特許第6420975号(P6420975)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6420975レジスト感度評価方法、転写用マスクの製造方法、インプリント用モールドの製造方法、およびレジスト付基材の供給方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6420975
(24)【登録日】2018年10月19日
(45)【発行日】2018年11月7日
(54)【発明の名称】レジスト感度評価方法、転写用マスクの製造方法、インプリント用モールドの製造方法、およびレジスト付基材の供給方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20181029BHJP
   G03F 7/26 20060101ALI20181029BHJP
   G03F 1/76 20120101ALI20181029BHJP
   G03F 1/44 20120101ALI20181029BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20181029BHJP
【FI】
   G03F7/20 501
   G03F7/26 501
   G03F1/76
   G03F1/44
   H01L21/30 566
   H01L21/30 502D
   G03F7/20 521
【請求項の数】12
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-130525(P2014-130525)
(22)【出願日】2014年6月25日
(65)【公開番号】特開2016-9800(P2016-9800A)
(43)【公開日】2016年1月18日
【審査請求日】2017年4月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】513240733
【氏名又は名称】ホーヤ エレクトロニクス シンガポール プライベート リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HOYA ELECTRONICS SINGAPORE PTE.LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100091362
【弁理士】
【氏名又は名称】阿仁屋 節雄
(74)【代理人】
【識別番号】100090136
【弁理士】
【氏名又は名称】油井 透
(74)【代理人】
【識別番号】100105256
【弁理士】
【氏名又は名称】清野 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100145872
【弁理士】
【氏名又は名称】福岡 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100161034
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 知洋
(74)【代理人】
【識別番号】100187632
【弁理士】
【氏名又は名称】橘高 英郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156834
【弁理士】
【氏名又は名称】橋村 一誠
(72)【発明者】
【氏名】白鳥 浩
(72)【発明者】
【氏名】本間 裕介
(72)【発明者】
【氏名】三井 三夫
(72)【発明者】
【氏名】近藤 満
【審査官】 今井 彰
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−326581(JP,A)
【文献】 特開2000−292906(JP,A)
【文献】 特開2007−280564(JP,A)
【文献】 特開2000−232249(JP,A)
【文献】 特開平07−029810(JP,A)
【文献】 特開2007−184537(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027、21/30
G03F 1/00−1/86、7/20−7/42、9/00−9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の面上に、感光性樹脂、光酸発生剤、塩基性化合物、界面活性剤および溶媒を含むレジスト材を用い、スピンコート法によってレジスト塗布膜を形成する工程と、
前記レジスト塗布膜の膜厚を測定して第一の膜厚マップを作成する工程と、
前記レジスト塗布膜を加熱処理してレジスト層とする工程と、
前記レジスト層の膜厚を測定して第二の膜厚マップを作成する工程と、
前記第一の膜厚マップにおける前記レジスト塗布膜の膜厚と前記第二の膜厚マップにおける前記レジスト層の膜厚との差である減膜量を前記レジスト塗布膜の膜厚で除して減膜率を算出することによって加熱処理前後におけるレジスト減膜率マップを作成する工程と、
前記レジスト減膜率マップに基づいて前記レジスト層のレジスト感度分布の評価を行う工程と、
を備えることを特徴とするレジスト感度評価方法。
【請求項2】
前記レジスト材は、化学増幅型レジスト材であることを特徴とする請求項1記載のレジスト感度評価方法。
【請求項3】
前記加熱処理は、前記レジスト塗布膜中の溶剤を取り除く処理であることを特徴とする請求項1または2に記載のレジスト感度評価方法。
【請求項4】
転写用マスクの製造方法であって、
薄膜を有するマスクブランクの薄膜側表面上に、感光性樹脂、光酸発生剤、塩基性化合物、界面活性剤および溶媒を含むレジスト材を用い、スピンコート法によってレジスト塗布膜を形成する工程と、
前記レジスト塗布膜の膜厚を測定して第一の膜厚マップを作成する工程と、
前記レジスト塗布膜を加熱処理してレジスト層とする工程と、
前記レジスト層の膜厚を測定して第二の膜厚マップを作成する工程と、
前記第一の膜厚マップにおける前記レジスト塗布膜の膜厚と前記第二の膜厚マップにおける前記レジスト層の膜厚との差である減膜量を前記レジスト塗布膜の膜厚で除して減膜率を算出することによって加熱処理前後におけるレジスト減膜率マップを作成する工程と、
前記レジスト減膜率マップまたは前記レジスト減膜率マップに基づいて作成される前記レジスト層のレジスト感度分布マップを利用して露光強度を決定し前記レジスト層に対するパターン露光を行う工程と、
を備えることを特徴とする転写用マスクの製造方法。
【請求項5】
前記レジスト材は、化学増幅型レジスト材であることを特徴とする請求項4記載の転写用マスクの製造方法。
【請求項6】
前記加熱処理は、前記レジスト塗布膜中の溶剤を取り除く処理であることを特徴とする請求項4または5に記載の転写用マスクの製造方法。
【請求項7】
インプリント用モールドの製造方法であって、
インプリント用モールドブランクの面上に、感光性樹脂、光酸発生剤、塩基性化合物、界面活性剤および溶媒を含むレジスト材を用い、スピンコート法によってレジスト塗布膜を形成する工程と、
前記レジスト塗布膜の膜厚を測定して第一の膜厚マップを作成する工程と、
前記レジスト塗布膜を加熱処理してレジスト層とする工程と、
前記レジスト層の膜厚を測定して第二の膜厚マップを作成する工程と、
前記第一の膜厚マップにおける前記レジスト塗布膜の膜厚と前記第二の膜厚マップにおける前記レジスト層の膜厚との差である減膜量を前記レジスト塗布膜の膜厚で除して減膜率を算出することによって加熱処理前後におけるレジスト減膜率マップを作成する工程と、
前記レジスト減膜率マップまたは前記レジスト減膜率マップに基づいて作成される前記レジスト層のレジスト感度分布マップを利用して露光強度を決定し前記レジスト層に対するパターン露光を行う工程と、
を備えることを特徴とするインプリント用モールドの製造方法。
【請求項8】
前記レジスト材は、化学増幅型レジスト材であることを特徴とする請求項7記載のインプリント用モールドの製造方法。
【請求項9】
前記加熱処理は、前記レジスト塗布膜中の溶剤を取り除く処理であることを特徴とする請求項7または8に記載のインプリント用モールドの製造方法。
【請求項10】
基材の面上に、感光性樹脂、光酸発生剤、塩基性化合物、界面活性剤および溶媒を含むレジスト材を用い、スピンコート法によってレジスト塗布膜を形成した後に前記レジスト塗布膜を加熱処理してレジスト層とすることで得られるレジスト付基材について、前記レジスト付基材を供給する際に用いられるレジスト付基材の供給方法であって、
前記レジスト塗布膜の膜厚を測定して得られる第一の膜厚マップにおける前記レジスト塗布膜の膜厚と、前記レジスト層の膜厚を測定して得られる第二の膜厚マップにおける前記レジスト層の膜厚との差である減膜量を前記レジスト塗布膜の膜厚で除して減膜率を算出することによって、加熱処理前後におけるレジスト減膜率マップを作成し、前記レジスト減膜率マップまたは前記レジスト減膜率マップに基づいて作成される前記レジスト層のレジスト感度分布マップの少なくとも一方を、前記レジスト付基材に添付して供給する
ことを特徴とするレジスト付基材の供給方法。
【請求項11】
前記レジスト材は、化学増幅型レジスト材であることを特徴とする請求項10記載のレジスト付基材の供給方法。
【請求項12】
前記加熱処理は、前記レジスト塗布膜中の溶剤を取り除く処理であることを特徴とする請求項10または11に記載のレジスト付基材の供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジスト感度評価方法、転写用マスクの製造方法、インプリント用モールドの製造方法、レジスト付基材の供給方法、および、レジスト付基材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体デバイスの微細構造化の進展に伴って、マスクブランク上のレジストパターンの寸法精度に対する要求がますます厳しくなっている。DRAMハーフピッチ32nm以降の世代に対応する転写パターンに形成されることが多い、線幅40nm以下のSRAF(Sub-Resolution Assist Feature)等の補助パターンを形成する必要が生じてきており、メインパターンに加えSRAFパターンの寸法精度も高い水準が求められているからである。具体的には、レジストパターンの面内均一性の指標であるCDU(Critical Dimension Uniformity)が5nm以下、好ましくは3nm以下という要求がされている。
また、微細な凹凸をフォトリソグラフィー法によって形成するインプリントモールドに関連する技術も同様に、寸法精度に対する要求事項が厳しくなっている。
このような要求に応じるためには、レジストパターンの基になるレジスト層について、そのレジスト感度の面内分布を適切に評価し得るようにすることが必要である。
【0003】
マスクブランク上のレジスト層のレジスト感度については、例えば、そのレジスト層に現像処理を施して、その結果得られるレジストパターン寸法の面内分布の良否を評価することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、他にも、例えば、レジスト層に紫外線光を照射して、その反射光量を基にレジスト層に対する感度評価を行うことが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−326581号公報
【特許文献2】特開2009−271473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のレジスト感度評価方法では、以下に述べるような難点がある。
例えば、特許文献1に開示された方法は、レジスト層に現像処理を施すことを必要とするため、そのレジスト層にとっては破壊検査となる。そのため、検査後のレジスト層に対してパターニング等を行うことができず、必ずしもレジスト層に対する感度評価を適切に行えるとは言えない。
また、例えば、特許文献2に開示された方法は、レジスト層に紫外線光を照射する必要があるため、例えばレジスト層の表面全体を紫外線光の照射対象領域とした場合には、レジスト材の種類によってはレジスト層のパターン形成領域に悪影響が及ぶおそれがあり、一部のマスクブランクに対して抜き取り検査を行わざるを得ない。また、パターン形成領域以外を紫外線光の照射対象領域とした場合には、パターン形成領域におけるレジスト感度の面内分布を把握することができない。つまり、いずれの場合も、レジスト層に対する感度評価を適切に行えるとは言えない。
【0006】
そこで、本発明は、レジスト層におけるレジスト感度の面内分布を適切に評価することができるレジスト感度評価方法、転写用マスクの製造方法、インプリント用モールドの製造方法、レジスト付基材の供給方法、および、レジスト付基材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
レジスト感度の変動は、レジスト層の膜厚の違いが一つの要因ではあるものの、レジスト層に与えられた熱履歴や、レジスト材の塗布時に生じたレジスト組成物の偏在等に起因することもある。特に、レジスト組成物の偏在は、例えばメインポリマーの分子量分布等が生じるため、レジスト感度の変動の大きな要因となり得る。このことを考慮すると、レジスト層を構成するレジスト組成物の偏在を把握することで、そのレジスト層におけるレジスト感度の変動の評価が可能であると考えられる。
レジスト組成物は、主として、感光性樹脂、光酸発生剤(PAG)、塩基性化合物、界面活性剤、及び、溶媒である有機溶剤等から構成される。このようなレジスト組成物は、レジスト材として基材上に塗布されレジスト塗布膜を形成した後、そのレジスト塗布膜に対して行われる露光前ベーク(プリベーク)と呼ばれる加熱処理を経て、レジスト層を形成することになる。このとき、レジスト組成物としての溶媒は、加熱処理によって取り除かれる。そのため、溶媒を除く他のレジスト組成物に偏在が生じていると、その偏在が加熱処理によって顕在化する。つまり、レジスト塗布膜に対して加熱処理を行ってレジスト層とする際には、その加熱処理によってレジスト膜厚が減少するが、レジスト組成物に偏在が生じていると、その偏在が加熱処理によって顕在化するので、その偏在に応じてレジスト減膜率に変動が生じてしまうことになる。
このことは、レジスト層を得る際の面内におけるレジスト減膜率の変動と、そのレジスト層の面内におけるレジスト感度の変動との間に、相関関係が存在することを意味すると考えられる。このような相関関係の存在は、本願発明者が鋭意検討の結果から得た新規な知見である。
本発明は、上述した本願発明者による新規な知見に基づいてなされたものである。
【0008】
<構成1>
本発明の第一の構成は、基材の面上にレジスト塗布膜を形成する工程と、前記レジスト塗布膜の膜厚を測定して第一の膜厚マップを作成する工程と、前記レジスト塗布膜を加熱処理してレジスト層とする工程と、前記レジスト層の膜厚を測定して第二の膜厚マップを作成する工程と、前記第一の膜厚マップと前記第二の膜厚マップとを用いて加熱処理前後におけるレジスト減膜率マップを作成する工程と、前記レジスト減膜率マップに基づいて前記レジスト層のレジスト感度分布の評価を行う工程と、を備えることを特徴とするレジスト感度評価方法である。
【0009】
<構成2>
本発明の第二の構成は、転写用マスクの製造方法であって、薄膜を有するマスクブランクの薄膜側表面上にレジスト塗布膜を形成する工程と、前記レジスト塗布膜の膜厚を測定して第一の膜厚マップを作成する工程と、前記レジスト塗布膜を加熱処理してレジスト層とする工程と、前記レジスト層の膜厚を測定して第二の膜厚マップを作成する工程と、前記第一の膜厚マップと前記第二の膜厚マップとを用いて加熱処理前後におけるレジスト減膜率マップを作成する工程と、前記レジスト減膜率マップまたは前記レジスト減膜率マップに基づいて作成される前記レジスト層のレジスト感度分布マップを利用して露光強度を決定し前記レジスト層に対するパターン露光を行う工程と、を備えることを特徴とする転写用マスクの製造方法である。
【0010】
<構成3>
本発明の第三の構成は、第二の構成に記載の転写用マスクの製造方法において、前記薄膜側表面にレジスト材を塗布する工程を備え、前記レジスト塗布膜を形成する工程では、前記レジスト材を粗乾燥して前記レジスト塗布膜とすることを特徴とする。
【0011】
<構成4>
本発明の第四の構成は、インプリント用モールドの製造方法であって、インプリント用モールドブランクの面上にレジスト塗布膜を形成する工程と、前記レジスト塗布膜の膜厚を測定して第一の膜厚マップを作成する工程と、前記レジスト塗布膜を加熱処理してレジスト層とする工程と、前記レジスト層の膜厚を測定して第二の膜厚マップを作成する工程と、前記第一の膜厚マップと前記第二の膜厚マップとを用いて加熱処理前後におけるレジスト減膜率マップを作成する工程と、前記レジスト減膜率マップまたは前記レジスト減膜率マップに基づいて作成される前記レジスト層のレジスト感度分布マップを利用して露光強度を決定し前記レジスト層に対するパターン露光を行う工程と、を備えることを特徴とするインプリント用モールドの製造方法である。
【0012】
<構成5>
本発明の第五の構成は、第四の構成に記載のインプリント用モールドの製造方法において、前記面上にレジスト材を塗布する工程を備え、前記レジスト塗布膜を形成する工程では、前記レジスト材を粗乾燥して前記レジスト塗布膜とすることを特徴とする。
【0013】
<構成6>
本発明の第六の構成は、基材の面上にレジスト塗布膜を形成した後に前記レジスト塗布膜を加熱処理してレジスト層とすることで得られるレジスト付基材について、前記レジスト付基材を供給する際に用いられるレジスト付基材の供給方法であって、前記レジスト塗布膜の膜厚を測定して得られる第一の膜厚マップと、前記レジスト層の膜厚を測定して得られる第二の膜厚マップとを用いて、加熱処理前後におけるレジスト減膜率マップを作成し、前記レジスト減膜率マップまたは前記レジスト減膜率マップに基づいて作成される前記レジスト層のレジスト感度分布マップの少なくとも一方を、前記レジスト付基材に添付して供給することを特徴とするレジスト付基材の供給方法である。
【0014】
<構成7>
本発明の第七の構成は、基材の面上にレジスト塗布膜を形成した後に前記レジスト塗布膜を加熱処理してレジスト層とすることで得られるレジスト付基材であって、前記レジスト塗布膜の膜厚を測定して得られる第一の膜厚マップと、前記レジスト層の膜厚を測定して得られる第二の膜厚マップとを用いて作成された、加熱処理前後におけるレジスト減膜率マップ、または前記レジスト減膜率マップに基づいて作成される前記レジスト層のレジスト感度分布マップ、の少なくとも一方が添付されていることを特徴とするレジスト付基材である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、レジスト層におけるレジスト感度の面内分布を適切に評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態におけるレジスト付マスクブランクの構成例を示す模式図である。
図2】本発明の実施形態におけるレジスト感度の評価手順の一例を示すフロー図である。
図3】レジスト減膜率マップの一具体例を示す説明図である。
図4】レジスト感度の測定結果の一具体例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
本実施形態では、以下の順序で項分けをして説明を行う。
1.転写用マスク
2.レジスト付マスクブランク
3.レジスト感度評価方法
4.レジスト付マスクブランク供給方法
5.転写用マスク製造方法
6.本実施形態の効果
7.変形例等
【0018】
<1.転写用マスク>
先ず、転写用マスクについて簡単に説明する。
本実施形態で説明する転写用マスクは、例えば半導体デバイスの製造工程において、半導体基板上への微細パターン形成のために用いられるものである。
【0019】
転写用マスクとしては、例えば、遮光膜パターンによって遮光領域と光(半導体露光光)を透過させる透過領域とを有するバイナリーマスクと、バイナリーマスクにおける遮光領域の光透過率をパターンが転写されない程度に調整してその位相を反転させるハーフトーン型位相シフトマスクと、転写用マスクの透過領域で位相制御を行うレベンソン型位相シフトマスクと、が挙げられる。
【0020】
バイナリーマスク、ハーフトーン型位相シフトマスクおよびレベンソン型位相シフトマスクは、いずれも、マスクブランクを用いて製造される。マスクブランクは、詳細を後述するように、透光性基板からなる基材上に、遮光領域(ハーフトーン型位相シフトマスクにあっては光半透過領域)を形成するための薄膜が形成されてなる。また、マスクブランクの薄膜上にはレジスト層が形成されており、そのレジスト層が遮光膜や位相シフト膜等をパターニングして遮光領域と透過領域を形成する際に用いられる。
【0021】
転写用マスクの他の例としては、極端紫外光リソグラフィに用いられるEUV(Extreme Ultraviolet)マスクが挙げられる。EUVマスクは、低熱膨張ガラスの表面に多層反射膜と光吸収膜からなる吸収体パターンとを有して構成されたものであり、吸収体パターンによって露光光を吸収する吸収領域と、多層反射膜が露出した反射領域とを有する。このようなEUVマスクも、マスクブランクを用いて製造される。そして、マスクブランクにおけるレジスト層は、光吸収膜をパターニングして吸収領域と反射領域を形成する際に用いられる。
【0022】
<2.レジスト付マスクブランク>
次に、転写用マスクの製造に用いられるマスクブランクについて説明する。
図1は、本実施形態におけるレジスト付マスクブランクの構成例を示す模式図である。
【0023】
図例のマスクブランク1は、基材2の一表面上に薄膜3が形成されて構成されている。また、マスクブランク1の薄膜3側表面上には、レジスト層4が形成されている。本実施形態では、基材2上に薄膜3が形成されたものをマスクブランク1といい、さらにレジスト層4が形成され基材2、薄膜3およびレジスト層4によって構成されるものをレジスト付マスクブランク5という。
【0024】
基材2は、光透過型の転写用マスクに用いられるものであれば、透光性基板であるガラス基板が用いられる。具体的には、バイナリーマスク、ハーフトーン型位相シフトマスク、レベンソン型位相シフトマスクのいずれかに用いられる基材2は、マスク使用時の露光光に対して高い光透過率を有するものが選択されるため、例えばArFエキシマレーザ(波長193nm)を露光光として適用する場合であれば、合成石英ガラスが用いられる。その他にも、用途に応じて、ソーダライムガラス、ソーダ石灰ガラス等が用いられる場合がある。
また、基材2は、光反射型の転写用マスクに用いられる場合には、マスク使用時の露光光に対する光透過率を必要としない。ただし、EUV露光光は、例えば波長13.5nmといったように高エネルギーであるため、そのエネルギーによって基材2の温度が上昇することが考えられる。そのため、基材2としては、熱膨張による影響でパターンにズレが生じるおそれがあることから、低膨張ガラスが用いられる。具体的には、低膨張ガラスとして、SiO−TiO系ガラスが挙げられる。
【0025】
薄膜3は、光透過型の転写用マスクに用いられるものであれば、遮光性のある金属膜が用いられる。金属膜の具体例については後述する。
また、薄膜3は、光反射型の転写用マスクに用いられる場合には、光吸収性のある金属膜が用いられる。金属膜の具体例については後述する。
【0026】
レジスト層4は、光透過型の転写用マスクと光反射型の転写用マスクとのいずれの場合においても、電子線描画用の化学増幅型レジスト材を用いて形成することが考えられる。ただし、必ずしもこれに限定されることはなく、露光による描画および現像を経てパターン形成を行い得るものであれば、他のレジスト材ものを用いても構わない。また、レジスト層4は、ポジ型のものであってもよいし、ネガ型のものであってもよい。
【0027】
このような構成のマスクブランク1の具体例としては、以下の(a)〜(e)で述べるものがある。
【0028】
(a)遷移金属を含む材料からなる遮光膜を備えたバイナリマスクブランク
かかるバイナリマスクブランクは、透光性基板からなる基材上に遮光膜として機能する薄膜を有する形態のものである。この遮光膜は、クロム、タンタル、ルテニウム、タングステン、チタン、ハフニウム、モリブデン、ニッケル、バナジウム、ジルコニウム、ニオブ、パラジウム、ロジウム等の遷移金属単体、あるいはその化合物を含む材料からなる。例えば、クロムや、クロムに酸素、窒素、炭素などの元素から選ばれる1種以上の元素を添加したクロム化合物で構成した遮光膜が挙げられる。また、例えば、タンタルに、酸素、窒素、ホウ素などの元素から選ばれる1種以上の元素を添加したタンタル化合物で構成した遮光膜が挙げられる。
かかるバイナリマスクブランクは、遮光膜を、遮光層と表面反射防止層の2層構造や、さらに遮光層と基板との間に裏面反射防止層を加えた3層構造としたものなどがある。
また、遮光膜の膜厚方向における組成が連続的または段階的に異なる組成傾斜膜としてもよい。
【0029】
(b)遷移金属およびケイ素(遷移金属シリサイド、特にモリブデンシリサイドを含む)の化合物を含む材料からなる光半透過膜を備えた位相シフトマスクブランク
かかる位相シフトマスクブランクとしては、透光性基板(ガラス基板)からなる基材上に光半透過膜として機能する薄膜を有する形態のものであり、その光半透過膜をパターニングしてシフタ部を設けるタイプであるハーフトーン型位相シフトマスク用のマスクブランクが挙げられる。かかる位相シフトマスクにおいては、光半透過膜を透過した光に基づき転写領域に形成される光半透過膜パターンによる被転写基板のパターン不良を防止するために、透光性基板上に光半透過膜とその上の遮光膜(遮光帯)とを有する形態とするのが好ましい。また、ハーフトーン型位相シフトマスクブランクのほかに、透光性基板をエッチング等により掘り込んでシフタ部を設ける基板掘り込みタイプであるレベンソン型位相シフトマスク用やエンハンサー型位相シフトマスク用のマスクブランクが挙げられる。
【0030】
このようなハーフトーン型位相シフトマスクブランクにおける光半透過膜は、実質的に露光に寄与しない強度の光(例えば、露光波長に対して1%〜30%)を透過させるものであって、所定の位相差(例えば180度)を有するものである。この光半透過膜をパターニングした光半透過部と、光半透過膜が形成されていない実質的に露光に寄与する強度の光を透過させる光透過部とによって、光半透過部を透過して光の位相が光透過部を透過した光の位相に対して実質的に反転した関係になるようにすることによって、光半透過部と光透過部との境界部近傍を通過し回折現象によって互いに相手の領域に回り込んだ光が互いに打ち消し合うようにし、境界部における光強度を略ゼロとし境界部のコントラスト(すなわち解像度)を向上させるものである。
【0031】
光半透過膜は、例えば遷移金属及びケイ素(遷移金属シリサイドを含む)の化合物を含む材料からなり、これらの遷移金属及びケイ素と、酸素および/または窒素を主たる構成要素とする材料が挙げられる。遷移金属には、モリブデン、タンタル、タングステン、チタン、ハフニウム、ニッケル、バナジウム、ジルコニウム、ニオブ、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、クロム等が適用可能である。
また、光半透過膜上に遮光膜を有する形態の場合、光半透過膜の材料が遷移金属およびケイ素を含むので、遮光膜の材料としては、光半透過膜に対してエッチング選択性を有する(エッチング耐性を有する)特にクロムや、クロムに酸素、窒素、炭素などの元素を添加したクロム化合物で構成することが好ましい。
【0032】
レベンソン型位相シフトマスクは、バイナリマスクブランクと同様の構成のマスクブランクから作製されるため、パターン形成用薄膜の構成については、バイナリマスクブランクの遮光膜と同様である。エンハンサー型位相シフトマスク用のマスクブランクの光半透過膜は、実質的に露光に寄与しない強度の光(例えば、露光波長に対して1%〜30%)を透過させるものではあるが、透過する露光光に生じさせる位相差が小さい膜(例えば、位相差が30度以下。好ましくは0度。)であり、この点が、ハーフトーン型位相シフトマスクブランクの光半透過膜とは異なる。この光半透過膜の材料は、ハーフトーン型位相シフトマスクブランクの光半透過膜と同様の元素を含むが、各元素の組成比や膜厚は、露光光に対して所定の透過率と所定の小さな位相差となるように調整される。
【0033】
(c)遷移金属、遷移金属およびケイ素(遷移金属シリサイド、特にモリブデンシリサイドを含む)の化合物を含む材料からなる遮光膜を備えたバイナリマスクブランク
この遮光膜は、遷移金属およびケイ素の化合物を含む材料からなり、これらの遷移金属およびケイ素と、酸素および/または窒素を主たる構成要素とする材料が挙げられる。また、遮光膜は、遷移金属と、酸素、窒素および/またはホウ素を主たる構成要素とする材料が挙げられる。遷移金属には、モリブデン、タンタル、タングステン、チタン、ハフニウム、ニッケル、バナジウム、ジルコニウム、ニオブ、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、クロム等が適用可能である。
特に、遮光膜をモリブデンシリサイドの化合物で形成する場合であって、遮光層(MoSi等)と表面反射防止層(MoSiON等)の二層構造や、さらに遮光層と基板との間に裏面反射防止層(MoSiON等)を加えた三層構造がある。
また、遮光膜の膜厚方向における組成が連続的または段階的に異なる組成傾斜膜としてもよい。
【0034】
また、レジスト膜の膜厚を薄膜化して微細パターンを形成するために、遮光膜上にエッチングマスク膜を有する構成としてもよい。このエッチングマスク膜は、遷移金属シリサイドを含む遮光膜のエッチングに対してエッチング選択性を有する(エッチング耐性を有する)特にクロムや、クロムに酸素、窒素、炭素などの元素を添加したクロム化合物からなる材料で構成することが好ましい。このとき、エッチングマスク膜に反射防止機能を持たせることにより、遮光膜上にエッチングマスク膜を残した状態で転写用マスクを作製してもよい。
【0035】
(d)一以上の半透過膜と遮光膜との積層構造を備えた多階調マスクブランク
半透過膜の材料については、上述したハーフトーン型位相シフトマスクブランクの光半透過膜と同様の元素のほか、クロム、タンタル、チタン、アルミニウムなどの金属単体や合金あるいはそれらの化合物を含む材料も含まれる。各元素の組成比や膜厚は、露光光に対して所定の透過率となるように調整される。遮光膜の材料についても、上述したバイナリマスクブランクの遮光膜が適用可能であるが、半透過膜との積層構造で、所定の遮光性能(光学濃度)となるように、遮光膜材料の組成や膜厚は調整される。
【0036】
また、上記(a)〜(d)において、透光性基板(ガラス基板)と遮光膜との間、または光半透過膜と遮光膜との間に、遮光膜や光半透過膜に対してエッチング耐性を有するエッチングストッパー膜を設けてもよい。エッチングストッパー膜は、エッチングストッパー膜をエッチングするときにエッチングマスク膜を同時に剥離することができる材料としてもよい。
【0037】
(e)高屈折率層と低屈折率層とを交互に積層してなる多層反射膜上に吸収体膜を備える反射型マスクブランク
反射型マスクは、EUVリソグラフィに用いられるマスクである。反射型マスクは、基板上に露光光を反射する多層反射膜が形成され、多層反射膜上に露光光を吸収する吸収体膜がパターン状に形成された構造を有する。露光機(パターン転写装置)に搭載された反射型マスクに入射した光(EUV光)は、吸収体膜のある部分では吸収され、吸収体膜のない部分では多層反射膜により反射された光像が反射光学系を介して半導体基板上に転写される。
【0038】
多層反射膜は、高屈折率層と低屈折率層とを交互に積層して形成される。多層反射膜の例としては、Mo膜とSi膜を交互に40周期程度積層したMo/Si周期積層膜、Ru/Si周期多層膜、Mo/Be周期多層膜、Mo化合物/Si化合物周期多層膜、Si/Nb周期多層膜、Si/Mo/Ru周期多層膜、Si/Mo/Ru/Mo周期多層膜、Si/Ru/Mo/Ru周期多層膜などがある。露光波長により、材質を適宜選択することができる。
【0039】
吸収体膜は、露光光である例えばEUV光を吸収する機能を有するもので、例えばタンタル(Ta)単体またはTaを主成分とする材料を好ましく用いることができる。このような吸収体膜の結晶状態は、平滑性、平坦性の点から、アモルファス状または微結晶の構造を有しているものが好ましい。
【0040】
Taを主成分とする材料としては、TaとBを含む材料、TaとNを含む材料、TaとBを含み、さらにOとNの少なくともいずれかを含む材料、TaとSiを含む材料、TaとSiとNを含む材料、TaとGeを含む材料、TaとGeとNを含む材料、TaとHfを含む材料、TaとHfとNを含む材料、TaとZrを含む材料、TaとZrとNを含む材料、等を用いることができる。TaにBやSi、Ge等を加えることにより、アモルファス状の材料が容易に得られ、平滑性を向上させることができる。また、TaにNやOを加えれば、酸化に対する耐性が向上するため、経時的な安定性を向上させることができるという効果が得られる。
【0041】
<3.レジスト感度評価方法>
次に、レジスト付マスクブランク5におけるレジスト層4について、そのレジスト感度を評価する手順を説明する。なお、ここでは、レジスト感度の評価手順について、レジスト層4の形成手順も含めて、その説明を行うものとする。
図2は、本実施形態におけるレジスト感度の評価手順の一例を示すフロー図である。
【0042】
(塗布工程:S11)
レジスト層4におけるレジスト感度を評価するためには、評価対象となるレジスト層4の形成が必要である。そのために、塗布工程(S11)では、基材2の一面の上方側に、より具体的には基材2の面上に薄膜3を有して構成されたマスクブランク1の薄膜側表面に、レジスト層4の形成材料であるレジスト材を塗布する。
【0043】
レジスト材は、複数種のレジスト組成物によって構成されている。レジスト組成物としては、主として、感光性樹脂、光酸発生剤(PAG)、塩基性化合物、界面活性剤、及び、溶媒である有機溶剤等が挙げられる。これらのレジスト組成物のうち、少なくとも感光性樹脂は、溶媒にコロイド状に分散している。
【0044】
このようなレジスト組成物からなるレジスト材をマスクブランク1の面上に塗布する方法としては、例えばスピンコート法が挙げられる。スピンコート法は、レジスト材を塗布する際の膜厚均一性に優れる。ただし、スピンコート法では、レジスト材をマスクブランク1の面上に展開するときに、そのレジスト材を構成するレジスト組成物に遠心力が働き、見かけ上は膜厚均一性に優れていても、各レジスト組成物が遠心分離されるように偏って存在してしまうことが考えられる。
【0045】
(粗乾燥工程:S12)
塗布工程(S11)の終了後は、続いて、粗乾燥工程(S12)として、マスクブランク1の面上に塗布したレジスト材を粗乾燥する。これにより、マスクブランク1の面上には、レジスト塗布膜が形成されることになる。
【0046】
(第一測定工程:S13)
粗乾燥工程(S12)を行ってレジスト塗布膜を形成したら、その後は、第一測定工程(S13)として、形成したレジスト塗布膜の膜厚を測定して、第一の膜厚マップを作成する。
【0047】
レジスト塗布膜の膜厚測定は、レジスト塗布膜の面内全域について行う。ただし、面内全域の複数箇所を抽出し、その抽出点について膜厚測定を行うようにしてもよい。膜厚測定の手法は、非破壊、非接触のものであればよく、分光干渉方式、渦電流位相変位感応式、電磁誘導式、蛍光X線式等といった公知の手法を利用することが考えられる。
【0048】
第一の膜厚マップは、レジスト塗布膜の面内全域についての膜厚測定結果を、その面内に対応する二次元座標平面上で表したものである。
【0049】
(加熱処理工程:S14)
第一測定工程(S13)で第一の膜厚マップを作成したら、その後は、加熱処理工程(S14)として、マスクブランク1の面上のレジスト塗布膜に対して、露光前ベーク(プリベーク)と呼ばれる加熱処理を行う。加熱処理の温度および時間は、レジスト塗布膜の基となったレジスト材の種類に応じて予め決定されたものであればよい。このような加熱処理(プリベーク)を経ることで、マスクブランク1の面上には、レジスト層4が形成されることになる。
【0050】
このとき、レジスト塗布膜を構成するレジスト組成物としての溶媒は、加熱処理によって取り除かれる。そのため、溶媒を除く他のレジスト組成物に偏在が生じていると、その偏在が加熱処理によって顕在化することになる。つまり、レジスト塗布膜に対して加熱処理を行ってレジスト層4とする際には、その加熱処理によってレジスト膜厚が減少するが、レジスト組成物に偏在が生じていると、その偏在が加熱処理によって顕在化するので、その偏在に応じてレジスト減膜率に変動が生じてしまうのである。
【0051】
(第二測定工程:S15)
加熱処理工程(S14)を行ってレジスト層4を形成したら、その後は、第二測定工程(S15)として、形成したレジスト層4の膜厚を測定して、第二の膜厚マップを作成する。
【0052】
レジスト層4の膜厚測定は、上述した第一測定工程(S13)の場合と同様に、レジスト層4の面内全域について行う。ただし、面内全域の複数箇所を抽出し、その抽出点について膜厚測定を行うようにしてもよい。その場合の抽出箇所は、第一測定工程(S13)での抽出箇所に対応しているものとする。また、膜厚測定の手法は、非破壊、非接触のものであればよく、分光干渉方式、渦電流位相変位感応式、電磁誘導式、蛍光X線式等といった公知の手法を利用することが考えられる。
【0053】
第二の膜厚マップは、レジスト層4の面内全域についての膜厚測定結果を、その面内に対応する二次元座標平面上で表したものである。
【0054】
(マップ作成工程:S16)
第二測定工程(S15)で第二の膜厚マップを作成したら、第一測定工程(S13)で得た第一の膜厚マップと合わせて、加熱処理前後における膜厚測定結果が揃うことになる。そこで、第二測定工程(S15)の後は、マップ作成工程(S16)として、第一の膜厚マップと第二の膜厚マップとを用いて、加熱処理前後におけるレジスト減膜率マップを作成する。
【0055】
レジスト減膜率マップは、レジスト層4の面内全域についてのレジスト減膜率の算出結果を、その面内に対応する二次元座標平面上で表したものである。レジスト減膜率は、加熱処理前のレジスト塗布膜の膜厚に対する加熱処理後のレジスト層4の膜厚の減膜量を、レジスト塗布膜の膜厚に対する割合で算出したものである。
【0056】
(評価工程:S17)
マップ作成工程(S16)でレジスト減膜率マップを作成した後は、必要に応じて(例えばレジスト層4をパターニングするための露光を行う前の時点で)、評価工程(S17)を行う。評価工程(S17)では、レジスト減膜率マップに基づいて、レジスト層4のレジスト感度分布の評価を行う。
【0057】
レジスト感度分布の評価は、以下に述べるようにして行うことが考えられる。
【0058】
マップ作成工程(S16)の終了後は、評価対象となるレジスト層4についてのレジスト減膜率マップが得られる。レジスト減膜率マップは、レジスト層4の面内全域についてのレジスト減膜率を二次元座標平面上で表したものである。したがって、このレジスト減膜率マップによれば、レジスト層4の面内におけるレジスト減膜率の変動の分布状態が把握される。レジスト減膜率の変動は、レジスト層4を構成する基になったレジスト組成物の偏在が加熱処理によって顕在化したものと捉えることができる。そして、レジスト組成物の偏在は、レジスト感度の変動の大きな要因となり得る。これらのことを考慮すると、レジスト減膜率の変動とレジスト感度の変動との間には、相関関係が存在すると言える。
【0059】
レジスト減膜率の変動とレジスト感度の変動との関係性は、レジスト材の種類に依存すると考えられる。つまり、レジスト材の種類が特定されると、これに伴ってレジスト減膜率とレジスト感度との相関関係についても特定することができ、その結果としてレジスト減膜率から一意にレジスト感度を推認することが可能となる。
【0060】
以上のことを踏まえた上で、レジスト感度分布の評価にあたっては、レジスト減膜率マップに基づいてレジスト層4の面内の各箇所におけるレジスト減膜率を認識する。そして、レジスト材の種類から特定されるレジスト減膜率とレジスト感度との相関関係に基づいて、レジスト減膜率マップ上の各箇所のレジスト減膜率から一意に当該各箇所のレジスト感度を推認し、その推認結果を予め設定されている基準感度または許容感度範囲と比較することで、レジスト層4の面内におけるレジスト感度を評価する。
【0061】
以上に説明した手順を経ることで、レジスト付マスクブランク5におけるレジスト層4のレジスト感度が評価されることになる。
【0062】
<4.レジスト付マスクブランク供給方法>
次に、レジスト付マスクブランク5の供給方法について説明する。本実施形態で説明する供給方法は、レジスト付マスクブランク5の製造元側から使用者側に対して当該レジスト付マスクブランク5を供給する際に用いられる方法である。供給するレジスト付マスクブランク5は、基材2の面上にレジスト塗布膜を形成した後にそのレジスト塗布膜を加熱処理してレジスト層4とすることで得られるものである。ここでいう基材2の面上には、薄膜3を介した場合の面上、すなわちマスクブランク1の薄膜3側表面上をも含む。したがって、レジスト付マスクブランク5は、本発明における「レジスト付基材」の一具体例に相当する。
【0063】
このようなレジスト付マスクブランク5の供給にあたっては、そのレジスト付マスクブランク5におけるレジスト層4について、上述した「3.レジスト感度評価方法」の場合と同様の手法で、第一の膜厚マップと第二の膜厚マップとを用いて、加熱処理前後におけるレジスト減膜率マップを作成しておく。また、レジスト減膜率マップの作成と合わせて、必要とされる場合には、レジスト減膜率マップに基づいて作成されるレジスト層4のレジスト感度分布マップを作成しておく。このレジスト感度分布マップは、レジスト減膜率マップの内容から一意に作成されるもので、レジスト層4の面内全域についてのレジスト感度の分布状態を、その面内に対応する二次元座標平面上で表したものである。
【0064】
そして、レジスト付マスクブランク5を供給する際には、そのレジスト付マスクブランク5のレジスト層4についてのレジスト減膜率マップまたはレジスト層のレジスト感度分布マップの少なくとも一方を、そのレジスト付マスクブランク5に添付して供給する。つまり、使用者側に対して供給されるレジスト付マスクブランク5には、レジスト減膜率マップまたはレジスト層のレジスト感度分布マップの少なくとも一方が添付されていることになる。
【0065】
このようにしてレジスト付マスクブランク5を供給すれば、そのレジスト付マスクブランク5が供給された使用者側では、添付されたレジスト減膜率マップまたはレジスト層のレジスト感度分布マップを参照することで、そのレジスト付マスクブランク5におけるレジスト層4について、上述した「3.レジスト感度評価方法」の場合と同様の手法でレジスト感度分布の評価を行うことが可能となる。
【0066】
<5.転写用マスク製造方法>
次に、レジスト付マスクブランク5を用いて行う転写用マスクの製造方法について説明する。
【0067】
レジスト付マスクブランク5におけるレジスト層4は、製造すべき転写用マスクがバイナリーマスク、ハーフトーン型位相シフトマスクまたはレベンソン型位相シフトマスクである場合には、遮光膜や位相シフト膜等をパターニングして遮光領域と透過領域を形成するために用いられる。また、製造すべき転写用マスクがEUVマスクである場合には、光吸収膜をパターニングして吸収領域と反射領域を形成するために用いられる。いずれの場合にも、レジスト層4は、電子線の露光によりパターン描画がされ、さらに現像処理がされることで、レジストパターンとされる。
【0068】
このとき、レジストパターンについては、例えばCDUが5nm以下、好ましくは3nm以下といったように、寸法精度に対して厳しい要求がされる。このような要求に応じるためには、レジスト層4のレジスト感度の面内分布を適切に評価し得るようにすることが必要である。
【0069】
この点については、本実施形態における転写用マスク製造方法によれば、レジスト付マスクブランク5のレジスト層4についてレジスト減膜率マップが作成されているので、そのレジスト減膜率マップまたはレジスト減膜率マップに基づいて作成されるレジスト層4のレジスト感度分布マップを利用して、レジスト層4のレジスト感度の面内分布の評価を適切に行える。したがって、レジストパターンの寸法精度に対する厳しい要求にも応じることが実現可能となる。
【0070】
具体的には、レジスト層4をパターニングしてレジストパターンとする際に、レジスト減膜率マップまたはレジスト層4のレジスト感度分布マップを利用して、レジスト層4のレジスト感度の面内分布を把握した上で、そのレジスト層4の面内の各箇所に対する露光強度を決定する。そして、決定した露光強度でレジスト層4に対するパターン露光を行う。このようにすれば、レジスト層4の面内の各箇所におけるレジスト感度に応じた露光強度で、当該各箇所に対するパターン露光を行うことができる。したがって、例えばCDUが5nm以下、好ましくは3nm以下といった厳しい要求であっても、これを満足する寸法精度のレジストパターンを形成することが可能となる。
【0071】
<6.本実施形態の効果>
本実施形態によれば、以下のような効果が得られる。
【0072】
本実施形態においては、レジスト塗布膜の膜厚を測定して得られる第一の膜厚マップと、レジスト層4の膜厚を測定して得られる第二の膜厚マップとを用いて、加熱処理前後におけるレジスト減膜率マップを作成し、そのレジスト減膜率マップに基づいてレジスト層4におけるレジスト感度分布の評価を行う。つまり、本実施形態では、レジスト層4におけるレジスト減膜率とレジスト感度との間には相関関係があるという本願発明者による新規な知見に基づき、レジスト層4に対する加熱処理(プリベーク)前後におけるレジスト減膜率を把握した上で、そのレジスト減膜率からレジスト感度を推認して、レジスト層4の面内におけるレジスト感度を評価するのである。
したがって、本実施形態によれば、レジスト層4に対して現像処理を施したり紫外線光を照射したりする必要がなく、レジスト層4のレジスト感度を評価することが可能となる。また、膜厚測定結果を基にしてレジスト減膜率を把握すればよいので、レジスト層4の面内全域(パターン形成領域を含む)について、感度評価を行うことができる。つまり、本実施形態によれば、レジスト層4におけるレジスト感度の面内分布を適切にかつ短時間に評価することができる。
【0073】
また、本実施形態においては、レジスト層4についてのレジスト減膜率マップまたはそのレジスト減膜率マップから作成されるレジスト感度分布マップを利用して、レジスト層4のレジスト感度の面内分布を把握した上で、そのレジスト層4の面内の各箇所に対する露光強度を決定する。そして、決定した露光強度でレジスト層4に対するパターン露光を行ってレジストパターンを形成し、そのレジストパターンを用いて転写用マスクを製造する。つまり、レジスト層4におけるレジスト感度の面内分布を適切に評価した上で、その評価結果を考慮した条件下でレジストパターンの形成を行い得るようになる。
したがって、本実施形態によれば、例えばCDUが5nm以下、好ましくは3nm以下といった厳しい要求であっても、これを満足する寸法精度のレジストパターンを形成することが可能となり、その結果として半導体デバイスの微細構造化の進展にも好適に対応することができる。
【0074】
特に、本実施形態で説明したように、マスクブランク1の薄膜側表面にレジスト材を塗布する塗布工程(S11)を経てレジスト層4が形成される場合に、そのレジスト材の塗布をスピンコート法で行うと、そのレジスト材を構成するレジスト組成物に偏在が生じ易い。そのような場合であっても、本実施形態で説明したように、レジスト層4に対する加熱処理前後におけるレジスト減膜率を用いてレジスト層4の面内におけるレジスト感度を評価すれば、その評価結果にレジスト組成物の偏在状態が反映されることになる。つまり、本実施形態によれば、レジスト組成物の偏在が生じ得る条件下でレジスト層4を形成する場合であっても、そのレジスト層4におけるレジスト感度の面内分布を適切に評価することができる。
【0075】
また、本実施形態においては、レジスト付マスクブランク5を供給する際に、そのレジスト付マスクブランク5のレジスト層4についてのレジスト減膜率マップまたはレジスト層のレジスト感度分布マップの少なくとも一方を、そのレジスト付マスクブランク5に添付して供給する。つまり、供給されるレジスト付マスクブランク5には、レジスト減膜率マップまたはレジスト層のレジスト感度分布マップの少なくとも一方が添付されていることになる。
したがって、本実施形態によれば、レジスト付マスクブランク5が供給された使用者側では、添付されたレジスト減膜率マップまたはレジスト層のレジスト感度分布マップを参照することで、そのレジスト付マスクブランク5のレジスト層4におけるレジスト感度の面内分布を適切に評価することができる。つまり、使用者側にとっては、非常に利便性に優れたものとなり、添付されたレジスト減膜率マップ等を用いてレジスト層4におけるレジスト感度の面内分布を適切に評価することで、レジストパターンの高精度化や半導体デバイスの微細構造化等にも好適に対応することができるようになる。
【0076】
<7.変形例等>
以上に本発明の実施形態を説明したが、上記の開示内容は、本発明の例示的な実施形態を示すものである。すなわち、本発明の技術的範囲は、上記の例示的な実施形態に限定されるものではない。
【0077】
例えば、上述した実施形態では、転写用マスクの製造に用いられるレジスト付マスクブランク5のレジスト評価に本発明を適用した場合を例にあげたが、本発明はこれに限定されるものではなく、インプリント用モールドの製造に用いられるレジスト付インプリント用モールドブランクのレジスト評価にも適用することができる。
【0078】
インプリント用モールドは、転写対象物上に塗布されたレジスト膜に直接押し付けてパターン転写を行うものである。そのため、インプリント用モールドの表面に形成した微細パターンの形状や寸法精度等は、転写されたパターンの形状や寸法精度等に大きく影響する。
【0079】
このようなインプリント用モールドは、インプリント用モールドブランクを用いて製造される。インプリント用モールドブランクは、合成石英ガラス等の基材の表面に、必要に応じてクロム系薄膜やタンタル系薄膜等が形成され、さらにその表面にレジスト層が形成されて構成される。そして、レジスト層付インプリント用モールドブランクに対して、レジスト層をリソグラフィ法によってパターニングし、レジストパターンをマスクとして下方の薄膜や基材をエッチングすることで、インプリント用モールドの刻印形状が形成されることになる。
【0080】
以上のようなレジスト層付インプリント用モールドブランクのレジスト評価についても、上述した実施形態の場合と全く同様に、本発明を適用することで、レジスト層におけるレジスト感度の面内分布を適切に評価するができる。その場合に、レジスト層付インプリント用モールドブランクは、本発明における「レジスト付基材」の一具体例に相当することになる。
【0081】
また、上述した実施形態では、レジスト層4に対する加熱処理前後におけるレジスト減膜率を用いて、レジスト層4の面内におけるレジスト感度を評価している。ここで、加熱処理後とは、当該加熱処理が終了してレジスト層4が形成された時点、すなわち当該加熱処理の終了から直近のタイミングを想定している。ただし、本発明は、必ずしもこれに限定されるものではなく、加熱処理の終了から所定時間経過後のタイミングで膜厚測定を行ってレジスト減膜率を求めるようにしてもよい。例えば、レジスト感度が経時的に変動するような場合には、加熱処理の終了から所定時間経過後のタイミングとすることで、レジスト感度の経時的な変動を反映させた評価を行うことができるようになる。また、加熱処理後の複数のタイミングで膜厚測定を行ってレジスト減膜率を求めることも考えられ、その場合には、各タイミングにおけるレジスト減膜率からレジスト感度の経時的な変動を把握し得るになる。
【実施例】
【0082】
ここで、ハーフトーン型位相シフトマスクの製造にかかるマスクブランクを例に挙げて、本発明について詳細に説明する。ただし、本発明が、以下の実施例に限定されないことは勿論である。
【0083】
本実施例では、以下のようなマスクブランクを構成した。基材としては、合成石英ガラス基板を用いた。薄膜としての光半透過膜については、膜厚69nm、波長λ=193nmの光に対する透過率が6.04%、位相差が179.5°であるMoSiN膜を用いた。また、他の薄膜としての遮光膜については、クロムリーンで膜厚30nmのCrOCN膜とクロムリッチで膜厚14nmのCrOCN膜との積層膜を用いた。これらの光半透過膜と遮光膜とで波長λ=193nmの光に対する光学濃度が3.0となるようにした。
【0084】
レジスト層については、以下のようにして形成した。先ず、前処理として、遮光膜に対しHMDS(密着性向上塗布剤)処理を所定の条件で施した。そして、レジスト材として電子線描画用の化学増幅型ポジ型レジスト(PRL009:富士フィルムエレクトロニクスマテリアルズ社製)を用い、塗布方法としてスピンコート法を採用して、設定膜厚が120nmとなるようにレジスト塗布膜を形成し、さらにそのレジスト塗布膜に対して加熱処理(プリベーク)を行って、レジスト層を形成した。
【0085】
このようにして得られたレジスト付マスクブランクに対して、加熱処理前後における膜厚測定結果を用いて、レジスト減膜率マップを作成した。
図3は、レジスト減膜率マップの一具体例を示す説明図である。
図例のレジスト減膜率マップは、レジスト層の面内全域を複数に分割し、それぞれの分割領域におけるレジスト減膜率を、レジスト層の面内に対応する二次元座標平面上で表したものである。各分割領域に表示されている数値は、レジスト減膜率の値であり、例えば(加熱処理前後の膜厚差/加熱処理前膜厚)×100という演算式を用いて算出したものである。また、レジスト減膜率マップ上では、レジスト減膜率の値の違いに対応させて、各分割領域の表示明度を相違させている。
このようなレジスト減膜率マップによれば、レジスト層の面内全域におけるレジスト減膜率の分布状態を容易に把握することができ、その結果からレジスト層の面内全域におけるレジスト感度についても一意に推認することが可能となる。
【0086】
このことを検証するために、図3のレジスト減膜率マップに係るレジスト層について、そのレジスト感度を実際に測定してみた。
図4は、レジスト感度の測定結果の一具体例を示す説明図である。
図例のレジスト感度の測定結果は、レジスト層の面内全域のクリティカルディメンジョン(CD)を測定することによって得られた、いわゆるCDUマップと呼ばれるものである。
【0087】
図3のレジスト減膜率マップと図4のCDUマップとを対比させると、レジスト減膜率マップにおいてレジスト減膜率の高い箇所ほど、DOSEマップにおいて低感度であることがわかる。つまり、レジスト層の面内におけるレジスト減膜率とレジスト感度との間には、明らかに相関関係が存在していることが認められる。
【符号の説明】
【0088】
1…マスクブランク、2…基材、3…薄膜、4…レジスト層、5…レジスト付マスクブランク
図1
図2
図3
図4