特許第6422158号(P6422158)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社三谷バルブの特許一覧

特許6422158トリガー操作式内容物放出機構およびこのトリガー操作式内容物放出機構を備えたポンプ式製品
<>
  • 特許6422158-トリガー操作式内容物放出機構およびこのトリガー操作式内容物放出機構を備えたポンプ式製品 図000002
  • 特許6422158-トリガー操作式内容物放出機構およびこのトリガー操作式内容物放出機構を備えたポンプ式製品 図000003
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6422158
(24)【登録日】2018年10月26日
(45)【発行日】2018年11月14日
(54)【発明の名称】トリガー操作式内容物放出機構およびこのトリガー操作式内容物放出機構を備えたポンプ式製品
(51)【国際特許分類】
   B05B 11/00 20060101AFI20181105BHJP
   B65D 47/34 20060101ALI20181105BHJP
【FI】
   B05B11/00 102J
   B65D47/34 200
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-5271(P2015-5271)
(22)【出願日】2015年1月14日
(65)【公開番号】特開2016-129876(P2016-129876A)
(43)【公開日】2016年7月21日
【審査請求日】2018年1月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000144463
【氏名又は名称】株式会社三谷バルブ
(74)【代理人】
【識別番号】100097593
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 治幸
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 正人
【審査官】 伊藤 寿美
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭52−028715(JP,U)
【文献】 特開2001−122366(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0006198(US,A1)
【文献】 特開2003−164779(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 11/00−11/06
B65D 47/00−47/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
片持ち回動タイプでプラスチック製のトリガー操作部材の内容物放出操作にともなうピストンの移動により、容器本体側の内容物が内容物放出装置の放出口から外部空間域に放出されるトリガー操作式内容物放出機構において、
前記トリガー操作部材は、
全体が一体成形され、逆U字状の縦断面形状を持つ板バネ状の長尺部材であって、
利用者が前記内容物放出操作をおこなう操作部および当該内容物放出操作にともない前記ピストンを駆動する放出駆動部を備え、かつ前記内容物放出装置の前方外側に設けられて、前記内容物放出操作の対象となる長手方向前側操作部と、
前記内容物放出操作のときにも変形しない態様で前記内容物放出装置の起立面に固定保持される前面部分を備え、前記内容物放出装置の後方外側に固定保持される長手方向後側固定被保持部と、
当該長手方向前側操作部および当該長手方向後側固定被保持部の間の長手方向連続部分に形成されて弾性変形可能な弾性作用部と、
からな
前記内容物放出装置は、
その前側外周面に前記ピストンの抜け落ち防止部を有して前記放出口に連通する内容物放出用のシリンダ、および前記ピストンを備え、
前記ピストンは、
前記放出駆動部が回動可能に係合して前記トリガー操作部材からの操作力および復帰力により駆動される被放出駆動部と、
前記抜け落ち防止部に係合して前記シリンダとの間の移動を規制する規制部とを備え、
前記内容物放出操作は、
前記長手方向前側操作部を前記長手方向後側固定被保持部に近づける方向への回動操作であり、
前記弾性作用部のみの弾性作用によって前記ピストンが静止状態に復帰することにより、前記抜け落ち防止部と前記規制部とが当接する、
ことを特徴とするトリガー操作式内容物放出機構。
【請求項2】
請求項1記載のトリガー操作式内容物放出機構を備え、かつ、放出対象内容物を容器本体に収容した、
ことを特徴とするポンプ式製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、片持ち回動タイプでプラスチック製のトリガー操作部材(以下、必要に応じて単に「トリガー操作部材」という。)の内容物放出操作により、容器本体側の内容物が放出口から外部空間域に放出されるトリガー操作式内容物放出機構に関する。
【0002】
特に、トリガー操作部材を、前側操作部,後側被固定保持部およびこれらの間に配設されて変形可能な弾性作用部からなる一体成形部材で構成した態様のトリガー操作式内容物放出機構に関する。
【0003】
ここで、内容物放出操作時に変形するのは前側操作部と後側被固定保持部とのいわばつなぎ部分といえる弾性作用部のみである。後側被固定保持部は内容物放出装置に変位なしの固定状態で取り付けられている。
【0004】
すなわち、トリガー操作部材の内容物放出操作時にも、トリガー操作部材の後側被固定保持部が内容物放出機構の本体部分などに対して回動するようなことはない。
【0005】
本明細書では、ドリガー操作部材の操作部や放出口の側(図1の左側,図2の左下側)を「前」といい、その反対側(図1の右側,図2の右上側)を「後」という。
【0006】
また、略水平面内でこの前後方向と略直交する方向(図1の奥行方向,図2の左上−右下方向)を「左右」,「横」という。
【背景技術】
【0007】
従来、片持ち回動タイプのトリガー操作部材を用いた内容物放出機構が多数提案されている(特許文献1参照)。
【0008】
これらの内容物放出機構で用いられるトリガー操作部材は、利用者の回動操作力をポンプ機構に伝達するために全体的に剛性を有する「てこ」からなり、回動中心(支点)、操作面(力点)、ポンプ駆動部(作用点)は一つの剛体として配置されている。
【0009】
また、特許文献2,3では、内容物放出操作終了後にこのいわば「剛体てこ」を初期状態に復帰させるための弾性作用部をこの「剛体てこ」自体に付加する形で一体成形したプラスチック製のトリガー操作部材が開示されている。
【0010】
すなわち、この特許文献2,3のトリガー操作部材は、その回動中心部を備えた「剛体てこ」の部分はそのまま援用し、これとは別に初期状態復帰用の弾性作用部を新設する形で一体成形されたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平10−005645号公報
【特許文献1】特開平10−000396号公報
【特許文献1】特開2008−30006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
このように従来の片持ち回動タイプのトリガー操作部材を構成する「剛体てこ」部分は、利用者の内容物放出操作のたびに変形なく回動してポンプ駆動部に操作力を伝達するため、「剛体てこ」の回動中心にラジアル荷重が繰り返し加わることになる。
【0013】
そのため、トリガー操作部材の繰返し使用にともない「剛体てこ」の回動中心およびこれを受ける軸部や穴部などの表面部分が変形,摩耗し、トリガー操作部材やこれを用いた内容物放出機構としての長期的な耐久性が担保されにくいという問題点があった。
【0014】
そこで本発明では、「剛体てこ」部分はそのまま転用するといった既成概念を捨象し、いわば「剛体てこ」をその長手方向の概略「前」,「中」,「後」の各部分に仮想分割して当該「中」部分を初期状態への弾性作用部として用いるようにした。
【0015】
この「中」部分の弾性作用部化により、「後」部分を、従来のような回動中心としてではなく、利用者の内容物放出操作時にも変形しない態様で内容物放出装置に固定保持することが可能となる。「前」部分は内容物放出操作の回動対象部となる。
【0016】
この「後」部分の内容物放出装置への固定保持部化および「中」部分の弾性作用部化により、「前」部分への内容物放出用の回動操作の繰返しに対しても、トリガー操作部材およびこれを受ける内容物放出装置部分などの長期的耐久化が図れることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、以上の課題を次のようにして解決する。
片持ち回動タイプでプラスチック製のトリガー操作部材(例えば後述のトリガー部材3)の内容物放出操作にともなうピストン(例えば後述のピストン2h)の移動により、容器本体側の内容物が内容物放出装置(例えば後述の放出機構本体2)の放出口(例えば後述の放出口2a)から外部空間域に放出されるトリガー操作式内容物放出機構において、
前記トリガー操作部材は、
全体が一体成形され、逆U字状の縦断面形状を持つ板バネ状の長尺部材であって、
利用者が前記内容物放出操作をおこなう操作部(例えば後述の操作部3e)および当該内容物放出操作にともない前記ピストンを駆動する放出駆動部(例えば後述の駆動部3f)を備え、かつ前記内容物放出装側の前方外側に設けられ、前記内容物放出操作の対象となる長手方向前側操作部(例えば後述の操作部3eおよび駆動部3f)と、
前記内容物放出操作のときにも変形しない態様で前記内容物放出装置の起立面(例えば後述の段部2e)に固定保持される前面部分(例えば後述の前側起立面3c)を備え、前記内容物放出装置の後方外側に固定保持される長手方向後側固定被保持部(例えば後述の固定用被保持部3b)と、
当該長手方向前側操作部および当該長手方向後側固定被保持部の間の長手方向連続部分に形成されて弾性変形可能な弾性作用部(例えば後述の弾性部3a)と、
からな
前記内容物放出装置は、
その前側外周面に前記ピストンの抜け落ち防止部(例えば後述の凸部2c)を有して前記放出口に連通する内容物放出用のシリンダ(例えば後述のシリンダ2b)、および前記ピストンを備え、
前記ピストンは、
前記放出駆動部が回動可能に係合して前記トリガー操作部材からの操作力および復帰力により駆動される被放出駆動部(例えば後述の被駆動部2j)と、
前記抜け落ち防止部に係合して前記シリンダとの間の移動を規制するする規制部(例えば後述の長穴2m)とを備え、
前記内容物放出操作は、
前記長手方向前側操作部を前記長手方向後側固定被保持部に近づける方向への回動操作であり、
前記弾性作用部のみの弾性作用によって前記ピストンが静止状態に復帰することにより、前記抜け落ち防止部と前記規制部とが当接する、
構成態様のものを用いる。
【0018】
このような構成からなるトリガー操作式内容物放出機構およびこのトリガー操作式内容物放出機構を備えたポンプ式製品を本発明の対象としている。
【発明の効果】
【0019】
本発明は以上の課題解決手段により、
トリガー操作式内容物放出機構の片持ち回動タイプのトリガー操作部材およびこれを常時受ける内容物放出装置部分などの長期的耐久化を図ることができる、
といった効果を奏している。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明のトリガー操作式内容物放出機構の静止状態を示す説明図である。
図2図1のトリガー部材3の斜視状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1および図2を用いて本発明を実施するための形態を説明する。
【0022】
なお、原則として、各図で用いるアルファベット付き参照番号の構成要素(例えば放出口2a)は当該参照番号の数字部分の構成要素(例えば放出機構本体2)の一部であることを示している。
【0023】
図1および図2において、
1は放出対象内容物が収容された容器本体,
2は、後述のピストン2hの往復動作で内容物を外部空間に放出する周知のポンプ機構を備えた放出機構本体,
2aは、内容物が放出される放出口,
2bは、内側の空間域が、逆止弁である吸込弁(図示省略)を介して容器本体1の内部に連通し、逆止弁である吐出弁(図示省略)を介して放出口2aに連通するシリンダ,
2cは、シリンダ2bの外周に設けられた一対の凸部,
2dは、放出機構本体2の左右側面より幅狭態様で設けられたトリガー固定用保持部,
2eは、放出機構本体2の左右側面とトリガー固定用保持部2dの左右側面との境界部分に設けられた起立面からなる段部,
2fは、トリガー固定用保持部2dの上端側に設けられたΩ字状の切欠き部,
2gは、トリガー固定用保持部2dの後側面であって、後述の固定用被保持部3bの後部形状と面一となる態様で設けられた後端側面,
2hは、外側筒状部と内側筒状部とこれらに共通の底部とを有する鞘状のピストン,
2jは、外側筒状部の左右外側に設けられ、後述の駆動部3fと回動可能に係合する一対の凸円柱状の被駆動部,
2kは、内側筒状部の端部に設けられたスカート状のシール作用部,
2mは、外側筒状部の外側に設けられ、凸部2cと係合し、ピストン2hのストローク方向(前方向)の移動を規制して、ピストン2hがシリンダ2bから抜ける落ちることを防止する一対の長穴,
3は、全体が板バネ状の長尺部材からなる逆U字状のトリガー部材,
3aは、トリガー部材3の中間部であって、利用者の放出操作によって変形する弾性部,
3bは、弾性部3aからその後方に連続する部分であって、トリガー固定用保持部2dを挟む態様で取り付けられる一対の固定用被保持部,
3cは、固定用被保持部3bの前側面であって、段部2eと当接して、後述の円柱状部3dを中心とした固定用被保持部3bの回動を阻止する前側起立面,
3dは、固定用被保持部3bのそれぞれの内面を連結するかたちで設けられて、切欠き部2fと係合する円柱状部,
3eは、弾性部3aからその前方に連続する部分であって、利用者の放出操作の押圧対象となる操作部,
3fは、弾性部3aの前方の端部で後述の前方開口部3gの内周面に設けられて、被駆動部2jを駆動するΩ字状の対向した溝からなる一対の駆動部,
3gは、弾性部3aの前側に設けられ、放出機構本体2の放出口2aの周辺部分が貫通し、かつピストン2hの前方部分が配置される前方開口部,
3hは、弾性部3aに後側に設けられた後方開口部,
3jは、前方開口部3gや後方開口部3hによって左右に分離した弾性部3aがねじれ変形するのを防止して、操作部3eや駆動部3fの前後移動を確保するブリッジ部分,
4は放出機構本体2の下端に回転可能なかたちで設けられ、容器本体1の上端側に形成された筒状首部(図示省略)と螺子結合して、放出機構本体2を、容器本体側に取り付けるためのネジキャップ,
をそれぞれ示している。
【0024】
また、
Aは、シリンダ2bとピストン2hとで画定され、利用者の放出操作にともない内容積が増減して内容物を圧送・吸引する貯留空間域A,
Bは、内容物を放出するための放出操作方向,
Cは、放出操作時に利用者の親指の根本で放出機構本体2を支える把握方向,
をそれぞれ示している。
【0025】
ここで、容器本体1、放出機構本体2,トリガー部材3およびネジキャップ4はポリプロピレン,ポリエチレン,ポリアセタール,ナイロン,ポリブチレンテレフタレートなどからなるプラスチック製のものである。
【0026】
図1および図2のトリガー操作式内容物放出機構の基本的特徴は、トリガー部材3を、放出操作の対象となる操作部3eおよび駆動部3fと、放出操作のときにも変形しない態様で放出機構本体2に固定保持される固定用被保持部3bと、当該操作部および当該駆動部と当該固定用被保持部との間の長手方向連続部分に形成されて弾性変形可能な弾性部3aと、からなる一体成形部材とした、ことである。
【0027】
上記の基本的特徴により、放出操作によって固定用被保持部3bが放出機構本体2に対して回動する必要がなく、固定用被保持部3bを放出機構本体2に長期的耐久化の容易な変位なしの固定状態にすることができる。
【0028】
弾性部3aの弾性作用は、当該弾性部を他の部分より薄くすることや、前方開口部3gや後方開口部3hを設けることなどで設定される。薄くした分や開口部を設けた分は、使用プラスチック量の低減となるのでローコスト化に寄与する。
【0029】
図1の静止状態では、トリガー部材3の駆動部3fがピストン2hの被駆動部2jと係合しているので、トリガー部材3の操作部3eとピストン2hはトリガー部材3の復帰力によって長穴2mの右縁部が凸部2cに当接するまで前方に移動している。
【0030】
このとき貯留空間域Aには、前回の放出操作でのピストン2hの復帰によって内容物が満たされた状態になっている。
【0031】
利用者が後端側面2gと固定用被保持部3bとを親指の付け根で保持し、トリガー部材3の操作部3eを人差し指や中指で引いて放出操作する、すなわち弾性部3aの弾性作用に抗して放出操作方向Bと把握方向Cとに狭持する。この内容物放出操作により、操作部3eと連動するピストン2hはシリンダ2bに対して後方に移動し、内容積が減少する貯留空間域Aの内容物は加圧され、その圧力で開状態となった前記吐出弁を通り、放出口2aから外部空間へ放出される。なお、吐出弁は上記貯留空間域からの流出弁であり、吸込弁は上記貯留空間域への流入弁である。
【0032】
このとき、容器本体側から貯留空間域Aへの前記吸込弁は内容物の圧力で閉状態となっている。
【0033】
操作部3eと固定用被保持部3bとに利用者の操作力を直接加えてトリガー部材3を変形させているので、放出機構本体2のトリガー固定用保持部2dとトリガー部材3の固定用被保持部3bとの間の係合部は、トリガー部材3の反発力を直接受けることがなく、この係合部が容易にはずれることはない。これは後述の放出操作からの復帰するときも同様である。
【0034】
また、ピストン2hを駆動し内容物を放出口2aから外部空間に流出させる利用者の操作力は、シリンダ2bと一体化している放出機構本体2の後端側面2gと、駆動部3fおよび被駆動部2jを介してピストン2hと連動する操作部3eとの間にのみ作用し、前記係合部には作用しないので、当該係合部がはずれることはない。
【0035】
なお、固定用被保持部3bの後部形状は、トリガー固定用保持部2dの後端側面2gと段差ない面一のかたちで設けられているので、固定用被保持部3bと後端側面2gのいずれにも利用者の把握方向Cの力を確実に加えることができる。
【0036】
次に、利用者が操作部3eへの力を緩めると、弾性部3aの弾性作用によって操作部3eはピストン2hとともに前方に復帰し、図1の静止状態になる。
【0037】
このとき、貯留空間域Aの内容積の拡大により、その内部の内容物が負圧となるため、放出口2aと貯留空間域Aとを連通する通路の前記吐出弁は閉状態となり、容器本体側から貯留空間域Aへの前記吸込弁は開状態となって、容器本体の内容物が貯留空間域Aに吸引されて満たされ、この内容物が上述した次回の放出操作の際の内容物となる。
【0038】
このようにポンプ式製品の吐出弁および吸込弁は、それぞれ操作部3eの内容物放出操作時のピストン2hの前後動に基づく上記貯留空間域の内容物圧力変化に応じて、連動した開閉作用を呈する。この連動した開閉作用は周知である。
【0039】
なお、トリガー部材3自身の弾性作用によってピストン2hを静止状態に復帰させるので、ピストン2hを復帰させるための専用弾性部材を別途設ける必要はない。
【0040】
図示の放出機構本体2,トリガー部材3およびピストン2hなどからなる「トリガー操作式内容物放出機構」の組立て手順は、概略次のようになる。
(31)シリンダ2bにピストン2hを挿入し、凸部2cを長穴2mに係止させ、放出機構本体2を組み立てる。
(32)前方開口部3gに放出口2aの周辺部分を通し、トリガー部材3を放出機構本体2の前方からかぶせて、駆動部3fを被駆動部2jの上に、円柱状部3dを切欠き部2fの上に位置合わせする。
(33)当接する段部2eと前側起立面3cとをずらしながらトリガー部材3の全体を下方に移動して、被駆動部2jを駆動部3fに、円柱状部3dを切欠き部2fに、それぞれを係合させる。
【0041】
本発明が以上の実施形態に限定されないことは勿論であり例えば次のような構成にしてもよい。
(41)ピストン2hの前面にも操作面を設けて、操作部として利用者の指をかけられるようにする。
(42)放出機構本体2とトリガー部材3との間に、操作部3eや駆動部3fの後方への移動を阻止して、不使用時に内容物が放出されないようにするロック機構やロック部材を設ける。例えば、ピストン2hの外周部に着脱可能で、放出機構本体2と操作部3eや駆動部3fの後側とにそれぞれ当接するC字状のロック用部材を設ける。
(43)放出口2aに、利用者の回転操作やスライド操作などにより内容物の流出を阻止して、不使用時に内容物が放出されないようにする閉鎖弁を設ける。
(44)放出機構本体2のシリンダ2bの代わりにピストンを設け、駆動部3fと連動するピストン2hの代わりに鞘状のシリンダを用いる。
(45)前方開口部3gや後方開口部3hの一部または全部を薄肉部に置き換える。
(46)弾性部3aの全体を薄肉にする。
(47)弾性部3aに任意の開口部を設ける。
(48)ブリッジ部分3jを省略する。
【0042】
本発明が適用されるポンプ式製品としては、洗浄剤,清掃剤,冷却剤,筋肉消炎剤,育毛剤,染毛剤,ヘアスタイリング剤,ヘアトリートメント剤,日焼け止め,化粧水,クレンジング剤,制汗剤,化粧品,シェービングフォーム,食品,液滴状のもの(ビタミンなど),医薬品,医薬部外品,園芸用剤,殺虫剤,害虫忌避剤,動物忌避剤,消臭剤,洗濯のり,消火器,塗料,接着剤,潤滑剤,ウレタンフォームなどの各種用途のものがある。
【0043】
容器本体に収容される内容物としては、液状,クリーム状,ゲル状など種々の形態のものを用いる。内容物に配合される成分は例えば、粉状物,油成分,アルコール類,界面活性剤,高分子化合物,各用途に応じた有効成分,水などである。
【0044】
粉状物としては、金属塩類粉末,無機物粉末や樹脂粉末などを用いる。例えば、タルク,カオリン,アルミニウムヒドロキシクロライド(アルミ塩),アルギン酸カルシウム,金粉,銀粉,雲母,炭酸塩,塩化マグネシウム,シリカ,酸化亜鉛,酸化チタン,ゼオライト,ナイロンパウダー,硫酸バリウム,セルロース,これらの混合物などを用いる。
【0045】
油成分としては、ジメチルポリシロキサンなどのシリコーン油,ミリスチン酸イソプロピルなどのエステル油,パーム油,ユーカリ油,ツバキ油,オリーブ油,ホホバ油などの油脂,流動パラフィンなどの炭化水素油,ミリスチン酸,パルミチン酸,ステアリン酸,リノール酸,リノレン酸などの脂肪酸などを用いる。
【0046】
アルコール類としては、エタノールなどの1価の低級アルコール,ラウリルアルコールやセタノールなどの1価の高級アルコール,エチレングリコール,1,3−ブチレングリコールやグリセリンなどの多価アルコールなどを用いる。
【0047】
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤,ポリオキシエチレンアルキルエーテルやポリグリセリン脂肪酸エステルなどの非イオン性界面活性剤,ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインなどの両性界面活性剤,塩化アルキルトリメチルアンモニウムなどのカチオン性界面活性剤などを用いる。
【0048】
高分子化合物としては、ヒドロキシエチルセルロース,メチルセルロース,ゼラチン,デンプン,カゼイン,キサンタンガム,カルボキシビニルポリマーなどを用いる。
【0049】
各用途に応じた有効成分としては、パラフェニレンジアミン,アミノフェノールなどの染料,過酸化水素水などの酸化剤,アクリル系樹脂やワックスなどのセット剤,パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルなどの紫外線吸収剤,レチノールやdl−α−トコフェロールなどのビタミン,ヒアルロン酸などの保湿剤,サリチル酸メチル,インドメタシンなどの消炎鎮痛剤,安息香酸ナトリウム,クレゾールなどの除菌剤,ピレスロイド,ジエチルトルアミドなどの害虫忌避剤,パラフェノールスルホン酸亜鉛などの制汗剤,カンフル,メントールなどの清涼剤,エフェドリン,アドレナリンなどの抗喘息薬,スクラロース,アスパルテームなどの甘味料,エポキシ樹脂,ウレタンなどの接着剤や塗料,パラフェニレンジアミン,アミノフェノールなどの染料,過酸化水素水などの酸化剤,リン酸二水素アンモニウム,炭酸水素ナトリウム・カリウムなどの消火剤などを用いる。
【0050】
さらに、上記内容物以外の、懸濁剤,乳化剤,酸化防止剤,金属イオン封鎖剤なども用いることができる。
【符号の説明】
【0051】
1:容器本体
2:放出機構本体
2a:放出口
2b:シリンダ
2c:一対の凸部
2d:トリガー固定用保持部
2e:段部
2f:Ω字状の切欠き部
2g:後端側面
2h:ピストン
2j:一対の被駆動部
2k:シール作用部
2m:一対の長穴
3:トリガー部材
3a:弾性部
3b:一対の固定用被保持部
3c:前側起立面
3d:円柱状部
3e:操作部
3f:一対の駆動部
3g:前方開口部
3h:後方開口部
3j:ブリッジ部分
4:ネジキャップ
【0052】
A:貯留空間域
B:放出操作方向
C:把握方向
図1
図2