(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。ここでは、搬送対象物が使い捨ておむつ(着用物品)に用いられる吸収体の場合について説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0014】
(1)使い捨ておむつの構成
図1は、本発明に係る使い捨て着用物品の一例である使い捨ておむつ1の製造方法を示す工程図である。
【0015】
使い捨ておむつ1は、着用者の腹部の前側に配置される前腹部2と、着用者の臀部側に配置される後背部3とからなる胴回り部5と、着用者の股下に配置される股下部4と、を有する。
【0016】
前腹部2の端部と後背部3の端部とは、サイドシールSSによって互いに接合されている。前腹部2及び後背部3は、それぞれ伸縮可能である。具体的に、前腹部2及び後背部3は、それ自体に弾性を有する素材(弾性不織布)により形成すること、又は、不織布からなる一対のシート間に弾性部材を伸長状態で添設することにより形成することができる。なお、弾性部材は、ポリウレタン、天然ゴム、熱可塑性樹脂により形成することができる。また、弾性部材の形状は、糸状、リボン状とすることができる。
【0017】
股下部4は、前腹部2と後背部3とに跨るように前腹部2及び後背部3に接合されている。股下部4の平面形状は略長方形であり、股下部4の長手方向の両端部がそれぞれ前腹部2及び後背部3に接合されている。
【0018】
本実施形態における股下部4は、着用者の尿等の体液を吸収可能な吸収体Aにより構成されている。本実施形態では、吸収体Aの幅方向(長手方向と直交する方向)の両縁に、弾性体が、吸収体Aの長手方向に引っ張られた状態で取り付けられている。吸収体Aは、前腹部2及び後背部3に接合された状態で、前腹部2と後背部3とを近接させる方向に収縮する。
【0019】
吸収体Aは、透液性のトップシートS4と、カバーシートS3と、これらシートS3、S4間に設けられた吸収性コアA1と、を有する。
【0020】
トップシートS4は、着用者の肌側に設けられるシートである。カバーシートS3は、着用者の肌と反対側に設けられるシートである。トップシートS4は、液体の透過を許容する不織布又はメッシュシートにより形成することができる。カバーシートS3は、通気性を有するポリエチレンフィルムや撥水性及び通気性を有する不織布又はこれらの積層シートを用いて形成することができる。
【0021】
吸収性コアA1は、トップシートS4を通じて浸入した体液を吸収するものである。吸収性コアA1の厚みは、トップシートS4およびカバーシートS3よりも大きい。本実施形態では、吸収性コアA1の平面形状は略長方形である。吸収性コアA1は、その長手方向が吸収体Aの長手方向と一致する状態で吸収体Aの中央部分(吸収体Aの外周縁を除く部分)に配置されている。
【0022】
吸収性コアA1は、ロールパルプを粉砕して解繊したフラッフを積層することにより形成することができる。フラッフには、高吸水性ポリマーを混合することもできる。また、吸収性コアA1は、フラッフを用いずに、不織布のみで構成したものや、高吸水性ポリマーが担持された不織布などであってもよい。
【0023】
なお、本実施形態では、前腹部2と後背部3とが別々の部材により構成されているが、前腹部2と後背部3との構造はこれに限定されない。例えば、前腹部2に相当する部分と後背部3に相当する部分とを有するシートに2つのレッグホールが形成され、このシートのレッグホールの間の部分を股下部4として利用することもできる。この場合、シートのレッグホール同士の間に吸収体Aを接合することができる。
【0024】
(2)使い捨ておむつの製造方法
次に、
図1を参照して、前記のように構成される使い捨ておむつ1の製造方法について説明する。
【0025】
使い捨ておむつ1の製造方法は、胴回り用シート搬送工程(1)と、股下用シート搬送工程(2)と、コア接合工程(3)と、シート接合工程(4)と、吸収体接合工程と、二つ折り工程(8)と、サイドシール工程(9)と、切断工程(10)と、を含む。吸収体接合工程は、吸収体切断工程(5)と、吸収体搬送工程(6)と、接合工程(7)とを含む。
【0026】
胴回り用シート搬送工程(1)では、胴回り部5を形成するためのシートS10をその長手方向に沿って搬送する。本実施形態では、前記のように、胴回り部5は、前腹部2と後背部3とで構成されている。従って、胴回り用シート搬送工程(1)では、前腹部2を形成するための前側シートS1及び後背部3を形成するための後側シートS2をこれらの長手方向に沿って搬送する。前側シートS1と後側シートS2とは互いに平行に搬送される。胴回り用シート搬送工程(1)は、後述する切断工程(10)が行われるまでの間、前側シートS1及び後側シートS2に所定のテンションを付与した状態で実行される。
【0027】
股下用シート搬送工程(2)では、カバーシートS3をその長手方向に沿って搬送する。カバーシートS3の幅方向両縁には、弾性体がカバーシートS3の長手方向に伸長された状態で取り付けられている。股下用シート搬送工程(2)は、後述する吸収体切断工程(5)が行われるまでの間、カバーシートS3に、その長手方向について所定のテンションを付与した状態で実行される。
【0028】
コア接合工程(3)では、カバーシートS3上に吸収性コアA1を接合する。吸収性コアA1は、その長手方向がカバーシートS3の搬送方向と一致するようにカバーシートS3上に接合される。吸収性コアA1は、その搬送方向に所定の間隔をおいてカバーシートS3上に接合される。
【0029】
シート接合工程(4)では、カバーシートS3とトップシートS4との間で吸収性コアA1が挟まれるようにカバーシートS3上にトップシートS4を配置するとともに、カバーシートS3にトップシートS4を接合して吸収体Aの連続体A2を形成する。
【0030】
吸収体切断工程(5)では、吸収性コアA1同士の間の位置でカバーシートS3及びトップシートS4を切断して、連続体A2から吸収体Aを切り分ける。これにより、カバーシートS3の搬送方向に延びる略長方形の吸収体Aが形成される。
【0031】
吸収体搬送工程(6)では、吸収体Aを前側シートS1及び後側シートS2に跨る位置まで搬送する。
【0032】
ここで、本実施形態では、カバーシートS3は、前側シートS1及び後側シートS2と平行に搬送されており、吸収体Aの長手方向と前側シートS1及び後側シートS2の搬送方向とは平行である。これに対して、前記のように、吸収体A(股下部4)は、その長手方向の両端部分がそれぞれ前腹部2(前側シートS1)及び後背部3(後側シートS2)に接合される。そこで、この吸収体搬送工程(6)では、吸収体Aを、90度旋回させる。
【0033】
接合工程(7)では、吸収体Aの長手方向の一方の端部を前側シートS1に接合するとともに吸収体Aの長手方向の他方の端部を後側シートS2に接合して接合体(符号省略)を形成する。
【0034】
二つ折り工程(8)では、前記接合体を両シートS1,S2の長手方向と直交する幅方向に二つ折りにする。
【0035】
サイドシール工程(9)では、両シートS1,S2の長手方向の両端部分において、両シートS1,S2の重なり部分同士を接合してサイドシールSSを形成する。
【0036】
切断工程(10)では、両シートS1,S2の長手方向の両端部分にサイドシールSSが残るように両シートS1,S2を切断して使い捨ておむつ1を形成する。
【0037】
なお、前記製造方法では、前側シートS1及び後側シートS2を平行して搬送し、両シートS1,S2に跨るように吸収体Aを両シートS1,S2に接合する方法を採用しているが、本発明に係る製造方法は、これに限定されない。
【0038】
例えば、胴回り用シート搬送工程(1)では、前腹部2及び後背部3に相当する部分を有する胴回り用シートを搬送することができる。この場合、胴回り用シートに複数のレッグホールを形成することにより当該胴回り用シートのレッグホール間の部分に股下部4に相当する部分を形成することができる。この場合、接合工程(7)では、胴回り用シートのレッグホール間の部分に吸収体Aが接合される。
【0039】
(3)使い捨ておむつの製造装置
次に、
図2を参照して、吸収体切断工程(5)、吸収体搬送工程(6)および接合工程(7)を実行する際に用いられる装置について説明する。
図2は、使い捨ておむつを製造する製造装置100のうちこれら工程の実施に用いられる装置を示した概略正面図である。
【0040】
(i)装置概要
製造装置100は、切断ローラ70、アンビルローラ(受け渡しローラ)50、中間搬送装置10、シート案内ローラ6を有する。これら装置のうち、アンビルローラ50と中間搬送装置10とは、吸収体AをシートS1,S2に搬送する搬送装置101として機能する。
【0041】
シート案内ローラ6は、特定方向(
図2の紙面に直交する方向)に延びる軸回りに回転してシートS1,S2を案内する回転部材である。以下、この特定方向を前後方向という。
【0042】
シートS1,S2は、図外の駆動ローラが回転すると、シート案内ローラ6の接線方向に沿って搬送される。本実施形態では、シートS1,S2は、シート案内ローラ6の上端位置を通って略水平に搬送される。
【0043】
切断ローラ70は、前後方向に延びる軸回りに回転する回転体であり、その外周に切断刃72を有している。本実施形態では、切断ローラの外周面に、180度間隔で2つの切断刃72が設けられている。
【0044】
アンビルローラ50は、前後方向に延びる第1回転軸C1回りに回転する回転体である。アンビルローラ50と切断ローラ70とは、ベルト等を介して連結されており、同期して互いに反対向きに回転する。アンビルローラ50は、切断ローラ70と協働して連続体A2を切断して吸収体Aを形成する。アンビルローラ50は、切断された吸収体Aを中間搬送装置10に搬送する。
【0045】
本実施形態では、アンビルローラ50は、その上端位置にて連続体A2を受け取り、この受け取り位置付近にて連続体A2を切断した後、吸収体Aをその下端位置において中間搬送装置10に受け渡す。
【0046】
アンビルローラ50の周速度すなわちアンビルローラ50の搬送速度は、アンビルローラ50に連続体A2が受け渡される速度すなわちアンビルローラ50までの連続体A2の搬送速度よりも速い。従って、連続体A2は、アンビルローラ50に受け渡されてから切断されるまでの間、搬送方向上流側に向かってスリップする。このようにするのは、吸収体Aどうしを離間させて、各吸収体Aを、それぞれ後述する保持パッド40に対応する位置に配置して、保持パッド40に適切に受け渡すためである。
【0047】
中間搬送装置10は、
図8に示すように、第1回転軸C1と平行に延びる第2回転軸C2回りに回転する本体部15と、本体部15の回転に応じて第2回転軸C2回りに回転するように本体部15に取り付けられた複数の保持パッド40とを有する。本体部15および保持パッド40は、アンビルローラ50と反対向きに回転する。
【0048】
中間搬送装置10は、保持パッド40がアンビルローラ50と対向する第1受け渡し位置(第1の回転位置)E1にあるときに、アンビルローラ50の外周面から保持パッド40の外側面(本体部15の径方向外側の面)上に吸収体Aを受け取る。そして、中間搬送装置10は、保持パッド40を第2受け渡し位置(第2の回転位置)E2に移動させて、この第2受け渡し位置E2において、保持パッド40の外側面からシートS1,S2上に吸収体Aを受け渡す。第2受け渡し位置E2では、吸収体AはシートS1,S2に押し付けられて、シートS1,S2に接合される。
【0049】
また、中間搬送装置10は、第1受け渡し位置E1から第2受け渡し位置E2に向けて保持パッド40ひいては吸収体Aを旋回させながらシートS1,S2に搬送する。具体的には、保持パッド40は、第2回転軸C2と直交する旋回軸回りに旋回する。前記のように、本実施形態では、保持パッド40および吸収体Aは、第1受け渡し位置E1から第2受け渡し位置E2に移動する間に90度旋回する。
【0050】
本実施形態では、第1受け渡し位置E1は、保持パッド40が最も上方に移動した位置とされ、第2受け渡し位置E2は、保持パッド40が最も下方に移動した位置とされており、本体部15が180度回転する間に保持パッド40および吸収体Aは90度旋回する。
【0051】
(ii)アンビルローラの詳細構成
次に、
図3〜
図7を用いてアンビルローラ50の詳細構造について説明する。
図3は、アンビルローラ50の概略縦断面図である。
図4は、
図3のIV−IV線断面図である。
図5は、
図3の一部を拡大して示した図である。
図6は、アンビルローラ50の外周面の一部を拡大して示した図である。
図7は、
図4の一部(VIIで示す部分)を拡大して示した図である。
【0052】
アンビルローラ50は、前後方向に延びる円筒状の固定ドラム53の外周面に、この固定ドラム53の中心軸である第1回転軸C1回りに回転可能に取り付けられている。アンビルローラ50は、1対の支持板55,55と、アンビル側保持パッド60と、複数のアンビル(受け部)52と、複数のアンビルホルダー57とを備える。本実施形態では、
図4に示すように、1つのアンビルローラ50に、90度間隔で4つのアンビル52およびアンビルホルダー57が設けられている。
【0053】
以下、アンビルローラ50の説明において、アンビルローラ50の回転方向を単に回転方向といい、アンビルローラ50の径方向を単に径方向という。
【0054】
支持板55,55は、中心に固定ドラム53が挿通される丸孔が形成された円板状の部材である。支持板55,55は、固定ドラム53の外周面に、ベアリング54を介して、第1回転軸C1回りに回転可能に取り付けられている。これら支持板55,55は、前後方向に互いに離間し、かつ、互いに平行に配置されている。
【0055】
アンビル52は、切断刃72を受けるものであり、板状を呈する。連続体A2は、切断刃72とアンビル52とに挟圧されることで切断される。
【0056】
アンビルホルダー57は、アンビル52を支持するためのブロック体である。アンビルホルダー57は、支持板55,55に固定されており、アンビル52は、アンビルホルダー57を介して支持板55,55に支持されている。
【0057】
アンビル側保持パッド60は、その外周面(径方向外側の面)に吸収体Aを吸着して保持するためのものであり、支持板55,55と一体に第1回転軸C1回りに回転する。アンビル側保持パッド60は、支持板55,55の外周縁によって、これら外周縁間にわたって延びるように支持されている。
【0058】
アンビルローラ50の外周面は、アンビル側保持パッド60の外周面と、アンビル52の先端(径方向の外側の端部)とによって構成されており、アンビル側保持パッド60は、支持板55,55の外周縁のほぼ全体にわたって延びている。
【0059】
具体的には、
図4および
図6に示すように、アンビル側保持パッド60には、90度間隔で4つの切欠き60aが形成されている。各アンビル52は、
図3および
図4に示すように、これら切欠き部分60aに、それぞれ先端52aが露出する状態で配置されている。
【0060】
吸収体Aは、連続体A2から切り分けられた後、このアンビル側保持パッド60のうちこれら切欠き60a間の部分に保持される。本実施形態では、アンビル側保持パッド60の前後方向の寸法(幅方向の寸法)は、吸収体Aの幅寸法よりも大きく設定されている。これに伴い、吸収体Aは、アンビル側保持パッド60のこれら切欠き60a間の部分のうちその前後方向の両端部分61,61を除く部分に保持される。このように、本実施形態では、アンビル側保持パッド60のうち切欠き60a間の部分であってその前後方向の両端部分61,61を除く部分が、それぞれ、吸収体Aを保持するアンビル側保持領域(受け渡し側保持領域)69に設定されている。
【0061】
図7に示すように、本実施形態では、アンビル52の先端52aは、第1回転軸C1を中心とする円柱面に沿って延びる湾曲面とされている。これは、切断刃72とアンビル52とを安定して当接させるためである。すなわち、この構成では、仮に切断刃72の位置がずれた場合であっても、アンビル52の先端52aのうち切断刃72と対向する部分の径方向の位置が一定に維持されて、この部分と切断刃72との距離が一定に維持されるため、アンビル52と切断刃72とによって吸収体Aを適切に挟圧することができる。
【0062】
アンビル側保持パッド60のうち回転方向についてアンビル52の両側に位置する部分には、アンビル52に向かって径方向の内側に傾斜する傾斜部60b,60bが形成されている。
【0063】
図5に示すように、アンビル側保持領域69には、径方向の内側に凹む凹部62が形成されている。凹部62は、第1凹部62a,62aと第2凹部62bとで構成されている。
【0064】
具体的には、アンビル側保持領域69の前後方向の両端部分には、その前後方向の両外側縁からそれぞれ前後方向の中央に向かって径方向の内側に凹む第1凹部62a,62aが設けられている。本実施形態では、第1凹部62a,62aは、アンビル側保持領域69の前後方向の両端部分に、回転方向の全体にわたって設けられている。
【0065】
これら第1凹部62a,62aの底面62eは、第1凹部62a,62aが第1受け渡し位置E1にあり後述する保持パッド40の保持領域41と対向している状態で、第1回転軸C1および第2回転軸C2を通る平面による断面において、この保持領域41の一部が沿う第1湾曲面P1に沿って延びている。
【0066】
ここで、後述するように、本実施形態では、第1湾曲面P1は第2回転軸C2上の点を中心とする球面である。従って、第1凹部62a,62aの底面62eは、前記状態において、第1回転軸C1および第2回転軸C2を通る断面でみたときに、回転中心軸C2上の点を中心とする円弧に沿って延びている。すなわち、第1凹部62a,62aは、アンビル側保持パッド60を挟んで第1回転軸C1と反対側に中心が位置する円の円弧P11に沿って延びている。
【0067】
また、アンビル側保持領域69の中央部分には、これら第1凹部62a,62aよりも径方向の内側に凹む第2凹部62bが設けられている。本実施形態では、第2凹部62bは、アンビル側保持領域69の前後方向の中央部分に、回転方向全体にわたって設けられており、第1凹部62a,62aの間の部分全体に設けられている。詳細には、第1凹部62a,62aの前後方向の中央側の縁には、それぞれ径方向の内側に向かう段部62cが形成されており、これら段部62c間に第2凹部62bが形成されている。
【0068】
第2凹部62bの底面62dは、第1回転軸C1を通る平面による断面において、円弧P11と同心の円弧P12に沿って延びている。
【0069】
また、第2凹部62bの底面62dの径方向の位置は、アンビル52の先端52aの径方向の位置と一致するように設定されている。
【0070】
ここで、第2凹部62bの前後方向の寸法は、吸収性コアA1の幅寸法とほぼ同じに設定されており、吸収性コアA1が第2凹部62bに配置されるようになっている。従って、
図5に破線で示すように、吸収体Aは、吸収性コアA1が第2凹部62bに配置され、吸収性コアA1の幅方向の外側部分が第1凹部62a,62aに配置された状態で、アンビル側保持パッド60に保持される。
【0071】
アンビル側保持パッド60の外周面には、
図6に示すように、複数のアンビル側吸引孔(受け渡し側吸引孔)65aが開口している。また、
図4および
図5に示すように、アンビル側保持パッド60の内部には、その幅方向(前後方向)に延びる連通孔65bがアンビル側保持パッド60の周方向に複数形成されている。各アンビル側吸引孔65aはこれら連通孔65bと連通しており、これら連通孔65bは、連通孔65bの軸方向の外側に区画されたチャンバおよびエア配管90(
図3参照)を介して吸引ポンプ等の吸引源(不図示)と接続されている。吸引源が作動すると、エア配管90、チャンバおよび連通孔65bを介してアンビル側吸引孔65a内の空気は、アンビル側保持パッド60の径方向の内側に吸引される。そして、このようにアンビル側吸引孔65a内の空気が吸引されて負圧となることで、吸収体Aはアンビル側保持パッド60の外周面に吸着される。
【0072】
本実施形態では、
図6に示すように、アンビル側吸引孔65aの開口率(単位面積あたりのアンビル側吸引孔65aの開口面積)は、第1凹部62a,62aで最も高くなるように設定されており、第1凹部62a,62aにおける吸引力が高くされる一方、第2凹部62b、62bにおける吸引力は低く抑えられている。すなわち、アンビル側吸引孔65aの開口率は、アンビル側保持領域69のうち第1凹部62a,62aが形成された部分であって前後方向の両端部分の方が、アンビル側保持領域69の残余の部分よりも大きく設定されている。本実施形態では、第2凹部62
bにおけるアンビル側吸引孔65aの開口率は、10%よりも小さく抑えられている。例えば、この開口率は、1%程度とされている。
【0073】
本実施形態では、アンビル側吸引孔65aは、第1凹部62a,62aの回転方向全体にほぼ均一に形成されている。
【0074】
また、第1凹部62a,62aには、吸収体Aの搬送方向の上流側(
図6の上側)に向かって前後方向について互いに離れる方向に傾斜する長孔形状のアンビル側吸引溝(受け渡し側吸引溝)65cが複数形成されている。アンビル側吸引溝65cは、回転方向についてほぼ等間隔で形成されている。
【0075】
これらアンビル側吸引溝65cは、それぞれ複数のアンビル側吸引孔65aと連通している。具体的には、第1凹部62a,62aの底面62eにアンビル側吸引溝65cが形成され、このアンビル側吸引溝65cの底面にアンビル側吸引孔65aの一部が形成されている。すなわち、本実施形態では、一部のアンビル側吸引孔65aは、第1凹部62a,62aの表面に開口しており、一部のアンビル側吸引孔65aは、第1凹部62a,62aにおいてアンビル側吸引溝65cの底面に開口している。本実施形態では、1つのアンビル側吸引溝65cの底部に2つのアンビル側吸引孔65aが形成されている。
【0076】
支持板55,55の前側面および後側面には、それぞれ、これら側面を凹ませることによって放熱用溝55a,55aが形成されている。これら放熱用溝55a,55aは、径方向について互いに異なる位置において、支持板55,55の全周にわたって形成されている。
【0077】
これら放熱用溝55a,55aは、支持板55,55の熱膨張、特に、支持板55,55のうちアンビル52が配置される部分の熱膨張を抑制して、切断刃72の損傷を抑制するためのものである。
【0078】
具体的には、アンビル52は、支持板55の外周縁に配置されている。そのため、支持板55が回転に伴って熱膨張すると、アンビル52が径方向外側に変位してしまい、アンビル52に当接する切断刃72が早期に損傷するおそれがある。
【0079】
これに対して、本実施形態では、支持板55,55に放熱用溝55a,55aが形成されていることで、支持板55,55の表面積が大きくされているとともに、支持板55,55のうち発熱する内周縁(ベアリング54側の部分)から外周縁までの熱伝達経路長が長くされており、これにより熱が伝わりにくくされている。また、放熱用溝55a,55aが形成されていることで、支持板55のうちベアリング54側の部分で生じた熱膨張がアンビル52側の部分に伝わりにくくされている。具体的には、支持板55のうちベアリング54側の部分で熱膨張が生じても、放熱用溝55a,55aの変形によって、この熱膨張による歪みが吸収されてアンビル52側へ伝わる変形が小さくされる。従って、本実施形態では、放熱用溝55a,55aからの放熱により支持板55,55の熱膨張自体が抑制されるとともに、支持板55のうちアンビル52付近への熱および熱膨張の伝達が抑制され、アンビル52の変位および切断刃72の損傷が抑制される。
【0080】
(iii)中間搬送装置
次に、
図8、
図9を用いて、中間搬送装置10の具体的構造について説明する。
図8は、中間搬送装置10の概略正面図である。
図9は、中間搬送装置10の概略側面図である。
【0081】
前記のように、中間搬送装置10は、本体部15と、複数の保持パッド40とを有する。本実施形態では、中間搬送装置10は、10個の保持パッド40を有する。
【0082】
本体部15は、所定の設置面(不図示)に、前後方向に延びる第2回転軸C2回りに回転可能に設置されている。また、本体部15には、これと一体に回転する回転支持体16が固定されており、この回転支持体16に保持パッド40が連結されている。
【0083】
以下、中間搬送装置10の説明において、本体部15の径方向を単に径方向という。
【0084】
保持パッド40は、回転支持体16の径方向の外側にその周方向に沿って配列されている。各保持パッド40は、回転支持体16にアーム17およびリンクレバー18を介して接続された駆動ベース26に、旋回支柱28を介して支持されている。旋回支柱28は径方向に延びる円柱状部材である。
【0085】
中間搬送装置10には、各保持パッド40を径方向すなわち第2回転軸C2と直交する方向に延びる旋回軸回りに旋回させるための旋回用カム33と、各保持パッド40の周方向の速度を変化させるための変速用カム32とが設けられている。
【0086】
旋回用カム33は、第2回転軸C2を中心軸とする円筒状部材である。旋回用カム33は、中間搬送装置10の設置面に回転不能に固定されている。
図9に示すように、旋回用カム33には、その外周面を窪ませることによって形成された旋回用カム溝33bが形成されている。旋回用カム溝33bは、第2回転軸C2回りの位置が変化することに応じて前後方向の位置が変化する経路に沿って形成された部分を有する。
【0087】
保持パッド40を支持する旋回支柱28には、レバー29を介してカムフォロア30が取り付けられている。カムフォロア30は、旋回用カム溝33bに係合しており、本体部15の回転に応じて旋回用カム溝33bの内側面に沿って案内される。カムフォロア30が旋回用カム溝33bに沿って案内されると、旋回支柱28および保持パッド40は旋回支柱28の中心軸回りに回転する。すなわち、旋回軸は旋回支柱28の中心軸と一致しており、カムフォロア30は、本体部15の回転に応じて保持パッド40が旋回軸回りに旋回するように旋回用カム溝33bによって案内される。このように、本実施形態では、旋回用カム33、レバー29、カムフォロア30が、保持パッド40を旋回させる旋回機構として機能する。前記のように、本実施形態では、本体部15が180度回転する間に保持パッド40は90度旋回する。
【0088】
図8に示すように、変速用カム32は、第2回転軸C2を中心とする略円板状部材である。変速用カム32は、中間搬送装置10の設置面に回転不能に固定されている。変速用カム32には、その前側面を窪ませることによって形成された変速用カム溝32bが形成されている。変速用カム溝32bは、第2回転軸C2と異なる位置に中心を持つ略円形の形状を有する溝である。
【0089】
変速用カム溝32bには、アーム17に取付けられたカムフォロア17dが係合している。カムフォロア17dは、第2回転軸C2と平行な軸を中心として回転可能な状態でアーム17に取付けられている。本体部15の回転に伴ってカムフォロア17dが変速用カム溝32bに沿って案内されると、アーム17は回転する。アーム17が回転すると、アーム17とリンクレバー18との角度が変化し、リンクレバー18に固定されている駆動ベース26および保持パッド40の周方向の速度が変更される。
【0090】
本実施形態では、各保持パッド40は、第2回転軸C2からの距離が一定に維持された状態で第2回転軸C2回りに回転する。すなわち、各保持パッド40は、第2回転軸C2を中心とする円筒面上を回転する。
【0091】
次に、
図10〜
図13を用いて、保持パッド40の詳細構造について説明する。
図10は、保持パッド40を拡大して示す概略斜視図である。
図11は、保持パッド40の平面図である。
図12および
図13は、それぞれ保持パッド40の正面図および側面図である。
【0092】
保持パッド40は、その外側面40aに吸収体Aを吸着して保持するものであり、保持パッド40の外側面40aには吸収体Aを保持する保持領域41が設定されている。本実施形態では、保持パッド40の外側面40a全体が保持領域41に設定されている。
【0093】
本実施形態では、保持領域41は、吸収体Aに対応して平面視で略長方形である。以下、保持パッド40の説明において、保持領域41の長手方向(
図11の上下方向)を単に長手方向といい、この長手方向と直交する幅方向(
図11の左右方向)を幅方向という。
【0094】
保持パッド40は、第1受け渡し位置E1において、保持領域41の長手方向が本体部15の回転方向に沿い且つ幅方向が前後方向に沿う第1の姿勢とされる。そして、保持パッド40は、第1受け渡し位置E1から第2受け渡し位置E2に回転する間に90度旋回することに伴い、第2受け渡し位置E2において、保持領域41の長手方向が前後方向に沿い且つ幅方向が本体部15の回転方向に沿う第2の姿勢とされる。
【0095】
保持領域41は、保持パッド40が第1受け渡し位置E1にある状態で本体部15の回転方向すなわち保持パッド40の回転方向の一方側の端部となる部分の少なくとも一部および他方側の端部となる部分の少なくとも一部(すなわち、保持領域41の長手方向の一方側の端部の少なくとも一部および他方側の端部となる部分の少なくとも一部)からなる第1領域が、第1湾曲面P1に沿って延びる形状を有する。さらに、保持領域41は、保持パッド40が第2受け渡し位置E
2にある状態で、本体部15および保持パッド40の回転方向の一方側の端部となる部分の少なくとも一部および他方側の端部となる部分の少なくとも一部(すなわち、保持領域41の幅方向の一方側の端部の少なくとも一部、および、その幅方向の他方側の端部の少なくとも一部)からなる第2領域が、第2湾曲面P2に沿って延びる形状を有する。
【0096】
本実施形態では、第1領域は、保持領域41の長手方向の両端部分41a,41aの全体に設定されている。また、第2領域は、保持領域41の幅方向の両端部分のうち長手方向の両端部分すなわち保持領域41の四隅であって保持領域41の長手方向の両端部分41a,41aに含まれる部分に設定されている。
【0097】
第1湾曲面P1は、保持パッド40が第1受け渡し位置E1にある状態でこの第1湾曲面P1を第2回転軸C2に沿ってみたときに第2回転軸C2を中心とする円弧となる形状を有している。すなわち、
図12に示すように、保持領域41の長手方向の両端部分41a,41aは、保持パッド40の幅方向と直交する各断面において円弧に沿って延びている。
【0098】
また、第2湾曲面P2は、保持パッド40が第2受け渡し位置E2にある状態でこの第2湾曲面P2を第2回転軸C2に沿って見たときに第2回転軸C2を中心とする円弧となる形状を有している。すなわち、
図13に示すように、保持領域41の四隅は、保持パッド40の長手方向と直交する各断面において円弧に沿って延びている。
【0099】
本実施形態では、第1湾曲面P1と第2湾曲面P2とは、同じ球面P0であって、保持領域41の中央を通り径方向に延びる保持パッド40の中心線C3と第2回転軸C2との交点を中心とする球面に設定されている。そして、保持領域41の長手方向の両端部分41a,41a全体が球面P0に沿って延びている。
【0100】
一方、保持領域41のうち第1領域と第2領域とを除く部分は、各湾曲面P1,P2よりも径方向の内側に位置している。本実施形態では、保持領域41の長手方向の中央部分41bが、球面P0よりも径方向の内側に位置している。具体的には、保持領域41の中央部分41bは、中心線C3と直交する平面とされている。また、保持領域41の長手方向の中央部分41bは、平面視で円形とされている。また、
図12に示すように、保持領域41の長手方向の中央部分41bは、長手方向の両端部分41a,41aと連続する平面とされている。
【0101】
保持領域41すなわち保持パッド40の外側面40aには、
図11および
図12に示すように、複数の保持パッド側吸引孔42が開口している。これら保持パッド側吸引孔42は、吸引ポンプ等の吸引源(不図示)に接続されており、この吸引源の作動によって、保持パッド側吸引孔42内の空気は保持パッド40の径方向内側に吸引される。そして、このように保持パッド側吸引孔42内の空気が吸引されて負圧となることで、吸収体Aは保持パッド40の外側面40aに吸着される。なお、
図10では、保持パッド側吸引孔42の図示は省略している。
【0102】
本実施形態では、
図11に示すように、保持パッド側吸引孔42は、その開口率が、保持領域41の四隅(
図11にQ1〜Q4で示す部分付近)において最も高くなるように形成されており、この四隅における吸引力が高くされている。
【0103】
以上説明したように、本実施形態では、保持領域41のうち、保持パッド40が第1受け渡し位置E1にある状態で本体部15および保持パッド40の回転方向の一方側の端部となる部分の少なくとも一部および他方側の端部となる部分の少なくとも一部が、この状態で第2回転軸C2に沿ってみたときに第2回転軸C2を中心とする円弧となる形状を有する第1湾曲面P1(球面P0)に沿って延びているとともに、保持パッド40が第2受け渡し位置E2にある状態で本体部15および保持パッド40の回転方向の一方側の端部となる部分の少なくとも一部および他方側の端部となる部分の少なくとも一部が、この状態で第2回転軸C2に沿ってみたときに第2回転軸C2を中心とする円弧となる形状を有する第2湾曲面P2(球面P0)に沿って延びている。
【0104】
そのため、アンビルローラ50から保持パッド40への吸収体Aの受け渡し時に、保持領域41の搬送方向の上流側の端部の少なくとも一部および下流側の端部の少なくとも一部を吸収体Aに密着させることができる。従って、吸収体Aを保持パッド40に適切に受け渡すことができる。また、保持パッド40からシートS1,S2への吸収体Aの受け渡し時に、吸収体Aのうちその搬送方向の上流側の端部の少なくとも一部および下流側の端部の少なくとも一部を、シートS1,S2に密着させることができる。従って、吸収体Aを、シートS1,S2に適切に受け渡すことができる。具体的には、これら受け渡し時に吸収体Aの位置がずれて皺等が生じるのを抑制することができる。
【0105】
特に、本実施形態では、保持領域41の長手方向の両端部分41a,41aであって、第1受け渡し位置E1にある状態で保持領域41の搬送方向の上流端の全体および下流端の全体が第1湾曲面P1に沿って延び、第2受け渡し位置E2にある状態で保持領域41の搬送方向の上流端のうち前後方向の両端部分および下流端のうち前後方向の両端部分が第2湾曲面P2に沿って延びており、保持領域41の四隅がいずれの位置E1,E2においても湾曲面P1,P2に沿うようになっている。そのため、吸収体Aと保持パッド40との密着性および吸収体AとシートS1,S2との密着性を高めて、より適切に吸収体Aを搬送することができる。
【0106】
しかも、本実施形態では、保持領域41の残余の部分すなわちの長手方向の中央部分41bが、球面P0すなわち第1湾曲面P1および第2湾曲面P2よりも径方向の内側に位置している。従って、保持領域41に吸収体Aが保持された状態において、吸収体Aの中央部分が球面P0すなわち各湾曲面P1,P2に沿って折り曲げられるのを抑制することができ、この折り曲げに伴って吸収体Aに皺が生じるのを抑制することができる。
【0107】
特に、本実施形態では、吸収体Aの中央部分に厚みの大きい吸収性コアA1が配置されるため、仮に、この厚みの大きい吸収体Aの中央部分が球面P0すなわち各湾曲面P1,P2に沿って曲げられた場合には、吸収体Aの径方向の内側部分(保持パッド40側の部分)が収縮して多数の皺が生じる。これに対して、本実施形態では、吸収体Aの中央部分の折り曲げを抑制することができ、皺の発生を効果的に抑制することができる。
【0108】
さらに、本実施形態のように、弾性体が吸収体Aに取り付けられている場合には、吸収体Aは、この弾性体の弾性力によって収縮しようとする。これに対して、本実施形態では、前記のように、吸収体Aの受け渡し時に、保持領域41の長手方向の両端部分41a,41aに保持された吸収体Aのうちの四隅を、受け渡し先に密着させることができるため、この受け渡し時に吸収体Aが収縮するのを抑制して吸収体AをシートS1,S2に適切に接合させることができる。
【0109】
このように、本実施形態では、吸収体Aに皺が生じるのを抑制しつつ、吸収体Aを保持パッド40の保持領域41およびシートS1,S2に密着させることができ、吸収体Aを適切に搬送することができる。
【0110】
また、前記実施形態によれば、次の効果を奏することができる。
【0111】
第1湾曲面P1と第2湾曲面P2とが同じ球面P0とされている。
【0112】
そのため、比較的簡単な構成で、保持領域41に第1湾曲面P1と第2湾曲面P2とを設けることができる。
【0113】
また、保持パッド側吸引孔42の開口率が、保持パッド40が第1の受け渡し位置E1にある状態において保持領域41の前後方向の両端に位置する部分のうちの保持パッド40の回転方向の両端に位置する部分、すなわち、保持領域41の四隅において最も高くされており、この四隅の吸引力が高くされている。
【0114】
そのため、吸収体Aが保持パッド40に保持されて搬送されている時、吸収体Aがアンビルローラ50から保持パッド40に受け渡される時、および、吸収体Aが保持パッド40からシートS1,S2に受け渡される時に、吸収体Aが位置ずれを起こして吸収体Aに皺が生じるのを抑制することができる。また、これらの時に、吸収体Aが収縮するのを抑制することができる。
【0115】
また、アンビル側保持パッド60のアンビル側保持領域69の前後方向の両端部分に、第1凹部62a,62aが形成されている。そして、第1凹部62a,62aと保持パッド40とが対向している状態で、第1凹部62a,62aの底面62eが、第1回転軸C1および第2回転軸C2を通る平面による断面において、第1湾曲面P1(円弧P11)に沿って延びている。
【0116】
そのため、アンビル側保持パッド60に保持されている吸収体Aの四隅を、保持パッド40の四隅により確実に密着させることができ、アンビルローラ50から保持パッド40への吸収体Aの受け渡しをより適切に行うことができる。
【0117】
また、アンビル側保持領域69の中央部分に、第1凹部62a,62aよりもアンビルローラ50の径方向内側に凹む第2凹部62bが形成されている。
【0118】
そのため、吸収体Aがアンビルローラ50から保持パッド40に受け渡される際に、吸収体Aの中央部分をアンビルローラ50の径方向内側に退避させることができる。そのため、吸収体Aの四隅が保持パッド40の外側面からアンビルローラ50側に浮き上がるのを防止することができる。従って、吸収体Aの四隅と保持パッドとの密着性を高めることができる。
【0119】
特に、本実施形態のように、厚みのある吸収性コアA1が第2凹部62bに配置される場合には、効果的に、この吸収性コアA1をアンビルローラ50の径方向内側に退避させて、吸収体Aの四隅をアンビルローラ50の外周面および保持パッド40により確実に密着させることができる。
【0120】
また、第2凹部62bの底面62dが、第1回転軸C1を通る断面において、円弧P11と同心の円弧P12に沿って延びている。従って、吸収体Aのうち第2凹部62bの底面62d上に配置された部分(吸収性コアA1)と、これに対応する部分であって保持パッド40の長手方向の両端のうち前後方向の中央部分との密着性を高めることができる。
【0121】
また、アンビルロール50の径方向について、アンビル52の先端52aの位置が第2凹部62bの底面62dの位置と同じに設定されている。
【0122】
そのため、切断刃72を、アンビルローラ50の径方向について、第2凹部62bの底面62dの位置つまり連続体A2またはこれよりも内側に進入させることができ、連続体A2をより確実に切断することができる。
【0123】
また、アンビル側保持パッド60のうちアンビル52が配置される切欠き部分60aすなわちアンビルローラ50の外周面のうちアンビル52の回転方向の両側の部分に、アンビル52に向かってアンビルローラ50の径方向の内側に傾斜する傾斜部60b,60bが形成されている。
【0124】
そのため、切断刃72とアンビル側保持パッド60とが接触するのを抑制することができる。
【0125】
具体的には、アンビル側保持パッド60の幅方向の両端部分61,61および第1凹部62a,62aは、アンビル52よりも径方向の外側に位置している。そのため、切断刃72が、アンビル52に向かう途中で、このアンビル52よりも径方向の外側に位置する部分と接触するおそれがあり、また、切断刃72が、アンビル52から離間する途中でこの部分と接触するおそれがある。これに対して、本実施形態では、前記傾斜部60b,60bが形成されていることで、この切断刃72とアンビル側保持パッド60との接触を抑制できる。
【0126】
また、アンビル側保持領域69の前後方向の両端部分を構成する第1凹部62a,62aに、吸収体Aの搬送方向の上流側に向かって前後方向について互いに離れる方向に傾斜する長孔形状のアンビル側吸引溝65cが形成されている。
【0127】
そのため、吸収体Aの前後方向の両端部分に搬送方向の上流側に向かって前後方向について互いに離れる方向(前後方向の外側向き)の力を加えることができる。従って、吸収体Aが前後方向の中央側に収縮して吸収体Aに皺が生じるのを抑制することができる。
【0128】
具体的には、本実施形態では、アンビルローラ50に連続体A2が供給される速度よりも、アンビルローラ50の搬送速度(アンビルローラ50の周速度)の方が大きい。そのため、吸収体Aが連続体A2から切断されるまでの間、連続体A2は搬送方向上流側にスリップする。このとき、スリップする連続体A2の前後方向の両端部分は、アンビル側吸引溝65cの長手方向に沿って滑ろうとし、連続体A2の前後方向の両端部分には、搬送方向の上流側に向かって前後方向の外側向きの力が加えられる。そのため、切断されるまでの間に、連続体A2が位置ずれして、または、収縮して、これに伴って皺が生じるのを抑制することができる。なお、アンビル側吸引溝65cの孔形状は、前記のような長孔形状に限らない。
【0129】
また、アンビル側保持領域69に形成されたアンビル側吸引孔65aの開口率が、アンビル側保持領域69のうち前後方向の両端部分の方が、残余の部分すなわち前後方向の中央部分よりも大きく設定されている。
【0130】
そのため、吸収体Aの前後方向の両端部分を、アンビル側保持領域69にしっかりと吸着させて安定して保持させることができる。また、吸収性コアA1が配置されて通気性が低く抑えられた吸収体Aの中央部分の吸引力が低くされることで、連続体A2が切断されるまでの間、吸収体Aを搬送方向上流側に容易にスリップさせることができる。
【0131】
以上のように、本実施形態ではアンビルローラ50および中間搬送装置10を含む搬送装置101によって、吸収体Aを、皺および収縮の発生を低減しながら搬送することができ、適切にシートS1,S2に搬送して接合することができるため、この搬送装置101を使い捨ておむつ1の製造に用いることにより、製品性の高い使い捨ておむつ1を製造することができる。
【0132】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下の態様を採用することもできる。
【0133】
保持領域41のうち第1湾曲面P1に沿う部分である第1領域は、保持パッド40が第1受け渡し位置E1にある状態で保持パッド40の回転方向の一方側の端部となる部分の少なくとも一部および、他方側の端部となる部分の少なくとも一部であればよく、また、第2湾曲面P2に沿う部分である第2領域は、保持パッド40が第2受け渡し位置E2にある状態で保持パッド40の回転方向の一方側の端部となる部分の少なくとも一部および、他方側の端部となる部分の少なくとも一部であればよく、これら第1領域、第2領域は、前記実施形態の部分に限らない。
【0134】
例えば、保持領域の四隅のみを各湾曲面P1,P2に沿う面としてもよい。具体的には、保持パッドとして、
図14に示したものを用いることができる。すなわち、保持パッド240の外側面241のうち、その長手方向の両端部分のうちの幅方向の両端部分241a(外側面241の四隅)のみを湾曲面P2に沿う形状とし、それ以外の部分241bを湾曲面P2よりも径方向の内側に配置してもよい。そして、
図14に示すように、保持パッド240の外側面のうち、長手方向の両端部分のうちの幅方向の両端部分241aを除く部分241bを、この長手方向の両端部分のうちの幅方向の両端部分241aよりも径方向の内側に凹ませてもよい。
【0135】
また、保持領域の四隅の一部のみを湾曲面P1,P2に沿わせる面としてもよい。例えば、第1受け渡し位置E1における保持パッド40の回転方向の一方側の端部のうち前後方向の一方側の端部と、第1受け渡し位置E1における保持パッド40の回転方向の他方側の端部のうち前後方向の他方側の端部等とのみを、湾曲面P1,P2に沿う面としてもよい。
【0136】
また、保持領域の四隅以外の部分のみを湾曲面P1,P2に沿わせる面としてもよい。
【0137】
また、吸収体Aおよびこれに対応する保持パッド40の保持領域41の平面形状は、前記のような長方形に限らない。例えば、長方形の角部を湾曲させた形状や、楕円形や、正方形等であってもよい。
【0138】
そして、例えば、保持領域が楕円形の場合等には、第1受け渡し位置E1における保持パッド40の回転方向の両側の端部のうちの各前後方向の中央部分のみを第1湾曲面P1に沿うようにし、第2受け渡し位置E2における保持パッド40の回転方向の両側の端部のうちの各前後方向の中央部分のみを第2湾曲面P2に沿うようにしてもよい。
【0139】
また、アンビルローラ50が、吸収体Aをその長手方向がアンビルローラ50の中心軸C1に沿うように搬送し、保持パッド40の保持領域41が、第1受け渡し位置E1において、その長手方向が回転中心軸C2に沿って延びる姿勢となり、第2受け渡し位置E2において、その幅方向が回転中心軸C2に沿って延びる姿勢となってもよい。
【0140】
また、第1受け渡し位置E1から第2受け渡し位置E2までに移動する間に保持パッド40が旋回される角度は90度に限らない。例えば、60度であってもよい。
【0141】
ここで、保持パッド40が旋回される角度が90度以外の角度すなわち0度から180度のうち90度を除く所定の旋回角度であって第1湾曲面P1に沿う部分と第2湾曲面P2に沿う部分とが重複する場合は、この重複部分を前記旋回角度だけ異なる方向から見たときにそれぞれ円弧に沿うように構成する必要があるため、この場合には、第1湾曲面P1と第2湾曲面P2とを同じ球面とすればよい。例えば、保持パッド40を本体部15の径方向外側から見た状態で、
図15に示すように、第1受け渡し位置E1において保持領域541が実線で示す姿勢となり、第2受け渡し位置E2において保持領域541が破線で示す姿勢となる場合において、
図15に示す角部C501,C502を含む領域を湾曲面P1,P2に沿わせる場合には、この領域を球面に沿うように構成すればよい。
【0142】
また、第1受け渡し位置E1と第2受け渡し位置E2とにおいて、保持パッド40と第2回転軸C2との距離は異なっていてもよい。この場合には、保持パッド40が第1受け渡し位置E1にある状態で第1湾曲面P1(前記第1領域)をみたときの円弧と、保持パッド40が第2受け渡し位置E2にある状態で第2湾曲面P2(前記第1領域)をみたときの円弧とは、互いに半径が異なる円弧すなわち曲率の異なる円弧となる。一方、第1受け渡し位置E1と第2受け渡し位置E2とにおいて、保持パッド40と第2回転軸C2との距離が同じ場合には、前記のように
、湾曲面P1,P2を同じ球面とすればよい。
【0143】
また、保持パッド側吸引孔42の開口率を、保持パッド40が第1受け渡し位置E1にある状態において保持領域41の前後方向の両端に位置する部分全体を、他の部分よりも大きくしてもよい。
【0144】
また、第1凹部62a,62aは、アンビル側保持領域69のうちアンビルローラ50の回転方向の両端部にのみ形成されてもよい。
【0145】
また、第2凹部62bは、アンビル側保持領域69の中央部分にのみ形成されてもよい。
【0146】
また、アンビル側吸引孔65aは、第1凹部62a,62aのうちアンビル側保持領域69に対応する部分のアンビルローラ50の回転方向の両端部分での開口率が、他の部分よりも高くなるように形成してもよい。
【0147】
また、前記第2凹部62bは省略可能である。例えば、第1凹部62a,62aの間の部分を、第2回転軸C2を中心とする円筒面状としてもよい。この場合には、第1凹部62aの底面62eの径方向の位置を、アンビル52の先端52aの位置と一致させて、切断刃72を、第1凹部62aの底面62eつまり連続体A2またはこれよりもアンビルローラ50の径方向の内側に進入させて、連続体A2をより確実に切断するようにするのがよい。
なお、上述した具体的実施形態には以下の構成を有する発明が主に含まれている。
【0148】
すなわち、本発明は、シートの表面に、搬送対象物を搬送する搬送装置であって、特定方向に延びる第1回転軸回りに回転して前記搬送対象物を外周面に保持した状態で搬送する受け渡しローラと、前記第1回転軸と平行に延びる第2回転軸回りに回転する本体部と、当該本体部の回転に応じて前記第2回転軸回りに回転するように当該本体部に取り付けられた保持パッドとを有し、当該保持パッドが前記受け渡しローラと対向する第1の回転位置にあるときにこの受け渡しローラの外周面から前記保持パッドの外側面上に前記搬送対象物を受け取り、前記保持パッドが第2の回転位置に移動したときにこの保持パッドの外側面から前記シート上に前記搬送対象物を受け渡す中間搬送装置とを備え、前記中間搬送装置は、前記保持パッドを、前記第1の回転位置から前記第2の回転位置への移動中に前記第2回転軸と直交する旋回軸回りに旋回させる旋回機構を備え、前記保持パッドの外側面には前記搬送対象物を保持する保持領域が設定されており、前記保持領域のうち前記保持パッドが前記第1の回転位置にある状態で当該保持パッドの回転方向の一方側の端部となる部分の少なくとも一部および他方側の端部となる部分の少なくとも一部からなる第1領域は、第1湾曲面に沿って延びており、前記保持領域のうち前記保持パッドが前記第2の回転位置にある状態で当該保持パッドの回転方向の一方側の端部となる部分の少なくとも一部および他方側の端部となる部分の少なくとも一部からなる第2領域は、第2湾曲面に沿って延びており、前記第1湾曲面は、前記保持パッドが前記第1の回転位置にある状態でこの第1湾曲面を前記第2回転軸に沿ってみたときに当該第2回転軸を中心とする円弧となる形状を有しており、前記第2湾曲面は、前記保持パッドが前記第2の回転位置にある状態でこの第2湾曲面を前記第2回転軸に沿って見たときに、この第2回転軸を中心とする円弧となる形状を有しており、前記保持領域のうち前記第1領域と前記第2領域とを除く部分は、前記第1湾曲面および第2湾曲面よりも前記第2回転軸側に位置して
おり、前記第1領域は、前記保持領域のうち、前記保持パッドが前記第1の回転位置にある状態で当該保持パッドの回転方向の一方側の端部のうち少なくとも前記特定方向の両端に位置する部分、および、前記保持パッドの回転方向の他方側の端部のうち少なくとも前記特定方向の両端に位置する部分に設定されており、前記受け渡しローラの外周面には、前記搬送対象物を保持する受け渡し側保持領域が設定されており、前記受け渡し側保持領域の前記特定方向の両端部分のうち少なくとも前記受け渡しローラの回転方向の両端部分には、前記受け渡しローラの径方向の内側に凹む第1凹部が形成されており、前記第1凹部の底面は、前記受け渡し側保持領域と前記保持領域とが対向している状態で、前記第1回転軸および前記第2回転軸を通る平面による断面において、前記第1湾曲面に沿って延びていることを特徴とする搬送装置を提供する。
【0149】
本発明によれば、保持パッドの保持領域の第1領域が第1湾曲面に沿って延びていることで、第1の回転位置にある状態において、保持領域のうち保持パッドの回転方向の一方側の端部となる部分の少なくとも一部と他方側の端部となる部分の少なくとも一部とを、受け渡しローラの外周面に保持されている搬送対象物に密着させることができる。さらに、保持パッドの保持領域の第2領域が第2湾曲面に沿って延びていることで、第2の回転位置にある状態において、保持領域に保持されている搬送対象物のうち保持パッドの回転方向の一方側の端部となる部分の少なくとも一部と他方側の端部となる部分の少なくとも一部とを、シートに密着させることができる。
【0150】
しかも、本発明では、保持パッドの保持領域のうち残余の部分、すなわち、保持領域の少なくとも中央部分が、前記第1湾曲面および第2湾曲面よりも第2回転軸の径方向の内側に位置している。そのため、搬送対象物が保持パッドに保持された状態において、搬送対象物の中央部分がこれら第1湾曲面および第2湾曲面に沿って折り曲げられるのを抑制することができる。従って、搬送対象物に皺が生じるのを抑制しつつ、搬送対象物を保持パッドおよびシートに密着させることができ、搬送対象物をより適切に搬送することができる。
【0151】
前記旋回機構としては、前記保持パッドを、前記第1の回転位置から前記第2の回転位置への移動中に90度旋回させるものが挙げられる。
【0152】
前記第1湾曲面と前記第2湾曲面とは、前記第2回転軸上の点を中心とする同じ球面であるのが好ましい。
【0153】
この構成によれば、比較的容易に保持領域に第1湾曲面と第2湾曲面とに沿う第1領域および第2領域を設けることができる。
【0154】
また前記旋回機構としては、前記保持パッドを、前記第1の回転位置から前記第2の回転位置への移動中に0度から180度の間の角度であって90度を除く所定の角度だけ旋回させ、前記保持パッドは、前記第1の回転位置と前記第2の回転位置とにおいて、それぞれ前記第2回転軸からの距離が同一となるように前記本体部に取り付けられており、前記第1湾曲面と前記第2湾曲面とは前記第2回転軸上の点を中心とする同じ球面であるものが挙げられる。
【0155】
この構成においても、比較的容易に保持領域に第1湾曲面と第2湾曲面とに沿う第1領域および第2領域を設けることができる。
【0156】
また、前記保持領域には、前記搬送対象物を吸引するための複数の保持パッド側吸引孔が形成されており、単位面積あたりに形成される前記保持パッド側吸引孔の開口面積である保持パッド側吸引孔の開口率は、前記保持パッドが前記第1の回転位置にある状態において前記保持領域の前記特定方向の両端に位置する部分のうち少なくとも前記保持パッドの回転方向の両端に位置する部分の方が、残余の部分よりも大きく設定されているのが好ましい。
【0157】
この構成によれば、搬送対象物の四隅を安定して保持パッドに保持させることができる。従って、搬送対象物の搬送時や、搬送対象物の受け取りおよび受け渡し時に、搬送対象物の位置がずれるのを抑制することができ、この位置ずれに伴う皺の発生を抑制できる。
【0158】
また、
本発明では、前記第1領域は、前記保持領域のうち、前記保持パッドが前記第1の回転位置にある状態で当該保持パッドの回転方向の一方側の端部のうち少なくとも前記特定方向の両端に位置する部分、および、前記保持パッドの回転方向の他方側の端部のうち少なくとも前記特定方向の両端に位置する部分に設定されており、前記受け渡しローラの外周面には、前記搬送対象物を保持する受け渡し側保持領域が設定されており、前記受け渡し側保持領域の前記特定方向の両端部分のうち少なくとも前記受け渡しローラの回転方向の両端部分には、前記受け渡しローラの径方向の内側に凹む第1凹部が形成されており、前記第1凹部の底面は、前記受け渡し側保持領域と前記保持領域とが対向している状態で、前記第1回転軸および前記第2回転軸を通る平面による断面において、前記第1湾曲面に沿って延びている
。
【0159】
この構成によれば、受け渡しローラの外周面に保持されている搬送対象物の四隅を、保持パッドの保持領域の四隅により確実に密着させることができ、受け渡しローラから保持パッドへの搬送対象物の受け渡しをより適切に行うことができる。
【0160】
前記受け渡しローラには、その外周面の一部を構成して、前記搬送対象物の連続体を分断するための切断刃を受ける受け部が設けられており、前記受け部の前記受け渡しローラの径方向の外側端は、この径方向について、前記第1凹部の底面の位置と同じ位置に配置されているのが好ましい。
【0161】
この構成によれば、切断刃を、第1凹部の底面つまり搬送対象物またはこれよりも径方向の内側に進入させて搬送対象物をより確実に切断することができる。
【0162】
前記受け渡し側保持領域の中央部分には、前記第1凹部よりも前記受け渡しローラの径方向の内側に凹む第2凹部が形成されているのが好ましい。
【0163】
この構成によれば、搬送対象物が受け渡し側ローラから保持パッドに受け渡される際に、その中央部分を受け渡し側ローラの径方向内側に退避させることができる。そのため、搬送対象物の四隅が保持パッドの外側面から受け渡し側ローラ側に浮き上がるのが防止される。従って、搬送対象物の四隅と保持パッドとの密着性を高めることができる。
【0164】
前記受け渡しローラには、その外周面の一部を構成して、前記搬送対象物の連続体を分断するための切断刃を受ける受け部が設けられており、前記受け部の前記受け渡しローラの径方向の外側端は、この径方向について、前記第2凹部の底面の位置と同じ位置に配置されているのが好ましい。
【0165】
この構成によれば、切断刃を、第2凹部の底面つまり搬送対象物またはこれよりも径方向の内側に進入させて搬送対象物をより確実に切断することができる。
【0166】
前記受け渡しローラの外周面のうち当該受け渡しローラの回転方向について前記受け部の両側に位置する部分には、それぞれ当該受け部に向かって前記受け渡しローラの径方向の内側に傾斜する傾斜部が形成されているのが好ましい。
【0167】
このようにすれば、切断刃と受け渡しローラとの接触を抑制することができる。
【0168】
前記受け渡し側保持領域のうち前記特定方向の両端部分には、前記搬送対象物を吸引するための受け渡し側吸引溝がそれぞれ形成されており、前記受け渡し側吸引溝は、前記受け渡しローラによる前記搬送対象物の搬送方向の上流側に向かって前記特定方向で互いに離れる方向に傾斜しているのが好ましい。
【0169】
この構成によれば、搬送対象物の特定方向の両端部分に搬送方向の上流側に向かって特定方向で互いに離れる方向の力を加えることができるため、搬送対象物が特定方向の中央側に収縮して搬送対象物に皺が生じるのを抑制することができる。
【0170】
前記受け渡し側保持領域には、前記搬送対象物を吸引するための複数の受け渡し側吸引孔が形成されており、単位面積あたりに形成される前記受け渡し側吸引孔の開口面積である受け渡し側吸引孔の開口率は、前記受け渡し側保持領域のうち前記特定方向の両端部分のうちの少なくとも受け渡しローラの回転方向の両端部分の方が、残余の部分よりも大きく設定されているのが好ましい。
【0171】
この構成によれば、搬送対象物の四隅を安定して受け渡しローラの外周面に保持させることができる。
【0172】
また、本発明は、着用者の胴回りに配置される胴回り部と着用者の股下に配置される股下部とを有する使い捨て着用物品を、前記のように構成された搬送装置を用いて製造する方法であって、前記胴回り部を形成するためのシートをその長手方向に沿って搬送する胴回り用シート搬送工程と、前記股下部に相当する部位に設けられる吸収体を前記搬送装置を用いて前記シートに搬送するとともに、当該吸収体を前記シートに接合して接合体を形成する吸収体接合工程と、前記接合体を前記長手方向と直交する方向に二つ折りにする二つ折り工程と、前記長手方向について前記吸収体の両側に位置する部分において前記シートの重なり部分同士を接合してサイドシールを形成するサイドシール工程と、前記長手方向について前記吸収体の両側に位置する部分に前記サイドシールが残るように前記シートを切断して使い捨て着用物品を形成する切断工程と、を含む使い捨て着用物品の製造方法を提供する。
【0173】
この方法によれば、前述のように搬送対象物をより適切に搬送することができる搬送装置を利用して、吸収体をシートに適切に搬送、接合することができる。
【0174】
そして、吸収体とシートとが接合されることで形成された接合体を二つ折りにし、当該接合体にサイドシールを形成し、胴回り用シートを切断することにより、使い捨て着用物品を製造することができる。
【0175】
したがって、吸収体およびシートひいては着用物品全体に不測の皺が発生するのを抑制することができる。