特許第6420899号(P6420899)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6420899
(24)【登録日】2018年10月19日
(45)【発行日】2018年11月7日
(54)【発明の名称】分光センサおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/65 20060101AFI20181029BHJP
   G01N 21/41 20060101ALI20181029BHJP
   G01N 33/543 20060101ALI20181029BHJP
   B82Y 30/00 20110101ALI20181029BHJP
   B82Y 40/00 20110101ALI20181029BHJP
   G01N 21/64 20060101ALI20181029BHJP
【FI】
   G01N21/65
   G01N21/41 102
   G01N33/543 595
   B82Y30/00
   B82Y40/00
   G01N21/64 G
【請求項の数】23
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-505023(P2017-505023)
(86)(22)【出願日】2015年4月9日
(65)【公表番号】特表2017-517008(P2017-517008A)
(43)【公表日】2017年6月22日
(86)【国際出願番号】KR2015003569
(87)【国際公開番号】WO2015156617
(87)【国際公開日】20151015
【審査請求日】2016年11月24日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0042441
(32)【優先日】2014年4月9日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516303015
【氏名又は名称】プレクセンス インコーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Plexense,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム,キドク
【審査官】 嶋田 行志
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/185167(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0063613(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0058697(US,A1)
【文献】 国際公開第2010/073260(WO,A1)
【文献】 中国特許第102677212(CN,B)
【文献】 国際公開第2010/147442(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/134592(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/119589(WO,A1)
【文献】 特開2011−232149(JP,A)
【文献】 特開2012−238370(JP,A)
【文献】 特開2013−029370(JP,A)
【文献】 特開2013−047671(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0087138(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0217165(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0004967(US,A1)
【文献】 Large-Scale Synthesis of Flexible Free-Standing SERS Substrates with High Sensitivity: Electrospun PVA Nanofibers Embedded with Controlled Alignment of Silver Nanoparticles,ACS NANO,米国,American Chemical Society,2009年11月23日,Vol. 3, No. 12,pp. 3993-4002,doi: 10.1021/nn900812f
【文献】 Data Processing of Fiber Surface Plasmon Resonance Sensor System,Guangdian Goncheng,中国,2009年 7月,Vol. 36, No. 7,pp. 107-111,doi: 10.3969/j.issn.1003-501X.2009.07.020
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00−21/958
G01N 33/48−33/98
G01J 3/00− 3/52
B82Y 30/00
B82Y 40/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
ACS PUBLICATIONS
Science Direct
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性の複数の繊維を含む繊維層;および
前記複数の繊維の表面に形成された表面プラズモン活性層;を含み、
前記表面プラズモン活性層は、導電性ナノ粒子、および前記導電性ナノ粒子を前記複数の繊維の表面に固定する高分子バインダを含み、
前記導電性ナノ粒子および前記高分子バインダが前記複数の繊維の表面を均一に被覆する分光センサ。
【請求項2】
前記複数の繊維は、不織布構造、織布構造、束構造またはこれらの組み合わせを形成する、請求項1記載の分光センサ。
【請求項3】
前記導電性ナノ粒子が凝集構造を形成する、請求項記載の分光センサ。
【請求項4】
前記導電性ナノ粒子は、球形、ナノチューブ、ナノカラム、ナノロッド、ナノ気孔およびナノワイヤのうちのいずれか1つまたはこれらが組み合わされた形状を有する、請求項記載の分光センサ。
【請求項5】
前記導電性ナノ粒子は、炭素、黒鉛、準金属、金属、前記準金属または金属の導電性酸化物、または前記準金属または金属の導電性窒化物の粒子を含むか、絶縁性ビードに前記粒子が被覆されたコアシェル構造の粒子またはこれらの組み合わせを含む、請求項記載の分光センサ。
【請求項6】
前記準金属は、アンチモン(Sb)、ゲルマニウム(Ge)およびヒ素(As)のうちのいずれか1つまたはこれらの合金を含み、
前記金属は、純金属、遷移金属または後周期遷移金属であって、チタン(Ti)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、スカンジウム(Sc)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、インジウム(In)、スズ(Sn)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、ストロンチウム(Sr)、タングステン(W)、カドミウム(Cd)、タンタル(Ta)、またはこれらの合金を含み、前記導電性酸化物は、インジウムスズオキシド(ITO)、インジウム亜鉛オキシド(IZO)、アルミニウムドープ亜鉛酸化物(AZO)、ガリウムインジウム亜鉛酸化物(GIZO)、亜鉛酸化物(ZnO)またはこれらの混合物を含む、請求項記載の分光センサ。
【請求項7】
前記表面プラズモン活性層の厚さは10nm〜500nmの範囲に含まれていることを特徴とする、請求項1記載の分光センサ。
【請求項8】
前記複数の繊維は、天然繊維および合成繊維のうち一方または両方を含む、請求項1記載の分光センサ。
【請求項9】
前記繊維層の表面は、前記複数の繊維が突出して提供された無定形の表面プラズモン繊維突起を含む、請求項1記載の分光センサ。
【請求項10】
前記繊維層は、前記複数の繊維間の気孔を含む、請求項1記載の分光センサ。
【請求項11】
前記高分子バインダは、陽イオン性高分子または陰イオン性高分子を含む、請求項1記載の分光センサ。
【請求項12】
前記表面プラズモン活性層上には、分析されるターゲット物質との特異的結合が可能な固定物質をさらに含む、請求項1記載の分光センサ。
【請求項13】
前記固定物質は、低分子化合物、抗原、抗体、タンパク質、ペプチド、DNA(Deoxyribo Nucleic Acid)、RNA(Ribo Nucleic Acid)、PNA(Peptide Nucleic Acid)、酵素、酵素基質、ホルモン、ホルモン受容体、および官能基を含む合成試薬のうちのいずれか1つ、その模写物、またはこれらの組合せを含む、請求項12記載の分光センサ。
【請求項14】
前記分光センサは、表面増強ラマン分析(Surface―enhanced Raman Spectroscopy:SERS)、表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance:SPR)、局所表面プラズモン共鳴(Local Plasmaon Resonance:LSPR)、吸収率および蛍光のうち少なくとも1つのモードで使用される、請求項1記載の分光センサ。
【請求項15】
イオン性高分子バインダおよび導電性ナノ粒子を含む混合溶液を提供する過程;
前記混合溶液内に複数の繊維を浸漬させる過程;および
前記導電性ナノ粒子および前記イオン性高分子バインダが前記複数の繊維の表面を均一に被覆し、かつ、前記導電性ナノ粒子が前記イオン性高分子バインダにより前記複数の繊維の表面に固定されるように、前記複数の繊維が浸漬された前記混合溶液に電場を印加する過程;を含む、分光センサの製造方法。
【請求項16】
前記複数の繊維は、前記導電性ナノ粒子が被覆される前にまたはその後に繊維層構造を有し、
前記複数の繊維は、不織布、織造またはこれらの組み合わされた構造を形成する、請求項15記載の分光センサの製造方法。
【請求項17】
前記複数の繊維は、天然繊維および合成繊維のうち一方または両方を含む、請求項15記載の分光センサの製造方法。
【請求項18】
前記導電性ナノ粒子は、球形、ナノチューブ、ナノカラム、ナノロッド、ナノ気孔、およびナノワイヤのうちのいずれか1つまたはこれらが組み合わされた形状を有する、請求項15記載の分光センサの製造方法。
【請求項19】
前記導電性ナノ粒子は、炭素、黒鉛、準金属、金属、前記準金属または金属の導電性酸化物、または前記準金属または金属の導電性窒化物の粒子を含むか、絶縁性ビードに前記粒子が被覆されたコアシェル構造の粒子またはこれらの組合せを含む、請求項15記載の分光センサの製造方法。
【請求項20】
前記イオン性高分子バインダは、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(poly diallyldimethylammonium chloride)、ポリアリルアミンヒドロクロリド(poly allylamine hydrochloride)、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド(poly 4―vinylbenzyltrimethyl ammonium chloride)、およびポリエチレンイミン(polyethyleneimine)のうちのいずれか1つまたはこれらの混合物を含む陽イオン性高分子、または、ポリアクリル酸(poly acrylic acid)、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(poly sodium 4―styrene sulfonate)、ポリビニルスルホン酸(poly vinylsulfonic acid)、ポリナトリウム塩(poly sodium salt)、およびポリアミノ酸(poly amino acids)のうちのいずれか1つまたはこれらの混合物を含む陰イオン性高分子を含む、請求項15記載の分光センサの製造方法。
【請求項21】
前記電場は静電場または交流電場である、請求項15記載の分光センサの製造方法。
【請求項22】
前記電場はプラズマ放電によって生成される、請求項15記載の分光センサの製造方法。
【請求項23】
前記プラズマ放電のための気体は、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、窒素(N2)および空気のうちのいずれか1つまたはこれらの混合気体を含む、請求項22記載の分光センサの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分光センサに関し、より詳細には、表面プラズモン現象を用いて生物学的または非生物学的な対象物を分析するための分光センサおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多様な分野で標本に含まれた分析対象物質である標本を敏感かつ正確に検出するための多くの測定技術が提案・商用化されてきた。これらの測定技術のうち、ラマン分光法および/または表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance:SPR)は、分子単位の標本または試料を精密に測定することができ、化学および生物学的な分子特異度(specificity)の分析のために応用されている。
【0003】
前記ラマン分光法は、入射光が有形の媒質を通過しながら前記媒質内の特定光吸収分子を励起させて散乱されるとき、出力光で振動数偏移が発生する非弾性散乱現象であるラマン散乱に基づいた測定方法である。前記ラマン分光法は、前記ラマン散乱による出力光の前記振動数偏移から前記特定光吸収分子の振動エネルギーレベルを算出し、前記特定光吸収分子の振動エネルギーが前記分子の構造と結合強度に依存することから前記特定分子を検出する。
【0004】
前記ラマン分光法は、検出しようとする特定分子に固有に表れる振動数偏移によるものであるので、分子自体を正確に特定することはできるが、ラマン散乱された出力光の信号強度が非常に弱いので、実際の応用において制約を有している。前記ラマン散乱の弱い出力を実用的水準にまで増幅させ、検出効率と再現性を改善した表面増強ラマン分析法(Surface―enhanced Raman Spectroscopy:SERS)が提案された。前記表面増強ラマン分析法は、金属ナノ構造の周辺に特定分子が存在する場合、入射光であるラマンレーザーが金属ナノ構造の表面で表面プラズモン(Surface Plasmon)を発生させ、前記表面プラズモンが前記特定分子と相互作用することによって、前記特定分子のラマン信号を大きく増幅させる現象(これを表面プラズモン共鳴という)を用いる。
【0005】
前記表面増強ラマン分析法の正確性を向上させるために、前記金属ナノ構造の形状および/または種類に対する多様な研究が進められてきた。一般に、前記SERSのために金属ナノ構造として金属ナノ粒子が使用され、これらの粒子は、互いに孤立している各ナノアイランドよりは、互いに凝集された構造を有するときに10倍〜103倍ほど大きくラマン信号を増幅させると知られている。このような凝集されたナノ粒子の構造は、単純に所定の粗さを有する金属薄膜よりも104倍以上にラマン信号を増幅できるので好ましい。
【0006】
前記ナノ構造を製造する方法として、電子ビームリソグラフィ、集束イオンビーム、またはナノインプリントなどのナノパターニング技術が可能であるが、このような技術は、連続過程および多様な基板サイズに対応して収率を向上させるのに限界を有するだけでなく、過程間に機械的接触がある場合、ナノ構造に欠陥や汚染をもたらし得る。また、前記製造方法は、前記ナノ構造が形成される表面を提供する基材の多様な材質や種類に対応しにくいという問題を有する。例えば、前記電子ビームリソグラフィなどの技術の適用は、2次元的な平面構造を有する基材に限定されるので、複雑な3次元構造を有する基材上にナノ粒子構造を形成することは難しい。
【0007】
また、前記凝集されたナノ粒子の構造で高い増幅比のラマン散乱信号を得るためには、SERセンサの基材の表面上に凝集されたナノ粒子を均一に形成することが要求される。しかし、前記凝集されたナノ粒子を均一に形成することは、前記製造方法によって達成しにくいという問題を有する。他の製造方法として、連続的プロファイルを有する金属薄膜を蒸着し、これを熱処理することもできる。しかし、この場合、高密度で凝集されたナノ粒子の構造が形成されるよりは、孤立したナノアイランド構造が形成されやすいだけでなく、基板の材料もガラスなどの耐熱性材料に制限されるという問題を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明が解決しようとする技術的課題は、2次元的平面構造に限定されなく、3次元構造の複雑な構成を有しながら高密度でナノ構造が形成され、表面プラズモンに基づいた高信頼性の分光分析を行える分光センサを提供することにある。また、標本が採取される方法を多様化し、その適用対象を拡張できる分光センサを提供することにある。
【0009】
また、本発明が解決しようとする他の課題は、上述したように、3次元構造の複雑な構成を有し、フレキシブルな特性を有する基材に対して分析信号の増幅効果を向上させるために、基材上にナノ構造複合体を高密度で被覆できる分光センサの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記技術的課題を解決するための本発明の一実施例に係る分光センサは、可撓性の複数の繊維を含む繊維層、および前記複数の繊維の表面上に形成された表面プラズモン活性層を含んでいてもよい。
【0011】
前記複数の繊維は、不織布、織造、束またはこれらの組み合わされた構造を有していてもよい。
【0012】
前記表面プラズモン活性層は、導電性ナノ粒子、および前記導電性ナノ粒子を前記複数の繊維の表面上に固定する高分子バインダを含んでいてもよい。前記導電性ナノ粒子は、凝集された構造を有していてもよく、球形、ナノチューブ、ナノカラム、ナノロッド、ナノ気孔、およびナノワイヤのうちのいずれか1つまたはこれらが組み合わされた形状を有していてもよい。
【0013】
前記導電性ナノ粒子は、炭素、黒鉛、準金属、金属、前記準金属または金属の導電性酸化物、または前記準金属または金属の導電性窒化物の粒子を含むか、絶縁性ビードに前記粒子が被覆されたコアシェル構造の粒子またはこれらの組合せを含んでいてもよい。
【0014】
前記準金属は、アンチモン(Sb)、ゲルマニウム(Ge)およびヒ素(As)のうちのいずれか1つまたはこれらの合金を含み、前記金属は、純金属、遷移金属または後周期遷移金属であって、チタン(Ti)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、スカンジウム(Sc)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、インジウム(In)、スズ(Sn)、イットリウム (Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、ストロンチウム(Sr)、タングステン(W)、カドミウム(Cd)、タンタル(Ta)、またはこれらの合金を含み、前記導電性酸化物は、インジウムスズオキシド(ITO)、インジウム亜鉛オキシド(IZO)、アルミニウムドープ亜鉛酸化物(AZO)、ガリウムインジウム亜鉛酸化物(GIZO)、亜鉛酸化物(ZnO)またはこれらの混合物を含んでいてもよい。
【0015】
前記表面プラズモン活性層の厚さは10nm〜500nmの範囲内であり、前記複数の繊維は、天然繊維および合成繊維のうちのいずれか1つまたは全てを含んでいてもよい。
【0016】
前記繊維層の表面は、前記複数の繊維が突出して提供された無定形の表面プラズモン繊維突起を含み、前記繊維層は、前記複数の繊維間の気孔を含んでいてもよい。
【0017】
前記高分子バインダは、陽イオン性高分子または陰イオン性高分子を含んでいてもよい。
【0018】
また、前記表面プラズモン活性層上には、分析されるターゲット物質との特異的結合が可能な固定物質をさらに含んでいてもよい。前記固定物質は、低分子化合物、抗原、抗体、タンパク質、ペプチド、DNA(Deoxyribo Nucleic Acid)、RNA(Ribo Nucleic Acid)、PNA(Peptide Nucleic Acid)、酵素、酵素基質、ホルモン、ホルモン受容体、および官能基を含む合成試薬のうちのいずれか1つ、その模写物、またはこれらの組合せを含んでいてもよい。
【0019】
前記ターゲット物質は、アミノ酸、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、糖タンパク質、リポタンパク質、ヌクレオシド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、核酸、糖、炭水化物、オリゴ糖、多糖類、脂肪酸、脂質、ホルモン、代謝物質、サイトカイン、ケモカイン、受容体、神経伝達物質、抗原、アレルゲン、抗体、基質、代謝物、補助因子、阻害剤、薬物、薬剤、栄養素、プリオン、毒素、毒、爆薬、殺虫剤、化学的交戦剤、生物危険剤、バクテリア、ウイルス、放射性同位元素、ビタミン、複素環芳香族化合物、発癌性物質、突然変異原、麻薬、アンフェタミン、バルビツレート、幻覚剤、廃棄物および汚染物のうちのいずれか1つ以上であってもよい。
【0020】
前記分光センサは、表面増強ラマン分析(Surface―enhanced Raman Spectroscopy:SERS)、表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance:SPR)、局所表面プラズモン共鳴(Local Plasmaon Resonance:LSPR)、吸収率および/または蛍光モードで使用することができる。
【0021】
前記他の技術的課題を解決するための本発明の一実施例に係る分光センサの製造方法は、イオン性高分子バインダおよび導電性ナノ粒子を含む混合溶液を提供する過程と、前記混合溶液内に複数の繊維を浸漬させる過程と、前記導電性ナノ粒子が前記複数の繊維の表面に被覆されるように前記複数の繊維が浸漬された前記混合溶液に電場を印加する過程とを含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明の実施例に係る分光センサは、繊維層を構成する複数の繊維の表面上に表面プラズモン活性層が形成される。繊維の可撓性により、分光センサは、分析標本が存在する対象物または組織の表面の多様な形状または材質に適応することができる。対象物または組織の表面に繊維層を擦りつけまたは表面を通じて繊維層を進入させる方式で、分光センサは標本を採取することができる。よって、分光センサの使用により、測定対象となる標本の範囲を広げ、標本の準備過程を簡素化させ得る。さらに、分光センサの形状、強度、透明度、気孔率、耐熱性および耐化学性などの条件を繊維の材質を変化させることにより充足することができる。本発明の実施例によれば、繊維によって表面プラズモン活性層を形成できる表面積が2次元的基材より広くなり、高密度で表面プラズモン活性層を形成することによって、表面プラズモンに基づいた高信頼性の分光分析を行うことができる。
【0023】
また、本発明の実施例によると、電場によってイオン性高分子バインダと金属ナノ粒子にエネルギーを注入することによって、上述したような3次元構造の複雑な構成とフレキシブルな特性を有する繊維からなる基材に高密度のナノ構造からなる表面プラズモン活性層を迅速かつ経済的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1a】本発明の一実施例に係る分光センサの斜視図。
図1b】本発明の一実施例に係る複数の繊維の断面図。
図2】本発明の一実施例に係る分光センサの繊維および繊維上に形成された表面プラズモン活性層を示す断面図。
図3】本発明の他の実施例に係る分光センサの繊維および繊維上に形成された表面プラズモン活性層を示す断面図。
図4】本発明の一実施例に係る分光センサの製造方法を説明するためのフローチャート。
図5a】前記製造方法による各結果物を示す図。
図5b】前記製造方法による各結果物を示す図。
図6】本発明の一実施例に係る分光センサの製造装置を示す図。
図7a】前記実験例によって得られた分光センサと比較例による分光センサの光学イメージ。
図7b】前記実験例によって得られた分光センサと比較例による分光センサの光学イメージ。
図8】本発明の一実施例によって製造された各分光センサの乾燥状態および湿潤状態の光学写真イメージ。
図9a】ポリカーボネート繊維上に金属ナノ粒子が被覆された分光センサの光学写真イメージ。
図9b】分光センサの走査電子顕微鏡イメージ。
図10a】本発明の実施例に係る分光センサを用いたアセトアミノフェンのラマンスペクトル。
図10b】比較例による繊維層上のアセトアミノフェンのラマンスペクトル。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に関して実施例を通じてより詳細に説明する。
【0026】
本発明の実施例は、当該技術分野で通常の知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものであり、下記の実施例は多くの他の形態に変形可能であり、本発明の範囲が下記の実施例に限定されることはない。むしろ、これらの実施例は、本開示をさらに充実かつ完全にし、当業者に本発明の思想を完全に伝達するために提供されるものである。
【0027】
また、以下の図面において、各層の厚さやサイズは、説明の便宜および明確性のために誇張したものであり、図面上の同一の符号は同一の要素を称する。本明細書で使用されたように、用語「および/または」は、該当列挙された項目のうちのいずれか1つおよび1つ以上の全ての組合せを含む。
【0028】
本明細書で使用された用語は、特定実施例を説明するために使用されるものであり、本発明を制限するためのものではない。本明細書で使用されたように、単数の形態は、文脈上、異なる場合を確実に指摘するものでない限り、複数の形態を含んでいてもよい。また、本明細書で使用される場合、「含む(comprise)」および/または「含む(comprising)」は、言及した各形状、数字、過程、動作、部材、要素および/またはこれらのグループの存在を特定するものであり、1つ以上の他の形状、数字、動作、部材、要素および/またはグループの存在または付加を排除するものではない。
【0029】
本明細書における繊維層または他の層「上に(on)」形成された層に対する言及は、前記繊維層または他の層の直上に形成された層を意味していてもよく、前記繊維層または他の層上に形成された中間層または各中間層上に形成された層を意味していてもよい。また、当該技術分野で熟練した者等において、他の形状に「隣接して(adjacent)」配置された構造または形状は、前記隣接する形状に重畳していてもよく、下部に配置される部分を有していてもよい。
【0030】
本明細書において、「下に(below)」、「上に(above)」、「上部の(upper)」、「下部の(lower)」、「水平の(horizontal)」または「垂直の(vertical)」などの相対的な用語は、各図面に示したように、1つの構成部材、層または領域と他の構成部材、層または領域との関係を記述するために使用することができる。これらの用語は、各図面に示された方向だけでなく、素子の他の方向も包括するものであることを理解しなければならない。
【0031】
以下で、本発明の各実施例は、本発明の理想的な実施例(および中間構造)を概略的に示す各断面図を参照して説明される。これらの図面において、例えば、各部材のサイズと形状は、説明の便宜と明確性のために誇張することができ、実際の具現時、図示した形状の変形を予想することができる。よって、本発明の実施例は、本明細書に示した領域の特定形状に制限されたものと解釈してはならない。また、図面の各部材の参照符号は、図面全体にわたって同一の部材を称する。
【0032】
図1aは、本発明の一実施例に係る分光センサ100の斜視図で、図1bは、本発明の一実施例に係る複数の繊維10Fの断面図である。
【0033】
図1aおよび図1bを参照すると、分光センサ100は、複数の繊維10Fを含む繊維層10;および複数の繊維10Fの表面上に形成された表面プラズモン活性層SPを含む。繊維層10の複数の繊維10Fは、少なくとも互いに異なる二つの方向に延長されて相互間に接触し、繊維層10の表面から内部に形成された気孔を有しながら3次元立体を形成することができる。気孔は、後述するように、繊維層10の表面から内部まで複数の繊維10Fの表面に被覆される高分子バインダおよび導電性ナノ粒子の移動経路を提供することができる。
【0034】
一部の実施例において、複数の繊維10Fは、天然繊維および合成繊維のうちのいずれか1つまたは全てを含んでいてもよい。前記天然繊維は、例えば、綿、麻、毛または絹であってもよい。前記合成繊維は、例えば、レーヨン、ナイロン、セルロース、アクリル、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリビニリデンフルオリド、またはこれらの共重合体などの誘導体であってもよい。しかし、上述した材料は例示的であり、本発明がこれに限定されることはない。例えば、標本採取のためにワイパー方式が必要である場合は、分光センサの材料として、セルロースまたはポリエステルなどの柔らかくかつ可撓性の大きい繊維材料を使用することができ、標本採取のためにフィルタ方式が必要である場合は、強度と耐化学性が大きいポリカーボネートなどの繊維材料を使用することができる。
【0035】
他の実施例において、分光センサによって採取される標本が存在する物および場所、標本の種類および/または分光分析方法により、複数の繊維10Fの材料は、強度、弾性、収縮性、耐熱性または耐化学性などの特性を考慮して適宜選択することができる。複数の繊維10Fは、他のポリマー系材料、石油ピッチ、またはコールタールであってもよい。
【0036】
他の実施例において、複数の繊維10Fは、分光分析のための入射光または出力光を繊維に沿って伝達できる光繊維を含んでいてもよい。この場合、繊維層10は、複数の光繊維束で構成されてもよく、上述した天然繊維および/または合成繊維と光繊維とが混合された織造または不織布構造を有していてもよい。例えば、繊維層10は、複数の天然繊維および/または合成繊維間の繊維層10の表面外に光を放出するように、複数の光繊維が不規則な形態で露出または混紡されてもよい。
【0037】
繊維層10を構成する複数の繊維10Fは、均一な長さまたは互いに異なる長さでセグメント化されてもよく、単一の連続的繊維であってもよい。一部の実施例において、複数の繊維10Fは、不織布、織造またはこれらの組み合わされた構造を有していてもよい。図1aは、不織布組織を有する複数の繊維10Fからなる繊維層10を開示する。このような繊維構造は、圧縮過程を通じて単位体積内の繊維の密度を増加させることもできる。
【0038】
繊維層10の上部表面には、突出する少なくとも1つ以上の無定形の繊維突起を提供することができる。無定形の繊維突起は、繊維層10の表面粗さの調節または繊維層10による測定標本の捕集を容易にする。
【0039】
製造の観点から、繊維層10は、複数の繊維10Fをランダムに飛散させたり混ぜ、選択的には交絡過程を行うことによって不織布構造を得たり、織造過程を通じて織造構造などの規則的な構造を得ることができる。このような製造方法は例示的であり、本発明がこれによって制限されることはない。表面プラズモン活性層SPは、複数の繊維10Fの表面上に形成することができる。表面プラズモン活性層SPは、外部から入射される光によって表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance;SPR)を発生させ、標本に含まれた分析対象であるターゲット物質を検出するための信号を増幅させ、再現性と信頼性のある分光分析を可能にする。
【0040】
例えば、前記表面プラズモン活性層SPは、表面プラズモン活性層SPの表面の化学的および物理的環境による変化、例えば、これらに接する媒質の屈折率変化による最大吸収率または散乱率を有するプラズモン共鳴波長および/または吸収率の変化を検出することによって標本内のターゲット物質を識別し、あるいは、前記ターゲット物質の標本内の濃度を求めるようにする。また、表面プラズモン活性層SPにより、入射光であるラマンレーザーが表面プラズモン活性層SPの表面で表面プラズモンを発生させ、前記表面プラズモンが前記標本の特定分子と相互作用することによって、特定分子の検出のための表面増強ラマン分析(Surface―enhanced Raman Spectroscopy:SERS)を行うこともできる。
【0041】
本発明の実施例に係る分光センサ100は、表面プラズモン活性層SPの基材になる繊維10Fの可撓性により、分析される標本が存在する物または生物体の表面の多様な形状や材質に対応して前記表面に繊維層10を擦る方式で標本を採取することができ、それによって測定される標本の対象が多様化され、標本の準備過程を単純化することができる。例えば、ガラスおよび金属などの非弾性的なものであるか、プラスチックなどの弾性体であっても繊維に比べて低い可撓性を有する平板型基材の場合、分光分析時、標本を別途に採取して分光センサ上に塗布しなければならないが、繊維層構造の分光センサ100自体によって標本の採取と分析を行うことができる。また、本発明の実施例によると、液状標本の場合、繊維層10内の気孔によって繊維層10の内部に迅速に吸収され、標本の採取を迅速に行うこともでき、気孔の内部に吸収された前記各標本は、繊維層10内に長時間にわたって安全に維持することができる。
【0042】
図2は、本発明の一実施例に係る分光センサの繊維10F、および繊維10F上に形成された表面プラズモン活性層SPを示す断面図である。
【0043】
図2を参照すると、繊維10Fは、図1aを参照して説明した繊維層10を構成するセグメント化された複数の繊維フィラメントのうちの1つまたは繊維層10を構成する単一の繊維である。繊維10Fの表面上の表面プラズモン活性層SPは導電性ナノ粒子30を含んでいてもよい。これらの導電性ナノ粒子30は、前記導電性ナノ粒子を繊維10Fの表面上に固定する高分子バインダ20を含んでいてもよい。
【0044】
高分子バインダ20は、導電性ナノ粒子30を内包するように繊維10Fの表面上に導電性ナノ粒子30の直径より大きい厚さで形成することができる。一部の実施例では、2個の層以上に凝集された導電性ナノ粒子30が高分子バインダ20に内包されるように、高分子バインダ20は十分な厚さを有することもできる。
【0045】
他の実施例において、高分子バインダ20は、導電性ナノ粒子30の直径より小さい厚さで形成することができ、この場合、導電性ナノ粒子30の表面が高分子バインダ20の外部に露出し得る。図2は、高分子バインダ20の外部に導電性ナノ粒子30の表面が露出したことを例示する。高分子バインダ20の厚さおよびそれによる導電性ナノ粒子30の層の数または露出程度は、後述する混合溶媒の高分子バインダ20と導電性ナノ粒子との混合比および/または高分子バインダ20の濃度または乾燥過程の温度および時間によって調節することができる。
【0046】
高分子バインダ20の分子量は、約1,000kDal〜約60,000kDalの範囲内であってもよい。前記分子量が約1,000kDal未満である場合は、繊維層上に固定される導電性ナノ粒子の接合力が十分でなく、分子量が60,000kDalを超える場合は、後述する液体コーティング過程で粘性が過多であり、繊維層10の内部への高分子バインダ20と導電性ナノ粒子30の伝達が容易でないので、導電性ナノ粒子30を繊維10F上に均一に被覆することが難しい。
【0047】
高分子バインダ20は、適合した溶媒内で溶解されるときにイオン性を有する高分子であってもよい。例えば、高分子バインダ20は、陽イオン性高分子であってもよく、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(poly diallyldimethylammonium chloride)、ポリアリルアミンヒドロクロリド(poly allylamine hydrochloride)、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド(poly 4―vinylbenzyltrimethyl ammonium chloride)、およびポリエチレンイミン(polyethyleneimine)のうちのいずれか1つまたはこれらの混合物を含んでいてもよい。他の実施例において、高分子バインダ20は、陰イオン性高分子であってもよく、ポリアクリル酸(poly acrylic acid)、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(poly sodium 4―styrene sulfonate)、ポリビニルスルホン酸(poly vinylsulfonic acid)、ポリナトリウム塩(poly sodium salt)、およびポリアミノ酸(poly amino acids)のうちのいずれか1つまたはこれらの混合物を含んでいてもよい。前記高分子は例示的であって、陽性または陰性のイオン性基を有する重合体または共重合体、上述した高分子主鎖に陽性または陰極性イオン性基が結合された高分子、他の合成樹脂、または天然樹脂であってもよい。
【0048】
導電性ナノ粒子30は、10nm〜200nmの平均直径を有していてもよく、球形、ナノチューブ、ナノカラム、ナノロッド、ナノ気孔、およびナノワイヤのうちのいずれか1つまたはこれらが組み合わされた形状を有していてもよい。これらの粒子は、前記形状によって内部が一杯になった形態であるか、多孔質または中空型であってもよい。前記導電性ナノ粒子は、炭素、黒鉛、準金属、金属、前記準金属または金属の合金、導電性金属酸化物、金属窒化物の導電性粒子であるか、ガラスまたは高分子絶縁性ビード上に金属薄膜などの導電層が被覆されたコアシェル構造の粒子であってもよい。一実施例において、導電性ナノ粒子30は、金、銀などの貴金属であってもよい。
【0049】
前記準金属は、アンチモン(Sb)、ゲルマニウム(Ge)およびヒ素(As)のうちのいずれか1つまたはこれらの合金であってもよい。前記金属は、純金属、遷移金属または後周期遷移金属であって、チタン(Ti)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、スカンジウム(Sc)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、インジウム(In)、スズ(Sn)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、ストロンチウム(Sr)、タングステン(W)、カドミウム(Cd)、タンタル(Ta)、またはこれらの合金であってもよい。
【0050】
前記導電性金属酸化物として、インジウムスズオキシド(ITO)、インジウム亜鉛オキシド(IZO)、アルミニウムドープ亜鉛酸化物(AZO)、ガリウムインジウム亜鉛酸化物(GIZO)または亜鉛酸化物(ZnO)を非制限的に例示することができる。また、前記導電性窒化物として、タングステン窒化物(WN)を非制限的に例示することができる。
【0051】
一実施例において、表面プラズモン活性層SPの厚さは、10nm〜500nmの範囲に含まれていてもよい。表面プラズモン活性層SPの厚さが10nm未満である場合は、表面プラズモン活性層SPによる分光分析信号の増幅効果が微々たるものとなり、標本内のターゲット物質の分析のための信号の強度が分析可能範囲に及ばないおそれがある。また、表面プラズモン活性層SPの厚さが500nmを超える場合は、ターゲット物質の分析のための信号の強度が大きく増幅されると同時に、誤差範囲も共に大きくなり、標本分析の正確性が低下し得る。
【0052】
繊維層10の表面と内部の気孔を通じて繊維層10を構成する複数の繊維10F上に表面プラズモン活性層SPが均一に形成された場合、繊維層10に被着した分析標本の測定結果が再現性を有し得る。また、繊維10Fの1次元線形構造は、空間的に規則的にまたはランダムに配列されて3次元構造をなしながら、平板構造の他のガラスまたはプラスチックなどの基材に比べて表面積を向上させ、前記平板構造に比べて表面プラズモン活性層SPの含有量を増加させ、分析信号の強度を増加させることによって感度向上を達成することができる。
【0053】
導電性ナノ粒子30によるSPRは、表面増強ラマン分析(Surface―enhanced Raman Spectroscopy:SERS)だけでなく、ナノ構造体に起因する局所表面プラズモン共鳴(localized surface plasmon resonance;LSPR)による分光分析を可能にする。前記LSPRは、ナノ粒子またはナノ構造体表面の化学的および物理的環境による変化、例えば、これらに接する媒質の屈折率変化による最大吸収率または散乱率を有するプラズモン共鳴波長の変化を検出することによって特定分子を識別したり、特定分子の媒質内の濃度を求めることができ、前記屈折率の変化に高感度を有するので、非標識(label―free)方式によって検知が行われ、その結果、従来のプリズム結合(prism coupling)による波形プラズモンを用いたバルクSPRセンサに比べて多くの長所を有する。
【0054】
また、本発明の分光センサは、繊維層10の構造的な特性により、可撓性を有し、表面粗さが大きいので、標本が存在する多様な表面のプロファイルに対応することができ、標本に対するセンサの接触表面積が増加し得るので、少量の標本を容易に採取することができ、表面プラズモンによって基板の測定感度を向上させることができる。
【0055】
図3は、本発明の他の実施例に係る分光センサの繊維10F、および繊維10F上に形成された表面プラズモン活性層SPを示す断面図である。繊維および表面プラズモン活性層SPに関しては、上述した内容を参照することができる。
【0056】
図3を参照すると、表面プラズモン活性層SPは、導電性ナノ粒子と、これらを繊維10Fの表面上に固定する高分子バインダとを含んでいてもよい。図3は、導電性ナノ粒子が単一層の形態で互いに凝集された構造を示すが、これは例示的であり、図2を参照して説明したように、2個以上の複数層を有していてもよく、離散的構造を有していてもよい。また、導電性ナノ粒子は、高分子バインダ内に内包されていてもよく、外側に露出していてもよい。これによって、固定物質40は、外部に露出した高分子バインダ、および/または導電性ナノ粒子30の表面上に形成することができる。
【0057】
固定物質40は、前記ターゲット物質との結合が可能な低分子化合物、抗原、抗体、タンパク質、ペプチド、DNA、RNA、PNA、酵素、酵素基質、ホルモン、ホルモン受容体、および官能基を含む合成試薬のうちのいずれか1つ、その模写物、またはこれらの組合せを含むことができ、その固定方法に関しては公知の技術を参照することができる。また、前記ターゲット物質は、アミノ酸、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、糖タンパク質、リポタンパク質、ヌクレオシド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、核酸、糖、炭水化物、オリゴ糖、多糖類、脂肪酸、脂質、ホルモン、代謝物質、サイトカイン、ケモカイン、受容体、神経伝達物質、抗原、アレルゲン、抗体、基質、代謝物、補助因子、阻害剤、薬物、薬剤、栄養素、プリオン、毒素、毒、爆薬、殺虫剤、化学的交戦剤、生物危険剤、バクテリア、ウイルス、放射性同位元素、ビタミン、複素環芳香族化合物、発癌性物質、突然変異原、麻薬、アンフェタミン、バルビツレート、幻覚剤、廃棄物および汚染物のうちのいずれか1つ以上であってもよい。
【0058】
図4は、本発明の一実施例に係る分光センサの製造方法を説明するためのフローチャートで、図5aおよび図5bは、前記製造方法による各結果物を示す。
【0059】
図4と共に図5aを参照すると、イオン性高分子バインダ20Sおよび導電性ナノ粒子を含む混合溶液PLがまず準備される(S10)。混合溶液PLは、高分子バインダ20Sを適合した溶媒SVに溶解させ、導電性ナノ粒子30Sを溶媒SVに分散させることによって製造することができる(S10)。他の実施例として、高分子バインダ20Sは、モノマーなどの低分子量前駆体として溶媒SV内に溶解され、後続過程、例えば、S20、S30、またはその後の追加的な架橋過程を通じて高分子化され得る。高分子バインダ20Sと導電性ナノ粒子30Sは、混合溶液内で互いに凝り固まり、高分子バインダ20Sにフラックス(または流れ)が発生する場合、高分子バインダ20Sのフラックスの方向に導電性ナノ粒子30Sのフラックスが発生し得る。
【0060】
溶媒SVは、蒸留水または脱イオン水などの水、脂肪族アルコール、脂肪族ケトン、脂肪族カルボン酸エステル、脂肪族カルボン酸アミド、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、アセトニトリル、脂肪族スルホキシドまたはこれらの混合物のうちのいずれか1つであってもよい。また、溶媒SVは、イオン性高分子バインダ20Sが容易に溶解され得る公知の他の極性溶媒であってもよい。
【0061】
混合溶液PL内には、混合溶液PLの総重量に対して高分子バインダ20Sを重量0.01%〜10%の範囲内に添加し、導電性ナノ粒子30Sをモル濃度0.01%〜10%の範囲内に添加することができる。残りは溶媒で充填することができる。選択的には、アルギン酸、アルギン酸誘導体およびこれらの混合物などの適合した分散安定剤、または、ホウ酸、オルトリン酸、酢酸、アスコルビン酸、およびクエン酸などのpH調節剤を添加することができる。または、光感性高分子バインダの場合は、架橋反応のために光開始剤をさらに添加することもできる。
【0062】
図4および図5bを参照すると、混合溶液PL内に繊維層10を浸漬させる(S20)。繊維層10は、混合溶液PL内で自由に配置したり、クランプなどの器具によって固定することができる。また、2以上の繊維層を浸漬させることができる。他の実施例では、溶媒SV内に先に繊維層10を浸漬させた後、高分子バインダ20Sと導電性ナノ粒子30Sを分散および溶解させることもできる。
【0063】
繊維層10は、浸漬過程以前に洗浄し、あるいは、表面プラズモン活性層の付着のために表面処理することができる。一実施例において、繊維層10を光触媒で被覆してもよい。光触媒は、ゾルゲル法などの方法によって製造することができ、噴霧または塗布によって繊維10Fに被覆することができる。前記光触媒としては、二酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化タングステン(WO)などを使用することができる。他の実施例において、前記光触媒は混合溶液PL内に分散させることもできる。
【0064】
このように繊維層10が混合溶液PL内に浸漬された状態で電場Eを印加する(S30)。電場Eは、直流、交流またはその複合波形を有していてもよい。電場Eが直流電場である場合、繊維層10の主面、例えば、上部表面に対して垂直な方向に電場を印加することができ、その方向は、イオン性高分子バインダ20Sの極性によって決定することができる。例えば、図5bに示したように、繊維層10の上部表面から下部表面に導電性ナノ粒子30Sを伝達しようとするとき、陽イオン性高分子バインダが使用された場合は、鉛直下方に電界を形成することができる。その一方で、陰イオン性高分子バインダが使用された場合は、鉛直上方に電界を形成することもできる。他の実施例において、電場Eが交流電場である場合、電場Eの方向は如何なる方向であってもよい。更に他の実施例において、電場Eは、互いに異なる方向の電界を有していてもよく、互いに異なる種類の信号を有する複数の電場を含んでいてもよい。
【0065】
電場Eによって荷電された高分子バインダ20Sの電気泳動が可能になる。それによって、高分子バインダ20Sのフラックスが発生し、高分子バインダ20Sのフラックスが導電性ナノ粒子30Sのフラックスを発生させる。前記フラックスは、電場Eによって活性化され、より大きな運動エネルギーを有するように加速され、繊維層10の表面および繊維層10の気孔を介して内部に高分子バインダ20Sと導電性ナノ粒子30Sが伝達され得る。
【0066】
繊維10Fの表面上に伝達された高分子導電性ナノ粒子30Sおよび高分子バインダ20Sにより、電場が3次元的に配列される繊維10Fの表面上に実質的にランダムな方向に伝達され、高い運動エネルギーにより、高分子導電性ナノ粒子30Sおよび高分子バインダ20Sが繊維10Fの表面上に均一に被覆され得る。また、繊維10Fの上部表面上に導電性ナノ粒子が高密度で均一に被覆され得る。
【0067】
一実施例において、繊維層10は電気的にフローティング状態にあり、電場Eは、混合溶液PLの外部で形成され、混合溶液PLの内部に貫通し得る。電場Eは、上述したように、静電場、交流電場または他の波形を有していてもよく、本発明がこれに限定されることはない。電場Eは、チャンバ内でのプラズマ放電によって生成することができ、これに関しては図5を参照して後述することにする。
【0068】
その後、繊維層10に導電性ナノ粒子30Sが十分に被覆されて固定されると、混合溶液PLから繊維層10を回収する。過程S30の所要時間は、通常の撹拌過程で被覆する時間に比べて10秒〜5分として極めて短い時間である。その後、回収された繊維層10の乾燥過程が実行されてもよく、高分子バインダの架橋反応のために紫外線または熱が照射されてもよい。一部の実施例においては、繊維層10に対する洗浄過程が実行されてもよい。前記洗浄過程によって未固定の導電性ナノ粒子または高分子バインダが除去され、以後の乾燥過程によって高分子バインダの収縮が起こり得る。この場合、図2を参照して説明したように、繊維10Fに被覆された高分子バインダ20が収縮されながら導電性ナノ粒子30の一部表面が露出し得る。
【0069】
上述した実施例では、不織布構造の繊維層を予め製造して金属ナノ粒子のコーティング過程が行われたが、これは単に例示であり、本発明がこれに限定されることはない。例えば、複数の繊維の筋上に金属ナノ粒子のコーティング過程を先に行い、これを回収した後、織造または不織布加工過程を行うことによって繊維層形態の分光センサを製造することもできる。
【0070】
図6は、本発明の一実施例に係る分光センサの製造装置1000を示す。
【0071】
図6を参照すると、製造装置1000は、電場Eの発生装置である。製造装置1000は、電界発生のための2個の電極、すなわち、アノードAEおよびカソードCEを有していてもよい。アノードAEおよびカソードCEは複数であってもよく、互いに異なる方向の電界を有するように空間的に配置されてもよい。
【0072】
一実施例において、製造装置1000は、気体放電による電界を生成できる適合したガス供給手段をさらに含んでいてもよい。アノードAEおよびカソードCEの間によって定義される空間にガスPが矢印Aで指示したように引き込まれ、連続的に矢印Bで示したようにガスPが放出される。ガスPの放出またはアノードAEおよびカソードCEの間の空間の減圧のためにポンプシステム(図示せず)を提供することができる。
【0073】
ガスPは、アノードAEおよびカソードCEのうちのいずれか1つまたはこれらの全てから提供することができ、このために、アノードAEとカソードCEは、シャワーヘッドと類似する形状の貫通ホールを有していてもよい。ガスPは、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、窒素(N2)および空気のうちのいずれか1つまたはこれらの混合気体を含んでいてもよい。しかし、これは単なる例示であり、ガスPは他の反応性気体であってもよい。
【0074】
カソードCEには、ガスPの気体放電、すなわち、プラズマ発生のための交流発生器(RF generator)を電気的に結合することができ、アノードAEは接地可能である。または、前記のような交流放電でない直流放電のために、アノードAEには正電圧が印加され、カソードCEには負電圧が印加されることもある。カソードCEとアノードAEとの間に混合溶液PLに繊維層10が浸漬された容器60が載置された後、プラズマ発生のためにアノードAEおよび/またはカソードCEに電力が供給された状態で数秒〜数分間ナノ粒子の固定過程が実行される。アノードAEと容器60との間の距離は0.5cm〜40cmの間隔を維持することができる。
【0075】
図5の製造装置1000では、カソードCEの交流発生器に電源が印加されると、カソードCEはセルフバイアス(self―bias)によって負電位を有するようになり、これによって、接地されたアノードAEとカソードCEとの間に矢印方向の電場Eが生成される。これによって、混合溶液内の導電性ナノ粒子30と高分子バインダ20の流れが発生し、これを数秒〜数分間持続することによって、繊維層10上に導電性ナノ粒子を固定することができる。
【0076】
図示したアノードAEとカソードCEの位置は互いに反対であってもよい。また、アノードAEは、平らなものに限らず、蓋のように側壁を有することによって気体放電空間を限定してもよく、チャンバの本体であってもよい。一部の実施例において、気体放電のための前記空間の圧力は、常圧または常圧未満の真空状態であってもよく、このために、製造装置1000に真空ポンプを提供することもできる。上述したプラズマ装置は、容量結合型プラズマチャンバであるが、他の誘導結合型プラズマまたは他のプラズマソースをさらに含んでいてもよい。
【0077】
実験例
【0078】
高分子バインダとして、0.01重量%のエチレングリコールアミン(ethlyleneglycolamine)を添加し、導電性ナノ粒子として、平均直径が50nmである0.05重量%の金ナノ粒子を溶媒である蒸留水に添加して撹拌することによって混合溶液を製造した。金ナノ粒子で被覆される繊維層として、ポリエステルファブリックを蒸留水で洗浄および表面処理した後、前記混合溶液内に浸漬した。
【0079】
その後、高分子バインダに結合された金ナノ粒子で被覆されたポリエステル織布が浸漬された混合溶液を電場発生装置に設置し、電場を混合溶液に印加することによって被覆反応を進めた。プラズマチャンバに混合溶液およびポリエステル織布が収容された容器を載置し、プラズマ放電によって電場を印加した。プラズマ放電を30秒間継続させ、繊維層を回収して乾燥することによって、本発明の実施例に係る分光センサを製造した。本実験例と対比する実験として、混合溶液内のポリエステル織布を、これに電場を印加せずに撹拌過程を4時間実行して回収した後、乾燥することによって比較例に係る分光センサを製造した。
【0080】
図7aおよび図7bは、それぞれ前記実験例1によって得られた分光センサ200aと比較例に係る分光センサ200bの光学画像である。図7aを参照すると、実験例に係る分光センサ200aの場合、比較例に係る分光センサ200bに比べて明度が低く、全面積にわたって色が均一である。その結果、本発明の実施例によると、繊維層に表面プラズモン活性層をさらに均一かつ高密度で被覆させることができる。
【0081】
分光センサ1aおよび1bは、導電性ナノ粒子が被覆されていないほかは、実験例1と同様の条件下で作製された。分光センサ2aおよび2bは、実験例1と同様の条件下で作製された。分光センサ3aおよび3bは、導電性ナノ粒子の濃度を2倍にしたほかは、実験例1と同様の条件下で作製された。分光センサ4aおよび4bは、導電性ナノ粒子の濃度を3倍にしたほかは、実験例1と同様の条件下で作製された。コーティング過程は、30秒間にわたり電場の下で実行される。図8は、本発明の一実施例によって製造された各分光センサの乾燥状態(1a、2a、3a、4a)および湿潤状態(1b、2b、3b、4b)の光学写真イメージである。乾燥状態の標本分析用基板よりも、湿潤状態の標本分析用基板の明度が低い被覆を確認することができる。
【0082】
表面増強ラマン分光法の分析感度が著しく高い理由は、導電性ナノ粒子の局所表面プラズモン共鳴現象による表面ラマン信号の増幅に起因する。よって、導電性ナノ粒子が基質の表面に固定され、局所表面プラズモン共鳴現象が発現できる場合、この基質が表面増強ラマン現象を発現できるセンサの基質として用いられうる。このような局所表面プラズモン共鳴は、導電性ナノ粒子で被覆された基質周辺の屈折率を人為的に変化させた後、吸光度の変化有無、すなわち、色の明度を測定して確認することができる。
【0083】
図8は、分光センサ1a、2a、3aおよび4aに関して屈折率が1である空気中に露出させた後の基質の色の変化を示し、分光センサ1b、2b、3bおよび4bに関して屈折率が1.333である水に露出させた後の基質の色の変化を示している。図8を参照すると、基質が導電性ナノ粒子により被覆されていない分光センサ1a、および、基質が導電性ナノ粒子により被覆されておらず、かつ、高い屈折率1.333を有する水により囲まれている分光センサ1bにおいては色の変化は確認されなかった。その一方、基質が導電性ナノ粒子により被覆されており、かつ、屈折率1の空気により囲まれている分光センサ2a、3aおよび4aにおいては吸光度の増加が測定され、基質が導電性ナノ粒子により被覆され、かつ、高い屈折率1.333を有する水により囲まれている分光センサ2b、3bおよび4bにおいては吸光度のさらなる増加が測定された。被覆される導電性ナノ粒子の量が増大することによって吸光度が増加することが確認された。よって、導電性ナノ粒子が高密度で被覆された分光センサにおいては、局所表面プラズモン共鳴現象が確実に発現し、表面増強ラマン現象がさらに増幅され得るので、少量の標本も正確に分析することができる。
【0084】
図9aは、金属ナノ粒子で被覆されたポリカーボネート繊維を基材とする分光センサ300の光学画像であり、図9bは、当該分光センサ300の走査電子顕微鏡の画像である。
【0085】
分光センサ300において、ポリカーボネート繊維を基材とする不織布構造は、金ナノ粒子で被覆されている。図9aを参照すると、金ナノ粒子で被覆されたポリエステル繊維を基材とする分光センサと比較して、分光センサ300は明度が低い。分光センサ300は、高強度および耐化学性を有することがわかった。これらの優れた特性のため、分光センサ300は、フィルタおよびワイピングモードの両方において標本の採取が可能である。図9bは、分光センサ300のバインダ層に金ナノ粒子が高密度で被覆されていることを示している。
【0086】
図10aは、本発明の実施例に係る分光センサを用いたアセトアミノフェンのラマンスペクトルで、図10bは、比較例に係る繊維層のアセトアミノフェンのラマンスペクトルである。
【0087】
図10aを参照すると、金ナノ粒子で被覆されたポリカーボネート繊維を基材とする分光センサにおいて、アセトアミノフェンの結合構造に基づくラマンシフト信号が表れ、そのピークは検出可能な程度に十分に強く、再現性があるラマンスペクトルが得られる。図10bを参照すると、金ナノ粒子で被覆されていないポリカーボネート繊維を基材とする分光センサにおいて、増幅されたラマンシフト信号およびノイズが検出され、図10aのラマンシフト信号よりもラマンシフト信号の検出が困難であり、ラマンスペクトルが再現性に欠ける。
【0088】
以上で説明した本発明は、上述した実施例および添付の図面に限定されなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で多様な置換、変形および変更が可能であることは、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者にとって明白であろう。
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6
図7a
図7b
図8
図9a
図9b
図10a
図10b