【実施例】
【0032】
(実施例1)
5mg/mlの1−(4−{[4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−イル]カルボニル}フェニル)−3−[4−(4,6−ジモルホリン−4−イル−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル]尿素およびDL−乳酸を含む医薬水溶液製剤の調製
D,L−乳酸(334mg)を灌注用水に溶解して、溶液を100mlの総体積で作製した。1−(4−{[4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−イル]カルボニル}フェニル)−3−[4−(4,6−ジモルホリン−4−イル−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル]尿素(200mg)を、37mlのこの乳酸溶液に溶解し、Ultra Turrax T25(商標)ホモジナイザーで120分間混合し、溶液を超音波浴中で10分間音波破砕した。次いで、混合物を磁気撹拌器で終夜撹拌して、透明な溶液を提供した。メスフラスコを使用して、乳酸溶液でこれを最大40ml体積にした。0.2μmのナイロンフィルターを使用して、層流空気流(LAF)キャビネット内の清浄な50mlバイアル中に溶液を濾過した。濾過した溶液の最初の5mlを使用してフィルターを湿らせ、濾過した溶液を代表するものではないとして廃棄した。バイアルを圧着し、清浄なリオストッパー(lyo−stopper)およびフリップオフキャップを使用して密閉した。溶液を目視検査すると、透明な無色溶液であることが分かった。
【0033】
(実施例2)
(a)1−(4−{[4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−イル]カルボニル}フェニル)−3−[4−(4,6−ジモルホリン−4−イル−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル]尿素、DL−乳酸およびマンニトールを含む5mg/mlの医薬水溶液製剤の調製、および(b)その凍結乾燥固体組成物の調製
(a)36,100gの注射用水を容器に秤量した。125.82gのDL−乳酸(90.6%純度、非経口グレード)をゆっくり添加し、混合物を乳酸が溶解するまで撹拌した。195.3gの1−(4−{[4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−イル]カルボニル}フェニル)−3−[4−(4,6−ジモルホリン−4−イル−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル]尿素をゆっくり添加し、混合物を材料が溶解するまで撹拌した。1900gのマンニトール粉末(非経口)を徐々に添加し、混合物を材料が溶解するまで撹拌した。注射用水を添加して、溶液を添加して38,760gの総重量にし、溶液をさらに10分間撹拌した。pHを確認すると、29.3℃の溶液温度では3.4であることが分かった。溶液を、インライン0.45μm浄化フィルターおよび0.22μmフィルターアセンブリに通して滅菌濾過した。次いで、この溶液を、50mLのバイアルに、各バイアル20.8mLの標的充填体積で充填した。バイアルを、それぞれ20mmのGray Lyo D777−1 V10−F597W FluroTec Siliconised(商標)栓で部分的に栓をした(密閉しない)。
【0034】
(b)次いで、これらのバイアルをステンレス鋼トレイに装填し、LSL1000(商標)凍結乾燥機に挿入した。棚温度を5℃に設定した。フリーズドライサイクルは、以下の方法を使用して実行した。
【0035】
【表1】
【0036】
凍結乾燥機に、滅菌濾過した窒素を、約700mbar(70,000パスカル)の設定点まで再充填し、栓を使用してバイアルを完全に閉鎖した。次いで、滅菌濾過した空気を使用して凍結乾燥機を大気圧になるまで換気し、バイアルを凍結乾燥機から取り出した。
【0037】
各バイアルは、フリーズドライした(凍結乾燥)製剤を白色固体として含有していた。
【0038】
(実施例3)
凍結乾燥固体組成物からの、1−(4−{[4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−イル]カルボニル}フェニル)−3−[4−(4,6−ジモルホリン−4−イル−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル]尿素、DL−乳酸およびマンニトールを含む5mg/mlの医薬水溶液製剤の再構成
実施例2(b)において調製した凍結乾燥固体組成物試料のバイアルを、次の通りに再構成した。
【0039】
およそ25mlの注射用水をシリンジに入れ、0.2ミクロンのPVDFフィルター膜をシリンジに取り付けた。およそ5mlの水を該膜に通して濾過し、廃棄した。次いで、シリンジ内に残っている20mlの水を、実施例2(b)において調製した通りの凍結乾燥組成物を含有する50mlのバイアル中に濾過した。混合物を、透明な無色溶液が実現されるまで、バイアル中で旋回させた。
【0040】
再構成された溶液を、次の通りに分析した:
【0041】
(a)pH
バイアル中の溶液のpHは、23.2℃でpH=3.52と測定された。
【0042】
(b)再構成した溶液の視覚的外観
再構成したバイアルの1つを、上述したヨーロッパ薬局方2.9.20の方法に基づく方法を使用して、目視検査した。方法は、あらゆる可視粒子の存在を観察するように設計されている。
【0043】
この方法によって、バイアル中の溶液を、Verivide DCAC60(商標)光キャビネット内、艶消し黒色パネルおよび白色パネルに対する3250ルクスの光メーター検針を使用して、目視検査した。
【0044】
結果は、再構成時に微粒子状物質がない透明な無色溶液が実現されたことを示した。
【0045】
(c)肉眼では見えない粒子の分析
バイアル中の溶液を、米国薬局方36<788>方法1(「Light Obscuration Particle Count Test」)において定義されている方法に基づく肉眼では見えない微粒子の決定方法を使用することにより、HIAC apparatus(商標)を使用して、肉眼では見えない粒子の存在について評価した。溶液を非経口または静脈内投与に適切なものにするために、結果は、USP36<788>方法1の「試験1.B」についての基準に適合するものでなくてはならず、これは、該基準が、肉眼では見えない微粒子状物質についての可能な限り広範な許容限界を定義しているからである。この試験では、次の通りに述べられている:
「試験1.B(100mL未満の公称含有量で容器内に供給された非経口注入用溶液または注射用溶液)−調製は、試験されるユニット中に存在する粒子の平均数が、10μm以上では容器当たり6000を超えず、25μm以上では容器当たり600を超えないならば、試験に適合する。」
【0046】
この方法により、最初に、10のバイアル溶液試料をプールした。各5mL以上の4つの試料をプールした溶液から取り出し、各試料について、HIAC HRLD 400(商標)センサーを使用して、10μmおよび25μm以上の粒子の数をカウントした。最初の試料について取得された結果は無視した。残り3つの試料のそれぞれについて、容器当たりの粒子の平均数を算出し、USP36<788>試験1.Bの要件と比較した。これらの試料はそれぞれ、溶液を非経口または静脈内投与に適切なものにするためのUSP36<788>試験1.Bの合否判定基準を満たしていた。
【0047】
(実施例4)
1−(4−{[4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−イル]カルボニル}フェニル)−3−[4−(4,6−ジモルホリン−4−イル−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル]尿素L−乳酸塩の結晶性形態の調製
調製A:
1−(4−{[4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−イル]カルボニル}フェニル)−3−[4−(4,6−ジモルホリン−4−イル−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル]尿素(52mg)を2mlのバイアルに秤量した。98:2v/v酢酸エチル:ジメチルホルムアミド(0.5ml)中のL−乳酸の22mg/ml溶液をバイアルに添加した。このスラリーを、約23℃で24時間撹拌した。次いで、スラリーを0.2μmのナイロン遠心分離フィルターに通して濾過して、結晶性の表題化合物を単離した。
【0048】
生成物を、Bruker D4(商標)回折計および銅Kα線を使用するPXRD(以下の「調査7」を参照)によって分析し、
図1において示されているパターンを得た。
【0049】
調製B:
1−(4−{[4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−イル]カルボニル}フェニル)−3−[4−(4,6−ジモルホリン−4−イル−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル]尿素(52mg)を2mlのバイアルに秤量した。98:2v/v酢酸エチル:ジメチルホルムアミド(0.5ml)中のL−乳酸の22mg/ml溶液をバイアルに添加した。スラリーを、5℃/分の速度で60℃に加熱し、60℃で20分間保持し、次いで、0.1℃/分で5℃に冷却し、この温度で、スラリーが単離されるまで(加熱ステップの開始後24時間)保持した。スラリーを0.2μmのナイロン遠心分離フィルターに通して濾過して、結晶性の表題化合物を単離した。
【0050】
生成物を、Bruker D4回折計および銅Kα線を使用するPXRD(以下の「調査7」を参照)によって分析し、
図1において示されているものと一致するパターンを得た。
【0051】
下記の調査を本発明に関して行った。
【0052】
調査
1.種々の酸を用いる1−(4−{[4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−イル]カルボニル}フェニル)−3−[4−(4,6−ジモルホリン−4−イル−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル]尿素の3mg/mlの水性製剤に関する調査
手順
約6.8モル当量の各酸(指示されている場合を除く)を使用するために、9つの個々の酸性緩衝溶液を次の通りに調製した:
【0053】
【表2-1】
【0054】
【表2-2】
【0055】
安定性試験は、上記で調製した各酸緩衝液につき、1−(4−{[4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−イル]カルボニル}フェニル)−3−[4−(4,6−ジモルホリン−4−イル−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル]尿素の約3mg/mlの試料3つを使用して行った。これらの試料は、15.45mg(97.1%API活性による)という標的重量の1−(4−{[4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−イル]カルボニル}フェニル)−3−[4−(4,6−ジモルホリン−4−イル−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル]尿素を使用し、必要とされる分量を各バイアルに次の通りに秤量することによって調製した:
【0056】
【表3】
【0057】
5mLのそれぞれの緩衝液を、バイアル中の秤量した試料に導入し、バイアルをそれぞれ圧着したキャップによって閉鎖し、次いで、保護フィルムで密閉した。バイアルを、25℃のオーブン内、ローラーベッド上に5日間置いた。
【0058】
結果
5日間の期間の終わりに、各試料のpHを測定し、各試料の目視観察を、ヨーロッパ薬局方2.9.20(上記)において記述されている通り、ライトボックスを使用して行い、黒色および白色背景に対して試料を検査した。試料を、狭い(Tyndall)ビーム光源を使用する照明によっても試験し、次いで、溶解されていない固体粒子を同定するために、光ビームに垂直の方向から目視検査した。
【0059】
6つのバイアルは、実験の経過中にローラーから落ちたことが分かり、それらのバイアルが実際に回転していた正確な時間は不明であることを意味している。これらの試料には、以下の「pH結果」および「目視観察」の表においてアスタリスク(*)が付けられている。
【0060】
【表4】
【0061】
【表5】
【0062】
結論
結果は、1−(4−{[4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−イル]カルボニル}フェニル)−3−[4−(4,6−ジモルホリン−4−イル−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル]尿素およびDL−乳酸を含有する3mg/mlの試料が、25℃で5日後に透明な溶液を実現したことを示す。1つを除き他のすべての試料(オルトリン酸−N=2つの試料)は、透明な溶液を実現することができなかった。そのため、DL−乳酸およびオルトリン酸以外の酸は、必要とされるAPI(医薬品有効成分)濃度での患者への静脈内投与のための医薬水溶液製剤の調製に適切ではないであろう。
【0063】
2.種々の酸を用いる1−(4−{[4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−イル]カルボニル}フェニル)−3−[4−(4,6−ジモルホリン−4−イル−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル]尿素の3mg/mlおよび4mg/mlの水性製剤に関する調査
手順
(a)3mg/mlの製剤において、約6.8モル当量のそれぞれの酸を使用するために、4つの個々の酸性緩衝溶液を次の通りに調製した:
【0064】
【表6】
【0065】
安定性試験は、上記で調製した各酸緩衝液につき、1−(4−{[4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−イル]カルボニル}フェニル)−3−[4−(4,6−ジモルホリン−4−イル−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル]尿素の約3mg/mlの試料3つを使用して行った。これらの試料は、15.45mg(97.1%API活性による)という標的重量の1−(4−{[4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−イル]カルボニル}フェニル)−3−[4−(4,6−ジモルホリン−4−イル−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル]尿素を使用し、必要とされる分量を各バイアルに次の通りに秤量することによって調製した:
【0066】
【表7】
【0067】
(b)4mg/mlの製剤において、約5.1モル当量のそれぞれの酸(指示されている場合を除く)を使用するために、個々の酸性緩衝溶液を次の通りに調製した:
【0068】
【表8-1】
【0069】
【表8-2】
【0070】
安定性試験は、上記で調製した各酸緩衝液につき、1−(4−{[4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−イル]カルボニル}フェニル)−3−[4−(4,6−ジモルホリン−4−イル−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル]尿素の約4mg/mlの試料3つを使用して行った。これらの試料は、20.60mg(97.1%API活性による)という標的重量の1−(4−{[4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−イル]カルボニル}フェニル)−3−[4−(4,6−ジモルホリン−4−イル−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル]尿素を使用し、必要とされる分量を各バイアルに次の通りに秤量することによって調製した:
【0071】
【表9】
【0072】
上記の(a)および(b)両方の製剤について、5mLのそれぞれの緩衝液を、バイアル中の秤量した試料に導入し、バイアルをそれぞれ圧着したキャップによって閉鎖し、保護フィルムで密閉した。バイアルを、25℃のオーブン内、ローラーベッド上に5日間置いた。
【0073】
結果
5日間の期間の終わりに、各試料のpHを測定し、各試料の目視観察を、ヨーロッパ薬局方2.9.20(上記)において記述されている通り、ライトボックスを使用して行い、黒色および白色背景に対して試料を検査した。試料を、狭い(Tyndall)ビーム光源を使用する照明によっても試験し、次いで、溶解されていない固体粒子を同定するために、光ビームに垂直の方向から目視検査した。
【0074】
25℃で5日後のpH
3mg/mL
【0075】
【表10】
【0076】
4mg/mL
【0077】
【表11】
【0078】
25℃で5日後の試料の目視観察
3mg/mL
【0079】
【表12】
【0080】
4mg/mL
【0081】
【表13】
【0082】
結論
結果は、1−(4−{[4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−イル]カルボニル}フェニル)−3−[4−(4,6−ジモルホリン−4−イル−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル]尿素およびD−乳酸、L−乳酸またはDL−乳酸を含有する3mg/mlおよび4mg/mlの試料が、25℃で5日後に透明な溶液を実現したことを示す。
【0083】
結果は、1−(4−{[4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−イル]カルボニル}フェニル)−3−[4−(4,6−ジモルホリン−4−イル−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル]尿素およびオルトリン酸を含有する3mg/mlの試料も、25℃で5日後に透明な溶液を実現したことを示す。
【0084】
他のすべての試料は、透明な溶液を実現することができなかったため、DL−乳酸、D−乳酸、L−乳酸およびオルトリン酸以外の酸は、必要とされるAPI濃度での患者への静脈内投与のための医薬水溶液製剤の調製に適切ではないであろう。
【0085】
3.様々なpHおよび濃度のDL−乳酸を用いる1−(4−{[4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−イル]カルボニル}フェニル)−3−[4−(4,6−ジモルホリン−4−イル−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル]尿素の水性製剤に関する調査
手順
(a)1−(4−{[4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−イル]カルボニル}フェニル)−3−[4−(4,6−ジモルホリン−4−イル−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル]尿素の3mg/ml、5mg/ml、5.5mg/ml、6mg/mlおよび6.5mg/mlの製剤の調製において使用するための緩衝溶液は、下記の計算に従って調製した(WFI=灌注用水)(
*90%W/W水中DL−乳酸)。
・ 10mLスケールにおける0.9モル当量での3mg/mLは、10mLのWFI中4.39mgのDL−乳酸
*に等しい。(1)
・ 10mLスケールにおける2.25モル当量での3mg/mLは、10mLのWFI中10.98mgのDL−乳酸
*に等しい。(2)
・ 10mLスケールにおける3.7モル当量での3mg/mLは、10mLのWFI中17.99mgのDL−乳酸
*に等しい。(3)
・ 10mLスケールにおける0.9モル当量での5mg/mLは、10mLのWFI中7.32mgのDL−乳酸
*に等しい。(4)
・ 10mLスケールにおける2.25モル当量での5mg/mLは、10mLのWFI中18.29mgのDL−乳酸
*に等しい。(5)
・ 10mLスケールにおける3.7モル当量での5mg/mLは、10mLのWFI中30mgのDL−乳酸
*に等しい。(6)
・ 10mLスケールにおける7.2モル当量での5mg/mLは、10mLのWFI中58.54mgのDL−乳酸
*に等しい。(7)
・ 10mLスケールにおける10.8モル当量での5mg/mLは、10mLのWFI中87.80mgのDL−乳酸
*に等しい。(8)
・ 10mLスケールにおける2.25モル当量での5.5mg/mLは、10mLのWFI中20.12mgのDL−乳酸
*に等しい。(9)
・ 10mLスケールにおける3.7モル当量での5.5mg/mLは、10mLのWFI中33mgのDL−乳酸
*に等しい。(10)
・ 10mLスケールにおける10.8モル当量での5.5mg/mLは、10mLのWFI中96.58mgのDL−乳酸
*に等しい。(11)
・ 10mLスケールにおける3.7モル当量での6mg/mLは、10mLのWFI中36mgのDL−乳酸
*に等しい。(12)
・ 20mLスケールにおける3.7モル当量での6mg/mLは、20mLのWFI中72mgのDL−乳酸
*に等しい。(14)
・ 10mLスケールにおける3.7モル当量での6.5mg/mLは、10mLのWFI中39mgのDL−乳酸
*に等しい。(13)
・ 20mLスケールにおける3.7モル当量での6.5mg/mLは、10mLのWFI中78mgのDL−乳酸
*に等しい。(15)
【0086】
緩衝溶液は、10ml(
*以下の表において指示されている場合には20ml)のメスフラスコ中WFIを使用し、下記のDL−乳酸重量(
**90%W/W水中DL−乳酸)を使用して調製する:
【0087】
【表14】
【0088】
(b)下記の分量の1−(4−{[4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−イル]カルボニル}フェニル)−3−[4−(4,6−ジモルホリン−4−イル−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル]尿素を、バイアルに秤量した(注意:1−(4−{[4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−イル]カルボニル}フェニル)−3−[4−(4,6−ジモルホリン−4−イル−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル]尿素は97.1%の活性を有し、これを下回る標的重量はこの活性に対して補正した)。
【0089】
【表15】
【0090】
5mLの対応するDL−乳酸緩衝液を、バイアル中のAPIに添加し、次いで、各バイアルを、圧着したキャップで閉鎖し、保護フィルムを使用して密閉した。
【0091】
試料1〜11を、室温および50rpmのローラーベッド上に約21.5時間置いた。
【0092】
試料12および13を、室温および50rpmのローラーベッド上に約23時間置いた。
【0093】
試料14および15を、室温および50rpmのローラーベッド上に約25時間置いた。
【0094】
約21.5/23/25時間の期間後の結果
指定された回転期間の終わりに、各試料のpHを測定し、各試料の目視観察を、ヨーロッパ薬局方2.9.20(上記)において記述されている通り、ライトボックスを使用して行い、黒色および白色背景に対して試料を検査した。試料を、狭い(Tyndall)ビーム光源を使用する照明によっても試験し、次いで、溶解されていない固体粒子を同定するために、光ビームに垂直の方向から目視検査した。
pH
【0095】
【表16】
視覚的評価
【0096】
【表17】
【0097】
下記の観察が為された:
・ 試料7、8および11は、ローラーベッド上に置いて2時間以内に溶液になったようであった。
・ 試料6は、ローラーベッド上に置いて4時間以内に溶液になったようであった。
・ 試料3および10は、ローラーベッド上に置いて20時間以内に溶液になったようであった。
【0098】
結論
約24時間の期間後、透明な溶液を実現するためには、1−(4−{[4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−イル]カルボニル}フェニル)−3−[4−(4,6−ジモルホリン−4−イル−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル]尿素の溶液濃度は6mg/ml未満でなくてはならず、2.5モル当量を超えるDL−乳酸が製剤において使用されなくてはならないと結論付けることができる。しかしながら、試料14および15についての上記の結果は、それぞれ3.6および3.7モル当量のDL−乳酸を用いて、6mg/mlおよび6.5mg/ml両方の1−(4−{[4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−イル]カルボニル}フェニル)−3−[4−(4,6−ジモルホリン−4−イル−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル]尿素の溶液濃度で透明な溶液が実現可能であることを示している。試料14および15についてのこれらの結果は、試料12および13についての結果と比較すると、透明および不透明な溶液の両方が生じ得る準安定領域がおそらく存在するという事実を反映している。
【0099】
72時間の期間後の結果
約21.5時間の上記の回転期間後、試料1〜11を、さらなる時間にわたって回転させることなく室温で貯蔵して、約72時間の全実験期間を提供した。いくつかの試料は、全72時間の期間の終わりに溶液になったことが観察され、これは、初期の約21.5時間の回転期間後には溶解していなかった。
【0100】
上記の約25時間の回転期間後、試料14および15を、さらなる時間にわたって室温で回転させながら貯蔵して、約73時間の全実験期間を提供した。
【0101】
これらの試料を、ヨーロッパ薬局方2.9.20(上記)において記述されている通り、ライトボックスを使用して視覚的に評価し、黒色および白色背景に対して試料を検査した。試料を、狭い(Tyndall)ビーム光源を使用する照明によっても試験し、次いで、溶解されていない固体粒子を同定するために、光ビームに垂直の方向から目視検査した。pHも測定した。結果は次の通りであった:
(i)72時間後の視覚的評価
【0102】
【表18】
(ii)約24時間および72時間の期間後のpH結果および視覚的評価の比較
【0103】
【表19-1】
【0104】
【表19-2】
【0105】
結論
全72時間の実験期間後、少なくとも2.3モル当量のDL−乳酸が製剤において使用される場合、1−(4−{[4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−イル]カルボニル}フェニル)−3−[4−(4,6−ジモルホリン−4−イル−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル]尿素の5および5.5mg/mlの溶液濃度を使用して、透明な溶液が実現可能であると結論付けることができる。透明な溶液は、2.5モル当量超のDL−乳酸が製剤において使用される場合、1−(4−{[4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−イル]カルボニル}フェニル)−3−[4−(4,6−ジモルホリン−4−イル−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル]尿素の3mg/mlの溶液濃度を使用しても実現可能である。試料14および15についての上記の結果は、それぞれ3.6および3.7モル当量のDL−乳酸を用いて、6mg/mlおよび6.5mg/ml両方の1−(4−{[4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−イル]カルボニル}フェニル)−3−[4−(4,6−ジモルホリン−4−イル−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル]尿素の溶液濃度で透明な溶液が実現可能であることを示している。試料14および15についてのこれらの結果は、試料12および13についての結果と比較すると、透明および不透明な溶液の両方が生じ得る準安定領域がおそらく存在するという事実を反映している。
【0106】
4. 6.8モル当量のオルトリン酸を用いる1−(4−{[4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−イル]カルボニル}フェニル)−3−[4−(4,6−ジモルホリン−4−イル−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル]尿素の3mg/mlの水性製剤に関する調査
手順
約33.3mMのオルトリン酸水溶液を、次の通りに調製した。0.32569gのオルトリン酸を約80mLの灌注用水に分注した。これを、灌注用水を使用して、メスフラスコ中100mL体積にし、pHを1.92として記録した。
【0107】
3mg/mL濃度の1−(4−{[4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−イル]カルボニル}フェニル)−3−[4−(4,6−ジモルホリン−4−イル−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル]尿素が望ましく、これは、97.1%の薬効を考慮しなくてはならなかった。
【0108】
10mLのスケールが確定し、したがって、1−(4−{[4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−イル]カルボニル}フェニル)−3−[4−(4,6−ジモルホリン−4−イル−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル]尿素の標的重量は30.9mgであった。APIの3つの試料は、各20mLのバイアル中、下記の重量を使用して調製した:
【0109】
【表20】
【0110】
上記で調製した10mLのオルトリン酸緩衝液を、エアーディスプレイスメントピペットを使用して各バイアルに分注した。バイアルを、圧着したキャップでそれぞれ閉鎖し、保護フィルムで密閉した。
【0111】
試料を、室温のローラーベッド上に約19時間置いた。
【0112】
これらの試料を、ヨーロッパ薬局方2.9.20(上記)において記述されている通り、ライトボックスを使用して視覚的に評価し、黒色および白色背景に対して試料を検査した。試料を、狭い(Tyndall)ビーム光源を使用する照明によっても試験し、次いで、溶解されていない固体粒子を同定するために、光ビームに垂直の方向から目視検査した。pHも測定した。結果は次の通りであった:
【0113】
【表21】
【0114】
希釈
透明で粒子のない溶液が上記の方法によって取得されたが、各試料のpHは、3から4.5までのpHが好ましい静脈内投与に好ましいとするには低すぎる。
【0115】
したがって、3つの試料を、それぞれ0.5mg/mL、0.1mg/mLおよび0.05mg/mLに希釈して、pHが静脈内投与に適切なpHまで増大するか否か同定した。希釈した試料を、平衡に到達するためにローラーベッド上に終夜置いた。pHも測定した。試料のpHは、次の通りであった:
0.5mg/mL
【0116】
【表22】
0.1mg/mL
【0117】
【表23】
0.05mg/mL
【0118】
【表24】
【0119】
試料のそれぞれを、ヨーロッパ薬局方2.9.20(上記)において記述されている通り、ライトボックスを使用して視覚的に評価し、黒色および白色背景に対して試料を検査した。試料を、狭い(Tyndall)ビーム光源を使用する照明によっても試験し、次いで、溶解されていない固体粒子を同定するために、光ビームに垂直の方向から目視検査した。各試料は、視覚的に透明な溶液であることが観察された。
【0120】
結論
結果は、6.8モル当量のオルトリン酸を用いて1−(4−{[4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−イル]カルボニル}フェニル)−3−[4−(4,6−ジモルホリン−4−イル−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル]尿素の透明で粒子のない3mg/mlの水溶液製剤を製剤化することが可能であることを示す。しかしながら、この製剤またはその再構成した製剤のpHは、静脈内投与には適切でなく、したがって、静脈内投与に適切な溶液pHを実現するためには、その後0.5mg/mL未満に希釈しなくてはならないであろう。
【0121】
これらの結果を、上記の乳酸製剤について取得された結果と比較すると、実現可能なpHおよび1−(4−{[4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−イル]カルボニル}フェニル)−3−[4−(4,6−ジモルホリン−4−イル−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル]尿素濃度は、オルトリン酸を使用した場合よりも低い。したがって、乳酸は、概して、オルトリン酸よりも、本発明による1−(4−{[4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−イル]カルボニル}フェニル)−3−[4−(4,6−ジモルホリン−4−イル−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル]尿素の静脈内投与のための水溶液製剤の調製に適切である。
【0122】
5.酢酸を用いる1−(4−{[4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−イル]カルボニル}フェニル)−3−[4−(4,6−ジモルホリン−4−イル−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル]尿素の3mg/ml、4mg/mlおよび5mg/mlの水性製剤に関する調査
手順
33.3mMの酢酸溶液を調製するために、0.2071gの氷酢酸を250mLのガラスビーカーに分注し、およそ80mLのWFI(灌注用水)を添加した。
【0123】
0.0138gの酢酸ナトリウム三水和物を添加し、溶液に溶解した。溶液を、WFIを使用して、メスフラスコ中100mL体積にし、pHを3.35として記録した。
【0124】
3つの濃度のAPI(3、4および5mg/mL)が望ましく、これらは97.1%のAPI効能を考慮して補正しなくてはならなかった。API重量は、下記の計算に従って決定した。
・ 30mg活性は、30.9mgの1−(4−{[4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−イル]カルボニル}フェニル)−3−[4−(4,6−ジモルホリン−4−イル−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル]尿素である
・ 40mg活性は、41.2mgの1−(4−{[4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−イル]カルボニル}フェニル)−3−[4−(4,6−ジモルホリン−4−イル−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル]尿素である
・ 50mg活性は、51.49mgの1−(4−{[4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−イル]カルボニル}フェニル)−3−[4−(4,6−ジモルホリン−4−イル−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル]尿素である
【0125】
下記の重量を、20mLのガラスバイアルに分注した:
【0126】
【表25】
【0127】
上記で調製した10mLの酢酸緩衝液を、秤量した試料のそれぞれに導入した。バイアルを、圧着したキャップでそれぞれ閉鎖し、保護フィルムで密閉した。
【0128】
試料を、室温のローラーベッド上に置き、ヨーロッパ薬局方2.9.20(上記)において記述されている通り、ライトボックスを使用して視覚的に評価し、黒色および白色背景に対して試料を検査した。試料を、狭い(Tyndall)ビーム光源を使用する照明によっても試験し、次いで、溶解されていない固体粒子を同定するために、光ビームに垂直の方向から目視検査した。視覚的分析は、24時間、48時間、72時間および6日間の期間で行った。
【0129】
結果
これらの24時間、48時間、72時間および6日間の期間のいずれの後にも、試料は透明な溶液を実現しなかった。
【0130】
試料のpHを、次の通りに評価した:
(a)48時間後にpH確認
緩衝液初期pH=3.35
(i)3mg/mLの試料に関して
【0131】
【表26】
(ii)4mg/mLの試料に関して
【0132】
【表27】
(iii)5mg/mLの試料に関して
【0133】
【表28】
(b)6日後にpH確認
(i)3mg/mLの試料に関して
【0134】
【表29】
(ii)4mg/mLの試料に関して
【0135】
【表30】
(iii)5mg/mLの試料に関して
【0136】
【表31】
【0137】
結論
結果は、3、4および5mg/mlの濃度において、1−(4−{[4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−イル]カルボニル}フェニル)−3−[4−(4,6−ジモルホリン−4−イル−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル]尿素が、33.3mMの酢酸を使用して透明な溶液を生成しないことを示す。使用した3mg/mlの水性製剤は、約6.8モル当量の酢酸を含有していた。使用した4mg/mlの水性製剤は、約5.1モル当量の酢酸を含有していた。使用した5mg/mlの水性製剤は、約4.1モル当量の酢酸を含有していた。
【0138】
6.オルトリン酸を用いる1−(4−{[4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−イル]カルボニル}フェニル)−3−[4−(4,6−ジモルホリン−4−イル−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル]尿素の3および3.5mg/mlの水性製剤に関する調査
33.3mMのオルトリン酸水溶液を、次の通りに調製した。0.32767gのオルトリン酸を約75mLの灌注用水に分注した。これを、メスフラスコ中、灌注用水を使用して100mL体積にし、pHを1.94として記録した。
【0139】
1−(4−{[4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−イル]カルボニル}フェニル)−3−[4−(4,6−ジモルホリン−4−イル−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル]尿素の3および3.5mg/mLの製剤が望ましく、これは、97.1%の薬効を考慮しなくてはならなかった。
【0140】
使用した3mg/mlの水性製剤は、約6.8モル当量のオルトリン酸を含有していた。使用した3.5mg/mlの水性製剤は、約5.9モル当量のオルトリン酸を含有していた。
【0141】
5mLのスケールが確定し、したがって、1−(4−{[4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−イル]カルボニル}フェニル)−3−[4−(4,6−ジモルホリン−4−イル−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル]尿素の標的重量は、3mg/mLの製剤については15.5mg、3.5mg/mLの製剤については18.0mgであった。3つの試料を、各製剤について、各20mLのバイアル中、下記の重量を使用して調製した:
【0142】
【表32】
【0143】
上記で調製した5mLのオルトリン酸緩衝液を、エアーディスプレイスメントピペットを使用して各バイアルに分注した。バイアルを、圧着したキャップでそれぞれ閉鎖し、保護フィルムで密閉した。
【0144】
試料を、室温のローラーベッド上に15時間置いた。
【0145】
これらの試料を、ヨーロッパ薬局方2.9.20(上記)において記述されている通り、ライトボックスを使用して視覚的に評価し、黒色および白色背景に対して試料を検査した。試料を、狭い(Tyndall)ビーム光源を使用する照明によっても試験し、次いで、溶解されていない固体粒子を同定するために、光ビームに垂直の方向から目視検査した。すべての溶液は、視覚的に透明であることが観察された。pHも測定した。
【0146】
結果は次の通りであった(注意:33.3mMのオルトリン酸の新しいpHは、pH=1.94であった)。
3mg/mL
【0147】
【表33】
3.5mg/mL
【0148】
【表34】
【0149】
結論
結果は、5.9モル当量のオルトリン酸を用いて1−(4−{[4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−イル]カルボニル}フェニル)−3−[4−(4,6−ジモルホリン−4−イル−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル]尿素の透明で粒子のない3.0または3.5mg/mLの水溶液製剤を製剤化することが可能であることを示す。
【0150】
しかしながら、pH読み取りは、これらの製剤の直接静脈内または非経口投与を可能にするのに適切なpHを提供するためには、希釈が必要とされるであろうことを実証している。
【0151】
これらの結果を、上記の乳酸製剤について取得された結果と比較すると、実現可能なpHおよび1−(4−{[4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−イル]カルボニル}フェニル)−3−[4−(4,6−ジモルホリン−4−イル−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル]尿素濃度は、オルトリン酸を使用した場合よりも低い。したがって、乳酸は、静脈内または非経口投与に適切な、1−(4−{[4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−イル]カルボニル}フェニル)−3−[4−(4,6−ジモルホリン−4−イル−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル]尿素の透明で粒子のない水溶液製剤の調製に好ましい。
【0152】
7. 1−(4−{[4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−イル]カルボニル}フェニル)−3−[4−(4,6−ジモルホリン−4−イル−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル]尿素L−乳酸塩の結晶性形態の特徴付け
PXRD分析
粉末X線回折(PXRD:powder X−ray diffraction)分析は、銅放射線(波長:1.5406Å)を使用するBruker D4(商標)回折計で行った。管電圧およびアンペア数を、それぞれ35kVおよび40mAに設定した。使用した発散スリットはv6であり、散乱スリットは0.499mmに設定した。可変受光スリットを使用した。回折された放射線は、Vantec検出器によって検出した。2.0から55°2θまでの5.4°/分(0.2秒/0.018°ステップ)におけるθ−2θ連続走査を使用した。コランダム標準を分析して、機器配列を確認した。データを収集し、Bruker AXSソフトウェアを使用して分析した。試料は、それらをシリコンウェハ上に置くことによって調製した。DIFFRAC.EVA V3.1ソフトウェアを使用して、PXRDスペクトルを視覚化し、評価した。PXRDデータファイル(.raw)は、ピーク探索前には処理しなかった。概して、1.3の閾値および0.3の幅値を使用して、予備的ピーク割り当てをした。自動割り当ての出力を視覚的に確認して、必要に応じて手動で為された妥当性および調整を確実にした。加えて、適切ならば、ピークをスペクトル内に手動で割り当てた。マウンティングメディウムに関係する28.1°(2θ)におけるピークを、手動でリストから除去した。
【0153】
本明細書において報告されている測定に使用されるBruker機器でのブラッグ−ブレンターノ型幾何学を使用するX線回折測定を実施するために、試料を、典型的には、フラットシリコンプレートに置く。試料粉末をスライドガラスまたは同等物によって圧迫して、ランダム面および適正な試料高さを確実にする。次いで、試料ホルダーを機器に入れる。入射X線ビームを、最初にホルダーの平面に対して小角度で試料に向け、次いで、入射ビームとホルダーの平面との間の角度を連続的に増大させる円弧を介して移動させる。そのようなX線粉末分析に関連する測定差異は、(a)試料調製における誤差(例えば、試料高さ)、(b)機器誤差(例えば、フラット試料誤差)、(c)較正誤差、(d)オペレータ誤差(ピーク場所を決定する際に存在する誤差を含む)、および(e)材料の性質(例えば、好ましい配向および透明度誤差)を含む様々な要因により生じる。較正誤差および試料高さ誤差は、多くの場合、同じ方向へのすべてのピークのシフトをもたらす。フラットホルダーを使用する際の試料高さにおける小さな差異は、PXRDピーク位置における大きな変位につながることになる。系統的な研究は、典型的なブラッグ−ブレンターノ型配置において株式会社島津製作所XRD−6000を使用して、1mmの試料高さ差異が1°(2θ)の高さのピークシフトにつながることを示した(Chenら、J Pharmaceutical and Biomedical Analysis、2001;26,63)。これらのシフトは、X線回折図形から同定することができ、シフトを補償する(系統的な補正因子をすべてのピーク位置値に適用する)または機器を再較正することによって解消することができる。上記で言及した通り、系統的な補正因子を適用してピーク位置を一致させることにより、種々のマシンからの測定値を矯正することが可能である。概して、この補正因子は、Brukerにより測定されたピーク位置を予測されるピーク位置と一致させることになり、0から0.2°(2θ)までの範囲内であってよい。
【0154】
実施例4、調製Aの1−(4−{[4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−イル]カルボニル}フェニル)−3−[4−(4,6−ジモルホリン−4−イル−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル]尿素L−乳酸塩の結晶性形態のPXRDパターンを
図1に提供し、銅Kα(CuKα)線を用いてBruker D4回折計で測定された通りの°(2θ)(+/−0.2°(2θ))および(2.5%以上の)相対強度の観点から表現される下記のピーク一覧によって特徴付ける:
【0155】
【表35】
【0156】
1−(4−{[4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−イル]カルボニル}フェニル)−3−[4−(4,6−ジモルホリン−4−イル−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル]尿素L−乳酸塩のこの結晶性形態は、約6.5、15.9、20.9、22.1および23.1°(2θ)(+/−0.2°(2θ))において特徴的なピークを有することにより、この塩の他の公知の(半結晶性)形態から区別される。
【0157】
7.本発明の凍結乾燥固体製剤の化学的安定性
50mLの透明バイアル中の、実施例2の方法に従って調製した凍結乾燥固体製剤の試料を、25℃/60%相対湿度(RH)および40℃/75%RHで貯蔵後の化学分解について、様々な異なる時点において分析した。数種の試料を各条件について評価して、選択された時点における代表的結果を可能にした。
【0158】
40℃/75%RHの試料を6カ月後に試験した。
【0159】
25℃/60%RHの試料を、6カ月、12カ月、24カ月および36カ月後に試験した。
【0160】
試験期間中のあらゆる分解を測定するために、下記の方法論を使用する高速液体クロマトグラフィー(HPLC:High Performance Liquid Chromatography)を使用して、試料を化学的純度について試験した。
【0161】
HPLC方法
HPLC方法において使用するための溶液、試料および標準は、以下の通りに調製する:
・ 参照標準:公知の効能値を持つ1−(4−{[4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−イル]カルボニル}フェニル)−3−[4−(4,6−ジモルホリン−4−イル−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル]尿素。
・ 希釈剤:アセトニトリル/水(1:1v/v)。
・ 移動相A:水酸化アンモニウム水溶液でpHが9.8に調整された10mM重炭酸アンモニウム緩衝溶液
・ 移動相B:アセトニトリル
・ 試料溶媒:3mLの0.1N塩酸水溶液を1000mLのメスフラスコに添加し、希釈剤(アセトニトリル/水、1:1v/v)を用いて設定された体積に希釈する。よく混合する。
注記:より大きいまたはより小さい体積の溶液は、適切な比の成分を使用して調製され得る。
【0162】
標準およびチェック標準調製物:
・ 試料溶媒中の約2mg/mL(+/−10%)の1−(4−{[4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−イル]カルボニル}フェニル)−3−[4−(4,6−ジモルホリン−4−イル−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル]尿素参照標準の2つの溶液を正確に調製し、両方の濃度を正確に記録する。これらが標準およびチェック標準溶液である。希釈剤を使用して、これらの溶液を2マイクログラム/mL前後の1−(4−{[4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−イル]カルボニル}フェニル)−3−[4−(4,6−ジモルホリン−4−イル−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル]尿素の濃度に正確に希釈することにより、標準およびチェック標準調製物を生成する。
【0163】
感受性溶液:
・ 希釈剤を使用し、標準調製物を、およそ0.06マイクログラム/mLの1−(4−{[4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−イル]カルボニル}フェニル)−3−[4−(4,6−ジモルホリン−4−イル−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル]尿素の濃度に正確に希釈する。
【0164】
試料調製:
・ 2つの凍結乾燥固体製剤バイアルの1−(4−{[4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−イル]カルボニル}フェニル)−3−[4−(4,6−ジモルホリン−4−イル−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル]尿素(実施例2の方法に従って調製したもの)は、各バイアルに20mLの水を添加し、バイアルを振とうして固体を溶解し、泡が消失するまで待つことによって、再構成する。溶液を1000mLのメスフラスコに移す。各バイアルを希釈剤で少なくとも2回すすぎ、洗液をメスフラスコに移す。希釈剤を用いて設定された体積に希釈する。
【0165】
クロマトグラフィー条件:
・ 液体クロマトグラフィーシステム−例えば、Waters2695(商標)またはAgilent1100(商標)マシン
・ カラム:Waters Xbridge C18(商標)、15cm×4.6mm、3.5μmまたは同等物
・ カラム温度:40℃
・ 注入体積:20μL
・ 流速:1.0mL/分
・ 検出:303nmのUV
・ 実行時間:60分
・ 移動相A
・ 移動相B
・ 線形勾配表:
【0166】
【表36】
【0167】
注釈
安定なベースラインが取得されるまで移動相Bをカラムに送り込むことにより、HPLCマシンを準備する(これには通常30分前後かかる)。
【0168】
注入シーケンスを実行する前に、移動相Aでクロマトグラフィーシステムを再平衡化する(通常10〜15分)。
【0169】
試料を実行する前に、上記のクロマトグラフィー条件を使用して、システムが、ブランク希釈剤、感受性溶液および標準調製物を注入することによって使用するために適切であることを確実にする。
【0170】
初期HPLC設定時、またはシステムに対する何らかの重大な変更後には、下記の基準を満足しなければならない。システム適合性を試験する前に、少なくとも1つのコンディショニングブランクを注入することが推奨される。
【0171】
【表37】
【0172】
上記のクロマトグラフィー条件に従って、チェック標準調製物を注入する。このチェック標準調製物の応答係数(標準の面積、標準重量、希釈係数および純度係数から算出したもの)は、標準調製物の±5%以内でなくてはならない。
【0173】
システム適合性が実証された後、ブランク溶液、標準調製物および調製された試験試料を注入し、続いて、上記のクロマトグラフィー条件に従って、標準調製物を注入する。標準調製物注入間に6つ以下の試験試料を注入することが推奨される。各注入(標準および試料)について、各クロマトグラムにおける1−(4−{[4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−イル]カルボニル}フェニル)−3−[4−(4,6−ジモルホリン−4−イル−1,3,5−トリアジン−2−イル)フェニル]尿素ピークの保持時間および面積を測定する。各試料注入について、ブランク注入では現れない、試料注入において存在するあらゆるピークの保持時間およびピーク面積も測定する。勾配アーチファクトが存在しても統合しない。ブランク注入クロマトグラムを試料クロマトグラムと比較して、試料中のどのピークがブランクおよび勾配アーチファクトのピークと関係しているかを決定する。%分解物を算出し、0.05%以上の個々の分解物ピークを報告する。未知の分解物は、それらの相対保持時間で個々に報告すべきである。公知の分解物は、名称で個々に報告すべきである。
【0174】
結果を以下の表にまとめる。
【0175】
略語一覧
・ NMT=以下
・ NR=報告されず
・ RRT=相対保持時間
・ すべての%はw/wである
分解物1
【0176】
【化2】
分解物2
【0177】
【化3】
分解物3、4、5および6
これらはそれぞれ、RRTのみによって特徴付けられた。
【0178】
【表38】
【0179】
【表39】
【0180】
結論
結果は、50mLの透明バイアル中の、実施例2の方法に従って調製した凍結乾燥固体製剤の試料が、25℃/60%RHでは少なくとも36カ月、40℃/75%RHでは少なくとも6カ月にわたって化学的に安定であることを示す。