特許第6420981号(P6420981)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6420981
(24)【登録日】2018年10月19日
(45)【発行日】2018年11月7日
(54)【発明の名称】搬送車、及び搬送システム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20060101AFI20181029BHJP
【FI】
   G05D1/02 P
   G05D1/02 Y
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-135581(P2014-135581)
(22)【出願日】2014年7月1日
(65)【公開番号】特開2016-14948(P2016-14948A)
(43)【公開日】2016年1月28日
【審査請求日】2017年3月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(73)【特許権者】
【識別番号】510091446
【氏名又は名称】株式会社ジー・イー・エヌ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】高瀬 敦也
(72)【発明者】
【氏名】黒木 慎介
(72)【発明者】
【氏名】西山 敏樹
(72)【発明者】
【氏名】三村 將
(72)【発明者】
【氏名】松田 篤志
(72)【発明者】
【氏名】大西 幸周
【審査官】 山村 秀政
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−029838(JP,A)
【文献】 特開平05−241651(JP,A)
【文献】 特開2006−335312(JP,A)
【文献】 特開2011−195079(JP,A)
【文献】 特開2012−236487(JP,A)
【文献】 特開2013−050776(JP,A)
【文献】 特開平11−085281(JP,A)
【文献】 特開2011−141854(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送情報にしたがって自動走行する搬送車であって、
走行中における搭乗者の有無を検出する検出部と、
車両の周辺を監視する監視部と、
前記検出部が搭乗者の有りを検出している状態から、搭乗者の無しを検出した場合に車両を停止させるとともに、前記監視部によって前記車両の周辺に人が存在していないことが検出された場合に現在の搬送情報を取消し、次の搬送情報にしたがって車両を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記検出部が搭乗者の有りを検出している状態から、搭乗者の無しを検出しており、かつ前記監視部が前記車両の周辺に人が存在していることを検出している状態で、前記検出部の検出状態が搭乗者の有りに遷移したときには現在の搬送情報にしたがって車両の走行を復帰させる搬送車。
【請求項2】
前記監視部は、前記車両の周辺から搭乗者が退出したことを検出するセンサである請求項1に記載の搬送車。
【請求項3】
前記制御部は、前記監視部によって車両の周辺に人が存在しないことが所定時間継続して検出された場合に現在の搬送情報を取り消す請求項1又は請求項2に記載の搬送車。
【請求項4】
搬送情報にしたがって自動走行する搬送車と、前記搬送車に前記搬送情報を指示する運行管理装置と、を備えた搬送システムであって、
前記搬送車は、
前記運行管理装置と通信を行う通信部と、
走行中における搭乗者の有無を検出する検出部と、
車両の周辺を監視する監視部と、
前記搬送情報にしたがって車両を制御する制御部と、を有し、
前記運行管理装置は、
前記搬送車と通信を行う通信部と、
前記搬送情報を指示する指示部と、を有し、
前記搬送車の前記制御部は、前記検出部が搭乗者の有りを検出している状態から、搭乗者の無しを検出した場合に車両を停止させるとともに、前記監視部によって前記車両の周辺に人が存在していないことが検出された場合に、前記運行管理装置に降車情報を送信し、
前記運行管理装置の指示部は、前記降車情報を受信することによって前記搬送車に指示している現在の搬送情報を取り消すとともに、次の搬送情報を指示し、
前記制御部は、前記検出部が搭乗者の有りを検出している状態から、搭乗者の無しを検出しており、かつ前記監視部が前記車両の周辺に人が存在していることを検出している状態で、前記検出部の検出状態が搭乗者の有りに遷移したときには現在の搬送情報にしたがって車両の走行を復帰させる搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動走行する搬送車、及び搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゴルフカートなどの有人車両として、例えば特許文献1の車両が知られている。特許文献1の車両には、走行中に乗員が降車(飛び降り)した場合の安全装置が搭載されている。具体的に言えば、特許文献1の車両では、座席に乗員の有無を検出するセンサを配置しておき、走行中においてセンサが乗員の無しを検出する場合にはエンジンを停止させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−318481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の車両は、走行中に乗員が降車した際に無人状態で車両が走行し続けることを回避することができる。しかしながら、例えば複数台の車両を同時に走行させるような用途において、乗員の降車に伴って停車した車両を放置し続けることは他の車両の走行を妨げる虞がある。このため、走行中の車両から乗員が降車した場合の対処方法には改善の余地がある。
【0005】
この発明、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的は、搭乗者が降車した際に周辺状況を考慮して車両を制御し得る搬送車、及び搬送システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する搬送車は、搬送情報にしたがって自動走行する搬送車であって、走行中における搭乗者の有無を検出する検出部と、車両の周辺を監視する監視部と、前記検出部が搭乗者の無しを検出した場合に車両を停止させるとともに、前記監視部によって前記車両の周辺に人が存在していないことが検出された場合に現在の搬送情報を取消し、次の搬送情報にしたがって車両を制御する制御部と、を備えている。この搬送車によれば、何らかの理由によって搭乗者が降車した場合であっても、車両を例えば他の車両の走行を妨げることなく、車両の周辺状況を考慮して制御することができる。
【0007】
上記した搬送車において、前記監視部は、前記車両の周辺から搭乗者が退出したことを検出するセンサとしても良い。この構成によれば、簡単な構成で車両を制御することができる。
【0008】
上記した搬送車において、前記制御部は、前記監視部によって車両の周辺に人が存在しないことが所定時間継続して検出された場合に現在の搬送情報を取り消しても良い。この構成によれば、搭乗者が存在しないことをより適切に判断し、車両を制御することができる。
【0009】
上記した搬送車において、前記制御部は、前記検出部が搭乗者の無しを検出しており、かつ前記監視部が前記車両の周辺に人が存在していることを検出している状態で、前記検出部の検出状態が搭乗者の有りに遷移したときには現在の搬送情報にしたがって車両の走行を復帰させても良い。この構成によれば、何らかの理由により一時的に搭乗者が降車した場合、その後、車両に再び乗車することによって車両を現在の搬送情報にしたがって制御することができる。
【0010】
上記課題を解決する搬送システムは、搬送情報にしたがって自動走行する搬送車と、前記搬送車に前記搬送情報を指示する運行管理装置と、を備えた搬送システムであって、前記搬送車は、前記運行管理装置と通信を行う通信部と、走行中における搭乗者の有無を検出する検出部と、車両の周辺を監視する監視部と、前記搬送情報にしたがって車両を制御する制御部と、を有し、前記運行管理装置は、前記搬送車と通信を行う通信部と、前記搬送情報を指示する指示部と、を有し、前記搬送車の前記制御部は、前記検出部が搭乗者の無しを検出した場合に車両を停止させるとともに、前記監視部によって前記車両の周辺に人が存在していないことが検出された場合に、前記運行管理装置に降車情報を送信し、前記運行管理装置の指示部は、前記降車情報を受信することによって前記搬送車に指示している現在の搬送情報を取り消すとともに、次の搬送情報を指示する。この搬送システムによれば、何らかの理由によって搭乗者が降車した場合であっても、車両を例えば他の車両の走行を妨げることなく、車両の周辺状況を考慮して制御することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、搭乗者が降車した際に周辺状況を考慮して車両を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】搬送車の概略側面図。
図2】搬送システムの構成を示すブロック図。
図3】搬送車の制御処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、搬送車及び搬送システムを具体化した一実施形態を図1図3にしたがって説明する。
図1に示すように、搬送車10は、車体11と、車体11上に設けられたシート12と、を備えている。また、搬送車10は、一対の駆動輪13と、一対の従動輪14と、を備えている。駆動輪13には、車軸15を通じて車体11に搭載されている駆動機構16(図2に示す)から動力が伝達される。駆動機構16には、モータやエンジンなどの動力源や、ブレーキなどを含む。また、車体11には、シート12に着座した搭乗者Pの足置き場となるフットボード17が取り付けられている。この実施形態の搬送車10において、駆動輪13は車体11の下方に配置されている一方で、従動輪14はフットボード17の下方に配置されている。
【0014】
また、シート12の座面18には、検出部としてのシートスイッチ19が設けられている。シートスイッチ19は、搭乗者Pの有無を検出する。シートスイッチ19には、例えばリミットスイッチや搭乗者Pの体重によって電気信号を出力する圧電スイッチなどが使用される。また、搬送車10には、監視部としての監視センサ20が設けられている。監視センサ20は、搬送車10(車両)の周辺を監視する。監視センサ20には、例えば光電センサなどが使用される。この実施形態において監視センサ20は、所定の検出範囲を有する。
【0015】
図2に示すように、搬送車10の車体11には、車両制御装置21が搭載されている。車両制御装置21は、制御部22と、タイマ23と、送信部24と、受信部25と、を有する。制御部22には、シートスイッチ19及び監視センサ20がそれぞれ電気的に接続されている。車両制御装置21は、駆動機構16を制御する。
【0016】
また、車両制御装置21は、運行管理装置26と情報を送受信可能に構成されている。この実施形態において搬送車10は、搭乗者Pによって指示された行先までの走行ルートが運行管理装置26によって制御される。そして、運行管理装置26は、制御部27と、送信部28と、受信部29と、を有する。
【0017】
この実施形態では、車両制御装置21を有する搬送車10と、その搬送車10の走行ルートを制御する運行管理装置26とによって搬送システム30が構築されている。そして、この実施形態において、車両制御装置21の送信部24と受信部25とによって運行管理装置26と通信を行う通信部が構成されているとともに、運行管理装置26の送信部28と受信部29とによって搬送車10と通信を行う通信部が構成されている。
【0018】
上記のように構成した搬送車10は、例えば病院内において患者を診療科まで搬送する車両として具体化することができる。そして、搬送車10は、運行管理装置26からの搬送情報を受信し、その搬送情報にしたがう走行ルートで病院内を自動走行する。なお、行先(診療科など)は、搬送車10に装備されている入力手段を操作して入力し、その入力情報が運行管理装置26に送信される。入力情報を受信した運行管理装置26は、病院内を走行する他の搬送車10の走行ルートや現在位置などを考慮し、当該搬送車10の走行ルートを搬送情報として送信する。
【0019】
次に、搬送車10の制御内容についてその作用とともに記載する。
以下の説明は、搬送車10のシート12に搭乗者Pが着座している状態を前提とする。
搬送車10の制御部22は、シートスイッチ19の検知信号を入力し、その検知信号がON信号であるかを判定する(ステップS10)。シートスイッチ19は、シート12に人(搭乗者P)が着座している場合にON信号を出力し、着座していない場合にOFF信号を出力する。制御部22は、ON信号の入力によって搭乗者Pの有りを検出する。一方、制御部22は、OFF信号の入力によって搭乗者Pの無しを検出する。制御部22は、ON信号を入力している場合、ステップS10を否定判定し、ステップS10からの処理を繰り返す。一方、制御部22は、検知信号がON信号からOFF信号に変わると、ステップS10を否定判定し、次の処理に移行する。
【0020】
搬送車10に乗車していた搭乗者Pは、何らかの理由によって搬送車10から降車する場合がある。降車の理由としては、例えば荷物などを落としたことなどが考えられる。このような場合、シートスイッチ19の検知信号は、着座していた搭乗者Pが搬送車10から降車したことによってON信号からOFF信号に切り替わる場合がある。
【0021】
ステップS10においてOFF信号を入力した制御部22は、現在、走行中であるかを判定する(ステップS11)。搬送車10は、車速を検出する車速検出センサを備えている。そして、制御部22は、検出された車速が0km/hよりも大きい場合、走行中であると判定する。一方、制御部22は、検出された車速が0km/hの場合、非走行中、すなわち停車中であると判定する。
【0022】
ステップS11において走行中であると判定した制御部22は、駆動機構16を制御して車両を停止させる(ステップS12)。そして、制御部22は、次の処理に移行する。一方、ステップS11において停車中であると判定した制御部22は、停車の状態を維持して次の処理に移行する。
【0023】
次の処理に移行した制御部22は、監視センサ20の検出信号をもとに搬送車10の周辺の環境を判断する。この判断において制御部22は、降車した搭乗者Pが搬送車10の周辺から退出しているかを判定する(ステップS13)。搬送車10の周辺とは、停車した搬送車10が再び走行した場合に当該搬送車10と搭乗者Pとが接触しないと判断し得る範囲を示す。このため、監視センサ20は、前述した範囲内に搭乗者Pが存在するかを検出し得るようにその検出範囲が設定されている。そして、制御部22は、監視センサ20の検出信号をもとに搬送車10の周辺から搭乗者Pが退出していることを検出した場合、タイマ23の計時を開始させ、次の処理に移行する。
【0024】
次の処理に移行した制御部22は、タイマ23を計時してから時間Tが経過したかを判定する(ステップS14)。タイマ23を計時してから時間Tを経過していない場合、制御部22は、ステップS13に移行し、ステップS13からの処理を繰り返す。一方、タイマ23を計時してから時間Tが経過した場合、制御部22は、搭乗者Pが降車し、かつ搬送車10の周辺に滞在していないことが確認されたことにより、次の処理に移行する。
【0025】
次の処理に移行した制御部22は、搬送車10が無人の状態で停車していることを示す降車情報を運行管理装置26に送信する(ステップS15)。この状態で制御部22は、運行管理装置26からの新たな搬送情報が指示されることを待機している。一方、降車情報を受信した運行管理装置26の制御部27は、搬送車10に指示している現在の搬送情報を取り消し、新たな搬送情報を指示する。
【0026】
そして、制御部22は、新たな搬送情報を受信することによって、現在の搬送情報が取り消されるとともに(ステップS16)、新たな搬送情報を実行させる(ステップS17)。例えば、制御部22は、新たな搬送情報が別の場所に移動する走行ルートを指示するものであれば、その指示にしたがって搬送車10の走行を開始させる。また、制御部22は、新たな搬送情報が現在位置で待機することを指示するものであれば、その指示にしたがって搬送車10を待機させる。この実施形態において運行管理装置26の制御部27は、新たな搬送情報を指示する指示部として機能する。つまり、搬送情報は走行ルートなどの走行(停車も含む)に必要な情報を指示する情報であって、運行管理装置26から搬送車10への搬送指示に相当する。
【0027】
また、ステップS13において制御部22は、降車した搭乗者Pが搬送車10の周辺から退出していない場合、シートスイッチ19の検知信号がON信号であるかを判定する(ステップS18)。このステップS18において制御部22は、ON信号を入力している場合、一旦降車した搭乗者Pが再び乗車したことを検出する。これにより、制御部22は、現在の搬送情報にしたがって搬送車10を自動復帰させる(ステップS19)。つまり、制御部22は、現在の搬送情報にしたがって搬送車10の走行を再開させる。一方、ステップS18において制御部22は、OFF信号を入力している場合、搭乗者Pが搬送車10の周辺に滞在しているが、乗車していないので、ステップS13に移行し、ステップS13からの処理を繰り返す。なお、制御部22は、ステップS13の処理に移行した場合、その移行の度にタイマ23の計時を零にクリアする。
【0028】
以上の制御により、この実施形態の搬送車10は、図3のステップS11,S12の処理によって搭乗者Pが降車した場合に車両を自動で停車させる機能を有する。また、この実施形態の搬送車10は、図3のステップS13の処理によって搭乗者Pが降車した後の車両の周辺を監視する機能(降車した搭乗者Pが車両の近くに滞在しているか否か)を有する。また、この実施形態の搬送車10は、図3のステップS15〜S17の処理によって搭乗者Pが降車した後の車両を自動で運転する機能を有する。また、この実施形態の搬送車10は、図3のステップS18,S19の処理によって搭乗者Pの降車後、搭乗者Pが車両に再び乗車することを条件に走行を自動復帰させる機能を有する。
【0029】
したがって、上記実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)本実施形態の搬送車10、及び搬送システム30によれば、何らかの理由によって搭乗者Pが降車した場合であっても、車両を例えば他の車両の走行を妨げることなく、車両の周辺状況を考慮して制御することができる。
【0030】
(2)また、走行中に搭乗者Pが降車した際には強制的に停車させるので、搭乗者Pが乗車していない搬送車10をそのまま走行させることや搬送車10の急発進を防止することができる。
【0031】
(3)また、現在の搬送情報を取り消すことで、新たな搬送情報を確実に搬送車10に与えることができる。すなわち、搬送車10の誤作動などを回避できる。
(4)また、搭乗者Pが降車した搬送車10を新たな搬送情報にしたがって制御することで、復旧を円滑に行うことができる。例えば、管理者が停車した搬送車10に出向いて異常の状態を解除しなくても搬送車10を復帰させることができる。
【0032】
(5)監視センサ20の監視結果に加え、時間Tを計時して次の処理に移行するので、搭乗者Pが存在しないや車両の周辺に人が存在しないことをより適切に判断し、車両を制御することができる。
【0033】
(6)監視センサ20を用いて車両の周辺を監視するので、簡単な構成で車両を制御することができる。
(7)自動復帰させる機能により、何らかの理由により一時的に搭乗者Pが降車した場合、その後、車両に再び乗車することによって車両を現在の搬送情報にしたがって制御することができる。
【0034】
(8)搬送車10を運行管理装置26によって制御するので、複数台の搬送車10を走行させる場合において、搬送車10の走行や降車した搬送車10の処理を適切に行うことができる。つまり、他の搬送車10の状況を考慮し、全体を把握した上で制御を行うことができる。
【0035】
なお、本実施形態は以下のように変更してもよい。
図3のステップS13において車両の周辺に人(搭乗者P)が滞在している場合、ステップS13の処理を繰り返すようにしても良い。この場合、自動復帰の機能が省略される。そして、この場合、搬送車10は、例えば搭乗者Pの指示によって走行を再開させるようにしても良いし、あるいは搭乗者Pが乗車した情報を運行管理装置26へ送信することによって運行管理装置26からの指示で走行を再開させるようにしても良い。
【0036】
図3のステップS13で車両の周辺から人(搭乗者P)が退出していることを検出した場合に、ステップS15からの処理を行うようにしても良い。この場合は、時間Tの経過を待たずに次の搬送情報にしたがって車両を運行させる処理に移行する。
【0037】
図3のステップS10の処理は、複数の検出部の検出結果をもとに行っても良い。例えば、センサをシート12の座面18に加え、フットボード17や背もたれなどにも設置し、これらの複数のセンサの検出結果をもとに搭乗者Pの有無を検出しても良い。このように複数のセンサを用いることで、例えば搭乗者Pが姿勢を変えた場合などであっても、搭乗者Pの有無を適切に検出することができる。また、検出部は、カメラなどの画像取得装置であっても良い。
【0038】
○ 監視部は、監視センサ20に代えて、カメラなどの画像取得装置であっても良い。この場合、制御部22は、画像取得装置の取得した画像をもとに車両の周辺から人(搭乗者P)が退出したかを検出しても良い。
【0039】
○ 監視部の検出範囲は、少なくとも車両の進行方向の所定範囲であれば良い。つまり、車両を中心として360度の範囲の状況を監視する構成としなくても良い。なお、搬送車10の進行方向を一方向とする場合の監視部は、前述のように少なくとも車両の進行方向を基準に検出範囲が定められていれば良く、その検出範囲が360度に設定されていても良い。また、搬送車10の進行方向を複数方向とする場合の監視は、その検出範囲が360度に設定されていることが好ましい。ただし、ステップS13の処理を行うに際しては、現在の搬送情報における車両の進行方向を基準とした検出範囲を監視すれば良い。この際、ステップS17で行う次の搬送情報の内容が一義的に定まっているのであれば、次の搬送情報によって走行する場合の進行方向を検出範囲に加えて判定しても良い。なお、進行方向とは、一方向であれば前進方向を示し、複数方向であれば前進方向と後進方向を示す。
【0040】
○ 運行管理装置26は、搬送車10を走行させる施設内に設置されていても良いし、施設外に設置されていても良い。
○ 搬送車10の具体的構造を変更しても良い。例えば、病院内を走行させる車両であれば、その構造は車いす型でも良いし、ベッド型でも良い。
【0041】
○ 搬送車10は、人を乗せることができる車両であれば、他の車両に具体化することができる。例えば、搬送車10は、ゴルフカートや、フォークリフトなどの荷役車両に具体化しても良い。
【0042】
○ 搬送車10は、搭乗者Pが乗車している場合、その搭乗者Pの運転によって走行させることができる構成でも良い。そして、搭乗者Pが降車し、図3のステップS13,S14の条件を満たした場合に、運行管理装置26が、例えば車両を待機場所へ移動させるための搬送情報を指示しても良い。この場合、搭乗者Pの運転を許容していることが搬送情報となり、搭乗者Pの降車によって搭乗者Pの運転を許容している状態を解除することが前記搬送情報を取り消すことになる。
【0043】
○ 搬送車10は、例えば自立型の車両に具体化しても良い。すなわち、搬送車10は、搭乗者Pからの指示を受けてその指示に見合う搬送情報を設定し、その搬送情報にしたがって任意の走行ルートを走行し、搭乗者Pの降車によって図3のステップS13,S14の条件を満たした場合にその搬送情報を取り消す。そして、搬送車10の制御部22が、例えば車両を待機場所へ移動させるための新たな搬送情報を設定し、走行させても良い。この場合、搭乗者Pからの指示は、行先を指示して自動走行させる指示でも良いし、搭乗者Pの運転による指示でも良い。また、この場合の走行ルートは、自動走行であれば予め決められたルートであり、搭乗者Pの運転であればその運転によるルートである。このような運行管理装置26を持たない自立型の搬送車10は、例えば施設内を1台で走行させる場合、あるいは車両同士の接触などを考慮する必要がない環境下で走行させる場合に具体化すると良い。
【符号の説明】
【0044】
10…搬送車、19…シートスイッチ、20…監視センサ、22…制御部、24…送信部、25…受信部、26…運行管理装置、27…制御部、28…送信部、29…受信部、30…搬送システム、T…時間。
図1
図2
図3