特許第6422151号(P6422151)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6422151
(24)【登録日】2018年10月26日
(45)【発行日】2018年11月14日
(54)【発明の名称】安全ガードを有するレーキ
(51)【国際特許分類】
   A01D 78/10 20060101AFI20181105BHJP
【FI】
   A01D78/10
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-166270(P2014-166270)
(22)【出願日】2014年8月19日
(65)【公開番号】特開2016-41052(P2016-41052A)
(43)【公開日】2016年3月31日
【審査請求日】2017年7月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000132909
【氏名又は名称】株式会社タカキタ
(74)【代理人】
【識別番号】100111349
【弁理士】
【氏名又は名称】久留 徹
(72)【発明者】
【氏名】藤原 康弘
(72)【発明者】
【氏名】岡田 直也
【審査官】 中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭60−160126(JP,U)
【文献】 実開昭58−139035(JP,U)
【文献】 実公昭36−018818(JP,Y1)
【文献】 特開平09−047105(JP,A)
【文献】 米国特許第06272826(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 59/00 − 59/06
A01D 59/00 − 59/06
A01D 76/00 − 90/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メインフレームに設けられたローターを回転させることによって、タインアームを鉛直軸を中心に回転させ、当該タインアームに取り付けられたタインを上下動させることによって牧草を列方向に集められるようにしたレーキにおいて、
前記メインフレームの前方を持ち上げるためのスタンドと、
当該スタンドを接地状態と水平状態との間で回動させる回動部と、を設け、
当該スタンドを水平方向に回動させて固定した際に、タインアームの回転領域の前方部分を覆うようにしたことを特徴とするレーキ。
【請求項2】
前記スタンドを、トラクターのロアリンクに連結させる左右のそれぞれの連結フレームに設けるようにした請求項1に記載のレーキ。
【請求項3】
前記スタンドを、斜め後方に向けて傾斜させるようにした請求項1に記載のレーキ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローターを回転させることにより、牧草を列方向に集められるようにしたレーキに関するものであって、より詳しくは、タインアームの外側に安全ガードを設けるようにしたレーキに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的なレーキの構造について図5に説明する。
【0003】
符号71はメインフレームであって、トラクターのトップリンクやロアリンクなどに連結されるものである。このメインフレーム71の前方には、鉛直方向に沿ったスタンド72が設けられており、このスタンド72を立てることによってメインフレーム71を水平な状態にできようにしている。また、符号73はローターであって、その周囲にタインアーム74を放射状に設け、360度回転させながら、その先端に設けられたタイン75を上下動させられるようにしたものである。そして、このようなレーキを使用する際、トラクターで圃場を走行させながらローター73を回転させ、これによって、タインアーム74の先端に設けられたタイン75で地面を引っ掻いて牧草を列方向に集めるようにしている。
【0004】
ところで、このようなレーキには、ローター73の回転時に、タインアーム74の回転領域に人が侵入しないようにするための安全ガード76が設けられ、また、タインアーム74の回転領域から牧草を飛散させないようにして集草列を作れるようにしたスカート77などが設けられている。この安全ガード76や飛散防止部78は、回動軸76aを介して、使用時に水平状態に降ろして固定するとともに、非使用時にはこれらを起立状態に持ち上げられるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−184229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような安全ガード76や飛散防止部78などを設ける場合、次のような問題がある。
【0007】
すなわち、従来の安全ガード76は、一端側をメインフレーム71の前方部分に設けられた回動部76aに取り付けられるとともに、他端側をメインフレーム71から延出させた飛散防止部78の先端部分に取り付けられるようになっているため、全体としてのフレームが長くなってしまい、材料コストが高くつく。また、このようなレーキをコンパクトに収納させる際には、安全ガード76などを起立させる必要があるが、その際、その安全ガード76を取り付けた飛散防止部78も一緒に回動軸76bを用いて起立させなければならず、その飛散防止部78を起立させるための回動部76bが必要になってコスト高になってしまう。
【0008】
さらには、飛散防止部78はタインを持ち上げる側(図5の左側)にのみ設けられるものであるため、反対側である飛散防止部78を有していない側(右側)には、別の構造の安全ガードを取り付けなければならない。
【0009】
そこで、本発明は上記課題を解決するために、低コストに安全ガードを設けられるようにするとともに、飛散防止部を設けていない側にも安全ガードを低コストに設けられるようにしたレーキを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明は上記課題を解決するために、メインフレームに設けられたローターを回転させることによって、タインアームを鉛直軸を中心に回転させ、当該タインアームに取り付けられたタインを上下動させることで牧草を列方向に集められるようにしたレーキにおいて、前記メインフレームの前方を持ち上げるためのスタンドと、当該スタンドを接地状態と水平状態との間で回動させる回動部とを設け、当該スタンドを水平方向に回動させて固定した際に、タインアームの回転領域の前方部分を覆うようにしたものである。
【0011】
このように構成すれば、スタンドを水平方向に回動させることによって安全ガードとして使用することができ、スタンドと安全ガードとを兼用してコストを下げることができるようになる。
【0012】
また、このような発明において、前記スタンドを、トラクターのロアリンクに連結させる左右のそれぞれの連結フレームに取り付けるようにする。
【0013】
このように構成すれば、ロアリンクに連結させる左右の連結フレームを利用することで、よりコストを下げることができるようになる。
【0014】
さらに、前記スタンドを、斜め後方に向けて傾斜させるようにする。
【0015】
このように構成すれば、水平状態のスタンドと飛散防止用のスカートとの隙間を小さくすることができ、スタントとスカートとで有効に回転領域を覆うことができるようになる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、メインフレームに設けられたローターを回転させることによって、タインアームを鉛直軸を中心に回転させ、当該タインアームに取り付けられたタインを上下動させることで牧草を列方向に集められるようにしたレーキにおいて、前記メインフレームの前方を持ち上げるためのスタンドと、当該スタンドを接地状態と水平状態との間で回動させる回動部とを設け、当該スタンドを水平方向に回動させて固定した際に、タインアームの回転領域の前方部分を覆うようにしたので、スタンドを水平方向に回動させることによって安全ガードとして使用することができ、スタンドと安全ガードとを兼用してコストを下げることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施の形態におけるレーキの平面概略図
図2】同形態における側面概略図
図3】同形態におけるスタンドの接地状態と水平状態を示す図
図4】他の実施の形態におけるレーキの平面概略図
図5】従来例におけるレーキの構造を示す図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施の形態におけるレーキ1の構造について、図面を参照しながら説明する。
【0019】
この実施の形態におけるレーキ1は、図示しないトラクターなどの牽引車に牽引されながら牧草を列方向に集められるようにしたものであって、図1図2に示すように、トラクターに連結されるメインフレーム2と、そのメインフレーム2の後方側に取り付けられたローター3と、このローター3の外側に放射状に設けられたタインアーム41と、そのタインアーム41の先端側に設けられたタイン42などを備え、タインアーム41を鉛直軸を中心に回転させるとともに、そのタインアーム41の前端側に取り付けられたタイン42を上下に揺動させることによって牧草を列方向に集められるようにしたものである。そして、このような構成において、特徴的に、そのメインフレーム2を水平状態に持ち上げておくためのスタンド6を設け、レーキ1の非使用時には、図3(a)に示すように、スタンド6を起立させておき、集草作業時には、図3(b)に示すように、スタンド6を水平状態に回動させて、安全ガードとして使用できるようにしたものである。以下、本実施の形態におけるレーキ1の構造について詳細に説明する。
【0020】
まず、メインフレーム2は、前後方向に設けられるものであって、前方部分を図示しないトラクターのトップリンクやロアリンクに連結させるように構成されている。このうち、トップリンクに連結させるための上部連結部21は、図2に示すように、メインフレーム2の上面から斜め上前方にフレームを延出させ、その先端部分でトップリンクを連結させるようになっている。一方、ロアリンクに連結させるための下部連結部22は、図1に示すように、メインフレーム2から左右斜め前方にフレームを延出させ、その先端部分でロアリンクを連結させるようにしている。
【0021】
このメインフレーム2の後端側に設けられるローター3は、外側に四本のタインアーム41を放射状に延出させるようにしたものであって、トラクターのPTOからの駆動力を用いて回転するようになっている。このトラクターのPTOからの駆動力は、メインフレーム2の内部を通る駆動シャフト23に伝達され、これによってローター3を回転させるようになっている。このPTOから駆動力が伝達されると、ローター3内に設けられた図示しない駆動機構を介して、タインアーム41を鉛直軸を中心として360度回転させ、また、これと同時に、タインアーム41の先端側に設けられたタイン42を周期的に上下方向に揺動させる。このとき、タイン42は、図1における回転領域Aで先端部分を接地させて地面を引っ掻くようになっており、また、回転領域Bでは先端部分を持ち上げて牧草を列方向に集められるようになっている。
【0022】
また、このローター3の近傍には、メインフレーム2から横方向に延びる飛散防止部5が取り付けられる。この飛散防止部5は、その先端に設けられたスカート54を用いて牧草の飛散を防止して集草列を作れるようにしたものであって、ここでは、図1に示すように、メインフレーム2に取り付けられた中空フレーム51と、その中空フレーム51にスライド可能に挿入されるスライドフレーム52と、そのスライドフレーム52の先端からT字状をなすサイドフレーム53とを設けて構成され、そのサイドフレーム53にスカート54を取り付けるようにしている。そして、その中空フレーム51にスライドフレーム52を挿入してスカート54の取り付け位置を決め、その状態で、中空フレーム51に設けられた固定ネジ55を用いてスライドフレーム52を固定できるようにしている。
【0023】
このような構成のもと、メインフレーム2の前方には次のようなスタンド6が設けられる。
【0024】
このスタンド6は、図3に示すように、接地状態と水平状態との間で回動できるようにしたものであって、接地状態にすることによって、メインフレーム2を略水平状態に保つようにするとともに、水平状態にすることによって、タインアーム41の回転領域(AおよびBの領域)の前方部分を覆って、安全ガードとして使用できるようにしたものである。
【0025】
このスタンド6は、メインフレーム2から左右斜め前方に向かって延びる下部連結部22の内側に回動部61を取り付け、その回動部61に回動可能に取り付けられる。この回動部61は、図3に示すように、下向きコの字状をなすように構成されており、回動軸62を中心としてスタンド6を回動させるようにしている。そして、そのスタンド6の先端を接地状態にして使用する場合は、図3(a)に示すように、スタンド6の回動中心側に設けられた孔部63と回動部61の側板に設けられた起立孔部64との間にピン66を挿入し、また、安全ガードとして使用する場合は、スタンド6を水平状態にして、そのスタンド6の孔部63と側板に設けられた水平孔部65との間にピン66を挿入して固定する。このとき、スタンド6を水平状態にすると、図1に示すように、メインフレーム2の軸方向に対して後方に約45度に傾くようになるため、スタンド6とスカート54との隙間を小さくして、スタント6とスカート54とで有効に回転領域を覆うことができるようになる。
【0026】
次に、このように構成されたレーキ1の使用方法について説明する。
【0027】
まず、レーキ1を使用する場合、ローター3の外周にタインアーム41を取り付けるとともに、その外側に飛散防止部5を取り付ける。この飛散防止部5を取り付ける場合、中空フレーム51にスライドフレーム52を挿入し、タインアーム41の回転領域の外側をスカート54で覆うようにする。そして、その状態で、中空フレーム51の固定ネジ55を締め付けてスライドフレーム52を固定する。
【0028】
また、これとともにトラクターのトップリンクとロアリンクにレーキ1を連結させる。レーキ1を連結させる場合、上部連結部21とトップリンクをピンで連結するとともに、V字状に設けられた左右の下部連結部22の先端部分とロアリンクをピンで連結させる。このとき、メインフレーム2とトラクターを連結させた後、メインフレーム2を少し持ち上げてスタンド6を持ち上げるようにしておくとよい。
【0029】
そして、このようにスタンド6を持ち上げた状態で、図3(a)の状態から回動部61の側板に設けられたピン66を抜き、スタンド6を水平状態に回動させてピン66で固定させる(図3(b))。すると、V字状に開く下部連結部22と水平状態に持ち上げられたスタンド6が、タインアーム41の回転領域の前方部分を覆うようになる。しかも、このときスタンド6は、斜め後方に45度傾くようになっているため、スカート54との隙間を小さくして、全体として回転領域を覆うことができるようになる。
【0030】
そして、このようにスタンド6を水平状態に固定した後、駆動シャフト23とトラクターのPTOとを連結させる。
【0031】
このような状態のもと、トラクターを走行させると、ローター3が回転し、タイン42を上下方向に揺動させて牧草を列方向に集めることができる。このとき、タインアーム41の回転領域の前方側には、水平方向に持ち上げられたスタンド6が設けられているため、人が侵入するのを防止することができ、また、回転領域Aの領域で牧草を引っ掻いてスカート54側に集め、回転領域Bでタイン42を持ち上げて牧草を集めることができるようになる。
【0032】
このように上記実施の形態によれば、メインフレーム2に設けられたローター3を回転させることによって、タインアーム41を鉛直軸を中心に回転させ、当該タインアーム41に取り付けられたタイン42を上下動させて牧草を列方向に集められるようにしたレーキ1において、前記メインフレーム2の前方を持ち上げるためのスタンド6と、当該スタンド6を接地状態と水平状態との間で回動させる回動部61とを設け、当該スタンド6を水平方向に回動させた際に、タインアーム41の回転領域の前方部分を覆うようにしたので、スタンド6を水平方向に回動させることによって安全ガードとして使用することができ、スタンド6と安全ガードとを兼用してコストを下げることができるようになる。
【0033】
また、スタンド6を、トラクターのロアリンクに連結させる左右のそれぞれの連結フレームに取り付けるようにしたので、ロアリンクに連結させる左右の連結フレームを利用して、よりコストを下げることができるようになる。
【0034】
さらに、スタンド6を、下部連結部22から斜め後方に向けて傾斜させるようにしたので、水平状態のスタンド6と飛散防止用のスカート54との隙間を小さくすることができ、スタント6とスカート54とで有効に回転領域を覆うことができるようになる。
【0035】
なお、本発明は本実施の形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。
【0036】
例えば、上記実施の形態では、直線状のスタンド6を例に挙げて説明したが、屈曲した形状のスタンド6や湾曲した形状のスタンド6などを用いることもできる。
【0037】
また、上記実施の形態では、スタンド6を下部連結部22に設けるようにしているが、図4に示すように、メインフレーム2に直接回動部61を設けてスタンド6を取り付けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1・・・レーキ
2・・・メインフレーム
21・・・上部連結部
22・・・下部連結部
3・・・ローター
41・・・タインアーム
42・・・タイン
5・・・飛散防止部
51・・・中空フレーム
52・・・スライドフレーム
53・・・サイドフレーム
54・・・スカート
55・・・ネジ
6・・・スタンド
61・・・回動部
62・・・回動軸
63・・・孔部
64・・・起立孔部
65・・・水平孔部
66・・・ピン
図1
図2
図3
図4
図5