(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記エッチング液組成物中の(A)〜(E)の含有量が、(A)銅イオン供給源0.02〜1.0モル/kg;(B)分子内に1以上のカルボキシ基を有する有機酸イオン供給源0.01〜3.0モル/kg;(C)フッ素イオン供給源0.01〜1.0モル/kg;(D)第1添加剤0.01〜3.0モル/kg;及び(E)第2添加剤1.0〜30,000ppmである、請求項1に記載のエッチング液組成物。
前記(A)銅イオン供給源は、銅、硫酸銅、硝酸銅、塩化銅、フッ化銅、銅ホスフィド、水酸化銅、酢酸銅、銅クエン酸塩、銅乳酸塩、銅オレイン酸塩、銅ケイ素化合物、臭化銅、及び炭酸銅からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載のエッチング液組成物。
前記(B)分子内に1以上のカルボキシ基を有する有機酸イオン供給源は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、グルコン酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、シュウ酸、マレイン酸、及びこれらのアンモニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載のエッチング液組成物。
前記(C)フッ素イオン供給源は、フッ酸、フッ化アンモニウム、酸性フッ化アンモニウム、フッ化カリウム、ホウフッ化アンモニウム、重フッ化カリウム、ホウフッ化カリウム、フッ化ナトリウム、重フッ化ナトリウム、フッ化アルミニウム、フッ化ホウ素酸、フッ化リチウム、フッ化カルシウム、及びフッ化銅からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載のエッチング液組成物。
前記フッ素イオンを除くハロゲンイオン供給源は、塩酸、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、臭素酸、臭化カリウム、臭化ナトリウム、臭化アンモニウム、ヨウ素酸、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム、及びヨウ化アンモニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載のエッチング液組成物。
前記(F)第3添加剤としてのアルカリ金属塩は、ハロゲン含有アルカリ金属塩、分子内に1以上のカルボキシ基を有する有機酸アルカリ金属塩、及び強塩基アルカリ金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項11に記載のエッチング液組成物。
銅及びチタンを含む多層膜に(A)銅イオン供給源;(B)分子内に1以上のカルボキシ基を有する有機酸イオン供給源;(C)フッ素イオン供給源;(D)第1添加剤としてエッチング調節剤及び表面酸化力増加剤;及び(E)第2添加剤として界面活性剤を含むエッチング液組成物を接触させることを含む多層膜のエッチング方法であって、
前記(D)第1添加剤としてのエッチング調節剤は、フッ素イオンを除くハロゲンイオン供給源であり、
前記(D)第1添加剤としての表面酸化力増加剤は無機酸であり、
前記(E)第2添加剤としての界面活性剤は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエーテルポリオール、ポリグリコールオレイン酸、及び酸化エチレン(EO)−酸化プロピレン(PO)共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
前記エッチング液組成物は、過酸化水素及び過硫酸塩を含まず、pH値が3以下である、多層膜のエッチング方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示は、上記したような問題を発生させることなく、かつ後述する種々の長所を有する新規なエッチング液組成物、これを用いる多層膜のエッチング方法、並びにこれを用いた表示装置の製造方法を提供する。
【0008】
また、本開示の課題は、上述した内容に限定されない。本開示の課題は、本明細書の全般の内容から理解でき、本開示が属する技術分野において通常の知識を有する者であれば本開示の更なる課題を理解するのに何の問題もないはずである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一側面において、本開示は、(A)銅イオン供給源;(B)分子内に1以上のカルボキシ基を有する有機酸イオン供給源;(C)フッ素イオン供給源;(D)第1添加剤としてエッチング調節剤、表面酸化力増加剤、又はこれらの組み合わせ;及び(E)第2添加剤として界面活性剤を含むエッチング液組成物を提供する。
【0010】
ここで、上記エッチング液組成物中の(A)〜(E)の含有量は、(A)銅イオン供給源0.02〜1.0モル/kg;(B)分子内に1以上のカルボキシ基を有する有機酸イオン供給源0.01〜3.0モル/kg;(C)フッ素イオン供給源0.01〜1.0モル/kg;(D)第1添加剤0.01〜3.0モル/kg;及び(E)第2添加剤1.0〜30,000ppmであることができる。
【0011】
また、上記(A)銅イオン供給源は、銅、硫酸銅、硝酸銅、塩化銅、フッ化銅、銅ホスフィド、水酸化銅、酢酸銅、銅クエン酸塩、銅乳酸塩、銅オレイン酸塩、銅ケイ素化合物、臭化銅、及び炭酸銅からなる群より選ばれる少なくとも1種であることができる。
【0012】
また、上記(B)分子内に1以上のカルボキシ基を有する有機酸イオン供給源は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、グルコン酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、シュウ酸、マレイン酸、及びこれらのアンモニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種であることができる。
【0013】
また、上記(B)有機酸イオン供給源の(A)銅イオン供給源に対する配合比は、モル基準で
0.01〜150.0倍であることができる。
【0014】
一方、上記(C)フッ素イオン供給源は、フッ酸、フッ化アンモニウム、酸性フッ化アンモニウム、フッ化カリウム、ホウフッ化アンモニウム、重フッ化カリウム、ホウフッ化カリウム、フッ化ナトリウム、重フッ化ナトリウム、フッ化アルミニウム、フッ化ホウ素酸、フッ化リチウム、フッ化カルシウム、及びフッ化銅からなる群より選ばれる少なくとも1種であることができる。
【0015】
また、上記(C)フッ素イオン供給源の(A)銅イオン供給源に対する配合比は、モル基準で0.01〜50.0倍であることができる。
【0016】
一方、上記(D)第1添加剤としてのエッチング調節剤は、フッ素イオンを除くハロゲンイオン供給源であることが好ましい。より具体的には、上記エッチング調節剤は、塩酸、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、臭素酸、臭化カリウム、臭化ナトリウム、臭化アンモニウム、ヨウ素酸、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム、及びヨウ化アンモニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種であることができる。
【0017】
また、上記(D)第1添加剤としての表面酸化力増加剤は、無機酸であることが好ましい。より具体的には、上記表面酸化力増加剤は、硫酸、硝酸、リン酸、及び塩酸からなる群より選ばれる少なくとも1種であることができる。
【0018】
また、上記(D)第1添加剤の(A)銅イオン供給源に対する配合比は、モル基準で0.01〜150.0倍であることができる。
【0019】
一方、上記(E)第2添加剤としての界面活性剤は、非イオン界面活性剤であることが好ましい。より具体的に、上記界面活性剤は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエーテルポリオール、ポリグリコールオレイン酸、ゼラチン、及び酸化エチレン(EO)−酸化プロピレン(PO)共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種であることができる。
【0020】
また、上記エッチング液組成物は、(F)第3添加剤としてアルカリ金属塩をさらに含むものであることができる。
【0021】
ここで、上記(F)第3添加剤としてのアルカリ金属塩は、ハロゲン含有アルカリ金属塩、分子内に1以上のカルボキシ基を有する有機酸アルカリ金属塩、及び強塩基アルカリ金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1種であることができる。
【0022】
また、上記エッチング液組成物中の(F)第3添加剤の含有量は、0.01〜2.0モル/kgであることができる。
【0023】
また、上記(F)第3添加剤の(A)銅イオン供給源に対する配合比は、モル基準で0.01〜100倍であることができる。
【0024】
さらに、上記エッチング液組成物は、pH値が3以下であることができる。
【0025】
一方、上記エッチング液組成物は、銅及びチタンを含む多層膜のエッチングに使用されるエッチング液組成物であることができる。
【0026】
他の側面において、本開示は、銅及びチタンを含む多層膜に、(A)銅イオン供給源、(B)分子内に1以上のカルボキシ基を有する有機酸イオン供給源、(C)フッ素イオン供給源、(D)第1添加剤としてエッチング調節剤、表面酸化力増加剤、又はこれらの組み合わせ、及び(E)第2添加剤として界面活性剤を含むエッチング液組成物を接触させることを含む多層膜のエッチング方法も提供する。
【0027】
また、上記エッチング液組成物は、過酸化水素及び過硫酸塩を含んでいなくてもよい。
【0028】
さらに他の側面において、本開示は、基板上に相互連結されたゲートライン及びゲート電極を形成するゲートパターン形成ステップ;上記ゲートラインと絶縁されるように交差するデータライン、上記データラインと連結されたソース電極、及び上記ソース電極と相互離隔されたドレイン電極を形成するデータパターン形成ステップ;上記ドレイン電極と連結された画素電極を形成するステップ;及び上記画素電極と絶縁された共通電極を形成するステップを含み、上記ゲートパターン形成ステップ及び上記データパターン形成ステップの少なくとも一方は、上記基板上に金属層を形成するステップ及び上記金属層をエッチング液組成物でエッチングするステップを含む表示装置の製造方法も提供する。
【0029】
一方、上記エッチング液組成物は、(A)銅イオン供給源、(B)分子内に1以上のカルボキシ基を有する有機酸イオン供給源、(C)フッ素イオン供給源、(D)第1添加剤としてエッチング調節剤、表面酸化力増加剤、又はこれらの組み合わせ、及び(E)第2添加剤として界面活性剤を含むものであることができる。
【0030】
また、上記金属層は、銅膜及びチタン膜を含む多層膜であることができる。
【0031】
また、上記金属層は、銅膜及びモリブデン膜を含む多層膜であることができる。
【0032】
なお、上記したような課題の解決手段は、本開示の特徴を全て列挙したものではない。本開示の様々な特徴とそれによる長所及び効果は、以下の具体的な実施形態を参照してより詳細に理解されるであろう。
【発明の効果】
【0033】
本開示の種々の例によるエッチング液組成物は、過酸化水素や過硫酸塩を含んでいなくてもよいことから、これらの分解反応によるガスや熱の発生を防止することができ、その結果、安定したエッチングが可能となる。また、液のpHが低いことから、高いpHによるフォトレジストのリフティング現象が発生せず、優れたライフタイムにより液交換時点が長くなり、廃液量の減少によって環境に優しく経済的なものとなる。
【0034】
一方、本開示の種々の例によるエッチング液組成物を用いる場合、多層膜のエッチング速度の調節が自由にでき、クリティカル・ディメンション・ロスを最小化することができ、エッチング残渣又は析出物の発生を防止でき、直線性を最大化することができ、表面ラフネスを最小化できるという長所を有する。さらに、本開示によるエッチング液組成物を用いる場合、金属パターンの角度調節が自由にでき、40°±10°の具現が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下では、本開示の好ましい実施形態について説明する。しかし、本開示の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本開示の範囲は以下で説明する実施形態に限定されるものではない。また、本開示の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本開示をより完全に説明するために提供されるものである。
【0037】
1.エッチング液組成物
本開示の発明者らは、上記課題を解決するために研究を重ねた結果、銅イオン供給源、分子内に1以上のカルボキシ基を有する有機酸イオン供給源、及びフッ素イオン供給源を含み、さらに、特定の添加剤の組み合わせを含むエッチング液組成物を用いて銅及びチタンを含む多層膜をエッチングする場合、上記のような問題を解決することができ、さらに、種々の優れた長所を有することを発見した。
【0038】
より具体的に、一例によるエッチング液組成物は、(A)銅イオン供給源;(B)分子内に1以上のカルボキシ基を有する有機酸イオン供給源;(C)フッ素イオン供給源;(D)第1添加剤としてエッチング調節剤、表面酸化力増加剤、又はこれらの組み合わせ;及び(E)第2添加剤として界面活性剤を含む。
【0039】
以下、一例によるエッチング液組成物を構成する各成分についてより詳しく説明する。
【0040】
(A)銅イオン供給源
一例によるエッチング液組成物に含まれる銅イオン供給源(以下、単に(A)成分ともいう。)は、銅の酸化剤として作用する成分である。銅イオン供給源としては、銅イオンを供給できるものであれば特に制限はなく、例えば、銅以外に、硫酸銅、硝酸銅、塩化銅、フッ化銅、銅ホスフィド、水酸化銅などの銅無機酸塩;酢酸銅、銅クエン酸塩、銅乳酸塩、銅オレイン酸塩などの銅有機酸塩;銅ケイ素化合物、臭化銅、炭酸銅などの銅含有金属塩などを用いることができる。これらの銅イオン供給源は、単独で用いてもよく、又は、複数を組み合わせて用いてもよい。
【0041】
また、これに限定されるものではないが、一例では、中でも銅イオン供給源として、銅、硝酸銅、硫酸銅、水酸化銅、酢酸銅を用いることがより好ましく、硫酸銅、硝酸銅、酢酸銅を用いることがさらに好ましい。これによって、銅の酸化剤としての役割をより忠実に果たすことができるようになる。
【0042】
一方、銅イオン供給源は、エッチング液組成物1kg中に0.02〜1.0モルの範囲で含まれていることが好ましく、0.02モル未満であると、銅エッチング速度が満足できる水準に達しておらず、1.0モルを超えると、銅エッチング速度の上昇により制御が困難になり、沈殿が発生する可能性が高くなる。より好ましくは、0.1〜0.5モルの範囲である。一例によるエッチング液組成物中の銅イオン供給源の含有量が上記範囲内であると、より良好なエッチング速度が得られる。
【0043】
(B)有機酸イオン供給源
一例によるエッチング液組成物に含まれる有機酸イオン供給源(以下、単に(B)成分ともいう。)は、基本的には、銅イオンと錯体を形成して銅のエッチング剤として機能し、さらに、エッチング液組成物の安定性を向上させるとともに、エッチング速度の安定化を図る機能を有する。また、エッチング後の水リンス工程において、エッチング液組成物が水で希釈された際に析出する残渣の発生を抑制する効果もある。有機酸イオン供給源としては、分子内に1以上のカルボキシル基を有する有機酸化合物であれば特に制限はなく、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、グルコン酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、シュウ酸、マレイン酸、及びこれらのアンモニウム塩などを用いることができる。これらの有機酸イオン供給源は、単独で用いてもよく、又は、複数を組み合わせて用いてもよい。
【0044】
また、これに限定されるものではないが、一例によるエッチング液組成物は、これらの中でも、有機酸イオン供給源として、分子内に2以上のカルボキシル基を有する有機酸イオン供給源を用いることがより好ましい。これらは、水への溶解性やエッチング液組成物中での安定性に優れ、かつエッチング性能をより向上させることができるためである。より具体的には、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、マレイン酸、及びこれらのアンモニウム塩などを好ましく用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0045】
一方、有機酸イオン供給源は、エッチング液組成物1kg中に0.01〜3.0モルの範囲で含まれていることが好ましく、0.01モル未満であると、銅エッチング速度が満足できる水準に達しておらず、3.0モルを超えると、銅エッチング速度の上昇により制御が困難になることがある。より好ましくは、0.1〜2.0モルの範囲である。また、上記有機酸イオン供給源の上記銅イオン供給源に対する配合比は、モル基準で0.01〜150.0倍であることが好ましく、0.1〜40.0倍であることがより好ましい。一例によるエッチング液組成物中の有機酸イオン供給源の含有量及び配合比が上記範囲内であると、より良好なエッチング速度が得られ、析出する残渣の発生をより効果的に抑制できるようになる。
【0046】
(C)フッ素イオン供給源
一例によるエッチング液組成物に含まれるフッ素イオン供給源(以下、単に(C)成分ともいう。)は、チタンのエッチング能力を向上させる機能を有する。フッ素イオン供給源としては、フッ素イオンを供給できるものであれば特に制限はなく、例えば、フッ酸、フッ化アンモニウム、酸性フッ化アンモニウム、フッ化カリウム、ホウフッ化アンモニウム、重フッ化カリウム、ホウフッ化カリウム、フッ化ナトリウム、重フッ化ナトリウム、フッ化アルミニウム、フッ化ホウ素酸、フッ化リチウム、フッ化カルシウム、フッ化銅などを用いることができる。これらのフッ素イオン供給源は、単独で用いてもよく、又は、複数を組み合わせて用いてもよい。
【0047】
また、これに限定されるものではないが、一例によるエッチング液組成物は、これらの中でも、フッ素イオン供給源として、フッ酸、フッ化アンモニウム、酸性フッ化アンモニウム、フッ化カリウム、フッ化ナトリウムを用いることがより好ましく、フッ化アンモニウム、酸性フッ化アンモニウム、フッ化カリウムを用いることがさらに好ましい。これによって、チタンの酸化剤としての役割をより忠実に果たすことができるようになる。
【0048】
一方、フッ素イオン供給源は、エッチング液組成物1kg中に0.01〜1.0モルの範囲で含まれていることが好ましく、0.1〜0.5モルの範囲がより好ましい。また、上記フッ素イオン供給源の上記銅イオン供給源に対する配合比は、モル基準で0.01〜50.0倍であることが好ましく、0.01〜5.0倍であることがより好ましい。一例によるエッチング液組成物中のフッ素イオン供給源の含有量が上記範囲内であると、より良好なエッチング速度が得られ、フッ素イオン供給源が0.1モル未満であると、チタンエッチング速度が満足できる水準に達しておらず、1.0モルを超えると、チタンエッチング速度の上昇により制御が困難になったり、母材であるガラスの損傷が激しくなることがある。
【0049】
一方、酸性フッ化アンモニウム、酸性フッ化カリウムなどの1分子中に2個のフッ素を含有するフッ素イオン供給源が(C)成分として含まれる場合、(C)成分の含有量は、フッ素イオン供給源の含有量の2倍量と定義する。
【0050】
また、エッチング液組成物に含まれるフッ素イオン供給源は、液体中でフッ素イオン(F
−)として解離していない場合や、二フッ化一水素イオン(HF
2−)として存在する場合もあるが、これらが完全に解離すると想定した際のモル数を(C)成分の含有量とする。
【0051】
また、フッ化銅などの銅のフッ化物塩は、上述の(A)成分としての機能を有するとともに、(C)成分としても機能する。そのため、一例によるエッチング液組成物に銅のフッ化物塩が含まれる場合、(A)成分の含有量は、他の銅イオン供給源と銅のフッ化物塩を合計した量となり、(C)成分の含有量は、他のフッ素イオン供給源と銅のフッ化物塩を合計した量となる。
【0052】
(D)第1添加剤
一例によるエッチング液組成物は、第1添加剤(以下、単に(D)成分ともいう。)として、エッチング調節剤、表面酸化力増加剤、又はこれらの組み合わせをさらに含む。本開示の発明者らの研究によると、このように、第1添加剤として、エッチング調節剤及び/又は表面酸化力増加剤をさらに含む場合には、それを含まない場合に比べてより優れたエッチング速度を有するようになり、さらに、エッチング残渣又は析出物の発生が著しく減少した。より具体的に、エッチング調節剤をさらに含む場合には、それを含まない場合に比べてより優れたエッチング速度を有するようになり、これに加えて、表面酸化力増加剤をさらに含む場合、エッチング残渣又は析出物の発生も著しく減少させることができた。
【0053】
一方、上記エッチング調節剤は、銅層のエッチング速度(Etching Rate)を調節できるものであるが、上記のような効果が得られるものであれば、当該技術分野においてよく知られたエッチング調節剤が特に制限なく使用できる。例えば、これに限定されるものではないが、塩酸、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、臭素酸、臭化カリウム、臭化ナトリウム、臭化アンモニウム、ヨウ素酸、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化アンモニウムなどの上記フッ素イオンを除くハロゲンイオン供給源が好ましく使用できる。これらは、単独で用いてもよく、又は、複数を組み合わせて用いてもよい。
【0054】
また、上記表面酸化力増加剤は、フォトレジスト外の露出した銅層をエッチングするにあたり、銅表面の酸化を容易にし、エッチングを円滑に進行できるようにするものであり、このような効果が得られるものであれば、当該技術分野においてよく知られた表面酸化力増加剤が特に制限なく使用できる。例えば、これに限定されるものではないが、硫酸、硝酸、リン酸、塩酸などの無機酸が好ましく使用できる。これらもまた、単独で、又は、複数を組み合わせて用いることができる。一方、塩酸などのハロゲン元素を含む無機酸の場合は、上記したようなエッチング調節剤としての機能も有する。
【0055】
なお、第1添加剤は、エッチング液組成物1kg中に0.01〜3.0モルの範囲で含まれていることが好ましく、0.1〜2.0モルの範囲がより好ましく、0.5〜1.5モルの範囲がさらに好ましい。また、上記第1添加剤は、上記銅イオン供給源に対する配合比が、モル基準で0.01〜150.0倍であることが好ましく、0.1〜40.0倍であることがより好ましく、1.0〜15.0倍であることがさらに好ましい。第1添加剤の含有量が0.01モル未満であると、エッチング速度が目標水準よりも低くなったり、表面酸化力の減少により残渣又は析出物が発生することがあり、3.0モルを超えると、エッチング速度の上昇により制御が困難になったり、レジストの浮き上がり現象が発生することがある。一例によるエッチング液組成物中の第1添加剤の含有量が上記範囲内であると、より優れたエッチング速度を有することができ、残渣又は析出物の発生を著しく減少させることができる。
【0056】
(E)第2添加剤
一例によるエッチング液組成物は、第1添加剤に加えて、第2添加剤(以下、単に(E)成分ともいう。)として界面活性剤をさらに含む。本開示の発明者らの研究によると、このように、第2添加剤として界面活性剤をさらに含む場合には、それを含まない場合に比べて直線性を最大化することができ、表面ラフネス(Roughness)を最小化することができ、さらに、金属パターンの角度(Taper)を自由に調節することが可能であった。
【0057】
一方、上記界面活性剤は、当該技術分野で一般的に知られている界面活性剤であって、上記のような効果が得られるものであれば特に限定されないが、中でも、非イオン界面活性剤を好ましく用いることができる。例えば、非イオン界面活性剤として、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエーテルポリオール、ポリグリコールオレイン酸などのアルコール系非イオン界面活性剤;又は、ゼラチン、酸化エチレン(EO)−酸化プロピレン(PO)共重合体などの高分子系化合物を用いることができるが、これに限定されるものではない。これらもまた、単独で、又は、複数を組み合わせて用いることができる。
【0058】
なお、第2添加剤は、エッチング液組成物1kg中に1.0〜30,000ppmの範囲で含まれていることが好ましく、1.0〜20,000ppmの範囲がより好ましく、5.0〜10,000ppmの範囲がさらに好ましい。第2添加剤の含有量が1.0ppm未満であると、金属パターンの角度の所望の範囲での調節が困難なことがあり、含有量が30,000ppmを超えると、銅のエッチング速度の減少により所望の銅エッチング速度が得られないことがある。一例によるエッチング液組成物中の第2添加剤の含有量が上記範囲内であると、直線性を効果的に最大化でき、表面ラフネスを効果的に最小化でき、さらには、金属パターンの角度を所望の範囲に効果的に調節できるようになる。
【0059】
(F)第3添加剤
一例によるエッチング液組成物は、必要に応じて、上記の第1添加剤及び第2添加剤に加え、第3添加剤(以下、単に(F)成分ともいう。)としてアルカリ金属塩をさらに含むことができる。本開示の発明者らの研究によると、このように、第3添加剤としてアルカリ金属塩をさらに含む場合には、それを含まない場合に比べて金属パターンの表面ラフネスに改善の効果が見られた。
【0060】
また、上記アルカリ金属塩は、上記のような効果が得られるものであれば特に限定されないが、好ましくは、フッ化カリウム、フッ化ナトリウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、臭化カリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウムなどのハロゲン含有アルカリ金属塩;クエン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、シュウ酸カリウム、乳酸カリウムなどのカルボキシル基を1種以上有する有機酸アルカリ金属塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの強塩基アルカリ金属塩などを用いることができる。これらもまた、単独で、又は、複数を組み合わせて用いることができる。
【0061】
一方、第3添加剤は、エッチング液組成物1kg中に0.01〜2.0モルの範囲で含まれていることが好ましく、0.05〜1.0モルの範囲がより好ましく、0.1〜0.5モルの範囲がさらに好ましい。また、上記第3添加剤は、上記銅イオン供給源に対する配合比が、モル基準で0.01〜100.0倍であることが好ましく、0.05〜20.0倍であることがより好ましく、0.1〜5.0倍であることがさらに好ましい。第3添加剤の含有量が0.01モル未満であると、金属パターンの表面ラフネスが不良であり、2.0モルを超えると、銅エッチング速度が遅くなったり、沈殿が発生することがある。一例によるエッチング液組成物中の第3添加剤の含有量が上記範囲内であると、金属パターンの表面ラフネスに改善の効果が見られる。
【0062】
なお、フッ化カリウム、フッ化ナトリウムなどのフッ素含有アルカリ金属塩は、上記したようなフッ素イオン供給源としての機能をも有し、塩化カリウム、塩化ナトリウム、臭化カリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウムなどのフッ素以外のハロゲン含有アルカリ金属塩は、上記したようなフッ素イオンを除くハロゲンイオン供給源としての機能をも有している。そのため、一例によるエッチング液組成物にフッ素含有アルカリ金属塩が含まれる場合、(C)成分の含有量は、他のフッ素イオン供給源とフッ素含有アルカリ金属塩を合計した量となり、(F)成分の含有量は、他の第3添加剤とフッ素含有アルカリ金属塩を合計した量となる。同様に、一例によるエッチング液組成物にフッ素以外のハロゲン含有アルカリ金属塩が含まれる場合、(D)成分の含有量は、他の第1添加剤とフッ素以外のハロゲン含有アルカリ金属塩を合計した量となり、(F)成分の含有量は、他の第3添加剤とフッ素以外のハロゲン含有アルカリ金属塩を合計した量となる。
【0063】
(G)その他の添加物質
一例によるエッチング液組成物は、上記した成分以外にも、必要に応じて、水、その他に、エッチング用のエッチング液組成物に通常用いられる各種その他の添加剤を、上記したエッチング液組成物の効果を損なわない範囲で含むことができる。例えば、水としては、蒸留、イオン交換処理、フィルター処理、各種吸着処理などによって金属イオンや有機不純物、パーティクルなどが除去されたものが好ましく、純水がより好ましく、超純水がさらに好ましい。また、その他の添加剤としては、pH調節剤が用いられてもよく、このとき、pH調節剤は、上記エッチング液組成物の効果を阻害しないものであれば特に制限されない。
【0064】
一方、一例によるエッチング液組成物は、過酸化水素や過硫酸塩を含まない場合でも銅及びチタンを含む多層膜のエッチングが可能なため、それらを含んでいなくてもよい。
【0065】
また、一例によるエッチング液組成物は、所望の金属パターンの角度(Taper)を調節するために、当該技術分野で一般的に用いられるアゾール系化合物をさらに含んでいてもよく、それを含んでいなくてもよい。
【0066】
(H)pH
上記一例によるエッチング液組成物のpH値は、3以下であることが好ましい。pH値が3を超えると、エッチング速度が低下し、レジストのリフティング現象が発生することがある。但し、pHが過度に低いと、エッチング速度が高すぎで、エッチング時間の制御が困難になることがある。
【0067】
2.多層膜のエッチング方法
一例によるエッチング方法は、銅及びチタンを含む多層膜をエッチングする方法であって、上記多層膜に上記したような本開示のエッチング液組成物を接触させる工程を含むものである。
【0068】
一例によるエッチング方法は、銅及びチタンを含む多層膜をエッチング対象物とする。エッチング対象物となる多層膜は、銅又は銅を主成分とする化合物の層と、チタン又はチタンを主成分とする化合物の層とを含む多層構造を有することができる。多層膜としては、銅又は銅を主成分とする化合物の層と、チタン又はチタンを主成分とする化合物の層とを積層した2層膜、チタン又はチタンを主成分とする化合物の層と、銅又は銅を主成分とする化合物の層と、チタン又はチタンを主成分とする化合物の層とを積層した3層膜などが挙げられる。
【0069】
銅又は銅を主成分とする化合物としては、銅(金属)や銅合金、或いは酸化銅、窒化銅などが挙げられる。チタン又はチタンを主成分とする化合物としては、チタン(金属)やチタン合金、或いはその酸化物や窒化物などが挙げられる。
【0070】
エッチング対象物は、例えばガラスなどの基板上に、上記したような多層膜を形成し、その上にレジストを塗布し、所望のパターンマスクを露光転写し、現像して所望のレジストパターンを形成することによって得ることができる。多層膜を形成する基板としては、上記のガラス基板の他にも、例えば、ガラス板上にゲート配線を形成し、そのゲート配線上に窒化ケイ素などからなる絶縁膜を設けたような層構造を有する基板であってもよい。本開示において、エッチング対象物に上記したエッチング液組成物を接触させることで多層膜をエッチングし、所望の多層膜配線を形成することによって、チタンを含んでなる層と銅を含んでなる層とを含む多層膜が設けられた多層膜配線を得ることができる。このような銅及びチタンを含む多層膜配線は、フラットパネルディスプレイなどの表示装置の配線などに好ましく用いられる。
【0071】
エッチング対象物にエッチング液組成物を接触させる方法としては、特に制限はなく、例えばエッチング液組成物の滴下(枚葉スピン処理)やスプレーなどの形式で対象物に接触させる方法や、エッチング対象物をエッチング液組成物に浸漬させる方法などの湿式法(ウェット)エッチング方法を採用することができる。本開示では、如何なる方法でもエッチングが可能である。特に、エッチング液組成物をエッチング対象物にスプレーして接触させる方法が好ましく採用される。また、エッチング液組成物を対象物にスプレーして接触させる方法においては、エッチング対象物の上部からエッチング液組成物を下向きにスプレーする方法、又はエッチング対象物の下部からエッチング液組成物を上向きにスプレーする方法などが挙げられる。この際のスプレーノズルは、固定してもよく、首振りや滑動などの動作を加えてもよい。また、スプレーノズルを鉛直下向きに設置してもよく、傾けて設置してもよい。エッチング対象物は、固定してもよく、揺動や回転などの動作を加えてもよく、また水平に配置してもよく、傾けて配置してもよい。
【0072】
エッチング液組成物の使用温度としては、10〜70℃の温度が好ましく、特に、20〜50℃が好ましい。エッチング液組成物の温度が10℃以上であれば、エッチング速度が良好となるため、優れた生産効率が得られる。一方、70℃以下であれば、液組成変化を抑制し、エッチング条件を一定に保つことができる。エッチング液組成物の温度を高くすることで、エッチング速度は上昇するが、エッチング液組成物の組成変化を小さく抑えることなども考慮した上で、適宜最適な処理温度を決定すればよい。
【0073】
3.表示装置の製造方法
図4a及び
図4bは、一例による表示装置の製造方法を示したフロー図である。
【0074】
図4aを参照すると、一例による表示装置の製造方法は、基板上に相互連結されたゲートライン及びゲート電極を形成するゲートパターン形成ステップ(s100);上記ゲート電極上に半導体パターンを形成するステップ(s200);上記ゲートラインと絶縁されるように交差するデータライン、上記データラインと連結されたソース電極、及び上記ソース電極と相互離隔されたドレイン電極を形成するデータパターン形成ステップ(s300);上記ドレイン電極と連結された画素電極を形成するステップ(s400);及び上記画素電極と絶縁された共通電極を形成するステップ(s500)を含む。
【0075】
図4bを参照すると、上記ゲートパターン形成ステップ(s100)及び上記データパターン形成ステップ(s300)の少なくとも一方は、上記基板上に金属層を形成するステップ(s10);上記金属層をエッチング液でエッチングするステップ(s20)を含む。
【0076】
上記基板上に金属層を形成するステップs10は、上記基板上に第1金属層を形成するステップ及び上記第1金属層上に第2金属層を形成するステップを含むことができる。上記第1金属層は、銅を含む金属を蒸着して形成されることができ、上記第2金属層は、チタン又はモリブデンを含む金属を蒸着して形成されることができる。
【0077】
上記エッチング液は、(A)銅イオン供給源;(B)分子内に1以上のカルボキシ基を有する有機酸イオン供給源;(C)フッ素イオン供給源;(D)第1添加剤としてエッチング調節剤、表面酸化力増加剤、又はこれらの組み合わせ;及び(E)第2添加剤として界面活性剤を含むことができる。
【0078】
図6a、
図8a、
図9a、
図10aは、一例による表示装置の製造方法を順次に示した平面図である。
【0081】
上記表示基板は、複数の画素領域を含む絶縁基板、複数のゲートライン、複数のデータライン、複数の共通電極ライン、及び複数の画素を含む。ここで、各画素は同じ構造からなるため、説明の便宜上、上記画素のうち1つの画素、上記画素に隣接した2つのゲートラインGL及び、2つのデータラインDLを示した。
【0082】
図11を参照すると、上記表示基板は、薄膜トランジスタTFTを含み、上記薄膜トランジスタTFTは、ゲート電極1100、ゲート絶縁膜2000、半導体パターン2100、ソース電極2300、及びドレイン電極2500を含む。上記薄膜トランジスタは、フォトリソグラフィ(photolithography)工程を通じてパターニングして形成される。
【0083】
図5を参照すると、上記基板1000上に第1金属層ML1及び第2金属層ML2を順次に積層する。上記第1金属層は、銅を含む金属を蒸着して形成されることができ、上記第2金属層は、チタン又はモリブデンを含む金属を蒸着して形成されることができる。
【0084】
図4a、
図6a、及び
図6bを参照すると、上記第1金属層ML1及び第2金属層ML2をエッチング液でエッチングして、基板1000上にゲートラインGL及びゲート電極1100のゲートパターンを形成する(s100)。上記エッチング液は、(A)銅イオン供給源;(B)分子内に1以上のカルボキシ基を有する有機酸イオン供給源;(C)フッ素イオン供給源;(D)第1添加剤としてエッチング調節剤、表面酸化力増加剤、又はこれらの組み合わせ;及び(E)第2添加剤として界面活性剤を含むことができる。上記ゲートラインGL及び上記ゲート電極1100のそれぞれは、第1ゲート金属層1100p及び第2ゲート金属層1100rで構成されることができる。
【0085】
図7を参照すると、上記ゲート電極1100が形成された上記基板1000上にゲート絶縁膜2000を形成する。上記ゲート絶縁膜2000は、上記ゲート電極1100上に配置されて上記ゲート電極1100をカバーする。
【0086】
図4a、
図8a、及び
図8bを参照すると、上記ゲート絶縁膜2000上に半導体パターン2100を形成する(s200)。上記半導体パターン2100は、上記ゲート絶縁膜2000を介して上記ゲート電極1100に対向する。
【0087】
図4a、
図9a、及び
図9bを参照すると、上記半導体パターン2100上にデータパターンを形成する(s300)。上記データパターンは、上記ゲートラインGLと絶縁されるように交差するデータラインDL、上記データラインDLと連結されたソース電極2300、及びドレイン電極2500を含む。上記データラインDLは、銅を含む金属を蒸着して形成された第1データ金属層(図示せず)、及びチタン又はモリブデンを含む金属を蒸着して形成された第2データ金属層(図示せず)を上記エッチング液でエッチングして形成されることができる。また、上記ソース電極2300は、銅を含む金属を蒸着して形成された第1ソース金属層2300p、及びチタン又はモリブデンを含む金属を蒸着して形成された第2ソース金属層2300rを上記エッチング液でエッチングして形成されることができる。さらに、上記ドレイン電極2500は、銅を含む金属を蒸着して形成された第1ドレイン金属層2500p、及びチタン又はモリブデンを含む金属を蒸着して形成された第2ドレイン金属層2500rを上記エッチング液でエッチングして形成されることができる。上記エッチング液は、(A)銅イオン供給源;(B)分子内に1以上のカルボキシ基を有する有機酸イオン供給源;(C)フッ素イオン供給源;(D)第1添加剤としてエッチング調節剤、表面酸化力増加剤、又はこれらの組み合わせ;及び(E)第2添加剤として界面活性剤を含むことができる。上記ソース電極2300及び上記ドレイン電極2500は相互離隔され、上記半導体パターン2100に連結される。
【0088】
図10bを参照すると、上記ソース電極2300及び上記ドレイン電極2500上に絶縁層3000を形成する。上記絶縁層3000に上記ドレイン電極2500の上面の一部を露出させるコンタクトホールCTを形成する。また、
図3a、
図9a、及び
図9bを参照すると、上記絶縁層3000上に透明電極をパターニングして画素電極3100を形成する。上記画素電極3100は、上記絶縁層3000上に配置され、上記コンタクトホールCTと電気的に連結される。
【0089】
図4a、
図11を参照すると、上記画素電極3100と絶縁された共通電極4100を形成する(s500)。上記共通電極4100は、カラーフィルター基板4000又は薄膜トランジスタが形成された上記基板1000上に形成されることができる。また、上記薄膜トランジスタが形成された上記基板1000と上記カラーフィルター基板4000との間には、液晶層LCを形成することができる。
【実施例】
【0090】
以下、様々な実施例を挙げて本開示についてより詳細に説明する。
【0091】
製造例1:チタン/銅/チタン/ガラス基板の作製
ガラス基板(寸法:150mm×150mm)上にチタンをスパッタしてチタン(金属)からなる層(500Å)を成膜し、次いで銅をスパッタして銅(金属)からなる層(8000Å)を成膜した後、チタンをスパッタしてチタン(金属)からなる層(500Å)を成膜して、チタン/銅/チタンの3層膜構造とした。さらにレジストを塗布し、ライン状パターンマスク(ライン幅:20μm)を露光転写後、現像することで、レジストパターンを形成したチタン/銅/チタン/ガラス基板を作製した。
【0092】
製造例2:銅/チタン/ガラス基板の作製
ガラス基板(寸法:150mm×150mm)上にチタンをスパッタしてチタン(金属)からなる層(200Å)を成膜し、次いで銅をスパッタして銅(金属)からなる層(5000Å)を成膜して、銅/チタンの2層構造とした。さらにレジストを塗布し、ライン状パターンマスク(ライン幅:20μm)を露光転写後、現像することで、レジストパターンを形成した銅/チタン/ガラス基板を作製した。
【0093】
比較例1:エッチング液組成物の製造
容量100mlのポリプロピレン容器に、純水91.5g、(A)銅イオン供給源として硝酸銅(Wako Pure Chemical Ind.,Ltd.、特級グレード、分子量182.56)4.0g、(B)有機酸イオン供給源としてクエン酸(Wako Pure Chemical Ind.,Ltd.、特級グレード、分子量192.13)4.0g、(C)フッ素イオン供給源としてフッ化アンモニウム(Morita Chemical Industries Co.,Ltd.、分子量37.5)0.5gを投入した後、撹拌して各成分の溶解を確認し、エッチング液組成物を調製した。
【0094】
上記のようにして得られたエッチング液組成物の各成分の含有量は、液体組成物1kgあたり、(A)成分が0.27モルであり、(B)成分が0.31モルであり、(B)成分の(A)成分に対する配合比(モル比)は1.17倍であった。また、液体組成物1kgあたり、(C)成分の含有量は、フッ化アンモニウムの2倍当量と計算して0.14モルであった。(C)成分の(A)成分に対する配合比(モル比)は0.5倍であった。得られたエッチング液組成物のpH値は2.5であった。
【0095】
比較例2〜3、参考例1〜2、及び実施例1〜5:エッチング液組成物の製造
各成分の含有量を表1及び表2に記載のようにしたこと以外は、比較例1と同様にしてエッチング液組成物を調製した。
【0096】
【表1】
【0097】
【表2】
【0098】
実験例1:特性評価−1
実施例のエッチング液組成物を用いて、製造例1で得られたレジストパターンを形成したチタン/銅/チタン/ガラス基板をエッチングし、評価基板を得た。得られた評価基板に対して、保管経時、累積経時、液反応性、フォトレジストリフティング(PR lifting)、金属配線断線(mouse bite)、析出物の有無、ガラス減少量を測定し、下記の表3に示した。一方、液反応性は、エッチング液を常温に放置する場合、気泡の発生や外観の色変動の有無で判断し、フォトレジストのリフティングは、EPDの50%オーバーエッチング条件でエッチングしたときのフォトレジストのリフティングの有無で判断した。また、析出物の有無は、評価基板上にエッチング液を滴下した後、時間経過(48時間以上)による析出物の発生の有無で判断し、ガラス減少量は、チタン層のエッチングにおいて、ガラス基板がエッチングされて減少する量を測定して判断した。その他、残りの評価は、当該技術分野で一般的に用いられる評価方法を採用した。
【0099】
【表3】
【0100】
上記表3から分かるように、一例によるエッチング液組成物は、ライフタイムが長いため廃液量を最小化することができ、エッチング液中に自己反応因子が存在しないため液反応性が安定しており、pHが低いためフォトレジストのリフティング(PR lifting)現象を発生させず、析出物がほとんどなく、金属配線断線、Glass減少量の評価も優れている。
【0101】
実験例2:特性評価−2
実施例、比較例、及び参考例のエッチング液組成物を用いて、製造例1で得られたレジストパターンを形成したチタン/銅/チタン/ガラス基板をエッチングし、評価基板を得た。得られた評価基板に対して、表面残渣、多層膜の全量除去時点(End Point Detector、EPD)、クリティカル・ディメンション・ロス(Critical Dimension loss、CD loss)、チタンテーリング(Tailing)を測定し、下記の表4に示した。測定方法は下記の通りであり、用語の具体的な意味は下記の
図1に示した通りである。一方、表面残渣は、ガラス基板の表面(又は、絶縁膜)の金属残物の有/無から確認し、多層膜の全量除去時点は、銅及びチタン層が除去される時点の時間を測定した。また、クリティカル・ディメンション・ロスは、フォトレジストの末端と銅層の末端との間の距離を測定し、テーリングは、銅層の末端から露出したチタン層までの距離を測定した。
【0102】
【表4】
【0103】
上記表4から分かるように、一例によるエッチング液組成物を用いる場合、クリティカル・ディメンション・ロス(CD loss)及びチタンテーリング(Tailing)を最小化することができる。また、第1添加剤としてエッチング調節剤をさらに含む場合、多層膜の全量除去時点(EPD)を2分以下に下げることができ、第1添加剤として表面酸化力増加剤をさらに含む場合は、表面残渣の発生を防止することができる。一方、第2添加剤の含量を30,000ppmを超えて含む場合には、多層膜の全量除去時点(EPD)が2分を超えることがある。
【0104】
実験例3:特性評価−3
実施例、比較例、及び参考例のエッチング液組成物を用いて、製造例1で得られたレジストパターンを形成したチタン/銅/チタン/ガラス基板をエッチングし、評価基板を得た。得られた評価基板に対して、金属パターンの角度(Taper)、直線性及びラフネス(Roughness)、ガラス基板の損傷(Glass attack)を測定し、下記の表5に示した。測定方法は下記の通りであり、用語の具体的な意味は下記の
図1に示した通りである。一方、金属パターンの角度は、金属パターンを断面から観察したときの角度を測定し、直線性及びラフネスは、エッチング処理後の絶縁膜を積層するステップカバレッジ(step coverage)において正常に絶縁膜が覆われているか否かで確認し、ガラス基板の損傷は、エッチング処理した後、電子顕微鏡を用いてガラス基板の表面における損傷の有無を確認した。
【0105】
【表5】
【0106】
上記表5から分かるように、一例によるエッチング液組成物は、第1添加剤に加えて、第2添加剤として界面活性剤をさらに含む場合、直線性及びラフネスが良好となり、ガラス基板の損傷も最小化でき、さらに、金属パターンの角度(Taper)を30°〜50°に調節できることが分かった。また、これに加えて、第3添加剤としてアルカリ金属塩をさらに含む場合は、金属パターンラフネスに改善効果をもたらすこともできる。但し、第2添加剤としてアゾール系化合物を用いる場合や、第2添加剤の含量を1ppm未満又は30,000ppm超えて含む場合には、金属パターンの角度(Taper)を30°〜50°に調節できないこともある。
【0107】
実験例4:特性評価−4
比較例3のエッチング液組成物を用いて、製造例1で得られたレジストパターンを形成したチタン/銅/チタン/ガラス基板(Ti 500Å/Cu 8000Å/Ti 500Å)と製造例2で得られたレジストパターンを形成した銅/チタン/ガラス基板(Cu 5000Å/Ti 200Å)をEPDの30%オーバーエッチング条件でエッチングし、リンス処理後、ブロアーで乾燥し、電子顕微鏡((a)S−4800 10.0kV 10.7mm x30.0k SE(M)/(b)SU9000 10.0kV x20.0k SE/(c)S−4800 10.0kV 9.8mm x50.0k SE(M)/(d)SU9000 10.0kV x20.0k SE)を用いて観察した結果を下記の
図2に示した。ここで、
図2の(a)、(b)は、製造例1で得られたガラス基板をエッチングした場合であり、
図2の(c)、(d)は、製造例2で得られたガラス基板をエッチングした場合である。
【0108】
第2添加剤を含まない比較例3のエッチング液組成物を用いる場合、下記の
図2(a)、(c)に示されたように、40°±10°のTaperを実現できないことが分かった。
【0109】
実験例5:特性評価−5
実施例2のエッチング液組成物を用いて、製造例1で得られたレジストパターンを形成したチタン/銅/チタン/ガラス基板(Ti 500Å/Cu 8000Å/Ti 500Å)と製造例2で得られたレジストパターンを形成した銅/チタン/ガラス基板(Cu 5000Å/Ti 200Å)をEPDの30%オーバーエッチング条件でエッチングし、リンス処理後、ブロアーで乾燥し、電子顕微鏡((a)S−4800 10.0kV 10.7mm x30.0k SE(M)/(b)S−4800 10.0kV 12.3mm x20.0k SE(M)/(c)S−4800 10.0kV 8.5mm x30.0k SE(M)/(d)S−4800 10.0kV 10.6mm x50.0k SE(M)/(e)SU9000 10.0kV x20.0k SE)を用いて観察した結果を下記の
図3に示した。ここで、
図3の(a)、(b)、(c)は、製造例1で得られたガラス基板をエッチングした場合であり、
図3の(d)、(e)は、製造例2で得られたガラス基板をエッチングした場合である。
【0110】
一例によるエッチング液組成物を用いる場合、下記の
図3(a)、(d)に示されたように、40°±10°のTaperを実現することができ、下記の
図3(b)、(c)、(e)に示されたように、パターンの直線性の最大化及び表面ラフネスの最小化が可能であることが分かった。
【0111】
以上、本開示の様々な実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で様々な修正及び変更を加えることができることは、当技術分野の通常の知識を有する者にとって明らかである。