(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記少なくとも2種類の重み付け情報は、前記第1の領域の重み付けが前記第2の領域に対して大きくなる第1の重み付け情報と、前記第2の領域の重み付けが前記第1の領域に対して大きくなる第2の重み付け情報を含む、
請求項1又は請求項2に記載の撮像装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、逆光シーンにおいて撮像装置の露出を主被写体に合わせた状態でフラッシュ発光すると主被写体と背景の両方が露出オーバーになってしまうため、逆光シーンでは背景を重視して露出決定することが好ましい。しかしながら、フラッシュ撮影時に常に背景に露出を合わせるように制御されることとなると、背景よりも主被写体が明るいようなシーンにおいて主被写体が露出オーバーになってしまう。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明は、逆光シーンであるか否かにかかわらず、フラッシュ撮影時に好適な露出で撮影することのできる撮像装置及び露光量制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の一側面により提供されるのは、撮像装置であって、撮影光学系と、被写体に照明光を照射する照射手段と、撮影領域を複数の分割領域に分割して測光する測光手段と、測光手段の測光結果に基づいて撮影時の露光量を制御する露光量制御手段と、を備える。露光量制御手段は、撮影に先立って照射手段により照明光が照射された場合に測光手段によって得られる第1の測光情報と、照射手段による照明光の照射が無い場合に測光手段によって得られる第2の測光情報とを取得し、第1の測光情報と第2の測光情報に基づいて少なくとも第1の領域に関する測光値と第2の領域に関する測光値を算出し、該少なくとも2種類の領域の測光値に基づいて撮影時の露光量を制御する。
【0007】
上記構成によれば、撮影領域中の少なくとも第1の領域と第2の領域に関する測光値が得られる。これら2種類の領域は、例えば背景領域と主被写体領域である。これらの2種類以上の領域の測光値に基づいて露光量を決定することにより、逆光シーンであるか否かに拘わらず、フラッシュ撮影時に好適な露出で撮影を行うことが可能となる。なお、第1の測光情報には照明光の影響が含まれている一方、第2の測光情報には照明光の影響が含まれていないので、特に領域に拘らなくても加重平均をとる等の手法により2つの測光値を得ることは可能である。
【0008】
露光量制御手段は、上記少なくとも2種類の領域の測光値を比較して明るい方の測光値に基づいて撮影時の露光量を制御するように構成されていても良い。
【0009】
露光量制御手段は、第1の測光情報と第2の測光情報に基づいて分割領域毎に測光情報の変化量を求め、該求められた変化量に基づいて、第1の領域に関する測光値と第2の領域に関する測光値を算出しても良い。この場合、例えば、第1の領域は、変化量が第2の領域に対して小さい領域に対応し、第2の領域は、変化量が第1の領域に対して大きい領域に対応する。なお、照明光の照射による測光情報の変化量を求めることは、照明光の照射が撮影シーン内の各被写体に対してどの程度寄与するかの度合いを表す寄与率を求めることに相当する。
【0010】
露光量制御手段は、変化量に基づいて、少なくとも2種類の領域にそれぞれ対応する少なくとも2種類の重み付け情報を算出し、該少なくとも2種類の重み付け情報に基づいて少なくとも2種類の領域の測光値を算出しても良い。
【0011】
少なくとも2種類の重み付け情報は、第1の領域の重み付けが第2の領域に対して大きくなる第1の重み付け情報と、第2の領域の重み付けが第1の領域に対して大きくなる第2の重み付け情報を含んでいても良い。
【0012】
露光量制御手段は、第1の重み付け情報を算出する際に、第1の領域の重み付けが第2の領域に対して大きくなるよう設定すると共に、複数の分割領域のうち変化量が所定の変化量より大きい領域についてはその影響が抑えられるように一律の重み付け値を設定しても良い。また、露光量制御手段は、第2の重み付け情報を算出する際に、第2の領域の重み付けが第1の領域に対して大きくなるよう設定すると共に、複数の分割領域のうち変化量が所定の変化量より小さい領域についてはその影響を抑えられるように一律の重み付け値を設定しても良い。
【0013】
なお、所定の変化量は、例えば、主被写体とみなされる領域の測光情報の変化量(すなわち、主被写体とみなされる領域の照明光照射の寄与率)である。
【0014】
露光量制御手段は、変化量に基づいて少なくとも2種類の重み付け情報を算出する際に、重み付け値の上限値及び/又は下限値を設定しても良い。
【0015】
露光量制御手段は、撮影光学系の特性に起因する周辺光量の低下特性、照射手段の配光特性、照射光量の反射特性の少なくとも一つの特性に基づいて撮影時の露光量を補正しても良い。
【0016】
また、本発明の別の側面により提供されるのは、撮像装置において露光量を制御するために実行される露光量制御方法であって、撮影に先立って照射手段により照明光が照射された場合に測光手段によって得られる第1の測光情報と、照射手段による照明光の照射が無い場合に測光手段によって得られる第2の測光情報とを取得し、第1の測光情報と第2の測光情報に基づいて少なくとも第1の領域に関する測光値と第2の領域に関する測光値を算出し、該少なくとも2種類の領域の測光値を比較して明るい方の測光値に基づいて撮影時の露光量を制御する。
【0017】
上記構成によれば、撮影領域中の少なくとも第1の領域と第2の領域に関する測光値が得られる。これら2種類の領域は、例えば背景領域と主被写体領域である。これらの2種類以上の領域に関する測光値に基づいて露光量を決定することにより、逆光シーンであるか否かに拘わらず、フラッシュ撮影時に好適な露出で撮影を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によれば、逆光シーンであるか否かに拘わらず、フラッシュ撮影時に好適な露出で撮影を行うことが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態の撮像装置について図面を参照しながら説明する。以下においては、本発明の実施形態としての撮像装置は、デジタル一眼レフカメラであるものとして説明するが、撮像装置は、デジタル一眼レフカメラに限らず、例えば、ミラーレス一眼カメラ、コンパクトデジタルカメラ、カムコーダ、タブレット端末、PHS(Personal Handy phone System)、スマートフォン、フィーチャフォン、携帯ゲーム機など、撮影機能を有する別の形態の装置に置き換えてもよい。
【0021】
[撮影装置1の構成]
図1は、本実施形態の撮影装置1の構成を示すブロック図である。
図1に示されるように、撮影装置1は、撮影レンズ系10(撮影レンズ11及び12)を備えている。撮影レンズ11と撮影レンズ12との間には絞り13が配置されている。撮影レンズ系10の後方には、ミラー14が配置されている。ミラー14はハーフミラーであり、ハーフミラー面が撮影レンズ系10の光軸AXに対して約45°をなす姿勢で配置されている。
【0022】
被写体からの光束(被写体光束)は、撮影レンズ系10を透過してミラー14に入射される。ミラー14の後方には、ミラー14側から順に、フォーカルプレーンシャッタ15、撮像素子16が配置されている。ミラー14の上方には、ミラー14側から順に、拡散板(焦点板又はピント板)18、ペンタプリズム17が配置されている。
【0023】
ミラー14に入射された被写体光束の一部はミラー14により反射され、拡散板18を介してペンタプリズム17に入射される。拡散板18は、撮像素子16の撮像面と等価な位置に配置されている。そのため、拡散板18には、撮影レンズ系10を通過した被写体光束が結像する。ペンタプリズム17は、複数の反射面を持ち、拡散板18に結像して入射した被写体像を各反射面で反射させることで正立像とし、接眼レンズ19に向けて射出する。接眼レンズ19は、拡散板18上に結像されてペンタプリズム17により正立化された被写体像を、撮影者の観察に適する虚像に再結像する。これにより、撮影者は、接眼レンズ19を覗くことで被写体像を観察することができる。
【0024】
操作部材32には、電源スイッチやレリーズスイッチ、撮影モードスイッチ、ズームスイッチなど、ユーザが撮影装置1を操作するために必要な各種スイッチが含まれる。ユーザにより電源スイッチが押されると、図示省略されたバッテリから撮影装置1の各種回路に電源ラインを通じて電源供給が行われる。CPU(Central Processing Unit)31は電源供給後、所定のメモリ領域(不図示)にアクセスして制御プログラムを読み出してワークエリアにロードし、ロードされた制御プログラムを実行することにより、撮影装置1全体の制御を行う。
【0025】
CPU31は、TTL(Through The Lens)露出計等の測光センサ26で測定された測光値に基づき適正露出が得られるように、絞り駆動回路22を介して絞り13を駆動制御する。状態表示装置33(例えばLCD(Liquid Crystal Display))には、撮影モードやその時点での適正な露光時間、F値等が表示される。
【0026】
レリーズスイッチが半押し操作されると、CPU31は、AF(Autofocus)センサ25の検出結果に基づきレンズ制御回路21を介して、光軸AX上における撮影レンズ11と撮影レンズ12の位置及び位置関係を制御する。これにより、撮影レンズ系10の合焦状態が調整される。次いで、レリーズスイッチが全押し操作されると、CPU31は、シャッタ駆動回路24を介してフォーカルプレーンシャッタ15を駆動制御すると共にミラー14をクイックリターンさせる。すなわち、CPU31は、フォーカルプレーンシャッタ15の先膜走行開始直前から後幕走行終了直後の期間に限り、ミラー駆動回路23を介してミラー14をアップすることにより、撮影レンズ系10の光軸AXと平行な光路からミラー14を退避させる。
【0027】
撮影レンズ系10を透過した被写体光束は、フォーカルプレーンシャッタ15が開いている期間、撮像素子16の撮像面上で結像される。撮像素子16は、例えばCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサであり、撮像面上の各画素で結像した光学像を光量に応じた電荷として蓄積する。撮像素子16は、蓄積された電荷をフローティングディフュージョンアンプにて電圧(ここでは「画素信号」と記す。)に変換し、変換された画素信号をA/D変換回路27に出力する。A/D変換回路27は、入力された画素信号をA/D変換してDSP(Digital Signal Processor)41に出力する。
【0028】
DSP41は、撮像素子16の電荷蓄積動作及び画素信号の読み出し動作を制御すると共に、A/D変換回路27より入力される画素信号に対して所定の信号処理を施す。具体的には、DSP41は、A/D変換回路27より入力される画素信号に対して色補間、マトリクス演算、Y/C分離等の所定の信号処理を施して輝度信号Y、色差信号Cb、Crを生成し、JPEG(Joint Photographic Experts Group)等の所定のフォーマットで圧縮する。バッファメモリ42は、例えば、DSP41による処理の実行時、処理データの一時的な保存場所として用いられる。
【0029】
カードインタフェース43のカードスロットにはメモリカード50が着脱可能に装填される。DSP41は、カードインタフェース43を介してメモリカード50と通信可能である。DSP41は、生成された圧縮画像信号(撮影画像データ)をメモリカード50(又は撮影装置1に備えられる不図示の内蔵メモリ)に保存する。
【0030】
また、DSP41は、Y/C分離後の信号に所定の信号処理を施して、フレームメモリ(不図示)にフレーム単位でバッファリングする。DSP41は、バッファリングされた信号を所定のタイミングで各フレームメモリから掃き出して所定のフォーマットのビデオ信号に変換し、モニタインタフェース44を介してLCD制御回路45に出力する。LCD制御回路45は、DSP41より入力される撮影画像データを基に液晶を変調制御すると共にバックライト47を発光制御する。これにより、被写体の撮影画像がLCD46の表示画面に表示される。ユーザは、適正なピントで撮影された適正な輝度のリアルタイムのスルー画をLCD46の表示画面を通じて視認することができる。
【0031】
例えば、ユーザ操作、撮像装置1が暗い場所であることを検知した場合等により、撮像装置1がフラッッシュモードとなっている場合、CPU31はフラッシュ駆動回路57を制御しフラッシュ58に駆動電圧を印加する。フラッシュ58は、駆動電圧に応じた照射光(閃光)を射出し被写体を照射する。
【0032】
次に本実施形態による、フラッシュ撮影時の測光値決定アルゴリズムについて説明する。以下で詳細に説明するように、本実施形態の測光値決定アルゴリズムは、測光センサ26で得られた分割測光データとプリ発光寄与率とに基づいて、撮影に用いられる最終的な測光値を決定する処理である。なお、プリ発光寄与率とは、プリ発光(撮影に先たちフラッシュを所定の光量で発光させること)をした場合とプリ発光前とで被写体の測光値がどの程度変化したかの度合いを表す情報である。本実施形態の撮像装置1は、測光値決定アルゴリズムとして、分割測光データとプリ発光寄与率とに基づく基本的な測光処理を行う測光値決定アルゴリズム1と、「本発光のターゲット値」(詳細は後述)を更に加味する測光値決定アルゴリズム2とを有する。
【0033】
[測光値決定アルゴリズム1]
はじめに、
図2を参照して、測光値決定アルゴリズム1を説明する。
図2は、分割測光データとプリ発光寄与率を使って最終的な測光値を算出するまでの流れを表すデータフロー図である。なお、
図2(および
図3)では、一例として、分割測光を45×30分割で行うものとする。
図2(および
図3)において「45×30」と記載されたブロックは、分割エリア分の45×30の配列データを表しており、「value」と記載されたブロックは、1個の数値データ(測光値)を表している。
【0034】
測光センサ26で得られた分割測光データD6は、所定の補正アルゴリズムによって補正され補正後の分割測光データD7として求められる。所定の補正アルゴリズムは、例えば、撮影光学系10の特性に起因する周辺光量の低下特性、フラッシュ58の配光特性、照射光量の反射特性(反射率を考慮した色別の補正等)の少なくともいずれかを含んでいる。プリ発光前の分割測光データD1と、プリ発光した場合の分割測光データD2とを対比することによって、プリ発光寄与率D3が算出される。すなわち、プリ発光寄与率D3は、分割領域毎に、プリ発光によって測光データがどの程度変化したかの度合いを示している。
【0035】
次に、プリ発光寄与率D3に基づいて、背景重視の重みマップ(1)(符号D4)と主被写体重視の重みマップ(2)(符号D5)が算出される。ここで、背景重視の重みマップ(1)は、プリ発光寄与率が低いところほど重み付けを大きくしてマップを計算するものである。他方、主被写体重視の重みマップ(2)は、プリ発光寄与率が高いところほど重み付けを大きくしてマップを計算するものである。
図4を参照して、各重みマップについて説明する。
【0036】
背景重視の重みマップ(1)は、
・プリ発光寄与率が低いところほど重みが大きくなり、
・プリ発光寄与率が高いとことほど重みが小さくなる、
ように計算される。なお、この計算には、ルックアップテーブルを用いてもよいし、一定の変換法則に基づいた演算が使用されても良い。また、重みの上限・下限について一定の値で制限するようにしても良い。なお、上記計算のルールは、プリ発光寄与率が高いほど近距離(主被写体)であり、プリ発光寄与率が低いほど遠距離(背景)であるとの仮定に基づき、背景らしい部分ほど重みが高くなるように設定する処理と言うことができる。
【0037】
撮影シーンが、
図4(a)に示すように、背景101から手前側に向かって家具102、ヒト103、鉢104が配置されている逆光のシーンであるとする。
図4(b)の符号111のデータは、
図4(a)のシーンのプリ発光寄与率の配列データである(以下、プリ発光寄与率111と記す)。プリ発光寄与率111では、手前の物体ほどプリ発光寄与率の値は大きくなり(すなわち、手前の物体ほど白くなり)、プリ発光寄与率の値は大きい方から順に、鉢104、ヒト103、家具102、背景101となる。
【0038】
図4(b)の符号112で示すデータは、背景重視の重みマップ(1)を表している。上述のように、背景重視の重みマップ(1)では、プリ発光寄与率が低いところほど重み付けを大きくする。したがって、
図4(b)に示されるように、背景重視の重みマップ(1)は、プリ発光寄与率が低いところほど値が大きくなる(したがって白くなる)。すなわち、背景重視の重みマップ(1)では、値の大きい方から順に、背景101、家具102、ヒト103、鉢104となる。
【0039】
他方、主被写体重視の重みマップ(2)では、プリ発光寄与率が高いところほど重み付けを大きくする。具体的には、主被写体重視の重みマップ(2)は、
・プリ発光寄与率が低いところほど重みが小さくなり、
・プリ発光寄与率が高いとことほど重みが大きくなる、
ように計算される。この計算の意図は、背景重視の重みマップ(1)とは逆に、主被写体らしい部分ほど重みが高くなるように設定することにある。なお、主被写体よりもさらに近距離の別の被写体があった場合には、その被写体の重みが大きくなりすぎる可能性がある。また、重みがゼロ等極端に小さいエリアが多くあると、結果的に画面のごく一部だけに重みが偏って極端な結果が生じる可能性がある。したがって、重みには、適切な上限値、下限値を設定することが好ましい。
【0040】
図4(c)の符号114で示したデータは、主被写体重視の重みマップ(2)を表している。なお、
図4(c)に示されるように、主被写体重視の重みマップ(2)は、プリ発光寄与率が高いところほど値が大きくなる(したがって白くなる)。すなわち、主被写体重視の重みマップ(2)では、値の大きい方から順に、鉢104、ヒト103、家具102、背景101となる
【0041】
図2に戻り、背景重視の重みマップ(1)(D4)と、分割測光データD7との重み付け平均をとることにより背景重視の測光値D8が得られる。また、主被写体重視の重みマップ(2)と分割測光データD7との重み付け平均をとることにより、主被写体重視の測光値D9が得られる。背景重視の測光値D8と主被写体重視の測光値D9のうちのより高い(すなわち、明るい)方が最終的な測光値D10として採用される。最終的な測光値D10にしたがって、露光量が決定されるとともにフラッシュが本発光制御され撮影が行われる。なお、ここでは、2種類の測光値D8、D9に基づき最終的な測光値を決定したが、3種類以上の測光値に基づき最終的な測光値を決定するようにしても良い。測光値の計算の具体例を以下2例示す。
【0042】
(例1)
逆光シーンで、主被写体の輝度がLv5で、背景の輝度がLv10であった場合を想定する。この場合、背景の輝度が高い状況なので、背景重視の測光値D8は、背景を重視した値となることから、例えば、Lv9.5となる。他方、主被写体重視の測光値D9は、主被写体を重視した測光値であるから、例えば、Lv5.5となる。2つの測光値のうち、より明るいのはLv9.5であるから、最終的な測光値としては、Lv9.5が採用される。
【0043】
この露出でフラッシュ撮影すると、背景は、適正露出より0.5Evだけオーバーに撮影され、主被写体は、フラッシュにより適正露出となる。結果として、逆光らしさも残しつつ、主被写体と背景をバランスよく露出した画像を得ることができる。
【0044】
(例2)
上記例1とは逆に、暗い背景の中に主被写体だけが照らされて明るいようなシーンを想定する。主被写体の輝度がLv10で、背景の輝度がLv5であるとする。この場合、背景重視の測光値D8は、背景を重視した値となることから、例えば、Lv5.5となる。他方、主被写体重視の測光値D9は、主被写体を重視した測光値であるから、例えば、Lv9.5となる。2つの測光値のうち、より明るいのはLv9.5であるから、最終的な測光値としては、Lv9.5が採用される。
【0045】
この露出でフラッシュ撮影すると、主被写体は、0.5Evだけオーバーに撮影され、背景は、4.5Evアンダーに撮影される。主被写体にはフラッシュが照射されるが、主被写体は十分に明るい為、発光量はかなり抑えられる。結果として、背景がほぼ真っ暗となるが、主被写体が大きく白飛びすることが回避される。
【0046】
[測光値決定アルゴリズム2]
次に
図3を参照して、本発光のターゲット値を更に加味する測光値決定アルゴリズム2について説明する。なお、
図3において、
図2と同等の要素には、同一の符号を付している。
【0047】
測光センサ26で得られた分割測光データD6は、所定の補正アルゴリズムによって補正され補正後の分割測光データD7として求められる。プリ発光前の分割測光データD1と、プリ発光した場合の分割測光データD2とを対比することによって、プリ発光寄与率D3が算出される。
【0048】
測光値決定アルゴリズム2では、プリ発光寄与率を解析し、寄与率がいくつの部分を適正露出にしたいかを決定し、これにより本発光光量が決定される。この際、本発光した時に適正露出とする寄与率を「本発光のターゲット値」と呼ぶ。一例として、
図4(a)に示したようなシーンでは、主被写体であるヒトの寄与率に近い値が本発光のターゲット値となる。
【0049】
本発光のターゲット値(符号D21)が、背景重視の重みマップ(1)(符号D24)および主被写体重視の重みマップ(2)(符号D25)の算出に利用される。各重みマップの算出例について
図5を参照して説明する。ここでも、撮影シーンは、
図4(a)に示した逆光シーンであるとする。
図5(a)は、背景重視の重みマップ(1)の生成を説明する図であり、
図5(b)は、主被写体重視の重みマップ(2)の生成を説明する図である。
【0050】
背景重視の重みマップ(1)は、プリ発光寄与率が低いところほど重みを大きくするマップである。背景重視の重みマップ(1)は、プリ発光寄与率のデータに基づいて、一例として、下記の様なルールに従って生成する。
(a1) 寄与率が本発光のターゲット値を下回るエリアは、ターゲット値との差分に応じた重みを付ける。
(a2) 寄与率が本発光のターゲット値以上となるエリアは、重みを予め設定した最小値にする。
(a3) 重みは上限、下限の両方について一定の値で制限する。
なお、ここでは、本発光のターゲット値は、主被写体であるヒトの寄与率に近い値に決定されているものとする。少なくとも、上記ルール(a1),(a2)を適用することによって、本発光で適正以上に明るくなる主被写体エリアの測光値をなるべく使用せずに、本発光で明るくならない背景エリアを、その度合いに応じて重視して測光することが可能となる。
【0051】
このターゲット値の場合、
図5(a)のプリ発光寄与率111に示されるように、背景101、家具102のエリアがターゲット値を下回るエリアとされ、ヒト102及び鉢103のエリアがターゲット値以上のエリアとされる。したがって、背景重視の重みマップ(1)は、
図5(a)の符号115で示すようなマップとなる。より詳細には、背景重視の重みマップ(1)は、寄与率がターゲット値以上と認識されたエリア(鉢104及びヒト103のエリア)が、予め設定した最小値となり(すなわち、黒くなり)、寄与率がターゲット値を下回るエリア(家具102及び背景101のエリア)は、その寄与率とターゲット値との差分に応じた値に設定される。
【0052】
次に、主被写体重視の重みマップ(2)について説明する。主被写体重視の重みマップ(2)は、プリ発光寄与率が高いところほど重みを大きくするマップである。主被写体重視の重みマップ(2)は、プリ発光寄与率のデータに基づいて、一例として、下記の様なルールに従って生成する。
(b1) 寄与率が本発光のターゲット値以上となるエリアは、ターゲット値との差分に応じた重みを付ける。
(b2) 寄与率が本発光のターゲット値を下回るエリアは、重みを予め設定した最小値にする。
(b3) 重みは上限、下限の両方について一定の値で制限する。
少なくとも、上記ルール(b1),(b2)を適用することによって、本発光で適正以上に明るくなる主被写体エリアをなるべく重視しながら、本発光で明るくならない背景エリアの測光値をあまり使用しないことが可能になる。
【0053】
図5(b)のマップ116は、上記ルール(b1)〜(b3)にしたがって生成された主被写体重視の重みマップ(2)である。
図5(b)に示されるように、プリ発光寄与率がターゲット値を下回るエリア(背景101及び家具102のエリア)は、予め設定した最小値となり(すなわち、黒くなり)、プリ発光寄与率がターゲット値以上のエリア(ヒト102及び鉢103のエリア)は、そのプリ発光寄与率とターゲット値との差分に応じた値に設定される。
【0054】
図3に戻り、補正後の分割測光データD7について、背景重視の重みマップ(1)(符号D24)を用いて重み付け平均をとることにより、背景重視の測光値D28が取得される。また、補正後の分割測光データD7について、主被写体重視の重みマップ(2)(符号D25)を用いて重み付け平均をとることにより、主被写体重視の測光値D29が取得される。背景重視の測光値D28と主被写体重視の測光値D29のうちより高い(すなわち、明るい)方が最終的な測光値D30として採用される。最終的な測光値D30にしたがって、露光量が決定されるとともにフラッシュが本発光制御され撮影が行われる。
【0055】
図6は、
図2及び
図3を参照して説明した測光値決定アルゴリズムをその主要な内容とする露光制御処理をフローチャートして表した図である。露出制御処理は、CPU31に接続されたROM(不図示)にプログラムとして格納されており、レリーズボタンの半押し等の所定のユーザ操作によって起動され、CPU31の制御の下で実行される。露出制御処理が起動されると、プリ発光が行われると共に、上述したプリ発光寄与率の算出が行われる(ステップS1)。
【0056】
次に、プリ発光寄与率に基づいて背景重視の重みマップ(1)及び主被写体重視の重みマップ(2)が生成される(ステップS2)。なお、測光値決定アルゴリズム2が実行される場合には、ステップS2では、上述のように本発光のターゲット値がさらに加味される。次に、補正済み分割測光データを背景重視の重みマップ(1)にしたがって加重平均することで背景重視の測光値が算出され、また、補正済み分割測光データを主被写体重視の重みマップ(2)にしたがって加重平均することで主被写体重視の測光値が算出される(ステップS3)。
【0057】
背景重視の測光値と主被写体重視の測光値の内、明るいほうが最終的な測光値として採用される(ステップS4)。最終的な測光値にしたがって、露光量が決定されるとともにフラッシュが本発光制御され撮影が行われる(ステップS5)。
【0058】
以上説明したように本実施形態によれば、逆光シーンであるか否かに拘わらず、フラッシュ撮影時に好適な露出で撮影を行うことができる。背景重視の重みマップ(1)と主被写体重視の重みマップ(2)を上述のように算出することによって撮影シーン内の被写体を精度よく区別できるため、上記効果が発揮されることとなる。特に、測光値決定アルゴリズム2を使用した場合、撮影シーン内の被写体をさらに精度よく区別できるため、上記効果がよりいっそう発揮される。
【0059】
以上が本発明の例示的な実施形態の説明である。本発明の実施形態は、上記に説明したものに限定されず、本発明の技術的思想の範囲において様々な変形が可能である。例えば明細書中に例示的に明示される実施形態等又は自明な実施形態等を適宜組み合わせた内容も本発明の実施形態に含まれる。