(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記日射センサによる検知結果のデータを、無線によって前記演算手段に送信する第1の近距離無線手段を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の自動潅水機。
前記演算手段から出力される潅水を行う旨の制御信号を、無線によって前記散水手段に送信する第2の近距離無線手段を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の自動潅水機。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0011】
最初に、
図1〜
図3を参照しながら、本発明の実施例1について説明する。
図1には、本発明の自動潅水機の全体構成が示されており、マイコン(マイクロコンピュータ)10を中心に構成されている。マイコン10のCPU100には、表示装置20,日射センサ30,入力設定を行う入力装置40,電磁弁50A〜50Dへの通電を制御するリレー回路52A〜52Dが、それぞれ接続されている。なお、A/Dコンバータなどのインターフェースが必要に応じて設けられている(図示せず)。また、上記各部には、電源60から駆動用の電力が必要に応じて供給されている。前記電磁弁50A〜50Dには、タンク70A〜70Dから水あるいは液肥が供給されており、電磁弁50A〜50Dを通過した水等は、圃場90A〜90Dにそれぞれ設置された散水器80A〜80Dにそれぞれ供給されるようになっている。
【0012】
以上の各部のうち、表示装置20は、設定画面や動作状態を表示するためのもので、LCDパネルやLEDランプなどによって構成されている。日射センサ30は、日射量を計測するためのもので、例えばフォトダイオードなどを利用している。入力装置40は、設定入力を行うためのもので、キーボードや押しボタンスイッチなどによって構成されている。電磁弁50A〜50Dは、タンク70A〜70D内に収容されている水ないし液肥の散水器80A〜80Dへの供給の際に開閉するもので、リレー回路52A〜52DがONとなると、電源60から電力が供給されて電磁弁50A〜50Dは「開」となる。これにより、タンク70A〜70D内の水等が散水器80A〜80Dに供給され、散水器80A〜80Dによって圃場90A〜90D内に散水されるようになる。
【0013】
電源60は、各部に対して電力を供給するためのもので、バッテリを使用してもよいし、商用電源を利用してもよい。あるいは、太陽電池と充電池を組み合わせるようにしてもよい。タンク70A〜70Dは、水や液肥を貯留するためのもので、水道で代用してもよいし、池の水を汲み上げるようにしてもよい。また、図示の例では電磁弁50A〜50D毎に設けたが、電磁弁50A〜50Dに共通して1〜3個のタンクを設けるようにしてもよい。つまり、電磁弁50A〜50Dのうちのいくつかに共通にタンクを設けるようにしてよい。タンク70A〜70Dには、必ずしも同じものを貯留する必要はなく、例えばタンク70A,70Bには水を貯留し、タンク70C,70Dには液肥を貯留するといった具合に、異なるものを貯留してよい。
【0014】
次に、マイコン10について説明する。マイコン10は、例えばワンチップ型のマイクロコンピュータが利用される。マイコン10には、プログラムメモリ110及びデータメモリ120を備えている。プログラムメモリ110には、潅水制御プログラム112が格納されている。潅水制御プログラム112は、日射センサ30によって得られる日射データや入力装置40による入力データに基づいて、潅水制御を行う機能を有するプログラムで、
図2に示すメインルーチンの動作,
図3に示すサブルーチンの動作を行う。
図3以外にも、表示装置20の表示ないし点灯を制御するプログラムなど、多数のサブルーチンも存在する(図示せず)。データメモリ120には、設定データ122や積算データ124が保存されるようになっている。設定データ122は、前記入力装置40によって入力される時刻や日射計数などのデータであり、前記積算データ124は、前記日射センサ30によって得られた日射データや前記潅水制御プログラム112の動作によって得られるデータである。
【0015】
次に、
図2及び
図3のフローチャートも参照しながら、本実施例の全体動作を説明する。なお、
図2及び
図3のフローチャートは、本実施例の主要動作を示したもので、実際には複雑なフローチャートなる。
図1の自動潅水機の電源スイッチ(図示せず)がONとなると、電源60から各部に電力が供給され、マイコン10では、プログラムメモリ110から潅水制御プログラム112が読み出されて、CPU100で
図2に示すメインルーチン,
図3に示すサブルーチンが実行される。
【0016】
最初に、利用者は、開始時刻等の潅水制御条件を入力装置40のキーを押して設定する(ステップSDのN)。すると、当該キーの機能が実行され(ステップSE)、潅水制御条件の設定が行われる。設定された潅水制御条件は、設定データ122として、データメモリ120に格納される。利用者は、以上の動作を繰り返し行うことで、必要な潅水制御条件を設定する(ステップSFのY)。このとき、利用者は、潅水時間ないし潅水量も設定する。
【0017】
上記設定後利用者が電源60をOFFとし再びONとしたとき、あるいは、上記設定後再スタートのキー入力を行ったときは、日照量などの変数の初期化が行われ(ステップSA)。そして次に、制御タスクの起動が行われる(ステップSB)。これにより、
図3に示す制御タスクが起動され(ステップSB)、測定値や時刻が表示装置20に表示されるようになる(ステップSC)。
【0018】
次に、
図3の制御タスクについて説明する。マイコン10のCPU100は、実行している潅水制御プログラム112に基づいて、日射センサ30により日射量を測定する(ステップS10)。
図3の制御タスクは、利用者が設定した潅水制御の開始時刻から(ステップS12のY)、終了時刻まで行われる(ステップS14のN)。
【0019】
利用者によって日射量潅水の設定が行われている(日射係数が設定されている)ときは(ステップS16のY)、日射潅水ポイントPsの積算が行われる。詳述すると、まず、日射センサ30の検知出力から、瞬時日射量が求められる。これを、数1式で示すように、利用者が設定した日射係数で割り、この値を日射潅水ポイントPsとする。なお、日射係数は、その値を大きくすると日射潅水ポイントPsが小さくなり、逆にその値を小さくすると日射潅水ポイントPsが大きくなるもので、潅水対象が日射量に応じてどの程度潅水を必要とするかを考慮して決められる係数である。多く潅水を必要とするときは、日射係数を小さくして日射潅水ポイントPsが増えるように設定し、逆に潅水をあまり必要としないときは、日射係数を大きくして日射潅水ポイントPsが減るように設定するといった具合である。
【数1】
【0020】
そして、この日射潅水ポイントPsを1秒ごとに積算し、積算値ΣPsを求める。日射潅水ポイントPsの積算値ΣPsは、積算データ124として、マイコン10のデータメモリ120に保存される。ここで、定時潅水の設定がなく(ステップS20のN)、数2式に示すように、日射潅水ポイントPsの積算値ΣPsが「1」以上になったときに潅水を行えば(ステップS24のY)、純日射比例式潅水となる(ステップS26)。潅水後は、積算値ΣPsを「0」にリセットする(ステップS28)。
【数2】
【0021】
一方、利用者によって、定時潅水の設定が行われているときは(ステップS20のY)、定時潅水ポイントPtの積算が行われる。詳述すると、まず、定時潅水を行う時刻が、t0,t1,t3,・・・と設定されており、現在時刻がtであるとすると、次の数3式が成り立つ「n」を検索する。
【数3】
【0022】
そして、次の数4式から、定時潅水ポイントPtが求められる。この定時潅水ポイントPtは、定時潅水量を単位時間当たりに換算したものであると考えることができる。
【数4】
【0023】
そして、この定時潅水ポイントPtを1秒ごとに積算し、積算値ΣPtを求める。定時潅水ポイントPtの積算値ΣPtは、積算データ124として、マイコン10のデータメモリ120に保存される。ここで、日射潅水の設定がなく(ステップS16のN)、数5式に示すように、定時潅水ポイントPtの積算値ΣPtが「1」以上になったときに潅水を行えば(ステップS24のY)、純定時式潅水となる(ステップS26)。潅水後は、積算値ΣPtを「0」にリセットする(ステップS28)。
【数5】
【0024】
次に、上述した日射潅水ポイントPsと、定時潅水ポイントPtを1秒毎に積算し、数6式で示す合計積算値Sを求める。この合計積算値Sも、積算データ124として、マイコン10のデータメモリ120に保存される。そして、前記合計積算値Sが「1」を超えたとき、すなわちS≧1で潅水を行えば(ステップS24のY)、日射潅水・定時潅水の両要素を取り込んだ潅水となる(ステップS26)。潅水後は、積算値Sを「0」にリセットする(ステップS28)。
【数6】
【0025】
マイコン10のCPU100は、上述した積算値ΣPs,ΣPtの合計積算値Sが「1」になったときは、リレー回路52A〜52Dに駆動信号を出力する。すると、リレー回路52A〜52DがONとなり、電源60から電磁弁50A〜50Dに電力が供給され、電磁弁50A〜50Dが「開」となる。これにより、タンク70A〜70Dから散水器80A〜80Dに水あるいは液肥が供給され、圃場90A〜90Dにおいて潅水が実施されるようになる。この場合において、上述した日射係数や定時潅水を行う時刻を、圃場90A〜90Dに植え付けした作物毎に設定することで、圃場90A〜90D毎に異なる時刻で潅水が行われる。
【0026】
なお、手動潅水は、利用者が必要に応じて任意の時刻に行う。手動潅水を行ったときは、上述した積算値ΣPs,ΣPtを「0」にリセットすることで、手動潅水後に不要な定時潅水又は日射潅水が行われるといった不具合が抑制される。
【0027】
以上のように、本実施例によれば、日射量と定時の両方を考慮した潅水を行うことができ、日射潅水と定時潅水の競合を避け、禁止時間等を設けることなく、適切な潅水を行うことができる。
【実施例2】
【0028】
次に、
図4を参照しながら、本発明の実施例2について説明する。本実施例は、各部をBluetooth(登録商標)や無線LANなどの近距離(短距離)無線通信を利用して接続するようにした例である。耕作が広範囲に及んでいるような場合、
図1に示した潅水機を複数用いることになる。その際に、各潅水機の間で、日射センサ30を共用するようにしたものが本実施例である。
【0029】
図4において、圃場に散水する散水部201A〜201Nは、潅水制御部201に接続されている。潅水制御部201は、
図1に示したマイコン,表示装置,入力装置によって構成されている。また、散水部201A〜201Nは、
図1に示したリレー回路,タンク,電磁部,散水器によって構成されている。他の潅水制御部202〜206,散水部202A〜206Nについても同様である。
【0030】
上述した日射センサ30の検知信号出力側は、A/D(アナログ/デジタル)変換などの適宜のインターフェース(図示せず)を介して、Bluetoothアダプタ210に接続されている。一方、前記潅水制御部201〜206は、Bluetoothアダプタ211〜216にそれぞれ接続されており、これらと前記Bluetoothアダプタ210との間で交信を行うことで、前記日射センサ30によって計測された日射量のデータが潅水制御部201〜206に送られるようになっている。なお、
図4中、PC(パソコン)220,スマートホン230については後述する。
【0031】
次に、本実施例の全体動作を説明すると、最初に、Bluetoothアダプタ210と、Bluetoothアダプタ211〜216間でペアリングの設定を行い、通信可能な状態とする。日射センサ30によって計測された日射データは、各潅水制御部201〜206からの要求に応じて、もしくは予め設定した時刻に、Bluetoothアダプタ210からBluetoothアダプタ211〜216にそれぞれ無線送信される。そして、Bluetoothアダプタ211〜216で受信された日射データは、それぞれ潅水制御部201〜206に入力され、
図3に示した潅水制御が行われて、散水部201A〜206Nで圃場に対する散水が行われる。
【0032】
なお、上記説明では、Bluetoothアダプタ210からBluetoothアダプタ211〜216の各々に日射データを送信したが、例えば、Bluetoothアダプタ210と211は近いものの、Bluetoothアダプタ210と212〜216が離れており、電波が到達しないときは、例えば、Bluetoothアダプタ210→211→212→213→・・・→216といった具合に、順次日射データを転送するようにしてもよい。
【0033】
次に、PC220及びスマートホン230について説明する。例えば、指定時刻に潅水を行う定時潅水の設定を行う場合、もちろん、潅水制御部201〜206において行うようにしてもよいが、
a,Bluetoothモジュールを内蔵するPC220を利用し、Bluetoothアダプタ210からBluetoothアダプタ211〜216を介して、各潅水制御部201〜206に設定信号を送信する。
b,Bluetoothモジュールを内蔵するスマートホン230を利用し、Bluetoothアダプタ211〜216を介して、各潅水制御部201〜206に設定信号を送信する。
c,設定したデータを、潅水制御部201〜206からPC220やスマートホン230で受信して確認する。
d,潅水制御部201〜206のうちのいずれかの設定データを他の潅水制御部にコピーする,部分的に修正して設定し直す。
e,潅水制御部201〜206のメモリに蓄えた積算日射量、潅水回数,潅水時間数,時刻ごとの瞬時日射量,各チャンネルの潅水合計ポイントの値といった耕作に重要なデータを、Bluetoothネットワークを通してPC220またはスマートホン230に吸い上げる。
といった方法が考えられる。なお、前記PC220の代わりにスマートホン230を用いてもよいし、前記スマートホン230の代わりにPC220を用いてもよい。
【0034】
このように、本実施例によれば、日射センサと潅水制御部をBluetoothネットワークによって無線接続することとしたので、複数の潅水制御部の間で日射センサを共有することができるとともに、配線が不要となるといった利点がある。
【実施例3】
【0035】
次に、
図5を参照しながら、本発明の実施例3について説明する。本実施例は、潅水制御部と散水部との間も、Bluetoothによって無線接続するようにした例である。
図5に示すように、潅水制御部300はBluetoothアダプタ310に接続されており、日射センサ301はBluetoothアダプタ311に接続されており、散水部302〜306は、Bluetoothアダプタ312〜316にそれぞれ接続されている。
【0036】
本実施例では、Bluetoothアダプタ310が中心となって無線網が構築されており、他のBluetoothアダプタ311〜316とそれぞれペアリングされている。日射センサ301によって計測された日射データは、Bluetoothアダプタ311を介してBluetoothアダプタ310に送信され、潅水制御部300に取り込まれる。これにより、潅水制御部300では、上述した潅水制御の演算が行われる。潅水の指示は、Bluetoothアダプタ310からBluetoothアダプタ312〜316に行われ、散水部302〜306で散水が実施される。
【0037】
このように、本実施例によれば、日射センサと潅水制御部の間のみならず、潅水制御部と散水部の間もBluetoothによって無線接続することとしたので、潅水制御部と散水部の間の配線も不要となるといった利点がある。
【0038】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えることができる。例えば、以下のものも含まれる。
【0039】
(1)前記実施例では、4つの圃場90A〜90Dに4つの散水器80A〜80Dをそれぞれ設置した場合を示したが、散水器80A〜80Dの設置態様としては、以下のようなものも考えられる。
a,単一作物が植え付けられている広い圃場に対して、散水器80A〜80Dを設置する。あるいは、一部の圃場に散水器80A〜80Cを設置し、他の圃場に散水器80Dを設置する。
b,散水器80A〜80Dの一部を、予備器として設置する。例えば、圃場HAに散水器80A,80Cを並列に設置し、圃場HBに散水器80B,80Dを並列に設置する。そして、通常は圃場HA,HBに対してそれぞれ散水器80A,80Bで散水を行い、それらが故障したときに、散水器散水器80C,80Dで散水を行う。
c,散水器80A〜80Dの一部で水を散水し、他で液肥を散水する。例えば、圃場HAに散水器80A,80Cを並列に設置し、圃場HBに散水器80B,80Dを並列に設置する。そして、散水器80A,80Bでは水を撒き、散水器80C,80Dでは液肥を撒く。
【0040】
(2)上述した実施例では、日射潅水ポイントPsと定時潅水ポイントPtを1秒毎に積算したが、
a,他の条件,例えば温度を積算値に追加するようにしてもよい。例えば、気温が一定温度(例えば30℃)を超えたときに、積算値ΣPs,ΣPtに一定の係数を掛ける,積算値ΣPs,ΣPtに温度ポイントを加算するといった具合である。逆に、一定温度,例えば10℃以下では潅水を行わないといった設定を行ってもよい。
b,単純にポイント積算を行うのではなく、何らかの関数値あるいはテーブル参照を行って、各ポイントが植物の潅水要求量にどの程度影響するかを補正する。具体的には、日射潅水ポイントPs,定時潅水ポイントPtに係数CA,CBを掛けて加算する。係数CA,CBは定数であってもよいし、日射量等に関係する変数であってもよい。
c,日射比例潅水,定時潅水を有機的に結合することもできる。例えば、日射比例潅水による潅水時間をTs,定時潅水による潅水時間をTtとするとき、数1式で示す日射潅水ポイントPsの積算値ΣPsと、数4式で示す定時潅水ポイントPtの積算値ΣPtとを別々に計算し、それらの合計=ΣPs+ΣPt≧1となったときに、T=Ts×ΣPs+Tt×ΣPtの潅水を行うようにしてもよい。この方法によれば、日射比例による潅水時間,定時潅水による潅水時間をそれぞれ設定し、その寄与割合に応じて潅水を行うことができる。
【0041】
(3)前記実施例では、マイクロコンピュータを利用したが、タブレット型パソコンやスマートフォンなどを利用してもよい。また、前記実施例では、近距離無線通信の規格としてBluetoothを利用したが、ZigBee(登録商標),無線LANなどの他の規格を利用してもよい。更に、前記
図4の実施例と
図5の実施例を組み合わせるようにしてもよい。
【0042】
(4)前記実施例では、本発明の理解を容易にするため、リレー回路,電磁弁,散水器,Bluetoothアダプタ,を分けて説明したが、それらが一体となった散水装置を構成するようにしてもよい。
【0043】
(5)本発明の適用対象としては、農作物,植物などを栽培する露地ないし温室が好適な例であるが、動物に対する散水,道路や屋根などへの散水等にも適用可能である。