【実施例】
【0120】
実施例I:細胞内の応答性が増加した修飾された熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーの生成
【0121】
カスパーゼ−3バイオセンサー(CBS)は、アミノ酸358位で円順列置換された(CP)、カスパーゼ−3認識部位を有する、熱安定性フォツリスペンシルバニカルシフェラーゼ(TL)、すなわち、TLフラグメントの間の接合部にアミノ酸DEVDを含むカスパーゼ−3認識部位を含むものである。開始テンプレートとして用いられた特異的CBSは、TL−CP358−DEVD:DDと呼ばれる。このCBSのアミノ酸配列は、M/TL残基358〜544/SDEVDGSL/TL残基4〜354/V(配列番号6)として表すことができる。CP TL内のアミノ酸位は、非CP TL配列のそれに相関する(添付の付録に提供される)。カスパーゼ−3で処理すると、CBSは、認識部位で切断され、2つのTLフラグメントがより好ましい高活性の構造を形成することを可能にする。
【0122】
CBSの利用性は、カスパーゼ−3による切断前後の差異的活性である。CBSの基礎活性は、カスパーゼ−3が認識部位において切断する時間を有する前のアッセイ時間(0)における活性として定義される。誘導活性は、CBSがカスパーゼ−3により切断された後、しばらく後の時点(t)における活性として定義される。活性における応答または倍率増加は、基礎活性に対する誘導活性の比率である。TL−CP358−DEVD:DD内の置換は、誤りを起こしやすい変異型PCRベースシステムGeneMorph II(Stratagene;Daugherty,PNAS USA 97(5):2029(2000))を用いて、製造者の指示に従って、誘導に対する応答性が強化されたCBS変異型を開発するために生成された。
【0123】
得られるライブラリは、大腸菌内で発現し、組み換えカスパーゼ−3(データ図示せず)による前処理を行う場合と行わない場合のルシフェラーゼ活性についてスクリーニングした。次に、最適なシグナルおよび応答特性を有するCBS変異型を、TNF−α関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)処理に対する応答を測定する動態アッセイによりHEK293細胞内で評価した(Wiley,S.R.et al,Immunity 3:673(1995);Niles,A.L.et al,Meth.Mol.Biol.414:137(2008))。TRAILは、細胞死受容体の活性化を介してアポトーシスを誘導して、活性カスパーゼ−8を形成し、順にプロカスパーゼ3を活性化してカスパーゼ−3を生産する。活性カスパーゼ−3の出現には、CBS変異型が切断および活性化されるときの発光の増加が付随する必要がある。つまり、96ウェルプレート内に15,000細胞/ウェルで載置されたHEK293細胞は、TL−CP358−DEVD:DD内にアミノ酸置換を持つ様々なCBS変異型をコードするプラスミドDNAを含むTransIT−LTI(Mirus Bio)を用いて一過性に形質転換された。同一のプラスミドは、レニラ(Renilla)ルシフェラーゼの構成的発現のための遺伝子も搬送し、形質転換対照として作用した。細胞を2mMルシフェリンにより37℃で2時間前処理した。細胞を1μg/mLのTRAILで処理し、37℃で10時アッセイした。発光を連続して経時的に監視した(発光計:Varioskan Flash(Thermo)1秒積分時間)。複製ウェル内の細胞を、TRAILの添加時、すなわち、時間(0)に溶解し、レニラルシフェラーゼ活性を測定した。次にすべてのバイオセンサーデータを、レニラルシフェラーゼ発光(Dual−GloAssay System;Promega Corporation)を用いて、形質転換効率について正規化した。
【0124】
例示のCBS変異型は、限定されないが、表1に列挙されるものを含む。表1は、クローン名で識別された、TRAIL処理に対して改善された応答を示す、TL−CP358−DEVD:DDの変異型を列挙する。表1に列挙される改善を、親TL−CP358−DEVD:DD CBSに対して正規化する。「基底(BASAL)」は、TRAIL添加時、すなわち、時間(0)における正規化されたバイオセンサー発光を表し、「誘導(INDUCED)」は、TRAIL添加の約10時間後における正規化されたバイオセンサー発光を表し、「応答(RESPONSE)」は、倍率誘導、すなわち、基底活性に対する誘導活性の比率を表す。
【0125】
当該技術分野において既知の標準配列決定法を用いて、各クローン内のアミノ酸置換を識別した(表1参照)。アミノ酸の位置は、変異型の2位の親TL(例えば、Pro)に基づき(=TL358)、したがって、DEVDのN末端に対する残基は、TL残基358〜544(Gly)を表し、DEVDのC末端に対する残基は、TL残基4(Lys)−354(Gly)を表す(例えば、
図1参照)。各アミノ酸置換は、TL−CP358−DEVD:DD配列ではなく、親TL内のアミノ酸位置に対応する位置により示され、それにより数値位置に続く第1の文字は、親TL内の対応するアミノ酸を表す。アミノ酸が別のアミノ酸と置換される場合、第2の文字は、アミノ酸置換を表す。アミノ酸が終止コドンと置換される場合、置換は「終止(STOP)」により示される。
表1:対応するTL−CP358−DEVD:DDを超えるCBS変異型の応答性の倍率改善のまとめ
【表1-1】
【表1-2】
【0126】
実施例II:熱安定性ルシフェラーゼカスパーゼ−3内の変異の特定の組み合わせに関する評価
【0127】
追加のCBS変異型は、オリゴベースの部位特異的変異誘発キットQuick Change(Stratagene;Kunkel,PNAS USA82(2):488(1985))を用い、製造者の指示に従って生成した。最も改善された応答を持つ実施例Iからの変異型内で識別されたアミノ酸置換、特にクローン12:B−10、01:A−05、04:C−03、01:E−11、16:D−12、01:D−02、および07:B−02を組み合わせ、HEK293細胞内で実施例Iと同様に評価した。追加のCBS変異型を生成するために用いられるアミノ酸置換は、配列番号2に対応する
193LP(“193SP”)、297SI、329RQ、471IT、503SG、507TI、523KI、533VA、および536QRであった。例示のCBS変異型は、限定されないが、表2に列挙されるものを含む。表2は、クローン(「新(NEW #)」)、カラムのXにより示されるクローン内で見出されたアミノ酸置換(アミノ酸置換193SP、297SI、329RQ、471IT、503SG、507TI、523KI、533VA、および536QRを示す)、対応する開始TL−CP358−DEVD:DDを超える基底、誘導、および応答の改善を識別する。
表2:対応するTL−CP358−DEVD:DDを超える特定アミノ酸置換の組み合わせを持つCBS変異型の応答性の倍率改善のまとめ
【表2-1】
【表2-2】
【0128】
試験した置換の組み合わせの多くは、親TL−CP358−DEVD:DDまたは表1に開示された変異型と比較して、応答性の増加を示した。4つのCBS変異型、すなわち01:A−05、FC7:24、FC7:43、およびFC7:49に特に注目した(
図1および表3参照)。
図1は、4つのアミノ酸置換I471T、S503G、T507I、およびS193Pの位置を示し、これらの変異型を親TL−CP358−DEVD:DD配列に組み込み、その位置を円順列置換部位に対して修正した(表3も参照)。
図1の上の図は、一次アミノ酸配列の配列順序番号に基づく置換の位置を示す。
図1の下の図は、親TL−CP358−DEVD:DDに基づくコドン指定点を示す。ヌクレオチド変化は、以下のとおりである。471:ata>aca、503:agt>ggt、507:aca>ata、193:tcg>ccg。
表3:クローン01:1−05、FC7:24、FC7:43、およびFC7:43内で見出されるアミノ酸置換のまとめ
【表3】
【0129】
改善されたCBS変異型01:A−05、FC7:24、FC7:43、およびFC7:49内の生細胞におけるTRAILに対する応答(それぞれ「1A5」、「24」、「43」、および「49」)を、
図2A〜Bおよび3A〜Bにおいて、10時間の期間で親TL−CP358−DEVD:DD(「TL−CP」)と比較した。変異型01:A−05は、TL−CP358−DEVD:DDと比較して、それぞれTRAIL処理の2時間および10時間後に2倍および約4.8倍優れた応答を有した(
図2Aおよび2B)。2時間後に、変異型FC7:24およびFC7:49は、TL−CP358−DEVD:DDおよび変異型43より約2倍優れた応答を有した(
図3Aおよび3B)。10時間後に、変異型FC7:24およびFC7:49は、TL−CP358−DEVD:DDより約3.2〜3.7倍優れた応答を有したが(
図3Aおよび3B)、変異型FC7:43は約2.2倍優れた応答を有した。これらのデータは、CBSバイオセンサーが、これら4つのアミノ酸置換I471T、S503G、T507I、およびS193Pのうちの1つ以上を組み込むことにより改善された応答を有するように生成することができる。
【0130】
実施例III
【0131】
追加のCBS変異型は、SSDEVDGSSG(配列番号52)、SSGSDEVDGSLSSG(配列番号53)、SDEVDGSL(配列番号54)、またはDEVDG(配列番号55)などの異なるリンカー配列を有するように生成した。CBS変異型は、HEK293細胞内で実施例Iと同様に評価した。例示のCBS変異型としては、限定されないが、
図4に列挙されるものが挙げられる。次に、すべてのバイオセンサーデータを、実施例Iと同様に、レニラルシフェラーゼ発光を用いて形質転換効率について正規化した。
図4は、「Linker」を含むリンカー配列によりクローンを識別し、TRAIL添加時、すなわち、時間(0)(「基底(t=0)」)、TRAIL添加から約10時間後(「誘導(10時間)」)および倍率誘導、すなわち基底活性に対する誘導活性の比率(「応答(10時間)」)におけるRLU内の発光を示す。2つの実験に共通するリンカークローンは、#2である(すなわち、SSGSDEVDGSLSSG)。数値の差は、実験間の典型的な変動である。リンカー#3は、「TL−CP358−DEVD:DD」と称されるものと同一のクローン内で見出されたリンカーである。
【0132】
実験IV:カスパーゼ−8を検出するための変異体熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーの評価
【0133】
本発明の変異体熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーを細胞内のカスパーゼ−8活性を検出することができるか否かを評価するために、カスパーゼ−8切断部位LETDG(配列番号15)を含むバイオセンサーを生成した。2つの異なるバイオセンサーTL−CP358−カスパーゼ−8およびTL−CP233−カスパーゼ−8を用いた。対照として、ホタル(フォティナスピラリス、Ppy)ルシフェラーゼバイオセンサーFF−CP234−カスパーゼ−8(M/Ppy残基234−544/LETDG/Ppy残基4−230/V)、FF−CP359−カスパーゼ−8(M/Ppy残基359−544/LETDG/Ppy残基4−355/V)、およびTL−CP358−DEVDを用いた。表4は、バイオセンサーの配列詳細を提供する。
表4
【表4】
【0134】
すべてのバイオセンサーをHeLa細胞に形質転換した。細胞を(10,000
細胞/ウェル)で96−ウェル組織培養プレートに載置した。表4に記載されるように、細胞への形質転換のためにバイオセンサーDNAを調製した。各バイオセンサーについて30回の10μL 反応を設定した。1650μLのDMEMを49.5μLのLTIと混合することにより、TransIT(登録商標)LTI(LTI、Mirus)形質転換マスター混合物を調製した。マスター混合物を、室温で15分間インキュベートした。次に300μLのマスター混合物を各バイオセンサーDNAに添加し(30回の反応に十分な量、0.1μg/反応)および室温でさらに15分間インキュベートした(表5)。10μLのバイオセンサーDNA形質転換マスター混合溶液を、適切なウェル内の細胞に添加した。次に、細胞を37℃で一晩、5%CO
2でインキュベートした。
表5
【表5】
【0135】
一晩のインキュベーション後、媒質を細胞から除去し、CO
2独立媒質(Invitrogen、カタログ番号18045088)および2mMルシフェリンEF(Promega、カタログ番号E6551)と置換した。細胞を、ルシフェリンEFで2時間、Varioskan発光計内で事前に平衡化し、20分毎に生物発光を読み取った。インキュベーション後、1μg/mLのTRAILを用いて、CO
2 Independent Media+10%ウシ胎仔血清(FBS)内で、または化合物なし(対照、媒質+10%FBSのみ)のいずれかで細胞を誘導した。細胞を、Varioskan発光計内で500+分間37℃で再度インキュベートし、20分毎に生物発光を測定した。
【0136】
図5〜8は、TL−CP233−カスパーゼ8およびTL−CP358−カスパーゼ8バイオセンサーが、TRAILによるカスパーゼ8の活性を検出できることを示す。
図5および7は、37℃での経時的なTRAILによるカスパーゼ8活性化の動態プロファイルを識別する。
図6および8は、経時的なTRAILによるカスパーゼ8活性化の倍率応答を識別する。活性化の倍率誘導は、TRAILを含むサンプルのシグナルを所定の時点でのTRAILを含まないシグナルで割ることによって算出した。
図7および8は、TL−CP358−DEVDにより測定される、Trailによるカスパーゼ3の誘導ならびにカスパーゼ8の誘導を示す。
【0137】
実施例V:TEVプロテアーゼ変異体熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーの活性化
【0138】
本発明の変異体熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーが、細胞内のTEVプロテアーゼ活性を検出することができるか否かを評価するために、TL−CP233バイオセンサー、TEVプロテアーゼ切断部位GSS−ENLYFQS−SSG(配列番号78)を含むTL−CP233−TEVを生成した。TL−CP233−TEVは、M/TL残基233〜544/GSS−ENLYFQS−SSG TL残基4〜233/V(配列番号61および62)として表すことができるアミノ酸配列を有する。対照として、ホタル(フォティナスピラリス、Ppy)ルシフェラーゼバイオセンサーFF−CP235−TEV(M/Ppy残基234〜544/GSS−ENLYFQS−SSG/Ppy残基4〜233/V、配列番号63および64)、FF−CP269−TEV(M/Ppy残基269〜544/GSS−ENLYFQS−SSG/Ppy残基4〜268/V、配列番号65および66)、ならびにFF−CP359−TEV(M/Ppy残基359〜544/GSS−ENLYFQS−SSG/Ppy残基4〜355/V、配列番号67および68)を用いた。すべての形質転換について、CMVプロモーターから構成的に発現したTEVプロテアーゼ(Genbank受入番号BFB754)を形質転換した(pF9a−BFB754)。この構築体は、形質転換の効率性制御として使用するためのレニラルシフェラーゼも共発現する。
【0139】
バイオセンサーおよびTEVプロテアーゼ構築体のそれぞれは、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞内で形質転換した。細胞を
、15,000
細胞/ウェ
ルで96−ウェル組織培養プレートに載置した。表6に従って形質転換溶液を調製した。各センサーを、TEVプロテアーゼまたは担体ベクター(pF9aヌル)のいずれかと共形質転換した。
表6
【表6】
【0140】
細胞を37℃で一晩24時間、5%CO
2でインキュベートした。一晩のインキュベーション後、細胞を媒質および5mMルシフェリンEFで2時間平衡化した。次に生物発光を、Varioskan発光計内で37℃で測定した。形質転換の効率性の制御のために、結果をレニラに対して正規化した。
【0141】
TEV認識配列(FF−CP233−リードスルー、FF−CP233−RT)を含まないバイオセンサーは、TEVプロテアーゼにより活性化されないが、他のバイオセンサーは、TEVプロテアーゼにより活性化された(
図9)。
【0142】
実施例VI:神経膠腫細胞内のアポトーシスの分子撮像
【0143】
本発明の変異体熱安定性バイオセンサーを用いて細胞内の細胞死を検出することができることを実証するために、熱安定性カスパーゼ3バイオセンサー、TL−CP233−カスパーゼ3(「233」、配列番号17および18)、TL−CP358−カスパーゼ3(「358V2」配列番号5および6)、ならびに変異体熱安定性カスパーゼ3バイオセンサー1A5(「358V3」、配列番号7および8)、24(「358V4」、配列番号9および10)、43(「358V5」、配列番号11および12)、ならびに49(「358V6」、配列番号13および14)を、神経膠腫細胞株D54−MG内で安定して発現させ、細胞をTRAILで処理し、発光を測定してカスパーゼ3の活性を検出した。
【0144】
熱安定性バイオセンサーを安定して発現する細胞を導出するために、D54−MG細胞をバイオセンサーで形質転換させた。バイオセンサーを、PCR増幅を介して、ネオマイシン耐性遺伝子(Invitrogen)を含むpEFベクターにサブクローン化し、SalIおよびEcoRI制限部位における複数のクローニング部位に挿入した。形質転換は、6−ウェル組織培養皿内で、3μLのFugene6形質転換試薬(Roche)および1μgのプラスミドDNAを用いて行った。10%FBS(Gibco)、Pen/Strepグルタミン(100X、Gibco)、および200μg/mLジェネチシン(G418)を含むRPMI媒質(Gibco)内に48時間載置した。当該技術分野において既知の標準技術を用いて、形質転換から約10日後に単一クローンを選択した。つまり、媒質を細胞から除去し、細胞をPBSで丁寧に洗浄した。丸いフィルター紙をトリプシンに浸し、単一コロニー上に載置した。添付の細胞を含むフィルター紙を除去し、24−ウェル組織培養皿中に載置した。ルシフェラーゼ抗体(Promega、カタログ番号G7451)を用いるウェスタンブロット法、および生物発光(PBS中で再構築された100μg/mLのD−ルシフェリンを媒質に直接添加して検出した)によりレポーター発現について、選択から約2〜3週間後に各個別のクローンを試験した。細胞死を検出する際に用いるために、同様の生物発光活性(最高倍率)およびレポーター発現(ウェスタンブロットにより決定)を持つクローンを選択した。
【0145】
細胞死を検出するために、安定したD54−MG細胞を、10,000細胞/ウェルで96−ウェルアッセイプレート中に播種し、37℃で24時間、5%CO
2でインキュベートした。一晩インキュベートした後、細胞を200ng/mLのTRAILおよび100μg/mLのD−ルシフェリン(Promega)で処理した。生細胞生物発光を2、4、および6時間で撮像した。Envision照度計(Perkin Elmer)を用いて、TRAIL処理前後の異なる時点で光子数を計測した。レポーター発現およびTRAIL誘導性アポトーシスを、ルシフェラーゼおよびカスパーゼ−3に対して、ウェスタンブロット法によりさらに検出した。
【0146】
図10は、TRAILにより処理時に、様々な熱安定性バイオセンサーを安定した発現するD54−MG細胞が、生物発光活性において100〜200倍の誘導をもたらしたことを実証する。熱安定性バイオセンサーの異なるバージョンを発現するD54−MG細胞は、未処理であるか、または200ng/mLのTRAILで処理して、指示された時点で撮像し、光子数/秒を指定された時点で記録した(
図10A)。未処理または200ng/mL TRAILで処理された熱安定性バイオセンサーの異なるバージョンを発現するD54−MG細胞の倍率誘導は、値(光子/秒)をベースライン(時間、0時間)に対して正規化することにより算出した(
図10B)。異なるバイオセンサーバージョンにより達成された倍率変化に加えて、ベースライン、処理後2時間、4時間、および6時間の平均光子数/秒を
図10Cに示す。
図10Dは、ルシフェラーゼおよびカスパーゼ−3に対する、ウェスタンブロット法によるレポーター発現およびTRAIL誘導性アポトーシスの検出を示す。
【0147】
実施例VII:変異体熱安定性バイオセンサーの使用
【0148】
細胞死をインビボで検出するための変異体熱安定性バイオセンサーの使用を実証するために、TL−CP233−カスパーゼ3(「233」、配列番号17および18)、TL−CP358−カスパーゼ3(「358V2」配列番号5および6)、1A5(「358V3」、「3−S」、配列番号7および8)、43(「358V5」、「5−R」、配列番号11および12)、または49(「358V6」、「6−A]、配列番号13および14)のいずれかを安定して発現するD54−MG細胞をヌードマウスに移植した。
【0149】
フランク異種移植マウスモデルを確立するために、上に列挙した(実施例VIに記載されるように)バイオセンサーのうちの1つを安定して発現する2×10
6D54−MG細胞をヌードマウスに皮下的に移植した。8mg/kg TRAILによる処理は、電子デジタルキャリパー測定により測定されるように、腫瘍が約100mm
3 に到達したときに開始した。インビボ生物発光検出の場合、2%イソフルオラン/空気混合物を用いてマウスを麻酔にかけ、単回投与(150mg/kg)のD−ルシフェリンを腹腔内注入した。IVIS撮像システム(Caliper Life Sciences)を用いて、TRAIL処理前および6時間後(
図11A)に光子数/秒を取得した。処理後の値をマウス当たりの処理前の値に対して正規化することにより、倍率誘導(
図11B)を算出した。
【0150】
データは、TRAIL処理時に、マウス異種移植モデルにおいて、100倍の生物発光活性化が見られたことから、本発明の変異体熱安定性バイオセンサーが、極めて敏感であることを実証する。D54−MGレポーター異種移植されたヌードマウスを、8mg/kgのTRAILで処理した。光子数/秒を、処理の前後に取得した(
図11)。倍率誘導は、処理後の値をマウス当たりの処理前の値に対して正規化することにより算出した(
図11B)。
図11Cは、異なるバイオセンサーバージョンにより達成された倍率変化に加えて、ベースラインおよび処理後6時間における平均光子数/秒を表す表を示す。
【0151】
実施例VIII:胸骨転移における細胞死の撮像
【0152】
動物内の細胞死を検出するための熱安定性カスパーゼ−3バイオセンサーの使用を実証するために、TL−CP233−カスパーゼ−3バイオセンサー(グリオーマ細胞について実施例VIに記載されるように導出された)を安定して発現する100,000MDA−MB231/1833細胞(「1833」、乳癌細胞株)を、ヌードマウスの脛骨に移植した。MRIにより腫瘍増殖を追跡し、腫瘍が5〜15mm
3に達したときにTRAIL処理を開始した。
【0153】
インビボ生物発光検出の場合、2%イソフルオラン/空気混合物を用いてマウスを麻酔にかけ、単回投与(150mg/kg)のD−ルシフェリンを腹腔内注入した。IVIS撮像システム(Caliper Life Sciences)を用いて、TRAIL処理前および6時間後、または
図12A〜Dに示されるように光子数/秒を取得した。処理後の値をマウス当たりの処理前の値に対して正規化することにより、倍率誘導(
図11B)を算出した。
【0154】
図12Aにおいて、TL−CP233−カスパーゼ−3を安定して発現する脛骨内移植されたMDA−MB231/1833細胞を、TRAIL(200ng/mL)で処理し、毎時間10分間連続して撮像した。倍率誘導は、データを処理前の値に対して正規化することにより算出した。
図12Bにおいて、Z因子は、Zhang et al(Biomol Screen.4:67−73.1999)に記載されるように、すべての時点について算出し、0.82の平均Z因子が高スループットスクリーニングのためのアッセイ適合性に十分であった。
図12Cは、指定された時点で撮られた光子/秒でMDA−MB231/1833細胞を安定して発現する脛骨内移植されたTL−CP233−カスパーゼ−3の代表的な画像を示す。
図12Dは、TRAILで処理された試験した異種移植動物の倍率誘導を示す。このデータは、マウスモデル内で動的かつ経時的に細胞死を撮像するための熱安定性バイオセンサーの有用性を強調する。
【0155】
実施例IX:高スループットスクリーニングにおける熱安定性カスパーゼバイオセンサーの実用性
【0156】
高スループットスクリーニングのための熱安定性バイオセンサーの実用性を実証するために、実施例VIIIからのTL−CP233−カスパーゼ−3を安定して発現するMDA−MB231/1833(「1833」)細胞を用いて、NIH Clinical Collection BiofocusおよびTim Tecキナーゼ阻害剤ライブラリ内の化合物をスクリーニングした。
【0157】
TL−CP233−カスパーゼ−3 MDA−MB231/1833細胞を、96−ウェルプレート内に10,000細胞/ウェルで播種した。播種から48時間後、媒質を、1%GloSensor cAMP試薬(Promega、カタログ番号E1290)を含むCO
2独立媒質に変え、0〜23時間、最終濃度10μMの化合物とともにインキュベートした。合計でNIH Clinical Collection内の483化合物およびTim Tecコレクションから80キナーゼ阻害剤を試験した。媒質および化合物ライブラリの添加は、Titertek Multidrop Microplate Dispensor(ThermoFisher Scientific)を用いて行った。相対発光は、化合物処理されたウェルの値を未処理のウェルに対して正規化することにより算出した。(
図13Aおよび13C)
図13Aは、NIH Clinical Collection Biofocus Library内の化合物からの化合物処理(最大)時の相対発光を示す。
図13Cは、Tim Tecキナーゼ阻害剤ライブラリ内の化合物からの化合物処理(最大)時の相対発光を示す。4以上に達する最大値は、有意と見なした。Matlabソフトウェアの生物情報ツールボックスを用いてヒートマップを生成し、経時的なバイオセンサー活性化の相関を示す。(
図13Bおよび13D)Z因子は、実施例VIIIに前述されるように算出した。
【0158】
熱安定性バイオセンサーの繰り返し撮像能力に起因して、様々な薬物に応答するアポトーシスの動態を撮像することができる。これにより、それ以外は化学療法抵抗性の1833乳癌細胞株内の興味深い細胞死誘導化合物の識別を可能にした。
【0159】
実施例X:MMP−2センサーの精製
【0160】
マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)は、細胞外マトリックスの主要タンパク質化合物の分解に関与する、亜鉛酵素の同種群である。5つの主要MMPは、ヒトにおいて識別され、結合組織の代謝および破壊に関与している。これらは、マトリックスの大部分を形成するI型、II型、およびIII型コラーゲンを加水分解する線維芽細胞型および好中球型間質コラゲナーゼを含む。線維芽細胞コラゲナーゼは、天然のVII型およびX型コラーゲンも加水分解する。MMPは、線維芽細胞型および好中球型コラゲナーゼが、それぞれMMP−1およびMMP−8として指定される数値コードにより参照される場合がある。72−kDaゼラチナーゼ(MMP−2)は、線維芽細胞および腫瘍細胞を増殖させることにより生産されるが、別個の92−kDaゼラチナーゼ(MMP−9)は、好中球、マクロファージ、およびある形質転換細胞により生産される。
【0161】
本明細書で用いられるMMP−2センサー(配列番号69および70)は、1A5変異型骨格およびヒトMMP−2認識部位、PLGMWSR(配列番号75)を含む。さらに、MMP−2センサーは、2つの精製タグ:TEVプロテアーゼ部位(精製されたMMP−2センサーからGSTタグを除去するための)によりセンサー領域から分離されたセンサーのN末端上のGSTタグ、およびセンサーのC末端上の5xHQ(HQHQHQHQHQ、配列番号79)タグを含む。
【0162】
MMP−2センサーの精製は、HisおよびGST精製を用いて、以下のように行った。
【0163】
1.MMP−2センサーを含む大腸菌 KRX細胞(Promega)の2〜5mL培養物を、37℃で攪拌しながらLB/アンピシリン内で増殖させた。
【0164】
2.各培養物を、0.05%ラムノースおよび0.05%グルコースを用いて、1LのLB中で1:100に希釈した。
【0165】
3.25℃で18〜20時間インキュベートした。
【0166】
4.細胞を5000gで5分間の遠心分離により採取し(1Lを2つの500mL分割量に分ける)、細胞ペースト重量を決定して、−20℃で一晩載置した。
【0167】
5.2つの細胞ペーストのうちの1つを、30mL溶解緩衝液で再懸濁した(8.5mL/g細胞ペースト、50mM NaH
2PO
4、300mM NaCl、10mMイニダゾール、およびNaOHによりpH8.0)。1mg/mLのリゾチームを添加し、再懸濁液を氷上で、定期的に反転させながら30分間インキュベートした。
【0168】
6.溶解液をパワー6.0で2分間音波処理した(5秒オン、5秒オフ)。100μlのサンプルを「合計」サンプルとして保存した。
【0169】
7.溶解液を16,000gで20分間回転させた。100μlのサンプルを「可溶性」サンプルとして保存した。
【0170】
8.6mLの溶解物当たり1mLの50%Ni−NTA樹脂(Qiagen、溶解緩衝液中で前洗浄)(合計5mL)を添加し、4℃で1時間混合した。
【0171】
9.サンプルを700rpmの卓上遠心分離器で2分間回転させた。100μlのサンプルを、上清を破棄した「フロースルー」サンプルとして保存した。
【0172】
10.樹脂を40mL溶解緩衝液中で洗浄して、4℃で5分間混合し、700rpmの卓上遠心分離器で2分間回転させて、上清を破棄した。
【0173】
11.次に樹脂を40mLの洗浄緩衝液(20mMイミダゾールを含む溶解緩衝液)中で洗浄し、700rpmの卓上遠心分離器で2分間回転させて、上清を破棄した。
【0174】
12.10mLの洗浄緩衝液を添加および混合し、上清を空のカラムに添加した。
【0175】
13.カラムを50mLの洗浄緩衝液で洗浄し、100μLの樹脂を除去して保存した。
【0176】
14.センサーを、10mL溶出緩衝液(250mMイミダゾールを含む溶解緩衝液)を用いてカラムから溶出し、0.5mLの分画を回収して、Bradfordアッセイを用いて直接測定した。
【0177】
15.100μLの樹脂を除去して保存し、溶出分画を複合して、複合された分画を溶解緩衝液中で10mLに希釈した。
【0178】
16.複合された分画を、GST結合/洗浄緩衝液(1×PBS)中で透析した(1Lで1時間、2回)。
【0179】
17.透析されたタンパク質を、GST結合/洗浄緩衝液中で前洗浄した5mLのグルタチオン−セファロース樹脂スラリー(GE、カタログ番号17−0756−01)に添加し、4℃で1時間インキュベートした。
【0180】
18.樹脂混合物を700rpmの卓上遠心分離器で2分間回転させ、100μLを「フロースルー」として保存して、上清を破棄した。
【0181】
19.樹脂を空のカラムに添加し、50mLのGST結合/洗浄緩衝液で洗浄して、100μLを除去した。
【0182】
20.溶出緩衝液を用いてタンパク質を溶出した(10mM還元グルタチオンを含む1×PBS緩衝液)。0.5mL分画を回収し、Bradfordアッセイを用いて直接測定した。100μLの樹脂を除去および保存した。
【0183】
21.保存された分画(「合計」、「可溶性」、「フロースルー」(his)、溶出前のHis樹脂、溶出後のHis樹脂、透析後のサンプル、フロースルー(GST)、溶出前のGST樹脂、溶出後のGST樹脂、およびGST分画)を、SDS−PAGEゲル上で分析した(
図14)。
【0184】
22.GST分画を複合し、ストレージ緩衝液中で透析した(50mM HEPES pH7.5、150mM NaCl、1mM DTT、50%グリセロール)。
【0185】
精製されたMMP−2センサーがMMP−2を検出できることを実証するために、精製されたMMP−2センサー(1.3mg/mL)を、
図15に記載されるように、緩衝液中で希釈した(50mM Tris−HCl、pH7.5、150mM NaCl、10mM CaCl
2、および0.05% Brij35)。活性化されたMMP−2(10ng/μL、Anaspec)を、
図15に記載されるように、希釈されたMMP−2センサーに添加した。最終反応混合物の総容積は、50μLであった。混合物を37℃で1時間インキュベートした。Bright−Gloアッセイ試薬(Promega)を製造者の指示に従って調製し、50μLを混合物に添加した。発光をGloMax MultiPlus発光計上で即時に読み取った。
【0186】
図15は、対照(MMP−2センサーからのバックグラウンド)を超える倍率増加を示す。結果は、本発明による精製されたMMP−2センサーを用いて、わずか0.75ngのタンパク質を検出できることを実証する。
【0187】
精製されたMMP−2センサーの感度をさらに実証するために、蛍光性SensoLyte 520MMP−2アッセイ(Anaspec)もちいて、MMP−2タンパク質を検出した。アッセイは、製造者の指示に従って行った。蛍光は、Tecan蛍光計上でEx490nm/Em520nmで検出した。
図16A〜Bは、SensoLyteアッセイを用いて、1.5ng MMP−2タンパク質の検出を報告する。
【0188】
実施例XI:CBSの無細胞発現
【0189】
本発明のプロテアーゼバイオセンサーが、無細胞環境内で外因性プロテアーゼにより効果的かつ効率的に切断され得ることを実証するために、CBS変異型1A5を小麦胚芽抽出物内で発現させ、それを用いてカスパーゼ−3を検出した。
【0190】
CBS変異型1A5を、ベクターpFN19K Halo Tag(登録商標)(Promega、カタログ番号G1841)にクローン化して、CBS−Halo Tag(登録商標)(CBS−HT)融合タンパク質を生成した(配列番号71および72)。20μL(8μg)のCBS−HTベクターを、30μlのTnT(登録商標)SP6高収率小麦胚芽発現系(Promega、カタログ番号L3261)に添加し、25℃で90分間インキュベートした。
【0191】
CBS−HTカスパーゼ−3切断反応の場合、ある容量の発現反応を、カスパーゼ−3を含む等容量の大腸菌溶解物またはC(3)溶解緩衝液(0.8X FastBreak(Promega、カタログ番号V857A)10mM DTT、0.1% CHAPS、0.8mg/mLリゾチーム、3U/μL RQ1 DNase(Promega、カタログ番号M610A))のいずれかを用いてインキュベートし、室温で60分間インキュベートした。カスパーゼ−3を含む大腸菌溶解物を、組み換えカスパーゼ−3を過剰発現するKRX細胞から調製した。つまり、KRX細胞をpTS1k:カスパーゼ−3(T/S)で形質転換させた。スターター培養物(50mL、LBブロス)を単一コロニーから接種し、攪拌しながら(275rpm)37℃で17〜22時間増殖させた。スターター培養物を、新鮮な媒質中に希釈し(1:50)、さらに3時間増殖を継続した。次に、インキュベーション温度を25℃に下げ、15分後、カスパーゼ−3の発現をラムノースの添加により開始した(0.2%最終濃度)。2時間後、細胞を遠心分離により回収し、50mL C(3)溶解緩衝液中に再懸濁し、周囲温度(すなわち、22〜24℃)で10分間インキュベートした。溶解物を遠心分離により除去し(20,000×g、4℃で20分間)、カスパーゼ−3ソースとして使用した。
【0192】
カスパーゼ−3によるCBS−HTの切断は、2つの異なる方法:SDS−PAGE解析および発光検出により検出された。SDS−PAGE解析の場合、切断反応サンプルを、最初に発光マーカーCA−TAMを用いて標識した(クロロアルカン−TAMRAリガンド(Promega、カタログ番号G825A)。20μlのサンプルを(1:100で緩衝液(1×PBS、0.05%)中に希釈した)20μLのCA−TAMに添加し、室温で30分間インキュベートした。このサンプルに、40μLのSDS−PAGE負荷緩衝液(120mMトリス緩衝液(pH7.4)、1% SDS、25.2%グリセロール、1.5mMブロモフェノールブルー、100mM DTT)を添加した。得られた溶液を65℃で30分間インキュベートした。10μLをSDS−PAGEゲルの上に負荷した。対照として、0.60、0.15、および0.03mg/mLのHT:GST(Halo Tag(登録商標)−GST(Promega、カタログ番号G449A)融合もゲルの上に負荷した(
図17)。電気泳動後、CA−TAM標識された種を、蛍光撮像により検出した(ex:532、Em:580、
図17)。発光を介した検出の場合、40μLの切断反応サンプルを60μL緩衝液(50mM HEPES(pH7.5))および100μLのBright−Gloアッセイ試薬に添加した。発光を前述されるように検出した(表7)。
表7
【表7】
【0193】
実施例XII:CBSの固定化
【0194】
無細胞環境内で発現したときの本発明のプロテアーゼバイオセンサーが、固体支持体上に固定化されたときに活性を維持することを実証するために、小麦胚芽抽出液(実施例XI)中で発現したCBS−HT融合を、固体支持体(樹脂およびプレート)に固定化し、カスパーゼ−3を検出するために用いた。
【0195】
樹脂への固定化の場合(
図18A)、HaloLink樹脂(25%スラリー、Promega、カタログ番号G1912)を最初に、HTPB緩衝液で平衡化した(50mM HEPES(pH7.5)、150mM NaCl、1mM DTT、および0.5mM EDTA)。1容量のスラリーからの樹脂を遠心分離により回収し(1000xgで5分)、ストレージ緩衝液を除去した。樹脂ペレットを2容量のHTPB中に再懸濁し、混合した。合計3回のHTPB洗浄のためにこの過程を繰り返した。実施例XI(無細胞発現反応)からの100μLのCBS−HT融合を、25μLの洗浄された樹脂(HTPB中の50%スラリー)と混合し、4℃で混合しながら一晩インキュベートした。インキュベーションは、周囲温度で2時間継続させた。インキュベーション後、樹脂を洗浄して結合されていないCBSを除去した。樹脂を2つの50μL分割量に分け、各分割量をHTPBで3回洗浄した。最終樹脂ペレットを50μLのHTPB中に再懸濁した。
【0196】
CBSカスパーゼ−3切断反応の場合、20μlの洗浄された樹脂を、カスパーゼ−3を含む20μLの大腸菌溶解物、またはC(3)溶解緩衝液(実施例XIと同様)のいずれかと混合し、周囲温度で30分間インキュベートした。60μlのHEPES(pH7.5)をサンプルに添加した後、100μlのBright Gloアッセイ試薬を添加した。発光を前述されるように検出した(表8および
図19)。
表8
【表8】
【0197】
プレートに固定化するために(
図18B)、CBS−HT融合タンパク質を固定化するためのHalo Tag(登録商標)リガンドを含むマイクロタイタープレートを調製した。つまり、アミン−PEG2000−ClアルカンHalo Tag(登録商標)リガンド(0.25mM(最終濃度を含有する重炭酸塩緩衝液pH8.5(100μL)、PBI3961、およびメトキシ−PEG−NH
2(0.75mM最終濃度)を、NHSマイクロタイタープレートのウェルに添加し、室温で1時間インキュベートした。次に、ウェルを0.05% Tween−20を含むPBSで3回洗浄した。洗浄後、50mMのエタノールアミンを添加し、プレートを室温で30分間インキュベートして、0.05% Tween−20を含むPBSで再度3回洗浄した。次に、0.05% Tween−20を含むPBSを各ウェルに含むプレートを4℃で保管した。アッセイのために、ウェルを200μl HPTBで3回洗浄した。50μl CBS−HT無細胞発現反応(実施例XI)をウェルに添加し、4℃で一晩インキュベートした。インキュベーション後、プレートを200μl PBSI(0.05%IGEPALを含む1xPBS)で3回洗浄した。カスパーゼ−3を含む100μLの大腸菌溶解物、またはC(3)溶解緩衝液(上記)を添加し、プレートを室温で混合しながら60分間インキュベートした。次にウェルを100μl PBSIで洗浄した。100μLのHEPES(pH7.5)および100μlのBright−Gloアッセイ試薬を添加し、発光を前述のように検出した(表9)。
表9
【表9】
【0198】
実施例XIII:大腸菌内のCBS発現
【0199】
本発明のプロテアーゼバイオセンサーが、大腸菌内で発現および機能可能であることを実証するために、CBS変異型1A5を大腸菌内で発現させ、それを用いてカスパーゼ−3を検出した。
【0200】
CBS変異型1A5を、Halo Tag(登録商標)(CBSに対するC末端)および5xHQタグ(CBSに対するN末端)を含む、細菌発現ベクター(pFNA:HQ(5x):CBS:HT(7)、配列番号73および74)中にクローン化した。融合タンパク質は、大腸菌内で以下のように発現した。大腸菌(KRX)をベクターで形質転換した。スターター培養物(50mL、LBブロス)を単一コロニーから接種し、攪拌しながら(275rpm)37℃で17〜22時間増殖させた。スターター培養物を誘導媒質(500mL、0.05%グルコースおよび0.02%ラムノースを含むLBブロス)中に希釈し(1:50)、攪拌しながら(275rpm)25℃でさらに17〜22時間増殖を継続させた。培養物を2つの250mL分割量に分け、細胞を遠心分離により回収した(5,000xg、4℃で20分間)。1つの細胞ペレットを溶解緩衝液(25mL、50mM HEPES(pH7.5)、0.2XFastBreak、2mM DTT、0.05% CHAPS、50mMアルギニン、50mMグルタミン酸、0.2mg/mLリゾチーム、10U/mL RQ1 DNase、およびプロテアーゼ阻害剤(Beckton/Dickenson、カタログ番号544779))中に再懸濁し、氷上で30分間インキュベートした。インキュベーション後、サンプルを音波処理した(Misonix Sonicator−3000、合計4分、5秒オン、5秒休止、パワー設定5)。粗溶解物を遠心分離により除去し(20,000xg、4℃で20分間)、上清(除去された溶解物)をCBS源として用いた。カスパーゼ−3切断反応の場合、20μlの除去された溶解物を、カスパーゼ−3を発現する20μLの大腸菌溶解物(実施例XII)と混合し、室温で30分間インキュベートした。60μL HEPES(pH7.5)を添加した後、100μLのBright−Gloアッセイ試薬を添加した。発光を前述されるように検出した(
図20)。
【0201】
実施例XIV:大腸菌からのCBSの精製
【0202】
大腸菌から本発明の機能的プロテアーゼバイオセンサーを精製する能力を実証するために、実施例XIII内で発現したCBSを、HisLink(Promega、カタログ番号V8821))カラムクロマトグラフィーを、製造者の指示に従って用いて精製した。つまり、25mLの除去された溶解物を、NaCl中で0.5M(最終濃度)にし、結合緩衝液(100mM HEPES(pH7.5)、10mMイミダゾール、500mM NaCl)で平衡化された2mLの沈降したHisLink樹脂に適用した。樹脂を12mLの結合緩衝液で洗浄した後、溶出緩衝液(100mM HEPES(pH7.5)、1000mMイミダゾール)で洗浄した。1.75mLの分画を回収した。
【0203】
SDS−PAGEゲル解析の場合、サンプルをCA−TAMで標識し、前述のように解析した(
図21A)。カスパーゼ−3切断反応の場合、20μlの各サンプルを、カスパーゼ−3を発現する20μLの大腸菌溶解物(実施例XII)と混合し、室温で30分間インキュベートした。60μLのHEPES(pH7.5)を添加した後、100μLのBright−Gloアッセイ試薬を添加した。発光を前述されるように検出した(表10および
図21B)。
表10
【表10】
【0204】
実施例XV:CBSを発現した大腸菌の固定化
【0205】
大腸菌内で発現したプロテアーゼバイオセンサーが、固体支持体に固定化され得る一方で、プロテアーゼを検出する能力を維持できることを実証するために、精製されたHQ:CBS:HT(5xHQタグ:CBS:Haloタグ)をHaloLink樹脂およびHaloLinkプレート上に固定化し、カスパーゼ−3による活性化について解析した。HaloLink樹脂上の固定化の場合、100μLの精製されたHQ:CBS:HTを30μLの沈降したHaloLink樹脂(前述されるようにHTPBで事前に平衡化された)に添加し、周囲温度で2時間インキュベートした。樹脂を300μLのHTPBで3回洗浄し、最終樹脂ペレットを300μLのHTPB中で再懸濁した。50μLの洗浄樹脂を、カスパーゼ−3を含む50μLの大腸菌溶解物、または50μLのC(3)溶解緩衝液に添加し、周囲温度で30分間インキュベートした。100μLのBright−Gloアッセイ試薬を添加し、発光を前述のように検出した(表11および
図22)。
【0206】
HaloLinkプレート上の固定化の場合、100μLの精製されたHQ:CBS:HTを、固定化されたHalo Tag(登録商標)リガンド(実施例XII)を含むμタイタープレートに添加した。プレートを室温で2時間混合しながらインキュベートした。次にプレートを1X PBSI(0.05% IGEPALを含む1X PBS)中で3回洗浄し、(前述のように調整された)カスパーゼ−3を含む100μLの大腸菌を用いて室温で30分間インキュベートした。100μLのBright−Gloアッセイ試薬を添加し、発光を前述されるように検出した(表11および
図22)。
表11
【表11】
【0207】
実施例XVI−異なる標的細胞を有するNK92細胞の動態研究
【0208】
本発明のグランザイムBバイオセンサーを用いて細胞媒介性細胞傷害を検出できることを実証するために、3つのグランザイムB認識部位のうちの1つ、または4つの対照認識部位のうちの1つを含むプロテアーゼバイオセンサーを生成した。
【0209】
グランザイムB切断部位の設計:
【0210】
1.既知のグランザイムB標的タンパク質に対するプロテアーゼ部位の検索
【0211】
2.対応する非切断性対照配列を同様に形成する。
【0212】
部位B(BID):GRIEADSE(配列番号80)および負の対照IEAA(配列番号83)(grBおよびカスパーゼ10)
【0213】
部位C(Casp3):GIETDSG(配列番号82)および負の対照IETA(配列番号84)(grBおよびカスパーゼ8)
【0214】
部位D(DDPK):KSVGPDFG(配列番号81)および負の対照VGPA(配列番号85)(grB特異的)
【0215】
構築体を標的細胞(K562細胞)内で発現させ、NKエフェクター細胞を用いて共インキュベートした。発光を検出した。K562標的細胞を以下のベクターのうちの1つで形質導入した。
【0216】
i)pGloSensor(商標)−30F−GRIEADSE:グランザイムBセンサーB(「B+」)
【0217】
ii)pGloSensor(商標)−30F−IEAA:負の対照センサーB(「B−」)
【0218】
iii)pGloSensor(商標)−30F−GIETSDG:グランザイムBセンサーC(「C+」)
【0219】
iv)pGloSensor(商標)−30F−IETA:負の対照センサーC(「C−」)
【0220】
v)pGloSensor(商標)−30F−KSVGPDFG:グランザイムBセンサーD(「D+」)
【0221】
vi)pGloSensor(商標)−30F−IVGPA:負の対照センサーD(「D−」)または
【0222】
vii)pGloSensor(商標)−30F−DEVD:正の対照センサー(「DEVD」)
【0223】
グランザイムBセンサーまたは対照のセンサーを発現する細胞は、G418を用いて選択した。一旦選択されると、グランザイムBセンサーまたは対照センサー標的細胞を、NK92エフェクター細胞を用いてインキュベートした。次に、細胞を共インキュベートし、ルシフェラーゼ検出試薬を添加した、Veritas照度計上で発光を検出した。DEVD構築体は、アポトーシスのすべての誘導剤により活性化するため、正の対照として、カスパーゼ3/7のアポトーシス基質として用いた。
【0224】
正の対照が対照エフェクター細胞株NK92と共働する能力を確立するために、K562細胞を、カスパーゼ3/7切断されたホタル(「DEVD」)バイオセンサー構築体により形質転換した。G418中の希釈を限定することにより、安定した形質転換体が得られた。ルシフェリン(2%)で30分間インキュベートした後、K562細胞を96−ウェル丸底白色プレートのウェルに30,000細胞/ウェルで添加した。次に、NK92細胞を、漸減するエフェクター/標的(E/T)比率(50:1〜0.1:1)でウェルに添加した。プレートを200xgで5分間遠心分離した後、37℃で3分毎に合計60分間、Biotek照度計上で発光を測定した。
図23は、インキュベーションから6分後の発光シグナルの増加、および約40〜45分におけるシグナルの平坦域を示す。発光シグナルの増加は、0.75:1程度に低いE/T比で確認することができる。対照K562標的単独では、低い基底シグナルを有した。DEVDバイオセンサー構築体を発現するNK92およびK562細胞を、5% CO
2インキュベーター内で37℃で、それぞれ90分、140分、および180分間共インキュベートした。プレートを室温で10分間冷却し、Veritasプレートリーダー上で発光を測定した。
図24は、標的単独と比較して、すべての異なるE/T皮質で発光シグナルの誘導を示す。37℃でより長い(180分)インキュベーションほど、より高い発光シグナルを生じた。
図23および24は、正の対照が対照エフェクター細胞株NK92と共働する能力を示す。
【0225】
グランザイムBバイオセンサー、B+、C+、C−、D+、およびD−を、K562細胞中に形質転換し、G418選択を用いて選択した。カスパーゼ3/7バイオセンサー形質転換細胞(K562−DEVDクローン#6、「K562−DEVD#6」)を、上記と同じ方法で処理し、比較とした。細胞を採取し、2%ルシフェリン基質中で再懸濁して、96−ウェル丸底白色プレートのウェルに、1ウェル当たりそれぞれ2x10
5、1x10
5、および5x10
4 個の細胞を等分した。プレートを37℃で30分間インキュベートし、室温で10分間冷却した。発光をVeritasプレートリーダー上で読み取った。
図25は、K562−DEVD#6およびK562−D−(K562−D+構築体細胞の負の対照)標的細胞が、他のグランザイムB構築体標的細胞よりも高い基底発光を有する(すなわち、エフェクターを含まない)ことを示す。
図25は、NK92エフェクター細胞を含むグランザイムBセンサーを発現する標的細胞の共インキュベーションは、NK細胞シグナル伝達が起こるときに発光の生成をもたらすことも示す。さらに、データは、生成された発光が、わずか30,000標的細胞/ウェル内で容易に検出され、96ウェルプレート内の標的細胞に対するエフェクターの比が6:1であることを実証する。
【0226】
K562−DEVD#6、グランザイムB切断可能な(D+)構築体、およびグランザイムB負の対照(D−)構築体標的細胞を検討した。形質転換K562標的細胞(
図26Aおよび26EのK562−DEVDクローン#6、
図26Bおよび26DのK562−D+親株、
図26CのK562−D−親株)を、2%ルシフェリン基質を用いて、37℃で5%CO
2インキュベーター内で30分間インキュベートした。細胞を96−ウェル丸底白色プレートのウェルに30,000細胞/ウェルで等分した。次に、エフェクターNK92細胞の滴定を、様々なエフェクター/標的(E/T)比(12:1〜0.75:1)でウェルに添加した。プレートを200xgで5分間遠心分離し、Biotek照度計内で37℃でインキュベートした。発光を3分毎に合計120分間測定した。
図26A〜Cは、エフェクターNK92細胞が添加されたときのK562−DEVD#6(
図26A)およびK562−D+標的細胞(
図26B)内の発光シグナルの誘導を示すが、K562−D−標的細胞内の発光シグナルの誘導はなかった(
図26C)
図26Dおよび26Eは、
図23に示される結果と同様に、インキュベーションから6分後に発光シグナルの増加を示し、約40〜45分でシグナルの平坦域を示す。また
図26Dおよび26Eは、発光シグナルの増加が、わずか0.75:1という低いE/T比および対照で見られ得ることを示す。K562標的細胞単独は、低い基底シグナルを有した。
【0227】
実施例XVII
【0228】
上記のグランザイムBバイオセンサーを、EL4標的細胞(ATCC Manassas,VA)を用いて、マウス細胞傷害T細胞(CTL)をエフェクターとして使用して試験し、センサーが異なる標的細胞およびエフェクター細胞と共働するか否かを決定した。T細胞受容体(TCR)トランスジェニックP14マウス(A.T.C.C.を通じて入手可能)からの脾臓細胞を、インビトロで、リンパ球性脈絡髄膜炎(LCMV)gp33ペプチドを用いて、3日間(
図27A)または2日間(
図27B)刺激した後、それぞれIL−2内で2日または3日間拡張させた。CTLエフェクター細胞を単離し、2% GloSensor cAMP試薬を用いて事前にインキュベートされたEL4標的細胞を1ウェル当たり20,000個含むプレートに、12:1のエフェクター/標的比で添加した。プレートを200xgで5分間遠心分離し、発光をBiotek照度計で37℃で60分間測定した。
図27Aおよび27Bに示されるように、P14マウスからの活性化されたCTL細胞は、マウスEL4細胞内で抗原特異的認識を通じて、カスパーゼ3/7(DEVD)およびグランザイムB(C+)バイオセンサーを誘起した。
【0229】
実施例XVIII
【0230】
上記のグランザイムBセンサーを試験して、センサーがグランザイムおよび/またはパーフォリン依存性であるか否かを決定した。グランザイムBノックアウト、パーフォリンノックアウト、およびJinxマウスを用い、それらはLykens et al,Blood 118:618−626(2011)に記載されている。マウス(3匹のグランザイムBノックアウトマウス、3匹のパーフォリンノックアウトマウス、3匹のJinxマウス、および5匹の野生型マウス)を、LCMVに感染させた(Lykens et al,Blood 118:618−626(2011)を参照)。感染後7日目に、脾臓細胞を採取し、上記のように形質転換されたgp33−パルスされたEL4標的細胞を、カスパーゼ3/7バイオセンサーまたはグランザイムBバイオセンサーを用いて12:1の比で共インキュベートした。gp33ペプチドは、優勢LCMVエピトープであり、それを用いて抗原をエフェクターT細胞に提示した。発光を37℃でGlomax照度計を用いて90分間測定した。
図28Aおよび28Bは、カスパーゼ3/7バイオセンサーが、グランザイムBの標的細胞への送達およびパーフォリンに依存することを示す。
図29は、グランザイムBバイオセンサー(C+)が、グランザイムBの標的細胞への送達に依存することを示す。
【0231】
グランザイムBセンサー(D+)を発現するNK92およびK562細胞を用いて、パーフォリン依存性殺傷の阻害が、グランザイムBシグナルを遮断するか否かを決定した。NK92細胞を、コンカナマイシンA(CMA)、ブレフェルジン(BFA)、または対照(DMSO)を用いてインキュベートした。発光シグナルを、Veritas照度計上で、60分の共インキュベーション後に、様々なE/T比で37℃で測定した。
図33は、シグナルの分泌顆粒/パーフォリン依存が生成されたことを示す。
【0232】
実施例XIX
【0233】
活性化および特異性を確認するために、GRIEADSE(「GzB1」)、KSVGPDFG(「GzB5」)、GIETDSG(「GzB3」)、またはDEVDG(「GLS−DEVD」)認識および切断部位をコードするバイオセンサー構築体は、GRIEAASE(「GzB2」)、KSVPPAFG(「GzB6」)、GIETASG(「GzB4」)をコードする非切断性対照構築体と一緒に、インビトロで発現させ、マウスまたはヒトグランザイムBで処理した(表12を参照)。バイオセンサー構築体は、小麦胚芽抽出物(Promega、カタログ番号L4140)およびFluorotect(Promega、カタログ番号L5001)内で、製造者の推奨するプロトコルに従って30℃で2時間転写および翻訳した。ヒトグランザイムB(Enzo BML−SE238)またはマウスグランザイムB(Sigma G9278)を、アッセイ緩衝液中で連続的に希釈した(100mM HEPES、pH=7.4、200mM NaCl、0.2% CHAPS、2mM EDTA、20%グリセロール、1mM DTT)。連続的に希釈した酵素を、1:1で無細胞発現抽出物と混合し、サンプルを37℃で1時間インキュベートさせた。1時間後、10μLの反応混合物を、新しいプレートに3重に移した後、100μLのルシフェラーゼアッセイ試薬(Promega、カタログ番号E1500)を注入し、GloMax Multi Plus照度計上で発光を測定した(Promega、0.5秒積分時間)。
図30Aおよび30Bは、グランザイムB切断部位を持つ構築体が、酵素濃度の増加に伴って用量依存性の発光の増加を示したが、P1アスパラギン酸残基を欠失するか、またはカスパーゼ−3/7切断部位(DEVDG)を含む対照構築体は、用量依存性の発光の増加を示さなかったことを示す。
表12
【表12】
【0234】
実施例XX
【0235】
健常な対照患者(WT/WT)および両アレルパーフォリン変異(Mut/Mut)を有する患者から得たヘルペスサイミリウイルス(HSV)変換されたIL−2活性化NK細胞を、様々なE/T比で、グランザイムBバイオセンサーB+、C+、C−、D+、およびD−を含むK562標的細胞と共インキュベートし、G418を用いて選択した。細胞を採取し、2%ルシフェリン基質中で再懸濁して、96−ウェル底プレートのウェルに、1ウェル当たりそれぞれ2x10
5、1x10
5、および5x10
4個の細胞を等分した。プレートを37℃で30分間インキュベートし、室温で10分間冷却した。発光をVeritas照度計プレートリーダー上で読み取った。
図31は、グランザイムB送達が、健常な対照患者(WT/WT)および両アレルパーフォリン変異(MUT/MUT)を有する患者から得たIL−2活性化NK細胞株内の発光を誘導したことを示す。
図31は、生成された発光シグナルのパーフォリン依存を示す。
【0236】
実施例XXI
【0237】
健常なドナー(n=5)からのPBMC細胞を、高用量IL−2(1000U/mL)を用いて4〜8日間培養した。4、5、6、および8日目に、細胞を様々なE/T比で、グランザイムBバイオセンサーD+で形質転換されたK562標的細胞と、37℃で60分間共インキュベートした。
図34は、IL−2への長期曝露後のグランザイムBバイオセンサーからの発光を活性化できることを示す。
【0238】
実施例XXII
【0239】
ヒトCD34細胞を臍帯血(健常ドナー)から単離し、IL−15および幹細胞因子(SCF)内の間質細胞(MS5)上で5週間培養した後、グランザイムBバイオセンサーD+を発現するK562細胞に対する細胞傷害性を試験した。発光を、上述のようにBiotek照度計で37℃で測定した。
図35は、臍帯由来のIL−15刺激細胞が、グランザイムBを放出して、それをグランザイムBバイオセンサーを含む標的細胞に送達し、バイオセンサーからの発光を活性化することが可能であることを示す。
【0240】
実施例XXIII
【0241】
図32A〜Bは、一次NKおよびNK92細胞を有する、カスパーゼ3/7バイオセンサーおよびグランザイムBバイオセンサーの使用を示す。
図36A〜Bは、Jurkat標的細胞内のカスパーゼ3/7バイオセンサーおよびグランザイムBバイオセンサーの使用を示す。
【0242】
すべての発行物、特許、および特許出願は、参照により本明細書に組み込まれる。前述の明細書において、本発明は、その所定の実施形態に関連して説明したが、多くの詳細は、例示の目的で記載されており、本発明は、追加の実施形態の影響を受け易いこと、および本明細書の詳細の一部は、本発明の基本原理から逸脱することなく大幅に変動し得ることは、当業者に明らかとなるであろう。
【0243】
したがって、本発明は、特に、標的分子に対して強化された応答を有する、修飾された円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーを提供する。本発明の様々な特徴および利益は、以下の請求項に記載されている。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕円順列置換熱安定性ルシフェラーゼをコードするポリヌクレオチドであって、
前記円順列置換熱安定性ルシフェラーゼが、非順列置換熱安定性ルシフェラーゼの本来のN末端およびC末端を連結するペプチドリンカーを含み、
前記ペプチドリンカーが、グランザイムB認識部位を含み、
前記円順列置換熱安定性ルシフェラーゼが、切断されていない円順列置換熱安定性ルシフェラーゼと比較したときに、グランザイムBによる切断後に発光が増加する、ポリヌクレオチド。
〔2〕前記グランザイムB認識部位には、ペプチドリンカーが隣接する、前記〔1〕に記載のポリヌクレオチド。
〔3〕前記グランザイムB認識部位が、GRIEADSE(配列番号80)、KSVGPDFG(配列番号81)、またはGIETDSG(配列番号82)である、前記〔1〕または〔2〕のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
〔4〕前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドを含む、ベクター。
〔5〕前記ポリヌクレオチドが、プロモーターに操作可能に連結される、前記〔4〕に記載のベクター。
〔6〕前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド、または前記〔4〕もしくは〔5〕に記載のベクターを含む、細胞。
〔7〕前記〔6〕に記載の細胞を含む、非ヒトトランスジェニック動物。
〔8〕前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドによりコードされた円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサー。
〔9〕細胞またはサンプル中の活性グランザイムBの存在または量のうちの少なくとも1つを検出するための方法であって、
a)前記細胞またはサンプルを、
i)円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーをコードする、前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド、または前記〔4〕もしくは〔5〕に記載のベクター、または前記〔8〕に記載の円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサー、および
ii)前記円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーの基質と接触させることと、および
b)前記細胞またはサンプル内の発光を検出することであって、前記グランザイムBが、前記円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサー内の前記ペプチドリンカーを切断することができ、それにより前記活性グランザイムBの存在または量を検出する、発光を検出することと、を含む、方法。
〔10〕細胞またはサンプル中の活性グランザイムBの存在または量のうちの少なくとも1つを検出するための方法であって、
a)前記細胞またはサンプルを、
i)円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーをコードする、前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド、または前記〔4〕もしくは〔5〕に記載のベクター、または前記〔8〕に記載の円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサー、
ii)前記円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーの基質、および
iii)細胞傷害性リンパ球と接触させることと、
b)前記細胞またはサンプル内の発光を検出することであって、前記グランザイムBが、前記円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーの前記ペプチドリンカーを切断することができ、それにより細胞傷害性リンパ球から放出された前記活性グランザイムBの存在または量を検出する、発光を検出することと、を含む、方法。
〔11〕前記細胞傷害性リンパ球が、患者もしくは患者由来の細胞傷害性Tリンパ球またはサイトカインで活性化されたナチュラルキラー細胞である、前記〔10〕に記載の方法。
〔12〕前記グランザイムBの検出が、前記細胞傷害性リンパ球の前記細胞傷害機能を決定する、前記〔10〕または〔11〕に記載の方法。
〔13〕前記グランザイムB活性の検出が、細胞媒介性細胞傷害を示す、前記〔1〕〜〔12〕のいずれか1項に記載の方法。
〔14〕グランザイムB活性の1つ以上の調節因子についてスクリーニングする方法であって、 a)細胞またはサンプルを、
i)1つ以上の試験薬、
ii)円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーをコードする、前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド、または前記〔4〕もしくは〔5〕に記載のベクター、または前記〔8〕に記載の円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサー、および
iii)前記円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーの基質と接触させることと、および
b)前記細胞またはサンプル内の発光を検出することであって、前記グランザイムBが、前記円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーの前記ペプチドリンカーを切断することができ、それによりグランザイムBの調節因子を識別する、発光を検出することと、を含む、方法。
〔15〕前記調節因子が、グランザイムBの阻害剤である、前記〔14〕に記載の方法。
〔16〕前記阻害剤が、siRNAである、前記〔15〕に記載の方法。
〔17〕前記調節因子が、グランザイムBのエンハンサーである、前記〔14〕に記載の方法。
〔18〕前記エンハンサーまたは阻害剤が、小分子、ペプチドまたはタンパク質である、前記〔15〕および〔17〕に記載の方法。
〔19〕細胞の細胞傷害機能の1つ以上の調節因子についてスクリーニングする方法であって、 a)標的細胞集団を、
i)円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーをコードする、前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド、または前記〔4〕もしくは〔5〕に記載のベクター、または前記〔8〕に記載の円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサー、および
ii)前記円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーの基質と接触させることと、
b)前記標的細胞集団および/または細胞傷害を媒介する細胞を1つ以上の試験薬と接触させることと、および
c)前記標的細胞集団内の発光を検出することであって、前記細胞傷害を媒介する細胞から放出された前記グランザイムBが、前記標的細胞内で前記円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーの前記ペプチドリンカーを切断することができ、それにより前記細胞傷害機能の調節因子を識別する、発光を検出することと、を含む、方法。
〔20〕前記調節因子が、前記細胞傷害機能の阻害剤である、前記〔19〕に記載の方法。
〔21〕前記阻害剤が、siRNAである、前記〔20〕に記載の方法。
〔22〕前記調節因子が、前記細胞傷害機能のエンハンサーである、前記〔15〕に記載の方法。
〔23〕前記エンハンサーまたは阻害剤が、小分子、ペプチドまたはタンパク質である、前記〔20〕および〔22〕に記載の方法。
〔24〕前記スクリーニングが、多重ウェル形式で行われる、前記〔14〕〜〔23〕のいずれか1項に記載の方法。
〔25〕細胞過程内のグランザイムB活性を検出する方法であって、
a)細胞またはサンプルを、
i)1つ以上の試験薬、
ii)円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーをコードする、前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド、または前記〔4〕もしくは〔5〕に記載のベクター、または前記〔8〕に記載の円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサー、および
iii)前記円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーの基質と接触させることと、および
b)前記細胞またはサンプル内の発光を検出することであって、前記グランザイムBが、前記円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサー中の前記ペプチドリンカーを切断することができ、それによりグランザイムB活性を検出する、発光を検出することと、を含む、方法。
〔26〕前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドによりコードされる、ポリペプチド。
〔27〕前記〔26〕に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
〔28〕前記〔26〕に記載のポリペプチドを含む、融合タンパク質。
〔29〕前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド、または前記〔4〕もしくは〔5〕に記載のベクターを含む、キット。
〔30〕非順列置換熱安定性ルシフェラーゼの本来のN末端およびC末端を連結するペプチドリンカーを含む、円順列置換熱安定性ルシフェラーゼをコードする、ポリヌクレオチドであって、
前記ペプチドリンカーが、カスパーゼ−3またはカスパーゼ−7アイソフォームのうちの少なくとも1つにより認識および切断される、カスパーゼ−3またはカスパーゼ−7認識部位を含み、
前記円順列置換熱安定性ルシフェラーゼが、切断されていない円順列置換熱安定性ルシフェラーゼと比較して、カスパーゼ−3またはカスパーゼ−7による切断後に発光が増加する、ポリヌクレオチド。
〔31〕前記カスパーゼ−3またはカスパーゼ−7認識部位には、ペプチドリンカーが隣接する、前記〔30〕に記載のポリヌクレオチド。
〔32〕前記カスパーゼ−3またはカスパーゼ−7認識部位が、DEVDGである、前記〔30〕および〔31〕に記載のポリヌクレオチド。
〔33〕前記〔30〕〜〔32〕に記載のポリヌクレオチドを含む、ベクター。
〔34〕前記ポリヌクレオチドが、プロモーターに操作可能に連結される、前記〔33〕に記載のベクター。
〔35〕細胞傷害機能の1つ以上の調節因子についてスクリーニングする方法であって、
a)標的細胞集団を、
i)円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーをコードする、前記〔30〕〜〔32〕のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド、または前記〔33〕もしくは〔34〕に記載のベクター、または前記〔30〕〜〔32〕のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチド、または前記〔33〕もしくは〔34〕に記載のベクター、および
ii)前記円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーの基質と接触させることと、
b)前記標的細胞集団および/または細胞傷害を媒介する細胞を1つ以上の試験薬と接触させることと、および
b)前記標的細胞集団内の発光を検出することであって、前記細胞傷害を媒介する細胞が、カスパーゼ−3またはカスパーゼ−7のうちの少なくとも1つを活性化することができ、前記少なくとも1つの活性化されたカスパーゼ−3またはカスパーゼ−7が、前記標的細胞集団内の前記円順列置換熱安定性ルシフェラーゼバイオセンサーを切断および活性化し、それにより前記細胞傷害機能の調節因子を識別する、発光を検出することと、を含む、方法。
〔36〕前記調節因子が、前記細胞傷害機能の阻害剤である、前記〔35〕に記載の方法。
〔37〕前記阻害剤が、siRNAである、前記〔35〕に記載の方法。
〔38〕前記調節因子が、前記細胞傷害機能のエンハンサーである、前記〔35〕に記載の方法。
〔39〕前記エンハンサーまたは阻害剤が、小分子、ペプチドまたはタンパク質である、前記〔36〕および〔38〕に記載の方法。
〔40〕前記スクリーニングが、多重ウェル形式で行われる、前記〔35〕〜〔39〕のいずれか1項に記載の方法。