(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6422145
(24)【登録日】2018年10月26日
(45)【発行日】2018年11月14日
(54)【発明の名称】液晶組成物及びその用途
(51)【国際特許分類】
C09K 19/42 20060101AFI20181105BHJP
C09K 19/30 20060101ALI20181105BHJP
C09K 19/34 20060101ALI20181105BHJP
C09K 19/20 20060101ALI20181105BHJP
C09K 19/18 20060101ALI20181105BHJP
C09K 19/12 20060101ALI20181105BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20181105BHJP
【FI】
C09K19/42
C09K19/30
C09K19/34
C09K19/20
C09K19/18
C09K19/12
G02F1/13 500
【請求項の数】13
【全頁数】47
(21)【出願番号】特願2017-553294(P2017-553294)
(86)(22)【出願日】2015年11月27日
(65)【公表番号】特表2018-502979(P2018-502979A)
(43)【公表日】2018年2月1日
(86)【国際出願番号】CN2015095740
(87)【国際公開番号】WO2016145907
(87)【国際公開日】20160922
【審査請求日】2017年7月5日
(31)【優先権主張番号】201510111900.8
(32)【優先日】2015年3月13日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517081840
【氏名又は名称】北京八億時空液晶科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING BAYI SPACE LCD TECHNOLOGY CO.,LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】陣 卯先
(72)【発明者】
【氏名】陣 海光
(72)【発明者】
【氏名】儲 士紅
(72)【発明者】
【氏名】盖 天孟
(72)【発明者】
【氏名】未 欣
(72)【発明者】
【氏名】張 琳
(72)【発明者】
【氏名】田 会強
(72)【発明者】
【氏名】李 青華
(72)【発明者】
【氏名】袁 瑾
(72)【発明者】
【氏名】郭 云鵬
(72)【発明者】
【氏名】蘇 学輝
【審査官】
安孫子 由美
(56)【参考文献】
【文献】
特表2018−502978(JP,A)
【文献】
特開2016−204654(JP,A)
【文献】
特表2017−527617(JP,A)
【文献】
特表2017−529450(JP,A)
【文献】
特表2017−529449(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2017/0096601(US,A1)
【文献】
中国特許出願公開第106554783(CN,A)
【文献】
中国特許出願公開第106544040(CN,A)
【文献】
中国特許出願公開第106520138(CN,A)
【文献】
中国特許出願公開第106367081(CN,A)
【文献】
中国特許出願公開第105176542(CN,A)
【文献】
中国特許出願公開第105131975(CN,A)
【文献】
中国特許出願公開第104830349(CN,A)
【文献】
中国特許出願公開第104673323(CN,A)
【文献】
韓国公開特許第10−2017−0040751(KR,A)
【文献】
韓国公開特許第10−2017−0040106(KR,A)
【文献】
韓国公開特許第10−2017−0040101(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K19
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶組成物であって、重量部で、5〜40部の1種類以上の一般式Iで表される化合物と、2〜30部の1種類以上の一般式IIで表される化合物と、20〜70部の1種類以上の一般式IIIで表される化合物を含み
、
ここで、R
1は独立して、C
1〜C
12の直鎖状アルキル基又はC
2〜C
12の直鎖状アルケニル基を表し、R
2は独立して、C
1〜C
12の直鎖状アルキル基、C
1〜C
12の直鎖状アルコキシ基又はC
2〜C
12の直鎖状アルケニル基を表し、R
4、R
5はそれぞれ独立して、未置換のC
1〜C
12の直鎖状アルキル基、1つ又は2つ以上の隣接しないCH
2がO、S又はCH=CHによって置換されたC
1〜C
12の直鎖状アルキル基を表し、
X
1は独立して、F、Cl、CN、C
1〜C
12の直鎖状アルキル基、C
1〜C
12の直鎖状アルコキシ基又はC
2〜C
12の直鎖状アルケニル基を表し、
Z
1、Z
2はそれぞれ独立して単結合又はアセチレン結合を表し、且つZ
1とZ
2の中の少なくとも1つはアセチレン結合であり、
L
1は独立してH又はFを表し、
A
1、A
2及びA
3はそれぞれ独立して、
を表し、
A
4は独立して
を表し、
A
5、A
6はそれぞれ独立して、トランス−1,4−シクロヘキシル基又は1,4−フェニレン基を表し、
m、nはそれぞれ独立して0又は1を表す、液晶組成物。
【請求項2】
前記液晶組成物は、重量部で、9〜30部の1種類以上の一般式Iで表される化合物と、3〜26部の1種類以上の一般式IIで表される化合物と、36〜67部の1種類以上の一般式IIIで表される化合物を含む、請求項1に記載の液晶組成物。
【請求項3】
0
部よりも多く30部以下の一般式IVで表される化合物
を更に含み、
ここで、R
6、R
7はそれぞれ独立して、C
1〜C
12の直鎖状アルキル基、1つ又は2つ以上の隣接しないCH
2がO、S又はCH=CHによって置換されたC
1〜C
12の直鎖状アルキル基を表し、
A
7は、以下の構造の中の1種類から選択されるものである、請求項1
又は請求項2に記載の液晶組成物。
【請求項4】
4〜24部の一般式IVで表される化合物を更に含む、請求項3に記載の液晶組成物。
【請求項5】
0
部よりも多く30部以下の一般式V〜一般式IXで表される化合物
を更に含み、
ここで、R
10は独立して、C
1〜C
12の直鎖状アルキル基、C
2〜C
12の直鎖状アルケニル基を表し、R
8、R
9、R
11〜R
13はそれぞれ独立して、C
1〜C
12の直鎖状アルキル基を表し、X
2〜X
5はそれぞれ独立して、F、CF
3、OCF
3、OCF
2Hを表し、L
2〜L
9はそれぞれ独立してH又はFを表し、
A
8及びA
9はそれぞれ独立して
を表す、請求項1
乃至4のいずれか一項に記載の液晶組成物。
【請求項6】
9〜25部の一般式V〜一般式IXで表される化合物を更に含む、請求項5に記載の液晶組成物。
【請求項7】
重量部で、9〜12部の1種類以上の一般式Iで表される化合物と、5〜26部の1種類以上の一般式IIで表される化合物と、60〜67部の1種類以上の一般式IIIで表される化合物と、5〜24部の1種類以上の一般式IVで表される化合物を含む、請求項3又は4に記載の液晶組成物。
【請求項8】
重量部で、14〜30部の1種類以上の一般式Iで表される化合物と、3〜9部の1種類以上の一般式IIで表される化合物と、30〜50部の1種類以上の一般式IIIで表される化合物と、4〜18部の1種類以上の一般式IVで表される化合物と、9〜23部の1種類以上の一般式V〜一般式IXで表される化合物を含む、請求項5又は6に記載の液晶組成物。
【請求項9】
一般式Iで表される化合物は、式I−A〜式I−Uで表される化合物の一種類以上から選択されるものであり、
ここで、R
1は独立してC
1〜C
7の直鎖状アルキル基を表し、
前記一般式IIで表される化合物は、式II−A〜式II−Dの中の1種類以上から選択されるものであり、
ここで、R
2は独立して、C
1〜C
7の直鎖状アルキル基又はC
2〜C
7の直鎖状アルケニル基を表し、R
3は独立して、C
1〜C
7の直鎖状アルキル基、C
1〜C
7の直鎖状アルコキシ基又はC
2〜C
7の直鎖状アルケニル基を表し、
一般式IIIで表される化合物は、以下の化合物の1種類以上から選択されるものであり、
ここで、R
4は独立してC
1〜C
7の直鎖状アルキル基を表し、R
5は独立して、C
1〜C
7の直鎖状アルキル基、直鎖状アルコキシ基又はC
2〜C
7の直鎖状アルケニル基を表す、請求項1〜
8のいずれか一項に記載の液晶組成物。
【請求項10】
一般式Iで表される化合物は、式I−A−1〜式I−U−4で表される化合物の一種類以上から選択されるものであり、
前記一般式IIで表される化合物は、式II−A−1〜式II−D−16の中の1種類以上から選択されるものであり、
一般式IIIで表される化合物は、式III−A−1〜式III−C−24で表される化合物の一種類以上から選択されるものである、請求項1〜
8のいずれか一項に記載の液晶組成物。
【請求項11】
一般式IVで表される化合物は、式IV−A−1〜式IV−C−30構造の中の1種類以上から選択されるものである、請求項
3又は4に記載の液晶組成物。
【請求項12】
一般式V〜一般式IXの化合物は、式V−A〜式IX−Nの1種類以上から選択されるものであり、
ここで、R
10は独立して、C
2〜C
7の直鎖状アルキル基又は直鎖状アルケニル基を表し、R
8、R
9、R
11〜R
13はそれぞれ独立して、C
2〜C
7の直鎖状アルキル基を表す、請求項
5又は6に記載の液晶組成物。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の液晶組成物をTN、IPS及びFFS型のTFT液晶表示装置に使用する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶の分野に関し、特に液晶組成物及びその液晶表示の分野での用途に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、液晶は情報表示の分野において幅広く応用されていると同時に、その光通信における応用も一定の進展を遂げている。近年では、液晶化合物の用途は、様々な種類の表示素子、電気光学素子、電子部品、センサー等に著しく広がっている。ネマチック液晶化合物は、今までフラットパネルディスプレイに最も幅広く使用され、特に、TFTアクティブマトリクスのシステムに使用されている。
【0003】
液晶表示は、液晶の発見に伴い、長い発展の道を経た。特に、1970年代以降、大規模集積回路や液晶材料の発展のため、表示分野における液晶の応用は画期的に発展した。1983〜1985年にT.Schefferなどが相次いで超ねじれネマチック(Super Twisred Nematic:STN)モードを提出し、かつP.Brodyが1972年に提出したアクティブマトリクス(Active matrix:AM)方式が再利用された。従来のTN−LCD技術は、STN−LCD及びTFT−LCD技術に発展した。STNの走査線本数は768以上に達することができるが、温度が上昇するとき応答速度、視角及びグレースケールなどの問題が存在するので、面積が大きく情報量が多いほとんどのカラーディスプレイは、アクティブマトリックス表示方式を使用する。
【0004】
ここで、「アクティブマトリクス」は、1、基板としたシリコンウェハ上のOMS(金属酸化物半導体)又は他のダイオードと、2、基板としたガラス板上の薄膜トランジスタ(TFT)との2つのタイプを含む。
【0005】
各部分の表示素子だけでなくモジュールが接合の箇所にアセンブリされるとき多くの問題が生じるため、基板材料とした単結晶シリコンは、ディスプレイのサイズを制限する。したがって、第2の薄膜トランジスタは、将来性のあるアクティブマトリクスのタイプであり、それが利用する光電効果は一般的にTN効果である。TFTは、Cdseのような化合物半導体、あるいは多結晶又はアモルファスシリコンに基づくTFTを含む。
【0006】
現在、LCD製品は、技術が成熟して、視角、解像度、彩度及び輝度などの技術上の困難な問題の解決に成功し、その表示性能は、CRTディスプレイに近いかそれ以上となっている。大きいサイズと中小サイズのLCDは、それぞれの分野において、徐々にフラットパネルディスプレイの主流を占めている。しかしながら、液晶材料自体の限界(高粘度)により、応答時間は高性能ディスプレイに影響を与える要因となる。
【0007】
具体的には、液晶の応答時間は、液晶の回転粘度γ1及び弾性定数によって制限される。液晶ディスプレイの応答時間を短縮し、液晶ディスプレイの応答速度を速くするために、液晶組成物の回転粘度を低減し弾性定数を向上させることは顕著な効果を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、液晶組成物を提供することである。この液晶組成物は、回転粘度が低く、弾性定数が大きく、応答時間が短いため、液晶ディスプレイの応答速度が遅いという問題を効果的に解決する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は以下のような技術的解決手段を採用する。
液晶組成物であって、重量部で、5〜40部の1種類以上の一般式Iで表される化合物と、2〜30部の1種類以上の一般式IIで表される化合物と、20〜70部の1種類以上の一般式IIIで表される化合物を含み、好ましくは、9〜30部の1種類以上の一般式Iで表される化合物と、3〜26部の1種類以上の一般式IIで表される化合物と、36〜67部の1種類以上の一般式IIIで表される化合物を含む。
ここで、R
1は独立して、C
1〜C
12の直鎖状アルキル基又はC
2〜C
12の直鎖状アルケニル基を表し、R
2は独立して、C
1〜C
12の直鎖状アルキル基、C
1〜C
12の直鎖状アルコキシ基又はC
2〜C
12の直鎖状アルケニル基を表し、R
4、R
5はそれぞれ独立して、未置換のC
1〜C
12の直鎖状アルキル基、1つ又は2つ以上の隣接しないCH
2がO、S又はCH=CHによって置換されたC
1〜C
12の直鎖状アルキル基を表し、
X
1は独立して、F、Cl、CN、C
1〜C
12の直鎖状アルキル基、C
1〜C
12の直鎖状アルコキシ基又はC
2〜C
12の直鎖状アルケニル基を表し、
Z
1、Z
2はそれぞれ独立して単結合又はアセチレン結合を表し、且つZ
1とZ
2の中の少なくとも1つはアセチレン結合であり、
L
1は独立してH又はFを表し、
A
1、A
2及びA
3はそれぞれ独立して、
を表し、
A
4は独立して
を表し、
A
5、A
6はそれぞれ独立して、トランス−1,4−シクロヘキシル基又は1,4−フェニレン基を表し、
m、nはそれぞれ独立して0又は1を表す。
【0010】
本発明の液晶組成物は、さらに、0〜30部の一般式IVで表される化合物を含み、好ましくは、4〜30部の一般式IVで表される化合物を含み、さらに好ましくは4〜24部の一般式IVで表される化合物を含む。
ここで、R
6、R
7はそれぞれ独立して、C
1〜C
12の直鎖状アルキル基、1つ又は2つ以上の隣接しないCH
2がO、S又はCH=CHによって置換されたC
1〜C
12の直鎖状アルキル基を表し、
A
7は、以下の構造から選択される1種類である。
【0011】
本発明の液晶組成物は、さらに、0〜30部の一般式V〜一般式IXで表される化合物を含み、好ましくは、5〜25部の一般式V〜一般式IXで表される化合物を含む。
ここで、R
10は独立して、C
1〜C
12の直鎖状アルキル基、C
2〜C
12の直鎖状アルケニル基を表し、R
8、R
9、R
11〜R
13はそれぞれ独立して、C
1〜C
12の直鎖状アルキル基を表し、X
2〜X
5はそれぞれ独立して、F、CF
3、OCF
3、OCF
2Hを表し、L
2〜L
9はそれぞれ独立してH又はFを表し、
A
8及びA
9はそれぞれ独立して、
を表す。
1つの実施形態として、本発明の液晶組成物は、重量部で、9〜12部の1種類以上の一般式Iで表される化合物と、5〜26部の1種類以上の一般式IIで表される化合物と、60〜67部の1種類以上の一般式IIIで表される化合物と、5〜24部の1種類以上の一般式IVで表される化合物、を含む。
【0012】
別の1つの実施形態として、本発明の液晶組成物は、重量部で、14〜30部の1種類以上の一般式Iで表される化合物と、3〜9部の1種類以上の一般式IIで表される化合物と、30〜50部の1種類以上の一般式IIIで表される化合物と、4〜18部の1種類以上の一般式IVで表される化合物と、9〜25(好ましくは、9〜23)部の1種類以上の一般式V〜一般式IXで表される化合物、を含む。
【0013】
上記の「1種類以上の一般式V〜一般式IXで表される化合物」の中、1種類の化合物のみを選択する場合には、化合物VII又は化合物Vを選択することが好ましい。その使用量の範囲は9〜15部であることが適切である。2種類の化合物の混合物を選択する場合には、化合物VII及び化合物Vは好ましく、その使用量の範囲は9〜23部とすることが適切である。3種類の化合物の混合物を選択する場合には、好ましくは、化合物V、化合物VIII及び化合物IXを選択し、あるいは化合物V、化合物VII及び化合物IXを選択する。使用量の範囲は15〜25部とすることが適切である。
【0014】
本発明による一般式Iで表される化合物は、2−メチル−3,4,5−トリフルオロベンゼン構造とジフルオロメトキシ架橋結合を含む極性の化合物である。この構造は、大きな誘電異方性を有する。
【0015】
具体的には、一般式Iで表される化合物は、式I−A〜式I−Uで表される化合物の1種類以上から選択されるものである。
ここで、R
1は独立してC
1〜C
7の直鎖状アルキル基を表す。
【0016】
好ましくは、一般式Iで表される化合物は、式I−A−1〜式I−U−4で表される化合物の1種類以上から選択されるものである。
【0017】
さらに好ましくは、一般式Iで表される化合物は、式I−F−2、I−F−3、I−G−2、I−G−4、I−P−1、I−P−2、I−R−2、I−R−3、I−U−2、I−U−4の中の1種類以上から選択されるものである。
【0018】
本発明による一般式IIで表されるアセチレン系化合物は、高い光学異方性を有し、組成物の光学異方性を向上させることに大きな役割を果たす。
【0019】
具体的には、前記一般式IIで表される化合物は、式II−A〜式II−Dの中の1種類以上から選択されるものであり、
ここで、R
2は独立して、C
1〜C
7の直鎖状アルキル基又はC
2〜C
7の直鎖状アルケニル基を表し、R
3は独立して、C
1〜C
7の直鎖状アルキル基、C
1〜C
7の直鎖状アルコキシ基又はC
2〜C
7の直鎖状アルケニル基を表す。
【0020】
好ましくは、式IIで表される化合物は、式II−A−1〜式II−D−16の中の1種類以上から選択されるものである。
【0021】
さらに好ましくは、一般式IIで表される化合物は、式II−A−1、II−A−6、II−A−10、II−A−35、II−C−3、II−C−6の中の1種類以上から選択される。
【0022】
本発明による一般式IIIで表される化合物は二環式環構造である。具体的には、一般式IIIで表される化合物は、以下の化合物の1種類以上から選択されるものであり、
ここで、R
4は独立してC
1〜C
7の直鎖状アルキル基を表し、R
5は独立して、C
1〜C
7の直鎖状アルキル基、直鎖状アルコキシ基又はC
2〜C
7の直鎖状アルケニル基を表す。
【0023】
好ましくは、前記一般式IIIで表される化合物は、式III−A−1〜式III−C−24で表される化合物の一種類以上から選択されるものである。
【0024】
さらに好ましくは、一般式IIIで表される化合物は、式III−A−1、III−A−2、III−A−4、III−A−5、III−C−4の中の1種類以上から選択されるものである。
【0025】
具体的には、一般式IVで表される化合物は、以下の式IV−A〜式IV−Cの化合物の1種類以上から選択されるものであり、
ここで、R
6は独立して、C
2〜C
10の直鎖状アルキル基又は直鎖状アルケニル基を表し、R
7は独立してC
1〜C
8の直鎖状アルキル基を表す。
【0026】
好ましくは、一般式IVで表される化合物は、式IV−A−1〜式IV−C−30の構造の中の1種類以上から選択されるものである。
【0027】
さらに好ましくは、一般式IVで表される化合物は、式IV−A−1、IV−A−2、IV−A−5、IV−A−8、IV−A−12、IV−B−1、IV−B−3の中の1種類以上から選択されるものである。
【0028】
好ましくは、一般式V〜一般式IXの化合物は、式V−A〜式IX−Nの1種類以上から選択されるものである。
【0029】
ここで、R
10は独立して、C
2〜C
7の直鎖状アルキル基又は直鎖状アルケニル基を表し、R
8、R
9、R
11〜R
13はそれぞれ独立して、C
2〜C
7の直鎖状アルキル基を表す。
【0030】
本発明の技術的特徴は以下のとおりである。I類の化合物は強い誘電異方性を有し、II類の化合物は大きな光学異方性を有し、IV類の化合物は高い透明点及び大きなK値特性を有するため、これらの3種類の化合物を使用すると、液晶組成物の物理的パラメータ性能を調節することができる。同時に、III類の化合物は、システムの粘度を低減し、応答速度を向上させるのに著しい効果を有し、高速応答液晶混合物の調製に必須の化合物の1つである。上記の化合物を併用することにより、混合液晶の回転粘度を効果的に低下させることができ、混合液晶の関連特性を向上させることができ、応答時間を短縮することができる。
【0031】
本発明の液晶組成物の調製方法は特に限定されず、従来の方法により2種類以上の化合物を混合することで調製を行うことができる。あるいは、本発明の液晶組成物は従来の方法により調製されてもよい。
【0032】
本発明による液晶組成物は、2−メチル−3,4,5−トリフルオロベンゼンの化合物、アセチレン系化合物及び非極性の二環式化合物を同時に含有し、低粘度、高抵抗率、適切な光学異方性、大きな弾性定数及び優れた光安定性と熱安定性を有し、液晶ディスプレイの応答時間を短縮できるため、液晶ディスプレイの応答速度が遅い問題を解決することがわかる。また、この液晶組成物は、IPS及びFFS液晶ディスプレイのコントラスト特性を効果的に改善することができる。従って、本発明による液晶組成物は、高速応答TN、IPS及びFFS型のTFT液晶表示装置に適し、特にIPS及びFFS液晶表示装置に適する。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下の実施例は本発明の説明するためであり、本発明の範囲を制限するためのものではない。
【0034】
特に断りのない限り、本発明において、パーセンテージは重量%であり、温度の単位は摂氏度であり、△nは光学異方性(25℃)を表し、△εは誘電異方性(25℃,1000Hz)を表し、V
10は閾値電圧を表し、相対透過率が10%変更するときの特性電圧(V,25℃)であり、γ1は回転粘度(mPa.s,25℃)を表し、Cpは液晶組成物の透明点(℃)を表し、K
11、K
22、K
33はそれぞれスプレイ弾性定数 、ツイスト弾性定数及びベンド弾性定数(pN,25℃)を表す。
【0035】
以下の実施形態では、液晶化合物における基の構造は、表1に示されるコードによって表される。
【0037】
以下の化合物を例として、
は、4CDUQKFで表され、
は、5CCPUFで表される。
【0038】
以下の各実施例では、液晶組成物の調製は、いずれも熱溶解法を用い、以下のステップを含む。重量%で液晶化合物を秤量した。ここで、秤量と添加の順序は特に規定しなかった。通常、液晶化合物の融点の高い順に秤量し混合する。各成分を均一に溶融するように60〜100℃で加熱撹拌してから、ろ過し、回転蒸発し、最後にパッケージングして目的試料を得た。
【0039】
以下の各実施例において、液晶組成物の各成分の重量%及び液晶組成物の性能パラメータは次の表に示される。
【0040】
〈実施例1〉
<表2>液晶組成物の各成分の重量部及び性能パラメータ
【0041】
〈実施例2〉
<表3>液晶組成物の各成分の重量部及び性能パラメータ
【0042】
〈実施例3〉
<表4>液晶組成物の各成分の重量部及び性能パラメータ
【0043】
〈実施例4〉
<表5>液晶組成物の各成分の重量部及び性能パラメータ
【0044】
〈実施例5〉
<表6>液晶組成物の各成分の重量部及び性能パラメータ
【0045】
〈実施例6〉
<表7>液晶組成物の各成分の重量部及び性能パラメータ
【0046】
〈実施例7〉
<表8>液晶組成物の各成分の重量部及び性能パラメータ
【0047】
〈実施例8〉
<表9>液晶組成物の各成分の重量部及び性能パラメータ
【0048】
〈実施例9〉
<表10>液晶組成物の各成分の重量部及び性能パラメータ
【0049】
〈実施例10〉
<表11>液晶組成物の各成分の重量部及び性能パラメータ
【0050】
〈実施例11〉
<表12>液晶組成物の各成分の重量部及び性能パラメータ
【0051】
〈比較例1〉
<表13>液晶組成物の各成分の重量部及び性能パラメータ
【0052】
実施例1及び比較例1で得られた液晶組成物の各性能パラメータ値を集めて比較した。表14を参照されたい。
【0053】
<表14>液晶組成物の性能パラメータの比較
【0054】
比較により、以下のことが分かる。比較例1と比較すると、実施例1による液晶組成物は、回転粘度が低く、弾性定数が高いため、より短い応答時間とより速い応答速度を有する。
【0055】
〈比較例2〉
<表15>液晶組成物の各成分の重量部及び性能パラメータ
【0056】
実施例9及び比較例2で得られた液晶組成物の各性能パラメータ値を集めて比較した。表16を参照されたい。
【0057】
<表16>液晶組成物の性能パラメータの比較
【0058】
比較により、以下のことが分かる。比較例2と比較すると、実施例9による液晶組成物は、回転粘度が低く、弾性定数が高いため、より短い応答時間とより速い応答速度を有する。
【0059】
本発明は、以上の一般的な説明及び実施形態を参照して詳細に説明してきたが、当業者であれば、本発明に基づいて、修正又は改善がなされ得ることは明らかである。したがって、本発明の精神から逸脱せずに行われたこれらの修正又は改善は本発明の保護範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明による液晶組成物は、2−メチル−3,4,5−トリフルオロベンゼンの化合物、アセチレン系化合物及び非極性の二環式化合物を同時に含有し、低粘度、高抵抗率、適切な光学異方性、大きな弾性定数及び優れた光安定性と熱安定性を有し、液晶ディスプレイの応答時間を短縮できるため、液晶ディスプレイの応答速度が遅い問題を解決することがわかる。また、この液晶組成物は、IPS及びFFS液晶ディスプレイのコントラスト特性を効果的に改善することができる。従って、本発明による液晶組成物は、高速応答TN、IPS及びFFS型のTFT液晶表示装置に適し、液晶表示分野において幅広い応用の将来性及び良好な産業上の利用可能性を有する。