に液体組成物を適用することによる。固体分散体を生成する好ましい方法は、噴霧乾燥による。用語「噴霧乾燥」は、液体混合物を小さい液滴に細分化し(噴霧化)、液滴からの溶媒の蒸発のための強い駆動力がある噴霧乾燥装置中で、混合物から溶媒を急速に除去することを伴うプロセスを指す。噴霧乾燥プロセス及び噴霧乾燥機器は、概して、Perry’s Chemical Engineers’ Handbook,pages 20−54〜20−57(Sixth Edition 1984)に記載されている。噴霧乾燥プロセス及び噴霧乾燥機器に関する更なる詳細は、Marshall,「Atomization and Spray−Drying」,50 Chem.Eng.Prog.Monogr.Series 2(1954)、及びMasters,Spray Drying Handbook(Fourth Edition 1985)によって論評されている。有用な噴霧乾燥プロセスは、国際特許出願第WO 2005/115330号、34ページ、7行目〜35ページ、25行目に記載されている。
【0062】
あるいは、本発明の固体分散体は、i)a)少なくとも1つの上に定義のエステル化セルロースエーテル、b)1つ以上の活性成分、ならびにc)構成要素a)及びb)とは異なる1つ以上の任意の添加剤をブレンドすることと、ii)ブレンドを押出に供することとによって調製してもよい。本明細書で使用される場合、用語「押出」は、射出成形、溶融鋳造、及び圧縮成形として既知のプロセスを含む。薬物などの活性成分を含む組成物を押出する、好ましくは溶融押出するための技法は、既知であり、Joerg Breitenbach,Melt extrusion:from process to drug delivery technology,European Journal of Pharmaceutics and Biopharmaceutics 54(2002)107−117、または欧州特許出願第EP 0 872 233号に記載されている。上述の構成要素a)、b)、及び任意にc)は、好ましくは粒子形態、より好ましくは粉末形態で混合される。構成要素a)、b)、及び任意にc)は、ブレンドを押出に利用するデバイスに供給する前に予混合し得る。有用な押出用デバイス、特に有用な押出機は、当該技術分野で既知である。あるいは、構成要素a)、b)、及び任意にc)は、加熱ステップの前または最中に、押出機に別々に供給され、デバイス中でブレンドしてもよい。押出後、押出物は、容易に、成形、型成形、チョップ、ビーズへと球状化、ストランドへと切断、タブレット化、さもなければ所望の物理形状に加工し得る。押出物は、任意に、冷却して硬化させ、粉末形態に粉砕し得る。
【0063】
本発明の固体分散体は、エステル化セルロースエーテルa)及び活性成分b)の総重量に基づき、好ましくは20〜99.9パーセント、より好ましくは30〜98パーセント、及び最も好ましくは60〜95パーセントの上記のエステル化セルロースエーテルa)、ならびに好ましくは0.1〜80パーセント、より好ましくは2〜70パーセント、及び最も好ましくは5〜40パーセントの活性成分b)を含む。エステル化セルロースエーテルa)及び活性成分b)の組み合わせた量は、固体分散体の総重量に基づき、好ましくは少なくとも70パーセント、より好ましくは少なくとも80パーセント、及び最も好ましくは少なくとも90パーセントである。残りの量は、ある場合は、アジュバントc)のうちの1つ以上であり、これらは、構成要素a)及びb)とは異なり、以下でより詳細に説明する。固体分散体は、エステル化セルロースエーテルa)のうちの1つ以上、活性成分b)のうちの1つ以上、及び任意にアジュバントc)のうちの1つ以上を含むことができるが、それらの総量は、概して上述の範囲内である。
【0064】
少なくとも1つのエステル化セルロースエーテル中に少なくとも1つの活性成分を含む固体分散体が形成されると、剤形への分散体の取り込みを促進するために、いくつかの加工操作が使用され得る。これらの加工操作は、乾燥、造粒、及び製粉を含む。固体分散体中の任意のアジュバントの包含は、組成物を剤形に製剤化するために有用であり得る。本発明の固体分散体は、例えば、ストランド、ペレット、顆粒、ピル、タブレット、カプレット、微粒子、カプセル充填物、もしくは射出成形カプセルの形態、または粉末、フィルム、ペースト、クリーム、懸濁液、もしくはスラリーの形態など、種々の形態であってもよい。
【0065】
剤形中の活性成分の量は、概して、剤形の総重量に基づき、少なくとも0.1パーセント、好ましくは少なくとも1パーセント、より好ましくは少なくとも3パーセント、最も好ましくは少なくとも5パーセント、及び概して、最大70パーセント、好ましくは最大50パーセント、より好ましくは最大30パーセント、最も好ましくは最大25パーセントである。
【0066】
本発明の別の態様では、液体希釈剤、及び上記のエステル化セルロースエーテルのうちの1つ以上を含む、本発明の組成物は、コーティング組成物を形成するために、タブレット、顆粒、ペレット、カプレット、トローチ剤、坐薬、ペッサリー、または埋め込み型剤形などの剤形をコーティングするために使用され得る。本発明の組成物が薬物などの活性成分を含む場合、薬物の層化が達成され得、これは即ち、剤形及びコーティングが、異なる最終用途のための、及び/または異なる放出動態を有する、異なる活性成分を含んでもよいということである。
【0067】
本発明の更に別の態様では、液体希釈剤、及び上記のエステル化セルロースエーテルのうちの1つ以上を含む、本発明の組成物は、液体組成物を浸漬ピンと接触させるステップを含むプロセスにおいて、カプセルの製造のために使用されてもよい。
【0068】
本発明の液体組成物及び固体分散体は、着色剤、色素、乳白剤、香味料及び呈味改良剤、酸化防止剤、ならびにこれらの任意の組み合わせなどの、任意の添加剤を更に含んでもよい。任意の添加剤は、好ましくは薬学的に許容可能である。1つ以上の任意のアジュバントの有用な量及び種類は、当該技術分野において概して既知であり、本発明の液体組成物及び固体分散体の目的とする最終用途に応じて決まる。
【0069】
以下の実施例は、例示のみを目的とし、本発明の範囲を限定することは意図していない。
【実施例】
【0070】
特に断りがない限り、全ての部及び百分率は、重量による。実施例では、以下の試験手順を使用する。
【0071】
エーテル及びエステル基の含有量
エステル化セルロースエーテル中のエーテル基の含有量は、「Hypromellose」,United States Pharmacopeia and National Formulary,USP 35,pp 3467−3469に関して記載されるものと同じ様式で決定する。
【0072】
アセチル基(−CO−CH)によるエステル置換及びサクシノイル基(−CO−CH−CH−COOH)によるエステル置換を、HypromelloseAcetate Succinate,United StatesPharmacopia and National Formulary,NF 29,pp.1548−1550」に従って決定した。エステル置換に関する報告された値を、揮発物に対して補正した(上記のHPMCAS研究論文中の「乾燥減量」の節に記載されるように決定する)。
【0073】
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)試料の粘度
HPMC試料の粘度を、20℃±0.1℃の水中の2.0重量%溶液として測定した。水中の2.0重量%HPMC溶液を、United States Pharmacopeia(USP 35,「Hypromellose」,pages 3467−3469)に従って調製した後、DIN 51562−1:1999−01(1999年1月)に従ってウベローデ粘度測定を行った。
【0074】
ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)の粘度
0.43重量%の水性NaOH中のHPMCASの2.0重量%溶液を、「Hypromellose Acetate Succinate,United States Pharmacopia and National Formulary,NF 29,pp.1548−1550」に記載の通りに調製した後、DIN 51562−1:1999−01(1999年1月)に従って、20℃でウベローデ粘度測定を行った。
【0075】
アセトン中のHPMCASの10重量%溶液を、「Hypromellose Acetate Succinate,United States Pharmacopia and National Formulary,NF 29,pp.1548−1550」に従って、まずHPMCASの乾燥減量を決定することによって調製した。続いて、その乾燥重量に基づき、10.00gのHPMCASを、室温で激しい撹拌下で100gのアセトンと混合した。混合物を約24時間にわたってローラーミキサー上で回転させた。溶液を、Heraeus Holding GmbH,Germanyから市販されているMegafuge1.0遠心分離機を使用して、3分間2000rpmで遠心分離した後、DIN 51562−1:1999−01(1999年1月)に従って、20℃でウベローデ粘度測定を行った。
【0076】
濁度の決定
アセトン中のHPMCASの1.5重量%溶液を、HPMCASをアセトンと混合し、混合物を室温で24時間にわたって撹拌することによって調製した。濁度を、Turbidimeter 2100AN(タングステンランプ、ドイツカタログ番号47089−00)(Hach Company,Loveland,Colorado,USA)を用いて分析した。濁度は、試料セル(直径24mm)を通した散乱光の分析であり、USEPA法180.1に従って、NTU(比濁分析濁度単位)で付与する。分析は、0.1NTU未満〜7500NTUの範囲のホルマジン基準(StablCal(商標)、カタログ番号2659505)に対して行った。USEPA法180.1フィルターモジュール(カタログ番号3031200)を使用した。
【0077】
、M、及びMの決定
特に指定のない限り、Mw、Mn、及びMzを、Journal of Pharmaceutical and Biomedical Analysis 56(2011)743−747に従って測定する。移動相は、40容量部のアセトニトリルと、50mMのNaH2PO4及び0.1MのNaNO3を含有する60容量部の水性緩衝液との混合物を混合することによって調製した。移動相を8.0のpHに調節した。セルロースエーテルエステルの溶液を細孔径0.45μmのシリンジフィルターを通して、HPLCバイアル中に濾過した。
【0078】
より具体的には、利用した化学物質及び溶媒は、以下の通りである。
ポリエチレンオキシド基準物質(PEOX 20 K及びPEOX 30 Kと省略される)を、Agilent Technologies,Inc.Palo Alto,CA、カタログ番号PL2083−1005及びPL2083−2005から購入した。
【0079】
アセトニトリル(HPLCグレード99.9%以上、CHROMASOL plus)、カタログ番号34998、水酸化ナトリウム(半導体グレード、99.99%、微量金属塩基)、カタログ番号306576、水(HPLCグレード、CHROMASOLV Plus)カタログ番号34877、及び硝酸ナトリウム(99,995%、微量金属塩基)カタログ番号229938を、Sigma−Aldrich,Switzerlandから購入した。
【0080】
リン酸二水素ナトリウム(99.999%以上、TraceSelect)カタログ番号71492を、FLUKA,Switzerlandから購入した。
【0081】
5mg/mLのPEOX20 Kの標準化溶液、2mg/mLのPEOX30 Kの基準溶液、及び2mg/mLのHPMCASの試料溶液を、計量した量のポリマーをバイアル中に添加し、測定した体積の移動相でそれを溶解させることによって、調製した。全ての溶液を、PTFEコーティング磁気撹拌子を使用して撹拌しながら、24時間、蓋の付いたバイアル中で、室温で溶解させた。
【0082】
標準化溶液(PEOX 20k、単一調製、N)及び基準溶液(PEOX30 K、二重調製、S1及びS2)を、細孔径0.02μm及び直径25mmのシリンジフィルター(Whatman Anatop 25、カタログ番号6809−2002)、Whatmanを通して、HPLCバイアル中に濾過した。
【0083】
試験試料溶液(HPMCAS、二重で調製、T1、T2)及び実験室基準(HPMCAS、単一調製、LS)を、細孔径0.45μmのシリンジフィルター(Nylon、例えば、Acrodisc 13mm VWR カタログ番号514−4010)を通して、HPLCバイアル中に濾過した。
【0084】
クロマトグラフ条件及び実行シーケンスを、Chen,R.et al.;Journal of Pharmaceutical and Biomedical Analysis 56(2011)743−748)によって記載される通りに実施した。SEC−MALLS器具一式は、Agilent Technologies,Inc.Palo Alto,CAからのHP1100 HPLCシステム、DAWN Heleos II 18角度レーザ光散乱検出器及びOPTILAB rex屈折率検出器(両方ともWyatt Technologies,Inc.Santa Barbara,CAから)を含んだ。分析サイズ排除カラム(TSK−GEL(登録商標)GMPWXL、300×7.8mm)をTosoh Bioscienceから購入した。OPTILAB及びDAWNの両方を35℃で作動させた。分析SECカラムを、室温(24±5℃)で作動させた。移動相は、以下の通り調製した、40容量部のアセトニトリルと、50mMのNaH2PO4及び0.1MのNaNO3を含有する60容量部の水性緩衝液との混合物であった。
【0085】
水性緩衝液:7.20gのリン酸二水素ナトリウム及び10.2gの硝酸ナトリウムを、溶解するまで撹拌下で清潔な2Lのガラスボトル中の1.2Lの精製水に添加した。
【0086】
移動相:800mLのアセトニトリルを、上で調製した1.2Lの水性緩衝液に添加し、良好な混合物が得られ、温度が周囲温度と平衡になるまで撹拌した。
移動相を、10MのNaOHで8.0のpHに調節し、0.2mナイロン膜フィルタを通して濾過した。流量は、インライン脱ガスを用いて0.5mL/分であった。注入容量は、100μLであり、分析時間は、35分であった。
【0087】
HPMCASに対して、0.120mL/gのdn/dc値(屈折率増分)を使用して、Wyatt ASTRAソフトウェア(バージョン5.3.4.20)によって、MALLSデータを収集及び処理した。検出器の光散乱信号(番号1〜4、17、及び18)は、分子量計算で使用しなかった。代表的なクロマトグラフ実行シーケンスは、以下:B、N、LS、S1(5×)、S2、T1(2×)、T2(2×)、T3(2×)、T4(2×)、S2、T5(2×)など、S2、LS、Wの通りであり、ここで、Bは、移動相のブランク注入を表し、N1は、標準化溶液を表し、LSは、実験室基準HPMCASを表し、S1及びS2は、それぞれ基準溶液1及び2を表し、T1、T2、T3、T4、及びT5は、試験試料溶液を表し、Wは、水注入を表す。(2×)及び(5×)は、同一溶液の注入数を示す。
【0088】
OPTILAB及びDAWNの両方を、製造業者の推奨手順及び頻度で、定期的に較正した。5mg/mLのポリエチレンオキシド基準(PEOX20 K)の100μL注入を、各実行シーケンスに対して、90°検出器に対して全ての角度光散乱検出器を標準化するために採用した。
【0089】
この単分散ポリマー基準の使用はまた、OPTILABとDAWNとの間の容量遅延の決定を可能にし、屈折率信号に対する光散乱信号の適当な整合を可能にした。これは、各データスライスに対する重量平均分子量(Mw)の計算のために必要である。
【0090】
実施例1〜2及び比較例A〜Bに従うHPMCASの生成
氷酢酸、酢酸無水物、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、コハク酸無水物、及び酢酸ナトリウム(無水)を以下の表1に列挙する量で利用して、HPMCASを生成した。HPMCは、以下の表2に列挙するようなメトキシル及びヒドロキシプロポキシル置換、ならびにASTM D2363−79(2006年再認証)に従って20℃の水中の2%溶液として測定して、約3mPa・sの粘度を有した。HPMCは、Methocel E3 LVプレミアムセルロースエーテルとして、The Dow Chemical Companyから市販されている。
【0091】
実施例1及び2では、230gのHPMC(無水)を、50gの酢酸ナトリウム(無水)と共に170gの酢酸中で、85℃で事前に溶解させた。その後、38.9gのコハク酸無水物及び170gの酢酸無水物を撹拌下で反応器に添加した。30分の反応時間の後、150gの酢酸ナトリウム(無水)を反応器に添加した。実施例1では、反応混合物を更に120分間反応させ、実施例2では、反応混合物を更に180分間反応させた。
【0092】
先行技術ではない比較例A及びBでは、氷酢酸、酢酸無水物、HPMC、コハク酸無水物、及び酢酸ナトリウム(無水)を、以下の表1で列挙する量で、徹底的な撹拌下で反応容器中に導入した。その後、反応混合物を、撹拌しながら85℃で加熱した。比較例Aでは、反応混合物を120分間反応させ、比較例Bでは、反応混合物を180分間反応させた。
【0093】
エステル化後、実施例1及び2ならびに比較例A及びBの各々において、2.3Lの水を撹拌下で反応器に添加して、HPMCASを沈殿させた。5200rpmで動作するUltra−Turrax撹拌器S50−G45を使用して、高剪断混合を適用することによって、沈殿生成物を反応器から除去し、14〜19Lの水で洗浄した。生成物を濾過によって単離し、一晩50℃で乾燥させた。
【0094】
比較例Cの生成
氷酢酸、酢酸無水物、HPMC、コハク酸無水物、及び酢酸ナトリウム(無水)を、以下の表1に列挙する量で、徹底的な撹拌下で反応容器中に導入した。氷酢酸、酢酸無水物、HPMC、コハク酸無水物、及び酢酸ナトリウムの量は、米国特許第5,776,501号の比較例3に開示されているものであった。米国特許第5,776,501号の比較例3で使用されるHPMCは、水中の2%溶液として即して、8.9mPasの粘度を有した。しかしながら、HPMC粘度の差異がHPMCASの分子量に影響することを回避するために、実施例1及び2と同じHPMCを比較例Cで使用した。混合物を5時間撹拌しながら85℃で加熱して、エステル化をもたらした。252.86gの水を撹拌下で反応器に添加した後、70.71gの濃縮塩酸(37重量%の濃縮)を添加した。反応混合物を撹拌(200rpm)下で3.0Lの水に添加することで、沈殿生成物を得た。5200rpmで動作するUltra−Turrax撹拌器S50−G45を使用して、高剪断混合を適用することによって、11Lの水で粗生成物を洗浄した。生成物を濾過によって単離し、12時間にわたって55℃で乾燥させた。
【0095】
二度目の比較例Cを実行した。比較例Cの繰り返しの実行において得られたエステル置換のアセチル%及びサクシノイル%は、比較例Cの最初の実行と実質的に同じであった。表2の結果は、比較例Cの2回の実行の平均を示す。
【0096】
比較例D〜Hの生成
氷酢酸、酢酸無水物、HPMC、コハク酸無水物、及び酢酸ナトリウム(無水)を、以下の表1に列挙する量で、徹底的な撹拌下で反応容器中に導入した。氷酢酸、酢酸無水物、HPMC、コハク酸無水物、及び酢酸ナトリウムの重量比は、米国特許第4,226,981号の実施例1、表I、試料番号1〜5に開示されている通りに使用した。米国特許第4,226,981号は、使用されたHPMCの粘度については発表していない。HPMC粘度の差異がHPMCASの分子量に影響することを回避するために、実施例1及び2と同じHPMCを比較例D〜Hで使用した。混合物を3時間撹拌しながら85℃で加熱して、エステル化をもたらした。2.3Lの水を撹拌下で反応器に添加して、HPMCASを沈殿させた。5200rpmで動作するUltra−Turrax撹拌器S50−G45を使用して、高剪断混合を適用することによって、沈殿生成物を反応器から除去し、10Lの水で洗浄した。
【0097】
比較例I及びJの生成
氷酢酸、酢酸無水物、HPMC、コハク酸無水物、及び酢酸ナトリウム(無水)を、以下の表1に列挙する量で、徹底的な撹拌下で反応容器中に導入した。氷酢酸、酢酸無水物、HPMC、コハク酸無水物、及び酢酸ナトリウムの重量比は、国際特許出願第WO 2005/115330号、51及び52頁、ポリマー1及び3に開示されている通りに使用した。生成物を、国際特許出願第WO 2005/115330号に記載される通りに、取得、分離、及び洗浄した。反応混合物を2.4Lの水でクエンチし、ポリマーを沈殿させた。追加の1Lの水を使用して、実施例Iのみに対する沈殿を完了した。次いで、ポリマーを単離し、3×300mLの水で洗浄した。次いで、ポリマーを600mLのアセトン中に溶解し、再び2.4Lの水中に沈殿させた。沈殿を完了するために、更に1Lの水を添加した。
【0098】
比較例K及びLのHPMCASの生成
氷酢酸、酢酸無水物、HPMC、コハク酸無水物、及び酢酸ナトリウム(無水)を、以下の表1に列挙する量で、徹底的な撹拌下で反応容器中に導入した。氷酢酸、酢酸無水物、HPMC、コハク酸無水物、及び酢酸ナトリウムの重量比は、欧州特許出願第EP 0219 426 A2号の実施例2に開示されているように使用した。
【0099】
比較例K及びLでそれぞれ使用したHPMCは、ASTM D2363−79(2006年再認証)に従って、20℃の水中の2%溶液として測定して、それぞれ約6mPas及び約3mPasの粘度を有した。各HPMCは、約10重量%のヒドロキシプロポキシル基、及び約29重量%のメトキシル基を含有した。これらのHPMCは、それぞれ、Methocel E6 LV Premiumセルロースエーテル及びMethocel E3 LV PremiumセルロースエーテルとしてThe Dow Chemical Companyから市販されている。
【0100】
混合物を3.5時間撹拌しながら85℃で加熱して、エステル化をもたらした。
水を撹拌下で反応器に添加して、HPMCASを沈殿させた。それぞれ、比較例Kでは、水の量は1.2Lであり、比較例Lでは、水の量は2.4Lであった。5200rpmで動作するUltra−Turrax撹拌器S50−G45を使用して、高剪断混合を適用することによって、沈殿生成物を反応器から除去し、追加量の水で洗浄した。それぞれ、比較例Kでは、水の追加量は12Lであり、比較例Lでは、水の追加量は11Lであった。生成物を濾過によって単離し、12時間55℃で乾燥させた。その後、生成物を、実施例1〜10に記載の通りに、十分に洗浄し再度乾燥させた。
【0101】
比較例K及びLの反復
二度目の比較例K及びLを実行した。比較例K及びLの繰り返しの実行において得られたエステル置換のアセチル%及びサクシノイル%は、比較例K及びLの最初の実行と実質的に同じであった。表2の結果は、比較例K及びLの各々についての2回の実行の平均を示す。
【0102】
比較例M、N−1、N−2、O−1、及びO−2
HPMCAS試料を、国際公開第WO 2011/159626号の34及び35頁に記載される通りに生成した。比較例Mでは、HPMCAS−K(1)についての配合を正確に繰り返した。比較例N−1及びN−2ではHPMCAS−K(2)についての配合を、比較例O−1及びO−2ではHPMCAS−K(3)についての配合を、正確に繰り返した。比較例N及びOを各々2回実施し、DOSAc及びDOSに対する比較例N−1及びO−1の結果が、HPMCAS−K(2)及びHPMCAS−K(3)について国際公開第WO 2011/159626号に報告された結果から得られたため、それぞれ、N−1、N−2、O−1、及びO−2として報告した。
【0103】
比較例P〜R
国際特許出願第WO 2011/159626号、1及び2頁に開示の通り、HPMCASは、Shin−Etsu Chemical Co.,Ltd.(Tokyo,Japan)から現在市販されており、商標名「AQOAT」で知られる。Shin−Etsuは、種々のpHレベルの腸溶性保護を提供するために、置換基レベルの異なる組み合わせを有する、3つのグレードのAQOATポリマー、典型的には、AS−LFまたはAS−LGなど、良好(fine)に対して記号表示「F」または「G」が後に続く、AS−L、AS−M、及びAS−Hを製造している。それらの販売明細を以下に列挙する。
【表1】
【0104】
市販の材料の試料を、上で更に記載した通りに分析した。
【0105】
実施例1〜2及び比較例A〜Oに従って生成したHPMCASの特性、ならびに市販の比較例P〜Rの特性を以下の表2に列挙する。
【0106】
以下の表2中、略語は以下の意味を有する。
DS=DS(メトキシル):メトキシル基による置換度
MSHP=MS(ヒドロキシプロポキシル):ヒドロキシプロポキシル基によるモル置換
DOSAc:アセチル基の置換度
DOS:サクシノイル基の置換度
【表2】
【表3】
【0107】
上の表2の結果は、本発明のエステル化セルロースエーテルが、それらを薬学的剤形のための腸溶性ポリマーとして好適とする重量平均分子量と、高均一性、即ち、低多分散性M/M及び低M/Mとの組み合わせを有することを例示する。また、生成されたHPMCASの測定された重量平均分子量Mは、出発物質として使用したHPMCのMに基づいて予測し得たものよりも高かった。HPMCのMは約20,000ダルトンであった。アセチル及びサクシノイル基による増量を考慮して、約25,000ダルトン(25kDa)のMが予測され得た。
【0108】
実施例1と比較例Aとの間の比較、及び実施例2と比較例Bとの間の比較は、それぞれ、発明エステル化セルロースエーテルが、同じ量の同じ出発物質から生成され、同じ量及び種類のエーテル及びエステル置換基ならびに同様の重量平均分子量Mを有する同等のエステル化セルロースエーテルよりもかなり低いM/M比を有するという驚くべき事実を例示する。
【0109】
比較例C〜J及びLのHPMCASは、好ましくなく低いMを有する。実施例KのHPMCASはより高い粘度のHPMCから生成されたため、比較例Kは、実施例1〜2と直接的には同等ではない。更にはアセトン中の比較例KのHPMCASの1.5重量%溶液は、ゲル様であった。少なくとも7重量パーセント、より典型的には少なくとも10重量パーセントのエステル化セルロースエーテルを含む溶液から典型的には出発する、かかるHPMCASは、噴霧乾燥などの最終用途に有用でない場合がある。
【0110】
実施例1及び2のHPMCASは、比較例O−2及びP〜RのMwと同じ範囲のMwを有するが、比較例O−2及びP〜Rよりも低い多分散性M/M及びずっと低いM/Mを有する。高重量平均分子量Mw、十分に低いM/M、及び低M/Mの組み合わせにより、本発明のエステル化セルロースエーテルは、薬学的剤形のための腸溶性ポリマーとして非常に好適となる。更に、アセトン中の低濁度及び低粘度は、HPMCASの加工、及び噴霧乾燥プロセスなどにおける薬学的剤形への組み込みを促進する。
【0111】
実施例1及び2のHPMCASはまた、比較例M及びO−1よりも著しく低い多分散性M/M及びずっと低いM/Mを有する。
【0112】
実施例1〜2ならびに比較例A〜M及びO〜Rにおいて、M、M、及びMのために利用したHPLCでは、非常に良好な回収率(=[HPLCカラムから回収したHPMCASの重量/HPLCカラムに導入したHPMCASの量]×100)が達成され、M、M、及びMの信頼できる決定が可能となった。しかしながら、比較例N−1及びN−2では、回収率は、十分信頼できるM、M、及びM決定をするには低すぎた。
【表4】
【0113】
表3の結果は、本発明のエステル化セルロースエーテルが、既知である(比較例P〜R)か、または一般に既知の手順に従って調製した(比較例A及びB)、同等の重量平均分子量Mwのエステル化セルロースエーテルよりも、高い均一性、ならびにアセトン中でのより低い濁度及びより低い粘度を有することを例示する。更に、実施例1及び2のHPMCASは、比較例Lのものと比べてそれほど高くはないアセトン中の濁度及び粘度を呈するが、実施例1及び2のHPMCASのMwは、比較例LのHPMCASのMwよりも約2倍高い。
(態様)
(態様1)
エステル化セルロースエーテルであって、
i)エステル基として、脂肪族一価アシル基、または脂肪族一価アシル基及び式
−C(O)−R−COOAの基の組み合わせであって、式中、Rが、二価脂肪族または芳香族炭化水素基であり、Aが、水素またはカチオンである、組み合わせと、
ii)80,000ダルトン〜220,000ダルトンの重量平均分子量Mwと、
iii)1.3〜4.0の多分散性Mw/Mnと、
iv)18.5以下のMz/Mnと、を有し、
これが、前記重量平均分子量Mw、前記数平均分子量Mn、及び前記z−平均分子量Mzが、40容量部のアセトニトリル、ならびに50mMのNaH2PO4及び0.1MのNaNO3を含有する60容量部の水性緩衝液から生成される混合物を移動相として使用して、SEC−MALLSによって測定される場合である、前記エステル化セルロースエーテル。
(態様2)
前記脂肪族一価アシル基が、アセチル、プロピオニル、またはブチリル基であり、
前記式−C(O)−R−COOAの前記基が、−C(O)−CH2−CH2−COOA、−C(O)−CH=CH−COOA、または−C(O)−C64−COOAである、態様1に記載の前記エステル化セルロースエーテル。
(態様3)
ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートである、態様1または2に記載の前記エステル化セルロースエーテル。
(態様4)
90,000〜185,000ダルトンの重量平均分子量Mwを有する、態様1〜4のいずれか一項に記載の前記エステル化セルロースエーテル。
(態様5)
1.5〜3.5のMw/Mn、もしくは3.0〜17.0のMz/Mn、またはこれらの組み合わせを有する、態様1〜5のいずれか一項に記載の前記エステル化セルロースエーテル。
(態様6)
液体希釈剤及び態様1〜6のいずれか一項に記載の少なくとも1つのエステル化セルロースエーテルを含む、組成物。
(態様7)
少なくとも1つの活性成分、及び任意に1つ以上のアジュバントを追加で含む、態様6に記載の前記組成物。
(態様8)
態様1〜5のいずれか一項に記載の少なくとも1つのエステル化セルロースエーテル中に少なくとも1つの活性成分を含む、固体分散体。
(態様9)
ストランド、ペレット、顆粒、ピル、タブレット、カプレット、微粒子、カプセル充填物、もしくは射出成形カプセルの形態、または粉末、フィルム、ペースト、クリーム、懸濁液、もしくはスラリーの形態である、態様8に記載の前記固体分散体。
(態様10)
a)態様1〜6のいずれか一項に記載の少なくとも1つのエステル化セルロースエーテル、b)1つ以上の活性成分、及びc)1つ以上の任意の添加剤をブレンドするステップと、前記ブレンドを押出に供するステップと、を含む、態様8または9に記載の前記固体分散体を生成するためのプロセス。
(態様11)
a)態様1〜6のいずれか一項に記載の少なくとも1つのエステル化セルロースエーテル、b)1つ以上の活性成分、c)1つ以上の任意の添加剤、及びd)液体希釈剤をブレンドして、液体組成物を調製するステップと、前記液体希釈剤を除去するステップと、を含む、態様8または9に記載の前記固体分散体を生成するためのプロセス。
(態様12)
態様1〜5のいずれか一項に記載の前記エステル化セルロースエーテルでコーティングされた、製剤。
(態様13)
態様1〜5のいずれか一項に記載の前記エステル化セルロースエーテルを含む、カプセルシェル。
(態様14)
エステル化セルロースエーテルを生成するためのプロセスであって、
(A)セルロースエーテル及び第1の量のカルボン酸アルカリ金属を、反応希釈剤中に溶解または分散させるステップと、
(B)得られた混合物を、(i)脂肪族モノカルボン酸無水物、または(ii)脂肪族モノカルボン酸無水物とジカルボン酸無水物との組み合わせを、ステップAで得られた前記混合物に添加する前、最中、または添加した後に、60℃〜110℃の温度に加熱し、エステル化反応を進行させるステップと、
(C)ステップ(B)での前記エステル化反応が完了する前に、第2の量のカルボン酸アルカリ金属を添加し、前記エステル化反応を更に進行させるステップと、を含む、前記プロセス。
(態様15)
ステップ(A)で添加した前記第1の量のカルボン酸アルカリ金属が、前記プロセス中で添加したカルボン酸アルカリ金属の総量に基づき、15〜35パーセントであり、ステップ(B)で添加した前記第2の量のカルボン酸アルカリ金属が、65〜85パーセントである、態様14に記載の前記プロセス。