(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態に係るピッキング作業支援システム(以下、支援システムという。)100について説明する。
【0012】
支援システム100は、
図1、
図2に示すように、作業者が装着したヘッドマウントディスプレイ(以下、HMDという。)10に、作業者から見て荷物1と重なるように、荷物1の内容である物品2の個別画像としての画像2aを表示するシステムである。
【0013】
支援システム100は、
図1、
図3に示すように、HMD10と、HMD10に取り付けられるカメラ20と、ピッキングした荷物1の検品処理に用いられるスキャナ30と、HMD10、カメラ20、及びスキャナ30と通信可能に接続されるコンピュータ40と、を備える。コンピュータ40は、インターネット等の通信ネットワーク200に無線で接続されており、同じく通信ネットワーク200に接続されたコンピュータ50と通信可能となっている。
【0014】
コンピュータ40は、各種演算処理を行うプロセッサ41と、各種プログラム等を記憶する記憶媒体42と、を備える。コンピュータ50は、各種演算処理を行うプロセッサ51と、各種プログラム等を記憶する記憶媒体52と、を備える。HMD10、カメラ20、及びスキャナ30とコンピュータ40とは、有線で接続してもよいし、無線で接続してもよい。
【0015】
HMD10は、プロセッサ41が出力した各種情報を表示する眼鏡型のディスプレイである。本実施形態のHMD10は光学透過型であって、作業者の実際の視界に文字や画像を重ねて表示することができる。
【0016】
カメラ20は、撮像素子を用いて前方の空間を撮像し、外観画像としての画像20aを生成する。また、カメラ20は、生成した画像20aをコンピュータ40に送信する。なお、カメラ20は、HMD10とは別体に設けてもよい。
【0017】
コンピュータ50の記憶媒体52には、コンピュータ40から利用可能な各種プログラム、顧客からの受注データを記憶するためのデータベース、倉庫に保管される各荷物1の内容である物品2にそれぞれ対応する画像2aを記憶するためのデータベース53等が記憶されている。
【0018】
画像2aは、物品2の外観の画像であり、データベース53に予め記憶されている。なお、いくつかの物品2が同じものである場合は、1つの画像2aを流用すればよいので、それぞれに対応する画像2aを準備する必要はない。
【0019】
画像2aは、画像2aを見た作業者が、その画像2aに対応する物品2を認識できるものであればよい。よって、画像2aとしては、例えば、物品2のイラスト等を用いてもよい。
【0020】
倉庫の棚等に保管されている複数の荷物1には、
図4に示すように、光学式認識コード3、4がそれぞれ付されている。光学式認識コード3は、色の変化によって符号化情報を表すカラービット(登録商標)である。光学式認識コード4は、バーコードである。
【0021】
光学式認識コード3は、データベース53に記憶された画像2aに対応する符号化情報を有するようにプロセッサ51によって生成され、コンピュータ50と接続されたプリンタ(図示せず)によりラベルに印字、発行される。例えば、データベース53に記憶された画像2aが10個ある場合は、それぞれに対応する10個の光学式認識コード3がプロセッサ51によって生成される。
【0022】
発行されたラベルは、印字された光学式認識コード3によって特定される画像2aに対応する物品2が梱包された荷物1に貼付される。これにより、荷物1とデータベース53に記憶された画像2aとが、光学式認識コード3によって関連付けられる。
【0023】
光学式認識コード4は、物品2に対応する符号化情報を有するようにプロセッサ51によって生成され、プリンタによりラベルに印字、発行される。光学式認識コード4が有する符号化情報は、荷物1の検品処理に用いられる情報である。例えば、物品2が衣服や靴等である場合は、型番、サイズ、カラー等を特定可能な情報が含まれる。例えば、物品2が10種類ある場合は、それぞれに対応する10個の光学式認識コード4がプロセッサ51によって生成される。
【0024】
発行されたラベルは、印字された光学式認識コード4によって特定される物品2が梱包された荷物1に貼付される。
【0025】
なお、光学式認識コード3、4は、同一のラベルに印字してもよいし、物品2を梱包する梱包材に直接印字してもよい。
【0026】
続いて、支援システム100を用いたピッキング作業について、
図5に示す支援システム100の作動フローを参照しながら説明する。
【0027】
まず、作業者がコンピュータ40を操作してコンピュータ50の記憶媒体52に記憶された支援システム100用のプログラムを起動すると、コンピュータ50のプロセッサ51が画像取得指示を生成し、コンピュータ40を経由してカメラ20に送信する。カメラ20は、画像取得指示に基づいて撮像を行う。そして、生成した画像20aを、コンピュータ40を経由してコンピュータ50に送信する(ステップS1)。本実施形態では、カメラ20は、所定の間隔で撮像を行い、都度、画像20aをコンピュータ50に送信する。
【0028】
図1に示すように、作業員がピッキング作業を行うために荷物1の方向を向いた状態では、カメラ20により、複数の荷物1を含む画像20aが撮像される。
【0029】
プロセッサ51は、取得した画像20aを解析して光学式認識コード3を検出し、符号化情報を読み取る(ステップS2)。
【0030】
次に、プロセッサ51は、
図6に示すように、データベース53に記憶されている複数の画像2aの中から、光学式認識コード3から読み取った符号化情報に対応する画像2aを検索する(ステップS3)。
【0031】
そして、プロセッサ51は、画像表示指示を生成し、コンピュータ40を経由してHMD10に送信する。具体的には、検索した画像2aを、対応する符号化情報を有する光学式認識コード3の画像20aにおける位置に基づいて、当該光学式認識コード3と関連付けてHMD10に表示させる(ステップS4)。本実施形態では、
図2に示すように、画像2aを、作業者から見て対応する光学式認識コード3と重なるようにHMD10に表示させることで、画像2aと対応する光学式認識コード3とを関連付けている。
【0032】
なお、
図2では、作業者が次にピッキングする荷物1に付された光学式認識コード3に対応する画像2aのみをHMD10に表示した状態を示している。これによれば、次にピッキングする荷物1を作業者が探す手間を削減できる。
【0033】
これに対して、
図7に示すように、検索した複数の画像2a全てをHMD10に表示するようにすれば、どの荷物1にどの物品2が入っているかを作業者が一度にまとめて認識できる。さらに、次にピッキングする荷物1に対応する画像2aのみを点滅させたり、当該画像2aに矢印等のマークを加えて表示したりすれば、次にピッキングする荷物1の位置を作業者が探す手間を削減できる。
【0034】
作業者が次にピッキングする荷物1に対応する画像2aのみをHMD10に表示するか、検索した複数の画像2a全てをHMD10に表示するかは、作業者が選択できるようにしてもよいし、作業状況に応じて自動で切り替わるようにしてもよい。
【0035】
そして、作業者が荷物1をピッキングして光学式認識コード4をスキャナ30で読み取ると、プロセッサ51は、光学式認識コード4が有する符号化情報と記憶媒体52に記憶された受注データの各項目とを照合し、検品処理を行う(ステップS5)。
【0036】
このように、支援システム100によれば、物品2に対応する画像2aが、作業者から見て当該物品2に対応する光学式認識コード3と重なるように、つまり、当該物品2が梱包された荷物1と重なるように、HMD10に表示される。
【0037】
これによれば、HMD10を通して荷物1を見た作業者が、荷物1をピッキングする前に荷物1の内容を視覚的に容易に確認できる。よって、作業者が安心してピッキング作業を行うことができる。
【0038】
なお、カメラ20は、上述したように、所定の間隔で撮像を行い、生成した画像20aをコンピュータ50に送信している。プロセッサ51は、カメラ20から受信した画像20aを順次解析し、略リアルタイムにHMD10に表示される画像2aの位置を更新する。このため、作業者が向きを変えてカメラ20が撮像した画像20aにおける各荷物1の位置が変化しても、画像2aは、対応する荷物1の位置に追従してHMD10に表示される。
【0039】
また、HMD10には、受注データに基づいてプロセッサ51が生成した作業指示が表示されるようになっている。よって、作業者は、HMD10に表示された作業指示に従ってピッキング作業を行うことで、効率よくピッキング作業を行うことができる。なお、コンピュータ40にイヤホンやスピーカを接続し、作業指示が音声で出力されるようにしてもよい。
【0040】
さらに、支援システム100は、HMD10に表示する画像2aの大きさを、画像20aから検出した光学式認識コード3の大きさに応じて変更できるようになっている。画像2aの大きさは、実際の光学式認識コード3の大きさと画像20aから検出した光学式認識コード3の大きさとに基づいて決定される。
【0041】
例えば、作業者と光学式認識コード3との距離が近い状態、つまり、作業者と荷物1との距離が近い状態では、
図2に示すように、HMD10に画像2aが大きく表示され、作業者と光学式認識コード3との距離が遠い状態、つまり、作業者と荷物1との距離が遠い状態では、
図7に示すように、HMD10に画像2aが小さく表示されるように設定できる。これによれば、作業者と荷物1との距離が遠く、画像20aに多くの光学式認識コード3が含まれる場合でも、対応する全ての画像2aをHMD10に表示しつつ作業者の視界を確保できる。
【0042】
ところで、本実施形態では、上述したように、光学式認識コード3としてカラービット(登録商標)を用いている。これは、カラービット(登録商標)が、バーコードや2次元コード等と比較して容易に読み取り可能なこと、読み取り可能な距離が長いこと、位置情報を取得可能なこと等から、離れた位置から複数の荷物1の内容をまとめて認識するシステムを実現するために用いる光学式認識コードとして好適だからである。
【0043】
一方で、光学式認識コード4としてはバーコードを用いている。これは、カラービット(登録商標)よりもバーコードのほうが格納できる情報量が多く、検品処理に必要な情報を持たせる光学式認識コードとして好適だからである。なお、光学式認識コード4としては、2次元コード等を用いてもよい。
【0044】
このように、ピッキング支援用の光学式認識コード3と検品処理用の光学式認識コード4とを使い分けることで、支援システム100を安価かつ容易に実現できる。
【0045】
なお、プロセッサ51が画像20aを解析する能力によっては、光学式認識コード3としてバーコードや2次元コード等を用いてもよい。また、検品処理に必要な情報量が格納できるのであれば、光学式認識コード4としてカラービット(登録商標)を用いてもよい。
【0046】
また、プロセッサ51が画像20aを解析する能力や光学式認識コードに格納できる情報量によっては、荷物1に付する光学式認識コードを1つにすることもできる。
【0047】
以上述べたように、本実施形態の支援システム100によれば、物品2に対応する画像2aが、当該物品2に対応する光学式認識コード3と関連付けてHMD10に表示される。具体的には、物品2に対応する画像2aが、作業者から見て当該物品2に対応する光学式認識コード3と重なるように、つまり、当該物品2が梱包された荷物1と重なるように、HMD10に表示される。これによれば、荷物1をピッキングする前に作業者が荷物1の内容である物品2を視覚的に容易に確認できる。よって、作業者が安心してピッキング作業を行うことができる。
【0048】
また、支援システム100によれば、作業者が次にピッキングする荷物1に付された光学式認識コード3に対応する画像2aのみをHMD10に表示できる。よって、次にピッキングする荷物1を探す手間が削減できる。
【0049】
また、支援システム100によれば、検索した複数の画像2a全てをHMD10に表示できる。よって、どの荷物1にどの物品2が入っているかを作業者が一度にまとめて認識できる。
【0050】
また、支援システム100によれば、HMD10に表示する画像2aの大きさを、画像20aから検出した光学式認識コード3の大きさに応じて変更できる。よって、例えば、作業者と光学式認識コード3との距離が近い状態、つまり、作業者と荷物1との距離が近い状態では、HMD10に画像2aが大きく表示され、作業者と光学式認識コード3との距離が遠い状態、つまり、作業者と荷物1との距離が遠い状態では、HMD10に画像2aが小さく表示されるように設定できる。これによれば、作業者と荷物1との距離が遠く、画像20aに多くの光学式認識コード3が含まれている場合でも、対応する全ての画像2aをHMD10に表示しつつ作業者の視界を確保できる。
【0051】
また、ピッキング支援用の光学式認識コード3と検品処理用の光学式認識コード4とを使い分けることで、支援システム100を安価かつ容易に実現できる。
【0052】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一つを示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0053】
例えば、上記実施形態では、画像2aを、対応する光学式認識コード3と重なるようにHMD10に表示することで、画像2aと対応する光学式認識コード3とを関連付けている。これに対して、例えば、画像2aを、対応する光学式認識コード3の近傍に表示することでも、画像2aと対応する光学式認識コード3とを関連付けることができる。また、対応する光学式認識コード3から離れた位置に画像2aを表示しておき、画像2aと光学式認識コード3とを結ぶ引出線等を表示することでも、画像2aと対応する光学式認識コード3とを関連付けることができる。
【0054】
また、上記実施形態では、HMD10を光学透過型としているが、ビデオ透過型としてもよい。この場合は、プロセッサ51は、画像20aに画像2aを重ねた画像を生成してHMD10に表示させる。
【0055】
また、支援システム100の構成は、様々な態様に変更可能である。
【0056】
例えば、上記実施形態では、通信ネットワーク200を介してコンピュータ40とコンピュータ50とが接続されているが、コンピュータ40を通信ネットワーク200に接続せずに、支援システム100をスタンドアローン型としてもよい。この場合は、
図8に示すように、画像2aを記憶するためのデータベース43や各種プログラム等を記憶媒体42に記憶しておき、各種演算処理をプロセッサ41で行うようにすればよい。
【0057】
また、上記実施形態では、光学式認識コード4を読み取るためにスキャナ30を用いているが、スキャナ30を備えずに、カメラ20で撮像した画像20aから光学式認識コード4の符号化情報を直接読み取るようにしてもよい。この場合は、作業者がコンピュータ40を操作して読み取り指示を与えたときに、プロセッサ51が光学式認識コード4の符号化情報を読み取る解析処理を行うようにすればよい。
【0058】
また、上記実施形態では、画像2aを表示するディスプレイとしてHMD10を用いているが、例えば、ディスプレイとしてスマートフォンやタブレット端末等を用いてもよい。また、コンピュータ40としてスマートフォンやタブレット端末等を用いてもよい。さらに、スマートフォンやタブレット端末等にカメラが一体に設けられている場合は、これをカメラ20として用いてもよい。
【0059】
なお、光学式認識コード4を読み取るためにスキャナ30を用いる場合は、ディスプレイとしてスマートフォンやタブレット端末等を用いると、作業者の両手が塞がることになる。よって、この場合は、ディスプレイとしてHMD10を用いることが好ましい。