特許第6422132号(P6422132)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6422132端末状態通知システム、端末状態通知システムの制御方法及び制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6422132
(24)【登録日】2018年10月26日
(45)【発行日】2018年11月14日
(54)【発明の名称】端末状態通知システム、端末状態通知システムの制御方法及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 92/08 20090101AFI20181105BHJP
【FI】
   H04W92/08 110
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-103133(P2016-103133)
(22)【出願日】2016年5月24日
(65)【公開番号】特開2017-212520(P2017-212520A)
(43)【公開日】2017年11月30日
【審査請求日】2017年9月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】宮原 康介
【審査官】 古市 徹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−258770(JP,A)
【文献】 特開2011−060095(JP,A)
【文献】 特開2015−089063(JP,A)
【文献】 特開2011−176417(JP,A)
【文献】 特開2000−069149(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 − 7/26
H04W 4/00 − 99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モバイル通信網と無線通信により接続された通信親機端末と、
前記通信親機端末と無線通信により接続され、前記通信親機端末におけるイベントを監視するためのアプリケーションを有する無線子機端末と、を備え、
前記アプリケーションの起動時に、前記通信親機端末におけるイベントを監視対象とするか否かの設定を前記無線子機端末において行うとともに、前記無線子機端末と前記通信親機端末との間に前記通信親機端末において発生するイベントを監視するための通信路を確立し、
前記無線子機端末が、前記通信路を介して前記設定に関する情報を前記通信親機端末に通知し、
前記通信親機端末において前記設定で監視対象としたイベントが発生した際に、前記通信親機端末が前記通信路を介して発生した当該イベントを前記無線子機端末に通知し、
前記通信路は、コマンドラインとイベントラインとを有し、前記無線子機端末が、前記通信親機端末に対し、前記コマンドラインを介して前記設定に関する情報および前記通信親機端末からイベントの通知を受信するための待ち受けポートを通知し、前記通信親機端末が、前記待ち受けポートに接続するための接続ポートを動的に確保することで前記イベントラインを確立し、前記通信親機端末において前記設定で監視対象としたイベントが発生した際に、前記通信親機端末が、前記イベントラインを介して発生した当該イベントを前記無線子機端末に通知する、端末状態通知システム。
【請求項2】
前記無線子機端末は、音を発生させる音発生部を備え、前記通信親機端末からイベントが通知された際に、前記無線子機端末が当該通知されたイベントに対応する音を発生させる、請求項1に記載の端末状態通知システム。
【請求項3】
前記無線子機端末は、振動を発生させる振動発生部を備え、前記通信親機端末からイベントが通知された際に、前記無線子機端末が当該通知されたイベントに対応する振動を発生させる、請求項1に記載の端末状態通知システム。
【請求項4】
モバイル通信網と無線通信により接続された通信親機端末と、前記通信親機端末と無線通信により接続され、前記通信親機端末におけるイベントを監視するためのアプリケーションを有する無線子機端末と、を備える端末状態通知システムの制御方法であって、
前記アプリケーションの起動時に、前記通信親機端末におけるイベントを監視対象とするか否かの設定を前記無線子機端末において行うとともに、前記無線子機端末と前記通信親機端末との間に前記通信親機端末において発生するイベントを監視するための通信路を確立し、
前記無線子機端末が、前記通信路を介して前記設定に関する情報を前記通信親機端末に通知し、
前記通信親機端末において前記設定で監視対象としたイベントが発生した際に、前記通信親機端末が前記通信路を介して発生した当該イベントを前記無線子機端末に通知し、
前記通信路は、コマンドラインとイベントラインとを有し、前記無線子機端末が、前記通信親機端末に対し、前記コマンドラインを介して前記設定に関する情報および前記通信親機端末からイベントの通知を受信するための待ち受けポートを通知し、前記通信親機端末が、前記待ち受けポートに接続するための接続ポートを動的に確保することで前記イベントラインを確立し、前記通信親機端末において前記設定で監視対象としたイベントが発生した際に、前記通信親機端末が、前記イベントラインを介して発生した当該イベントを前記無線子機端末に通知する、端末状態通知システムの制御方法。
【請求項5】
前記無線子機端末は、音を発生させる音発生部を備え、前記通信親機端末からイベントが通知された際に、前記無線子機端末が当該通知されたイベントに対応する音を発生させる、請求項に記載の端末状態通知システムの制御方法。
【請求項6】
前記無線子機端末は、振動を発生させる振動発生部を備え、前記通信親機端末からイベントが通知された際に、前記無線子機端末が当該通知されたイベントに対応する振動を発生させる、請求項に記載の端末状態通知システムの制御方法。
【請求項7】
モバイル通信網および無線子機端末と無線通信により接続された通信親機端末に搭載されたコンピュータに、
前記無線子機端末からイベント受信用の待ち受けポートの通知を受けた際に、前記待ち受けポートに接続するための接続ポートを動的に確保することでイベントラインを確立する処理と、
前記無線子機端末から通知された前記通信親機端末におけるイベントを監視対象とするか否かの設定において監視対象とされたイベントが前記通信親機端末において発生した際に、前記通信親機端末が、前記イベントラインを介して発生した当該イベントを前記無線子機端末に通知する処理と、を実行させる制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末状態通知システム、端末状態通知システムの制御方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォン、タブレット、PCなど、携帯端末(無線子機端末)が多様化したことにより、個人が所持するデバイスの数が増えつつある。また、無線インフラを自社で持たずに他社のインフラを借りて音声通信やデータ通信のサービスを提供する仮想移動体通信事業者(MVNO:Mobile Virtual Network Operator)によるサービスが広まっていることから、一人あたりの回線契約数が増えつつある。このような背景から、持ち運びにより外出先などで上記携帯端末をインターネット回線に接続することができる通信親機端末としてのモバイルルータを使う人の割合が増えつつある。
【0003】
特許文献1には、携帯端末において携帯端末とモバイルルータとの間の区間(第1の無線区間)の無線品質を測定し、モバイルルータにおいてモバイルルータと基地局との間の区間(第2の無線区間))の無線品質を測定し、双方の測定結果に基づいて携帯端末と基地局との間の電波状態を携帯端末に表示する電波状態表示システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−156671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通信親機端末としてのモバイルルータは、コンパクトであるが故、鞄などに収納された状態で利用されることがほとんどである。このため、モバイルルータと無線子機端末としての携帯端末との接続状態や接続回線の状況など、モバイルルータにおける様々な状態変化(イベント)の発生状況をリアルタイムに確認するためには、モバイルルータを一旦鞄から取り出してモバイルルータ本体に設けられたディスプレイを見なくてはならず、ユーザにとって使い勝手が良くない。例えば、LTE(Long Term Evolution)ネットワークに接続しているモバイルルータに携帯端末であるスマートフォンから接続してインターネットを閲覧している場合に、モバイルルータとLTEネットワークとの通信が切断されると、ユーザが利用しているスマートフォンからは何故インターネットの閲覧ができなくなったのかの原因が分からないといった問題がある。
【0006】
このようなことから、通信親機端末において発生したイベントを無線子機端子においてリアルタイムに検知する手段が必要とされる。しかしながら、特許文献1では、通信親機端末において発生したイベントを無線子機端子においてリアルタイムに検知する手段について具体的に記載されていないため、上述の課題を解決するには至っていない。
【0007】
また、無線子機端末側で通信親機端末におけるイベントの発生状況を定期的に監視するようにし、通信親機端末におけるイベントの発生状況を無線子機端末側に表示させることも考えられる。しかしながら、これでは、無線子機端末が通信親機端末を監視するタイミングでしか通信親機端末におけるイベントの発生状況が更新されず、通信親機端末におけるイベントの発生をリアルタイムに検知することができない。
【0008】
本発明は、以上の背景に鑑みなされたものであり、無線子機端末において、通信親機端末におけるイベントの発生をリアルタイムに検知することができる端末状態通知システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、端末状態通知システムであって、モバイル通信網と無線通信により接続された通信親機端末と、前記通信親機端末と無線通信により接続され、前記通信親機端末におけるイベントを監視するためのアプリケーションを有する無線子機端末と、を備え、前記アプリケーションの起動時に、前記通信親機端末におけるイベントを監視対象とするか否かの設定を前記無線子機端末において行うとともに、前記無線子機端末と前記通信親機端末との間に前記通信親機端末において発生するイベントを監視するための通信路を確立し、前記無線子機端末が、前記通信路を介して前記設定に関する情報を前記通信親機端末に通知し、前記通信親機端末において前記設定で監視対象としたイベントが発生した際に、前記通信親機端末が前記通信路を介して発生した当該イベントを前記無線子機端末に通知するものである。
【0010】
また、本発明は、端末状態通知システムの制御方法であって、モバイル通信網と無線通信により接続された通信親機端末と、前記通信親機端末と無線通信により接続され、前記通信親機端末におけるイベントを監視するためのアプリケーションを有する無線子機端末と、を備える端末状態通知システムの制御方法であって、前記アプリケーションの起動時に、前記通信親機端末におけるイベントを監視対象とするか否かの設定を前記無線子機端末において行うとともに、前記無線子機端末と前記通信親機端末との間に前記通信親機端末において発生するイベントを監視するための通信路を確立し、前記無線子機端末が、前記通信路を介して前記設定に関する情報を前記通信親機端末に通知し、前記通信親機端末において前記設定で監視対象としたイベントが発生した際に、前記通信親機端末が前記通信路を介して発生した当該イベントを前記無線子機端末に通知するものである。
【0011】
さらに、本発明は、制御プログラムであって、モバイル通信網および無線子機端末と無線通信により接続された通信親機端末に搭載されたコンピュータに、前記無線子機端末からイベント受信用の待ち受けポートの通知を受けた際に、前記待ち受けポートに接続するための接続ポートを動的に確保することでイベントラインを確立する処理と、前記無線子機端末から通知された前記通信親機端末におけるイベントを監視対象とするか否かの設定において監視対象とされたイベントが前記通信親機端末において発生した際に、前記通信親機端末が、前記イベントラインを介して発生した当該イベントを前記無線子機端末に通知する処理と、を実行させるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、無線子機端末において、通信親機端末におけるイベントの発生をリアルタイムに検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の概要について説明する図である。
図2】本発明の実施の形態にかかる端末状態通知システムの概略構成を示すブロック図である。
図3】本発明の実施の形態にかかる端末状態通知システムにおける、無線子機端末と通信親機端末との間に、通信親機端末において発生するイベントを監視するための専用の通信路を確立する方法について説明する図である。
図4】本発明の実施の形態にかかる端末状態通知システムにおける、無線子機端末の状態検出アプリにおける、通信親機端末におけるイベントを監視対象とするか否かの設定の一例を示す図である。
図5】本発明の実施の形態にかかる端末状態通知システムにおける、無線子機端末における処理の流れを示すフローチャートである。
図6】本発明の実施の形態にかかる端末状態通知システムにおける、通信親機端末における処理の流れを示すフローチャートである。
図7】本発明の実施の形態にかかる端末状態通知システムにおいて、無線子機端末が複数台起動されている場合に、通信親機端末において保持されている、無線子機端末の設定リストおよび待ち受けポート・接続IPアドレスの一例を示す図である。
図8】本発明の実施の形態にかかる端末状態通知システムにおいて、無線子機端末が1台のみ起動されている場合に、通信親機端末において保持されている、無線子機端末の設定リストおよび待ち受けポート・接続IPアドレスの一例を示す図である。
図9】本発明の参考形態にかかる端末状態通知システムの概略構成を示すブロック図である。
図10】本発明の参考形態にかかる端末状態通知システムにおける、無線子機端末における処理の流れを示すフローチャートである。
図11】本発明の参考形態にかかる端末状態通知システムにおける、通信親機端末における処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[本発明の特徴]
本発明の実施の形態の説明に先立って、本発明の特徴についてその概要をまず説明する。
【0015】
図1は、本発明の概要について説明する図である。図1に示すように、本発明にかかる端末状態通知システム300は、通信親機端末301と、無線子機端末302と、を備えている。通信親機端末301は、モバイル通信網310と無線通信により接続される。無線子機端末302は、通信親機端末301と無線通信により接続され、通信親機端末301におけるイベントを監視するためのアプリケーション315を有する。
【0016】
アプリケーション315の起動時に、通信親機端末301におけるイベントを監視対象とするか否かの設定を無線子機端末302において行うとともに、無線子機端末302と通信親機端末301との間に通信親機端末301において発生するイベントを監視するための通信路303を確立する。そして、無線子機端末302が、通信路303を介して上記設定に関する情報を通信親機端末301に通知する。通信親機端末301において上記設定で監視対象としたイベントが発生した際に、通信親機端末301が通信路303を介して発生した当該イベントを無線子機端末302に通知する。
【0017】
これにより、無線子機端末において、通信親機端末におけるイベントの発生をリアルタイムに検知することができる。
【0018】
[実施の形態]
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
まず、実施の形態にかかる端末状態通知システム100の概略構成について説明する。図2は、実施の形態1にかかる端末状態通知システム100の概略構成を示すブロック図である。図2に示すように、端末状態通知システム100は、通信親機端末110と、無線子機端末150,170と、を備えている。なお、図2において、端末状態通知システム100は、2台の無線子機端末を備えているが、これに限るものではない。端末状態通知システム100において、無線子機端末は1以上であれば何台でもよい。
【0019】
通信親機端末110は、無線通信Waを介してモバイル通信網120と接続されている。モバイル通信網120は、LTM(Long Term Evolution)、3G(3rd Generation)、GSM(登録商標:Global System for Mobile communications)など、各種通信規格のものを想定している。通信親機端末110は、無線通信IF(interface)部111と、LAN側無線通信IF(interface)部112と、LCD表示部113と、制御部114と、記憶部115と、を備えている。無線通信IF部111は、モバイル通信網120と無線通信を行う。LAN側無線通信IF部112は、無線子機端末150,170と無線通信を行う。LCD表示部113は、通信親機端末110の状態を表示する。制御部114は、通信親機端末110の全体を制御する。記憶部115は、無線子機端末150,170から通知された、通信親機端末110におけるイベントを監視対象とするか否かの設定情報を記憶する。なお、通信親機端末110におけるイベントには、例えば、「圏外」や「電波弱」など、様々なものがある。
【0020】
無線子機端末150,170は、それぞれ、無線通信Wb,Wcを介して通信親機端末110と接続されている。また、無線子機端末150,170は、それぞれ、音発生部118を備え、状態検出アプリ119が動作している。状態検出アプリ119は、通信親機端末110におけるイベントの発生状況を検出するためのアプリケーションである。状態検出アプリ119には、通信親機端末110における様々なイベントが予め登録されている。後述するように、無線子機端末150,170において、状態検出アプリ119の起動時に、状態検出アプリ119に登録された様々なイベントのうちどれを監視対象としどれを監視対象としないかについて設定することができる。また、状態検出アプリ119において、登録されている通信親機端末110における様々なイベントには、それぞれ対応する音が予め紐付けされている。音発生部118は、通信親機端末110から通知されたイベントに対応する音を発生させるためのものである。
【0021】
次に、端末状態通知システム100の動作について説明する。
図3は、無線子機端末150と通信親機端末110との間に、通信親機端末110において発生するイベントを監視するための専用の通信路を確立する方法について説明する図である。
【0022】
状態検出アプリ119(図2参照)の起動時に、ユーザが、通信親機端末110におけるイベントを監視対象とするか否かの設定を行う。また、無線子機端末150において、まだ利用されていないtcpのポートを待ち受けポート153として指定(ここでは待ち受けポート153としてtcpの50001番ポートを指定)する。
【0023】
通信親機端末110において、無線子機端末150から設定情報および待ち受けポートの通知を受け取るための待ち受けポート116は予め決めておく。ここでは、tcpの50000番ポートを待ち受けポート116としている。無線子機端末150は、待ち受けポート116と通信するための接続用ポート152を動的に確保する。これにより、無線子機端末150と通信親機端末110との間には、通信親機端末110におけるイベントを監視対象とするか否かの設定情報および指定した待ち受けポートを通知するための通信路(コマンドライン118)が確立される。無線子機端末150は、接続用ポート152から、親機通信端末110における予め決められた待ち受けポート116に対して、通信親機端末110におけるイベントを監視対象とするか否かの設定情報および指定した待ち受けポート153を通知する。
【0024】
親機通信端末110において、無線子機端末150から通知された設定情報を記憶部115(図2参照)に保存する。また、親機通信端末110において、待ち受けポート153に接続するための接続ポート117を動的に確保する。これにより、無線子機端末150において監視対象に設定されたイベントが発生した際、無線子機端末150から通知された待ち受けポート153に対して当該イベントを通知するための通信路(イベントライン182)が確立される。親機通信端末110は、無線子機端末150において監視対象に設定されたイベントが発生した際、無線子機端末150から通知された待ち受けポート153に対して当該イベントを通知する。
【0025】
以降の説明では、通信親機端末110におけるイベントを監視対象とするか否かの設定情報および指定した待ち受けポートを通知するための通信路を「コマンドライン(図3ではコマンドライン181)」と呼ぶ。また、無線子機端末150において監視対象に設定されたイベントが発生した際、無線子機端末150から通知された待ち受けポート153に対して当該イベントを通知するための通信路を「イベントライン(図3ではイベントライン182)」と呼ぶ。コマンドラインおよびイベントラインが、通信親機端末110において発生するイベントを監視するための専用の通信路である。無線子機端末150から通信親機端末110への待ち受けポートおよび設定情報の通知は、待ち受けポートおよび設定情報に関するコマンドを、コマンドライン181を介して無線子機端末150の接続側ポート153から通信親機端末110の待ち受けポート116に送信することにより行う。
【0026】
なお、親機通信端末110と無線子機端末170との間に、通信親機端末110において発生したイベントを通知するための専用の通信路を確立する方法は、上述した親機通信端末110と無線子機端末150との間に、通信親機端末110において発生したイベントを通知するための専用の通信路を確立する方法と同様である。
【0027】
図4は、無線子機端末150,170の状態検出アプリ119における、通信親機端末110におけるイベントを監視対象とするか否かの設定の一例を示す図である。なお、以下の説明では図2についても適宜参照する。図4に示すように、通信親機端末110の状態に関するイベントには、「圏外」、「電波弱」、「WAN(Wide Area Network)側で通信リトライ発生」、「接続可能な公衆無線LAN検出」、「他の子機帰属」、「通信料超過」、「電池残量が低下」、「電源OFF」、「休止状態」がある。これらのイベントのうち、「電波弱」と「WAN側で通信リトライ発生」が“無効(監視対象にしない)”、それら以外は“有効(監視対象にする)”に設定されている。あるイベントの設定を“有効”にすると、通信親機端末110において当該イベントが発生したときに、通信親機端末110から無線子機端末に対し、イベントラインを介して当該イベントが通知される。
【0028】
上述したように、状態検出アプリ119において、登録されている通信親機端末110における様々なイベントには、それぞれ対応する音が予め紐付けされている。図4に示す例では、「圏外」には通知音「A」が、「電波弱」には通知音「B」が、「WAN側で通信リトライ発生」には通知音「C」が、「接続可能な公衆無線LAN検出」には通知音「D」が、「他の子機帰属」には通知音「E」が、「通信料超過」には通知音「F」が、「電池残量が低下」には通知音「G」が、「電源OFF」には通知音「H」が、「休止状態」には通知音「I」が、それぞれ紐付けされている。
【0029】
上述したように、無線子機端末150,170において通信親機端末110からあるイベントの通知を受信したときに、音発生部118が当該イベントに対応する音(通知音)を発生(鳴動)させる。例えば、無線子機端末150,170において通信親機端末110からイベント「圏外」の通知を受信したときに、音発生部118がイベント「圏外」に対応する通知音「A」を鳴動させる。なお、通知音は、メロディでもよく、「圏外になりました」といった音声ガイダンスでもよい。このように、無線子機端末150,170において、通信親機端末110の状態を”音”によって表現することにより、利用中のアプリケーションを開いたままの状態で通信親機端末110の状態を検知することが可能になる。
【0030】
なお、無線子機端末150における状態検出アプリ119と無線子機端末170における状態検出アプリ119とで、通信親機端末110におけるイベントを監視対象とするか否かの設定は同じであっても異なっていてもよい。
【0031】
図5は、無線子機端末150,170における処理の流れを示すフローチャートである。図5に示すように、まず、無線子機端末150,170において、状態検出アプリ119を起動する(ステップS101)。続いて、無線子機端末150,170において、通信親機端末110におけるイベントを監視対象とするか否かを設定を行うとともに、利用可能なポートを待ち受けポートに指定し、無線子機端末150,170が、通信親機端末110に対し、指定した待ち受けポートと通信親機端末110におけるイベントを監視対象とするか否かの設定情報をコマンドラインを介して通知する(ステップS102)。
【0032】
ステップS102に続いて、無線子機端末150,170の状態検出アプリ119が、指定した待ち受けポートにおいて通信親機端末110から監視対象のイベントを受信したか否かを判断する(ステップS103)。ステップS103で待ち受けポートにおいて通信親機端末110から監視対象のイベントを受信した場合(YESの場合)、無線子機端末150,170における音発生部118が受信したイベントに対応する通知音を鳴動させる(ステップS104)。
【0033】
図6は、通信親機端末110における処理の流れを示すフローチャートである。図6に示すように、まず、通信親機端末110の制御部114が、通信親機端末110の待ち受けポートにおいて無線子機端末150からのコマンドを受信したか否かを判断する(ステップS201)。ステップS201で通信親機端末110の待ち受けポートにおいて無線子機端末150からのコマンドを受信した場合(YESの場合)、通信親機端末110の制御部114が、通知された待ち受けポート・接続IPアドレスをイベントラインとしてセットするとともに、通知された通信親機端末110におけるイベントを監視対象とするか否かの設定情報を記憶部115に記憶させる(ステップS202)。
【0034】
ステップS202に続いて、通信親機端末110の制御部114が、通知された設定情報において監視対象とされたイベントが発生したか否かについて判断する(ステップS203)。ステップS203で通知された設定情報において監視対象とされたイベントが発生した場合(YESの場合)、ステップS202でセットした無線子機端末の待ち受けポート・接続IPアドレスに対して当該発生したイベントを送信し、無線子機端末の状態検出アプリに当該発生したイベントを通知する(ステップS204)。
【0035】
図7は、通信親機端末110において保持されている、無線子機端末150,170の設定リストおよび待ち受けポート・接続IPアドレスの一例を示す図である。図7に示すように、無線子機端末150の設定リストでは、「電波弱」と「WAN側で通信リトライ発生」以外のイベントについては、“有効(監視対象)”に設定されている。また、無線子機端末150における、待ち受けポートは50001番ポート、接続IPアドレスは192.168.179.2にセットされている。
【0036】
無線子機端末170の設定リストでは、「WAN側で通信リトライ発生」と「接続可能な公衆無線LAN検出」以外のイベントについては、“有効(監視対象)”に設定されている。また、無線子機端末170における、待ち受けポートは50002番ポート、接続IPアドレスは192.168.179.3にセットされている。
【0037】
無線子機端末から通信親機端末に対しイベントの発生状況の確認を行う従来の技術では、通信親機端末と通信している無線子機端末が2台以上ある場合に、ある無線子機端末から通信親機端末を休止状態に移行させた場合、他の無線子機端末において通信親機端末が休止状態に移行したことを検知できないという問題が生じる。これに対し、本実施の形態では、例えば、無線子機端末150から通信親機端末110を休止状態に移行させた場合、通信親機端末110が休止状態に移行するタイミングで、通信親機端末110から無線子機端末170に対しイベント「休止状態」が通知される。従って、無線子機端末170において、通信親機端末110の休止状態へ移行を検出することができる。
【0038】
図8は、無線子機端末が1台のみ起動されている(無線子機端末150が起動され、無線子機端末170が起動されていない)場合における、通信親機端末110において保持されている、無線子機端末の設定リストおよび待ち受けポート・接続IPアドレスの一例を示す図である。図8に示すように、通信親機端末110においては、無線子機端末150の設定リストおよび待ち受けポート・接続IPアドレスのみが保持されている
【0039】
以上より、本発明にかかる端末状態通知システムでは、無線子機端末において設定した通信親機端末におけるイベントを監視対象とするか否かの設定を通信親機端末に通知し、通信親機端末において監視対象としたイベントが発生した際には、通信親機端末から無線子機端末に通知を行うようにしたことで、無線子機端末において、通信親機端末におけるイベントの発生をリアルタイムに検知することができる。また、無線子機端末において、通信親機端末からイベントが通知された際に、当該イベントに対応する音を発生させるようにすることで、無線子機端末において利用中のアプリケーションを閉じることなくそのままの状態で通信親機端末におけるイベントの発生を確認することが可能になる。
【0040】
[参考形態]
以下、図面を参照して本発明の参考形態について説明する。本参考形態は、本発明におけるイベントを監視するための専用の通信路を確立する技術を、音楽を配信するための専用の通信路の確立に応用したものである。
【0041】
まず、本参考形態にかかる端末状態通知システム200の概略構成について説明する。図9は、実施の形態1にかかる端末状態通知システム200の概略構成を示すブロック図である。図9に示すように、端末状態通知システム200は、通信親機端末210と、無線子機端末230,250,270と、を備えている。なお、図9において、端末状態通知システム200は、3台の無線子機端末を備えているが、これに限るものではない。端末状態通知システム200において、無線子機端末は1以上であれば何台でもよい。
【0042】
通信親機端末210は、制御部211と、LAN側無線通信IF部212と、CODEC部213と、ストレージ部214と、を備えている。制御部211は、通信親機端末210の全体を制御する。LAN側無線通信IF部212は、無線子機端末230,250,270とそれぞれ無線通信(無線通信Wd,We,Wf)を行う。CODEC部213は、音楽をエンコードする。ストレージ部214は、音楽を格納する。無線子機端末230、250、270は、無線通信を介して通信親機端末210と接続されている。また、無線子機端末230、250、270の内部では、それぞれ音楽再生アプリ219が動作している。
【0043】
無線子機端末230,250,270と通信親機端末210との間に、音楽を配信するための専用の通信路を確立する方法は、本発明にかかる実施の形態において、図3を用いて説明した、無線子機端末150と通信親機端末110との間に、通信親機端末110において発生するイベントを監視するための専用の通信路を確立する方法と同様である。
【0044】
すなわち、音楽再生アプリ219の起動時に、無線子機端末230,250,270において、まだ利用されていないtcpのポートを待ち受けポートとして指定する。通信親機端末210において、無線子機端末230,250,270から待ち受けポートの通知を受け取るための待ち受けポートは予め決めておく。無線子機端末230,250,270は、通信親機端末210における当該予め決められた待ち受けポートと通信するための接続用ポートを動的に確保する。これにより、コマンドラインが確保される。無線子機端末230,250,270は、親機通信端末210に対し、コマンドラインを介して指定した待ち受けポートを通知する。親機通信端末210において、無線子機端末230,250,270から通知された待ち受けポートに接続するための接続ポートを動的に確保する。これにより、イベントラインが確立される。親機通信端末210は、無線子機端末230,250,270に対し、イベントラインを介して音楽パケットを配信する。
【0045】
図10は、無線子機端末230、無線子機端末250、無線子機端末270における処理の流れを示すフローチャートである。図10に示すように、まず、無線子機端末230,250,270において、それぞれ、音楽再生アプリ219を起動する(ステップS301)。続いて、無線子機端末230,250,270において、利用可能なポートを待ち受けポートに指定し、無線子機端末230,250,270が、通信親機端末110に対し指定した待ち受けポートに関するコマンドをコマンドラインを介して通信親機端末210に通知する(ステップS302)。
【0046】
ステップS302に続いて、無線子機端末230,250,270の音楽再生アプリ219が、指定した待ち受けポートにおいて通信親機端末210から音楽パケットを受信したか否かを判断する(ステップS303)。ステップS303において通信親機端末210から音楽パケットを受信した場合(YESの場合)、無線子機端末230,250,270においてパケットをデコードして音楽を再生する(ステップS304)。
【0047】
図11は、通信親機端末210における処理の流れを示すフローチャートである。図11に示すように、まず、通信親機端末210の制御部211は、予め決められた待ち受けポートにおいて無線子機端末からのコマンド(セットアップコマンド、再生コマンド、停止コマンド)の受信を監視する(ステップS401)。無線子機端末からコマンドを受信したときは、通信親機端末210の制御部211が、受信したコマンドの種類ごとに対応する処理を実施する。受信したコマンドがセットアップコマンドの場合、通信親機端末210の制御部211が、通知された接続IPアドレス・接続ポートをイベントラインとしてセットする(ステップS402)。受信したコマンドが再生コマンドの場合、通信親機端末210の制御部211が、イベントラインを介して音楽パケットを無線子機端末の音楽再生アプリに配信する(ステップS403)。受信したコマンドが停止コマンドの場合、通信親機端末210は、無線子機端末の音楽再生アプリへの音楽パケットの配信を停止する(ステップS404)。
【0048】
以上より、本参考形態によれば、通信親機端末に接続されている無線子機端末に同時に音楽配信が可能となる。なお、本発明におけるイベントを監視するための専用の通信路を確立する技術は、本参考形態において説明した音楽を配信するための専用の通信路を確立する場合だけでなく、音楽以外の情報を配信するための専用の通信路を確立する場合にも応用できる。
【0049】
上述の実施の形態では、本発明をハードウェアの構成として説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。本発明は、各処理を、CPU(Central Processing Unit)にコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。
【0050】
上述の例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory)を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0051】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、無線子機端末がバイブレータなどの振動発生部を備えている場合、通信親機端末から監視対象としたイベントが通知された際に、無線子機端末において、音発生部が通信親機端末で発生したイベントに対応する音を発生させる代わりに、振動発生部が通信親機端末で発生したイベントに対応する振動(振動パターン)を発生させてもよい。
【符号の説明】
【0052】
300 端末状態通知システム
301 通信親機端末
302 無線子機端末
303 通信路
310 モバイル通信網
315 アプリケーション
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11