(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コントローラは、さらに、前記第2のラインデータを利用して、前記原稿の前記主走査方向の前記長さを特定不可能である場合に、前記読取対象領域として第2の対象領域を決定する第3の決定処理を実行し、
前記第2の対象領域は、前記主走査方向において、前記指定シートサイズの前記長辺の前記長さに相当する長さを有すると共に、前記副走査方向において、前記指定シートサイズの前記短辺の前記長さに相当する長さを有する、請求項4から6のいずれか一項に記載のコピー機。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(コピー機CMの構成)
図1(A)は、コピー機CMの正面図を示す。コピー機CMは、原稿載置台DTと、カバーCVと、を備える。原稿載置台DTは、本体MBと、透明板TPと、を備える。本体MBは、様々な部材(例えば、透明板TP、読取部RU等)を収容するための筐体である。透明板TPは、本体MBに収容されており、本体MBに固定されている。透明板TPには、読取対象の原稿が載置される。カバーCVは、本体MBの上部に配置されており、本体MBに対して開閉可能である。カバーCVの裏面、即ち、カバーCVの透明板TP側の面は、黒色である。
【0020】
コピー機CMは、さらに、透明板TPの下方で本体MBに収容されている読取部RUを備える。読取部RUは、本体MBに対して副走査方向(即ち
図1(A)の左右方向)に沿って移動可能である。読取部RUは、透明板TPに載置される原稿の読取を実行する。読取部RUは、光源LSと、レンズLEと、撮像素子ISと、を備える。光源LSは、透明板TPに向けて、光を照射する。レンズLEは、光源LSから照射される光の反射光を受光する。撮像素子ISは、CIS(Contact Image Sensorの略)であり、レンズLEを通過した光を受光する。より具体的に言うと、撮像素子ISは、主走査方向(即ち
図1(A)の紙面垂直方向)に沿って並ぶ複数個の光学素子によって構成される。即ち、撮像素子ISは、複数個の光学素子が並ぶ主走査方向に沿ったライン単位で読取を実行するラインセンサである。以下では、副走査方向において、撮像素子ISが存在する位置のことを、「読取位置」と呼ぶ。
【0021】
図1(B)は、透明板TPの平面図を示す。透明板TPは、副走査方向に沿って伸びる長辺と、主走査方向に沿って伸びる短辺と、によって構成される矩形形状を有する。透明板TPの主走査方向の一方側(即ち
図1(B)の右側)の端部には、読取対象の原稿DCの1個の頂点が配置されるべき基準点BPが設けられている。透明板TPには、横置状態又は縦置状態の原稿DCが載置される。「横置状態」は、原稿DCの長辺が透明板TPの長辺に沿うと共に、原稿DCの短辺が透明板TPの短辺に沿って、原稿DCが透明板TPに載置されている状態である。また、「縦置状態」は、原稿DCの長辺が透明板TPの短辺に沿うと共に、原稿DCの短辺が透明板TPの長辺に沿って、原稿DCが透明板TPに載置されている状態である。なお、透明板TPは、横置状態のA3サイズの原稿を載置可能なサイズを有する。
【0022】
コピー機CMは、さらに、透明板TPの上面に固定されている白基準部材BMを備える。白基準部材BMは、透明板TPの主走査方向の他方側(即ち
図1(B)の左側)の端部に設けられている。白基準部材BMは、主走査方向に沿って伸びる白色の部材であり、後述の白基準データを取得するために利用される。以下では、副走査方向において、白基準部材BMが設けられている位置のことを、「ホーム位置HP」と呼ぶ。
【0023】
図1(C)は、コピー機CMの制御構成を示す。コピー機CMは、さらに、操作機構OMと、表示機構DMと、カバーセンサCSと、読取機構RMと、印刷機構PMと、制御部CUと、を備える。操作機構OMは、複数のキーによって構成される。ユーザは、操作機構OMを操作することによって、様々な指示をコピー機CMに入力することができる。表示機構DMは、様々な情報を表示するためのディスプレイである。カバーセンサCSは、本体MBに対してカバーCVが開かれている状態であるのか閉じられている状態であるのかを示すカバー状態信号を制御部CUに供給する。読取機構RMは、読取部RUと、移動機構MMと、を備える。移動機構MMは、読取部RUを副走査方向に沿って移動させる。印刷機構PMは、インクジェット方式、レーザ方式等に従って、読取機構RMの読取結果に基づいて、印刷シートに印刷を実行する。制御部CUは、コントローラCRと、メモリMEと、を備える。コントローラCRは、メモリMEに格納されているプログラムPGMに従って、様々な処理(例えば後述の
図2〜
図8の処理)を実行するプロセッサである。
【0024】
(通常処理;
図2)
続いて、
図2を参照して、コントローラCRによって実行される通常処理の内容を説明する。コントローラCRは、コピー機CMの電源がONされる場合に、
図2の処理を開始する。
【0025】
S10では、コントローラCRは、読取部RUに読取を実行させない状態で、移動機構MMを制御して読取部RUを移動させて、読取位置をコピー機CMの電源OFF時の位置からホーム位置HPに変更する。これにより、副走査方向において、読取部RUの読取位置、即ち、撮像素子ISの位置が、白基準部材BMの位置に一致する。
【0026】
S12では、コントローラCRは、メモリMEからコピー設定を取得する。コピー設定は、シートサイズ及び読取解像度を含む。シートサイズは、原稿の読取によって得られる画像が印刷されるべき印刷シートのサイズである。また、読取解像度は、原稿の読取で利用されるべき解像度である。コピー機CMの電源がONされる時点では、メモリME内のコピー設定は、デフォルト設定として予め決められているデフォルトシートサイズ及びデフォルト読取解像度を含む。例えば、デフォルトシートサイズ、デフォルト読取解像度は、それぞれ、A4、300dpiである。
【0027】
S14では、コントローラCRは、白基準データを取得する。具体的には、コントローラCRは、読取位置がホーム位置HPである状態で、光源LSから光を照射させて、1ライン分の読取を読取部RUに実行させる。即ち、コントローラCRは、白基準部材BMの読取を読取部RUに実行させて、読取部RUから白基準データを取得する。白基準データは、撮像素子ISを構成する複数個の光学素子のそれぞれについて、当該光学素子の位置(以下では「主走査位置」と呼ぶ)と、当該光学素子によって生成されるアナログ信号をデジタル値に変換することによって得られるAD値と、の関係を示すデータである。例えば、主走査位置Z1に存在する光学素子からAD値V1が得られる。本実施例では、AD値は、読取対象が白色に近い程、大きくなり、読取対象が黒色に近い程、小さくなる。また、
図2の処理が実行される時点では、カバーCVが閉じられている状態を想定している。即ち、S14で得られる白基準データは、カバーCVが閉じられている状態で、白基準部材BMの読取が実行されることによって得られるデータである。
【0028】
S16では、コントローラCRは、黒基準データを取得する。具体的には、コントローラCRは、読取位置がホーム位置HPである状態で、光源LSから光を照射させずに、1ライン分の読取を読取部RUに実行させる。カバーCVが閉じられているので、黒色に対応する読取結果が得られる。即ち、コントローラCRは、光源LSから光を照射させない状態の読取を読取部RUに実行させて、読取部RUから黒基準データを取得する。黒基準データは、白基準データと同様に、主走査位置とAD値との関係を示すデータである。例えば、主走査位置Z2に存在する光学素子からAD値V2が得られる。なお、変形例では、コピー機CMは、さらに、黒基準部材を備えていてもよい。そして、コントローラCRは、光源LSから光を照射させて、黒基準部材の読取を読取部RUに実行させて、黒基準データを取得してもよい。
【0029】
S18では、コントローラCRは、S14で取得された白基準データと、S16で取得された黒基準データと、をメモリMEに格納する。コントローラCRは、さらに、白基準データと、黒基準データと、S12で取得された読取解像度と、を利用して、シェーディング補正のための補正データを生成し、当該補正データをメモリMEに格納する。
【0030】
S20では、コントローラCRは、読取部RUに読取を実行させない状態で、移動機構MMを制御して読取部RUを移動させて、読取位置をホーム位置HPから長辺位置に変更する。具体的には、コントローラCRは、以下のようにして、長辺位置を特定する。メモリMEは、複数種類のシートサイズ(例えば、A3、A4、B4、B5等)の各長辺の長さ及び各短辺の長さを格納している。コントローラCRは、複数種類のシートサイズの各長辺の長さのうち、S12で取得されたシートサイズ(例えばA4)の長辺の長さを特定する。そして、コントローラCRは、副走査方向において、基準点BPから特定済みの長辺の長さに相当する長さだけ進んだ位置を、長辺位置として特定する。ここで、本実施例では、「長辺の長さに相当する」は、長辺の長さよりも若干小さいことを意味する(例えば長辺の長さよりも3mm小さい)。この構成によると、指定シートサイズを有する原稿が横置状態である場合に、当該原稿が長辺位置に存在する可能性を高めることができる。このために、コントローラCRは、後述の
図3のS60又はS70の処理において、原稿の主走査方向の長さを適切に特定することができる。ただし、変形例では、「長辺の長さに相当する」は、長辺の長さに等しいことを意味してもよい。
【0031】
S30では、コントローラCRは、コピー設定指定操作がユーザによって操作機構OMに実行されることを監視する。コピー設定指定操作は、複数種類のシートサイズの中から1個のシートサイズを指定する操作と、複数種類の読取解像度(例えば、300dpi、600dpi、1200dpi等)の中から1個の読取解像度を指定する操作と、を含む。以下では、コピー設定指定操作で指定されるシートサイズ、読取解像度のことを、それぞれ、「指定シートサイズ」、「指定読取解像度」と呼ぶ。コントローラCRは、コピー設定指定操作が実行される場合に、S30でYESと判断して、S32に進む。
【0032】
S32では、コントローラCRは、現在のコピー設定(例えば、デフォルトシートサイズ、デフォルト解像度)に代えて、指定シートサイズ及び指定読取解像度を含む新たなコピー設定を、メモリMEに格納する。
【0033】
次いで、コントローラCRは、S10〜S20の処理を再び実行する。これにより、例えば、S12では、メモリMEに格納された新たなコピー設定(即ち、指定シートサイズ、指定読取解像度)が取得され、S18では、指定読取解像度に基づいて新たな補正データが生成され、S20では、読取位置が指定シートサイズに応じた新たな長辺位置に変更される。
【0034】
次いで、コントローラCRは、S30に戻り、コピー設定指定操作が実行されることを監視する。即ち、コントローラCRは、コピー設定指定操作が実行される毎、即ち、メモリME内のコピー設定が変更される毎に、S10〜S20の処理を実行する。
【0035】
(コピー処理;
図3)
続いて、
図3を参照して、コントローラCRによって実行されるコピー処理の内容を説明する。コントローラCRは、読取対象の原稿が透明板TPに載置された後に、ユーザから操作機構OMを介してコピー実行指示が与えられる場合に、
図3の処理を開始する。
【0036】
S50では、コントローラCRは、メモリMEからコピー設定を取得する。例えば、S50の処理の前に
図2のS32が実行済みである場合には、コントローラCRは、指定シートサイズ及び指定読取解像度を取得する。
【0037】
S52では、コントローラCRは、本体MBに対してカバーCVが開かれているのか否かを判断する。具体的には、コントローラCRは、カバーセンサCS(
図1参照)から取得されるカバー状態信号が、カバーCVが開かれている状態を示す場合には、S52でYESと判断して、S60に進み、カバー状態信号が、カバーCVが閉じられている状態を示す場合には、S52でNOと判断して、S70に進む。
【0038】
S60では、コントローラCRは、カバーCVが開かれている状態で、原稿の主走査方向の長さを検出するためのオープン時検出処理(後述の
図4参照)を実行する。また、S70では、コントローラCRは、カバーCVが閉じられている状態で、原稿の主走査方向の長さを検出するためのクローズ時検出処理(後述の
図5参照)を実行する。S60又はS70が終了すると、S100に進む。
【0039】
S100では、コントローラCRは、S60及びS70の結果を利用して、読取対象領域決定処理(後述の
図6参照)を実行する。読取対象領域は、原稿の読取が実行されるべき透明板TP内(即ち原稿載置台DT内)の領域である。次いで、S200では、コントローラCRは、S100で決定された読取対象領域に基づいて、コピー実行処理(後述の
図8参照)を実行する。S200が終了すると、
図3の処理が終了する。
【0040】
(オープン時検出処理;
図4)
続いて、
図4を参照して、
図3のS60のオープン時検出処理の内容を説明する。S62では、コントローラCRは、照射時ラインデータを取得する。具体的には、コントローラCRは、光源LSから光を照射させて、1ライン分の読取を読取部RUに実行させる。これにより、コントローラCRは、読取部RUから、1ライン分の読取結果である照射時ラインデータを取得する。
【0041】
S64では、コントローラCRは、非照射時ラインデータを取得する。具体的には、コントローラCRは、光源LSから光を照射させずに、1ライン分の読取を読取部RUに実行させる。これにより、コントローラCRは、読取部RUから、1ライン分の読取結果である非照射時ラインデータを取得する。
【0042】
S66では、コントローラCRは、原稿の主長さ特定処理を実行する。ここで、「原稿の主長さ」は、原稿の主走査方向の長さである。具体的には、コントローラCRは、S62で取得された照射時ラインデータと、S64で取得された非照射時ラインデータと、を利用して、差分データを生成し、当該差分データを利用して、原稿の主長さを特定する。
【0043】
ケースA1に示されるように、例えば、背景が白色である原稿が読取位置に存在する状況では、破線で示される照射時ラインデータは、原稿が存在する部分において、比較的に大きいAD値を示し、原稿が存在しない部分において、比較的に小さいAD値を示す。また、実線で示される非照射時ラインデータは、原稿が存在する部分において、比較的に小さいAD値を示し、原稿が存在しない部分において、比較的に大きいAD値を示す。そして、原稿が存在しない部分では、照射時ラインデータのAD値と非照射時ラインデータのAD値とは等しい。
【0044】
S66では、コントローラCRは、各主走査位置において、照射時ラインデータのAD値と非照射時ラインデータのAD値との差分を算出することによって、差分データを生成する。そして、コントローラCRは、差分が0より大きい部分の長さを原稿の主長さとして特定する。このように、本実施例によると、コピー機CMは、照射時ラインデータと非照射時ラインデータとを利用して、原稿の主長さを適切に特定することができる。
【0045】
一方、ケースA2に示されるように、原稿が読取位置に存在しない状況では、通常、各主走査位置において、照射時ラインデータのAD値と非照射時ラインデータのAD値とが等しくなる。従って、通常、各主走査位置での差分がゼロになるので、コントローラCRは、原稿の主長さを特定することができない。
【0046】
(クローズ時検出処理;
図5)
続いて、
図5を参照して、
図3のS70のクローズ時検出処理の内容を説明する。S72〜S76は、
図4のS62〜S66と同様である。即ち、コントローラCRは、S72において、照射時ラインデータを取得し、S74において、非照射時ラインデータを取得し、S76において、原稿の主長さ特定処理を実行する。
【0047】
ケースB1に示されるように、例えば、背景が白色である原稿が読取位置に存在する状況では、破線で示される照射時ラインデータは、原稿が存在する部分において、比較的に大きいAD値を示し、原稿が存在しない部分において、比較的に小さいAD値を示す。特に、カバーCVが閉じられており、かつ、カバーCVの裏面が黒色であるので、原稿が存在しない部分は、通常、黒色に対応するAD値であるゼロを示す。また、実線で示される非照射時ラインデータは、原稿が存在する部分でも、原稿が存在しない部分でも、通常、黒色に対応するAD値であるゼロを示す。
【0048】
一方、ケースB2に示されるように、原稿が読取位置に存在しない状況では、照射時ラインデータと非照射時ラインデータとのどちらも、通常、黒色に対応するAD値であるゼロを示す。従って、通常、各主走査位置での差分がゼロになるので、コントローラCRは、原稿の主長さを特定することができない。
【0049】
(読取対象領域決定処理;
図6)
続いて、
図6を参照して、
図3のS100の読取対象領域決定処理の内容を説明する。S110では、コントローラCRは、直近のS60又はS70の検出処理(
図4、
図5参照)において、原稿の主長さを特定することができたか否かを判断する。コントローラCRは、原稿の主長さを特定することができたと判断する場合(S110でYES)には、S112に進み、原稿の主長さを特定することができなかったと判断する場合(S110でNO)には、S170に進む。なお、以下では、直近のS60又はS70の検出処理(
図4、
図5参照)で特定された原稿の主長さのことを、「対象主長さ」と呼ぶ。
【0050】
S170では、コントローラCRは、現在の読取位置が長辺位置であるのか否かを判断する。コントローラCRは、読取位置が長辺位置であると判断する場合(S170でYES)には、S172に進み、読取位置が長辺位置でないと判断する場合(S170でNO)、即ち、読取位置が短辺位置であると判断する場合には、S162に進む。
【0051】
S172では、コントローラCRは、読取部RUに読取を実行させない状態で、移動機構MMを制御して読取部RUを移動させて、読取位置を長辺位置から短辺位置に変更する。具体的には、コントローラCRは、以下のようにして、短辺位置を特定する。コントローラCRは、
図3のS50で取得された指定シートサイズの短辺の長さを特定する。そして、コントローラCRは、副走査方向において、基準点BPから特定済みの短辺の長さに相当する長さだけ進んだ位置を、短辺位置として特定する。ここで、本実施例では、「短辺の長さに相当する」は、短辺の長さよりも若干小さいことを意味する(例えば短辺の長さよりも3mm小さい)。この構成によると、指定シートサイズを有する原稿が縦置状態である場合に、当該原稿が短辺位置に存在する可能性を高めることができる。このために、コントローラCRは、
図3のS60又はS70の処理において、原稿の主長さを適切に特定することができる。ただし、変形例では、「短辺の長さに相当する」は、短辺の長さに等しいことを意味してもよい。S172が終了すると、コントローラCRは、
図6の処理を終了し、
図3のS52に進む。
【0052】
一方、S112では、コントローラCRは、現在の読取位置が長辺位置であるのか否かを判断する。コントローラCRは、読取位置が長辺位置であると判断する場合(S112でYES)には、S120に進み、読取位置が長辺位置でないと判断する場合(S112でNO)、即ち、S172の処理が実行されたことに起因して、読取位置が短辺位置であると判断する場合には、S160に進む。
【0053】
S120では、コントローラCRは、対象主長さが、
図3のS50で取得された指定シートサイズの短辺の長さ以下であるのか否かを判断する。コントローラCRは、対象主長さが指定シートサイズの短辺の長さ以下であると判断する場合(S120でYES)には、S122に進み、対象主長さが指定シートサイズの短辺の長さよりも大きいと判断する場合(即ちS120でNO)には、S130に進む。
【0054】
S122では、コントローラCRは、透明板TP内の読取対象領域として横置読取領域を決定する。横置読取領域は、基準点BPが1個の頂点である矩形形状を有する。より具体的に言うと、横置読取領域は、主走査方向において、指定シートサイズの短辺の長さに相当する長さを有すると共に、副走査方向において、指定シートサイズの長辺の長さに相当する長さを有する。即ち、本実施例では、横置読取領域の主走査方向の長さは、指定シートサイズの短辺の長さよりも若干小さい長さである。また、本実施例では、横置読取領域の副走査方向の長さは、現在の読取位置(即ち長辺位置)と基準点BPとの間の距離に等しい長さ、即ち、指定シートサイズの長辺の長さよりも若干小さい長さである。S122が終了すると、コントローラCRは、
図6の処理を終了し、
図3のS200に進む。
【0055】
一方、S130では、コントローラCRは、報知処理(後述の
図7参照)を実行する。次いで、S150では、コントローラCRは、報知処理でユーザによってキャンセルが選択されたのか否かを判断する。コントローラCRは、キャンセルが選択されたと判断する場合(S150でYES)には、
図6の処理を終了し、コピーを実行せずに(即ち
図3のS200の処理を実行せずに)、
図3の処理を終了する。一方、コントローラCRは、キャンセルが選択されなかったと判断する場合(S150でNO)には、
図6の処理を終了し、
図3のS200に進む。
【0056】
S160では、コントローラCRは、対象主長さが、
図3のS50で取得された指定シートサイズの長辺の長さ以下であるのか否かを判断する。コントローラCRは、対象主長さが指定シートサイズの長辺の長さ以下であると判断する場合(S160でYES)には、S162に進み、対象主長さが指定シートサイズの長辺の長さよりも大きいと判断する場合(S160でNO)には、S130に進む。
【0057】
S162では、コントローラCRは、透明板TP内の読取対象領域として縦置読取領域を決定する。縦置読取領域は、基準点BPが1個の頂点である矩形形状を有する。より具体的に言うと、縦置読取領域は、主走査方向において、指定シートサイズの長辺の長さに相当する長さを有すると共に、副走査方向において、指定シートサイズの短辺の長さに相当する長さを有する縦置読取領域を決定する。本実施例では、縦置読取領域の主走査方向の長さは、指定シートサイズの長辺の長さよりも若干小さい長さである。また、本実施例では、縦置読取領域の副走査方向の長さは、現在の読取位置(即ち短辺位置)と基準点BPとの間の距離に等しい長さ、即ち、指定シートサイズの短辺の長さよりも若干小さい長さである。S162が終了すると、コントローラCRは、
図6の処理を終了し、
図3のS200に進む。
【0058】
(報知処理;
図7)
続いて、
図7を参照して、
図6のS130の報知処理の内容を説明する。S130では、コントローラCRは、選択画面を表示機構DM(
図1(C)参照)に表示させる。選択画面は、ユーザが、等倍コピー、縮小コピー、及び、キャンセルの中から1個の指示を選択するための画面である。等倍コピーは、原稿の読取によって得られる読取データを拡大又は縮小することなく、当該読取データによって表わされる読取画像を印刷シートに印刷することである。即ち、等倍コピーでは、読取画像が印刷される印刷シートのサイズが、読取対象領域のサイズに略一致する。縮小コピーは、読取データを縮小して、読取画像を印刷シートに印刷することである。即ち、縮小コピーでは、読取画像が印刷される印刷シートのサイズが、読取対象領域のサイズよりも小さくなる。ユーザは、縮小コピーを選択する場合には、さらに、縮小率(例えばA3→A4、A4→B5等)を選択する。
【0059】
S134では、コントローラCRは、ユーザによって等倍コピーが選択されたのか否かを判断する。コントローラCRは、等倍コピーが選択されたと判断する場合(S134でYES)には、S136に進み、等倍コピーが選択されなかったと判断する場合(S134でNO)、即ち、縮小コピー又はキャンセルが選択されたと判断する場合には、S142に進む。
【0060】
S136では、コントローラCRは、現在の読取位置が長辺位置であるのか否かを判断する。コントローラCRは、読取位置が長辺位置であると判断する場合(S136でYES)には、S138において、読取対象領域として横置読取領域を決定する。また、コントローラCRは、読取位置が長辺位置でないと判断する場合(S136でNO)、即ち、読取位置が短辺位置であると判断する場合には、S140において、読取対象領域として縦置読取領域を決定する。S138、S140は、それぞれ、
図6のS122、S162と同様である。S138又はS140が終了すると、
図7の処理が終了する。
【0061】
S142では、コントローラCRは、ユーザによって縮小コピーが選択されたのか否かを判断する。コントローラCRは、縮小コピーが選択されたと判断する場合(S142でYES)には、S144に進み、縮小コピーが選択されなかったと判断する場合(S142でNO)、即ち、キャンセルが選択されたと判断する場合には、読取対象領域を決定することなく、
図7の処理を終了する。
【0062】
S144では、コントローラCRは、現在の読取位置が長辺位置であるのか否かを判断する。コントローラCRは、読取位置が長辺位置であると判断する場合(S144でYES)には、S146において、読取対象領域として横置読取領域に基づく拡大領域を決定する。具体的には、コントローラCRは、横置読取領域の主走査方向の長さ(例えばX1)、副走査方向の長さ(例えばY1)を、それぞれ、縮小率(例えばA3→A4の0.7倍)で除算することによって、拡大領域の主走査方向の長さ(例えばX1/0.7)、副走査方向の長さ(例えばY1/0.7)を算出する。これにより、コントローラCRは、読取対象領域として、算出済みの各長さを有する拡大領域を決定する。S146が終了すると、
図7の処理が終了する。
【0063】
一方、コントローラCRは、読取位置が長辺位置でないと判断する場合(S144でNO)、即ち、読取位置が短辺位置であると判断する場合には、S148において、読取対象領域として縦置読取領域に基づく拡大領域を決定する。具体的には、コントローラCRは、縦置読取領域の主走査方向の長さ(例えばX2)、副走査方向の長さ(例えばY2)を、それぞれ、縮小率(例えばA4→B5の0.84倍)で除算することによって、拡大領域の主走査方向の長さ(例えばX2/0.84)、副走査方向の長さ(例えばY2/0.84)を算出する。これにより、コントローラCRは、読取対象領域として、算出済みの各長さを有する拡大領域を決定する。S148が終了すると、
図7の処理が終了する。
【0064】
(コピー実行処理;
図8)
続いて、
図8を参照して、
図3のS200のコピー実行処理の内容を説明する。S210では、コントローラCRは、メモリME内の黒基準データのAD値の最小値と、直近のS60又はS70(
図3参照)で取得された非照射時ラインデータのAD値の最小値と、の差分を算出する。
【0065】
S212では、コントローラCRは、S210で算出された差分が所定値以上であるのか否かを判断する。コントローラCRは、差分が所定値以上であると判断する場合(S212でYES)には、S214に進み、差分が所定値以上でないと判断する場合(S212でNO)には、S214〜S218をスキップしてS220に進む。
【0066】
S214では、コントローラCRは、本体MBに対してカバーCVが閉じられているのか否かを判断する。具体的には、コントローラCRは、カバーセンサCS(
図1参照)から取得されるカバー状態信号が、カバーCVが閉じられている状態を示す場合には、S214でYESと判断して、S216に進み、カバー状態信号が、カバーCVが開かれている状態を示す場合には、S214でNOと判断して、S216及びS218をスキップしてS220に進む。
【0067】
S216では、コントローラCRは、
図2のS10〜S18の処理を再び実行する。即ち、コントローラCRは、読取位置を現在の位置(即ち長辺位置又は短辺位置)からホーム位置HPに変更し(S10)、コピー設定、新たな白基準データ、及び、新たな黒基準データを取得し(S12〜S16)、新たな各基準データと新たな補正データとをメモリMEに格納する(S18)。これにより、コントローラCRは、当該新たな補正データを利用して、シェーディング補正を実行することができる。
【0068】
S210で算出される差分が、所定値未満である場合には、ユーザからコピー実行指示(
図3の処理のトリガー)が与えられる前に生成された補正データが、現時点でも適切な補正データであることを意味する。即ち、コピー機CMは、メモリME内の補正データを利用して、シェーディング補正を適切に実行することができる。このために、コピー機CMは、差分が所定値未満である場合(S212でNO)には、新たな補正データを生成するためのS216及びS218の処理を実行しない。この結果、コピー機CMは、コピーを迅速に実行することができる。一方、コピー機CMは、差分が所定値以上である場合には、新たな補正データを生成するので(S216)、当該新たな補正データを利用して、シェーディング補正を適切に実行することができる。
【0069】
なお、カバーCVが開かれている場合には、非照射時ラインデータのAD値が比較的に大きい値になる(
図4のケースA1及びA2参照)。そして、メモリME内の黒基準データは、カバーCVが閉じられている状態で取得されることを想定しており、この結果、AD値が比較的に小さい値になる(
図2のS16参照)。このために、S210で算出される差分は、通常、所定値以上になる(S212でYES)。即ち、黒基準データが取得される状況と、非照射時ラインデータが取得される状況と、が異なることに起因して、差分が所定値以上になる。このために、コピー機CMは、カバーCVが開かれている場合(S214でNO)には、差分が所定値以上であっても、S216及びS218の処理を実行せず、コピーを迅速に実行することを優先する。
【0070】
S220では、コントローラCRは、読取処理を実行する。具体的には、読取対象領域として横置読取領域又は縦置読取領域が決定された場合(
図6のS122、S162、
図7のS138、S140参照)には、コントローラCRは、移動機構MMを制御して読取部RUを移動させて、読取位置を現在の位置(即ち長辺位置又は短辺位置)から基準点BPまで変更しながら、メモリME内の指定読取解像度に従った読取対象領域の読取を読取部RUに実行させる。また、読取対象領域として拡大領域が決定された場合(
図7のS146、S148参照)には、コントローラCRは、まず、読取部RUに読取を実行させない状態で、移動機構MMを制御して読取部RUを移動させて、読取位置を現在の位置(即ち長辺位置又は短辺位置)から拡大領域の読取を実行可能な特定位置まで変更する。上記の特定位置は、副走査方向において、基準点BPから拡大領域の副走査方向の長さだけ進んだ位置である。そして、コントローラCRは、移動機構MMを制御して読取部RUを移動させて、読取位置を上記の特定の位置から基準点BPまで変更しながら、メモリME内の指定読取解像度に従った読取対象領域の読取を読取部RUに実行させる。
【0071】
次いで、コントローラCRは、メモリME内の補正データを利用して、読取部RUの読取結果に対してシェーディング補正を実行し、この結果、透明板TPに載置された原稿内の原稿画像のうち、読取対象領域内の読取画像を表わす読取データを生成する。読取データは、RGBの多階調(例えば256階調)の画像データである。
【0072】
なお、変形例では、S220において、コントローラCRは、透明板TPの主走査方向の全範囲の読取を読取部RUに実行させてもよい。即ち、コントローラCRは、読取対象領域の主走査方向の範囲を含む上記の全範囲の読取を読取部RUに実行させてもよい。そして、コントローラCRは、上記の全範囲の読取結果から、読取対象領域の主走査方向の範囲以外の部分を除去して、読取対象領域内の読取画像を表わす読取データを生成してもよい。本変形例も、読取対象領域の読取を読取部RUに実行させることに等しい。
【0073】
S222では、コントローラCRは、S220で生成された読取データを利用して、印刷処理を実行する。具体的には、読取対象領域として横置読取領域又は縦置読取領域が決定された場合(
図6のS122、S162、
図7のS138、S140参照)には、コントローラCRは、読取データに対して縮小処理を実行することなく、読取データに対する色変換処理を実行して、CMYKの多階調(例えば256階調)の画像データであるCMYK画像データを生成する。次いで、コントローラCRは、CMYK画像データに対するハーフトーン処理を実行して、CMYKの二階調(もしくは三階調、四階調等)の印刷データを生成する。そして、コントローラCRは、印刷データと、
図3のS50で取得された指定シートサイズを示すサイズ情報と、を印刷機構PMに供給する。これにより、コントローラCRは、指定シートサイズを有する印刷シートへの読取画像の印刷を印刷機構PMに実行させることができる。この結果、読取画像の等倍コピーが実現される。
【0074】
また、読取対象領域として拡大領域が決定された場合(
図7のS146、S148参照)には、コントローラCRは、読取データに対して、ユーザによって選択された縮小率(例えばA3→A4の0.7倍)に応じた縮小処理を実行して、縮小データを生成する。そして、コントローラCRは、上記と同様に、縮小データに対して色変換処理及びハーフトーン処理を順次実行して印刷データを生成し、印刷データとサイズ情報とを印刷機構PMに供給する。これにより、コントローラCRは、指定シートサイズを有する印刷シートへの読取画像の印刷を印刷機構PMに実行させることができる。この結果、読取画像の縮小コピーが実現される。S222が終了すると、
図8の処理が終了する。
【0075】
(具体的なケース)
続いて、
図9〜
図13を参照して、
図3〜
図8の処理によって実現される様々なケースを説明する。各図では、上下方向、左右方向が、それぞれ、主走査方向、副走査方向である。また、各図では、透明板TP上の原稿が存在する領域がハッチングで示されている。
【0076】
(ケースX1;
図9)
図9のケースX1では、(1)に示されるように、原稿DC1は、横置状態のA4サイズである。なお、A4サイズは、長辺の長さとしてLL1を有すると共に、短辺の長さとしてLS1を有する。また、指定シートサイズは、A4サイズである。従って、ユーザからコピー実行指示が与えられるまで、読取位置は、A4サイズの長辺の長さLL1に対応する長辺位置LPに維持される。そして、ユーザからコピー実行指示が与えられる場合に、長辺位置LPでの1ライン分の読取が実行されて、原稿DC1の主長さMLとして、通常、A4サイズの短辺の長さLS1に等しい長さが特定される(
図4のS66又は
図5のS76)。従って、原稿DC1の主長さMLが指定シートサイズ(即ちA4サイズ)の短辺の長さLS1以下であると判断される(
図6のS120でYES)。この結果、読取対象領域として、A4サイズに対応する横置読取領域が決定される(S122)。
【0077】
(2)に示されるように、ケースX1Aでは、
図8のS210で算出される差分が所定値未満である(S212でNO)。従って、読取部RUが読取を実行しながら、読取位置が長辺位置LPから基準点BPまで移動する(S220)。これにより、(3)に示されるように、原稿DC1内の原稿画像のうち、読取対象領域内の読取画像RI1を表わす読取データが生成される(S220)。この結果、読取画像RI1がA4サイズの印刷シートに印刷される(S222)。即ち、原稿DC1の等倍コピーが実現される。
【0078】
上述したように、コピー機CMは、指定シートサイズがA4サイズである場合には、ユーザからコピー実行指示が与えられるまで、読取部RUの読取位置として、A4サイズの長辺の長さに対応する長辺位置LPを維持する。このために、コピー機CMは、ユーザからコピー実行指示が与えられる場合に、長辺位置LPでの1ライン分の読取を迅速に実行することができる。そして、コピー機CMは、読取位置が長辺位置LPである状態で原稿DC1の主長さMLを特定可能であり、かつ、原稿DC1の主長さMLが指定シートサイズの短辺の長さLS1以下である場合に、読取対象領域として横置読取領域を決定する。このように、コピー機CMは、読取機構RMとは異なるセンサを設けなくても、原稿DC1の載置状態(即ち横置状態)に応じた読取対象領域を適切に決定することができる。また、コピー機CMは、読取位置を長辺位置LPから基準点BPまで変更しながら、読取対象領域の読取を読取部RUに実行させる。このために、コピー機CMは、長辺位置LPから読取対象領域の読取を開始することができる。即ち、コピー機CMは、読取位置を長辺位置LPから他の位置に移動させて読取対象領域の読取を開始せずに済み、この結果、読取対象領域の読取を迅速に実行することができる。
【0079】
(4)に示されるように、ケースX1Bでは、
図8のS210で算出される差分が所定値以上である(S212でYES)。従って、読取位置が長辺位置LPからホーム位置HPまで移動し、新たな補正データが生成される(S216)。次いで、(5)に示されるように、読取位置がホーム位置HPから長辺位置LPに戻る(S218)。その後、ケースX1Aと同様に、読取対象領域の読取、読取データの生成、印刷シートへの印刷が実行される。このように、コピー機CMは、差分が所定値以上である場合には、新たな補正データを生成するので、当該新たな補正データを利用して、シェーディング補正を適切に実行することができる。
【0080】
(ケースX2;
図10)
図10のケースX2では、(1)に示されるように、原稿DC2は、縦置状態のA4サイズである。また、指定シートサイズは、A4サイズである。従って、ユーザからコピー実行指示が与えられる際に、読取位置は、A4サイズの長辺の長さLL1に対応する長辺位置LPに一致する。ただし、原稿DC2が長辺位置LPに存在しないので、長辺位置LPでの1ライン分の読取が実行されても、原稿DC2の主長さが特定されない(
図6のS110でNO)。このために、(2)に示されるように、読取位置が、長辺位置LPから、A4サイズの短辺の長さLS1に対応する短辺位置SPまで移動する(S172)。そして、短辺位置SPでの1ライン分の読取が実行されて、原稿DC2の主長さMLとして、通常、A4サイズの長辺の長さLL1に等しい長さが特定される(
図4のS66又は
図5のS76)。従って、原稿DC2の主長さMLが指定シートサイズ(即ちA4サイズ)の長辺の長さLL1以下であると判断される(
図6のS160でYES)。この結果、読取対象領域として、A4サイズに対応する縦置読取領域が決定される(S162)。
【0081】
次いで、(3)に示されるように、読取部RUが読取を実行しながら、読取位置が短辺位置SPから基準点BPまで移動する(
図8のS220)。これにより、(4)に示されるように、原稿DC2内の原稿画像のうち、読取対象領域内の読取画像RI2を表わす読取データが生成される(S220)。この結果、読取画像RI2がA4サイズの印刷シートに印刷される(S222)。即ち、原稿DC2の等倍コピーが実現される。
【0082】
上述したように、コピー機CMは、読取位置が長辺位置LPである状態で原稿DC2の主長さMLを特定不可能である場合に、読取位置を長辺位置LPから短辺位置SPに変更する。そして、コピー機CMは、読取位置が短辺位置SPである状態で原稿DC2の主長さMLを特定可能であり、かつ、原稿DC2の主長さMLが指定シートサイズの長辺の長さLL1以下である場合に、読取対象領域として縦置読取領域を決定する。このように、コピー機CMは、読取機構RMとは異なるセンサを設けなくても、原稿DC2の載置状態(即ち縦置状態)に応じた読取対象領域を適切に決定することができる。また、コピー機CMは、読取位置を短辺位置SPから基準点BPまで変更しながら、読取対象領域の読取を読取部RUに実行させる。このために、コピー機CMは、短辺位置SPから読取対象領域の読取を開始することができる。即ち、コピー機CMは、読取位置を短辺位置SPから他の位置に移動させて読取対象領域の読取を開始せずに済み、この結果、読取対象領域の読取を迅速に実行することができる。
【0083】
(ケースY1;
図11)
図11のケースY1では、(1)に示されるように、原稿DC3は、横置状態のA3サイズである。また、指定シートサイズは、A4サイズである。従って、ユーザからコピー実行指示が与えられる際に、読取位置は、A4サイズの長辺の長さLL1に対応する長辺位置LPに一致する。そして、長辺位置LPでの1ライン分の読取が実行されて、原稿DC3の主長さMLとして、通常、A3サイズの短辺の長さに等しい長さが特定される(
図4のS66又は
図5のS76)。従って、原稿DC3の主長さMLが指定シートサイズ(即ちA4サイズ)の短辺の長さLS1よりも大きいと判断される(
図6のS120でNO)。この結果、選択画面が表示される(
図7のS132)。
【0084】
(2)に示されるように、ユーザによってA3サイズからA4サイズへの縮小コピーが選択される(S142でYES)。この結果、A4サイズに対応する横置読取領域が拡大されて、読取対象領域として、A3サイズに対応する拡大領域が決定される(S146)。従って、読取位置が長辺位置LPから上記の拡大領域に対応する特定位置まで移動する(
図8のS220)。
【0085】
次いで、(3)に示されるように、読取部RUが読取を実行しながら、読取位置が上記の特定位置から基準点BPまで移動する(S220)。これにより、(4)に示されるように、原稿DC3内の原稿画像のうち、読取対象領域内の読取画像RI3を表わす読取データが生成される(S220)。そして、(5)に示されるように、A3サイズに対応する読取データに対する縮小処理が実行されて、A4サイズに対応する縮小画像RI3’を表わす縮小データが生成される。この結果、縮小画像RI3’がA4サイズの印刷シートに印刷される(S222)。即ち、読取画像RI3の縮小コピーが実現される。
【0086】
上述したように、コピー機CMは、原稿の主長さMLが指定シートサイズ(即ちA4サイズ)の短辺の長さLS1よりも大きい場合に、ユーザの選択に応じて、読取対象領域を適切に決定することができる。
【0087】
(ケースY2;
図12)
図12のケースY2では、(1)に示されるように、原稿DC4は、縦置状態のA4サイズである。また、指定シートサイズは、長辺の長さがLL2であると共に短辺の長さがLS2であるB5サイズである。従って、ユーザからコピー実行指示が与えられる際に、読取位置は、B5サイズの長辺の長さLL2に対応する長辺位置LPに一致する。ただし、原稿DC4が長辺位置LPに存在しないので、長辺位置LPでの1ライン分の読取が実行されても、原稿DC4の主長さが特定されない(
図6のS110でNO)。このために、(2)に示されるように、読取位置が、長辺位置LPから、B5サイズの短辺の長さLS2に対応する短辺位置SPまで移動する(S172)。そして、短辺位置SPでの1ライン分の読取が実行されて、原稿DC4の主長さMLとして、通常、A4サイズの長辺の長さに等しい長さが特定される(
図4のS66又は
図5のS76)。従って、原稿DC4の主長さMLが指定シートサイズ(即ちB5サイズ)の短辺の長さLL2よりも大きいと判断される(
図6のS120でNO)。この結果、選択画面が表示される(
図7のS132)。
【0088】
(3)に示されるように、ユーザによってA4サイズからB5サイズへの縮小コピーが選択される(S142でYES)。この結果、B5サイズに対応する縦置読取領域が拡大されて、読取対象領域として、A4サイズに対応する拡大領域が決定される(S148)。従って、読取位置が短辺位置SPから上記の拡大領域に対応する特定位置まで移動する(
図8のS220)。
【0089】
図示省略しているが、この後の処理は、
図11のケースY1と同様である。即ち、読取部RUが読取を実行しながら、読取位置が上記の特定位置から基準点BPまで移動し(S220)、原稿DC4内の原稿画像のうち、読取対象領域内の読取画像を表わす読取データが生成される(S220)。そして、A4サイズに対応する読取データに対する縮小処理が実行されて、B5サイズに対応する縮小画像を表わす縮小データが生成され、縮小画像がB5サイズの印刷シートに印刷される(S222)。
【0090】
上述したように、コピー機CMは、原稿の主長さMLが指定シートサイズ(即ちB5サイズ)の長辺の長さLL2よりも大きい場合に、ユーザの選択に応じて、読取対象領域を適切に決定することができる。
【0091】
(ケースZ;
図13)
図13のケースZでは、(1)に示されるように、原稿DC5は、縦置状態のB5サイズである。また、指定シートサイズは、A4サイズである。従って、ユーザからコピー実行指示が与えられる際に、読取位置は、A4サイズの長辺の長さLL1に対応する長辺位置LPに一致する。ただし、原稿DC5が長辺位置LPに存在しないので、長辺位置LPでの1ライン分の読取が実行されても、原稿DC5の主長さが特定されない(
図6のS110でNO)。このために、(2)に示されるように、読取位置が、長辺位置LPから、A4サイズの短辺の長さLS1に対応する短辺位置SPまで移動する(S172)。ただし、原稿DC5が短辺位置SPにも存在しないので、短辺位置SPでの1ライン分の読取が実行されても、原稿DC5の主長さが特定されない(
図6のS110でNO)。この結果、読取対象領域として、A4サイズに対応する縦置読取領域が決定される(S170でNO、S162)。即ち、B5サイズの原稿DC5よりも大きい読取対象領域が決定される。
【0092】
次いで、(3)に示されるように、読取部RUが読取を実行しながら、読取位置が短辺位置SPから基準点BPまで移動する(
図8のS220)。これにより、(4)に示されるように、原稿DC5内の原稿画像よりも大きい範囲を有する読取画像RI5を表わす読取データが生成される(S220)。この結果、読取画像RI5がA4サイズの印刷シートに印刷される(S222)。即ち、原稿DC5の等倍コピーが実現される。
【0093】
上述したように、コピー機CMは、長辺位置LP及び短辺位置SPのどちらでも原稿の主長さを特定不可能である場合に、読取対象領域として、指定シートサイズ(即ちA4サイズ)に対応する縦置読取領域を決定する。読取対象領域が原稿DC5の全部を含むので、コピー機CMは、原稿DC5の原稿画像の全部が印刷された印刷シートをユーザに提供することができる。従って、コピー機CMは、原稿の主長さを特定不可能である場合に、読取対象領域を適切に決定することができる。
【0094】
(実施例の効果)
本実施例によると、
図9のケースX1に示されるように、コピー機CMは、指定シートサイズに応じた長辺位置LPでの読取機構RMの1ライン分の読取結果を利用して、原稿DC1の主長さMLを特定可能である場合に、当該主長さMLと指定シートサイズとを利用して、読取対象領域を決定する。また、
図10のケースX2に示されるように、コピー機CMは、指定シートサイズに応じた短辺位置SPでの読取機構RMの1ライン分の読取結果を利用して、原稿DC2の主長さMLを特定可能である場合に、当該主長さMLと指定シートサイズとを利用して、読取対象領域を決定する。即ち、コピー機CMは、読取機構RMとは異なるセンサが設けられていなくても、読取機構RMの1ライン分の読取結果と指定シートサイズとを利用して、読取対象領域を適切に決定することができる。
【0095】
なお、原稿の読取を実行する前に、透明板TPの全体の読取を実行して、読取対象領域を決定する比較例の構成(即ちいわゆるプレスキャンの構成)が考えられる。比較例の構成でも、読取機構RMとは異なるセンサが設けられていなくても、読取対象領域を決定することができる。しかしながら、比較例の構成では、透明板TPの全体の読取を実行する必要があるので、読取対象領域を決定するのに長時間を要する。これに対し、本実施例では、透明板TPの全体の読取を実行する必要がないので、読取対象領域を迅速に決定することができる。
【0096】
(対応関係)
長辺位置LP、短辺位置SP、ホーム位置HPが、それぞれ、「第1の位置」、「第2の位置」、「所定位置」の一例である。指定シートサイズに対応する横置読取領域、縦置読取領域が、それぞれ、「第1の対象領域」、「第2の対象領域」の一例である。
図2のS14及びS16が、「基準データ取得処理」の一例である。
図2のS20、
図6のS172が、それぞれ、「第1の変更処理」、「第2の変更処理」の一例である。読取位置が長辺位置LPである状態で実行される
図3のS60又はS70が、「第1のラインデータ取得処理」の一例である。読取位置が短辺位置SPである状態で実行される
図3のS60又はS70が、「第2のラインデータ取得処理」の一例である。
図6のS120、S122、
図7のS138、及び、S146が、「第1の決定処理」の一例である。
図6のS160、S162、
図7のS140、及び、S148が、「第2の決定処理」の一例である。
図6のS170でNOの場合に実行されるS162が、「第3の決定処理」の一例である。
図7のS132の処理が、「表示処理」の一例である。
図8のS210及びS212が、「判断処理」の一例である。S210で利用されるAD値の最小値が、「黒基準値」の一例である。
図8のS220が、「読取データ生成処理」の一例である
【0097】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。上記の実施例の変形例を以下に列挙する。
【0098】
(変形例1)読取機構RMは、CIS方式の読取機構でなくてもよく、例えば、CCD(Charge Coupled Device)方式の読取機構であってもよい。この場合、「読取位置」は、撮像素子の位置ではなく、ミラーの位置である。
【0099】
(変形例2)コントローラCRは、長辺位置LPでの1ライン分の読取結果であるラインデータを利用して、原稿の主長さを特定不可能である場合(
図6のS110でNO)に、短辺位置SPでの1ライン分の読取結果であるラインデータを取得することなく、読取対象領域として縦置読取領域を決定してもよい。即ち、「第2のラインデータ取得処理」、「第2の決定処理」、及び、「第3の決定処理」は省略されてもよい。
【0100】
(変形例3)コントローラCRは、
図6のS120において、原稿の主長さが指定シートサイズの短辺の長さよりも大きいと判断する場合(S120でNO)に、S130の報知処理を実行せずに、縮小コピーを自動的に実行してもよい。この場合、例えば、コントローラCRは、指定シートサイズの短辺の長さを原稿の主長さで除算することによって縮小率を算出し、当該縮小率に基づいて横置読取領域を拡大して得られる拡大領域を読取対象領域として決定してもよい。また、コントローラCRは、
図6のS160において、原稿の主長さが指定シートサイズの長辺の長さよりも大きいと判断する場合(S160でNO)に、S130の報知処理を実行せずに、縮小コピーを自動的に実行してもよい。この場合、例えば、コントローラCRは、指定シートサイズの長辺の長さを原稿の主長さで除算することによって縮小率を算出し、当該縮小率に基づいて縦置読取領域を拡大して得られる拡大領域を読取対象領域として決定してもよい。即ち、「表示処理」は省略されてもよい。
【0101】
(変形例4)コントローラCRは、ユーザからコピー実行指示が与えられる前に、読取位置を長辺位置LPに変更しなくてもよい。例えば、コントローラCRは、読取位置をホーム位置HPに維持していてもよい。そして、コントローラCRは、ユーザからコピー実行指示が与えられる場合に、読取位置をホーム位置HPから長辺位置LPに変更し、その後、
図3の各処理を実行してもよい。一般的に言うと、「コントローラ」は、メモリ内の指定シートサイズが変更される毎に、第1の変更処理を実行しなくてもよい。
【0102】
(変形例5)
図4及び
図5において、コントローラCRは、非照射時ラインデータを取得せずに、照射時ラインデータのみを取得してもよい。この場合、コントローラCRは、照射時ラインデータのうち、AD値が比較的に大きい部分の長さを、原稿の主長さとして特定してもよい。また、
図4において、コントローラCRは、照射時ラインデータを取得せずに、非照射時ラインデータのみを取得してもよい。この場合、コントローラCRは、非照射時ラインデータのうち、AD値が比較的に小さい部分の長さを、原稿の主長さとして特定してもよい。一般的に言うと、「第1のラインデータ」は、照射時ラインデータと非照射時ラインデータとの少なくとも一方を含んでいればよい。同様に、「第2のラインデータ」は、照射時ラインデータと非照射時ラインデータとの少なくとも一方を含んでいればよい。
【0103】
(変形例6)
図8のS210において、コントローラCRは、黒基準データのAD値の最小値を算出する代わりに、黒基準データのAD値の平均値を算出してもよい。また、コントローラCRは、非照射時ラインデータのAD値の最小値を算出する代わりに、非照射時ラインデータのAD値の平均値を算出してもよい。そして、S212では、コントローラCRは、2個の平均値の差分が所定値以上であるのか否かを判断してもよい。本変形例では、平均値が「黒基準値」の一例である。
【0104】
(変形例7)コントローラCRは、
図8のコピー実行処理において、S210〜S218の処理を省略して、S220及びS222の処理を実行してもよい。即ち、「判断処理」は省略されてもよい。
【0105】
(変形例8)上記の実施例では、ホーム位置HPが副走査方向の一方側(即ち
図1(B)の左側)の端部に設けられており、基準点BPが副走査方向の他方側(即ち
図1(B)の右側)の端部に設けられている。これに代えて、ホーム位置HPと基準点BPとが、副走査方向の同じ側の端部に設けられていてもよい。
【0106】
(他の形態)なお、本明細書では、さらに、以下の形態を開示する。例えば、第1の構成では、
図2のS20において、コントローラCRは、読取位置を長辺位置LPと短辺位置SPとの間の位置(以下では「第1の中間位置」と呼ぶ)に変更してもよい。この場合、コントローラCRは、読取位置が第1の中間位置である状態で、1ライン分の読取結果を取得してもよい。そして、コントローラCRは、上記の実施例と同様に、1ライン分の読取結果から得られる原稿の主長さと指定シートサイズとを利用して、読取対象領域を決定してもよい(
図6のS112でYES、S120、S122等)。また、例えば、第2の構成では、
図2のS20において、コントローラCRは、読取位置を短辺位置SPに変更してもよい。この場合、コントローラCRは、読取位置が短辺位置SPである状態で、1ライン分の読取結果を取得してもよい。そして、コントローラCRは、1ライン分の読取結果から得られる原稿の主長さが指定シートサイズの短辺の長さ以下である場合に、読取対象領域として横置読取領域を決定し、原稿の主長さが指定シートサイズの短辺の長さよりも大きい場合に、読取対象領域として縦置読取領域を決定してもよい。また、例えば、第3の構成では、
図2のS20において、コントローラCRは、読取位置を短辺位置SPと基準点BPとの間の位置(以下では「第2の中間位置」と呼ぶ)に変更してもよい。この場合、コントローラCRは、上記の第2の構成と同様に、読取対象領域を決定してもよい。一般的に言うと、本形態では、「第1の位置」は、副走査方向において、基準点と読取位置との間の距離が指定シートサイズの長辺の長さに相当する位置である代わりに、基準点と読取位置との間の距離が指定シートサイズの長辺の長さ以下になるどのような位置であってもよい。即ち、「第1の位置」は、長辺位置LP、上記の第1の中間位置、短辺位置SP、及び、上記の第2の中間位置のいずれの位置であってもよい。本形態でも、コピー機は、読取機構とは異なるセンサが設けられていなくても、原稿の主走査方向の長さと指定シートサイズとを利用して、読取対象領域を適切に決定し得る。
【0107】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。