(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記搬送向きにおいて、上記第2ローラ及び上記第3ローラの間の第1位置に設けられており、上記搬送向きと逆向きに搬送されるシートを、上記第1位置から上記記録部よりも上記搬送向きの上流側の第2位置へ延びる搬送路へ案内するガイド部材を更に備える請求項4から7のいずれかに記載の画像記録装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記記録装置における斜行補正は、逆転斜行補正に比べて斜行補正精度が劣る停止斜行補正である。上記記録装置において、逆転斜行補正を実行するためには、第1ローラを逆転させる必要がある。しかしながら、第1ローラが逆転されると、第2ローラが逆転してしまい、画像記録済みのシートが逆送されてしまう。
【0007】
シートの逆送を防止するために、第2ローラにワンウェイクラッチを搭載することが考えられる。しかしながら、第2ローラにワンウェイクラッチを搭載した場合、第2ローラは、シートを逆送させることができなくなる。第2ローラによるシートの逆送は、シートに対する両面印刷時等に実行されることがある。そのため、画像記録装置は、第2ローラによるシートの逆送の機能を有していることが望ましい。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、先行のシートを逆送させることなく、後続のシートの斜行補正を精度良く実行できる画像記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1) 本発明に係る画像記録装置は、正転及び逆転される搬送モータと、上記搬送モータが正転することで第1回転向きに回転してシートを搬送向きに搬送し、上記搬送モータが逆転することで上記第1回転向きと逆向きの第2回転向きに回転する第1ローラと、上記第1ローラよりも上記搬送向きの下流側に設けられており、シートに画像を記録する記録部と、上記記録部よりも上記搬送向きの下流側に設けられた第2ローラと、上記第1ローラの回転駆動力を上記第2ローラに伝達する第1駆動伝達部と、を備える。上記第1駆動伝達部は、上記第2ローラの支軸周りに回転可能に支持され、上記第1ローラの回転駆動力を伝達されて回転する回転体を備える。上記回転体は、上記第2ローラに対して周方向の遊びを有する。
【0010】
上記構成によれば、回転体と第2ローラとの間に設けられた周方向の遊びの分だけ、第2ローラの回転を停止しつつ、第1ローラを第2回転向きに回転させることができる。これにより、第2ローラによる先行のシートの逆送を防止しつつ、第2回転向きに回転している第1ローラに後続のシートを突き当てて、後続のシートの斜行補正を精度良く行うことができる。
【0011】
また、第1ローラを上記遊びの分以上に回転させることにより、第1ローラの回転駆動力を、第2ローラに伝達することができる。これにより、第1ローラの第1回転向きの回転に連動して、第2ローラを所定回転向きに回転させることができる。また、第1ローラの第2回転向きの回転に連動して、第2ローラを上記所定回転向きと逆向きに回転させることができる。
【0012】
(2) 上記第1駆動伝達部は、上記第1ローラと同軸に設けられ且つ上記第1ローラと一体に回転する第1プーリと、上記回転体である第2プーリと、上記第1プーリ及び上記第2プーリに巻架された第1ベルトと、を備える。
【0013】
上記構成によれば、第1ローラの回転駆動力を第2ローラに伝達する構成を、簡易に実現することができる。
【0014】
(3) 上記第1駆動伝達部は、上記第2ローラまたは上記回転体の一方に、上記周方向に沿って間隔を空けて設けられた第1面及び第2面と、上記第2ローラまたは上記回転体の他方に設けられ、上記周方向において上記第1面及び上記第2面の間に位置する凸部と、を備える。上記凸部の上記周方向の長さは、上記第1面及び上記第2面の間の上記周方向の長さよりも短い。上記第2ローラは、上記凸部または上記第1面の一方が他方を押すことによって上記第1回転向きに回転し、上記凸部または上記第2面の一方が他方を押すことによって上記第2回転向きに回転する。
【0015】
上記構成によれば、回転体(第2プーリ)と第2ローラとの間に周方向の遊びが設けられた構成を、簡易に実現することができる。
【0016】
また、上記構成によれば、第1面及び第2面と凸部との間の間隔の長さに基づいて、第2ローラと第2プーリとの相対的な位置関係を明確にすることができる。
【0017】
(4) 本発明に係る画像記録装置は、上記第2ローラよりも上記搬送向きの下流側に設けられた第3ローラと、上記第2ローラの回転駆動力を上記第3ローラに伝達する第2駆動伝達部とを更に備えていてもよい。
【0018】
(5) 上記第1駆動伝達部は、上記第1ローラと同軸に設けられ且つ上記第1ローラと一体に回転する第1プーリと、上記回転体である第2プーリと、上記第1プーリ及び上記第2プーリに巻架された第1ベルトと、上記第2プーリと隣接して上記第2ローラと同軸に設けられ且つ上記第2ローラと一体に回転する第3プーリと、を備える。上記第2駆動伝達部は、上記第3ローラと同軸に設けられ且つ上記第3ローラと一体に回転する第4プーリと、上記第3プーリ及び上記第4プーリに巻架された第2ベルトと、を備える。
【0019】
上記構成によれば、第2ローラの回転駆動力を第3ローラに伝達する構成を、簡易に実現することができる。
【0020】
(6) 上記第1駆動伝達部は、上記第2プーリまたは上記第3プーリの一方に、上記周方向に沿って間隔を空けて設けられた第1面及び第2面と、上記第2プーリまたは上記第3プーリの他方に設けられ、上記周方向において上記第1面及び上記第2面の間に位置する凸部と、を備える。上記凸部の上記周方向の長さは、上記第1面及び上記第2面の間の上記周方向の長さよりも短い。上記第3ローラは、上記凸部または上記第1面の一方が他方を押すことによって上記第3プーリが回転することにより上記第1回転向きに回転し、上記凸部または上記第2面の一方が他方を押すことによって上記第3プーリが回転することにより上記第2回転向きに回転する。
【0021】
上記構成によれば、回転体(第2プーリ)と第3プーリとの間に周方向の遊びが設けられた構成を、簡易に実現することができる。
【0022】
また、上記構成によれば、第1面及び第2面と凸部との間の間隔の長さに基づいて、第2プーリと第3プーリとの相対的な位置関係を明確にすることができる。
【0023】
(7) 本発明に係る画像記録装置は、上記搬送向きにおいて、上記第2ローラ及び上記第3ローラの間の第1位置に設けられており、上記搬送向きと逆向きに搬送されるシートを、上記第1位置から上記記録部よりも上記搬送向きの上流側の第2位置へ延びる搬送路へ案内するガイド部材を更に備える。
【0024】
上記構成によれば、搬送モータを逆転させることによって、第3ローラを、シートを搬送向きと逆向きに搬送させる向きに回転させることができる。つまり、第2ローラや第3ローラにワンウェイクラッチを搭載した場合に不可能となる搬送向きと逆向きへのシートの搬送が、上記構成では可能である。第3ローラによって搬送向きと逆向きに搬送されたシートは、ガイド部材によって搬送路へ導かれる。記録部は、搬送路を通過したシートに対して、搬送路を通過する前に画像記録した面の裏面に画像記録することができる。
【0025】
(8) 本発明に係る画像記録装置は、シートを支持するトレイと、上記トレイに支持されたシートを上記第1ローラへ向けて給送する給送ローラと、上記給送ローラに回転駆動力を付与する給送モータと、上記第1ローラよりも上記搬送向きの上流側に設けられており、搬送されるシートを検知するセンサと、上記給送モータ、上記搬送モータ、及び上記記録部を制御する制御部と、を更に備える。上記制御部は、上記給送モータを回転させて、上記トレイに支持されたシートを上記第1ローラまで給送する第1給送処理と、上記搬送モータを正転させて、上記第1給送処理によって上記第1ローラまで給送されたシートを上記搬送向きに搬送しつつ、上記記録部を制御して当該シートに画像を記録する記録処理と、画像を記録されたシートの上記搬送向きの上流端が上記第1ローラよりも上記搬送向きの下流側且つ上記第2ローラよりも上記搬送向きの上流側に位置する状態において、上記給送モータを回転させて、上記トレイに支持されたシートを上記第1ローラまで給送する第2給送処理と、上記第2給送処理において給送されるシートの上記搬送向きの下流端と、上記第1ローラにおける当該下流端の当接位置との上記搬送向きに沿った距離が上記遊び未満の第1距離であるタイミングで、上記搬送モータを逆転させて、上記回転体を当該第1距離より大きく且つ上記遊び未満の量だけ回転させる逆転処理とを実行する。
【0026】
制御部が上記のような処理を実行することにより、第2ローラによって搬送可能な状態にある先行のシートの逆送を防止しつつ、後続のシートを第2回転向きに回転している第1ローラに突き当てることによる精度の良い斜行補正を行うことができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、先行のシートを逆送させることなく、後続のシートの斜行補正を精度良く実行できる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、複合機10が使用可能に設置された状態(
図1の状態)を基準として上下方向7が定義され、開口13が設けられている側を手前側(正面)として前後方向8が定義され、複合機10を手前側(正面)から見て左右方向9が定義される。
【0030】
[複合機10の全体構成]
複合機10は、
図1に示されるように、概ね直方体に形成されている。複合機10は、下部にインクジェット記録方式で用紙12(
図2参照)に画像を記録するプリンタ部11を有している。本実施形態において、プリンタ部11は、用紙12の両面に画像を記録する機能を有している。また、複合機10は、ファクシミリ機能及びプリント機能などの各種の機能を有している。プリンタ部11は、
図2に示されるように、給送部15と、給送トレイ20(トレイの一例)と、排出トレイ21と、搬送ローラ部54と、記録部24と、排出ローラ部55と、プラテン42と、反転ローラ部56と、再搬送ローラ部57と、を備えている。複合機10は、画像記録装置の一例である。
【0031】
[給送トレイ20、排出トレイ21]
給送トレイ20は、
図1及び
図2に示されるように、プリンタ部11の正面に形成された開口13を通じて前後方向8に挿抜される。給送トレイ20は、積層された複数の用紙12を支持する。排出トレイ21は、給送トレイ20の上側に配置されている。排出トレイ21は、開口13を通じて排出ローラ部55によって排出された用紙12を支持する。
【0032】
[給送部15]
給送部15は、
図2に示されるように、給送ローラ25と、給送アーム26と、軸27とを備えている。給送ローラ25は、給送アーム26の先端側に回転可能に支持されている。給送ローラ25は、給送モータ101(
図8参照)から回転駆動力が伝達されることによって、給送トレイ20に支持された用紙12を第1搬送向き16A(搬送向きの一例)に搬送する向き(すなわち、正回転)に回転する。これにより、給送ローラ25は、用紙12を後述する第1搬送路65に設けられた搬送ローラ部54へ向けて給送する。給送アーム26は、プリンタ部11のフレームに支持された軸27に回動可能に支持されている。なお、給送ローラ25は、給送モータ101以外のモータ、例えば搬送モータ102(
図8参照)から回転駆動力を伝達されてもよい。
【0033】
[第1搬送路65、第2搬送路66]
プリンタ部11の内部には、
図2に示されるように、用紙12が通過する第1搬送路65及び第2搬送路66が形成されている。第1搬送路65は、プリンタ部11の内部において所定間隔を隔てて対向するガイド部材18、19によって画定される空間を指す。第1搬送路65内における用紙12の第1搬送向き16Aは、
図2に一点鎖線の矢印で示されている。
【0034】
本実施形態に係る第1搬送路65は、湾曲された湾曲搬送路と、直線的に延びる直線搬送路とで構成されている。湾曲搬送路は、プリンタ部11の後方側において下方から上方に延びつつUターンする経路である。直線搬送路は、搬送ローラ部54から記録部24を経て排出トレイ21に至る経路である。また、本実施形態に係る排出ローラ部55及び反転ローラ部56は、第1搬送路65の直線搬送路に配置されている。
【0035】
第2搬送路66(搬送路の一例)は、プリンタ部11の内部において所定間隔を隔てて対向するガイド部材29、30によって画定される空間を指す。第2搬送路66は、記録部24によって画像が記録された用紙12を、表裏を反転させて再び搬送ローラ部54に到達させるための経路である。本実施形態に係る第2搬送路66は、第1位置66Aにおいて第1搬送路65から分岐し、第2位置66Bにおいて第1搬送路65と合流する。なお、第1位置66Aは、第1搬送向き16Aにおいて、排出ローラ部55及び反転ローラ部56の間に位置する。第2位置66Bは、第1搬送向き16Aにおいて、後述するセンサ120より第1搬送向き16Aの上流側に位置する。なお、第2搬送路66内における用紙12の第2搬送向き16Bは、
図2に二点鎖線の矢印で示されている。
【0036】
[搬送ローラ部54]
搬送ローラ部54は、
図2に示されるように、第1搬送向き16Aにおけるセンサ120及び記録部24の間に配置されている。搬送ローラ部54は、互いに対向する搬送ローラ60(第1ローラの一例)及びピンチローラ61を備える。搬送ローラ60は、正転及び逆転される搬送モータ102(
図8参照)によって駆動される。ピンチローラ61は、搬送ローラ60の回転に伴って連れ回る。搬送ローラ60は、搬送モータ102の正転駆動力が伝達されることによって、ピンチローラ61との間に挟持した用紙12を第1搬送向き16Aに搬送する第1回転向きに回転する。また、搬送ローラ60は、搬送モータ102の逆転駆動力が伝達されることによって、第1回転向きと逆向きの第2回転向きに回転する。
【0037】
搬送ローラ60は、
図4に示されるように、その左右両端部を、左右方向9に間隔を空けて配置された一対のサイドガイド51、52によって回転可能に支持されている。
【0038】
[排出ローラ部55]
排出ローラ部55は、
図2に示されるように、第1搬送向き16Aにおける記録部24及び第1位置66Aの間に配置されている。排出ローラ部55は、互いに対向する排出ローラ62(第2ローラの一例)及び拍車63を備える。排出ローラ62は、搬送モータ102(
図8参照)によって駆動される。拍車63は、排出ローラ62の回転に伴って連れ回る。排出ローラ62は、搬送モータ102の正転駆動力が伝達されることによって、拍車63との間に挟持した用紙12を第1搬送向き16Aに搬送する第1回転向きに回転する。また、排出ローラ62は、搬送モータ102の逆転駆動力が伝達されることによって、第1回転向きと逆向きの第2回転向きに回転する。
【0039】
排出ローラ62は、
図4に示されるように、その左右両端部を、一対のサイドガイド51、52によって回転可能に支持されている。
【0040】
[反転ローラ部56]
反転ローラ部56は、
図2に示されるように、第1位置66Aより第1搬送向き16Aの下流側に配置されている。反転ローラ部56は、互いに対向する反転ローラ45(第3ローラの一例)及び拍車46を備える。反転ローラ45は、搬送モータ102(
図8参照)によって駆動される。拍車46は、反転ローラ45の回転に伴って連れ回る。反転ローラ45は、搬送モータ102の正転駆動力が伝達されることによって、拍車46との間に挟持した用紙12を第1搬送向き16Aに搬送する第1回転向きに回転する。また、反転ローラ45は、搬送モータ102の逆転駆動力が伝達されることによって、第1回転向きと逆向きであり、拍車46との間に挟持した用紙12を第2搬送向き16Bに搬送する第2回転向きに回転する。
【0041】
反転ローラ45は、
図4に示されるように、その左右両端部を、一対のサイドガイド51、52によって回転可能に支持されている。
【0042】
[再搬送ローラ部57]
再搬送ローラ部57は、
図2に示されるように、第1位置66A及び第2位置66Bの間の第2搬送路66に配置されている。再搬送ローラ部57は、互いに対向する再搬送ローラ68及び従動ローラ69を備える。再搬送ローラ68は、搬送モータ102(
図8参照)によって駆動される。従動ローラ69は、再搬送ローラ68の回転に伴って連れ回る。再搬送ローラ68は、搬送モータ102の正転駆動力または逆転駆動力の一方が伝達されることによって、従動ローラ69との間に挟持した用紙12を第2搬送向き16Bに搬送する向き(すなわち、正回転)に回転する。
【0043】
[記録部24]
記録部24は、
図2に示されるように、第1搬送向き16Aにおける搬送ローラ部54及び排出ローラ部55の間に配置されている。記録部24は、上下方向7においてプラテン42に対向するようにして配置されている。記録部24は、キャリッジ23と、記録ヘッド39とを備えている。また、キャリッジ23からは、
図3に示されるように、インクチューブ32及びフレキシブルフラットケーブル33が延出されている。インクチューブ32は、インクカートリッジのインクを記録ヘッド39に供給する。フレキシブルフラットケーブル33は、制御部130が実装された制御基板と記録ヘッド39とを電気的に接続する。
【0044】
キャリッジ23は、
図3に示されるように、前後方向8に離間する位置において各々が左右方向9に延設されたガイドレール43、44に支持されている。キャリッジ23は、ガイドレール44に設けられた公知のベルト機構に連結されている。ベルト機構は、キャリッジモータ103(
図8参照)によって駆動される。つまり、キャリッジモータ103の駆動により周運動するベルト機構に連結されたキャリッジ23は、左右方向9に沿う主走査方向へ往復移動することができる。
【0045】
記録ヘッド39は、
図2に示されるように、キャリッジ23に搭載されている。記録ヘッド39の下面には、複数のノズル40が形成されている。記録ヘッド39は、ノズル40からインクを微小なインク滴として吐出する。キャリッジ23が移動する過程において、プラテン42に支持されている用紙12に対して記録ヘッド39がインク滴を吐出する。これにより、用紙12に画像が記録される。
【0046】
[プラテン42]
プラテン42は、
図2に示されるように、第1搬送向き16Aにおける搬送ローラ部54及び排出ローラ部55の間に配置されている。プラテン42は、上下方向7において記録部24に対向するようにして配置されており、搬送ローラ部54によって搬送される用紙12を下側から支持する。
【0047】
[経路切替部材41]
プリンタ部11は、
図2に示されるように、第1搬送向き16Aにおける排出ローラ部55及び反転ローラ部56の間の第1位置66Aに、経路切替部材41(ガイド部材の一例)を備える。経路切替部材41は、フラップ49と、軸50とを備えている。フラップ49は、軸50から概ね第1搬送向き16Aに延出されており、且つ軸50に回動可能に軸支されている。フラップ49は、第1搬送路65を閉塞させる反転位置(
図2に実線で示される位置)と、第1搬送路65上の用紙12の通過を許容する排出位置(
図2に破線で示される位置)との間を、軸50を中心として回動する。
【0048】
通常状態におけるフラップ49は、自重によって反転位置となっている。そして、フラップ49は、第1搬送向き16Aに搬送される用紙12に持ち上げられることによって、軸50周りに反転位置から排出位置に回動する。以後、フラップ49は、第1搬送向き16Aに搬送される用紙12をガイドする。また、フラップ49は、第1搬送向き16Aに搬送される用紙12の後端(「第1搬送向き16の上流側の端部」を指す。)が第1位置66Aに到達したことに応じて、自重によって排出位置から反転位置に回動する。
【0049】
この状態において反転ローラ部56が正回転を継続すると、用紙12は、第1搬送向き16Aに搬送されて排出トレイ21に排出される。一方、反転ローラ部56の回転が正回転から逆回転に切り換えられると、用紙12は、第1搬送向き16Aの上流側の端部を先端として、第2搬送路66に沿って第2搬送向き16Bに搬送される。つまり、経路切替部材41は、第1搬送向き16Aと逆向きに搬送される用紙12を、第2搬送路66へ案内する。
【0050】
[センサ120]
プリンタ部11は、
図2に示されるように、搬送ローラ部54よりも第1搬送向き16Aの上流側に、公知のセンサ120を備える。センサ120は、当該センサ120の設置位置に用紙12が存在することを検知するためのセンサである。給送部15または再搬送ローラ部57によって搬送された用紙12は、センサ120の設置位置を通過して搬送ローラ部54に到達する。センサ120は、用紙12が設置位置に存在していることに応じて、検知信号の一例であるローレベル信号を後述する制御部130(
図8参照)に出力する。一方、センサ120は、用紙12が設置位置に存在していないことに応じて、検知信号の他の例であるハイレベル信号を制御部130に出力する。
【0051】
[ロータリエンコーダ121、122]
プリンタ部11は、
図2に示されるように、搬送ローラ60の回転(換言すれば、搬送モータ102の回転)に応じてパルス信号を発生させる公知のロータリエンコーダ121(
図8参照)を備える。ロータリエンコーダ121は、エンコーダディスクと、光学センサとを備える。エンコーダディスクは、搬送ローラ60の回転と共に回転する。光学センサは、回転するエンコーダディスクを読み取ってパルス信号を生成し、生成したパルス信号を制御部130に出力する。
【0052】
また、プリンタ部11は、給送ローラ25の回転(換言すれば、給送モータ101の回転)に応じてパルス信号を発生させる公知のロータリエンコーダ122(
図8参照)を備える。ロータリエンコーダ122は、ロータリエンコーダ121と同様に、エンコーダディスクと、光学センサとを備える。ロータリエンコーダ122のエンコーダディスクは、給送ローラ25の回転と共に回転する。ロータリエンコーダ122の光学センサは、給送ローラ25の回転に伴って回転するエンコーダディスクを読み取ってパルス信号を生成し、生成したパルス信号を制御部130に出力する。
【0053】
[第1駆動力伝達機構70]
第1駆動力伝達機構70は、
図8に示されるように、単一の搬送モータ102の駆動力を、搬送ローラ60、排出ローラ62、反転ローラ45、及び再搬送ローラ68に伝達する。第1駆動力伝達機構70は、ギヤ、プーリ、無端環状のベルト、及び遊星歯車機構(振子ギヤ機構)等の全部又は一部を組み合わせて構成される。なお、第1駆動力伝達機構70におけるギヤの個数等の具体的構成は、以下の例に限定されない。例えば、無端環状のベルトが2つのプーリに架け渡される後述する構成の代わりに、複数のギヤが互いに噛合されたギヤ列が採用されてもよい。
【0054】
まず、第1駆動力伝達機構70は、
図9に示されるように、搬送モータ102の軸と一体回転するプーリ71と、搬送ローラ60の軸60Aと一体回転するプーリ72と、プーリ71、72に架け渡された無端環状のベルト73とを備える。これにより、搬送ローラ60は、搬送モータ102の正転駆動力が伝達されて正回転し、搬送モータ102の逆転駆動力が伝達されて逆回転する。
【0055】
また、第1駆動力伝達機構70は、
図4〜
図6及び
図9に示されるように、搬送ローラ60の回転駆動力を排出ローラ62に伝達する第1駆動伝達部74と、排出ローラ62の回転駆動力を反転ローラ45に伝達する第2駆動伝達部85と、搬送モータ102の回転駆動力を搬送ローラ60の軸60Aを介して再搬送ローラ68に伝達する第3駆動伝達部140とを備える。
【0056】
[第1駆動伝達部74]
第1駆動伝達部74は、
図4及び
図5に示されるように、サイドガイド51の左方に配置されている。第1駆動伝達部74は、
図4〜
図6及び
図9に示されるように、互いに噛合するギヤ75、76と、プーリ77乃至79と、無端環状のベルト81とを備えている。
【0057】
ギヤ75は、ギヤ76と噛合し且つ搬送ローラ60の軸60A(第1ローラの支軸の一例)と一体回転する。ギヤ76及びプーリ77(第1プーリの一例)は、同軸で一体回転する。プーリ78(回転体及び第2プーリの一例)は、排出ローラ62の軸62A(第2ローラの支軸の一例)周りに回転可能に支持されている。つまり、プーリ78は、軸62Aに対して空転可能である。プーリ79(第3プーリの一例)は、排出ローラ62の軸62Aと一体回転する。つまり、プーリ79は、排出ローラ62と一体回転する。プーリ79は、左右方向9においてプーリ78に隣接して配置されている。本実施形態では、プーリ79は、プーリ78の左方に配置されている。ベルト81(第1ベルトの一例)は、プーリ77、78に巻架されている。
【0058】
図7に示されるように、プーリ78におけるプーリ79と対向する面193には、プーリ79に向けて突出する2つの凸部194、195が設けられている。凸部194、195の周方向104の長さは同一である。
【0059】
凸部194、195は、面193の周方向104に互いに間隔を空けて配置されている。詳細には、凸部194の側面194A(第1面の一例)と凸部195の側面195A(第2面の一例)との間に、周方向104に沿った間隔が形成されている。なお、凸部194における側面194Aの反対側の側面194B(第2面の一例)と、凸部195における側面195Aの反対側の側面195B(第1面の一例)との間の周方向104に沿った間隔も、側面194A、195A間の間隔と同じである。
【0060】
図7に示されるように、プーリ79におけるプーリ78と対向する面197には、プーリ78に向けて突出する2つの凸部198、199が設けられている。凸部198、199の周方向104の長さは同一である。
【0061】
凸部198、199は、面197の周方向104に互いに間隔を空けて配置されている。凸部198、199の周方向104に沿った長さは、側面194A、195A間の間隔(側面194B、195B間の間隔)よりも短い。
【0062】
プーリ78及びプーリ79は、プーリ78の面193とプーリ79の面197とが対向した状態で配置される。このとき、凸部198が、周方向104における凸部194の側面194Aと凸部195の側面195Aとの間に位置している。また、凸部199が、周方向104における凸部194の側面194Bと凸部195の側面195Bとの間に位置している。換言すると、凸部194が、周方向104における凸部198の側面198Aと凸部199の側面199Aとの間に位置している。また、凸部195が、周方向104における凸部198の側面198Bと凸部199の側面199Bとの間に位置している。
【0063】
上記構成の第1駆動伝達部74は、以下に詳述するようにして、搬送ローラ60の回転駆動力を排出ローラ62に伝達する。以下、
図6、
図7、及び
図9を参照しつつ説明する。
【0064】
搬送モータ102から正転駆動力を伝達された搬送ローラ60が第1回転向きに回転すると、第1回転向きの回転駆動力は、ギヤ75、76、プーリ77、及びベルト81を介して、プーリ78に伝達される。これにより、プーリ78は、第1回転向きに回転する。この際、凸部194の側面194Aとプーリ79の凸部198とが当接していると(
図6(B)の状態)、側面194Aが凸部198を押すことによって、プーリ79は第1回転向きに回転する。つまり、プーリ78、79は、一体に回転する。なお、側面194Aが凸部198を押す代わりに或いは側面194Aが凸部198を押すとともに、側面195Bが凸部199を押してもよい。
【0065】
一方、凸部194の側面194Aとプーリ79の凸部198との間に間隔があると、プーリ78は、側面194Aが凸部198と当接するまでプーリ79に対して空転する。そして、プーリ78は、側面194Aが凸部198と当接して以降、側面194Aが凸部198を押すことによって、プーリ79と一体に第1回転向きに回転する。プーリ79が第1回転向きに回転すると、排出ローラ62も第1回転向きに回転する。
【0066】
搬送モータ102から逆転駆動力を伝達された搬送ローラ60が第2回転向きに回転すると、第2回転向きの回転駆動力は、ギヤ75、76、プーリ77、及びベルト81を介して、プーリ78に伝達される。これにより、プーリ78は、第2回転向きに回転する。この際、凸部194の側面194Bとプーリ79の凸部199とが当接していると(
図6(A)の状態)、側面194Bが凸部199を押すことによって、プーリ79は第2回転向きに回転する。つまり、プーリ78、79は、一体に回転する。なお、側面194Bが凸部199を押す代わりに或いは側面194Bが凸部199を押すとともに、側面195Aが凸部198を押してもよい。
【0067】
一方、凸部194の側面194Bとプーリ79の凸部199との間に間隔があると、プーリ78は、側面194Bが凸部199と当接するまでプーリ79に対して空転する。そして、プーリ78は、側面194Bが凸部199と当接して以降、側面194Bが凸部199を押すことによって、プーリ79と一体に第2回転向きに回転する。プーリ79が第2回転向きに回転すると、排出ローラ62も第2回転向きに回転する。
【0068】
以上のように、プーリ78は、プーリ79及び排出ローラ62に対して所定量(周方向104における凸部194、195及び凸部198、199間の間隔の量)を空転してから、プーリ79及び排出ローラ62と一体回転する。つまり、プーリ78は、プーリ79及び排出ローラ62に対して周方向104の上記所定量の遊びを有している。
【0069】
なお、凸部194、195の周方向104に沿った長さは、同一でなくてもよい。側面194A、195A間の周方向104に沿った距離と、側面194B、195B間の周方向104に沿った距離とは、同一でなくてもよい。凸部198、199の周方向104に沿った長さは、同一でなくてもよい。側面198A、199A間の周方向104に沿った距離と、側面198B、199B間の周方向104に沿った距離とは、同一でなくてもよい。
【0070】
また、本実施形態では、プーリ78、79は、それぞれ2つの凸部を備えていたが、凸部の数は2つに限らない。例えば、プーリ78は1つの凸部194のみを備え、凸部194がプーリ79の2つの凸部198、199の間に位置していてもよい。
【0071】
また、本実施形態では、プーリ78、79は、それぞれ2つの凸部を備えており、プーリ78またはプーリ79の一方の凸部が他方の2つの凸部の間に位置していた。しかし、プーリ78またはプーリ79の一方に設けられた凸部が、プーリ78またはプーリ79の他方に周方向104に間隔を空けて設けられた2つの面の間に位置する構成であれば、本実施形態の構成に限らない。
【0072】
例えば、プーリ78は1つの凸部194のみを備え、プーリ79には、凸部198、199の代わりに凹部が形成されていてもよい。この場合、凹部の周方向104の一端の面(第1面の一例)と他端の面(第2面の一例)との間の周方向104の長さは、凸部194の周方向104の長さよりも長い。そして、凸部194が凹部に挿入されている。
【0073】
[第2駆動伝達部85]
第2駆動伝達部85は、
図4及び
図5に示されるように、サイドガイド51の左方に配置されている。第2駆動伝達部85は、
図4、
図5、及び
図9に示されるように、プーリ80(第4プーリの一例)と、無端環状のベルト82(第2ベルトの一例)とを備えている。
【0074】
プーリ80は、反転ローラ45の軸45Aと一体回転する。つまり、プーリ80は、反転ローラ45と同軸に設けられ且つ反転ローラ45と一体に回転する。ベルト82は、プーリ79、80に巻架されている。
【0075】
上記構成の第2駆動伝達部85は、以下に詳述するようにして、排出ローラ62の回転駆動力を反転ローラ45に伝達する。以下、
図9を参照しつつ説明する。
【0076】
排出ローラ62が第1回転向きに回転すると、排出ローラ62と一体に回転しているプーリ79の回転駆動力が、ベルト82を介してプーリ80に伝達される。これにより、プーリ80は、第1回転向きに回転する。その結果、反転ローラ45は、プーリ80と一体に第1回転向きに回転する。排出ローラ62の第2回転向きの回転駆動力は、第1回転向きの回転駆動力と同様にしてベルト82を介してプーリ80及び反転ローラ45に伝達される。
【0077】
よって、反転ローラ45は、プーリ78の側面194Aがプーリ79の凸部198を押すことによってプーリ79が第1回転向きに回転することにより第1回転向きに回転する。また、反転ローラ45は、プーリ78の側面194Bがプーリ79の凸部199を押すことによってプーリ79が第2回転向きに回転することにより第2回転向きに回転する。
【0078】
[第3駆動伝達部140]
第3駆動伝達部140は、
図9に示されるように、ギヤ列170と、太陽ギヤ141と、振子ギヤ142、143と、アーム144、145と、ギヤ列146と、ギヤ147、148とで構成されている。
【0079】
ギヤ列170は、隣接するギヤ同士が互いに噛合する複数のギヤ170A乃至170Cを備える。ギヤ170Aは、搬送ローラ60の軸60Aと一体回転する。
【0080】
太陽ギヤ141は、ギヤ170Cと噛合する。振子ギヤ142は、太陽ギヤ141と噛合し且つギヤ146Aに接離する。振子ギヤ143は、太陽ギヤ141と噛合し且つギヤ146Bに接離する。アーム144は、一端が太陽ギヤ141に回動可能に支持され、他端で振子ギヤ142を自転及び公転可能に支持している。アーム145は、一端が太陽ギヤ141に回動可能に支持され、他端で振子ギヤ143を自転及び公転可能に支持している。ギヤ列146は、隣接するギヤ同士が互いに噛合する複数のギヤ146A乃至146Fを備える。ギヤ147は、ギヤ146Fと同軸で一体回転する。ギヤ148は、ギヤ147と噛合し、再搬送ローラ68の軸と同軸で一体回転する。
【0081】
図9(A)に示されるように、搬送モータ102の正転駆動力が太陽ギヤ141に伝達されることによって、振子ギヤ142がギヤ146Aから離間し、振子ギヤ143がギヤ146Bと噛合する。すなわち、搬送モータ102の正転駆動力は、ギヤ146B〜146Fを通じて再搬送ローラ68に伝達される。一方、
図9(B)に示されるように、搬送モータ102の逆転駆動力が太陽ギヤ141に伝達されることによって、振子ギヤ142がギヤ146Aと噛合し、振子ギヤ143がギヤ146Bから離間する。すなわち、搬送モータ102の逆転駆動力は、ギヤ146A〜146Fを通じて再搬送ローラ68に伝達される。その結果、第3伝達部140は、搬送モータ102の正転駆動力及び逆転駆動力によって、再搬送ローラ68を正回転させる。つまり、再搬送ローラ68は、搬送モータ102の回転向きに関わらず、正回転する。
【0082】
[第2駆動力伝達機構110]
第2駆動力伝達機構110は、
図10に示されるように、給送モータ101の駆動力を給送ローラ25に伝達する。第2駆動力伝達機構110は、ギヤ89乃至91と、プーリ92乃至95と、無端環状のベルト96、97と、太陽ギヤ98と、振子ギヤ99と、アーム100とで構成されている。なお、第2駆動力伝達機構110におけるギヤの個数等の具体的構成は、以下の例に限定されない。例えば、無端環状のベルトがプーリに巻架される後述する構成の代わりに、複数のギヤが互いに噛合されたギヤ列が採用されてもよい。
【0083】
プーリ92は、給送モータ101の軸と一体回転する。ベルト96は、プーリ92、93に巻架されている。ギヤ89及びプーリ93は、同軸で一体回転する。太陽ギヤ98は、ギヤ89と噛合している。振子ギヤ99は、太陽ギヤ98と噛合し且つギヤ90に接離する。アーム100は、一端が太陽ギヤ98に回動可能に支持され、他端で振子ギヤ99を自転及び公転可能に支持している。ギヤ90は、ギヤ91と噛合する。ギヤ91及びプーリ94は、同軸で一体回転する。プーリ95は、給送ローラ25と同軸で一体回転する。ベルト97は、プーリ94、95に巻架されている。
【0084】
振子ギヤ99は、太陽ギヤ98が回転することによって、自転しながら太陽ギヤ98の周りを公転する。そして、振子ギヤ99は、
図10(A)に示されるように、搬送モータ102の逆転駆動力が太陽ギヤ98に伝達されることによって、ギヤ90から離間する。一方、振子ギヤ99は、
図10(B)に示されるように、搬送モータ102の正転駆動力が太陽ギヤ98に伝達されることによって、ギヤ90と噛合する。その結果、第2駆動力伝達機構110は、給送モータ101の逆転駆動力を給送ローラ25に伝達しない。一方、第2駆動力伝達機構110は、給送モータ101の正転駆動力によって給送ローラ25を正回転させる。
【0085】
[制御部130]
制御部130は、
図8に示されるように、CPU131、ROM132、RAM133、EEPROM134、及びASIC135を備えており、これらは内部バス137によって接続されている。ROM132には、CPU131が各種動作を制御するためのプログラムなどが格納されている。RAM133は、CPU131が上記プログラムを実行する際に用いるデータや信号等を一時的に記録する記憶領域、或いはデータ処理の作業領域として使用される。EEPROM134には、電源オフ後も保持すべき設定やフラグ等が格納される。
【0086】
ASIC135には、給送モータ101、搬送モータ102、及びキャリッジモータ103が接続されている。ASIC135は、各モータを回転させるための駆動信号を生成し、この駆動信号を元に各モータを制御する。各モータは、ASIC135からの駆動信号によって正転又は逆転する。例えば、制御部130は、給送モータ101の駆動を制御して給送ローラ25を駆動させる。また、搬送モータ102の駆動を制御して搬送ローラ60、排出ローラ62、反転ローラ45、及び再搬送ローラ68を駆動させる。また、制御部130は、キャリッジモータ103の駆動を制御してキャリッジ23を往復移動させる。また、制御部130は、記録ヘッド39を制御してノズル40からインクを吐出させる。
【0087】
また、ASIC135には、センサ120と、ロータリエンコーダ121、122とが接続されている。制御部130は、センサ120から出力される検知信号に基づいて、センサ120の配置位置に用紙12が存在することを検知する。また、制御部130は、センサ120から出力される検知信号と、ロータリエンコーダ121、122の少なくとも一方から出力されるパルス信号とに基づいて、用紙12の位置を検知する。
【0088】
[画像記録処理]
図11及び
図12を参照して、本実施形態における画像記録処理を説明する。画像記録処理は、用紙12の表面及び裏面の双方または表面のみに画像を記録する処理である。画像記録処理は、制御部130のCPU131によって実行される。なお、以下の各処理は、ROM132に記憶されているプログラムをCPU131が読み出して実行してもよいし、制御部130に搭載されたハードウェア回路によって実現されてもよい。
【0089】
制御部130は、ユーザから記録指示を取得したことに応じて、画像記録処理を実行する。記録指示の取得先は特に限定されないが、例えば、複合機10に設けられた操作部を通じて取得してもよいし、外部機器から通信ネットワークを通じて取得してもよい。制御部130は、取得した記録指示に従って各ローラ、キャリッジ23、及び記録ヘッド39の動作を制御することによって、用紙12に画像を記録する。
【0090】
以下、先に画像が記録される用紙12を「先行用紙12A」と記し、先行用紙12Aの次に画像が記録される用紙12を「後続用紙12B」と記す。
【0091】
最初に、
図11を参照して、用紙12の表面及び裏面の双方に画像を記録する処理が説明される。
【0092】
まず、制御部130は、先行用紙12Aに対する表面給紙処理を実行する(S11)。表面給紙処理は、給送トレイ20に支持された先行用紙12Aの先端(「搬送向き16Aの下流側の端部」を指す。)を搬送ローラ部54に到達させる処理である。具体的には、制御部130は、給送モータ101を正転駆動させることによって、給送ローラ25を正回転させる。
【0093】
次に、制御部130は、先行用紙12Aに対する表面記録処理を実行する(S12)。表面記録処理は、先行用紙12Aの表面に画像を記録する処理である。より詳細には、制御部130は、搬送処理と吐出処理とを交互に繰り返し実行する。搬送処理は、搬送ローラ部54に到達された先行用紙12Aを搬送向き16Aの所定の改行幅だけ搬送ローラ部54、排出ローラ部55、及び反転ローラ部56の少なくとも1つに搬送させる処理である。吐出処理は、所定の改行幅だけ搬送された先行用紙12Aに対して記録ヘッド39にインクを吐出させる処理である。
【0094】
具体的には、制御部130は、搬送処理において、搬送モータ102を正転駆動させることによって、各ローラ部54乃至56を正回転させる。また、制御部130は、吐出処理において、キャリッジモータ103を駆動させることによってキャリッジ23を左右方向9に移動させ、且つ所定のタイミングで記録ヘッド39にインクを吐出させる。
【0095】
次に、制御部130は、先行用紙12Aに対する表面排紙処理を実行する(S13)。表面排紙処理は、各ローラ部54乃至56の少なくとも1つに、表面に画像が記録された先行用紙12Aの後端(「搬送向き16Aの上流側の端部」を指す。)が第1位置66Aに到達する位置まで当該先行用紙12Aを第1搬送向き16Aに搬送させる処理である。具体的には、制御部130は、搬送モータ102を正転駆動させることによって、各ローラ部54乃至56を正回転させる。
【0096】
次に、制御部130は、裏面給紙処理を実行する(S14)。裏面給紙処理は、表面に画像が記録された先行用紙12Aの表裏を反転させて、再び搬送ローラ部54に到達させる処理である。具体的には、制御部130は、搬送モータ102を逆転させることによって、反転ローラ部56を逆回転させ且つ再搬送ローラ部57を正回転させる。これにより、先行用紙12Aは、搬送向き16Aの上流側の端部を先端として第1位置66Aから第2搬送路66に進入し、第2位置66Bを通じて搬送ローラ部54に到達する。
【0097】
次に、制御部130は、先行用紙12Aに対する裏面記録処理を実行する(S15)。裏面記録処理は、先行用紙12Aの裏面に画像を記録する処理である。裏面記録処理の詳細は表面記録処理と共通するので、再度の説明は省略する。
【0098】
次に、制御部130は、裏面排紙処理を実行する(S16)。裏面排紙処理は、先行用紙12Aが反転ローラ部56を通過するまで(すなわち、先行用紙12Aが排出トレイ21に排出されるまで)、排出ローラ部55及び反転ローラ部56に先行用紙12Aを第1搬送向き16Aに搬送させる処理である。具体的には、制御部130は、搬送モータ102を正転駆動させることによって、各ローラ部54乃至56を正回転させる。
【0099】
次に、制御部130は、記録指示で指示された全ての用紙12に画像を記録したか否かを判断する(S17)。全ての用紙12に対する画像記録が終了している場合(S17:No)、画像記録処理は終了する。一方、画像記録されていない用紙12がある場合(S17:Yes)、後続用紙12Bに対してステップS11〜S16の処理が実行される。
【0100】
次に、
図12を参照して、用紙12の表面のみに画像を記録する処理が説明される。なお、以下の説明では、
図10と異なる処理が詳細に説明される一方、
図10と共通の処理についての説明は省略または簡略化される。
【0101】
まず、制御部130は、先行用紙12Aに対する表面給紙処理(S11)及び表面記録処理(S12)を実行する。表面給紙処理は、第1給送処理の一例である。表面記録処理は、記録処理の一例である。なお、制御部130は、表面記録処理の終了時点において先行用紙12Aの後端が搬送向き16Aにおいて搬送ローラ部54及び排出ローラ部55の間に位置するように、表面記録処理において搬送処理を実行する。
【0102】
次に、制御部130は、記録指示で指示された全ての用紙12に画像を記録したか否かを判断する(S17)。全ての用紙12に対する画像記録が終了している場合(S17:No)、画像記録処理は終了する。
【0103】
一方、画像記録されていない用紙12がある場合(S17:Yes)、制御部130は、第2表面給紙処理を実行する(S21)。第2表面給紙処理は、給送トレイ20に支持された後続用紙12Bの先端を搬送ローラ部54に到達させる処理である。具体的には、制御部130は、給送モータ101を正転駆動させることによって、給送ローラ25を正回転させる。第2表面給紙処理は、第2給送処理の一例である。
【0104】
制御部130は、第2表面給紙処理の実行中の所定タイミングで、逆転処理を実行する(S21)。
【0105】
ここで、所定タイミングは、後続用紙12Bの先端と搬送ローラ60における当該先端の当接位置との搬送向き16Aに沿った距離(以下、第1距離と記す。)が上述した遊び(周方向104における凸部194、195及び凸部198、199間の間隔の量)未満となるタイミングである。
【0106】
また、逆転処理は、搬送モータ102を逆転駆動させて、プーリ78を第2回転向きに回転させる処理である。この際、プーリ78は、第1距離より大きく且つ上述した遊び未満の量だけ回転される。
【0107】
逆転処理が実行されるまで、搬送モータ102は、表面記録処理の搬送処理によって正転駆動されていた。これにより、逆転処理の開始時に、プーリ78の凸部194の側面194Aとプーリ79の凸部198とは当接している。この状態で、プーリ78が第2回転向きに遊び未満の量だけ回転された場合、プーリ78はプーリ79に対して空転する。よって、搬送モータ102の逆転駆動力は、排出ローラ62及び反転ローラ45に伝達されない。したがって、逆転処理において、搬送ローラ60が第2回転向きに回転する一方で、排出ローラ62及び反転ローラ45は回転しない。その結果、逆転処理において、先行用紙12Aが搬送されることはない。
【0108】
また、プーリ78は、第1距離よりも大きい量だけ第2回転向きに回転される。ここで、本実施形態では、プーリ78と搬送ローラ60との回転量は、同じとなるように構成されている。具体的には、搬送ローラ60とプーリ78との駆動伝達経路の間に配置されたギヤ75、76のギヤ比が1:1に設定されている。これにより、搬送ローラ60も、第1距離よりも大きい量だけ第2回転向きに回転される。そのため、搬送ローラ60の第2回転向きの回転は、後続用紙12Bの先端が搬送ローラ60に当接した後も継続される。これにより、後続用紙12Bは、第2回転向きに回転される搬送ローラ60によって斜行矯正される。
【0109】
次に、制御部130は、後続用紙12Bに対する表面記録処理を実行する(S22)。ステップS22の処理内容は、ステップS12の処理内容と同じである。これにより、後続用紙12Bに画像が記録される。一方、先行用紙12Aは、表面記録処理における搬送処理によって第1搬送向き16Aに搬送されて排出トレイ21に排出される。
【0110】
その後、全ての用紙12に対する画像記録が終了するまで(S17:No)、後続用紙12Bの次以降の用紙12に対して、ステップS21、S22の処理が実行される。
【0111】
なお、逆転処理は、第2表面給紙処理(S21)時のみならず、
図12の表面給紙処理(S11)時においても実行されてもよい。また、逆転処理は、用紙12の表面及び裏面の双方に画像を記録する処理に際して実行されてもよい。具体的には、逆転処理は、
図11における表面給紙処理(S11)や、裏面給紙処理(S14)時において実行されてもよい。
【0112】
[本実施形態の作用効果]
上記の実施形態によれば、プーリ78と排出ローラ62との間に設けられた周方向104の遊びの分だけ、排出ローラ62の回転を停止しつつ、搬送ローラ60を第2回転向きに回転させることができる。これにより、排出ローラ62による先行の用紙12の逆送を防止しつつ、第2回転向きに回転している搬送ローラ60に後続の用紙12を突き当てて、後続の用紙12の斜行補正を精度良く行うことができる。
【0113】
また、搬送ローラ60を上記遊びの分以上に回転させることにより、搬送ローラ60の回転駆動力を、排出ローラ62に伝達することができる。これにより、搬送ローラ60の第1回転向きの回転に連動して、排出ローラ62を所定回転向きに回転させることができる。また、搬送ローラ60の第2回転向きの回転に連動して、排出ローラ62を上記所定回転向きと逆向きに回転させることができる。
【0114】
また、上記の実施形態によれば、第1駆動伝達部74及び第2駆動伝達部85がプーリとベルトとを備えた構成であることにより、搬送ローラ60の回転駆動力を排出ローラ62に伝達し、排出ローラ62の回転駆動力を反転ローラ45に伝達する構成を、簡易に実現することができる。
【0115】
また、上記の実施形態によれば、プーリ78、79が互いに当接する凸部を備えることにより、プーリ78、79間に周方向104の遊びが設けられた構成を、簡易に実現することができる。
【0116】
また、上記の実施形態によれば、凸部194、195と凸部198、199との間の間隔の長さに基づいて、プーリ78、79間の相対的な位置関係を明確にすることができる。
【0117】
また、上記の実施形態によれば、搬送モータ102を逆転させることによって、反転ローラ45を、用紙12を第1搬送向き16Aと逆向きに搬送させる向きに回転させることができる。つまり、排出ローラ62や反転ローラ45にワンウェイクラッチを搭載した場合に不可能となる第1搬送向き16Aと逆向きへの用紙12の搬送が、上記の実施形態では可能である。反転ローラ45によって第1搬送向き16Aと逆向きに搬送された用紙12は、経路切替部材41によって第2搬送路66へ導かれる。記録部24は、第2搬送路66を通過した用紙12に対して、第2搬送路66を通過する前に画像記録した面の裏面に画像記録することができる。
【0118】
また、上記の実施形態によれば、制御部130が
図12に示されたような処理を実行することにより、排出ローラ62によって搬送可能な状態にある先行の用紙12の逆送を防止しつつ、後続の用紙12を第2回転向きに回転している搬送ローラ60に突き当てることによる精度の良い斜行補正を行うことができる。
【0119】
[変形例]
上記の実施形態では、プリンタ部11は、用紙12の両面に画像を記録する機能を有していたが、プリンタ部11、用紙12の片面のみに画像を記録するものであってもよい。
【0120】
この場合、
図13に示されるように、プリンタ部11は、用紙12の両面に画像を記録するための構成要素を有さない。具体的には、プリンタ部11は、反転ローラ部56、再搬送ローラ部57、経路切替部材41、ガイド部材29、30、及び第2駆動伝達部85を有さない。また、第1駆動伝達部74は、プーリ79を有さない。
【0121】
また、この場合、上記の実施形態においてプーリ79に設けられていた凸部198、199は、排出ローラ62に設けられている。具体的には、凸部198、199は、排出ローラ62におけるプーリ78と対向する面に、プーリ78に向けて突出して設けられている。そして、上記の実施形態と同様に、凸部198が、周方向104における凸部194の側面194Aと凸部195の側面195Aとの間に位置している。また、凸部199が、周方向104における凸部194の側面194Bと凸部195の側面195Bとの間に位置している。これにより、プーリ78は、排出ローラ62に対して周方向104の上記所定量の遊びを有している。