【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 特許法第30条第2項適用、アネスト岩田株式会社中部支店およびNISHII PAINT SHOW 2014にて公開
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
また、各部材において「一端(側)」とは、シリンダの状態に組み付けられたときに、液体排出口側に近い側を示し、「他端(側)」とは、逆に液体排出口から遠い側を示す。
【0015】
図1は、本発明のシリンダ1の外観を示す斜視図である。
図1に示すようにシリンダ本体10は、シリンダ筒部12とシリンダ筒部12の液体排出側端部に着脱自在に取付部品13によって取り付けられたシリンダ蓋部11とを備えている。
シリンダ蓋部11は、中央に液体排出口11aとなる貫通孔が形成されており、ピストンロッド20内に配置される液体供給配管30から供給される液体が、このシリンダ蓋部11の中央の液体排出口11aから排出され、図示しない塗装機器(液体塗布装置)などに液体が供給される。
【0016】
液体供給配管30の基端側(図右側)には、図示しないバルブが設けられ、さらに、バルブよりも基端側には、液体供給用ポンプ(図示せず)が設けられており、バルブを解放状態とした状態で、このポンプを駆動することにより液体タンク(図示せず)内の液体がシリンダ本体10内に供給される。
なお、シリンダ蓋部11の液体排出口11aに接続される図示しない液体排出用配管は、塗装機器側と液体タンク側とに分岐した配管になっており、ポンプを駆動してシリンダ本体10内に液体を供給するときには、塗装機器側への配管に設けられるバルブが閉じられるとともに、液体タンク側への配管に設けられるバルブが開かれた状態になっている。
【0017】
そして、液体タンクからポンプによってシリンダ本体10に供給された液体がシリンダ蓋部11の液体排出口11aに接続される液体排出用配管を通って液体タンク内に戻る循環を行うことで空気などが残らないようにシリンダ本体10内に液体を充填する。
【0018】
シリンダ本体10内に液体が充填されると、液体供給配管30の基端側のバルブおよびシリンダ蓋部11の液体排出口11aに接続される液体排出用配管の液体タンク側への配管に設けられるバルブが閉じられ、シリンダ蓋部11の液体排出口11aに接続される液体排出用配管の塗装機器側への配管に設けられるバルブが開かれた状態とした後、ピストンロッド20を駆動させることによって、シリンダ本体10内に充填された所定量の液体がピストンロッド20の先端に設けられたピストンヘッド(図示せず)によって押出されて塗装機器へと供給されることで、被塗物に対して定量の液体の塗布が実施される。
【0019】
次に、
図1のシリンダ1を分解した分解平面図である
図2および
図1のシリンダ1の断面図である
図3を参照して、シリンダ1の組立手順等を説明しながら部品構成について説明する。
図2および
図3に示すように、シリンダ筒部12の液体排出側端部の内周面には、段差部(
図3参照)が設けられており、この段差部に嵌めるようにバッフル板14を配置する。なお、バッフル板14の詳細な説明は、後ほど行う。
【0020】
また、シリンダ筒部12の液体排出側端部の端面には、リング溝(
図3参照)が形成されており、このリング溝に嵌めるようにOリング15を配置する。
この状態で、シリンダ筒部12の液体排出側端部にバッフル板14を押さえるようにシリンダ蓋部11を被せ、シリンダ蓋部11を取付部品13でシリンダ筒部12に着脱可能に取り付ける。
このようにして、バッフル板14は、シリンダ筒部12の端部とシリンダ蓋部11との間に設けられる。
【0021】
次に、シリンダ筒部12内に摺動可能に配置されるピストンヘッド21などの部分の組立について説明する。
ピストンヘッド21の一端側の外周面には、溝部21aが形成されており、この溝部21aに一端側から補助摺動ガイドリング22を嵌めこみ、さらに、一端側からOリング23を嵌めこむ。
この補助摺動ガイドリング22は、Oリング23よりも硬度が高く変形しにくい素材からなり、シリンダ筒部12内をピストンヘッド21が摺動するときの位置合わせの役目を果たす部材である。
【0022】
一方、Oリング23は、ピストンヘッド21とシリンダ筒部12との間で弾性変形し、隙間ができないようにする弾性材料からなる部材である。
続いて、ピストンヘッド21の他端側の外周21bに他端側から摺動ガイドリング24を装着する。
この摺動ガイドリング24も補助摺動ガイドリング22と同じ材料からなり、補助摺動ガイドリング22と共同でシリンダ筒部12内をピストンヘッド21が摺動するときの位置合わせの役目を果たす部材である。
【0023】
ピストンロッド20のピストンヘッド21側となる端部(一端側端部)の外周には、段差面20aが形成されており、この段差面20aに締め付けリング25を嵌めた後に、摺動ガイドリング24を装着したピストンヘッド21の他端側にピストンロッド20を固定することで摺動ガイドリング24がピストンヘッド21に締め付けリング25によって締め付けられ、摺動ガイドリング24がピストンヘッド21に締め付け固定される。
なお、ピストンロッド20の他端側端部の外周面には、リング部材26が装着されている。
【0024】
ピストンロッド20の固定について、より具体的に説明すると、ピストンヘッド21の他端側の内部は、雌ねじ構造が形成された中空状になっており、一方、ピストンロッド20の段差面20aの表面には、雄ねじ構造が形成されている。
このため、ピストンヘッド21の雌ねじ構造にピストンロッド20の雄ねじ構造を螺合させることでピストンロッド20をピストンヘッド21に固定することができるようになっている。
【0025】
また、
図3に示すように、ピストンヘッド21の一端側には、一端側から上述した中空状の部分に連通した中空状の部分よりも直径の小さい液体供給部用貫通孔21cが形成されており、液体供給部用貫通孔21c内にも、液体供給部31の外周に形成される雄ねじ構造に対応した雌ねじ構造が形成されている。
なお、液体供給部用貫通孔21cの直径は、液体供給部31の外径とほぼ等しくなっている。
【0026】
そして、
図3に示すように、ピストンロッド20も他端側から一端側に向かって中空状に形成されているので、ピストンロッド20は、液体供給配管30をピストンロッド20の内部に配置することが可能であり、ピストンロッド20の他端側からピストンロッド20の内部を通してピストンロッド20の一端側に挿通された液体供給配管30の端部には、液体供給部31が取付けられている。
したがって、上述したピストンロッド20のピストンヘッド21への取付に先立って、ピストンヘッド21の液体供給部用貫通孔21c内に液体供給部31を位置させるように、ピストンヘッド21に対して着脱可能に液体供給部31を螺合させることで、ピストンヘッド21に対して液体供給配管30が着脱可能に接続される。
【0027】
なお、上記のピストンヘッド21に対する液体供給配管30の接続に先立って、シリンダ筒部12の液体排出側端部と反対側の端部に取付けるピストンヘッド21が抜けるのを防止する抜止防止部材16をピストンロッド20上に挿通させておき、ピストンヘッド21に対する液体供給配管30の接続やピストンロッド20の固定を終えた後に、ピストンヘッド21をシリンダ筒部12内に挿入して、シリンダ筒部12に抜止防止部材16を固定することで
図1に示したシリンダ1となる。
【0028】
次に、上記の構成からなるシリンダ1の作用効果について説明する。
図4は、シリンダ本体10のシリンダ蓋部11近傍の分解斜視図である。
なお、
図4は、取付部品13の一部を切り欠いて中が見える図にしている。
図4を見るとわかる通り、バッフル板14の外周には、外周に沿ってシリンダ筒部12側からシリンダ蓋部11側に液体を通過させる複数の貫通流路14aが形成されている。
この貫通流路14aは、
図3に示すように、シリンダ蓋部11の外周に開口するように形成されている。
一方、バッフル板14の中央側には、貫通孔はなく閉塞された状態になっている。
【0029】
このようなバッフル板14を設けた状態で洗浄液を供給した場合の洗浄液の流れを
図5に示す。
図5に示すように、ピストンヘッド21の中央に設けられた液体供給部31の液体供給孔31aから太矢印で示すようにシリンダ筒部12内に供給された洗浄液は、バッフル板14に衝突し、バッフル板14に沿って外側に流れる。
【0030】
ここで、バッフル板14の貫通流路14aのない部分では、シリンダ蓋部11側に行かずに洗浄液は、シリンダ筒部12に沿ってピストンヘッド21側に戻るように流れ、ピストンヘッド21とシリンダ筒部12との間の隙間に流れ込む。
このため、この隙間内に位置するOリング23のところに洗浄液が届き、この隙間やOリング23に付着している液体を洗浄する。
一方、バッフル板14の貫通流路14aを通ってシリンダ蓋部11側に流れる洗浄液は、シリンダ蓋部11の外側部分に噴出するため、この端の部分に付着している液体を良好に洗浄して液体排出口11aへと向かう。
したがって、従来では洗浄が不足がちであったOリングや液体排出口11aの外側の隅(角部)を良好に洗浄することが可能である。
【0031】
ところで、液体の供給口に対して排出口が小さい場合、排出口から排出される液体の流速が速くなる、つまり、液体の勢いが強くなる。
そこで、バッフル板14に設けられる貫通流路14aの開口断面積を総和した総開口断面積が、液体供給部31の液体供給孔31aの断面積よりも小さくなるように貫通流路14aを形成しておくことでシリンダ蓋部11側に吹き出す洗浄液の勢いを高めることができ、洗浄力を高めることができる。
したがって、バッフル板14に設けられる貫通流路14aの開口断面積を総和した総開口断面積が、液体供給部31の液体供給孔31aの断面積よりも小さいことが好適である。
【0032】
また、
図5の点線の四角で示すA部分を拡大した図である
図6に示すように、液体供給配管30の内径が、液体供給部31の液体供給孔31aと略等しい内径にされている。
このため、液体供給配管30から液体供給孔31aに供給される液体の溜りになるような段差がほとんど無い状態で液体供給配管30と液体供給部31とはつながっている。
したがって、液体がたまるような段差がないので洗浄液で洗浄しにくい部分ができないようになっている。
【0033】
さらに、シリンダ1は、シリンダ蓋部11がシリンダ筒部12に対して着脱可能であるので、簡単に分解洗浄することもできるようになっている。
加えて、ピストンヘッド21に対して着脱可能に液体供給部31は設けられているので、液体供給部31を取外すことで簡単に液体供給配管30を取外すことができる。
したがって、液体供給配管30の内面に液体が膠着した場合、簡単にきれいな液体供給配管30に交換することが可能である。
ただし、部品点数を減らす意味からすれば、ピストンヘッド21に一体に液体供給部31を形成するようにしてもよい。
なお、液体供給配管30の材質としては、液体の膠着が起きにくいフッ素系樹脂からなる配管が好適である。
【0034】
一方、シリンダ1では、ピストンヘッド21に中空状のピストンロッド20を螺合させることで取り付けるようにしている。
一般的に、ピストンヘッド21とピストンロッド20とは一体に形成されている場合が多く、この場合、ピストンヘッド21に求められる寸法精度が高いことから、削り出しによってピストンヘッド21とピストンロッド20の部分が形成されることになる。
【0035】
しかしながら、本発明のシリンダ1では、ピストンヘッド21とピストンロッド20とが別部品で構成されているので寸法精度が求められるピストンヘッド21の部分だけを削り出しで製作し、ピストンロッド20の部分は、市販のシームレスパイプなどの中から求める強度のものを選んで簡単な加工を施すことで作製することができるので製作コストを大幅に低減することが可能である。
【0036】
さらに、必要な強度が得られる必要最小限の肉厚のパイプ材を用いることでピストンロッド20の質量を大幅に軽減することが可能である。
例えば、上述した削り出しで質量を軽くすることは、削り量を増やすことになりコストアップにつながるが、シームレスパイプにおいては肉厚が少ないことは、材料コストが減ることになり、安価になる傾向にある。
このように、ピストンロッド20にパイプ材を使用するようにすることで質量の低減と部品価格低減との両方を同時に実現することが可能になる。
【0037】
次に、上記の構成からなるシリンダ1の好適な洗浄方法について説明する。
まず、ピストンヘッド21をバッフル板14に近づけるようにピストンロッド20を駆動させ、シリンダ筒部12内の液体を出来るだけ排出する。
例えば、バッフル板14とピストンヘッド21との間の距離が10mm以内、より好ましくは5mm以内になるまでピストンヘッド21をバッフル板14に近づける。
【0038】
なお、この距離は、ピストンヘッド21に対向するバッフル板14の面と、バッフル板14に対向するピストンヘッド21の面との間の距離であり、以降でも、バッフル板14とピストンヘッド21との間の距離は、ピストンヘッド21に対向するバッフル板14の面と、バッフル板14に対向するピストンヘッド21の面との間の距離として定義されるものとする。
【0039】
この状態で、所定の時間の間、液体供給配管30から洗浄液を供給するとともに、シリンダ蓋部11の液体排出口11aから洗浄液を排出することで、シリンダ本体10内に残っている液体を排出する。
【0040】
次に、所定の時間が経過すると、液体供給配管30から洗浄液を供給しつつ、シリンダ蓋部11の液体排出口11aから洗浄液を排出している状態を保ったまま、ピストンロッド20を駆動して、ピストンヘッド21をバッフル板14から遠ざかる側に移動させて、シリンダ筒部12の内側側面に付着している液体を洗浄液で洗い流す作業を実施する。
【0041】
そして、ピストンヘッド21が、シリンダ筒部12のバッフル板14から最も遠ざかった位置まで到達したときに、洗浄液の供給を停止し、再び、ピストンヘッド21をバッフル板14側に移動させ、先ほどと同様に、ピストンヘッド21とバッフル板14との距離が10mm以内、より好ましくは、5mm以内となる位置までピストンヘッド21をバッフル板14に近づけて、シリンダ本体10内の洗浄液を排出する。
【0042】
上記のようにして洗浄液の排出を行った後、再び、洗浄液の供給を開始し、今度は、ピストンヘッド21とバッフル板14との距離が、10mm以内の範囲でバッフル板14に対してピストンヘッド21を近づけたり離したりを周期的に繰り返すようにピストンヘッド21を往復移動させるようにピストンロッド20を駆動させ、所定回数のピストンヘッド21の往復移動を行う。
【0043】
ピストンヘッド21とバッフル板14との間の距離が10mm以内の状態で洗浄液を供給すると、供給された洗浄液がバッフル板14で効率よく跳ね返されるので上記作用効果で説明した洗浄液の良好な流れを実現できるだけでなく、10mm以内の離間距離の範囲でピストンヘッド21を往復移動させることで、さらに、シリンダ本体10内の洗浄液は激しくシャッフルされるので、効率よくOリング23のところやシリンダ蓋部11の隅(角部)などに付着している液体を洗い流すことができる。
【0044】
このため、従来のように、フルストロークの洗浄、つまり、ピストンヘッド21を液体排出口11a側と液体排出口11a側から最も遠くなる側との間を、往復させる動きを繰り返しながら洗浄を行うのに比べて、洗浄時間を大幅に短縮できるとともに洗浄液の使用量も大幅に削減することが可能にできるだけでなく、特に、液体の残留しやすい部分(Oリング23やシリンダ蓋部11の隅(角部))を集中的に効率よく洗浄できるので、Oリング23やシリンダ蓋部11の隅(角部)などに付着する液体の残留量を大幅に低減することが可能である。
【0045】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。
上記実施形態では、ピストンロッド20を筒状の部材とし、ピストンヘッド21にピストンロッド20を着脱可能に取付ける態様とすることで、質量の低減を図るとともに、部品コストの低減も図れる多様としている。
【0046】
また、液体供給配管30の端部にピストンヘッド21との接続を担うとともに、液体を供給する部分を担う液体供給部31を設け、この液体供給部31がピストンヘッド21に対して着脱可能に取付けられることで液体供給配管30もピストンヘッド21に着脱可能に接続された形態とし、簡単に、ピストンヘッド21に至るまでの液体供給配管30を交換できる態様としている。
【0047】
このような態様とすることが好適であることは言うまでもないが、シリンダ本体10内の液体の残留しやすい部分(Oリング23やシリンダ蓋部11の隅(角部)など)の洗浄性を高めるという観点からすれば、必須の要件ではない。
【0048】
したがって、ピストンヘッドとピストンロッドとが一体で形成され、ピストンロッドのピストンヘッドと反対側となる位置からピストンヘッドに至るまで内部に液体流路となる貫通孔が形成され、その貫通孔のピストンロッド側の開口部分に液体タンクから液体を供給する液体供給配管が接続されるような形態に変更してもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、バッフル板14のピストンヘッド21と対向する面を平らな面にしているが、この面に中央から外側に向かって溝を形成するようにしてもよい。
例えば、バッフル板14の貫通流路14aの設けていない外周に向けて溝を形成すると、液体供給孔31aから供給された洗浄液が、この溝部に沿って流れるので、直接、貫通流路14aに向かう洗浄液の量を減らすことができ、代わりに、シリンダ筒部12に沿ってピストンヘッド21側に向かう洗浄液の量を増やすことができるので、より好適にOリング23の近傍を洗浄することが可能となる。
この場合でも、Oリング23近傍の洗浄を終えた洗浄液は、貫通流路14aを通じて勢いよくシリンダ蓋部11側に流れるのでシリンダ蓋部11側も好適に洗浄することが可能である。
【0050】
このように、上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかであり、その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。