(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6421951
(24)【登録日】2018年10月26日
(45)【発行日】2018年11月14日
(54)【発明の名称】発光ダイオードの色変換用基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/50 20100101AFI20181105BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20181105BHJP
C03C 27/06 20060101ALI20181105BHJP
【FI】
H01L33/50
G02B5/20
C03C27/06 101A
C03C27/06 101F
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-560678(P2016-560678)
(86)(22)【出願日】2015年3月24日
(65)【公表番号】特表2017-513230(P2017-513230A)
(43)【公表日】2017年5月25日
(86)【国際出願番号】KR2015002853
(87)【国際公開番号】WO2015152555
(87)【国際公開日】20151008
【審査請求日】2017年3月28日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0040300
(32)【優先日】2014年4月4日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】502411241
【氏名又は名称】コーニング精密素材株式会社
【氏名又は名称原語表記】Corning Precision Materials Co., Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100070024
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 宣行
(74)【代理人】
【識別番号】100159042
【弁理士】
【氏名又は名称】辻 徹二
(72)【発明者】
【氏名】イ、 ギ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム、 ジ マン
(72)【発明者】
【氏名】ムン、 ヒョン ス
(72)【発明者】
【氏名】オ、 ユン ソク
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、 チュン ボン
【審査官】
大和田 有軌
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−115351(JP,A)
【文献】
特開2012−124123(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/055888(WO,A1)
【文献】
特表2012−514071(JP,A)
【文献】
特開2012−163936(JP,A)
【文献】
特表2013−509714(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/132232(WO,A1)
【文献】
国際公開第2012/117978(WO,A1)
【文献】
特表2010−528118(JP,A)
【文献】
特表2008−516409(JP,A)
【文献】
特開2007−317787(JP,A)
【文献】
特開2007−200836(JP,A)
【文献】
特開2005−213125(JP,A)
【文献】
特開2001−307633(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/024068(WO,A2)
【文献】
韓国公開特許第10−2013−0121609(KR,A)
【文献】
韓国公開特許第10−2013−0110946(KR,A)
【文献】
国際公開第2013/130374(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0223068(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0111953(US,A1)
【文献】
韓国公開特許第10−2013−0009022(KR,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0103648(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0173167(US,A1)
【文献】
特開2015−023263(JP,A)
【文献】
特表2017−511506(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 − 33/64
C03C 27/00 − 29/00
C09K 11/00 − 11/89
F21V 9/00 − 9/45
G02B 5/20 − 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下側に発光ダイオードが配置される第1基板の上面に前記第1基板を底面とする溝形態の収容空間が画成されるように第1封止材を形成する第1封止材形成段階;
前記収容空間にQDを充填するQD充填段階;
前記第1封止材よりも赤外線領域帯のレーザ吸収率が相対的に高い第2封止材が前記第1封止材と対応する形態で前記第1封止材上に位置されるように、前記第1封止材上に、前記第2封止材及び前記第2封止材上に形成され前記第1基板と対向する第2基板をアラインするアライン段階;及び
前記第2封止材にレーザを照射して、前記第1基板、前記第1封止材、前記第2封止材及び前記第2基板をシールするレーザシーリング段階;
を含み、
前記第1基板及び前記第2基板にはガラス基板を使用し、前記第1封止材及び前記第2封止材にはペースト形態のフリットガラスを使用することを特徴とする発光ダイオードの色変換用基板の製造方法。
【請求項2】
前記アライン段階では、先ず、前記第1封止材上に前記第2封止材を形成した後、前記第2基板を前記第2封止材上に配置することを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオードの色変換用基板の製造方法。
【請求項3】
前記アライン段階では、先ず、前記第2基板の下面に前記第2封止材を塗布した後、前記第2封止材が前記第1封止材と密着するように前記第2基板を前記第1封止材上に配置することを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオードの色変換用基板の製造方法。
【請求項4】
前記第1封止材には前記第1基板よりも軟化点が相対的に低いフリットガラスを使用することを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオードの色変換用基板の製造方法。
【請求項5】
前記第2封止材には前記第1封止材よりも軟化点が相対的に低いフリットガラスを使用することを特徴とする請求項4に記載の発光ダイオードの色変換用基板の製造方法。
【請求項6】
前記第2封止材に黒色顔料を2〜10wt%添加することを特徴とする請求項5に記載の発光ダイオードの色変換用基板の製造方法。
【請求項7】
前記第1封止材形成段階では、前記第1基板の上面に複数の前記収容空間が画成されるように前記第1封止材を形成し、複数の前記収容空間のそれぞれに対して前記QD充填段階乃至前記レーザシーリング段階を行った後、前記第1封止材及び前記第2封止材で画成されるセル(cell)毎にカットすることを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオードの色変換用基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオードの色変換用基板及びその製造方法に係り、より詳しくは、気密封止(hermetic sealing)が可能であるため、内部に担持されたQD(quantum dot)を外部から完璧に保護できる発光ダイオードの色変換用基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(light emitting diode;LED)は、ガリウムヒ素などの化合物に通電して光を発散する半導体素子であって、半導体のp−n接合構造を利用して電子や正孔のような少数キャリアを注入し、これらの再結合によって光を発光させる。
【0003】
この種の発光ダイオードは消費電力が少なくて寿命が長く、且つ狭い空間に設置可能であり、振動にも強いという特性を持つ。また、発光ダイオードは表示素子及びそのバックライトとして利用されており、近年は、これを一般照明にも適用するための研究が進行中であり、赤色、青色、または緑色の単一色成分の発光ダイオードの他に白色発光ダイオードなどが発売されている。特に、白色発光ダイオードは、自動車及び照明用製品に応用されながら、その需要が急増することが予想される。
【0004】
発光ダイオード技術において、白色を実現する方式は大きく二つに分けられる。第一は、赤色、緑色、青色発光ダイオードを隣接して設置し、各発光ダイオードから発光した光を混色させて白色を実現する方式である。しかし、各発光ダイオードは熱的または時間的特性が異なることから、使用環境によって色調が変わり、特に、色むらが発生するなど、色を均一に混合するには限界がある。第二は、蛍光体を発光ダイオードに配置させ、発光ダイオードの一次発光の一部と蛍光体によって波長変換された二次発光とが混色されて白色を実現する方式である。例えば、青色にて発光する発光ダイオード上にその光の一部を励起源として黄緑色または黄色発光する蛍光体を分布させ、発光ダイオードの青色発光と蛍光体の黄緑色または黄色発光によって白色を得ることができる。現在は、このように青色発光ダイオードと蛍光体を利用して白色光を実現する方法が一般化している。
【0005】
一方、近年は、通常の蛍光体よりも狭い波長帯で強い光を発生させるQD(quantum dot)が白色光の実現のための色変換物質として使用されている。一般に、QD-LEDバックライトは黄色QDに青色発光ダイオードから発光する青色光を照射して白色光を発生させ、これを液晶表示装置のバックライトに適用する。このようなQD-LEDバックライトを使用した液晶表示装置は、既存の発光ダイオードだけを使用したバックライトとは異なって色再現性に優れ、OLED有機発光素子に比べると天然色の実現が可能であると共に、OLEDテレビよりも製造コストが低く且つ生産性が高いことから、新しいディスプレイとしての潜在力を持っている。
【0006】
従来は、この種のQD-LEDを作るために、樹脂(polymer)にQDを混合してそれをシート(sheet)状に作製し、該シートの表面を外部の水分などから保護し、寿命を保持するために、複数のバリア層(barrier layer)をコートする方法を用いていた。しかし、このような従来の方法では、バリア層に複数回コーティングするので、製造コストが高くなり、且つ何よりもQDを完璧に外部から保護するのに限界があった。
【0007】
また、従来は、ガラスの表面を一定の深さにエッチング(etching)し、該エッチングによりできた溝にQDを入れ、カバーガラスで覆った後、周囲を低融点ガラスで塗布し、焼成し、レーザを使用して封止(sealing)するという方法を用いていたが、ガラスの表面をエッチングする工程により、製造コストが高くなり、特に、薄板ガラスは使用が困難であるという不具合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2012−124123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述したような従来技術の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、気密封止(hermetic sealing)が可能であるため、内部に担持されたQD(quantum dot)を外部から完璧に保護できる発光ダイオードの色変換用基板及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このために、本発明は、発光ダイオード上に配置される第1基板;前記第1基板と対向するように形成される第2基板;前記第1基板を底面とする溝形態の収容空間が画成されるように前記第1基板の上面に形成される第1封止材;前記収容空間に充填されるQD(quantum dot);及び前記第2基板と前記第1封止材との間に形成され、前記第1封止材と対応する形態で形成される第2封止材;を含み、前記第2封止材は、前記第1封止材よりも赤外線領域帯のレーザ吸収率が相対的に高い物質からなることを特徴とする発光ダイオードの色変換用基板を提供する。
【0011】
ここで、前記第1基板及び前記第2基板はガラス基板からなり、前記第1封止材及び前記第2封止材はフリット(frit)ガラスからなるものであってよい。
【0012】
このとき、前記第1封止材は、前記第1基板よりも軟化点が相対的に低いフリットガラスからなるものであってよい。
【0013】
また、前記第2封止材は、前記第1封止材よりも軟化点が相対的に低いフリットガラスからなるものであってよい。
【0014】
そして、前記第2封止材には黒色顔料が2〜10wt%含まれてもよい。
【0015】
さらに、前記第1封止材は、300〜500μmの高さで前記第1基板の上面に形成されてもよい。
【0016】
一方、本発明は、下側に発光ダイオードが配置される第1基板の上面に前記第1基板を底面とする溝形態の収容空間が画成されるように第1封止材を形成する第1封止材形成段階;前記収容空間にQDを充填するQD充填段階;前記第1封止材よりも赤外線領域帯のレーザ吸収率が相対的に高い第2封止材が前記第1封止材と対応する形態で前記第1封止材上に位置されるように、前記第1封止材上に前記第2封止材及び前記第2封止材上に形成され前記第1基板と対向する第2基板をアラインするアライン段階;及び前記第2封止材にレーザを照射して、前記第1基板、前記第1封止材、前記第2封止材及び前記第2基板をシールするレーザシーリング段階;を含むことを特徴とする発光ダイオードの色変換用基板の製造方法を提供する。
【0017】
ここで、前記アライン段階では、先ず、前記第1封止材上に前記第2封止材を形成した後、前記第2基板を前記第2封止材上に配置してもよい。
【0018】
また、前記アライン段階では、先ず、前記第2基板の下面に前記第2封止材を塗布した後、前記第2封止材が前記第1封止材と密着するように前記第2基板を前記第1封止材上に配置してもよい。
【0019】
そして、前記第1基板及び前記第2基板にはガラス基板を使用し、前記第1封止材及び前記第2封止材にはペースト形態のフリットガラスを使用してもよい。
【0020】
また、前記第1封止材には前記第1基板よりも軟化点が相対的に低いフリットガラスを使用してもよい。
【0021】
さらに、前記第2封止材には前記第1封止材よりも軟化点が相対的に低いフリットガラスを使用してもよい。
【0022】
また、前記第2封止材に黒色顔料を2〜10wt%添加してもよい。
【0023】
そして、前記第1封止材形成段階では、前記第1基板の上面に複数の前記収容空間が画成されるように前記第1封止材を形成し、複数の前記収容空間のそれぞれに対して前記QD充填段階乃至前記レーザシーリング段階を行った後、前記第1封止材及び前記第2封止材で画成されるセル(cell)毎にカットしてもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、ガラスからなる下部基板上にこれを底面とする溝形態の収容空間が形成されるように、下部基板と同じ熱膨張係数(CTE)を持つ第1封止材を塗布し、下部基板と第1封止材とによって画成された収容空間にQDを充填した後、第1封止材よりも赤外線領域帯のレーザ吸収率が相対的に高い第2封止材が第1封止材と対応する形態で第1封止材上に位置されるように、第1封止材上に第2封止材及び下部基板と対向するガラスからなる上部基板を順に位置させた後、上下部基板と第1封止材及び第2封止材をレーザシーリングすることで、レーザ吸収率が相対的に高い第2封止材のみに局部的な熱を加えることができ、これにより、第1封止材への熱衝撃によるクラックの発生が防止でき、製造される発光ダイオードの色変換用基板の気密封止を実現することができ、これに伴い、内部に担持されたQDを外部から完璧に保護できる。
【0025】
また、本発明によれば、従来の多層コーティング工程やエッチング工程が省略されることから、従来よりも製造コストが削減でき、且つ基板の厚さに対する制約から自由になることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施例に係る発光ダイオードの色変換用基板を示した断面図。
【
図2】本発明の一実施例に係る発光ダイオードの色変化用基板を示した平面図。
【
図3】本発明の他の実施例に係る発光ダイオードの色変換用基板を示した斜視図。
【
図5】本発明の実施例に係る発光ダイオードの色変換用基板の製造方法を示したフローチャート。
【
図6】本発明の実施例に係る発光ダイオードの色変換用基板の製造方法を工程順に示した工程図。
【
図7】本発明の実施例に係る発光ダイオードの色変換用基板の製造方法を工程順に示した工程図。
【
図8】本発明の実施例に係る発光ダイオードの色変換用基板の製造方法を工程順に示した工程図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施例に係る発光ダイオードの色変換用基板及びその製造方法について詳細に説明する。
【0028】
なお、本発明を説明するにあたって、関連した公知機能あるいは構成に関する具体的な説明が本発明の要旨を不必要に曖昧にし得ると判断された場合、その詳細な説明は省略する。
【0029】
図1及び
図2に示したように、本発明の一実施例に係る色変換用基板100は、発光ダイオード上に配置され、これを封止すると共に、発光ダイオードから放出された光の一部を色変換させる基板である。これにより、色変換用基板100と発光ダイオードを含む発光ダイオードパッケージは、例えば、青色発光ダイオードから放出された青色光と色変換用基板100により色変換された光とが混合されてなる白色光を外部に放出するようになる。ここで、図示してはいないが、発光ダイオードは、本体及び発光ダイオードチップを含んでなるものであってよい。このとき、本体は、所定形状の開口部が形成された構造体であって、発光ダイオードチップが実装される構造的空間を提供し、このような本体には、発光ダイオードチップを外部電源と電気的に接続させるワイヤーとリードフレームが設置されてもよい。また、発光ダイオードチップは、本体に実装され、外部から印加される電流によって光を放出する光源であって、電子(electron)を提供するn型半導体層と正孔(hole)を提供するp型半導体層との順方向接合で構成される。
【0030】
このように、発光ダイオード上に配置される本発明の一実施例に係る色変換用基板100は、第1基板110、第2基板120、第1封止材130、QD(quantum dot)140、及び第2封止材150を含んでなる。
【0031】
第1基板110は発光ダイオード上に配置される。また、第2基板120は第1基板110と対向するように形成される。すなわち、第1基板110と第2基板120とは、第1封止材130、QD140、及び第2封止材150によって離隔する。このような第1基板110と第2基板120は、QD140を外部環境から保護すると共に、発光ダイオードから発光された光を外部に放出させる通路となる。このために、第1基板110及び第2基板120は、透明なガラス基板からなるものであってよい。
【0032】
第1封止材130は、第1基板110を底面とする溝形態の収容空間が画成されるように第1基板110の上面に形成される。このとき、第1封止材130は、300〜500μmの高さで第1基板110の上面に形成されてもよい。図示したように、第1封止材130は、第1基板110の上面に四角枠形態で形成されてもよい。このとき、第1封止材130により画成される収容空間にはQD140が担持される。すなわち、第1封止材130は、QD140を担持すると共に、QD140を封止する構造体である。本発明の実施例において、第1封止材130は、フリット(frit)ガラスからなるものであってよく、特に、ガラス基板からなる第1基板110よりも相対的に低い軟化点、例えば、500〜800℃の軟化点を有し、且つ第1基板110とほぼ同じ熱膨張係数(CTE)を持つフリットガラスからなるものであってよい。例えば、第1封止材130は、ZnO-B
2O
3-SiO
2系フリットガラスからなるものであってよい。なお、第1封止材130には前記した軟化点及び熱膨張係数(CTE)を持ついかなるフリットガラスも使用できるため、本発明の実施例において、第1封止材130をZnO-B
2O
3-SiO
2系フリットガラスに特に限定するものではない。このとき、第1封止材130の軟化点が第1基板110の軟化点よりも低くなければならない理由は、第1封止材130の軟化点が第1基板110の軟化点よりも高くなると、焼成の際に第1基板110の変形が生じるためである。
【0033】
QD140は、第1基板110と第1封止材130とにより画成される収容空間に充填される。このとき、QD140は、レーザシーリングされる第1基板110、第2基板120、第1封止材130、及び第2封止材150により気密封止され、外部から完璧に保護できる。このようなQD140は、約1〜10nmの径を有する半導体物質のナノ結晶(nano crystal)であり、量子閉じ込め(quantum confinement)効果を示す物質である。このようなQD140は、発光ダイオードから放出される光の波長を変換して波長変換光、すなわち、蛍光を発生させる。本発明の実施例において、発光ダイオードには青色発光ダイオードが使用されるので、このような青色光との混色によって白色光を実現するために、QD140は、青色発光ダイオードから発光された光の一部を黄色に波長変換させるQD物質からなるものであってよい。
【0034】
第2封止材150は、第2基板120と第1封止材130との間に形成される。このとき、図示したように、第2封止材150は、第1封止材130と対応する形態で形成される。すなわち、第2封止材150はQD140の枠に沿って形成される。これにより、第1基板110、第2基板120、第1封止材130、及び第2封止材150がレーザシーリングされる場合、第1基板110及び第1封止材130により画成された収容空間に充填されているQD140は、これらによって気密封止され、外部から完璧に保護できる。
【0035】
本発明の実施例において、このような第2封止材150は、第1封止材130よりも赤外線領域帯のレーザ吸収率が相対的に高い物質からなる。このような第2封止材150は、第1封止材130と同様にフリットガラスからなるものであってよく、第1封止材130よりも相対的に低い軟化点を持つフリットガラスからなるものであってよい。ここで、第2封止材150の軟化点が第1封止材130よりも高くなると、熱衝撃によってクラックが発生するため、レーザシーリングの際に熱による衝撃を最小化するために、第2封止材150は、第1封止材130よりも軟化点が低いフリットガラスからなることが好ましい。このような第2封止材150は、V
2O
5系フリットガラスやBi
2O
3-B
2O
3-ZnO系低融点フリットガラスからなるものであってよい。このとき、第2封止材150がBi
2O
3-B
2O
3-ZnO系低融点フリットガラスからなる場合、赤外線領域帯のレーザ吸収率を向上させるために、第2封止材150にはブラック顔料(black pigment)が含まれてもよい。第2封止材150に含まれるブラック顔料にはMnO
2-Fe
2O
3系物質が使用されてもよく、このようなブラック顔料は、第2封止材150に対して2〜10wt%の範囲で含まれてもよい。このとき、第2封止材150にブラック顔料が10wt%を超過して含まれると、第2封止材150の物性が変わり、また2wt%未満で含まれると、赤外線領域帯のレーザ吸収率が落ちてしまい、気密封止が難しくなる。
【0036】
以下、本発明の他の実施例に係る発光ダイオードの色変換用基板について
図3及び
図4を参照して説明することにする。
【0037】
図3は、本発明の他の実施例に係る発光ダイオードの色変換用基板を示した斜視図であり、
図4は、
図3のA−A線に沿って切断した断面図である。
【0038】
図3及び
図4に示したように、本発明の他の実施例に係る発光ダイオードの色変換用基板200は、第1基板110、第2基板120、第1封止材230、QD140、及び第2封止材250を含んでなる。
【0039】
本発明の他の実施例は、本発明の一実施例と比較して、一つの第1基板上に多数の収容空間が画成されるように第1封止材が形成され、これに伴い、第2封止材も第1封止材に対応する形態で形成されることだけに違いがあるため、それ以外の同じ構成要素に対しては同じ図面符号を付し、これらに対する詳細な説明は省略することにする。
【0040】
本発明の他の実施例に係る発光ダイオードの色変換用基板200は、大画面ディスプレイのバックライト光源や大面積照明装置の光源として使用される多数の発光ダイオードに適用される基板であってよい。また、本発明の他の実施例に係る発光ダイオードの色変換用基板200は、一つのQD140を基準とするセル(cell)毎に多数個に分離され、これに対応する数の発光ダイオードに分離されたセル毎にそれぞれ適用される分離前段階の母基板であってよい。
【0041】
このために、第1基板110上には下側に配置される多数の発光ダイオード配列に合わせて、多数の収容空間が画成されるように第1封止材230が形成され、多数の収容空間のそれぞれにはQD140が充填され、第1基板110と対向する第2基板120の下面と第1封止材230との間には第1封止材230に相応あるいは対応する形態で第2封止材250が形成される。
【0042】
上述したように、本発明の実施例に係る発光ダイオードの色変換用基板100、200は、QD140を担持するために第1基板110と収容空間を画成する第1封止材130、230、及び気密封止のために第1封止材130、230よりも赤外線領域帯のレーザ吸収率が相対的に高く軟化点は相対的に低いフリットガラスからなる第2封止材150、250を備えることで、レーザシーリングの際に第2封止材150、250のみに局部的な熱を加えることができ、これにより、第1封止材130、230への熱衝撃によるクラックの発生が防止されるので気密封止が可能であり、その結果、QD140を外部から完璧に保護でき、色変換用基板100、200を含む発光ダイオードパッケージの寿命を増大させることができる。
【0043】
以下、本発明の実施例に係る発光ダイオードの色変換用基板の製造方法について、
図5乃至
図8を参照して説明することにする。
【0044】
図5に示したように、本発明の実施例に係る発光ダイオードの色変換用基板の製造方法は、第1封止材形成段階(S1)、QD充填段階(S2)、アライン段階(S3)、及びレーザシーリング段階(S4)を含む。ここで、本発明の実施例に係る発光ダイオードの色変換用基板の製造方法による、ディスプレイのバックライト光源や大面積照明装置の光源に適用される発光ダイオードの色変換用基板を製造する方法について説明する。
【0045】
先ず、
図6に示したように、第1封止材形成段階(S1)は、下側に発光ダイオードが配置される第1基板110の上面に第1基板110を底面とする溝形態の収容空間が画成されるように第1封止材230を形成する段階である。第1封止材形成段階(S1)では、ペースト形態のフリットガラスからなる第1封止材230を第1基板110の上に、例えば、300〜500μm高さになるように塗布して多数の収容空間を画成した後、焼成する。このとき、第1封止材形成段階(S1)では、ペースト形態の第1封止材230を第1基板110の上面に印刷しまたはディスペンサー(dispenser)を使用して塗布することができる。ここで、第1封止材形成段階(S1)では、ガラス基板からなる第1基板110よりも軟化点は相対的に低く、熱膨張係数(CTE)はほぼ同じフリットガラスを第1封止材230として使用してもよい。例えば、第1封止材形成段階(S1)では、ZnO-B
2O
3-SiO
2系フリットガラスを第1封止材230として使用してもよく、さらに、第1封止材230の強度を増加させるために、第1封止材230にセラミックフィラー(filler)を添加することもできる。
【0046】
次いで、QD充填段階(S2)は、第1基板110及び第1封止材230により画成された収容空間にQD140を充填する段階である。QD充填段階(S2)では、複数個に画成された収容空間のそれぞれに青色発光ダイオードから発光された光の一部を黄色に波長変換させるQD140物質を充填する。
【0047】
次いで、アライン段階(S3)は、多数の収容空間を画成する第1封止材230の上に、第2封止材250及び第2封止材250の上に形成され第1基板110と対向する第2基板120をアライン(align)する段階である。アライン段階(S3)では、第2封止材250が第1封止材230と対応する形態で第1封止材230の上に位置されるように、第2封止材250を第1封止材230の上にアラインする。ここで、アライン段階(S3)では、先ず、第1封止材230の上に第2封止材250を形成した後、ガラス基板からなる第2基板120を第2封止材250の上に配置してもよい。また、
図7に示したように、アライン段階(S3)では、第2基板120の下面(
図8を基準)にペースト形態のフリットガラスからなる第2封止材250を塗布及び焼成した後、第2封止材250が第1封止材230と密着するように第2基板120を第1封止材230の上に配置してもよい。
【0048】
一方、アライン段階(S3)では、第1封止材230よりも赤外線領域帯のレーザ吸収率は相対的に高く軟化点は相対的に低いフリットガラスを第2封止材250に使用してもよい。例えば、アライン段階(S3)では、V
2O
5系フリットガラスやBi
2O
3-B
2O
3-ZnO系低融点フリットガラスを第2封止材250に使用してもよい。このとき、第2封止材250にBi
2O
3-B
2O
3-ZnO系低融点フリットガラスを使用する場合、赤外線領域帯のレーザ吸収率を向上させるために、第2封止材250に、例えば、MnO
2-Fe
2O
3系物質などからなるブラック顔料を2〜10wt%の範囲で添加してもよい。
【0049】
最後に、レーザシーリング段階(S4)は、第2封止材250にレーザを照射して、第1基板110、第1封止材230、第2封止材250、及び第2基板120をシールする段階である。この場合、赤外線領域帯のレーザ吸収率が高い第2封止材250のみに局部的な熱が加えられ、これにより、第1封止材230は熱衝撃によるクラックの発生が防止され、気密封止が可能になる。
【0050】
このように、レーザシーリング段階(S4)が完了すると、
図8に示したように、本発明の実施例に係る発光ダイオードの色変換用基板200が製造される。このような本発明の実施例に係る製造方法にて発光ダイオードの色変換用基板200を製造すれば、従来のQD保護のための多層コーティング工程が省略されることから、従来よりも製造コストが削減でき、且つ従来のQD担持のためのエッチング工程が省略されることから、基板の厚さに対する制約から自由になることができる。
【0051】
一方、本発明の実施例に係る製造方法にて製造された色変換用基板200は、ディスプレイのバックライト光源や大面積照明の光源として適用される他にも、セル毎に分離されて、各セルが個別の発光ダイオードの色変換用基板(
図1の100)に適用されてもよい。このために、本発明の実施例に係る発光ダイオードの色変換用基板の製造方法では、レーザシーリング段階(S4)を行なった後、一つのQD140を担持しているセル毎にカットする工程をさらに行なってもよい。このように、本発明の実施例では多数のセルに分離可能な母基板200を製造した後、セル毎にカットする工程によって、個別の発光ダイオードに適用される色変換用基板(
図1の100)の大量生産を容易になすことができる。
【0052】
以上、本発明を限定された実施例や図面に基づいて説明してきたが、本発明は前記した実施例により限定されるものではなく、本発明の属する分野における通常の知識を有する者であればこのような記載から種々の修正や変形が可能である。
【0053】
したがって、本発明の範囲は説明された実施例に限定されて決められるものではなく、特許請求の範囲や特許請求の範囲と均等なものなどによって決められるべきである。
【符号の説明】
【0054】
100、200:色変換用基板
110:第1基板
120:第2基板
130、230:第1封止材
140:QD
150、250:第2封止材