特許第6422128号(P6422128)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6422128
(24)【登録日】2018年10月26日
(45)【発行日】2018年11月14日
(54)【発明の名称】吸収性物品とその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/476 20060101AFI20181105BHJP
   A61F 13/472 20060101ALI20181105BHJP
   A61F 13/15 20060101ALI20181105BHJP
【FI】
   A61F13/476
   A61F13/472 300
   A61F13/15 390
   A61F13/15 351Z
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-523977(P2015-523977)
(86)(22)【出願日】2014年6月13日
(86)【国際出願番号】JP2014065714
(87)【国際公開番号】WO2014208363
(87)【国際公開日】20141231
【審査請求日】2017年4月11日
(31)【優先権主張番号】特願2013-132282(P2013-132282)
(32)【優先日】2013年6月25日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591040708
【氏名又は名称】株式会社瑞光
(74)【代理人】
【識別番号】110001265
【氏名又は名称】特許業務法人山村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】和田 隆男
【審査官】 北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−502569(JP,A)
【文献】 特開2007−082576(JP,A)
【文献】 特表2003−526466(JP,A)
【文献】 特開2002−219144(JP,A)
【文献】 特表平10−511581(JP,A)
【文献】 特開昭56−109660(JP,A)
【文献】 米国特許第02408508(US,A)
【文献】 特開平04−300547(JP,A)
【文献】 特開2010−188142(JP,A)
【文献】 特開平04−352958(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15 − 13/84
A61L 15/16 − 15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液透過性のトップシート(2)と液不透過性のバックシート(3)との間に吸収体(4)が配置された吸収性物品であって、
前記吸収性物品の長手方向(L)の一方の端部(5)の幅(W5)が他方の端部(6)の幅(W6)よりも大きく、
前記長手方向(L)に延びる前記吸収性物品の両側部(1S)、(2S)から前記長手方向(L)に交差する幅方向(W)の外側に向かって突出するウイング(14)を有し、
前記各側部(1S、2S)は、前記両端部(5、6)の間の中間部(56)において、吸収体(4)側へ向かう内側に凹んだ凹部(12)と、前記ウイング(14)を形成し前記内側とは反対の外側へ突出した凸部(13)とを備え、
前記凹部(12)と前記凸部(13)とは点(O)を中心に互いに点対称の形状となっており、前記点(O)は前記各側部(1S、2S)において一方の端部(5)から前記点(O)までの長さ(L5)と他方の端部(6)から前記点(O)までの長さ(L6)とが等しくなるように設定されている、吸収性物品。
【請求項2】
前記吸収体(4)の一方の端部(41)の幅(W41)が他方の端部(42)の幅(W42)よりも大きい請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
請求項1または2に記載されたトップシート(2)、バックシート(3)および吸収体(4)を備えた複数の吸収性物品を連続的に製造する方法であって、
前記トップシート(2)を形成する連続シート(W2)を供給するトップシート供給工程(S1)と、
前記複数の吸収性物品における個々の前記吸収体(4)を間欠的に供給する吸収体供給工程(S2)と、
前記バックシート(3)を形成する連続シート(W3)を供給するバックシート供給工程(S3)と、
前記複数の吸収体(4)を前記両連続シート(W2)、(W3)の間に挟み込んだ状態で、前記両連続シート(W2)、(W3)を互いに接合して連続積層体(8)を形成する接合工程(S4)と、
前記個々の吸収体のうち互いに隣り合う吸収体(4)の間で前記連続積層体(8)を前記長手方向(L)に対して第1の方向に傾斜し、かつ、前記凹部(12)および前記凸部(13)を有する一方の側部を形成する所定の1つの仮想の第1切断線(L1)に沿って切断して先行する1つの吸収性物品(1)を切り分ける第1分離工程(S51)と、
前記個々の吸収体のうち互いに隣り合う吸収体(4)の間で前記連続積層体(8)を前記長手方向(L)に対して前記1つの仮想の第1切断線(L1)とは反対側の第2の方向に傾斜し、かつ、前記凹部(12)および前記凸部(13)を有する他方の側部を形成する所定の別の仮想の第2切断線(L2)に沿って切断して前記先行する吸収性物品(1)の次の吸収性物品(1)を切り分ける第2分離工程(S52)とを備え、
前記第1分離工程(S51)と前記第2分離工程(S52)とを交互に繰り返して個々の吸収性物品(1)を得る製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生理用ナプキンや失禁用尿パッド等の吸収性物品とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に生理用ナプキン等の吸収性物品は、液透過性のトップシートと液不透過性のバックシートとの間に吸収体を挟み込んで連続積層体を形成し、この連続積層体を略長方形の外形形状に沿って切り出すことで得られる(例えば、特許文献1参照。)。また、この種の吸収性物品は、必要に応じて長辺となっている両側部に、吸収性物品を下着のクロッチ部に取り付けるためのウイングが形成される(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】JP2007−6923A
【特許文献2】JP04−300547A
【発明の概要】
【0004】
前記吸収性物品は、幅を広くして形成すると、吸収量を高めることができるうえ、装着者の尻部側を広範囲にわたって覆うことができる。しかし、前後の中間部分の幅が過大になると装着時に違和感が生じ、フィット性の低下するおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、フィット性に優れ、かつ、吸収性能を高めることができ、更に材料の無駄を少なく抑えて効率よく生産できる、吸収性物品とその製造方法を提供することである。
【0006】
本発明の吸収性物品は、液透過性のトップシート(2)と液不透過性のバックシート(3)との間に吸収体(4)が配置された吸収性物品であって、
前記吸収性物品の長手方向(L)の一方の端部(5)の幅(W5)が他方の端部(6)の幅(W6)よりも大きい。
【0007】
本発明の吸収性物品は、一方の端部の幅が他方の端部の幅よりも大きいので、この幅が大きい一方の端部を装着者の後ろ側に配置することで、装着者の尻部側を広範囲にわたって覆うことができる。更に、狭い前側部分に応じて前後の中間部分の幅が過大になることがない。したがって、同吸収性物品は良好なフィット性を維持することができる。
【0008】
前記吸収体について、広幅に形成した前記吸収性物品の一方の端部に応じて、吸収性物品の長手方向の後ろ側部分に収容される同吸収体の収容量を多くして、収容面積を大きくしてもよい。
すなわち、前記吸収体は、平面視で長方形であってもよいが、好ましくは、吸収性物品の外形に合わせて一方の端部の幅が他方の端部の幅よりも大きくてもよい。この場合、体液を素早く吸収でき、また、吸収量を多くできるなど、吸収性物品の高い吸収性能を発揮できる。
【0009】
前記吸収性物品は前記長手方向に延びる各側部において、前記長手方向に延びるカフを有し、
前記各カフの外側の側縁は前記側部に沿って斜めに延び、
前記各カフの内側の側縁は、前記長手方向に交差する幅方向に前記吸収性物品を2等分する中心線に対し平行に延びるように設定されていてもよい。
この場合、前記長手方向におけるカフの一方の端部の幅が他方の端部の幅よりも大きくなり、前記吸収性物品にカフをしっかりと取り付けることができるだろう。
【0010】
本発明のある製造方法は、複数の前記吸収性物品を連続的に製造する方法であって、
前記トップシート(2)を形成する連続シート(W2)を供給するトップシート供給工程(S1)と、
前記複数の吸収性物品における個々の前記吸収体(4)を間欠的に供給する吸収体供給工程(S2)と、
前記バックシート(3)を形成する連続シート(W3)を供給するバックシート供給工程(S3)と、
前記複数の吸収体(4)を前記両連続シート(W2)、(W3)の間に挟み込んだ状態で、前記両連続シート(W2)、(W3)を互いに接合して連続積層体(8)を形成する接合工程(S4)と、
前記個々の吸収体のうち互いに隣り合う吸収体(4)の間で前記連続積層体(8)を前記長手方向(L)に対して第1の方向に傾斜した所定の1つの仮想の第1切断線(L1)に沿って切断して先行する1つの吸収性物品(1)を切り分ける第1分離工程(S51)と、
前記個々の吸収体のうち互いに隣り合う吸収体(4)の間で前記連続積層体(8)を前記長手方向(L)に対して前記1つの仮想の第1切断線(L1)とは反対側の第2の方向に傾斜した所定の別の仮想の第2切断線(L2)に沿って切断して前記先行する吸収性物品(1)の次の吸収性物品(1)を切り分ける第2分離工程(S52)とを備え、
前記第1分離工程(S51)と前記第2分離工程(S52)とを交互に繰り返して個々の吸収性物品(1)を得る。
【0011】
本製造方法によれば、前記各切断線は前記連続積層体の長手方向に対し傾斜している方向に形成され、且つ直前に吸収性物品を個分けした(切り分けた)際の第1(第2)切断線の傾斜方向とは連続積層体の長手方向を中心に反対側へ第2(第1)切断線を傾斜させている。
前記切断により連続積層体から個分けされた吸収性物品は、長手方向の一方の端部の幅が他方の端部の幅よりも大きい形状となる。個分けされた先行する1つの吸収性物品は隣り合う次の吸収性物品に対し180度回転した姿勢となるので、前記切断の際にカットロスが無く、或いはカットロスの発生量が大幅に低減される。そのため、材料の無駄を少なく抑えて効率よく生産することができる。
【0012】
また、前記各切断線を直線状とすることで、得られる個々の吸収性物品を台形状にしてもよい。あるいは、前記切断線を任意の形状の曲線状として、たとえば着用者の尻部をより広範囲にわたって覆うことができる形状にしたものであってもよい。
また、前記吸収性物品の両端部の間の中間部において、前記各側部に一方の吸収体側へ凹んだ凹部および隣り合う吸収体側へ突出した凸部が形成されるように前記切断線の形状を設定してもよい。この場合、この一対の凸部により吸収性物品の両側部から側方(隣り合う吸収体側)へ突出するウイングを備える吸収性物品とすることができる。
【0013】
本発明の別の製造方法は、トップシート(2)、バックシート(3)、吸収体(4)および一対のカフ(15)を備えた複数の吸収性物品を連続的に製造する方法であって、
前記トップシート(2)を形成する連続シート(W2)を供給するトップシート供給工程(S1)と、
前記複数の吸収性物品における個々の前記吸収体(4)を間欠的に供給する吸収体供給工程(S2)と、
前記バックシート(3)を形成する連続シート(W3)を供給するバックシート供給工程(S3)と、
前記複数の吸収体(4)を前記両連続シート(W2)、(W3)の間に挟み込んだ状態で、前記両連続シート(W2)、(W3)を互いに接合して連続積層体(8)を形成する接合工程(S4)と、
2n個のカフ(15)となる長方形状のn個のカフ部材(15C)の長手方向(L)が前記連続積層体(8)の搬送方向(F)に対して直交するように前記カフ部材(15C)を前記個々の吸収体のうち互いに隣り合う吸収体(4)の間において前記連続積層体(8)上に間欠的に次々に配置する工程(S41)と、
前記個々の吸収体のうち互いに隣り合う吸収体(4)の間で前記連続積層体(8)および前記カフ部材(15C)を前記長手方向(L)に対して第1の方向に傾斜した所定の1つの仮想の第1切断線(L1)に沿って切断して、前記n個のカフ部材(15C)のうちの1つのカフ部材(15C)を切り分けると共に、先行する1つの吸収性物品(1)を切り分ける第1分離工程(S51)と、
前記個々の吸収体のうち互いに隣り合う吸収体(4)の間で前記連続積層体(8)および前記カフ部材(15C)を前記長手方向(L)に対して前記1つの仮想の第1切断線(L1)とは反対側の第2の方向に傾斜した所定の別の仮想の第2切断線(L2)に沿って切断して、前記n個のカフ部材(15C)のうちの1つのカフ部材(15C)を切り分けると共に、前記先行する吸収性物品(1)の次の吸収性物品(1)を切り分ける第2分離工程(S52)とを備え、
前記第1分離工程(S51)と前記第2分離工程(S52)とを交互に繰り返して個々の吸収性物品(1)を得る。
【0014】
本製造方法によれば、長方形状のカフ部材の長手方向が前記連続積層体の搬送方向に対して直交するように前記カフ部材を前記連続積層体上に間欠的に次々と配置するため、前記カフ部材の配置が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は本発明の理解に役立つ第1参考例の吸収性物品を一部破断して示す平面図である。
図2図2は同参考例の吸収性物品の製造方法を示す概略構成図である。
図3図3は同参考例の分離工程等を示す概略構成図である。
図4図4本発明の実施例の吸収性物品を一部破断して示す平面図である。
図5図5本発明の理解に役立つ第2参考例の吸収性物品の製造方法における分離工程等を示す概略構成図である。
図6図6は同参考例の吸収性物品の製造方法を示す概略構成図である。
【実施例】
【0016】
本発明は、添付の図面を参考にした以下の好適な実施例の説明からより明瞭に理解されるであろう。しかしながら、実施例および図面は単なる図示および説明のためのものであり、本発明の範囲を定めるために利用されるべきものではない。本発明の範囲は請求の範囲によってのみ定まる。添付図面において、複数の図面における同一の部品番号は、同一または相当部分を示す。
【0017】
以下、本発明の実施例および本発明の理解に役立つ各参考例を図面に基づき説明する。
図1は吸収性物品(1)の第1参考例を示し、本吸収性物品(1)は、液透過性のトップシート(2)と、液不透過性のバックシート(3)と、前記両シート(2、3)の間に配置された吸収体(4)とを備える。
前記トップシート(2)は液透過性であればよく、好ましくは有孔または無孔の不織布や多孔性プラスチックシートなどが用いられ、吸収体(4)の表面を覆っている。前記不織布を構成する素材繊維としては、合成繊維の他、再生繊維、綿等の天然繊維を採用することができ、スパンレース法やサーマルボンド法など、公知の加工法によって得られた不織布を用いることができる。
【0018】
前記バックシート(3)は、吸収体に吸収された体液が外部へ漏れ出ない程度の液不透過性を備えていればよい。たとえば、ポリオレフィン系樹脂シートのほか、ポリエチレンシート等に不織布を積層したラミネート不織布などが用いられ、近年は、ムレ防止の観点から透湿性を有するものが好ましく使用される。
前記吸収体(4)は、フラッフパルプやエアレイド不織布等で形成され、吸水性の高分子ポリマーが含まれていてもよい。装着者から排出された経血等の体液は、トップシート(2)を通してこの吸収体(4)に吸収される。
【0019】
前記トップシート(2)と吸収体(4)との間には、図示しない拡散シートが配置されていてもよい。この拡散シートは、例えば親水化処理された不織布により形成され、これによりトップシート(2)側から流入した体液が吸収体(4)の表面上に広がり、吸収体(4)に速やかに吸収される。
【0020】
前記吸収体(4)とバックシート(3)との間には、例えばティッシュまたは不織布により形成された図示しないキャリアシートが配置されていてもよい。このキャリアシートは、製造工程において連続したウエブ状であり、このキャリアシート上に吸収体(4)が間欠的に配置されて搬送される。
【0021】
前記トップシート(2)の表面(装着者の肌面側)には、図1および図3の仮想線で示すように、両側部(1S、2S)に沿って一対の立体カフ(15)(サイドシートともいう。)が設けられていてもよい。この立体カフ(15)は、例えば撥水性または疎水性の不織布で形成され、立体的に立ち上がる。これにより、体液の横漏れが防止される。
【0022】
図1に示すように、この吸収性物品(1)は平面視において台形に形成されている。前記長手方向(L)の一方の端部(5)の幅(W5)が他方の端部(6)の幅(W6)よりも大きい。前記広幅の端部(5)は身体の後ろ側に配置され、狭幅の端部(6)は身体の前側に配置されて本吸収性物品(1)が装着者に装着される。この吸収性物品(1)は、前記広幅の端部(5)において装着者の尻部側が広範囲にわたって覆われ、しかも、前記一対の端部(5,6)の間の中間部(56)の幅は過剰に広くない。そのため、良好なフィット性が得られるだろう。
前記吸収性物品(1)の幅方向(W)の幅が小さすぎると着用時にズレが生じ易いだろう。一方、前記吸収性物品(1)の幅方向(W)の幅が大きすぎると装着時に違和感が生じフィット性が低下するだろう。このような理由から、前記吸収性物品(1)における狭幅の端部(6)の幅(W6)に対する広幅の端部(5)の幅(W5)の比(W5/W6)は、好ましくは1.5〜2.2に設定され、より好ましくは1.6〜2.1に設定され、最も好ましくは1.7〜2.0に設定されてもよい。
【0023】
図1に示すように、前記吸収体(4)は、この吸収性物品(1)の外形に沿った例えば略台形状に形成されており、そのため、吸収体(4)の面積が大きくなるだろう。例えば、前記吸収体(4)の長手方向(L)における一方の端部(41)の幅(W41)の幅方向(W)の大きさは他方の端部(42)の幅(W42)よりも大きい。これにより、この吸収体(4)に体液が素早く多量に吸収・保持される。
前記吸収体(4)の幅方向(W)の幅が小さすぎると着用者の体液を十分に吸収できないだろう。一方、前記吸収体(4)の幅方向(W)の幅が大きすぎると前記吸収体(4)が重くなるだろう。このような理由から、前記吸収体(1)における狭幅の端部(42)の幅(W42)に対する広幅の端部(41)の幅(W41)の比(W41/W42)は、好ましくは1.6〜2.4に設定され、より好ましくは1.7〜2.3に設定され、最も好ましくは1.8〜2.2に設定されてもよい。
なお、本吸収体(4)の形状は吸収性物品の外形に沿った形状でなくてもよく、例えば平面視が長方形や他の任意の形状であってもよい。
【0024】
次に、前記吸収性物品(1)の製造方法の第1参考例について説明する。
図2に示すように、前記吸収性物品(1)の製造方法は、トップシート供給工程(S1)と、吸収体供給工程(S2)と、バックシート供給工程(S3)と、接合工程(S4)と、第1分離工程(S51)と、第2分離工程(S52)とを備える。
【0025】
前記バックシート供給工程(S3)では、前記バックシート(3)を形成する連続ウエブ(連続シートの一例)(W3)が連続的に供給される。
前記吸収体供給工程(S2)では、前記吸収体(4)がバックシート(3)を形成する前記連続ウエブ(W3)上に間欠供給装置(7)により間欠的に供給される。供給される吸収体(4)は先行する吸収体(4)に対し180度回転された姿勢で配置される。
前記トップシート供給工程(S1)では、前記トップシート(2)を形成する連続ウエブ(連続シートの一例)(W2)がバックシート(3)を形成する連続ウエブ(W3)および前記吸収体(4)の上方へ連続的に供給される。すなわち、前記吸収体(4)は前記両連続ウエブ(W2、W3)の間に挟み込まれる。
【0026】
次に、前記接合工程(S4)において、両連続ウエブ(W2、W3)が前記吸収体(4)をその間に挟み込んだ状態で接合装置(9)により互いに接合されて、連続積層体(8)が形成される。
その後、図2および図3に示すように、第1分離工程(S51)において、前記連続積層体(8)が第1切断装置(101)により、互いに隣り合う吸収体(4,4)の間での第1切断線(L1)に沿って切断され、個々の吸収性物品(1)に個分けされる(切り分けられる)。続いて、図3に示すように、第2分離工程(S52)において、前記連続積層体(8)が第2切断装置(102)により、互いに隣り合う吸収体(4、4)の間において第2切断線(L2)に沿って切断され、個々の吸収性物品(1)に個分けされる。
【0027】
以下、前記第1および第2分離工程(S51、S52)について詳述する。
図3に示すように、前記第1分離工程(S51)において、第1切断線(L1)は個分けされる吸収性物品(1)の長手方向(L)、即ち前記連続積層体(8)の長手方向(L)に対し第1の方向に傾斜して形成されている。この第1切断線(L1)に沿って前記連続積層体(8)が切断され、先行する1つの吸収性物品(1)が切り分けられる。一方、前記第2分離工程(S52)において、前記第1切断線(L1)よりも上流側の第2切断線(L2)は前記連続積層体(8)の長手方向(L)に対し第2の方向に傾斜して形成されている。この第2切断線(L2)に沿って前記連続積層体(8)が切断され、前記先行する吸収性物品(1)の次の吸収性物品(1)が切り分けられる。
すなわち、前記第1および第2切断線(L1、L2)の傾斜方向は、前記連続積層体(8)の切断ごとに、直前に吸収性物品(1)を個分けした際の切断線の傾斜方向に対し前記長手方向(L)を中心に反対側へ傾斜する。
換言すれば、図1に示すように、前記吸収性物品(1)において、前記長手方向(L)に対して所定の角度Bをなすように第1側部(1S)が形成され、一方、前記長手方向(L)に対して所定の角度−Bをなすように第2側部(2S)が形成される。
すなわち、長手方向(L)に平行な中心線(CL)を中心に両側部(1S、2S)が線対称の形状に形成されている。
この結果、個分けされた各吸収性物品(1)は、隣り合う吸収性物品(1)とは同形同大で先行する吸収性物品(1)に対し180度回転された姿勢となり、前記切断の際にカットロスを生じない。
【0028】
参考例では前記第1および第2切断線(L1、L2)を直線状に形成したので、その切断によるカットロスを生じないが、本発明では各切断線(L1、L2)は連続積層体(8)の長手方向(L)に対し傾斜していればよく、任意の曲線に形成することが可能である。例えば、吸収性物品(1)の四隅に丸みを待たせるような曲線状に切断線を形成し、これによりわずかなカットロスを生じさせてもよい。
【0029】
図4は本発明の吸収性物品(1)の実施例を示し、前記両側部(1S、2S)が曲線状に形成されている。
本実施例において、前記各側部(1S、2S)は、前記両端部(5、6)の間の中間部(56)において、吸収体(4)側へ向かう内側に凹んだ凹部(12)と、前記内側とは反対側の外側へ突出した凸部(13)とを各々備えている。
前記凹部(12)と前記凸部(13)とは点Oを中心に互いに点対称の形状となっている。前記点Oは前記各側部(1S、2S)において中心線(CL)の中心に対応する位置に設定されている。すなわち、一方の端部(5)から前記点Oまでの長さ(L5)と他方の端部(6)から前記点Oまでの長さ(L6)とが等しくなるように前記点Oは設定されている。
本実施例の吸収性物品(1)は、前記第1参考例と同様、一方の端部(5)側の幅(W5)が他方の端部(6)側の幅(W6)よりも大きい。また、前記両側部(1S、2S)には、前記凸部(13)により形成されたウイング(14)が側方(幅方向(W)の外側)へ突出した形状となっている。
なお、トップシート(2)とバックシート(3)との間に配置された吸収体(4)の外形は、この吸収体(4)が両シート(2、3)で確実に覆われるように、前記一対の凹部(12)に対応した部位が吸収性物品の中央に向かって凹んだ形状となっている。
その他の構成や製造工程等は前記吸収性物品(1)の前記第1参考例と同様であり、同様に作用するので説明を省略する。
【0030】
次に、本発明の吸収性物品(1)の第2参考例について図5に基づいて説明する。
後述する第1および第2分離工程(S51、S52)において図示しない切断装置により連続積層体(8)が個々の吸収性物品(1)に切り分けられる。前記吸収性物品(1)は長手方向(L)に延びる各側部(1S、2S)において、前記長手方向(L)に延びるカフ(15)を有している。前記吸収性物品(1)は前記長手方向(L)に交差する幅方向(X)に前記吸収性物品(1)を2等分する中心線(CL)を中心とした線対称の構造となっている。
【0031】
前記カフ(15)の外側の側縁(15L)は前記側部に沿って斜めに延びている。前記一方の外側の側縁(15L)は前記他方の外側の側縁(15L)に対して反対の方向に傾斜して延びている。
一方、前記カフ(15)の内側の側縁(15M)は前記中心線(CL)に対し平行に延びるように設定されている。すなわち、前記内側の側縁(15M)は前記幅方向(X)に直交する方向に延びている。
【0032】
前記カフ(15)の幅方向(X)の幅は、前記吸収性物品(1)の広幅の端部(5)側のカフ(15)の幅(X1)が前記吸収性物品(1)の挟幅の端部(6)側のカフ(15)の幅(X2)よりも大きい。換言すれば、前記カフ(15)は前記広幅の端部(5)から前記挟幅の端部(6)側に延びるに従い幅が狭くなっている。
【0033】
後述するように、本参考例の吸収性物品(1)は前記長手方向(L)の両端部においてバックシートが折り返されてポケット(P)が形成されている。
その他の構成は前記吸収性物品(1)の前記第1参考例と同様であり、同様に作用するので説明を省略する。
【0034】
次に、本発明の製造方法の第2参考例について説明する。本第2参考例は前記第2参考例の吸収性物品(1)を製造する方法である。
図6に示すように、前記吸収性物品(1)の製造方法は、トップシート供給工程(S1)と、吸収体供給工程(S2)と、バックシート供給工程(S3)と、接合工程(S4)と、カフを配置する工程(S41)と、連続ウエブを折り返す工程(S42)と、第1分離工程(S51)と、第2分離工程(S52)とを備える。
【0035】
前記バックシート供給工程(S3)では、吸収性物品(1)のバックシート(3)を形成する連続ウエブ(連続シートの一例)(W3)が連続的に供給される。
前記吸収体供給工程(S2)では、前記吸収体(4)が前記バックシート(3)を形成する前記連続ウエブ(W3)上に図示しない間欠供給装置により間欠的に供給される。供給される吸収体(4)は先行する吸収体(4)に対し180度回転された姿勢で配置される。
前記トップシート供給工程(S1)では、吸収性物品(1)のトップシート(2)を形成する連続ウエブ(連続シートの一例)(W2)がバックシート(3)を形成する連続ウエブ(W3)および前記吸収体(4)の上方へ連続的に供給される。すなわち、前記吸収体(4)は前記両連続ウエブ(W2、W3)の間に挟み込まれる。
前記トップシートを形成する連続ウエブ(W2)の搬送方向(F)に交差する幅方向(Y)における幅は前記バックシート(3)を形成する連続ウエブ(W3)の前記方向(Y)における幅よりも小さい。
【0036】
次に、前記接合工程(S4)において、両連続ウエブ(W2、W3)が前記吸収体(4)をその間に挟み込んだ状態で図示しない接合装置により互いに接合されて、連続積層体(8)が形成される。
【0037】
次に、長方形状のカフ部材(15C)の長手方向(L)が前記搬送方向(F)に直交するように前記カフ部材(15C)が前記連続積層体(8)上に間欠的に次々に配置される。各カフ部材(15C)は互いに隣り合う吸収体(4)同士の間に配置される。前記カフ部材(15C)の長手方向(L)の幅は前記連続ウエブ(W3)の前記搬送方向(F)に交差する幅方向(Y)の幅よりも小さい。
各カフ部材(15C)は後の分離工程において2つのカフ(15)に切り分けられる。なお、図5および図6において前記カフ部材(15C)の接着箇所を網点で示す。
【0038】
次に、前記バックシート(3)を形成する連続ウエブ(W3)の両側縁(W31)を折り返す。すなわち、前記幅方向(Y)において前記連続ウエブ(W2)および前記カフ部材(15C)よりも幅が大きい部分を折り返す。折り返された両側縁(W31)は前記連続ウエブ(W2)およびカフ部材(15C)に重なる。この折り返し工程(S43)により図5に示す個々の吸収性物品(1)におけるポケット(P)が形成される。
【0039】
その後、第1分離工程(S51)において、前記連続積層体(8)および前記カフ部材(15C)が図示しない第1切断装置により、互いに隣り合う吸収体(4)の間において第1切断線(L1)に沿って切断され、前記1つのカフ部材(15C)が2つのカフ(15)に切り分けられると共に、前記連続積層体(8)が個々の吸収性物品(1)に個分けされる(切り分けられる)。
すなわち、本工程(S51)において、1つの前記カフ部材(15C)は前記カフ部材(15C)の前記長手方向(L)に対して斜めに延びる前記第1切断線(L1)に沿って切断されて2つのカフ(15)に切り分けられる。具体的には、1つのカフが他方のカフに対し180度回転した姿勢となるように前記カフ部材(15C)が2つのカフ(15)に切り分けられる。
【0040】
続いて、第2分離工程(S52)において、前記連続積層体(8)および前記カフ部材(15C)が図示しない第2切断装置により、互いに隣り合う吸収体(4)の間において第2切断線(L2)に沿って切断され、前記1つのカフ部材(15C)が2つのカフ(15)に切り分けられると共に、前記連続積層体(8)が個々の吸収性物品(1)に個分けされる。
すなわち、本工程(S52)において、1つの前記カフ部材(15C)は前記カフ部材(15C)の前記長手方向(L)に対して斜めに延びる前記第2切断線(L2)に沿って切断されて2つのカフ(15)に切り分けられる。具体的には、1つのカフが他方のカフに対し180度回転した姿勢となるように前記カフ部材(15)が2つのカフ(15)に切り分けられる。
【0041】
前記実施例および各参考例で説明した吸収性物品やその製造方法は、本発明の技術的思想を具体化するために例示したものであり、各部材の形状や寸法、材質、製造手順などをこの実施例のものに限定するものではなく、本発明の特許請求の範囲内において種々の変更および修正を加え得るものである。
【0042】
例えば前記実施例および各参考例では、吸収体供給工程においてバックシートを形成する連続ウエブ上に吸収体を間欠的に配置した。しかし、本発明ではトップシートを形成する連続ウエブ上に吸収体を間欠的に配置してもよく、或いは、図示しないキャリアシート上に吸収体を間欠的に配置して供給するものであってもよい。
また、前記製造方法の第2参考例において、前記バックシートとなる連続ウエブの幅を前記トップシートとなる連続ウエブの幅と等しくなるようにしてもよい。
また、前記製造方法の第2参考例において、前記カフ部材の長手方向の幅は前記トップシートとなる連続ウエブの幅よりも小さくてもよい。
また、前記製造方法の第2参考例において、前記カフ部材の形状は長方形に限られず、例えば角にアールをつけたものでもよい。
また、本発明の吸収性物品のカフ部材は長手方向に伸縮性を有していてもよい。この場合、前記製造方法の第2参考例においては前記カフ部材の長手方向を前記連続積層体の搬送方向に対して直交するように配置するため、前記カフ部材を前記搬送方向に対して斜めに配置する場合に比べカフ部材を配置し易い。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の吸収性物品は、材料の無駄を少なく抑えて効率よく生産できるうえ、フィット性に優れ、しかも吸収性能を高めることができるので、生理用ナプキンや失禁用尿パッド等に好適である。
【符号の説明】
【0044】
1:吸収性物品 2:トップシート 3:バックシート 4:吸収体
5:一方の端部(広幅端部) 6:他方の端部(挟幅端部)
7:間欠供給装置 8:連続積層体 9:接合装置 101:第1切断装置 102:第2切断装置
12:凹部 13:凸部 14:ウイング 15:立体カフ(カフ) 15C:カフ部材 15M:カフの内側の側縁 15L:カフの外側の側縁
1S:第1側部 2S:第2側部 L1:第1切断線 L2:第2切断線
S1:トップシート供給工程 S2:吸収体供給工程 S3:バックシート供給工程S4接合工程 S41:カフ部材の配置工程 S42:折り返し工程 S51:第1分離工程 S52:第2分離工程
CL:中心線 L:連続積層体(8)の長手方向 P:ポケット
図1
図2
図3
図4
図5
図6