特許第6422184号(P6422184)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社岡村製作所の特許一覧

<>
  • 特許6422184-物品取付構造 図000002
  • 特許6422184-物品取付構造 図000003
  • 特許6422184-物品取付構造 図000004
  • 特許6422184-物品取付構造 図000005
  • 特許6422184-物品取付構造 図000006
  • 特許6422184-物品取付構造 図000007
  • 特許6422184-物品取付構造 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6422184
(24)【登録日】2018年10月26日
(45)【発行日】2018年11月14日
(54)【発明の名称】物品取付構造
(51)【国際特許分類】
   A47B 13/00 20060101AFI20181105BHJP
   A47B 17/00 20060101ALI20181105BHJP
   F16B 5/07 20060101ALI20181105BHJP
   F16B 12/10 20060101ALI20181105BHJP
   F16B 12/30 20060101ALI20181105BHJP
   F16B 37/04 20060101ALI20181105BHJP
【FI】
   A47B13/00 Z
   A47B17/00 A
   F16B5/07 L
   F16B12/10 A
   F16B12/30
   F16B37/04 K
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-38662(P2015-38662)
(22)【出願日】2015年2月27日
(65)【公開番号】特開2016-158763(P2016-158763A)
(43)【公開日】2016年9月5日
【審査請求日】2018年2月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(72)【発明者】
【氏名】榊原 義弥
(72)【発明者】
【氏名】小野 菜穂
(72)【発明者】
【氏名】木曽 博紀
【審査官】 七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−79440(JP,A)
【文献】 特開2014−90745(JP,A)
【文献】 特開2016−59734(JP,A)
【文献】 特開2007−20657(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 13/00
A47B 17/00
A47B 96/14
F16B 5/07
F16B 12/10
F16B 12/30
F16B 37/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
什器における上下方向に立設された複数の縦杆と、これら縦杆間に架設された横杆とを有する支柱に、オプション部材等の取付物品を取り付けるための物品取付構造であって、
前記縦杆および前記横杆には、前記取付物品を取り付けるための取付面に、それぞれの長手方向に沿って開口幅より内部の幅が広く形成された蟻溝状の係止溝が形成されており、
前記取付物品には、前記支柱の前記係止溝に取り付けられる被取付面に、該被取付面と直交する方向に延び、その後下方に折れ曲がる係止爪が、前記縦杆の取付面の短手方向の幅と略同じ長さ離間して左右に一対配設されると共に、該一対の係止爪間に該被取付面と直交する挿通孔が穿設されており、
前記横杆は、前記取付物品の前記係止爪を該横杆の係止溝に係止させることにより、該横杆への前記取付物品の取り付けを可能にしており、
前記縦杆は、その取付面の短手方向における両側を前記取付物品の前記一対の係止爪に挟持させた状態で、前記挿通孔を介して取付ネジを、該縦杆の係止溝内に配設されたネジ座に螺合させることにより、該縦杆への前記取付物品の取り付けを可能にしていることを特徴とする物品取付構造。
【請求項2】
前記取付物品には、前記左右一対の係止爪が、上下に複数列設けられていることを特徴とする請求項1記載の物品取付構造。
【請求項3】
前記取付物品の被取付面には、該被取付面と直交するネジ孔が穿設されており、
前記横杆は、前記取付物品の前記係止爪を該横杆の係止溝に係止させた後、前記ネジ孔に螺合した固定ネジを該横杆の係止溝の開口部上縁に近接配置させることにより、前記取付物品の前記係止溝からの脱落を防止していることを特徴とする請求項1又は2に記載の物品取付構造。
【請求項4】
前記横杆は、その前後の面にそれぞれ前記係止溝が形成されていることで、前後の面が共に前記取付物品を取り付けるための取付面となっていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の物品取付構造。
【請求項5】
前記縦杆は、横断面が略正方形に形成されて、四方の面に全て前記係止溝が形成されていることで、四方の面が全て前記取付物品を取り付けるための取付面となっていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の物品取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、什器の構成部材である支柱に、オプション部材等を取り付けるための物品取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスや公共施設等の執務空間においては、執務者の作業性を向上させるため、テーブル等の什器が使用されている。こうした什器には、構成部材として支柱が多く用いられており、このような支柱にオプション部材が取り付けられることにより、什器としての使い勝手が高められている。
【0003】
オプション部材を什器の支柱に取り付ける構造としては、オプション部材を保持するブラケットを、このブラケットに設けられた係止爪を什器の支柱に穿設された係止孔に係止させることにより、支柱に取り付ける構造が一般的である(特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
【0004】
これらの取付構造によれば、簡易的な構造でありながら確実にオプション部材を什器の支柱に取り付けることができる。ただし、支柱に穿設された係止孔でオプション部材を保持するブラケットを支持しているため、支柱に対しては、オプション部材の取り付けが想定される箇所全てに係止孔を穿設する必要がある。したがって、支柱については、係止孔に関しての加工工数が多くなることで加工コストが増大してしまう。また、不使用の係止孔が多く露出するため、体裁にも難がある。
【0005】
このような事情に鑑み、予め支柱に蟻溝状の係止溝を設けておき、この係止溝にブラケットを介してオプション部材を取付可能とした支持構造が提案されている(特許文献4参照)。この支持構造では、係止溝内に配設したネジ座(板ナット)とブラケットの被取付面とによって係止溝の縁部を挟持することにより、ブラケットを介して支柱にオプション部材を取り付け可能にしている。したがって、この支持構造によれば、支柱の係止溝に沿った任意の位置でオプション部材を取り付けることができると共に、オプション部材を取り付けない場合における支柱の体裁も良好に収めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公平06−071450号公報
【特許文献2】特許第3060204号公報
【特許文献3】特開平09−168458号公報
【特許文献4】特開2005−021340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献4の支持構造では、オプション部材に設けた係止爪を支柱の係止溝に係止させているため、例えば上下方向に立設された支柱の上下方向に沿う係止溝にオプション部材を支持させたい場合と、左右方向に架設された横杆の左右方向に沿う係止溝にオプション部材を支持させたい場合とでは、オプション部材に設ける係止爪の向きを変えなくてはならない。したがって、上下方向に沿う係止溝と左右方向に沿う係止溝とでは、これら係止溝にオプション部材を取り付けるため、それぞれに専用のブラケットを設ける必要があり、使い勝手の点で改善する余地がある。
【0008】
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、什器に設けられた上下方向に延在する縦杆と左右方向に延在する横杆のいずれに対しても、オプション部材等の取付物品をそれぞれの係止溝の長さ方向における任意の位置に着脱可能に取り付けることができると共に、共通の取付部材によって取り付けることを可能にした、物品取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の物品取付構造は、什器における上下方向に立設された複数の縦杆と、これら縦杆間に架設された横杆とを有する支柱に、オプション部材等の取付物品を取り付けるための物品取付構造であって、前記縦杆および前記横杆には、前記取付物品を取り付けるための取付面に、それぞれの長手方向に沿って開口幅より内部の幅が広く形成された蟻溝状の係止溝が形成されており、前記取付物品には、前記支柱の前記係止溝に取り付けられる被取付面に、該被取付面と直交する方向に延び、その後下方に折れ曲がる係止爪が、前記縦杆の取付面の短手方向の幅と略同じ長さ離間して左右に一対配設されると共に、該一対の係止爪間に該被取付面と直交する挿通孔が穿設されており、前記横杆は、前記取付物品の前記係止爪を該横杆の係止溝に係止させることにより、該横杆への前記取付物品の取り付けを可能にしており、前記縦杆は、その取付面の短手方向における両側を前記取付物品の前記一対の係止爪に挟持させた状態で、前記挿通孔を介して取付ネジを、該縦杆の係止溝内に配設されたネジ座に螺合させることにより、該縦杆への前記取付物品の取り付けを可能にしていることを特徴とする。
【0010】
この物品取付構造によれば、横杆が、取付物品の係止爪を該横杆の係止溝に係止させることにより、横杆への取付物品の取り付けを可能にし、縦杆が、その取付面の短手方向における両側を取付物品の一対の係止爪に挟持させた状態で、挿通孔を介して取付ネジを、該縦杆の係止溝内に配設されたネジ座に螺合させることにより、縦杆への取付物品の取り付けを可能にしているので、什器に設けられた上下方向を向く縦杆と左右方向を向く横杆のいずれに対しても、共通の取付部材によってオプション部材等の取付物品をそれぞれの係止溝の長さ方向における任意の位置に着脱可能に取り付けることができる。
【0011】
また、前記物品取付構造において、前記取付物品には、前記左右一対の係止爪が、上下に複数列設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、左右一対の係止爪が上下に複数列設けられているので、取付物品を縦杆に取り付けた際に、縦杆の取付面に対する両側にそれぞれ複数の係止爪を係止させることにより、取付物品をより安定した状態に取り付けることができる。
【0012】
また、前記物品取付構造において、前記取付物品の被取付面には、該被取付面と直交するネジ孔が穿設されており、前記横杆は、前記取付物品の前記係止爪を該横杆の係止溝に係止させた後、前記ネジ孔に螺合した固定ネジを該横杆の係止溝の開口部上縁に近接配置させることにより、前記取付物品の前記係止溝からの脱落を防止していることを特徴とする。
この構成によれば、横杆が、取付物品の係止爪を該横杆の係止溝に係止させた後、ネジ孔に螺合した固定ネジを該横杆の係止溝の開口部上縁に近接配置させることにより、取付物品の係止溝からの脱落を防止しているので、横杆に対して取付物品を安定した状態に取り付けることができる。
【0013】
また、前記物品取付構造において、前記横杆は、その前後の面にそれぞれ前記係止溝が形成されていることで、前後の面が共に前記取付物品を取り付けるための取付面となっていることを特徴とする。
この構成によれば、横杆の前後の面が共に取付物品を取り付けるための取付面となっているので、取付物品を取り付けるための自由度が高くなり、前後両方に向けて取付物品を取り付けることができるため、使い勝手を良くすることができる。
【0014】
また、前記物品取付構造において、前記縦杆は、横断面が略正方形に形成されて、四方の面に全て前記係止溝が形成されていることで、四方の面が全て前記取付物品を取り付けるための取付面となっていることを特徴とする。
この構成によれば、縦杆の四方の面が全て取付物品を取り付けるための取付面となっているので、取付物品を取り付けるための自由度が高くなり、異なる方向に向けて取付物品を取り付けることができるため、使い勝手を良くすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の物品取付構造によれば、什器に設けられた縦杆と横杆のいずれに対しても、共通の取付部材によってオプション部材等の取付物品をそれぞれの係止溝の長さ方向における任意の位置に着脱可能に取り付けることができる。したがって、使い勝手を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る物品取付構造を用いたテーブル装置の一例の概略構成を示す斜視図である。
図2】(a)は横杆の縦断面図であり、(b)は横杆に対して取付物品を取り付けた状態を示す部分断面図である。
図3】(a)は縦杆の横断面図であり、(b)は縦杆に対して取付物品を取り付けた状態を示す部分断面図である。
図4】本実施形態に係る物品取付構造の腰部斜視図である。
図5】(a)、(b)は取付物品の斜視図である。
図6】(a)、(b)は取付物品の斜視図である。
図7】縦杆への横杆の取り付けを説明するための分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る物品取付構造の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
なお、以下の説明においては、本実施形態の物品取付構造を備える什器における矩形状の天板5の長辺の長さ方向を左右方向、天板5の短辺の長さ方向を前後方向と記す。
【0018】
図1は、本発明に係る物品取付構造を用いたテーブル装置の一例の概略構成を示す斜視図であり、図1中符号1はテーブル装置である。このテーブル装置1は、例えば病院などにおいて点滴のセッティングや各種医療の準備などに用いられるテーブルであり、テーブル本体2と、このテーブル本体2に設けられた支柱3とを備えている。
【0019】
テーブル本体2は、本発明に係る什器であり、床面上に左右に離間して配設された一対の収容部4、4と、これら収容部4、4上に支持された天板5と、を有している。収容部4は、矩形板状の底板6と、該底板6の左右両側端から立ち上がる一対の側板7、7とを有している。これら底板6と側板7、7とに囲まれた収容空間内には、複数の収容ケース7aが前後両方に引き出し可能に収容されている。収容部4、4の底板6には、その四隅にキャスター9が設けられており、これによってテーブル装置1は、床面上を移動可能に形成されている。
【0020】
天板5は、平面視矩形状に形成されたもので、収容部4、4を構成する側板7の上端面に取り付けられ、固定されている。この天板5には、その上面の長辺方向(左右方向)における両側にそれぞれ取付穴(図示せず)が形成されており、これら取付穴に支柱3が取り付けられ、立設されている。
【0021】
支柱3は、天板5の上面両側の取付穴に上下方向に立設された一対(複数)の縦杆8、8と、これら縦杆8、8間に架設された横杆9とを有して構成されている。縦杆8は、取付穴に着脱可能に立設されており、必要に応じて天板5にネジ止め等によって固定されている。
【0022】
本実施形態では、一対の縦杆8、8間に上下二つの横杆9、9が架設されている。すなわち、一対の縦杆8、8の上端部間に一つの横杆9が架設され、この横杆9の下方に他の横杆9が架設されている。横杆9は、長細い板状に形成されたもので、その前後両面が共に後述する取付物品を取り付けるための取付面9aとなっている。これら取付面9aには、その長手方向(水平方向)に沿って係止溝10が上下に2条、平行して形成されている。
【0023】
これら係止溝10は、横杆9の縦断面図である図2(a)に示すように、開口幅より内部の幅が広く形成された蟻溝状のもので、特に開口部10aの下端縁を形成する下端縁部10bが、後述するように取付物品の係止爪に係止する係止部として機能する。また、係止溝10の開口部10aの上端縁を形成する上端縁部10cは、後述するように取付物品に設けられたネジに当接することで上記係止爪が係止溝10から外れるのを防止する外れ防止部として機能する。なお、本実施形態では、横杆9の上面及び下面にも係合溝10が形成されており、したがってこれら上面及び下面も、後述する取付物品を取り付けることが可能な取付面となっている。
【0024】
縦杆8は、その横断面図である図3(a)に示すように、横断面が略正方形に形成された柱状のもので、本実施形態では四方の面が全て、後述する取付物品を取り付けるための取付面8aとなっている。これら取付面8aには、図1に示すようにその長手方向(上下方向)に沿って係止溝11が形成されている。係止溝11は、図3(a)に示すように、開口幅より内部の幅が広く形成された蟻溝状のものである。
【0025】
このような縦杆8と横杆9とを有する支柱3に対して、本実施形態の物品取付構造では、図4に示すようにそれぞれの取付面8a、9aに、オプション部材である取付物品20が着脱可能に取り付けられる。
取付物品20としては、図5(a)に示すようなポケット21、図5(b)に示すようなワイヤーバスケット22、図6(a)に示すようなグローブボックスホルダー23、図6(b)に示すようなバインダーホルダー24などが用いられる。
【0026】
これら取付物品20(ポケット21、ワイヤーバスケット22、グローブボックスホルダー23、バインダーホルダー24)には、支柱3の係止溝10(11)に取り付けられる被取付面21a(22a、23a、24a)に、矩形板状の取付板25が溶接等によって固定されている。取付板25は、長辺が左右方向(水平方向)に沿い、短辺が上下方向に沿うように各取付物品20に固定されており、その上端縁と下端縁に、それぞれ係止爪26が設けられている。
【0027】
係止爪26は、取付板25の上端縁および下端縁からそれぞれ前方(被取付面と直交する方向)に延び、その後下方に折れ曲がる側面視L字状、すなわち下向きに配置された側面視L字状のもので、係止爪26の下方に垂れ下がる部位の上下方向の長さが、横杆9の係止溝10の開口部10aの幅より充分に短く(狭く)形成されている。このような係止爪26は、取付板25の上端縁において横方向に一対設けられ、取付板25の下端縁においても横方向に一対設けられている。上端縁に設けられた一対の係止爪26と下端縁に設けられた一対の係止爪26とは、それぞれ左右方向における同じ位置に配置され、したがって上下方向において対向して配置されている。
【0028】
取付板25の上端縁と下端縁との間の距離は、横杆9の上下に配置された2条の係止溝10、10間の距離と同じに形成されている。これによって取付板25の上端縁に配置された係止爪26と下端縁に配置された係止爪26とは、共に横杆9の上下に配置された係止溝10に着脱可能に係止される。すなわち、取付板25の上端縁に形成された係止爪26を横杆9の上に配置された係止溝10に係止させる際、取付板25の下端縁に形成された係止爪26も横杆9の下に配置された係止溝10に係止させることができる。
【0029】
また、これら係止爪26のうち、同じ端縁に設けられて横方向に隣り合う一対の係止爪26、26は、これらの間の幅w、すなわち離間する長さ(距離)が、縦杆8の取付面8aの短手方向の幅と略同じ長さ、すなわち該幅より僅かに長い長さに形成されている。これによって取付物品20は、後述するように縦杆8に取り付ける際、左右一対の係止爪26、26を縦杆8の取付面8aの短手方向における両側面に当接させ、係止させることで取付面8aの両側を挟持させることにより、縦杆8に安定した状態で取り付け可能になっている。特に、本実施形態では左右一対の係止爪26、26を取付板25の上端縁および下端縁に、すなわち上下に2列(複数列)設けているので、これら二対の係止爪26、26で取付面8aの両側を挟持させることにより、縦杆8に対してより安定した状態で取り付け可能になっている。
【0030】
取付板25には、左右一対の係止爪26、26間、本実施形態では取付板25の上端縁に設けられた係止爪26、26の中心点と、下端縁に設けられた係止爪26、26の中心点とを結ぶ中心線上に、上記被取付面と直交して取付板25の表裏(前後)を貫通する挿通孔27と、同じく上記被取付面と直交して取付板25の表裏(前後)を貫通するネジ孔28とが形成されている。挿通孔27は、雌ねじが切られていない貫通孔であり、ネジ孔28より上方に配置されている。
【0031】
ネジ孔28は、雌ねじが切られた貫通孔であり、図5(a)、(b)、図6(a)、(b)中に二点鎖線で示すように、該ネジ孔28に雄ネジからなる固定ネジ29が着脱可能に螺着する。ここで、ネジ孔28は、取付物品20の取付板25の、下端縁より少し上に配設されている。具体的には、図2(a)に示した係止溝10の開口部10aの幅に相当する長さより少し短い長さ分、取付板25の下端縁より上に配設されている。これにより、取付物品20を横杆9に取り付けるべく、図2(b)に示すように下端縁側の係止爪26を横杆9の下側の係止溝10に係止させると共に、上端縁側の係止爪26を横杆9の上側の係止溝10に係止させた際、ネジ孔28が係止溝10の開口部10aに連通すると共に、開口部10aの上端縁部10cの近傍に位置するようになっている。
【0032】
挿通孔27にも、雄ネジが挿通されるようになっている。ただし、この挿通孔27には雌ねじが切られていないので、これに挿通される雄ネジは、図3(b)に示すように予め係止溝11内に配置されたネジ座を有する板ナット30に対して、螺着されるようになっている。
【0033】
このような構成からなる取付板25を有した取付物品20を取り付ける支柱3は、図1図4に示すように一対の縦杆8の内側面(取付面9a)の係止溝11に、横杆9を取り付けたことによって形成されている。図7は、縦杆8への横杆9の取り付けを説明するための分解斜視図である。
【0034】
図7に示すように、縦杆8の左右方向の内側面には、係合溝11の内部の幅広部12に、横杆9を連結するための、係合溝11の開口部11aよりも幅広である縦長四角形の板ナット13が上方より挿入され、固定されている。すなわち、板ナット13の上下方向の中央に設けられている位置固定用ネジ孔13aに、位置固定用ネジ14が螺合される。位置固定用ネジ14の頭部には六角凹孔14aが形成されており、六角レンチを用いて位置固定用ネジ14を締め込むことにより、位置固定用ネジ14の先端が係合溝11の溝底に圧接し、板ナット13の両側端縁が係合溝11の開口部11aの両端縁部の内壁面にそれぞれ圧接する。これにより、板ナット13が縦杆8の係合溝11内に固定される。なお、本実施形態では一対の縦杆8、8間に二つの横杆9、9が架設されるため、板ナット13も各縦杆8に二つ挿入され、固定されている。
【0035】
一方、横杆9は、ほぼ縦長四角形状の断面を有し、その上下面に各1条、前後面に各2条の平行な係合溝10、10が、それぞれ長手方向に形成されている。横杆9の左右両端部には、それぞれ連結板15が固着されている。連結板15は、横杆9の端部を覆う縦長の長方形状のもので、下端中央に切欠15aが形成され、上端近傍中央に通孔15bが形成され、さらにこれら切欠15aと通孔15bとの間の上下に一対の通孔15c、15dが形成されている。
【0036】
そして、一対のネジ16a、16bが一対の通孔15c、15dに挿通され、横杆9の端部において、上下面の係合溝10、10間の上下に設けられた一対の係止孔17a、17bに螺着させられることにより、連結板15が横杆9の端部に固着されている。
【0037】
このような構成のもとに、横杆9を以下のようにして縦杆8に取り付けることができる。
まず、縦杆8の内側面の係合溝11内に固着した板ナット13の下端近傍に形成されたネジ孔13bに、拡径頭部18aを有する取付用ネジ18を途中までねじ込み、横杆9の端部に固着した連結板15における下端の切欠15aに、取付用ネジ18の拡径頭部18aを係止させる。次いで、取付用ネジ19を連結板15における上端近傍の通孔15bに挿通し、板ナット13の上端近傍に設けられたネジ孔13cに螺合して締め付ける。
【0038】
さらに、先に連結板15の切欠15aに係止させた取付用ネジ18を締め付けて、連結板15と板ナット13の両者によって、縦杆8における係合溝11の開口部11aの両側端縁を挾持する。これにより、横杆9を左右一対の縦杆8、8間に取り付け、架設することができる。すなわち、一対の縦杆8、8に対して上下に二つの横杆9、9を取り付け、架設することができる。
【0039】
横杆9の上下位置の変更については、板ナット13の上下位置を所望の位置に変更することにより、容易に行うことができる。
なお、縦杆8の上端にはキャップ31が着脱可能に被着されており、これによって上端開口が閉塞されていることにより、良好な外観を呈している。キャップ31の下面には、縦杆8の係合溝11に嵌挿する取付片32が形成されており、これによってキャップ31は縦杆8の上端に容易に取り付けられるようになっている。
【0040】
次に、このような構成の支柱3に対する、取り付け物品20の取り付け方法について説明する。
横杆9に対する取付物品20の取り付けについては、図2(b)に示すように、まず、取付物品20の取付板25の4つの係止爪26を、横杆9の係止溝10にそれぞれ係止させる。すなわち、取付板25の上端縁の係止爪26を横杆9の上側の係止溝10に位置合わせすると共に、下端縁の係止爪26を横杆9の下側の係止溝10に位置合わせし、その状態で各係止爪26を係止溝10の開口部10a内に挿入し、その後取付物品20を降ろして各係止爪26を係止溝10の下端縁部10bに係止させる。
【0041】
次いで、取付板25のネジ孔28に固定ネジ29を螺合させ、さらにこの固定ネジ29を前進させて係止溝10の開口部10a内に進めることにより、この固定ネジ29の先端側を開口部10aの上端縁部10cに近接配置させる。これにより、開口部10aの下端縁部10bに係止した係止爪26を下端縁部10bから外すべく、取付物品20を持ち上げようとしても、あるいは不測の外力が作用して取付物品20を持ち上げようとしても、固定ネジ29が開口部10aの上端縁部10cに当接してそれ以上取付物品20が上昇するのが妨げられるため、係止爪26を係止溝10から外すことができない。したがって、特に不測の外力が作用することで、取付物品20が係止溝10から脱落するのが防止される。
【0042】
なお、図2(b)中に二点鎖線で示すように、固定ネジ29に対して取付板25の外面側に溶接されたナット33を螺着することにより、固定ネジ29を取付板25に固定するようにしてもよい。このようにナット33を用いることにより、ネジ孔28を雌ネジが切られていない単なる貫通孔とすることができる。その場合に、この貫通孔を挿通孔27に兼用させることもできる。すなわち、ネジ孔28を形成した箇所に貫通孔を形成することで、挿通孔27を無くすことができる。これにより、挿通孔27についての加工費を削減することができる。
【0043】
また、縦杆8に対する取付物品20の取り付けについては、図3(b)に示すように、まず、取り付ける係止溝11内にネジ座を有する板ナット30を挿入し、適宜な治具を用いてこれを取付物品20の取付位置に仮止めしておく。なお、このような板ナット30の挿入および仮止めについては、図7に示した板ナット13の場合と同様にして行うことができる。
【0044】
このようにして板ナット30を仮止めしたら、この板ナット30と対応する位置に取付物品20の取付板25を取り付けるべく、まず、横方向に隣り合う二対の係止爪26、26によって縦杆8の取付面8aの短手方向における両側面を挟持させる。すなわち、左右の係止爪26、26をそれぞれ縦杆8の取付面8aの両側面に当接させ、係止させることにより、取付面8aの両側を挟持させる。
【0045】
続いて、予め用意した取付ネジ34を挿通孔27に挿通し、さらに係止溝11内の板ナット30に螺合させることにより、板ナット30と取付板25の被取付面とによって係止溝11の開口部11aの両側端縁を挟持する。これにより、取付物品20の取付板25を縦杆8の係止溝11に取り付けることができる。
【0046】
以上説明したように本実施形態の物品取付構造によれば、横杆9が、取付物品20の係止爪26を係止溝10に係止させることにより、横杆9への取付物品20の取り付けを可能にし、縦杆8が、その取付面8aの短手方向における両側を取付物品20の一対の係止爪26、26に挟持させた状態で、挿通孔27を介して取付ネジ34を、係止溝11内に配設された板ナット30のネジ座に螺合させることにより、縦杆8への取付物品20の取り付けを可能にしているので、テーブル本体2に設けられた上下方向を向く縦杆8、8と左右方向を向く横杆9、9のいずれに対しても、共通の取付板25(取付部材)によってオプション部材等の取付物品20をそれぞれの係止溝10(11)の長さ方向における任意の位置に着脱可能に取り付けることができる。したがって、使い勝手を従来比べて向上することができる。
【0047】
また、取付物品20に、左右一対の係止爪26、26を上下に2列(複数列)設けているので、取付物品20を縦杆8に取り付けた際に、縦杆8の取付面8aに対する両側にそれぞれ複数の係止爪26を係止させることにより、縦杆8に対して取付物品20をより安定した状態に取り付けることができる。
【0048】
また、横杆9が、取付物品20の係止爪26を係止溝10に係止させた後、ネジ孔28に螺合した固定ネジ29を係止溝10の開口部10aの上端縁部10c(上縁)に近接配置させることにより、取付物品20の係止溝10からの脱落を防止しているので、横杆9に対して取付物品20を、不測の力が作用しても脱落しないように安定した状態に取り付けることができる。
【0049】
また、横杆9の前後の面を共に取付物品20を取り付けるための取付面9aとしているので、取付物品20を取り付けるための自由度を高くして前後両方に向けて取付物品20を取り付けることができ、したがって使い勝手を良くすることができる。
さらに、縦杆8の四方の面を全て取付物品20を取り付けるための取付面8aとしているので、取付物品20を取り付けるための自由度を高くして異なる方向に向けて取付物品20を取り付けることができ、したがって使い勝手をより良くすることができる。
【0050】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、前記実施形態では取付板25の上端縁と下端縁の両方にそれぞれ一対の係止爪を形成したが、例えば下端縁のみに一対の係止爪を形成してもよい。その場合には、横杆9の上下に形成した2条の係止溝10、10に対して、いずれにも取付物品20を取り付けることが可能になる。
【0051】
また、ネジ孔28を比較的大きい径にしておき、取付物品20を横杆9に取り付ける場合には前記実施形態と同様にネジ孔28に固定ネジ29を螺着させ、取付物品20を縦杆8に取り付ける場合には、ネジ孔28に対してその径より充分に小径の取付ネジ34を挿通することにより、これを板ナット30に螺着するようにしてもよい。このように構成すれば、挿通孔27の形成を省略することができ、その加工費を削減することができる。
【0052】
また、前記実施形態では本発明に係る物品取付構造を、病院などにおいて用いられるテーブル装置に適用した場合について説明したが、本発明に係る物品取付構造はこのようなテーブル装置にのみ用いられることなく、一般のオフィスや図書館などに設置されるテーブル装置、さらには飲食店などにおけるテーブルやカウンターなど、様々な場所で用いられる什器に適用可能である。
【符号の説明】
【0053】
1…テーブル装置、2…テーブル本体(什器)、3…支柱、8…縦杆、8a…取付面、9…横杆、9a…取付面、10…係止溝、10a…係止溝、11…係止溝、11a…開口部、20…取付物品、25…取付板(取付部材)、26…係止爪、27…挿通孔、28…ネジ孔、29…固定ネジ、30…板ナット(ネジ座)、34…取付ネジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7