特許第6421489号(P6421489)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6421489画像処理装置、画像処理システム、表示システム並びに画像処理方法及び画像処理用プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6421489
(24)【登録日】2018年10月26日
(45)【発行日】2018年11月14日
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理システム、表示システム並びに画像処理方法及び画像処理用プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/18 20060101AFI20181105BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20181105BHJP
   H04N 5/232 20060101ALI20181105BHJP
【FI】
   H04N7/18 D
   H04N5/225
   H04N7/18 A
   H04N5/232
   H04N5/232 290
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-162526(P2014-162526)
(22)【出願日】2014年8月8日
(65)【公開番号】特開2016-39536(P2016-39536A)
(43)【公開日】2016年3月22日
【審査請求日】2017年6月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】特許業務法人 インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100083839
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 泰男
(74)【代理人】
【識別番号】100120189
【弁理士】
【氏名又は名称】奥 和幸
(72)【発明者】
【氏名】江川 達也
(72)【発明者】
【氏名】大川 拓
(72)【発明者】
【氏名】青山 美明
【審査官】 鈴木 隆夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−156714(JP,A)
【文献】 特開2012−085228(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
H04N 5/225
H04N 5/232
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画像情報を時系列に沿って取得する第1取得手段と、
各前記取得される画像情報に相当する画像それぞれが撮像された際の撮像条件を示す条件情報を取得する第2取得手段と、
前記取得された条件情報を用いて、当該条件情報により示される前記撮像条件により撮像された前記画像に相当する前記画像情報を補正し、補正画像情報を生成する補正手段と、
前記条件情報の少なくとも一部の欠落を検出する欠落検出手段と、
前記欠落が検出されたとき、当該欠落が検出されたタイミングより前に取得された前記画像情報に相当する前記画像の前記撮像条件のうち、当該欠落した少なくとも一部に対応した前記撮像条件を示す前記条件情報である過去条件情報を、当該過去条件情報を予め記録する記録手段から取得する第3取得手段と、
前記過去条件情報が取得された場合に、前記欠落した少なくとも一部を用いて補正されるべき前記画像情報を、当該取得された過去条件情報を用いて補正して前記補正画像情報を生成するように前記補正手段を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記撮像条件は、前記取得された画像情報に相当する前記画像の撮像時刻を含み、
前記欠落が検出されたとき前記第3取得手段は、前日以前に取得された前記画像情報に相当する前記画像に対応し、且つ前記撮像時刻が同一である前記過去条件情報を前記記録手段から取得することを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の画像処理装置において、
前記撮像条件は、前記取得された画像情報に相当する前記画像の撮像時の天候を含み、
前記欠落が検出されたとき前記第3取得手段は、前記天候が同一である前記過去条件情報を前記記録手段から取得することを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の画像処理装置において、
前記制御手段は、前記欠落が検出された日に近い日に取得された前記画像情報に相当する前記画像の前記過去条件情報ほど重み付けを重くして、前記欠落した少なくとも一部を用いて補正されるべき前記画像情報の補正に用いることを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の前記画像処理装置と、
前記撮像条件を取得し、当該取得された撮像条件を示す前記条件情報を生成して前記第2取得手段に出力する撮像条件検出手段と、
を備えることを特徴とする画像処理システム。
【請求項6】
請求項5に記載の画像処理システムと、
前記補正画像情報を取得し、当該補正画像情報に相当する画像を表示する表示手段と、
を備えることを特徴とする表示システム。
【請求項7】
画像処理装置において実行される画像処理方法において、
複数の画像情報を時系列に沿って取得する第1取得工程と、
各前記取得される画像情報に相当する画像それぞれが撮像された際の撮像条件を示す条件情報を取得する第2取得工程と、
前記取得された条件情報を用いて、当該条件情報により示される前記撮像条件により撮像された前記画像に相当する前記画像情報を補正し、補正画像情報を生成する補正工程と、
前記条件情報の少なくとも一部の欠落を検出する欠落検出工程と、
前記欠落が検出されたとき、当該欠落が検出されたタイミングより前に取得された前記画像情報に相当する前記画像の前記撮像条件のうち、当該欠落した少なくとも一部に対応した前記撮像条件を示す前記条件情報である過去条件情報を、当該過去条件情報を予め記録する記録手段から取得する第3取得工程と、
前記過去条件情報が取得された場合に、前記欠落した少なくとも一部を用いて補正されるべき前記画像情報を、当該取得された過去条件情報を用いて補正して前記補正画像情報を生成するように制御する制御工程と、
を含むことを特徴とする画像処理方法。
【請求項8】
画像処理装置に含まれるコンピュータを、
複数の画像情報を時系列に沿って取得する第1取得手段、
各前記取得される画像情報に相当する画像それぞれが撮像された際の撮像条件を示す条件情報を取得する第2取得手段、
前記取得された条件情報を用いて、当該条件情報により示される前記撮像条件により撮像された前記画像に相当する前記画像情報を補正し、補正画像情報を生成する補正手段、
前記条件情報の少なくとも一部の欠落を検出する欠落検出手段、
前記欠落が検出されたとき、当該欠落が検出されたタイミングより前に取得された前記画像情報に相当する前記画像の前記撮像条件のうち、当該欠落した少なくとも一部に対応した前記撮像条件を示す前記条件情報である過去条件情報を、当該過去条件情報を予め記録する記録手段から取得する第3取得手段、及び、
前記過去条件情報が取得された場合に、前記欠落した少なくとも一部を用いて補正されるべき前記画像情報を、当該取得された過去条件情報を用いて補正して前記補正画像情報を生成するように制御する制御手段、
として機能させることを特徴とする画像処理用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理システム、表示システム並びに画像処理方法及び画像処理用プログラムの技術分野に属する。より詳細には、撮像された画像に対する補正処理を施す画像処理装置及び当該画像処理装置を含む画像処理システム及び表示システム、画像処理方法並びに当該画像処理装置用のプログラムの技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
近年、市民生活における安全の確保や犯罪防止の観点から、いわゆる防犯カメラシステムが普及している。一般的な防犯カメラシステムは、防犯対象となる撮像対象が撮像可能な位置に設置されたカメラにより撮像された画像データに対して、例えばコントラスト補正処理等の高画質化処理を施した上で、必要に応じてハードディスク等の記録媒体に記録したり、或いはディスプレイに表示したりする構成とされている。この場合の撮像対象とは、例えば施設の出入口又は一般住宅の玄関等が挙げられる。
【0003】
ここで、上記のコントラスト補正処理に関する先行技術文献として、例えば下記特許文献1が挙げられる。この特許文献1に記載されている技術は、撮像用の上記カメラが設置されている場所の照度に基づいて、撮像結果を表示する画像のコントラスト又は輝度を制御する技術である。具体的には、当該場所の周囲の照度を検出し、その照度に応じて上記画像のコントラストを制御する構成とされている。またこの他に特許文献1には、所定の時間間隔ごとに上記照度を測定し、それらの平均値に基づいて上記画像のコントラストを補正する構成も開示されている。更に特許文献1には、記録部に記録された画像データ等を外部のホストシステム等に無線送信する構成も開示されている。
【0004】
一方、一般に上記カメラは上記の通り屋外に設置される場合が多いが、これに伴って、その設置場所の照度を検出する照度センサも、当該カメラの近傍の屋外に設置される場合が多い。そしてこの場合、例えば配線の取り回しや壁に穴を開けて屋内に必要な線を引き込む等の不便を解消する目的で、当該照度センサにより検出された照度を示す照度データを無線通信により屋内で受信する構成が採用される場合がある。特に、完成された建物に対して上記のような防犯カメラシステムを後から導入し、それに伴って上記カメラの設置場所の照度を検出する場合、対応する照度データを無線により屋内で受信することができれば、壁等に対して別途穴を開ける必要等がなく、防犯カメラシステムとしての利便性及び汎用性が極めて高くなるといえる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−267225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、上述した照度データの授受を無線通信により行う場合、表示される画像に対するコントラストの補正を効果的に実行するためには、上記無線通信の信頼性を向上させる必要がある。
【0007】
ここで一般に、上記信頼性を高めるための方法としては、上記照度センサ自体の数を増やし、いわゆるマルチホッピングすることでそれらとの無線通信の信頼性を向上させる方法がある。しかしながらこの方法の場合、照度センサの数に比例してそれらの管理が困難となるため、小規模な防犯カメラシステムには不向きであるという問題点があった。
【0008】
また他の方法として、無線通信が途絶えた照度センサとの間で、いわゆるポーリングの周期を短くすることで、その照度センサとの間の無線通信の回復を試みる回数を多くする方法もある。しかしながらこの方法の場合、照度センサにおける消費電流が大きくなるため、基本的に電池により駆動することが多い照度センサには不向きであるという問題点がある。
【0009】
そして、これらの方法及びそれらに関する上記各問題点については、上記特許文献1には全く開示がなく、よって特許文献1に開示されている技術では、種々の通信障害等により上記照度データを照度センサから受信できない場合、当該照度に基づいた画像のコントラストの補正ができず、従って防犯カメラシステムの画像として求められる鮮明性を保つことができない場合があるという問題点がある。
【0010】
そこで本発明は、上記の各問題点等に鑑みて為されたもので、その課題の一例は、上記照度データが欠落した場合であっても、表示される画像を正確に補正することが可能な画像処理装置及び当該画像処理装置を含む画像処理システム及び表示システム、画像処理方法並びに当該画像処理装置用のプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、複数の画像情報を時系列に沿って取得するチャンネルコントローラ等の第1取得手段と、各前記取得される画像情報に相当する画像それぞれが撮像された際の撮像条件を示す条件情報を取得するメインプロセッサ等の第2取得手段と、前記取得された条件情報を用いて、当該条件情報により示される前記撮像条件により撮像された前記画像に相当する前記画像情報を補正し、補正画像情報を生成するコントラスト補正部等の補正手段と、前記条件情報の少なくとも一部の欠落を検出するメインプロセッサ等の欠落検出手段と、前記欠落が検出されたとき、当該欠落が検出されたタイミングより前に取得された前記画像情報に相当する前記画像の前記撮像条件のうち、当該欠落した少なくとも一部に対応した前記撮像条件を示す前記条件情報である過去条件情報を、当該過去条件情報を予め記録する記録部等の記録手段から取得するメインプロセッサ等の第3取得手段と、前記過去条件情報が取得された場合に、前記欠落した少なくとも一部を用いて補正されるべき前記画像情報を、当該取得された過去条件情報を用いて補正して前記補正画像情報を生成するように前記補正手段を制御するメインプロセッサ等の制御手段と、を備える。
【0012】
上記の課題を解決するために、請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の前記画像処理装置と、前記撮像条件を取得し、当該取得された撮像条件を示す前記条件情報を生成して前記第2取得手段に出力する照度センサ等の撮像条件検出手段と、を備える。
【0013】
上記の課題を解決するために、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の画像処理システムと、前記補正画像情報を取得し、当該補正画像情報に相当する画像を表示するディスプレイ等の表示手段と、を備える。
【0014】
上記の課題を解決するために、請求項7に記載の発明は、画像処理装置において実行される画像処理方法において、複数の画像情報を時系列に沿って取得する第1取得工程と、各前記取得される画像情報に相当する画像それぞれが撮像された際の撮像条件を示す条件情報を取得する第2取得工程と、前記取得された条件情報を用いて、当該条件情報により示される前記撮像条件により撮像された前記画像に相当する前記画像情報を補正し、補正画像情報を生成する補正工程と、前記条件情報の少なくとも一部の欠落を検出する欠落検出工程と、前記欠落が検出されたとき、当該欠落が検出されたタイミングより前に取得された前記画像情報に相当する前記画像の前記撮像条件のうち、当該欠落した少なくとも一部に対応した前記撮像条件を示す前記条件情報である過去条件情報を、当該過去条件情報を予め記録する記録部等の記録手段から取得する第3取得工程と、前記過去条件情報が取得された場合に、前記欠落した少なくとも一部を用いて補正されるべき前記画像情報を、当該取得された過去条件情報を用いて補正して前記補正画像情報を生成するように制御する制御工程と、を含む。
【0015】
上記の課題を解決するために、請求項8に記載の発明は、画像処理装置に含まれるコンピュータを、複数の画像情報を時系列に沿って取得する第1取得手段、各前記取得される画像情報に相当する画像それぞれが撮像された際の撮像条件を示す条件情報を取得する第2取得手段、前記取得された条件情報を用いて、当該条件情報により示される前記撮像条件により撮像された前記画像に相当する前記画像情報を補正し、補正画像情報を生成する補正手段、前記条件情報の少なくとも一部の欠落を検出する欠落検出手段、前記欠落が検出されたとき、当該欠落が検出されたタイミングより前に取得された前記画像情報に相当する前記画像の前記撮像条件のうち、当該欠落した少なくとも一部に対応した前記撮像条件を示す前記条件情報である過去条件情報を、当該過去条件情報を予め記録する記録部等の記録手段から取得する第3取得手段、及び、前記過去条件情報が取得された場合に、前記欠落した少なくとも一部を用いて補正されるべき前記画像情報を、当該取得された過去条件情報を用いて補正して前記補正画像情報を生成するように制御する制御手段、として機能させる。
【0016】
請求項1又は請求項5乃至請求項8のいずれか一項に記載の発明によれば、条件情報の少なくとも一部の欠落が検出されたとき、当該少なくとも一部に対応した過去条件情報を記録手段から取得し、過去条件情報が取得された場合に、当該少なくとも一部を用いて補正されるべき画像情報を、当該取得した過去条件情報を用いて補正して補正画像情報を生成する。よって、過去条件情報を用いて画像情報を補正することで、条件情報の少なくとも一部が欠落した場合であっても、各画像情報を正確に補正して補正画像情報を生成することができる。
【0017】
上記の課題を解決するために、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像処理装置において、前記撮像条件は、前記取得された画像情報に相当する前記画像の撮像時刻を含み、前記欠落が検出されたとき前記第3取得手段は、前日以前に取得された前記画像情報に相当する前記画像に対応し、且つ前記撮像時刻が同一である前記過去条件情報を前記記録手段から取得するように構成される。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の作用に加えて、画像の撮像時刻が撮像条件に含まれている。そしてその欠落が検出されたとき、撮像時刻が同一である過去条件情報を記録手段から取得し、欠落した条件情報を用いて補正されるべき画像情報の補正に用いる。よって、撮像条件が近い過去条件情報を用いることで、各画像情報をより正確に補正して補正画像情報を生成することができる。
【0019】
上記の課題を解決するために、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の画像処理装置において、前記撮像条件は、前記取得された画像情報に相当する前記画像の撮像時の天候を含み、前記欠落が検出されたとき前記第3取得手段は、前記天候が同一である前記過去条件情報を前記記録手段から取得するように構成される。
【0020】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は請求項2に記載の発明の作用に加えて、画像の撮像時の天候が撮像条件に含まれている。そしてその欠落が検出されたとき、天候が同一である過去条件情報を記録手段から取得し、欠落した条件情報を用いて補正されるべき画像情報の補正に用いる。よって、撮像条件が近い過去条件情報を用いることで、各画像情報をより正確に補正して補正画像情報を生成することができる。
【0021】
上記の課題を解決するために、請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の画像処理装置において、前記制御手段は、前記欠落が検出された日に近い日に取得された前記画像情報に相当する前記画像の前記過去条件情報ほど重み付けを重くして、前記欠落した少なくとも一部を用いて補正されるべき前記画像情報の補正に用いるように構成される。
【0022】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発明の作用に加えて、条件情報の欠落が検出された日に近い日に取得された画像情報に相当する画像の過去条件情報ほど重み付けを重くして、当該欠落した条件情報を用いて補正されるべき画像情報の補正に用いるので、より撮像条件が近い過去条件情報を用いて正確に画像情報を補正することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、条件情報の少なくとも一部の欠落が検出されたとき、当該少なくとも一部に対応した過去条件情報を記録手段から取得し、過去条件情報が取得された場合に、当該少なくとも一部を用いて補正されるべき画像情報を、当該取得した過去条件情報を用いて補正して補正画像情報を生成する。
【0024】
従って、過去条件情報を用いて画像情報を補正することで、条件情報の少なくとも一部が欠落した場合であっても、各画像情報を正確に補正して補正画像情報を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施形態に係るカメラシステムの概要構成を示すブロック図である。
図2】実施形態に係る照度データの内容を例示する図である。
図3】実施形態に係るコントラスト補正処理を例示する図であり、(a)は当該コントラスト補正処理の第1例を示す図であり、(b)は当該コントラスト補正処理の第2例を示す図である。
図4】実施形態に係るコントラスト補正処理を示すフローチャートであり、(a)は当該コントラスト補正処理の全体を示すフローチャートであり、(b)は当該コントラスト補正処理における照度データの補完処理の細部を示すフローチャートである。
図5】実施形態に係るコントラスト補正処理を示す図であり、(a)は照度データの欠落を例示する図であり、(b)は実施形態に係る照度データの補完処理に用いられる照度データを例示するであり、(c)は実施形態に係る重み付け処理を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、本発明を実施するための形態について、図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施形態は、対象物を撮像して得られる画像データに対して施されるコントラスト補正処理に対して、本発明を適用した場合の実施形態である。
【0027】
(I)実施形態
初めに本発明に係る実施形態について、図1乃至図5を用いて説明する。なお以下に説明する実施形態は、二台以上のカメラによりそれぞれ撮像された画像データを順次取得し、当該取得した画像データに対してコントラストの補正処理を施して記録する防犯用のカメラシステムに対して、本発明を適用した場合の実施の形態である。
【0028】
また、図1は実施形態に係るカメラシステムの概要構成を示すブロック図であり、図2は実施形態に係る照度データの内容を例示する図であり、図3は実施形態に係るコントラスト補正処理を例示する図である。更に、図4は当該コントラスト補正処理を示すフローチャートであり、図5は当該コントラスト補正処理を示す図である。
【0029】
図1に示すように、実施形態に係るカメラシステムSは、第1カメラC1乃至第4カメラC4と、デコーダD1乃至デコーダD4及びデコーダ7と、本発明に係る「第1取得手段」の一例としてのチャンネルコントローラ1と、本発明に係る「補正手段」の一例としてのコントラスト補正部2と、例えばJPEG(Joint Photographic Experts Group)方式による圧縮処理等の画像処理を行う画像処理プロセッサ3と、本発明に係る「第2取得手段」、「第3取得手段」、「制御手段」及び「欠落検出手段」それぞれの一例としてのメインプロセッサ4と、例えばカード型の記録媒体CDに対して画像データ等を記録するライタ5と、図示しない揮発性領域及び不揮発性領域をそれぞれ含むメモリ6と、液晶ディスプレイ等からなり且つ本発明に係る「表示手段」の一例に相当するディスプレイ8と、タイマ9と、実施形態に係る過去照度データ10A等を不揮発性に記録するハードディスクドライブ等からなる記録部10と、本発明に係る「撮像条件検出手段」の一例としての照度センサ11及び送信部12からなる照度センサユニットSCと、送信部12との間での後述する無線による照度データの授受が可能な例えば屋内の位置に配置された受信部13と、により構成されている。このとき、一台のカメラは一般に一つの「チャンネル」を構成している。そして実施形態に係るカメラシステムSの場合、第1カメラC1及びデコーダD1により第1チャンネルCH1を構成し、第2カメラC2及びデコーダD2により第2チャンネルCH2を構成している。また第3カメラC3及びデコーダD3により第3チャンネルCH3を構成し、第4カメラC4及びデコーダD4により第4チャンネルCH4を構成している。なお以下の説明において、上記第1チャンネルCH1乃至第4チャンネルCH4に共通の事項について説明する場合には、単に「チャンネルCH」と称する。また、上記第1カメラC1乃至第4カメラC4に共通の事項について説明する場合には、単に「カメラC」と称する。そして各カメラCは、カメラシステムSとしての防犯に係る撮像対象たる建物の屋外の位置を撮像範囲として設置されており、それぞれの撮像対象には、例えば当該建物の入口や通用口等が含まれている。
【0030】
この構成において、第1カメラC1乃至第4カメラC4からそれぞれ出力された画像データは、各カメラCに一対一に対応するデコーダD1乃至デコーダD4によりそれぞれ復号され、チャンネルコントローラ1に出力される。
【0031】
そしてチャンネルコントローラ1は、メインプロセッサ4の制御の下、各チャンネルCHからそれぞれ出力された(復号後の)画像データを、例えば数秒乃至数十秒おきに順次切り換え、一つの画像データたる出力画像データとしてコントラスト補正部2に出力する。このときチャンネルコントローラ1は、例えば、第1チャンネルCH1→第2チャンネルCH2→第3チャンネルCH3→第4チャンネルCH4→第1チャンネルCH1→第2チャンネルCH2→…の順で、各チャンネルCHのそれぞれから出力された画像データを切り換え、上記出力画像データとしてコントラスト補正部2に出力する。
【0032】
これらによりコントラスト補正部2は、メインプロセッサ4の制御の下、実施形態に係るコントラスト補正処理を上記出力画像データに対して施し、当該コントラスト補正処理後の出力画像データを画像処理プロセッサ3に出力する。このコントラスト補正処理については、後ほど詳述する。
【0033】
次に画像処理プロセッサ3は、メインプロセッサ4の制御の下、コントラスト補正処理後の出力画像データに対して、例えば予め設定された例えば上記JPEG方式を用いた圧縮処理等を施し、記録用の圧縮画像データをライタ5に、表示用の圧縮画像データをデコーダ7に、それぞれ出力する。
【0034】
そしてデコーダ7は、メインプロセッサ4の制御の下、画像処理プロセッサ3から出力された圧縮画像データに対して所定の復号処理を施し、これをディスプレイ8に出力して表示させる。これにより、カメラシステムSを用いて防犯を行おうとする使用者(例えば上記建物の管理者等)は、第1チャンネルCH1から第4チャンネルCHまで順次に切り換えられる画像を見て、当該防犯のための監視等を行う。一方ライタ5は、上記圧縮画像データを、必要に応じて記録媒体CDに記録する。
【0035】
他方、実施形態に係る照度センサユニットSCは、実施形態に係るコントラスト補正処理を実行するために必要な照度を検出することができる位置(例えば、各カメラCの撮像範囲にある上記建物の入口や通用口等の位置)に設置されている。そして照度センサ11は、当該位置における照度(より具体的には当該入口等の位置近辺全体の照度)を検出し、当該照度を示す照度データを生成して照度センサユニットSC内の送信部12に出力する。これにより送信部12は、照度データDを無線により受信部13に向けて送信する。そして受信部13は、当該照度データDを受信してメインプロセッサ4に出力する。このとき、送信部12と受信部13との間の照度データDの無線通信は、例えば送信部12と受信部13との間に遮蔽物(例えば予期しない人や荷物)が移動してくること等の原因により遮断されることがある。更にタイマ9は、現在時刻を示す時刻データを生成してメインプロセッサ4に出力する。
【0036】
これらによりメインプロセッサ4は、必要なデータ等をメモリ6に記憶させつつ、上記チャンネルコントローラ1における画像データの切り換えを制御すると共に、上記照度データ及び時刻データ並びに過去照度データ10Aを用いた実施形態に係るコントラスト補正処理を制御し、更にカメラシステムS全体を統括制御する。
【0037】
次に、上記記録部10に不揮発性に記録されている、実施形態に係る過去照度データ10Aについて、具体的に図2を用いて例示しつつ説明する。
【0038】
後述するように、実施形態に係るコントラスト補正処理では、例えば照度センサユニットSCと受信部13との間の上記無線による通信の途絶等に起因して照度データDがメインプロセッサ4において取得できない場合、過去に照度センサユニットSCから取得した照度データDを用いて当該照度データDの欠落を補完する。このとき、過去に照度センサユニットSCから取得した照度データDが、過去照度データ10Aとして記録部10に不揮発性に記録されている。
【0039】
即ち図2に例示するように、実施形態に係る過去照度データ10Aとしては、例えば現在時刻が属する日より前30日間に受信部13において受信された照度データDが、その受信日を示す受信日データ20、その受信時刻を示す時刻データ21、当該受信日の太陽の南中高度を示す南中高度データ22、及び当該受信日の天候を示す天候データ23にそれぞれ対応付けられて、記録部10に不揮発性に記録されている。図2に示す例では、現在時刻が属する日が12月5日であり、その日より前30日間(即ち11月5日までの30日間)の照度データDが上記受信日データ20乃至天候データ23にそれぞれ対応付けられて記録されている。なお各照度データDの単位は例えばルクス(lx)である。また上記受信日データ20及び時刻データ21は、上記タイマ9からの上記時刻データに基づいて対応付けられる。更に上記南中高度データ22は、例えば国立天文台のホームページ等から、上記天候データ23は例えば気象庁のホームページ等から、それぞれインターネット等の図示しないネットワークを介して取得され、照度データDに対応付けられる。このような過去照度データ10Aとして記録されている照度データDが、後述するように、実施形態に係るコントラスト補正処理における照度データDの補完に用いられる。
【0040】
次に、上記コントラスト補正部2において実行されるコントラスト補正処理の全体的な特性について説明する。下記のような全体的な特性を踏まえた上で、実施形態に係るコントラスト補正処理が実行される。
【0041】
即ち、実施形態に係るコントラスト補正部2は、実際のコントラスト補正処理として、二つのパラメータ、即ち「ストレングス」と「(図示しない)リミットアンプの増幅度の最低値」を変更することで、コントラストの補正の度合いを変更する。このとき上記「ストレングス」とは、コントラストの補正の際の輝度等の増幅度を示すパラメータであり、その値が大きいほど、当該増幅度が大きくなる。一方上記「リミットアンプの増幅度の最低値」とは、コントラスト補正処理の対象となる画像における「暗い部分」に対する増幅度等を制御するパラメータである。即ち、当該暗い部分に対してコントラストの補正を過度に施すと結果的にノイズ成分が目立つこととなるため、その暗い部分に対するコントラストの補正における増幅度等に制限を設けることで、コントラスト補正処理後の画像における視覚的な上記ノイズ成分を抑制する。
【0042】
ここで、上記リミットアンプの増幅度の最低値について、図3を用いて更に詳説する。なお図3の各図はそれぞれ、チャンネルコントローラ1から入力されてくる出力画像データの入力レベル(横軸に8ビットで示す)と上記リミットアンプにおける増幅度(縦軸に示す)との関係を示す図である。また、図3(a)は上記リミットアンプの増幅度の最低値を「16」とした場合の出力画像データの入力レベルとリミットアンプにおける増幅度との関係を示す図であり、図3(b)は上記リミットアンプの増幅度の最低値を「48」とした場合の出力画像データの入力レベルとリミットアンプにおける増幅度との関係を示す図である。更に図3の各図において、ハッチング部分がコントラスト補正のための増幅が実際に行われる範囲を示している。
【0043】
図3各図にそれぞれ示すように、上記リミットアンプの増幅度の最低値を図3(a)に例示するように低く設定してコントラスト補正処理を実行すれば、当該最低値を図3(b)に例示するように高く設定する場合に比して、出力画像データの入力レベルが低い部分(即ち、画像として暗い部分)における増幅を抑制してノイズ成分を抑えることができる。よって実施形態に係るコントラスト補正処理でも、出力画像データの入力レベルが低い部分については、リミットアンプの増幅度の最低値を低く抑える。
【0044】
またコントラスト補正部2では、コントラストの補正全体としての強度を、例えば「強」、「中」及び「弱」とする場合、当該強度が「強」のときには上記ストレングスの値が例えば「255」と設定され、上記リミットアンプの増幅度の最低値が例えば「63」と設定される。また当該強度が「中」のときには上記ストレングスの値が例えば「96」と設定され、上記リミットアンプの増幅度の最低値が例えば「12」と設定される。更に当該強度が「弱」のときには上記ストレングスの値が例えば「64」と設定され、上記リミットアンプの増幅度の最低値が「10」と設定される。なおこのとき、コントラストの補正量は、基本的に照度が高いほど上記ストレングスが低く設定される。またコントラスト補正部2では、上記に例示した値の他に、ストレングスについては「0」から「255」の範囲で任意に設定可能であり、リミットアンプの増幅度の最低値については「0」〜「63」の間で任意に設定可能である。
【0045】
次に、カメラシステムSのコントラスト補正部2及びメインプロセッサ4により主として実行される、実施形態に係るコントラスト補正処理について、図4及び図5を用いて具体的に説明する。
【0046】
図4(a)に示すように、例えばカメラシステムS全体の電源がオンとされることにより当該カメラシステムSによる撮像対象の監視が開始されると、その一環としての実施形態に係るコントラスト補正処理としてメインプロセッサ4は、チャンネルコントローラ1からの上記出力画像データがコントラスト補正部2において取得されると(ステップS1)、当該出力画像データに相当する画像データがいずれかのカメラCで撮像されたタイミングにおける照度データDを、照度センサユニットSC及び受信部13を介して取得する(ステップS2)。このときメインプロセッサ4は、例えば5秒ごとの定期的に照度データDを取得する(図2参照)。
【0047】
次にメインプロセッサ4は、本来は例えば5秒おきに連続して取得されるべき照度データDについて、例えば図5(a)に例示するような欠落(図5(a)において「エラー」と示している)が発生していないかを判定する(ステップS3)。ステップS3の判定において当該欠落がないと判定された場合(ステップS3;NO)、メインプロセッサ4は、例えば5秒おきに取得される照度データDを、上記受信日データ20等と対応付けて、図2に例示する過去照度データ10Aとして記録部10に記録する(ステップS5)。
【0048】
次にメインプロセッサ4は、上記照度データDを用いて例えば図3を用いて説明したコントラスト補正処理を行うためのコントラスト補正データを算出し、その算出したコントラスト補正データをコントラスト補正部2に出力する。これによりコントラスト補正部2は、上記ステップS1において取得した出力画像データに対するコントラストの補正処理を、上記コントラスト補正データを用いて実行する(ステップS6)。その後メインプロセッサ4は、実施形態に係るコントラスト補正処理後の出力画像データに相当する画像をディスプレイ8に表示する等の処理により、上記コントラスト補正処理を含むカメラシステムSを用いた監視を行う(ステップS7)。次にメインプロセッサ4は、カメラシステムS全体の上記電源がオフとされたか否かを判定する(ステップS8)。ステップS8の判定において当該電源がオフとされていない場合(ステップS8;NO)、メインプロセッサ4は上記ステップS1に戻り、上述してきた一連のコントラスト補正処理を改めて実行する。他方ステップS8の判定において当該電源がオフとされた場合(ステップS8;YES)、メインプロセッサ4は実施形態に係るコントラスト補正処理を含むカメラシステムSとしての処理を終了する。
【0049】
一方、上記ステップS3の判定において照度データDの欠落があると判定された場合(ステップS3;YES)、メインプロセッサ4は、記録部10に記録されている過去照度データ10Aを用いて、実施形態に係る照度データDの当該欠落の補完処理を実行する(ステップS4)。その後メインプロセッサ4は、ステップS4の処理により欠落が補完された照度データを用いて、上述したステップS6のコントラスト補完処理を実行し、その後上記ステップS7以降の処理に移行する。
【0050】
次に、上記ステップS4に係る補完処理について、図4(b)及び図5を用いて説明する。当該補完処理では、図4(a)に示すステップS3の判定において、図5(a)に例示する照度データDの欠落が発生していると判定された場合(ステップS3;YES)、メインプロセッサ4は図4(b)に示すように、当該欠落が発生した時刻に対応した天候及び時刻それぞれを示すデータを、例えば気象庁のホームページ等及びタイマ9からそれぞれ取得する(ステップS40)。次にメインプロセッサ4は、記録部10に記録されている過去照度データ10Aにおいて、ステップS40により取得された各データにより示される天候及び時刻それぞれと一致する内容の天候データ23及び時刻データ21に対応付けられている照度データDを検索する(ステップS41)。例えば図5(a)に例示する欠落がある場合には、天候が「晴れ」の日の時刻「18:00:45」、時刻「18:00:50」及び時刻「18:00:55」にそれぞれ対応付けられている照度データDを過去照度データ10Aにおいて検索する。この場合、過去複数年に渡って同一の日の過去照度データ10Aが記録部10に記録されている場合は、それら複数年に渡る過去照度データ10A内にまで検索範囲を拡げてもよい。
【0051】
ステップS41の判定において、天候及び時刻共に一致する照度データDが過去照度データ10Aにおいて検索された場合(ステップS41;YES)、メインプロセッサ4は、当該照度データDを取得し(ステップS43)、それを用いて、欠落した照度データDを補完するための推定照度データを生成する(ステップS44)。一方、ステップS41の判定において、天候及び時刻共に一致する照度データDが過去照度データ10Aにおいて検索されなかった場合(ステップS41;NO)、メインプロセッサ4は次に、ステップS40により取得された各データにより示される天候及び時刻のうち時刻のみに一致する内容の時刻データ21に対応付けられている照度データDを過去照度データ10Aにおいて検索して取得する(ステップS42)。例えば図5(a)に例示する欠落がある場合には、天候とは無関係に、時刻「18:00:45」、時刻「18:00:50」及び時刻「18:00:55」のみに対応付けられている照度データDを過去照度データ10Aにおいて検索して取得する。この場合もステップS43と同様に、過去複数年に渡る過去照度データ10A内にまで検索範囲を拡げてもよい。またステップS42の場合、天候は無関係となるので、いずれかの日の欠落が発生した時刻に対応付けられている照度データDが過去照度データ10A内において検索できることになる。その後メインプロセッサ4は、ステップS42において取得された照度データDを用いた推定照度データの生成に移行する(ステップS44)。
【0052】
次に、ステップS44の推定照度データの生成方法を含む上記ステップS40乃至ステップS44について、具体的に例示しつつ説明する。
【0053】
先ず、図4(a)ステップS3及び図4(b)ステップS40において、照度データDの欠落が発生した時の環境が以下の通りであったとする(図5(a)参照)。
【0054】
天気:晴れ
欠落発生時刻:2014/5/1の18:00:45〜18:00:55
この場合メインプロセッサ4は、過去照度データ10A(この場合の記録範囲は2014/4/1から2014/4/31までであることになる)において、天候データ23が「晴れ」で且つ時刻データ21が「18:00:45」から「18:00:55」である照度データDを検索する(図4(b)ステップS41参照)。そして当該検索の結果、例えば図5(b)に例示する四日分の照度データDが取得できたとする(図4(b)ステップS43参照)。ここで説明の便宜上、図5(b)に例示する2014/4/29の照度データを「データd0」とし、同4/18の照度データDを「データd1」とし、同4/10の照度データDを「データd2」とし、同4/8の照度データDを「データd3」とする。なお図5(b)に例示する場合、照度データDの欠落が発生した2014/5/1との日数差(以下のデータ構造において「diff」と示す)は、同4/29が2日、同4/18が13日、同4/10が21日、同4/8が23日であることになる。そしてこれらの場合、例えば上記データd0は以下のデータ構造を有する。
【0055】
d0 {
diff : 2
18:00:45 : 120
18:00:50 : 100
18:00:55: 80
}
ここで一般に、照度データDの欠落が発生した日に近い日の照度データDほど、実施形態に係る推定照度データとしての重要性は大きいと考えるべきである。そこでメインプロセッサ4は、照度データDの欠落が発生した日に近い日の照度データDほどその重み付けを重くした上で、推定照度データの生成に用いる(ステップS44)。より具体的にメインプロセッサ4は、欠落が発生した日との日数差を要素とする配列(days)を以下のように生成する。
【0056】
days=[d0[diff], d1[diff], d2[diff], d3[diff]]
このとき、図5(b)に例示する場合は、
days=[2, 13, 21, 23]
となる。
【0057】
次にメインプロセッサ4は、上記配列daysに格納されている各要素を逆順にし、逆配列(daysI)を以下のように生成する。
【0058】
daysI=[d3[diff], d2[diff], d1[diff], d0[diff]]
このとき、図5(b)に例示する場合は、
daysI=[23, 21, 13, 2]
となる。次にメインプロセッサ4は、配列の各要素の総和(この場合は、2+13+21+23=59)で各要素を除して、重み付け配列ωを以下のように生成する。
【0059】
ω=[23/59, 21/59, 13/59, 2/59]
次にメインプロセッサ4は、生成された重み配列ωを用いて、例えば図5(a)に例示さえる18:00:45時点の推定照度データAns(lx)を以下で算出する(図4(b)ステップS44参照)。
【0060】
Ans(lx)
=ω[23/59]×d0[18:00:45]+ω[21/59]×d1[18:00:45]+ω[13/59]×d2[18:00:45]+ω[2/59]×d3[18:00:45]
=120×0.39+160×0.36+134×0.22+135×0.03
=46.8+57.6+29.5+4
=137.9
なお、照度データDが欠落した他の時刻についても、同様にして推定照度データAns(lx)が算出される(図4(b)ステップS44参照)。
【0061】
その後メインプロセッサ4は、ステップS44により生成された推定照度データAns(lx)を欠落した照度データDと見なして、図4(a)に示すステップS6以降の処理を実行する。
【0062】
なお、図4(b)に示すステップS41の判定において、天候及び時刻共に一致する照度データDが過去照度データ10Aにおいて検索されなかった場合(ステップS41;NO)にメインプロセッサ4は、上記時刻のみ一致する内容の時刻データ21に対応付けられている照度データDを用いて、上述した一連の処理と同様の処理により推定照度データの生成する(図4(b)ステップS44参照)。
【0063】
以上説明したように、実施形態に係るコントラスト補正処理によれば、照度データDの少なくとも一部の欠落が検出されたとき、欠落した照度データDに対応した過去の照度データD(以下、当該過去の照度データDを単に「過去照度データ」と称する)を記録部10から取得し、欠落した照度データDを用いてコントラストが補正されるべき出力画像データを、取得した過去照度データを用いて補正する。よって、過去照度データを用いて出力画像データのコントラストを補正することで、照度データDの少なくとも一部が欠落した場合であっても、各出力画像データを正確に補正することができる。
【0064】
また、撮像条件として時刻データ21が含まれており、照度データDの欠落が検出されたとき、撮像時刻が同一である過去照度データを検索し、欠落した照度データDを用いてコントラストが補正されるべき出力画像データの補正に用いる。更に、撮像条件として天候データ23が含まれており、照度データDの欠落が検出されたとき、天候が同一である過去照度データを取得し、欠落した照度データDを用いて補正されるべき出力画像データの補正に用いる。よってこれらによれば、撮像条件が近い過去照度データを用いることで、各出力画像データをより正確に補正することができる。
【0065】
更にまた、照度データDの欠落が検出された日に近い日に取得された出力画像データに相当する過去照度データほど重み付けを重くして、当該欠落した照度データDを用いて補正されるべき出力画像データの補正に用いるので、より撮像条件が近い過去照度データDを用いて正確に出力画像データを補正することができる。
【0066】
また、従来のように照度センサを増やして無線による照度データDの授受の信頼性を向上させる場合に比して照度センサの数を減らすことができ、結果としてカメラシステムSとしての初期コストや保守コストを下げることができる。
【0067】
(II)変形形態
次に、本発明に係る変形形態について説明する。
【0068】
上述した実施形態では、欠落した照度データDの補完に当たって時刻データ21及び天候データ23を用いたが、これらに加えて、南中高度データ22をも参照して、撮像条件がより近い過去照度データ10Aを用いるように構成してもよい。なお、実施形態に係る照度データDの補完処理のように南中高度データ22を用いない場合、過去照度データ10Aとしても南中高度データ22を取得して記録しておく必要はない。
【0069】
また、送信部12と受信部13との間における無線通信の遮断が復旧された際に、当該遮断された旨(換言すれば、照度センサユニットSCの異常)をメインプロセッサ4に画像データと同時に送信するように構成すれば、メインプロセッサ4においても迅速に当該異常を認識することができる。
【0070】
更に、図4に示したフローチャートに対応するプログラムを例えばインターネット等のネットワークを介して取得しておき、或いは光ディスク等の記録媒体に記録しておき、これを汎用のマイクロコンピュータ等により読み出して実行することにより、当該マイクロコンピュータ等を実施形態に係るメインプロセッサ4として機能させることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0071】
以上それぞれ説明したように、本発明は画像処理装置の分野に利用することが可能であり、特に照度を用いてコントラストを補正して画像の高画質化を図る分野に適用すれば特に顕著な効果が得られる。
【符号の説明】
【0072】
1 チャンネルコントローラ
2 コントラスト補正部
3 画像処理プロセッサ
4 メインプロセッサ
5 ライタ
6 メモリ
8 ディスプレイ
9 タイマ
10 記録部
10A 過去照度データ
11 照度センサ
12 送信部
13 受信部
20 受信日データ
21 時刻データ
22 南中高度データ
23 天候データ
S カメラシステム
C1 第1カメラ
C2 第2カメラ
C3 第3カメラ
C4 第4カメラ
7、D1、D2、D3、D4 デコーダ
CD 記録媒体
SC 照度センサユニット
CH1 第1チャンネル
CH2 第2チャンネル
CH3 第3チャンネル
CH4 第4チャンネル
D 照度データ
図1
図2
図3
図4
図5