特許第6421608号(P6421608)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6421608
(24)【登録日】2018年10月26日
(45)【発行日】2018年11月14日
(54)【発明の名称】回収装置、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/10 20060101AFI20181105BHJP
【FI】
   G03G15/10
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-6856(P2015-6856)
(22)【出願日】2015年1月16日
(65)【公開番号】特開2016-133555(P2016-133555A)
(43)【公開日】2016年7月25日
【審査請求日】2017年12月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小松崎 一成
(72)【発明者】
【氏名】山田 太一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 志朗
(72)【発明者】
【氏名】谷田 和敏
【審査官】 中澤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−256662(JP,A)
【文献】 特開2000−338785(JP,A)
【文献】 米国特許第5530533(US,A)
【文献】 特開昭54−5445(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体現像剤を保持しながら周回する保持部材から被受渡部材に受け渡されずに前記保持部材に残留した液体現像剤を、前記保持部材から回収する回収機構と、
前記回収機構が回収した液体現像剤を受け取る受取部と、
前記受取部が受け取った液体現像剤に液体現像剤のトナー濃度を低下させる希釈剤を加える添加部材と、
液体現像剤が通過する多孔部と、
移動することで、前記受取部が受け取って前記添加部材によってトナー濃度が低下された状態の液体現像剤を前記多孔部へ搬送し、前記多孔部を通過させる搬送部材と、
を備える回収装置。
【請求項2】
前記多孔部は、液体現像剤が通過する網部材を有し、
前記搬送部材は、板部材を有し、
移動する前記板部材が、液体現像剤を前記網部材に擦りつけて前記網部材を通過させる請求項1に記載の回収装置。
【請求項3】
前記板部材が、一方向に移動することで、前記受取部が受け取った液体現像剤を前記多孔部へ搬送し、かつ、液体現像剤を前記網部材に擦りつけて前記網部材を通過させる請求項2に記載の回収装置。
【請求項4】
周回しながら静電潜像が形成される像保持体と、
周回しながら液体現像剤を前記像保持体に受け渡し、前記静電潜像をトナー画像として現像する現像部材と、
前記トナー画像を記録媒体に転写する転写部材と、
前記像保持体、前記現像部材のうち少なくとも何れか一から液体現像剤を回収する請求項1〜3の何れか1項に記載された回収装置と、
を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回収装置、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、現像部材から回収された液体トナーに含まれる凝集したトナーを、インペラ型羽根車を用いて撹拌することで分散する液体トナー調整装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−175210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現像部材、像保持体、及び中間保持部材から液体現像剤を回収すると、回収された液体現像剤には、トナー(トナー粒子)が凝集したトナー凝集塊が含まれている。これは、トナーが各工程で帯電されることで電荷を帯び、電荷を帯びたトナーが凝集してトナー凝集塊となるためである。このトナー凝集塊を分散させる方法として、トナー凝集塊が含まれる液体現像剤を多孔部に通過させることが考えられる。しかし、回収した液体現像剤をそのまま通過させてもトナー凝集塊が分散されない場合がある。
【0005】
本発明の課題は、回収した液体現像剤をそのまま多孔部に通過させる場合と比して、回収した液体現像剤に含まれるトナー凝集塊を効果的に分散させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様に係る回収装置は、液体現像剤を保持しながら周回する保持部材から被受渡部材に受け渡されずに前記保持部材に残留した液体現像剤を、前記保持部材から回収する回収機構と、前記回収機構が回収した液体現像剤を受け取る受取部と、前記受取部が受け取った液体現像剤に液体現像剤のトナー濃度を低下させる希釈剤を加える添加部材と、液体現像剤が通過する多孔部と、移動することで、前記受取部が受け取った液体現像剤を前記多孔部へ搬送し、前記多孔部を通過させる搬送部材と、を備えることを特徴とする。
【0007】
第2態様に係る回収装置は、第1態様に記載の回収装置において、前記多孔部は、液体現像剤が通過する網部材を有し、前記搬送部材は、板部材を有し、移動する前記板部材が、液体現像剤を前記網部材に擦りつけて前記網部材を通過させることを特徴とする。
【0008】
第3態様に係る回収装置は、第2態様に記載の回収装置において、前記板部材が、一方向に移動することで、前記受取部が受け取った液体現像剤を前記多孔部へ搬送し、かつ、液体現像剤を前記網部材に擦りつけて前記網部材を通過させることを特徴とする。
【0009】
第4態様に係る画像形成装置は、周回しながら静電潜像が形成される像保持体と、周回しながら液体現像剤を前記像保持体に受け渡し、前記静電潜像をトナー画像として現像する現像部材と、トナー画像を記録媒体に転写する転写部材と、前記像保持体、前記現像部材のうち少なくとも何れか一から液体現像剤を回収する第1〜3態様の何れか1態様に記載された回収装置と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
第1態様の回収装置によれば、回収した液体現像剤をそのまま多孔部に通過させる場合と比して、回収した液体現像剤に含まれるトナー凝集塊を効果的に分散させることができる。
【0011】
第2態様の回収装置によれば、回収した液体現像剤を網部材に擦りつけない場合と比して、回収された液体現像剤に含まれるトナー凝集塊を効果的に分散させることができる。
【0012】
第3態様の回収装置によれば、板部材が一方向に移動するだけで、板部材によって液体現像剤が多孔部へ搬送され、かつ、液体現像剤を網部材に擦りつけて通過させることができる。
【0013】
第4態様の画像形成装置によれば、第1〜3態様の何れか1態様に記載された回収装置を備えていない場合と比して、回収された多くの液体現像剤を再利用可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1実施形態に係る回収装置等を示した構成図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る回収装置に備えられた容器等を示した図面である。
図3】(A)(B)本発明の第1実施形態に係る回収装置を示した断面図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の現像装置等を示した構成図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の現像装置等を示した構成図である。
図6】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置を示した概略構成図である。
図7】本発明の第2実施形態に係る回収装置等を示した構成図である。
図8】本発明の第2実施形態に係る回収装置に備えられた容器等を示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る回収装置、及び画像形成装置の一例を図1図6に従って説明する。なお、図中に示す矢印Hは装置上下方向(鉛直方向)を示し、矢印Wは装置幅方向(水平方向)を示す。
【0016】
(全体構成)
画像形成装置10は、図6に示されるように、記録媒体としての連続紙Pを搬送する搬送部20と、トナー画像を形成する画像形成部26と、トナー画像を連続紙Pに定着する定着装置70とを備えている。
【0017】
(搬送部)
搬送部20は、連続紙Pを予め定められた搬送速度で図示の矢印A方向(搬送方向)に搬送する機能を有する。搬送部20は、連続紙Pが巻き掛けられると共に、装置幅方向に並んで配置される一対の搬送ロール20A、20Bを備えている。そして、搬送ロール20Aが、搬送ロール20Bに対して、連続紙Pの搬送方向(以下「媒体搬送方向」と記載する)の上流側(図中左側)に配置されている。
【0018】
この構成において、連続紙Pは、媒体搬送方向において搬送ロール20Aに対して上流側では、図中下方側から上方側へ搬送され、媒体搬送方向において搬送ロール20Bに対して下流側では、図中上方側から下方側へ搬送されるようになっている。
【0019】
(画像形成部)
画像形成部26は、黄色(Y)の画像を形成する画像形成部26Y、マゼンタ色(M)の画像を形成する画像形成部26M、シアン色(C)の画像を形成する画像形成部26C、及び黒色(K)の画像を形成する画像形成部26Kを備えている。そして、媒体搬送方向において上流側から、画像形成部26K、画像形成部26C、画像形成部26M、及び画像形成部26Yがこの順番で配置されている。また、画像形成部26K、画像形成部26C、画像形成部26M、及び画像形成部26Yは、筐体30の内部に配置されている。
【0020】
以後の説明では、特に区別する必要がない場合には、符号末尾の「Y」、「M」、「C」、「K」を省略する。
【0021】
画像形成部26は、図5に示されるように、液体現像剤Gを用いて、トナー画像を形成するための画像形成ユニット32と、画像形成ユニット32によって形成されたトナー画像を連続紙Pに転写するための転写ユニット34とを備えている。なお、本実施形態で用いられる液体現像剤Gは、粉体のトナーを不揮発性のオイルに分散させて得た液状タイプの液体現像剤Gである。
【0022】
〔画像形成ユニット〕
画像形成ユニット32は、トナー画像を保持する像保持体38と、像保持体38を帯電する帯電装置40と、像保持体38に露光光を照射して静電潜像を形成する露光装置42と、像保持体38の静電潜像をトナー画像として現像する現像装置44とを備えている。
【0023】
[像保持体]
像保持体38は、円筒状とされ、駆動手段(図示省略)によって軸周り(矢印R1方向)に回転(周回)駆動されるようになっている。像保持体38は、アルミ製の基材と、この基材上に、下引き層、電荷発生層及び電荷輸送層の順で形成された感光層(図示省略)と、を有している。
【0024】
さらに、像保持体38から後述する転写ロール34Aに転写されずに像保持体38に残留した液体現像剤Gを像保持体38から掻き取る掻取ブレード88と、掻き取られた液体現像剤Gを回収する回収部材90と、を備えた回収装置92が設けられている。
【0025】
また、トナー画像を転写ロール34Aに転写される前に、像保持体38の液体現像剤Gから液体現像剤Gに含まれるオイルを除去する除去部材86が設けられている。
【0026】
[帯電装置]
帯電装置40は、本実施形態では、スコロトロン型帯電装置とされ、像保持体38に対向するように配置されている。そして、帯電装置40は、像保持体38を帯電するようになっている。
【0027】
[露光装置]
露光装置42は、本実施形態では、LEDプリントヘッドとされ、像保持体38の回転方向において帯電装置40の下流側で、像保持体38に対向するように配置されている。そして、露光装置42は、帯電装置40によって帯電された像保持体38に露光光を照射し、像保持体38に静電潜像を形成するようになっている。
【0028】
[現像装置]
現像装置44は、像保持体38に形成された静電潜像に液体現像剤Gを受け渡す現像部50と、現像部50に液体現像剤Gを供給する供給部48とを備えている。
【0029】
〈現像部〉
現像部50は、円柱状とされ、駆動手段(図示省略)によって軸周り(矢印R2方向)に回転(周回)駆動される現像部材の一例としての現像ロール52と、現像ロール52に対向して配置される帯電部材54とを備えている。さらに、現像部50は、現像ロール52に残留した液体現像剤Gを回収する回収装置100を備えている。
【0030】
現像ロール52には、電源(図示省略)により現像電圧が印加されるようになっており、像保持体38との間(ニップ部N1)には、像保持体38に形成された静電潜像を現像するための電界が形成されるようになっている。さらに、後述する供給ロール62との間には、供給ロール62から現像ロール52に液体現像剤Gを供給するための電界が形成されるようになっている。
【0031】
帯電部材54は、本実施形態では、スコロトロン型帯電装置とされ、液体現像剤Gに含まれるトナーを帯電するために用いられる。帯電部材54は、現像ロール52の回転方向においてニップ部N1に対して上流側で、現像ロール52と対向するように配置されている。なお回収装置100については、詳細を後述する。
【0032】
この構成において、帯電部材54は、現像ロール52に供給された液体現像剤Gに含まれるトナーを帯電し、帯電したトナーを含む液体現像剤Gが、現像ロール52から像保持体38に形成された静電潜像に受け渡されるようになっている。これにより、現像部50は、像保持体38に形成された静電潜像をトナー画像として現像するようになっている。なお、液体現像剤Gを用いて静電潜像をトナー画像として現像する場合には、オイルも像保持体38に移行する。
【0033】
〈供給部〉
供給部48は、現像ロール52の下方側に配置され、液体現像剤Gを収容する現像剤槽60と、現像剤槽60から液体現像剤Gを汲み上げて現像ロール52に供給する供給ロール62とを備えている。また、供給部48は、供給ロール62に付着した液体現像剤Gの層膜を調整するブレード64と、供給ロール62に付着した液体現像剤Gに含まれるトナーを一例として正極性に帯電する帯電装置66とを備えている。
【0034】
この構成において、回転駆動する供給ロール62は、現像剤槽60に収容されている液体現像剤Gを汲み上げる。そして、ブレード64が液体現像剤Gの層膜を調整し、帯電装置66が、液体現像剤Gに含まれるトナーを帯電する。さらに、供給ロール62と現像ロール52との間に形成された電界により、供給ロール62によって汲み上げられた液体現像剤Gが現像ロール52に供給される。これにより、現像ロール52に液体現像剤Gの膜(層)が形成されるようになっている。
【0035】
〔転写ユニット〕
転写ユニット34は、像保持体38に対して対向して配置され、像保持体38が保持したトナー画像が転写される中間保持部材の一例としての転写ロール34Aを備えている。さらに、転写ユニット34は、連続紙Pを挟んで転写ロール34Aの反対側に配置される転写部材の一例としてのバックアップロール34Bを備えている。
【0036】
転写ロール34Aには、電源(図示省略)により一次転写電圧が印加されるようになっている。これにより、転写ロール34Aと像保持体38との間(ニップ部N2)には、像保持体38のトナー画像を転写ロール34Aに転写するための電界が形成されるようになっている。
【0037】
また、バックアップロール34Bには、電源(図示省略)により二次転写電圧が印加されるようになっている。これにより、バックアップロール34Bと転写ロール34Aとの間には、転写ロール34Aのトナー画像を連続紙Pに転写するための電界が形成されるようになっている。
【0038】
さらに、転写ロール34Aから連続紙Pに転写されずに転写ロール34Aに残留した液体現像剤Gを転写ロール34Aから掻き取る掻取ブレード94と、掻き取られた液体現像剤Gを回収する回収部材96と、を備えた回収装置98が設けられている。
【0039】
この構成において、像保持体38が保持したトナー画像は、転写ロール34Aに転写され、転写ロール34Aに転写されたトナー画像は、連続紙Pに転写される。なお、現像ロール52から像保持体38に移行したオイルも同様に、転写ロール34Aを介して連続紙Pに移行する。
【0040】
(定着装置)
定着装置70は、図6に示されるように、連続紙Pを加熱する加熱部72と、連続紙Pからオイルを除去するオイル除去部76と、トナー画像を連続紙Pに定着する定着部80とを備えている。
【0041】
この構成において、加熱部72によって、連続紙Pが加熱され、連続紙P上の液体現像剤Gに含まれるトナーとオイルが分離し、トナーの上層にオイルの層が形成される。さらに、オイル除去部76によって上層のオイルが除去され、定着部80によって、連続紙Pが加熱加圧され、トナー画像が連続紙Pに定着されるようになっている。
【0042】
(全体構成の作用)
各色の画像形成ユニット32の像保持体38が回転し、帯電装置40により像保持体38が帯電される(図5参照)。次に、画像信号処理部(図示省略)から受け取った画像データに応じて露光装置42が、帯電された像保持体38を露光し、像保持体38に、静電潜像(図示省略)を形成する。そして、この静電潜像は、現像装置44によってトナー画像として現像される。
【0043】
回転する像保持体38に形成されたトナー画像は、転写ロール34Aに一次転写される。転写ロール34Aに一次転写されたトナー画像は、搬送される連続紙Pに転写される。この際に、トナー画像と共にオイルが、連続紙Pへと移行する。この工程が、各色の画像形成部26で行われ、連続紙Pには、各色が重畳したトナー画像が形成される。
【0044】
さらに、搬送される連続紙Pのオイルは定着装置70で除去され、トナー画像が連続紙Pに定着される(図6参照)。
【0045】
(要部構成)
次に、回収装置100について説明する。
【0046】
回収装置100は、図4に示されるように、現像ロール52に残留した液体現像剤Gを掻き取る掻取部材の一例としての掻取ブレード102と、掻取ブレード102によって掻き取られた液体現像剤Gを回収する回収部材104とを備えている。以後の説明では、掻取ブレード102によって掻き取られた液体現像剤Gを余剰現像剤Eと称する。
【0047】
さらに、回収装置100は、余剰現像剤Eに含まれるトナー凝集塊を分散する分散装置130(図1参照)を備えている。なお、トナー凝集塊とは、トナーが帯電部材54、66等によって帯電されることで電荷を帯びる、電荷を帯びたトナーが凝集して形成されるトナーの塊である。
【0048】
〔掻取ブレード〕
掻取ブレード102は、装置奥行方向(紙面奥行方向)に延びる板状のゴムブレードであって、掻取ブレード102の先端部は、現像ロール52の回転方向において、ニップ部N1に対して下流側の部分の現像ロール52と接触している。さらに、装置奥行方向から見て、掻取ブレード102の先端側の部分が基端側の部分に比して上方側に位置するように、掻取ブレード102は傾斜している。
【0049】
ここで、掻取ブレード102によって現像ロール52から掻き取られた余剰現像剤Eのトナー濃度は、ほとんどの場合、現像ロール52へ供給される液体現像剤Gのトナー濃度と比して高くなる。
【0050】
以下、余剰現像剤Eのトナー濃度が、高くなる理由について説明する。
【0051】
像保持体38に形成された静電潜像がトナー画像として可視化される場合の現像ロール52から像保持体38へのトナー及びオイルの移動について考える。液体現像剤Gに含まれるトナーについては、静電潜像が形成されている部分のトナーだけが現像ロール52から像保持体38へ移動し、静電潜像が形成されていない部分のトナーは現像ロール52に残留する。一方、液体現像剤Gに含まれるオイルについては、像保持体38に対するオイルの表面張力及び現像ロール52に対するオイルの表面張力により、半分のオイルが像保持体38へ移動し、半分のオイルが現像ロール52に残留する。これにより、像保持体38と現像ロール52とには、同様の厚さのオイル層が形成される。
【0052】
ここで、出力画像の半分以上に同色の画像が形成されるのは、まれである。このため、現像ロール52に残留するトナーが、像保持体38に移動するトナーに比して多くなる。これにより、前述したように、余剰現像剤Eのトナー濃度は、現像ロール52へ供給される液体現像剤Gのトナー濃度と比して高くなる。また、余剰現像剤Eのトナー濃度が高くなることで、余剰現像剤Eの粘度も高くなる。
【0053】
〔回収部材〕
回収部材104は、図4に示されるように、装置奥行方向(紙面奥行方向)に延び、掻取ブレード102の下方側に配置されている。回収部材104は、上方側に開放された開口部104Aを有する箱状であって、掻取ブレード102によって掻き取られる余剰現像剤Eを、開口部104Aを通して回収するようになっている。
【0054】
さらに、回収部材104の底板104Bには、回収部材104が回収した余剰現像剤Eを分散装置130(図1参照)へ向けて輸送する輸送管106が接続されている。
【0055】
以上説明したように、液体現像剤Gを現像ロール52から回収する回収機構120は、掻取ブレード102と回収部材104とを含んで構成されている。
【0056】
〔分散装置〕
分散装置130は、図1に示されるように、余剰現像剤Eを受け取る受取部132及び余剰現像剤Eが通過する多孔部134が形成されている容器136と、容器136内の余剰現像剤Eを搬送する搬送部材140とを備えている。さらに、分散装置130は、受取部132が受け取った余剰現像剤Eに、余剰現像剤Eのトナー濃度を低下させるための希釈剤Lを加える添加部材の一例としての添加機構142を備えている。
【0057】
[容器]
容器136は、図1図2に示されるように、円状の底板136Aと、底板136Aの周縁から上方側に立ち上がる側板136Bとを含んで構成されている。そして、底板136Aが水平面に対して傾斜するように、容器136が配置されている。
【0058】
また、容器136において底板136Aの中心Cに対して下方側(図中右側)の部分が、受取部132とされ、中心Cに対して上方側(図中左側)の部分が、多孔部134とされている。さらに、受取部132は、輸送管106の排出部106Aの下方側に配置され、輸送管106から排出された余剰現像剤Eが受取部132に受け取られるようになっている。
【0059】
さらに、多孔部134は、余剰現像剤Eが通過する網部材144(メッシュ)を有している。具体的には、底板136Aにおいて、容器136の中心Cに対して上方側の部分を網状とすることで、網部材144が形成されている。
【0060】
[添加機構]
添加機構142は、図1に示されるように、分散媒体であるオイルが希釈剤Lとして貯められた貯留槽166と、貯留槽166に貯められた希釈剤Lを受取部132へ輸送するための輸送管168と、ポンプ170とを備えている。これにより、このポンプ170が稼働することで、希釈剤Lが、輸送管168を通って受取部132が受け取った余剰現像剤Eに加えられ、余剰現像剤Eのトナー濃度が低下するようになっている。
【0061】
[搬送部材]
搬送部材140は、容器136の中心Cから底板136Aの垂直方向に延びる回転軸材150と、回転軸材150を挟んで両側に配置される一対の板部材152と、回転軸材150に回転力を付与するモータ156とを備えている。
【0062】
回転軸材150は円柱状とされ、回転軸材150の外周面から断面L字状の一対の支持部材154(図3(A)(B)参照)が、径方向の外側に延びるように回転軸材150に取り付けられている。そして、一対の支持部材154は、回転軸材150を挟むように配置されている。
【0063】
図3(A)には、図2におけるS1−S1線断面図が示され、図3(B)には、図2におけるS2−S2線断面図が示されている。図3(A)(B)に示されるように、夫々の支持部材154に板部材152の上端側の部分が図示せぬ固定手段で固定され、夫々の支持部材154が、板部材152を支持している。
【0064】
夫々の板部材152は、弾性部材(例えばゴム材)を用いて形成され、外形が矩形状とされている。そして、板部材152の下端側の部分が、底板134Aに接触して押し付けられることで、板部材152は、回転軸材150の径方向から見て、湾曲状に反るように弾性変形している。
【0065】
この構成において、モータ156が回転軸材150に回転力を付与することで、一対の板部材152が、一方向に周回(移動)するようになっている(図2の矢印E参照)。そして、受取部132においては、周回する板部材152は、図2図3(A)に示されるように、受取部132が受け取り、希釈剤Lの添加によってトナー濃度が低下した余剰現像剤Eを多孔部134に向けて搬送するようになっている。一方、多孔部134においては、周回する板部材152は、図3(B)に示されるように、搬送する余剰現像剤Eを網部材144に擦りつけて通過させるようになっている。
【0066】
なお、多孔部134の下方側には、多孔部134を通過した余剰現像剤Eを集める漏斗部材158が配置されており、漏斗部材158によって集められた余剰現像剤Eは、図示せぬ濃度調整部へ輸送されるようになっている。
【0067】
(要部構成の作用)
次に、要部構成の作用について説明する。
【0068】
回転する供給ロール62は、現像剤槽60に収容されている液体現像剤Gを汲み上げる。そして、ブレード64が液体現像剤Gの層膜を調整し、帯電装置66が、液体現像剤Gに含まれるトナーを帯電する(図5参照)。そして、回転する供給ロール62から回転する現像ロール52に液体現像剤Gが供給される。さらに、帯電部材54は、現像ロール52に供給された液体現像剤Gに含まれるトナーを帯電し、帯電したトナーを含む液体現像剤Gの一部が、現像ロール52から像保持体38に形成された静電潜像に受け渡される。これより、静電潜像がトナー画像として現像(可視化)される。
【0069】
また、像保持体38に受け渡されずに現像ロール52に残留した液体現像剤Gは、図4に示されるように、掻取ブレード102によって掻き取られる。ここで、現像ロール52に残留した液体現像剤Gには、トナーが帯電部材54、66によって帯電されることで電荷を帯びて、トナーが凝集して形成されるトナー凝集塊が含まれている。
【0070】
そして、掻取ブレード102によって掻き取られた余剰現像剤Eは、掻取ブレード102の表面(図中の上方側を向いた面)を流れ、掻取ブレード102の基端側から落下して、開口部104Aから回収部材104に回収される。さらに、回収部材104が回収した余剰現像剤Eは、輸送管106によって分散装置130へ向けて輸送される。
【0071】
輸送管106によって輸送された余剰現像剤Eは、図1に示されるように、輸送管106の排出部106Aから受取部132に向けて排出され、受取部132が受け取る。
【0072】
一方、希釈剤Lが、輸送管168を通って受取部132が受け取った余剰現像剤Eに加えられる。これにより、余剰現像剤Eのトナー濃度が低下する。
【0073】
そして、受取部132においては、周回する板部材152が、図2図3(A)に示されるように、トナー濃度が低下した余剰現像剤Eを多孔部134に向けて搬送する。また、多孔部134においては、周回する板部材152が、図3(B)に示されるように、搬送する余剰現像剤Eを網部材144に擦りつけて通過させる。
【0074】
板部材152が余剰現像剤Eを網部材144に擦りつけて通過させることで、余剰現像剤Eに含まれるトナー凝集塊が分散される。
【0075】
トナー凝集塊が分散された余剰現像剤Eは、漏斗部材158によって集められ、図示せぬ濃度調整部へ輸送される。
【0076】
(まとめ)
このように、希釈剤Lを加えてトナー濃度が低下した余剰現像剤Eを多孔部134に通過させることで、回収した余剰現像剤Eをそのまま通過させる場合と比して、余剰現像剤Eに含まれるトナー凝集塊が効果的に分散する。
【0077】
また、板部材152が、余剰現像剤Eを網部材144に擦りつけて通過させることで、余剰現像剤Eを網部材144に擦りつけない場合と比して、トナー凝集塊が効果的に分散する。
【0078】
また、板部材152が、一方向に周回(移動)することで、受取部132が受け取った余剰現像剤Eを多孔部134へ搬送し、かつ、余剰現像剤Eを網部材144に擦りつけて通過させる。このように、板部材152が、一方向に周回するだけで、余剰現像剤Eを搬送して網部材144に通過させる。
【0079】
また、画像形成装置10においては、余剰現像剤Eに含まれるトナー凝集塊が分散することで、トナー凝集塊が分散していない場合と比して、多くの余剰現像剤Eが再利用可能となる。
【0080】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る回収装置、及び画像形成装置の一例を図7図8に従って説明する。なお、第1実施形態と同一部材等については、同一符号を付してその説明を省略し、第1実施形態と異なる部分を主に説明する。
【0081】
〔分散装置〕
第2実施形態に係る分散装置200は、図7に示されるように、余剰現像剤Eを受け取る受取部202及び余剰現像剤Eが通過する多孔部204が形成されている容器206と、容器206内の余剰現像剤Eを搬送する搬送部材240とを備えている。
【0082】
[容器]
容器206は、図7図8に示されるように、矩形状の底板206Aと、底板206Aの周縁から上方側に立ち上がる側板206Bとを含んで構成されている。そして、底板206Aが水平面に対して傾斜するように、容器206が配置されている。
【0083】
また、容器206において容器206の中心C(図中左右方向の中心)に対して下方側(図中右側)の部分が、受取部202とされ、中心Cに対して上方側(図中左側)の部分が、多孔部204とされている。そして、受取部202は、輸送管106の排出部106Aの下方側に配置され、受取部202が輸送管106から排出された余剰現像剤Eを受け取るようになっている。
【0084】
さらに、多孔部204は、余剰現像剤Eが通過する網部材214(メッシュ)を有している。具体的には、底板206Aにおいて、容器206の中心Cに対して上方側の部分を網状とすることで、網部材214が形成されている。
【0085】
[搬送部材]
搬送部材240は、板部材252と、容器206の上方側で装置奥行方向に離間する一対のガイドレール250と、ガイドレール250によって案内されると共に板部材252を支持する支持部材260とを備えている。さらに、搬送部材240は、支持部材260がガイドレール250に案内されるように支持部材260に移動力を付与する駆動部材262を備えている。
【0086】
一対のガイドレール250は、上方側から見て、受取部202と多孔部204とに跨るように配置され(図8参照)、側方側から見て、底板206Aと同様の角度で傾斜している(図7参照)。
【0087】
支持部材260は、板部材252の上端側の部分を支持すると共に、ガイドレール250に移動可能に支持されている。
【0088】
板部材252は、弾性部材(例えばゴム材)を用いて形成され、矩形状とされている。そして、板部材252の下端側の部分が、底板206Aに接触して押し付けられることで、板部材252は、側方側から見て、湾曲状に反るように弾性変形している。
【0089】
この構成において、板部材252が受取部202に位置する場合に、駆動部材262が支持部材260に一方向(図7の矢印D1方向)に移動する移動力を付与することで、板部材252が、一方向に移動するようになっている。そして、受取部202においては、移動する板部材252は、希釈剤Lの添加によってトナー濃度が低下した余剰現像剤Eを多孔部204に向けて搬送するようになっている。一方、多孔部204においては、移動する板部材252は、搬送する余剰現像剤Eを網部材214に擦りつけて通過させるようになっている。
【0090】
さらに、板部材252が余剰現像剤Eを網部材214に通過させた後は、駆動部材262が支持部材260に他方向(図7の矢印D2方向)に移動する移動力を付与することで、板部材252が、他方向に移動するようになっている。そして、板部材252が受取部202に戻り、この工程が繰り返されるようになっている。板部材252については、側方側から見て移動方向に凸となる湾曲するため、他方向に移動する場合は、一方向に移動する場合とは反対側に板部材252が湾曲するようになっている。
【0091】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は係る実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態をとることが可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記第1、第2記実施形態では、現像ロール52に残留した液体現像剤Gを回収するのに回収装置100を用いたが、像保持体38に残留した液体現像剤Gや転写ロール34Aに残留した液体現像剤Gを回収するのに回収装置100を用いてもよい。
【0092】
また、上記第1、第2記実施形態では、添加機構142が、受取部132が受け取る余剰現像剤Eに希釈剤Lを加えたが、受取部132が受け取る前の状態の余剰現像剤Eに希釈剤Lを加えてもよい。
【0093】
また、上記第1、第2記実施形態では、底板136A、206Aが水平面に対して傾斜するように、容器136、206が配置されたが、底板が水平面に沿っていてもよい。
【0094】
また、上記第1、2実施形態では、希釈剤Lとして分散媒体であるオイルが用いられたが、希釈剤Lとして液体現像剤Gに比してトナー濃度が低下した低濃度現像剤を用いてもよい。
【0095】
また、上記第1,2実施形態では、余剰現像剤Eを網部材144、214に通過させたが、孔が多数形成されている多孔部材に通過させてもよい。
【符号の説明】
【0096】
10 画像形成装置
34A 転写ロール(保持部材、中間保持部材の一例)
34B バックアップロール(転写部材の一例)
38 像保持体(保持部材の一例)
52 現像ロール(保持部材、現像部材の一例)
100 回収装置
102 掻取ブレード(掻取部材の一例)
120 回収機構
132 受取部
134 多孔部
140 搬送部材
142 添加機構(添加部材の一例)
144 網部材
152 板部材
202 受取部
204 多孔部
214 網部材
240 搬送部材
252 板部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8