【実施例1】
【0014】
第1 フロート式スチームトラップ100の構成
図1は、フロート式スチームトラップ100(以下、スチームトラップ100)の一部断面を示している。
図2は、
図1に示すスチームトラップ100の弁ケーシング101の断面図を示している。また、
図3は、
図1に示すスチームトラップ100の拡大図である。
図3においては、トラップ状態取得センサSを取り外した状態を示している。なお、Z軸方向が高さ方向(重力方向)であり、X軸、Y軸方向が水平方向を示している。
【0015】
図1に示すように、スチームトラップ100は、弁ケーシング101、フロート11、弁座部材9、及び、閉栓部材15を有している。また、スチームトラップ100には、トラップ状態取得センサSが取り付けられている。トラップ状態取得センサSは、スチームトラップ100の作動状態を示すスチームトラップ100の温度及び超音波を測定する。具体的には弁ケーシング101(後述)の温度及び超音波を取得する。
【0016】
図2に示すように、弁ケーシング101は、本体17と蓋18とをボルト19で結合することによって形成される。弁ケーシング101は、弁室4、入口5、本体17に形成される出口通路6(以下、第1出口通路6)、出口7、蓋18に形成される出口通路10(以下、第2出口通路10)、閉栓部材取付空間127、及び、弁座部材取付空間129を有している。
【0017】
弁室4は、弁ケーシング101の内部に位置する空間として形成される。入口5は、弁室4と連通するように形成される。入口5は、弁ケーシング101の外部から流入する蒸気やドレンを受け入れる。出口7は、入口5から弁ケーシング101の内部に流入した蒸気やドレンを、弁ケーシング101の外部に流出させる。第1出口通路6は、出口7と連通するように形成される。第2出口通路10は、第1出口通路6及び弁座部材取付空間129(後述)と連通する。
【0018】
閉栓部材取付空間127及び弁座部材取付空間129は、蓋18に形成される。閉栓部材取付空間127及び弁座部材取付空間129は、連続して形成される。閉栓部材取付空間127は、外部と連通するように形成され、一方、弁座部材取付空間129は、弁室4と連通するように形成される。また、閉栓部材取付空間127は、閉栓部材15によって閉栓され、外部との連通は遮断される。
【0019】
なお、弁ケーシング101の本体17には、トラップ状態取得センサSを取り付けるためのセンサ取付孔Saを有している。トラップ状態取得センサSは、センサ取付孔Saの底面PSを介して弁ケーシング101の温度及び振動(超音波)を取得する。
【0020】
図1に戻って、フロート11は、弁室4に遊置される中空の球状物体である。フロート11は、弁室4に貯留されるドレンの量によって、弁室4を上下に移動する。また、フロート11の中空内部には、フロート動作検出システム1(後述)が配置されている。
【0021】
弁座部材9は、蓋18の弁座部材取付空間129(
図2参照)に取り付けられる。これにより、弁座部材9は、弁室4の下部に配置される。
図3に示すように、弁座部材9は、弁口109a及び排出通路8を有している。なお、弁室4は、弁口109aを介して排出通路8と連通する。また、排出通路8は、弁座部材取付空間129、第2出口通路10、第1出口通路6を介して、出口7と連通している。つまり、弁室4は、弁口109aを介して出口7と連通している。
【0022】
弁口109aは、弁室4に貯留するドレンの量に基づくフロート11の弁室4における位置によって開閉される。例えば、弁室4に貯留するドレンが所定量以下のときは、フロート11が弁座部材9に着座し、弁口109aは閉じられる。一方、弁室4に貯留するドレンが所定量より多いときは、フロート11が弁座部材9から離座し、弁口109aは開放される。弁口109aが開放された状態で、入口5から弁室4に流入した蒸気やドレンは、弁口109aを経由して出口7から弁ケーシング101の外部に流出する。
【0023】
第2 フロート動作検出システム1の構成
図4は、内部を透過した状態のフロート11の斜視図である。
図5は、動作検出部30及び端末装置60の構成を示すブロック図である。上述したように、フロート11の中空内部には、フロート動作検出システム1が配置されている。フロート動作検出システム1は、動作検出部30等を有し、フロート11の動作を検出する。具体的には、
図4に示すようにフロート11のx軸、y軸、z軸まわりの角速度を検出する。
【0024】
動作検出部30は、フロート11の中心Oから所定距離だけ下方に位置するように板部材50の上面に固定配置されている。板部材50は、断熱樹脂などの断熱材料で形成され、板面方向がxy平面と平行になるように支持棒51によって支持される。支持棒51は、板部材50と同様な断熱材料で形成され、一端がフロート11の内壁に接着される。また、板部材50の下面には、錘70が固定配置されている。
【0025】
なお、フロート11は、
図1に示すように錘70などの重量によって、重心Gが中心Oとは異なる位置にある。具体的には、中心Oよりも下方に位置する。また、フロート11は、
図1に示すような重心Gが中心Oよりも下方に位置する状態で弁室4に配置されている。
【0026】
動作検出部30は、
図5に示すように、制御部31、記憶部32、動作検出センサ33、通信制御部34及び駆動電源35等を有し、フロート11の動作の検出結果(角速度)を記憶するデータロガーである。制御部31は、CPU等から構成され、動作検出センサ33から受信した検出結果を時系列に記憶部32に格納する。記憶部32は、例えばフラッシュメモリである。
【0027】
動作検出センサ33は、例えば、3軸の振動ジャイロセンサであり、フロート11のx軸、y軸、z軸まわりの角速度を検出して制御部31に送信する。これら角速度に基づいてフロート11の動作(傾き、回転、移動等)を特定することができる。
【0028】
また、制御部31は、通信制御部34を介して、記憶部32に記憶されている検出結果を識別情報とともに端末装置60等に送信する。なお、この実施例では、スチームトラップ100の識別情報を検出結果に対応付けて端末装置60等に送信する。これにより、いずれのスチームトラップ100の識別情報であるかを特定することができる。通信制御部(通信制御手段)34は、無線通信回路を有し、端末装置60等との無線通信(例えばパケット通信)を制御する。
【0029】
駆動電源35は、リチウム電池などのバッテリー電源、あるいは振動発電素子などを用いた発電モジュール(エナジーハーベスト)などを適用でき、制御部31等の各部へ電力を供給する。
【0030】
端末装置60は、例えば、無線通信機能を備えたパーソナルコンピュータ、タブレット端末であり、動作検出部30からフロート11の動作の検出結果を受信して具体的な動作を特定し、スチームトラップ100の作動状態を推定する。端末装置60は、
図5に示すように、制御部61、通信制御部62、表示部63及び操作部64等を有する。制御部61は、CPU等から構成され、動作検出部30からフロート11の動作の検出結果を受信して具体的な動作を特定し、スチームトラップ100の作動状態を推定する。なお、ジャイロセンサを用いた物体の動作の特定については、積分演算等を行う一般的な構成であるため詳細な説明は省略する。
【0031】
通信制御部62は、無線通信回路を有し、動作検出部30との無線通信を制御する。表示部63は、例えば液晶ディスプレイである。操作部64は、例えばキーボードであり、作業者等の操作入力を受け付ける。
【0032】
第3 フロート11の動作
1.フロート式スチームトラップ100の動作の概要
フロート11の動作も含めてスチームトラップ100の動作の概要について説明する。
【0033】
入口5から流入してきた高温のドレンは、弁室4に流入していく。そして、弁室4に所定量のドレンが貯留すると、フロート11は浮上によって弁座部材9から離座し始める。より詳細には、フロート11は、弁座部材9の先端部の上方側を支点として回動し、弁座部材9から離座した状態となる(
図6(B)参照)。これにより、弁口109aが開口し、弁室4内のドレンが、弁口109aに流入して、排出通路8、弁座部材取付空間129、第2出口通路10、第1出口通路6を通過して出口7からスチームトラップ100の外部に流出する(排出される)。
【0034】
2.ドレン量に対するフロート11の動作の概要
フロート11は、上述したように弁室4のドレンの量に応じて上下に移動するが、ドレンの量に対して所定のパターンで動作する。このフロート11の動作の概要について
図6、
図7を参照して説明する。
図6、
図7は、フロート11の動作を説明する説明図であり、スチームトラップ100の一部の断面を示す。
図6は、ドレン量が変動する場合であり、
図6(A)は、フロート11が弁座部材9に着座している状態を示し、
図6(B)は、フロート11が弁座部材9から離座している状態を示す。
図7(A)は、弁室4のドレンの量が常に少ない場合を示す。
図7(B)は、弁室4のドレンの量が常に多い場合を示す。また、
図6、
図7において、ドレンの液面Wを点線で例示する。
【0035】
最初に、弁室4のドレンの量が変動する場合について説明する。ドレンの量が変動する場合は、スチームトラップ100(弁室4)に流入するドレンの量が想定範囲にあり、ドレンが継続的にスチームトラップ100に流入し、弁室4から外部に排出される状態である。
【0036】
弁室4のドレンが所定量に達すると、
図6(B)に示すように、フロート11は、浮上し始めて弁座部材9の先端部の上方側を支点として回転し、弁座部材9から離座する。これにより、弁口109aが開口する。この時、フロート11は、重心Gが最下方となるように回転もするため、板部材50の板面方向が水平方向(XY平面)と平行な状態となる。すなわち、高さ方向(Z軸方向)とフロート11のz軸方向とが平行な状態となる。
【0037】
これにより、弁室4のドレンは弁口109aに流出して所定量よりも減少する。その後、フロート11は、回転しつつ降下して
図6(A)に示す弁座部材9に着座する状態となる。これにより、弁口109aが閉口する。なお、フロート11は、弁座部材9の先端部の上方側を支点として回転するため、
図6(A)に示すように傾いて着座した状態となる頻度が高い。すなわち、高さ方向(Z軸方向)に対してフロート11のz軸方向が傾いた状態となる。
【0038】
そして、その後に再びドレンが所定量に達した場合には、
図6(B)に示すように、フロート11は弁座部材9から離座する。すなわち、フロート11は、ドレン量の変動に伴って弁座部材9を支点として揺動しながら高さ方向(Z軸方向)に上下移動を行う。
【0039】
次に、弁室4のドレンの量が常に少ない場合について説明する。
図7(A)に示すように、弁室4のドレンの量が常に所定量に達しないと、フロート11は、弁座部材9に着座した状態となり、ドレンの影響を受けず、動作しない又はわずかに変化する程度である。また、上述したように弁座部材9に着座したフロート11は、傾いた状態である頻度が高い。すなわち、フロート11は、ほとんど動作せずに傾いた状態となる。このようなフロート11の動作は、スチームトラップ100が休止状態である可能性が高い。
【0040】
次に、弁室4のドレンの量が常に多い場合について説明する。
図7(B)に示すように、弁室4のドレンの量が常に所定量以上である場合、フロート11は、弁座部材9から離座し、液面W上に浮いている状態となる。したがって、上述したように、重心Gとの関係によって、板部材50の板面方向が水平方向(XY平面)と平行な状態となる。
【0041】
なお、ドレンの量が常に多い場合には液位の変化は少ないため、フロート11の高さ方向の動きは少ない。また、フロート11は、浮いている状態にあるので、水平方向におけるランダムな方向に回転する場合がある。すなわち、フロート11は、ほとんど動作しない又は水平方向に回転動作し、板部材50の板面方向が水平方向と平行な状態となる。このようなフロート11の動作は、弁口109aから出口7の間に何らかの詰まり(異常)が生じている可能性が高い。
【0042】
4.フロート11の動作検出
上述したように、フロート11は、ドレンの量に対して所定のパターンで動作するので、動作検出センサ33の検出結果に基づいてフロート11の具体的な動作を特定し、スチームトラップ100の作動状態を推定できる。具体的には、スチームトラップ100に流入するドレン量を推定できる。また、スチームトラップ100の休止状態及び詰まり状態を推定できる。
【0043】
例えば、フロート11が高さ方向(Z軸方向)に上下移動していると特定される場合には、
図6(A)、
図6(B)に示すようにドレンが継続的に流入して排出されている状態であると推定される。すなわち、スチームトラップ100は、適切に作動していると推定できる。
【0044】
また、フロート11が、一定期間、ほとんど動かず、且つ、傾いていると特定された場合には、
図7(A)に示すように常にドレンの量が少ない状態であると推定される。また、スチームトラップ100が休止状態にある可能性が高いと推定される。
【0045】
また、フロート11が、一定期間、ほとんど動かない又は水平方向に回転等し、且つ、傾いていないと特定された場合には、
図7(B)に示すように常にドレンの量が多い状態にあると推定される。また、スチームトラップ100の弁口100aから出口7の間に何らかの詰まりが生じている可能性が高いと推定される。
【0046】
この実施例では、上述のフロート11の動作の特定及び各種推定が、端末装置60によって行われる。
図8は、端末装置60のフロート11の作動状態の推定処理を示すフローチャートである。この処理は、端末装置60が動作検出部30と通信を開始したことを契機として、制御部61によって実行される。
【0047】
最初に、制御部61は、動作検出部30に検出結果の送信要求を行い(ステップS10)、検出結果を受信する(ステップS11:YES)まで待機する。送信要求を受信した動作検出部30は、例えば、現在から過去の所定期間分の検出結果を送信する。なお、所定期間は、フロート11の動作を特定できる程度の期間であればよい。検出結果を受信した場合(ステップS11:YES)、制御部61は、上述したように検出結果に基づいてフロート11の動作を特定する特定処理を行う(ステップS12)。次に、制御部61は、特定されたフロート11の動作に基づいてドレン量、休止状態及び詰まり状態の推定処理を行う(ステップS13)。その後、制御部61は、推定結果を表示部63に表示させる(ステップS14)。
【0048】
なお、この実施例では、動作検出部30が検出結果を直接的に端末装置60に無線送信しているが、電波の出力性能などに応じてリピータ(中継器)等を弁ケーシング101内に配置し、リピータ経由で端末装置60に送信するようにしてもよい。
【0049】
以上のように、動作検出センサ33をフロート11の中空内部に固定配置することでフロート11の動作が検出される。フロート11は、スチームトラップ100に流入するドレンの量に応じて規則的に動作するので、検出結果に基づいて特定されるフロート11の動作から、ドレン量や休止状態などのスチームトラップ100の作動状態をより高精度に推定することができる。
【0050】
また、フロート11の動作にスチームトラップ100の温度及び超音波などの情報も合わせて参照することで、スチームトラップ100の作動状態をより高精度に推定するができる。
【0051】
例えば、推定されたドレン量及びスチームトラップ100の超音波を使用して、スチームトラップ100からドレンとともに排出される蒸気の漏洩量も推定できる。蒸気の漏洩量は、スチームトラップ100に流入するドレンの量と、トラップ内部から発生する超音波との関係から推定される。この実施例では、上述したようにドレン量が想定範囲内、想定範囲より少ない、想定範囲より多いとなる三段階に推定できるので、各段階のドレン量(数値情報)を予め設定しておく。そして、推定されたドレン量(数値情報)と測定された超音波との関係から蒸気の漏洩量を推定する。従来は単一の代表値をドレンの量として推定していたが、本願のフロート動作検出システム1により漏洩量の推定の精度を向上させることができる。
【0052】
また、例えば、推定されたドレン量及びスチームトラップ100の温度を使用して、スチームトラップ100が休止状態であるかをより高精度に推定することができる。上述したように、
図7(A)に示す弁室4のドレンの量が常に少ない場合、フロート11は、ほとんど動作せずに傾いた状態となる。この場合、スチームトラップ100が休止状態である可能性が高いが、スチームトラップ100の温度の高低に応じて休止状態であるかを推定する。
【0053】
具体的には、温度が低い場合には、入口5から弁室4にドレン自体が流入していないことになるので、休止状態と推定できる。すなわち、スチームトラップ100の上流のバルブが閉じられて、ドレンがスチームトラップ100に流入していない状態である。一方、温度が高い場合には、流入量はほとんどないが高温のドレンは流入していると判断できるので、スチームトラップ100は、休止状態ではなく、単にドレン量が少ない状態と推定できる。
【0054】
さらに、例えば、推定されたドレン量及びスチームトラップ100の温度を使用して、スチームトラップ100が詰まり状態であるかをより高精度に推定することができる。上述したように、
図7(B)に示す弁室4のドレンの量が常に多い場合、フロート11は、弁座部材9から離座し、液面W上に浮いている状態となる。この場合、弁口109aから出口7の間に何らかの詰まり(異常)が生じている可能性が高いが、スチームトラップ100の温度の高低に応じて詰まり状態であるかを推定する。
【0055】
具体的には、温度が低い場合には、何らかの詰まりが生じて弁室4のドレンが満杯となって入口5から高温ドレンが流入していないことになり、弁室4のドレンの温度は低下していくので、詰まりが生じていると推定できる。一方、温度が高い場合には、多量の高温のドレンが流入していると判断できるので、スチームトラップ100は、詰まり状態ではなく、単にドレン量が多い状態と推定できる。
【0056】
なお、スチームトラップ100の超音波及び温度は、例えばトラップ状態取得センサSの測定値を参照すればよい。
【0057】
また、上述した実施例では、検出結果を記憶部32に格納しているが、格納しなくてもよい。例えば、リアルタイムに検出した検出結果を端末装置60に送信する構成としてもよい。この場合、記憶部32は設けなくてもよい。
【0058】
さらに、上述した実施例では、無線通信によって検出結果を別の装置に出力しているが、特にこれに限定されるものではない。例えば、有線通信であってもよい。具体的には、フロート11を弁室4から取り出して有線接続によって記憶部32の検出結果を取得するようにしてもよい。この場合、フロート11の外部壁面に制御部31に接続されたUSB等の入出力ポートを設け、携帯可能なメモリ装置を入出力ポートに接続して記憶部32の検出結果をメモリ装置に転送するようにしてもよい。あるいは、取出したフロート11を二つに分離して動作検出部30を露出させ、端末装置等を有線で直接に動作検出部30に接続して記憶部32の検出結果を取得するようにしてもよい。
【0059】
また、上述した実施例のフロート動作検出システム1は、フロート11の動作の検出結果を他の装置に送信する構成であるが、特にこれに限定されるものではない。上述したスチームトラップ100の作動状態を推定する構成を含めるようにしてもよい。この場合、端末装置60の制御部61が、ドレン量推定手段、状態推定手段として機能するので、端末装置60はフロート動作検出システム1に含まれる。
【実施例2】
【0060】
この実施例は、フロート動作検出システムがサーバ装置に検出結果を送信する構成において上述の実施例1と異なる。この異なる構成について
図9を用いて説明する。その他の構成については、実施例1と同様であるため説明は省略する。
【0061】
図9は、複数のスチームトラップ100を備えるモニタリングシステム200の構成を示す図である。モニタリングシステム200は、プラント内に配設されたスチームトラップ100毎に温度、超音波、フロート11の動作をデータベース213で記憶管理する。本願のフロート動作検出システム301は、モニタリングシステム200に含まれる。
【0062】
モニタリングシステム200は、ローカルエリアネットワーク等の通信ネットワーク250に接続された複数のフロート動作検出システム301、複数のトラップ状態取得センサSS、サーバ装置201及び複数の端末装置202等を有している。
【0063】
フロート動作検出システム301は、動作検出部330などを有し、フロート11の動作の検出結果をサーバ装置201に送信する。動作検出部330は、制御部331が、動作検出センサ33から取得したフロート11の動作の検出結果を、通信制御部34を介してサーバ装置201に送信する。制御部331は、例えば、一日一回の所定時刻が到来する毎に、所定時刻から所定時間だけ検出結果を記憶部32に格納し、配置されているスチームトラップ100の識別情報とともにサーバ装置201に送信する。なお、所定時間は、フロート11の動作を特定できる程度の時間であればよい。
【0064】
トラップ状態取得センサSSは、図示しない制御部、通信制御部、超音波受信センサ及び温度センサ等を有し、実施例1と同様に配置されたスチームトラップ100の超音波及び温度を検出する。トラップ状態取得センサSSは、例えば、動作検出部330と同様に、一日一回の所定時刻が到来する毎に、所定時刻から所定時間だけ検出結果を記憶部(不図示)に格納し、配置されているスチームトラップ100の識別情報とともにサーバ装置201に送信する。
【0065】
サーバ装置201は、制御部211、通信制御部212、データベース213等を備え、複数のフロート動作検出システム301及び複数のトラップ状態取得センサSSから受信した複数のスチームトラップ100の各情報を記憶管理する。制御部241は、CPU等から構成され、記憶部(不図示)に記憶されたプログラム及びデータ等に基づいて装置全体の動作を制御する。通信制御部242は、通信ネットワーク250に有線接続され、動作検出部330及びトラップ状態取得センサSSとの通信を制御する。データベース213は、複数のスチームトラップ100の各情報を記憶する。
【0066】
また、制御部221は、実施例1の端末装置60と同様に、検出結果に基づくフロート11の動作の特定及び各種推定を行う。
【0067】
端末装置202は、例えば、通信機能を備えたパーソナルコンピュータ、タブレット端末であり、サーバ装置201からスチームトラップ100の各情報を取得し、表示部223に表示させる。端末装置202は、CPU等から構成された制御部221、通信を制御する通信制御部222、液晶ディスプレイ等の表示部223及びキーボード等の操作部224等を有する。
【0068】
これにより、作業者等は端末装置202を使用してスチームトラップ100の各情報を取得できるので、各スチームトラップ100が配設されている箇所に移動せずにスチームトラップ100の作動状態を把握することができる。
【0069】
なお、フロート動作検出システム301の構成として、ドレン量推定手段、状態推定手段として機能するサーバ装置201を含めるようにしてもよい。
【0070】
[その他の実施例]
上述の各実施例では、動作検出部は動作検出センサの検出結果を取得して他の装置に送信しているが、動作検出部の制御部がフロートの動作を特定してドレン量等を推定し、この推定結果を端末装置等に送信するようにしてもよい。すなわち、動作検出部の制御部が、ドレン量推定手段、状態推定手段として機能させてもよい。
【0071】
また、上述の各実施例では、真球のフロートが用いられているが、少なくとも弁口に接触する領域部分が曲面形状であれば特にこれに限定されるものではない。例えば、
図10に示すように、下方の半分が半円形状であり、上方の半分が台形形状であるフロート311を用いてもよい。
図10は、フロート311の断面図である。なお、動作検出部30などの図示は省略する。
【0072】
さらに、上述の各実施例では、動作検出部を、板部材を用いて、フロート内部に固定配置しているが、特にこれに限定されるものではない。例えば、
図11に示すように、フロート411の蓋部材415に動作検出部30を配置するようにしてもよい。蓋部材415は、側面にネジ溝(不図示)が形成され、フロート411の本体に形成された貫通孔416を形成する周面のネジ溝(不図示)とねじ結合する。
図11は、フロート411の断面図である。
【0073】
また、上述の各実施例では、動作検出手段としてジャイロセンサを用いているが、特にこれに限定されるものではない。例えば、加速度センサを用いてもよい。
最後に、本願のフロート動作検出システムは、上述の各実施例のスチームトラップに限定されず、フロートが特定の動作をするスチームトラップであれば適用可能である。