特許第6422123号(P6422123)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6422123
(24)【登録日】2018年10月26日
(45)【発行日】2018年11月14日
(54)【発明の名称】放射線画像生成装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/041 20180101AFI20181105BHJP
   A61B 6/00 20060101ALI20181105BHJP
【FI】
   G01N23/041
   A61B6/00 300J
   A61B6/00 330Z
【請求項の数】12
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-167856(P2015-167856)
(22)【出願日】2015年8月27日
(65)【公開番号】特開2017-44603(P2017-44603A)
(43)【公開日】2017年3月2日
【審査請求日】2018年1月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000250339
【氏名又は名称】株式会社リガク
(74)【代理人】
【識別番号】100091904
【弁理士】
【氏名又は名称】成瀬 重雄
(72)【発明者】
【氏名】百生 敦
(72)【発明者】
【氏名】小池 崇文
(72)【発明者】
【氏名】野々口 雅弘
【審査官】 越柴 洋哉
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/064723(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0252470(US,A1)
【文献】 特表2013−513417(JP,A)
【文献】 特表2013−513413(JP,A)
【文献】 特表2013−529984(JP,A)
【文献】 特表2009−543080(JP,A)
【文献】 特表2015−519091(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 23/00−23/2276
A61B 6/00− 6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
線源部から検出部までの経路上に配置された試料と格子群とを透過した放射線についての強度分布画像を用いて、前記試料についての放射線画像を生成するための装置であって、
画素値演算部と、画像演算部とを備えており、
前記画素値演算部は、前記経路に交差する方向に移動する前記試料についての複数の強度分布画像を用いて、各強度分布画像上の領域(Ak)に前記試料上の点(p,q)が属するかどうかを判定し、かつ、各領域(Ak)に属する前記点(p,q)における各強度分布画像上での画素値を足し合わせることによって、各領域(Ak)における合計画素値(Jk)を求める構成となっており、
前記画像演算部は、前記領域(Ak)における合計画素値(Jk)を用いて、必要な放射線画像を生成する構成となっている
ことを特徴とする放射線画像生成装置。
【請求項2】
さらに領域特定部を備えており、
前記領域特定部は、初期画像演算部と、初期画像判定部と、範囲算出部とを備えており、
前記初期画像演算部は、前記試料なしの状態で、前記線源部と前記格子群と前記検出部との位置関係を少なくとも部分的に変化させながら取得された複数の強度分布画像を用いて、少なくとも微分位相像(φ)を算出する構成となっており、
前記初期画像判定部は、前記微分位相像における画素値が、前記試料の移動方向において、−π〜+πの値域で連続的に分布しているかどうかを判定する構成となっており、
前記範囲算出部は、前記領域(Ak)を、前記微分位相像における前記画素値が特定の範囲にある画素の集合となるように決める構成となっている
請求項1に記載の放射線画像生成装置。
【請求項3】
前記領域特定部は、さらに画素数算出部を備えており、
前記画素数算出部は、各領域(Ak)における、前記点(p,q)の軌跡に属する画素数をそれぞれ算出する構成となっている
請求項2に記載の放射線画像生成装置。
【請求項4】
医療用途に用いられている
請求項1〜3のいずれか1項に記載の放射線画像生成装置。
【請求項5】
食品、工業部品、又は工業製品の検査用途に用いられている
請求項1〜3のいずれか1項に記載の放射線画像生成装置。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の放射線画像生成装置と、前記線源部と、前記格子群と、検出部とを備えており、
前記検出部は、前記線源部から前記検出部までの経路上に配置された試料と格子群とを透過した放射線についての強度分布画像を取得する構成となっている
放射線検査装置。
【請求項7】
医療用途に用いられている
請求項6に記載の放射線検査装置。
【請求項8】
食品、工業部品、又は工業製品の検査用途に用いられている
請求項6に記載の放射線検査装置。
【請求項9】
線源部から検出部までの経路上に配置された試料と格子群とを透過した放射線についての強度分布画像を用いて、前記試料についての放射線画像を生成するための方法であって、
前記経路に交差する方向に移動する前記試料についての複数の強度分布画像を用いて、各強度分布画像上の領域(Ak)に前記試料上の点(p,q)が属するかどうかを判定し、かつ、各領域(Ak)に属する前記点(p,q)における各強度分布画像上での画素値を足し合わせることによって、各領域(Ak)における合計画素値(Jk)を求めるステップと、
前記領域(Ak)における合計画素値(Jk)を用いて、必要な放射線画像を生成するステップと
を備えることを特徴とする放射線画像生成方法。
【請求項10】
医療用途に用いられている
請求項9に記載の放射線画像生成方法。
【請求項11】
食品、工業部品、又は工業製品の検査用途に用いられている
請求項9に記載の放射線画像生成方法。
【請求項12】
請求項9に記載の各ステップをコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体を透過した放射線、例えばX線における波としての性質を利用して試料の内部構造を高感度で観察するための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
透過力が高い放射線、例えばX線は、物体内部を透視するためのプローブとして、医用画像診断、非破壊検査、セキュリティチェックなどにおいて、広く利用されている。X線透視画像のコントラストは、X線減衰率の違いによっており、X線を強く吸収する物体はX線の影として描出される。X線吸収能は、原子番号が大きい元素を多く含むほど強くなる。逆に原子番号が小さい元素から成る物質についてはコントラストがつきにくいことも指摘でき、これが従来のX線透視画像の原理的欠点でもある。したがって、生体軟部組織や有機材料などに対しては、十分な感度を得ることができない。
【0003】
一方、X線における波としての性質を利用すれば、一般的な従来のX線透視画像に比べて最高で約3桁の高感度化を実現できる。以降、これをX線位相コントラスト法と称する。この技術を、X線をあまり吸収しない軽元素からなる物質(生体軟部組織や有機材料など)の観察に適用すれば、従来法では難しかった検査が可能となるため、その実用化が期待される。
【0004】
X線位相コントラスト法を利用した高感度撮像法を実現するアプローチとして、透過格子を用いる方法が知られている(下記特許文献1及び2参照)。これは、X線が照射されている透過格子がX線検出器上で形成する強度パターンが、同じX線で照射されている被写体における僅かなX線の屈折や散乱によって変化する現象を通じ、被写体の構造を表すコントラストを得る方法である。この方法では、従来の透視画像に対応する吸収画像と、被写体によるX線の屈折の大小を示す屈折画像と、被写体による散乱の大小を示す散乱画像とを一般的に生成することができる。使用する透過格子の格子周期が微細な場合は、格子による干渉効果(言い換えれば回折効果)による分数Talbot効果を考慮して、上記強度パターンが強く現れる位置に検出器が配置される。また、上記強度パターンが直接検出器で解像できないほど細かくなる場合は、その位置にもう一枚の透過格子を配置し、モアレを生成させることにより強度パターンの変化を可視化できる。なお、以降、最初の透過格子をG1、第二の透過格子をG2と称する。G1とG2からなる構成はTalbot干渉計と呼ばれる。Talbot干渉計を動作させるには、G1に照射する放射線の空間的可干渉距離が、G1周期と同等かそれ以上であることが望ましい。これは、放射線の波が揃っていることを要求するものであり、たとえばX線では、シンクロトロン放射光やマイクロフォーカスX線源を使うことにより満たされる。特に、マイクロフォーカスX線源は実験室で使用できる線源であるので、実用性を考える際には特筆される点である。しかし、一般的にマイクロフォーカスX線源の出力は限られているので、通常数分から数十分の露光時間が必要となる。一般的に使われているX線源はマイクロフォーカスX線源よりハイパワーであるが、そもそもX線Talbot干渉計を動作させるために必要な空間的可干渉性が望めない。そこで、第3の格子(以降、G0)を一般的なX線源の近傍に配置するTalbot-Lau干渉計が知られている。G0はマルチスリットとして働く。G0における一つのスリットに注目する。ここを通るX線は、下流のTalbot干渉計(G1とG2)を機能させる。すなわち、G0は、仮想的にマイクロフォーカスX線源を作成するものであると解釈できる。G0において、その隣のスリットを通るX線に注目する。これもやはり下流のTalbot干渉計を動作させるが、G1による強度パターンがG2位置で、ちょうど1周期(厳密には1周期の整数倍)だけずれるようにG0の周期を調整できる。こうしてやれば、下流のTalbot干渉計によるモアレ画像を生成したまま、干渉性が殆どない従来の明るいX線源が使え、位相コントラスト撮影の高速化が叶う。したがって、Talbot-Lau干渉計は、複数のTalbot干渉計の重ね合わせと把握することができ、G0は、線源の一部と把握することができる。また、G0とG1のみを線源近くに配置し、G2は省略し、拡大された上記強度パターンを直接検出器で撮影する方式も可能であり、これをLau干渉計と呼んでいる。
【0005】
いずれの構成の場合であっても、記録される強度パターンあるいはモアレ画像を直接利用することは稀であり、記録された画像をコンピュータにより所定の手順で処理し、吸収画像、屈折画像、および、散乱画像などを生成し、利用することができる。従来の技術では、被写体が視野内で静止していることを前提に、縞走査法がこの目的のために使用されている。縞走査法とは、いずれかの格子をその周期方向に並進させ、複数の強度パターンあるいはモアレ画像を撮影し、画像演算を行う方法である。より具体的には、いずれかの格子をその周期dの1/Mだけ並進させて撮影し、これをM回繰り返して得られたM枚の画像を用いて画像演算を行う。Mは3以上の整数である。
【0006】
一回の撮影で吸収画像、屈折画像、および、散乱画像などを生成する方法もある。そのひとつがフーリエ変換法である(下記非特許文献1及び2参照)。この方法では、上記強度パターン、あるいは、回転モアレなどによる細かい縞(キャリアフリンジ)を生成した状態で、計測画像に一旦フーリエ変換を施す。0次回折領域のみを抽出してフーリエ逆変換を行えば吸収画像が得られ、+1次の(あるいは−1次の)回折領域を抽出し、それを原点移動したのちにフーリエ逆変換を行い、さらに、得られた結果の偏角を演算すれば屈折画像が得られ、0次と+1次の(あるいは−1次の)回折領域の比をフーリエ逆変換すれば散乱画像が得られる。縞走査法のように複数枚の画像撮影を必要としないので、撮影の高速化には有利である。ただし、空間分解能はキャリアフリンジの周期で制限されるので、一般的に画質はよくない。強度パターンあるいはモアレ画像のパターンを画像検出器の画素配列に整合させ、フーリエ変換を介さず、通常の縞走査の演算を行う方法も試みられている。たとえば、強度パターンあるいはモアレ画像のパターンの周期をM画素分に一致させておけば、このM画素の値を使って縞走査の演算を行えばよい。最終的に、このM画素は、生成される吸収画像、屈折画像、および、散乱画像の1画素を成す。このM画素に沿った方向の空間分解能はフーリエ変換法と同様にその分低下する。
【0007】
さて、ベルトコンベア上を移動する被写体の非破壊検査や診断、被写体上の広い範囲をスキャンする非破壊検査や診断が要請される場合について考える。格子を並進させて縞走査法を適用する場合では、動いている被写体の撮影を実現するために、目的とする空間分解能に相当する距離だけ被写体が移動する間に縞走査による複数の画像計測を完了する必要がある。したがって、高速撮影が必要となると同時に、格子並進を短時間で繰り返さなければならない。縞走査法を繰り返して動画像を作るときは、格子の面積は有限なので、格子を一方向に並進させればよいのではなく、格子の原点復帰のために往復運動させる必要がある。これが振動を引き起こし、X線透過格子を用いた撮影光学系に悪影響を及ぼすという問題も指摘できる。そこで、格子並進を行わない技術として、下記特許文献5記載の技術が提案されている。この技術では、被写体の進行方向において、格子周期の位相が1/M周期分ずれるようにM個の領域を格子自体のパターンに形成する。被写体上に固定された座標で見れば、被写体が移動することによって、この座標における縞走査法に必要なデータをサンプリングできる。また、格子を傾けて回転モアレを生成し、そこを被写体が移動することによって縞走査法に必要なデータがサンプリングする方法も提案されている(下記特許文献6参照)。しかし、いずれの場合であっても、格子パターンが理想的であって、ひずみがないことを前提としている。
【0008】
ところで、前記した各文献の技術で使用される透過格子としては、一般的に、大面積でかつ高アスペクト比を持つ構造を必要とし、その製作には極めて高度な技術が駆使されている。しかしながら、得られた製作された格子を評価すると、その周期に僅かな不均一性があるのが通常である。もし、理想的に製作された格子を正確に配置したTalbot干渉計(Talbot-Lau干渉計やLau干渉計の場合を含む)であれば、検出器面上において一様なX線強度分布が得られるはずである。ところが、現実には、僅かにモアレ模様が発生する。これは格子周期の不均一性に起因するので、格子配置を調整しても解消できない。このような不均一が発生する原因としては、パターンの描画や転写の段階での不正確さ、あるいは、格子基板の歪みなどが挙げられる。完全な格子とは、数cm角の面積において格子の周期均一性がnmのオーダーで制御されていることを意味し、技術的に極めて困難な課題である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開WO2004/058070号公報
【特許文献2】米国特許第5812629号公報
【特許文献3】特開2008−145111号公報
【特許文献4】特開2009−240378号公報
【特許文献5】国際公開WO2015/064723号公報
【特許文献6】特表2013−513413号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】M. Takeda, H. Ina and S. Kobayashi, "Fourier-transform method of fringe-pattern analysis for computer-based topography and interferometry," J. Opt. Soc. Am. 72, 156-160 (1982).
【非特許文献2】Atsushi Momose, Wataru Yashiro, Hirohide Maikusa, Yoshihiro Takeda, "High-speed X-ray phase imaging and X-ray phase tomography with Talbot interferometer and white synchrotron radiation" Opt. Express 17, 12540-12545 (2009)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明者は、歪んだ格子を使った場合であっても、格子に対して相対移動する試料を撮影することにより、格子の機械的な並進に基づく通常の縞走査法を用いずに、吸収画像、屈折画像、あるいは散乱画像を演算できるという知見を得た。
【0012】
本発明は、前記した知見に基づいてなされたものである。本発明は、歪んだ格子を使用できるために、格子制作や装置維持のコストを低減させることができる技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、以下の項目に記載の発明として表現することができる。
【0014】
(項目1)
線源部から検出部までの経路上に配置された試料と格子群とを透過した放射線についての強度分布画像を用いて、前記試料についての放射線画像を生成するための装置であって、
画素値演算部と、画像演算部とを備えており、
前記画素値演算部は、前記経路に交差する方向に移動する前記試料についての複数の強度分布画像を用いて、各強度分布画像上の領域(Ak)に前記試料上の点(p,q)が属するかどうかを判定し、かつ、各領域(Ak)に属する前記点(p,q)における各強度分布画像上での画素値を足し合わせることによって、各領域(Ak)における合計画素値(Jk)を求める構成となっており、
前記画像演算部は、前記領域(Ak)における合計画素値(Jk)を用いて、必要な放射線画像を生成する構成となっている
ことを特徴とする放射線画像生成装置。
【0015】
(項目2)
さらに領域特定部を備えており、
前記領域特定部は、初期画像演算部と、初期画像判定部と、範囲算出部とを備えており、
前記初期画像演算部は、前記試料なしの状態で、前記線源部と前記格子群と前記検出部との位置関係を少なくとも部分的に変化させながら取得された複数の強度分布画像を用いて、少なくとも微分位相像(φ)を算出する構成となっており、
前記初期画像判定部は、前記微分位相像における画素値が、前記試料の移動方向において、−π〜+πの値域で連続的に分布しているかどうかを判定する構成となっており、
前記範囲算出部は、前記領域(Ak)を、前記微分位相像における前記画素値が特定の範囲にある画素の集合となるように決める構成となっている
項目1に記載の放射線画像生成装置。
【0016】
(項目3)
前記領域特定部は、さらに画素数算出部を備えており、
前記画素数算出部は、各領域(Ak)における、前記点(p,q)の軌跡に属する画素数をそれぞれ算出する構成となっている
項目2に記載の放射線画像生成装置。
【0017】
(項目4)
医療用途に用いられている
項目1〜3のいずれか1項に記載の放射線画像生成装置。
【0018】
(項目5)
食品、工業部品、又は工業製品の検査用途に用いられている
項目1〜3のいずれか1項に記載の放射線画像生成装置。
【0019】
(項目6)
項目1〜3のいずれか1項に記載の放射線画像生成装置と、前記線源部と、前記格子群と、検出部とを備えており、
前記検出部は、前記線源部から前記検出部までの経路上に配置された試料と格子群とを透過した放射線についての強度分布画像を取得する構成となっている
放射線検査装置。
【0020】
(項目7)
医療用途に用いられている
項目6に記載の放射線検査装置。
【0021】
(項目8)
食品、工業部品、又は工業製品の検査用途に用いられている
項目6に記載の放射線検査装置。
【0022】
(項目9)
線源部から検出部までの経路上に配置された試料と格子群とを透過した放射線についての強度分布画像を用いて、前記試料についての放射線画像を生成するための方法であって、
前記経路に交差する方向に移動する前記試料についての複数の強度分布画像を用いて、各強度分布画像上の領域(Ak)に前記試料上の点(p,q)が属するかどうかを判定し、かつ、各領域(Ak)に属する前記点(p,q)における各強度分布画像上での画素値を足し合わせることによって、各領域(Ak)における合計画素値(Jk)を求めるステップと、
前記領域(Ak)における合計画素値(Jk)を用いて、必要な放射線画像を生成するステップと
を備えることを特徴とする放射線画像生成方法。
【0023】
(項目10)
医療用途に用いられている
項目9に記載の放射線画像生成方法。
【0024】
(項目11)
食品、工業部品、又は工業製品の検査用途に用いられている
項目9に記載の放射線画像生成方法。
【0025】
(項目12)
項目9に記載の各ステップをコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【0026】
このコンピュータプログラムは、適宜な記録媒体(例えばCD−ROMやDVDディスクのような光学的な記録媒体、ハードディスクやフレキシブルディスクのような磁気的記録媒体、あるいはMOディスクのような光磁気記録媒体)に格納することができる。このコンピュータプログラムは、インターネットなどの通信回線を介して伝送されることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、歪んだ格子を使用できるために、格子制作や装置維持のコストを低減させることができる技術を提供することができる。
【0028】
また、本発明によれば、格子の精密並進機構を使用する必要がないので、視野を相対的に横切る被写体についての放射線画像を、装置コストを低く抑えつつ、精度よく生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の一実施形態に係る放射線画像生成装置を用いた放射線検査装置の概略的な構成を示す説明図である。
図2図1の装置に用いる画像生成部を説明するためのブロック図である。
図3図1の装置に用いる領域特定部を説明するためのブロック図である。
図4図1の装置を用いた画像生成方法の概略を示すフローチャートである。
図5】格子のゆがみに起因するモアレ縞画像の一例である。図(a)〜(e)は縞走査法における格子の変位に対応して変化するモアレ縞画像を示す。
図6図5の画像から算出される微分位相像の一例を示す画像である。
図7図7の微分位相像から算出される領域分割の一例を示す画像である。
図8図1の装置を用いた画像生成方法の概略を示すフローチャートである。
図9】試料の移動に伴って撮影された画像である。図(a)〜(i)は、試料の移動に伴って撮影された動画像を示す。
図10図9の動画像から生成された合計画素値を用いて生成された画像を示す。
図11図10から生成された吸収画像を示す。
図12図10から生成された屈折画像を示す。
図13図10から生成された散乱画像を示す。
図14】具体的な実施例において用いる試料を説明する説明図である。
図15】変形例において得られた放射線画像を示しており、図15aは吸収画像、図15bは屈折画像、図15cは散乱画像を示す。
図16】変形例において得られた補正後の放射線画像を示しており、図16aは吸収画像、図16bは屈折画像、図16cは散乱画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明に係る放射線画像生成装置を用いた放射線検査装置の例を説明する。
【0031】
(本実施形態における放射線検査装置)
以下、図面を参照しながら、本実施形態に係る放射線検査装置の構成を説明する。この放射線検査装置は、試料10として、生体、又は、生体以外の物体のいずれかを対象とするものである。また、この装置は、医療用又は非医療用の用途において用いることができるものである。非医療用の用途としては、例えば、食品、工業部品、あるいは工業製品の検査用途を例示することができるが、これらに制約されるものではない。
【0032】
(放射線検査装置の全体的構成)
本実施形態の放射線検査装置(図1参照)は、線源部1と、格子群2と、検出部3と、搬送部4と、画像生成部5とを備えている。さらにこの装置は、制御部6と、出力部7とを追加的に備えている。
【0033】
(線源部)
線源部1は、試料10に対する透過性を有する放射線を、格子群2に向けて放射する構成となっている。具体的には、本実施形態では、放射線源1として、X線を発生するX線源が用いられている。放射線源1としては、例えば、ターゲットに電子線を照射することによってX線(すなわち放射線)を発生するX線源を用いることができる。放射線源1の具体的構成は、既存のX線源と同様とすることができるので、これについてのこれ以上詳しい説明は省略する。
【0034】
(格子群)
格子群2は、この格子群2に向けて照射された放射線が透過可能な複数枚の格子を備えている。格子群2は、タルボ干渉計(タルボ・ロー干渉計、ロー干渉計である場合を含む)を構成するために必要な機械的構造及び幾何学的配置についての条件を満たしている。ただし、本実施形態においては、タルボ干渉計を構成する条件は、必要な検査を可能にするために十分な程度に満たされていればよく、数学的に厳密な意味で条件を満足する必要はない。
【0035】
具体的には、本実施形態の格子群2は、格子G0と、格子G1と、格子G2という3枚の格子によって構成されている。格子G0は、タルボ干渉計の一種であるタルボ・ロー干渉計を構成するための格子であって、吸収型格子が用いられる。格子G0により、タルボ・ロー干渉計の構成要素である微小光源アレイ(一つの光源に着目すればタルボ干渉計)が実現される。格子G1としては、通常は位相型格子が用いられるが、吸収型格子とすることも可能である。格子G2としては、吸収型格子が用いられる。なお、G2の配置を省略する構成も可能である(ロー干渉計。特開2012−16370号公報参照)。
【0036】
本例の格子群2では、いずれかの格子において、何らかの歪を有している。ここで歪とは、歪に起因するなんらかのモアレ縞(後述の図5参照)を生じるような、理想状態からの格子の「ずれ」あるいは「ばらつき」をいうものとする。このような歪は、通常の製造方法では、特段意図しなくとも自然に発生する。もちろん、意図的に歪を持たせるように格子を製造することは可能である。
【0037】
上記以外の点における格子G0〜G2の構成は、従来のタルボ干渉計(タルボ・ロー干渉計及びロー干渉計の場合を含む)と同様でよいので、これ以上詳しい説明は省略する。
【0038】
(検出部)
本実施形態の検出部3は、線源部1から検出部3までの経路上に配置された試料10と格子群2とを透過した放射線についての強度分布画像を取得できる構成となっている。
【0039】
より詳しくは、検出部3は縦横二次元的に画素を並べた構成を持ち、複数の格子G0〜G2を通過して到達する放射線を画素ごとに検出する構成となっている。
【0040】
(搬送部)
搬送部4は、試料10を、格子群2に対して、放射線の放射方向に交差する方向(図1の例では図中右方向)に移動させる構成となっている。具体的には、本実施形態の搬送部4は、試料10を横方向に移動させるベルトコンベアによって構成されている。また、搬送部4は、この実施形態では、格子G0と格子G1の間の空間であって、放射線が通過する部分を、試料10が通過できるように、この試料10を搬送するものである。なお、搬送部4は、格子G1とG2との間に試料10を通過させるものであってもよい。なお、ロー干渉計の構成(特開2012−16370号公報参照)とする場合は、格子G1と検出部3の間において試料10を通過させる。
【0041】
搬送部4としてのベルトコンベアに使用されるベルトとしては、使用される放射線の透過率が高いものを選ぶことが好ましい。なお、搬送部4としては、ベルトコンベアに限らず、所望の方向に試料10を搬送できるものであれば、適宜の構成とすることができる。また、試料10を固定とし、放射線源、格子群、及び検出部の全体を試料10に対して相対移動(極座標上の移動を含む)させる構成も可能である。
【0042】
(画像生成部)
画像生成部5(図2参照)は、画素値演算部51と、画像演算部52とを備えている。さらに、本実施形態の画像生成部5は、領域特定部53を追加的に備えている。
【0043】
画素値演算部51は、線源部1から検出部3へのX線の経路に交差する方向(図1の例では図中右方向)に移動する試料10についての複数の強度分布画像を用いて、各強度分布画像上の領域Ak(後述)に試料10に固定された座標点(p,q)(後述)が属するかどうかを判定するものである。さらに、画素値演算部51は、点(p,q)が各領域Akにあるときの各強度分布画像上での画素値を足し合わせることによって、各領域Akに対応する点(p,q)の合計画素値Jk(後述)を求めるものである。
【0044】
画像演算部52は、領域Akに対応する合計画素値Jkを用いて、必要な放射線画像を生成する構成となっている。
【0045】
領域特定部53(図3参照)は、初期画像演算部531と、初期画像判定部532と、範囲算出部533と、画素数算出部534とを備えている。
【0046】
初期画像演算部531は、試料10がない状態で、線源部1と格子群2と検出部3との位置関係を少なくとも部分的に変化させながら取得された複数の強度分布画像を用いて、少なくともラップされた微分位相像(φ)を算出する構成となっている。ラップされた微分位相像とは、逆正接の演算によって値域が-πから+πとなっている画像である。すなわち、たとえば、本来の値が1.5πである画素値が-0.5πで表示される。
【0047】
初期画像判定部532は、ラップされた微分位相像の画素値が、試料10の移動方向において、-πから+πの値域で連続的に分布しているかどうかを判定する構成となっている。
【0048】
範囲算出部533は、ラップされた微分位相像の画素値が特定の範囲内となる画素の集合である領域(Ak)を決める構成となっている。
【0049】
画素数算出部534は、各領域(Ak)に属する画素数を算出する構成となっている。
【0050】
画像生成部5におけるより詳しい構成は、動作方法の説明として追って記載する。
【0051】
(制御部)
制御部6は、搬送部4に駆動信号を送り、かつ、画像生成部5に試料10の移動速度情報(指示値又は検出値)を送る構成となっている。
【0052】
(出力部)
出力部7は、画像生成部5で生成された画像を出力できる構成となっている。出力部7としては、ユーザに画像を呈示できるディスプレイ、画像を一時的又は永続的に保存できるメモリ手段、その他の適宜な装置を用いることができる。出力部7は、ネットワークを介して画像データを他の装置に伝送する構成であってもよい。
【0053】
(本実施形態の放射線検査装置の動作)
以下、本実施形態の放射線検査装置を用いた画像生成方法を説明する。この方法は、大きく分けて、領域特定段階(図4)と、画像生成段階(図8)とから構成される。まず、図4の領域特定段階について説明する。
【0054】
(領域特定段階)
図4のステップSA−1)
まず、搬送部4を停止させ、試料10を用いない状態(試料なしの状態)とする。この状態で、従来の縞走査法を行う。すなわち、格子周期をTとすると、距離T×1/M(Mは3以上の自然数)だけ、格子を順次移動させつつ、X線による撮像を行い、検出部3で、複数の強度分布画像を取得する。この画像は、「線源部1と格子群2と検出部3との位置関係を少なくとも部分的に変化させながら取得された複数の強度分布画像」の一例に相当する。このようにして得られた強度分布画像の例を図5(a)〜(e)に示す。この例ではM=5としている。また、図5の例では、格子の歪みに由来するモアレ縞が生成されている。
【0055】
図4のステップSA−2)
ついで、領域特定部53の初期画像演算部531は、取得された複数の強度分布画像を用いて、初期画像として、少なくとも、ラップされた微分位相像φ(x,y)を算出する(図6参照)。ここで、(x,y)は、検出部3での視野上あるいは画像取込み範囲上の座標を示す。本例の初期画像演算部531は、さらに、吸収像A(x,y)と、ビジビリティ像V(x,y)とを算出する。
【0056】
図4のステップSA−3)
ついで、領域特定部53の初期画像判定部532は、座標(x,y)の各yにおいて、ラップされた微分位相像φ(x,y)の値が、試料10の移動方向(図1の例では図中右方向)において、(−π〜+π)の値域で連続的に分布しているかどうかを判定する。つまり、−π〜+πにわたる連続的な位相変化があるかどうかを判定する。この段階では、試料10は実際には使用されていないので、前記移動方向とは、試料10が移動すべき方向という意味である。
【0057】
もし、このステップにおける判定がNoであれば、後述のステップSA−4に進み、Yesであれば後述のステップSA−5に進む。
【0058】
図4のステップSA−4)
座標(x,y)の各yにおいて、ラップされた微分位相像φ(x,y)の値が、試料10の移動方向において、−π〜+πの値域で連続的に分布していない場合は、格子のアライメントを行う。ここで、格子のアライメントとは、格子における何らかの相対的配置状態の変更を意味し、例えば、格子の傾き、格子間の距離、格子の湾曲などが含まれる。アライメントの作業自体については、作業者が手動で行うこともできるし、何らかの自動化手段により自動的に行うこともできる。その後、前記したステップSA−1に戻り、以降のステップを繰り返す。
【0059】
図4のステップSA−5)
ステップSA−4での判断がYesであったとき、範囲算出部533は、ラップされた微分位相像φ(x,y)の値に基づいて領域(Ak)を決める。
【0060】
より具体的には、視野領域をn個(ただしnは3以上の整数)に分割するとすると、領域Akは以下の規則により定義できる。なお、k=1,2,…,nである。
【0061】
【0062】
このようにして分割された領域の例を図7に示す。この例ではn=6としている。一つの領域Akとは、この例では、飛び地である各領域を併せた部分を意味する。また、視野領域の全ては領域Akにより重なりなく覆われることになる。
【0063】
以上の処理により、強度分布画像を分割すべき領域Akを特定することができる。
【0064】
図4のステップSA−6)
ついで、画素数算出部534は、各領域(Ak)における、試料10に乗った座標における点(p,q)の軌跡(つまり、試料の移動に伴って各領域を横切る軌跡)に属する画素数をそれぞれ算出する構成となっている。点(p,q)の軌跡は、試料上のいずれかの点が、視野を横切るときの軌跡ということができ、図7の例では、例えば上から下への直線と認識することができる。
【0065】
より具体的には、本例における画素数算出部534は、各yにおいて、x軸方向に沿って数えられる領域Akに属する画素数Nkのテーブルg(y)
g(y) = (N1(y) , N2(y) , …, Nn(y) )
を作る。
【0066】
(実際の画像生成段階)
次に、図8に示す画像生成段階について説明する。
【0067】
図8のステップSB−1)
まず、検出部3における視野を横切るように移動する試料10を撮影する。すなわち、検出部3が、線源部1から検出部3までの経路を横切る方向に移動する試料10について、複数の強度分布画像を取得する。このようにして取得された複数の強度分布画像の例を図9(a)〜(i)に示す。図中xは試料10の移動方向を示す。図9(a)〜(i)では、試料10が、検出部3の視野内をx方向に移動している様子が表れている。
【0068】
なお、実際の撮影間隔(サンプリング周期)はもっと短かくなっており、図9は、モアレ動画像から100フレーム毎に抜粋した画像を表している。また、強度分布画像については、以降の説明においてI(x,y,t)で表すことがある。ここでx,yは視野内の座標、tは当該フレームの取得時刻である。したがってI(x,y,t)のうちのtの変化により動画像を表現することができる。
【0069】
すると、試料に固定の座標(p,q)は、以下のように表される。
【0070】
p = x + vt,
q = y
【0071】
ここでvは試料10のx軸方向での速さである。
【0072】
図8のステップSB−2)
ついで、画素値演算部51は、線源部1から検出部3までの経路に交差する方向に移動する試料10についての複数の強度分布画像(図9参照)について、試料10上の点(p,q)が領域(Ak)に属する場合の画素値を合計することにより合計画素値(Jk)を求めることができる。
【0073】
この処理は具体的には以下のように実行可能である。すなわち、点(p,q)がある領域Akにあるとき、スタックJk(p,q)にI(p−vt,y,t)/Nk(y)を加算する。これを全ての動画像フレーム(つまり各tに対応するフレーム)について行う。ここで、Nk(y)で割っているのは、画素数に応じて画素値Iの値を正規化(つまり平均化)するためである。
【0074】
より具体的には、前記手順は以下のように記述できる。
【0075】
【0076】
このスタックJkに対応する画像(すなわち、すべてのフレームを足し合わせた画像)の例を図10に示す。この例では、下記のJk (p,q)(k=1,2,…,n)においてn=20とした。
【0077】
図8のステップSB−3)
画像演算部52は、合計画素値(Jk)を用いて、必要な放射線画像を生成する。
【0078】
より具体的には、本実施形態では、得られたJk (p,q)(k=1,2,…,n)を用いて、吸収画像Abs、屈折画像φ、および、散乱画像Visをそれぞれ
【0079】
【0080】
として演算することができる。図11〜13に、得られた画像例を示した。なお、これらはあくまで、必要に応じて生成される放射線画像の一例であり、これらをすべて生成する必要はない。また、他の種類の画像を生成することも可能である。
【0081】
本実施形態によれば、画像生成段階では、従来のような縞走査法(格子をステップ状に移動させる方法)を用いずに、必要な放射線画像を生成することができる。よって、この実施形態では、試料と装置とが相対移動する(通常は試料側が移動する)場合であっても、高速で放射線画像を生成することができ、このため、両者間の相対移動速度を速くすることが可能である。
【0082】
また、本実施形態によれば、格子形状や配置状態が完全でなくても、精度のよい放射線画像を生成可能なので、装置の製作コストや保守コストを低く抑えることができる。
【0083】
(変形例)
以下、変形例に係る画像生成装置について説明する。
【0084】
前記した実施形態では、点(p,q)がある領域Akにあるとき、スタックJk(p,q)にI(p−vt,y,t)/Nk(y)を加算することでJkを生成した。ここで、もし、X線強度やモアレ画像の鮮明度が均一であると近似できない場合は、画像中に不要なコントラストを生じることがある。
【0085】
そこで、変形例では、Jkの演算において、さらに、このコントラストを減少させるための係数を導入した。具体的には、試料に固定の座標(p,q)について(ここでp = x + vt, q = y)、
【0086】
【0087】
をすべてのI(x,y,t)について演算することで、Jkを得ることができる。つまり、この変形例では、係数A0(p-vt,y)でIを除することにより、強度補正を図っている。なお、この係数Aは、前記した吸収像のデータと同じものなので、同じ符号を用いている。
【0088】
変形例における他の構成及び動作は、前記した実施形態と同様なので、これ以上詳しい説明は省略する。
【0089】
(実験例)
以下、前記実施形態の手法を用いた実験例を図14図16に基づいて説明する。
【0090】
この実験例では、図14に示す試料10を用いる。この試料10は、内部に空気部分(図中、小円で示す)を含むポリエチレン球101と、内部に空気部分を含むポリプロピレン球102と、PMMA球103と、内部に空気部分を含むPOM球104とを有している。これらの球101〜104は、いずれも同径(7.9mm)であり、かつ、一次元方向(図14において横方向)に配列されている。
【0091】
まず、本実施形態の方法で取得した放射線画像を図15a〜図15cに示す。これらから分かるように、高い精度で放射線画像を得ることができている一方で、不要なコントラストが観察される。なお、この実験例における試料の操作方法は、図中において水平方向である。
【0092】
ついで、変形例の方法で取得した放射線画像を図16a〜図16cに示す。これらから分かるように、不要なコントラストが除去された放射線画像を得ることができている。
【0093】
なお、前記実施形態および実施例の記載は単なる一例に過ぎず、本発明に必須の構成を示したものではない。各部の構成は、本発明の趣旨を達成できるものであれば、上記に限らない。
【0094】
例えば、前記実施形態では、線源部としてX線源を用いたが、試料に対して透過性のある他の放射線、例えば中性子線源を用いることができる。もちろん、この場合、検出部としては、用いる放射線を検出できるものが用いられる。
【符号の説明】
【0095】
領域
〜G 格子
合計画素値
画素数
1 線源部
2 格子群
3 検出部
4 搬送部
5 画像生成部
51 画素値演算部
52 画像演算部
53 領域特定部
531 初期画像演算部
532 初期画像判定部
533 範囲算出部
534 画素数算出部
6 制御部
7 出力部
10 試料
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15a
図15b
図15c
図16a
図16b
図16c