(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
救援に必要な物資に設置されて当該物資の種別を識別する識別体と、当該識別体と通信して当該識別体の所定動作を制御するコントローラとを備える救援支援システムであって、
前記コントローラが、
利用者の操作に基づいて、前記物資の種別を選択する種別選択手段と、
前記物資の種別ごとに当該物資に設置された前記識別体に、前記種別選択手段で選択された前記物資の種別に対応する周波数の種別信号を送信する種別情報通信手段とを備え、
前記識別体が、
前記種別信号を受信する種別信号受信手段と、
受信した前記種別信号に応じて、対応する動作を制御する動作制御手段と、
前記物資の使用済み状態を示す情報を入力する入力手段と、
入力された前記使用済み状態を示す情報を出力する出力手段とを備えることを特徴とする救援支援システム。
救援に必要な物資に設置されて当該物資の種別を識別する識別体と、当該識別体と通信して当該識別体の所定動作を制御するコントローラとを備える救援支援システムであって、
前記コントローラが、
利用者の操作に基づいて、前記物資の種別を選択する種別選択手段と、
前記物資の種別ごとに当該物資に設置された前記識別体に、前記種別選択手段で選択された前記物資の種別情報を送信する種別情報通信手段とを備え、
前記識別体が、
前記種別情報を受信する種別信号受信手段と、
受信した前記種別情報に応じて、対応する動作を制御する動作制御手段と、
前記物資の使用済み状態を示す情報を入力する入力手段と、
入力された前記使用済み状態を示す情報を出力する出力手段とを備えることを特徴とする救援支援システム。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態を説明する。本発明は多くの異なる形態で実施可能である。また、本実施形態の全体を通して同じ要素には同じ符号を付けている。
【0033】
(本発明の第1の実施形態)
本実施形態に係る救援支援システムについて、
図1ないし
図7を用いて説明する。本実施形態に係る救援支援システムは、例えば、自然災害等によりある地域が被災した場合に、その被災地域の救援を効率よく確実に行うための救援支援システムである。自然災害等が発生した場合、被災者に対して食料、水、着替え等の救援物資が配布される。これらの救援物資の配布は、場合によっては人命に関わる重要な要素であるため、個々の被災者に応じて効率よく確実に行われる必要がある。
【0034】
しかしながら、自然災害等が発生した場合は、電気、水道、ガス等のライフラインや、携帯電話、電気通信回線等の通信網を所定期間利用することができない場合が多い。そのような場合であっても、救援物資は被災者の元に確実に配布される必要がある。本実施形態においては、電気や電気通信回線等を使用できない状況であっても、救援物資を確実に配布することができるものである。
【0035】
近年発生した阪神淡路大震災や東日本大震災を受け、災害時に備えた様々な対応が取られている。
図1は、災害時において物資を運ぶ際のカーゴシステムを示している。このカーゴシステムは、災害が発生した場合に主体的に救援を行う組織の保管庫や、避難所等として利用される施設に予め保管されて管理されている。例えば、幼稚園や特別養護老人ホーム等に保管されており、普段の生活においてはその中から物資の使用がなされる。すなわち、オムツのように普段から頻繁に利用するような物を常時補給しながら、災害時に備えて在庫を多めに備蓄しておく。
【0036】
図1(A)はカーゴシステムの全体図であり、
図1(B)は被災者に配布されるユニットボックスを示す図である。カーゴシステム1は、運搬のベースとなるベースカーゴ台車2と、このベースカーゴ台車2に収めることができるユニットカート3と、ユニットカート3に収めることができ、各被災者に個々に配布されるユニットボックス4とを有する。ユニットボックス4は、
図1(B)に示すように、物資の種別ごとに区分けされて収納されている。例えば、大人用、小人用、乳幼児用、高齢者用、障碍者用、その他の種別に区分けされており、収納されている物も各種別ごとに異なっている。各ユニットボックス4は、さらに男女別に区分けされていてもよい。
【0037】
上述したように、例えば、乳幼児用のユニットボックス4は、幼稚園や保育園等の施設に常時備蓄されており、高齢者用のユニットボックス4は、特別養護老人ホーム等の施設に常時備蓄されている。各施設では、普段それを使用しながらなくなった分を補給する。災害が発生した際には、それらを救援物資として被災地に配送する。しかしながら、被災地における公民館や体育館等の避難所には、様々な種別の被災者が集まっているため、各施設を周って必要量の救援物資を積み込み、それをまとめて避難所まで運んで、必要量の救援物資を積み下ろす必要がある。このとき、電気や通信回線を使用できない可能性が高いため、特に夜に運搬する場合などは、積み込みや積み下ろしで混乱し、適正な種別の救援物資を適正量配布するのが困難となる。
【0038】
また、物資の輸送は
図2(A)に示すようなパレットに積載される場合もある。このような場合も、どういった物資がどの程度の量積載されており、どこの地域にどの程度の量を降荷するかといった情報を正確に把握できていないと、適正に物資を配送することができなくなってしまう。以下の実施形態においては、一例として
図1のユニットボックスを利用する場合について説明するが、
図2(A)に示すようなパレットを用いた場合や
図2(B)に示すようなそれらを用いずに物資を個々に配送する場合でも同様の機能で救援支援を行うことが可能である。
【0039】
本実施形態においては、
図3に示すように、各ユニットボックス4ごとに識別体5が貼設されており、コントローラ6の操作に応じて識別体5の一部が発光する(発光部分を○で示す)。すなわち、ユニットボックス4の種別ごとに対応する識別体5が予め貼設され、コントローラ6から送信される周波数に応じて識別体5の一部が発光する。コントローラ6は、物資の種別に対応するボタン(例えば、「大人男」、「大人女」、「高齢者」、「乳幼児」、「障碍者」等)が配置されており、所定のボタンを押下することで、そのボタンに対応する周波数の信号が送信され、識別体5は受信した信号が自身に対応する周波数であれば発光する仕組みとなっている。
【0040】
つまり、様々な種別のユニットボックス4が混在して積み込まれているような状況(例えば、同じユニットカート3に複数の種別のユニットボックス4が収納されているような場合)であっても、コントローラ6のボタンを押下するだけで、識別体5の発光により必要な種別の救援物資が収納されたユニットボックス4を特定することが可能となる。
【0041】
なお、
図3の識別体5における点線で示す□は、使用済みを示すランプである。すなわち、ユニットボックス4の中身が消費された場合は、識別体5に付設されたボタン又はスイッチ(図示しない)を操作することで、この使用済みランプが発光する。自治体の職員やボランティアは、この使用済みランプを確認することで使用済み物資を回収し、新たな物資の配布を行う。
【0042】
また、ユニットボックス4に予め決まった日数分の物資が収納されている場合は、その日数が経過した時点で使用済みランプが発光する構成としてもよい。その場合は、識別体5にボタンやスイッチを付設する必要はない。
【0043】
ここで、本実施形態に係る救援支援システムの構成を説明する。
図4は、コントローラ6の構成を示す機能ブロック図である。コントローラ6は、利用者のボタン操作を入力情報31として入力する情報入力部32と、入力した情報から物資の種別を選択する種別選択部33と、物資の種別ごとに予め対応付けられた周波数の情報を記憶している種別情報記憶部35と、種別情報記憶部35の情報を読み込んで、選択された種別の周波数を決定する周波数決定部34と、決定した周波数の信号(種別信号)を送信する送信部36とを備える。
【0044】
図5は、識別体5の構成を示す機能ブロック図である。識別体5は、コントローラ6から送信された種別信号41を受信する種別信号受信部42と、受信した種別信号に応じた動作を特定して制御する動作制御部43と、動作制御部43の制御に応じて識別体5の一部を発光する発光処理部44とを備える。
【0045】
なお、識別体5は、特定の種別信号を受信した場合にのみ発光する構成であるが、その際に受信した種別信号の種類に応じて発光色や発光パターンを異ならせるようにしてもよい。すなわち、具体的には、大人用、小人用、乳幼児用、高齢者用、障碍者用、その他ごとに異なる色やパターンで発光してもよい。
【0046】
次に、本実施形態に係る救援支援システムの動作について説明する。
図6は、コントローラ6の動作を示すフローチャート、
図7は、識別体5の動作を示すフローチャートである。ここでは、複数種別の救援物資が混在されて運搬されており、その中から必要な種別の救援物資を積み下ろす場合の処理について説明する。なお、各救援物資には物資の種別に対応する識別体5が貼設されている。
【0047】
図6において、まず救援物資が運ばれてきたら、積み下ろしの対象となる救援物資の種別に対応するコントローラ6のボタンが利用者により押下され、入力情報31としてコントローラ6の情報入力部32に入力される(S51)。周波数決定部34が、種別選択部33で選択された種別情報、及び、種別情報記憶部35に記憶された周波数情報に基づいて、送信する周波数を決定する(S52)。送信部36が、決定した周波数で種別信号を送信して(S53)、処理を終了する。
【0048】
図7において、コントローラ6から種別信号41が送信されると、種別信号受信部42が、その種別信号41を受信する(S61)。動作制御部43が、受信した種別信号が所定の周波数信号であるかどうかを判定し(S62)、所定の周波数信号でない場合は何も動作せずに処理を終了する。所定の周波数信号の場合は、発光処理部44が発光動作を行うように制御して(S63)、処理を終了する。なお、発光処理の電源としては、ボタン電池等の小型電池を用いるようにしてもよい。
【0049】
なお、識別体5に配送する地域ごとの識別コードを記憶しておき(例えば、A地域:001、B地域:002等)、コントローラ6から当該コントローラ6固有の地域識別コード(例えば、A地域専用のコントローラ:001、B地域専用のコントローラ:002)を送信することで、該当コントローラ6に対応する地域の識別体5のみを発光させることができる。そうすることで、積み下ろし作業をより効率よく行うことが可能となる。
【0050】
また、識別体5は発光ではなく、音を発音する構成としてもよい。また、発光+発音する構成としてもよい。すなわち、物資が重なったり、角度によって発光を見落とす可能性があっても、発音することで降荷する物資が残っていることを報知することができる。
【0051】
以上のように、コントローラ6の操作に応じて識別体5の発光動作が制御されることで、電気等が使用できない状況で複数種別の救援物資が混在されて運搬されたような場合であっても、必要な救援物資を効率よく確実に積み下ろすことができる。
【0052】
(本発明の第2の実施形態)
本実施形態に係る救援支援システムについて、
図8ないし
図11を用いて説明する。本実施形態に係る救援支援システムは、前記第1の実施形態に係る救援支援システムにおいて、救援物資を管理する管理装置を備える構成となっている。なお、本実施形態において、前記第1の実施形態と重複する説明は省略する。
【0053】
図8は、本実施形態に係る救援支援システムのシステム構成図である。救援支援システム100は、前記第1の実施形態におけるコントローラ6及び物資に貼設された識別体5に加えて、さらに、救援物資の在庫管理や配送管理等の演算を行うための管理装置70と、被害状況等の情報を送って管理装置70に登録ための専用電話機71と、管理装置70で演算した結果に応じて物資の手配をするための端末72とを備える。
【0054】
専用電話機71は、例えば、衛星通信を使用する衛星電話機であり、災害等が発生した場合であっても通信可能な専用機器である。災害が発生した際には、被災した各地域にボランティアや自治体の職員が専用電話機71を携帯して配備され、各地の被害状況や必要な救援物資の種類、物資量等の被害情報が専用電話機71により管理装置70に登録される。
【0055】
なお、被害情報は、例えば、電子メールにより管理装置70に送信されてもよいし、ダイヤル信号やプッシュ信号により送信されてもよいし、音声により伝達されてもよい。音声により伝達される場合は、一旦管理者に音声で伝えた内容を管理者の手で管理装置70に登録するようにしてもよいが、音声認識機能により音声を自動認識して被害情報を登録するようにしてもよい。
【0056】
災害が発生した直後や通信機能を利用可能な場合は、被害情報をコントローラ6から入力するようにしてもよい。コントローラ6には、予め被害情報を入力するためのアプリケーションがインストールされており、利用者がそのアプリケーションを利用して入力した情報が通信により管理装置70に送信される。被害情報を入力するためのアプリケーションの入力方式は、予め想定される項目に選択式に入力していくような形式のもの(チェックボックス、ラジオボタン、プルダウン等を利用したもの)が望ましい。この場合、専用電話機71は必要ない。
【0057】
また、被害情報には、支援者にとって重要な情報となる被災地の環境情報(例えば、気温、天候等)、被害情報、荷物の降荷に関する情報(例えば、フォークリフトの有無、作業員人数等)、輸送手段に関する情報(例えば、道路の整備状況、道幅、空港の有無、空港の距離、積載可能量、積載可能容積等)及び現地に既に存在する利用可能な資機材情報(例えば、現地法人が有する資材、現地飲食店の在庫等)、避難所の出入口、インフラの状態(水・電気・トイレ)、疾病傾向、支援団体の有無等の情報を含むようにしてもよい。
【0058】
管理装置70は、専用電話機71から送られた情報を入力し、その情報に基づいて救援に必要な物資量を各被災地における被災者の種別ごとに集計して振分情報を生成する。このとき、例えば、取得したインフラの状態や輸送に関する情報から、輸送する物資の種類とその量を予め規定された優先度に応じて振り分けする。具体的には、水と電気が使えず、輸送手段として小型トラック1台しかない場合は、生命に直結する飲料水を最優先で輸送し、その後二次電池や必要な食糧等を徐々に輸送するといった振り分けを行う。生成された振分情報は、電気通信回線により端末72に送信される。在庫の管理者は、端末72に送信された振分情報を参照して必要な物資の手配を行う。
【0059】
なお、上述したように、救援物資は各施設等に備蓄されているため、各施設から必要な種別の物資を掻き集めて被災地に配送される。その際に、様々な種別の物資が混在した状態で配送されるが、上記第1の実施形態のように、必要な物資を発光により識別可能とすることで、物資の積み下ろしを容易にする。また、救援物資が各施設に備蓄されておらず、本部の倉庫にまとまった量の在庫を抱えている場合は、各施設を回って物資を掻き集める必要はなく、倉庫で一括して積み込むようにしてもよい。その場合であっても、様々な種別の物資が混在した状態と成り得るため、上記第1の実施形態のように、必要な物資を発光により識別可能とするのが望ましい。
【0060】
図9は、管理装置70で演算された結果に基づいて、各施設から必要な種別の物資を掻き集めて被災地に運搬する場合のイメージ図である。施設A〜Dには、各施設に応じた普段から使用している物資a〜dが備蓄されており、施設A〜Dを回って物資a〜dを運搬用の移動体に積み込んだ状態を示している。このとき、物資a〜dは、きちんと整頓されて積み込まれる場合もあるが、非常に短時間での積み込み作業の場合には、乱雑に積み込まれる可能性が非常に高い。したがって、
図9に示すように、コントローラ6を操作することで、必要な種別の物資のみを識別可能としている。例えば、物資「a」に対応するボタンを押下した場合には、物資「a」の種別に対応する識別体5が発光する。
【0061】
図10は、本実施形態に係る救援支援システムにおける管理装置の構成を示す機能ブロック図である。管理装置70は、専用電話機71から送られてくる必要物資情報91を入力する物資情報入力部92と、入力された必要物資情報91を記憶する物資情報記憶部93と、入力された必要物資情報91と在庫情報記憶部95に記憶された物資の在庫情報に基づいて、被災者の種別ごとに必要な物資量を演算する物資量演算部94と、演算して得られた物資量を被災した地域ごとに振り分けた振分情報97を出力する振分情報出力部96とを備える。なお、物資量演算部94は、配送する物資量を演算すると共に、その情報を在庫情報記憶部95に反映して物資の在庫管理を行える構成である。
【0062】
図11は、本実施形態に係る救援支援システムにおける管理装置の動作を示すフローチャートである。まず、物資情報入力部92が、各被災地から専用電話機71で送られてくる必要物資情報91を入力すると共に、物資情報記憶部93にその情報を書き込む(S11)。物資情報記憶部93に記憶された情報、及び、在庫情報記憶部95に記憶された情報から、物資量演算部94が、物資の種別ごとに必要な物資量を演算する(S12)。振分情報出力部96が、演算された各種の物資量を被災地域ごとに振り分けた振分情報を生成して出力し(S13)、処理を終了する。物資を積み込む人は、出力された振分情報を参照して必要な物資を必要量だけ移動体に積み込む。このとき、各ユニットボックス4には、その種別に対応する識別体5が予め貼設されているか、又は、積み込む際に貼設するものとする。
【0063】
なお、コントローラ6及び識別体5の構成及び動作は、前記第1の実施形態の場合と同じである。
【0064】
また、上記の処理は、救援物資を最初に配送する場合に機能すると共に、消費された物資を補充する際にも機能させることができる。すなわち、識別体5は使用済みを示すランプを有していることから、識別体5を回収して確認することで使用済みの状態(消費された物資の種別や量、いつ誰に利用されたか)を把握し、専用電話機71を用いて管理装置70に登録することができる。使用済みの情報は必要物資情報91として管理装置70に入力され、管理装置70において上記と同様の物資量の演算や振り分け処理等が行われ、補充される物資が各被災者に配送される。必要物資情報91は、識別体5とコントローラ6との間の短距離通信機能(例えば、Wi−SUN等)を利用してコントローラ6に読み出し、コントローラ6から管理装置70に通信で入力されるようにしてもよい。このとき、併せて物資の利用者の情報を入力するようにしてもよい。この場合、識別体5には、予め設置される物資の物資情報が記憶されており(後述する第4の実施形態を参照)、また、コントローラ6と短距離通信を行うための通信インターフェースを備える構成となる。
【0065】
さらに、識別体5が、予め当該識別体5が設置される物資の情報を記憶するようにした場合(後述する第4の実施形態を参照)、それらの情報を被災者が所有する携帯端末で短距離通信機能等を用いて取得できるようにしてもよい。その際に、物資の種類によってはその使用法(例えば、浄水剤)や服用法(例えば、医薬品)も併せて記憶しておくことで、被災者が物資を適正に利用することが可能となる。つまり、専門の知識を持った人がその場にいなくても様々な物資の利用が可能となる。
【0066】
以上のように、被災状況を登録して物資を一元管理することで、必要な物資の情報をその種別ごとに正確に管理して即座に配送することができる。また、使用済みの状態や在庫管理を行うことで、正確で確実に救援物資を補充することが可能となる。さらに、本実施形態に係る救援支援システムの構成によれば、インターネット等の電気通信回線が利用できない場合であっても、システムを正常に機能させることができ、被災地での混乱等を防止することができる。
【0067】
(本発明の第3の実施形態)
本実施形態に係る救援支援システムについて、
図12ないし
図14を用いて説明する。本実施形態に係る救援支援システムは、前記第2の実施形態に係る救援支援システムにおいて、識別体5に安否確認情報等を含む被災者の個人情報を記憶し、それを回収して管理装置70で管理するものである。なお、本実施形態において、前記各実施形態と重複する説明は省略する。
【0068】
図12は、本実施形態に係る救援支援システムのシステム構成図である。本実施形態に係る救援支援システム100は、前記第2の実施形態における救援支援システム100の構成において、配布された物資に貼設された識別体5にそれを受け取った被災者の個人情報を記憶させ、識別体5を回収することで被災状況等を管理装置70で把握するものである。
【0069】
被災者の個人情報には、本人に関する個人情報(例えば、氏名、住所、職業、避難場所、健康状態、被災の程度の情報等)に加えて、本人が把握している他の人の情報(例えば、家族、親戚、近所、友人等の安否確認の情報等)を記憶することが望ましい。識別体5への個人情報の書き込みは、コントローラ6を用いて行う。各被災者がコントローラ6を操作して個人情報を入力し、その情報を識別体5に送信することで識別体5に情報を書き込む。
【0070】
なお、各被災者の入力操作を簡単にするために、予め入力を容易にするインターフェースを用意しておくことが望ましい。また、必ずしもコントローラ6を用いなくても、例えば、ポータブル電源等により十分な電気が確保されている場合は、パソコン等の高機能な端末を利用して個人情報の書き込みを行うようにしてもよい。
【0071】
図13は、本実施形態に係る救援支援システムにおけるコントローラ6の構成を示す機能ブロック図である。主要な構成は、第1の実施形態における
図4とほぼ同じであるが、入力情報31として被災者の個人情報が情報入力部32に入力され、その個人情報が送信部36から識別体5に送信される構成である。
【0072】
図14は、本実施形態に係る救援支援システムにおける識別体5の構成を示す機能ブロック図である。識別体5は、第1の実施形態における
図5の構成に加えて、コントローラ6から送信された個人情報130を受信する個人情報受信部131と、受信した個人情報を記憶する個人情報記憶部132とを備える。
【0073】
個人情報が記憶された識別体5は回収され、例えば、識別体5の情報を読み取り可能なリーダを介して接触又は非接触で管理装置70に取り込まれる。管理装置70では、この個人情報を記憶し、必要に応じて編集等を行ってから被災者情報として出力される。
【0074】
識別体5には、予め当該識別体5が設置される物資の支援元の情報(例えば、物資を購入した際の義援金の寄付者、物資の提供元等の情報)を記憶しておき、管理装置70が、上記個人情報とリンクさせて表示することで、義援金や提供した物資がどこの誰に利用されたかを確認することができるため、寄付の実感が湧き、支援意欲を向上させて多くの支援を募ることができる。
【0075】
以上のように、被災者の個人情報を管理装置にて管理することができるため、安否確認等に役立てることができる。また、識別体5に個人情報を記憶して回収するため、電気通信回線が利用できない場合であっても、被災に関する重要な情報を電子情報で確実に収集することができる。
【0076】
(本発明の第4の実施形態)
本実施形態に係る救援支援システムについて、
図15及び
図16を用いて説明する。本実施形態に係る救援支援システム1は、識別体5が、物資に関する物資情報を記憶する記憶手段を備え、コントローラ6の所定の操作に応じて識別体5の記憶手段から物資情報を読み出して受信し、受信した物資情報を表示制御するものである。
【0077】
識別体5には当該識別体5が設置される物資を積み込む際に、当該物資に関する物資情報(例えば、物資の種別、個数(量)、重量、持ち運びに必要な作業員数、管理方法(温度、湿度)、取扱い方法(割れ物、上載せ禁止)、賞味期限(消費期限)等)が登録されている。登録された情報は、例えば二次元のコード(バーコード、QRコード(登録商標)等)等に変換されて外部から読み取り可能な状態で識別体5として物資に設置されてもよいし、短距離通信機能を有するチップ内のメモリに記憶されてもよい。
【0078】
図15は、本実施形態に係る救援システムにおける処理の概要を示す図である。救援の際には、様々な物資が
図1又は
図2に示すような状態で輸送される。このとき、
図15(A)(物資の配送先又は配送途中の空港等の倉庫における上面図)に示すように、カーゴシステム1やパレットを用いて複数の物資をまとめて一つのグループとするグループ化が行われる。このような場合は、各グループごとに、含まれる全ての物資情報を識別体5に記憶し、当該識別体5をグループ全体を梱包する梱包体等に貼設する。すなわち、グループ全体の物資情報を参照可能にすると共に、
図3に示すような各物資ごとの個別の物資情報も参照することが可能となる。
【0079】
グループ化された物資が現地に輸送された後は、コントローラ6を操作(二次元コードのスキャンや短距離通信等)することで識別体5に記憶された物資情報を読み出す。読み出された物資情報は、
図15(B)に示すように、コントローラ6の画面に表示され、上記に示したような物資情報を閲覧することができ、降荷作業を効率よく行うことができる。なお、
図15(B)においては、仮にグループ6の物資情報が読み出された場合を示しており、グループ6に含まれている物資の種類、量、必要に応じて注意事項(運ぶために必要な人数、取扱いの注意等)が画面上に表示されている。
【0080】
なお、識別体5は、上述したメモリ及び短距離通信機能を有する素子と、発光体として機能する素子とを備えるが、それぞれの素子は一体的に構成されてもよいし、別体で構成されてもよい。別体で構成される場合は、メモリ及び短距離通信機能を有する素子は物資の中に一緒に梱包し、発光体素子のみを外部に貼設するようにしてもよい。
【0081】
また、識別体5が、さらにGPS情報を受信できる機能を有する素子を備える構成とし、コントローラ6の操作により取得した各物資のGPS情報に基づいて、各物資の配置位置を演算し、
図16に示すような3次元情報でコントローラ6の画面に表示されるようにしてもよい。
【0082】
なお、上記各実施形態に係る救援支援システムを構成するコントローラ6や管理装置70は、CPU、メモリ、ハードディスク等のハードウェアを有しており、CPUがプログラムに従って動作することで処理が実現される。また、必要に応じて、通信のためのインターフェースや入出力のためのインターフェースも備えている。また、識別体5についてもコントローラ6と同様のハードウェア構成としてもよいし、より簡素化するために通信のインターフェースと入出力のためのインターフェースを備え、所定の周波数信号を受信した場合に発光するためのICチップ等を備える構成であってもよい。
【0083】
また、
図1に示すカーゴシステム1は、コントローラ6の操作による自動走行するようにしてもよい。すなわち、コントローラ6で入力された操作情報を識別体5が受信し、受信した操作情報に応じてカーゴシステム1が走行を行うようにしてもよい。そうすることで、重い物資なども楽に運ぶことができ作業効率を格段に向上させることが可能となる。